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JP4373558B2 - 芳香族ポリカーボネート樹脂組成物 - Google Patents

芳香族ポリカーボネート樹脂組成物 Download PDF

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JP4373558B2
JP4373558B2 JP2000000276A JP2000000276A JP4373558B2 JP 4373558 B2 JP4373558 B2 JP 4373558B2 JP 2000000276 A JP2000000276 A JP 2000000276A JP 2000000276 A JP2000000276 A JP 2000000276A JP 4373558 B2 JP4373558 B2 JP 4373558B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、紫外線吸収性能および透明性に優れ、併せて離型性、成形耐熱性に優れた芳香族ポリカーボネート樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
芳香族ポリカーボネート樹脂は高分子材料の中では比較的耐熱性に優れる材料である。材料の高機能化、高性能化の要求が高まる中で、多種の添加剤が用いられるようになってきたが、一般的には安定剤以外の添加剤を用いた場合、樹脂の耐熱性は低下する傾向にあり、添加量が多い場合ほど顕著である。
【0003】
樹脂の耐熱性向上のためには、これまで多くの提案がなされてきた。芳香族ポリカーボネート樹脂の耐熱性を向上させる方法として、安定剤を添加する方法が有力であるが、それ以外に、添加剤量そのものを限定する方法も提案されている。例えば、離型剤による成形耐熱性低下を抑制する方法として、特開平5−179120号公報の方法があるが、離型剤であるエステル化合物の添加量を0.1%以下に制限するものであるため、一定以上の離型性能を発揮させる必要がある場合には適用できないという問題がある。
【0004】
また、特開平2−69556号公報では可能な限り少ないOH基と可能な限り小さい酸価を有するエステルの使用を提案しており、やはり成形耐熱性向上に有用である。しかしながら、その中で提案されている0.50未満の酸価を有するエステルに関しては、製造効率が悪いためにコストがかかる問題がある。その上、離型剤中に不純物として含まれるSnなどの金属元素量と成形耐熱性との関係に関して明確な知見はなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
これまで、多くの添加剤やそれを用いた芳香族ポリカーボネート樹脂組成物が提案されてきた。ポリカーボネート樹脂製品の多種多様化が進む中で、今後も新しい添加剤の開発が必要である。同時に、既存の各添加剤、とくに内部離型剤や紫外線吸収剤に関しては、それを用いた樹脂組成物に関し、成形時の離型性を保ちつつ成形耐熱性やその他の性能を向上させることが強く求められており重要課題である。
【0006】
【課題を解決するための手段】
我々は、課題を達成するために鋭意検討した結果、驚くべきことに、リン系安定剤として特定のビフェニレンホスホナイトと特定のホスファイトを組み合わせて特定量配合すること、該リン系安定剤組成物に含まれる塩素原子あるいは塩素イオン濃度を限定すること、および、離型剤中に微量含まれる特定の金属元素量やヨウ素価等を限定することが、内部離型剤および紫外線吸収剤を添加したポリカーボネート樹脂の成形耐熱性向上に寄与することを発見し、さらに、高度の紫外線吸収性能と高度の透明性を達成すべく2種類の紫外線吸収を使用したポリカーボネート樹脂における成形耐熱性への寄与がより顕著であることを発見し、本発明に至った。
【0007】
すなわち、本発明は、(A)粘度平均分子量が10,000〜50,000の芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部、(B)下記一般式(1)で表される化合物(B−1成分)、下記一般式(2)で表される化合物(B−2成分)、下記一般式(3)で表される化合物(B−3成分)からなり、その合計を100重量%とした時、B−1成分が40〜80重量%、B−2成分が0〜25重量%およびB−3成分が5〜50重量%であって、且つ塩素原子および塩素イオン濃度が1〜11000ppmであるリン系安定剤組成物0.0001〜0.15重量部、(C)ペンタエリスリトールテトラステアレート、またはステアリン酸トリグリセリドとステアリルステアレートの混合物が90重量%以上であって、酸価が0.6〜1.6、ヨウ素価が0.1〜1.3、金属元素Snの含有量が5〜300ppmである内部離型剤0.005〜1.0重量部および(D)層厚10mm石英セルを用いて、クロロホルム溶液濃度10mg/リットルのときの吸光スペクトルにおいて、波長320〜400nmに吸収極大を有する一種以上の紫外線吸収剤0.005〜1.0重量部からなる芳香族ポリカーボネート樹脂組成物である。
【0008】
【化2】
【0009】
[式中、Ar1、Ar2はアルキル置換基があってもよい芳香族基であって、同一でも異なっていてもよい。またAr3はジアルキル置換芳香族基であって、同一でも異なっていてもよい。]
【0010】
本発明のリン系安定剤組成物はB−1成分、B−2成分およびB−3成分からなり、その合計を100重量%とした時、B−1成分が40〜80重量%、B−2成分が0〜25重量%およびB−3成分が5〜50重量%である。好ましくは、B−1成分が40〜80重量%、B−2成分が5〜25重量%およびB−3成分が5〜50重量%であり、より好ましくは、B−1成分が55〜80重量%、B−2成分が5〜25重量%およびB−3成分が5〜45重量%である。
【0011】
本発明のB−1成分の具体的例としては、テトラキス(2,4−ジ−iso−プロピルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−n−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−iso−プロピルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−n−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト等があげられ、テトラキス(ジ−tert−ブチルフェニル)−ビフェニレンジホスホナイトが好ましく、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−ビフェニレンジホスホナイトがより好ましい。このテトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−ビフェニレンジホスホナイトは、2種以上の混合物が好ましく、具体的にはテトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト(B−1−1成分)、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト(B−1−2成分)および、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト(B−1−3成分)の3種の混合物がより好ましい。また、この混合物の混合比は、B−1−1成分、B−1−2成分およびB−1−3成分を重量比で100:37〜64:4〜14の範囲が好ましく、100:40〜60:5〜11の範囲がより好ましい。
【0012】
本発明のB−2成分の具体的例としては、ビス(2,4−ジ−iso−プロピルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,4−ジ−n−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイトビス(2,6−ジ−iso−プロピルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−n−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト等があげられ、ビス(ジ−tert−ブチルフェニル)−フェニル−フェニルホスホナイトが好ましく、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−フェニル−フェニルホスホナイトがより好ましい。このビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−フェニル−フェニルホスホナイトは、2種以上の混合物が好ましく、具体的にはビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイト(B−2−1成分)および、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト(B−2−2成分)の混合物がより好ましい。また、この混合物の混合比は、B−2−1成分および、B−2−2成分を重量比で5:1〜4の範囲が好ましく、5:2〜3の範囲がより好ましい。
【0013】
本発明のB−3成分の具体的例としては、トリス(ジメチルフェニル)ホスファイト、トリス(ジエチルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ−iso−プロピルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ−n−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト等があげられ、トリス(ジアルキル置換フェニル)ホスファイトが好ましく、トリス(ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトがより好ましく、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトが特に好ましい。かかるB−3成分の化合物は1種または2種以上の混合物であってもよい。
【0014】
本発明のリン系安定剤組成物の量は、芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、0.0001〜0.15重量部の範囲であり、0.002〜0.15重量部の範囲がより好ましく、0.02〜0.1重量部の範囲が最も好ましい。
【0015】
本発明でいう「リン系安定剤組成物中に含まれる塩素原子および塩素イオン」とは、本発明のリン系安定剤組成物に含有した塩素化合物に由来するものである。その塩素化合物は、例えば、製造過程において該安定剤中に生じたり、原料の段階から存在していたものであって、かつ、精製時に除去しきれないものである。これらの塩素化合物は、具体的に、製造(反応、精製など)時に使用した塩素系溶媒、塩素系触媒、未反応塩素、副生したハロゲン化水素、副生したハロゲン化水素のアンモニウム塩やアミン塩などを挙げることができる。
【0016】
該リン系安定剤組成物に含有する塩素化合物を低減する方法には、安定剤の製造において、精製を強化する方法がある。例えば、溶媒を使用した洗浄による精製の場合、洗浄用溶媒を増やしたり、洗浄回数を多くしたり、塩素化合物を選択的に溶解しやすい溶媒を用いること等を挙げることができる。蒸留、あるいは、昇華による精製の場合は、精留塔部を長くして蒸留段数を増やして、分離能を上げる方法等がある。
【0017】
また、該リン系安定剤組成物に含有する塩素化合物を低減するために、製造における合成反応終了直後でかつ精製前の時点において、塩素化合物を少なくしておくことも有効である。例えば、使用する塩素系触媒の量を減らすこと、塩素を含まない触媒を用いること、反応溶媒として使用する塩素系溶媒の量を減らすこと、塩素系溶媒を使用しないこと、反応をより完全に完結させること等をあげることができる。反応をより完全に終結させるためには、反応時間を長くしたり、反応温度を上げたり、より活性な触媒を使用したり、原料の仕込みにおいて「塩素化合物に対するフェノール化合物のモル比」を大きくしたり、製造工程に脱塩化水素反応がある場合は、塩化水素の補足効率をあげる方法等を挙げることができる。
【0018】
また、該リン系安定剤組成物に「塩化水素と塩化水素補足剤との反応生成物」を含有する場合、これを低減するために、これまで述べた方法以外に、精製段階で除去しやすい「塩化水素と塩化水素補足剤との反応生成物」となるような塩化水素補足剤を使用すること等が挙げられる。
【0019】
該リン系安定剤の製造において、触媒として塩素系触媒を使用し、該安定剤中にこの塩素系触媒やそれに由来する塩素系化合物が残存する場合、それらを低減する方法として、これまで述べた方法以外に、精製段階で除去しやすいものを塩素系触媒として選択する方法を挙げることができる。
【0020】
該リン系安定剤の製造において、溶媒として塩素系溶媒を使用する場合、該安定剤中の塩素系溶媒を低減するには、これまで述べた方法以外に、精製段階で非塩素系の溶媒で洗浄したり、乾燥時間を延長する方法等があげられる。
【0021】
該リン系安定剤に含有する塩素化合物を低減する方法として、これまで述べた方法を安定剤の生産効率や収率を犠牲にすることなく実施するのが好ましい。しかしながら、本発明の目的を達成するためには、安定剤の生産効率や収率を犠牲にして、これまで述べた方法を実施してもよい。
【0022】
本発明における「塩素原子および塩素イオン濃度」は、任意の方法で測定することができる。例えば、化学分析法、蛍光X線法、燃焼クロル法、ヘッドスペースガスクロマトグラフィー法、パージアンドトラップガスクロマトグラフィー法をあげることができる。その中でも、特に好ましいのは、蛍光X線法であり、塩素原子と塩素イオンを同時に測定できる。
【0023】
かかる塩素原子および塩素イオン濃度は1〜11000ppmであり、好ましくは1〜8000ppmであり、より好ましくは1〜3000ppmである。
【0024】
B−1成分に含有する塩素原子および塩素イオンを完全に取除くことは工業的に困難な面があり、経済的な観点からその濃度は1〜13700ppmであり、好ましくは1〜10000ppmであり、より好ましくは1〜5500ppmである。
【0025】
B−2成分に含有する塩素原子および塩素イオンを完全に取除くことは工業的に困難な面があり、経済的な観点からその濃度は1〜20000ppmであり、好ましくは1〜14500ppmであり、より好ましくは1〜5500ppmである。
【0026】
B−3成分に含有する塩素原子および塩素イオンを完全に取除くことは工業的に困難な面があり、経済的な観点からその濃度は0.1〜50ppmであり、好ましくは0.1〜40ppmであり、より好ましくは10〜40ppmである。
【0027】
炭素数が3〜32である一価あるいは多価の脂肪族アルコールとは、直鎖状のものでも分岐状のものでもよく、iso−プロパノール、n−ヘキシルアルコール、n−ヘプチルアルコール、n−オクチルアルコール、n−ノニルアルコール、n−デシルアルコール、n−ウンデシルアルコール、ラウリルアルコール、n−トリデシルアルコール、テトラデシルアルコール、n−ペンタデシルアルコール、パルミチルアルコール、マーガリルアルコール、ステアリルアルコール、n−ノナデシルアルコール、エイコシルアルコール、セリルアルコール、ミリシルアルコ−ル、メチルペンチルアルコール、2−エチルブチルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、3.5−ジメチル−1−ヘキサノール、2,2,4−トリメチル−1−ペンタノール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、グリセリン、ジグリセリン、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等があげられる。好ましくは、ステアリルアルコール、パルミチルアルコール、ノニルアルコール、グリセリン、ペンタエリスリトールがあげられる。
【0028】
炭素数が3〜32の脂肪族カルボン酸とは、1価のカルボン酸でありn−ヘキサン酸、n−ヘプタン酸、n−オクタン酸、n−ノナン酸、n−デカン酸、n−ウンデカン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、テトラデカン酸、n−ペンタデカン酸、パルミチン酸、1−ヘプタデカン酸、ステアリン酸、n−ノナデカン酸、エイコサン酸、1−ヘキサコサン酸、ベヘン酸等があげられ、好ましくは、ステアリン酸、n−ノナデカン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ベヘン酸であり、より好ましくは、ステアリン酸である。
【0029】
本発明におけるフルエステルとは、具体的に、前述のアルコールとカルボン酸を組み合わせ得られる1種以上である。その中でも好ましいのは、ステアリルステアレート、パルミチルパルミテート、ステアリン酸トリグリセリド、ベヘン酸トリグリセリド、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ペンタエリスリトールテトラノナノネート、プロピレングリコールジステアレート、ジペンタエリスルトールヘキサステアレート等が挙げらる。
【0030】
これらのエステルの中でも、ステアリン酸トリグリセリド、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ステアリン酸トリグリセリドとステアリルステアレートの混合物が好ましく用いられ、このステアリン酸トリグリセリドとステアリルステアレートの混合物は、重量比で前者が60〜80に対して後者が20〜40の範囲が好ましい。これらのエステルの中でより好ましいのは、ペンタエリスリトールテトラステアレートである。
【0031】
本発明における酸価は、公知の方法で測定することができ、その値は、0.6〜1.6であり、好ましくは、0.6〜1.1である。酸価が1.6を超えると、ポリカーボネート樹脂に添加した場合の樹脂の成形耐熱性が低下する問題があり、0.6よりも小さくすると成形耐熱性の向上がある程度みられるもののそのような離型剤を製造するには非常に手間がかかり実用的でない。本発明におけるヨウ素価とは、公知の方法で測定することができる。その値は、0.1〜1.3であり、好ましくは0.1〜1.0である。ヨウ素価が高いと成形耐熱性が低下する問題があり、0.1よりもヨウ素価の小さい離型剤を製造するには非常に手間がかかり実用的でない。
【0032】
本発明における金属元素Snとは、本発明の離型剤を製造する際の混入により離型剤中に存在するものである。それは、製造原料の不純物、製造触媒、容器、装置等に由来するものである。その含有量は、公知の蛍光X線法で離型剤を測定することにより求めることができる。
【0033】
本発明における金属元素Snの含有量は、5〜300ppmであり、好ましくは30〜250ppmである。含有量が多くなると、離型剤を添加したポリカーボネート樹脂の成形耐熱性が低下する問題が生じ、含有量が少ない場合、成形耐熱性には有利であるが、離型剤自体の製造効率が非常に悪くなるため、コストがかかり現実的でない。
【0034】
本発明における内部離型剤とは、溶融成形時において樹脂成形品の金型からの離型性を向上させるために、樹脂組成物中に配合されるものである。かかる内部離型剤は、フルエステルが90重量%以上含まれるものであり、95%以上が好ましく、98%以上がさらに好ましい。
【0035】
本発明における内部離型剤の配合量は、芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対して0.005〜1.0重量部であり、好ましくは、0.01〜0.6重量部である。配合量が0.005重量部より少ないと芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を成形する際の離型性が不十分となる問題が生じ、1.0重量部を超えると金型付着物が増加したり、成形耐熱性が低下するなどの問題が生じる。
【0036】
本発明における紫外線吸収剤は、層厚10mm石英セルを用いて、クロロホルム溶液濃度10mg/リットルのときの吸光スペクトルにおいて、波長300〜400nmに吸収極大を有する一種以上の紫外線吸収剤であり、濃度10mg/リットルのクロロホルム溶液で層厚10mmの石英セルを用いた場合の吸光スペクトルにおいて、波長300〜345.5nmに吸収極大を有する紫外線吸収剤および同条件で波長345.5〜400nmに吸収極大を有する紫外線吸収剤の2種類を用いることが好ましい。
【0037】
本発明における波長300〜400nmに吸収極大を有する一種以上の紫外線吸収剤の添加量は、芳香族ポリカーボネート樹脂100重郎部に対して、0.005〜1.0重量部であり、好ましくは、0.01〜0.6である。0.005重量部未満では紫外吸収性能が十分でなく、0.5重量超える量配合すると加工時の発生ガス量が増えたり、成形品の色相悪化、透明性の低下が著しくなる。
【0038】
本発明に用いられるクロロホルム溶液10mg/l、層厚10mm石英セルでの吸光スペクトルにおいて、波長320〜400nmに吸収極大を有する紫外線吸収剤としては、具体的にベンゾトリアゾール系では、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジクミルフェニル)フェニルベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−4−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2,2’−メチレンビス(4−クミル−6−ベンゾトリアゾールフェニル)、2,2’−p−フェニレンビス(1,3−ベンゾオキサジン−4−オン)、2−[2−ヒドロキシ−3−(3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5−メチルフェニル]ベンゾトリアゾ−ル、トリアジン系では、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール、2−(4,6−ビス(2.4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(オクチル)オキシ]−フェノール等が挙げられ、これらを単独あるいは2種以上の混合物で用いることができる。
【0039】
これらの中でも本発明で用いられる(D−1)クロロホルム溶液10mg/l、層厚10mm石英セルでの吸光スペクトルにおいて、波長320〜345.5nmに吸収極大を有する紫外線吸収剤として具体的には、例えば2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジクミルフェニル)フェニルベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル等があげられる。
【0040】
また、本発明で用いられる(D−2)クロロホルム溶液10mg/l、層厚10mm石英セルでの吸光スペクトルにおいて、波長345.5〜400nmに吸収極大を有する紫外線吸収剤として例えば、2−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール、2−(4,6−ビス(2.4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(オクチル)オキシ]−フェノール、2−(2−ヒドロキシ−4−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル等があげられる。
【0041】
(D−1)紫外線吸収剤と(D−2)紫外線吸収剤を併用することができ、併用する場合、芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対する(D−1)紫外線吸収剤の添加量は0.05〜0.5重量部が好ましく、(D−2)紫外線吸収剤の添加量は0.01〜0.3重量が好ましい。なお下記式で表される配合比Rは、0.05〜0.7の範囲が好ましい。
R=(D−2)/(D−1)
配合比Rが0.05未満あるいは0.7を越えると、成形品の優れた紫外線吸収性能、耐熱性、透明性がバランスよく発現できなくなる。とくに好ましいのは、0.06〜0.4である。
【0042】
本発明における芳香族ポリカーボネート樹脂の分子量は、粘度平均分子量で10,000〜50,000が好ましく、14,000〜35,000がより好ましい。かかる粘度平均分子量を有する芳香族ポリカーボネート樹脂は、押出・成形加工時に比較的良好な流動性を保ちながら、得られた成形品に関して一定の機械的強度を有するので好ましい。
【0043】
本発明でいう粘度平均分子量は、塩化メチレン100mlに芳香族ポリカーボネート樹脂0.7gを20℃で溶解した溶液を用いて測定された比粘度(ηSP)を次式に挿入して求めるMを指す。
ηSP/c=[η]+0.45×[η]2c(但し[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10-40.83
c=0.7
【0044】
本発明で使用される芳香族ポリカーボネート樹脂は、二価フェノールとカーボネート前駆体とを界面重合法(溶液法)また溶融法で反応させて得られるものである。ここで使用される二価フェノールの代表的な例としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノールA)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、4,4−ジヒドロキシジフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン等が挙げられる。好ましい二価フェノールは、ビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカンであり、なかでもビスフェノールAが特に好ましい。
【0045】
カーボネート前駆体としてはカルボニルハライド、カーボネートエステルまたはハロホルメート等が使用され、具体的にはホスゲン、ジフェニルカーボネートまたは二価フェノールのジハロホルメート等が挙げられる。
【0046】
上記二価フェノールとカーボネート前駆体を界面重合法または溶融法によって反応させて芳香族ポリカーボネート樹脂を製造するに当っては、二価フェノールは単独または2種以上を使用することができ、必要に応じて触媒、末端停止剤、二価フェノールの酸化防止剤等を使用してもよい。また芳香族ポリカーボネート樹脂は三官能以上の多官能性芳香族化合物を共重合した分岐ポリカーボネート樹脂であってもよい。また、2種以上の芳香族ポリカーボネート樹脂の混合物であってもよい。
【0047】
界面重合法による反応は、通常二価フェノールとホスゲンとの反応であり、酸結合剤および有機溶媒の存在下に反応させる。酸結合剤としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物またはピリジン等のアミン化合物が用いられる。有機溶媒としては、例えば塩化メチレン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素が用いられる。また、反応促進のために例えば第三級アミンや第四級アンモニウム塩等の触媒を用いることもできる。その際、反応温度は通常0〜40℃であり、反応時間は数分〜5時間程度である。
【0048】
溶融法による反応は、通常二価フェノールとジフェニルカーボネートとのエステル交換反応であり、不活性ガスの存在下に二価フェノールとジフェニルカーボネートを混合し、減圧下通常120〜350℃で反応させる。減圧度は段階的に変化させ、最終的には133Pa以下にして生成したフェノール類を系外に除去させる。反応時間は通常1〜4時間程度である。
【0049】
また、重合反応において、末端停止剤として単官能フェノール類を使用することができる。とくにカーボネート前駆物質としてホスゲンを使用する反応の場合、単官能フェノール類は末端停止剤として分子量調節のために一般的に使用され、また得られた芳香族ポリカーボネート樹脂は、末端が単官能フェノール類に基づく基によって封鎖されているので、そうでないものと比べて熱安定性に優れている。かかる単官能フェノール類としては、ポリカーボネートの末端停止剤として使用されるものであればよく、一般にはフェノールまたは低級アルキル置換フェノールであって、下記一般式(4)で表される単官能フェノール類を示すことができる。
【0050】
【化3】
【0051】
[式中、Rは水素原子または炭素数1〜9のアルキル基もしくはフェニルアルキル基であり、mは1〜5、好ましくは1〜3の整数を示す。]
前記単官能フェノール類の具体例としては、例えばフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−クミルフェノールおよびイソオクチルフェノールが挙げられる。
【0052】
本発明の芳香族樹脂組成物には、発明の目的を損なわない範囲でブルーイング剤を配合することができる。ブルーイング剤は、樹脂組成物の黄色味を消すために有効である。とくに耐候性を付与した組成物の場合は、一定量の紫外線吸収剤が配合されているため「紫外線吸収剤の作用や色」によって樹脂製品が黄色味を帯びやすい現実があり、とくにシート製品やレンズ製品に自然な透明感を付与するためにはブルーイング剤の配合は非常に有効である。
【0053】
本発明におけるブルーイング剤の配合量は、樹脂組成物全体の0.05〜1.5ppmであり、好ましくは、0.1〜1.2ppmである。配合量多すぎると樹脂製品の青みが強くなって視感透明度が低下する。
【0054】
ブル−イング剤としては、公知のブルーイング剤を使用することができる。代表例として、バイエル社のマクロレックスバイオレットやテラゾ−ルブル−RLS等があげられるが、特に制限されるものではない。
【0055】
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物において芳香族ポリカーボネート樹脂とリン系安定剤組成物や内部離型剤、その他の配合添加剤をブレンドするには、任意の方法が採用される。例えばタンブラー、V型ブレンダー、スーパーミキサー、ナウターミキサー、バンバリーミキサー、混練ロール、押出機等で混合する方法が適宜用いられる。こうして得られた芳香族ポリカーボネート樹脂組成物パウダーやペレットのブレンド品は、そのまま又は溶融押出機で一旦ペレット状にしてから、射出成形法、押出成形法、圧縮成形法、シート押出し法等の通常知られている方法で成形品やシートにすることができる。
【0056】
リン系安定剤組成物や内部離型剤、その他の添加剤のブレンドにあたっては、一段階で実施してもよいが、二段階以上に分けて実施してもよい。二段階に分けて実施する方法には、例えば、配合予定の芳香族ポリカーボネート樹脂パウダーやペレットの一部と配合添加剤とをブレンドした後、つまり、配合添加剤を芳香族ポリカーボネート樹脂パウダーで希釈して添加剤のマスターバッチとした後、これを用いて最終的なブレンドを行う方法がある。
【0057】
例えば、一段階でブレンドする方法においては、所定量のB−1成分〜B−3成分を予め混合したものを芳香族ポリカーボネート樹脂パウダーやペレットとブレンドする方法、また、所定量のB−1成分〜B−3成分を各々別個に計量し、芳香族ポリカーボネート樹脂パウダーやペレットに順次添加後ブレンドする方法等を採用することができる。
【0058】
内部離型剤、その他の添加剤の配合にあたっては、添加剤を押出機に直接添加、注入、あるいは加熱融解後注入する方法をとることもできる。また、界面重合法においては、重合終了後の芳香族ポリカーボネート樹脂の有機溶媒溶液に安定剤組成物や内部離型剤等を添加溶解する方法も採用される。
【0059】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、評価は下記の方法で行った。
【0060】
(1)安定剤のCl含有量
蛍光X線法により、安定剤中の塩素原子および塩素イオンを測定した。
【0061】
(2)離型剤の酸価
試料をベンゼン−エタノール溶液に溶かし、指示薬にフェノールフタレインを用いて、KOH(0.1mol/l)エタノール溶液で中和滴定をする。酸価は次式により求める。
酸価(KOHmg/g)=A×f×N×56.11÷S
A: 試料の中和に要したKOH溶液のml数
f: KOHの力価
N: KOHの規定度
S: 試料重量(g)
【0062】
(3)離型剤のヨウ素価
試料3〜5gを共栓付三角フラスコに精秤して四塩化炭素10mlを加え溶解し、ウィイス液25mlを加え、密栓して静かにふりまぜ暗所に30分間放置する。その後、ヨウ化カリウム水溶液20mlおよび純水100mlを加え振り混ぜて、これを0.05mol/lのチオ硫酸ナトリウム溶液で滴定し、これを本試験とする。試料を加えないこと以外は同様にして滴定を行いこれを空試験とする。
そして、ヨウ素価は下記式
ヨウ素価=(A−B)×f×1.269÷S
[式中、Aは空試験の0.05mol/lのチオ硫酸ナトリウム溶液の使用量(ml)、
Bは本試験の0.05mol/lのチオ硫酸ナトリウム溶液の使用量(ml)、fは0.05mol/lのチオ硫酸ナトリウム溶液の力価、Sは試料採取量(g)]によって求めた。
【0063】
(4)離型剤のSn含有量測定
加圧圧縮成形により試料を直径40mm、厚み4mmの円板状とし、これについて蛍光X線測定を行った。この測定結果から試料中のSn含有量を求めるために、Sn含有量既知の試料で作成した検量線を利用した。
【0064】
(5)紫外線吸収剤の吸収極大
層厚10mm石英セルを用いて、クロロホルム溶液濃度10mg/リットルのときの吸光スペクトルから、波長300〜400μmの吸収の極大の波長を指す。
【0065】
(6)成形耐熱性
射出成形機を用いてペットを成形温度350℃、1分サイクルで「滞留前の色相測定用平板」(70mm×50mm×2mm)に成形した。さらに、シリンダ−中に樹脂を10分間滞留させた後、「滞留後の色相測定用平板」を得た。滞留前後の平板の色相を色差計により測定し、次式により色差△Eを求めた。表に示した値(△E)が小さいほど成形耐熱性が優れることを示す。
【0066】
【数1】
滞留前の色相:L、a、b
滞留後の色相:L’、a’、b’
【0067】
(7)離型荷重
住友SS75射出成形機を用いて、コップ型の成形片を成形し、離型時の突出し荷重をメモライザーにより測定した。
【0068】
(8)分光透過率
射出成形機を用いてペットを成形温度300℃、1分サイクルで1.5mm厚みの見本板に成形した。この見本板に関しを日本バリアン社製分光光度計CARY−5を用いて360〜800nmの波長領域で測定した。
【0069】
(9)視感透過率
分光透過率の値から下記式
【0070】
【数2】
【0071】
[式中、λは分光透過率、τは比視感感度、(i)は380〜780nm]によって求めた。
【0072】
実施例、比較例で用いたリン系安定剤、内部離型剤、紫外線吸収剤、ブルーイング剤は以下の通りである。
1.B−1安定剤
テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイトおよび、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイトの100:50:10(重量比)混合物
2.B−2安定剤
ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイトおよびビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイトの5:3(重量比)混合物
3.B−3安定剤
トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト(安定剤中のCl含有量20ppm)
4.TNPP安定剤
トリス(ノニルフェニル)ホスファイト
5.肪酸エステル1
ステアリン酸モノグリセリド(純度97.0重量%、Sn:400ppm、酸価:0.8、ヨウ素価:1.4)
6.脂肪酸エステル2
ステアリン酸トリグリセリドとステアリルステアレートとの混合物(混合割合は、前者が約70重量%、純度97重量%、Sn:400ppm、酸価:2.1、ヨウ素価:0.6)
7.脂肪酸エステル3
ステアリン酸トリグリセリドとステアリルステアレートとの混合物(混合割合は、前者が約70重量%、純度97重量%、Sn:220ppm、酸価:1.5、ヨウ素価:0.6)
8.脂肪酸エステル4
ペンタエリスリトールテトラステアレート(純度99重量%、Sn:700ppm、酸価:1.5、ヨウ素価:0.7)
9.脂肪酸エステル5
ペンタエリスリトールテトラステアレート(純度99重量%、Sn:330ppm、酸価:0.3、ヨウ素価:0.8)
10.脂肪酸エステル6
ペンタエリスリトールテトラステアレート(純度99重量%、Sn:150ppm、酸価:0.7、ヨウ素価:0.2)
11.紫外線吸収剤A−1
2−(2−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル(吸収極大:343μm)
12.紫外線吸収剤B−1
(3−tert−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール(吸収極大:353μm)
13.紫外線吸収剤B−2
2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール](吸収極大:353μm)
14.ブルーイング剤
1−(4−メチルフェニルアミノ)−4−ヒドロシ−9、10−アントラキノン
【0073】
[実施例1〜5、比較例1〜7]
ビスフェノールA、p−tert−ブチルフェノール(末端停止剤)とホスゲンから界面重合法により得られた粉粒状芳香族ポリカーボネート樹脂に対し、表1のようなCl含量のリン系安定剤組成物と内部離型剤、紫外線吸収剤、ブルーイング剤等を表1に示した組成の通り添加混合し、280℃で押出ペレット化後、前述の成形評価を行い、表1の評価結果を得た。
【0074】
【表1】
【0075】
【発明の効果】
内部離型剤として脂肪酸エステル化合物、さらに安定剤として特定のリン系安定剤組成物を使用した系において、該リン系安定剤組成物に含まれる塩素量を限定することにより該芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の離型性を保ちつつ、成形耐熱性、耐乾熱性および耐湿熱疲労性が同時に向上した芳香族ポリカーネート樹脂組成物を提供することにある。

Claims (4)

  1. (A)粘度平均分子量が10,000〜50,000の芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部、(B)下記一般式(1)で表される化合物(B−1成分)、下記一般式(2)で表される化合物(B−2成分)、下記一般式(3)で表される化合物(B−3成分)からなり、その合計を100重量%とした時、B−1成分が40〜80重量%、B−2成分が0〜25重量%およびB−3成分が5〜50重量%であって、且つ塩素原子および塩素イオン濃度が1〜11000ppmであるリン系安定剤組成物0.0001〜0.15重量部、(C)ペンタエリスリトールテトラステアレート、またはステアリン酸トリグリセリドとステアリルステアレートの混合物が90重量%以上であって、酸価が0.6〜1.6、ヨウ素価が0.1〜1.3、金属元素Snの含有量が5〜300ppmである内部離型剤0.005〜1.0重量部および(D)層厚10mm石英セルを用いて、クロロホルム溶液濃度10mg/リットルのときの吸光スペクトルにおいて、波長320〜400nmに吸収極大を有する一種以上の紫外線吸収剤0.005〜1.0重量部からなる芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
    [式中、Ar1、Ar2はアルキル置換基があってもよい芳香族基であって、同一でも異なっていてもよい。またAr3はジアルキル置換芳香族基であって、同一でも異なっていてもよい。]
  2. (C)ペンタエリスリトールテトラステアレートである請求項1記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
  3. 紫外線吸収剤が濃度10mg/リットルのクロロホルム溶液で層厚10mmの石英セルを用いた場合の吸光スペクトルにおいて、(D−1)波長320〜345.5nmに吸収極大を有する紫外線吸収剤および(D−2)波長345.5〜400nmに吸収極大を有する紫外線吸収剤からなる請求項1、2のいずれか1項記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
  4. 波長320〜345.5nmに吸収極大を有する紫外線吸収剤が0.05〜0.5重量部および波長345.5〜400nmに吸収極大を有する紫外線吸収剤が0.01〜0.3重量部である請求項3記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
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