JP4355159B2 - 静電吸着ホルダー及び基板処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本願の発明は、基板を静電吸着して保持する静電吸着ホルダーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
基板を静電吸着して保持する静電吸着ホルダーは、基板の表面に所定の処理を施す基板処理の分野で盛んに使用されている。例えば、LSI(大規模集積回路)をはじめとする各種半導体デバイスや液晶ディスプレイ等の製造においては、製品の元になる基板を処理する工程が多々存在している。この際、処理の均一性や再現性のため、処理中に基板を所定の位置に保持すべく、静電吸着ホルダーが使用される。例えば、レジストパターンをマスクとしたエッチング処理では、プラズマ中で生成されるイオンや活性種の作用を利用してエッチングが行われる。この際、プラズマに対して最適な空間位置に基板を保持するため、静電吸着ホルダーが使用される。
静電吸着ホルダーは、大まかには、静電吸着のための電圧が印加される吸着電極と、吸着電極に印加された電圧によって誘電分極する部材であって基板が直接接する部材である誘電体プレートとから構成されている。基板は、誘電体プレートの表面に誘起された静電気により吸着されて保持される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上述した静電吸着ホルダーにおいては、吸着した基板が安定した状態であることが要請される。例えば、基板の処理中に基板の位置が変化したり基板の姿勢が変化したりすると、処理の再現性や均一性が低下する問題がある。
処理の再現性や均一性の観点から基板処理の際に問題となるのは、静電吸着ホルダーの熱変形や熱膨張である。室温より高い温度に基板を保持して処理したり、基板が処理の際に熱を受けて温度上昇したりする場合、静電吸着ホルダーも基板と同様に温度上昇する。この際、静電吸着ホルダーに熱変形や熱膨張が生ずると、吸着保持している基板にも変形や位置ずれが生ずる恐れがある。
本願の発明は、かかる課題を解決するため成されたものであり、基板の変形や位置ずれを抑えた優れた性能の静電吸着ホルダーを提供する技術的意義がある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本願の請求項1記載の発明は、板状の対象物を静電吸着して保持する静電吸着ホルダーであって、
表面が静電吸着面である誘電体プレートと、
吸着電極と、
誘電体プレートと吸着電極との間に設けられているとともに誘電体プレートと吸着電極との中間の熱膨張率を持つ材料より成る第一の層と、
吸着電極の誘電体プレートとは反対側に設けられているともに誘電体プレートと吸着電極との中間の熱膨張率を持つ材料より成る第二の層と、
金属製のホルダー本体と
を備えおり、
前記誘電体プレートはアルミナより成るものであって、前記吸着電極はアルミニウムより成るものであり、前記第一の層はシリコンカーバイドとアルミニウムの複合材より成るものであり、
前記誘電体プレートと前記第一の層とは、インジウムを主成分とするろう材でろう付けされており、
前記吸着電極は前記ホルダー本体に短絡されており、吸着電源がホルダー本体に接続された際、吸着電源による電圧がホルダー本体を介して吸着電極に印加されるものであるという構成を有する。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、本願発明の実施の形態について説明する。
まず、静電吸着ホルダーの発明の実施形態について説明する。図1は、静電吸着ホルダーの発明の実施形態の正面断面概略図である。図1に示す静電吸着ホルダーは、ホルダー本体41と、表面が静電吸着面である誘電体プレート42と、静電吸着用の電圧が印加される吸着電極43とから主に構成されている。
【0006】
本実施形態の静電吸着ホルダーは、全体としては台状であり、上面に板状の対象物9を載置して保持するものである。ホルダー本体41はアルミニウム又はステンレスなどの金属製である。ホルダー本体41は、高さの低いほぼ円柱状である。
吸着電極43は、ホルダー本体41上に固定されている。図1に示すように、吸着電極43は、下端部の周囲にフランジ状の部分(以下、電極フランジ)を有する。吸着電極43は、この電極フランジの部分においてホルダー本体41に対してネジ止めされることでホルダー本体41に対して固定されている。尚、吸着電極43は、ホルダー本体41に対して電気的に短絡された状態で固定されている。
【0007】
また、ネジ止めされた電極フランジの部分を覆うようにして保護リング49が設けられている。保護リング49は、酸化シリコンのような絶縁物で形成されている。保護リング49は、吸着電極43の側面や電極フランジの表面を覆って保護するものである。後述するように、静電吸着ホルダーがプラズマが存在する環境下や放電用の電極として使用される場合、保護リング49は、吸着電極43の側面や保護リング49の表面をプラズマや放電による損傷から保護する。また、静電吸着ホルダーが基板処理に使用される場合、基板がシリコンウェーハであれば、酸化シリコン製の保護リング49を設けることで、保護リング49がエッチングされても基板を汚損する可能性は低くなる。
【0008】
誘電体プレート42は、吸着電極43の上側に位置している。吸着電極43は、図1に示すように、上方に突出した凸部と、その周囲のフランジ状の部分(以下、プレートフランジ)とから成っている。誘電体プレート42は、吸着電極43とほぼ同径の円盤状である。
【0009】
上記静電吸着ホルダーには、吸着電源40が接続される。吸着電源40のタイプは、吸着の方式によって多少異なるが、本実施形態では、単極式となっており、正の直流電源が吸着電源40として採用されている。吸着電源40は、ホルダー本体41に接続されており、ホルダー本体41を介して正の直流電圧を吸着電極43に印加するようになっている。
吸着電極43に電圧が印加されると、前述したように、誘電体プレート42に誘電分極が生じ、対象物9が静電吸着される。本実施形態では、正の直流電圧が印加されるので、誘電体プレート42の表面には正の電荷が誘起され、これにより対象物9が静電吸着される。
【0010】
尚、静電吸着のメカニズムとしては、二つのものが知られている。一つは、クーロン力によるものであり、もう一つはジョンソンラーベク力によるものである。ジョンソンラーベク力は、微小な領域に電流が集中することにより生ずる吸着力である。即ち、誘電体プレート42の表面や対象物9の裏面は、微視的には小さな凹凸があり、対象物9が誘電体プレート42に載置された際には、これらの凹凸が接触している。吸着電源40が動作して誘電体プレート42の表面に電荷が誘起されると、これらの微小な凹凸の接触箇所に電流が集中して流れ、この結果、ジョンソンラーベク力による吸着力が生ずる。本実施形態のような静電吸着ホルダーは、クーロン力よりもジョンソンラーベク力の方が支配的であり、主にジョンソンラーベク力により静電吸着が成される。但し、ジョンソンラーベク力が支配的であるものに本願発明が限定される訳ではない。
【0011】
さて、本実施形態の静電吸着ホルダーの大きな特徴点は、静電吸着中に熱による対象物9の変位や変形を抑えるための効果的な構成を備えている点である。以下、この点について説明する。
本実施形態のような静電吸着ホルダーは、室温より高い温度の環境下で対象物9の保持を行うことが想定されている。これは、後述するような基板処理装置の場合の他、高温環境下での試験のために対象物9を吸着保持するような場合があげられる。本実施形態の静電吸着ホルダーは、高温状態においても、対象物9の変位や変形が抑制されている。
【0012】
具体的に説明すると、まず、図1に示すように、誘電体プレート42と吸着電極43との間には、第一の層として緩和層44が挟み込まれている。緩和層44は、誘電体プレート42と吸着電極43との熱膨張率の差を緩和し、誘電体プレート42の熱による変形や変位を抑制するものである。より具体的には、緩和層44は、吸着電極43と誘電体プレート42の中間の熱膨張率を有する。「中間の熱膨張率」とは、例えば吸着電極43の熱膨張率の方が誘電体プレート42より大きい場合、吸着電極43より小さく且つ誘電体プレート42より大きい熱膨張率ということである。また、誘電体プレート42の熱膨張率が吸着電極43よりより大きい場合、誘電体プレート42より小さく且つ吸着電極43より大きい熱膨張率ということである。
【0013】
さらに具体的に説明すると、本実施形態では、吸着電極43は、アルミニウムで形成されている。また、誘電体プレート42は、アルミナ(Al2O3)で形成されている。そして、緩和層44は、セラミックスと金属の複合材で形成されている。
アルミニウムとアルミナとの中間の熱膨張率を持つ複合材としては、シリコンカーバイド(SiC)とアルミニウムの複合材(以下、SiC−Al複合材)があげられる。アルミニウムの熱膨張率は、0.23710−4/K、アルミナの熱膨張率は7.3×10−6/Kである。この場合、10×10−6/K程度の熱膨張率を有するSiC+Al複合材が、緩和層44の材料として選定される。
【0014】
このようなSiC+Al複合材としては、SiC粉末を高温高圧で焼結させてポーラスな(多孔性の)部材(以下、多孔性セラッミクス)を成形し、融解したアルミニウムをその中に流し込んで充填し、その後に冷却したものが使用できる。多孔性セラミックスの焼結時の温度と圧力を適宜選定することにより、多孔性セラミックスの体積開口率が調整できる。この結果、充填するアルミニウムの量も調整できる。尚、体積開口率は、ポーラスでないセラッミクスの密度に対する多孔性セラミックスの密度の比により求められる。尚、このようにして得られた複合材を機械加工することで、図1に示すような形状の緩和層44が製作される。このようにして製作するSiC+Al複合材の熱膨張率は、両者の成分比によって異なる。体積開口率を調整して所望の成分比を得ることで、上述した10×10−6/Kの熱膨張率とすることができる。
【0015】
また、どちらかというと、緩和層44の熱膨張率は誘電体プレート42に近い方が好ましい。アルミニウムの熱膨張率が0.237×10−4/K、アルミナの熱膨張率が7.3×10−6/Kであることを考慮すると、緩和層44の熱膨張率は9.5×10−6/K以上であって10.5×10−6/K以下とすることが好ましい。これには、全体に対してシリコンカーバイドの体積比を50%〜60%にしておけば良い。このようにすると、誘電体プレート42の熱による変形や変位を抑制する効果がさらに高く得られる。尚、「誘電体プレート42に近い熱膨張率」とは、誘電体プレート42と吸着電極43とのちょうど中間の熱膨張率よりも誘電体プレート42の熱膨張率に近い、という意味である。
【0016】
また、図1に示すように、本実施形態の静電吸着ホルダーでは、吸着電極43の誘電体プレート42とは反対側の表面に、第二の層として被覆層45が設けられている。つまり、吸着電極43が緩和層44と被覆層45によって挟まれた構造となっている。本実施形態では、被覆層45は、吸着電極43とホルダー本体41との間に挟み込まれた状態となっている。
この被覆層45も、誘電体プレート42と吸着電極43との中間の熱膨張率を持つ材料より形成されている。被覆層45の材料を緩和層44と同じにすればこの要件を満足するが、被覆層45の材料に緩和層44とは異なる材料を用いても良い。
【0017】
このように、誘電体プレート42と吸着電極43との中間の熱膨張率を持つ材料よりなる緩和層44と被覆層45で吸着電極43を挟んだ構造にしておくと、静電吸着される対象物9の熱による変形や変位を効果的に抑制できる。以下、この点について、図2を使用して詳細に説明する。図2は、図1に示す静電吸着ホルダーの技術的意義について模式的に示した図である。
【0018】
吸着電極43は金属であり、誘電体プレート42はその名の通り誘電体製であるから、一般的に熱膨張率の差が大きい。そして、誘電体プレート42が吸着電極43に対して固定されているため、静電吸着ホルダーが熱を受けて全体に温度上昇した際、両者の熱膨張率の違いから、吸着電極43が大きく変形し易い。この結果、図2(1)に示すように誘電体プレート42も凸状に変形したり、図2(2)に示すように凹状に変形したりすることがある。このような誘電体プレート42の変形が生ずると、吸着されている対象物9に変形や変位が生ずる恐れがある。
【0019】
このような場合、図2(3)に示すように、吸着電極43と静電吸着ホルダーの間に、中間の熱膨張率を持つ緩和層44を挿入してやると、熱膨張率の差が緩和され、誘電体プレート42の変形は抑制される。本願の発明者の研究によると、このような緩和層44に加え、図2(4)に示すように、さらに反対側にも同様の層(被覆層45)を設けてやると、さらに誘電体プレート42の変形が抑えられることが判明した。この理由は、完全に明らかになった訳ではないが、一つには、同様の熱膨張率を持つ層により吸着電極43がサンドイッチされることで、両側の面の熱膨張のバランスが取れた状態になることが考えられる。また、同様の熱膨張率を持つ層により吸着電極43がサンドイッチされることで、吸着電極43の内部応力のバランスが均一になることが原因であるとも考えられる。
【0020】
内部応力に着目すると、緩和層44や被覆層45の内部応力が吸着電極43の変形を抑制する働きを有しているとも考えられる。例えば、吸着電極43が上に凸になるように変形しようとした場合、緩和層44や被覆層45の内部応力はそれを抑える向きに、つまり下に凸になるように変形するよう作用することがあり得る。また、吸着電極43に圧縮応力が発生した際、緩和層44や被覆層45に引っ張り応力が発生したり、逆に、吸着電極43に引っ張りが発生した際、緩和層44や被覆層45に圧縮が発生することがあり得ると考えられる。一般的に言えば、吸着電極43の内部応力とは逆向きの内部応力を緩和層44や被覆層45が有するということである。この場合の逆向きとは、完全に逆向きでなくともよい。ベクトルで言えば、吸着電極43の内部応力に対し緩和層44や被覆層45の内部応力が90度を越える角度を成すということである。
【0021】
いずれにしても、被覆層45を設けることで、吸着電極43の変形がさらに抑制され、誘電体プレート42の変形、及びこれに起因した対象物9の変形や変位がさらに抑制される。尚、被覆層45が緩和層44と同様の熱膨張率を持つとは、熱膨張率の値が一致しているということではなく、吸着電極43と誘電体プレート42の中間の熱膨張率を持つ、という点で「同様」ということに過ぎない。とはいえ、本実施形態では、緩和層44と同様のセラッミクスと金属の複合材(例えばSiC−Al複合材)が被覆層45の材料に用いられている。被覆層45に用いた複合材は、充分な金属含有量を有し、導電性である。これは、被覆層45が吸着電極43とホルダー本体41との間を絶縁しないようにするためである。
【0022】
尚、誘電体プレート42の固定の仕方も、誘電体プレート42の変形等を抑制する上で重要である。ねじ止めのようなスポット的な方法で誘電体プレート42を固定した場合、固定箇所でピンチされた状態となるとともに固定箇所において局所的に熱伝達性が向上するため、誘電体プレート42の熱変形が助長される問題がある。
【0023】
本実施形態では、誘電体プレート42は、インジウムを主成分とするろう付けにより緩和層44を挟んで吸着電極43に接合されている。この場合の「主成分とする」とは、100%インジウムでも良いし、何らかの添加物が入っていても良い。
例えばインジウムで形成された薄いシート状の部材を誘電体プレート42と緩和層44との間に挟み込み、120〜130℃程度に加熱した後に冷却して全面ろう付けすることで、接合が行われる。
【0024】
尚、熱接触性や機械的強度を向上させる観点から、ろう付けの際、機械的に圧力をかけて界面での拡散を生じさせる拡散接合の手法を採用することが好ましい。例えば、570〜590℃程度に加熱し、1〜2MPa(メガパスカル)程度の圧力をかけて接合する。
このようなろう付けにより誘電体プレート42が接合されているため、誘電体プレート42の熱変形がさらに効果的に抑制されている。尚、ろう材としては、尚、緩和層44と吸着電極43との固定、吸着電極43と被覆層45との固定についても、同様のろう付けとすることができる。
【0025】
また、誘電体プレート42、吸着電極43、緩和層44及び被覆層45の合計の厚さ(以下、全体厚さ)は、28mm以上32mm以下であることが好ましい。これは、次のような理由による。全体厚さが28mm未満であると、まず全体に薄くなるので、前述したような熱変形が生じやすくなる。また、28mm未満であると、後述するように吸着電極43内に冷媒流通用の空洞が設けられる場合、その空洞の容積や冷媒が接触する面の面積が足りずに冷却が充分できなかったりする問題がある。一方、全体厚さが32mmを越えると、必要以上に大きくなり、占有スペース上の問題やコスト上の問題が発生する。吸着電極32を固定するネジとして長いものが必要になってしまう問題や、保護リング49も大きなものが必要になってしまう問題も発生する。このようなことから、全体厚さは、28mm以上32mm以下とすることが好ましい。
【0026】
次に、基板処理装置の発明の実施形態について説明する。本願発明の基板処理装置は、基板を室温より高い所定の温度に維持しつつ処理する装置である。以下の説明では、このような装置の一例として、プラズマエッチング装置を採り上げる。また、以下の説明では、「対象物」をその下位概念である「基板」に言い換える。
【0027】
図3は、基板処理装置の発明の実施形態の正面断面概略図である。図3に示す装置は、内部で基板9の表面のエッチングがなされる処理容器1と、処理容器1内に所定のプロセスガスを導入するプロセスガス導入系2と、プロセスガスにエネルギーを与えて処理容器1内にプラズマを形成するプラズマ形成手段3と、プラズマの作用によってエッチングされる処理容器1内の所定の位置に基板9を静電吸着して保持する静電吸着ホルダー4とから主に構成されている。静電吸着ホルダー4は、上述した実施形態のものとほぼ同様である。
【0028】
処理容器1は、気密な真空容器であり、排気系11によって内部が排気されるようになっている。処理容器1は、ステンレス等の金属で形成されたおり、電気的には接地されている。排気系11は、ドライポンプ等の真空ポンプ111及び排気速度調整器112を備えており、処理容器1内を10−3Pa〜10Pa程度の真空圧力に維持することが可能になっている。
【0029】
プロセスガス導入系2は、プラズマエッチングに必要なプロセスガスを所定の流量で導入できるようになっている。本実施形態では、CHF3等の反応性ガスをプロセスガスとして処理容器1内に導入するようになっている。プロセスガス導入系2は、CHF3のようなフッ素系ガスのプロセスガスを溜めた不図示のガスボンベと、ガスボンベと処理容器1とを繋ぐ配管等から構成されている。
【0030】
プラズマ形成手段3は、導入されたプロセスガスに高周波エネルギーを与えてプラズマを形成するようになっている。即ち、プラズマ形成手段3は、静電吸着ホルダー4に対向するようにして処理容器1内に設けられた対向電極30と、対向電極30に高周波電圧を印加するプラズマ用高周波電源31により構成されている。プラズマ用高周波電源31は、周波数が数100kHz〜数10MHz程度のものであり、不図示の整合器を介して対向電極30に接続されている。プラズマ用高周波電源31の出力は、300〜2500W程度でよい。対向電極30は、絶縁部32を介在させながら処理容器1に気密に取り付けられている。
【0031】
プラズマ用高周波電源31が対向電極30に高周波電圧を印加すると、処理容器1内に高周波電界が設定され、導入されたプロセスガスに高周波放電が生じ、プラズマが形成される。フッ素系ガスのプラズマ中では、フッ素又はフッ素化合物のイオンや活性種が盛んに生成され、これらのイオンや活性種が基板9に到達することにより基板9の表面がエッチングされる。
尚、静電吸着ホルダー4には、基板9に効率よくイオンを入射させるためのイオン入射用高周波電源6がキャパシタンスを介して接続されている。プラズマが形成されている状態でイオン入射用高周波電源6が動作すると、プラズマと高周波電界の相互作用により、負の直流分の電圧である自己バイアス電圧が基板9に与えられる。この自己バイアス電圧によりイオンが効率良く基板9に入射するため、エッチングが効率よく行われる。
【0032】
また、本実施形態における静電吸着ホルダー4は、誘電体プレート42のプレートフランジに、補正リング46が設けられている。補正リング46は、誘電体プレート42上の基板9とほぼ面一になるよう設けられている。補正リング46は、単結晶シリコン等の基板9と同じ又は類似した材料で形成されている。補正リング46は、基板9の周辺部分における処理の不均一化を防止するものである。
本実施形態の装置において、基板9の周辺部分は、基板9の端面からの熱放散があるため、中央部分に比べて温度が低くなり易い。そこで、端面からの熱の放散に見合うだけの熱が与えられるように、基板9と同じ材料で形成された補正リング46を基板9の周囲に設けて基板9の温度を均一にしている。
【0033】
また、処理容器1内に形成されたプラズマは、エッチングの過程で基板9から放出されるイオンや電子によっても維持されている。プラズマが形成された空間全体のうち基板9の周辺部分を臨む部分は、基板9の中央部分を臨む部分に比べてイオンや電子の供給が少なく、プラズマ密度が低くなっている。このため、基板9と同じ材料で形成された補正リング46を周囲に設けることにより、基板9の周辺部分を臨む空間部分への電子やイオンの供給量を相対的に多くしてプラズマ密度を均一にしている。
【0034】
静電吸着ホルダー4は、絶縁ブロック47を介して処理容器1に取り付けられている。絶縁ブロック47は、アルミナ等の絶縁材で形成されており、ホルダー本体41と処理容器1とを絶縁するとともに、ホルダー本体41をプラズマから保護するようになっている。尚、処理容器1内に真空リークが生じないようにするため、静電吸着ホルダー4と絶縁ブロック47との間及び処理容器1と絶縁ブロック47との間にOリング等の封止部材が設けられている。
【0035】
また、本実施形態では、処理中に基板9を冷却しながら温度制御する温度制御手段5が設けられている。エッチングの際に維持すべき基板9の温度(以下、最適温度)は、室温より高いある程度の高温である場合が多い。しかしながら、基板9はエッチング中にプラズマからの熱を受けて温度上昇し、最適温度を超えてしまう場合が多い。温度制御手段5は、エッチング中に基板9を冷却し、最適温度に維持するようにしている。
【0036】
図3に示すように、吸着電極43は、内部に空洞を有している。温度制御手段5は、この空洞に冷媒を流通させて吸着電極43を冷却し、間接的に基板9を冷却するものである。温度制御手段5は、吸着電極43内の空洞に冷媒を供給する冷媒供給管51と、空洞から冷媒を排出する冷媒排出管52と、冷媒の温度調節を行いながら冷媒を循環させるサーキュレータ53等から構成されている。冷媒としては、流体が用いられ、例えば3M社製のフロリナート(商品名)が使用される。温度制御手段5は、冷媒を30〜40℃程度にして循環させることで、基板9を室温より高い80〜90℃程度に冷却するよう構成されている。
【0037】
尚、静電吸着された基板9と誘電体プレート42との間にガスを供給して熱伝達性を向上させる不図示の熱伝達用ガス導入系が設けられている。基板9の裏面の微小な凹凸及び誘電体プレート42の表面の微小な凹凸により形成される微小な空間は、真空圧力となり、熱伝達性が悪い。熱伝達用ガス導入系は、この微小な空間にヘリウムのようなガスを導入して熱伝達性を改善する。
また、静電吸着ホルダー4は、基板9の受け渡しのためのリフトピン48を内蔵している。リフトピン48は、不図示の昇降機構によって昇降するようになっている。リフトピン48は、図3では一本のみが示されているが、実際には三本程度設けられている。
【0038】
次に、上記実施形態の基板処理装置の動作について説明する。
不図示の搬送機構によって基板9が処理容器1内に搬入され静電吸着ホルダー4上に載置されると、吸着電源40が動作し、基板9は静電吸着ホルダー4に静電吸着される。排気系11によって処理容器1内は予め所定の圧力まで排気されている。この状態で、プロセスガス導入系2が動作し、所定のプロセスガスが導入される。そして、プラズマ用高周波電源31が動作し、前述したようにプラズマが生成されてエッチングが行われる。温度制御手段5は、基板9を冷却しながら最適温度に維持する。このようにして所定時間エッチングを行った後、プロセスガス導入系2、プラズマ用高周波電源31、イオン入射用高周波電源6の動作を停止する。そして、吸着電源40の動作を停止させて静電吸着を解除し、処理容器1内を排気した後、不図示の搬送機構によって基板9が搬出される。
【0039】
上記基板処理装置では、エッチング中に吸着電極43は室温より高い温度となるものの、前述したように、緩和層44と被覆層45により変形が抑えられる。このため、誘電体プレート42の変形及びこれに起因した基板9の変形や変位も抑制される。従って、処理の均一性や再現性が高くなる。
【0040】
緩和層44及び被覆層45による熱変形の抑制の技術的意義は、本実施形態のように補正リング46を使用する場合に著しい。以下、この点について説明する。
補正リング46は、基板9を外側に向けて実質的に延長した(大きくした)構成とするものであり、前述したように基板9と同様の材質であって基板9とほぼ面一となるものである。このため、誘電体プレート42は、プレートフランジを有し、この部分に補正リング46が配置される。補正リング46は、基板9と同様に静電吸着され、前述した作用効果を奏する。
【0041】
ここで、補正リング46が置かれたプレートフランジは、厚さが薄く、また周縁部であるため、熱変形し易く変形量も大きくなり易い。もし、補正リング46に変形や変位が生ずると、基板9の端面からの熱放散を補償する作用が不均一になってしまう。また、変形や変位によって補正リング46の誘電体プレート42に対する熱接触性が低下し、基板9に比べて温度が高くなってしまう。特に問題なのは、補正リング46の誘電体プレート42に対する熱接触性の低下がランダムに生ずると、補正リング46が基板9を加熱する作用もランダムに生じ、処理の際の基板9の温度の再現性が大きく低下してしまう点である。
本実施形態では、前述したように吸着電極43の変形を抑え込むことで誘電体プレート42の変形や変位を抑制しているので、補正リング46の変形や変位もまた抑制されている。このため、上述した基板9の温度の不均一化や再現性低下が抑制されている。
【0042】
次に、上記本実施形態の構成による効果について確認した実験の結果について説明する。図4から図7は、実施形態の構成による効果について確認した実験の結果について概略的に示した図である。
図4から図7に結果を示す実験は、前述した実施形態の静電吸着ホルダー4を異なる温度(又は温度履歴)にした状態で、誘電体プレート42の表面の変形又は変位を測定したものである。測定は、静電吸着ホルダー4の上方に一定の高さを設定し、この高さから誘電体プレート42の表面の各点までの距離を距離計により計測することにより行われた。
【0043】
図4及び図5は、誘電体プレート42の凸部の表面の各点の高さを示している。このうち、図4は、緩和層44及び被覆層45のない従来タイプの静電吸着ホルダーの場合、図5は、緩和層44及び被覆層45のある実施形態のタイプの静電吸着ホルダー4の場合である。また、図6及び図7は、誘電体プレート42のフランジ部の表面の各点の高さを示している。 図6は、緩和層44及び被覆層45のない従来タイプの静電吸着ホルダーの場合、図7は、緩和層44及び被覆層45のある実施形態のタイプの静電吸着ホルダー4の場合である。尚、図6及び図7におけるプレートフランジの表面上の点(▲1▼,▲2▼,▲3▼,▲4▼)が具体的にどこであるのか、同様の符号(▲1▼,▲2▼,▲3▼,▲4▼)で図1中に指し示されている。
【0044】
図4から図7において、Aは、20℃の状態で一晩放置してからそのまま20℃の条件で測定したデータ、Bは5℃に維持して測定したデータ、Cは、5℃にした後に加熱して20℃にして測定したデータ、Dは、50℃に維持して測定したデータ、Eは50℃にした後に強制冷却して20℃にして測定したデータである。尚、静電吸着ホルダー4は、リフトピン48等のような内蔵部材のため表面に開口を有するが、開口の部分に相当するデータは図4から図7では無視されている。
【0045】
まず、図4から図7に示すデータにおいて、一般的に、温度が高い方が誘電体プレート42の表面は高い位置に位置している。これは、静電吸着ホルダー4全体の熱膨張に主に起因しており、ある意味で当然の結果である。問題なのは、誘電体プレート42の表面の変位又は変形の仕方が温度又は温度履歴によって異なることである。
即ち、図5に示す、静電吸着ホルダー4の表面の各点の高さを結んだ線(以下、表面高さ分布)は、同様の形状を描きながら、温度又は温度履歴によって上昇したり下降したりしている。つまり、平行移動している。これは、誘電体プレート42が、基本的には変形せず、全体に均一に熱膨張していることを示していると考えられる。
【0046】
しかし、図4では、表面高さ分布は、異なる形状を描きながら温度又は温度履歴によって上昇したり下降したりしている。つまり、平行移動していない。これは、誘電体プレート42の変形が生じていることを示していると考えられる。特に問題なのは、温度履歴によって表面高さ分布が異なる形状になってしまうことである。つまり、同じ20℃の場合の測定であっても、一晩放置して自然になった場合と、5℃の後に加熱してなった場合と、50℃の後に強制冷却してなった場合とでは、表面高さ分布は異なった曲線になってしまっている。
【0047】
プレートフランジにおけるデータについても、同様のことがいえる。即ち、図6及び図7とを比較すると解るように、緩和層44及び被覆層45がある場合は、表面高さ分布は平行移動しながら上昇したり下降したりしているが、それらが無い従来の構成では、そうはなっていない。そして、温度履歴が相違する場合も、表面高さ分布は異なる曲線となっている。
【0048】
温度履歴によって表面高さ分布が異なってしまうことは、基板処理の再現性という点で深刻な問題をもたらす。基板処理装置は、製造メーカーで製造され、出荷テスト等を経て生産ラインに組み込まれて使用される。しかしながら、実際に基板処理が行われるまでの静電吸着ホルダー4の温度履歴は、常に同じという訳にはいかない。たとえ全く同じ処理を行う装置であっても、出荷テストや生産ラインでの稼働テスト等において、異なる温度履歴になることが殆どである。さらに、基板9の枚葉処理を考えてみると、ある基板9が処理される際のそれまでの静電吸着ホルダー4の温度履歴と、別の基板9が処理される際のそれまでの静電吸着ホルダー4の温度履歴とが相違することは、往々にしてありうる。例えば、枚葉処理が連続して行われている場合と、定期メンテナンスがあり、装置の稼働が相当時間停止した後に最初に処理する場合とでは、温度履歴が相違してしまうことは容易に想像がつく。
【0049】
温度履歴によって表面高さ分布が異なるということは、温度制御手段5によって静電吸着ホルダー4を一定の温度に維持していても、温度履歴によって基板9の位置や形状が変化してしまうことを意味する。つまり、処理の再現性の点で深刻な問題となってしまう。一方、緩和層44及び被覆層45がある構成では、温度履歴によって表面高さ分布が異なることはなく、基板9の位置や形状は変化しない。従って、静電吸着ホルダー4をある定められた温度に維持するだけで再現性の高い処理が行えることになる。
【0050】
次に、本願発明の別の実施形態について説明する。
図8は、本願発明の別の実施形態に係る静電吸着ホルダーの正面断面概略図である。図8に示す静電吸着ホルダー4は、吸着電極43の構造が異なっている。この実施形態では、吸着電極43は、一対の電極板431,432から構成されている。
【0051】
下側の電極板431は、上側の電極板432に向かい合った面に上方に突出した多数のフィンを有している。これらのフィンは、静電吸着ホルダー4と同軸の円周上に延びる円弧状又は円周状である。これらのフィンは、冷却フィンと同様の機能を有する。上側の電極板432は、下側の電極板431に向かい合った面に下方に突出した多数のフィンを有している。これらのフィンも、静電吸着ホルダー4と同軸の円周上に延びる円弧状又は円周状で、冷却フィンと同様の機能を有する。図8に示すように、一対の電極板431,432のフィンは、互い違いに入り込んでいる。即ち、下側の電極板431の各フィンは、上側の電極板432の二つのフィンの間に入り込み、上側の電極板432の各フィンは、下側の電極板431の二つのフィンの間に入り込んでいる。
【0052】
このような両側の電極板431,432のフィンにより、図8に示すような複雑な形状の空洞430が形成されている。そして、この空洞に冷媒を流通させて吸着電極43を冷却し、間接的に基板9を冷却する温度制御手段が設けられている。温度制御手段は、空洞430に冷媒を供給する冷媒供給管51と、空洞430から冷媒を排出する冷媒排出管52と、冷媒の温度調節を行いながら冷媒を循環させる図8中不図示のサーキュレータ等から構成されている。
【0053】
この実施形態によれば、冷媒が接触する吸着電極43の表面積がより大きいので、冷却の効率が高くなっている。このため、投入電力を大きくしてプラズマ密度を高くすることで処理速度を高くした場合でも、基板9の温度を所定の低温に保持することが容易であり、処理の高速化に貢献できる。また、フィンが、静電吸着ホルダー4と同軸の円周上に延びる円弧状又は円周状である構成は、吸着電極43を均一に冷却するに役立ち、この点は、基板9の温度を均一にして均一な処理を行うのに貢献する。
【0054】
尚、このような技術的意義は、本実施形態のように緩和層44と被覆層45とを有するものではない静電吸着ホルダーの場合でも同様に妥当する。従って、図8についての上記説明は、請求項8及び請求項9の発明の実施形態の説明でもある。尚、プラズマを形成しない場合の例としては、例えば処理後に基板9を冷却する場合があり、このような場合に用いられる静電吸着ホルダーとして、上記構成は好適に採用され得る。尚、吸着電極43が上下に配置された一対の電極板431,432から成ることは、必ずしも必要ではなく、左右に一対の電極板が配置されていても良い。
【0055】
【実施例】
上述した実施形態に属する実施例について、以下に説明する。
静電吸着ホルダーの実施例として、以下の構成があげられる。
吸着電極43の材料:アルミニウム
誘電体プレート42の材料:アルミナ
誘電体プレート42の固定:インジウムによるろう付け
緩和層44の材料:SiC+Al複合材
緩和層44の厚さ:12mm
被覆層45の材料:SiC+Al複合材
被覆層45の厚さ:12mm
吸着用電圧:500V
上記構成の静電吸着ホルダー4を使用し、直径300mmの基板9を静電吸着しながらプラズマエッチングを行う装置が、基板処理装置の実施例としてあげられる。
【0056】
上述した実施形態及び実施例において、緩和層44及び被覆層45の材料として、SiC+Alの複合材が使用されたが、他のセラミックスと金属の複合材でも良い。例えば、シリコンカーバイドと銅の複合材や、ニッケルとSiCとの複合材、鉄−ニッケル−コバルト合金とSiCとの複合材、鉄−ニッケル合金とSiCとの複合材、ニッケルとSi3N4との複合材、鉄−ニッケル−コバルト合金とSi3N4との複合材、鉄−ニッケル合金とSi3N4との複合材等である。また、セラミックスと金属の複合材に限定される訳ではなく、吸着電極43と誘電体プレート42の中間の熱膨張率を有するものであれば良い。
【0057】
また、静電吸着のタイプとして、前述した単極式の他、双極式や多極式がある。双極式は、一対の吸着電極を設け、正負の電圧(互いに極性の異なる電圧)を印加するタイプである。多極式は、多数対の吸着電極を設け、対を構成する電極に正負の電圧を印加するタイプである。双極式や多極式のタイプでは、吸着電極が誘電体プレートの中に埋設される場合もある。また、単極式の場合、負の直流電圧を印加するタイプもある。このようなタイプの場合であっても、本願発明は同様に実施できる。
さらに、上述した静電吸着ホルダー4は、対象物又は基板9を上面に載置して保持するものであったが、静電吸着面を下方に向けて保持する構成や、側方に向けて保持する(対象物又は基板9を立てて保持する)構成が採用されることもある。
【0058】
また、上述した説明では、基板処理の例として、プラズマエッチング装置をとりあげたが、プラズマ化学蒸着(CVD)装置、スパッタリング装置など、他の基板処理装置についても同様に実施できる。尚、温度制御手段5は、処理中に基板9を加熱しながら所定の温度に維持する場合もある。また、静電吸着ホルダー4の用途としては、基板処理の他、環境試験装置のように対象物9の試験を行う場合などがあげられる。
【0059】
【発明の効果】
以上説明した通り、本願の請求項1の発明によれば、吸着電極の変形が抑制されるので、対象物を安定して吸着することができる。
また、請求項2の発明によれば、上記効果に加え、吸着電極の熱変形が生じにくく、吸着電極内に冷媒流通用の空洞が設けられる場合、その空洞の容積や冷媒が接触する面の面積が足りずに冷却が充分できなかったりする問題がない。また、占有スペース上の問題、コスト上の問題、吸着電極を固定する際の問題なども発生しない。
また、請求項3又は4の発明によれば、上記効果に加え、誘電体プレートの熱による変形や変位を抑制する効果がさらに高く得られる。
また、請求項8の発明によれば、静電吸着ホルダーが室温より高い温度に加熱される場合でも、再現性や均一性の点で優れた基板処理を行うことができる。
また、請求項9の発明によれば、上記効果に加え、補正リングを使用する効果が損なわれないという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】静電吸着ホルダーの発明の実施形態の正面断面概略図である。
【図2】図1に示す静電吸着ホルダーの技術的意義について模式的に示した図である。
【図3】基板処理装置の発明の実施形態の正面断面概略図である。
【図4】実施形態の構成による効果について確認した実験の結果について概略的に示した図である。
【図5】実施形態の構成による効果について確認した実験の結果について概略的に示した図である。
【図6】実施形態の構成による効果について確認した実験の結果について概略的に示した図である。
【図7】実施形態の構成による効果について確認した実験の結果について概略的に示した図である。
【図8】本願発明の別の実施形態に係る静電吸着ホルダーの正面断面概略図である。
【符号の説明】
1 処理容器
11 排気系
2 プロセスガス導入系
3 プラズマ形成手段
30 対向電極
31 プラズマ用高周波電源
4 静電吸着ホルダー
40 吸着電源
41 ホルダー本体
42 誘電体プレート
43 吸着電極
430 空洞
431 電極板
432 電極板
5 温度制御手段
5 イオン入射用高周波電源
9 対象物又は基板
Claims (9)
- 板状の対象物を静電吸着して保持する静電吸着ホルダーであって、
表面が静電吸着面である誘電体プレートと、
吸着電極と、
誘電体プレートと吸着電極との間に設けられているとともに誘電体プレートと吸着電極との中間の熱膨張率を持つ材料より成る第一の層と、
吸着電極の誘電体プレートとは反対側に設けられているともに誘電体プレートと吸着電極との中間の熱膨張率を持つ材料より成る第二の層と、
金属製のホルダー本体と
を備えており、
前記誘電体プレートはアルミナより成るものであって、前記吸着電極はアルミニウムより成るものであり、前記第一の層はシリコンカーバイドとアルミニウムの複合材より成るものであり、
前記誘電体プレートと前記第一の層とは、インジウムを主成分とするろう材でろう付けされており、
前記吸着電極は前記ホルダー本体に短絡されており、吸着電源がホルダー本体に接続された際、吸着電源による電圧がホルダー本体を介して吸着電極に印加されるものであることを特徴とする静電吸着ホルダー。 - 前記誘電体プレート、前記吸着電極、前記第一の層及び前記第二の層の合計の厚さは、28mm以上32mm以下であることを特徴とする請求項1記載の静電吸着ホルダー。
- 前記複合材は、全体に対するシリコンカーバイドの体積比が50%以上60%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の静電吸着ホルダー。
- 前記複合材の熱膨張率は、9.5×10−6/K以上であって10.5×10−6/K以下であることを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載の静電吸着ホルダー。
- 前記吸着電極はホルダー本体側の端部の周囲に電極フランジを有しており、この電極フランジはホルダー本体側に突出しており、前記第二の層は電極フランジの内側に設けられていることを特徴とする請求項1乃至4いずれかに記載の静電吸着ホルダー。
- 前記吸着電極は、前記電極フランジにおいて前記ホルダー本体に対してネジ止めされていることを特徴とする請求項5に記載の静電吸着ホルダー。
- 前記ネジは、前記第二の層を貫通していないことを特徴とする請求項6に記載の静電吸着ホルダー。
- 基板を室温より高い所定の温度に維持しつつ基板の表面に所定の処理を施す基板処理装置であって、前記請求項1乃至7いずれかの静電吸着ホルダーを備えており、当該静電吸着ホルダーに基板を保持させつつ処理するものであることを特徴とする基板処理装置。
- 前記誘電体プレートは、基板が静電吸着される部分の周囲に段差が設けられていて低くなっており、この低くなった部分には、静電吸着される基板を取り囲む補正リングが設けられており、補正リングは、基板の周辺部における処理の不均一化を防止するものであることを特徴とする請求項8記載の基板処理装置。
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