JP4331918B2 - 光触媒光源ランプ及び光触媒光源装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は照明用の光源ランプの外周面に光触媒膜を形成して光源ランプが発光する可視光により室内の有害な有機物質を光触媒分解する光触媒光源ランプに関し、更に詳細には、光源ランプの外周面で反射笠に対向する対向側半表面には光触媒膜を形成しないで光源ランプ面とし、反射笠の光反射面に光触媒膜を形成して、この光源ランプ面を透過した強度の高い可視光が反射笠の光触媒膜に照射されて、反射笠表面での光触媒分解を高効率化する光触媒光源ランプ及び光触媒光源装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、光触媒としてアナターゼ型酸化チタン(以後、アナターゼと云う)が広く利用されている。このアナターゼを利用した空気清浄器として、アナターゼをハニカム状触媒担体の多数の内壁面に塗着し、この触媒担体に室内空気を通風循環させて、触媒担体の微小空間内に紫外線などを照射して空気中に含まれる有害有機物質を光触媒分解する装置が提案されている。
【0003】
しかし、アナターゼのバンドギャップエネルギーは3.20eVであるから、光の励起波長は388nm以下の生物(人間を含む)に有害な紫外線に限定され、励起光源としてブラックライト等の紫外光源が利用されていた。従って、従来の空気清浄器は、紫外線による危険性を防止するために、紫外光源をハウジング内に密封して紫外線が室内に漏洩しない構造を採用していた。
【0004】
しかし、ハニカムの細孔内の隅々に紫外線を導入することは可能でも、励起確率を上げるために細孔面に垂直に照射することは困難である。従って、このような構造の空気清浄器では、空気中の有害な有機成分を分解するのに長時間を必要としていた。部屋の中では常時生活が営まれるから、一部の空気を浄化しても直ぐに悪臭が発生して、室内の浄化を感覚的に認知できる程度まで光触媒分解により浄化することは困難であった。
【0005】
一方、室内照明に使用される蛍光灯や電球などは主として可視光を発生し、紫外光は極微弱で殆んど含まれていない。この光は生物には無害であることは経験的にも実証されている。しかし、可視光のみではアナターゼを励起できないことも事実であるから、無害な蛍光灯や電球にアナターゼを塗着して室内の有害物質を光分解することは困難であり、極微弱な紫外光を利用しても光触媒効果は小さい。
【0006】
以下では、照明用光源として蛍光灯を例にとって説明する。蛍光灯の発光原理を考察すると、水銀の内部放電により発生する紫外線を蛍光灯内面の蛍光膜により可視光に変換し、この可視光を外部に放射して室内を照明している。しかし、蛍光膜によって放電紫外線を完全に吸収することは困難であるから、蛍光灯から一部の紫外線が室内に漏洩する。
【0007】
そこで、この漏洩紫外線を光触媒分解に利用しようというアイデアが生まれた。つまり、蛍光灯のガラス管の外周面にアナターゼを膜形成すれば、前記の漏洩紫外線によりアナターゼは励起され、室内の空気中に含まれる有害有機物質がアナターゼ表面に付着して紫外線により光触媒分解できる。しかもアナターゼにより漏洩紫外線は吸収されるから、蛍光灯の安全性も一層高められる。
【0008】
そこで、近年に到って、蛍光灯の外周面に実際にアナターゼを塗着し、また蛍光灯の反射笠の表面にアナターゼを塗着した光触媒蛍光灯が市場に提供されるようになった。蛍光灯の可視光は室内を照明し、漏洩紫外線がアナターゼ膜に作用して有害物質を光触媒分解するという両効果を狙った蛍光灯である。
【0009】
図5はこの従来の光触媒光源ランプ及び光触媒光源装置の概略断面図である。光触媒光源装置2は、光触媒光源ランプ4と反射笠12を組み合わせて構成される。光触媒光源ランプ4はサークル蛍光灯からなる光源ランプ5の全外周面に全面光触媒膜9を膜形成して構成されている。また、反射笠12は、笠本体14の光反射面(内面)に光触媒膜16を膜形成して構成され、取付部18、吊具20及び固定部22を介して天井24に垂下固定されている。
【0010】
光源ランプ5の全面光触媒膜9と反射笠12の光触媒膜16はチタンゾルゲル法により形成されたアナターゼゲル膜から構成される。即ち、テトラエトキシチタン、水、エタノール、塩酸を混合したチタンゾル液を調製する。このチタンゾル液を光源ランプ5の全表面に塗着し、また笠本体14の反射面となる内面に塗着する。このチタンゾル膜を熟成させることによりアナターゼのゲル膜が生成され、全面光触媒膜9及び光触媒膜16が形成される。
【0011】
光触媒光源ランプ4を点灯すると、全面光触媒膜9を透過した透過光Tが周囲に放射され、またこの透過光Tが反射笠12で反射されて反射光Rが下方に照射される。従って、室内の照明光は透過光Tと反射光Rである。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、この光触媒光源ランプ4及び光触媒光源装置2は次の二つの原因により十分な光触媒効果を発現することができなかった。第1に、光源ランプ5の全外周面に全面光触媒膜9が形成されるため、全面光触媒膜9による光吸収によって透過光Tの強度が低下することである。その強度低下した透過光Tが反射笠12の反射面に照射されるから、反射笠12の光触媒膜16における光触媒分解力がそれだけ低下する。
【0013】
光源ランプ5の全面光触媒膜9の面積よりも反射笠12の光触媒膜16の面積の方がかなり大きい。全面光触媒膜9による光触媒分解が強力に行われても、大面積の光触媒膜16による光触媒分解力が低下すると、光源装置全体としての総合的な光触媒分解力は低下してしまう。
【0014】
言い換えれば、透過光Tは光源ランプ5から出力される放射光Lより強度的に低下するから、この透過光Tが反射笠12の光触媒膜16に照射される限り、光触媒膜16における光触媒分解力が低下するのは当然である。この課題は何としても技術的に解決されなければならない。
【0015】
第2に、蛍光灯に塗着される光触媒としてのアナターゼの限界である。アナターゼは紫外線応答性の高い光触媒であるから、蛍光灯から放射される可視光に対しては反応性は極めて低い。また、最近の蛍光灯では紫外線安全性が従来より強化されており、室内に放射される漏洩紫外線は極めて少なくなっている。つまり、このような小量の漏洩紫外線によってはアナターゼの光触媒分解力は十分には発現されないのである。
【0016】
この問題はアナターゼ光触媒自体が有する本質的な問題である。つまり、室内を照明する光源ランプ5は当然に照明用の可視光を放射するが、アナターゼは紫外線に応答する性質を有しているため、可視光によっては励起され難いという性質を有している。この理由のため、従来からアナターゼは紫外光源と組み合わせて使用されてきたのであり、アナターゼを可視光源と組み合わせることに問題があると考えられる。
【0017】
従って、本発明の第1目的は、光源ランプに形成される光触媒膜の膜構造を改良することによって、光源ランプから射出される未減衰の放射光を反射笠に直接到達させる光触媒光源ランプを提供することである。本発明の第2目的は、この光触媒光源ランプや反射笠に可視光応答性の高い光触媒膜を形成することにより、照明用の可視光により強力に光触媒分解できる光触媒光源ランプ及び光触媒光源装置を提供することである。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る光触媒光源装置は前記課題を解決するために為されたものであり、第1の発明は、反射笠と組み合わせて使用される照明用の光源ランプであって、光源ランプの外周面で反射笠に対向する対向側半表面は光源ランプ面とし、反射笠と反対側を向いている反対側半表面には光触媒膜を形成する光触媒光源ランプである。対向側半表面は光触媒膜が形成されていない光源ランプ面であるから、反射笠に対して光源ランプから未減衰の放射光が照射され、反射笠の反射面にある光触媒膜に高強度の放射光が到達し、反射面における光触媒分解を高効率化できる。また、反対側半表面には光触媒膜が形成されているから、この光触媒膜では透過光による光触媒分解が実現でき、反射笠と光源ランプによる光触媒分解の全体効率を改善できる。
【0019】
第2の発明は、光触媒膜を光源ランプが発光する可視光により効率的に励起される可視光応答型光触媒から形成する光触媒光源ランプである。照明用の光源ランプからは可視光が放射されるので、この可視光により高効率に励起される光触媒を用いて、光触媒分解の実効性を上げた光触媒光源ランプを実現できる。
【0020】
第3の発明は、光触媒膜を、ルチル型酸化チタン光触媒粒子に金属超微粒子を担持させた金属超微粒子担持光触媒粒子を分散して形成した光触媒光源ランプである。ルチルのバンドギャップエネルギーは3.05eVであり、約407nm以下の青色可視光及び紫外光により励起されるから、ルチルは可視光応答型光触媒の典型である。しかも、ルチル表面にナノサイズの金属超微粒子を担持しているから、ルチルと金属超微粒子との間は量子共鳴トンネリング状態にあり、励起された電子を効率的に表面に排出してO2を効率的にO2 −へと還元し、このO2 −により有害な有機物質を分解することができる。
【0021】
第4の発明は、金属超微粒子担持光触媒粒子を混合したシリカゾル液を光源ランプに塗着し、その後ゲル化させて形成された光触媒シリカゲル膜を光触媒膜とした光触媒光源ランプである。シリカゲル膜は多孔性ゲル膜であり、この無数の連続孔に有機物質を吸着し、この吸着された有機物質を光触媒粒子により効率的に分解することができる。しかもシリカゲル膜は高親水性の膜であり、表面に化学吸着水や物理吸着水を多量に吸着しており、光励起により生成された正孔により水分から高酸化力を有したOHラジカルを形成し、このOHラジカルにより有機物質を効率的に酸化分解できる。
【0022】
第5の発明は、反対側半表面に光触媒膜を形成した光触媒光源ランプと、この光触媒光源ランプの対向側半表面に対向させて反射笠を配置し、反射笠の光反射面に光触媒膜を形成した光触媒光源装置である。光触媒光源ランプから放射される可視光は反対側半表面の光触媒膜を透過して有機物質を光触媒分解しながら室内を照明し、対向側半表面を減衰することなく透過した可視光は反射笠の光触媒膜により効率的に有機物質を光触媒分解し、その後反射して室内を照明することができる。従って、反射笠に形成された光触媒膜を有効活用して有機物質を効率的に光触媒分解できる利点を有する。
【0023】
第6の発明は、光触媒光源ランプが発光する可視光により効率的に励起される可視光応答型光触媒から光触媒膜を形成した光触媒光源装置である。光触媒光源ランプと反射笠と可視光応答型光触媒を組み合わせて、照明光により室内の有害な有機物質を効率的に分解でき、清浄な居住空間や職場空間を作り上げることができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
本発明者等は、光触媒光源装置を改良するために鋭意検討した結果、光源ランプの全面に光触媒膜を形成することをやめ、反射笠を照射する領域は光触媒膜のない光源ランプ面とし、室内を直接照射する領域にのみ光触媒膜を形成することにより、反射笠の光反射面による光触媒分解を高効率化できることを想到するに至った。
【0025】
つまり、光源ランプの外周面のうち反射笠に対向する半表面(対向側半表面)は光触媒膜を設けない光源ランプ面とし、反射笠と反対側にある半表面(反対側半表面)、即ち光源ランプの室内に対向する半表面には光触媒膜を形成する。
【0026】
光源ランプからの放射光Lは対向側半表面を吸収されること無く透過して、反射笠の光反射面に照射される。この高強度の放射光により光反射面に形成された大面積の光触媒膜の全面では光触媒分解が強力に進行する。この放射光は光反射面で反射されて室内へと向かい、この反射光Rは室内照明光として作用する。
【0027】
他方、光源ランプの放射光の約半分は反対側半表面の光触媒膜を透過し、この過程で光触媒分解により有害な有機物質を分解する。透過光Tはそのまま室内へと直進し、室内照明光として作用する。従って、上記の反射光Rと透過光Tが光触媒分解後に室内照明光として機能することになる。
【0028】
また、光源ランプは照明を目的としているから可視光である必要があり、紫外線が比較的多く含まれる光源では危険である。従って、光源ランプは蛍光灯や白色電球などの可視光ランプである必要がある。
【0029】
従って、照明用の光源ランプの外周面や反射笠の表面に形成される光触媒膜は可視光応答型光触媒で構成される必要がある。しかし、従来の光源装置に用いられた光触媒はアナターゼであり、このアナターゼは紫外線応答型の光触媒であるから、アナターゼでは十分な光触媒分解が達成できない弱点があった。
【0030】
本発明では、可視光応答型の光触媒を光源装置に用いることによって、光源装置による光触媒分解力を強化している。本発明では可視光に応答する全ての光触媒を利用でき、可視光応答型光触媒の一例として、金属超微粒子(金属ナノ粒子)を担持したルチル微粒子からなる光触媒がある。
【0031】
前述したように、ルチルのバンドギャップエネルギーは3.05eVであり、励起波長は407nm以下となる。一方、アナターゼのバンドギャップエネルギーは3.20eVであり、その励起波長は388nm以下となるから、ルチルはアナターゼよりも励起波長で19nmも長波長側の青色可視光を利用できる利点を有している。
【0032】
また、ルチルに粒径が1〜5nm、特に1〜2nmの金属超微粒子を担持させるため、金属ナノ粒子とルチルの間に量子相互作用(量子共鳴トンネリング)が発現し、この量子作用によりアナターゼには見られなかった高効率的の光触媒分解を実現することができる。
【0033】
金属ナノ粒子の粒径を1〜2nm程度まで小さくすると、金属ナノ粒子の伝導電子の波動関数は大きく左右に拡がり、金属ナノ粒子が固着しているルチル粒子の内部にまで広がっていると考えられる。従って、ルチル粒子と金属ナノ粒子の電子間には量子相互作用が働き、量子共鳴トンネリングが生じていると考えられる。つまり、ルチル粒子内で光励起された電子は金属ナノ粒子に直ちに移動し、外部に存在するO2を直ちにO2 −に還元し、このO2 −が有害な有機物質を強力に酸化分解する。
【0034】
このように可視光応答する金属超微粒子担持ルチル粒子を光触媒として用いれば、紫外線のみならず青色可視光に対しても十分に応答する。照明用の光源装置にこのルチル光触媒を用いれば、照明光源であると同時に光触媒光源としても機能することができる。
【0035】
また、本発明では、光触媒粒子を混合したシリカゾル液を光源ランプや反射板などの表面に膜状に塗着し、この膜をゲル化させて光触媒膜として構成する。シリカゲル膜は多孔性の膜で、この表面や連続孔の孔表面に露出して無数の光触媒粒子が分散している。
【0036】
シリカゲル膜は親水性であるから空気中の水分を吸着し、表面に化学吸着水や物理吸着水を大量に含んでいる。光照射によって発生した正孔はこの水分を酸化して強力な酸化力を有したOHラジカルを大量に生成する。また、多孔性のシリカゲル膜は空気中の有機物質を大量に吸着し、OHラジカルが吸着した有機物質を強力に酸化分解する。
【0037】
特に、シリカゲル膜に分散される光触媒粒子として金属超微粒子担持ルチル粒子を使用した場合には、シリカゲル膜による有害物質や水分の吸着性と、吸着水を利用した正孔によるOHラジカルの生成と、金属超微粒子によるO2 −の生成によって、強力な光触媒分解を達成することが可能となる。
以下に、本発明に係る光触媒光源ランプ及び光触媒光源装置の実施形態を図面に従って詳細に説明する。
【0038】
図1は本発明に係る光触媒光源ランプ及び光触媒光源装置の第1実施形態の概略断面図である。この光触媒光源装置2は照明用の光触媒光源ランプ4とその上側に配置された反射笠12から構成されている。
【0039】
この光触媒光源ランプ4は、サークルランプからなる光源ランプ5と、この光源ランプ5の反射笠12に対向した対向側半表面5aは光触媒を全く塗着していない光源ランプ面10になっている。また、光源ランプ5の反射笠12とは反対側(室内側)にある反対側半表面5bには光触媒膜8が膜形成されている。
【0040】
反射笠12は笠本体14の光反射面に光触媒膜16を膜形成して構成される。反射笠12は中央にある取付部18、吊具20及び固定部22を介して天井24に垂下固定されている。
【0041】
光源ランプ5の光触媒膜8及び反射笠12の光触媒膜16は可視光応答型光触媒を透明膜化して形成されている。この実施形態では、粒径が1〜2nmの金属超微粒子(金属ナノ粒子)をルチル微粒子に担持した金属超微粒子担持ルチル粉末をシリカゾルゲル法によりシリカゲル膜に分散して光触媒膜が形成される。
【0042】
シリカゲル膜は透明であるから可視光を透過する性質を有する。この多孔性のシリカゲル膜の中に光触媒物質が分散されているから、室内空気中に存在する有害な有機物質が無数の孔に吸着され、この吸着有機物質は可視光を利用して光触媒物質により光分解される。
【0043】
光源ランプ5が可視光を周囲に放射し、この放射光Lの一部は光触媒膜8を透過し、この透過過程で光触媒膜8に吸着された有機物質を光触媒分解する。透過光Tはそのまま直進して室内を照明する。
【0044】
放射光Lの残りは光源ランプ面10(対向側半表面5a)を減衰することなく透過し、この放射光Lが反射笠12の光触媒膜16に入射する。光触媒膜16に照射される光は放射光Lこの入射光により光触媒膜16に吸着された有機物質が光触媒分解される。その後、光反射面により反射された反射光Rはそのまま直進して室内を照明する。
【0045】
光触媒膜16の面積は反射笠12の内面の全面積であるからかなりの大面積である。この大面積の光触媒膜16が減衰していない放射光Lによって励起されるから、この光触媒膜16による光触媒分解は高効率に行われる。
【0046】
図2は、本発明に係る光触媒光源ランプ及び光触媒光源装置の第2実施形態の概略斜視図である。この光源ランプ5は直管型の蛍光灯からなり、2本の光源ランプ5、5を装着した反射笠12を天井に固定している。
【0047】
光源ランプ5、5の反射笠12に向いた対向側半表面5a、5aは光触媒膜の無い光源ランプ面10、10となっており、その逆側にある反対側半表面5b、5bには光触媒膜8、8が膜形成されている。また、反射笠12は笠本体14の光反射面の全面に光触媒膜16を膜形成して構成されている。
【0048】
光源ランプ5、5から射出される放射光Lは、光触媒膜8、8により光触媒分解を行った後、透過光Tとして室内を照明する。対向側半表面5a、5aから射出される放射光Lは反射笠12に照射され、光触媒膜16により光触媒分解を行う。その後、反射光Rとして室内に反射し、室内を照明する。
【0049】
図3は、図2のA−A線断面図である。光触媒光源装置2は反射笠12を天井24に固定して配置されており、透過光Tと反射光Rが室内を照明している状況が示されている。
【0050】
この図3に示されるように、光源ランプ面10を通過する放射光Lが反射笠12の光触媒膜16を励起して光触媒分解を行い、透過光Tが光源ランプ5の光触媒膜8を励起して光触媒分解を行っている様子が理解される。このように、光触媒膜8を光源ランプ5の反対側半表面だけに形成することによって、反射笠12による光触媒分解を効率化し、しかも反射光Rと透過光Tにより室内照明強度を低下させない構成が採られている。
【0051】
図4は本発明に係る光触媒光源ランプ及び光触媒光源装置の第3実施形態の概略断面図である。この実施形態で用いられる光源ランプ5は白熱電球などの電球ランプであり、その外周面のうち反射笠12に対向した対向側半表面5aは光触媒膜の無い光源ランプ面10となり、また反対側半表面5bには光触媒膜8が膜形成されている。
【0052】
光源ランプ5の光源ランプ面10を透過した高強度の放射光Lは反射笠12の光触媒膜16に照射されて光触媒分解を行い、その反射光Rは室内を照明する。また、光触媒膜8を透過した放射光Lは光触媒膜8において光触媒分解を行った後、透過光Tとして室内を照明する。
【0053】
上述したように、本発明では、光源ランプ5の反射笠12に向き合う半表面5aは光触媒膜を設けない光源ランプ面10である。半表面という用語を用いているが、その表面積が光源ランプ5の外周面の半分であることを意味するのではない。反射笠12に未減衰の放射光Lを照射するために必要な領域が光源ランプ面10として開放されていることを意味しており、その開放面積の大きさは必要に応じて自在に変更される。そのことは、光触媒膜8が形成される反対側半表面5bの面積においても同様である。
【0054】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲における種々の変形例・設計変更等をその技術的範囲内に包含するものであることは言うまでもない。
【0055】
【発明の効果】
第1の発明によれば、光源ランプの反射笠に対向する対向側半表面は光源ランプ面のままとし、反射笠と逆側の反対側半表面には光触媒膜を形成する光触媒光源ランプが提供される。対向側半表面の光源ランプ面からは未減衰の放射光が射出され、反射笠の光反射面に形成された光触媒膜を高強度の放射光で励起して、反射笠による光触媒分解を高効率化する。同時に、光源ランプの反対側半表面に形成された光触媒膜では、透過光による光触媒分解が実現でき、反射笠と光源ランプの両者による光触媒分解の全体効率を改善して、市場ニーズに応える光触媒光源装置の実用装置を実現できる。
【0056】
第2の発明によれば、光源ランプの可視光により効率的に励起される可視光応答型光触媒から光触媒膜を形成するので、照明用の光源ランプを用いて照明と光触媒分解の両者を達成する光触媒光源ランプを実現できる。
【0057】
第3の発明によれば、ルチル型酸化チタン光触媒粒子に金属超微粒子を担持させた金属超微粒子担持光触媒粒子を用いて光触媒膜を形成するから、青色可視光光源を励起光源として使用できる。また、ルチル表面に担持されたナノサイズの金属超微粒子により量子相互作用が形成され、励起電子を効率的に表面に排出してO2をO2 −へと還元し、この大量生成されるO2 −により有害な有機物質を強力に分解できる。
【0058】
第4の発明によれば、金属超微粒子担持光触媒粒子を分散混合したシリカゲル膜を光触媒膜とした光触媒光源ランプが提供される。シリカゲル膜は多孔性ゲル膜であるから、無数の連続孔に有機物質を吸着でき、分散された光触媒粒子により吸着有機物質を高効率に分解できる。シリカゲル膜は高親水性膜であるから、化学吸着水や物理吸着水を大量に吸着しており、光励起生成された正孔により水分をOHラジカルへと転換させ、このOHラジカルの強酸化力により有機物質を効率的に酸化分解できる。
【0059】
第5の発明によれば、反対側半表面に光触媒膜を形成した光触媒光源ランプと、対向側半表面に対向させて反射笠を配置し、反射笠の光反射面に光触媒膜を形成した光触媒光源装置が提供される。光触媒光源ランプの可視光は反対側半表面の光触媒膜を透過して有機物質を光触媒分解して室内を照明し、対向側半表面を減衰せずに透過した可視光は反射笠の大面積の光触媒膜により効率的に有機物質を光触媒分解し、その後反射して室内を照明する。光源ランプの可視光を光触媒分解と照明の両者に効率活用した実用的な光触媒光源装置を実現できる。
【0060】
第6の発明によれば、光源ランプの可視光により効率的に励起される可視光応答型光触媒から光触媒膜を形成した光触媒光源装置が提供される。光触媒光源ランプと反射笠と可視光応答型光触媒の組み合わせにより、室内照明と光触媒分解を同時達成でき、清浄な居住空間や職場空間を作り上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る光触媒光源ランプ及び光触媒光源装置の第1実施形態の概略断面図である。
【図2】本発明に係る光触媒光源ランプ及び光触媒光源装置の第2実施形態の概略斜視図である。
【図3】図2のA−A線断面図である。
【図4】本発明に係る光触媒光源ランプ及び光触媒光源装置の第3実施形態の概略断面図である。
【図5】従来の光触媒光源ランプ及び光触媒光源装置の概略断面図である。
【符号の説明】
2は光触媒光源装置、4は光触媒光源ランプ、5は光源ランプ、5aは対向側半表面、5bは反対側半表面、8は光触媒膜、9は全面光触媒膜、10は光源ランプ面、12は反射笠、14は笠本体、16は光触媒膜、18は取付部、20は吊具、22は固定部、24は天井、Lは放射光、Rは反射光、Tは透過光。
Claims (2)
- 反射笠と組み合わせて使用される照明用の光源ランプであって、光源ランプのガラス管の外周面で反射笠に対向する対向側半表面は光源ランプ面とし、反射笠と反対側を向いている反対側半表面には粒径が1〜5nmである金属超微粒子を担持したルチル型酸化チタン光触媒粒子を混合したシリカゲル膜を形成したことを特徴とする光触媒光源ランプ。
- 光触媒光源ランプと反射笠から少なくとも構成される光触媒光源装置であって、前記光触媒光源ランプは光源ランプのガラス管の外周面で前記反射笠に対向する対向側半表面が光源ランプ面であり、前記反射笠と反対側を向いている反対側半表面には粒径が1〜5nmである金属超微粒子を担持したルチル型酸化チタン光触媒粒子を混合したシリカゲル膜を形成し、前記反射笠は前記光触媒光源ランプの対向側半表面に対向するように配置されて光反射面に粒径が1〜5nmである金属超微粒子を担持したルチル型酸化チタン光触媒粒子を混合したシリカゲル膜を形成し、前記光触媒光源ランプから放射される可視光は反対側半表面の前記光触媒シリカゲル膜を透過して有機物質を光触媒分解しながら室内を照明し、対向側半表面を透過した可視光は前記反射笠の光反射面で反射して有機物質を光触媒分解しながら室内を照明することを特徴とする光触媒光源装置。
Priority Applications (1)
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