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JP4373342B2 - スピロフルオレノールの製造方法 - Google Patents

スピロフルオレノールの製造方法 Download PDF

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JP4373342B2
JP4373342B2 JP2004569800A JP2004569800A JP4373342B2 JP 4373342 B2 JP4373342 B2 JP 4373342B2 JP 2004569800 A JP2004569800 A JP 2004569800A JP 2004569800 A JP2004569800 A JP 2004569800A JP 4373342 B2 JP4373342 B2 JP 4373342B2
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Description

【発明の属する技術分野】
【0001】
本発明は、フォトクロミック化合物の原料として有用なスピロフルオレノールの製造方法に関する。
【従来の技術】
【0002】
近年、フォトクロミック化合物としてクロメン誘導体、特にスピロインデノナフトピランがその発色及び退色の早さと色調のコントロールのしやすさ、耐久性の高さなどから注目を集めている。スピロインデノナフトピランとしてはスピロケタール型の化合物(特許文献1参照)並びにビフェニル型スピロ化合物およびフェナントレン型スピロ化合物(特許文献2及び3参照)等が知れられており、特に後者2種の化合物は、発色感度が高く、退色速度が早く、耐久性に優れている。これら化合物は、所望の置換基を持った下記式(5)で示されるインデノナフトピラン−オンを中間体として製造し、これをさらに修飾することにより得られることが知られている(特許文献2および3参照)。
【化1】
Figure 0004373342
【0003】
ところが、このような方法を採用した場合には、中間体である上記インデノナフトピラン−オン自体がフォトクロミック性を有するために、反応中に副生する不純物も一般にフォトクロミック性を有しているという問題を生じる。即ち、目的物であるスピロ化合物中にこのような不純物が混入した場合には、発色時における色調が目的物本来の色調と異なってしまう。このため、所期の発色色調の目的物を得るためには高度の精製を行うことが必要となる。一方、フォトクロミック性を示す不純物が生成する可能性が少ない製法としては、目的とするクロメン誘導体をスピロフルオレノールから製造する方法が知られている(特許文献3参照)。
【特許文献1】
特表平10−508031号公報
【特許文献2】
特開2000−34418号公報
【特許文献3】
特開2001−192378号公報
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記方法においては、フェノール性水酸基を有するヒドロキシフルオレノンとグリニャール試薬等とを反応させ、酸性条件下にスピロ化することによりスピロフルオレノールを得ているため、反応を完結させるためにはグリニャール試薬等を過剰量使用しなければならず、この結果、収率が低いという問題があった。そこで、本発明は、フォトクロミック性化合物の原料として有用なスピロフルオレノールを効率よく製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者等は、スピロフルオレノールを製造する際にヒドロキシフルオレノンの水酸基を保護することにより、グニャール試薬等の有機金属試薬の使用量を低減しようと考え、様々な保護基(protecting group)についてその効果を検討した。その結果、特定の保護基で水酸基を保護する場合には、通常一般的に使用されている保護基を用いた場合に比べて保護基導入時の選択率および転化率が共に高く、次の工程の反応で保護基が外れ難いこと、更には脱保護(保護基の除去)の際に収率良く反応が進行することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
本発明によれば、下記式(1):
【化2】
Figure 0004373342
で表されるスピロフルオレノール化合物の製造方法であって、
【0007】
下記式(2):
【化3】
Figure 0004373342
で表されるフルオレノン化合物に結合している水酸基を、−SiR (式中、R 、R 及びR はそれぞれアルキル基であり、これらアルキル基の炭素数の合計は5〜12である)で表される置換シリル基からなる保護基で保護し、
【0008】
次いで該フルオレノン化合物と下記式(3):
【化4】
Figure 0004373342
(式中、MはLi、MgCl、MgBr、MgI又はCuLiである)
で示される有機金属化合物とを反応させて、水酸基が前記保護基で保護されたヒドロキシ−アリールフルオレノールを得、
得られたヒドロキシ−アリールフルオレノールをスピロ化及び脱保護することを特徴とするスピロフルオレノール化合物の製造方法;
【0009】
但し、前記式(1)乃至(3)において、
Xは、単結合または下記グループAの中から選ばれる何れかの2価の基であり、
Yは、ベンゾ環の2つの炭素原子と共に芳香族炭化水素環基または不飽和複素環基を
形成している基であり、
Xが単結合である場合、RおよびRは、それぞれ、水素原子、下記グループB
から選ばれる何れかの1価の基、または互いに結合して下記グループAから選ばれる何
れかの2価の基(但し−Z−および−CR−は除く)を形成している基であ
り、
XがグループAから選ばれる基である場合、RおよびRは、それぞれ、水素原
子または下記グループBから選ばれる何れかの1価の基であり、
およびRは、それぞれ、下記グループBから選ばれる何れかの1価の基で
り、
pおよびqは、それぞれ独立して0〜3の整数である;
【0010】
グループA:
−Z−、−(CR−、
−(CR−Z−、
−Z−(CR−Z−、
−(CR−Z−(CR−、−(CR=CR−、及
び −CR=N−
(但し、−Z−は−O−、−S−又は−NR−であり、RおよびRは、それ
ぞれ独立に下記グループBから選ばれる何れかの1価の基であり、一つの基の中に−
Z−,RまたはRが複数存在する場合には、当該複数の−Z−,R,または
は互いに異なっていてもよく、a、b、kおよびlはそれぞれ独立に1〜4の
整数であり、mおよびnはそれぞれ独立に1〜6の整数である);
グループB:
アルキル基、アラルキル基、置換もしくは非置換のアリール基、ヒドロキシ基、アル
コキシ基、アラルコキシ基、アミノ基、一置換アミノ基、二置換アミノ基、シアノ基
、ニトロ基、ハロゲン原子、トリフルオロメチル基、炭素原子あるいは窒素原子上に
結合手を有する置換または非置換の複素環基、及び芳香族炭化水素環または複素環が
縮環した縮合複素環からなり、炭素原子あるいは窒素原子上に結合手を有する置換ま
たは非置換の縮合複素環基。
【発明の実施の形態】
【0011】
(製造目的物)
本発明の製造方法により製造される前記式(1)で示されるスピロフルオレノール化合物は、クロメン誘導体からなるフォトクロミック性化合物の合成原料として有用である。
前記式(1)において、Xは、単結合または前記グループAの中から選ばれる何れかの2価の基である。また、前記グループBで列挙されている基は、グループAで示されている基のR又はRとなるばかりでなく、前記式(1)におけるR、R、R又はRともなる。グループBで示される基の中で好適なものを具体的に例示すれば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、シクロヘキシル基等の炭素数1〜6のアルキル基;ベンジル基、フェネチル基、トリチル基等の炭素数7〜20アラルキル基;フェニル基、ナフチル基、アルコキシフェニル基等の置換もしくは非置換のアリール基;ヒドロキシ基;メトキシ基、t−ブトキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;ベンジルオキシ基、トリチルオキシ基等の炭素数7〜20のアラルコキシ基;アミノ基;メチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基等の炭素数1〜6の一置換アミノ基;ジメチルアミノ基、ジシクロヘキシルアミノ基等の炭素数1〜20までの二置換アミノ基;シアノ基;ニトロ基;塩素原子、臭素原子基等のハロゲン原子;トリフルオロメチル基;2−オキサゾリル基、4−モルホリノ基、2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジノ基等の置換または非置換の複素環基;及び2−ベンゾオキサゾリル基、1−ベンゾトリアゾリル基、9−カルバゾリル基、8−キノリル基等の置換または非置換の縮合複素環基等が挙げられる。
【0012】
なお、前記式(1)において、Xが単結合である場合、R及びRは、それぞれ、水素原子、前記グループBから選ばれる基、或いは互いに結合して前記グループAで示されている基を形成する基である。即ち、Xが単結合である場合、前記式(1)の化合物は9,9’−スピロビフルオレン骨格を持つことになる。例えば、R、Rが互いに結合して−CR=CR−を形成しているときには、スピロ[フルオレン−9,1’−(1H−シクロペント[d,e,f]フェナントレン)]骨格を持つことになる。但し、立体的な要請からRとRとが互いに結合して−Z−(即ち−O−、−S−、あるいは、−NR−)や−CR−になることは無い。
【0013】
また、Xが前記グループAから選ばれる2価の基である場合、R及びRは、それぞれ、水素原子或いは前記グループBから選ばれる基である。この場合、前記式(1)で示される化合物は、スピロ[フルオレン−9,9’−キサンテン]骨格(Xが−O−の場合)、スピロ[フルオレン−9,9’−(9,10−ジヒドロアクリジン)]骨格(Xが−NH−の場合)、スピロ[フルオレン−9,9’−(9,10−ジヒドロアントラセン)]骨格(Xが−CH−の場合)等の骨格をもつことになるが、R及びRに関しては特に立体的な制限は受けない。
【0014】
また、前記式(1)において、Yは、ベンゾ環の2つの炭素原子と共に芳香族炭化水素基または不飽和複素環基を形成する基である。Yが芳香族炭化水素基を形成する場合、式(1)の化合物は、例えばベンゾフルオレノール骨格やナフトフルオレノール骨格を持ち、Yが不飽和複素環基を形成する場合は、式(1)の化合物は、例えばフロフルオレノール骨格やインドーロフルオレノール骨格を持つことになる。この際、縮環の場所や向きについては全く任意である。
【0015】
また、前記式(1)において、RおよびRは、それぞれ、前記グループBで示される何れかの1価の基であり、RおよびRの数を示すp及びqは、夫々0〜3の整数である。なお、p又はqが2又は3のとき、即ち、RまたはRが複数存在するとき、複数のRまたはRは互いに異なっていてもよい。
【0016】
(スピロフルオレノール化合物の製造)
出発原料;
上述した式(1)のスピロフルオレノール化合物を製造するために、本発明では、まず式(2):
【化5】
Figure 0004373342
(式中、Y,R、R、p及びqは式(1)で説明した通り)
で表されるフルオレノン化合物に結合している水酸基を、置換シリル基からなる保護基で保護する。この場合、式(2)の化合物が、アミノ基や一置換アミノ基を含んでいる場合には、水酸基と共に、アミノ基や一置換アミノ基も置換シリル基で保護する。また保護する水酸基は、フルオレノン環の2位に結合しているものに限定されず、その他の位置に結合している水酸基も含む。例えば、RまたはRが水酸基、アミノ基又は一置換アミノ基である場合には、フルオレノン環の2位に結合する水酸基と共に、これらの基も置換シリル基により保護する。以下、このような保護すべき基を保護性官能基と呼ぶことがある。
【0017】
出発原料として用いるヒドロキシフルオレノンは、前記式(2)で表されるものであれば特に限定されないが、Yがベンゾ縮環であるもの(即ち、ヒドロキシベンゾフルオレノン骨格を有するもの)が、目的とするフォトクロミック化合物の性能面から好適である。また、目的とするフォトクロミック化合物の性能の点から、R、Rがメチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、シクロヘキシル基等の炭素数1〜6のアルキル基;ベンジル基、フェネチル基、トリチル基等の炭素数7〜20のアラルキル基;フェニル基、ナフチル基、アルコキシフェニル基等の置換もしくは非置換のアリール基;ヒドロキシ基;メトキシ基、t−ブトキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;ベンジルオキシ基、トリチルオキシ基等の炭素数7〜20までのアラルコキシ基であり、且つp及びqが0または1であることが好適である。
【0018】
本発明で好適に使用できる式(2)のヒドロキシフルオレノンを具体的に例示すれば、3−メトキシ−5−ヒドロキシベンゾ[c]フルオレン−7−オン、9−メトキシ−5−ヒドロキシベンゾ[c]フルオレン−7−オン、3,9−ジメトキシ−5−ヒドロキシベンゾ[c]フルオレン−7−オン等を挙げることができる。
【0019】
保護基の導入;
本発明では、前述した保護性官能基を保護する保護基として置換シリル基を使用するが、この置換シリル基において、珪素原子に結合している3つの置換基の炭素数の合計が5〜12であることが最大の特徴である。即ち、立体障害の大きい置換シリル基を保護基として用いることで、保護基導入時の選択率および転化率が共に高く、次の反応工程で保護基が外れることもなく、脱保護の収率も良くなり、結果として目的物であるスピロフルオレノールを効率よく製造することができる。
【0020】
一般に、水酸基の保護基としては、メチル基、ベンジル基の他、メトキシメチル基やテトラヒドロピラニル基等のアセタール型、アセチル基やベンゾイル基等のエステル型、ベンジルオキシカルボニル基やt−ブトキシカルボニル基等のカーボネート型、トリメチルシリル基等のシリルエーテル型等、様々な保護基が提案されている。しかし、メチル基を保護基とした場合にはヒドロキシフルオレノンのRまたはRにメトキシ基等のアルコキシ基がある場合には、保護基を除去する工程でアルコキシ基が破壊されるために、一般的な製造方法足り得ない。また、ベンジル基を保護基とした場合は、保護基の導入時に目的とする水酸基だけでなく、分子骨格にもベンジル基が導入される傾向にあり、これを除去する工程(脱保護)においてもアルコキシ基の破壊や分子骨格の還元等の副反応が多く、効率的ではない。また、アセタール型の保護基においても保護基の導入時の選択性に問題があり、エステル型やカーボネート型では次の工程の反応に耐えられない。更にシリルエーテル型についても、トリメチルシリル基のように立体的にシンプルな構造では次の工程の反応に耐えられないため、使用できない。
【0021】
本発明で保護基として使用する置換シリル基は、3個の置換基の炭素数の合計が5〜12であるという条件を満足するものであれば特に限定されないが、後述する保護基導入のために使用するシリル化剤の入手が容易で効果も高いという理由から、t−ブチルジメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、又は2−メチル−3,3−ジメチル−2−ブチルジメチルシリル基であるのが特に好適である。
【0022】
上記保護基の導入のために使用するシリル化剤は、上記置換シリル基が脱離基と結合した化合物であり、例えば、下記式(6):
E−SiR (6)
(式中、Eは脱離基であり、R、R及びRはそれぞれアルキル基であり、
これらアルキル基の炭素数の合計は5〜12である)
で示される化合物を挙げることができる。また、上記の脱離基としては、ハロゲン原子、アジド基、アルコキシ基、アリールスルホニルオキシ基、及び総炭素数5以上のトリアルキルシリルアミノ基等を例示することができる。上記式(6)で示されるシリル化剤の中でも入手の面からt−ブチルジメチルシリルクロライド、トリイソプロピルシリルクロライド、2−メチル−3,3−ジメチル−2−ブチルジメチルシリルクロライド等の塩素化ケイ素化合物を用いるのが好適である。
【0023】
即ち、上記のシリル化剤を式(2)のヒドロキシフルオレノンと反応させることにより、置換シリル基からなる保護基を導入し、水酸基に代表される保護性官能基を保護することができる。保護の際の反応条件は特に限定されないが、一般的には溶剤を用い、ヒドロキシフルオレノンとシリル化剤との混合溶液に3級アミン化合物を加えて反応中に生成する酸を補足しながら反応させることにより保護基を導入することができる。又、予めヒドロキシフルオレノンの水酸基を水素化ナトリウム、t−ブトキシカリウム、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等と反応させてアルカリ金属塩にしてからシリル化剤と反応させることによっても保護基を導入することもできる。もちろん、両方法を組み合わせて反応させることも可能である。
【0024】
ここで用いる溶剤は上記シリル化剤と反応しなければ特に限定されず、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;ジクロロメタン、クロロホルム等の塩素化炭化水素;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等の非環状または環状のエーテル;アセトニトリル、ブチロニトリル等のニトリル;ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等の非環状または環状のアミド;ジメチルスルホキシド、スルホラン等の非環状または環状のスルホキシド;スルホン;又はこれらの混合溶剤等が使用できる。
【0025】
また、上記3級アミン化合物としては、特に限定されないが、トリエチルアミン、N−メチルモルホリン等の非環状または環状の脂肪族3級アミン;ジメチルアニリン、メチルジフェニルアミン等の芳香族3級アミン;ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン等の複素環3級アミン等が使用できる。中でも、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エンや1,7−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−6−エン等の下記式(4)で示される構造を持つ3級アミン化合物を用いると、選択率、転化率共に高くなるのでより好適に使用できる。さらに、式(4)で示される3級アミン化合物を触媒量とし、他の3級アミン化合物と組み合わせて使用することもできる。
【化6】
Figure 0004373342
(式中、iは2〜4の整数であり、jは3〜6の整数である。)
このようにして水酸基等の保護性官能基が保護されたヒドロキシフルオレノンが得られる。この化合物は、定法に従って単離、精製することもできるが、そのまま次の反応に用いることもできる。
【0026】
有機金属化合物との反応;
本発明の製造方法では、上記で得られた置換シリル基で保護されたヒドロキシフルオレノンを、式(3):
【化7】
Figure 0004373342
(式中、MはLi、MgCl、MgBr、MgI又はCuLiであり、
X、R及びRは式(1)で説明した通り)
で示される有機金属化合物と反応させて、ヒドロキシアリールフルオレノンを調製する。この反応に際しては、フルオレノン環の2位に結合している水酸基等の保護性官能基は置換シリル基で保護されているため、上記有機金属化合物との反応に関与せず、カルボニル基(C=O)のみが有機金属化合物と反応する。従って、得られるヒドロキシ−アリールフルオレノンは、例えば下記式(6)で表され、水酸基等は置換シリル基で保護されている。尚、上記式(6)において、R或いはRが水酸基、アミノ基或いは一置換アミノ基であるときには、これらも保護基(置換シリル基,−SiR)で保護されている。
【0027】
上記反応に用いる有機金属化合物は、式(3)の分子骨格に対応する分子構造を有するハロゲン化物を、ブチルリチウム等の有機リチウム化合物、リチウム金属、マグネシウム金属或いはアルキル銅リチウム化合物等と反応させることにより製造することができる。また、式(3)の分子骨格に対応する分子構造を有する有機リチウム化合物を銅化合物と反応させることによっても製造することができる。
【0028】
水酸基等が保護されたヒドロキシフルオレノンと前記有機金属化合物との反応は、上記のようにして製造された有機金属化合物を単離することなく水酸基等が保護されたヒドロキシフルオレノンと反応させることにより行うことができる。反応に際して用いる溶剤は、有機金属化合物と反応しない溶剤であれば特に限定されないが、ヘキサン、シクロヘキサン等の非環状または環状の脂肪族炭化水素、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等の非環状または環状のエーテル等が使用でき、これらの混合溶剤も使用できる。反応温度と反応時間は特に限定されないが、−10℃〜溶剤の沸点程度の温度で、0.5時間〜10時間程度の反応時間で、反応の進行を確認しながら決定すればよい。反応終了後は水でクエンチし水酸基等が保護されたヒドロキシ−アリールフルオレノールを得る。このように得られる水酸基等が保護されたヒドロキシ−アリールフルオレノールは、定法に従って単離、精製することもできるが、そのまま次の反応に用いることもできる。
【0029】
スピロ化及び脱保護;
本発明においては、上記のようにして得られた“水酸基等が保護されたヒドロキシ−アリールフルオレノール”を酸性条件下でスピロ化させ、水酸基等の保護性官能基が置換シリル基で保護されたスピロフルオレノールを得る。
【0030】
酸性条件とするために酸が使用される。酸としては、硫酸、リン酸等の無機酸;p−トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸等の有機酸;塩化アルミニウム、四塩化チタン等の無機のルイス酸;酸性アルミナ、酸性イオン交換樹脂等の固体酸;などの公知の酸が特に限定なく使用することができる。また、五酸化リン、五塩化リン、塩化チオニル、塩化スルフリルといった水と反応して酸となるような脱水剤も使用できる。酸の使用量は、その種類によっても異なり特に限定されないが、一般的には、ヒドロキシ−アリールフルオレノール100重量部に対して、0.01重量部〜1000重量部、より好ましくは1重量部〜50重量部を用いればよい。
【0031】
酸性条件下でのスピロ化反応は、通常、溶媒(溶剤)中で行われる。ここで用いる溶媒(溶剤)は、使用する酸等と反応しないものであれば特に限定されないが、ヘキサン、シクロヘキサン等の非環状または環状の脂肪族炭化水素、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、ジクロロメタン、クロロホルム等の塩素化炭化水素等が好適に使用できる。反応温度と反応時間は特に限定されないが、室温〜溶剤の沸点程度の温度で、0.5時間〜10時間程度の反応時間で、反応の進行を確認しながら決定すればよい。この時、条件によっては保護基(置換シリル基)の除去が起こることがあるが、次の工程に影響は無い。このようにして製造した水酸基等が保護されたスピロフルオレノールは、定法に従って単離、精製することもできるが、そのまま次の反応に用いることもできる。
【0032】
本発明の製造方法では、最後に上記のようにして得られた水酸基等が保護されたスピロフルオレノールについて脱保護(置換シリル基の除去)を行う。脱保護の方法は特に限定されないが、溶剤中でフッ素アニオンを含む脱保護剤と反応させることにより容易に行うことができる。
【0033】
フッ素アニオンを含む脱保護剤としては、テトラブチルアンモニウムフルオライド、ベンジルトリメチルアンモニウムフルオライド等の四級アンモニウムフルオライド;フッ化ナトリウムやフッ化カリウム等のアルカリ金属フルオライドが使用できる。また、脱保護剤としてアルカリ金属フルオライドを用いる場合には、テトラブチルアンモニウムブロマイド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド等の四級アンモニウム塩を併用することが好ましい。また、ここで用いる溶剤は、反応を阻害しないものであれば特に限定されないが、ヘキサン、シクロヘキサン等の非環状または環状の脂肪族炭化水素、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;ジクロロメタン、クロロホルム等の塩素化炭化水素;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等の非環状または環状のエーテル;アセトニトリル、ブチロニトリル等のニトリル;メタノール、エタノール等のアルコール;ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等の非環状または環状のアミド;ジメチルスルホキシド、スルホラン等の非環状または環状のスルホキシド;スルホン;これらの混合溶剤を用いることができる。また、これら溶剤は含水溶剤であってもよい。
【0034】
さらに、脱保護の方法としては、水酸基等が保護されたスピロフルオレノールに、前記式(4)で示される化合物をアルコール類または水と共に反応させる方法も簡便である。この際の溶剤は前述の溶剤が使用できるが、反応試薬兼溶剤としてアルコール類を用いることが好適である。また、三フッ化ホウ素などのルイス酸を用いて脱保護を行なうことも可能である。この際の溶剤は酸によって分解しない溶剤であれば特に限定されないが、塩素化炭化水素等が好適に使用される。
【0035】
このような脱保護によって得られたスピロフルオレノールは、定法に従って単離、精製することもできるが、そのままフォトクロミック化合物を合成するための反応に用いることもできる。
【0036】
さらに、本発明の製造方法では、酸を用いることによりスピロ化反応と脱保護反応を一段で行なうことも可能であり、このような方法を採用することは効率化の観点から特に好適である。この時、酸としては、上記スピロ化反応と脱保護反応で使用できるものとして例示した酸の中でも、有機スルホン酸、有機酸又はルイス酸、特にp−トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、三フッ化ホウ素(通常、エーテルコンプレックスとして使用される)又は臭化マグネシウムが好適に使用できる。また、溶媒としては、上記スピロ化反応あるいは脱保護反応で使用可能な溶媒が特に制限なく使用できるが、反応の選択率の点からアセトニトリルを用いるのが最も好ましい。なお、反応終了後は、例えば、酸を不活性化した後に、水又は食塩水を加えて洗浄し、更に有機層から溶媒を除去することにより目的物を得ることができる。
【0037】
本発明の製造方法によれば、フォトクロミック性化合物の原料として有用なスピロフルオレノールを効率よく製造することが可能となる。
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に述べるが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0038】
[実施例1]
3,9−ジメトキシ−5−ヒドロキシベンゾ[c]フルオレン−7−オン2g(6.5mmol)をテトラヒドロフラン(THF)10mlに懸濁し、水酸化ナトリウム0.31g(7.8mmol)のメタノール(40ml)溶液を加え、室温で1時間攪拌した。一旦トルエン80mlを加えてから溶媒を全て減圧留去し、ナトリウム塩とした。これをTHF50mlに溶解し、t−ブチルジメチルシリルクロライド1.2g(7.8mmol)のTHF(20ml)溶液を滴下して室温で2時間反応させた。この時の転化率は99%であった。次いでTHFを減圧留去し、メタノール30mlから晶析して2.4g(純度97%、収率87%)の3,9−ジメトキシ−5−t−ブチルジメチルシリルオキシベンゾ[c]フルオレン−7−オン(フルオレノンAと略す)を得た。
【0039】
1−ブロモフェナントレン2.1g(8.3mmol)をヘプタン43mlに溶解し、ブチルリチウム5.3ml(1.6mol/l、8.5mmol)を室温で加えて1−リチオフェナントレンとし、−5℃まで冷却してから、上記フルオレノンA2.2g(5.2mmol)を加え、さらにTHFを0℃以下で加えてその温度で2時間攪拌した。この時の転化率は99%であった。反応後、1N塩酸8.5ml、水10mlで洗浄し、溶媒を減圧留去した。メタノール20mlから晶析して2.5g(純度97%、収率82%)の3,9−ジメトキシ−5−t−ブチルジメチルシリルオキシ−7−ヒドロキシ−7−フェナントレン−1−イルベンゾ[c]フルオレン(ベンゾフルオレンAと略す)を得た。
【0040】
得られた2.5gのベンゾフルオレンAのうち1.0g(1.7mmol)を酢酸10gに懸濁し、60℃に加熱した。ここに酢酸3.5g、濃硫酸0.7g、水2.1gからなる溶液を添加して60℃で3時間攪拌した。この時の転化率は、99%であった。その後、冷却して5N水酸化ナトリウム水溶液46mlとTHF50mLを加えて洗浄し、更に水20mlで2回洗浄して溶媒を減圧留去した。メタノール30mlから晶析して0.87g(純度96%、収率90%)の3’,9’−ジメトキシ−5’−t−ブチルジメチルシリルオキシスピロ[(1H−シクロペント[d,e,f]フェナントレン)−1,7’−ベンゾ[c]フルオレン](スピロベンゾフルオレンと略す)を得た。
【0041】
得られた0.87gのスピロベンゾフルオレンのうち0.58g(1.0mmol)をTHF30mlに溶解し、テトラブチルアンモニウムブロマイド1.3g(4mmol)とフッ化カリウム0.23g(4mmol)を加え、10時間加熱還流した。この時の転化率は98%だった。その後、冷却して水10mlで3回洗浄し、溶媒を減圧留去した。純度95%で3’,9’−ジメトキシ−5’−ヒドロキシスピロ[(1H−シクロペント[d,e,f]フェナントレン)−1,7’−ベンゾ[c]フルオレン]を0.47g(収率100%)で得た。全収率を計算すると、64%であった。
【0042】
[比較例1]
水酸化ナトリウム0.28g(7mmol)をメタノール20mlに溶解し、3,9−ジメトキシ−5−ヒドロキシベンゾ[c]フルオレン−7−オン2g(6.6mmol)とベンジルクロライド0.82g(6.5mmol)を加え、THFを20ml加えて20時間還流した。この時の転化率は90%であった。反応中にベンジル基が2個反応したと思われる副生成物が生成した。溶媒を減圧留去してアセトン32mlから晶析し、1.4gの3,9−ジメトキシ−5−ベンジルオキシベンゾ[c]フルオレン−7−オンを得た(純度97%、収率52%)。実施例1に準じてフェナントレン付加、脱水反応を行ない、3’,9’−ジメトキシ−5’−ベンジルオキシスピロ[(1H−シクロペント[d,e,f]フェナントレン)−1,7’−ベンゾ[c]フルオレン](スピロベンゾフルオレンと略す)を得た。純度及び収率は各々85%、90%であった。得られたスピロベンゾフルオレン0.67g(1.2mmol)をTHF30ml、メタノール50mlに溶解し、5%パラジウム活性炭0.27g、ギ酸アンモニウム15.1g(240mmol)を加え、室温で2時間反応させた。このときの転化率は99%だった。反応後、パラジウム活性炭をろ別し、水20mlで洗浄し、溶媒を減圧留去した。純度98%で3’,9’−ジメトキシ−5’−ヒドロキシスピロ[(1H−シクロペント[d,e,f]フェナントレン)−1,7’−ベンゾ[c]フルオレン]を0.55g(収率99%)で得た。全収率を計算すると、39%であった。
【0043】
[比較例2]
3,9−ジメトキシ−5−ヒドロキシベンゾ[c]フルオレン−7−オン10g(32.6mmol)をTHF500mlに溶解し、二炭酸ジ−t−ブチル10.7g(49mmol)と0.04gの4−ジメチルアミノピリジン(0.3mmol)を加え、室温で3時間攪拌した。結晶が析出するまでTHFを濃縮し、400mlのヘプタンを加えて晶析し、12.8g(純度96%、収率97%)の3,9−ジメトキシ−5−t−ブトキシカルボニルオキシベンゾ[c]フルオレン−7−オン(ベンゾフルオレノンと略す)を得た。上記のベンゾフルオレノンを実施例1と同様に1−リチオフェナントレンと反応させたところ、t−ブトキシカルボニル基が反応し、純度が61%まで低下した。このまま、実施例1と同様に脱水反応を行なったところ、脱保護反応も同時に進行したが純度44%の3’,9’−ジメトキシ−5’−ヒドロキシスピロ[(1H−シクロペント[d,e,f]フェナントレン)−1,7’−ベンゾ[c]フルオレン]が得られたに過ぎなかった。これは精製ができなかった。なお、ロス無く精製ができたとしても、全収率を計算すると43%であった。
【0044】
[実施例2]
3−メトキシ−5−ヒドロキシベンゾ[c]フルオレン−7−オン10g(36.2mmol)を150mlのTHFに懸濁し、トリエチルアミン4.4g(43.5mmol)を加えた。次いで、t−ブチルジメチルシリルクロライド6.55g(43.5mmol)をTHF50mlに溶解した溶液を室温で滴下し、45℃で6時間攪拌した。この時の転化率は98%であった。THFを減圧留去し、メタノール230mlから晶析して
12g(純度98%、収率85%)の3−メトキシ−5−t−ブチルジメチルシリルオキシベンゾ[c]フルオレン−7−オン(ベンゾフルオレンAと略す)を得た。
【0045】
2−ヨウ化ビフェニル10.9g(38.9mmol)をヘプタン150mlに溶解し、−5℃に冷却した。ここにブチルリチウム26.5mL(1.6mol/l、42.4mmol)を加え、−5℃で1時間攪拌する。ここに、上記で調製されたベンゾフルオレンA10.5g(27mmol)を加え、さらにTHFを0℃以下で加えてその温度で2時間攪拌した。この時の転化率は99%であった。反応後、1N塩酸42ml、THF200mlを加えて洗浄し、さらに水50mlで2回洗浄した。溶媒を減圧留去して、14gの3−メトキシ−5−t−ブチルジメチルシリルオキシ−7−ヒドロキシ−7−(2−フェニルフェニル)ベンゾ[c]フルオレン(ベンゾフルオレンBと略す)を得た(純度95%、収率95%)。
【0046】
得られた14gのベンゾフルオレンBのうち10.9g(20mmol)を酢酸115gに懸濁し、60℃に加熱した。ここに酢酸55g、濃硫酸10.9g、水32.6gからなる溶液を添加して60℃で3時間攪拌した。この時の転化率は99%であった。その後、30℃まで冷却し、5Nの水酸化ナトリウム水溶液740mlと酢酸エチル400mlを加えて洗浄し、さらに10%食塩水200mlで洗浄した。溶媒を留去して10gの3’−メトキシ−5’−t−ブチルジメチルシリルオキシスピロ[フルオレン−9,7’−ベンゾ[c]フルオレン](スピロベンゾフランと略す)を得た(純度95%、収率95%)。得られた10gのスピロベンゾフランのうち0.53g(1mmol)をTHF30mlに溶解し、1.52gの1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(10mmol)を加え、室温で24時間攪拌した。この時の転化率は99%であった。その後、1N塩酸10mlで洗浄し、さらに水10mlで3回洗浄した。THFを留去して3’−メトキシ−5’−ヒドロキシスピロ[フルオレン−9,7’−ベンゾ[c]フルオレン]0.41g(純度96%、収率99%)を得た。全収率を計算すると、76%であった。
【0047】
[実施例3]
実施例2に準じて3’−メトキシ−5’−t−ブチルジメチルシリルオキシスピロ[フルオレン−9,7’−ベンゾ[c]フルオレン](スピロベンゾフランと略す)を得た。
上記のスピロベンゾフラン0.53g(1mmol)をクロロホルム30mlに溶解し、5℃に冷却してから三フッ化ホウ素のジエチルエーテルコンプレックス3.4g(24mmol)を加え、50℃で20時間反応させた。この時の転化率は99%であった。その後、冷却し、1N水酸化ナトリウム水溶液24m1、水50mlで4回洗浄した。クロロホルムを留去して3’−メトキシ−5’−ヒドロキシスピロ[フルオレン−9,7’−ベンゾ[c]フルオレン]0.40g(純度96%、収率97%)を得た。全収率を計算すると、74%であった。
【0048】
[比較例3]
水酸化ナトリウム0.4g(10mmol)をメタノール10mlに溶解し、3−メトキシ−5−ヒドロキシベンゾ[c]フルオレン−7−オン2.5g(9.1mmol)とTHF30mL、およびベンジルクロライド3.7g(29mmol)を加え、60℃で10時間攪拌した。この時の転化率は95%であった。その後、20℃まで冷却し、析出した結晶をろ過し、水10mlで洗浄してから乾燥し、3−メトキシ−5−ベンジルオキシベンゾ[c]フルオレン−7−オン2.0g(純度99%、収率61%)を得た。
実施例2に従ってビフェニル付加、脱水反応を行ない、2.5gの3’−メトキシ−5’−ベンジルオキシスピロ[フルオレン−9,7’−ベンゾ[c]フルオレン](スピロベンゾフルオレンと略す)を得た。収率は各々97%、95%であった。
【0049】
上記のスピロベンゾフルオレン0.5g(1mmol)をTHF50ml、酢酸10ml、メタノール5ml、水1.5mlの混合溶媒に溶解し、5%パラジウム活性炭0.05gを加えた。水素風船を用いて40℃で24時間攪拌した。この時の転化率は99%であった。反応後、冷却し、パラジウム活性炭をろ別し、溶媒を減圧留去して3’−メトキシ−5’−ヒドロキシスピロ[フルオレン−9,7’−ベンゾ[c]フルオレン]0.41g(純度98%、収率98%)を得た。全収率を計算すると、55%であった。
【0050】
[実施例4]
実施例1に準じて3,9−ジメトキシ−5−t−ブチルジメチルシリルオキシ−7−ヒドロキシ−7−フェナントレン−1−イルベンゾ[c]フルオレン(ベンゾフルオレンと略す)を得た。このベンゾフルオレン1.0g(1.7mmol)をアセトニトリル70mlに溶解し、三フッ化ホウ素エーテルコンプレックス0.71g(5mmol)を加えて50℃で3時間攪拌した。フッ化カリウム0.32g(5.5mmol)を加えて三フッ化ホウ素エーテルコンプレックスを不活性化し、THF90mlを加えてから10%食塩水80mlで3回洗浄した。溶媒を減圧留去して、純度98%で3’,9’−ジメトキシ−5’−ヒドロキシスピロ[(1H−シクロペント[d,e,f]フェナントレン)−1,7’−ベンゾ[c]フルオレン]を0.46g(収率98%)で得た。全収率を計算すると、63%であった。
【0051】
[実施例5〜8]
実施例4に準じて、表1に示す条件で3,9−ジメトキシ−5−t−ブチルジメチルシリルオキシ−7−ヒドロキシ−7−フェナントレン−1−イルベンゾ[c]フルオレンのスピロ化と脱保護反応を行い、表1に示す結果を得た。
【0052】
【表1】
Figure 0004373342

Claims (7)

  1. 下記式(1):
    Figure 0004373342
    で表されるスピロフルオレノール化合物の製造方法であって、
    下記式(2):
    Figure 0004373342
    で表されるフルオレノン化合物に結合している水酸基を、−SiR (式中、R 、R 及びR はそれぞれアルキル基であり、これらアルキル基の炭素数の合計は5〜12である)で表される置換シリル基からなる保護基で保護し、
    次いで該フルオレノン化合物と下記式(3):
    Figure 0004373342
    (式中、MはLi、MgCl、MgBr、MgI又はCuLiである)
    で示される有機金属化合物とを反応させて、水酸基が前記保護基で保護されたヒドロキシ−アリールフルオレノールを得、
    得られたヒドロキシ−アリールフルオレノールをスピロ化及び脱保護することを特徴とするスピロフルオレノール化合物の製造方法;
    但し、前記式(1)乃至(3)において、
    Xは、単結合または下記グループAの中から選ばれる何れかの2価の基であり、
    Yは、ベンゾ環の2つの炭素原子と共に芳香族炭化水素環基または不飽和複素環基を
    形成している基であり、
    Xが単結合である場合、RおよびRは、それぞれ、水素原子、下記グループB
    から選ばれる何れかの1価の基、または互いに結合して下記グループAから選ばれる何
    れかの2価の基(但し−Z−および−CR−は除く)を形成している基であり、
    XがグループAから選ばれる基である場合、RおよびRは、それぞれ、水素原
    子または下記グループBから選ばれる何れかの1価の基であり、
    およびRは、それぞれ、下記グループBから選ばれる何れかの1価の基であ
    り、
    pおよびqは、それぞれ独立して0〜3の整数である;
    グループA:
    −Z−、−(CR−、
    −(CR−Z−、
    −Z−(CR−Z−、
    −(CR−Z−(CR−、−(CR=CR−、及
    び、−CR=N−
    (但し、−Z−は−O−、−S−又は−NR−であり、RおよびRは、それ
    ぞれ独立に下記グループBから選ばれる何れかの1価の基であり、一つの基の中に−
    Z−,RまたはRが複数存在する場合には、当該複数の−Z−,R,または
    は互いに異なっていてもよく、a、b、kおよびlはそれぞれ独立に1〜4の
    整数であり、mおよびnはそれぞれ独立に1〜6の整数である);
    グループB:
    アルキル基、アラルキル基、置換もしくは非置換のアリール基、ヒドロキシ基、アル
    コキシ基、アラルコキシ基、アミノ基、一置換アミノ基、二置換アミノ基、シアノ基
    、ニトロ基、ハロゲン原子、トリフルオロメチル基、炭素原子あるいは窒素原子上に
    結合手を有する置換または非置換の複素環基、及び芳香族炭化水素環または複素環が
    縮環した縮合複素環からなり、炭素原子あるいは窒素原子上に結合手を有する置換ま
    たは非置換の縮合複素環基。
  2. 前記式(2)で表されるフルオレノン化合物がアミノ基或いは一置換アミノ基を有している場合には、前記水酸基と共に、当該アミノ基或いは一置換アミノ基を前記保護基で保護する請求の範囲1に記載の製造方法。
  3. 前記置換シリル基による保護を下記式(4):
    Figure 0004373342
    (式中、iは2〜4の整数であり、jは3〜6の整数である)
    で示される化合物の存在下に行う請求の範囲1に記載の製造方法。
  4. 前記保護基で保護されたヒドロキシ−アリールフルオレノールをスピロ化して得られたスピロフルオレノールを、四級アンモニウムフルオライドまたはアルカリ金属フッ化物と反応させることにより脱保護が行われる請求の範囲1に記載の製造方法。
  5. 前記保護基で保護されたヒドロキシ−アリールフルオレノールをスピロ化して得られたスピロフルオレノールを、前記式(4)で示される化合物の存在下に、アルコールまたは水と反応させることにより、脱保護を行う請求の範囲3に記載の製造方法。
  6. 前記保護基で保護されたヒドロキシ−アリールフルオレノールを、アセトニトリル溶媒中で、酸と反応させることにより、スピロ化と脱保護とを一段で行なう請求の範囲1に記載の製造方法。
  7. 酸として三フッ化ホウ素エーテルコンプレックス、臭化マグネシウム、パラトルエンスルホン酸およびトリフルオロ酢酸よりなる群より選ばれる少なくとも一つの化合物を用いる請求の範囲6に記載の製造方法。
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