本発明は、多数の演奏曲のうちから選択される所定の演奏曲を出力させる音楽再生装置に関し、特に、新しい遊びの機能を付加する改良に関する。
多数の演奏曲のうちから選択される所定の演奏曲を出力させる音楽再生装置が知られている。例えば、カラオケボックス等で使用されるカラオケ装置がそれである。斯かるカラオケ装置によれば、予め記憶装置に記憶された多数のカラオケ演奏曲から選択された所定のカラオケ演奏曲の音楽情報を出力させると共に、そのカラオケ演奏曲の歌詞情報を含む映像をその出力に同期して画面に表示させることで、所望の歌のカラオケ演奏を楽しむことができる。
ところで、線状に配設された複数の発光素子を有する表示部を備え、それら複数の発光素子が選択的に発光させられつつ前記表示部が振り動かされることにより、その振り動かされる軌跡上に残像効果による映像を表示させる映像表示装置が提案されている。例えば、特許文献1に記載された棒状表示体がそれである。この技術によれば、ビットマップ化した情報をメモリ等に記憶しておき、その情報を随時読み出して上記表示部によりビットマップの1ライン分ずつ表示させていくことで、その表示部の往復軌跡に二次元的な映像を視認可能に浮かび上がらせることができる。
しかし、前記従来の映像表示装置は、一般に利用者が手等に持って振り動かすことにより残像効果による映像を表示させるものであることから、その振り方によっては斯かる映像を好適に表示できないという不具合を有しており、前記映像表示装置を振り動かす速度乃至周期とその映像表示装置による映像の出力とが上手く同期してはじめてその映像が視認可能となるものであった。
本発明者は、新しい遊びの要素を有する音楽再生装置を開発すべく鋭意考案を重ねる中で、斯かる映像表示装置の不具合に逆説的に着目した。すなわち、演奏曲の出力と同期して表示されることが前提である歌詞文字映像等を前記映像表示装置により表示させることにより、その映像表示装置を振り動かす動作を遊びの要素として取り入れることを発想するに至った。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、新しい遊びの要素を有する音楽再生装置を提供することにある。
斯かる目的を達成するために、本発明の要旨とするところは、多数の演奏曲のうちから選択される所定の演奏曲を出力させる音楽再生装置であって、線状に配設された複数の発光素子を有する表示部を備え、それら複数の発光素子が選択的に発光させられつつ前記表示部が振り動かされることにより、その振り動かされる軌跡上に残像効果による映像を表示させる映像表示装置を有し、前記表示部が振り動かされる周期が前記演奏曲のテンポと同期する場合に、その表示部の振り動かされる軌跡上にその演奏曲の歌詞文字映像が残像効果により判読可能に表示されるように、前記複数の発光素子を選択的に発光させる表示制御を行う表示制御手段を有することを特徴とするものである。
このように、本発明によれば、線状に配設された複数の発光素子を有する表示部を備え、それら複数の発光素子が選択的に発光させられつつ前記表示部が振り動かされることにより、その振り動かされる軌跡上に残像効果による映像を表示させる映像表示装置を有し、前記表示部が振り動かされる周期が前記演奏曲のテンポと同期する場合に、その表示部の振り動かされる軌跡上にその演奏曲の歌詞文字映像が残像効果により判読可能に表示されるように、前記複数の発光素子を選択的に発光させる表示制御を行う表示制御手段を有することから、その映像表示装置を前記演奏曲のテンポに合わせて上手く振り動かすことでその演奏曲の歌詞文字映像を視認できる一方、上手く振り動かすことができなければ斯かる映像を好適には視認できないという遊びの要素を付加することができる。すなわち、新しい遊びの要素を有する音楽再生装置を提供することができる。
ここで、好適には、前記映像表示装置は、前記歌詞文字映像の表示制御に係る歌詞情報を無線により受信するための無線受信部を、前記音楽再生装置は、その歌詞情報を無線により送信するための無線送信部をそれぞれ有するものであり、前記表示制御手段は、その無線送信部及び無線受信部を介して前記制御を行うものである。このようにすれば、無線接続により前記音楽再生装置との間で通信を行うことで、前記映像表示装置を振り動かし易くなるという利点がある。
また、好適には、前記音楽再生装置は、前記演奏曲を出力するための演奏制御手段を有する携帯電話機である。このようにすれば、一般に表示部が小さく、とりわけ複数人にて演奏を行う場合には歌詞文字映像が見難いとされる携帯電話機を用いた演奏において、利用者が複数人であっても十分に視認可能な歌詞文字映像を表示させ得る実用的な遊びの要素を付加することができるという利点がある。
また、好適には、前記音楽再生装置は、前記映像表示装置及びその表示部を一体的に備えたものであり、その音楽再生装置自体が振り動かされることにより、その振り動かされる軌跡上に前記映像を表示させるものである。このようにすれば、小型で携帯性に優れると共に、利用者が複数人であっても十分に視認可能な歌詞文字映像を表示させ得るまったく新しい音楽再生装置を提供できるという利点がある。
以下、本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の音楽再生装置の一実施例であるカラオケ装置10の構成を説明するブロック線図である。この図1に示すように、本実施例のカラオケ装置10は、CRT(Cathode-ray Tube)12と、映像情報デコーダ14と、ビデオミキサ16と、アンプミキサ18と、スピーカ20と、音声入力装置であるマイクロフォン22と、操作パネル24と、中央演算処理装置であるCPU26と、ROM28と、RAM30と、記憶装置であるハードディスク32と、モデム34と、CRTコントローラ36と、上記操作パネル24等からの入力信号を処理する入出力インターフェイス38と、音源であるシンセサイザ40と、リモコン装置48をはじめとする入力装置からのリモコン信号を受信するためのリモコン受信部42と、後述する映像表示装置50に無線により情報を送信するための無線送信部44とを、備えて構成されている。
上記CPU26は、上記RAM30の一時記憶機能を利用しつつ上記ROM28に予め記憶された所定のプログラムに基づいて電子情報を処理・制御する所謂コンピュータであり、上記リモコン装置48等の操作により所定のカラオケ演奏曲が選曲された場合、その選曲されたカラオケ演奏曲を上記RAM30に設けられた予約曲リストに登録したり、その予約曲リストの演奏順に従って上記ハードディスク32から上記RAM30に選曲されたカラオケ演奏曲の演奏情報及び歌詞情報等を読み出したり、カラオケ演奏曲の演奏が進行するのに応じてそのRAM30から上記シンセサイザ40へ演奏情報を送信したり、通常のカラオケ演奏に際しては歌詞情報に基づいて歌詞文字映像を生成して上記CRTコントローラ36へ送ったり、選曲時には曲名文字映像を生成して上記CRTコントローラ36へ送ったり、上記映像情報デコーダ14を制御して所定の背景映像を再生させる等の基本的な制御を実行する。また、上記映像表示装置50を用いたカラオケ演奏に際しては後述する残像歌詞表示カラオケ演奏制御を実行する。
前記操作パネル24は、前記カラオケ装置10の利用者が歌いたいカラオケ演奏曲を選択したり、演奏曲の音程を調整したり、演奏と歌との音量バランスを調整したり、その他、エコー、音量、トーン等の各種調整を行うための操作ボタン(スイッチ)或いはつまみを備えた入力装置である。また、前記カラオケ装置10には、前記操作パネル24の一部機能を遠隔で実行するための入力装置として機能するリモコン装置48が備えられており、前記リモコン受信部42は、そのリモコン装置48から送信されるリモコン信号を受信して前記CPU26へ供給する。また、前記無線送信部44は、無線LAN通信或いはブルートゥース通信等の無線通信により前記映像表示装置50へ後述するビットマップ化された表示データを示す制御指令等を送信するというように、電波を介して前記映像表示装置50への情報送信を行う。なお、前記リモコン装置48や映像表示装置50等の端末は、前記カラオケ装置10の備品として音楽再生装置の一部を構成するものである。
前記映像情報デコーダ14は、所定の映像情報に基づいてその映像情報に対応する映像を再生(デコード)する映像再生装置であり、例えば、利用者が歌詞を参照しながら歌を歌う際に前記ハードディスク32に記憶された背景映像情報に基づいて所定の背景映像を再生する。この背景映像情報は、例えば、MPEG(Moving Picture Experts Group)形式のデータであり、そのMPEGデータに基づいて前記映像情報デコーダ14により再生された背景映像は、前記ビデオミキサ16へ送られる。前記CRTコントローラ36は、前記CPU26において生成された歌詞文字映像等の文字映像(テロップ)を出力する文字映像出力装置であり、前記ビデオミキサ16は、前記CPU26において生成され且つ前記CRTコントローラ36から出力される文字映像と、前記映像情報デコーダ14により再生される背景映像とを合成して前記CRT12に表示させる映像合成装置である。
前記シンセサイザ40は、前記ハードディスク32から読み出されて送られて来るカラオケ演奏曲の演奏情報に基づいて楽器の演奏信号等の音楽信号を生成する音源である。この演奏情報は、例えば、MIDI(Musical Instrument Digital Interface)形式で圧縮されたMIDIデータであり、そのMIDIデータに応じて前記シンセサイザ40により生成された音楽信号は、アナログ信号に変換されて前記アンプミキサ18へ送られる。そのアンプミキサ18では、送られてきた音楽信号と前記マイクロフォン22を介して入力される利用者の歌声とがミキシングされ、それらの信号が電気的に増幅されて前記スピーカ20から出力される。
前記カラオケ装置10のハードディスク32には、カラオケ演奏曲を出力させるための多数のカラオケ情報を記憶するカラオケデータベース68をはじめとする各種データベースが設けられている。このカラオケ情報は、例えば、カラオケ演奏曲毎の曲名及び歌手名等を含むタイトル情報、MIDIデータである演奏情報、及びテキストデータである歌詞情報等を含むものであり、インデックスとしてそれぞれ固有の選曲番号を有している。カラオケボックス等の店舗にそれぞれ備えられた前記カラオケ装置10は、前記モデム34を介して公衆電話回線等の通信回線46に接続されており、そのカラオケ装置10によって常に新しい曲が演奏可能とされるように、随時新たなカラオケ情報等が図示しないカラオケサービス提供会社のセンタ装置から上記通信回線46を介して配信され、前記ハードディスク32のカラオケデータベース68等に記憶されるようになっている。すなわち、前記カラオケ装置10は、所定の通信回線を介してカラオケ情報をはじめとするコンテンツを取得する通信カラオケ装置である。
図2は、前記映像表示装置50の外観を説明する図である。この図2に示すように、前記映像表示装置50は、残像効果による映像を表示させるための表示部52と、その表示部52と一体的に設けられた把持部54とを、備えて長手状(棒状)に構成されたものである。上記表示部52には、複数(図2では20個)の発光素子であるLED(light emitting diode)56a、56b、56c、・・・、56t(以下、特に区別しない場合には単にLED56と称する)が、発光を視認できるようにそれぞれの一部が外部に露出した状態(或いは、透光性の材料に被覆された状態)で、前記映像表示装置50の長手方向に直線状に配設されている。このLED56としては赤や緑等の有色光を発するものが好適に用いられる。また、発光素子として有色電球を用いる態様も考えられる。
図3は、前記映像表示装置50の構成を説明するブロック線図である。この図3に示すように、前記映像表示装置50は、CPU58、ROM60、及びRAM62を有しており、そのCPU58によりRAM62の一時記憶機能を利用しつつROM60に予め記憶された所定のプログラムに基づいて電子情報を処理・制御する所謂マイクロコンピュータシステムを備えている。また、上記複数のLED56による発光を制御するためのドライバである発光制御部64を有している。この発光制御部64は、上記複数のLED56を選択的に発光させたり、各LED56による発光の輝度を制御したりすることにより、前記表示部52による一次元的(直線的)な映像を制御し、延いてはその表示部52が振り動かされることにより、その振り動かされる軌跡上に残像効果により表示される二次元的(平面的)な映像を制御する映像表示制御部である。また、前記映像表示装置50には、前記カラオケ装置10の無線送信部44から無線により送信される情報を受信するための無線受信部66が設けられており、上記発光制御部64は、この無線受信部66により受信されるビットマップ化された表示データを示す制御指令等に基づいて上記複数のLED56による発光を制御する。
図4は、前記カラオケ装置10のCPU26に備えられた制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。この図4に示す演奏制御手段70は、前記リモコン装置48等の操作により所定の演奏曲が選曲され、その演奏曲の演奏順となった場合において、前記カラオケデータベース68からその演奏曲に対応するカラオケ情報を読み出し、そのカラオケ情報に含まれる演奏情報に基づいて演奏曲の出力を制御する。具体的には、斯かる演奏情報に基づいて前記シンセサイザ40により音楽情報(演奏音)を再生させ、前記アンプミキサ18を介して前記スピーカ20により出力させる。
表示データ作成手段72は、前記映像表示装置50による映像表示に用いる表示データを前記カラオケ情報に含まれる歌詞情報に基づいて作成する。図5は、斯かる表示データの一例であるビットマップ化された文字情報を例示する図である。この図5に示すように、上記表示データ作成手段72は、前記映像表示装置50による映像表示に用いる表示データとして、前記歌詞情報を構成する個々の文字情報をドットの集合であるビットマップデータ76とする。なお、このビットマップデータ76の行数(図5では20行)は前記LED56の個数と同数とされ、列数(図5では20列)は予め定められた所定数か、若しくは各演奏曲のテンポを反映した数とされる。なお、この図5では、簡単のために単一の文字「は」を表すビットマップデータ76を例示しているが、上記表示データ作成手段72は、複数の文字から成る文字列を表す表示データをも作成し得るものである。このようにして作成された表示データは、表示制御手段74による制御指令に適用されて前記無線送信部44を介して前記映像表示装置50に送信される。
表示制御手段74は、前記演奏曲の歌詞文字映像をその演奏曲のテンポに基づいて前記映像表示装置50により表示させる。すなわち、前記映像表示装置50による歌詞文字映像の表示を前記演奏曲のテンポに基づいて制御する。図6は、前記映像表示装置50を振り動かすことにより映像が表示される様子を説明する図である。この図6に示すように、前記映像表示装置50は、前記把持部54において利用者の手78等により把持された状態で、前記映像表示装置50の長手方向と略垂直を成す方向に振り動かされることにより、その振り動かされる軌跡上に残像効果による歌詞文字映像80を表示させる。この歌詞文字映像80の表示に際して前記発光制御部64は、上記表示制御手段74から供給される制御指令に従い、前記複数のLED56を上記ビットマップデータ76の各列に対応するように随時選択的に発光させていく。なお、前記映像表示装置50は、斯かる制御指令を前記RAM62に記憶して随時読み出しつつ表示制御を行うものであってもよいし、前記発光制御部64を介して即時的に(リアルタイムで)その制御指令を表示制御に反映させるものであってもよい。
図7は、図5に示すビットマップデータ76に対応する制御指令を示している。この図7において、縦の並びが各LED56a乃至56tを、横の並びが発光タイミングt1乃至t20をそれぞれ表しており、前記発光制御部64は、図7に示す発光タイミングt1乃至t20のそれぞれにおいて「○」で示されるものを発光させ、空白で示されるものを発光させない(若しくは輝度を低下させる)ように前記複数のLED56それぞれの発光を制御する。そのようにして複数のLED56が選択的に発光させられつつ前記表示部52が振り動かされることにより、その振り動かされる軌跡上に残像効果による図6に示すような歌詞文字映像80が視認可能に浮かび上がる。なお、この表示制御は、前記演奏制御手段70による演奏曲の出力と同期して行われ、例えば、前記カラオケ情報に含まれる歌詞色替情報に基づいてその色替タイミングで各歌詞文字映像80が表示されるように制御が実行される。
上記表示制御手段74は、好適には、前記表示部52が振り動かされる周期が前記演奏制御手段70により出力される演奏曲の拍子と同期する場合に上記歌詞文字映像80が最適に表示されるように制御する。例えば、前記演奏制御手段70により出力される演奏曲の1拍子の間に前記表示部52が図6に示す一方から他方(右から左)へ振り動かされた場合に上記歌詞文字映像80が最適に表示されるように制御するものであり、例えば、図7に示す表示タイミングt1乃至t20を前記演奏制御手段70により出力される演奏曲の1拍子に一致させることで斯かる制御を実現できる。この態様では、前記映像表示装置50をあたかも指揮棒のように演奏曲の拍子に合わせて振り動かすことでその演奏曲の歌詞文字映像80を最適に表示させられる一方、振り動かすタイミングがずれた場合には歌詞文字映像80は好適には表示されない。すなわち、前記映像表示装置50を持つ利用者が演奏曲のリズムを捉えてそのリズムに乗って振り動かすことが要求されることから、同期して出力される音楽に基づいて利用者の動作を判定する所謂音ゲーとしての楽しみをカラオケ演奏に付与することができる。ここで、前記表示制御手段74による表示制御と同期して、前記CRT12に模範的な前記映像表示装置50の振り動かし方を示すガイド映像を表示させてもよい。
図8は、前記カラオケ装置10のCPU26による残像歌詞表示カラオケ演奏制御について説明するフローチャートであり、所定の周期で繰り返し実行されるものである。
先ず、ステップ(以下、ステップを省略する)S1において、前記リモコン装置48等の操作により所定の演奏曲が選曲され、その演奏曲の演奏順となる等してカラオケ演奏が開始されたか否かが判断される。このS1の判断が否定される場合には、それをもって本ルーチンが終了させられるが、S1の判断が肯定される場合には、S2において、前記カラオケデータベース68から対応するカラオケ情報が読み出され、前記RAM30等に記憶される。次に、前記表示データ作成手段72の動作に対応するS3において、前記映像表示装置50による映像表示に用いられる表示データがS2にて読み出されたカラオケ情報に含まれる歌詞情報に基づいて作成される。次に、前記演奏制御手段70の動作に対応するS4において、S2にて読み出されたカラオケ情報に含まれる演奏情報に基づいて前記シンセサイザ40により演奏音が再生され、前記アンプミキサ18を介して前記スピーカ20から出力される。次に、前記表示制御手段74の動作に対応するS5において、前記表示部52が振り動かされる周期が出力中の演奏曲の拍子と同期する場合に前記歌詞文字映像80が最適に表示されるように制御指令が生成され、前記無線送信部44から前記映像表示装置50へ送信される。次に、S6において、カラオケ演奏終了であるか否かが判断される。このS6の判断が否定される場合には、S3以下の処理が再び実行されるが、S6の判断が肯定される場合には、それをもって本ルーチンが終了させられる。
このように、本実施例によれば、線状に配設された複数の発光素子であるLED56を有する表示部52を備え、それら複数のLED56が選択的に発光させられつつ前記表示部52が振り動かされることにより、その振り動かされる軌跡上に残像効果による映像を表示させる映像表示装置50を有し、前記演奏曲の歌詞文字映像80をその演奏曲のテンポに基づいて前記映像表示装置50により表示させる表示制御手段74(S5)を有することから、その映像表示装置50を前記演奏曲のテンポに合わせて上手く振り動かすことでその演奏曲の歌詞文字映像80を視認できる一方、上手く振り動かすことができなければ斯かる歌詞文字映像80を好適には視認できないという遊びの要素を付加することができる。すなわち、新しい遊びの要素を有するカラオケ装置10を提供することができる。
また、前記表示制御手段74は、前記表示部52が振り動かされる周期が前記演奏曲の拍子と同期する場合に前記歌詞文字映像80が最適に表示されるように制御するものであるため、前記映像表示装置50をあたかも指揮棒のように振り動かすことで前記演奏曲の歌詞文字映像80を最適に表示させることができ、娯楽性の高い遊びの要素を付加することができるという利点がある。
また、前記映像表示装置50は、無線により情報を受信するための無線受信部66を、前記カラオケ装置10は、無線により情報を送信するための無線送信部44をそれぞれ有するものであり、前記表示制御手段74は、その無線送信部44及び無線受信部66を介して前記制御を行うものであるため、無線接続により前記カラオケ装置10との間で通信を行うことで、前記映像表示装置50を振り動かし易くなるという利点がある。
続いて、本発明の他の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の説明において、前述した実施例と共通する部分については同一の符号を付してその説明を省略する。
図9は、本発明の音楽再生装置の一実施例である携帯電話機84を用いたカラオケシステム82を説明する図である。この図9に示すように、前記カラオケ装置10と同様に多数の演奏曲のうちから選択される所定の演奏曲を出力させる演奏機能を有する携帯電話機84に本発明が適用される態様も考えられる。
図10は、上記携帯電話機84の構成を説明するブロック線図である。この図10に示す制御部86は、予めROM88に記憶されたプログラムに従って入力信号を処理し、操作部90からの入力に従って文字入力が実行されるように制御したり、その操作部90から入力された電話番号に従って通信或いは通話チャンネルを成立させると共に相互の通信或いは通話が可能となるように制御したり、メールの作成及び送受信の制御を実行したりする。通話状態においては、アンテナ94を介して送受信部96に受けた通話信号等がモデム部98を介して音声コーディック部100においてデジタルコード信号から音声信号に変換され、アナログフロントエンド102によりスピーカ104が駆動されて音声が出力される。同時に、マイクロフォン106により音声から変換された音声信号が上記アナログフロントエンド102を介して上記音声コーディック部100に送られてそこでデジタル信号に変換され、上記モデム部98、送受信部96、及びアンテナ94を介して送信される。また、通信状態において、上記制御部86は、上記操作部90から入力された信号を通信先へ送信すると同時に、通信先から受信された信号を表示部92に表示させる。また、フラッシュROM等の記憶部108を備えており、その記憶部108には前記カラオケ情報を記憶するためのカラオケデータベース110が設けられている。また、前述したシンセサイザ40と同様にそのカラオケデータベース110に記憶されたカラオケ情報に基づいて演奏曲を再生するメロディ発生器112を備えており、そのメロディ発生器112により音楽情報(演奏音)が発生させられ、上記スピーカ104が駆動されて演奏曲として出力される。また、前記映像表示装置50に無線により情報を送信するための無線送信部114が設けられている。また、上記携帯電話機84は、好適には、前記通信回線46等によるインターネットに接続可能に構成されており、そのインターネットを介して図示しないカラオケサービス会社のセンタ装置から最新のカラオケ情報をダウンロードして上記カラオケデータベース110に記憶し得るようになっている。
上記制御部86は、図4を用いて前述した演奏制御手段70を機能的に備えている。すなわち、上記操作部90等の操作により所定の演奏曲が選曲された場合、前記カラオケデータベース110からその演奏曲に対応するカラオケ情報を読み出し、そのカラオケ情報に含まれる演奏情報に基づいて演奏曲の出力を制御する。具体的には、斯かる演奏情報に基づいて前記メロディ発生器112により演奏音を再生させて前記スピーカ104により出力させる。また、上記制御部86は、図4を用いて前述した表示データ作成手段72及び表示制御手段74を機能的に備えており、上述した演奏制御手段70による演奏制御と同期して前記無線送信部114から前記映像表示装置50へ制御指令を送信することにより、図5乃至図8を用いて前述した前記映像表示装置50による残像効果による歌詞文字映像表示制御を実行する。
このように、本実施例は、前記演奏曲を出力するための演奏制御手段70を有する携帯電話機84を音楽再生装置として用いるものであるため、一般に表示部92が小さく、とりわけ複数人にて演奏を行う場合には歌詞文字映像が見難いとされる携帯電話機84を用いた演奏において、利用者が複数人であっても十分に視認可能な歌詞文字映像80を表示させ得る実用的な遊びの要素を付加することができるという利点がある。
図11は、本発明の更に別の実施例である音楽再生装置116の外観を説明する図である。この図11に示すように、本実施例の音楽再生装置116は、前記映像表示装置50及びその表示部52を一体的に備えたものであり、その音楽再生装置116自体が振り動かされることにより、その振り動かされる軌跡上に前記歌詞文字映像80を表示させるものである。この音楽再生装置116は、前記カラオケ装置10や携帯電話機84と同様に多数の演奏曲のうちから選択される所定の演奏曲を出力させる演奏機能を有しており、斯かる演奏曲を選択する等の操作を行うための操作部118が、前記把持部54を持って振り動かすのに邪魔にならない部位に設けられている。
図12は、上記音楽再生装置116の構成を説明するブロック図である。この図12に示すように、上記音楽再生装置116は、フラッシュROM等の記憶部120を備えており、その記憶部122には前記カラオケ情報を記憶するためのカラオケデータベース122が設けられている。また、前述したシンセサイザ40等と同様にそのカラオケデータベース122に記憶されたカラオケ情報に基づいて演奏曲を再生するメロディ発生器124と、そのメロディ発生器124により再生された演奏曲を出力するスピーカ126とが設けられている。また、図示しないセンタ装置との間で情報の通信を行うための情報通信部128が設けられており、その情報通信部128を介して斯かるセンタ装置から最新のカラオケ情報をダウンロードして上記カラオケデータベース122に記憶し得るようになっている。
前記音楽再生装置116のCPU58は、図4を用いて前述した演奏制御手段70を機能的に備えている。すなわち、上記操作部118等の操作により所定の演奏曲が選曲された場合、前記カラオケデータベース122からその演奏曲に対応するカラオケ情報を読み出し、そのカラオケ情報に含まれる演奏情報に基づいて演奏曲の出力を制御する。具体的には、斯かる演奏情報に基づいて前記メロディ発生器124により音楽情報(演奏音)を再生させて前記スピーカ126により出力させる。また、上記CPU58は、図4を用いて前述した表示データ作成手段72及び表示制御手段74を機能的に備えており、上述した演奏制御手段70による演奏制御と同期して図5乃至図8を用いて前述した前記映像表示装置50による残像効果による歌詞文字映像表示制御を実行する。
図13は、前記音楽再生装置116に着脱式のROMカートリッジ130を使用可能とした構成を例示するブロック線図である。このROMカートリッジ130は、前記音楽再生装置116による演奏に用いられる情報として例えば所定の演奏曲のカラオケ情報を記憶するROM132と、そのROM132を前記音楽再生装置116に接続するための接続端子134とを、有するものであり、前記音楽再生装置116の側にもそのROMカートリッジ130を接続するための接続端子136が設けられている。このように、着脱式のROMカートリッジ130を用いる態様では、そのROMカートリッジ130を交換することで様々な演奏曲の演奏を楽しむことができ、とりわけ比較的小型で簡単な構成の音楽再生装置116においては実用に適している。また、斯かる態様においては、前記情報通信部128は、必ずしも設けられなくともよい。
このように、本実施例の音楽再生装置116は、前記映像表示装置50及びその表示部52を一体的に備えたものであり、その音楽再生装置116自体が振り動かされることにより、その振り動かされる軌跡上に前記歌詞文字映像80を表示させるものであるため、小型で携帯性に優れると共に、利用者が複数人であっても十分に視認可能な歌詞文字映像80を表示させ得るまったく新しい音楽再生装置116を提供できるという利点がある。
以上、本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、更に別の態様においても実施される。
例えば、前述した実施例において、前記表示データ作成手段72は、前記カラオケ装置10及び携帯電話機84等の音楽再生装置に機能的に備えられたものであったが、本発明はこれに限定されるものではなく、前記映像表示装置50のCPU58に前記表示データ作成手段72が機能的に備えられたものであってもよい。この態様では、前記カラオケ装置10及び携帯電話機84等の音楽再生装置から歌詞文字情報及びその歌詞文字情報を表示するタイミングデータが無線通信により前記映像表示装置50へ送信され、その映像表示装置50側で表示データが作成されて前記歌詞文字映像80の表示制御に用いられる。また、前記映像表示装置50がフラッシュROM等の記憶装置を備え、その記憶装置に予め各文字に対応するビットマップデータが記憶されたものであってもよい。このようにすれば、逐一表示データを作成する必要がなく、処理を簡略化することができるという利点がある。
また、前述した実施例において、前記映像表示装置50は専ら演奏曲の歌詞文字映像80を表示させるために用いられるものであったが、他の映像を表示させるものであってもよく、例えば、前記カラオケ装置10等により出力される演奏曲がアニメの主題歌である場合には、そのアニメのキャラクタを示す映像を表示させるために前記映像表示装置50が用いられてもよい。この場合においても、前記表示部52が振り動かされる周期が前記演奏曲の拍子と同期する場合にその映像が最適に表示されるように制御することで、子供にも楽しい遊びの要素を付加できるという利点がある。また、この場合には、通常のカラオケ演奏と同様に前記CRT12に前記演奏曲の歌詞文字映像を表示させるのが好ましい。
また、前述した実施例では、前記映像表示装置50により歌詞文字映像80を表示させるための制御指令を図7を用いて説明したが、この図7に示す制御指令は、図6に示すような歌詞文字映像80を表示し得る最も簡単な制御指令を便宜上示したものであり、実際の制御ではより複雑な制御指令が用いられ得ることは言うまでもない。
その他、一々例示はしないが、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が加えられて実施されるものである。
本発明の音楽再生装置の一実施例であるカラオケ装置の構成を説明するブロック線図である。
図1のカラオケ装置に備えられた映像表示装置の外観を説明する図である。
図2の映像表示装置の構成を説明するブロック線図である。
図1のカラオケ装置のCPUに備えられた制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。
図2の映像表示装置による映像の表示制御に用いられる表示データの一例としてビットマップ化された文字情報を例示する図である。
図2の映像表示装置を振り動かすことにより残像効果により映像が表示される様子を説明する図である。
図5に示すビットマップデータに対応する制御指令を示す図である。
図1のカラオケ装置のCPUによる残像歌詞表示カラオケ演奏制御について説明するフローチャートである。
図10の携帯電話機を用いたカラオケシステムを説明する図である。
本発明の音楽再生装置の他の実施例である携帯電話機の構成を説明するブロック線図である。
本発明の更に別の実施例である音楽再生装置の外観を説明する図である。
図11の音楽再生装置の構成を説明するブロック線図である。
図11の音楽再生装置に着脱式のROMカートリッジを用いる構成を説明するブロック線図である。
符号の説明
10:カラオケ装置(音楽再生装置)
44、114:無線送信部
50:映像表示装置
52:表示部
56:LED(発光素子)
66:無線受信部
70:演奏制御手段
74:表示制御手段
80:歌詞文字映像
84:携帯電話機(音楽再生装置)
116:音楽再生装置