JP4429467B2 - 透明導電性フィルム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は透明導電性フィルムに関し、さらに詳しくは、屈曲性、耐久性に優れ、液晶表示素子の透明導電性電極基板として好ましく用いることができ、更にはエレクトロルミネッセンス素子、エレクトロクロミズム素子等の電極基板としても使用することが可能な透明導電性フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ペイジャーやセルラー、電子手帳、ペン入力機器等の携帯機器利用の拡大につれて、従来のガラス基板に替って、軽量、衝撃性の向上、曲面表示が可能等の特徴を持つプラスチック基板とする液晶表示素子が実用化され始めている。
【0003】
プラスチック基板について、特開昭61−86252号公報や、フラットパネルディスプレイ1994(日経BP社)の123〜131ページには、高分子フィルム上に、アルカリや、有機溶媒に耐性を示す有機層、更に液晶表示素子の信頼性向上のために、ガスバリア性を有する層を積層し、最外層に透明導電層を積層することが記載されている。そして、これまで、高分子フィルム、有機層、ガスバリア層、透明導電層について、更にはこれらの層間密着性を改善するための層や手法について検討がなされてきた。
【0004】
例えば、高分子フィルムについては、光学特性、耐熱性等の観点から、非晶性の高分子例えば、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、非晶性ポリオレフィン、耐熱アクリル、ポリエステルやこれらのポリマーの変成物のフィルムが検討され、製膜方法についても、溶液キャスト法、溶融押出し法等検討されてきた。
【0005】
有機層については、各種の活性光線(例えば紫外線)硬化性樹脂や熱硬化性樹脂が検討され、耐溶剤性、その他の層との密着性、ハードコート性等の改善の検討がなされてきた。
【0006】
ガスバリア層については、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール、塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリアミド等のポリマー及びその変成物からなる有機物、また、酸化珪素、酸化アルミニウム及びその変成物からなる無機物からなる層の検討がなされてきた。
【0007】
透明導電層についても、その材料や製膜方法について、例えば、高透明性や低抵抗を目指した検討がなされてきた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、電極基板として用いた場合にはプラスチック基板の特徴である、屈曲性を十分に満たすものはなかった。すなわち、実装時に基板を曲げたりした場合、透明導電層に割れが発生し、その結果断線を引き起こして、表示不良となってしまうことがあった。特に表面抵抗値を下げるべく、透明導電層を厚くした場合、顕著であった。
本発明の目的は、特に液晶表示素子の透明導電性基板として好適な屈曲性の優れた透明導電性フィルムを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、鋭意検討の結果、屈曲性は透明導電層と高分子フィルムとの間に設ける有機層が重要であることを見出した。
【0010】
すなわち、本発明は、高分子フィルムの(i)両面に有機層を有し、(ii)少なくとも一方の面にSi、Al、Mgの酸化物から選ばれた少なくとも1種の酸化物を含む無機層を有し、更に(iii)少なくとも一方の面の最外層にインジウム酸化物を主成分とする透明導電層を有する透明導電性フィルムであって、該透明導電層と該高分子フィルムとの間に位置する有機層は、下記式(1)で示される単位を含むアクリル系ポリマーからなることを特徴とする透明導電性フィルムである。
【0011】
【化6】
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の透明導電性フィルムは、透明な高分子フィルムの両面に有機層を有し、少なくとも一方の面に、無機層及び透明導電層を有する。かかる高分子フィルムの両面に配置された有機層のうち、少なくとも一方の面の有機層は透明導電層と高分子フィルムとの間に位置し、かつ下記式(1)
【0013】
【化7】
【0014】
で表される単位を含むアクリル系ポリマーからなるものである。かかるアクリル系ポリマーからなる有機層を透明導電層と高分子フィルムとの間に設けることにより、透明導電性フィルムの耐屈曲性が良好であり、耐久性、透明性、ガスバリア性、リターデーション等にも優れる、液晶表示素子の電極基板として好適な透明導電性フィルムが得られる。かかるアクリル系ポリマーとしては、下記式(1−1)
【0015】
【化8】
【0016】
で表される単位が好ましい。
【0017】
上記式(1)で表される単位を含むアクリル系ポリマーからなる有機層は、例えば、上記構造を持った下記式(5)で表されるアクリレートモノマーを、必要に応じて反応開始剤を添加した後、活性光線(例えば紫外線)を照射したり加熱することによって重合し硬化することにより与えることができる。
【0018】
【化9】
【0019】
ここで、R9及びR10はそれぞれ独立に、水素原子またはメチル基を示す。
【0020】
該アクリレートモノマーの具体例としては、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレートを挙げることができる。
【0021】
上記式(1)で表される単位の構造は、有機層を構成する全重量あたり、5〜100重量%含有していることが好ましく、20〜100%含むことがより好ましい。5%未満では、目的とする屈曲性や他の特性(耐溶剤性等)が十分発現しないことがある。具体的には、上記有機層中上記式(5)で表されるアクリレートモノマー以外の他のアクリレートモノマーから誘導される、他の単位を95〜0重量%含むことができる。かかる他のアクリレートモノマーとしては、例えばウレタンアクリレート、エステルアクリレート、エポキシアクリレートやその他の多官能アクリレートを用いることが可能である。
【0022】
上記式(1)で表される単位の構造は、有機層を構成する全重量あたり、5〜100重量%含有していることが好ましく、20〜100重量%含むことがより好ましく、20〜90%含むことがさらにより好ましい。特に5%未満では、目的とする屈曲性が十分発現しないことがある。また20〜90%含むことにより、透明導電層と接して用いた場合の密着性が良好である。
【0023】
具体的には、上記有機層中上記式(5)で表されるアクリレートモノマー以外の他のアクリレートモノマーから誘導される、他の単位を95〜0重量%含むことができる。かかる他の単位を誘導する他のアクリレートモノマーとしては、例えば2つ以上のアクリル基を有する、ウレタンアクリレート、エステルアクリレート、エポキシアクリレート等を用いることが可能である。特に、有機層の耐有機溶媒性等を高めるために、かかる他のアクリレートモノマーとして3つ以上のアクリル基を有する多官能アクリレートモノマーを用いることができる。
【0024】
また、かかる有機層中には、上記アクリル系ポリマーの重合のための触媒や、製膜性や機能性を高める添加剤(レベリング剤、シリカ等の微粒子等)等を適宜加えることが可能である。
【0025】
本発明の透明導電性フィルムにおける屈曲性の良否は、透明導電性フィルムを直径の異なる丸棒に巻き付けて、透明導電層に割れが生じる直径で判断する。実装等を考えると、割れが生じる丸棒の直径が14mm以下が好ましく、10mm以下が更に好ましい。また、丸棒に巻き付ける時、透明導電層を内側にする場合と外側にする場合の2通りの評価を行う。
【0026】
屈曲性は、透明導電層の厚さにも依存し、一般的に厚いほど屈曲性は悪くなり、直径の大きな丸棒にて評価しても割れを生じ易くなる。本発明の透明導電性フィルムの透明導電層の厚さは特に100nm以上でも割れにくいという優れた効果を生じる。
【0027】
上記式(1)で表される単位を含むアクリル系ポリマーを有機層とした場合、優れた耐屈曲性を示す、すなわち、透明導電性フィルムを曲げた時に、透明導電層に割れが生じ難い理由や耐久性に優れる理由ははっきりしないが、該有機層が、透明導電層や無機層と密着性が良いこと、または、透明導電層や無機層の曲げた時に発生する応力を緩和する働きがあると推定される。
【0028】
該有機層を形成するには、該有機層を形成する下層(高分子フィルム等)上に、例えば湿式コーティングによって、上記アクリレートモノマー及び開始剤を含んだ塗液をコートした後、活性光線(例えば紫外線)を照射させたり加熱等を行うことで形成することができる。
【0029】
かかる湿式コーティング法としては、公知のマイクログラビア、マイヤーバー等の各種の方法が用いられる。この際必要に応じてアクリレートモノマーを溶剤に適当な濃度で溶解した後に、コーティングを行うことも好ましい。
【0030】
該有機層の膜厚は、1〜20μmの範囲が好ましい。膜厚が1μm以下では、十分な耐溶剤性が発現しなくなる場合があり、また20μm以上では層の密着性の悪化等の物性低下が生じるので好ましくない。
【0031】
該有機層の膜厚は、1〜20μmの範囲が好ましい。膜厚が1μm未満では、十分な耐溶剤性が発現しなくなる場合があり、また20μmを超えると層の密着性の悪化等の物性低下が生じるので好ましくない。該有機層の膜厚は、有機層の硬化収縮により有機層を形成した後のフィルムが反るという問題が生じにくいことから、2μm〜10μmがより好ましい。
【0032】
なお、高分子フィルムの透明導電層の反対の面に設ける有機層は、上述の、高分フィルムと透明導電層の間の有機層と同じであっても良いし、他の硬化性樹脂からなる層であっても良い。かかる硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等の熱硬化性樹脂や、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、エステルアクリレートやその他の多官能アクリレート等の活性光線硬化性樹脂を挙げることができる。
【0033】
また、カラー表示素子用の基板として本発明の透明導電性フィルムを用いる場合、本発明の透明導電性フィルムを構成している高分子フィルムと層との間、あるいは層と層の間に少なくとも一層の着色層を設けてもよい。ここで着色層とは、カラー表示素子を実現するために、例えばR(赤)、B(青)、G(緑)またはM(マゼンタ)、C(シアン)、Y(イエロー)の3原色を備えた着色層を挙げることができる。また、コントラスト向上や着色層の混色防止のために、ブラックマトリックスが形成されてもよい。着色層は、顔料や染料といった色素を添加した樹脂をパターニングして形成する、いわゆる顔料分散法や染料分散法で形成するのが好ましい。また、印刷法、染色法、電着法といった着色層を形成するための従来技術でも着色層を形成してもよい。
【0034】
本発明における透明な高分子フィルムは、特に制限はなく、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリオレフィン等の熱可塑性高分子、熱硬化性高分子からなるものを用いることができるが、特に非晶性の熱可塑性高分子からなるフィルムが好ましく用いられる。かかる高分子フィルムとして、特に透明性が良好なポリカーボネートフィルムは、上記式(1)で表される単位を含むアクリル系ポリマーからなる有機層と接着性に優れ、そしてこれらを組み合わせて用いると耐屈曲性が非常に良好である。
【0035】
かかるポリカーボネートは、例えば下記式(2)
【0036】
【化10】
【0037】
で表される繰り返し単位を含む(共重合)ポリカーボネート、下記式(3)
【0038】
【化11】
【0039】
(上記式(2)において、R1〜R8はそれぞれに独立に、水素原子、ハロゲン原子及び炭素数1〜6の炭化水素基から選ばれる。)
で示される繰り返し単位を含む(共重合)ポリカーボネート、下記式(4)
【0040】
【化12】
【0041】
(上記式(4)において、R1〜R8はそれぞれに独立に、水素原子、ハロゲン原子及び炭素数1〜6の炭化水素基から選ばれる。)
で示される繰り返し単位を含む(共重合)ポリカーボネートが挙げられる。
【0042】
上記ポリカーボネートは、上記式(3)で表される繰り返し単位から実質的になるもの、上記式(2)及び(3)で表される繰り返し単位からなる共重合体、上記式(4)及び(3)で表される繰り返し単位からなる共重合体が好ましい。
【0043】
上記式(2)、(4)において、R1〜R8はそれぞれに独立に、水素原子、ハロゲン原子及び炭素数1〜6の炭化水素基から選ばれる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、ヨウ素原子を挙げることができる。炭素数1〜6の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、シクロヘキシル基等の炭素数1〜6のアルキル基を挙げることができる。
【0044】
上記式(2)で示される繰り返し単位の具体的な例として、3,3,5−トリメチル−1,1−ジ(4−フェノール)シクロヘキシリデン型ポリカーボネート、そして上記式(4)の具体的な例として、フルオレン−9,9−ジ(4−フェノール)型ポリカーボネート、フルオレン−9,9−ジ(3−メチル−4−フェノール)型ポリカーボネートを好ましく例示することができる。
【0045】
上記式(2)で示される繰り返し単位を含むポリカーボネートとしては、上記式(2)で示される繰り返し単位からなるホモのポリカーボネートの他に、上記式(2)で示される繰り返し単位と上記式(3)で示される繰り返し単位とからなる共重合ポリカーボネートを挙げることができる。かかる共重合の組成比は、いかなる組成比でも良いが、上記式(2)で示される繰り返し単位の組成比が多くなるに従って、耐熱性(ガラス転移温度)が上昇し、光弾性系数が小さくなるという好ましい反面、価格が高くなるため、そのバランスによって組成は決定される。具体的には、上記式(2)で示される繰り返し単位が1〜70モル%が好ましく、耐熱性等の面からは30〜70モル%が好ましく、価格の面からは1〜50モル%が好ましい。またこれらは2種類以上組み合わせて用いても良く、例えば上記式(2)で示される繰り返し単位からなるポリカーボネートと上記式(3)で示される繰り返し単位とからなるポリカーボネートとのブレンドを用いることもできる。
【0046】
上記式(4)で示される繰り返し単位を含む(共重合)ポリカーボネートとしては、上記式(4)で示される繰り返し単位からなるホモのポリカーボネートの他に、上記式(2)で示される繰り返し単位と上記式(4)で示される繰り返し単位とからなる共重合のポリカーボネートが好ましい。かかる共重合の組成比は、いかなる組成比でも良いが、上記式(4)で示される繰り返し単位の組成比が多くなるに従って、耐熱性(ガラス転移温度)が上昇し、光弾性系数が小さくなるという好ましい反面、価格が高くなるため、そのバランスによって組成は決定される。具体的には、上記式(4)で示される繰り返し単位が1〜60モル%が好ましく、耐熱性等の面からは20〜60モル%が好ましく、価格の面からは1〜40モル%が好ましい。またこれらは2種類以上組み合わせて用いても良く、例えば上記式(2)で示される繰り返し単位からなるポリカーボネートと上記式(4)で示される繰り返し単位とからなるポリカーボネートとのブレンドを用いることもできる。
【0047】
上記高分子フィルムは、リターデーションが30nm以下であることが好ましい。30nmを超えると、パネルとした時のコントラストの低下等の問題が生じてしまうことがある。
【0048】
上記高分子フィルムは、全光線透過率が70%以上であることが好ましい。70%未満では、視認性の低下を招く等の問題が生じることがある。
【0049】
上記高分子フィルムの製膜方法としては、例えば溶液製膜、溶融押出し製膜等の公知の方法を用いることが出来るが、フィルムの平滑性の観点から、溶液製膜法がより好ましい。
【0050】
高分子フィルムの厚みは30〜700μmが好ましい。30μmより薄い場合は基材の作製プロセスにおいてハンドリングが困難となるといった問題がある。700μmより厚い場合は、軽量であるという高分子フィルムの特徴が失われるのみならず、視差が大きくなることによる表示品位の低下が生じ好ましくない。高分子フィルムの厚みはより好ましくは70〜500μmである。
【0051】
本発明における無機層は、主にガスバリア性を発現するためのものである。かかる無機層としては、例えばSi、Al、Mg、Zn、Zr、Ti、Y、Ta、In、Snの郡から選ばれる1種または2種以上の金属を主成分とする金属酸化物、珪素、アルミニウム、ホウ素の金属窒化物またはこれらの混合物を挙げることができる。この中で、Si、Al、及びMgの酸化物から選ばれた少なくとも1種の酸化物が好ましい。
【0052】
この無機層は、例えば公知のスパッタリング法、イオンプレーティング法、蒸着法、CVD法等により作成可能であるが、スパッタリング法が耐薬品性の観点から好ましい。
【0053】
無機層の膜厚は、5〜300nmの範囲が好ましい。5nm未満では、ガスバリア性を安定して得ることが難しく、また300nmを超えると、層の形成に非常に長い時間を要するので好ましくない。
【0054】
この無機層を形成したフィルム(透明導電層は有しない透明導電性フィルム)の40℃90%RH環境下における酸素透過率及び水蒸気透過率は各々3cc/m2/day/atm以下、3g/m2/day以下であることが好ましい。
【0055】
さらに、極めて高度のガスバリヤ性を達成するためには、上記無機層として、珪素原子数に対する酸素原子数の割合が1.5〜2.0の珪素酸化物を主成分とする金属酸化物(X)を用い、(X)の両面に、珪素を含有する硬化樹脂層(B)及び(C)を設けることが好ましい。該珪素を含有する硬化樹脂層としてはビニルアルコール含有ポリシロキサン系樹脂(P)又は有機ポリシロキサン系樹脂(Q)が好ましく、硬化樹脂層(B)または(C)の少なくとも一方が(P)であることがより好ましい。このような層構成にすることにより、膜厚が薄い珪素酸化物を主成分とする金属酸化物を用いても基板の気体透過度を小さくでき、特に、水蒸気透過度を0.1g/m2/day(ただし透明導電層がない場合)以下にすることが可能であり、例えば液晶表示素子用の基板として用いた場合、高温高湿の環境下に長時間さらされても電気光学的に安定性に優れる素子を得ることができる。
【0056】
該ビニルアルコール含有ポリシロキサン系樹脂(P)は、ビニルアルコール系ポリマーと、エポキシ基含有珪素化合物およびアミノ基含有珪素化合物を含むコーティング組成物を塗布し加熱等により反応硬化させることで得られる。
【0057】
ここでビニルアルコール系ポリマーは、公知の市販のものが適用でき、例えばビニルアルコール成分およびビニルアルコール共重合体成分よりなる群から選ばれた少なくとも1種を50モル%以上含有する高分子が適用される。なお、このビニルアルコール共重合体としては、例えばビニルアルコール−酢酸ビニル共重合体、ビニルアルコールビニルブチラール共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、あるいは分子内にシリル基を有するポリビニルアルコールが挙げられる。なかでも、エチレン−ビニルアルコール共重合体を用いると、耐薬品性、耐水性、耐久性にいっそう優れたビニルアルコール含有ポリシロキサン樹脂(P)が得られる。
【0058】
該ビニルアルコール系ポリマーは、水、ジメチルイミダゾリン等に溶解してコーティング組成物の成分とすることができる。また、エチレン−ビニルアルコール共重合体は、水/プロパノールを主成分とする混合溶媒に溶解してコーティング組成物の成分として用いることができる。
【0059】
エポキシ基含有珪素化合物はエポキシ基及びアルコキシシリル基を有する珪素化合物、その(部分)加水分解物、その(部分)縮合物、及びこれらの混合物からなる群から選ばれ、例えば下記式(11)で表される。
【0060】
【数1】
X−R11−Si(R12)n(OR13)3-n (11)
ここで、R11は炭素数1〜4のアルキレン基、R12及びR13は炭素数1〜4のアルキル基、Xはグリシドキシ基またはエポキシシクロヘキシル基であり、nは0または1である。
【0061】
特に好ましいエポキシ基含有珪素化合物としては、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランである。これらの化合物は単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0062】
アミノ基含有珪素化合物はアミノ基及びアルコキシシリル基を有する珪素化合物、その(部分)加水分解物、その(部分)縮合物、及びこれらの混合物からなる群から選ばれ、例えば下記式1(2)で表される。
【0063】
【数2】
Y−HN−R14−Si(R15)m(OR16)3-m (12)
ここで、R14は炭素数1〜4のアルキレン基、R15及びR16は炭素数1〜4のアルキル基、Yは水素原子またはアミノアルキル基であり、mは0または1である。
【0064】
この中で特に好ましいアミノ基含有珪素化合物は3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−メチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、 N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシランである。これらの化合物は単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0065】
なお、本発明におけるエポキシ基含有珪素化合物ならびにアミノ基含有珪素化合物の(部分)加水分解物及びその(部分)縮合物は、上述のエポキシ基含有珪素化合物ならびにアミノ基含有珪素化合物の一部または全部が加水分解したもの、該加水分解物の一部又は全部が縮合反応した縮合物、及び該縮合物と加水分解していない原料のエポキシ基含有珪素化合物ならびにアミノ基含有珪素化合物とが縮合したものであり、これらはいわゆるゾルゲル反応させることにより得られるものである。ここで加水分解物は、例えば塩酸等の無機酸、酢酸等の有機酸などの酸性水溶液または純粋と混合することにより得られる。また、コーティング液は、保存安定性ならびに塗工安定性を考慮して、アルコール系、エステル系、エーテル系、ケトン系、セロソルブ系等の各種有機溶媒で希釈されていることが好ましい。エポキシ基含有珪素化合物とアミノ基含有珪素化合物の混合比率は、エポキシ基モル当量換算量Ep、アミノ基モル当量換算量Apの比率で1/6<Ep/Ap<6/1の範囲内が好ましい。混合比がこの範囲から外れる場合、密着性、耐熱性、耐溶剤性、耐水性、耐久性が低下する。この様なエポキシ基含有珪素化合物とアミノ基含有珪素化合物の混合物をポリビニルアルコール系ポリマーに混合するに際し、硬化後の重量比率で20重量%以上、95重量%未満となるように混合する。20重量部よりも少ない場合は、耐水性、耐薬品性に劣る傾向となり、95重量%以上ではガスバリヤー性が低下する傾向となる。ここで、エポキシ基含有珪素化合物とアミノ基含有珪素化合物との混合物の硬化後の重量は、X−R11−Si(R12)nO(3-n)/2とY−HN−R14−Si(R15)mO(3-m)/2で示される重量基準である。ここでこの重量換算式は、各々の珪素化合物中のアルコキシシリル基の全てが加水分解ならびに縮合反応したことを仮定して上記のように定義した。特に、該ポリビニルアルコール含有ポリシロキサン系樹脂を前述の珪素酸化物を主成分とする金属酸化物からなるガスバリヤー層の少なくも一方の面に接して積層することで、ガスバリヤー性がいっそう向上する。
【0066】
該ポリビニルアルコール含有ポリシロキサン系樹脂(P)の膜厚は、概して0.01〜20μmの範囲から適宜選択することができる。
【0067】
上記有機ポリシロキサン系樹脂(Q)としては、下記式(13)で表される有機ケイ素化合物ないしはその加水分解物をいわゆるゾルゲル反応させることにより得られるものが好ましい。
【0068】
【数3】
(R17)a(R18)bSiX4-a-b (13)
【0069】
ここで、R17は炭素数1〜10の有機基であり、R18は炭素数1〜6の炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基であり、Xは加水分解性基であり、aおよびbは0または1である。上記式(13)で示される有機ケイ素化合物の例としては、例えばテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、アミノメチルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−アミノメチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−メチルアミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。これらの化合物は単独で又は2種以上を併せて用いることができる。中でも、前記式(1)のエポキシ基含有珪素化合物と前記式(2)のアミノ基含有珪素化合物との混合物を主成分とすることが好適である。ここで、エポキシ基含有珪素化合物とアミノ基含有珪素化合物の混合比率は、エポキシ基モル当量換算量Eq、アミノ基モル当量換算量Aqの比率で5/95<Eq/Aq<95/5の範囲内で用いることが、耐薬品性、層間密着性の点で好ましい。特に、該有機ポリシロキサン系樹脂層の上に前記珪素酸化物を主成分とする金属酸化物からなるガスバリヤー層を形成することで、ガスバリヤ性がいっそう向上する。
【0070】
該有機ポリシロキサン系樹脂(Q)の膜厚は、概して0.01〜20μmの範囲から適宜選択することができる。
【0071】
本発明における透明導電層は、最外層に位置し、インジウム酸化物を主成分(好ましくは80重量%以上)とし、錫または亜鉛から選ばれた1種以上の酸化物を(好ましくは20重量%以下)含むことを特徴とする。かかる透明導電層は、インジウム酸化物を主成分とし、酸化錫が2〜20重量%及び/または酸化亜鉛が2〜20重量%含んでいることが好ましい。かかる透明導電層を形成する方法は、特に制限はないが、主にスパッタリング法が好ましく、直流スパッタリング法、高周波マグネトロンスパッタリング法、イオンビームスパッタリング法などが適用できるが、生産性の観点から、マグネトロンスパッタ法が好ましい。
【0072】
透明導電層の膜厚は、十分な導電性を得るために、10nm以上であることが好ましい。
【0073】
本発明の透明導電性フィルムは、全光線透過率が70%以上であることが好ましい。70%未満では、視認性の低下を招く等の問題が生じることがある。
【0074】
本発明の透明導電性フィルムは、リターデーションが30nm以下であることが好ましい。30nmを超えると、パネルとした時のコントラストの低下等の問題が生じてしまうことがある。
【0075】
前記のように、本発明の透明導電性フィルムは、上記高分子フィルム、有機層、無機層、透明導電層を具備し、有機層は高分子フィルムの両面にあって、少なくとも一方の面のそれは上記式(1)で表される単位(特定有機層ということがある)を含み、該特定有機層は透明導電層と高分子フィルムとの間に存在するものである。かかる透明導電性フィルムの具体的構成としては、例えば、
・透明導電層/無機層/特定有機層/高分子フィルム/特定有機層、
・透明導電層/特定有機層/高分子フィルム/特定有機層/無機層、
・透明導電層/無機層/特定有機層/高分子フィルム/特定有機層/無機層、
・透明導電層/無機層/着色層/特定有機層/高分子フィルム/特定有機層、
・透明導電層/特定有機層/着色層/高分子フィルム/特定有機層/無機層、
・透明導電層/特定有機層/着色層/特定有機層/高分子フィルム/特定有機層/無機層、
・透明導電層/無機層/特定有機層/高分子フィルム/有機層、
・透明導電層/特定有機層/高分子フィルム/有機層/無機層、
・透明導電層/無機層/特定有機層/高分子フィルム/有機層/無機層、
・透明導電層/無機層/着色層/特定有機層/高分子フィルム/有機層、
・透明導電層/特定有機層/着色層/高分子フィルム/有機層/無機層、
・透明導電層/特定有機層/着色層/特定有機層/高分子フィルム/有機層/無機層、
・透明導電層/特定有機層/着色層/有機層/高分子フィルム/有機層/無機層、
・透明導電層/有機層/着色層/特定有機層/高分子フィルム/有機層/無機層、
・透明導電層/特定有機層/高分子フィルム/有機ポリシロキサン樹脂(Q)/金属酸化物層(X)/ビニルアルコール含有ポリシロキサン樹脂(P)、
・透明導電層/特定有機層/高分子フィルム/ビニルアルコール含有ポリシロキサン樹脂(P)/金属酸化物層(X)/有機ポリシロキサン樹脂(Q)、
・透明導電層/特定有機層/高分子フィルム/ビニルアルコール含有ポリシロキサン樹脂(P)/金属酸化物層(X)/ビニルアルコール含有ポリシロキサン樹脂(P)、
・透明導電層/着色層/特定有機層/高分子フィルム/ビニルアルコール含有ポリシロキサン樹脂(P)/金属酸化物層(X)/ビニルアルコール含有ポリシロキサン樹脂(P)、
・透明導電層/特定有機層/着色層/高分子フィルム/ビニルアルコール含有ポリシロキサン樹脂(P)/金属酸化物層(X)/ビニルアルコール含有ポリシロキサン樹脂(P)、
・透明導電層/特定有機層/着色層/有機層/高分子フィルム/ビニルアルコール含有ポリシロキサン樹脂(P)/金属酸化物層(X)/ビニルアルコール含有ポリシロキサン樹脂(P)、
・透明導電層/有機層/着色層/特定有機層/高分子フィルム/ビニルアルコール含有ポリシロキサン樹脂(P)/金属酸化物層(X)/ビニルアルコール含有ポリシロキサン樹脂(P)、
等が挙げられる。
【0076】
この中で、上記特定有機層は透明導電層、無機層、高分子フィルムのいずれかに接してもよいが、透明導電層と接しているか、無機層と接していることにより、特に密着性に優れ、屈曲性、耐久性等が良好である。さらに特定の有機層は透明導電層と同じ側にあって、透明導電層、または透明導電層及び高分子フィルムと接しているのがより好ましい。
【0077】
なお、本発明の透明導電性フィルムは、上記各層の間、あるいは高分子フィルムとそれのすぐ上の層との間に、更なる密着性改善等のための中間層を介在することができる。
【0078】
【発明の効果】
本発明の透明導電性フィルムは、屈曲性が良く、実装時の曲げに対する耐性に優れ、液晶表示素子として用いる場合、耐熱性、透明性に優れた、ガラス基板代替として有用である。
【0079】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を詳しく説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、以下の各実施例、各比較例の各種評価は、下記の要領で行った。
【0080】
〈屈曲性〉
透明導電性フィルムを、1cm×16cmに切り出し、150℃2時間熱処理した後、直径8mmφ、10mmφの2種類の金属製棒にそれぞれ密着させて巻き付け、30秒放置後、再び戻して、透明導電層の割れの発生の有無を光学顕微鏡にて観察した。なお、透明導電層を内側にする場合と外側にする場合の2通りの評価を行った。直径8mmφの評価において透明導電層の割れが発生しない場合を優、直径8mmφの評価において透明導電層に割れが生じるが、直径10mmφの評価にて割れが生じないものを良、直径10mmφの評価にて割れが生じるものを不可とした。
ただし、実施例8のみ、150℃2時間熱処理を、130℃2時間に変更した。
【0081】
〈耐久性〉
透明導電性フィルムを、60℃90%RHの環境下で250時間放置し、透明導電層の割れの発生の有無を光学顕微鏡にて観察した。割れが発生し無い場合を優とし、割れが発生した場合不可とした。
【0082】
〈耐有機溶媒性〉
透明導電性フィルムを80℃のホットプレート上に置き、透明導電層上に、n−メチルピロリドンを1滴滴下し、3分後拭き取って、その外観変化を目視にて観察した。外観変化が無いものを優とし、変化が認められるものを不可とした。
【0083】
〈耐アルカリ性〉
透明導電性フィルムを30℃の3.5wt%NaOH水溶液中に10分間浸漬して、外観変化を光学顕微鏡にて観察した。外観変化が無いものを優とし、変化が認められるものを不可とした。
【0084】
〈全光線透過率〉
日本電色工業社製COH−300Aを用いて測定した。
【0085】
〈リターデーション〉
日本分光社製M−150型エリプソメーターを用いて測定した。
【0086】
〈酸素透過度〉
酸素透過度は、透明導電層を積層する前の、有機層と無機層が積層された高分子フィルムについて測定した。測定は、MOCON社製オキシトラン2/20型を用いて、40℃90%RHの環境下で測定した。
【0087】
〈水蒸気透過度〉
水蒸気透過度は、透明導電層を積層する前の、有機層と無機層が積層された高分子フィルムについて測定した。測定はMOCON社製パーマトランW1A型を用いて、40℃90%RHの環境下で測定した。
【0088】
[実施例1]
3,3,5−トリメチル−1,1−ジ(4−フェノール)シクロヘキシリデンが58モル%、ビスフェノールAが42モル%共重合されたポリカーボネート(バイエル社製APEC−HT9371、ガラス転移温度205℃)を塩化メチレンに27重量%になるように溶解して、ガラス板上にアプリケーターを用いて流延を行い、室温20分放置後、ガラス板よりフィルムを剥離して、130℃2時間乾燥することで、厚さ100μmの高分子フィルムを得た。
【0089】
得られた高分子フィルムの両面に、片面ずつ以下の様に有機層を形成した。
ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート(共栄社化学社製ライトアクリレートDCP−A)50重量部とウレタンアクリレート(十条ケミカル社製TPH19)50重量部、光開始剤として、チバガイギ社製イルガキュア187を7重量部、レベリング剤として東レ・ダウコーニング社製SH28PAを0.05重量部、希釈溶媒として1メトキシ2プロパノール180重量部からなる塗液を乾燥後膜厚が5μmになるようにロールコートし、60℃30秒乾燥後、強度160W/cmの高圧水銀ランプにより積算光量700mJ/cm2の紫外線を照射して有機層を形成した。
【0090】
続いて、片面の有機層の上に、以下の様に無機層を形成した。
Siターゲットを設置した巻き取り式のマグネトロンスパッタリング装置にフィルムを配置して排気した後、Ar:O2=7:3の混合ガスを導入し、圧力を8×10-4Torrになるように調整した。この雰囲気下にて、投入電力密度1W/cm2、フィルムスピード1m/minで反応性スパッタリングを行い、約30nmの厚みの酸化珪素からなる無機層を形成した。
【0091】
続いて、無機層の上に、以下の様に透明導電層を形成した。
In:Sn=9:1の重量比からなる酸化物のターゲットを設置した巻き取り式のマグネトロンスパッタリング装置にフィルムを配置して排気した後、Ar:O2=98.8:1.2の混合ガスを導入し、圧力を1×10-3Torrになるように調整した。この雰囲気下にて、投入電力密度1W/cm2、フィルムスピード0.1m/minで反応性スパッタリングを行い、厚さ130nmの透明導電層を形成した。この透明導電層の表面抵抗は、45オームであった。
【0092】
こうして、作成された、透明導電性フィルムの構成は、透明導電層/無機層/特定有機層/高分子フィルム/特定有機層である。
透明導電性フィルムの特性を表1に記載する。
屈曲性、耐久性やその他の特性すべてに優れた透明導電性フィルムであった。
【0093】
[実施例2]
実施例1において、有機層を形成する塗液を、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート50重量部、ウレタンアクリレート50重量部から、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート80重量部、ウレタンアクリレート20重量部に変更し、その他は同様にして透明導電性フィルムを得た。
こうして、作成された、透明導電性フィルムの特性を表1に記載する。
屈曲性、耐久性やその他の特性すべてに優れたフィルムであった。
【0094】
[実施例3]
実施例1において、有機層を形成する塗液を、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート50重量部、ウレタンアクリレート50重量部から、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート20重量部、ウレタンアクリレート80重量部に変更し、その他は同様にして透明導電性フィルムを得た。
こうして、作成された、透明導電性フィルムの特性を表1に記載する。
屈曲性、耐久性やその他の特性すべてに優れたフィルムであった。
【0095】
[実施例4]
実施例1において、有機層を形成する塗液を、ウレタンアクリレート50重量部から、エステルアクリレート(東亜合成社製アロニックスM9050)50重量部に変更し、その他は同様にして透明導電性フィルムを得た。
こうして、作成された、透明導電性フィルムの特性を表1に記載する。
屈曲性、耐久性やその他の特性すべてに優れたフィルムであった。
【0096】
[実施例5]
実施例1において、有機層を形成する塗液を、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート50重量部とウレタンアクリレート50重量から、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート100重量部に変更し、その他は同様にして透明導電性フィルムを得た。
こうして、作成された、透明導電性フィルムの特性を表1に記載する。
屈曲性、耐久性やその他の特性すべてに優れたフィルムであった。
【0097】
[実施例6]
実施例2にて、透明導電層を無機層と反対面の有機層の上に形成した以外、実施例1と同様にして各層を形成した。透明導電性フィルムの構成は、透明導電層/特定有機層/高分子フィルム/特定有機層/無機層であった。
こうして、作成された、透明導電性フィルムの特性を表1に記載する。
屈曲性、耐久性やその他の特性すべてに優れたフィルムであった。
【0098】
[実施例7]
実施例1にて、高分子フィルムを以下に変更した。
高分子フィルムのポリマーとして、ビスフェノール成分としてフルオレン−9,9−ジ(3−メチル−4−フェノール)が30モル%、ビスフェノールAが70モル%共重合されたポリカーボネートを用いた。このポリマーは、水酸化ナトリウム水溶液に、フルオレン−9,9−ジ(3−メチル−4−フェノール)及びビスフェノールAを上記組成に仕込み、少量のハイドロサルファイトを加え、続いて塩化メチレンを加えて、20℃でホスゲンを約60分かけて吹き込んだ後、さらに、p−tert−ブチルフェノールを加えて乳化後、トリエチルアミンを加えて30℃で約3時間攪拌させて作成した。
得られたポリマーのガラス転移温度は195℃であった。
このポリマーを、実施例1と同様に厚さ100μmのフィルムを作成し、特定有機層、無機層、透明導電層を形成し、透明導電性フィルムを得た。
こうして、作成された、透明導電性フィルムの特性を表1に記載する。
屈曲性、耐久性やその他の特性すべてに優れたフィルムであった。
【0099】
[実施例8]
実施例1にて、高分子フィルムを以下に変更した。
高分子フィルムは、ビスフェノール成分としてビスフェノールAのみを用いたポリカーボネートフィルム(帝人製ピュアエース、厚み100μm、ガラス転移温度155℃)とした。
透明導電性フィルムの特性を表1に記載する。
屈曲性、耐久性やその他の特性すべてに優れたフィルムであった。
【0100】
[実施例9]
実施例1にて、無機層を、両面の有機層上に形成した。すなわち、透明導電性フィルムの構成は、透明導電層/無機層/特定有機層/高分子フィルム/特定有機層/無機層である。
透明導電性フィルムの特性を表1に記載する。
屈曲性、耐久性に優れた、さらに非常にガスバリア性に優れたフィルムであった。
【0101】
[実施例10]
実施例6にて、無機層の上に、以下のようにビニルアルコール含有ポリシロキサン樹脂(P)をさらに積層した。
【0102】
成分(P1)エチレンビニルアルコール共重合体100部を、水720部、n−プロパノール1080部の混合溶媒に加熱溶解させ、均一溶液を得た。この溶液にレベリング剤(東レダウコーニング社製「SH30PA」を0.1部、酢酸39部加えた後、成分(P2)2−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン211部を加え10分間撹拌した。更にこの溶液に成分(P3) 3−アミノプロピルトリメトキシシラン77部を加えて3時間撹拌しコーティング組成物を得た。
【0103】
コーティング組成物の組成は、(P1)/[(P2)+(P3)]=1/2,(P2)/(P3)=2/1である。このコーティング組成物を、上述の高分子フィルム(S)の片面上にコーティングし、130℃3分熱処理を行い、厚みが0.05μmの(B)層を形成した。
【0104】
すなわち、透明導電性フィルムの構成は、透明導電層/特定有機層/高分子フィルム/特定有機層/無機層/ビニルアルコール含有ポリシロキサン樹脂層である。
透明導電性フィルム特性を表1に記載する。
屈曲性、耐久性に優れた、さらに非常にガスバリア性に優れたフィルムであった。
【0105】
[実施例11]
実施例10にて、無機層の下地に積層された特定有機層に変えて、以下のように有機ポリシロキサン樹脂(Q)を積層した。
【0106】
水720重量部、2−プロパノール1080重量部の混合溶媒に、酢酸88重量部を加えた後、(Q1)2−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン640重量部と(Q2)3−アミノプロピルトリメトキシシラン154重量部を順次加えて3時間攪拌しコーティング組成物を得た。コーティング組成物の組成は、(Q1)/(Q2)=3/1である。このコーティング組成物を、高分子フィルムの片方の面にコーティングし、130℃3分熱処理を行い、厚みが0.05μmの(Q)層を形成した。
【0107】
すなわち、透明導電性フィルムの構成は、透明導電層/特定有機層/高分子フィルム/有機ポリシロキサン樹脂層/無機層/ビニルアルコール含有ポリシロキサン樹脂層である。
透明導電性フィルムの特性を表1に記載する。
屈曲性、耐久性に優れた、さらに非常にガスバリア性に優れたフィルムであった。
【0108】
[比較例1]
実施例1において、有機層を形成するジメチロールトリシクロデカンジアクリレート50重量部とウレタンアクリレート50重量部から、ウレタンアクリレート100重量部に変更した。
得られた、透明導電性フィルムの特性を表1に記載する。
屈曲性、耐久性に劣るフィルムであった。
【0109】
[比較例2]
実施例4において、有機層を形成するジメチロールトリシクロデカンジアクリレート50重量部とエステルアクリレート50重量から、エステルアクリレート100部に変更した。
得られた、透明導電性フィルムの特性を表1に記載する。
屈曲性、耐久性、耐アルカリ性に劣るフィルムであった。
【0110】
【表1】
Claims (13)
- 上記式(1)で示される単位を含むアクリル系ポリマーからなる有機層が透明導電層と接している請求項1に記載の透明導電性基板。
- 上記式(1)で示される単位を含むアクリル系ポリマーからなる有機層が高分子フィルムと接している請求項1または2に記載の透明導電性フィルム。
- 上記式(1)で示される単位を含むアクリル系ポリマーからなる有機層が無機層と接している請求項1〜3のいずれかに記載の透明導電性基板。
- 高分子フィルムの透明導電層を有する面と反対の面に、珪素を含有する硬化樹脂層(B)、無機層として珪素原子数に対する酸素原子数の割合が1.5〜2.0の珪素酸化物を主成分とする金属酸化物層(X)、珪素を含有する硬化樹脂層(C)がこの順で積層され、硬化樹脂層(B)及び/または硬化樹脂層(C)は、ビニルアルコール系ポリマー、エポキシ基含有珪素化合物及びアミノ基含有珪素化合物の硬化反応により得ることができるビニルアルコール含有ポリシロキサン樹脂(P)又はエポキシ基含有珪素化合物とアミノ基含有珪素化合物との反応により得ることができる有機ポリシロキサン樹脂(Q)からなる請求項1〜4のいずれかに記載の透明導電性フィルム。
- 高分子フィルムがポリカーボネートを主成分とする請求項1〜5のいずれかに記載の透明導電性フィルム。
- 透明導電層が、インジウム酸化物を主成分とし、錫及び亜鉛から選ばれた1種以上の酸化物を含む請求項1〜10のいずれかに記載の透明導電性フィルム。
- 上記式(1)で示される単位を20〜100重量%含むアクリル系ポリマーからなる有機層である請求項1〜11のいずれかに記載の透明導電性フィルム。
- 無機層が、Si、Al及びMgからなる群から選ばれる少なくとも一種の酸化物を含む請求項1〜12のいずれかに記載の透明導電性フィルム。
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