JP4403979B2 - スピーカ - Google Patents

Description

本発明は各種音響機器等に使用されるスピーカに関するものである。

スピーカには、ボイスコイルボビンに開孔を設けたものがある。このようなスピーカの従来技術を図４の側断面図により説明する。ここで２１はプレート２２、マグネット２３、ヨーク２４を接着結合した磁気回路である。２５はフレーム、２６はダンパー２７により上下動可能に支持されたボイスコイル、２８は内周をボイスコイル２６、外周をフレーム２５に結合した振動板、２９はダストキャップ、３０はボイスコイル２６に設けられた複数の開孔である。開孔３０は、ボイスコイル２６と磁気回路２１およびダストキャップ２９で形成される内部空間の空気バネを減らし、振動系を動き易くする効果がある。

また、上記内部空間で発生する音響回路の影響を減らし、明瞭度向上等の音質改善も期待できる。なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報として、例えば、特許文献１がある。
特開昭５９−７２２９８号公報

前述の特許文献１は、磁気ギャップに磁性流体を充填したスピーカの動作を改善するために、ボイスコイルボビンに開孔を設けたものであり、通常のボビン開孔とは多少状況は異なる。しかし、いずれの場合においてもこれらボビン開孔は、ボイスコイル内部の音響回路による影響を減少させ、振幅時の空気バネを減らすと同時に、空気抵抗も減少させる。フルレンジスピーカ等では空気抵抗を制動力の一部に利用しているものがあり、空気制動が不足すると大振幅時に異常音を発生することが多い。このため、空気制動を利用しているスピーカで、ボイスコイル内部音響回路の影響減少のために、ボイスコイルボビンに開孔を設けることは難しかった。

前記課題を解決するために、本発明のスピーカの請求項１に記載のものは、フレームの中央に設けられた磁気回路と、前記磁気回路の磁気ギャップに挿入されるボイスコイルと、前記フレームおよび前記ボイスコイルに固定されるダンパーと、前記フレームおよび前記ボイスコイルに固定される振動板と、前記ボイスコイルのボビンに設けられた開孔とでスピーカを構成するとともに、この開孔を前記ボイスコイルのボビン断面積に対して、０．３％以下の面積としたものである。

これにより、空気制動を利用しているスピーカにおいて、必要な制動を保ちながら、ボイスコイル内部音響回路の影響を減少させ、音質改善を実現するものである。

更に、本発明のスピーカの請求項２に記載のものは、請求項１の構成に更に、ボイスコイルのコイル部の上端部をボビンとの繋ぎ目のあるものにおいて、この繋ぎ目の隙間を塞いだものであり、隙間の影響を排除して、開孔の効果をより安定的に得られるものである。

更に、本発明のスピーカの請求項３に記載のものは、請求項１または請求項２の構成に更に開孔の位置をボイスコイルのコイル部上端からダンパー接着部下端の間に設けたものであり、これにより、請求項１または請求項２の効果に加えて開孔と外部との間をダンパーでカバーすることで、ボイスコイルの内部に異物が入ることを防ぐことができるものである。

以上のように、本発明のスピーカは、上記ボイスコイルに設けられた開孔の面積をボイスコイルのボビンの径方向の断面積に対して、０．３％以下の面積とすることで、空気制動を利用しているスピーカにおいて、必要な制動を保ちながら、ボイスコイル内部音響回路の影響を減少させ、音質改善を実現するものである。

以下、本発明の一実施の形態を図１（ａ）〜図３により説明する。

（実施の形態１）
以下、本発明のスピーカの一実施の形態を図１（ａ）の半側断面図、図１（ｂ）の要部であるボイスコイルの径方向の断面図により説明する。本実施の形態とは主として請求項１について説明するものである。

同図によると、１はプレート２、マグネット３、ヨーク４から形成される磁気回路であり、５は前記磁気回路１に接着結合されたフレームであり、８は内周をボイスコイル６に接着結合し、外周を前記フレームに接着結合した振動板である。７は前記ボイスコイル６を前記磁気回路１の磁気ギャップに嵌めあわし、上下動可能に支持するように、内周を前記ボイスコイル６に、外周を前記フレーム５に接着結合したダンパーである。９はダストキャップであり、１０はボイスコイル６に開けられた開孔であり、１１はボイスコイルにコイル線を巻回したコイル部であり、１２はボイスコイル６の径方向の断面積を示している。

なお、開孔１０はボイスコイル６の内部空間と外部を挿通しており、この開孔１０の面積は前記ボイスコイル６の径方向の断面積１２の０．３％以下と設定している。

この開孔１０をボイスコイル６の上下駆動時に空気が通過する場合、大きな空気抵抗が生じ、開孔１０による空気制動の減少は実用上無視できるとともに、ボイスコイル６の内部音響回路による影響を抑制し、音質を向上させることができる。

なお、更に、開孔１０とボイスコイル６の断面積１２との関係を維持（比例）することで、同一振幅における空気通過量と開孔面積の比を一定にできるので、ボイスコイル６の径が変わっても、開孔１０による空気制動を一定に保つことも容易に行えるものである。

以上のように、本実施の形態においては、ボイスコイル６の空気制動とボイスコイル内部音響回路の影響抑制の両立を可能としたものである。

（実施の形態２）
本発明のスピーカの他の実施の形態を図２のスピーカの要部であるボイスコイルの側面図により主に実施の形態１との相違点について説明する。本実施の形態は主として請求項２について説明するものである。

同図によると、１３はボイスコイルであり、１４はコイル線を巻回したコイル部であり、１５はこのコイル部１４のボイスコイル１３との境界の隙間部分であり、この繋ぎ部分はボイスコイル１３にコイル部１４を巻回して形成した後、ワニス等でコーティングしたものである。なお、開孔１６とボイスコイル１３の径方向の断面積の関係は、実施の形態１と同様の関係としている。

以上のように、コーティングによって繋ぎ部分の影響を抑制して、開孔１６の効果をより安定的なものにしている。

（実施の形態３）
本発明のスピーカの他の実施の形態を図３のスピーカの要部であるボイスコイルとダンパーの関係を示す側断面図により主に実施の形態１との相違点について説明する。

本実施の形態は主として請求項３について説明するものである。

同図によると、１７はボイスコイルであり、１８は内周を前記ボイスコイル１７に接着結合したダンパーであり、２０は前記ボイスコイル１７にコイル線を巻回したコイル部であり、１９はボイスコイル１７に設けられた開孔であり、この開孔１９はコイル部１７の上端からダンパー１８とボイスコイル１７の結合部までの間に設けたものである。

なお、開孔の大きさは実施の形態１と同様、ボイスコイル１７の径方向の断面積の０．３％以下に設定している。

以上のように構成した本実施の形態においては、ダンパー１８の下方に開孔１９を配置したので、ボイスコイル１７の駆動時の開孔１９を介しての空気の給排気のボイスコイル１７の内部への異物の混入を防止できるものである。

本発明はボイスコイルによる空気制動を利用するスピーカにおいて、ボイスコイルの内部音響回路の影響を抑制する場合に有用となるものである。

（ａ）本発明のスピーカの一実施の形態の半側断面図、（ｂ）同要部であるボイスコイルの径方向の断面図 同他の実施の形態の要部であるボイスコイルの側面図 同他の実施の形態の要部であるボイスコイルとダンパーを結合した状態の側面図 従来のスピーカの半側断面図

符号の説明

１ 磁気回路
２ プレート
３ マグネット
４ ヨーク
５ フレーム
６，１３，１７ ボイスコイル
７，１８ ダンパー
８ 振動板
９ センターキャップ
１０，１６，１９ 開孔
１１，１４，２０ コイル部
１２ ボイスコイル６のボビン断面積

Claims (3)

1. フレームの中央に設けられた磁気回路と、前記磁気回路の磁気ギャップに挿入されるボイスコイルと、前記フレームおよび前記ボイスコイルに固定されるダンパーと、前記フレームおよび前記ボイスコイルに固定される振動板と、前記ボイスコイルのボビンに設けられた開孔から成り、この開孔が前記ボイスコイルのボビンの径方向の断面積に対して、０．３％以下の面積であるスピーカ。
2. ボイスコイルのコイル部の上端部とボビンの繋ぎ目で形成される隙間を塞いで成る請求項１に記載のスピーカ。
3. ボビンの開孔を、ボイスコイルのコイル部上端からダンパー接着部下端の間に設けた、請求項１または請求項２に記載のスピーカ。

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