JP4449199B2 - 感光性ポリイミド前駆体組成物及びそれを用いたパターンの製造法並びに電子部品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体素子の表面コート膜等の保護膜や薄膜多層配線板の層間絶縁膜等に好適な感光性ポリイミド前駆体組成物及びこの組成物を用いたパターンの製造法並びに電子部品に関し、特に、加熱処理によりポリイミド系耐熱性高分子となるネガ型の感光性ポリイミド前駆体組成物及びパターンの製造法並びに電子部品に関する。
【0002】
【従来の技術】
感光性樹脂組成物は、UVインキ、印刷用刷版、また近年はレーザーを用いたホログラムなど幅広い産業分野で用いられているが、半導体の分野でも微細加工用のポジ型レジストだけでなく、バッファーコート膜やパッシベーション膜などの保護膜として感光性の耐熱性高分子が用いられている。これらの材料として、例えば、感光性ポリイミド、環化ポリブタジエン等をベースポリマとした耐熱感光材料が提案されており、特に感光性ポリイミドは、その耐熱性が優れていることや不純物の排除が容易であること等の点から特に注目されている。また、このような感光性ポリイミドとしては、ポリイミド前駆体と重クロム酸塩からなる系(特公昭49−17374号公報)が最初に提案されたが、この材料は、実用的な光感度を有するとともに膜形成能が高い等の長所を有する反面、保存安定性に欠け、ポリイミド中にクロムイオンが残存すること等の欠点があり、実用には至らなかった。
【0003】
このような問題を回避するために、例えば、ポリイミド前駆体に感光基を有する化合物を混合する方法(特開昭54−109828号公報)、ポリイミド前駆体中の官能基と感光基を有する化合物の官能基とを反応させて感光基を付与させる方法(特開昭56−24343号公報、特開昭60−100143号公報等)などが提案されている。しかし、これらの感光性ポリイミド前駆体は耐熱性、機械特性に優れる芳香族系モノマに基本骨格を用いており、そのポリイミド前駆体自体の吸収のため、紫外領域での透光性が低く、露光部における光化学反応を充分効果的に行うことができず、低感度であったり、パターンの形状が悪化するという問題があった。また、最近では、半導体の高集積化に伴い、加工ルールが益々小さくなり、より高い解像度が求められる傾向にある。
【0004】
近年、感光性ポリイミド前駆体の加工には、半導体の製造ラインに用いられているステッパと呼ばれる縮小投影露光機が用いられている。これまでステッパとしては、超高圧水銀灯のg−lineと呼ばれる可視光(波長:435nmの単色光)を使ったg線ステッパが主流であったが、さらに加工ルール微細化の要求に対応するため、i線ステッパ(波長:365nmの単色光)に移行しつつある。
【0005】
しかしながら、これらの感光性ポリイミド前駆体のi線(波長:365nm)での透過率は非常に低いため、露光部における光化学反応を充分に行うことができず、低感度であったり、パターンの形状が悪化するという問題が見られた。
【0006】
感光性ポリイミド前駆体は、一般にそれ自体光反応部位を有している。光反応部位には、エチレン性不飽和二重結合を含有する化合物として、カルボキシル基および/またはアミド基と水素結合を形成可能な基を有する化合物を用いるもの(特開平9−115900号公報)等がある。
【0007】
これは通常、プリベーク後の膜を放置するとポリマー鎖同士が接近して現像性が低下するのを、添加物との間に水素結合を形成しポリマー鎖間に挿入することによって現像速度の遅れを抑える。しかし、添加する化合物にエチレン性不飽和二重結合がないと、ポリマー鎖間が離れるために光反応性も低下する。
【0008】
また、光反応部位としてエチレン性不飽和二重結合を有する基を共有結合で導入するもの(特開平11−24257号公報、同11−38617号公報等)もある。これらの感光性樹脂組成物には、光感度向上のためにエチレン性不飽和基を有する化合物を別途添加することが多い。エチレン性不飽和基を有する化合物を添加することによって、塗膜中での反応点の動きやすさを助け、また橋架け密度をあげることができる。しかしながら、今までの感光性樹脂組成物では、これらのエチレン性不飽和基を有する化合物は、相溶性、硬化膜物性の面からあまり多く配合することはできなかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、高感度及び高解像度を示す感光性ポリイミド前駆体樹脂組成物を提供するものである。
また本発明は、特にi線に高感度であり、高解像度で、またその一部はアルカリ水溶液で良好な現像が実現でき、優れた耐熱性、耐薬品性を示すパターンが製造可能なパターンの製造方法を提供するものである。
また本発明は、前記のパターンを有することにより信頼性に優れた電子部品を提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
(1)本発明は、(A)一般式(I)
【化3】
(式中、R1は4価の有機基、R2は2価、3価または4価の有機基、個々のR3は独立に一般式(II―1)又は(II―2)
【化4】
(式中、Xは3〜20の整数、Y及びRは独立にHまたはCH3、Zは2〜10の整数を表す)で示される1価の有機基またはOHであり少なくとも1つのR3は1価の有機基であり、Aは酸性を示す1価の基、nは0、1または2である)で示される繰り返し単位を有するポリイミド前駆体、及び
(B)光重合開始剤を含有してなる感光性ポリイミド前駆体組成物に関する。
【0011】
(2)また本発明は、さらに(C)成分として、少なくとも1個のエチレン性不飽和基を有する化合物を含有する前記(1)の感光性ポリイミド前駆体組成物に関する。
(3)また本発明は、(A)成分が、重量平均分子量が1万〜20万であり、かつ、その量100重量部に対して、(B)成分1〜20重量部、(C)成分5〜50重量部を含む前記(2)記載の感光性ポリイミド前駆体組成物に関する。
【0012】
(4)また本発明は、前記(1)、(2)または(3)記載の感光性ポリイミド前駆体組成物を用いて被膜を形成する工程、該被膜に所定のパターンのマスクを介して光を照射する工程、及び該光照射後の被膜を有機溶媒または塩基性水溶液を用いて現像する工程を含むパターンの製造法に関する。
(5)また本発明は、現像する工程が、塩基性水溶液を用いて現像するものである前記(4)記載のパターンの製造法に関する。
【0013】
(6)また本発明は、光を照射する工程が、光として波長365nmの単色光であるi線を照射するものである前記(4)または(5)記載のパターンの製造法に関する。
(7)また本発明は、前記(4)、(5)または(6)記載の製造法により得られるパターンの膜を有してなる電子部品に関する。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられる(A)ポリイミド前駆体は、一般にテトラカルボン酸残基とジアミン残基からなる繰り返し単位を有するポリアミド酸の誘導体であり、感光性基は、テトラカルボン酸残基に結合している。
一般式(I)で示される繰り返し単位において、R1で示される4価の有機基は、ジアミンと反応してポリイミド樹脂を形成し得るテトラカルボン酸残基であることが好ましく、硬化して得られるポリイミド膜の機械特性、耐熱性及び接着性の観点から、炭素数4以上の4価の有機基であることが好ましい。炭素数4以上の4価の有機基の中では、芳香環(ベンゼン環、ナフタレン環等)を含む総炭素数6〜30の有機基であることがより好ましい。また、テトラカルボン酸の4つのカルボキシル基の結合部位は、芳香環のオルト位又はペリ位に存在する2つの結合部位を1組として、その2組からなることが好ましい。なお、ポリイミド前駆体分子中、複数存在する前記繰り返し単位において、すべてのR1は、同じであってもよく異なっていてもよい。
【0015】
一般式(I)において、nが1または2であるものは、塩基性水溶液に対する溶解性に優れる点で好ましい。Aで示される酸性を示す基としては、スルホン酸基(−SO3H)、スルフィン酸基(−SO2H)、カルボキシル基(−COOH)及びフェノール性水酸基のいずれかとすることが良好な可溶性を示すので好ましく、カルボキシル基及びフェノール性水酸基が、ポリイミド前駆体の合成が容易なのでより好ましく、特にカルボキシル基が好ましい。なお、1分子のポリアミド酸エステル中、複数存在する前記繰り返し単位において、全てのAは、同じであってもよく異なっていてもよい。
【0016】
また、nが0である場合において、塩基性水溶液に対する溶解性を付与するためには、前記一般式(I)の繰り返し単位中又はそれ以外の繰り返し単位中に水素原子を有すること(即ち、側鎖としてカルボキシル基であること)、すなわちポリアミド酸の部分エステルであることが好ましい。
【0017】
一般式(I)において、基R2は、通常、テトラカルボン酸又はその誘導体と反応してポリイミド前駆体を形成できるジアミン残基であり、硬化して得られるポリイミド膜の機械特性、耐熱性及び接着性の観点から、芳香環を含む有機基であることが好ましく、硬化して得られるポリイミド膜の機械特性、耐熱性及び接着性の観点から、芳香環を含む総炭素数6〜30の有機基であることがより好ましい。なお、ポリイミド前駆体分子中、複数存在する前記繰り返し単位において、全てのR2は、同じであってもよく異なっていてもよい。
【0018】
前記一般式(I)において、R3で示されるエチレン性不飽和結合を有する基としては、下記一般式(II―1)又は(II―2)
【化5】
(式中、Xは3〜20の整数、Y及びRは独立にHまたはCH3、Zは2〜10の整数を示す)で表される有機基であることより高感度の感光性を付与できる。これらの中で、高い感度を実現するのみならず、合成も容易であるため、一般式(II―1)の場合はXが3〜8のものが好ましく、3〜6のものがより好ましく、Xが4又は6のものが特に高感度なものが得られるので好ましく、一方,一般式(II―2)の場合はRがHのものが好ましく、Zが2〜8のものが好ましく、2〜6のものがより好ましい。
前記ポリアミド酸エステルは、前記一般式(I)で示される繰り返し単位以外の繰り返し単位を含んでいてもよい。
【0019】
本発明のポリイミド前駆体において、一般式(I)で示される繰り返し単位の割合としては、nが1または2である場合は全繰り返し単位中のモル百分率で、10〜100モル%であることが、塩基性水溶液での現像性及び良好なパターン形状のバランスに優れるので好ましく、80〜100モル%であることがより好ましい。この調整は、材料として使用するテトラカルボン酸二無水物、ジアミン、エチレン性不飽和結合含有化合物の種類と量により調整することが可能である。
また、nが0である場合は、一般式(I)で示される繰り返し単位の割合としては、10〜100モル%であることが、パターン形状に優れるので好ましく、30〜100モル%であることがより好ましく、塩基性水溶液での現像性を与えるためには、それ以外の単位、例えば、ポリアミド酸の繰り返し単位が、15〜50モル%であることが好ましい。
【0020】
前記ポリアミド酸エステルは、テトラカルボン酸二無水物と一般式(II)で示される基を有するヒドロキシ基含有化合物を混合して反応させ、テトラカルボン酸のハーフエステルを製造した後、塩化チオニルにより酸クロリド化し、ついで、ジアミンと反応させる方法や、前記テトラカルボン酸ハーフエステルをカルボジイミド類を縮合剤としてジアミンと反応させる酸クロライド法、カルボジイミド縮合剤を用いる方法、イソイミド法等により合成することができる。
【0021】
前記テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、オキシジフタル酸、ピロメリット酸、3,3′,4,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸、2,3,5,6−ピリジンテトラカルボン酸、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸、スルホニルジフタル酸、m−ターフェニル−3,3′,4,4′−テトラカルボン酸、p−ターフェニル−3,3′,4,4′−テトラカルボン酸、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス(2,3−又は3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(2,3−又は3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン、2,2−ビス{4′−(2,3−又は3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル}プロパン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス{4′−(2,3−又は3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル}プロパン、下記一般式(III)
【化6】
(式中、R8及びR9は、各々独立に一価の炭化水素基(好ましくは炭素数1〜10のアルキル基又はフェニル基)を示し、sは1以上(好ましくは1〜20)の整数である)で表されるテトラカルボン酸等の芳香族テトラカルボン酸の二無水物が挙げられ、これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0022】
また、一般式(I)で示される繰り返し単位におけるジアミン残基のうちnが1または2のもの(R1−(A)n)を与えるジアミンとしては、3,5−ジアミノ安息香酸、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジアミノビフェニル、3,4−ジアミノ安息香酸、3,3′−ジヒドロキシ−4,4′−ジアミノビフェニル、2,3−ジアミノ−4−ヒドロキシピリジン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,4−ジアミノフェノール、2,4−ジアミノ安息香酸、3−カルボキシ−4,4′−ジアミノジフェニルエ−テル、3,3′−ジカルボキシ−4,4′−ジアミノジフェニルエ−テル、3−カルボキシ−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、3,3′−ジカルボキシ−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、3,3′−ジカルボキシ−4,4′−ジアミノビフェニル、3,3′,5,5′−テトラカルボキシ−4,4′−ジアミノビフェニル、3−カルボキシ−4,4′−ジアミノジフェニルスルホン、3,3′−ジカルボキシ−4,4′−ジアミノジフェニルスルホン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス(3−カルボキシ−4−アミノフェニル)プロパン等が挙げられる。
【0023】
一般式(I)で示される繰り返し単位において、nが0のジアミン残基を与えるジアミンとしては、4,4′−(又は3,4′−、3,3′−、2,4′−、2,2′−)ジアミノジフェニルエーテル、4,4′−(又は3,4′−、3,3′−、2,4′−、2,2′−)ジアミノジフェニルメタン、4,4′−(又は3,4′−、3,3′−、2,4′−、2,2′−)ジアミノジフェニルスルホン、4,4′−(又は3,4′−、3,3′−、2,4′−、2,2′−)ジアミノジフェニルスルフィド、パラフェニレンジアミン、メタフェニレンジアミン、p−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミン、o−トリジン,o−トリジンスルホン、4,4′−メチレン−ビス−(2,6−ジエチルアニリン)、4,4′−メチレン−ビス−(2,6−ジイソプロピルアニリン)、2,4−ジアミノメシチレン、1,5−ジアミノナフタレン、4,4′−ベンゾフェノンジアミン、ビス−{4−(4′−アミノフェノキシ)フェニル}スルホン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス{4−(4′−アミノフェノキシ)フェニル}プロパン、3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、3,3′,5,5′−テトラメチル−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、ビス{4−(3′−アミノフェノキシ)フェニル}スルホン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン等が挙げられ、これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0024】
その他、ジアミン残基としては接着性向上のために、下記一般式(IV)
【化7】
(式中、R11及びR12は二価の炭化水素基を示し、それぞれ同一でも異なっていてもよく、R13及びR14は一価の炭化水素基を示し、それぞれ同一でも異なっていてもよく、tは1以上の整数である)で表されるジアミノポリシロキサン等のジアミンを使用することもできる。R11及びR12としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基等の炭素数1〜10のアルキレン基、フェニレン基等のアリーレン基、それらの結合基などが挙げられ、R13及びR14としては、メチル基、エチル基等の炭素数1〜10のアルキル基、フェニル基等のアリール基などが挙げられる。tは1〜20が好ましい、これらを用いる場合、全アミン成分に対して、1〜30モル%用いることが好ましい。
【0025】
また、ジアミンとして、耐熱性向上のために、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル−3−スルホンアミド、3,4′−ジアミノジフェニルエーテル−4−スルホンアミド、3,4′−ジアミノジフェニルエーテル−3′−スルホンアミド、3,3′−ジアミノジフェニルエーテル−4−スルホンアミド、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル−3−カルボキサミド、3,4′−ジアミノジフェニルエーテル−4−カルボキサミド、3,4′−ジアミノジフェニルエーテル−3′−カルボキサミド、3,3′−ジアミノジフェニルエーテル−4−カルボキサミド等のスルホンアミド基又はカルボキサミド基を有するジアミン化合物を使用することもできる。これらを用いる場合、全アミン成分に対して、1〜30モル%用いることが好ましい。
これらのジアミンは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0026】
本発明において、ポリイミド前駆体(A)の分子量は、重量平均分子量で1万〜20万が好ましく、2万〜8万がより好ましい。分子量が1万未満であると、機械強度が劣る傾向にあり、20万を超えると現像性が劣る傾向がある。なおここでいう重量平均分子量は、ゲル・パーミェーション・クロマトグラフィー法(GPC法)によるポリスチレン換算の分子量である。
【0027】
ポリイミド前駆体以外の成分について、つぎに説明する。
本発明においては(C)成分として少なくとも1個のエチレン性不飽和基を有する化合物を用いることができる。この具体的な例としては、多価アルコールとα,β−不飽和カルボン酸とを縮合して得られる化合物があり、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート((メタ)アクリレートとはアクリレートまたはメタクリレートの意味、以下同じ)、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレートエチレンオキサイド付加物、トリメチロールプロパントリアクリレートプロピレンオキサイド付加物、1,2−プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジ(1,2−プロピレングリコール)ジ(メタ)アクリレート、トリ(1,2−プロピレングリコール)ジ(メタ)アクリレート、テトラ(1,2−プロピレングリコール)ジ(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等)、スチレン、ジビニルベンゼン、4−ビニルトルエン、4−ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、1,3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロパン、メチレンビスアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、テトラメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用される。
【0028】
(C)成分を使用する場合、その使用量は、(A)成分であるポリイミド前駆体100重量部に対して、5〜50重量部使用することが好ましく、10〜40重量部使用することがより好ましい。この使用量が5重量部未満では、感度、解像性が劣る傾向があり、50重量部を超えると、フィルムの機械的特性に劣る傾向がある。
【0029】
さらに本発明は(B)成分として光重合開始剤を含む。この光重合開始剤としては、例えば、ミヒラーズケトン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、2−t−ブチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、4,4′−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、アセトフェノン、ベンゾフェノン、チオキサントン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−1−プロパノン、ベンジル、ジフェニルジスルフィド、フェナンスレンキノン、2−イソプロピルチオキサントン、リボフラビンテトラブチレート、2,6−ビス(p−ジエチルアミノベンザル)−4−メチル−4−アザシクロヘキサノン、N−エチル−N−(p−クロロフェニル)グリシン、N−フェニルジエタノールアミン、2−(o−エトキシカルボニル)オキシイミノ−1,3−ジフェニルプロパンジオン、1−フェニル−2−(o−エトキシカルボニル)オキシイミノプロパン−1−オン、3,3,4,4−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3−カルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス−[2,6−ジフルオロ−3−(ピリ−1−イル)フェニル]チタン、ヘキサアリールビイミダゾール化合物等が挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0030】
(B)光重合開始剤の含有量は、ポリイミド前駆体100重量部に対して、0.1〜15重量部とすることが好ましく、0.5〜10重量部とすることがより好ましい。この使用量が、0.1重量部未満では、光感度が劣る傾向があり、15重量部を超えると、フィルムの機械特性が劣る傾向がある。
【0031】
さらに光重合開始剤とともに、アミンなどの水素供与体を加えることにより、さらに高感度化することが可能となる。水素供与体として特に好ましい化合物としては、アリールグリシン系の化合物およびメルカプト化合物が挙げられる。
【0032】
アリールグリシン系化合物としては、N−フェニルグリシン(NPG)、N−(p−クロロフェニル)グリシン、N−(p−ブロモフェニル)グリシン、N−(p−シアノフェニル)グリシン、N−(p−メチルフェニル)グリシン、N−メチル−N−フェニルグリシン、N−(p−ブロモフェニル)−N−メチルグリシン、N−(p−クロロフェニル)−N−エチルグリシン等が挙げられる。この化合物の含有量は、ポリイミド前駆体100重量部に対して、0.1〜10重量部とすることが好ましく、0.5〜6重量部にすることがより好ましい。
【0033】
またメルカプト化合物としては、メルカプトベンゾキサゾール、メルカプトベンゾチアゾール、メルカプトベンゾイミダゾール、2、5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール、1−フェニル−5−メルカプト−1H−テトラゾ−ル、5−メチル−1,3,4−チアジアゾール−2−チオール、3−メルカプト−4−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール等が挙げられる。この化合物の含有量は、ポリイミド前駆体100重量部に対して、0.1〜10重量部とすることが好ましく、0.5〜6重量部にすることがより好ましい。
【0034】
本発明の感光性ポリイミド前駆体組成物は、必要に応じて増感剤を含有してもよい。増感剤としては、例えば7−N,N−ジエチルアミノクマリン、7−ジエチルアミノ−3−テノニルクマリン、3,3′−カルボニルビス(7−N,Nージエチルアミノ)クマリン、3,3′−カルボニルビス(7−N,Nージメトキシ)クマリン、3−チエニルカルボニルー7ーN,Nージエチルアミノクマリン、3−ベンゾイルクマリン、3−ベンゾイル−7−N,Nーメトキシクマリン、3−(4′−メトキシベンゾイル)クマリン、3,3′−カルボニルビス−5,7−(ジメトキシ)クマリン、ベンザルアセトフェノン、4′−N,N−ジメチルアミノベンザルアセトフェノン、4′−アセトアミノベンザル−4−メトキシアセトフェノン、ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4′−ビス(N,N−ジエチルアミノ)ベンゾフェノン(EAB又はEMK)、4,4′−ビス(N−エチル,N−メチル)ベンゾフェノン(MEAB)等が挙げられる。これらの含有量はポリイミド前駆体100重量部に対して0.01〜2重量部とすることが好ましく、0.05〜1.5重量部とすることがより好ましい。
本発明の感光性ポリイミド前駆体組成物は他の添加物、例えば、可塑剤、接着促進剤等の添加物を含有しても良い。
【0035】
本発明のパターン製造法は、本発明の感光性ポリイミド前駆体組成物を用いて、フォトリソグラフィ技術により該組成物の硬化物からなるポリイミド膜を形成する方法である。
本発明のパターン製造法では、まず、支持基板表面に本発明の感光性ポリイミド前駆体組成物からなる被膜が形成される。なお、本発明のパターン製造法では、被膜または加熱硬化後のポリイミド被膜と支持基板との接着性を向上させるため、あらかじめ支持基板表面を接着助剤で処理しておいてもよい。
【0036】
感光性ポリイミド前駆体組成物からなる被膜は、例えば、感光性ポリイミド前駆体組成物のワニスの膜を形成した後、これを乾燥させることにより形成される。ワニスの膜の形成は、ワニスの粘度などに応じて、スピンナを用いた回転塗布、浸漬、噴霧印刷、スクリーン印刷などの手段から適宜選択された手段により行う。なお、被膜の膜厚は、塗布条件、本組成物の固形分濃度等によって調節できる。また、あらかじめ支持体上に形成した被膜を支持体から剥離してポリイミド前駆体組成物からなるシートを形成しておき、このシートを上記支持基板の表面に貼り付けることにより、上述の被膜を形成してもよい。
【0037】
つぎに、この被膜に、所定のパターンのフォトマスクを介して光を照射した後、有機溶剤または塩基性水溶液により未露光部を溶解除去して、所望のレリーフパターンを得る。特に本発明の組成物は、露光に用いる光源としてi線単色光を用いても良好なパターンを得ることができる。
【0038】
現像工程は、特に制限はなく、通常のポジ型フォトレジスト現像装置を用いて行ってもよい。
現像に用いる溶液としては、有機溶媒を用いることもできるが、耐環境性等の面から、塩基性水溶液が好ましいものとして挙げられる。
【0039】
前記有機溶媒としては、γ−ブチロラクトン、シクロペンタノン、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、これらの混合溶液などが挙げられる。
前記塩基性水溶液は、通常、塩基性化合物を水に溶解した溶液である。塩基性化合物の濃度は、通常0.1〜50重量%とするが、支持基板等への影響などから好ましく、0.1〜30重量%とすることがより好ましい。なお、ポリイミド前駆体の溶解性を改善するため、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等の水溶性有機溶媒を、さらに含有していてもよい。
上記塩基性化合物としては、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属またはアンモニウムイオンの、水酸化物または炭酸塩や、アミン化合物などが挙げられる。
【0040】
得られたレリーフパターンは、150℃から450℃までの範囲から選ばれた温度で加熱処理することによりポリイミド前駆体が閉環反応し、ポリイミドからなるパターンが高解像度で得られる。このパターンは、耐熱性が高く、ウエハ応力等の機械特性に優れる。
【0041】
本発明の感光性ポリイミド前駆体組成物は、半導体装置や多層配線板等の電子部品用に使用することができ、具体的には、半導体装置の表面保護膜や層間絶縁膜、多層配線板の層間絶縁膜等の形成に使用することができる。
本発明の半導体装置は、前記組成物を用いて形成されるパターンの膜、即ち、表面保護膜や層間絶縁膜を有すること以外は特に制限されず、様々な構造をとることができる。
【0042】
本発明の半導体装置の製造工程の一例を以下に説明する。
図1は多層配線構造の半導体装置の製造工程図である。
図において、回路素子を有するSi基板等の半導体基板は、回路素子の所定部分を除いてシリコン酸化膜等の保護膜2で被覆され、露出した回路素子上に第1導体層が形成されている。前記半導体基板上にスピンコート法等で層間絶縁膜としてのポリイミド樹脂等の膜4が形成される(工程(a))。
【0043】
次に塩化ゴム系、フェノールノボラック系等の感光性樹脂層5が前記層間絶縁膜4上にスピンコート法で形成され、公知の写真食刻技術によって所定部分の層間絶縁膜4が露出するように窓6Aが設けられている(工程(b))。
前記窓6Aの層間絶縁膜4は、酸素、四フッ化炭素等のガスを用いるドライエッチング手段によって選択的にエッチングされ、窓6Bがあけられている。ついで窓6Bから露出した第1導体層3を腐食することなく、感光樹脂層5のみを腐食するようなエッチング溶液を用いて感光樹脂層5が完全に除去される(工程(c))。
【0044】
さらに公知の写真食刻技術を用いて、第2導体層7を形成させ、第1導体層3との電気的接続が完全に行われる(工程(d))。
3層以上の多層配線構造を形成する場合は、上記の工程を繰り返して行い各層を形成することができる。
【0045】
次に表面保護膜8が形成される。この図の例では、この表面保護膜を前記感光性ポリイミド前駆体組成物をスピンコート法にて塗布、乾燥し、所定部分に窓6Cを形成するパターンを描いたマスク上から光を照射した後、現像液にて現像してパターンを形成し、加熱してポリイミド膜とする。このポリイミド膜は、導体層を外部からの応力、α線などから保護するものであり、得られる半導体装置は信頼性に優れる。
なお、上記例において、層間絶縁膜を本発明の感光性ポリイミド前駆体組成物を用いて形成することも可能であり、これによりレジスト塗布及びエッチング工程を省略することができる。
【0046】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって説明する。
合成例1 ポリイミド前駆体1の合成
(1)酸クロライドの合成
200mlの四つ口フラスコに、オキシジフタリックテトラカルボン酸二無水物(ODPA)9.31g(0.03モル)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)7.809g(0.06モル)、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]―7−ウンデセン(DBU)0.137g、t−ブチルカテコール0.03g、ジメチルアセトアミド(DMAC)40gを入れ60℃で攪拌すると、2時間で透明な溶液になった。この溶液を室温でその後7時間攪拌した後、フラスコを氷で冷却し、塩化チオニル7.852g(0.066モル)を10分で滴下した。その後室温で1時間攪拌し、酸クロライドを含む溶液を得た。
【0047】
(2)ポリイミド前駆体(ポリアミド酸エステル)の合成
別の200mlの四つ口フラスコに、2,2′−ジメチルー4,4′−ジアミノビフェニル6.36g(0.03モル)、ピリジン5.22g(0.066モル)、t−ブチルカテコール0.03g、ジメチルアセトアミド(DMAC)40gを入れフラスコを氷で冷却し攪拌しながら(10℃以下を保って)、上記で得た酸クロライド溶液を1時間でゆっくりと滴下した。その後室温で1時間攪拌し、1リットルの水へ投入して、析出したポリマを濾取して水で2度洗い、真空乾燥したところ、ポリアミド酸エステルが22g得られた。このポリアミド酸エステルの重量平均分子量をGPC(ゲルパーミェーションクロマトグラフィー)で測定したところ、ポリスチレン換算で28,000であった。
合成例2 ポリイミド前駆体2の合成
(1)の酸クロライドの合成において、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)7.809g(0.06モル)のかわりに、4−ヒドロキシブチルメタクリレート9.885g(0.06モル)を用いたほかは合成例1と同様にしてポリアミド酸エステルを得た。このポリアミド酸エステルの重量平均分子量をGPC(ゲルパーミェーションクロマトグラフィー)で測定したところ、ポリスチレン換算で45,000であった。
合成例3 ポリイミド前駆体3の合成
(1)の酸クロライドの合成において、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)7.809g(0.06モル)のかわりに、6−ヒドロキシヘキシルメタクリレート11.505g(0.06モル)を用いたほかは合成例1と同様にしてポリアミド酸エステルを得た。このポリアミド酸エステルの重量平均分子量をGPC(ゲルパーミェーションクロマトグラフィー)で測定したところ、ポリスチレン換算で68,000であった。
【0048】
実施例1〜2、比較例1
(1)ポリイミド前駆体組成物の調製
前記合成例で得られたポリアミド酸エステル10gをγ−ブチロラクトン16gに溶解し、表1に示す光橋架け剤及び感光剤を配合した後、3μm孔のフィルタを用いて加圧濾過して、溶液状の感光性ポリイミド前駆体組成物を得た。
【0049】
【表1】
【0050】
(2)Tgの測定
前記(1)で調製した感光性ポリイミド前駆体組成物を、シリコンウエハ上に回転塗布し、ホットプレート上90℃で200秒加熱して11μm厚の塗膜を得た。この塗膜のTgを、装置として、TMA/SS6000(セイコーインスツルメント社製)を用いて、TMAのペネトレーション法を用い荷重10gにて測定し、表2に示した。
【0051】
【表2】
【0052】
(2)パターンの形成
前記(1)で調製した感光性ポリイミド前駆体組成物を、シリコンウエハ上に回転塗布し、ホットプレート上90℃で200秒加熱して11μm厚の塗膜を得た。この塗膜をこの塗膜をi線ステッパにより100(mJ/cm2)ステップで100〜900(mJ/cm2)で露光を行った。その際マスクパターンには、解像性評価のための開口パターンと細線密着性評価のための島残しのパターンの2種類を用いて評価した。その後〔γ−ブチロラクトン/n−酢酸ブチル=7/3(重量比)〕でパドル現像を行い、さらに酢酸プロピレングリコールメチルエーテルでリンスした。
現像後のパターンの膜厚と形状を測定、観察した。そこで1μmのライン/スペースパターンを密着させるのに必要な露光量(mJ/cm2)を感度、その時の最小解像ライン/スペースを解像度として表3に示した。
【0053】
【表3】
【0054】
(3)ポリイミドパターンの形成
実施例1で得られたパターンを用いて、窒素雰囲気下で、100℃で30分間、200℃で30分間、350℃で60分間加熱し、ポリイミドパターンを得た。得られたポリイミドパターンの膜厚は7.0μmであり、良好なポリイミドパターンが得られた。
【0055】
(4) 反応率の測定
実施例1、2及び比較例1の感光性ポリイミド前駆体組成物を透明支持フィルム上にアプリケータでバーコートし、膜厚約20μmの塗膜を得た。この塗膜をフォトDSCを用いて照射光量1.0mW/cm2にて10分間照射し、発生した熱量を測定し、初期の2.5分間の光反応速度Rpを算出した。Rpを表4に示す。
【0056】
【表4】
【0057】
表3から明らかなように実施例の4−ヒドロキシブチルメタクリレート及び6−ヘキシルメタクリレートを用いた感光性ポリイミド前駆体組成物は、比較例における2−ヒドロキシエチルメタクリレートを用いた感光性ポリイミド前駆体組成物に比べて、感度及び解像性が向上する。
表4から明らかなように実施例の4−ヒドロキシブチルメタクリレート及び6−ヘキシルメタクリレートを用いた感光性ポリイミド前駆体組成物は、比較例における2−ヒドロキシエチルメタクリレートを用いた感光性ポリイミド前駆体組成物に比べて、光反応速度が向上する。
【0058】
合成例4 ポリイミド前駆体4の合成
合成例1の(1)の酸クロライドの合成においてオキシジフタリックテトラカルボン酸二無水物(ODPA)のかわりにビフェニルテトラカルボン酸二無水物(s−BPDA)8.82g(0.03モル)を使用し、合成例1の(2)のポリイミド前駆体(ポリアミド酸エステル)の合成において2,2′−ジメチルー4,4′−ジアミノビフェニル6.36g(0.03モル)のかわりに3,5−ジアミノ安息香酸4.104g(0.027モル)を用いたほかは合成例1と同様にしてポリアミド酸エステルを得た。このポリアミド酸エステルの重量平均分子量をGPC(ゲルパーミェーションクロマトグラフィー)で測定したところ、ポリスチレン換算で31,600であった。
【0059】
合成例5 ポリイミド前駆体5の合成
合成例4の酸クロライドの合成において、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)7.809g(0.06モル)のかわりに、4−ヒドロキシブチルメタクリレート9.885g(0.06モル)を用いたほかは合成例4と同様にしてポリアミド酸エステルを得た。このポリアミド酸エステルの重量平均分子量をGPC(ゲルパーミェーションクロマトグラフィー)で測定したところ、ポリスチレン換算で25,800であった。
【0060】
合成例6 ポリイミド前駆体6の合成
合成例4の酸クロライドの合成において、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)7.809g(0.06モル)のかわりに、ブレンマーPE90(日本油脂(株)製、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、一般式(II−2)におけるZ=2)を10.440g(0.06モル)を用いたほかは合成例4と同様にしてポリアミド酸エステルを得た。このポリアミド酸エステルの重量平均分子量をGPC(ゲルパーミェーションクロマトグラフィー)で測定したところ、ポリスチレン換算で86,400であった。
【0061】
実施例3〜4及び比較例2
(1)感光性ポリイミド前駆体組成物の調製
前記合成例4〜6で得られたポリイミド前駆体10gをγ−ブチロラクトン16gに溶解し、表5に示す光橋架け剤及び感光剤を配合した後、3μm孔のフィルタを用いて加圧濾過して、溶液状の感光性ポリイミド前駆体組成物を得た。
【0062】
【表5】
【0063】
(2)パターンの形成
前記(1)で調製した感光性ポリイミド前駆体組成物を、シリコンウエハ上に回転塗布し、ホットプレート上90℃で200秒加熱して11μm厚の塗膜を得た。この塗膜をこの塗膜をi線ステッパにより100(mJ/cm2)ステップで100〜900(mJ/cm2)で露光を行った。その際マスクパターンには、解像性評価のための開口パターンと細線密着性評価のための島残しのパターンの2種類を用いて評価した。その後水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)2.38重量%水溶液で現像し、水でリンスした。
現像後のパターンの膜厚と形状を測定、観察した。そこで1μmのライン/スペースパターンを密着させるのに必要な露光量(mJ/cm2)を感度、その時の最小解像ライン/スペースを解像度として表6に示した。
さらに、また実施例3と比較例2の、露光量と最少島残し寸法との関係を図2、露光量と残膜率の関係を示す感度曲線を図3に示した。
【0064】
【表6】
表6、図2及び図3から明らかなように実施例3及び4の感光性ポリイミド前駆体組成物は、比較例における2−ヒドロキシエチルメタクリレートを用いた感光性ポリイミド前駆体組成物に比べて、感度及び解像性、密着性が向上する。
【0065】
【発明の効果】
本発明の感光性ポリイミド前駆体樹脂組成物は、光反応速度が高く、高感度、高解像度を示す。
また本発明のパターンの製造法によれば、i線露光においても高解像度で、またその一部はアルカリ水溶液で良好な現像が実現でき、優れた耐熱性、耐薬品性を示すパターンが製造可能である。
また本発明の電子部品は、前記のパターンを有することにより信頼性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 多層配線構造の半導体装置の製造工程図である。
【図2】 実施例3と比較例2の露光量と最少島残し寸法との関係を示すグラフである。
【図3】 実施例3と比較例2の露光量と残膜率の関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1…半導体基板、2…保護膜、3…第1導体層、4…層間絶縁膜層、5…感光樹脂層、6A、6B、6C…窓、7…第2導体層、8…表面保護膜層。
Claims (7)
- さらに(C)成分として、少なくとも1個のエチレン性不飽和基を有する化合物を含有する請求項1記載の感光性ポリイミド前駆体組成物。
- (A)成分が、重量平均分子量が1万〜20万であり、かつ、その量100重量部に対して、(B)成分1〜20重量部、(C)成分5〜50重量部を含む請求項2記載の感光性ポリイミド前駆体組成物。
- 請求項1、2または3記載の感光性ポリイミド前駆体組成物を用いて被膜を形成する工程、該被膜に所定のパターンのマスクを介して光を照射する工程、及び該光照射後の被膜を有機溶媒または塩基性水溶液を用いて現像する工程を含むパターンの製造法。
- 現像する工程が、塩基性水溶液を用いて現像するものである請求項4記載のパターンの製造法。
- 光を照射する工程が、光として波長365nmの単色光であるi線を照射するものである請求項4または5記載のパターンの製造法。
- 請求項4、5または6記載の製造法により得られるパターンの膜を有してなる電子部品。
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