JP4358606B2

JP4358606B2 - インターバル撮影に適用される撮像装置およびそのための暗時ノイズ抑圧処理方法

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Description

本発明は、所定の時間間隔で繰り返し撮影（静止画像を取得）するインターバル撮影に適用される撮像装置に関する。

顕微鏡観察法において、撮像装置を用いて標本の経時変化を所定の撮影間隔でインターバル撮影して観察する手法、いわゆるタイムラプス撮影という観察方法がある。このような観察は蛍光検鏡法を用いる場合が多い。蛍光検鏡によって標本を撮影する場合には標本の発光が微弱であり、撮像装置の露光時間を長くする必要がある。

撮像装置において従来から用いられているＣＣＤ等の撮像素子では、光を受光していない状態でも電流が発生する暗電流と称されるものがある。この暗電流は撮像素子における光信号電荷の蓄積時間が長くなるとその影響が大きくなる性質を有しており、また、温度依存性が大きい性質がある。後者の温度依存性に関しては、一般的に温度が８〜１０℃程度上昇するとその値が約２倍となる。

撮像装置において露出時間を長くして撮影した場合、この暗電流の影響により固定パターン的に発生する暗時ノイズが画像上に生じることがある。

一般的にこの暗時ノイズを低減する方法としては次のような手法がある。

まず遮光用シャッターを開いた状態で被写体を通常撮影する。ついで遮光用シャッターを閉じ撮像素子を遮光状態にして被写体撮影と同一露出時間で遮光時画像を撮影する。そして通常撮影画像から遮光自画像を減算処理することで暗時ノイズが抑圧された画像を得ることができる。

しかし、標本の経時変化を所定の撮影間隔で複数枚撮影する観察法において、前述の手法を実施した場合、露出時間に対して十分な撮影間隔があれば問題ないが、撮影間隔が短い場合には撮影間隔を確保しようとすると暗時ノイズ抑圧のための処理ができず、また暗時ノイズ抑圧処理を確保しようとすると撮影間隔を満たすことができない。

本発明の目的は、この様な実状を考慮して成されたものであり、所定の時間間隔で繰り返し撮影するインターバル撮影時において、撮影間隔を満たしながら暗時ノイズが抑圧された良質な画像を取得できる撮像装置を提供することである。

本発明の他の目的は、そのような撮像装置を実現するのための暗時ノイズ抑圧処理方法を提供することである。

本発明は、ひとつには、所定の時間間隔で繰り返し撮影するインターバル撮影に適用される撮像装置において、光電変換するための撮像素子と、撮像素子に対して遮光状態と非遮光状態を選択的に作り出すシャッターと、非遮光状態において撮像素子から出力される明時信号を記憶するための明時信号記憶部と、遮光状態において撮像素子から出力される暗時信号を記憶するための暗時信号記憶部と、明時信号から暗時信号を減算処理して暗時ノイズが抑圧された信号を得るための演算部と、撮像素子の露出時間と撮影の時間間隔の関係に応じて撮像素子からの明時信号と暗時信号の読み出しを制御する制御部とを有しており、撮影の間隔（Ｔ _intvl ）と撮像素子の露出時間（Ｔ _exp ）がＴ _intvl ≧３×Ｔ _exp ＋α（ここでαは撮影動作またはシャッター開閉動作またはその両方のための時間的なマージンである）の関係を満たしている場合、制御部は、繰り返し撮影の一回の撮影の時間間隔の間に、明時信号を読み出すとともに明時信号の読み出しの前後で暗時信号を読み出し、読み出された明時信号と暗時信号はそれぞれ明時信号記憶部と暗時信号記憶部に記憶され、演算部は、明時信号記憶部に記憶されている明時信号に対して、暗時信号記憶部に記憶されている明時信号の取得の前後の二つの暗時信号の平均を減算処理することを特徴とする。

本発明は、ひとつには、所定の時間間隔で繰り返し撮影するインターバル撮影に適用される撮像装置における暗時ノイズ抑圧処理方法において、撮像素子の露出時間と撮影の時間間隔の関係に応じて撮像素子から信号の読み出しを制御し、非遮光状態において撮像素子から出力される明時信号から遮光状態において撮像素子から出力される暗時信号を減算処理して暗時ノイズが抑圧された信号を得るにあたって、撮影の間隔（Ｔ _intvl ）と撮像素子の露出時間（Ｔ _exp ）がＴ _intvl ≧３×Ｔ _exp ＋α（ここでαは撮影動作またはシャッター開閉動作またはその両方のための時間的なマージンである）の関係を満たしている場合、繰り返し撮影の一回の撮影の時間間隔の間に、明時信号を読み出すとともに明時信号の読み出しの前後で暗時信号を読み出し、明時信号に対して、明時信号の取得の前後の二つの暗時信号の平均を減算処理することを特徴とする。

本発明によれば、インターバル撮影時において、撮影間隔を満たしながら暗時ノイズが抑圧された良質な画像を取得できる撮像装置が提供される。

以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。

第一実施形態
図１は、本発明の第一実施形態の撮像装置の構成を概略的に示している。

撮像装置１００Ａは、顕微鏡２００による観察像の光路１１４上に配置される撮像素子１０５と、撮像素子１０５への観察像の投影と遮光とを切り替えるためのシャッター１０４と、撮像素子１０５の出力を画像信号化する前置処理部１０６と、前置処理部１０６の出力をデジタル信号に変換するＡ／Ｄ変換部１０７と、撮像素子１０５と前置処理部１０６とＡ／Ｄ変換部１０７を駆動するためのタイミングパルスを出力するタイミングジェネレータ（ＴＧ）１０３とを有している。

シャッター１０４は、撮像素子１０５に対して、遮光状態と非遮光状態を選択的に作り出す。撮像素子１０５は、その撮像面に受けた光を電気信号に変換して出力する（光電変換出力する）。シャッター１０４が開いている非遮光状態では、顕微鏡２００による観察像は撮像素子１０５に投影され、撮像素子１０５は観察像に相当する明時信号を出力する。また、シャッター１０４が閉じている遮光状態では、撮像素子１０５はノイズに相当する暗時信号を出力する。

撮像装置１００Ａは、さらに、明時信号Ｍ１を記憶するためのメモリー１０９と、暗時信号Ｍ２を記憶するためのメモリー１１０と、メモリー１０９とメモリー１１０への信号の書き込みやメモリー１０９とメモリー１１０からの信号の読み出しを制御するメモリーコントロール部１０８と、メモリー１０９から読み出される明時信号Ｍ１からメモリー１１０から読み出される暗時信号Ｍ２を減算処理する演算部である加算部１１１とを有している。

加算部１１１は、Ｍ１と−Ｍ２とを加算することにより、明時信号Ｍ１から暗時信号Ｍ２の減算を行なう。

撮像装置１００Ａは、さらに、加算部１１１からの出力に対して階調変換処理や輪郭強調処理などを行なう画像処理部１１２と、画像処理部１１２から出力される画像を記録する画像記録部１１３と、使用者による指示を入力するための操作部１０１と、メモリーコントロール部１０８と画像処理部１１２と画像記録部１１３とタイミングジェネレータ１０３の制御を行なうシステム制御部１０２とを有している。

操作部１０１は、これに限定されないが、例えば、キーボードやマウスやモニターなどのインターフェースで構成される。

次に撮像装置１００Ａの動作について図２を参照しながら説明する。図２は撮像装置１００Ａの動作のフローを示している。

Ｓ１０では、まず操作者が操作部１０１を介してインターバル撮影における撮影枚数（ｎ）と撮影間隔（Ｔ_intvl）と撮影時の露出時間（Ｔ_exp）とを指示し、システム制御部１０２に設定する。撮影の露出時間は、自動露出により算出されてもよい。

Ｓ１１では、次に撮影間隔と露出時間の関係を判断する。ここでは、撮影間隔（Ｔ_intvl）と露出時間（Ｔ_exp）が、Ｔ_intvl≧２×Ｔ_exp＋αの関係を満たすか否かを判断する。この判断はシステム制御部１０２で行なわれる。撮影間隔と露出時間の２倍を比較することにより、一回の撮影の際に明時の撮影と暗時の撮影とを行なえるかを判断している。αは、撮影動作またはシャッター開閉動作またはその両方のための時間的なマージンであり、０以上の数値が入る。

Ｓ１１において、条件式を満たしている場合には、Ｓ１２の暗時ノイズ抑圧処理Ａを行ない、条件式を満たしていない場合には、Ｓ１３の暗時ノイズ抑圧処理Ｂを行なう。

以下、Ｓ１１の条件式を満たしている場合の暗時ノイズ抑圧処理について説明する。図３は、Ｓ１２の暗時ノイズ抑圧処理Ａのフローを示している。また、図４は、Ｓ１２の暗時ノイズ抑圧処理Ａのタイミングチャートを示している。

Ｓ２０では、システム制御部１０２は、ＴＧ１０３に露出時間（Ｔ_exp）を設定するとともに、不図示の駆動部によりシャッター１０４を開く。ＴＧ１０３は露出時間に応じた駆動パルスを撮像素子１０５に出力する。これにより撮像素子１０５は図４の明時蓄積１のタイミングで観察像の露光を行なう。

Ｓ２１では、所定の露出時間が経過した後、システム制御部１０２はシャッター１０４を閉じる。

Ｓ２２では、図４のＳＧパルスにより撮像素子１０５に蓄積された電荷が読み出され、前置処理部１０６により映像信号化される。前置処理部１０６出力はＡ／Ｄ変換部１０７によりデジタル信号化され、メモリーコントロール部１０８を介してメモリー１０９に明時信号として書き込まれる。

Ｓ２３では、撮像素子１０５は、明時信号の読み出し後、所定の露出時間で暗時蓄積を図４の暗時蓄積１のタイミングで行なう。

Ｓ２４では、所定の露出時間が経過した後、図４のＳＧパルスにより暗時信号は撮像素子１０５から読み出される。撮像素子１０５の出力は明時信号同様に前置処理部１０６により映像信号化される。前置処理部１０６の出力はＡ／Ｄ変換部１０７によりデジタル信号化され、メモリーコントロール部１０８を介してメモリー１１０に暗時信号として書き込まれる。

Ｓ２５では、暗時信号のメモリー１１０への書き込みが終了した後、メモリー１０９の明時信号とメモリー１１０の暗時信号とをメモリーコントロール部１０８を介して同時に読み出す。メモリー１０９から読み出された明時信号Ｍ１は加算部１１１の＋入力側に、メモリー１１０から読み出された暗時信号Ｍ２は加算部１１１の−入力側に入力される。

Ｓ２６では、加算部１１１は明時信号から暗時信号を減算し、暗時ノイズが抑圧された信号を出力する。

Ｓ２７では、加算部１１１の出力は画像処理部１１２に入力され、階調補正処理や輪郭強調処理などの画像処理が施された後に、画像記録部１１３に画像ファイルとして記録され、１枚目の撮影動作を終える。

Ｓ２８では、１枚目の撮影動作が終了した後、撮影回数に達しているかを判断する。撮影回数に達している場合には、その時点で撮影動作を終える。撮影回数に達していない場合には、所定の撮影間隔時間が経過した時点で、図４の明時畜積２のタイミングで２枚目の撮影動作（Ｓ２０〜Ｓ２７）へ移行する。

その後も、Ｓ２０〜Ｓ２７の撮影動作は、撮影回数に達するまで繰り返し行なう。

以下、Ｓ１１の条件式を満たしていない場合の暗時ノイズ抑圧処理について説明する。図５は、Ｓ１３の暗時ノイズ抑圧処理Ｂのフローを示している。また、図６は、Ｓ１３の暗時ノイズ抑圧処理Ｂのタイミングチャートを示している。

Ｓ３０では、システム制御部１０２は、ＴＧ１０３に対して露出時間（Ｔ_exp）を設定するとともに、不図示の駆動部によりシャッター１０４を閉じる。ＴＧ１０３は露出時間に応じた駆動パルスを撮像素子１０５に出力する。これにより撮像素子１０５は図６の暗時蓄積１のタイミングで遮光状態の露光を行なう。

Ｓ３１では、所定の露出時間が経過した後、図６のＳＧパルスにより撮像素子１０５から暗時信号を読み出し、前置処理部１０６により映像信号化される。前置処理部１０６の出力はＡ／Ｄ変換部１０７によりデジタル信号化され、メモリーコントロール部１０８を介してメモリー１１０に暗時信号として書き込まれる。

Ｓ３２では、暗時信号の書き込み後、システム制御部１０２はシャッター１０４を開き、撮像素子１０５は観察像の露光を図６の明時蓄積１のタイミングで行なう。

Ｓ３３では、所定の露出時間が経過した後、システム制御部１０２はシャッター１０４を閉じる。

Ｓ３４では、図６のＳＧパルスにより撮像素子１０５に蓄積された電荷が読み出され、前置処理部１０６により映像信号化される。前置処理部１０６の出力はＡ／Ｄ変換部１０７によりデジタル信号化され、メモリーコントロール部１０８を介してメモリー１０９に明時信号として書き込まれる。

Ｓ３５では、明時信号のメモリー１０９への書き込みが終了した後、メモリー１０９の明時信号とメモリー１１０の暗時信号とをメモリーコントロール部１０８を介して同時に読み出す。メモリー１０９から読み出された明時信号Ｍ１は加算部１１１の＋入力側に、メモリー１１０から読み出された暗時信号Ｍ２は加算部１１１の−入力側に入力される。

Ｓ３６では、加算部１１１は明時信号から暗時信号を減算し、暗時ノイズが抑圧された信号を出力する。

Ｓ３７では、加算部１１１の出力は画像処理部１１２に入力され、階調補正処理や輪郭強調処理などの画像処理が施された後に、画像記録部１１３に画像ファイルとして記録され、１枚目の撮影動作を終える。

Ｓ３８では、１枚目の撮影動作が終了した後、撮影回数に達しているかを判断する。撮影回数に達している場合には、その時点で撮影動作を終える。撮影回数に達していない場合には、所定の撮影間隔時間が経過した時点で、図６の明時畜積２のタイミングで２枚目の撮影動作（Ｓ３２〜Ｓ３７）へ移行する。

その後も、Ｓ３２〜Ｓ３７の撮影動作は、撮影回数に達するまで繰り返し行なう。２枚目以降の撮影では暗時蓄積は行なわない。このため、Ｓ３６では、１枚目の撮影の前に暗時蓄積１のタイミングでメモリー１１０に書き込まれた暗時信号を読み出す。

これまでの説明から分かるように、本実施形態の撮像装置１００Ａにおいては、インターバル撮影時において所定の撮影間隔を満たしながら、暗時ノイズが抑圧された良質な画像を記録することができる。

本実施形態の撮像装置１００Ａは、階調補正処理や輪郭強調処理などの画像処理を施す画像処理部１１２と、画像処理部１１２の出力を画像ファイルとして記録する画像記録部１１３とを含んでいるが、これらは撮像装置１００Ａの外部に設けられてもよい。その場合、Ｓ２７とＳ３７の画像出力は、画像処理部１１２と画像記録部１１３とが共に省かれた構成では、暗時ノイズが抑圧された信号を外部に出力することにとどまり、画像記録部１１３だけが省かれた構成では、暗時ノイズが抑圧された信号に階調補正処理や輪郭強調処理などの画像処理が施された信号を外部に出力することにとどまる。

第二実施形態
本実施形態は、第一実施形態の撮像装置の撮影動作の変形に向けられている。図７は、本発明の第二実施形態の撮像装置の構成を概略的に示している。図中、第一実施形態の部材と同一の参照符号で示されている部材は同等の部材であり、その詳しい説明はここでは省略する。

本実施形態の撮像装置１００Ｂは、第一実施形態の一つのメモリー１１０に代えて、暗時信号Ｍ２ａを記憶するためのメモリー１１０ａと、暗時信号Ｍ２ｂを記憶するためのメモリー１１０ｂとを有している。それ以外の構成は、第一実施形態の撮像装置１００Ａと同じである。

次に撮像装置１００Ｂの動作について図８を参照しながら説明する。図８は撮像装置１００Ｂの動作のフローを示している。

Ｓ４０では、まず操作者が操作部１０１を介してインターバル撮影における撮影枚数（ｎ）と撮影間隔（Ｔ_intvl）と撮影時の露出時間（Ｔ_exp）とを指示し、システム制御部１０２に設定する。撮影の露出時間は、自動露出により算出されてもよい。

Ｓ４１では、次に撮影間隔と露出時間の関係を判断する。ここでは、撮影間隔（Ｔ_intvl）と露出時間（Ｔ_exp）が、Ｔ_intvl≧２×Ｔ_exp＋αの関係を満たすか否かを判断する。この判断はシステム制御部１０２で行なわれる。撮影間隔と露出時間の２倍を比較することにより、一回の撮影の際に明時の撮影と暗時の撮影とを行なえるかを判断している。αは、撮影動作またはシャッター開閉動作またはその両方のための時間的なマージンであり、０以上の数値が入る。

Ｓ４１において、条件式を満たしていない場合には、Ｓ４２の暗時ノイズ抑圧処理Ｂを行ない、条件式を満たしている場合には、Ｓ４３において、さらに撮影間隔と露出時間の関係を判断する。

Ｓ４３では、撮影間隔（Ｔ_intvl）と露出時間（Ｔ_exp）が、Ｔ_intvl≧３×Ｔ_exp＋αの関係を満たすか否かを判断する。この判断はシステム制御部１０２で行なわれる。撮影間隔と露出時間の２倍を比較することにより、一回の撮影の際に明時の撮影の前後で暗時の撮影が行なえるかを判断している。αは、撮影動作またはシャッター開閉動作またはその両方のための時間的なマージンであり、０以上の数値が入る。

Ｓ４３において、条件式を満たしていない場合には、Ｓ４４の暗時ノイズ抑圧処理Ａを行ない、条件式を満たしている場合には、Ｓ４５の暗時ノイズ抑圧処理Ｃを行なう。

図８のフローにおいて、Ｓ４４の暗時ノイズ抑圧処理Ａは、第一実施形態のＳ１２の暗時ノイズ抑圧処理Ｂと同じであり、Ｓ４２の暗時ノイズ抑圧処理Ｂは、第一実施形態のＳ１３の暗時ノイズ抑圧処理Ｂと同じである。このため、それらの説明は省略する。

以下では、Ｓ４３の条件式を満たしている場合の暗時ノイズ抑圧処理について説明する。図９は、Ｓ４５の暗時ノイズ抑圧処理Ｃのフローを示している。また、図１０は、Ｓ４５の暗時ノイズ抑圧処理Ｃのタイミングチャートを示している。

Ｓ５０では、システム制御部１０２は、ＴＧ１０３に対して露出時間（Ｔ_exp）を設定するとともに、不図示の駆動部によりシャッター１０４を閉じる。ＴＧ１０３は露出時間に応じた駆動パルスを撮像素子１０５に出力する。これにより撮像素子１０５は図１０の暗時蓄積１ａのタイミングで遮光状態の露光を行なう。

Ｓ５１では、所定の露出時間が経過した後、図１０のＳＧパルスにより撮像素子１０５から暗時信号を読み出し、前置処理部１０６により映像信号化される。前置処理部１０６の出力はＡ／Ｄ変換部１０７によりデジタル信号化され、メモリーコントロール部１０８を介してメモリー１１０ａに暗時信号として書き込まれる。

Ｓ５２では、暗時信号の書き込み後、システム制御部１０２はシャッター１０４を開き、撮像素子１０５は観察像の露光を図１０の明時蓄積１のタイミングで行なう。

Ｓ５３では、所定の露出時間が経過した後、システム制御部１０２はシャッター１０４を閉じる。

Ｓ５４では、図１０のＳＧパルスにより撮像素子１０５に蓄積された電荷が読み出され、前置処理部１０６により映像信号化される。前置処理部１０６の出力はＡ／Ｄ変換部１０７によりデジタル信号化され、メモリーコントロール部１０８を介してメモリー１０９に明時信号として書き込まれる。

Ｓ５５では、システム制御部１０２は、不図示の駆動部によりシャッター１０４を閉じる。ＴＧ１０３は露出時間に応じた駆動パルスを撮像素子１０５に出力する。これにより撮像素子１０５は図１０の暗時蓄積１ｂのタイミングで遮光状態の露光を行なう。

Ｓ５６では、所定の露出時間が経過した後、図１０のＳＧパルスにより撮像素子１０５から暗時信号を読み出し、前置処理部１０６により映像信号化される。前置処理部１０６の出力はＡ／Ｄ変換部１０７によりデジタル信号化され、メモリーコントロール部１０８を介してメモリー１１０ｂに暗時信号として書き込まれる。

Ｓ５７では、明時信号のメモリー１０９への書き込みが終了した後、メモリー１０９の明時信号とメモリー１１０ａとメモリー１１０ｂの暗時信号とをメモリーコントロール部１０８を介して同時に読み出す。メモリー１０９から読み出された明時信号Ｍ１は加算部１１１の＋入力側に入力される。

Ｓ５８では、メモリーコントロール部１０８において、メモリー１１０ａから読み出された暗時信号Ｍ２ａとメモリー１１０ｂから読み出された暗時信号Ｍ２ｂとから平均の暗時信号Ｍ２’を算出する。平均の暗時信号Ｍ２’は加算部１１１の−入力側に入力される。

Ｓ５９では、加算部１１１は明時信号Ｍ１から平均の暗時信号Ｍ２’を減算し、暗時ノイズが抑圧された信号を出力する。

Ｓ６０では、加算部１１１の出力は画像処理部１１２に入力され、階調補正処理や輪郭強調処理などの画像処理が施された後に、画像記録部１１３に画像ファイルとして記録され、１枚目の撮影動作を終える。

Ｓ６１では、１枚目の撮影動作が終了した後、撮影回数に達しているかを判断する。撮影回数に達している場合には、その時点で撮影動作を終える。撮影回数に達していない場合には、所定の撮影間隔時間が経過した時点で、図１０の暗時畜積２ａのタイミングで２枚目の撮影動作（Ｓ５０〜Ｓ６０）へ移行する。

その後も、Ｓ５０〜Ｓ６０の撮影動作は、撮影回数に達するまで繰り返し行なう。

本実施形態では、第一実施形態と同じ利点に加えて、撮影間隔が露光時間の３倍以上の場合に、一回の明時蓄積の前後で二回の暗時蓄積を行なっているため、つまり、一回の撮影に対してその前後で暗時信号を取得しているため、ランダムノイズの影響がさらに低減された良質な画像を記録することができる。

本実施形態においても、画像処理部１１２と画像記録部１１３は撮像装置１００Ｂの外部に設けられてもよい。

第三実施形態
本実施形態は、第一実施形態の撮像装置の撮影動作の変形に向けられている。図１１は、本発明の第三実施形態の撮像装置の構成を概略的に示している。図中、第一実施形態の部材と同一の参照符号で示されている部材は同等の部材であり、その詳しい説明はここでは省略する。

本実施形態の撮像装置１００Ｃは、第一実施形態のメモリー１０９とメモリー１１０とメモリーコントロール部１０８と加算部１１１と画像処理部１１２と画像記録部１１３と操作部１０１とシステム制御部１０２とに代えて、信号の入出力ための外部Ｉ／Ｆ部１１５と、外部Ｉ／Ｆ部１１５を介して接続されたコンピューター３００とを有している。それ以外の構成は、第一実施形態の撮像装置１００Ａと同じである。

本実施形態では、コンピューター３００が、第一実施形態のメモリー１０９とメモリー１１０とメモリーコントロール部１０８と加算部１１１と画像処理部１１２と画像記録部１１３と操作部１０１とシステム制御部１０２と同等の機能を果たす。

本実施形態の撮像装置１００Ｃの動作は、基本的に、第一実施形態と同様である。つまり、撮像装置１００Ｃの動作のフローは図２と同様である。

Ｓ１０において、まず操作者がコンピューター３００によりインターバル撮影における撮影枚数（ｎ）と撮影間隔（Ｔ_intvl）と撮影時の露出時間（Ｔ_exp）とを指示する。撮影の露出時間は、自動露出により算出されてもよい。

Ｓ１１において、撮影間隔（Ｔ_intvl）と露出時間（Ｔ_exp）が、Ｔ_intvl≧２×Ｔ_exp＋αの関係を満たすか否かを判断する。

以下、Ｓ１１の条件式を満たしている場合の暗時ノイズ抑圧処理は、図３のフローと全く同様にして行なわれる。この場合、暗時信号や明時信号を記憶するためのメモリーはコンピューター３００内のメモリーになる。暗時ノイズ抑圧演算はコンピューター３００でソフト的に実行される。画像記録部はコンピューター３００内のハードディスクなどの記録媒体になる。

以下、Ｓ１１の条件式を満たしていない場合の暗時ノイズ抑圧処理について説明する。図１２は、本実施形態における暗時ノイズ抑圧処理Ｂのフローを示している。また、図１３は、本実施形態における暗時ノイズ抑圧処理Ｂのタイミングチャートを示している。

Ｓ７０では、コンピューター３００は外部Ｉ／Ｆ部１１５を介してＴＧ１０３と不図示のシャッター駆動部に信号を送り、ＴＧ１０３に露出時間（Ｔ_exp）を設定するとともに、不図示のシャッター駆動部によりシャッター１０４を開く。ＴＧ１０３は露出時間に応じた駆動パルスを撮像素子１０５に出力する。これにより撮像素子１０５は図１３の明時蓄積１のタイミングで観察像の露光を行なう。

Ｓ７１では、所定の露出時間が経過した後、コンピューター３００は外部Ｉ／Ｆ部１１５を介してシャッター駆動部に信号を送り、シャッター１０４を閉じる。

Ｓ７２では、図１３のＳＧパルスにより撮像素子１０５に蓄積された電荷が読み出され、前置処理部１０６により映像信号化される。前置処理部１０６出力はＡ／Ｄ変換部１０７によりデジタル信号化され、外部Ｉ／Ｆ部１１５を介してコンピューター３００に転送され、コンピューター３００内のメモリーに明時信号として書き込まれる。

Ｓ７３では、１枚目の撮影動作が終了した後、撮影回数に達しているかを判断する。撮影回数に達している場合には、Ｓ７４へ移行する。撮影回数に達していない場合には、所定の撮影間隔時間が経過した時点で、図１３の明時畜積２のタイミングで２枚目の撮影動作（Ｓ７０〜Ｓ７２）へ移行する。

その後も、Ｓ７０〜Ｓ７２の撮影動作は、撮影回数に達するまで繰り返し行なう。

Ｓ７４では、最後の撮影動作つまりｎ枚目の撮影動作が終了した後、撮像素子１０５は、所定の露出時間で暗時蓄積を図１３の暗時蓄積１のタイミングで行なう。

Ｓ７５では、所定の露出時間が経過した後、図１３のＳＧパルスにより暗時信号は撮像素子１０５から読み出される。撮像素子１０５の出力は明時信号同様に前置処理部１０６により映像信号化される。前置処理部１０６の出力はＡ／Ｄ変換部１０７によりデジタル信号化され、外部Ｉ／Ｆ部１１５を介してコンピューター３００に転送され、コンピューター３００内のメモリーに暗時信号として書き込まれる。

Ｓ７６では、コンピューター３００内のメモリーから暗時信号と１枚目の明時信号とを読み出し、明時信号から暗時信号を減算処理して、暗時ノイズが抑圧された信号を作り出す。

Ｓ７７では、暗時ノイズが抑圧された信号に階調補正処理や輪郭強調処理などの画像処理を施した後、コンピューター３００内のハードディスクなどの記録媒体に画像ファイルとして記録する。

Ｓ７８では、１枚目の画像記録が終了した後、撮影回数に達しているかを判断する。撮影回数に達している場合には、その時点で撮影動作を終える。撮影回数に達していない場合には、２枚目の暗時ノイズ抑圧（Ｓ７６）と画像記録（Ｓ７７）へ移行する。

その後も、暗時ノイズ抑圧（Ｓ７６）と画像記録（Ｓ７７）の動作は、撮影回数に達するまで繰り返し行なう。

これまでの説明から分かるように、本実施形態の撮像装置１００Ｃにおいては、インターバル撮影時において所定の撮影間隔を満たしながら、暗時ノイズが抑圧された良質な画像を記録することができる。

本実施形態では、最後（ｎ枚目）の明時蓄積ｎの後で暗時信号を取得しているが、最初（１枚目）の明時蓄積１の前に暗時信号を取得してもよい。また、最初（１枚目）の明時蓄積１の前と最後（ｎ枚目）の明時蓄積ｎの後とで暗時信号を取得し、それらを平均した暗時信号を用いて暗時ノイズ抑圧の処理を行なってもよい。あるいは、最初（１枚目）の明時蓄積１の前に取得した暗時信号を１枚目からｎ／２枚目までの明時信号の暗時ノイズ抑圧に用い、最後（ｎ枚目）の明時蓄積ｎの後に取得した暗時信号をｎ／２＋１枚目からｎ枚目までの明時信号の暗時ノイズ抑圧に用いてもよい。なお、ｎが奇数であれば、ｎ／２は小数点以下を切り捨てて整数化した値とする。つまり、明時信号の前半部分に対しては繰り返し撮影の前の暗時信号を減算処理し、明時信号の後半部分に対しては繰り返し撮影の後の暗時信号を減算処理してもよい。

本発明の第一実施形態の撮像装置の構成を概略的に示している。図１に示された撮像装置の動作のフローを示している。図２のＳ１１の条件式を満たしている場合の暗時ノイズ抑圧処理Ａのフローを示している。図３に示される暗時ノイズ抑圧処理Ａのタイミングチャートを示している。図２のＳ１１の条件式を満たしていない場合の暗時ノイズ抑圧処理Ｂのフローを示している。図５に示される暗時ノイズ抑圧処理Ｂのタイミングチャートを示している。本発明の第二実施形態の撮像装置の構成を概略的に示している。図７に示された撮像装置の動作のフローを示している。図８のＳ４３の条件式を満たしている場合の暗時ノイズ抑圧処理Ｃのフローを示している。図９に示される暗時ノイズ抑圧処理Ｃのタイミングチャートを示している。本発明の第三実施形態の撮像装置の構成を概略的に示している。第三実施形態における図２のＳ１１の条件式を満たしていない場合の暗時ノイズ抑圧処理Ｂのフローを示している。図１２に示される暗時ノイズ抑圧処理Ｂのタイミングチャートを示している。

符号の説明

１００Ａ…撮像装置、１００Ｂ…撮像装置、１００Ｃ…撮像装置、１０１…操作部、１０２…システム制御部、１０３…タイミングジェネレータ、１０４…シャッター、１０５…撮像素子、１０６…前置処理部、１０７…Ａ／Ｄ変換部、１０８…メモリーコントロール部、１０９…メモリー、１１０…メモリー、１１０ａ…メモリー、１１０ｂ…メモリー、１１１…加算部、１１２…画像処理部、１１３…画像記録部、１１４…光路、１１５…外部Ｉ／Ｆ部、２００…顕微鏡、３００…コンピューター。

Claims

所定の時間間隔で繰り返し撮影するインターバル撮影に適用される撮像装置において、
光電変換するための撮像素子と、
撮像素子に対して遮光状態と非遮光状態を選択的に作り出すシャッターと、
非遮光状態において撮像素子から出力される明時信号を記憶するための明時信号記憶部と、
遮光状態において撮像素子から出力される暗時信号を記憶するための暗時信号記憶部と、
明時信号から暗時信号を減算処理して暗時ノイズが抑圧された信号を得るための演算部と、
撮像素子の露出時間と撮影の時間間隔の関係に応じて撮像素子からの明時信号と暗時信号の読み出しを制御する制御部とを有しており、
撮影の間隔（Ｔ _intvl ）と撮像素子の露出時間（Ｔ _exp ）がＴ _intvl ≧３×Ｔ _exp ＋α（ここでαは撮影動作またはシャッター開閉動作またはその両方のための時間的なマージンである）の関係を満たしている場合、制御部は、繰り返し撮影の一回の撮影の時間間隔の間に、明時信号を読み出すとともに明時信号の読み出しの前後で暗時信号を読み出し、読み出された明時信号と暗時信号はそれぞれ明時信号記憶部と暗時信号記憶部に記憶され、演算部は、明時信号記憶部に記憶されている明時信号に対して、暗時信号記憶部に記憶されている明時信号の取得の前後の二つの暗時信号の平均を減算処理することを特徴とする、撮像装置。
さらに、撮影の間隔と撮像素子の露出時間がＴ_intvl≧２×Ｔ_exp＋αの関係を満たしていない場合、制御部は、繰り返し撮影を開始する前に、暗時信号を読み出し、読み出された暗時信号は暗時信号記憶部に記憶され、演算部は、繰り返し読み出される明時信号のおのおのに対して、暗時信号記憶部に記憶されている暗時信号を減算処理することを特徴とする、請求項１に記載の撮像装置。
さらに、撮影の間隔と撮像素子の露出時間がＴ _intvl ≧３×Ｔ _exp ＋αの関係を満たさず、撮影の間隔と撮像素子の露出時間がＴ_intvl≧２×Ｔ_exp＋αの関係を満たしている場合、制御部は、繰り返し撮影の一回の撮影の時間間隔の間に、明時信号と暗時信号を読み出し、読み出された明時信号と暗時信号はそれぞれ明時信号記憶部と暗時信号記憶部に記憶され、演算部は、明時信号記憶部に記憶されている明時信号に対して、暗時信号記憶部に記憶されている暗時信号を減算処理することを特徴とする、請求項１に記載の撮像装置。
さらに、撮影の間隔と撮像素子の露出時間がＴ_intvl≧２×Ｔ_exp＋αの関係を満たしていない場合、制御部は、繰り返し撮影の前後のいずれかにおいて暗時信号を読み出し、読み出された暗時信号は暗時信号記憶部に記憶され、制御部は、繰り返し撮影の間、明時信号を繰り返し読み出し、読み出された明時信号はすべて明時信号記憶部に記憶され、演算部は、繰り返し撮影の後、明時信号記憶部に記憶されている明時信号のおのおのに対して、暗時信号記憶部に記憶されている暗時信号を減算処理することを特徴とする、請求項１に記載の撮像装置。
さらに、撮影の間隔と撮像素子の露出時間がＴ_intvl≧２×Ｔ_exp＋αの関係を満たしていない場合、制御部は、繰り返し撮影の前後において暗時信号を読み出し、読み出された暗時信号は暗時信号記憶部に記憶され、制御部は、繰り返し撮影の間、明時信号を繰り返し読み出し、読み出された明時信号はすべて明時信号記憶部に記憶され、演算部は、繰り返し撮影の後、明時信号記憶部に記憶されている明時信号のおのおのに対して、暗時信号記憶部に記憶されている繰り返し撮影の前後の二つの暗時信号の平均を減算処理することを特徴とする、請求項１に記載の撮像装置。
所定の時間間隔で繰り返し撮影するインターバル撮影に適用される撮像装置であり、
光電変換するための撮像素子と、
撮像素子に対して遮光状態と非遮光状態を選択的に作り出すシャッターと、
非遮光状態において撮像素子から出力される明時信号を記憶するための明時信号記憶部と、
遮光状態において撮像素子から出力される暗時信号を記憶するための暗時信号記憶部と、
明時信号から暗時信号を減算処理して暗時ノイズが抑圧された信号を得るための演算部と、
撮像素子の露出時間と撮影の時間間隔の関係に応じて撮像素子からの明時信号と暗時信号の読み出しを制御する制御部とを有しており、
撮影の間隔（Ｔ_intvl）と撮像素子の露出時間（Ｔ_exp）がＴ_intvl≧２×Ｔ_exp＋α（ここでαは撮影動作またはシャッター開閉動作またはその両方のための時間的なマージンである）の関係を満たしていない場合、制御部は、繰り返し撮影の前後において暗時信号を読み出し、読み出された暗時信号は暗時信号記憶部に記憶され、制御部は、繰り返し撮影の間、明時信号を繰り返し読み出し、読み出された明時信号はすべて明時信号記憶部に記憶され、演算部は、繰り返し撮影の後、明時信号記憶部に記憶されている明時信号の前半部分に対しては、暗時信号記憶部に記憶されている繰り返し撮影の前の暗時信号を減算処理し、明時信号記憶部に記憶されている明時信号の後半部分に対しては、暗時信号記憶部に記憶されている繰り返し撮影の後の暗時信号を減算処理することを特徴とする、撮像装置。
所定の時間間隔で繰り返し撮影するインターバル撮影に適用される撮像装置のための暗時ノイズ抑圧処理方法において、
撮像素子の露出時間と撮影の時間間隔の関係に応じて撮像素子から信号の読み出しを制御し、
非遮光状態において撮像素子から出力される明時信号から遮光状態において撮像素子から出力される暗時信号を減算処理して暗時ノイズが抑圧された信号を得るにあたって、
撮影の間隔（Ｔ _intvl ）と撮像素子の露出時間（Ｔ _exp ）がＴ _intvl ≧３×Ｔ _exp ＋α（ここでαは撮影動作またはシャッター開閉動作またはその両方のための時間的なマージンである）の関係を満たしている場合、繰り返し撮影の一回の撮影の時間間隔の間に、明時信号を読み出すとともに明時信号の読み出しの前後で暗時信号を読み出し、明時信号に対して、明時信号の取得の前後の二つの暗時信号の平均を減算処理することを特徴とする、撮像装置における暗時ノイズ抑圧処理方法。
さらに、撮影の間隔と撮像素子の露出時間がＴ_intvl≧２×Ｔ_exp＋αの関係を満たしていない場合、繰り返し撮影を開始する前に、暗時信号を読み出して記憶しておき、繰り返し読み出される明時信号のおのおのに対して、先に記憶した暗時信号を減算処理することを特徴とする、請求項７に記載の暗時ノイズ抑圧処理方法。
さらに、撮影の間隔と撮像素子の露出時間がＴ _intvl ≧３×Ｔ _exp ＋αの関係を満たさず、撮影の間隔と撮像素子の露出時間がＴ_intvl≧２×Ｔ_exp＋αの関係を満たしている場合、繰り返し撮影の一回の撮影の時間間隔の間に、明時信号と暗時信号を読み出し、明時信号に対して暗時信号を減算処理することを特徴とする、請求項７に記載の暗時ノイズ抑圧処理方法。
さらに、撮影の間隔と撮像素子の露出時間がＴ_intvl≧２×Ｔ_exp＋αの関係を満たしていない場合、繰り返し撮影の前後のいずれかにおいて暗時信号を読み出して記憶しておき、繰り返し撮影の間、明時信号を繰り返し読み出して記憶しておき、繰り返し撮影の後、先に記憶した明時信号のおのおのに対して、先に記憶した暗時信号を減算処理することを特徴とする、請求項７に記載の暗時ノイズ抑圧処理方法。
さらに、撮影の間隔と撮像素子の露出時間がＴ_intvl≧２×Ｔ_exp＋αの関係を満たしていない場合、繰り返し撮影の前後において暗時信号を読み出して記憶しておき、繰り返し撮影の間、明時信号を繰り返し読み出して記憶しておき、繰り返し撮影の後、先に記憶した明時信号のおのおのに対して、先に記憶した繰り返し撮影の前後の二つの暗時信号の平均を減算処理することを特徴とする、請求項７に記載の暗時ノイズ抑圧処理方法。
所定の時間間隔で繰り返し撮影するインターバル撮影に適用される撮像装置のための暗時ノイズ抑圧処理方法において、
撮像素子の露出時間と撮影の時間間隔の関係に応じて撮像素子から信号の読み出しを制御し、
非遮光状態において撮像素子から出力される明時信号から遮光状態において撮像素子から出力される暗時信号を減算処理して暗時ノイズが抑圧された信号を得るにあたって、
撮影の間隔（Ｔ_intvl）と撮像素子の露出時間（Ｔ_exp）がＴ_intvl≧２×Ｔ_exp＋α（ここでαは撮影動作またはシャッター開閉動作またはその両方のための時間的なマージンである）の関係を満たしていない場合、繰り返し撮影の前後において暗時信号を読み出して記憶しておき、繰り返し撮影の間、明時信号を繰り返し読み出して記憶しておき、繰り返し撮影の後、先に記憶した明時信号の前半部分に対しては、先に記憶した繰り返し撮影の前の暗時信号を減算処理し、先に記憶した明時信号の後半部分に対しては、先に記憶した繰り返し撮影の後の暗時信号を減算処理することを特徴とする、暗時ノイズ抑圧処理方法。