JP4429199B2 - 複層塗膜形成方法およびこれに用いる塗料 - Google Patents
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Description
耐擦傷性や耐候性を向上させるべく、ii)の方法、すなわち紫外線等の活性エネルギー線を照射することにより硬化させる方法により塗膜を形成する技術としては、これまでに、分子内に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有するポリ(メタ)アクリレート、分子内に6個以上の(メタ)アクリロイル基を有するウレタンポリ(メタ)アクリレート、紫外線吸収剤、光安定剤および光重合開始剤を特定量含有してなる紫外線硬化型液状組成物により塗膜(1コート塗膜)を形成したのちに、活性エネルギー線の照射により硬化させる方法(特許文献1参照)が報告されている。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、活性エネルギー線による硬化で作業効率良く耐候性および耐擦傷性に優れた塗膜を形成することができる複層塗膜形成方法と該方法に用いうる塗料を提供することにある。
本発明にかかる塗料は、活性エネルギー線により硬化するプラスチック基材用下塗り塗料であって、側鎖に二重結合基を有する(メタ)アクリル樹脂(A)、多官能(メタ)アクリレート(B)、(メタ)アクリロイル基を有する紫外線吸収剤(C)および光重合開始剤(D)を必須成分とし、かつ、前記(メタ)アクリル樹脂(A)は重量平均分子量が5,000〜50,000の樹脂の側鎖に二重結合基を二重結合基当量600〜2400となるよう付加したものであって、前記(メタ)アクリル樹脂(A)と前記多官能(メタ)アクリレート(B)の固形分割合が(A)/(B)=10/90〜50/50(質量比)であり、前記(メタ)アクリル樹脂(A)と前記多官能(メタ)アクリレート(B)の合計固形分100質量部に対する固形分割合で、前記紫外線吸収剤(C)が5〜15質量部、前記光重合開始剤(D)が3〜10質量部である、ことを特徴とする。
以下、まず、本発明にかかる複層塗膜形成方法に用いうる塗料(下塗り塗料)について説明し、その後、本発明にかかる複層塗膜形成方法について詳しく述べる。
〔塗料〕
本発明にかかる塗料は、活性エネルギー線により硬化するプラスチック基材用下塗り塗料であって、側鎖に二重結合基を有する(メタ)アクリル樹脂(A)、多官能(メタ)アクリレート(B)、(メタ)アクリロイル基を有する紫外線吸収剤(C)および光重合開始剤(D)を必須成分とする。
前記(メタ)アクリル樹脂a1としては、特に制限はなく、一般に用いられる(メタ)アクリル系モノマーおよび必要に応じて他のエチレン不飽和モノマーからなる単量体成分を(共)重合させることにより得られる(共)重合体が挙げられる。
前記(メタ)アクリル樹脂a1は、前述した任意の単量体成分を公知の方法で(共)重合させることにより得ることができるが、(メタ)アクリル樹脂a1に有機物質a2を付加させるためには、(メタ)アクリル樹脂a1に、例えば、ヒドロキシル基、カルボキシル基、グリシジル基、イソシアナート基等の官能基を持たせることが必要であり、これら官能基を有するモノマーを適宜単量体成分として選択することが重要である。例えば、(メタ)アクリル樹脂a1にヒドロキシル基を持たせる場合、(メタ)アクリル酸の2−ヒドロキシエチルエステルやこれらとカプロラクトンとの開環付加物等のヒドロキシル基含有モノマーを選択すればよく、(メタ)アクリル樹脂a1にカルボキシル基を持たせる場合、(メタ)アクリル酸やイタコン酸等のカルボキシル基含有モノマーを選択すればよく、(メタ)アクリル樹脂a1にグリシジル基を持たせる場合、(メタ)アクリル酸のグリシジルエステル等のグリシジル基含有モノマーを選択すればよい。
(メタ)アクリル樹脂a1の重量平均分子量が5,000〜50,000であることが好ましく、より好ましくは7,000〜45,000である。(メタ)アクリル樹脂a1の重量平均分子量が5,000未満であると、架橋密度を少々高くしても塗膜の凝集力が低く密着性が不充分になる恐れがあり、一方、50,000を超えると、塗料粘度が高くなるため多量の希釈剤を用いて粘度を下げることが必要となり、その結果、塗装時の固形分が極端に低くなってタレが生じたり、分子量が高すぎて膜の平滑性が得られない恐れがある。
多官能(メタ)アクリレート(B)としては、2官能以上のアクリレートであれば、特に制限はない。具体的には、2官能アクリレートとしては、例えば、二重結合基とイソシアナート基を持ったジオール化合物(例えば、ジオール化合物と2−イソシアナートエチル(メタ)アクリレートとの当モル反応物など)、二重結合基とグリシジル基を持ったジカルボン酸化合物(例えば、マレイン酸やアジピン酸のような脂肪族2塩基、フタール酸やテレフタール酸のような芳香族2塩基酸等とグリシジル(メタ)アクリレートとの反応物など)等が挙げられる。3官能以上のアクリレートとしては、例えば、分子内に3個以上の水酸基を有する化合物と(メタ)アクリル酸とのエステル化物(例えば、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ジトリメチロールエタン等と(メタ)アクリル酸との反応物など)、ウレタンアクリレート類(分子内に3個以上の水酸基を有する化合物と2−イソシアナートエチル(メタ)アクリレートとの当量反応物など)等が挙げられる。
(メタ)アクリロイル基含有紫外線吸収剤(C)の含有量は、前記アクリル樹脂(A)と前記多官能(メタ)アクリレート(B)の合計固形分100質量部に対して、固形分として5〜15質量部であることが好ましい。より好ましくは、7〜13質量部である。5質量部未満であると、耐候性が不充分となる恐れがあり、一方、15質量部を超えると、活性エネルギー線による硬化が著しく阻害され、耐侯性や基材への密着性が低下する恐れがある。
本発明にかかる塗料には、必須成分である前記(A)〜(D)のほかに、必要に応じて、有機溶剤、光安定剤、酸化防止剤、黄変防止剤、ブルーイング剤、顔料、レベリング剤、消泡剤、増粘剤、沈降防止剤、帯電防止剤、防曇剤等を、本発明の効果を損なわない範囲で適宜配合することができる。
〔複層塗膜形成方法〕
本発明にかかる複層塗膜形成方法は、プラスチック基材上に活性エネルギー線により硬化する下塗り塗料にて下地塗膜を形成し、該下地塗膜上に活性エネルギー線により硬化するクリヤー塗料にてクリヤー塗膜を形成するものである。
本発明にかかる複層塗膜形成方法において、クリヤー塗料としては、活性エネルギー線により硬化しうるものであれば、特に制限はなく、従来公知の活性エネルギー線硬化型クリヤー塗料を用いることができるのであるが、好ましくは、ウレタンアクリレート、(メタ)アクリレート変性コロイダルシリカ、紫外線吸収剤、光安定剤および光重合開始剤を必須成分とするクリヤー塗料(以下、該クリヤー塗料を「好ましいクリヤー塗料」と称する)がよい。
好ましいクリヤー塗料において用いることのできる紫外線吸収剤としては、特に制限はなく、一般に用いられている紫外線吸収剤が挙げられる。具体的には、例えば、フェニルサリシレート、4−t−ブチルフェニルサリシレート、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシルベンゾエート、4−t−オクチルフェニルサリシレート等のサリシレート系紫外線吸収剤;2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシベンゾフェノン、ビス(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)メタン、2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4,4′−ジメトキシベンゾフェノン、2,2′,4,4′−テトラヒドロキシベンゾフェノン、4−ドデシルオキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2′−カルボキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(2−メタクリロイルオキシエトキシ)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤;2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2′−ヒドロキシ−3′,5′−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−t−ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−アミル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−5′−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2′−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2N−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]等のベンゾリトアゾール系紫外線吸収剤;等や、市販品では、ベンゾフェノン系のシーソーブ103(シプロ化成社製)、ベンゾトリアゾール系のチヌビン1130(チバスペシャリティケイカルズ社製)等が挙げられる。これらの中でも特に、フェニルサリシレート、4−t−ブチルフェニルサリシレート、4−t−オクチルフェニルサリシレート、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンゾフェノン、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2′−ヒドロキシ−3′,5′−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−アミル)ベンゾトリアゾールが好ましい。また、好ましいクリヤー塗料において、本発明にかかる塗料(下塗り塗料)における必須成分として前述した(メタ)アクリロイル基含有紫外線吸収剤(C)を用いることもできる。
好ましいクリヤー塗料における各必須成分の含有割合は、特に制限されるものではなく、従来公知の技術に従って適宜設定すればよい。また、好ましいクリヤー塗料には、必要に応じて、有機溶剤、酸化防止剤、黄変防止剤、ブルーイング剤、顔料、レベリング剤、消泡剤、増粘剤、沈降防止剤、帯電防止剤、防曇剤等を適宜含有させることもできる。
本発明にかかる複層塗膜形成方法は、具体的には、例えば、プラスチック基材上に下塗り塗料を塗装し、活性エネルギー線を照射することにより下地塗膜を形成したのち、該下地塗膜上にクリヤー塗料を塗装し、活性エネルギー線を照射することによりクリヤー塗膜を形成する。
下塗り塗料および/またはクリヤー塗料が溶剤を含む場合には、各塗料を塗装後、活性エネルギー線を照射する前に、溶剤を除去しておくことが望ましい。溶剤が残存している状態で活性エネルギー線を照射して硬化させると、形成される下地塗膜もしくは複層塗膜にチヂミが発生したり、耐温水性や耐候性が低下して塗膜が白化し易くなる恐れがあるからである。
本発明にかかる複層塗膜形成方法において、クリヤー塗膜の膜厚(硬化後の膜厚)は、3〜15μmとすることが好ましく、5〜10μmとすることがより好ましい。クリヤー塗膜の膜厚が3μm未満であると、酸素による硬化阻害の影響を受けやすくなり、耐擦傷性が不充分になる恐れがあり、一方、15μmを超えると、活性エネルギー線が下地塗膜に接する側まで充分に届きにくくなるため、下地塗膜に接する部分の架橋密度が低くなり、耐侯性や下地塗膜との層間密着性が低下する恐れがある。
実施例において得られた複層塗膜および比較例で得られた1コート塗膜は、以下の方法により評価した。
<耐擦傷性>
得られた複層塗膜付き基材から10cm角の試験片を作製し、該試験片の塗膜部分の透過光の量を濁度計(日本電色工業社製「NDH2000」)を用いて測定し(この値をY0とする)、次いで、同部分にJIS−K−5600−5−9に基づくテーパー磨耗試験(荷重500g、500回転)を施したのち、磨耗部分の透過光を上記と同様にして測定し(この値をYmとする)、Ym−Y0で求められる値をヘイズ値として、下記の基準で評価した。
△:ヘイズ値が10を超え20未満である
×:ヘイズ値が20以上である
<初期密着性>
得られた複層塗膜に2mm間隔で碁盤目状に基材に達するまでの切り込みを入れて100個の桝目を作成し、その上にセロハンテープを貼り付けたのち該テープを一気に剥がし、塗膜の剥離状態をルーペ(10倍率)にて観察して、下記の基準で評価した。詳しくは、層間密着性については下地塗膜とクリヤー塗膜間の剥離状態を観察することにより、対基材密着性については基材と下地塗膜間の剥離状態を観察することにより、評価した。
△:碁盤目状の切り込みに沿って僅かに剥離が認められる
×:桝目1個以上の剥離が認められる
<耐温水密着性>
得られた複層塗膜を40℃の恒温水槽に500時間浸漬したのち、引き上げて1時間室温で放置して乾燥させ、その後、初期密着性の評価方法と同様にして、切り込みを入れた塗膜に貼り付けたセロハンテープを一気に剥がし、塗膜の剥離状態を目視にて観察して、下記の基準で評価した。
△:碁盤目状の切り込みに沿って僅かに剥離が認められる
×:桝目1個以上の剥離が認められる
<耐侯性>
得られた複層塗膜をダイプラメタルウェザオ(ダイプラウィンテス社製)を用いた次の耐侯性試験に供したのち、塗膜の外観(クラック、剥離、艶引けの有無)を目視にて観察して、下記の基準で評価した。耐侯性試験は、Lモード(90mW/cm2照射、ブラックパネル温度63.5℃)4時間、Rモード(90%RH、ブラックパネル温度70℃)4時間、およびDモード(95%RH、ブラックパネル温度30℃)4時間の計12時間を1サイクルとし、50サイクル行った。なお、各サイクルにおいて、DモードおよびLモード開始時には、塗膜表面に15秒間の水スプレーを施した。
△:クラックや剥離は認められないが、艶引けが顕著である
×:クラックや剥離が認められ、艶引けも顕著である
<耐熱性>
得られた複層塗膜を80℃の恒温器内で720時間放置したのち、取り出して、初期密着性の評価方法と同様にして、切り込みを入れた塗膜に貼り付けたセロハンテープを一気に剥がし、塗膜の剥離状態を目視にて観察して、下記の基準で評価した。
○:全く剥離が認められない
△:碁盤目状の切り込みに沿って僅かに剥離が認められる
×:桝目1個以上の剥離が認められる
〔製造例1〕
(アクリル樹脂重合)
攪拌機、窒素導入管、冷却管、滴下装置、サーモスタット付き加熱装置を備えた1リットルの反応容器内に、プロピレングリコールモノメチルエーテル(以下「PGM」と称する)200gを入れ、窒素雰囲気下で140℃まで加温した。次いで、イソボロニルメタクリレート118g、メチルメタクリレート60g、2−エチルヘキシルアクリレート10g、メタクリル酸12gおよびPGM160gからなるモノマー混合液と、重合開始剤としてのt−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート6gおよびPGM93gからなる開始剤液Aとを、同時にそれぞれ3時間かけて等速で滴下したのち、140℃で1時間保持した。その後、さらに、重合開始剤としてのt−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート0.4gおよびPGM16.8gからなる開始剤液Bを1時間かけて等速で滴下して、カルボキシル基含有アクリル樹脂溶液(a1)を得た。該カルボキシル基含有アクリル樹脂溶液(a1)の重量平均分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にて測定したところ、ポリスチレン換算で20,000であった。
次いで、得られたカルボキシル基含有アクリル樹脂溶液(a1)に、テトラブチルアンモニウムブロマイド1.5g、ハイドロキノン0.2gおよびPGM3.3gからなる溶液Cを加え、樹脂液中に空気をバブリングしながら樹脂液温を110℃にし、さらに、4−ヒドロキシ−ブチルグリシジルエーテルアクリレート14gおよびPGM35gからなる溶液Dを1時間かけて等速で滴下したのち、5時間同温度で熟成し、側鎖に二重結合基を有するアクリル樹脂溶液(A1)を得た。得られたアクリル樹脂溶液(A1)の固形分および二重結合当量は表1に示す。
製造例1において使用した各原料の使用量を表1に示すように変更したこと(表1中に示す各成分の値は「g」である)以外は、製造例1のアクリル樹脂重合と同様の手法でカルボキシル基含有アクリル樹脂溶液(a1)、(a2)を得、さらに製造例1の二重結合導入と同様の手法で側鎖に二重結合基を有するアクリル樹脂の溶液(A2)、(A3)を得た。得られたアクリル樹脂溶液(A2)、(A3)の固形分および二重結合当量は表1に示す。また、製造例1と同様にして、カルボキシル基含有アクリル樹脂溶液(a1)、(a2)の重量平均分子量を測定した結果も表1に併せて示す。
(アクリル樹脂重合)
製造例1のアクリル樹脂重合において使用した各原料の使用量を表2に示すように変更したこと(表2中に示す各成分の値は「g」である)以外は、製造例1のアクリル樹脂重合と同様の手法で、固形分50%のヒドロキシル基含有アクリル樹脂溶液(a4−1)を得た。なお、製造例4においては、製造例1におけるメタクリル酸の代わりに2−ヒドロキシエチルアクリレートを用いた。製造例1と同様にして、ヒドロキシル基含有アクリル樹脂溶液(a4−1)の重量平均分子量を測定した結果を表2に示す。
まず、攪拌機、空気導入管、冷却管、滴下装置、サーモスタット付き加熱装置を備えた反応容器内に、イソホロンジイソシアナート222g(1モル)、ジブチルスズラウレート0.2gおよび酢酸ブチル222gを仕込み、空気を吹き込みながら、内部温度を60℃にし、同温度を保持しながら、さらに、2−ヒドロキシエチルアクリレート116g(1モル)、ハイドロキノン0.3gおよび酢酸ブチル116gからなる混合液を2時間かけて滴下した。その後、1時間同温度で熟成して、アクリロイル基とイソシアナート基を含有する付加物を50%濃度で含む溶液(a4−2)を得た。
〔製造例5〕
(アクリル樹脂重合)
製造例1のアクリル樹脂重合において使用した各原料の使用量を表2に示すように変更したこと(表2中に示す各成分の値は「g」である)以外は、製造例1のアクリル樹脂重合と同様の手法で、固形分50%のヒドロキシル基含有アクリル樹脂溶液(a5)を得た。なお、製造例5においては、製造例1におけるメタクリル酸の代わりに2−ヒドロキシエチルアクリレートを用いた。製造例1と同様にして、ヒドロキシル基含有アクリル樹脂溶液(a5)の重量平均分子量を測定した結果を表2に示す。
次に、攪拌機、空気導入管、冷却管、滴下装置、サーモスタット付き加熱装置を備えた反応容器内に、上記溶液(a5)400g、ジブチルスズラウレート0.2gおよび重合禁止剤としてのハイドロキノン0.2gを仕込み、内部温度を80℃にしたのちに、同温度を維持し、空気を吹き込みながら、アクリロイル基含有イソシアナート(昭和電工社製「カレンズAOI」)17gおよび酢酸ブチル17gの混合液を1時間かけて滴下し、その後、IR測定でイソシアナート基の吸収が認められなくなるまで攪拌を続けて、アクリル樹脂溶液(A5)を得た。得られたアクリル樹脂溶液(A5)の固形分および二重結合当量は表2に示す。
製造例4において使用した各原料の使用量を表2に示すように変更したこと(表2中に示す各成分の値は「g」である)以外は、製造例4と同様にして(すなわち製造例1のアクリル樹脂重合と同様の手法で)、ヒドロキシル基含有アクリル樹脂溶液(a6)、(a7)を得、さらに製造例4の二重結合導入と同様の手法で、側鎖に二重結合基を有するアクリル樹脂の溶液(A6)、(A7)を得た。得られたアクリル樹脂溶液(A6)、(a7)の固形分および二重結合当量は表2に示す。また、製造例1と同様にして、ヒドロキシル基含有アクリル樹脂溶液(a6)、(a7)の重量平均分子量を測定した結果も表2に併せて示す。
(下塗り塗料の製造)
表3〜5に示す各成分を各表にそれぞれ示す配合割合(表3〜5中に示す各成分の値は「部」である)で混合して充分に攪拌して、下塗り塗料を得た。用いた各成分の詳細は、以下の通りである。
(メタ)アクリル樹脂(A):製造例1〜7で得られたアクリル樹脂溶液(A1)〜(A7)のいずれか1種
多官能(メタ)アクリレート(B):ダイセルユーシービー社製「エベクリル1290」、固形分100%
(メタ)アクリロイル基含有紫外線吸収剤(C):大塚化学社製「RUVA−93」
光重合開始剤(D):ベンゾフェノン/チバスペシャリティケミカルズ社製「イルガキュア819」=1/3(質量比)からなる混合物、固形分100%
光安定剤:チバスペシャリティケミカルズ社製「チヌビン123」、固形分100%
PGM
(クリヤー塗料の製造)
以下のようにしてウレタンアクリレートを製造した。まず、多価アルコールとしてペンタエリスリトール136g(1モル)、多価カルボン酸としてヘキサヒドロ無水フタール酸(新日本理化社製「リカシッドHH」)603g(3.92モル)、およびキシレン80mLを2L4つ口フラスコに入れ、窒素パージしたのち、120℃で、IR分析にて無水物由来の吸収がなくなるまで(約6時間)反応させた。次いで、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコール(三菱ガス化学社製)816g(4モル)を投入し、窒素雰囲気下で200℃以上で維持し(最終的な温度は240℃であった)、酸価が10mgKOH以下になるまで(約15時間)脱水反応を行った。その後、減圧下でキシレンを除去し、ポリエステルポリオールを得た。次に、得られたポリエステルポリオール1302g、イソホロンジイソシアナート746g、ペンタエリスリトールトリアクリレート(新中村化学社製「NKエステルA−TMM−3Lnew」)2127g、重合禁止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル2.087g、ジt−ブチル−4−メチルフェノール2.087g、ジラウリン酸ジn−ブチルスズ2.087gを混合し、85〜90℃で、赤外分光分析にてNCO基の吸収がなくなるまで(約5時間)反応させた。反応後、酢酸n−ブチル1289gを加え、固形分80%のウレタンアクリレートを得た。
透明ポリカーボネート板(三菱エンジニアリングプラスチック社製、厚み3mm)に対して120℃で1時間アニールを施したのち、室温になるまで放置したものを基材とし、該基材に、表3〜5に示す配合で得た下塗り塗料を硬化後の膜厚が表3〜5に示す値となるようにエアースプレー塗装にて塗装した。その後、60℃で10分間プレヒートすることにより溶剤を揮散させたのち、120W/cmのメタルハライドランプ1灯を用いて、平行光型のランプハウスにて25cmの高さから紫外線を照射して下地塗膜を形成した。このときの紫外線積算光量は、UV−350(オーク社製)を用いて測定したところ、1000mJ/cm2 であった。
(塗料の製造)
表6に示す各成分を表6にそれぞれ示す配合割合(表6中に示す各成分の値は「部」である)で混合して充分に攪拌して、塗料を得た。用いた各成分の詳細は、表3〜5の場合と同様である。
(塗膜の形成)
透明ポリカーボネート板(三菱エンジニアリングプラスチック社製、厚み3mm)に対して120℃で1時間アニールを施したのち、室温になるまで放置したものを基材とし、該基材に、上記塗料を硬化後の膜厚が表6に示す値となるようにエアースプレー塗装にて塗装した。その後、60℃で10分間プレヒートすることにより溶剤を揮散させたのち、120W/cmのメタルハライドランプ1灯を用いて、平行光型のランプハウスにて25cmの高さから紫外線を照射して1コート塗膜を形成した。このときの紫外線積算光量は、UV−350(オーク社製)を用いて測定したところ、1000mJ/cm2 であった。
(塗膜の形成)
透明ポリカーボネート板(三菱エンジニアリングプラスチック社製、厚み3mm)に対して120℃で1時間アニールを施したのち、室温になるまで放置したものを基材とし、該基材に、市販の1コートレンズ用ハードコート塗料(日本ビーケミカル社製「K2052」)を硬化後の膜厚が表6に示す値となるようにエアースプレー塗装にて塗装した。その後、60℃で10分間プレヒートすることにより溶剤を揮散させたのち、120W/cmのメタルハライドランプ1灯を用いて、平行光型のランプハウスにて25cmの高さから紫外線を照射して1コート塗膜を形成した。このときの紫外線積算光量は、UV−350(オーク社製)を用いて測定したところ、1000mJ/cm2 であった。
Claims (3)
- プラスチック基材上に活性エネルギー線により硬化する下塗り塗料にて下地塗膜を形成し、該下地塗膜上に活性エネルギー線により硬化するクリヤー塗料にてクリヤー塗膜を形成する複層塗膜形成方法において、
前記下塗り塗料として、側鎖に二重結合基を有する(メタ)アクリル樹脂(A)、多官能(メタ)アクリレート(B)、(メタ)アクリロイル基を有する紫外線吸収剤(C)および光重合開始剤(D)を必須成分とし、かつ、前記(メタ)アクリル樹脂(A)は重量平均分子量が5,000〜50,000の樹脂の側鎖に二重結合基を二重結合基当量600〜2400となるよう付加したものであって、前記(メタ)アクリル樹脂(A)と前記多官能(メタ)アクリレート(B)の固形分割合が(A)/(B)=10/90〜50/50(質量比)であり、前記(メタ)アクリル樹脂(A)と前記多官能(メタ)アクリレート(B)の合計固形分100質量部に対する固形分割合で、前記紫外線吸収剤(C)が5〜15質量部、前記光重合開始剤(D)が3〜10質量部である、塗料を用いる、
ことを特徴とする、複層塗膜形成方法。 - 前記クリヤー塗料として、ウレタンアクリレート、(メタ)アクリレート変性コロイダルシリカ、紫外線吸収剤、光安定剤および光重合開始剤を必須成分とする塗料を用いる、請求項1に記載の複層塗膜形成方法。
- 活性エネルギー線により硬化するプラスチック基材用下塗り塗料であって、側鎖に二重結合基を有する(メタ)アクリル樹脂(A)、多官能(メタ)アクリレート(B)、(メタ)アクリロイル基を有する紫外線吸収剤(C)および光重合開始剤(D)を必須成分とし、かつ、前記(メタ)アクリル樹脂(A)は重量平均分子量が5,000〜50,000の樹脂の側鎖に二重結合基を二重結合基当量600〜2400となるよう付加したものであって、前記(メタ)アクリル樹脂(A)と前記多官能(メタ)アクリレート(B)の固形分割合が(A)/(B)=10/90〜50/50(質量比)であり、前記(メタ)アクリル樹脂(A)と前記多官能(メタ)アクリレート(B)の合計固形分100質量部に対する固形分割合で、前記紫外線吸収剤(C)が5〜15質量部、前記光重合開始剤(D)が3〜10質量部である、ことを特徴とする、塗料。
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