JP3855720B2 - 内燃機関の触媒早期暖機制御システムの異常診断装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の排出ガス浄化用の触媒の暖機を促進する触媒早期暖機制御システムの異常の有無を診断する内燃機関の触媒早期暖機制御システムの異常診断装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年の自動車は、排出ガスを浄化するために三元触媒等の触媒を搭載しているが、この触媒は、エンジン始動後に活性温度に暖機されるまでは、排出ガス浄化率が低いため、エンジン始動後に触媒が活性温度に暖機されるまで、点火時期遅角制御等により触媒早期暖機制御を実行して、排気熱量を増加させて触媒を短時間で暖機するようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上述した触媒早期暖機制御システムが正常に動作していれば、エンジン始動後の排気エミッションをかなり低減できるが、この触媒早期暖機制御システムの動作が異常になると、触媒が活性温度に暖機されるまでの時間が長くなってしまい、その分、排気エミッションが悪化してしまう。従って、触媒早期暖機制御システムの動作が異常になった場合は、それを早期に検出して、修理等を早期に行えるようにすることが望ましいが、現状では、触媒早期暖機制御システムが正常に機能しているか否かを自動的に診断する手法が開発されていないため、触媒早期暖機制御システムの動作が異常になっても、運転者がその異常を全く気付かずに運転を続けてしまうという問題がある。
【0004】
本発明はこのような事情を考慮してなされたものであり、従ってその目的は、内燃機関の運転中に触媒早期暖機制御システムの異常の有無を自動的に診断する機能を備えた内燃機関の触媒早期暖機制御システムの異常診断装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1の内燃機関の触媒早期暖機制御システムの異常診断装置は、排出ガス浄化用の触媒の暖機を促進する触媒早期暖機制御手段と、前記触媒早期暖機制御手段が正常に動作しているか否かを診断する異常診断手段と、前記触媒の下流側の排出ガス成分を検出する排出ガス成分検出手段とを備え、前記異常診断手段によって、前記排出ガス成分検出手段により検出される排出ガス成分に基づいて前記触媒早期暖機制御手段の異常の有無を診断するようにしたものである。
【0006】
触媒の暖機の進み具合(活性度合)に応じて触媒を通過する排出ガスの浄化率が変化するため、触媒の暖機の進み具合に応じて触媒下流側の排出ガス成分検出手段の周辺に流れる排出ガス成分(例えば酸素濃度、空燃比等)が変化し、それに応じて触媒下流側の排出ガス成分検出手段の検出値が変化する。この関係から、触媒早期暖機制御中に、触媒下流側の排出ガス成分検出手段により検出される排出ガス成分に基づいて、触媒の暖機の進み具合が正常であるか、遅れているかを判断することが可能となり、もし、触媒の暖機が遅れていると判断される場合は、触媒早期暖機制御手段の異常と診断するものである。この場合、触媒下流側の排出ガス成分検出手段は、空燃比制御のために設置されているセンサを利用すれば良いため、触媒温度センサ等の新たなセンサを設ける必要がなく、低コスト化の要求を満たしながら、内燃機関の運転中に触媒早期暖機制御手段の異常診断を自動的に行うことができる。
【0007】
ところで、触媒は使用期間が長くなると、浄化特性が劣化してくるため、触媒早期暖機制御中の触媒の暖機の進み具合が正常であっても、触媒が劣化していると、触媒を通過する排出ガスの浄化率が通常よりも低下してくる。このため、触媒が劣化している場合と、触媒の暖機が遅れている場合とは、触媒早期暖機制御中の排出ガス浄化率の挙動(触媒下流側の排出ガス成分検出手段の検出値の挙動)が似通ってきて、触媒早期暖機制御中の触媒下流側の排出ガス成分検出手段の検出値のみからでは両者の区別が付きにくくなってくる場合がある。
【0008】
この点を考慮して、請求項1に係る発明では、異常診断手段は、前記触媒早期暖機制御手段による触媒早期暖機制御中に前記排出ガス成分検出手段により検出される排出ガス成分に基づいて前記触媒早期暖機制御手段の異常又は前記触媒の劣化のいずれかに該当する異常を仮検出する第1の異常診断手段と、触媒早期暖機制御終了後に前記排出ガス成分検出手段により検出される排出ガス成分に基づいて前記触媒の劣化を検出する第2の異常診断手段とを備え、前記第1の異常診断手段による仮検出の結果と前記第2の異常診断手段による前記触媒の劣化の検出結果とに基づいて前記触媒早期暖機制御手段が正常に動作しているか否かを診断するようにしている。これにより、触媒早期暖機制御手段の異常の診断精度を向上することができる。
【0009】
更に、請求項2のように、前記第1の異常診断手段による前記触媒早期暖機制御手段の異常又は前記触媒の劣化の仮検出結果と前記第2の異常診断手段による前記触媒の劣化の検出結果とに基づいて前記触媒早期暖機制御手段の異常と前記触媒の劣化とを判別するようにすると良い。これにより、触媒早期暖機制御手段の異常の他に触媒の劣化も検出することができる。
【0010】
この場合、請求項3のように、排出ガス成分検出手段は、触媒の下流側の排出ガス成分として、排出ガスの酸素濃度又は排出ガスの空燃比のいずれかを検出するものを用いれば良い。このようにすれば、空燃比制御のために設置されている代表的なセンサである酸素センサや空燃比センサを排出ガス成分検出手段として利用することができ、本発明を適用しやすい。
【0011】
ところで、触媒早期暖機制御中の触媒の暖機の進み具合が遅れても、触媒早期暖機制御終了後は、それまでに触媒の暖機がある程度進んでいるため、触媒が劣化していなければ、排出ガスの浄化率が高くなっている。
【0012】
従って、請求項4のように、前記第1の異常診断手段によって触媒早期暖機制御手段の異常又は触媒の劣化のいずれかに該当する異常を仮検出し、且つ、前記第2の異常診断手段によって触媒の劣化を検出した場合に、最終的に触媒の劣化と診断するようにすると良い。このようにすれば、触媒の劣化を触媒早期暖機制御手段の異常と誤って判定することを未然に防止することができ、異常診断の信頼性を向上することができると共に、触媒の劣化も検出することができる。
【0013】
また、請求項5のように、前記第1の異常診断手段によって触媒早期暖機制御手段の異常又は触媒の劣化のいずれかに該当する異常を仮検出し、且つ、前記第2の異常診断手段によって触媒の劣化を検出しない場合に、最終的に前記触媒早期暖機制御手段の異常と診断するようにすると良い。これにより、触媒早期暖機制御手段の異常を精度良く検出することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。まず、図1に基づいてエンジン制御システム全体の概略構成を説明する。内燃機関であるエンジン11の吸気管12の最上流部には、エアクリーナ13が設けられ、このエアクリーナ13の下流側には、吸入空気量を検出するエアフローメータ14が設けられている。このエアフローメータ14の下流側には、スロットルバルブ15とスロットル開度を検出するスロットル開度センサ16が設けられている。
【0015】
更に、スロットルバルブ15の下流側には、サージタンク17が設けられ、このサージタンク17に、吸気管圧力を検出する吸気管圧力センサ18が設けられている。また、サージタンク17には、エンジン11の各気筒に空気を導入する吸気マニホールド19が設けられ、各気筒の吸気マニホールド19の吸気ポート近傍に、燃料を噴射する燃料噴射弁20が取り付けられている。
【0016】
一方、エンジン11の排気管21の途中には、排出ガス中のCO,HC,NOx等を低減させる三元触媒等の触媒22が設置されている。この触媒22の上流側と下流側には、それぞれ排出ガスの酸素濃度等のガス成分濃度、空燃比、リッチ/リーンのいずれかを検出するセンサ23,24(排出ガス成分検出手段)が設置されている。本実施形態では、上流側センサ23は、排出ガスの空燃比に応じたリニアな空燃比信号を出力する空燃比センサ(A/Fセンサ)が用いられ、下流側センサ24は、排出ガスの空燃比が理論空燃比に対してリッチかリーンかによって出力電圧が反転する酸素センサが用いられている。また、エンジン11のシリンダブロックには、冷却水温を検出する水温センサ25や、エンジン回転速度を検出するクランク角センサ26が取り付けられている。
【0017】
これら各種のセンサ出力は、エンジン制御回路(以下「ECU」と表記する)27に入力される。このECU27は、マイクロコンピュータを主体として構成され、内蔵されたROM(記憶媒体)に記憶された空燃比制御用の各ルーチン(図示せず)を実行し、上流側空燃比センサ23と下流側酸素センサ24の出力に基づいて排出ガスの空燃比を制御する。具体的には、上流側空燃比センサ23の出力に基づいて触媒22上流側の排出ガスの空燃比を目標空燃比に一致させるように空燃比(燃料噴射量)をフィードバック制御し、更に、触媒22下流側の空燃比を制御目標値(例えば理論空燃比付近)に一致させるように、下流側酸素センサ24の出力に基づいて触媒22上流側の目標空燃比を補正するサブフィードバック制御を行う。
【0018】
また、ECU27は、イグニッションスイッチ(図示せず)のオン後に所定クランク角毎に図2の触媒早期暖機制御ルーチンを実行し、触媒早期暖機制御を実行する触媒早期暖機制御手段としての役割を果たす。本ルーチンが起動されると、まずステップ101で、触媒早期暖機制御実行条件が成立しているか否かを判定する。この触媒早期暖機制御実行条件としては、例えば、触媒22が暖機前(活性前)であること、点火時期遅角制御を実行可能な運転状態であること(例えばアイドル運転時)等であり、これらの条件が全て満たされたときに触媒早期暖機制御実行条件が成立する。尚、触媒22が暖機前であるか否かは、始動後経過時間と冷却水温で判断したり、或は、始動後の吸入空気量積算値又は燃料噴射量積算値で判断するようにして良く、要は、始動後に触媒22に与える総熱量に関係するパラメータを用いて触媒22が暖機前であるか否かを判定すれば良い。
【0019】
触媒早期暖機制御実行条件が成立している場合は、ステップ102に進み、点火時期遅角制御を実行して、排気熱量を増加させて触媒22の暖機を促進する。その後、触媒早期暖機制御実行条件が成立しなくなった時点で、ステップ103に進み、触媒早期暖機制御を終了して通常の点火時期制御に移行する。
【0020】
更に、ECU27は、ROMに記憶された図3及び図4の異常診断用の各ルーチンを実行し、触媒早期暖機制御の異常の有無と触媒22の劣化の有無を診断する。
【0021】
ここで、診断方法を概略的に説明する。触媒早期暖機制御中は、触媒22の暖機の進み具合(活性度合)に応じて触媒22を通過する排出ガスの浄化率が変化するため、触媒22の暖機の進み具合に応じてその下流側の酸素センサ24周辺に流れる排出ガスの空燃比が変化し、それに応じて下流側酸素センサ24の出力が変化する。この関係から、触媒早期暖機制御中に、下流側酸素センサ24の出力に基づいて触媒22の暖機の進み具合が正常であるか、遅れているかを判断することが可能となり(図5参照)、もし、触媒22の暖機が遅れていると判断される場合は、触媒早期暖機制御の異常と診断するものである。
【0022】
ところで、触媒22は使用期間が長くなると、浄化特性が劣化してくるため、触媒早期暖機制御中の触媒22の暖機の進み具合が正常であっても、触媒22が劣化していると、触媒22を通過する排出ガスの浄化率が通常よりも低下してくる。このため、触媒22が劣化している場合と、触媒22の暖機が遅れている場合とは、触媒早期暖機制御中の排出ガス浄化率の挙動(下流側酸素センサ24の出力の挙動)が似通ってきて、触媒早期暖機制御中の下流側酸素センサ24の出力のみからでは両者の区別が付きにくくなってくる。
【0023】
そこで、本実施形態では、触媒早期暖機制御中に触媒22の暖機がある程度進んだ段階で、下流側酸素センサ24の出力を用いて、触媒22の暖機(活性化)の進み具合が遅れていないか否かについての異常診断を行い(以下この異常診断を「暖機前異常診断」という)、更に、触媒早期暖機制御終了後に、触媒早期暖機制御の異常時でも触媒22の暖機が終了すると判断できる時期に、再び下流側酸素センサ24の出力を用いて異常診断を行い(以下この異常診断を「暖機後異常診断」という)、暖機前異常診断の結果と暖機後異常診断の結果とに基づいて触媒早期暖機制御の異常と触媒22の劣化とを判別する。
【0024】
つまり、触媒早期暖機制御中の触媒22の暖機の進み具合が遅れても、触媒早期暖機制御終了後は、それまでに触媒22の暖機がある程度進んでいるため、触媒22が劣化していなければ、排出ガスの浄化率が高くなっている。従って、暖機前異常診断で異常有りと診断された場合には、暖機後異常診断で再び異常有りと診断されるか否かで、触媒22の劣化と触媒早期暖機制御の異常とを判別することができる。
【0025】
以上説明した異常診断を実行する図3の異常診断ルーチンは、イグニッションスイッチ(図示せず)のオン後に所定時間毎(例えば50msec毎)に起動され、特許請求の範囲でいう異常診断手段としての役割を果たす。本ルーチンが起動されると、まずステップ201で、暖機前異常診断が終了したか否かを判定し、暖機前異常診断が終了していなければ、ステップ202に進み、図4の暖機前異常診断ルーチンを実行して、異常/正常を判定する。この暖機前異常診断で、異常と判定される場合は、触媒早期暖機制御の異常と触媒22の劣化のどちらかであることを意味する。尚、ステップ202で実行する図4の暖機前異常診断ルーチンは、特許請求の範囲でいう第1の異常診断手段としての役割を果たす。
【0026】
そして、次のステップ203で、暖機後異常診断が終了したか否かを判定し、暖機後異常診断が終了していなければ、ステップ204に進み、図4の暖機前異常診断ルーチンと同じ処理方法で異常診断する暖機後異常診断ルーチンを実行して、触媒早期暖機制御の異常時でも触媒22の暖機が終了すると判断できる時期に、再び異常/正常を判定する。この暖機後異常診断で、再び異常と判定される場合は、触媒22の劣化であることを意味し、正常と判定される場合は、触媒22の劣化が発生していないことを意味する。尚、ステップ204で実行する暖機機後異常診断ルーチンは、特許請求の範囲でいう第2の異常診断手段としての役割を果たす。
【0027】
その後、ステップ205に進み、暖機後異常診断で、異常と判定されたか否かを判定し、暖機後異常診断で、異常と判定された場合は、ステップ207に進み、触媒22の劣化であると判定して、警告ランプ(図示せず)を点灯して運転者に警告すると共に、触媒劣化を表す異常コードをECU27のバックアップRAM(図示せず)に記憶して、本ルーチンを終了する。
【0028】
これに対し、暖機後異常診断で、正常(触媒22の劣化無し)と判定された場合は、ステップ206に進み、暖機前異常診断で、異常と判定されたか否かを判定し、暖機前異常診断で、異常と判定された場合は、ステップ208に進み、触媒早期暖機制御の異常であると判定して、警告ランプ(図示せず)を点灯して運転者に警告すると共に、触媒早期暖機制御の異常を表す異常コードをECU27のバックアップRAM(図示せず)に記憶して、本ルーチンを終了する。
【0029】
一方、暖機前異常診断で、正常と判定された場合は、触媒早期暖機制御が正常に行われ、且つ、触媒22が劣化していないと判断して本ルーチンを終了する。
【0030】
次に、異常診断の方法を図5のタイムチャートを用いて説明する。時刻t1 でエンジン11が始動された後、時刻t2 で空燃比フィードバック制御が開始される。空燃比フィードバック制御中は、触媒22上流側の空燃比(空燃比センサ23の出力af)が周期的にリッチ/リーンに反転するため、触媒22が未暖機状態又は劣化状態で、排出ガス浄化率が低い場合は、触媒22上流側の空燃比のリッチ/リーンの反転に応じて触媒22下流側の酸素センサ24の出力soxが比較的大きく振れるが、触媒早期暖機制御中に触媒22の暖機がある程度進んで排出ガス浄化率がある程度高くなると、下流側酸素センサ24の出力soxの振れが小さくなる。
【0031】
そこで、本実施形態では、触媒早期暖機制御中に始動後の吸入空気量積算値sgが所定値sga以上になった時点(触媒早期暖機制御が正常に行われた場合に触媒22の暖機がある程度進んで下流側酸素センサ24の出力soxの振れが小さくなると判断される時点)で、触媒22上流側の空燃比(空燃比センサ23の出力af)の振れに対する下流側酸素センサ24の出力soxの振れの程度を判定する処理を開始する。この処理は、演算周期(例えば50msec)当たりの下流側酸素センサ24の出力soxの変化量Δsox(図6参照)を算出して、これを積算して下流側酸素センサ24の出力変化量積算値ΣΔsoxを求めると共に、演算周期(例えば50msec)当たりの上流側空燃比センサ23の出力afの変化量Δafを算出して、これを積算して上流側空燃比センサ23の出力変化量積算値ΣΔafを求める。この積算処理を所定時間(例えば30sec)が経過するまで行った後、上流側空燃比センサ23の出力変化量積算値ΣΔafと下流側酸素センサ24の出力変化量積算値ΣΔsoxとの比ΣΔaf/ΣΔsoxを異常診断パラメータとして算出し、この異常診断パラメータΣΔaf/ΣΔsoxが所定の判定値よりも小さいか否かで、異常/正常を判定する。
【0032】
次に、ステップ202で起動される図4の暖機前異常診断ルーチンの処理内容を説明する。本ルーチンが起動されると、まずステップ301、302で、暖機前異常診断実行条件が成立しているか否かを判定する。この暖機前異常診断実行条件は、▲1▼始動後の吸入空気量積算値sgが所定値sga以上であること[ステップ301]、▲2▼水温センサ25で検出した冷却水温が所定温度kthw(例えば20℃)を越えていることである[ステップ302]。つまり、始動後の吸入空気量積算値sgが所定値sga未満であったり、冷却水温が所定温度kthw以下である場合は、まだ触媒22の温度が低く、触媒早期暖機制御の正常/異常の区別が付きにくいため、暖機前異常診断実行条件が不成立となり、以降の処理を行うことなく、本ルーチンを終了する。
【0033】
これに対し、始動後の吸入空気量積算値sgが所定値sga以上で、且つ、冷却水温が所定温度kthwを越えている場合は、触媒22の暖機がある程度進んで、触媒早期暖機制御の正常/異常の区別が可能な状態になっているため、暖機前異常診断実行条件が成立して、ステップ303以降の暖機前異常診断処理を次のようにして実行する。まず、ステップ303で、上流側空燃比センサ23の今回の出力af(i) から前回の出力af(i-1) を引き算して、演算周期(例えば50msec)当たりの上流側空燃比センサ23の出力変化量Δafを求める。そして、次のステップ304で、下流側酸素センサ24の今回の出力sox(i) から前回の出力sox(i-1) を引き算して、演算周期(例えば50msec)当たりの下流側酸素センサ24の出力変化量Δsoxを求める。
【0034】
この後、ステップ305に進み、上流側空燃比センサ23の出力変化量Δafを積算して、その積算値ΣΔafを求め、次のステップ306で、下流側酸素センサ24の出力変化量Δsoxを積算して、その積算値ΣΔsoxを求める。この後、ステップ307に進み、エアフローメータ14で検出した吸入空気量gを積算して、始動後の吸入空気量積算値sgを求める。
【0035】
この後、ステップ308に進み、暖機前異常診断処理を開始してから所定時間(例えば30sec)が経過したか否かを判定し、所定時間が経過するまで、上述した積算処理を繰り返す。そして、所定時間が経過した時点で、ステップ309に進み、上流側空燃比センサ23の出力変化量積算値ΣΔafを下流側酸素センサ24の出力変化量積算値ΣΔsoxで割り算して異常診断パラメータspを求める。
sp=ΣΔaf/ΣΔsox
【0036】
この後、ステップ310に進み、異常診断パラメータspを所定の判定値と比較し、異常診断パラメータspが判定値よりも小さければ、ステップ311に進み、異常と判定し、異常診断パラメータspが判定値以上であれば、ステップ312に進み、正常と判定する。この際、判定値は、演算処理の簡略化のために固定値としても良いが、始動後の吸入空気量積算値sgに応じてマップ等により算出するようにしても良い。
【0037】
以上説明した図4の暖機前異常診断ルーチンで、異常と判定された場合は、触媒早期暖機制御の異常と触媒22の劣化のどちらかであることを意味する。
【0038】
図3のステップ204で起動される暖機後異常診断ルーチンは、図4の暖機前異常診断ルーチンのステップ301、302、310で判定値が異なること以外は、図4の暖機前異常診断ルーチンと同じである。暖機後異常診断実行条件は、▲1▼始動後の吸入空気量積算値sgが、触媒早期暖機制御の異常時でも触媒22の暖機が終了すると判断できる所定値以上であること、▲2▼水温センサ25で検出した冷却水温が触媒早期暖機制御の異常時でも触媒22の暖機が終了すると判断できる所定温度(例えば80℃)を越えていることであり、これら2つの条件▲1▼、▲2▼が共に満たされたときに、暖機後異常診断実行条件が成立して、暖機後異常診断を実行する。この暖機後異常診断で、再び異常と判定される場合は、触媒22の劣化であることを意味し、この暖機後異常診断で、正常と判定される場合は、触媒22の劣化が発生していないことを意味する。
【0039】
以上説明した本実施形態では、触媒早期暖機制御中の触媒22の暖機の進み具合に応じて触媒22下流側の酸素センサ24の出力が変化することを考慮して、下流側酸素センサ24の出力を用いて触媒早期暖機制御の異常の有無を診断するようにしたので、エンジン運転中に触媒早期暖機制御の異常が発生すれば、その異常を直ちに検出することができて、運転者がその異常を全く気付かずに運転を続けてしまうという事態を回避することができる。
【0040】
しかも、触媒早期暖機制御の異常診断に用いる下流側酸素センサ24は、空燃比制御のために設置されているセンサを利用すれば良いため、触媒温度センサ等の新たなセンサを設ける必要がなく、低コスト化の要求を満たしながら、エンジン運転中に触媒早期暖機制御の異常診断を自動的に行うことができる。
【0041】
更に、本実施形態では、触媒22が劣化していると、触媒22の劣化を触媒早期暖機制御の異常と誤って判定する可能性があることを考慮して、触媒早期暖機制御中に下流側酸素センサ24の出力を用いて異常診断(暖機前異常診断)を行った後、触媒早期暖機制御終了後に、再び下流側酸素センサ24の出力を用いて異常診断(暖機後異常診断)を行い、暖機前異常診断で異常有りと診断された場合に暖機後異常診断で再び異常有りと診断されるか否かで、触媒22の劣化と触媒早期暖機制御の異常とを判別するようにしたので、触媒22の劣化を触媒早期暖機制御の異常と誤って判定することを未然に防止することができて、異常診断の信頼性を向上することができると共に、触媒22の劣化も検出することができる。
【0042】
尚、本実施形態では、排気管21に触媒22を1個のみ設置したが、複数個の触媒を設置した構成のものにも本発明を適用することができる。この場合は、複数個の触媒のうちの特定の触媒の下流側のセンサの出力を用いて触媒早期暖機制御の異常診断を行うようにすれば良い。
【0043】
また、触媒22の下流側のセンサは、酸素センサに限定されず、空燃比センサ、HC等のガス成分濃度を検出するガスセンサを用いるようにしても良い。また、触媒早期暖機制御は、点火時期の遅角に限定されず、公知の様々な触媒早期暖機制御システムに本発明を適用して実施できる。
【0044】
また、本実施形態では、下流側酸素センサ24の出力変化量積算値を用いて異常診断するようにしたが、下流側酸素センサ24の出力のリッチ/リーンの反転周期を用いて異常診断するようにしても良く、また、下流側酸素センサ24の出力を用いて触媒22の活性時期(暖機終了時期)を判定し、触媒22の活性時期が正常時よりも遅いか否かで、異常の有無を診断するようにしても良い等、異常診断方法は種々変更して実施しても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示すエンジン制御システム全体の概略構成図
【図2】触媒早期暖機制御ルーチンの処理の流れを示すフローチャート
【図3】異常診断ルーチンの処理の流れを示すフローチャート
【図4】暖機前異常診断ルーチンの処理の流れを示すフローチャート
【図5】異常診断の処理方法を説明するためのタイムチャート
【図6】下流側酸素センサの出力波形の一例を示すタイムチャート
【符号の説明】
11…エンジン(内燃機関)、12…吸気管、14…エアフローメータ、20…燃料噴射弁、21…排気管、22…触媒、23…上流側空燃比センサ、24…下流側酸素センサ(排出ガス成分検出手段)、27…ECU(触媒早期暖機制御手段,異常診断手段,第1の異常診断手段,第2の異常診断手段)。
Claims (5)
- 内燃機関の排気通路に配設された排出ガス浄化用の触媒と、前記触媒の暖機を促進する触媒早期暖機制御手段と、前記触媒早期暖機制御手段が正常に動作しているか否かを診断する異常診断手段とを備えた内燃機関の触媒早期暖機制御システムの異常診断装置において、
前記触媒の下流側の排出ガス成分を検出する排出ガス成分検出手段を備え、
前記異常診断手段は、前記触媒早期暖機制御手段による触媒早期暖機制御中に前記排出ガス成分検出手段により検出される排出ガス成分に基づいて前記触媒早期暖機制御手段の異常又は前記触媒の劣化のいずれかに該当する異常を仮検出する第1の異常診断手段と、触媒早期暖機制御終了後に前記排出ガス成分検出手段により検出される排出ガス成分に基づいて前記触媒の劣化を検出する第2の異常診断手段とを備え、前記第1の異常診断手段による仮検出の結果と前記第2の異常診断手段による前記触媒の劣化の検出結果とに基づいて前記触媒早期暖機制御手段が正常に動作しているか否かを診断することを特徴とする内燃機関の触媒早期暖機制御システムの異常診断装置。 - 前記異常診断手段は、前記第1の異常診断手段による前記触媒早期暖機制御手段の異常又は前記触媒の劣化の仮検出結果と前記第2の異常診断手段による前記触媒の劣化の検出結果とに基づいて前記触媒早期暖機制御手段の異常と前記触媒の劣化とを判別することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の触媒早期暖機制御システムの異常診断装置。
- 前記排出ガス成分検出手段は、前記触媒の下流側の排出ガス成分として、排出ガスの酸素濃度又は排出ガスの空燃比のいずれかを検出することを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関の触媒早期暖機制御システムの異常診断装置。
- 前記異常診断手段は、前記第1の異常診断手段によって前記触媒早期暖機制御手段の異常又は前記触媒の劣化のいずれかに該当する異常を仮検出し、且つ、前記第2の異常診断手段によって前記触媒の劣化を検出した場合に、最終的に前記触媒の劣化と診断することを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関の触媒早期暖機制御システムの異常診断装置。
- 前記異常診断手段は、前記第1の異常診断手段によって前記触媒早期暖機制御手段の異常又は前記触媒の劣化のいずれかに該当する異常を仮検出し、且つ、前記第2の異常診断手段によって前記触媒の劣化を検出しない場合に、最終的に前記触媒早期暖機制御手段の異常と診断することを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関の触媒早期暖機制御システムの異常診断装置。
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