JP4440443B2 - 回転式粘着除塵クリーナー - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は回転式粘着除塵クリーナーに関する。具体的には、樹脂被膜金属板表面、プラスチック板表面等の平滑面に付着しているゴミやホコリを粘着させて除去する回転式粘着除塵クリーナーに関する。
【0002】
【従来の技術】
ゴミやホコリを除去するクリーナーとして、支持体の片面に粘着剤層を設けた粘着テープを、粘着剤を外側に向けてロール状に巻回した、いわゆる、回転式粘着除塵クリーナーが周知となっている。回転式粘着除塵クリーナーは、除塵対象体表面上をロール状に巻回された粘着テープを回転させることにより、除塵対象体表面に付着したゴミやホコリを粘着面に粘着させ、除去するものである。
【0003】
この回転式粘着除塵クリーナーは、従来より、主として、家庭内の家具、敷物等に付着したゴミやホコリの除去に使用されているだけでなく、金属板、樹脂被膜金属板、ガラス板、プラスチック板あるいはプラスチックフィルムなど数々の工業品においても使用されている。例えば、シャドウマスク板、フォトレジスト被膜が形成されたシャドウマスク板、パーソナルコンピュータ等の液晶モジュールに使用されるようなアクリル樹脂製導光板、プリズムシート、光拡散シート、偏光板等の光学材料表面などに付着しているゴミやホコリの除去に汎用されており、これらの光学分野、なかんずくカラーブラウン管用シャドウマスクを製造する工程や、液晶配向膜のラビング工程後の削り滓の除去等において、付着したゴミやホコリ等がその後の工程に重大な影響を及ぼすため、この回転式粘着除塵クリーナーが非常に大きな役割を果たしている。
【0004】
しかしながら、従来の粘着除塵クリーナーにおいては帯電防止処理が施されていなかった。このため、帯電防止処理されていない除塵クリーナーを、上記した除塵工程に組込むと、空気中に浮遊している繊維のようなホコリ等が、クリーナーに発生する静電気により粘着剤層の表面に付着し、クリーナーの除塵除去寿命を低下させたり、クリーナーから発生する静電気の影響により、空気中の塵埃が帯電し、塵埃除去後の除塵対象体表面に付着し、除塵対象体を再汚染するなどの2次汚染があった。また、巻回された粘着テープを巻き戻す際にも、静電気を発生させ、新しく露出された粘着面にホコリ等が付着して汚染されるという問題もあった。
【0005】
また、厚みが0.05〜0.3mmの鋼板にフォトレジストが塗布された露光前のシャドウマスク上の塵埃除去や、厚み1mm前後のガラス板に塗布されている液晶配向膜上に付着している塵埃の除去をするのに、適当なゴミ除去の指標がなかった。すなわち、従来において塵埃の除去の指標として、JIS Z−0237粘着力試験方法による粘着力を用いており、塵埃の除去には当該方法により測定された粘着力が高い方が優れた評価をされていたが、これらの電子関連部品に代表させるような薄膜の材料に、当該方法により測定された粘着力の強いテープを使用すれば、除塵対象体の変形及び破壊、例えば、フォトレジストや液晶配向膜の剥離、部分的な破損、浮き上がりが生じてしまう。その一方で余りに粘着力が弱ずぎた場合には、異物除去能力に不安定さが残る。このように、従来その性能評価に用いられてきた粘着力は、塵埃を除去するための一指標にしか過ぎず、適切な塵埃除去の評価には適切でないことが分かってきた。
【0006】
この点に関し、本発明者らの最近の検討の結果、塵埃等の除去には、粘着力が重要なファクターとはなっているが、回転式粘着除塵クリーナーにおいては、瞬間的な接着性とでも言えるタック力と最も相関性が高いことが分かってきた。
【0007】
さらに、従来の回転式粘着除塵クリーナーでは、巻回するための巻芯はボール芯などの紙製のものであったため、ボール芯端部の切断面から、紙粉が巻き散らされる可能性が高く、処理すべき除塵対象体として電子光学関連部品に適用される場合、特にクラス1,000以上のクリーン環境下で使用した場合には、紙粉飛散の影響は全く無視できなくなる。また、巻芯であるボール芯の切断端面に、樹脂を含浸させたり、リング状のフィルムを貼り合わせたりするなどの対策は取られていたが、完全に紙粉が発生しないとは言い切れなかった。このような状況下、クリーン環境で精密部品材料に使用される場合があるにも拘らず、静電気対策、巻芯の紙粉対策がなされないまま使用されている場合がほとんどであった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みてなされたものであって、シャドウマスク板材や液晶配向膜に代表されるように、電気部品等の除塵対象体表面、特に比較的薄膜状の除塵対象体表面に適用される回転式粘着除塵クリーナーにおいて、除塵対象体の変形や破壊を生じさせずに適切な塵埃除去性能を有し、粘着テープを回転させながらホコリやゴミを粘着除去する際に、静電気の発生を抑えて空気中に浮遊するホコリによる2次汚染を防止することを目的としている。また、巻芯の切断面からの紙粉の発生が、全くない回転式除塵クリーナーを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の回転式除塵クリーナーは、プラスチックフィルムの片側に設けた帯電防止層上にアクリル系粘着剤から構成される粘着剤層を有する粘着テープを、その粘着剤層を外側に向けてロール状に巻回した回転式粘着除塵クリーナーであって、前記粘着剤層の粘着力が0.05〜1.0N/20mm、かつ、プローブタック値が0.05〜3.0N/5mmφであり、粘着テープの巻戻し時に発生する静電気の発生量が0.5kV以下であり、前記帯電防止層がカチオン系帯電防止剤からなることを特徴とする。
【0010】
また、本発明においては、粘着テープをプラスチック製の巻芯に巻回するのが望ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1は本発明に係る回転式粘着除塵クリーナーの一実施の形態を示す説明図、図2は図1の回転式粘着除塵クリーナーを用いた除塵具を示す説明図である。本発明の回転式粘着除塵クリーナー1は、図1に示すように、以下に述べるような粘着テープ20が、プラスチック製の巻芯10に粘着剤層23を外側に向けて多層に巻回されている。この粘着テープ20の巻回体である回転式粘着除塵クリーナー1は、例えば図2に示すように装着用のプラスチック製ロール30に装着された後、ロール治具40に回転自由に保持され、除塵具2として用いられる。
【0012】
当該粘着テープ20は、ポリエチレンフィルムやポリプロピレンフィルムなどの各種プラスチックフィルムからなる支持体21の片面に、カチオン系帯電防止剤などが塗布された帯電防止層22が形成され、粘着剤層23が当該帯電防止層22の上に積層されている。
【0013】
帯電防止層22に用いられる帯電防止剤は特に限定されるものではなく、上記したように好ましくはカチオン系帯電防止剤が用いられる。例えば、アクリル系ポリマー主鎖にカチオン塩がペンダントとして結合しているものが比較的安価に入手できるため、この種のものが好適に用いられる。また、その他の帯電防止剤としては、ポリアニオン系帯電防止剤やポリチオフェン系帯電防止剤、ポリピロール系帯電防止剤などの電子導電型帯電防止剤が挙げられる。
【0014】
このような帯電防止層22、特に、カチオン系帯電防止剤や電子誘電型帯電防止剤を用いた場合、これらの帯電防止剤は強誘電タイプであって、粘着テープ20を巻き戻した際に粘着剤層23表面に発生する電荷が、粘着剤層23と支持体21との中間層にある帯電防止剤(強誘電体)の電荷反転作用によって打ち消されることになる。この結果、塵埃によって表面が汚れた粘着テープ20を剥離する際にも静電気の発生を抑えることができる。
【0015】
また、このような強誘電タイプの帯電防止剤からなる帯電防止層22を挟み込む構造となった粘着テープ20を巻回していることで、粘着テープ20の巻回体が一種のコンデンサを形成し、最外層の粘着テープ20表面に発生した電荷を打ち消し中和する作用を持ち、回転除塵中に粘着テープ20に生じた静電気発生量を小さくできる。
【0016】
このとき、粘着テープ20の巻回体からの巻戻し時に発生する静電気の発生量は、以下に述べる方法により測定された値が、0.5kV以下、好ましくは0.1kV以下に設定される。上記静電気の発生量が0.5kVよりも大きいと、回転除塵中に空気中に浮遊する塵埃が粘着テープ20表面に付着して粘着力が低下する、あるいは浮遊する塵や埃が帯電し、除塵対象体表面に付着する2次汚染の恐れが強くなる。この静電気の発生量は、帯電防止剤の種類や塗布量のみならず、粘着剤の種類や厚さ等によっても左右されるものであり、実験的によって当該静電気の発生量以下となるように、帯電防止剤の種類や量、粘着剤の種類や粘着剤層23の厚さなどが選択される。
【0017】
当該帯電防止層22は、支持体21表面に直接形成することも出来るが、支持体21に表面処理を施した後に形成するのが望ましい。当該表面処理は、支持体21表面の濡れ性及び親和性を増すことにより帯電防止剤の塗布性を向上させることを目的としており、当該表面処理として周知の技術である種々の方法が挙げられる。例えば所定の放電電圧下でコロナ放電処理を行う、プラズマ放電処理、電子線照射処理などを行うことができる。これらの条件は、支持体21、帯電防止剤などに応じて適宜決定される。
【0018】
粘着剤層23に用いられる粘着剤としては、アクリル系、ゴム系、ウレタン系の各種粘着剤が用いられるが、このとき、粘着剤の粘着力は、JIS Z−0237に規定する粘着力試験方法に準拠して求めた粘着力が、0.05〜1.0N/20mmに調整されたものが用いられる。粘着力が0.05N/20mm未満であれば、十分な粘着力が得られず、塵埃を十分に粘着させることができない場合があり、また、1.0N/20mmを越えた場合には、除塵対象体によっては粘着力が強すぎて、粘着テープ20の巻回体がスムーズ回転できなかったり、上記問題点に指摘したように、除塵対象体の破損などを生じやすい。
【0019】
また、粘着力が上記範囲内にあるものであって、しかも当該粘着剤層23のプローブタック値が0.05〜3.0N/5mmφとなるように調整されたものが用いられる。プローブタック値は、ASTM D 2979のタック測定法に準じて測定された値であって、山本式プローブタック試験機を用いて、直径5mmのステンレス製鏡面のプローブを、荷重20gf、接触時間1秒、プローブの引き剥がし速度300(mm/min)の条件の下で測定したものを意味する。ただし、粘着テープ20の粘着力が小さく、プローブが粘着テープ20を突き上げた際に粘着テープ20が、試験機の試験台(粘着テープの固定面)から浮き上がってしまう場合には、図3に示すように、補助テープ53を用いることとし、粘着テープ20を所定の大きさ(直径8mm)に切断した試験片54を補助テープ53に貼り付け、当該補助テープ53を所定の試験台52上に貼付した上で、試験片54にプローブ51を接触させて測定する。なお、補助テープ53には、包装用OPPテープNo.3200(商品名「ダンプロン」、日東電工(株)製)を用いる。
【0020】
得られたプローブタック値が0.05N/5mmφよりも小さなものであれば、上記粘着力の範囲内にあっても十分に塵埃を粘着させることができない場合があり、また、3.0N/5mmφを越えた場合には、上記した様に、薄膜、例えば鋼板にフォトレジストが塗布された露光前のシャドウマスク上の塵埃除去や、ガラス板に塗布された液晶配向膜上に付着している塵埃の除去をする場合には、タックが強すぎて、フォトレジストや液晶配向膜が破損される場合がある。
【0021】
このような粘着性能を有する粘着テープ20は、プラスチック製の巻芯10に巻き取られ、ロール状の巻回体とされ、本発明に係る回転式粘着除塵クリーナー1が得られる。当該プラスチックとしては、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリカーボネート製、ABS樹脂製、塩化ビニル製など、プラスチックの類であれば特に限定されるものではない。このようにプラスチック製の巻芯10を用いることによって紙粉の発生がなくなり、巻芯10から発生するゴミやほこりの付着による粘着力の低下を防止できる。特に、巻回体から使用後の粘着テープ20を切断除去する際にも、巻芯10端面から紙粉が発生することもない。もちろん、支持体21もプラスチック製であるため支持体21自体から紙粉などのホコリ類が発生することもない。
【0022】
さらに、これらのプラスチック製の巻芯10は、例えば、その表面に上記の帯電防止剤を塗布する、あるいは帯電防止剤が練り込まれた巻芯10を用いるなど、種々の帯電防止処理をしておくのがより好ましい実施の形態である。こうすることで、空気中に浮遊している塵や埃をよせ付けず、粘着テープ20への付着を防止できる点でさらに望ましい。
【0023】
また、塵や埃が付着され使い古された粘着テープ20は、巻き戻され、切断除去されるが、粘着テープ20の切断を容易に行い得るようにミシン目等の切断用線を設けること、あるいは多層に巻き取った巻回体にカッターなどで最外層から最内層に達する切れ込みを入れ、切断用線を設けることも考えられるが、除塵対象体表面に粘着テープ20を回転させた場合に、これらの切断用線部分において除塵対象体表面にいわゆる糊残りを生じるなど、糊残り等の影響が出やすいのでこれらの切断用線は設けないのが望ましい。
【0024】
このように、本発明においては、従来のように粘着力のみならず、プローブタック値を所定の範囲に設定することによって、薄膜、例えばブラウン管用シャドウマスクを製造する工程や、液晶配向膜の変形や破壊を防ぐことができる。また、帯電防止層22を設けて発生する静電気を一定電圧以下に抑えることにより、除塵クリーナー1から発生する静電気による2次汚染をも防ぐことができる。
【0025】
【実施例】
次に、本発明の実施例である回転式粘着除塵クリーナーを作製し、本発明の効果を確認した。
(実施例1)
支持体として、片面がコロナ処理された厚さ60μmのポリエチレンフィルムのコロナ処理面に、帯電防止剤として、商品名「ボンディップPA−100」((株)コニシ製)の硬化剤と主剤を1:1の容量比で混合し、イソプロピルアルコールの67w/w%水溶液に、帯電防止剤濃度として3.5w/w%となるように調整し、当該溶液を下塗り塗工機を用いて乾燥後の厚さが1μmとなるように塗布した。その後、80℃のオーブン内を約30秒間通過させ、熱風乾燥して、帯電防止層が形成された支持体を得た。
【0026】
これとは別に、アクリル酸ブチル及びアクリル酸を、アクリル酸ブチル:アクリル酸=100:6(重量比)の配合比で3つ口フラスコに投入(重合溶媒:トルエン)し、窒素置換を行った後、重合開始剤として過酸化ベンゾイル(BPO)を添加し、60℃に昇温させて2時間反応させ、さらに80℃に昇温して1時間反応させて重量平均分子量(Mw)約60万のアクリル系ポリマー溶液を得た。このアクリル系ポリマー溶液のポリマー固形分100重量部に対し、架橋剤として、テトラグリシジル−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン2.5重量部を混合してアクリル系粘着剤溶液を作製した。
【0027】
得られた粘着剤溶液を上記の帯電防止層が形成された支持体の帯電防止層上に粘着剤塗工機を用いて乾燥後の厚さが10μmとなるように塗布した。その後、80℃のオーブン内を約30秒間通過させ、熱風乾燥して、その後50℃の環境下で2日間エージングを行って、0.5(N/20mm)の粘着力で、かつ、0.6(N/5mmφ)のプローブタック値を有する粘着テープを得た。
【0028】
得られた粘着テープを、粘着剤層面を外側にして、内径75mm外径82mm、幅200mmの低密度プラスチック製巻芯(村角社製)に、プラスチック製巻芯と同幅の200mmで30m巻回して回転式粘着除塵クリーナーを得た。
【0029】
(実施例2)
粘着剤として、アクリル酸ブチル、アクリロニトリル及びアクリル酸を、アクリル酸ブチル:アクリロニトリル:アクリル酸=80:20:4(重量比)の配合比で3つ口フラスコに投入(重合溶媒:トルエン)し、窒素置換を行った後、重合開始剤として過酸化ベンゾイル(BPO)を添加し、60℃に昇温させて2時間反応させ、さらに80℃に昇温して1時間反応させて重量平均分子量(Mw)約65万のアクリル系ポリマー溶液を得た。このアクリル系ポリマー溶液のポリマー固形分100重量部に対し、架橋剤として、テトラグリシジル−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン22重量部を混合してアクリル系粘着剤溶液を作製した。
【0030】
その後、実施例1と同様にして、帯電防止層が形成された支持体上に粘着剤溶液を塗布、熱風乾燥した後、23℃の環境下で5日間エージングを行い、0.8(N/20mm)の粘着力で、かつ、0.6(N/5mmφ)のプローブタック値を有する粘着テープを得た後、上記プラスチック製巻芯に巻回して、回転式粘着除塵クリーナーを得た。
【0031】
(参考例)
帯電防止剤として、ポリチオフェン(デナトロン#5001;帝国化学社製)に変更した以外は、実施例1と同様にして、回転式粘着除塵クリーナーを得た。
【0032】
(比較例1)
帯電防止剤を塗布することなく、実施例1と同様にして、0.5(N/20mm)の粘着力で、かつ、0.6(N/5mmφ)のプローブタック値を有する粘着テープを用いた回転式粘着除塵クリーナーを用いた。
【0033】
(比較例2)
粘着剤として、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸エチル、アクリル酸ヒドロキシエチルを、アクリル酸2−エチルヘキシル:アクリル酸エチル:アクリル酸ヒドロキシエチル=55:45:5(重量比)の配合比で3つ口フラスコに投入(重合溶媒:トルエン)し、窒素置換を行った後、重合開始剤として過酸化ベンゾイル(BPO)を添加し、60℃に昇温させて2時間反応させ、さらに80℃に昇温して1時間反応させて重量平均分子量(Mw)約55万のアクリル系ポリマー溶液を得た。このアクリル系ポリマー溶液のポリマー固形分100重量部に対し、架橋剤として、テトラグリシジル−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン2重量部を混合してアクリル系粘着剤溶液を作製した。
【0034】
その後、実施例1と同様にして、帯電防止層が形成された支持体上に粘着剤溶液を塗布、熱風乾燥した後、45℃の環境下で2日間エージングを行い、2.0(N/20mm)の粘着力で、かつ、4.5(N/5mmφ)のプローブタック値を有する粘着テープを得たのち、回転式粘着除塵クリーナーを得た。
【0035】
(評価試験)
次に、上記で得た回転式粘着除塵クリーナーについて以下の試験を行い、表1にまとめた。
▲1▼巻戻し時に発生する静電気
粘着除塵クリーナーを、巻戻し試験機にセットし、巻戻し速度を5(m/min)で巻き戻したときに、除塵クリーナーに発生する静電気を、デジタル静電電位測定器(KSD−0103、春日電機社製)を用いて測定した。なお、測定は、図4に示すように、除塵クリーナー1の回転軸上、クリーナー1表面から100mm離れた位置にて行なった。
▲2▼浮遊塵埃の吸着
上記条件にて巻戻した際に、粘着剤層表面に空中に浮遊しているゴミやほこりが吸着していないか、目視確認した。
▲3▼除塵対象体の変形
家庭用アルミ箔(250mm×300mm)の四方を、市販の粘着テープで平板上に固定しておき、その上を上記除塵クリーナーを転がし、転がした後のアルミ箔表面が波打ったり、破れたりしなかったかどうか確認した。
▲4▼紙粉汚染
黒色のプラスチック板に、上記除塵クリーナーの側面を5回たたきつけ、プラスチック板に紙粉の付着があったか否か確認した。
【0036】
【表1】
【0037】
表1から分かるように、実施例の粘着除塵クリーナーにおいては、巻戻し時に発生する静電気量が0.1kV程度であって、空中に浮遊している塵埃が吸着することがなかった。また、粘着力及びプローブタック値が上記範囲内にある除塵クリーナーでは、アルミ箔の変形や破損もなく、アルミ箔上の塵埃を十分に粘着除去できることが確認された。さらに、除塵クリーナーからの紙粉も発生することがなかった。
【0038】
一方、比較例1の除塵クリーナーにおいては、巻戻し時の静電気が大きく、浮遊塵埃の吸着が見られた。また、比較例2においては、帯電防止層が形成されているため、巻戻し時の静電気が小さく、浮遊塵埃の吸着はなかったが、粘着力及びプローブタック値共に大きく、アルミ箔の破損が見られた。また、実施例比較例いずれの除塵クリーナーにおいても、紙粉の汚染は発生しなかった。
【0039】
【発明の効果】
本発明に係る回転式粘着除塵クリーナーにおいては、粘着力及びプローブタック値を一定範囲内にしていることによって、薄膜のような薄い除塵対象体であっても当該除塵対象体の破損を招くことなく、表面に付着しているホコリやゴミを除去することができる。
【0040】
また、粘着テープの巻戻し時に発生する静電気の発生量を一定以下にしているので、空中に浮遊するホコリやゴミが粘着テープの粘着面に付着したり、空気中の塵埃が帯電することによる2次汚染を防ぎ、常に良好な状態で使用することができる。
【0041】
さらに、プラスチック製の巻芯に粘着テープを巻回しているので、当該除塵クリーナーからも紙粉が発生せず、クリーナー自体からの汚染をも防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】回転式粘着除塵クリーナーを示す説明図である。
【図2】図1に示す回転式粘着除塵クリーナーを装着した除塵具を示す説明図である。
【図3】本発明における粘着力の測定方法を示す説明図である。
【図4】本発明における巻戻し時に発生する静電気発生量の測定方法を示す説明図である。
【符号の説明】
1 回転式粘着除塵クリーナー
2 除塵具
10 巻芯
20 粘着テープ
21 支持体
22 帯電防止層
23 粘着剤層
30 ロール
40 ロール治具
50 プローブタック試験機
51 プローブ
52 試験台
53 補助テープ
60 静電電位測定器
Claims (2)
- プラスチックフィルムの片側に設けた帯電防止層上にアクリル系粘着剤から構成される粘着剤層を有する粘着テープを、その粘着剤層を外側に向けてロール状に巻回した回転式粘着除塵クリーナーであって、
前記粘着剤層の粘着力が0.05〜1.0N/20mm、かつ、プローブタック値が0.05〜3.0N/5mmφであり、粘着テープの巻戻し時に発生する静電気の発生量が0.5kV以下であり、前記帯電防止層がカチオン系帯電防止剤からなることを特徴とする回転式粘着除塵クリーナー。 - プラスチック製巻芯に前記粘着テープが巻回されたことを特徴とする請求項1記載の回転式粘着除塵クリーナー。
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