JP4414498B2 - 光偏向器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は光源からの光を反射し、その反射光を走査する光偏向器に関する。
【0002】
【従来の技術】
特開昭62−210418号公報は、従来の光偏向器の一例を開示しており、図29はこの公報に開示された光偏向器の構成を示している。図29に示すように、この光偏向器は、可動部10と、支持バネ14と、磁気ヨーク18と、永久磁石19とから構成されている。また、可動部10はミラー11と、ミラー支持体12と、駆動コイル13とから構成されている。
【0003】
ミラー支持体12には両端に長方形状の穴17が形成され、その穴17の中にそれぞれ磁気ヨーク18の内側端が挿入され、永久磁石19の磁極全面に対向している。またミラー11の反対側の面に、各々の穴17を囲うようにして駆動コイル13が構成されている。両駆動コイル13はともに同一形状、同一巻き数である。また支持バネ14は平らな薄板であり、一端を可動部10に両側に対称に設けられ、他端を固定部15にネジ16で固定されている。また支持バネ14のX方向の位置は、可動部10の中央にある。
【0004】
次にこの光偏向器の動作を説明する。2つの駆動コイル13に同じ大きさの電流を印加すると、駆動コイル13に流れている電流と、駆動コイル13近傍にある永久磁石19および磁気ヨーク18によって発生する磁界により、2つの駆動コイル13にY軸回りに偶力が発生する。これにより可動部10はY軸回りに揺動する。その揺動している可動部10のミラー11にレーザー光等の光を照射させることにより、ミラー11で反射したレーザー光等を走査することができる。
【0005】
また、特開平1−195414号公報は他の光偏向器の例を開示している。この例では、図30(A)に示すように、ミラー4と駆動コイル5とリガメント3とを一体形成してミラー振動子10を構成し、これをフレーム2により保持する。次に図30(B)に示すように、このフレーム2を、L字状部材8及びブロック部材9へ貼着し、励磁用の永久磁石6を取り付けることで、光偏向器を製造している。
【0006】
このように、フレーム2によってミラー振動子10をL字状部材8及びブロック部材9へ支持固定させた場合、ミラー4や駆動コイル5を挟持して支えている軟弱な2本のリガメント3を保持する上では、逆コの字型のフレーム2が欠かせない構造となる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した特開昭62−210418号公報に開示されている構成では、可動部10の穴17の存在により可動部10の剛性が低下して、高周波で駆動させた場合に不要な共振が発生しやすいという欠点がある。
【0008】
詳述すると、従来技術の磁気回路は可動部内に2つの磁気ヨーク18が挿入されていることにより、磁気ヨーク18と永久磁石19のギャップが狭いので駆動コイル13における磁束密度は強く、可動部10に発生する駆動力は大きい。しかしながら、可動部10の穴17の存在により可動部10の剛性が低下し、高周波で駆動させた場合に不要な共振が発生しやすい。
【0009】
また可動部10に穴17が開いている分、可動部10の面積が大きくなる。さらに可動部10は面積、厚みの大きいミラー支持体12の上部に面積、厚みの大きいミラー11が設置されているので、可動部10の慣性モーメントが非常に大きくなる。可動部10を高周波で駆動させる場合に慣性モーメントが大きいと、可動部10の偏向角は小さくなってしまう。
【0010】
また、上記した特開平1−195414号公報に開示されている、片側にフレーム2を有するミラー振動子10の構造においては、駆動コイル5に隣接してフレーム2が位置するために、このフレーム2の介在により駆動コイル5と永久磁石6との間の距離が大きくなってしまい、駆動コイル5へ作用する永久磁石6の磁界が低下してしまう。これによって駆動力も弱くなってしまい、駆動力の確保が困難であるという欠点がある。これを回避するために、フレーム2と駆動コイル5との間を予め大きく取って形成し、これらの間に永久磁石6を位置させることも可能であるが、フレーム2と駆動コイル5との間の距離が大きくなることによりチップサイズが大きくなり、製造コストが上昇してしまう。
【0011】
また、フレーム2を除去後にL字状部材8やブロック部材9へ支持固定させることも考えられるが、ハンドリングし難く、特性も大幅に変化してしまう等の問題がある。
【0012】
本発明はこのような課題に着目してなされたものであり、その第1の目的とするところは、可動部の剛性を向上させることによって高周波で駆動させたときでも不要な共振を発生せず、かつ駆動コイルにおける磁束密度を強めた閉磁気回路により可動部の駆動力を大きくして、少ない消費電力で大きな偏向角のとれる光偏向器を提供することにある。
【0013】
また、本発明の第2の目的は、可動板には少なくとも2個以上の弾性部材を接続し、かつ各弾性部材に接続された支持体を互いに分離しつつ、少なくとも支持体と、可動板と、弾性部材とをモノリシックに一体形成することで、小型で高効率で低消費電力かつ特性の安定した光偏向器及びその製造方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するために、本発明の第1の態様にかかる光偏向器は、半導体製造技術により、支持体と、光を反射するための鏡面が形成された可動板と、この可動板と前記支持体との間を連結し、前記可動板を偏向可能に保持する弾性部材と、前記可動板が偏向運動する際の運動端近傍を通るよう前記可動板上周縁部を周回するように設けられた平面状の駆動コイルと、が一体形成され、前記駆動コイルに対して前記可動板平面と略平行な方向に磁界を印加するための閉磁気回路を生成する磁石及び磁気ヨークとを有し、前記閉磁気回路の磁気ギャップに位置する前記駆動コイルに交流電流を印加することで駆動力を発生させ、前記弾性部材の弾性変形により可動板の偏向運動を行う光偏向器であって、前記閉磁気回路を生成する前記駆動コイルの外側において前記可動板の運動端に対向する位置に前記磁石を、前記駆動コイルの内側において前記平面状の駆動コイルが形成された面に近接する位置までの高さを持たせて配置される前記磁石及び前記磁気ヨークの少なくとも一方を、配置して前記磁気ギャップを形成する。
【0015】
また、本発明の第2の態様にかかる光偏向器は、半導体製造技術により、支持体と、光を反射するための鏡面が形成された可動板と、この可動板と前記支持体との間を連結し、前記可動板を偏向可能に保持する弾性部材と、前記可動板が偏向運動する際の運動端近傍を通るよう前記可動板上周縁部を周回するように設けられた平面状の駆動コイルと、が一体形成され、前記駆動コイルに対して前記可動板平面と略平行な方向に磁界を印加するための閉磁気回路を生成する磁石及び磁気ヨークとを有し、前記閉磁気回路の磁気ギャップに位置する前記駆動コイルに交流電流を印加することで駆動力を発生させ、前記弾性部材の弾性変形により可動板の偏向運動を行う光偏向器であって、前記可動板上に前記閉磁器回路を生成する磁性部材をさらに設け、前記閉磁気回路を生成する前記駆動コイルの外側において前記可動板の運動端に対向する位置に前記磁石を配置して前記磁気ギャップを形成する。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。図1〜図6は本発明の第1実施形態を説明するための図である。
図1は本発明の第1実施形態に係る光偏向器の平面図であり、図2は図1中のA−A′に沿った断面図、図3は図1中のB−B′に沿った断面図である。
【0023】
第1実施形態に係る光偏向器は、光偏向ミラー部100と、永久磁石108と、磁気ヨーク109、110と、固定用部材111とから構成される。光偏向ミラー部100は、可動板101と、弾性部材102と、支持体103と、駆動コイル104と、電極パッド105と、駆動コイル104が存在する駆動コイル面107の反対側にあるミラーとしての鏡面106とで構成されている。また、弾性部材102はトーションバー構造となっている。
【0024】
光偏向ミラー部100の各部において、可動板101、支持体103は主に高剛性材料であるシリコン基板等で形成することが望ましく、弾性部材102は長寿命、偏向角が大きくとれるポリイミド等の有機絶縁材料で形成することが望ましい。駆動コイル104の材料としては抵抗率の低いアルミニウム、銅等が望ましい。可動板101の駆動力を高め偏向角を大きくとるには、駆動コイル104の抵抗を低くしながら巻き数を多くし、できるだけ永久磁石108に近い位置(可動板101内においてできるだけ外側)に巻く。鏡面106の表面はシリコン基板の研磨面、あるいはその上部に薄いアルミニウムを被覆させてもよい。
【0025】
光偏向ミラー部100の製造方法の一例を簡単に説明すると、まずシリコン基板の後にシリコンエッチングするためのマスクとなる絶縁膜をスパッタリング、CVD、真空蒸着法等によって成膜し、フォトリソグラフィー法でパターン形成する。次に弾性部材102の材料となる有機絶縁材料をスピンコート、印刷法等で成膜、パターン形成し、そのあと駆動コイル104の材料である金属膜をスパッタリング、CVD、真空蒸着、印刷、メッキ法等によって成膜、パターン形成する。
【0026】
図1では駆動コイル104がむき出しになっているが、駆動コイル104の上部にさらに絶縁膜を成膜し、駆動コイル104を絶縁膜で覆う構造にしてもよい。最後に、形成した絶縁膜をマスクとしてシリコン基板をエッチングして、光偏向ミラー部100ができあがる。以上のように同一基板上に半導体製造法で作製することによって、可動板101、弾性部材102、支持体103、駆動コイル104、鏡面106をモノリシックに一体形成することができ、小型化、量産化が容易となる。
【0027】
次に上記永久磁石108及び磁気ヨーク109と110とからなる閉磁気回路について説明する。
第1実施形態では、駆動コイル104の外側において可動板101の偏向運動する端部である運動端に対向して永久磁石108を配置し、駆動コイル104の内側において可動板101に近接して磁気ヨーク110を配置することで、閉磁気回路の磁気ギャップを形成したことを特徴としている。この磁気ギャップ中に駆動コイル104が位置する。
【0028】
可動板101の駆動力を大きくするには、駆動コイル104における磁束密度を大きくする必要がある。そのため本実施形態では、永久磁石108は少なくとも可動板101のX方向幅よりも長く、着磁方向( Y方向) はできるだけ広いものにする。また、できるかぎり、永久磁石108と可動板101との距離を狭くする。さらに、永久磁石108は可動板101の駆動モーメントが最大となる位置に設けることが望ましい。
【0029】
そのため、図2に示すように、中立位置における光偏向ミラー部100の駆動コイル面107は、Z方向において永久磁石108のほぼ中央に位置するように設けられている。光偏向ミラー部100を所定の位置に固定するために、本実施形態では例えば図3に示すように、光偏向ミラー部100がベースフレーム111に装着されている。
【0030】
2つの永久磁石108はそれぞれ、2つの磁極のうち、可動板101が設けられている側と反対側(外側)の磁極を覆うように、A−A′に沿った断面において略コの字型の磁気ヨーク109によって接続されている。これによって、永久磁石108から発生する磁界の漏れを小さくし、駆動コイル104における磁束密度を大きくすることができる。
【0031】
さらに磁気ヨーク109には2つの磁気ヨーク110が設けられているが、この2つの磁気ヨーク110は、Y方向において駆動コイル104を中心にして永久磁石108が設けられている側と反対側の位置に、かつ、Z方向において、磁気ヨーク109の底面から突出し、可動板101の下面に近接する位置までの高さを持たせて配置されている。なお、磁気ヨーク110のY方向位置は駆動コイル104により近い位置に設けた方がよい。この磁気ヨーク110と永久磁石108により閉磁気回路が構成され、駆動コイルにおける磁束密度がさらに大きくなる。
【0032】
図29に示すように、磁気ヨーク18が永久磁石19の磁極に完全に対向する場合には、磁気ギャップ内の磁束密度がより大きくなることがシミュレーションにより知られているが、図2のように磁気ヨーク110が永久磁石108の磁極と一部対向する場合でも、磁気ギャップ内磁束密度の低減はほとんどなく、磁気ヨークが無い磁気回路と比較すると大きい磁束密度が得られる。
【0033】
以下に、上記した第1実施形態の作用を説明する。
電極パッド105から交流電流を印加すると、永久磁石108近傍の駆動コイル104に流れるX方向の電流と、永久磁石108から発生するY方向の磁界の相互作用により、永久磁石108近傍の駆動コイル104にZ方向にローレンツ力が発生する。両側にある永久磁石108の極性を同一方向にすれば、それぞれの永久磁石108近傍の駆動コイル104のローレンツ力は逆向きに働き、可動板101は弾性部材102のX方向を中心軸として揺動する。
【0034】
可動板101の駆動力を大きくするには駆動コイル104に印加する交流電流を大きくすればよいが、その分、消費電力も大きくなる。従って可動板101の偏向角を大きくするには、駆動コイル104における磁束密度をできるだけ大きくすることが必要となる。
【0035】
以上のように、第1実施形態は可動板101に穴を設けていないので、可動板101の剛性が高くなる。これによって、高周波で駆動させたときでも不要な共振が発生せず、スムーズな振動が得られる。また可動板101の慣性モーメントが低減されることにより高周波駆動でも偏向角が大きくとれ、かつ駆動コイル104近傍に設けられた、永久磁石108と磁気ヨーク110からなる閉磁気回路により駆動コイル104における磁束密度が大きくなるので、少ない消費電力で大きな偏向角のとれるトーションバー構造の光偏向器が得られる。また、磁気ヨーク110は、可動板101の振幅が必要以上に大きくなった場合、ストッパーとしての機能も持ち合わせている。
【0036】
光偏向装置としての機能は、可動板101の鏡面106にレーザー光等の光を照射しながら可動板101を揺動させ、反射光を走査する。
また本実施形態における閉磁気回路は図1に示したものに限定されるものではなく、例えば図4に示されるように、磁気ヨーク109を分離してなる2つの閉磁気回路でも同様の効果が得られる。
【0037】
また本実施形態における閉磁気回路は、図5に示されるように、永久磁石108の着磁方向がZ方向になるように構成してもよい。ただしこの場合、駆動力を確保するには、中立位置における光偏向ミラー部100の駆動コイル面107は永久磁石108の上端に近い位置に設けることが望ましい。
【0038】
また本実施形態における閉磁気回路は図6に示されるように、Y方向において駆動コイル104を中心にして永久磁石108が設けられている側と反対側の位置に2つの永久磁石112、さらにそれぞれの上部に磁気ヨーク113を設ける構成、或いは、永久磁石112のみの構成にしてもよい。ただし永久磁石112および磁気ヨーク113のY方向の位置が、駆動コイル104に近いと、駆動コイル104における磁束密度の向きがZ方向になってしまうので、Y方向の磁界を大きく発生させるためには、駆動コイル104からある程度離れた位置に永久磁石112と磁気ヨーク113を設置するのが望ましい。
【0039】
以下に本発明の第2実施形態を説明する。図7は第2実施形態に係る光偏向器の平面図であり、図8は、図7のA−A′に沿った断面図である。図7、図8に示すように、第2実施形態では弾性部材202は片持ち構造になっている。各部の符号200〜209、211は順に、第1実施形態で用いた参照符号100〜109、111に対応しており、同一のものを参照している。また、製造方法も第1実施形態と同様に、光偏向ミラー部200の各部は同一基板上に構成されている。
【0040】
第2実施形態の可動板201の駆動は以下の通りである。電極パッド205から交流電流を印加すると、永久磁石208近傍の駆動コイル204に流れるX方向の電流と、永久磁石208から発生するY方向の磁界の相互作用により、永久磁石208近傍の駆動コイル204にZ方向にローレンツ力が発生するが、可動板201は片持ち構造のため、並進のみでなく回転成分も有する振動となる。
【0041】
この場合、永久磁石208側の駆動コイル204辺と弾性部材202側の駆動コイル204辺の電流は逆向きになるので、それぞれの駆動コイル204のローレンツ力は逆方向になる。可動板201の偏向角を大きくするには、永久磁石208側の駆動コイル204における磁束密度をなるべく大きく、弾性部材202側の駆動コイル204における磁束密度はなるべく小さくしなければならない。そのため駆動コイル204は可動板201内でなるべく外側に設けるのが望ましい。またもちろん永久磁石208は可動板201にできるだけ近く、中立位置における駆動コイル面207をZ方向において永久磁石208の中央付近に配置するのが望ましい。
【0042】
次に磁気ヨーク209について述べる。永久磁石208は、2つの磁極のうち、可動板201が設けられている側と反対側(外側)の磁極を覆うように磁気ヨーク209で接続することにより、永久磁石208から発生する磁界の漏れを小さくし、駆動コイル204における磁束密度を大きくすることができる。また磁気ヨーク209は、Y方向において駆動コイル204を中心にして、永久磁石208が設けられている側と反対側の位置に設けられ、かつ、Z方向において、磁気ヨーク209の底面から突出し、可動板201の下面に近接する位置までの高さを持たせて配置されている。
【0043】
磁気ヨーク209のY方向位置は駆動コイル204により近い位置にした方がよい。この磁気ヨーク209と永久磁石208により、閉磁気回路が構成され、磁気ギャップに位置する駆動コイル204における磁束密度がさらに大きくなる。
【0044】
上記した第2実施形態によれば、第1実施形態と同様に、可動板の剛性が高くなることにより、高周波で駆動させたときでも不要な共振が発生せず、スムーズな振動が得られる。また可動板の慣性モーメントが低減されることにより高周波駆動でも偏向角が大きくとれ、かつ駆動コイル204近傍に設けられた、永久磁石および磁気ヨーク209からなる閉磁気回路により駆動コイル204における磁束密度が大きくなるので、少ない消費電力で大きな偏向角のとれる片持ち構造の光偏向装置が得られる。また、磁気ヨーク209の内側端は、可動板201の振幅が必要以上になった場合におけるストッパーとしての機能も持ち合わせている。
【0045】
また、第2実施形態における閉磁気回路は図7、図8に示したものに限定されるものではなく、例えば図9に示されるように、永久磁石208の着磁方向をZ方向にした構成や、図10に示されるように、Y方向において駆動コイル204を中心にして永久磁石208が設けられている側と反対側の位置に永久磁石122を設け、この上部にさらに磁気ヨーク213を設けたり、或いは、永久磁石112のみの構成にしても同様の効果が得られる。
【0046】
以下に本発明の第3実施形態を説明する。図11は本発明の第3実施形態に係る光偏向器の平面図であり、図12は、図11のA−A′線に沿った断面図である。各部の符号300〜309、311は順に、第1実施形態で用いた参照符号100〜109、111に対応しており、同一のものを参照している。314は磁性部材である。弾性部材302はトーションバー構造である。
【0047】
第3実施形態では、可動板301上の駆動コイル304の内側に磁性部材314をスパッタリング、真空蒸着、メッキ法、印刷法等により形成する。材料としてはNi系、Ni-Fe 合金系、Ni-Fe-Moパーマロイ系等が望ましい。
【0048】
第3実施形態では、閉磁気回路は、永久磁石308と磁気ヨーク309と磁性部材314から構成され、駆動コイル304の外側において可動板301の運動端に対向する位置に永久磁石308を配置し、磁性部材314との間に磁気ギャップを形成している。この磁気ギャップは、可動板301の両方の運動端に形成され、この両磁気ギャップ中に駆動コイル304が位置する。
【0049】
このような磁性部材314を設けることにより、2つの永久磁石308間の漏れ磁界が低減され、駆動コイル304における磁束密度がより大きくなる。さらに可動板301のZ軸方向における重心が弾性部材302の方向に近くなることにより、可動板301の振動がよりスムーズになる。ただし磁性部材314を設けると、可動板301の慣性モーメントが大きくなる。そのため可動板301がシリコン基板の場合、磁性部材314の膜厚は、可動板301の厚さの1/10以下が望ましい。
【0050】
第3実施形態においても第1、第2実施形態と同様に、可動板301の剛性が高く慣性モーメントが低減され、また磁性部材314により駆動コイル304における磁束密度がさらに大きくなり、より少ない消費電力で大きな偏向角のとれる光偏向器が得られる。また、可動板301の重心の高さが弾性部材302に近くなるので、第1、第2実施形態よりもさらにスムーズな可動板301の振動が得られる。
【0051】
以下に本発明の第4実施形態を説明する。図13は第4実施形態に係る光偏向器の平面図であり、図14は、図13のA−A′線に沿った断面図である。図13、図14に示すように、第4実施形態では弾性部材402は片持ち構造になっている。各部の符号400〜409、411、414は順に、第3実施形態で用いた参照符号300〜309、311、314に対応しており、同一のものを参照している。
【0052】
第4の実施形態では、閉磁気回路は、永久磁石408と磁気ヨーク409と磁性部材414から構成され、駆動コイル404の外側において可動板401の運動端に対向する位置に永久磁石408を配置し、磁性部材414との間に磁気ギャップを形成している。この磁気ギャップ中に駆動コイル404が位置する。
【0053】
なお、上記した第3、第4実施形態の閉磁気回路は、上記した第1、第2実施形態と同様に、永久磁石の着磁方向をZ方向にした構成や、Y方向において、駆動コイルを中心にして永久磁石が設けられた側と反対側の位置に2つあるいは1つの永久磁石と、その上部に磁気ヨークを設ける構成、或いは、永久磁石のみの構成としてもよいことは勿論である。
【0054】
以下に本発明の第5実施形態を示す。この実施形態の特徴は、トーションバー構造の両弾性部材に接続された支持体が分離されていない状態で、少ない消費電力で大きな偏向角のとれる閉磁気回路を有する光偏向器である。
【0055】
図15は第5実施形態に係る光偏向器の平面図であり、図16は図15のA−A′線に沿った断面図、図17は図15のB−B′線に沿った断面図である。各部の符号は第1実施形態で用いた参照符号に対応しており、同一のものを参照している。
【0056】
この実施形態は支持体を固定用部材に装着せず、且つ両弾性部材を接続する支持体同士を分離していない場合の光偏向器である。
本実施形態の閉磁気回路について説明する。図16に見られるように、駆動コイル104の外側において、永久磁石108を駆動コイル104に近い位置に設けるため、弾性部材102を挟むように支持体103上に永久磁石108を接着する。支持体103の存在により、駆動コイル104をZ方向において永久磁石108の着磁面の中央に配置することができないため、永久磁石108の着磁方向をY方向よりもZ方向( 可動板厚方向) にした方がはるかに駆動コイル104におけるY方向の磁束密度が大きくとれる。従って、駆動力を大きくするために永久磁石108の着磁方向はZ方向にし、できるだけ着磁幅を大きくする。また両永久磁石108の磁極の向きは互いに反対にする。
【0057】
次に永久磁石108から発生する磁界の漏れを小さくするために、2つの永久磁石108の支持体103と反対側の磁極同士を磁気ヨーク109で接続する。また第1実施例同様、Y方向において駆動コイル104を中心にして永久磁石108と反対側の位置で、かつZ方向において両弾性部材102を中心にして可動板101の両側に近接する位置に磁気ヨーク110を設ける。これにより磁気ヨーク110と永久磁石108で磁気ギャップを形成し、この磁気ギャップ中に駆動コイル104が位置することになる。なおできるだけ駆動コイル104におけるY方向の磁束密度を大きくするために、磁気ヨーク110のY方向位置は駆動コイル104に近い位置に設けた方がよい。磁気ヨーク110の存在により駆動コイル104における磁束密度がさらに大きくなる。
【0058】
以上第5実施形態により、両弾性部材102に接続された支持体103が分離されていない状態でも第1実施形態と同様、少ない消費電力で大きな偏向角のとれるトーションバー構造の光偏向装置が得られる。なお本実施形態の作用は第1実施形態と同様である。
【0059】
また第5実施形態における閉磁気回路は図16に示したものに限定されるものではなく、第1実施形態同様、図18に示されるように磁気ヨーク109を分離してなる2つの閉磁気回路でも同様の効果が得られる。
【0060】
また第5実施形態における閉磁気回路は図19に示されるように、Y方向において駆動コイル104を中心にして永久磁石108が設けられている側と反対側の位置に2つの永久磁石112、さらにそれぞれの上部に磁気ヨーク113を設ける構成にしてもよく、あるいは永久磁石112のみの構成にしてもよい。
【0061】
次に本発明の第6実施形態について説明する。図20は第6実施形態に係る光偏向器の平面図であり、図21は図20のA−A′線に沿った断面図である。各部の符号は第1実施形態で用いた参照符号に対応しており、同一のものを参照している。
【0062】
図21、図22に示すように光偏向ミラー部200は片持ち構造であり、第5実施形態同様、支持体をベースフレームに装着せず、また弾性部材に接続されている支持体と反対側の支持体を分離していない状態である。
【0063】
次に磁気回路について説明する。駆動コイル204の外側において、弾性部材202と反対側の支持体203上にZ方向に着磁した永久磁石208を接着する。次に永久磁石208から発生する磁界の漏れを小さくするために、永久磁石208の支持体203と反対側の磁極に磁気ヨーク209を接続する。また磁気ヨーク209はZ方向において可動板201に近接する位置に磁気ヨーク210を設ける。これにより磁気ヨーク210と永久磁石208で磁気ギャップを形成し、この磁気ギャップ中に駆動コイル204が位置することになる。なおできるだけ駆動コイル204におけるY方向の磁束密度を大きくするために、磁気ヨーク210のY方向位置は駆動コイル204に近い位置に設けた方が望ましい。
【0064】
以上第6実施形態により、弾性部材に接続された支持体と反対側の支持体が分離されていない状態でも第2実施形態と同様、少ない消費電力で大きな偏向角のとれる片持ち構造の光偏向装置が得られる。なお本実施形態の作用は第2実施形態と同様である。
【0065】
また第6実施形態における閉磁気回路は図21に示されるものに限定されるものでなく、第5実施形態の変形例同様、Y方向において駆動コイルを中心にして永久磁石が設けられている側と反対側の位置に永久磁石、さらにその上部に磁気ヨークを設ける構成にしてもよく、あるいは永久磁石のみの構成にしてもよい(図示せず)。
【0066】
次に第7実施形態について説明する。第7実施形態は第3実施形態同様、可動板上の駆動コイルの内側に磁性部材を設けたトーションバー構造の光偏向ミラー部で、両弾性部材に接続された支持体が分離されていない状態で、少ない消費電力で大きな偏向角のとれる閉磁気回路を有する光偏向器を特徴としている。
【0067】
第7実施形態において図12と同様の断面図を図22に示す。閉磁気回路について説明すると、駆動コイル104の外側において、両弾性部材の支持体103上にZ方向に着磁した2つの永久磁石108を接着する。次に永久磁石108から発生する磁界の漏れを小さくするために、2つの永久磁石108を接続した支持体103と反対側の永久磁石108の磁極同士を磁気ヨーク109で接続する。この閉磁気回路は永久磁石108と磁性部材で磁気ギャップを形成し、この磁気ギャップ中に駆動コイル104が位置することになる。第3実施形態同様、磁性部材を設けることにより、2つの永久磁石108間の漏れ磁界が低減され、駆動コイル104における磁束密度がより大きくなる。さらに可動板101のZ軸方向における重心を弾性部材の方向に近くすることにより可動板101の不要振動モードの発生を抑えることができる。なお本実施形態の作用は第3実施形態と同様である。
【0068】
次に第8実施形態について説明する。第8実施形態は第4実施形態同様、可動板上の駆動コイルの内側に磁性部材を設けた片持ち構造の光偏向ミラー部で、弾性部材に接続されている支持体と反対側の支持体を分離していない状態で、少ない消費電力で大きな偏向角のとれる閉磁気回路を有する光偏向器を特徴としている。
【0069】
第8実施形態において図14と同様の断面図を図23に示す。閉磁気回路について説明すると、駆動コイル204の外側において、弾性部材202と反対側の支持体203上にZ方向に着磁した永久磁石208を接着する。次に永久磁石208から発生する磁界の漏れを小さくするために、永久磁石208を接続した支持体203と反対側の永久磁石208の磁極を磁気ヨーク209で接続する。この閉磁気回路は永久磁石208と磁性部材214で磁気ギャップを形成し、この磁気ギャップ中に駆動コイル204が位置することになる。第4実施形態同様、磁性部材を設けることにより、永久磁石208と磁性部材214間の漏れ磁界が低減され、駆動コイル204における磁束密度がより大きくなる。さらに可動板201のZ軸方向における重心が弾性部材202の方向に近くなることにより可動板201の不要振動モードの発生を抑えることができる。
【0070】
なお上記の第8実施形態の閉磁気回路は上記した第6実施形態と同様、Y方向において駆動コイルを中心にして永久磁石が設けられた側と反対側の位置に永久磁石と、その上部に磁気ヨークを設ける構成、あるいは永久磁石のみの構成にしてもよいことはもちろんである。
【0071】
なお、上述した第5〜第8の実施形態では、支持体への永久磁石の固定を接着で行なっていたが、特に限定されるものではなく、例えば、ネジ止めによる固定も可能である。
【0072】
以下に本発明の第9実施形態を説明する。
図24は第9実施形態に係る光偏向器の概略構成を示す斜視図、図25(A)は図24に示す光偏向器の中心軸線であるA−A′線に沿った断面図、図25(B)は図24のB−B′線に沿った断面図である。また、図26(A)〜(I)は第9実施形態に係る光偏向器の製造工程を示す図、図27は実装工程の説明を示す図、図28は第9実施形態に係る光偏向器の変形例を示す図である。
【0073】
図24に示すように、第9実施形態に係る光偏向器は、その自由端が振動される可動板13と、この可動板13の自由端に対向配置された永久磁石15とを有している。可動板13と固定端である支持体12とは、板バネ状の弾性部材18で連結され、可動板13の表面には、ミラーとしての鏡面17が設けられている。また、可動板13には、その周縁近傍を周回するように駆動コイル16が設けられている。駆動コイル16内周部に位置する駆動コイル16の端からは、駆動コイル16を跨ぐように、配線が形成され、弾性部材18に設けられた配線を経由して電極パッド19に接続されている。一方、駆動コイル16の外周部に位置する駆動コイル16の端部は、そのまま弾性部材18に設けられた配線により電極パッド19に接続されている。光偏向器の製造工程上、配線類は同時に形成されるので、配線と駆動コイル16の端部の接続部においては、配線に段差が形成されている。
【0074】
ここで、永久磁石15は、その着磁方向が可動板13の振動方向に略垂直であって、着磁面のほぼ中心が駆動コイル16の平面に対向する位置に配置される。以下に図25(A)及び図25(B)を参照して、図24に示す光偏向器のA−A′線、B−B′線に沿った断面構造を説明する。
【0075】
図25(A)に示すように、図24の光偏向器をA−A′線に沿った断面で見ると、支持体12は、シリコン基板251、窒化シリコン膜250、第1ポリイミド層220、第2ポリイミド層230、第3ポリイミド層240を積層して構成され、一方の支持体12においては、第2ポリイミド層230上に、駆動コイル16を跨ぐ配線142及び配線142よりも膜厚の厚い電極パッド19が設けられ、第3ポリイミド層240には、電極パッド19の部分に貫通孔が形成されている。
【0076】
可動板13は支持体12の構成に加えて、第1ポリイミド層220上に駆動コイル16が設けられている構成となっている。また、弾性部材18は、第1ポリイミド層220、第2ポリイミド層230、第3ポリイミド層240を積層して構成され、一方の弾性部材18では、第2ポリイミド層230上に配線142が設けられている。シリコン基板251は、面方位が(100)面のシリコン単結晶基板が用いられる。ポリイミドは弾性を有する有機絶縁材料であり、その弾性係数は、シリコン単結晶基板と比較してかなり小さいため、第1ポリイミド層220、第2ポリイミド層230及び第3ポリイミド層240は、弾性変形可能な弾性薄膜となる。
【0077】
ここで、第3ポリイミド層240の膜厚は、第1ポリイミド層220及び第2ポリイミド層230の膜厚の和に略等しく形成されている。従って、弾性部材18において、第2ポリイミド層230上に設けられた駆動コイル16は、弾性部材18の厚み方向に略二等分の位置に配置されることになる。
【0078】
更に、一方の支持体12においては、駆動回路と接続するために、絶縁保護用のカバーレイフィルム30を付したフレキ基板20上の配線143と、支持体12上の電極パッド19とを、異方導電性接着剤320を介して接続してある。
【0079】
図25(B)に示すように、図24の光偏向器をB−B′線に沿った断面で見ると、図25(A)の可動板13の積層構造に対して、左右対称に同程度のクリアランスを挟んで、永久磁石15が磁気ヨーク14の壁面に固定されている。
【0080】
次に、このような構成を有する光偏向器の動作について説明する。
駆動コイル16には、電極パッド19を介して、図示しない電源より交流電流が印加される。駆動コイル16を流れる電流は、可動板13の自由端近傍に配置された永久磁石15が作る磁場と相互作用し、駆動コイル16は可動板13の自由端近傍で特に力を受ける。つまり、永久磁石15と駆動コイル16の一部とが、アクチュエータの働きをする。駆動コイル16を流れる電流が交流であるため、平面状の駆動コイル16が受ける力の向きは、周期的に変化する。ここで、第1ポリイミド層220、第2ポリイミド層230、第3ポリイミド層240の内、シリコン基板251と固定されていない部分は、相対的に剛性が低く、この部分が板バネ状の弾性部材18として機能し、可動板13は厚み方向に振動する。その共振周波数は、可動板13と弾性部材18の形状や材質によって一意的に決まり、この共振周波数に等しい周波数の交流電流を駆動コイル16に供給することにより、可動板13は、その電流値での最大の振幅で振動する。可動板13の鏡面17で反射される光は、可動板13によって決まっている偏向角で往復走査される。
【0081】
次に、本実施形態に係る光偏向器の製造方法について、図26(A)〜(I)を参照して説明する。
図26(A)に示すように、面方位が(100)面のシリコン基板251は、洗浄後、その表面に低圧CVD装置を用いて、窒化シリコン膜250が成膜される。下面の窒化シリコン膜250は、ドライエッチングにより部分的に除去されてパターニングされ、パターニングされた窒化シリコン膜250は、シリコン基板251から支持体12と可動板13を形成する際のマスクとして働く。また、上面の窒化シリコン膜250は、シリコン基板251から支持体12と可動板13を形成する際に、上面の窒化シリコン膜250の上部に作製される構造体を、シリコン基板のエッチングプロセスから保護する役割を有する。
【0082】
図26(B)に示すように、上面の窒化シリコン膜250の上に、第1ポリイミド層220が形成される。第1ポリイミド層220は、液状のポリイミド溶液をシリコン基板251上に、印刷法あるいはスピンコーティング法によって均一に塗布し、乾燥・硬化して成膜される。
【0083】
図26(C)に示すように、第1ポリイミド層220の上に、駆動コイル16が形成される。駆動コイル16は、スパッタリングによってアルミを成膜し、これをエッチングによってパターニングして製造される。
【0084】
図26(D)に示すように、第1ポリイミド層220の上に、駆動コイル16を覆う第2ポリイミド層230が形成される。第2ポリイミド層230は、第1ポリイミド層と同様に、液状のポリイミド溶液を第1ポリイミド層220上に均一に塗布し、乾燥・硬化して成膜される。
【0085】
図26(E)に示すように、第2ポリイミド層230の上に、配線142が形成される。配線142は、スパッタされたアルミをエッチングによりパターニングして形成される。この工程においては、図26(C)において製造した平面状の駆動コイル16を跨ぐ形で、配線142を形成するため、まず、駆動コイル16の内周部端部の上部ポリイミドをエッチングで除去し、除去部分にアルミを成膜し、パターニングによって層間の接続を取ってから、第2ポリイミド層230上にアルミを成膜し、パターニングする。
【0086】
図26(F)に示すように、第2ポリイミド層230の上に、第3ポリイミド層240が設けられる。第3ポリイミド層240は、第1、第2ポリイミド層220,230と同様に、液状ポリイミド溶液を第2ポリイミド層230上に均一に塗布し、乾燥・硬化して成膜される。第3ポリイミド層240は、弾性部材18に所定の特性を持たせるように形成されると同時に、図26(E)の工程で製造された配線142が、空気中に露出して経時変化を起こすことを防ぐ役割、及び絶縁保護の役割をする。更に、第3ポリイミド層240の厚さは、第1ポリイミド層220と第2ポリイミド層230の厚さの和に略等しく成膜され、完成状態で、弾性部材の内部に存在する配線142が、弾性部材の厚さ方向に略二等分の位置に配置される。
【0087】
更に、第3ポリイミド層240の鏡面該当部分に、マスクを介して、クロム、続いてアルミを電子シャワー方式の蒸着により成膜して、鏡面を形成する。
図26(G)に示すように、第3ポリイミド層240において、電極パッド19の上に位置する部分が、ドライエッチングにより除去される。
【0088】
図26(H)に示すように、弾性部材を形成するために、シリコン基板251の下面のパターニングされた窒化シリコン膜250をマスクにして、アルカリ性溶液を用いてシリコン基板251を、下面から異方性エッチングして除去する。この時、第1ポリイミド層220の下にある窒化シリコン膜250は、シリコン基板251がエッチングされ貫通した際に、第1ポリイミド層220を保護するマスク層として働く。
【0089】
図26(I)に示すように、第1ポリイミド層220のマスク層となった窒化シリコン膜250は、シリコン基板251のエッチング後、ドライエッチングによって除去される。その後、図示はしないが、弾性部材を形成する部分以外のポリイミド層を裏面から酸素系のドライエッチングで除去して、モノリシックな構造体が完成する。
【0090】
また、必要であれば、図26(F)の工程で鏡面を形成する代わりに、シリコン基板裏面に同様の工程で鏡面を形成してもよく、高反射率が不要な場合には、シリコン基板裏面をそのまま鏡面として使用してもよい。
【0091】
このように製作した構造体を、異方導電性接着剤を介して、駆動回路への配線が回路形成され、その表面をカバーレイフィルムで絶縁保護されているフレキ基板と、熱圧着して接続した後、図27に示すように固定用部材11に固着する。その後に、連結部40を機械的に破壊して除去し、更に、永久磁石を取り付けた磁気ヨークを固定用部材11に取り付けることにより、図24に示すような本実施形態の光偏向器が得られる。なお、連結部40が破壊し易いように、予めシリコン基板上にエッチング加工等によってスクライブライン等を入れておくことが好ましい。
【0092】
図26(A)の工程において、スクライブラインを形成する部分の窒化膜を例えば100μm幅のライン状に除去し、図26(H)におけるシリコンエッチングの際に同時にエッチングすることで、V溝状のスクライブラインが形成される。
【0093】
以上詳述した本実施形態に係る光偏向器によれば、電磁型の駆動方式により、光束径を大きく取れ、駆動コイルを可動部とすることにより、可動部が軽量化でき、高速走査が安定してできる。また、駆動コイルと永久磁石の位置をより近接化したことで、小型で高効率で低消費電力かつ特性の安定した光偏向器を提供することができる。
【0094】
また、各材料で各構成部材を別個に製作してから組み立てる様な従来の製造方法でも、可動板を保持する弾性部材の特性を調節する機構を付加すれば、ある程度の小型軽量化は可能であるが、本実施形態のように、マイクロマシニングによる微細加工技術を用いて製作することで、支持体と弾性部材と可動板とを、一連の工程で一体に形成できるため、部品点数が少なく、その後の組立工程も減らすことができ、超小型の光偏向器を大量に安価に製造することができる。更に、薄膜積層を得意とする半導体製造技術を応用しているため、より小型軽量化ができ、寸法精度を高くし、特性のばらつきが極めて少なく、調整機構も不要な光偏向器を製造することができる。また、弾性部材に、有機絶縁材料であるポリイミドを用いることにより、脆性破壊が発生しがたく、かつ大きな偏向角を得ることができる。また、駆動コイルと配線がポリイミドの表面に露出せず、内部に形成されるため、湿気や酸化による特性変化を抑えることができる。更に、両持ち梁のねじれ方式を用いることにより、位置変動の少ない安定した駆動が可能となる。
【0095】
また、鏡面と駆動コイルを有する前記構造体を固定用部材に固着してから、連結部を除去し、永久磁石を取り付けた磁気ヨークを固定用部材に取り付けたことにより、ハンドリング性が維持でき、特性も変化させることなく、かつ永久磁石への近接による高効率化も可能となる。
【0096】
なお、本実施形態では、弾性部材において、配線が厚み方向に略二等分の位置に配置されている。通常、光偏向器の動作時には、弾性部材が大きく変形し、その結果応力が発生する。配線を弾性部材の最表層に形成すると、この応力により繰り返し疲労で断線してしまうが、本実施形態のような構成にすれば、長期信頼性が得られる。
【0097】
なお、本実施形態の各構成は、上述したものには限定されず、各種の変形、変更が可能である。例えば、平面状の駆動コイルは、スパッタ成膜とエッチング加工による代わりに、メッキ加工によっても良い。この場合は、容易に配線類の厚膜化ができるため、駆動コイルの抵抗値を下げる一方で巻数を増やして、大きな偏向角を得ることができる。
【0098】
ポリイミド各層は、剛性や膨張係数等の物性、あるいは溶剤可溶型、光反応型、付加型、熱可塑型等各層への適用方法により、種々の特性を発現できる材料であるため、同一材料を用いる必要はなく、組み合わせも可能である。ポリイミドのパターニングも、レーザーアブレーションを用いる手法等も適用できる。本実施形態では、鏡面の形成は、第3ポリイミド層上に行ったが、中央部分のポリイミド層と窒化膜全てをエッチングで除去して、シリコン基板表面を露出させた上で、ここにアルミをスパッタリングで成膜しても良い。
【0099】
また、本実施形態では、可動板上部に鏡面を形成したが、広い面積が必要な場合には、可動部下表面上に、金等の金属薄膜を成膜して鏡面を形成しても良い。フレキ基板の配線と、支持体上の電極パッドとの接続は、ワイヤーボンディングして樹脂封止する方式も可能である。更に、駆動方法は、上記したような共振周波数に等しい交流電流を用いる方法に限定されず、例えば可変の周波数による駆動、直流電流による駆動で静的な位置決めを行うこと等も可能である。
【0100】
以下に本発明の第10実施形態を説明する。
図28は本発明の第10実施形態の構成を示す図である。上記した第9実施形態では、可動部13の形状が可動部13の振動軸に対して対称な矩形であったが、第10実施形態における可動部13の形状は、図28に示すように、支持体12から弾性部材18が分岐する交差線部分から、可動部13の自由端先端に向かって、可動部13の振動軸に対して対称な稜線を有する六角形とする。また、弾性部材18のサイズは、支持体12から弾性部材18が分岐する交差線部分が可動部13の全長の1/10以下になるようにする。それ以外の構成は第1実施形態と同様である。
【0101】
なお、第10実施形態における弾性部材18は、可動部13の全重量を支えるために、第9実施形態で適用した厚さよりも若干厚くするか、剛性の高いものを使用すると良い。このように、本実施形態の弾性部材18は、極力短く形成したために、可動部13の重量によって弾性部材18がたわんでしまい、可動部13の自由端位置が安定しなくなる現象を回避することができる。
【0102】
なお、上記した具体的実施形態には以下のような構成の発明が含まれている。
(1) 支持体と、
光を反射するための鏡面が形成された可動板と、
この可動板と前記支持体との間を連結し、前記可動板を偏向可能に保持する弾性部材と、
前記可動板が偏向運動する際の運動端近傍を通るよう前記可動板上にリング状に形成された駆動コイルと、
前記駆動コイルに対して前記可動板平面と略平行な方向に磁界を印加するための閉磁気回路を生成する磁石及び磁気ヨークとを有し、
前記閉磁気回路の磁気ギャップに位置する前記駆動コイルに交流電流を印加することで駆動力を発生させ、前記弾性部材の弾性変形により可動板の偏向運動を行う光偏向器において、
前記閉磁気回路を生成する前記磁石又は前記磁気ヨークを、前記駆動コイルの外側において前記可動板の運動端に対向する位置及び前記駆動コイルの内側において前記可動板に近接する位置に配置して前記磁気ギャップを形成したことを特徴とする光偏向器。
【0103】
構成(1)の光偏向器では、可動板に穴を設けていないので、可動板の剛性が高くなる。これによって、高周波で駆動させたときでも不要な共振が発生せず、スムーズな振動が得られる。また可動板の慣性モーメントが低減されることにより高周波駆動でも偏向角が大きくとれ、さらに閉磁気回路により駆動コイルにおける磁束密度が大きくなるので、従来よりも少ない消費電力で大きな偏向角のとれる光偏向器となる。また、駆動コイルの内側において可動板に近接して配置された磁石又は磁気ヨークは、可動板の振幅が必要以上になった場合にストッパーとしての機能も持ちあわせている。
【0104】
この発明に対応する実施形態は、第1,2,5,6の実施形態である。
(2) 支持体と、
光を反射するための鏡面が形成された可動板と、
この可動板と前記支持体との間を連結し、前記可動板を偏向可能に保持する弾性部材と、
前記可動板が偏向運動する際の運動端近傍を通るよう前記可動板上にリング状に形成された駆動コイルと、
前記駆動コイルに対して前記可動板平面と略平行な方向に磁界を印加するための閉磁気回路を生成する磁石及び磁気ヨークとを有し、
前記閉磁気回路の磁気ギャップに位置する前記駆動コイルに交流電流を印加することで駆動力を発生させ、前記弾性部材の弾性変形により可動板の偏向運動を行う光偏向器において、
前記可動板上に前記閉磁気回路を生成する磁性部材をさらに設け、
前記閉磁気回路を生成する前記磁石又は前記磁気ヨークを、前記磁性部材に対向する位置に配置して前記磁気ギャップを形成したことを特徴とする光偏向器。
【0105】
構成(2)の光偏向器では、可動板に穴を設けていないので、可動板の剛性が高くなる。これによって、高周波で駆動させたときでも不要な共振が発生せず、スムーズな振動が得られる。また可動板の慣性モーメントが低減されることにより高周波駆動でも偏向角が大きくとれ、さらに閉磁気回路により駆動コイルにおける磁束密度が大きくなるので、従来よりも少ない消費電力で大きな偏向角のとれる光偏向器となる。また、可動板上に閉磁気回路が存在することにより、可動板の重心が弾性部材に近づくことになり、スムーズな可動板の振動が得られる。この発明に対応する実施形態は、第3,4,7,8の実施形態である。
(3) 前記閉磁気回路を生成する前記磁石又は前記磁気ヨークを、前記駆動コイルの外側において前記可動板の運動端に対向する位置及び前記駆動コイルの内側において前記可動板に近接する位置に配置することを特徴とする構成(2)記載の光偏向器。
【0106】
構成(3)の光偏向器では、構成(2)の光偏向器と同様の作用効果を得ながら、駆動コイルの内側において可動板に近接して配置された磁石又は磁気ヨークは、可動板の振幅が必要以上になった場合にストッパーとしての機能も持ちあわせている。
【0107】
この発明に対応する実施形態は第4,8の実施形態である。
(4) 前記閉磁気回路を生成する前記磁石又は前記磁気ヨークを、前記駆動コイルの外側において前記可動板の運動端に対向する位置に配置することを特徴とする構成(2)記載の光偏向器。
【0108】
構成(4)の光偏向器では、構成(2)の光偏向器と同様の作用効果を得る。
この発明に対応する実施形態は、第3,7の実施形態である。
(5) 前記支持体、前記弾性部材、前記可動板及び前記駆動コイルがモノリシックに一体形成されていることを特徴とする構成(1)から(4)のいずれか1つに記載の光偏向器。
【0109】
構成(5)の光偏向器では、さらに、従来よりも小型でかつ製造工数が大幅に低減可能な光偏向器となる。
この発明に対応する実施形態は第1,2,3,4,5,6,7,8の実施形態である。
(6) 前記磁石は、前記可動板の駆動モーメントが最大となる位置に設けられていることを特徴とする構成(1)から(5)のいずれか1つに記載の光偏向器。
【0110】
構成(6)の光偏向器では、さらに、従来よりも少ない消費電力で大きな偏向角のとれる光偏向器となる。。
この発明に対応する実施形態は、第1,2,3,4,5,6,7,8の実施形態である。
(7) 前記可動板上に設けた磁性部材は、前記可動板に対してモノリシックに形成されていることを特徴とする構成(2)記載の光偏向器。
【0111】
構成(7)の光偏向器では、さらに、従来よりも小型でかつ製造工数が大幅に低減可能な光偏向器となる。
この発明に対応する実施形態は、第3,4,7,8の実施形態である。
(8) 前記可動板が揺動運動を行うことで前記弾性部材がねじり振動を行うように、前記可動板に対する前記弾性部材の支持方向と前記閉磁気回路による磁界の印加方向とを交差するように構成したことを特徴とする構成(1)から(7)のいずれか1つに記載の光偏向器。
【0112】
構成(8)の光偏向器では、さらに、ねじり振動を行う光偏向器となる。
この発明に対応する実施形態は、第1,3,5,7の実施形態である。
(9) 前記可動板が偏向運動を行うことで前記弾性部材が曲げ振動を行うように、前記可動板に対する前記弾性部材の支持方向と前記閉磁気回路による磁界の印加方向とがほぼ同一になるように構成したことを特徴とする構成(1)から(7)のいずれか1つに記載の光偏向器。
【0113】
構成(9)の光偏向器では、さらに、曲げ振動を行う光偏向器となる。
この発明に対応する実施形態は第2,4,6,8の実施形態である。
(10) 固定用部材と、
互いに分離するように設けられ、前記固定用部材に固定するための支持体と、
光を反射するための鏡面を有する可動板と、
前記可動板と前記支持体との間を連結する弾性部材と、
前記弾性部材を弾性変形させて前記可動板を前記支持体に対して相対的に変位させる駆動手段と、
を具備し、
少なくとも前記可動板と前記支持体と前記弾性部材とがモノリシックに一体成形されていることを特徴とする光偏向器。
【0114】
構成(10)の光偏向器では、少なくとも支持体と、可動板と、弾性部材とをモノリシックに一体形成するとともに、弾性部材を少なくとも二個以上形成して各弾性部材に接続された支持体を互いに分離させたので、アクチュエータ部分をより近接化できるようになり、より駆動力を増強でき、小型で高効率で低消費電力かつ特性の安定した光偏向器を提供することができる。
【0115】
この発明に対応する実施形態は、第1,3,5,7,9,10の実施形態である。
(11) 二個以上の前記弾性部材が、二個以上の前記支持体に固定され、前記アクチュエータの一部が前記固定用部材とは異なる支持部材に固定され、前記支持体と前記支持部材とは、前記固定用部材を介して相互に固定されていることを特徴とする構成(10)に記載の光偏向器。
【0116】
構成(11)の光偏向器では、二個以上の前記弾性部材が、二個以上の前記支持体に固定され、前記アクチュエータの一部が前記固定用部材とは異なる支持部材に固定され、前記支持体と前記支持部材とを、前記固定用部材を介して相互に固定したことにより、各ユニットを組み合わせて組み立てられるため、チップのハンドリングに優れ、形状が安定した状態で組み立て可能である。
【0117】
この発明に対応する実施形態は、第1,3,5,7,9,10の実施形態である。
(12) 前記弾性部材が、両持ち梁状に形成されていることを特徴とする構成(10)または(11)に記載の光走査装置。
【0118】
構成(12)の光偏向器では、前記弾性部材を、両持ち梁状に形成することにより、片持ち梁に比べてミラー角度や位置の不安定さが小さくなるので、安定した駆動力で大きな変位を得ることができ、高効率かつ低消費電力の光偏向器を提供することができる。
【0119】
この発明に対応する実施形態は、第1,3,5,7,9,10の実施形態である。
(13) 前記固定用部材に前記アクチュエータの一部が固定され、前記アクチュエータの一部が可動板に隣接した位置で、前記可動板を延長した面の一部を含むように配置したことを特徴とする構成(10)〜(12)のいずれか1つに記載の光偏向器。
【0120】
構成(13)の光偏向器では、前記固定用部材に前記アクチュエータの一部が固定され、前記アクチュエータの一部が可動板に隣接した位置で、前記可動板を延長した面の一部を含むように配置したことにより、より大きな駆動空間が確保できかつ大きな変位を得ることができる光偏向器を提供することができる。
【0121】
この発明に対応する実施形態は、第1,3,5,7,9,10の実施形態である。
(14) 前記固定用部材に固定された前記アクチュエータが永久磁石であり、前記可動板に固定されたアクチュエータがコイルであることを特徴とする構成(10)〜(13)のいずれか1つに記載の光偏向器。
【0122】
構成(14)の光偏向器では、前記固定用部材に固定された前記アクチュエータを永久磁石とし、前記可動板に固定されたアクチュエータをコイルとすることにより、電磁型の駆動方式で光束径を大きく取ることができ、コイルを可動部とすることで、可動部を軽量化して高速走査かつ大きな変位を安定して得ることができ、高効率で、低消費電力の光偏向器を提供できる。
【0123】
この発明に対応する実施形態は、第1,3,5,7,9,10の実施形態である。
(15) 固定用部材と、
互いに分離するように設けられ、前記固定用部材に固定するための支持体と、
光を反射するための鏡面を有する可動板と、
前記可動板と前記支持体との間を連結する弾性部材と、
前記弾性部材を弾性変形させて前記可動板を前記支持体に対して相対的に変位させる駆動手段と、
前記固定用部材に前記支持体を固定した後、除去可能なように前記支持体間を連結する連結部とを具備する光偏向器を、
少なくとも前記可動板と前記支持体と前記弾性部材と前記連結部とをモノリシックに一体成形し、
前記ユニットを前記固定用部材に固定した後、前記連結部を除去し、
当該連結部を除去した前記固定用部材に対して前記駆動手段の一部を固定配置して製造することを特徴とする光偏向器の製造方法。
【0124】
構成(15)の光偏向器では、前記可動板には少なくとも2個以上の弾性部材を接続し、かつ各弾性部材に接続された前記支持体を互いに分離しつつ、少なくとも前記支持体と、前記可動板と、前記弾性部材とを半導体製造プロセスを用いて一体のユニットに形成したので、脆弱な前記可動板や前記弾性部材に負荷を与えることなく組立作業ができ、容易に前記ユニットを前記固定用部材に固定することができる。
この発明に対応する実施形態は、第1,3,5,7,9,10の実施形態である。
【0125】
【発明の効果】
本発明によれば、可動部に穴を設ける必要性をなくしたことにより可動部の剛性を向上させたので、高周波で駆動させたときでも不要な共振を発生せず、かつ駆動コイルにおける磁束密度を強めた閉磁気回路により可動部の駆動力を大きくして、少ない消費電力で大きな偏向角のとれる光偏向器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る光偏向器の平面図である。
【図2】図1に示す光偏向器のA−A′に沿った断面図である。
【図3】図1に示す光偏向器のB−B′に沿った断面図である。
【図4】本発明の第1実施形態の変形例を示す図である。
【図5】本発明の第1実施形態の他の変形例を示す図である。
【図6】本発明の第1実施形態の他の変形例を示す図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る光偏向器の平面図である。
【図8】図7に示す光偏向器のA−A′に沿った断面図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係る光偏向器の平面図である。
【図10】本発明の第2実施形態の変形例を示す図である。
【図11】本発明の第3実施形態に係る光偏向器の平面図である。
【図12】図11に示す光偏向器のA−A′線に沿った断面図である。
【図13】本発明の第4実施形態に係る光偏向器の平面図である。
【図14】図13に示す光偏向器のA−A′線に沿った断面図である。
【図15】本発明の第5実施形態に係る光偏向器の平面図である。
【図16】図15に示す光偏向器のA−A’に沿った断面図である。
【図17】図15に示す光偏向器のB−B’に沿った断面図である。
【図18】本発明の第5実施形態の変形例を示す図である。
【図19】本発明の第5実施形態の他の変形例を示す図である。
【図20】本発明の第6実施形態に係る光偏向器の平面図である。
【図21】図20に示す光偏向器のA−A’に沿った断面図である。
【図22】本発明の第7実施形態に係る光偏向器の断面図である。
【図23】本発明の第8実施形態に係る光偏向器の断面図である。
【図24】本発明の第9実施形態に係る光偏向器の概略構成を示す斜視図である。
【図25】(A)は図24に示す光偏向器の中心軸線であるA−A′線に沿った断面図であり、(B)は図24のB−B′線に沿った断面図である。
【図26】(A)〜(I)は第9実施形態に係る光偏向器の製造工程を示す図である。
【図27】実装工程の説明を示す図である。
【図28】本発明の第10実施形態に係る光偏向器の変形例を示す図である。
【図29】従来の光偏向器の構成を示す図である。
【図30】従来の光偏向器の構成を示す図である。
【符号の説明】
100…光偏向ミラー部、
101…可動板、
102…弾性部材、
103…支持体、
104…駆動コイル、
105…電極パッド、
106…鏡面、
107…駆動コイル面、
108…永久磁石、
109、110…磁気ヨーク、
111…ベースフレーム。
Claims (2)
- 半導体製造技術により、支持体と、
光を反射するための鏡面が形成された可動板と、
この可動板と前記支持体との間を連結し、前記可動板を偏向可能に保持する弾性部材と、
前記可動板が偏向運動する際の運動端近傍を通るよう前記可動板上周縁部を周回するように設けられた平面状の駆動コイルと、が一体形成され、
前記駆動コイルに対して前記可動板平面と略平行な方向に磁界を印加するための閉磁気回路を生成する磁石及び磁気ヨークとを有し、
前記閉磁気回路の磁気ギャップに位置する前記駆動コイルに交流電流を印加することで駆動力を発生させ、前記弾性部材の弾性変形により可動板の偏向運動を行う光偏向器であって、
前記閉磁気回路を生成する前記駆動コイルの外側において前記可動板の運動端に対向する位置に前記磁石を、前記駆動コイルの内側において前記平面状の駆動コイルが形成された面に近接する位置までの高さを持たせて配置される前記磁石及び前記磁気ヨークの少なくとも一方を、配置して前記磁気ギャップを形成したことを特徴とする光偏向器。 - 半導体製造技術により、支持体と、
光を反射するための鏡面が形成された可動板と、
この可動板と前記支持体との間を連結し、前記可動板を偏向可能に保持する弾性部材と、
前記可動板が偏向運動する際の運動端近傍を通るよう前記可動板上周縁部を周回するように設けられた平面状の駆動コイルと、が一体形成され、
前記駆動コイルに対して前記可動板平面と略平行な方向に磁界を印加するための閉磁気回路を生成する磁石及び磁気ヨークとを有し、
前記閉磁気回路の磁気ギャップに位置する前記駆動コイルに交流電流を印加することで駆動力を発生させ、前記弾性部材の弾性変形により可動板の偏向運動を行う光偏向器であって、
前記可動板上に前記閉磁器回路を生成する磁性部材をさらに設け、前記閉磁気回路を生成する前記駆動コイルの外側において前記可動板の運動端に対向する位置に前記磁石を配置して前記磁気ギャップを形成したことを特徴とする光偏向器。
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