JP4360831B2 - 表面層検出装置、プラズマ処理装置および表面層検出方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、表面層検出装置、プラズマ処理装置および表面層検出方法に関し、特に被検出物の表面にプラズマによる処理中に形成された層を検出する表面層検出装置、プラズマ処理装置および表面層検出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、半導体デバイスや液晶ディスプレイ装置等の製造工程、あるいは他の任意の微細加工工程において、減圧下でプラズマを発生させ、そのプラズマを利用して半導体デバイスや液晶ディスプレイ装置などの基板を処理する各種のプラズマ処理が広く行なわれている。このようなプラズマ処理を行なう際に、プラズマによって基板の表面に形成された層(表面層)を検出可能なプラズマ処理装置が、たとえばC.C.Cheng et al., "In situ pulsed laser-induced thermal desorption studies of the silicon chloride surface layer during silicon etching in high density plasmas of Cl2 and Cl2/O2 mixtures", J. Vac. Sci. Technol. A12(5), Sep/Oct(1994), pp.2630-2640(非特許文献1)に記載されている。上記文献に記載されているプラズマ処理装置は、以下の構成を備えている。
【0003】
プラズマ処理装置は、反応室とRF(Radio Frequency)電源とパルスレーザ発生装置と蛍光計測装置とを主に備えている。反応室は中央窓と観測用窓とを有している。反応室内にはステージが設けられていて、ステージ上にはシリコン基板が設置されている。RF電源は、反応室内にRF電力を放射するためのコイルと電気的に接続されている。コイルは反応室の中央窓の付近に設置されている。パルスレーザ発生装置は、発生したレーザ光が中央窓を介して反応室内のシリコン基板の表面に投光されるように配置されている。蛍光計測装置は反応室の観測用窓の付近に設置されている。
【0004】
続いて、上記プラズマ処理装置の動作原理について説明する。
反応室内に減圧下で塩素ガスが導入され、コイルから反応室内にRF電力が放射されると、反応室内には塩素プラズマが発生する。すると、塩素プラズマに含まれる中性活性種である塩素分子(Cl2)や塩素原子(Cl)がシリコン基板に化学吸着し、シリコン基板の表面には、SiClx(x=1〜4)で表わされる表面層(以下、SiClx層)が形成される。そして、このSiClx層に、塩素プラズマに含まれるCl2 +やCl+などの高エネルギの正イオンが入射すると、SiClやSiCl2などの反応生成物がSiClx層から脱離する。これにより、SiClx層が除去され、シリコン基板の表面のプラズマ処理が進行する。
【0005】
このプラズマ処理においては、レーザー光が照射されることによってSiClx層が検出される。すなわち、SiClx層はレーザ光との相互作用によっても脱離する性質を有している。そこで、適当な強度のレーザ光がシリコン基板の表面に投光されることにより、形成されたSiClx層の全てがSiClなどの反応生成物となって脱離する。その結果、シリコン基板の表面にはSiClx層がなくなり、清浄なシリコン(Si)表面が露出される。レーザ光は、たとえば308nmの波長で、20nsのパルス幅であるものが用いられる。
【0006】
SiClx層から脱離したSiClなどの反応生成物は、レーザ光を吸収して基底準位から励起準位に励起される。しかし、この励起準位は安定ではないため、SiClx層から脱離したSiClなどの反応生成物は、約10nsの寿命で再び基底準位に遷移する。励起準位から基底準位へ遷移する際、SiClは290nm〜300nmの波長の蛍光を放出する。このSiClからの蛍光が観測用窓を介して蛍光計測装置で受光され、レーザ誘起蛍光分光法に基づいて、脱離したSiClx層が検出される。このようにSiClx層を検出することで、プラズマ処理中における被処理面の状態を検出することができる。
【0007】
【非特許文献1】
C.C.Cheng et al., "In situ pulsed laser-induced thermal desorption studies of the silicon chloride surface layer during silicon etching in high density plasmas of Cl2 and Cl2/O2 mixtures", J. Vac. Sci. Technol. A12(5), Sep/Oct(1994), pp.2630-2640
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のプラズマ処理装置では、反応室内には、レーザ光との相互作用によって脱離したSiClの他に、塩素プラズマに含まれるCl2 +やCl+などの正イオンが入射することによって脱離したSiClが存在している。このため、蛍光計測装置で受光される蛍光は、レーザ光との相互作用によって脱離したSiClからの蛍光と、Cl2 +やCl+などの正イオンが入射することによって脱離したSiClからの蛍光とを含んでいる。したがって、レーザ光との相互作用によって脱離したSiCl、すなわちシリコン基板の表面に形成されていたSiClx層について、蛍光計測装置で受光される蛍光の強度に基づいて定量的に検出することはできないという問題があった。このため、プラズマ処理中における被処理面の状態を正確に検出することはできず、プラズマ処理中における被処理面の状態に基づいてプラズマ処理の制御を行なうことも困難であった。
【0009】
したがって、本発明の目的は、被検出物の表面にプラズマによる処理中に形成された層を定量的に検出することのできる表面層検出装置、プラズマ処理装置および表面層検出方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明における表面層検出装置は、被検出物の表面にプラズマによる処理中に形成された層を検出する表面層検出装置であって、検出用光投光装置と受光装置と除去用光投光装置とを備えている。検出用光投光装置は、被検出物の表面に検出用光を投光するものである。受光装置は、検出用光投光装置により投光され被検出物の表面で反射した検出用光を受光するものである。除去用光投光装置は、被検出物の表面にプラズマによる処理中に形成された層を除去するための除去用光を繰り返し投光するものである。表面層検出装置は、被検出物の表面に除去用光が投光されている場合の検出用光の強度と、被検出物の表面に除去用光が投光されていない場合の検出用光の強度とに基づいて層の検出を行なっている。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図に基づいて説明する。
【0012】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における表面層検出装置が設置されているプラズマ処理装置の構成を示す模式図である。
【0013】
図1を参照して、プラズマ処理装置20は、反応室1とRF電源4と表面層検出装置11とを備えている。
【0014】
反応室1は、反応容器を構成していて、シリコン基板2を内部に保持し、かつプラズマを内部に発生させるためのものである。反応室1は、たとえば石英よりなる中央窓9と投光窓14と観測窓10との3つの窓を有している。反応室1内には、ステージ3が設けられていて、ステージ3上には被検出物であるシリコン基板2が設置されている。
【0015】
RF電源4はコイル5と電気的に接続されていて、RF電源4とコイル5とはプラズマ発生装置を構成している。コイル5は中央窓9の付近に設置されている。
【0016】
表面層検出装置11は、プローブ光発生装置13と光検出器16とパルスレーザ発生装置6とを備えている。このうちプローブ光発生装置13は、シリコン基板2の表面層を検出するための検出用光である微弱な光(プローブ光)をシリコン基板2の表面に投光する装置であり、検出用光投光装置を構成している。プローブ光発生装置13は、発生したプローブ光が投光窓14を介してシリコン基板2の表面に投光されるように配置されている。プローブ光発生装置13から発生したプローブ光は、シリコン基板2の表面に対してたとえば75度の入射角で入射される。プローブ光発生装置13としては、たとえばHe(ヘリウム)−Ne(ネオン)レーザ光発生装置が用いられる。プローブ光発生装置13は、たとえば632.8nmの波長で1mW以下のパワーのレーザ光を発生する。また、プローブ光発生装置13としては、プローブ光としてたとえば白色光を発生するものでもよい。
【0017】
光検出器16は受光装置を構成していて、プローブ光発生装置13から投光されシリコン基板2の表面で反射したプローブ光が、観測窓10および干渉フィルタ15を介して受光されるように配置されている。干渉フィルタ15は、プローブ光以外の波長の光を干渉によって除去する光学フィルタであり、プローブ光がシリコン基板2の表面で反射してから光検出器16で受光されるまでのプローブ光の経路に配置されている。
【0018】
パルスレーザ発生装置6は、除去用光であるレーザ光を一定間隔で繰り返し発生する装置である。パルスレーザ発生装置6は、発生したレーザ光がレンズ7とミラー8と中央窓9とを介して反応室1内のシリコン基板2の表面に投光されるように配置されている。パルスレーザ発生装置6とレンズ7とミラー8とは除去用光投光装置を構成している。パルスレーザ発生装置6としては、たとえばエキシマレーザ発生装置やYAG(yttrium-aluminum-garnet)レーザ発生装置などが用いられる。
【0019】
次に、本実施の形態におけるプラズマ処理装置20の動作原理について説明する。
【0020】
反応室1内に減圧下でCl2が導入され、コイル5から反応室1内にRF電力が放射されると、反応室1内には塩素プラズマが発生する。すると、塩素プラズマに含まれる中性活性種であるCl2やClがシリコン基板2に化学吸着し、シリコン基板2の表面には、SiClx層が形成される。そして、塩素プラズマに含まれるCl2 +やCl+などの高エネルギの正イオンがこのSiClx層に入射すると、SiClやSiCl2などの反応生成物がSiClx層から脱離する。これにより、SiClx層が除去され、シリコン基板2の表面のプラズマ処理が進行する。
【0021】
図2は、本発明の実施の形態1におけるSiClx層の厚さの時間変化を模式的に示す図である。
【0022】
図2を参照して、パルスレーザ発生装置6からレーザ光が発生されている場合(図2中「レーザ光ON」の場合)には、シリコン基板2の表面に形成されたSiClx層の全てがSiClなどの反応生成物となって脱離するか、気体となって蒸発する。その結果、シリコン基板の表面にはSiClx層がなくなり、清浄なシリコン表面が露出される。
【0023】
一方、パルスレーザ発生装置6からレーザ光が発生されていない場合(図2中「レーザ光OFF」の場合)には、塩素プラズマに含まれるCl2やClがシリコン基板2に化学吸着し、シリコン基板2の表面にSiClx層が形成される。ここで、形成されたSiClx層に、塩素プラズマに含まれるCl2 +やCl+などが入射すると、SiClやSiCl2などの脱離によりSiClx層が除去される。つまり、SiClx層は、形成されると同時に除去され、これらの形成する速度と除去する速度とが釣り合う。その結果、SiClx層の厚さは一定時間経過後に一定となる。
【0024】
次に、本実施の形態における表面層検出装置の動作原理について説明する。
図1を参照して、プローブ光発生装置13から発生したプローブ光は、たとえば偏光子によりp偏光とされて、投光窓14を介してシリコン基板2の表面に投光される。そして、プローブ光はシリコン基板2の表面で反射し、観測窓10および干渉フィルタ15を介して光検出器16で受光される。ここで、プローブ光の反射率は、Siで反射する場合とSiClx層で反射する場合とで異なる。このため、光検出器16で検出されるプローブ光の強度は、Siで反射する場合とSiClx層で反射する場合とで異なる。
【0025】
図3は、本発明の実施の形態1における表面層検出装置で検出されるプローブ光の強度の時間変化を示す図である。
【0026】
図3を参照して、表面層検出装置11の光検出器16で検出されるプローブ光の強度は周期的に変化している。すなわち、パルスレーザ発生装置6からレーザ光が発生されている場合(図3中「レーザ光ON」の場合)には、清浄なSi表面が露出されている(SiClx層が形成されていない)ので、プローブ光はSi表面で反射する。このため、プローブ光の強度は第1の強度I(ON)となる。一方、パルスレーザ発生装置6からレーザ光が発生されていない場合(図3中「レーザ光OFF」の場合)には、シリコン基板2の表面にSiClx層が形成されるので、プローブ光はSiClx層で反射する。このため、プローブ光の強度は第2の強度であるI(OFF)となる。
【0027】
プローブ光がp偏光である場合、このようにして得られたプローブ光の強度I(ON)およびI(OFF)と、SiClx層の厚さdとの間には、以下の関係が成り立っている。
【0028】
【数1】
【0029】
上記式において、ε1は真空中の複素誘電率、ε2はSiClx層の複素誘電率、ε3はSiClx層の複素誘電率、θはプローブ光の入射角、λはプローブ光の波長(m)である。
【0030】
また、SiClx層が1原子層以下の場合には、以下の式からSiClx層の被覆率Θ(0≦Θ≦1)が算出される。
【0031】
【数2】
【0032】
上記式において、d0はSiClx層1原子層分の厚さ、dは式(1)から得られたSiClx層の厚さである。式(1)および式(2)により、I(ON)とI(OFF)とに基づいてSiClx層の厚さおよび被覆率が算出できるので、SiClx層の定量的な検出が可能となる。なお、プローブ光の強度は微弱であるため、プローブ光がSiClx層に与える影響はごくわずかである。
【0033】
本実施の形態の表面層検出装置11および表面層検出方法によれば、シリコン基板2の表面で反射して光検出器16で受光されたプローブ光の強度I(ON)とI(OFF)とに基づいてSiClx層が検出されている。したがって、SiClx層から脱離したSiClからの蛍光に基づいてSiClx層の検出を行なっていないので、塩素プラズマに含まれるCl2 +やCl+イオンによって脱離したSiClの影響を受けずにSiClx層が検出可能である。したがって、シリコン基板2の表面にプラズマによる処理中に形成されたSiClx層を定量的に検出することができる。さらに、プラズマ処理中における被処理面の状態を正確に検出することができるので、プラズマ処理中における被処理面の状態に基づいてプラズマ処理の制御を行なうことができる。
【0034】
本実施の形態の表面層検出装置11において好ましくは、シリコン基板2の表面にプラズマによる処理中に形成されたSiClx層を除去するためのレーザ光を投光するパルスレーザ発生装置6をさらに備えている。
【0035】
本実施の形態の表面層検出方法において好ましくは、I(ON)は、シリコン基板2の表面に形成されたSiClx層を除去するためのレーザ光をシリコン基板2の表面に投光しながら測定される。
【0036】
パルスレーザ発生装置6からシリコン基板2の表面に適当な強度のレーザ光が投光されると、形成されたSiClx層の全てがSiClなどの反応生成物となって脱離するか、気体となって蒸発する。したがって、この性質を利用してSi表面で反射した場合のプローブ光の強度I(ON)を容易に得ることができる。また、塩素プラズマによりSiClx層が除去されるとともに、パルスレーザ発生装置により発生されるレーザ光によりSiClx層が除去されるので、プラズマ処理を一層効率よく行なうことができる。
【0037】
本実施の形態において好ましくは、プローブ光発生装置13はシリコン基板2の表面に対して73度から76度の入射角でプローブ光を投光している。これにより、シリコン基板2の表面において、シリコン基板2の表面に垂直方向のプローブ光の電場が増大するので、SiClx層の検出感度が向上する。
【0038】
本実施の形態において好ましくは、プローブ光は白色光である。白色光はさまざまな波長を有しているので、このようなプローブ光を受光することで、SiClx層の誘電率の波長依存性が光検出器16で得られる。これにより、シリコン基板2の表面に形成されたSiClx層についてのより詳しい情報が得られる。
【0039】
本実施の形態において好ましくは、プローブ光がシリコン基板2の表面で反射してから光検出器16で受光されるまでのプローブ光の経路に配置された干渉フィルタ15をさらに備えている。これにより、プローブ光以外の波長の光が除去され、プローブ光のみを光検出器16で受光することができるので、光検出器16で受光されるプローブ光のS/N(Signal/Noise)比が向上する。
【0040】
なお、本実施の形態においてはプローブ光がp偏光である場合について示したが、本発明はこのような場合に限定されるものではなく、プローブ光がたとえばs偏光であってもよい。プローブ光がs偏光である場合、プローブ光の強度I(ON)およびI(OFF)と、SiClx層の厚さdとの間には、以下の関係が成り立っている。
【0041】
【数3】
【0042】
これにより、SiClx層の厚さおよび被覆率が算出可能となる。
また、本実施の形態においては、パルスレーザ発生装置6からレーザ光が発生されている場合のプローブ光の強度I(ON)と、パルスレーザ発生装置6からレーザ光が発生されていない場合のプローブ光の強度I(OFF)とに基づいてSiClx層の定量的な検出が行なわれたが、本発明はこのような場合に限定されるものではなく、被検出物の表面に層が形成されていない場合のプローブ光の強度と、被検出物の表面に層が形成されている場合とのプローブ光の強度とに基づいて、被検出物の表面にプラズマによる処理中に形成された層の定量的な検出が行なわれればよい。
【0043】
また、本実施の形態においては、干渉フィルタ15を介してプローブ光が光検出器16で受光される場合について示したが、本発明はこのような場合に限定されるものではなく、たとえば分光器を介してプローブ光が受光されてもよい。
【0044】
(実施の形態2)
図4は、本発明の実施の形態2におけるプラズマ処理装置の構成を示す模式図である。
【0045】
図4を参照して、本実施の形態のプラズマ処理装置20は、プラズマ制御装置19をさらに備えている。このプラズマ制御装置19は、データ処理装置17(処理装置)と制御装置18とを有している。データ処理装置17は、光検出器16で受光したプローブ光の強度に基づいてシリコン基板2の表面に形成されたSiClx層を定量的に検出するものである。データ処理装置17は光検出器16と電気的に接続されている。制御装置18は、データ処理装置17の検出結果に基づいてRF電源4を制御するものである。制御装置18は、データ処理装置17とRF電源4と電気的に接続されている。
【0046】
なお、これ以外の構成については図1に示す実施の形態1の構成とほぼ同じであるため、同一の構成要素については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0047】
続いて、本実施の形態におけるプラズマ処理装置20の動作について説明する。
【0048】
光検出器16で受光したプローブ光の強度の信号(情報)は、データ処理装置17へ伝送される。データ処理装置17は、プローブ光の強度に基づいてシリコン基板2の表面に形成されたSiClx層を定量的に検出する。データ処理装置17で算出したSiClx層の厚さおよび被覆率についてのデータの信号は、制御装置18へ伝送される。制御装置18は、データ処理装置17で検出したSiClx層の厚さおよび被覆率についてのデータに基づいてプラズマの発生を制御するためにRF電源4の出力を制御する。制御装置18は、SiClx層の厚さが一定となるようにRF電源4の出力を制御する。なお、RF電源4の出力が制御される際には、パルスレーザ発生装置6においてレーザ光は発生されていない。
【0049】
図5は、本実施の形態2におけるSiClx層の厚さの時間変化を模式的に示す図である。
【0050】
図5を参照して、制御装置18によるRF電源4の制御が行なわれず、RF電源4の出力がたとえば一定に保たれた場合には、プラズマ処理が進行するとともに、形成されるSiClx層の厚さが減少してしまう。この現象は次の理由に起因するものである。すなわち、コイル5に電力が供給されるとコイル5自体の温度が上昇し、コイル5の抵抗が増加する。コイル5の抵抗が増加すると、コイルの電力消費量が増加し、プラズマに供給されるRF電力が低下するために、形成されるSiClx層の厚さが減少する。SiClx層の厚さが減少する結果、SiClx層の除去速度も減少し、プラズマ処理の安定性や再現性が悪化してしまう。
【0051】
一方、本実施の形態におけるプラズマ処理装置20によれば、データ処理装置17で検出したSiClx層の厚さおよび被覆率についてのデータに基づいてRF電源4の出力が制御されている。このため、SiClx層の厚さが一定に保たれている。
【0052】
本実施の形態におけるプラズマ処理装置20によれば、表面層検出装置11で得られた情報に基づいて反応室1内でのプラズマの発生を制御するためにRF電源4が制御される。このため、プラズマ処理中における被処理面の状態に基づいてプラズマ処理の制御を行なうことができるので、シリコン基板2のプラズマ処理が精度よく行なわれ、プラズマ処理プロセスの安定性や再現性が向上する。
【0053】
本実施の形態におけるプラズマ処理装置20において好ましくは、プラズマ制御装置19は、光検出器16で受光したプローブ光の強度に基づいてシリコン基板2の表面に形成されたSiClx層を検出するデータ処理装置17と、データ処理装置17の検出結果に基づいてプラズマ発生装置を制御する制御装置18とを有している。これにより、表面層検出装置11で得られた情報に基づいて、プラズマの発生の制御を容易に行なうことができる。
【0054】
なお、本実施の形態においては、プラズマ制御装置19がデータ処理装置17と制御装置18とを有している場合について示したが、本発明はこのような場合に限られるものではなく、プラズマ制御装置が、表面層検出装置で得られた情報に基づいてプラズマの発生を制御するためにプラズマ発生装置を制御するものであればよい。
【0055】
実施の形態1および2においては、シリコン基板2の表面にSiClx層が形成される場合について示したが、本発明はこのような場合に限定されるものではなく、たとえばフッ素や臭素などの他の種類のプラズマ中でシリコン基板以外の被測定物についてSiClx層以外の表面層が形成される場合にも適用可能である。
【0056】
本発明のプラズマ処理装置は、たとえば被測定物をエッチングする場合や、被測定物の表面のクリーニングを行なう場合などに適用可能である。
【0057】
以上に開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考慮されるべきである。本発明の範囲は、以上の実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての修正や変形を含むものと意図される。
【0058】
【発明の効果】
以上のように、本発明の表面層検出装置によれば、被検出物の表面で反射して受光装置で受光された検出用光の強度に基づいて、被検出物の表面にプラズマによる処理中に形成された層が検出されている。したがって、被検査物の表面から脱離した分子や原子からの蛍光に基づいて表面層の検出を行なっていないので、プラズマに含まれるイオンによって脱離した分子や原子の影響を受けずに被検査物の表面に形成された層が検出可能である。したがって、被検出物の表面にプラズマによる処理中に形成された層を定量的に検出することができる。さらに、プラズマ処理中における被処理面の状態を正確に検出することができるので、プラズマ処理中における被処理面の状態に基づいてプラズマ処理の制御を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1における表面層検出装置が設置されているプラズマ処理装置の構成を示す模式図である。
【図2】 本発明の実施の形態1におけるSiClx層の厚さの時間変化を模式的に示す図である。
【図3】 本発明の実施の形態1における表面層検出装置で検出されるプローブ光の強度の時間変化を示す図である。
【図4】 本発明の実施の形態2におけるプラズマ処理装置の構成を示す模式図である。
【図5】 本発明の実施の形態2におけるSiClx層の厚さの時間変化を模式的に示す図である。
【符号の説明】
1 反応室、2 シリコン基板、3 ステージ、4 RF電源、5 コイル、6 パルスレーザ発生装置、7 レンズ、8 ミラー、9 中央窓、10 観測窓、11 表面層検出装置、13 プローブ光発生装置、14 投光窓、15 干渉フィルタ、16 光検出器、17 データ処理装置、18 制御装置、19プラズマ制御装置、20 プラズマ処理装置。
Claims (7)
- 被検出物の表面にプラズマによる処理中に形成された層を検出する表面層検出装置であって、
前記被検出物の表面に検出用光を投光する検出用光投光装置と、
前記検出用光投光装置により投光され前記被検出物の表面で反射した前記検出用光を受光する受光装置と、
被検出物の表面にプラズマによる処理中に形成された層を除去するための除去用光を繰り返し投光する除去用光投光装置とを備え、
前記被検出物の表面に前記除去用光が投光されている場合の前記検出用光の強度と、前記被検出物の表面に前記除去用光が投光されていない場合の前記検出用光の強度とに基づいて前記層の検出を行なう、表面層検出装置。 - 前記検出用光投光装置は前記被検出物の表面に対して73度以上76度以下の入射角で前記検出用光を投光することを特徴とする、請求項1に記載の表面層検出装置。
- 前記検出用光は白色光であることを特徴とする、請求項1または2に記載の表面層検出装置。
- 前記検出用光が前記被検出物の表面で反射してから前記受光装置で受光されるまでの前記検出用光の経路に配置された干渉フィルタまたは分光器をさらに備えることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の表面層検出装置。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の表面層検出装置を備えるプラズマ処理装置であって、
前記被検出物を内部に保持し、かつプラズマを内部に発生させることのできる反応容器と、
前記プラズマを発生させるプラズマ発生装置と、
前記表面層検出装置で得られた情報に基づいて前記反応容器内でのプラズマの発生を制御するために前記プラズマ発生装置を制御するプラズマ制御装置とをさらに備える、プラズマ処理装置。 - 前記プラズマ制御装置は、前記受光装置で受光した前記検出用光の強度に基づいて前記被検出物の表面に形成された層を検出する処理装置と、前記処理装置の検出結果に基づいて前記プラズマ発生装置を制御する制御装置とを有することを特徴とする、請求項5に記載のプラズマ処理装置。
- 被検出物の表面にプラズマによる処理中に形成された層を検出する表面層検出方法であって、
前記被検出物の表面に形成された前記層を除去するための除去用光を前記被検出物の表面に投光しながら前記被検出物の表面に検出用光を投光し、前記被検出物の表面で反射した前記検出用光の第1の強度を測定する工程と、
前記除去用光を前記被検出物の表面に投光せずに前記被検出物の表面に検出用光を投光し、前記被検出物の表面で反射した前記検出用光の第2の強度を測定する工程と、前記第1および第2の強度に基づいて前記被検出物の表面に形成された前記層を検出する工程とを備える、表面層検出方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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