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JP4325078B2 - 可変動弁機構を有する内燃機関 - Google Patents

可変動弁機構を有する内燃機関 Download PDF

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JP4325078B2
JP4325078B2 JP2000145663A JP2000145663A JP4325078B2 JP 4325078 B2 JP4325078 B2 JP 4325078B2 JP 2000145663 A JP2000145663 A JP 2000145663A JP 2000145663 A JP2000145663 A JP 2000145663A JP 4325078 B2 JP4325078 B2 JP 4325078B2
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秀之 西田
清 中西
義博 岩下
和彦 白谷
正司 勝間田
啓二 四重田
誠人 小木曽
智海 山田
孝充 浅沼
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  • Exhaust Gas After Treatment (AREA)
  • Output Control And Ontrol Of Special Type Engine (AREA)
  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
  • Exhaust Gas Treatment By Means Of Catalyst (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電磁力を利用して吸気弁及び排気弁を開閉駆動する電磁駆動式の動弁機構を備えた内燃機関に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、NOx吸蔵還元触媒に吸蔵された窒素酸化物を還元させるため、気筒を一対の気筒群に分割し、一部の気筒でリッチ混合気を燃焼せしめて高濃度の未燃HC、COを含む排気を形成し、残余の気筒でリーン混合気を燃焼させて高濃度の酸素を含む排気を形成して、これら排気をNOx吸蔵還元触媒に導いて排気中の未燃HC、COをNOx吸蔵還元触媒で燃焼させることでNOx吸蔵還元触媒の温度を高め、かつこのときにNOx吸蔵還元触媒に流入する排気全体の空燃比がリッチとなるように調整し、これによりNOx吸蔵還元触媒を再生するようにした触媒再生装置が公知である(特開平8−61052号公報参照)。
【0003】
ところで、一般に、機関が始動してからしばらくの間は排気浄化触媒が活性化しておらず、したがってこの間は排気浄化触媒の良好な排気浄化作用は期待できない。そこで従来より、排気浄化触媒上流の機関排気通路内に追加の始動時触媒、例えば三元触媒を配置した内燃機関が知られている。この始動時触媒は内燃機関に隣接して配置されると共に熱容量が小さく、内燃機関が始動した後は排気浄化触媒に比べて速やかに活性化し、したがって内燃機関が始動してから排気浄化触媒が活性化するまでの間、大気中に放出される未燃HC、COなどの量を低減させることができる。
【0004】
しかしながら、上述のような触媒再生装置にこの始動時触媒を適用すると、次のような理由からNOx吸蔵還元触媒を十分に再生することができなくなる。
この場合は各気筒群の排気ガスが、始動時触媒を流通した後にNOx吸蔵還元触媒へ流入するが、これは高濃度の未燃HC、COを含む排気ガス及び高濃度の酸素を含む排気ガスが、ほぼ同時に始動時触媒に流入することを意味する。その結果、排気中の未燃HC、COの大部分が始動時触媒において燃焼し消費されるので、NOx吸蔵還元触媒において燃焼する未燃HC、COの量が低減する。そのため、NOx吸蔵還元触媒を十分に加熱することができず、NOx吸蔵還元触媒からNOxを十分に放出、還元させることができない。
【0005】
そこで、気筒が複数の気筒群に分割され、各気筒群が分岐排気通路を介して共通の合流排気通路に接続されると共に、合流排気通路内にNOx吸蔵還元触媒が配置されて、これら気筒群のうち一部の気筒群から排出される排気の空燃比をリーンとして、残りの気筒群のうち少なくとも1つの気筒群から排出される排気の空燃比をリッチにすることが可能な多気筒内燃機関において、各排気分岐通路内に始動時触媒を配置したものが知られている(特開平11−62563号参照)。
【0006】
このようにすれば高濃度のHCを含む排気ガス、及び高濃度の酸素を含む排気ガスが同時に始動時触媒に流入することが阻止され、したがって高濃度のHC及び酸素を、始動時触媒で消費させることなくNOx吸蔵還元触媒に供給可能となる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記のように気筒群毎にリッチとリーンの状態を作り出すには、気筒群毎の燃料供給量を大きく変えなければならず、その結果、気筒群毎に発生するトルクがばらつく等の問題があり、機関回転を円滑に行えない虞がある。言い換えれば、全ての気筒の吸入空気量はほぼ一定であるので、リッチの気筒のトルクが大きくなりトルク変動が生じることになる。
【0008】
また上記のトルク変動を解決するため、リッチの気筒のトルクをリーンの気筒のトルクに合わせるように点火遅角を実行すると燃焼が悪化し、燃費が低下する問題がある。
【0009】
本発明は、上記のような問題点に鑑みてなされたものであり、気筒群毎にリッチとリーンの状態を作り出す場合に、トルクのばらつくきを抑制することができる内燃機関を提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記したような課題を解決するために以下のような手段を採用した。すなわち、本発明に係る電磁駆動弁を有する内燃機関は、複数に分割された気筒群と、これらの気筒群がそれぞれ接続された分岐排気管と、これらの分岐排気管内に配置された始動時触媒と、前記分岐排気管の合流部下流に設けられたNOx吸蔵還元触媒と、前記所定気筒群毎にリッチとリーンの空燃比の排出ガスを排出させる排出ガス調整手段と、を有し、この排出ガス調整手段は少なくとも前記気筒に設けた電磁駆動式動弁機構により駆動される吸・排気弁の開閉時期を変化させて排出ガス調整を行うものであることを特徴とする。
【0011】
前記所定気筒群の排出ガスは過農状態と希薄状態とを交互に繰り返すようにすることが可能である。
本発明では、いわゆる電磁駆動弁を採用し、各気筒毎に独立に吸・排気弁の開閉時期を変化させることにより、吸入空気量及び燃料噴射量を変化させることで気筒毎のトルク変動を抑制するようにすることができる。このとき複数の始動時触媒を備える内燃機関では、一部の始動時触媒にはリッチの排気ガスが流入するように、その気筒群の空気量及び燃料量を制御し、その他の始動時触媒にはリーンの排気ガスが流入するように、その気筒群の空気量及び燃料量を制御する。
【0012】
前記始動時触媒では排気浄化ウィンドウを外れたリッチまたはリーンの排気ガスは浄化されない、即ち反応しないので、これらの排気ガスはそのまま始動時触媒を通過して、分岐排気管の合流部下流に設けたNOx吸蔵還元触媒に流入する。この場合はNOx吸蔵還元触媒に流入する排気ガスは、前記合流部においてリッチとリーンの排気ガスが混合され、ストイキまたはややリッチの排気ガスとなるように調整される。
【0013】
前記NOx吸蔵還元触媒としては、例えば流入する排気の空燃比がリーン空燃比であるときは排気中に含まれる窒素酸化物(NOx)を吸蔵し、該NOx触媒に流入する排気の空燃比が理論空燃比もしくはリッチ空燃比であるときは吸蔵していた窒素酸化物(NOx)を放出しつつ還元するNOx吸蔵還元触媒や、該NOx触媒に流入する排気の空燃比がリーン空燃比であり、かつ還元剤が存在するときに排気中の窒素酸化物(NOx)を還元又は分解する選択還元型NOx触媒等を例示することができる。
【0014】
また本発明では、前記NOx吸蔵還元触媒が被毒しているか否かを判断する被毒判断手段を具備し、NOx吸蔵還元触媒が被毒していると判断されたときに前記複数の気筒群のうち一部の気筒群から排出される排気の空燃比を一時的にリーンにすると共に、残りの気筒群のうち少なくとも一つの気筒群から排出される排気の空燃比を一時的にリッチにし、それによりNOx吸蔵還元触媒を被毒再生することができる。
【0015】
本発明の前記内燃機関では、各気筒内もしくは各気筒より上流の吸気通路へ燃料を噴射する燃料噴射弁を更に備え、前記排出ガス調整手段は、前記気筒群の燃料噴射量を増量すべく前記燃料噴射弁を制御することが可能である。
【0016】
また前記排出ガス調整手段は、前記内燃機関のトルク変動が発生しないよう前記電磁駆動弁を制御するが、前記所定の気筒群の吸入空気量を減量すべく前記電磁駆動弁を制御することができる。
【0017】
すなわち、リッチの空燃比の気筒では、トルクを低減させるために吸入空気量を減らすことになるが、吸入空気量を減らすには吸気弁のリフト量を小さくして新気の吸入量自体を減らすこと、吸気弁の開時期を遅くすること、吸気弁の閉時期を早くすること、または排気弁の開時期を早くすること、及び排気弁の閉時期を遅くすること、等の方法がある。これらの方法の一つまたは二以上の組み合わせによって、気筒内での燃料の燃焼時間を短縮させてトルクを低減させる。
【0018】
上述のように始動時触媒では排気ガスが反応しないので、還元力のある必要量の排出ガスを下流のNOx吸蔵還元触媒に供給することが可能になると同時に、気筒群毎の空気量を調整して、リッチの気筒とリーンの気筒のトルクが均一になるように制御されるのでトルク変動を抑制できる。
【0019】
本発明によれば、気筒毎に独立にバルブタイミングを変えて吸入空気量と噴射燃料量を調整することができるので、気筒毎に空燃比を制御してリッチの気筒群とリーンの気筒群をつくり、始動時触媒での反応を抑制しつつNOx吸蔵還元触媒での還元反応を促進させることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明に係る可変動弁機構を有する内燃機関の実施の形態について図1〜図5に基づいて説明する。
【0021】
図1及び図2は、本実施の形態に係る内燃機関とその吸排気系の概略構成を示す図である。図1及び図2に示す内燃機関1は、4つの気筒#1、#2、#3、#4を備えた4サイクルの水冷式ガソリンエンジンである。これらの各気筒はそれぞれ対応する枝管33を介して共通のサージタンク34に接続され、このサージタンク34は吸気管35を介してエアクリーナ36に接続される。
【0022】
吸気管35内には、この吸気管35内を流れる空気の質量(吸入空気質量)に対応した電気信号を出力するエアフローメータ44が取り付けられている。前記吸気管35において前記エアフローメータ44より下流の部位には、この吸気管35内を流れる吸気の流量を調整するスロットル弁39が設けられている。
【0023】
前記スロットル弁39には、ステッパモータ等からなり印加電力の大きさに応じて前記スロットル弁39を開閉駆動するスロットル用アクチュエータ40と、前記スロットル弁39の開度に対応した電気信号を出力するスロットルポジションセンサ41と、アクセルペダル42に機械的に接続され該アクセルペダル42の操作量に対応した電気信号を出力するアクセルポジションセンサ43とが取り付けられている。
【0024】
この内燃機関1において、各気筒は1番気筒#1と4番気筒#4とからなる第1の気筒群1aと、2番気筒#2と3番気筒#3とからなる第2の気筒群1bとに分割されている。第1の気筒群1aは第1の排気マニホルド8aを介して第1の始動時触媒9aを収容したケーシング10aに接続され、第2の気筒群1bは第2の排気マニホルド8bを介して第2の始動時触媒9bを収容したケーシング10bに接続される。これらケーシング10a、10bは共通の合流排気管11を介してNOx吸蔵還元触媒12を収容したケーシング13に接続される。
【0025】
なお、図1の内燃機関の燃焼順序は#1−#3−#4−#2であり、したがって各気筒群において気筒の排気行程が互いに重なり合わないようになっている。
また内燃機関1は、前記各気筒の他、冷却水路1cが形成されたシリンダブロック1bと、このシリンダブロック1bの上部に固定されたシリンダヘッド1aとを備えている。シリンダブロック1bには、機関出力軸たるクランクシャフト23が回転自在に支持され、このクランクシャフト23は、各気筒#1から#4内に摺動自在に装填されたピストン22と連結されている。
【0026】
各気筒#1から#4のピストン22上方には、ピストン22の頂面とシリンダヘッド1aの壁面とに囲まれた燃焼室24が形成されている。前記シリンダヘッド1aには、各気筒#1から#4の燃焼室24に臨むよう点火栓25が取り付けられ、この点火栓25には、該点火栓25に駆動電流を印加するためのイグナイタ25aが接続されている。
【0027】
前記シリンダヘッド1aにおいて各気筒#1から#4の燃焼室24に臨む部位には、吸気ポート26の開口端が2つ形成されるとともに、排気ポート27の開口端が2つ形成されている。そして、前記シリンダヘッド1aには、前記吸気ポート26の各開口端を開閉する吸気弁28と、前記排気ポート27の各開口端を開閉する排気弁29とが進退自在に設けられている。
【0028】
前記シリンダヘッド1aには、励磁電流が印加されたときに発生する電磁力を利用して前記吸気弁28を進退駆動する電磁駆動機構30(以下、吸気側電磁駆動機構30と称する)が吸気弁28と同数設けられている。各吸気側電磁駆動機構30には、該吸気側電磁駆動30に励磁電流を印加するための駆動回路30a(以下、吸気側駆動回路30aと称する)が電気的に接続されている。
【0029】
前記シリンダヘッド1aには、励磁電流が印加されたときに発生する電磁力を利用して前記排気弁29を進退駆動する電磁駆動機構31(以下、排気側電磁駆動機構31と称する)が排気弁29と同数設けられている。各排気側電磁駆動機構31には、該排気側電磁駆動機構31に励磁電流を印加するための駆動回路31a(以下、排気側駆動回路31aと称する)が電気的に接続されている。
【0030】
上記した吸気側電磁駆動機構30と排気側電磁駆動機構31とは、本発明に係る可変動弁機構を実現するものである。
ここで、吸気側電磁駆動機構30と排気側電磁駆動機構31の具体的な構成について述べる。尚、吸気側電磁駆動機構30と排気側電磁駆動機構31とは同様の構成であるため、吸気側電磁駆動機構30のみを例に挙げて説明する。
【0031】
図3は、吸気側電磁駆動機構30の構成を示す断面図である。図3において内燃機関1のシリンダヘッド1aは、シリンダブロック1bの上面に固定されるロアヘッド10と、このロアヘッド10の上部に設けられたアッパヘッド11とを備えている。
【0032】
前記ロアヘッド10には、各気筒#1から#4毎に2つの吸気ポート26が形成され、各吸気ポート26の燃焼室24側の開口端には、吸気弁28の弁体28aが着座するための弁座120が設けられている。
【0033】
前記ロアヘッド10には、各吸気ポート26の内壁面から該ロアヘッド10の上面にかけて断面円形の貫通孔が形成され、その貫通孔には筒状のバルブガイド130が挿入されている。前記バルブガイド130の内孔には、吸気弁28の弁軸28bが貫通し、前記弁軸28bが軸方向へ進退自在となっている。
【0034】
前記アッパヘッド11において前記バルブガイド130と軸心が同一となる部位には、第1コア301及び第2コア302が嵌入される断面円形のコア取付孔14が設けられている。前記コア取付孔14の下部14bは、その上部14aに比して径大に形成されている。以下では、前記コア取付孔14の下部14bを径大部14bと称し、前記コア取付孔14の上部14aを径小部14aと称する。
【0035】
前記径小部14aには、軟磁性体からなる環状の第1コア301と第2コア302とが所定の間隙303を介して軸方向に直列に嵌挿されている。これらの第1コア301の上端と第2コア302の下端には、それぞれフランジ301aとフランジ302aが形成されており、第1コア301は上方から、また第2コア302は下方からそれぞれコア取付孔14に嵌挿され、フランジ301aとフランジ302aがコア取付孔14の縁部に当接することにより第1コア301と第2コア302の位置決めがされて、前記間隙303が所定の距離に保持されるようになっている。
【0036】
第1コア301の上方には、筒状のアッパキャップ305が設けられている。このアッパキャップ305は、その下端に形成されたフランジ部305aにボルト304を貫通させてアッパヘッド11上面に固定されている。この場合、フランジ部305aを含むアッパキャップ305の下端が第1コア301の上面周縁部に当接した状態で固定されることになり、その結果、第1コア301がアッパヘッド11に固定されることになる。
【0037】
一方、第2コア302の下部には、コア取付孔14の径大部14bと略同径の外径を有する環状体からなるロアキャップ307が設けられている。このロアキャップ307にはボルト307が貫通し、そのボルト307により前記ロアキャップ307が前記径小部14aと径大部14bの段部における下向きの段差面に固定されている。この場合、ロアキャップ307が第2コア302の下面周縁部に当接した状態で固定されることになり、その結果、第2コア302がアッパヘッド11に固定されることになる。
【0038】
前記第1コア301の前記間隙303側の面に形成された溝部には、第1の電磁コイル308が把持されており、前記第2コア302の間隙303側の面に形成された溝部には第2の電磁コイル309が把持されている。その際、第1の電磁コイル308と第2の電磁コイル309とは、前記間隙303を介して向き合う位置に配置されるものとする。そして、第1及び第2の電磁コイル308、309は、前述した吸気側駆動回路30aと電気的に接続されている。
【0039】
前記間隙303には、該間隙303の内径より径小な外径を有する環状の軟磁性体からなるアーマチャ311が配置されている。このアーマチャ311の中空部には、該アーマチャ311の軸心に沿って上下方向に延出した円柱状のアーマチャシャフト310が固定されている。このアーマチャシャフト310は、その上端が前記第1コア301の中空部を通ってその上方のアッパキャップ305内まで至るとともに、その下端が第2コア302の中空部を通ってその下方の径大部14b内に至るよう形成され、前記第1コア301及び前記第2コア302によって軸方向へ進退自在に保持されている。
【0040】
前記アッパキャップ305内に延出したアーマチャシャフト310の上端部には、円板状のアッパリテーナ312が接合されるとともに、前記アッパキャップ305の上部開口部にはアジャストボルト313が螺着され、これらアッパリテーナ312とアジャストボルト313との間には、アッパスプリング314が介在している。また、前記アジャストボルト313と前記アッパスプリング314との当接面には、前記アッパキャップ305の内径と略同径の外径を有するスプリングシート315が介装されている。
【0041】
一方、前記径大部14b内に延出したアーマチャシャフト310の下端部には、吸気弁28の弁軸28bの上端部が当接している。前記弁軸28bの上端部の外周には、円盤状のロアリテーナ28cが接合されており、そのロアリテーナ28cの下面とロアヘッド10の上面との間には、ロアスプリング316が介在している。
【0042】
このように構成された吸気側電磁駆動機構30では、吸気側駆動回路30aから第1の電磁コイル308及び第2の電磁コイル309に対して励磁電流が印加されていないときは、アッパスプリング314からアーマチャシャフト310に対して下方向(すなわち、吸気弁28を開弁させる方向)への付勢力が作用するとともに、ロアスプリング316から吸気弁28に対して上方向(すなわち、吸気弁28を閉弁させる方向)への付勢力が作用し、その結果、アーマチャシャフト310及び吸気弁28が互いに当接して所定の位置に弾性支持された状態、いわゆる中立状態に保持されることになる。
【0043】
尚、アッパスプリング314とロアスプリング316の付勢力は、前記アーマチャ311の中立位置が前記間隙303において前記第1コア301と前記第2コア302との中間の位置に一致するよう設定されており、構成部品の初期公差や経年変化等によってアーマチャ311の中立位置が前記した中間位置からずれた場合には、アーマチャ311の中立位置が前記した中間位置と一致するようアジャストボルト313によって調整することが可能になっている。
【0044】
また、前記アーマチャシャフト310及び前記弁軸28bの軸方向の長さは、前記アーマチャ311が前記間隙303の中間位置に位置するときに、前記弁体28aが全開側変位端と全閉側変位端との中間の位置(以下、中開位置と称する)となるように設定されている。
【0045】
前記した吸気側電磁駆動機構30では、吸気側駆動回路30aから第1の電磁コイル308に対して励磁電流が印加されると、第1コア301と第1の電磁コイル308とアーマチャ311との間に、アーマチャ311を第1コア301側へ変位させる方向の電磁力が発生し、吸気側駆動回路30aから第2の電磁コイル309に対して励磁電流が印加されると、第2コア302と第2の電磁コイル309とアーマチャ311との間にアーマチャ311を前記第2コア302側へ変位させる方向の電磁力が発生する。
【0046】
従って、上記した吸気側電磁駆動機構30では、吸気側駆動回路30aからの励磁電流が第1の電磁コイル308と第2の電磁コイル309とに交互に印加されることにより、アーマチャ311が進退動作し、それに伴って弁軸28bが進退駆動されると同時に弁体28aが開閉駆動されることになる。
【0047】
その際、第1の電磁コイル308及び第2の電磁コイル309に対する励磁電流の印加タイミングと励磁電流の大きさを変更することにより、吸気弁28の開閉タイミングを制御することが可能となる。
【0048】
また、上記した吸気側電磁駆動機構30には、吸気弁28の変位を検出するバルブリフトセンサ317が取り付けられている。このバルブリフトセンサ317は、アッパリテーナ312の上面に取り付けられた円板状のターゲット317aと、アジャストボルト313における前記アッパリテーナ312と対向する部位に取り付けられたギャップセンサ317bとから構成されている。
【0049】
このように構成されたバルブリフトセンサ317では、前記ターゲット317aが前記吸気側電磁駆動機構30のアーマチャ311と一体的に変位し、前記ギャップセンサ317bが該ギャップセンサ317bと前記ターゲット317aとの距離に対応した電気信号を出力することになる。
【0050】
その際、アーマチャ311が中立状態にあるときのギャップセンサ317bの出力信号値を予め記憶しておき、その出力信号値と現時点におけるギャップセンサ317bの出力信号値との偏差を算出することにより、アーマチャ311及び吸気弁28の変位を特定することが可能となる。
【0051】
ここで、図1及び図2に戻り、内燃機関1のシリンダヘッド1aには、4つの枝管からなる吸気枝管33が接続され、各気筒#1から#4の吸気ポート26が前記吸気枝管33の各枝管と連通している。前記シリンダヘッド1aにおいて前記吸気枝管33との接続部位の近傍には、その噴孔が吸気ポート26内に臨むよう燃料噴射弁32が取り付けられている。
【0052】
ところで前記始動時触媒9a、9bは主として、機関が始動された後、NOx吸蔵還元触媒12が活性化するまでの間にできるだけ排気、特にHCを浄化するためのものである。機関が始動された後始動時触媒9a、9bが速やかに活性化するためにこれら始動時触媒9a、9bは機関燃焼室に隣接配置され、かつ熱容量がNOx吸蔵還元触媒12よりも小さくされている。図1の内燃機関において始動時触媒9a、9bは三元触媒から形成される。この三元触媒は例えばアルミナを担体とし、この担体上に例えば白金Pt、パラジウムPd、イリジウムIr、ロジウムRhのような貴金属が担持されている。この三元触媒は流入する排気中のHC、COを酸化する酸化触媒として機能しうる。
【0053】
図1の内燃機関においてNOx吸蔵還元触媒12は、例えばアルミナを担体とし、この担体上に例えばカリウムK、ナトリウムNa、リチウムLi、セシウムCsのようなアルカリ金属、バリウムBa、カルシウムCaのようなアルカリ土類、ランタンLa、イットリウムYのような希土類から選ばれた少なくとも一つと、白金Pt、パラジウムPd、イリジウムIr、ロジウムRhのような貴金属とが担持されている。 排気通路内のある位置よりも上流の排気通路内、燃焼室内、および吸気通路内に供給された全燃料量に対する全空気量の比を、その位置を流通する排気の空燃比とすると、このNOx吸蔵還元触媒12は流入する排気の空燃比がリーンのときにNOxを吸蔵し、流入する排気中の酸素濃度が低下すると吸蔵したNOxを放出するNOxの吸放出作用を行う。
【0054】
なお、NOx吸蔵還元触媒12の上流の排気通路内に燃料、或いは空気が供給されない場合には流入する排気の空燃比は内燃機関1から排出される排気の空燃比に一致し、したがってこの場合にはNOx吸蔵還元触媒12は内燃機関1から排出される排気の空燃比がリーンのときにはNOxを吸蔵し、内燃機関1から排出される排気中の酸素濃度が低下すると吸蔵したNOxを放出することになる。
【0055】
上述のNOx吸蔵還元触媒を機関排気通路内に配置すれば、このNOx吸蔵還元触媒は実際にNOxの吸放出作用を行うが、この吸放出作用の詳細なメカニズムについては明らかでない部分もある。しかしながらこの吸放出作用は図8に示すようなメカニズムで行われているものと考えられる。このメカニズムについて担体上に白金PtおよびバリウムBaを担持させた場合を例にとって説明するが、他の貴金属、アルカリ金属、アルカリ土類、希土類を用いても同様なメカニズムとなる。
【0056】
すなわち、流入する排気の空燃比がかなりリーンになると流入する排気中の酸素濃度が大巾に増大し、図8(A)に示されるように、これら酸素O2 がO2-またはO2-の形で白金Ptの表面に付着する。
【0057】
一方、流入する排気中のNOは白金Ptの表面上でO2 - またはO2-と反応し、NO2 となる(2NO+O2 →2NO2 )。次いで生成されたNO2 の一部は白金Pt上でさらに酸化されつつ吸蔵材内に吸蔵されて酸化バリウムBaOと結合しながら、図8(A)に示されるように硝酸イオンNO3 -の形で吸蔵材内に拡散する。このようにしてNOxが吸蔵材内に吸蔵される。
【0058】
流入する排気中の酸素濃度が高い限り白金Ptの表面でNO2 が生成され、吸蔵材のNOx吸蔵能力が飽和しない限りNO2 が吸蔵材内に吸蔵されて硝酸イオンNO3 -が生成される。これに対して流入する排気中の酸素濃度が低下してNO2の生成量が低下すると反応が逆方向(NO3 - →NO2 )に進み、斯くして吸蔵材内の硝酸イオンNO3 -がNO2 の形で吸蔵材から放出される。すなわち、流入する排気中の酸素濃度が低下するとNOx吸蔵還元触媒からNOxが放出されることになる。流入する排気の空燃比をリッチ側にすると流入する排気中の酸素濃度が低下し、したがって流入する排気の空燃比をリッチ側にすればNOx吸蔵還元触媒からNOxが放出されることになる。
【0059】
一方、このとき流入する排気の空燃比をリッチにするとNOx吸蔵還元触媒に流入する排気中に高濃度のHCまたはCOが含まれることになり、これらHCおよびCOは白金Pt上の酸素O2 - またはO2- と反応して酸化せしめられる。また、流入する排気の空燃比をリッチにすると流入する排気中の酸素濃度が極度に低下するために吸蔵材からNO2 が放出され、このNO2 は図8(B)に示されるようにHCまたはCOと反応して還元せしめられる。このようにして白金Ptの表面上にNO2 が存在しなくなると、吸蔵材から次から次へとNO2 が放出される。したがって流入する排気の空燃比をリッチにすると短時間のうちにNOx吸蔵還元触媒からNOxが放出されることになる。
【0060】
このように流入する排気の空燃比がリーンになるとNOxがNOx吸蔵還元触媒12に吸蔵され、流入する排気の空燃比をリッチにするとNOxがNOx吸蔵還元触媒12から短時間のうちに放出される。
【0061】
また、内燃機関1は、クランクシャフト23の端部に取り付けられたタイミングロータ51aとタイミングロータ51a近傍のシリンダブロック1bに取り付けられた電磁ピックアップ51bとからなるクランクポジションセンサ51と、内燃機関1の内部に形成された冷却水路1cを流れる冷却水の温度を検出すべくシリンダブロック1bに取り付けられた水温センサ52とを備えている。
【0062】
このように構成された内燃機関1には、該内燃機関1の運転状態を制御するための電子制御ユニット(Electronic Control Unit:ECU)20が併設されている。
【0063】
前記ECU20には、スロットルポジションセンサ41、アクセルポジションセンサ43、エアフローメータ44、空燃比センサ48、NOxセンサ49、クランクポジションセンサ51、水温センサ52、バルブリフトセンサ317等の各種センサが電気配線を介して接続され、各センサの出力信号がECU20に入力されるようになっている。
【0064】
前記ECU20には、イグナイタ25a、吸気側駆動回路30a、排気側駆動回路31a、燃料噴射弁32、スロットル用アクチュエータ40等が電気配線を介して接続され、ECU20が各種センサの出力信号値をパラメータとしてイグナイタ25a、吸気側駆動回路30a、排気側駆動回路31a、燃料噴射弁32、スロットル用アクチュエータ40を制御することが可能になっている。
【0065】
ここで、ECU20は、図4に示すように、双方向性バス400によって相互に接続されたCPU401とROM402とRAM403とバックアップRAM404と入力ポート405と出力ポート406とを備えるとともに、前記入力ポート405に接続されたA/Dコンバータ(A/D)407を備えている。
【0066】
前記A/D407には、スロットルポジションセンサ41、アクセルポジションセンサ43、エアフローメータ44、空燃比センサ48、NOxセンサ49、水温センサ52、バルブリフトセンサ317等のようにアナログ信号形式の信号を出力するセンサと電気配線を介して接続されている。このA/D407は、上記した各センサの出力信号をアナログ信号形式からデジタル信号形式に変換した後に前記入力ポート405へ送信する。
【0067】
前記入力ポート405は、前述したスロットルポジションセンサ41、アクセルポジションセンサ43、エアフローメータ44、空燃比センサ48、NOxセンサ49、水温センサ52、バルブリフトセンサ317等のようにアナログ信号形式の信号を出力するセンサと前記A/D407を介して接続されるとともに、クランクポジションセンサ51のようにデジタル信号形式の信号を出力するセンサと直接接続されている。
【0068】
前記入力ポート405は、各種センサの出力信号を直接又はA/D407を介して入力し、それらの出力信号を双方向性バス400を介してCPU401やRAM403へ送信する。
【0069】
前記出力ポート406は、イグナイタ25a、吸気側駆動回路30a、排気側駆動回路31a、燃料噴射弁32、スロットル用アクチュエータ40等と電気配線を介して接続されている。前記出力ポート406は、CPU401から出力された制御信号を双方向性バス400を介して入力し、その制御信号をイグナイタ25a、吸気側駆動回路30a、排気側駆動回路31a、燃料噴射弁32、又はスロットル用アクチュエータ40へ送信する。
【0070】
前記ROM402は、燃料噴射量を決定するための燃料噴射量制御ルーチン、燃料噴射時期を決定するための燃料噴射時期制御ルーチン、吸気弁28の開閉タイミングを決定するための吸気弁開閉タイミング制御ルーチン、排気弁29の開閉タイミングを決定するための排気弁開閉タイミング制御ルーチン、吸気側電磁駆動機構30に印加すべき励磁電流量を決定するための吸気側励磁電流制御ルーチン、排気側電磁駆動機構31に印加すべき励磁電流量を決定するための排気側励磁電流量制御ルーチン、各気筒#1から#4の点火栓25の点火時期を決定するための点火時期制御ルーチン、スロットル弁39の開度を決定するためのスロットル開度制御ルーチン等のアプリケーションプログラムに加え、NOx吸蔵還元触媒12に吸蔵されたNOxを還元・浄化するための制御ルーチンを記憶している。
【0071】
前記ROM402は、前記したアプリケーションプログラムに加え、各種の制御マップを記憶している。前記した制御マップは、例えば、内燃機関1の運転状態と燃料噴射量との関係を示す燃料噴射量制御マップ、内燃機関1の運転状態と燃料噴射時期との関係を示す燃料噴射時期制御マップ、内燃機関1の運転状態と吸気弁28の開閉タイミングとの関係を示す吸気弁開閉タイミング制御マップ、内燃機関1の運転状態と排気弁29の開閉タイミングとの関係を示す排気弁開閉タイミング制御マップ、内燃機関1の運転状態と吸気側電磁駆動機構30及び排気側電磁駆動機構31に印加すべき励磁電流量との関係を示す励磁電流量制御マップ、内燃機関1の運転状態と各点火栓25の点火時期との関係を示す点火時期制御マップ、内燃機関1の運転状態とスロットル弁39の開度との関係を示すスロットル開度制御マップ等である。
【0072】
前記RAM403は、各センサの出力信号やCPU401の演算結果等を記憶する。前記演算結果は、例えば、クランクポジションセンサ51の出力信号に基づいて算出される機関回転数等である。前記RAM403に記憶される各種のデータは、クランクポジションセンサ51が信号を出力する度に最新のデータに書き換えられる。
【0073】
前記バックアップRAM45は、内燃機関1の運転停止後もデータを保持する不揮発性のメモリであり、各種制御に係る学習値等を記憶する。
前記CPU401は、前記ROM402に記憶されたアプリケーションプログラムに従って動作し、燃料噴射制御、点火制御、吸気弁開閉制御、排気弁開閉制御、スロットル制御、NOx浄化制御等を実行する。
【0074】
その際、CPU401は、クランクポジションセンサ51、アクセルポジションセンサ43、あるいはエアフローメータ44等の出力信号値をパラメータとして内燃機関1の運転状態を判別し、判別された運転状態に応じて各種の制御を実行する。
【0075】
例えば、CPU401は、内燃機関1の運転状態が低中負荷運転領域にあると判定した場合は、酸素過剰状態の混合気(リーン空燃比の混合気)による希薄燃焼運転を実現すべく、スロットル開度、燃料噴射量、吸気弁28の開閉タイミング、排気弁29の開閉タイミングを制御する。
【0076】
内燃機関1の運転状態が高負荷運転領域にあると判定した場合は、CPU401は、理論空燃比の混合気(ストイキ混合気)によるストイキ運転を実現すべく、スロットル開度、燃料噴射量、吸気弁28の開閉タイミング、排気弁29の開閉タイミングを制御する。
【0077】
また、内燃機関1が希薄燃焼運転されているときは、排気の空燃比がリーン空燃比となるため、排気中に含まれる窒素酸化物(NOx)がNOx吸蔵還元触媒12に吸蔵されることになるが、内燃機関1の希薄燃焼運転が長期間継続されると、NOx吸蔵還元触媒12のNOx吸蔵能力が飽和し、排気中の窒素酸化物(NOx)がNOx吸蔵還元触媒12にて除去もしくは浄化されずに大気中に放出される虞がある。
【0078】
これに対し、CPU401は、内燃機関1が希薄燃焼運転されている場合に、NOx吸蔵還元触媒12のNOx吸蔵能力が飽和すると、排気の空燃比を一時的にリッチ空燃比として、NOx吸蔵還元触媒12に吸蔵された窒素酸化物(NOx)を還元及び浄化して、NOx吸蔵還元触媒12のNOx吸蔵能力を再生するようにした。
【0079】
ところで、上述したように始動時触媒9a、9bは、NOx吸蔵還元触媒12が活性化するまでの間にできるだけ排気を浄化するためのものである。この実施態様では第1の気筒群1aの排気は第2の気筒群1bの排気と混合されることなく始動時触媒9aを流通し、第2の気筒群1bの排気は第1の気筒群1aの排気と混合されることなく始動時触媒9bを流通する。このため、第1の気筒群1aの排気の空燃比をリッチにし、第2の気筒群1bの排気の空燃比をリーンにしたときに始動時触媒9aにおいて消費されるHC量が低減され、始動時触媒9bにおいて消費される酸素量が低減される。したがって、NOx吸蔵還元触媒12に多量のHCおよび酸素を確実に供給することができ、斯くしてNOx吸蔵還元触媒12の温度を確実に高めることができる。
【0080】
しかしながら、上記のように一部の気筒について燃料噴射の量を多くすれば、燃料噴射の量が少ない他の気筒に比べて、これらの気筒で発生するトルクは大きくなる。
【0081】
そこで燃料噴射の量が少ない、すなわちリーンの気筒において発生するトルクを求め、燃料噴射の量が多い気筒の発生トルクをこれに合致させるようにこれらの気筒の吸・排気弁の開閉時期をコントロールすることで、気筒毎にトルクがばらつくことを抑制するようにした。
【0082】
また燃料噴射量が多く、かつトルクを低減させるために吸入空気量を減らした気筒では、燃焼室から排出される排気の空燃比がリッチとなるが、燃焼室において燃焼しなかった余分の燃料は、燃焼室またはNOx吸蔵還元触媒12上流の排気通路内で完全酸化されることなく部分酸化され、このためNOx吸蔵還元触媒12においてNOxを容易に還元することができる。
【0083】
より具体的には、図1の内燃機関では通常、全気筒の1燃焼サイクルにおいて燃料噴射が1回行われ、このとき燃料噴射により供給される混合気の空燃比はリーン、例えば約16.0とされ、したがってNOx吸蔵還元触媒12に流入する排気の空燃比がリーンとされる。これに対してNOx吸蔵還元触媒12からNOxを放出すべきときは、燃焼室内に供給される混合気の空燃比は第1の気筒群1aではリッチ、例えば約12.0とされ、一方、第2の気筒群1bではリーン、例えば約16.0とされる。これらの排気は分岐排気管の合流部で合流してリッチの排気ガス、すなわち空燃比14.0となってNOx吸蔵還元触媒12に流入する。したがってこの還元力のある排気ガスによってNOx吸蔵還元触媒12の還元が促進される。
【0084】
このようにNOx吸蔵還元触媒12のNOx吸蔵量が一定量以上になったときには第1の気筒群1aにおいて、一定時間だけ燃料噴射を多く行うことにより、NOx吸蔵還元触媒12に流入する排気の空燃比を一時的にリッチにし、それによりNOx吸蔵還元触媒12からNOxを放出させると共に還元するようにしている。
【0085】
ところが流入する排気中にはイオウ分が含まれており、NOx吸蔵還元触媒12にはNOxばかりでなくイオウ分例えばSOxも吸蔵される。このNOx吸蔵還元触媒12へのイオウ分の吸蔵メカニズムは、NOxの吸蔵メカニズムと同様であると考えられる。すなわち、前記のNOxの吸蔵メカニズムの場合のように、担体上に白金PtおよびバリウムBaを担持させた場合を例にとって説明すると、前述したように流入する排気の空燃比がリーンのときには酸素O2 がO2 - またはO 2-の形で白金Ptの表面に付着しており、流入する排気中のSOx、例えばSO2 は白金Ptの表面でO2 - またはO 2- と反応してSO3 となる。
【0086】
次いで生成されたSO3は白金Pt上でさらに酸化されつつ吸蔵材内に吸蔵されて酸化バリウムBaOと結合しながら、硫酸イオンSO4 2- の形で吸蔵材内に拡散する。次いでこの硫酸イオンSO4 2- はバリウムイオンBa 2+ と結合して硫酸塩BaSO4 を生成する。
【0087】
しかしながら、この硫酸塩BaSO4 は分解しづらく、流入する排気の空燃比を単にリッチにしても硫酸塩BaSO4 は分解されずにそのまま残る。したがって内には時間が経過するにつれて硫酸塩BaSO4 が増大することになり、時間が経過するにつれてNOx吸蔵還元触媒12が吸蔵できるNOx量が低下することになる。すなわち、NOx吸蔵還元触媒12がイオウ分により被毒することになる。
【0088】
NOx吸蔵還元触媒12内で生成された硫酸塩BaSO4 はNOx吸蔵還元触媒12の温度が高いときに流入する排気の空燃比がリッチ、または理論空燃比になると分解して硫酸イオンSO4 2- がSO3の形で吸蔵材から放出され、すなわちNOx吸蔵還元触媒12が被毒再生される。
【0089】
そこで図1の内燃機関では、NOx吸蔵還元触媒12がイオウ分により被毒したか否かを判断し、NOx吸蔵還元触媒12がイオウ分により被毒したと判断されたときにはNOx吸蔵還元触媒12を予め定められた設定温度、すなわちNOx吸蔵還元触媒12からイオウ分を放出させるために必要な温度よりも高くし、かつNOx吸蔵還元触媒12内に流入する排気の空燃比を一時的にリッチにして、それによってNOx吸蔵還元触媒12からイオウ分を放出させて、NOx吸蔵還元触媒12を被毒再生するようにしている。なお、このとき放出されたSO3 は流入する排気中のHC、COによってただちにSO2 に還元される。
以下、本実施の形態に係る排出ガス調整制御について具体的に述べる。
【0090】
<実施の形態1>
この制御では、CPU401は、図5に示すような制御ルーチンを実行する。この制御ルーチンは、予めROM402に記憶されているルーチンであり、CPU401によって所定時間毎(例えば、クランクポジションセンサ51がパルス信号を出力する都度)に繰り返し実行されるルーチンである。
【0091】
排出ガス調整制御ルーチンでは、CPU401は、先ず、S501においてNOx吸蔵還元触媒12のNOx吸蔵能力が飽和しているか否かを判別する。
NOx吸蔵還元触媒12のNOx吸蔵能力が飽和しているか否かを判別する方法としては、例えば、内燃機関1の運転履歴(希薄燃焼運転の実行時間とストイキ運転の実行時間との偏差)に基づいてNOx吸蔵還元触媒12に吸蔵されているNOx量を推定し、その推定値とNOx吸蔵還元触媒12が吸蔵することができる最大の窒素酸化物(NOx)量とを比較することにより判定する方法、NOx吸蔵還元触媒12の触媒床温や空燃比センサ48の出力信号値からNOx吸蔵還元触媒12に吸蔵されている窒素酸化物(NOx)量を推定し、その推定値とNOx吸蔵還元触媒12が吸蔵することができる最大の窒素酸化物(NOx)量とを比較することにより推定する方法、又は、NOx吸蔵還元触媒12に流入する排気の空燃比が所定の空燃比であるときのNOxセンサ49の出力信号値に基づいて判定する方法等を例示することができる。
【0092】
尚、以下では、NOx吸蔵還元触媒12が吸蔵することができる最大の窒素酸化物(NOx)量を最大NOx吸蔵量と称するものとする。
CPU401は、前記S501においてNOx吸蔵還元触媒12のNOx吸蔵能力が飽和していないと判定した場合は、本ルーチンの実行を一旦終了する。
【0093】
一方、S501においてNOx吸蔵還元触媒12のNOx吸蔵能力が飽和していると判定した場合は、S502へ進む。S502では、CPU401は、前記NOx吸蔵還元触媒12に吸蔵されている全ての窒素酸化物(NOx)、言い換えれば最大NOx吸蔵量の窒素酸化物(NOx)を還元及び浄化するために必要となる還元剤の量(以下、目標還元剤量と称する)を算出する。
【0094】
尚、NOx吸蔵還元触媒12の最大NOx吸蔵量は、予め実験的に求めておくことが可能であるため、最大NOx吸蔵量の窒素酸化物(NOx)を浄化するために必要となる目標還元剤量も予め実験的に求めておき、ROM402等に記憶されるようにしてもよい。
【0095】
S503では、CPU401は、アクセルポジションセンサ43の出力信号値(アクセル開度)と機関回転数とをRAM403から読み出し、それらアクセル開度と機関回転数とをパラメータとして内燃機関1に要求されるトルク(以下、要求機関トルクと称する)を算出する。
【0096】
S504では、CPU401は、前記S503で算出された要求機関トルクを達成する上で、1気筒当たりに吸入可能な空気量の最大値(以下、目標気筒吸気量と称する)を算出する。
【0097】
尚、内燃機関1が所定のリッチ空燃比(例えば、内燃機関1で燃焼可能な混合気の空燃比のうち最も低い空燃比)で運転されたときに発生するトルクと、その際の1気筒当たりの吸入空気量との関係を実験的に求め、それらの関係を予めマップ化しておくことにより、CPU401が前記マップと前記要求機関トルクとを用いて目標気筒吸気量を算出するようにしてもよい。
【0098】
S505では、CPU401は、前記S502で算出された目標気筒吸気量と前記S504で算出された目標還元剤量とをパラメータとして、前記目標還元剤量を第1の気筒群1aからの排気で賄う上で、前記第1の気筒1aで燃焼すべき混合気の空燃比(以下、目標リッチ空燃比と称する)を算出する。
【0099】
S506では、CPU401は、内燃機関1の気筒群1a内に可燃混合気を形成することが可能な空燃比の範囲において最も小さい空燃比(以下、リッチ限界空燃比と称する)と、前記S505で算出された目標リッチ空燃比とを比較する。
【0100】
前記S506において前記目標リッチ空燃比が前記リッチ限界空燃比以上である、すなわち目標リッチ空燃比が前記リッチ限界空燃比よりも大きい、と判定した場合は、CPU401は、第1の気筒群1aを一回のみ目標リッチ空燃比で運転させることによって目標還元剤量の還元剤をNOx吸蔵還元触媒12へ供給することが可能であるとみなし、S507へ進む。
【0101】
S507では、CPU401は、内燃機関1の第1の気筒群1aの吸入空気量が前記目標気筒吸気量となるように吸気弁28の目標開閉タイミング(以下、目標吸気弁開閉タイミングと称する)を決定する。
【0102】
S508では、CPU401は、前記目標気筒吸気量を前記目標リッチ空燃比で除算して前記第1の気筒群1aの目標燃料噴射量を算出する。
S509では、CPU401は、前記第1の気筒群1aが前記目標気筒吸気量と前記目標リッチ空燃比で運転された際に発生するトルクが前記S503で算出された要求機関トルクとなるように、この第1の気筒群1aの排気弁29の目標開閉タイミング(以下、目標排気弁開閉タイミングと称する)を決定する。
【0103】
S510では、CPU401は、前記S507〜前記S509で決定された、目標吸気弁開閉タイミング、目標燃料噴射量、目標排気弁開閉タイミングに従って、前記第1の気筒群1aの吸気側駆動回路30a、燃料噴射弁32、排気側駆動回路31a、及びイグナイタ25aを制御する。
【0104】
ここで、気筒群1aのそれぞれの吸気弁28は燃焼室24に臨む位置に設けられているため、吸気弁28の開閉タイミングが変更されると、1番気筒#1と4番気筒#4の実際の吸入空気量が応答遅れを生じることなく直ちに変更されることになる。
【0105】
このため、前記した第1の気筒群1aの吸気弁28の開閉タイミングを目標吸気弁開閉タイミングと一致させるべく吸気側駆動回路30aが制御されると、この気筒群1aの実際の吸入空気量は、直ちに目標気筒吸気量となる。
【0106】
従って、気筒群1aの吸気弁28及び燃料噴射弁32が目標吸気弁開閉タイミング及び目標燃料噴射量に従って駆動されると、前記気筒群1aが直ちに目標リッチ空燃比で運転されることになり、この第1の気筒群1aの排気行程では目標還元剤量に相当する量の還元剤を含有した排気が排出されることになる。
【0107】
前記第1の気筒群1aから排出された排気は、排気枝管45を介してNOx吸蔵還元触媒12に流入するため、NOx吸蔵還元触媒12に吸蔵されていた全ての窒素酸化物(NOx)が還元及び浄化されることになる。
【0108】
つまり、内燃機関1の第1の気筒群1aを一回のみ目標リッチ空燃比で運転させることにより、NOx吸蔵還元触媒12に吸蔵された窒素酸化物(NOx)の全てが還元及び浄化されることになる。
【0109】
一方、前記S506において目標リッチ空燃比がリッチ限界空燃比より小さいと判定した場合は、CPU401は、第1の気筒群1aを一回のみリッチ空燃比で運転させても、目標還元剤量の還元剤をNOx吸蔵還元触媒12へ供給することができないとみなし、S511へ進む。
【0110】
S511では、CPU401は、リッチ限界空燃比を新たな目標リッチ空燃比(以下、新目標リッチ空燃比と称する)として設定する。
S512では、CPU401は、内燃機関1の第1の気筒群1aの吸入空気量が前記S504で算出された目標気筒吸気量となるように目標吸気弁開閉タイミングを決定する。
【0111】
S513では、CPU401は、前記S504で算出された目標気筒吸気量を前記S511で新たに設定された新目標リッチ空燃比で除算して、前記第1の気筒群1aでの目標燃料噴射量を算出する。
【0112】
S514では、CPU401は、前記第1の気筒群1aが前記目標気筒吸気量と前記新目標リッチ空燃比で運転された際に発生するトルクが、前記S503で算出された要求機関トルクとなるように第1の気筒群1aの目標排気弁開閉タイミングを決定する。
【0113】
S515では、CPU401は、前記S512〜前記S514で決定された、目標吸気弁開閉タイミング、目標燃料噴射量、目標排気弁開閉タイミングに従って、前記第1の気筒群1aの吸気側駆動回路30a、燃料噴射弁32、排気側駆動回路31a、及びイグナイタ25aを制御する。
【0114】
S516では、CPU401は、前記目標気筒吸気量と前記新目標リッチ空燃比とに従って運転された気筒群1aからNOx吸蔵還元触媒12へ供給される還元剤の量(以下、供給還元剤量と称する)を算出する。
【0115】
S517では、CPU401は、前記S502で算出された目標還元剤量から前記S516で算出された供給還元剤量を減算して、新たな目標還元剤量(以下、新目標還元剤量と称する)を算出する。そして、CPU401は、目標還元剤量を新目標還元剤量に置き換えて前述したS505以降の処理を実行する。
【0116】
この場合は、第1の気筒群1aを構成する1番気筒#1と4番気筒#4がリッチ空燃比で運転されることになり、それらの気筒から排出される排気に含まれる還元剤の総量が目標還元剤量となる。
【0117】
この結果、NOx吸蔵還元触媒12に吸蔵されていた全ての窒素酸化物(NOx)は、目標還元剤量の還元剤によって還元及び浄化されることになる。
このようにCPU401が排出ガス調整制御ルーチンを実行することにより、本発明の排出ガス調整手段が実現されることになる。
【0118】
すなわち、上記した排出ガス調整制御では、電磁駆動式動弁機構を利用することによって気筒#1から#4の吸入空気量を独立に制御することができるため、NOx吸蔵還元触媒12に吸蔵された窒素酸化物(NOx)を還元及び浄化する場合には、一の気筒群の吸入空気量を変更してリッチ空燃比運転させることにより、所望量の還元剤をNOx吸蔵還元触媒12へ供給することが可能となる。
【0119】
その際、リッチ空燃比で運転させるべき第1の気筒群1aの吸入空気量は、吸気弁28の開閉タイミングによって調節されるため、吸気の応答遅れなどが生じることがなく、1番気筒#1と4番気筒#4への吸入空気量及び空燃比を即座に所望の吸入空気量及びリッチ空燃比へ切り換えることが可能である。
【0120】
従って、本実施の形態に係る排出ガス調整制御によれば、NOx吸蔵還元触媒12に吸蔵された窒素酸化物(NOx)を還元及び浄化する場合には、所望量の還元剤を短時間でNOx吸蔵還元触媒12に供給することが可能となり、窒素酸化物(NOx)の浄化に係るリッチ空燃比運転の期間が不要に長くなることがなく、ドライバビリィティの悪化や燃料消費量の悪化が防止される。
【0121】
更に、本実施の形態に係る排出ガス調整制御では、第1の気筒群1aの目標気筒吸気量と目標燃料噴射量とは、この第1の気筒群1aの発生トルクが第2の気筒群1b(通常のリーン空燃比で運転される気筒群)の発生トルクと一致するように設定されるため、内燃機関1がリーン空燃比で運転されているときに第1の気筒群1aのみがリッチ空燃比(目標リッチ空燃比)で運転されてもトルク変動が発生することがない。
【0122】
尚、本実施の形態では、目標気筒吸気量は、第1の気筒群1aで発生するトルクが、第2の気筒群1bで発生するトルクと一致するように決定されるが、第1の気筒群1aが一回の吸気行程で吸入することができる最大の空気量(以下、最大気筒吸気量と称する)を目標気筒吸気量として設定するようにしてもよい。
【0123】
最大気筒吸気量が目標気筒吸気量として設定された場合は、第1の気筒群1aが一回の排気行程で排出することができる排気の量が最も多くなり、それに伴って第1の気筒群1aが一回の排気行程で排出することができる還元剤の量も最も多くなるため、NOx吸蔵還元触媒12に吸蔵された窒素酸化物(NOx)の浄化を目的としたリッチ空燃比運転の期間をより一層短くすることができる。
【0124】
但し、最大気筒吸気量が目標気筒吸気量として設定された場合には、第1の気筒群1aの発生トルクが、第2気筒群1bの発生トルクに比して大幅に大きくなることが予想されるため、第1の気筒群1aの吸気弁28、排気弁29の開閉タイミングの開閉タイミングを制御して、第1の気筒群の発生トルクを抑制することが好ましい。
<実施の形態2>
以下、本発明に係る可変動弁機構を有する内燃機関の第2の実施の形態について図7に基づいて説明する。ここでは、前述の第1の実施の形態と異なる構成について説明し、同様の構成についてはその説明を省略するものとする。
【0125】
前述した第1の実施の形態では、内燃機関1が希薄燃焼運転されている場合に、NOx吸蔵還元触媒12のNOx吸蔵能力が飽和すると、少なくとも第1の気筒群1aから排出される排気の空燃比を一時的にリッチ空燃比としてNOx吸蔵還元触媒12に吸蔵されている窒素酸化物(NOx)を還元及び浄化する例について述べたが、本実施の形態では、内燃機関1の第1の気筒群1aと第2の気筒群1bを、サイクル毎に空燃比がリッチの状態とリーンの状態とを交互に繰り返すように運転させる例について述べる。
【0126】
本実施の形態に係る内燃機関1は4つの気筒#1、#2、#3、#4を備えているが、これらの気筒の全てをサイクル毎にリーンの空燃比で運転する場合と、リッチの空燃比で運転する場合を切り換える。すなわち、内燃機関1の4つの気筒#1、#2、#3、#4がリッチ空燃比で運転されたら、次のサイクルでは気筒#1、#2、#3、#4は連続してリーン空燃比で運転される。この場合は連続してリーン空燃比の排気が排出された後に、必ずリッチ空燃比の排気が排出されることになる。
【0127】
かかる場合は前記NOx吸蔵還元触媒12は、リーン空燃比で運転されたときの排気に含まれる窒素酸化物(NOx)を吸蔵した後、リッチの空燃比で運転された気筒の排気に含まれる還元剤によって吸蔵していた窒素酸化物(NOx)を放出及び還元する動作を繰り返すことになる。
【0128】
その際、リッチ運転での排気行程で排出する排気の空燃比及び量を最適化することにより、NOx吸蔵還元触媒12に吸蔵された全ての窒素酸化物(NOx)、(リーン運転時に排出された全ての窒素酸化物(NOx))を還元及び浄化することが可能となる。
【0129】
ところで、リッチ運転時に混合気が燃焼した際に発生する燃焼圧力は、リーン運転時に混合気が燃焼した際に発生する燃焼圧力に比して高くなるため、リッチ運転時の燃焼圧力がそのままクランクシャフト23の回転トルクに反映されると、気筒間でトルク変動が発生してしまう。
【0130】
そこで、本実施の形態では、CPU401は、リッチ運転時には、リッチ運転時の排気弁29の開閉タイミングを制御することにより、リッチ運転時の発生トルクをリーン運転時の発生トルクまで低下させるようにした。
【0131】
例えば、気筒#1、#2、#3、#4のそれぞれの排気弁29の開弁時期を膨張行程の途中まで進角させるようにしてもよい。この場合、気筒内の既燃ガスが膨張行程の途中で筒内から排出されて筒内の圧力が低下するため、ピストン22に作用する圧力が低下し、その結果、気筒で発生した燃焼圧力の一部のみがクランクシャフト23の回転トルクに反映されることになる。
【0132】
以下、本実施の形態に係る制御について具体的に説明する。
CPU401は、この制御を実行する場合に、図7に示すような排出ガス調整制御ルーチンを実行する。この排出ガス調整制御ルーチンは、予めROM402に記憶されているルーチンであり、所定時間毎(例えば、クランクシャフト23が720°回転する度)にCPU401によって繰り返し実行されるルーチンである。
【0133】
この制御ルーチンでは、CPU401は、先ず、S801において、機関回転数やアクセルポジションセンサ43の出力信号値(アクセル開度)等の各種データをRAM403から読み出す。
【0134】
S802では、CPU401は、前記S801で読み出された機関回転数及びアクセル開度から内燃機関1の運転状態を判別する。
S803では、CPU401は、前記S802で判別された機関運転状態が希薄燃焼運転領域にあるか否かを判別する。
【0135】
CPU401は、前記S803において機関運転状態が希薄燃焼運転領域にないと判定した場合は本ルーチンの実行を一旦終了し、前記S803において機関運転状態が希薄燃焼運転領域にあると判定した場合はS804へ進む。
【0136】
S804では、CPU401は、前記S801で読み出された機関回転数とアクセル開度とをパラメータとして要求機関トルクを算出する。その際、機関回転数とアクセル開度と要求機関トルクとの関係を予め実験的に求めておき、それらの関係をマップ化してROM402に記憶しておくようにしてもよい。
【0137】
S805では、CPU401は、前記S804で算出された要求機関トルクに基づいて1気筒当たりに要求されるトルク(以下、要求気筒トルクと称する)を算出する。尚、前述したS803の処理は、このS805の次に実行されるようにしてもよい。
【0138】
S806では、CPU401は、リーン運転気筒#1、#2、#3、#4の発生トルクが前記要求気筒トルクと同一となり、且つ、リーン運転気筒#1、#2、#3、#4の燃料噴射量が最も少なくなるように、リーン運転気筒#1、#2、#3、#4で燃焼すべき混合気の空燃比(以下、目標リーン空燃比と称する)とリーン運転気筒#1、#2、#3、#4が吸入すべき空気量(以下、目標リーン気筒吸気量と称する)とを決定する。
【0139】
S807では、CPU401は、前記S806で決定された目標リーン空燃比と目標リーン気筒吸気量とに従ってリーン運転時の気筒 の目標吸気弁開閉タイミング及び目標排気弁開閉タイミングを決定するとともに、目標リーン気筒吸気量を目標リーン空燃比で除算してリーン運転時の各気筒の目標燃料噴射量を算出する。
【0140】
S808では、CPU401は、先ず、リーン運転時の各気筒が前記S806で決定された目標リーン空燃比及び目標リーン気筒吸気量に従って運転された場合に、これらのリーン運転時の各気筒から排出される窒素酸化物(NOx)の量を推定する。この場合、CPU401は、単一の気筒における前記推定値を4倍して4つのリーン運転時に排出される窒素酸化物(NOx)の総量を算出するようにしてもよい。
【0141】
S809では、CPU401は、前記S808で推定された総NOx量の窒素酸化物(NOx)を還元するために必要となる還元剤の量(目標還元量)を算出する。
【0142】
S810では、CPU401は、先ず、リッチ運転時の気筒内に可燃混合気を形成することができる空燃比の範囲において最も低い空燃比(以下、目標リッチ空燃比と称する)を算出する。続いて、CPU401は、目標リッチ空燃比の排気の単位量当たりに含まれる還元剤の量を算出し、算出された還元剤量で前記目標還元剤量を除算することにより、リッチ運転時の気筒#1、#2、#3、#4から排出すべき排気の量、言い換えればリッチ運転時の気筒#1、#2、#3、#4に吸入すべき空気の量(以下、目標リッチ気筒吸気量と称する)を算出する。
【0143】
S811では、CPU401は、前記S810で算出された目標リッチ気筒吸気量に基づいてリッチ運転時の気筒#1、#2、#3、#4の目標吸気弁開閉タイミングを決定するとともに、前記目標リッチ気筒吸気量を前記目標リッチ空燃比で除算してリッチ運転時の気筒#1、#2、#3、#4の目標燃料噴射量を算出する。
【0144】
S812では、CPU401は、前記S810で算出された目標リッチ空燃比と目標リッチ気筒吸気量とに従ってリッチ運転時の気筒#1、#2、#3、#4が発生し得るトルクを推定する。
【0145】
S813では、CPU401は、前記S812で推定されたトルクが前記S805で算出された要求気筒トルクまで低下するように、リッチ運転時の気筒#1、#2、#3、#4の目標排気弁開閉タイミングを決定する。
S814では、CPU401は、前記S807で決定された目標吸気弁開閉タイミング、目標排気弁開閉タイミング、及び、目標燃料噴射量に従って、リーン運転時の気筒#1、#2、#3、#4の吸気側駆動回路30a、排気側駆動回路31a、及び燃料噴射弁32を制御するとともに、前記S811及び前記813で決定された目標吸気弁開閉タイミング、目標排気弁開閉タイミング、及び目標燃料噴射量に従って、リッチ運転時の気筒#1、#2、#3、#4の吸気側駆動回路30a、排気側駆動回路31a、及び燃料噴射弁32を制御する。
【0146】
この場合、内燃機関1では、リーン運転時の気筒#1、#2、#3、#4が連続して目標リーン空燃比で運転された後はリッチ運転に切り換えられ、気筒#1、#2、#3、#4が目標リッチ空燃比で運転される。これに応じて、リーン運転時の気筒#1、#2、#3、#4が連続して目標リーン空燃比の排気を排出した後に、リッチ運転時には気筒#1、#2、#3、#4が目標リッチ空燃比の排気を排出することになる。
【0147】
その際、リッチ運転時の気筒#1、#2、#3、#4から排出される排気には、リーン運転時の気筒#1、#2、#3、#4から排出された排気に含まれる窒素酸化物(NOx)の総量に対応した量の還元剤が含まれているため、NOx吸蔵還元触媒12は、リーン運転時の気筒#1、#2、#3、#4からの排気が流入した時には、その排気中に含まれる窒素酸化物(NOx)を吸蔵し、続いてリッチ運転時の気筒からの排気が流入すると、吸蔵していた全ての窒素酸化物(NOx)を放出及び浄化することが可能となる。
【0148】
従って、上記したような排出ガス調整制御によれば、サイクル毎にNOx吸蔵還元触媒12における窒素酸化物(NOx)の吸蔵と還元とが行われるため、窒素酸化物(NOx)の吸蔵量と還元剤の供給量とを適合させ易く、CPU401の演算負荷を低減することが可能となる。
【0149】
また、上記したような排出ガス調整制御では、リッチ運転時の気筒#1、#2、#3、#4の排気弁29の開閉タイミングを制御することによって、リッチ運転時の気筒#1、#2、#3、#4の発生トルクと、リーン運転時の気筒#1、#2、#3、#4の発生トルクが均一にされるため、内燃機関1のトルク変動が発生することがない。
【0150】
また一部の気筒が常にリッチ運転されることによるデポジットの発生や点火栓25のくすぶりなどを抑制することができる。
尚、本実施の形態では、内燃機関1のリッチ運転時には、気筒#1、#2、#3、#4の全てをリッチ運転する例について述べたが、リッチの気筒をいずれか特定の気筒に固定して所定の周期でリッチ運転をするようにしてもよい。
<実施の形態3>
次に、本発明に係る可変動弁機構を有する内燃機関の第3の実施の形態について図10に基づいて説明する。ここでは、前述した第1〜第3の実施の形態とは異なる構成について説明し、同様の構成については説明を省略するものとする。
【0151】
前述した第1〜第3の実施の形態では、NOx吸蔵還元触媒12に吸蔵された窒素酸化物(NOx)を還元及び浄化することにより、NOx吸蔵還元触媒12のNOx吸蔵能力を再生する例について述べたが、本実施の形態では、NOx吸蔵還元触媒12のSOx被毒を再生する例について述べる。
【0152】
NOx吸蔵還元触媒12は、該NOx吸蔵還元触媒12に流入する排気の空燃比がリーン空燃比であるときは、排気中に含まれる窒素酸化物(NOx)を吸蔵することになるが、排気中に含まれる硫黄成分も窒素酸化物(NOx)と同様のメカニズムによって吸収してしまい、その結果、NOx吸蔵還元触媒12のNOx吸蔵能力が低下する、いわゆるSOx被毒が発生する。
【0153】
具体的には、内燃機関1の燃料に含まれている硫黄(S)成分が燃焼することによりSO2やSO3などの硫黄酸化物(SOx)が生成され、それらの硫黄酸化物(SOx)が排気とともにNOx吸蔵還元触媒12に流入する。
【0154】
その際、排気の空燃比がリーン空燃比であると、NOx吸蔵還元触媒12の担体上に担持された白金(Pt)の表面に酸素O2 -又はO2-が付着しているため、排気中に含まれる硫黄酸化物(SOx)が上記した酸素O2 -又はO2-と反応してSO3-やSO4-を形成する。
【0155】
NOx吸蔵還元触媒12の白金(Pt)上で形成されたSO3-やSO4-は、白金(Pt)上で更に酸化され、硫酸イオン(SO4 2-)としてNOx吸蔵還元触媒12に吸収される。NOx吸蔵還元触媒12内に吸収された硫酸イオン(SO4 2-)は、酸化バリウム(BaO)と結合して硫酸バリウム(BaSO4)を形成する。
【0156】
硫酸バリウム(BaSO4)は、窒素酸化物(NOx)に比して分解され難く、粗大化し易いという特性を有しているため、NOx吸蔵還元触媒12に流入する排気の空燃比がリッチ空燃比となっても分解されずにNOx吸蔵還元触媒12内に残留することになる。
【0157】
従って、NOx吸蔵還元触媒12内の硫酸バリウム(BaSO4)は、時間の経過とともに増加することになるため、窒素酸化物(NOx)の吸蔵に作用することができる酸化バリウム(BaO)の量が減少し、その結果、NOx吸蔵還元触媒12のNOx吸蔵能力が低下してしまう。
【0158】
NOx吸蔵還元触媒12のSOx被毒を解消するには、NOx吸蔵還元触媒12の雰囲気温度を高温(例えば、500℃〜700℃)にするとともに、NOx吸蔵還元触媒12に流入する排気の空燃比をリッチ空燃比とする必要がある。
【0159】
すなわち、NOx吸蔵還元触媒12の雰囲気温度が高温になると、NOx吸蔵還元触媒12内に生成された硫酸バリウム(BaSO4)がSO3-やSO4-に熱分解される。その際、NOx吸蔵還元触媒12に流入する排気の空燃比がリッチ空燃比であると、SO3-やSO4-は、排気中に含まれる炭化水素(HC)や一酸化炭素(CO)と反応して気体状のSO2-へ還元されてNOx吸蔵還元触媒12から放出されることになる。
【0160】
NOx吸蔵還元触媒12を高温且つリッチ雰囲気にする方法としては、例えば、未燃燃料成分と酸素とを比較的多量に含むリッチ空燃比の排気をNOx吸蔵還元触媒12へ供給し、NOx吸蔵還元触媒12において未燃燃料成分と酸素とを反応(燃焼)させることにより、NOx吸蔵還元触媒12を高温且つリッチ雰囲気とする方法を例示することができる。
【0161】
ここで、未燃燃料成分と酸素を比較的多量に含有した排気を生成する方法としては、(1)排気の空燃比をリッチ空燃比とすべく内燃機関1をリッチ空燃比の混合気で運転させるとともに、NOx吸蔵還元触媒12より上流の排気通路において排気中に二次空気を供給することにより、未燃燃料成分と酸素とを含有した排気を生成する方法、(2)内燃機関1の一部の気筒をリッチ空燃比の混合気で運転させると同時に、残りの気筒をリーン空燃比の混合気で運転させることにより、十分な量の未燃燃料成分を含む排気と十分な量の酸素を含む排気との混合させる方法等を例示することができるが、本実施の形態では、吸気弁28及び排気弁29の開閉タイミングを任意に設定することができるという電磁駆動式動弁機構の特性を利用して以下のような方法を採用した。
【0162】
すなわち、本実施の形態では、CPU401は、NOx吸蔵還元触媒12のSOx被毒を解消する必要が生じた場合に、内燃機関1の各気筒#1、#2、#3、#4をリッチ空燃比の混合気で運転させるべく燃料噴射弁32を制御した上で、排気弁29の開弁時期を膨張行程の途中まで進角させることにより、燃焼途中の混合気を排気として排出するようにした。
【0163】
この場合、内燃機関1の排気は、燃焼完了後の既燃ガスが排気として排出された場合に比して、温度が高くなるとともに、未燃の燃料成分と酸素とを多量に含む排気となる。
【0164】
ところで、各気筒#1、#2、#3、#4から燃焼途中の混合気が排出されると、各気筒内で発生する燃焼圧力が低下するとともに、燃焼圧力がクランクシャフト23へ伝達される効率が低下し、内燃機関1のトルクが低下してしまう。
【0165】
これに対し、CPU401は、各気筒の吸入空気量を増加させるべく吸気弁28の開閉タイミングを変更するとともに、燃料噴射量を増量補正するようにした。各気筒#1から#4の吸入空気量を増量させる場合には、CPU401は、吸気弁28の開閉タイミングに加えて、スロットル弁39の開度も変更するようにしてもよい。
【0166】
以下、本実施の形態に係る排出ガス調整制御について具体的に説明する。
CPU401は、排出ガス調整制御を実行するにあたり、図10に示すような排出ガス調整制御ルーチンを実行する。この排出ガス調整制御ルーチンは、予めROM402に記憶されているルーチンであり、CPU401によって所定時間毎(例えば、クランクポジションセンサ51がパルス信号を出力する度)に繰り返し実行されるルーチンである。
【0167】
排出ガス調整制御ルーチンでは、CPU401は、先ずS1001において、NOx吸蔵還元触媒12のSOx被毒度合いを判定する。NOx吸蔵還元触媒12のSOx被毒度合いを判定する方法としては、例えば、NOx吸蔵還元触媒12に流入する排気の空燃比がリーン空燃比であるときに、NOx吸蔵還元触媒12よりも下流に配置されたNOxセンサ49の出力信号値に基づいて判定する方法、又は、内燃機関1がリーン空燃比で運転された時間の積算値、吸入空気量の積算値、およびまたは燃料噴射量の積算値等に基づいてNOx吸蔵還元触媒12のSOx被毒度合いを推定する方法等を例示することができる。
【0168】
S1002では、CPU401は、前記S1001において判定されたSOx被毒度合いが所定の基準値を上回っているか否かを判別する。前記した基準値は、予め実験的に求められた値であり、ROM402等に予め記憶されている値である。
【0169】
S1002においてNOx吸蔵還元触媒12のSOx被毒度合いが前記基準値以下であると判定した場合は、CPU401は、NOx吸蔵還元触媒12に対するSOx被毒解消処理を実行する必要がないとみなし、本ルーチンの実行を一旦終了する。
【0170】
一方、S1002においてNOx吸蔵還元触媒12のSOx被毒度合いが前記基準値を上回っていると判定した場合は、CPU401は、NOx吸蔵還元触媒12に対するSOx被毒解消処理を実行する必要があるとみなし、S1003へ進む。
【0171】
S1003では、CPU401は、機関回転数やアクセルポジションセンサ43の出力信号値(アクセル開度)をRAM403から読み出し、それらの値をパラメータとして内燃機関1の要求機関トルクを算出する。
【0172】
S1004では、CPU401は、前記S1003で算出された要求機関トルクを満たしつつ、NOx吸蔵還元触媒12へ未燃燃料成分と酸素とを含有した排気を供給すべく、吸気弁28の開閉タイミング、排気弁29の開閉タイミング、燃料噴射量を決定する。
【0173】
具体的には、CPU401は、先ず、各気筒#1から#4で燃焼すべき混合気の空燃比を決定する。続いて、CPU401は、各気筒#1から#4で燃焼途中の混合気を排気として排出させるべく排気弁29の開弁時期を進角補正する。
【0174】
そして、CPU401は、前記空燃比と前記排気弁開弁時期に従って内燃機関1が運転されたときの実際の機関トルクが前記S1003で算出された要求機関トルクと一致するように吸入空気量及び燃料噴射量を決定し、決定された吸入空気量に従って吸気弁28の開閉タイミングを決定する。
【0175】
S1005では、CPU401は、前記S1004で決定された吸気弁開閉タイミング、排気弁開閉タイミング、燃料噴射量に従って、吸気側駆動回路30a、排気側駆動回路31a、燃料噴射弁32、点火栓25を制御して、SOx被毒解消処理の実行を開始する。
【0176】
この場合、内燃機関1は、要求機関トルクを満たしつつ、高温且つ未燃燃料成分及び酸素を多量に含有した排気を排出することになる。内燃機関1から排出された高温且つ未燃燃料成分及び酸素を多量に含有した排気は、排気枝管45を介してNOx吸蔵還元触媒12へ流入する。NOx吸蔵還元触媒12は、排気の熱を受けて昇温するとともに、該NOx吸蔵還元触媒12の白金(Pt)上で排気中の未燃燃料成分と酸素とが反応することによって発生する反応熱によって一層昇温する。
【0177】
このようにNOx吸蔵還元触媒12の雰囲気温度が上昇すると、該NOx吸蔵還元触媒12内の硫酸バリウム(BaSO4)がSO3-やSO4-に熱分解され、それらSO3-やSO4-は、排気中の炭化水素(HC)や一酸化炭素(CO)と反応して気体状のSO2-に還元され、NOx吸蔵還元触媒12から放出されることになる。
【0178】
S1006では、CPU401は、NOx吸蔵還元触媒12のSOx被毒が解消されたか否かを判別する。NOx吸蔵還元触媒12のSOx被毒が解消されたか否かを判別する方法としては、NOx吸蔵還元触媒12のSOx被毒度合いとSOx被毒の解消に要する時間(SOx被毒解消時間)との関係を予め実験的に求めておき、SOx被毒解消処理の実行時間がSOx被毒解消時間以上となったか否かを判別する方法、あるいはNOx吸蔵還元触媒12より下流の排気通路に排気中のSOx濃度に対応した電気信号を出力するSOxセンサを配置し、それらSOxセンサの出力信号値が所定値未満となったか否かを判別する方法などを例示することができる。
【0179】
前記S1006においてNOx吸蔵還元触媒12のSOx被毒が未だ解消されていないと判定した場合は、CPU401は、前記S1005の処理を継続して実行する。
【0180】
前記S1006においてNOx吸蔵還元触媒12のSOx被毒が解消されたと判定した場合は、CPU401は、S1007へ進み、吸気弁28の開閉タイミング、及び排気弁29の開閉タイミングを通常のタイミングに戻すべく吸気側駆動回路30a、排気側駆動回路31aを制御するとともに、燃料噴射量を通常の燃料噴射量に戻すべく燃料噴射弁32を制御する。
【0181】
このような排出ガス調整制御によれば、吸気弁28及び排気弁29の開閉タイミングを変更することによって、排気の状態を即座に高温且つ未燃燃料成分及び酸素を含有した状態とすることができるため、SOx被毒解消処理に係る時間を短縮することが可能となり、以てSOx被毒解消処理に係るリッチ空燃比運転の期間が不要に長くなることがなく、ドライバビリィティの悪化や燃料消費量の悪化が防止される。
【0182】
尚、本実施の形態では、NOx吸蔵還元触媒12のSOx被毒を解消する場合に、内燃機関1をリッチ空燃比の混合気で運転させるとともに排気弁29の開弁時期を進角させる例について述べたが、内燃機関1の各気筒#1から#4の吸気弁28と排気弁29の双方が開弁している時、つまりバルブオーバーラップ期間中に燃料噴射弁32を作動させ、未燃の燃料をNOx吸蔵還元触媒12へ供給することにより、前記未燃燃料をNOx吸蔵還元触媒12で燃焼せしめ、以てNOx吸蔵還元触媒12をより短時間のうちに高温且つリッチ雰囲気とするようにしてもよい。
【0183】
また、本実施の形態では排気弁の開閉時期を変更することにより、トルク制御を行ったが、吸気弁の開閉時期を変更することにより筒内への吸入空気量を調整することによりトルクを制御することも可能であり、この場合は排気弁によるトルク制御よりも燃費の点で効率がよい。
【0184】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、リッチまたはリーンの空燃比の排気のみ始動時触媒を通過するので、この始動時触媒での反応が抑制されつつNOx吸蔵還元触媒での還元反応を促進させることができ、かつリッチにされる気筒群での発生トルクがリーンの気筒で発生するトルクに合致するように制御される。よってトルクのばらつきが抑制されてトルク変動によるドライバビリティの悪化等が防止される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電磁駆動弁を有する内燃機関の概略構成を示す平面図
【図2】本発明の電磁駆動弁を有する内燃機関の概略構成を示す断面図
【図3】吸気側電磁駆動機構の構成を示す図
【図4】ECUの内部構成を示すブロック図
【図5】実施の形態1に係る排出ガス調整制御ルーチンを示すフローチャ ート図
【図6】実施の形態2に係る排出ガス調整制御ルーチンを示すフローチャート図
【図7】実施の形態3に係る浄化支援制御ルーチンを示すフローチャート図
【図8】NOx吸蔵還元触媒のNOx吸放出作用の概略を示す図
【符号の説明】
1・・・・内燃機関
1a・・・第1の気筒群
1b・・・第2の気筒群
9a、9b・・・始動時触媒
12・・・NOx吸蔵還元触媒
20・・・ECU
25・・・点火栓
26・・・吸気ポート
27・・・排気ポート
28・・・吸気弁
29・・・排気弁
30・・・吸気側電磁駆動機構
30a・・吸気側駆動回路
31・・・排気側電磁駆動機構
31a・・排気側駆動回路
32・・・燃料噴射弁
46・・・NOx吸蔵還元触媒
49・・・NOxセンサ
51・・・クランクポジションセンサ

Claims (4)

  1. 複数に分割された気筒群と、これらの気筒群がそれぞれ接続された分岐排気管と、これらの分岐排気管内に配置された始動時触媒と、前記分岐排気管の合流部下流に設けられたNOx吸蔵還元触媒と、所定気筒群毎に空燃比がリッチとリーンの排出ガスを排出させる排出ガス調整手段と、を有し、
    前記排出ガス調整手段は、前記NOx吸蔵還元触媒のNOx吸蔵能力が飽和していると判断されたときに、前記NOx吸蔵還元触媒に吸蔵されているNOxを還元及び浄化するために必要となる目標還元剤量を算出し、要求機関トルクを算出し、前記要求機関トルクを達成する1気筒当たりの目標気筒吸気量を算出し、前記目標還元剤量及び前記目標気筒吸気量に基づいて前記目標還元剤量を前記所定気筒群からの排気で賄う上で前記所定気筒群の気筒で燃焼すべき目標リッチ空燃比を算出し、前記所定気筒群の気筒の吸入空気量が前記目標気筒吸気量となるように前記所定気筒群の気筒に設けた電磁駆動弁機構により駆動される吸気弁の目標吸気弁開閉タイミングを決定し、前記目標気筒吸気量を前記目標リッチ空燃比から前記所定気筒群の目標燃料噴射量を算出し、前記所定気筒群が前記目標気筒吸気量と前記目標リッチ空燃比で運転された際に発生するトルクが前記要求機関トルクとなるように前記所定気筒群の気筒に設けた電磁駆動弁機構により駆動される排気弁の目標排気弁開閉タイミングを決定し、前記所定気筒群を前記目標リッチ空燃比で運転させる排出ガス調整を行うものであることを特徴とする可変動弁機構を有する内燃機関。
  2. 前記排出ガス調整手段は、前記目標リッチ空燃比を算出した後に、前記所定気筒群内に可燃混合気を形成することが可能な空燃比の範囲において最も小さいリッチ限界空燃比と、前記目標リッチ空燃比とを比較し、前記目標リッチ空燃比が前記リッチ限界空燃比以上であると判定した場合に、前記目標吸気弁開閉タイミングを決定し、前記目標燃料噴射量を算出し、前記目標排気弁開閉タイミングを決定し、前記所定気筒群を前記目標リッチ空燃比で運転させる排出ガス調整を行うものであることを特徴とする請求項1に記載の可変動弁機構を有する内燃機関。
  3. 前記排出ガス調整手段は、前記目標リッチ空燃比を算出した後に、前記リッチ限界空燃比と前記目標リッチ空燃比とを比較し、前記目標リッチ空燃比が前記リッチ限界空燃比より小さいと判定した場合に、前記リッチ限界空燃比を新たな新目標リッチ空燃比として設定し、前記所定気筒群の気筒の吸入空気量が前記目標気筒吸気量となるように前記所定気筒群の気筒に設けた電磁駆動弁機構により駆動される吸気弁の目標吸気弁開閉タイミングを決定し、前記目標気筒吸気量を前記新目標リッチ空燃比から前記所定気筒群の目標燃料噴射量を算出し、前記所定気筒群が前記目標気筒吸気量と前記新目標リッチ
    空燃比で運転された際に発生するトルクが前記要求機関トルクとなるように前記所定気筒群の気筒に設けた電磁駆動弁機構により駆動される排気弁の目標排気弁開閉タイミングを決定し、前記所定気筒群を前記新目標リッチ空燃比で運転させ、前記目標気筒吸気量と前記新目標リッチ空燃比とに従って運転された前記所定気筒群から前記NOx吸蔵還元触媒へ供給される供給還元剤量を算出し、前記目標還元剤量から前記供給還元剤量を減算して新たな新目標還元剤量を算出し、前記目標還元剤量を前記新目標還元剤量に置き換えて前記目標リッチ空燃比を算出する処理に戻るものであることを特徴とする請求項2に記載の可変動弁機構を有する内燃機関。
  4. 内燃機関の各気筒より上流の吸気通路へ燃料を噴射する燃料噴射弁を備え、前記排出ガス調整手段は、前記気筒群の燃料噴射量を増量すべく前記燃料噴射弁を制御することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の可変動弁機構を有する内燃機関。
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