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JP4345491B2 - 誘導加熱装置 - Google Patents

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JP4345491B2
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Description

本発明は、一般家庭やオフィス、レストラン、工場などで使用される誘導加熱装置に関するものであり、さらに詳しくは被加熱物としてアルミニウムや銅などの低透磁率かつ高電気伝導率の材料からなる被加熱物を加熱する誘導加熱調理器や、誘導加熱式湯沸かし器、誘導加熱式アイロン、またはその他の誘導加熱式加熱装置などで、特にアルミニウムや銅などを加熱可能とする誘導加熱装置に関するものである。
従来、この種の誘導加熱装置として、例えば、誘導加熱調理器に関して、複数のスイッチング素子を有し、一方のスイッチング素子のオン期間中に周期の短い共振電流を加熱コイルに発生し、かつ平滑コンデンサから加熱コイルに電力を供給することにより、入力電圧の脈流による鍋鳴り音が生じず、騒音の少ないアルミ鍋などを加熱する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、加熱コイルの入力インピーダンスにおける等価直列抵抗(被加熱物及び電気導体を加熱状態と同様の位置配置で、加熱コイル近傍の周波数を使用して測定した加熱コイルの入力インピーダンスにおける等価直列抵抗(以下単に加熱コイルの等価直列抵抗と呼ぶ))を大きくする機能を有する電気導体を、加熱コイルとアルミニウムなどの低透磁率かつ高電気伝導率の材料でなる被加熱物の間に設けることにより、加熱コイルに流れる電流を小さくして被加熱物に作用する浮力を低減し、入力電力が大でも浮力による被加熱物のずれ、浮きが少なくする技術が知られている(例えば、特許文献2参照)。
以下、従来の誘導加熱装置として、特許文献2における誘導加熱装置(誘導加熱調理器)について、図を用いて説明する。
図5は加熱コイル21及びその周辺の構成を示す斜視図であり、図6は誘導加熱装置本体(図示せず)に収納された加熱コイル21と、本体上部に固定された天板28と、天板28に置される被加熱物29を示す断面図である。
図5及び図6において、21は加熱コイルであり、インバータ(図示せず)から供給された約70kHzの高周波電流により磁界を発生し、天板28上に置された被加熱物29を誘導加熱する。
電気導体27は、厚さが略1mmの材料がアルミニウムの板により形成され、絶縁板31と天板28の間に設けられている。
加熱コイル21の上部に出た磁界は、電気導体27に鎖交するので、電気導体27には誘導電流が誘起される。電気導体27の厚みは約1mmで、加熱コイル21電流により誘導される高周波電流の浸透深さ(以下単に誘導電流の浸透深さと呼ぶ)以上の厚みを有するので、電気導体27に鎖交した磁界の大部分はほとんど電気導体27を通過せず、外周側または内周側に迂回してから被加熱物29に到達する。
電気導体27がない場合には、加熱コイル21から発生した高周波磁界に対して、アルミニウム若しくは銅又はこれらと同等以上の電気伝導率を有し、かつ低透磁率材料からなる被加熱物29の内部には、反発する方向に磁界を発生すべく、誘導電流が誘起される。この結果、被加熱物29内部の誘導電流から誘起される磁界と、加熱コイル21から発生する磁界との交互作用により、被加熱物29に浮力が生じる。
しかしながら、本従来の技術では、加熱コイル21と被加熱物29との間に電気導体27が設けられており、さらにその厚みを誘導電流の浸透深さよりも大としている。加熱コイル21から発生する磁界は、電気導体27と被加熱物29に鎖交し、両者に誘導電流を発生することになる。これにより電気導体27に誘導された誘導電流の発生する磁界と、被加熱物29に誘導された電流の発生する磁界の重畳磁界が、加熱コイル21の発生する磁界の変化を妨げるように電気導体27及び被加熱物29に誘導電流が流れる。
つまり、被加熱物29に誘導される電流分布は、電気導体27が十分に厚みを備えている場合、電気導体27に誘導電流が発生することにより変わる。この電流分布の変化で、加熱コイル21の等価直列抵抗が大きくなり、同一出力を得る場合の加熱コイル21に流す電流を小さくすることができ、被加熱物29に作用する浮力が低減するとともに、電気導体27が被加熱物29に働くべき浮力の一部を分担することで、被加熱物29に作用する浮力が低減できる。
図7は被加熱物29がアルミニウム製の鍋の場合の消費電力と浮力の関係を、アルミニウム製の電気導体27がある場合(Bで示す)と電気導体27がない場合(Aで示す)について、また図8は消費電力と加熱コイル電流の関係を、電気導体27がある場合(Bで示す)と電気導体27がない場合(Aで示す)について測定結果の一例を示している。ただし、インバータの共振周波数は約70kHzである。
これらの測定結果によると、電気導体27を挿入することにより、加熱コイル21の等価直列抵抗が増加し、被加熱物29に働く浮力が低減するとともに、加熱コイル21電流も低減されている。
図9は電気導体27の厚みと浮力に関する傾向である。電気導体27の厚みを浸透深さ以上にすることにより、浮力低減効果を得ることが可能としている。
特開2003−257609号公報 特開2003−264054号公報
しかしながら、前記従来の技術は、被加熱物29の誘導加熱と同時に、電気導体27の誘導加熱が行われることになる。さらに、電気導体27の厚みが誘導電流の浸透深さよりも大であるため、加熱コイル21から発生した高周波磁界は電気導体27を浸透、通過することがほとんどない、つまり浸透、通過しないだけの十分大きな誘導電流が電気導体27内に誘起されている。したがって、特に電気導体27の発熱による損失が大きくなるという課題が生じた。
また図9に示した電気導体27の厚みと浮力に関する傾向について、アルミニウム若しくは銅またはこれらと略同等以上の電気伝導率を有する低透磁率材料を誘導加熱する技術は開発が新しく、十分な知見が不足であり、加えて当時の実験では測定点が離散的であり、それぞれの測定点間での浮力の振る舞いについて十分な知見が提示されていなかった。
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、低透磁率かつ高電気伝導率の材料で形成された被加熱物を加熱することができるとともに、被加熱物に働く浮力を低減し、かつ損失の少ない誘導加熱装置を提供することを目的としている。
前記従来の課題を解決するために、本発明の誘導加熱装置は、約70kHzの高周波電流が供給されて被加熱物を誘導加熱する加熱コイルと低透磁率かつ高電気伝導率材料からなる被加熱物との間に加熱コイルから磁界が発生したときに前記被加熱物に対して働く浮力を低減する浮力低減機能を有する、アルミニウム製または銅製の電気導体を設け、この電気導体の厚みを10〜30μmとしたものである。
このような電気導体は、加熱コイルの等価直列抵抗を、電気導体のないときに比べて大きくするものである。そのため、同一出力を得る場合の加熱コイルに流れる電流を低減して、加熱コイルの発生する磁界により被加熱物に働く浮力を低減する浮力低減機能を有する。
これによって、アルミニウム若しくは銅又はこれらと同等以上の電気伝導率を有し、かつ低透磁率材料からなる被加熱物を加熱した時に浮き上がったりずれたりするのを防止することができることができる。
また、電気導体の厚みが十分に小さいため、加熱コイルから発生した高周波磁界は、電気導体内部を浸透、通過する。加熱コイルから発生した高周波磁界を通過させないだけのエネルギー、つまり誘導電流を電気導体内部に発生させることがないため、電気導体の発熱による損失を低減し、加熱コイル近傍の冷却を容易にし、被加熱物に伝達する電力を大きくすることができる。
本発明の誘導加熱装置は、低透磁率かつ高電気伝導率の材料で形成された被加熱物を加熱することができるとともに、被加熱物に働く浮力を低減し、かつ損失の少ない誘導加熱装置を提供することができる。また、電気導体の厚みが十分に大きい場合に比べて、浮力低減の効果は大きく、加えて電気導体の発熱による損失を低減することが可能である。
第1の発明は、外郭を構成する本体と、アルミニウム若しくは銅またはこれらと略同等以上の電気伝導率を有する低透磁率材料からなる被加熱物を置する前記本体の上部に設けたトッププレートと、前記トッププレートの下方に設けられ、約70kHzの高周波電流が供給されて前記被加熱物を誘導加熱する加熱コイルと、前記加熱コイルと前記被加熱物との間に設けられ、前記加熱コイルから磁界が発生したときに前記被加熱物に対して働く浮力を低減する浮力低減機能を有する、アルミニウム製または銅製の電気導体とを備え、前記電気導体の厚みを10〜30μmとした誘導加熱装置とするものである。
本発明では、加熱コイルと被加熱物との間に電気導体が設けられており、さらにその厚みを約70kHzの加熱コイル電流により誘導される高周波電流の浸透深さよりも薄くしている。そのため、加熱コイルから発生した高周波磁界は、電気導体を浸透、通過しつつ、被加熱物に到達することになる。つまり、加熱コイルから見た総加熱面積は、電気導体面積及び加熱コイルから見て電気導体に覆われていない部分の被加熱物面積に、さらに加熱コイルから見て電気導体に覆われている部分の被加熱物面積が加わることになる。電気導体は、加熱コイルと被加熱物との磁気結合を強める作用を有しているわけである。この加熱コイルから見た総加熱面積の増加で、加熱コイルの等価直列抵抗が大きくなり、同一出力を得る場合の加熱コイルに流す電流を小さくすることができ、被加熱物に作用する浮力が低減する。
また電気導体は10〜30μmとするものであり十分に薄く、加熱コイルから発生した高周波磁界が電気導体を浸透、通過する。つまり、加熱コイルからの磁界を通過させないほどの大きな誘導電流は、電気導体内部には発生しないということであり、従来の電気導体の厚みが十分に大きい場合に比べて、本願のような厚みを加熱コイル電流により誘導される高周波電流の浸透深さよりも薄くした構成の電気導体においては、電気導体の発熱による損失を低減することが可能である。また、従来の電気導体の厚みが十分に大きい場合に比べて、浮力低減の効果を大きくすることが可能である。
第2の発明は、特に第1の発明において、電気導体は、トッププレートに接合される構成とした誘導加熱装置とするものである。これにより、電気導体で発生する発熱を、トッププレート及びその上部に置された被加熱物へより伝達しやすくなり、電気導体温度を抑制し、被加熱物の加熱効率を高めることができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における誘導加熱装置を示すものであり、特に誘導加熱調理器の要部の概略断面図である。
図1において、外郭を構成する本体1の上部に、絶縁体であり、耐熱セラミックス製のトッププレート2が設けられている。トッププレート2の下方には、素線を束ねた撚り線を多層にして平板上に巻き回されて構成される加熱コイル3が備えられている。棒状のフェライト4は、加熱コイル3面と略並行に配置されており、特にその両端を、トッププレート2へ向けて上方垂直に折り曲げた形状となっている。
トッププレート2と加熱コイル3間には、カーボン材料で形成された導電塗膜5が、マイカ製の絶縁板6、7に挟まれて配置されている。この導電塗膜5は、端子8と接続され、さらにコンデンサ9を介して商用電源電位あるいは加熱コイル3に高周波電流を供給するインバータ(図示せず)の入力する商用電源を整流した電位あるいは大地に接続される。
温度検知手段となるサーミスタ10は、トッププレート2の加熱コイル3側の面に当接されている。
電気導体11は、厚さが約15μmのアルミニウム塗膜で形成され、絶縁板6とトッププレート2の間に設けられており、特にトッププレート2の加熱コイル3側の面へ転写により、接合されている。
また図2は、加熱コイル3側から見た電気導体11の形状図である。電気導体11は、外径及び内径が加熱コイル3とほぼ同じの略ドーナツ状をしており、幅10mmのスリット12が外周から内周にわたって設けられているため、ドーナツを2分割したような形状をしている。中央部に開口部13が設けられており、その外周はフェライト4外端よりも小さく設定されている。電気導体11内周部には、深さ約25mm、幅約1mmのスリット14が中心から放射状に約40ヶ所設けられている。
アルミニウム若しくは銅又はこれらと略同等以上の電気伝導率を有する低透磁率材料からなる被加熱物15は、トッププレート2を挟んで加熱コイル3と対向するよう、トッププレート2上に置される。
以上の構成において、本実施の形態の動作を説明する。
加熱コイル3には、約70kHzの高周波電流が供給される。加熱コイル3は、高周波電流が供給されると磁界を発生するが、加熱コイル3下方では高透磁率材料であるフェライト4があり、磁界がフェライト4に集中するために、磁界が被加熱物15と反対側に膨らむのを防止できる。フェライト4は、複数のフェライトコアを組み合わせて構成することでも同様の効果が得られる。
一方、加熱コイル3上方へ出た磁界は、電気導体11に鎖交するため、電気導体11内部には誘導電流が誘起される。この時、誘導電流の周波数は約70kHzであり、電気導体11がアルミニウム製である場合の誘導電流の浸透深さδ=約300μmである。本実施の形態では、電気導体11は、誘導電流の浸透深さよりも十分薄い約15μmであるため、加熱コイル3からの磁界を遮蔽することができず、電気導体11内部を磁界が浸透、通過して、被加熱物15方向へ導かれる。フェライト4の両端部分は、上方垂直に折り曲げられているため、上方の被加熱物15方向へ磁界を効率よく誘導する作用をもつ。
加熱コイル3上方へ出た磁界は、電気導体11を浸透、通過した磁界と、電気導体11スリット12、14や開口部13を通過した磁界との合成磁界となって、被加熱物15に到達する。被加熱物15に誘起される誘導電流は、この合成磁界により発生するものである。そのため、電気導体11が介在することにより、電気導体11がない場合と比較し、誘導電流分布は変化する。
また、加熱コイル3から見て誘導加熱する総加熱面積は、電気導体11面積及び加熱コイル3から見て電気導体11に覆われていない、スリット12、14や開口部13上部の被加熱物15面積に、さらに加熱コイル3から見て電気導体11に覆われている部分の被加熱物15面積が加わることになる。電気導体11は、加熱コイル3と被加熱物15との磁気結合を強める作用を有しているわけである。この加熱コイル3から見た総加熱面積の増加で、加熱コイル3の等価直列抵抗が大きくなり、同一出力を得る場合の加熱コイル3に流す電流を小さくすることができ、被加熱物15に作用する浮力が低減する。
図3に電気導体11厚みと、加熱コイル3の等価直列抵抗の関係を、アルミニウム製の鍋を被加熱物15として加熱状態と同様の位置配置で測定した場合(図3(a)で示す)と、被加熱物15がない場合(図3(b)で示す)について、測定結果の一例を示している。ただし、加熱コイル3の高周波電流周波数は約70kHzである。
図3(b)に示すように、被加熱物15がない場合、電気導体11厚みが0(ない状態)から10μmまでは等価直列抵抗は単調増加し、電気導体11厚みが10μm以上では単調減少している。アルミニウムにおける誘導電流の浸透深さδ=約300μmを越える領域では、等価直列抵抗はほぼ一定の値となっている。
これは、被加熱物15の代わりに電気導体11が加熱対象となっているためと考えられる。アルミニウム製の電気導体11の電気伝導率をσ、厚みをt、電気導体11における誘導電流の浸透深さをδとしたとき、電気導体11厚みがδよりも小さい場合には、電気導体11表皮に流れる誘導電流から見た高周波抵抗Rs(以下単に表皮抵抗と呼ぶ)は、Rs=1/(t・σ)で定義される。つまり厚みtに対して表皮抵抗は反比例の関係にある。また電気導体11厚みがδよりも大きい場合には、Rs=1/(δ・σ)で定義され、表皮抵抗は一定値となる。
電気導体11厚みが0(ない状態)から10μmまでは、電気導体11の厚みが十分小さく、表皮抵抗が理論上非常に大きくなる。つまり、絶縁体に近い状態となり、加熱コイル3から発生する磁界も容易に通過するため、電気導体11がないのとほぼ同じ状態となる。加熱コイル3の等価直列抵抗は、被加熱物15及び電気導体11がない状態の加熱コイル3自身の高周波抵抗と、近傍のフェライト4の高周波抵抗などの合成抵抗とほぼ同じとなって小さい値となるが、電気導体11厚みを増すにつれ、単調増加する。電気導体11厚みが10μm以上300μm以下の領域では、電気導体11の表皮抵抗減少の影響により、加熱コイル3の等価直列抵抗も電気導体11厚みとほぼ反比例の関係で単調減少する。電気導体11厚みが300μm以上の領域では、電気導体11表皮抵抗が一定となるため、加熱コイル3の等価直列抵抗もほぼ一定値となる。
一方、図3(a)に示すように被加熱物15がある場合には、電気導体11厚みが0から15μmまでは等価直列抵抗は単調増加し、ピークをもつ。電気導体11厚みが200μmになるまで等価直列抵抗は単調減少し、最小となる。電気導体11厚みが1200μmまで等価直列抵抗は再度単調増加する。
電気導体11厚み15μmで加熱コイル3の等価直列抵抗が持つピークは、被加熱物15がない場合の図3(b)と同様に、電気導体11厚みが十分小さく、電気導体11表皮抵抗が大きい状態となってほぼ絶縁体と見なされる領域と、ある程度厚みが増加して電気抵抗表皮抵抗が減少する領域とのバランスによって生じると考えられる。
また視点を変えると、先に述べたように、電気導体11を浸透、通過した磁界による、見かけの総誘導加熱面積の増加作用は、電気導体11厚み15μmで最大になっていると言える。
また、電気導体11厚み15μm以上での領域については、電気導体11厚みが増加するために、電気導体11表皮抵抗が単調減少していく。さらに、電気導体11内部に誘導電流が流れやすくなるため、加熱コイル3から発生する磁界をある程度遮蔽し、加熱コイル3から見た総加熱面積が減少する。つまり、加熱コイル3の等価直列抵抗が減少する。
その一方で、小さい表皮抵抗で誘導電流を流しやすい状態となる電気導体11が、加熱コイル3から見て近い位置に配置されているため、加熱コイル3と電気導体11の磁気結合は強く、加熱コイル3の等価直列抵抗を増加させる作用もあわせて生じる。十分厚い電気導体11は、加熱コイル3から発生する磁界を遮蔽するが、一部の磁界は、電気導体11を迂回して電気導体11の加熱コイル3と反対側面を誘導加熱するため、電気導体11の表皮深さ約300μmを越えても、加熱コイル3の等価直列抵抗は増加する。したがって、電気導体11厚み200μmで加熱コイル3の等価直列抵抗は最小点を持つと推定される。ただし、電気導体11厚みが一定以上となれば、加熱コイル3の等価直列抵抗はほぼ一定値となる。
発明者らは、詳細な検討の結果、電気導体11厚み約15μmで、加熱コイル3の等価直列抵抗が最大となるポイントを見出した。そのため、同一出力を得る場合の加熱コイル3に流す電流を小さくすることができ、被加熱物15に作用する浮力が低減する。なお、発明者らの実験により、電気導体11が誘導電流の浸透深さより薄くても厚くても、加熱コイル3の等価直列抵抗が同じであれば、同様の加熱コイル3電流低減効果、浮力低減効果が得られることは確認された。また、誘導加熱装置として目標とする浮力に対して、加熱コイル3の等価直列抵抗はほぼ一意に決定されるため、電気導体11厚みを所定の加熱コイル3等価直列抵抗を得るべく、変更することが可能である。従って、ある程度、被加熱物15に対して働く浮力が容認される場合には、本実施の形態の加熱構成では、電気導体11厚みを15μmより小さくまたは大きく設定することで所定の浮力となる誘導加熱装置が得られる。
特に、図3(a)に示す実験データからは、電気導体の厚みが厚い場合においては1000μmにおいて3.6Ωの最大点を示し、同図より電気導体での厚みが浸透深さより薄い厚みにおいては、厚みを10〜30μmとすると3.6Ωよりも高い等価直列抵抗値を得ることができ、従来の電気導体の厚みが十分に大きい場合に比べて、浮力低減の効果は大きく、加えて電気導体の発熱による損失を低減することが可能である。
さらに、電気導体11が薄いため、加熱コイル3から発生した高周波磁界は電気導体11を浸透、通過する。つまり、加熱コイル3からの磁界を通過させないほどの反発磁界を発生させる大きなエネルギー、すなわち大きな誘導電流は、電気導体11内部には発生しないということであり、電気導体11の厚みが大きい場合に比べて、電気導体11の発熱による損失を低減し、加熱コイル3近傍の冷却を容易にすることができる。また、被加熱物15に伝達する電力を大きくし、加熱効率を向上させることが可能である。
また、電気導体11には、スリット12、14を設けている。電気導体11を2分割するスリット12は、加熱コイル3から発生する磁界によって誘起され、加熱コイル3の周回方向に流れる電気導体11内部の誘導電流を抑制するものである。図4は電気導体11内部に流れる誘導電流を示す図であり、スリット12がない場合(図4(a)に示す)、スリット12がある場合(図4(b)に示す)を表したものである。簡略化のため、本実施の形態における電気導体11とは異なり、スリット14がない形状で示している。図4(a)のように、スリット12がない場合、加熱コイル3から発生する磁界によって、電気導体11内部に大きなループで、同心円状となる誘導電流が発生する。この誘導電流は、特に加熱コイル3の内周部と外周部との中間部分に大きく流れるよう分布し、大きな発熱を生じさせる。しかしながら、図4(b)のように、スリット12を設けることによって、ループとなる誘導電流は抑制されるため、電気導体11の発熱を抑制することが可能となる。
さらに、図2に示すように、電気導体11内周部にスリット14を設けることにより、電気導体11内周部の誘導電流に対する電流路を長く設定することが可能となり、結果として電気導体11内周部の抵抗が大きくなる。誘導電流は流れやすい方向へ流れるため、電気導体11内周部の誘導電流量は減少し、発熱も抑制される。つまり、スリット14は、電気導体11内部に発生する誘導電流を制限する誘導電流制限手段であり、誘導電流による発熱を制限する発熱制限手段である。
また、電気導体11は、トッププレート2の加熱コイル3側の面へ転写により、接合されている。そのため、電気導体11の発熱を熱伝導でトッププレート2に与えることは容易であるし、トッププレート2上部に置された被加熱物15に対しても同様である。このように、電気導体11発熱による損失の増加は、結果として被加熱物15に伝達され、電気導体11温度を抑制し、被加熱物15の加熱効率を高めることができる。
導電塗膜5は、加熱コイル3の上部に近接して設けられ、コンデンサ9を介して商用電源電位あるいは加熱コイル3に高周波電流を供給するインバータの入力する商用電源を整流した電位あるいは大地に接続されるので、加熱コイル3から使用者に漏洩するリーク電流を低減することができる。また、この導電塗膜5は膜厚が小さく、電気伝導率も低いため、誘導電流の発生量が極めて少なく、加熱コイル3から発生する磁界の分布を変える作用はほとんどないので、電気導体11ような等価直列抵抗の増加作用、加熱コイル3電流の低減作用、そして浮力低減作用はほとんど得られない。
以上のように、本実施の形態によれば、電気導体11厚みを加熱コイル3電流により誘導される高周波電流の浸透深さよりも薄くしている。そのため、加熱コイル3から発生した高周波磁界は、電気導体11を浸透、通過しつつ、被加熱物15に到達することになる。つまり、加熱コイル3から見た総加熱面積は、電気導体11面積及び加熱コイル3から見て電気導体11に覆われていない部分の被加熱物15面積に、さらに加熱コイル3から見て電気導体11に覆われている部分の被加熱物15面積が加わることになる。電気導体11は、加熱コイル3と被加熱物15との磁気結合を強める作用を有しているわけである。この加熱コイル3から見た総加熱面積の増加で、加熱コイル3の等価直列抵抗が大きくなり、同一出力を得る場合の加熱コイル3に流す電流を小さくすることができ、被加熱物15に作用する浮力が低減する。
また電気導体11は十分に薄く、加熱コイル3から発生した高周波磁界が電気導体11を浸透、通過する。つまり、加熱コイル3からの磁界を通過させないほどの大きな誘導電流は、電気導体11内部には発生しないということであり、電気導体11の厚みが大きい場合に比べて、電気導体11の発熱による損失を低減することが可能である。
また、電気導体11は、転写などの手段によって、トッププレート2に接合されているため、電気導体11で発生する発熱を、トッププレート2及びその上部に置された被加熱物15へより伝達しやすくなり、電気導体11温度を抑制し、被加熱物15の加熱効率を高めることができる。
なお、本実施の形態では、電気導体11をトッププレート2に転写する構成としたが、これに限るものではなく、例えば溶射や蒸着によって電気導体11とトッププレート2を接合させても良い。また電気導体11をアルミニウム製でなく銅製にして、トッププレート2にメッキ処理しても良い。さらにトッププレート2の表面加工により微少な凹凸を構成し、電気導体11とトッププレート2との接合性を高めても良い。物作りが容易で、低コストとなる電気導体11材料を採用し、必要となる電気導体11厚みとすべく、適切な接合手段を選択すればよい。
また、電気導体11は、トッププレート2に接合されているため、工場などでの組立時の取り扱いが容易である。
なお、電気導体11は、内径と外径が加熱コイル3とほぼ同じとしたが、電気導体11の面積は大きいほど、また電気導体11が加熱コイル3に近いほど、加熱コイル3の等価直列抵抗の増加作用は大きくなる。必要となる浮力低減効果を得るように、電気導体11面積や、電気導体11と加熱コイル3との距離、電気導体11の発熱などの条件を考慮して決めればよい。
また、電気導体11は、開口部13を設けているため、加熱コイル3中央部近傍から発生し、特にフェライト4内周側端部によって上方へ向けられた磁界が、集中して被加熱物15に到達する。したがって、被加熱物15に到達する磁界を強め、加熱効率を向上させることが可能である。
以上のように、本発明にかかる誘導加熱装置は、低透磁率かつ高電気伝導率の材料で形成された被加熱物を加熱することができるとともに、被加熱物に働く浮力を低減し、かつ損失の少ない誘導加熱装置を提供することができるので、誘導加熱調理器としてはもちろんのこと、アルミニウムや銅などの高電気伝導率かつ低透磁率材料を加熱する誘導加熱式湯沸かし器、誘導加熱式アイロン、またはその他の誘導加熱式加熱装置としても有用である。
本発明の実施の形態1における誘導加熱装置の要部概略断面図 同誘導加熱装置の加熱コイル側から見た電気導体の形状図 同誘導加熱装置の電気導体厚みと加熱コイルの等価直列抵抗の相関を示す図 同誘導加熱装置の電気導体11内部に流れる誘導電流を示す図 従来の誘導加熱装置の要部斜視図 同誘導加熱装置の要部断面図 同誘導加熱装置の加熱コイルの等価直列抵抗と浮力の相関を示す図 同誘導加熱装置の加熱コイルの等価直列抵抗と加熱コイル電流値の相関を示す図 同誘導加熱装置の電気導体の厚みと被加熱物に作用する浮力の相関を示す図
符号の説明
1 本体
2 トッププレート
3 加熱コイル
11 電気導体
15 被加熱物

Claims (2)

  1. 外郭を構成する本体と、アルミニウム若しくは銅またはこれらと略同等以上の電気伝導率を有する低透磁率材料からなる被加熱物を置する前記本体の上部に設けたトッププレートと、前記トッププレートの下方に設けられ、約70kHzの高周波電流が供給されて前記被加熱物を誘導加熱する加熱コイルと、前記加熱コイルと前記被加熱物との間に設けられ、前記加熱コイルから磁界が発生したときに前記被加熱物に対して働く浮力を低減する浮力低減機能を有する、アルミニウム製または銅製の電気導体とを備え、前記電気導体厚みを10〜30μmとした誘導加熱装置。
  2. 電気導体は、トッププレートに接合される構成とした請求項1に記載の誘導加熱装置。
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