JP4324374B2 - 微細凹凸パターン形成材料、微細凹凸パターン形成方法、転写箔、光学物品及びスタンパー - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、賦型性及び賦型維持性に優れ、特に、光学物品の微細凹凸表面構造を形成するのに適した微細凹凸パターン形成材料、これを用いて微細凹凸パターンを形成する方法、及び、これらを用いて得られる転写箔、光学物品及びスタンパーに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、光硬化性樹脂組成物を、例えば、支持体上に塗工して光硬化性樹脂層を形成し、この光硬化性樹脂層の表面に微細凹凸パターンを付与した後、紫外線や電子線等の活性エネルギー線により露光して該樹脂層を硬化させ、形成された凹凸パターン面に金属蒸着や屈折率の異なる層を積層することにより、回折格子やレリーフホログラム等の光学物品が形成されている。
【0003】
この方法の一つとして、液状の光硬化性樹脂組成物をポリエステルフイルム等の透明な支持体上に塗布して液状の光硬化性樹脂層を形成し、その上に微細凹凸を有するスタンパーを圧接した状態で支持体側から光照射を行って硬化させた後でスタンパーを取り外す、いわゆる2P法(Photo Polymerization法)がある。しかし、この方法においては、支持体裏面側から光を照射するので支持体が光吸収性を有する場合には硬化不足となる、硬化が完了するまでスタンパーを取り外せないので工程に時間がかかる、光硬化性樹脂層が液状なので圧接したスタンパーとの間に気泡が入り欠陥になりやすい、或いは、硬化した樹脂層からスタンパーを引き剥がす時に樹脂層表面に糸引きが生じて表面荒れを引き起こす等の問題がある。
【0004】
別の方法としては、室温で高粘度又は固体の光硬化性樹脂組成物を支持体上に塗布して光硬化性樹脂層を形成し、その上にスタンパーを圧接し引き剥がした後で光照射を行って硬化させる方法がある(特公平5−46063号、特公平6−85103号)。この方法によれば、光硬化性樹脂層に光を直接照射するので充分に硬化させることができる、光硬化性樹脂組成物が高粘度又は固体なので、塗工後に支持体を巻き取って保存又は運搬することが可能であり、塗工と複製を別工程で行うことができる、スタンパーを引き剥がして光照射を行えるのでスタンパーの圧接と硬化を別工程で行うことができる、光硬化性樹脂層とスタンパーの間に気泡が入り難いので正確にパターン形成できる、光硬化性樹脂層からスタンパーを引き剥がす時に樹脂層表面に糸引きが生じ難い等の利点がある。
【0005】
しかし、室温で高粘度又は固体の光硬化性樹脂組成物を用いる方法においては、未硬化の樹脂層からスタンパーを引き剥がすためスタンパーのキャビティ内に光硬化性樹脂組成物の一部が付着して残りやすい(版取られ現象)、複製すべき凹凸パターンが微細になるほどスタンパーのキャビティ内に光硬化性樹脂組成物が流れ込み難くなるため正確に賦型できない、未硬化の樹脂層からスタンパーを引き剥がした後で光照射するので硬化が完了するまでの間にパターン崩れを引き起こし易い等の問題がある。
【0006】
特開2000−63459号には、かさ高い基を有するウレタン変性アクリル系樹脂と離型剤とを必須成分として含有する光硬化性樹脂組成物が記載されている。この樹脂組成物によって上記諸問題を解決することはできた。
【0007】
しかしながら、近年では精密加工技術の向上に伴って非常に複雑な光学的微細凹凸パターンが形成されている。これらの複雑な光学的微細凹凸パターンによって、複雑なデザインのホログラムを形成したり、或いは、全光線及び/又は特定の波長の光の反射、透過、散乱、偏光、集光又は干渉等を高度に制御する光学素子、或いは、情報記録素子を形成することができる。しかし、このような複雑な微細凹凸パターンは、従来の比較的単純なホログラムと比べて、より凹凸のピッチが狭く、且つ/又は、より凹凸が深いため、正確に複製することが一層困難であり、しかも、従来の比較的単純なホログラムを複製する場合よりも、さらに高い精度で複製しなければ充分に機能を発揮できない。
【0008】
このような複雑な光学的微細凹凸パターンは、上記特開2000−63459号に記載された樹脂組成物をもってしても版取られ、樹脂の賦型性及びパターン崩れの問題を起こさず正確に複製することは非常に困難である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記実状に鑑みて成し遂げられたものであり、その第一の目的は、版取られが少なく、賦型性及び賦型維持性に優れ、微細凹凸パターンを有する表面構造を精度よく複製できる微細凹凸パターン形成材料、特に、近年の非常に複雑な微細凹凸パターンも正確に複製できる微細凹凸パターン形成材料を提供することにある。
【0010】
また、本発明の第二の目的は、上記材料を用いる微細凹凸パターン形成方法を提供することにある。
【0011】
また、本発明の第三の目的は、上記の微細凹凸パターン形成材料及び形成方法を用いた微細凹凸パターン転写箔、微細凹凸パターンを有する光学物品及びスタンパーを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を達成するために提供される本発明に係る微細凹凸パターン形成材料は、ポリスチレン換算重量平均分子量が5,000〜500,000であり、アクリル樹脂、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート、及びポリエーテルアクリレートから選ばれる少なくとも1種類のバインダーポリマーを含有し、溶剤含有量5重量%以下の状態において、周波数が10Hz、昇温速度が3℃/minの条件で測定した硬化前の動的貯蔵弾性率が、30℃において1×107Pa以上であり、且つ、60℃から80℃の全ての温度域において上記30℃における値の0.008倍〜0.8倍である硬化性樹脂組成物のみからなり、スタンパーを用いて微細凹凸パターンを形成するために用いられることを特徴とする。
【0013】
上記微細凹凸パターン形成材料は、30℃及び60℃〜80℃の全ての温度域における動的貯蔵弾性率を適切な範囲に調整することにより、支持体フィルム上に常温では高粘度又は固体状の流動しない微細凹凸パターン形成層を形成することができ、エンボス加工の際に加熱及び/又は加圧するとスタンパーのキャビティ内に容易に流れ込んで正確に賦型され、スタンパーからは版取られを起こさずにきれいに剥離することができ、スタンパーから取り出した後はパターン崩れを起こし難いので、非常に複雑な微細凹凸パターンでも非常に精度良く複製することができる。
【0014】
さらに上記微細凹凸パターン形成材料は、支持体フィルム上に常温では高粘度又は固体状の流動しない微細凹凸パターン形成層を形成することができ、未硬化の状態でロール状に巻き取ってもブロッキングを起こし難い。
【0015】
上記微細凹凸パターン形成材料を支持体上に塗布して形成した塗膜表面の水の接触角が硬化前において90°以上ある場合には、スタンパーからの離型性が良好となり、版取られ現象が起こり難くなるので好ましい。
【0016】
上記微細凹凸パターン形成材料としては、上記動的貯蔵弾性率の条件を満たす光硬化性樹脂組成物又は熱硬化性樹脂組成物を用いることができる。
【0017】
上記微細凹凸パターン形成材料の一態様においては、当該材料が上記動的貯蔵弾性率の条件を満たすための好適な材料として、分子中にウレタン結合を有する樹脂が用いられる。
【0018】
また、上記微細凹凸パターン形成材料の一態様においては、当該材料の動的貯蔵弾性率を調節するために、有機溶媒にコロイド状に分散させることが可能な無機微粒子を配合する。
【0019】
また、上記微細凹凸パターン形成材料にシリコーン系の離型剤を配合することによって、スタンパーを取り外す時の離型性を高めることができる。
【0020】
次に、本発明に係る微細凹凸パターン形成方法は、支持体上に少なくとも前記本発明に係る微細凹凸パターン形成材料からなる微細凹凸パターン形成層を設けた凹凸パターン受容体を用意し、その表面にスタンパーを圧接して凹凸パターンを形成した後、当該微細凹凸パターン形成層を硬化させることを特徴とする。
【0021】
上記微細凹凸パターン形成方法によれば、微細凹凸パターン形成層を設けた微細凹凸パターン受容体を未硬化の状態でロール状に巻き取ってもブロッキングを起こし難く、また、微細凹凸パターン形成層からスタンパーを剥離した後で硬化させることができるので、微細凹凸パターンを連続大量生産することが可能である。
【0022】
上記微細凹凸パターン形成方法の一態様においては、前記本発明に係る微細凹凸パターン形成材料をからなる微細凹凸パターン形成層を設けた微細凹凸パターン転写箔を用い、当該微細凹凸パターン転写箔の支持体上で硬化させた微細凹凸パターン形成層を第二の支持体上に転写することが可能である。
【0023】
本発明によれば、第一の支持体上に、少なくとも上記微細凹凸パターン形成材料からなる微細凹凸パターン形成層が転写可能に設けられている微細凹凸パターン転写箔を形成することが可能である。微細凹凸パターン転写箔を利用する場合には、複雑な表面形状の物品等の直接エンボス加工を行うことが困難な物品の表面や、ロール状に巻き取ることができないガラス、プラスチック、金属板等の支持体に、微細凹凸パターンを連続転写によって形成することが可能である。
【0024】
また、本発明によれば、レリーフホログラムや回折格子の微細凹凸パターンを複製できることは言うまでもなく、より高度な光学的機能を有する複雑な微細凹凸パターン、例えば、全光線及び/又は特定の波長の光の反射、透過、散乱、偏光、集光又は干渉の少なくとも一つを制御する光学素子や、情報記録素子等の微細凹凸パターンであっても精度良く且つエンボス加工により大量連続生産することが可能である。
【0025】
さらに本発明によれば、非常に高い精度で微細凹凸パターンを形成できるので、光学物品に付与すべき微細凹凸パターンを型にして相補的な凹凸パターンを複製し、これをスタンパーとして使用することが可能である。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下において本発明を詳しく説明する。本発明に係る微細凹凸パターン形成材料は、硬化前の動的貯蔵弾性率が、樹脂温度30℃において1×107Pa以上であり、且つ、60℃から80℃の温度域において上記30℃における値の0.008倍〜0.8倍である硬化性樹脂組成物からなるものである。
【0027】
なお、本発明において微細凹凸パターン形成材料の上記動的貯蔵弾性率は、微細凹凸パターン形成材料が溶剤を含有しない状態で且つ硬化していない状態で測定された値で特定される。凹凸パターンを形成する時の微細凹凸パターン形成材料は、溶剤を含有しておらず且つ硬化していない状態であり、このような凹凸パターンを形成する時の微細凹凸パターン形成材料の物性を反映させる必要があるからである。
【0028】
ただし、動的貯蔵弾性率を測定する時の微細凹凸パターン形成材料は、実用上乾燥したと認められる程度の溶剤の混入は許容される。一般的に、微細凹凸パターン形成材料中の溶剤の残留量が5重量%以下であれば、乾燥状態とみなすことができる。
【0029】
動的貯蔵弾性率は、動的粘弾性測定により測定される。高分子は、弾性的性質と粘性的性質を併せ持っているため、その物性を測定するのに粘弾性測定が適している。高分子の粘弾性測定法としては、静的及び動的測定法があるが、短時間での刺激−応答に関する粘弾性測定には、動的測定法が有利である。
【0030】
特に、線形領域の粘弾性測定の場合には、高分子に正弦的応力で、ある刺激を加えると、粘性的性質の寄与の大小に応じて応答である正弦的歪みに遅れδが生じる。高分子は完全弾性体であると、δ=0°であり、完全粘性体であるとδ=90°である。この値δによって、高分子の粘弾性挙動のうち、弾性に寄与する成分と粘性に寄与する成分を測定することができ、弾性の寄与する成分を動的貯蔵弾性率、粘性の寄与する成分を動的損失弾性率と呼ぶ。
【0031】
動的貯蔵弾性率は、温度及び周波数、昇温速度によって変化する。本発明者らは、周波数及び昇温速度を一定にして動的貯蔵弾性率の温度依存性を測定したところ、結果的に、特定温度における動的貯蔵弾性率と、微細凹凸パターン形成の精度との間に関係が認められた。本発明は、かかる知見に基づき、原則として周波数が10Hz、昇温速度が3℃/minの条件で動的貯蔵弾性率を測定する。
【0032】
本発明に係る微細凹凸パターン形成材料は、常温では固体状態であるが、加工時には加熱により液体状態に変化する材料である。温度依存性を測定する場合、測定試料に一定の昇温速度で温度が加わり加熱されていくが、測定温度範囲で固体から液体に相変化するような物質の測定には、スリットせん断用治具と呼ばれる治具を使用するのが適している。
【0033】
また、動的貯蔵弾性率を測定する際の温度条件は樹脂温度であるが、通常はサンプル樹脂を試験環境下に放置してから動的粘弾性測定を行うまでの間に、樹脂温度が試験条件での雰囲気温度と等しくなるので、試験条件での雰囲気温度を代用して樹脂温度として特定することができる。
【0034】
上記樹脂組成物の30℃における動的貯蔵弾性率が1×107Pa未満の場合には、塗工後に室温で巻取り保管した時にブロッキングを起こし易い。また、30℃における動的貯蔵弾性率が1×107Pa未満のもののなかには軟化温度が低いものがあり、後述する60℃から80℃の温度域における動的貯蔵弾性率の条件を満たしていても、複製時にパターン崩れや糸引きを起こす場合がある。
【0035】
上記樹脂組成物をエンボス加工する際には樹脂温度が60℃〜80℃又はその付近になっている。この温度範囲での動的貯蔵弾性率が、30℃における動的貯蔵弾性率の0.8倍よりも大きくなる場合には、上記樹脂組成物からなる微細凹凸パターン形成層にスタンパーを加熱圧接しても当該微細凹凸パターン形成層の表面が変形しにくいため、樹脂組成物がスタンパーのキャビティ内に充分に流れ込まず、微細凹凸パターンを形成できない。
【0036】
また、60℃〜80℃の温度範囲における動的貯蔵弾性率が、30℃における動的貯蔵弾性率の0.008倍に満たない場合には、上記樹脂組成物からなる微細凹凸パターン形成層からスタンパーを引き剥がした後で変形しやすいため、硬化完了前にパターン崩れを起こしてしまう。微細でアスペクト比が高い凹凸パターンを賦形する際には、パターン崩れ以前の問題としてスタンパーを引き剥がすことも困難となり、版取られが起こりやすい。
【0037】
これに対して、硬化性樹脂組成物の30℃及び60℃〜80℃における動的貯蔵弾性率を上記範囲に調整して用いる場合には、当該樹脂組成物がエンボス加工時にスタンパーのキャビティ内に充分に流れ込んで正確に賦型できるようになり、スタンパーを引き剥がす時に糸引きや版取られ現象を防止できるようになり、また、スタンパーを引き剥がした後にパターン崩れを防止できるため、非常に複雑な微細凹凸パターンでも非常に精度良く複製することが可能となる。
【0038】
上記硬化性樹脂組成物を支持体上に塗布して形成した塗膜表面の水の接触角が硬化前において90°以上ある場合には、スタンパーからの離型性が良好となり、版取られ現象が起こり難くなるので好ましい。
【0039】
本発明の微細凹凸パターン形成材料は、エンボス加工により形成した微細凹凸パターンを固定すると共に、強度等の充分な皮膜物性を得るために硬化性を必要とする。ここで、硬化性というのは、如何なる反応により硬化するものであってもよく、例えば、光硬化性や熱硬化性、化学反応による硬化反応等が挙げられる。微細凹凸パターン形成材料は、如何なる反応により硬化するものであってもよく、例えば光硬化性や熱硬化性の樹脂組成物を用いることができる。光硬化性樹脂組成物は、エンボス加工のプロセス温度よりも低い温度で硬化させることができ、硬化工程でのパターン崩れを起こし難いので好ましい。
【0040】
微細凹凸パターン形成材料は、バインダーポリマーに、必要に応じて光硬化性や熱硬化性等の硬化反応を引き起こし、促進し又は調節する成分及び他の成分を配合することにより調製され、調製時に硬化性樹脂組成物の動的貯蔵弾性率も調整される。
【0041】
バインダーポリマーは、それ自体が硬化性を有しているもの及び有していないもののいずれを用いてもよく、また、2種類以上のバインダーポリマーを組み合わせて用いても良い。バインダーポリマーが硬化性を有しない場合には、硬化性を有するモノマー又はオリゴマーを1種以上使用することで、樹脂組成物に硬化性を付与することができる。
【0042】
バインダーポリマーとしては、基材フィルム等の支持体上に塗布した時に微細凹凸パターンを賦形するのに充分な厚さの皮膜とすることができる成膜性を有すると共に、光硬化後において光学物品の用途に応じて、透明性、強度、耐擦傷性、耐熱性、耐水性、耐薬品性、基材に対する密着性、可とう性等の一般的性質を満足する微細凹凸パターンの表面構造を形成し得るポリマーを用いる。
【0043】
例えば、アクリル樹脂、ポリエステル、エポキシ樹脂、ポリオレフィン、スチロール樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリウレタン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリカーボネート、メラミン樹脂、尿素樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、セルロース樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアセタール樹脂等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0044】
適当なバインダーポリマーとしては、アクリル樹脂;ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエーテルアクリレート等のアクリレート;及び、特公平4−5681号公報に記載されているようなハードセグメントとソフトセグメントを分子内に有する樹脂等が好ましく用いられる。
【0045】
上記の中でも、アクリル樹脂、ウレタンアクリレート、及び、ポリエステルアクリレートは特に好ましい。
【0046】
アクリル樹脂は、分子内に少なくとも一つの(メタ)アクリロイル基を有するモノマーを重合させるか、又は、そのような(メタ)アクリロイル基含有モノマーの二種以上、或いは、そこにさらにビニルモノマーやアリルモノマー等のエチレン性不飽和結合を有するモノマーを加えて共重合又はグラフト重合させて得られるポリマーであれば、いずれも使用できる。
【0047】
なお、本明細書中において(メタ)アクリロイルはアクリロイル及びメタクリロイルを表し、(メタ)アクリレートはアクリレート及びメタクリレートを表し、(メタ)アクリルはアクリル及びメタクリルを表す。
【0048】
(メタ)アクリロイル基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸やメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;エトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;2−メトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコキシアルコキシアルキル(メタ)アクリレート;メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート等のアルコキシアルキレングリコール(メタ)アクリレート;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート;その他、アクリロニトリル、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、2−イソシアネートエチル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0049】
また、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルフォリン、アダマンチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシアダマンチル(メタ)アクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、4−ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルカプロラクトン、ジアリルフタレート、ジアリルイソフタレート等の環状構造を有するモノマー;ビスフェノキシエタノールフルオレンジ(メタ)アクリレート等のカルド構造を有するモノマー;(メタ)アクリロイル変性シリコーン、ビニル変性シリコーン等の離型性を有するモノマー等も挙げることができる。
【0050】
アクリル樹脂を構成する共重合モノマーとして、硬化性を有するモノマー、例えば、エポキシ基を有するモノマー、オキセタン化合物等の熱硬化性を有するモノマーや、光二量化反応を起こす基を有するモノマーを持つものを使用すれば、ポリマーに反応性を付与することができる。
【0051】
エポキシ基含有モノマーとしては、分子中に少なくともエポキシ基を一つ以上、及び、(メタ)アクリロイル基或いはビニル基、アリル基を一つ以上有するものであれば、いずれも使用できる。例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、β−メチルグリシジル(メタ)アクリレート等の脂肪族グリシジル(メタ)アクリレート;3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート等の脂環式グリシジル(メタ)アクリレート;ビニルグリシジルエーテル類;アリルグリシジルエーテル類等を挙げることができる。
【0052】
アクリル樹脂には、共重合の際のモノマーに光硬化性、熱硬化性等の硬化性を持つ(メタ)アクリレートを使用するほかに、さらに側鎖に官能基を導入して硬化性を付与することもできる。官能基を導入する方法としては、例えば、ウレタン変性、エポキシ変性、エステル変性等の方法がある。
【0053】
具体的にウレタン変性の場合には、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリレートをポリマー中に共重合させ、当該ポリマーの水酸基に、2−イソシアネートエチル(メタ)アクリレート等のイソシアネート基を一分子内に1つ以上有する(メタ)アクリレートを反応させて、(メタ)アクリロイル基を導入する。また、逆に、イソシアネート基を一分子内に一つ以上有する(メタ)アクリレートをポリマー中に共重合させ、当該ポリマーのイソシアネート基に、水酸基を一分子内に一つ以上有する(メタ)アクリレートを反応させて、(メタ)アクリロイル基を導入しても良い。
【0054】
エポキシ変性の場合には、(メタ)アクリル酸等のカルボキシル基を有する(メタ)アクリル系モノマーをポリマー中に共重合させ、当該ポリマーのカルボキシル基に、グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基を一分子内に1つ以上有する(メタ)アクリレートを反応させて、(メタ)アクリロイル基を導入する。
【0055】
アクリル樹脂の中では、特開2000−63459号公報に記載されているような下記式1で表されるウレタン変性アクリル樹脂が好ましい。
【0056】
【化1】
【0057】
(式中、Zはウレタン変性アクリル樹脂を改質するための基を表し、好ましくは嵩高い環状構造の基である。R1は夫々互いに独立して水素原子又はメチル基を表し、R2はC1〜C16の炭化水素基を表し、X及びYは直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基を表す。l(エル)とmとnとo(オー)とpの合計を100とした場合に、lは0〜90、mは0〜80、nは0〜50、o+pは10〜80、pは0〜40の整数である。)
上記式1におけるZは、上記のウレタン変性アクリル樹脂を改質するために導入することができ、Zを導入するための化合物としては、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルフォリン、アダマンチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシアダマンチル(メタ)アクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、4−ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルカプロラクトン、ジアリルフタレート、ジアリルイソフタレート、N−フェニルマレイミド、フタルイミド(メタ)アクリレート等の環状構造を有するモノマー;ビスフェノキシエタノールフルオレンジ(メタ)アクリレート等のカルド構造を有するモノマー;(メタ)アクリロイル変性シリコーン、ビニル変性シリコーン等の離型性を有するモノマー等を挙げることができる。Zは、上記のうちから選ばれた1種又は2種以上の化合物を用いて導入することができる。
【0058】
上記式1のウレタン変性アクリル系樹脂の好ましい1例としては、メチルメタクリレート0〜90モルと、嵩高い基を有するビニルモノマー0〜80モルとメタクリル酸0〜50モルと2−ヒドロキシエチルメタクリレート10〜80モルとを共重合して得られるアクリル共重合体であって、該共重合体中に存在している水酸基にメタクリロイルオキシエチルイソシアネート(2−イソシアネートエチルメタクリレート)を反応させて得られる樹脂を例示することができる。
【0059】
上記メタクリロイルオキシエチルイソシアネートは共重合体中に存在している全ての水酸基に反応している必要はなく、共重合体中の2−ヒドロキシエチルメタクリレート単位の水酸基の少なくとも10モル%以上、好ましくは50モル%以上がメタクリロイルオキシエチルイソシアネートと反応していればよい。上記の2−ヒドロキシエチルメタクリレートに代えて又は併用して、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の水酸基を有するモノマーも使用することができる。
【0060】
上記のウレタン変性アクリル系樹脂は、前記共重合体を溶解可能な溶剤、例えば、トルエン、ケトン、セロソルブアセテート、ジメチルスルフォキサイド等の溶媒に溶解させ、この溶液を撹拌しながら、メタクリロイルオキシエチルイソシアネートを滴下及び反応させることにより、イソシアネート基がアクリル系樹脂の水酸基と反応してウレタン結合を生じ、該ウレタン結合を介して樹脂中にメタクリロイル基を導入することができる。この際使用するメタクリロイルオキシエチルイソシアネートの使用量は、アクリル系樹脂の水酸基とイソシアネート基との比率で水酸基1モル当たりイソシアネート基0.1〜5モル、好ましくは0.5〜3モルの範囲になる量である。尚、上記樹脂中の水酸基よりも当量以上のメタクリロイルオキシエチルイソシアネートを使用する場合には、該メタクリロイルオキシエチルイソシアネートは樹脂中のカルボキシル基とも反応して−CONH−CH2CH2−の連結を生じることもあり得る。
【0061】
以上の例は、前記構造式において、全てのR1及びR2がメチル基であり、X及びYがエチレン基である場合であるが、本発明は、これらに限定されず、6個のR1は夫々独立して水素原子又はメチル基であってもよく、更にR2の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−又はiso−プロピル基、n−、iso−又はtert−ブチル基、置換又は未置換のフェニル基、置換又は未置換のベンジル基等が挙げられ、X及びYの具体例としては、エチレン基、プロピレン基、ジエチレン基、ジプロピレン基等が挙げられる。上記の嵩高い環状構造の基Zを有するモノマーとしては、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルフォリン、アダマンチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシアダマンチル(メタ)アクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、4−ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルカプロラクトン、ジアリルフタレート、ジアリルイソフタレート、N−フェニルマレイミド、フタルイミド(メタ)アクリレート等の環状構造を有するモノマー;ビスフェノキシエタノールフルオレンジ(メタ)アクリレート等のカルド構造を有するモノマー等の如く、嵩高い基を有するモノマーであることが好ましい。
【0062】
ウレタンアクリレートは、分子中にウレタン結合と、光重合性を有する(メタ)アクリロイル基を有するものであれば、いずれも使用できる。ウレタンアクリレートの中では、2個以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物と、2個以上の水酸基を有する化合物と、1個以上の水酸基及び1個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を反応させて得られるウレタンアクリレート、又は、2個以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物と、2個以上の水酸基及び1個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を反応させて得られるウレタンアクリレートが好ましい。
【0063】
ウレタンアクリレートの合成に用いる2個以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物としては、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、3,3−ジメチル−4,4−ジフェニレンイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,3−ビス(α,α−ジメチルイソシアネートメチル)ベンゼン、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0064】
また、下記式2a乃至2gで表されるイソシアネート化合物を使用することもできる。
【0065】
【化2】
【0066】
【化3】
【0067】
これらは単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0068】
ウレタンアクリレートの合成に用いる2個以上の水酸基を有する化合物としては、例えば、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールエタン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ジグリセロール、グリセリン、その他、数々のポリシロキサンポリオール、ポリ(オキシアルキレン)ポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエーテルポリエステルポリオール、ポリオレフィンポリオール、ポリ(アルキルアクリレート)ポリオール、ポリカーボネートポリオール等が挙げられる。
【0069】
ウレタンアクリレートの合成に用いる1個以上の水酸基及び1個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、5−ヒドロキシシクロオクチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェニルオキシプロピル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、イソシアヌル酸オキシエチルジ(メタ)アクリレート等の化合物が挙げられる。
【0070】
以上説明したウレタンアクリレートは、特開平3−19842号公報に記載の反応条件で上記の各成分を反応させることにより製造することができる。
【0071】
特に好ましく用いられるウレタンアクリレートとして、特開2001−329031号公報に記載されているタックフリーな皮膜を与える化合物がある。この化合物は、融点が40℃以上のイソシアネート化合物、特にイソホロンジイソシアネートの3量体と、(メタ)アクリロイル基を有していて且つイソシアネート基と反応し得る(メタ)アクリル化合物との反応生成物が挙げられる。
【0072】
ポリエステルアクリレートは、分子中にエステル結合と、光重合性を有する(メタ)アクリロイル基を有するものであれば、いずれも使用できる。ポリエステルアクリレートの中では、2個以上の水酸基を有する化合物又は環状エステル化合物と多塩基酸とから合成したポリエステル化合物に、さらに(メタ)アクリロイル基を持つ化合物を反応させて得られるポリエステルアクリレートが好ましい。
【0073】
ポリエステルアクリレートの合成に用いる2個以上の水酸基を有する化合物としては、上記ウレタンアクリレートの合成に用いるものと同じものを用いることができる。
【0074】
ポリエステルアクリレートの合成に用いる環状エステル化合物としては、例えば、ε−カプロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等のラクトン化合物、その誘導体、若しくは当該ラクトン化合物とグリシジルメタクリレート等のエポキシ化合物との付加反応生成物を挙げることができる。
【0075】
ポリエステルアクリレートの合成に用いる多塩基酸としては、例えば、アジピン酸、コハク酸、セバチン酸等の飽和多塩基酸;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸等の不飽和多塩基酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸等の芳香族多塩基酸を挙げることができる。
【0076】
これらの中でもウレタン変性アクリル樹脂やウレタンアクリレートは、ウレタン結合を多く持っているため凝集力が高く、樹脂組成物の動的貯蔵弾性率を好ましい範囲に調整しやすいので特に好ましい。
【0077】
バインダーポリマーは、ポリスチレン換算重量平均分子量が5,000〜500,000のポリマー成分であることが好ましい。上記分子量が5,000未満の場合には、充分な成膜性が得られないばかりでなく、塗工後に室温で巻取り保管した時にブロッキングを起こし易い。また、上記分子量が500,000を超える場合には軟化しにくいために賦型性が悪くなる。
【0078】
光硬化性を有する微細凹凸パターン形成材料を調製する場合には、上記したようなバインダーポリマーの中から光重合性官能基を有するか又は有しないバインダーポリマーを選び、必要に応じて光重合性官能基を有するモノマーやオリゴマー、光重合開始剤、重合禁止剤等の光硬化系成分を配合し、さらに離型剤、有機金属カップリング剤等の他の成分を配合して調製することができる。以下において、光硬化系成分について説明する。
【0079】
光重合性官能基は、可視光又は紫外線や電子線等の電離放射線を含む放射線により重合反応して分子間に架橋結合を形成し得る官能基であり、光照射により直接活性化して光重合反応を起こすものであってもよいし、光重合性官能基と光重合開始剤を共存させて光照射した時に光重合開始剤から発生した活性種の作用により重合反応が開始、促進されるものであってもよい。光重合性官能基としては、例えば、エチレン性二重結合のような光ラジカル重合反応性を有するものや、エポキシ基等の環状エーテル基のような光カチオン重合及び光アニオン重合反応性の有するものを例示することができ、その中でも光ラジカル重合性基、特にエチレン性二重結合が好ましい。エチレン性二重結合は、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等のいずれでもよく、中でも(メタ)アクリロイル基が好ましい。
【0080】
光硬化性樹脂組成物には、光硬化性の付与、当該樹脂組成物の粘度低下、柔軟性の付与、架橋密度の向上のために、光重合性官能基を1つ以上有する(すなわち単官能又は多官能の)モノマー又はオリゴマーを配合してもよい。
【0081】
単官能モノマーとしては、例えば、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ビニルピロリドン、(メタ)アクリロイルオキシエチルサクシネート、(メタ)アクリロイルオキシエチルフタレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0082】
多官能のモノマー又はオリゴマーとしては、例えば、2官能のモノマー、オリゴマーとしてはポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート等、3官能のモノマー、オリゴマー、ポリマーとしてはトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、脂肪族トリ(メタ)アクリレート等、4官能のモノマー、オリゴマーとしてはペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、脂肪族テトラ(メタ)アクリレート等が挙げられ、5官能以上のモノマー、オリゴマーとしてはジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の他、ポリエステル骨格、ウレタン骨格、フォスファゼン骨格を有する(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0083】
単官能、多官能のモノマー又はオリゴマーとしては、上記の(メタ)アクリレート類のほか、スチレン、ビニルトルエン、クロルスチレン、ブロモスチレン、ジビニルベンゼン、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン、N−ビニルピロリドン等のビニル化合物、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート、トリメチロールプロパンジアリル、ジアリルフタレート、ジメタクリルフタレート、ジアリルイソフタレート等のアリル化合物を用いることもできる。
【0084】
光カチオン重合反応を利用する場合には、分子内に一つ以上のエポキシ基を有するモノマー、或いは、分子内に一つ以上のエポキシ基と一つ以上の(メタ)アクリロイル基を有するモノマー、オキセタン化合物、ビニルエーテル類等を使用することができる。
【0085】
モノマー或いはオリゴマーの使用量が少なすぎる場合には、得られる硬化樹脂層の強度、耐熱性、耐擦傷性、耐水性、耐薬品性、基材に対する密着性が不充分となる場合がある。一方、モノマー或いはオリゴマーの使用量が多すぎる場合には、動的貯蔵弾性率の値が低くなって表面タックの増大、ブロッキング、複製時の版取られ等を引き起こす場合がある。かかる観点からモノマー又はオリゴマーは、光硬化性樹脂組成物の固形分全量中に5〜40重量%の割合で配合するのが好ましい。なお、光硬化性樹脂組成物の固形分には、溶剤以外の液状成分も含まれる。
【0086】
光硬化性樹脂組成物には、必要に応じて、使用する光源の波長に対して活性を有する光重合開始剤が配合される。光重合開始剤は、バインダーやモノマーの反応形式の違い(例えばラジカル重合やカチオン重合など)に応じて適切な活性種を発生させるものを用いる。
【0087】
光ラジカル開始剤としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、α−メチルベンゾイン、α−フェニルベンゾイン、アントラキノン、メチルアントラキノン、アセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトン、ベンジルジアセチルアセトフェノン、ベンゾフェノン、p−クロロベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、ジフェニルジスルフィド、テトラメチルチウラムスルフィド、α−クロルメチルナフタレン、アントラセン、ヘキサクロロブタジエン、ペンタクロロブタジエン、ミヒラーズケトン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパノン−1,2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン等がある。
【0088】
光カチオン開始剤としては、例えば、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ホスホニウム塩、混合配位子金属塩等が挙げられる。
【0089】
光アニオン開始剤としては、例えば、1,10‐ジアミノデカンや4,4’‐トリメチレンジピペリジン、カルバメート類及びその誘導体、コバルト‐アミン錯体類、アミノオキシイミノ類、アンモニウムボレート類等を例示することができる。
【0090】
上記光重合開始剤は、光硬化性樹脂組成物の固形分全量に対して0.5〜10重量%の割合で配合するのが好ましい。光重合開始剤は1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0091】
本発明の光硬化性樹脂組成物には、貯蔵安定性を向上させるために、重合禁止剤を配合してもよい。重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン、t−ブチルハイドロキノン、カテコール、ハイドロキノンモノメチルエーテル等のフェノール類;ベンゾキノン、ジフェニルベンゾキノン等のキノン類;フェノチアジン類;銅類等を用いることができる。重合禁止剤は、光硬化性樹脂組成物の固形分全量に対して0.1〜10重量%の割合で配合するのが好ましい。
【0092】
一方、熱硬化性を有する微細凹凸パターン形成材料を調製する場合には、上記したようなバインダーポリマーの中から熱重合性官能基を有するか又は有しないバインダーポリマーを選び、必要に応じて熱重合性官能基を有する成分、熱重合開始剤、硬化剤、安定化剤等の熱硬化系成分を配合し、さらに離型剤、有機金属カップリング剤等の他の成分を配合して調製することができる。以下において、熱硬化系成分について説明する。
【0093】
熱硬化性成分としては、熱によって架橋反応を起こす成分、或いは、ホルムアルデヒドや有機金属キレート剤等の架橋剤を添加することによって架橋反応を起こす成分ならいずれも用いることができる。樹脂系で言えば、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ウレタン樹脂、ジアリルフタレート樹脂等が挙げられる。
【0094】
中でも、エポキシ樹脂が好ましく用いられる。バインダーポリマーに混合される熱重合性成分としては、分子内に1つのエポキシ基を持つモノマー或いはオリゴマー、或いは分子内に2つ以上のエポキシ基を持つ(すなわち多官能の)エポキシ化合物等を使用することができる。
【0095】
また、分子内に1つ以上のエポキシ基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基のような重合性不飽和結合を有するモノマー又はオリゴマーを使用すれば、熱硬化性と光硬化性を有する樹脂組成物が得られる。
【0096】
エポキシ基含有モノマーとしては、グリシジル(メタ)アクリレート、β−メチルグリシジル(メタ)アクリレート等の脂肪族グリシジル(メタ)アクリレート;3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート等の脂環式グリシジル(メタ)アクリレート;ビニルグリシジルエーテル類;アリルグリシジルエーテル類等を挙げることができる。
【0097】
エポキシ基を有するオリゴマー或いはバインダーポリマーの一部としては、エポキシ樹脂、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリス−ヒドロキシ−フェニルメタン型エポキシ樹脂、その他の多官能型エポキシ樹脂等を用いることができる。また、これらの樹脂に含まれるエポキシ基の一部を(メタ)アクリロイルに置き換えたものを使用することもできる。
【0098】
さらに、熱硬化性エポキシ化合物と光硬化性成分の併用系では、モノマーとして1つ以上のカルボキシル基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基、ビニル基又はアリル基等の重合性不飽和結合を有する化合物を使用することができる。このような化合物は、1つ以上の水酸基と1つ以上の重合性不飽和結合を有するモノマーと酸無水物とのエステル化反応により得られる。例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレートと、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸等の酸無水物とのエステル化反応物が挙げられる。
【0099】
モノマー或いはオリゴマーの使用量が少なすぎる場合には、得られる硬化樹脂層の強度、耐熱性、耐擦傷性、耐水性、耐薬品性、基材に対する密着性が不充分となる場合がある。一方、モノマー或いはオリゴマーの使用量が多すぎる場合には、動的貯蔵弾性率の値が低くなって表面タックの増大、ブロッキング、複製時の版取られ等を引き起こす場合がある。かかる観点からモノマー又はオリゴマーは、熱硬化性樹脂組成物の固形分全量中に5〜40重量%の割合で配合するのが好ましい。なお、熱硬化性樹脂組成物の固形分には、溶剤以外の液状成分も含まれる。
【0100】
熱硬化性樹脂組成物に配合される硬化性成分の重合性官能基がエポキシ基である場合には、通常、酸無水物系硬化剤、ポリアミン系硬化剤、ポリフェノール系硬化剤、触媒型硬化剤等の硬化剤を配合する。
【0101】
酸無水物系硬化剤としては、無水マレイン酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水メチルヘキサヒドロフタル酸等の脂肪族ジカルボン酸無水物;無水フタル酸、無水トリメリット酸等の芳香族多価カルボン酸無水物等を挙げることができる。
【0102】
上記硬化剤は、熱硬化性樹脂組成物の固形分全量に対して0.1〜20重量%の割合で配合するのが好ましい。硬化剤は1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0103】
以上において特に光硬化系及び熱硬化系の構成成分について説明したが、硬化性樹脂組成物には、当該組成物の硬化方法に合わせて、適宜選択して反応開始剤、硬化剤、安定化剤等の硬化系を構成する添加剤を配合することができる。それらの添加剤は1種のみを単独で用いても良いし、2種以上を組合わせて用いてもよい。
【0104】
硬化性樹脂組成物には、離型剤や有機金属カップリング剤等のその他の成分を配合しても良い。
【0105】
硬化性樹脂組成物に離型剤を配合することにより、硬化性樹脂組成物の層に押し付けたスタンパーを取り外す時に樹脂の版取られを防止し、スタンパーを長期間連続して使用(反復エンボス性)することができるようになる。
【0106】
離型剤としては従来公知の離型剤、例えば、ポリエチレンワックス、アミドワックス、テフロンパウダー(テフロンは登録商標)等の固形ワックス、弗素系、リン酸エステル系の界面活性剤、シリコーン等が何れも使用可能である。
【0107】
特に好ましいのはシリコーン系離型剤であり、水の接触角を90°以上とすることも可能である。シリコーン系離型剤には、ポリシロキサン、変性シリコーンオイル、トリメチルシロキシケイ酸を含有するポリシロキサン、シリコーン系アクリル樹脂等がある。
【0108】
変性シリコーンオイルは、ポリシロキサンの側鎖及び/又は末端を変性したものであり、例えばアミノ変性、エポキシ変性、カルボキシル変性、カルビノール変性、(メタ)アクリル変性、メルカプト変性、フェノール変性、ポリエーテル変性、メチルスチリル変性、アルキル変性、フッ素変性等が挙げられる。一つのポリシロキサン分子に上記したような変性方法の2つ以上を行うこともできる。
【0109】
シリコーン系アクリル樹脂は、(メタ)アクリロイル変性シリコーンオイルや、ケイ素を含有するモノマーを共重合或いはグラフト化したアクリル樹脂が用いられる。
【0110】
上記シリコーン系離型剤は1種類のみ或いは2種類以上を組み合わせて添加することができる。
【0111】
離型剤は、硬化性樹脂組成物の固形分全量中に0.1〜30重量%の割合で配合するのが好ましい。離型剤の割合が上記範囲未満では、スタンパーと硬化性樹脂層の離型性が不十分となりやすい。一方、離型剤の割合が上記範囲を超えると組成物の塗工時のはじきによる塗膜面の面荒れの問題が生じたり、製品において基材自身及び近接する層、例えば、蒸着層の密着性を阻害したり、転写時に皮膜破壊等(膜強度が弱くなりすぎる)を引き起こす等の点で好ましくない。
【0112】
硬化性樹脂組成物には、微細凹凸パターンを有する表面構造の耐熱性、強度、或いは、金属蒸着層との密着性を高めるために、有機金属カップリング剤を配合してもよい。また、有機金属カップリング剤は、熱硬化反応を促進させる効果も持つため有効である。有機金属カップリング剤としては、例えば、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、ジルコニウムカップリング剤、アルミニウムカップリング剤、スズカップリング剤等の各種カップリング剤を使用できる。
【0113】
シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のビニルシラン;γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、
γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等のアクリルシラン;β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等のエポキシシラン;N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノシラン;及び、その他のシランカップリング剤として、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジエトキシシラン等が挙げられる。
【0114】
チタンカップリング剤としては、例えば、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル・アミノエチル)チタネート、ジクミルフェニルオキシアセテートチタネート、ジイソステアロイルエチレンチタネート等が挙げられる。
【0115】
ジルコニウムカップリング剤としては、例えば、テトラ−n−プロポキシジルコニウム、テトラ−ブトキシジルコニウム、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート、ジルコニウムジブトキシビス(アセチルアセトネート)、ジルコニウムトリブトキシエチルアセトアセテート、ジルコニウムブトキシアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)等が挙げられる。
【0116】
アルミニウムカップリング剤としては、例えば、アルミニウムイソプロピレート、モノsec−ブトキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムsec−ブチレート、アルミニウムエチレート、エチルアセトアセテエートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルキルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(アセチルアセトアセテート)等を挙げることができる。
【0117】
上記有機金属カップリング剤は、硬化性樹脂組成物の固形分全量中に0.1〜15重量%の割合で配合するのが好ましい。有機金属カップリング剤の割合が上記範囲未満では、耐熱性、強度、蒸着層との密着性の付与効果が不充分である。一方、有機金属カップリング剤の割合が上記範囲を超えると、組成物の安定性、成膜性が損なわれるおそれがある。
【0118】
硬化性樹脂組成物の動的貯蔵弾性率は、配合成分の種類、組み合わせ及び配合割合を変更することにより調節することが可能であり、例えば、ウレタン結合を多く持つポリマーやオリゴマーのように凝集力の高い樹脂をバインダー樹脂として用いる方法、有機溶媒にコロイド状に分散させることが可能な無機微粒子(例えば金属酸化物微粒子)、その中でも好ましくは嵩高い微粒子を添加する方法、或いは、微粒子同士で又はバインダーポリマー等の硬化性成分との間で共有結合等の化学結合を形成し得る微粒子を添加する方法、さらには、上記方法のうち2以上の任意の組み合わせが効果的である。
【0119】
本発明において硬化性樹脂組成物は、希釈溶剤を用いて塗工作業に用いられる濃度に最初から調製する場合のほか、溶剤を全く含有しないか或いは希釈溶剤を少量しか含有しない高濃度の状態で保存し、使用直前に希釈溶剤を加えて塗工作業に用いられる濃度に調節する場合があるが、いずれの場合であっても無機微粒子としては、最終的に希釈溶剤中でコロイド状の形態となって均一に分散させることが可能なものを用いる。
【0120】
無機微粒子の一部が水酸化物になっており、水が吸着して水和した構造をとっていると、希釈溶剤中でコロイド状の形態に分散させやすいので好ましい。また、希釈溶剤として有機溶剤を用いる場合には、無機微粒子の表面を疎水性処理することにより、コロイド状に分散させやすくなる。無機微粒子は、例えば、有機アミンや有機カルボン酸などの有機低分子成分で表面処理することにより疎水性を付与することができる。
【0121】
また、無機微粒子は、塗膜に充分な透明性を確保するために、いわゆる超微粒子サイズのものを用いる。ここで「超微粒子」とはサブミクロンオーダーの粒子のことであり、一般的に「微粒子」と呼ばれている数μmから数100μmの粒子径を有する粒子よりも粒子径の小さいものを意味している。本発明において用いられる無機微粒子の具体的なサイズは、硬化性樹脂組成物が適用される光学物品の用途及びグレードによっても相違するが、一般的には一次粒子径が1nm〜300nmの範囲のものを用いるのが好ましい。一次粒子径が1nm未満では、樹脂組成物のクリープ特性を充分に向上させることが困難になり、一方、一次粒子径が300nmを超えると、樹脂の透明性が損なわれ光学用物品の用途によっては透明性が不充分となる場合がある。
【0122】
無機微粒子の具体例としては、SiO2、TiO2、ZrO2、SnO2、Al2O3等の金属酸化物微粒子を挙げることができ、これらの中から上記したようにコロイド状分散可能で且つサブミクロンオーダーの粒子サイズを有するものを選択して用いるのが好ましく、特に、コロイダルシリカ(SiO2)微粒子を用いるのが好ましい。
【0123】
無機微粒子は、硬化性樹脂組成物の固形分全量中に1〜70重量%の割合で配合するのが好ましく、1〜50重量%の割合で配合するのが特に好ましい。無機微粒子の割合が1重量%未満では、樹脂組成物のクリープ特性を充分に向上させることが困難になり、一方、無機微粒子の割合が70重量%を超えると、脆質性が顕著になり、露光硬化後に充分な強度や表面硬度が得られにくくなる。
【0124】
無機微粒子は、どのような形状であってもよいが、針状等の嵩高い形状のものが好ましい。針状微粒子としては、例えば、太さが5〜20nmで、長さが40〜300nmのものを用いることができる。
【0125】
微粒子同士で又はバインダーポリマー等の硬化性成分との間で共有結合等の化学結合を形成させるため、表面に(メタ)アクリロイル基等の反応性官能基を導入した無機微粒子を使用することができる。
【0126】
硬化性樹脂組成物からなる本発明の微細凹凸パターン形成材料は、通常、希釈溶剤を用いて塗布液の状態に調製し、微細凹凸パターンの形成に用いる。上記したような各材料を、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロルベンゼン、テトラヒドロフラン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、酢酸エチル、1,4−ジオキサン、1,2−ジクロロエタン、ジクロルメタン、クロロホルム、メタノール、エタノール、イソプロパノール等、またはそれらの混合溶剤に溶解、分散することにより、本発明に係る微細凹凸パターン形成材料の塗布液を調製することができる。塗布液は、通常、固形分濃度が10〜50重量%程度となるように調節される。
【0127】
上記微細凹凸パターン形成材料を基材フィルム等の支持体の表面に塗布し、必要に応じて乾燥させて微細凹凸パターン形成材料の層(微細凹凸パターン形成層)を形成して凹凸パターン受容体を作製し、当該凹凸パターン受容体の微細凹凸パターン形成層表面にスタンパーを圧接してエンボス加工を行い、微細凹凸パターン形成層を露光又は加熱等の適切な方法で硬化させることにより、光学的機能を有する微細凹凸パターンを形成することができ、光学物品やスタンパーとして利用できる。
【0128】
支持体に微細凹凸パターン形成層を塗工する前後に、或いは、微細凹凸パターン形成層に微細凹凸パターンを形成する前後に、必要に応じてアンカー層、剥離層、金属薄膜層、オーバーコート層、感圧又は感熱接着剤層等の他の層を形成してもよい。
【0129】
微細凹凸パターン形成層は、スタンパーを圧接した状態で硬化させてもよいが、スタンパーを取り外した後で露光、加熱することも可能である。後者の方法は、微細凹凸パターン形成層を硬化工程に移す前にスタンパーを取り外し、取り外したスタンパーはエンボス工程で連続使用できるので連続生産性に優れている。
【0130】
また、本発明では、上記微細凹凸パターン形成材料が成膜性及び離型性に優れていることを利用し、基材フィルム上に微細凹凸パターン形成層を形成した中間積層体をロール状に巻き取って一時的に貯蔵し、別の場所へ運搬して巻き戻し、スタンピング及び硬化を行うことも可能である。
【0131】
さらにスタンピング及び硬化を行った中間積層体をロール状に巻き取って一時的に貯蔵し、別の場所へ運搬し巻き戻し、必要に応じて追加の光又は熱硬化工程を行って充分に硬化させたり、或いは、必要に応じて金属薄膜、オーバーコート層、感圧又は感熱接着剤層等を形成することが可能である。
【0132】
凹凸パターン受容体は、微細凹凸パターンの表面構造を付与すべき最終製品であってもよいが、中間的な転写媒体であってもよい。すなわち本発明においては、上記微細凹凸パターン形成材料を第一の支持体に塗布して微細凹凸パターン形成層を形成することで転写箔を作製し、この転写箔の微細凹凸パターン形成層に微細凹凸パターンを形成し、当該微細凹凸パターン形成層を硬化させた後で、第二の支持体(最終製品)上に転写することが可能である。転写箔を用いる場合には、最終製品の表面に直接エンボス加工を行う必要が無い、或いは、転写箔上に予め微細凹凸パターンを大量連続形成することができる等の利点があり、例えば、複雑な表面形状の物品等の直接エンボス加工を行うことが困難な物品の表面や、ロール状に巻き取ることができないガラス、プラスチック、金属板等の支持体に、微細凹凸パターンを連続転写によって形成することも可能である。
【0133】
本発明において微細凹凸パターン転写箔は、第一の支持体上に、少なくとも前記微細凹凸パターン形成材料からなり、且つ、第一の支持体から剥離して第二の支持体に転写することが可能な状態で微細凹凸パターン形成層が設けられている積層体であり、必要に応じて、上記微細凹凸パターン形成層に加えて剥離層、反射層、接着剤層或いはその他の層の1又は2以上を設けることができる。例えば図1に示すように、転写箔1は、支持体2上に剥離層3、微細凹凸パターン形成層4、反射層5、及び、接着剤層6を順次積層した構成としてもよい。
【0134】
転写箔を作製する場合の支持体としては、通常、可撓性のある基材フィルムが用いられ、強度や耐熱性等の点でポリエチレンテレフタレート等のプラスチックフィルムが適しているが、プラスチックフィルムに限られず、また、可撓性が無くてもよく、金属板や紙等の他の材質を支持体として利用してもよい。また、紙等の含浸性ある支持体を用いる場合には、支持体組織内に微細凹凸パターン形成層が含浸した状態で形成されてもよく、このような状態であっても支持体上に設けられた微細凹凸パターン形成層の一形態に含まれる。また、ホログラム等の微細凹凸パターンの大量生産性を考慮して基材フィルムとして連続フィルムを用いてもよいが、枚葉状の基材フィルムを用いてもよい。
【0135】
剥離層は、転写箔の剥離性や箔切れ性を向上させる目的で微細凹凸パターン形成層の下層に必要に応じて設けられ、転写箔から何らかの被転写面(第二の支持体)に微細凹凸パターン形成層と共に転写された後は最表面になる層である。剥離層としては、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、セルロース樹脂、シリコーン樹脂、塩化ゴム、カゼイン、各種界面活性剤、金属酸化物等の中から1種のみ選んで単独で又は2種以上を選んで混合して用いることができる。または、微細凹凸パターン形成層に使用する本発明の樹脂に、これらを添加剤として添加したものも、剥離層として用いることができる。
【0136】
反射層は、例えばレリーフホログラムを形成する場合に微細凹凸パターン上に設けられる。反射層として光を反射する不透明な金属薄膜を用いると不透明タイプのホログラムとなり、透明な物質でホログラム層と屈折率差がある反射層を設ける場合は透明タイプとなるが、どちらも使用できる。反射層は、微細凹凸パターン形成層の樹脂と屈折率の異なる透明材料を用いて形成することができる。この場合の屈折率は、微細凹凸パターン形成層の樹脂の屈折率より大きくても小さくてもよいが、屈折率の差は0.1以上が好ましく、より好ましくは0.5以上であり、1.0以上が最適である。
【0137】
金属薄膜は、例えば、Cr、Ti、Fe、Co、Ni、Cu、Ag、Au、Ge、Al、Mg、Sb、Pb、Pd、Cd、Bi、Sn、Se、In、Ga、Rb等の金属及びその酸化物、窒化物、硫化物等を単独若しくは2種類以上組み合わせた混合物からなり、化学蒸着や物理蒸着等の真空蒸着、昇華、スパッタリング、反応性スパッタリング、イオンプレーティング、電気メッキ等の公知の方法で形成できる。上記金属薄膜の中でもAl、Cr、Ni、Ag、Au等が特に好ましく、その膜厚は1〜10,000nm、望ましくは20〜200nmの範囲である。
【0138】
酸化チタン(TiO2)、硫化亜鉛(ZnS)、Cu・Al複合金属酸化物等の屈折率が比較的高い金属化合物は、粒子径が小さい場合には透明性も得られるので、透明タイプ反射層として好適に使用される。
【0139】
高屈折率膜は、高屈折率材料の塗工液を用いて形成することができ、例えば、高屈折率フィラーを分散した塗工液の塗工、金や銀のコロイド溶液の塗工、ゾルゲル反応に代表される有機金属化合物の加水分解重縮合反応による塗膜形成等により形成できる。
【0140】
また、接着剤層は、微細凹凸パターン形成層の転写性、及び、転写後における被転写面に対する密着性を向上させる目的で、或いは、エンボス加工後の微細凹凸パターン形成層の表面を反射膜や保護膜で被覆する場合には、これらの層に対する密着性を向上させる目的で微細凹凸パターン形成層の最表面に設けられ、微細凹凸パターン形成層と共に転写された後は最下層となる層である。
【0141】
接着剤層としては、感熱性接着性樹脂として公知のものを使用できる。例えば、ポリイソプレンゴム、ポリイソブチレンゴム、スチレンブタジエンゴム等のゴム系;ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ(メタ)アクリル酸プロピル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル、ポリ(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル等の(メタ)アクリル酸エステル系;ポリイソブチルエーテル等のポリビニルエーテル系;ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等のポリ塩化ビニル系;ポリアクリルアミド、ポリメチロールアクリルアミド等のポリアミド系;ポリ塩化ビニル等の塩化ビニル系;ポリビニルブチラール、酢酸ビニル/アクリル酸オクチル、酢酸ビニル/アクリル酸ブチル、塩化ビニリデン/アクリル酸ブチル等の他のビニル系;ポリスチレン等の芳香族ビニル系;及びポリ塩化オレフィン等が挙げられ、これらの中から1種のみ選んで単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0142】
本発明の微細凹凸パターン形成方法を、レリーフホログラムの転写箔を例にとって、転写箔の作製、微細凹凸パターンの複製及び転写の各段階に分けて、具体的に説明する。なお、使用される符号は図1を参照するためのものである。
【0143】
<転写箔の作製>
先ず、ポリエチレンテレフタレート等の連続プラスチックからなる基材フィルム2をロールストックから繰り出す。繰り出した基材フィルムの上に剥離剤の塗工液をロールコーターを用いて塗布し、次いで、前記塗工液に含まれている有機溶剤が飛散する温度、例えば、l00〜165℃に設定した加熱炉内に0.1〜1分間程度導いて乾燥させて、剥離層3を形成する。この剥離層3の上に、引き続き光硬化性樹脂組成物からなる微細凹凸パターン形成材料をロールコーターを用いて塗布し、次いで、組成物に含まれている有機溶剤が飛散する温度、例えば、l00〜165℃に設定した加熱炉10内に0.1〜1分間程度導いて乾燥させて微細凹凸パターン形成層4を形成して転写箔1を作製する。上記ロールコーター以外の塗工機としては、例えばグラビアコーター、カーテンコーター、フローコーター、リップコーター、ドクターブレードコーター等も使用できる。微細凹凸パターン形成層の厚さは、通常0.1〜5.0μm程度である。作製した転写箔1は再び巻き取られてロールストックとされ、保存又は運搬される。
【0144】
<微細凹凸パターンの複製>
次に、転写箔1をロールストックから繰り出し、微細凹凸パターン形成層の表面にレリーフホログラムのスタンパーを圧接してエンボス加工を行い、微細凹凸パターンを形成する。
【0145】
図2は、連続シート状の転写箔を用いて、微細凹凸パターンを連続生産する方法の一例を示した図である。図2において、連続シート状の転写箔1は、ロールストック7から巻き戻され、支持ローラ8により搬送されてエンボス工程に供給される。エンボス工程内の搬送路上には、例えば、レーザー光や電子線を用いて作った母型から引き続き作成したスタンパー9を周面に装着した金属ロ−ル10aとペーパーロール10bよりなる1対のエンボスローラー10が設置されている。なお、複製装置のエンボスローラーとしては、樹脂製版によりマスターホログラムから複製ホログラムを作成し、これをシリンダー上に貼り付けたものも使用できる。
【0146】
転写箔1がエンボスローラーの間を通過する時に、微細凹凸パターン形成層にスタンパーが圧接され、微細凹凸パターン4’が形成される。ホログラムパターンのエンボス加工は、例えば、熱ロール温度100〜200℃、プレス圧5×103〜5×106Paで行う。この範囲のプレス条件でエンボス加工を行う場合には、微細凹凸パターン形成層の樹脂温度が60〜80℃の温度域内又はその付近の温度に調節され、エンボス加工に適した動的貯蔵弾性率になる。熱ロール温度を上記範囲より高くすると、エンボス加工を高速で行うことができるが、基材フィルムのダメージが大きくなる。また、熱ロール温度を上記範囲より低くすると、樹脂温度を上昇させるのに時間がかかるので、エンボス工程が遅くなる。
【0147】
エンボス加工は片面エンボスで十分であるが、両面エンボスでもよい。エンボスに当たっては、エンボスロールの温度設定が重要であり、エンボス形状を再現する観点からは比較的高温で、比較的高い圧力でエンボスするのが好ましいが、エンボス版への付着を防止するためには比較的低い圧力でエンボスするのが好ましく、全く逆の関係となる。また、有効に作用する熱容量から考えた場合は、複製するフイルムの搬送速度も重要である。樹脂組成物のエンボスロールへの付着を低減するためには、上述した離型剤の選定も重要である。
【0148】
連続シート状の転写箔1がエンボスローラーの間を通過すると、エンボスローラーは、転写箔の供給速度に合わせて回転し、微細凹凸パターン形成層4上にエンボス加工が繰り返され、微細凹凸パターン4’が連続的に賦形される。
【0149】
転写箔1がエンボスローラーの間を通過すると、微細凹凸パターン形成層の微細凹凸パターンが賦形された部分はスタンパーから引き剥がされ、硬化工程が行われる。この例では、照射源11を用いて微細凹凸パターン形成層を光硬化させる。光照射や加熱等による凹凸パターン形成層の硬化は、スタンパーを圧接したままの状態で行なっても良いが、スタンパーを外した後で硬化を行うことにより、圧接工程と硬化工程を独立並行して行うことが好ましい。圧接工程と硬化工程を分離することにより、スタンパーの稼働率が高くなり、しかも、凹凸パターン形成層の表面に直接且つ均一に光照射を行うことにより硬化作業の効率も上がるので、生産性が高い。
【0150】
硬化に用いる光としては、高エネルギー電離放射線及び紫外線が挙げられる。高エネルギー電離放射線源としては、例えば、コッククロフト型加速器、ハンデグラーフ型加速器、リニヤーアクセレーター、ベータトロン、サイクロトロン等の加速器によって加速された電子線が工業的に最も便利且つ経済的に使用されるが、その他に放射性同位元素や原子炉等から放射されるγ線、X線、α線、中性子線、陽子線等の放射線も使用できる。紫外線源としては、例えば、紫外線螢光灯、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノン灯、炭素アーク灯、太陽灯等が挙げられる。
【0151】
微細凹凸パターンを形成し硬化させた後、微細凹凸パターン形成層の上には、必要に応じて、さらに金属蒸着層のような反射層5や、耐擦傷性や耐汚染性を高めるための透明保護膜を形成してもよい。例えば、アルミニウムを600Åの厚さに真空蒸着することで、反射層を形成することができる。
【0152】
また、微細凹凸パターン形成層の上に反射層や保護膜等の層を付加する場合には、さらにその上に接着剤層6を付加してもよい。例えば、アクリル系感熱シール剤をグラビアコートで塗工し、100℃で乾燥させ、乾燥膜厚を3g/m2の接着剤層を形成することができる。
【0153】
このようにして作製された連続シート状の転写箔1は、再び巻き取られてロールストック12とされ、保存又は運搬される。或いは連続シート状の転写箔1は、微細凹凸パターンの形成後に枚葉状に切断されてもよい。
【0154】
図3は、連続シート状の転写箔を用いて微細凹凸パターンを連続生産する別の方法を示した図である。図3において、連続シート状の転写箔1は、ロールストック7から巻き戻され、支持ローラ8により搬送されてエンボス工程に供給される。
【0155】
エンボス工程内の搬送路上には、作製すべき微細凹凸パターンを反転させたキャビティ形状を有するスタンパー9を360度全周に渡って装着した金属ローラー10aと、転写箔1が金属ローラー10aと密着する段階の前半(好ましくは密着を開始した直後)の位置において転写箔1を金属ローラー10aに押しつける圧接ローラー10cと、転写箔1が金属ローラー10aと密着する段階の後半(好ましくは密着が終了する直前)において転写箔1を金属ローラー10aに押しつける圧接ローラー10dよりなる一組のエンボスローラー10が設置されている。
【0156】
金属ローラー10aの回転軸は、転写箔1の搬送路の高さからオフセットされている。そのため、転写箔1は、金属ローラーの周面と線接触するのではなく、面接触し、スタンパー9による賦形を充分に行うことができる。転写箔1の搬送路と金属ローラー10aの高低差は、転写箔1が、金属ローラー10aの周面と広い面積で接触できるように調節することが好ましい。
【0157】
凹凸パターン形成層は、金属ローラー7a又は前半部の圧接ローラー7c、或いは、その両方を加熱する熱ロールにより軟化させることができる。この場合の熱ロール温度、プレス圧、凹凸パターン形成層の樹脂温度等の条件は、上述した図2と同様である。
【0158】
また、後半部の圧接ローラー10dを必要に応じて冷却ロールとすることで、軟化した凹凸パターン形成層を冷却し、エンボス加工後の形状維持性を改善することができる。
【0159】
転写箔1の微細凹凸パターン形成層は、スタンパーに圧接されている状態で照射源13により予備硬化させてもよい。微細凹凸パターン形成層をスタンパーに圧接した状態で光照射や過熱等により予備的に半硬化させることで、スタンパーを剥がした後、本硬化を行なうまでの間の型崩れが生じにくくなり、形状維持性を改善することができる。
【0160】
転写箔1が金属ローラー10aと後半の圧接ローラー10dの間を通過すると、微細凹凸パターン形成層の微細凹凸パターン4’が賦形された部分はスタンパーから引き剥がされ、硬化工程において照射源11を用いて微細凹凸パターン形成層を光硬化させる。
【0161】
<微細凹凸パターンの転写>
次に、微細凹凸パターンを形成した転写箔をロールストックから繰り出し、その微細凹凸パターン形成層の上に、第二の支持体の被転写面を向き合わせて重ね合せ、ホログラムを転写しようとする部分の転写箔を基材フィルム側から加圧ローラや加圧板で加熱・加圧して溶融接着させた後、転写箔を剥離することにより、微細凹凸パターンを有する微細凹凸パターン形成層が第二の支持体上に転写される。転写の際の温度及び圧力は、加圧方式(ロール式、スタンピング式)及び加圧時間等の加圧方法に関する要因のほか、支持体の材質と溶融温度、感熱接着剤の溶融温度、感熱接着剤と支持体材質の密着性等の要因によって条件が大きく異なってくるため、適宜調節する。
【0162】
このようにして転写工程が完了し、光硬化性樹脂組成物の硬化物からなると共に、レリーフホログラムの微細凹凸パターンを形成した表面構造を有する硬化樹脂層を備えた光学物品が得られる。
【0163】
本発明によれば、上記レリーフホログラムと同様の方法により又は上記方法を必要に応じて修正して、光硬化性又は熱硬化性等の樹脂組成物の硬化物からなると共に、様々な光学的機能を有する微細凹凸パターンを形成した表面構造を有する硬化樹脂層を備えた光学物品を作製することが可能である。
【0164】
従来、エンボス加工で複製されているホログラムの凹凸パターンは、幅(ピッチ)が約500〜1500nm及び幅に対する深さ(深さ/幅)が1/3以下程度であるものが一般的である。本発明によれば、このような凹凸パターンを複製できることは言うまでもなく、より高度な光学的機能を有する複雑な微細凹凸パターン、例えば、凹凸パターンの幅(ピッチ)が約200nm以下であったり、或いは、幅に対する深さ(深さ/幅)が1/2以上であるパターンを複製する場合でも、スタンパーの圧接時にキャビティ内に微細凹凸パターン形成材料を充分に流し込むことができ、スタンパーを引き剥がす時に版取られを起こさず、スタンパーを取り除いた後のパターン崩れも起こし難いため、微細凹凸パターンを精度良く且つエンボス加工により大量連続生産することが可能である。
【0165】
本発明の微細凹凸パターン形成材料を用いるエンボス加工により作製される光学物品としては、(1)セキュリティ用途で使用されるレリーフホログラムや回折格子、例えばクレジットカード、IDカード、商品券、紙幣等に付されるものや、(2)グラフィックアーツ及び意匠用途で使用されるレリーフホログラムや回折格子、例えば、いわゆるプリクラ等のアミューズメント商品又は景品、包装、葉書・封書、ノベルティグッズ等に付されるものや、(3)全光線及び/又は特定の波長の光の反射、透過、散乱、偏光、集光又は干渉の少なくとも一つを制御する光学素子、例えば、反射板、散乱板、偏光板、レンズ、波長選択素子、反射防止板、複屈折波長板、サブ波長構造を持つ光学素子等の光学素子等として用いられるものや、(4)情報記録素子、例えば、情報記録ホログラム、光カード、光ディスク等として用いられるもの等を挙げることができる。
【0166】
本発明は、レリーフホログラムや回折格子以上に複雑又は精密に光を制御する用途に適用可能であるが、レリーフホログラムや回折格子に適用する場合にも、ただ単に明るいホログラムを得るだけでなく、複雑なデザインをもつレリーフホログラムや回折格子を形成できる。
【0167】
さらに本発明によれば、非常に高い精度で微細凹凸パターンを形成できるので、光学物品に付与すべき微細凹凸パターンを型にして相補的な凹凸パターンを複製し、これをスタンパーとして使用することが可能である。
【0168】
【実施例】
(実施例1)
(1)ウレタン変性アクリルポリマーの製造
冷却器、滴下ロート及び温度計付きの2リットルの四つ口フラスコに、トルエン40g及びメチルエチルケトン40gをアゾ系の重合開始剤と共に仕込み、2−ヒドロキシエチルメタクリレート22.4g、メチルメタクリレート53.4g、イソボルニルメタクリレート13.9g、トルエン30g、及び、メチルエチルケトン20gの混合液を滴下ロートを経て、約2時間かけて滴下させながら100〜110℃の温度下で8時間反応させた後、室温まで冷却した。これに、2−イソシアネートエチルメタクリレート(昭和電工製、カレンズMOI)27.8g、トルエン20g及びメチルエチルケトン20gの混合液を加えて、ラウリン酸ジブチル錫を触媒として付加反応させた。反応生成物のIR分析により、2,200cm-1の吸収ピークの消失を確認し、反応を終了した。
【0169】
得られたウレタン変性アクリルポリマー溶液の固形分は40.3重量%、分子量はポリスチレン換算で30,000、炭素間二重結合(C=C)の導入量は12.5%であった。
【0170】
(2)光硬化性樹脂組成物の調製
上記ウレタン変性アクリルポリマー溶液及びその他の成分を下記配合割合で混合し、メチルエチルケトンで希釈して固形分濃度を20重量%に調節し、本実施例1の微細凹凸パターン形成用材料1を調製した。
【0171】
<微細凹凸パターン形成用材料1>
・ウレタン変性アクリルポリマー溶液:70重量部(固形分基準)
・ウレタンアクリレートオリゴマー(商品名:紫光UV−1700B、日本合成化学工業製):30重量部
・シリコーンレジン(商品名:X−21−3056、信越化学工業製):2.8重量部
・コロイダルシリカ(商品名:スノーテックスIPA−ST−UP、日産化学工業製):70重量部
・光重合開始剤(商品名:イルガキュア907、チバスペシャルティケミカルズ製):5重量部
(実施例2)
実施例1で製造したウレタン変性アクリルポリマー溶液及びその他の成分を下記配合割合で混合し、メチルエチルケトンで希釈して固形分濃度を20重量%に調節し、本実施例2の微細凹凸パターン形成用材料2を調製した。
【0172】
<微細凹凸パターン形成用材料2>
・ウレタン変性アクリルポリマー溶液:60重量部(固形分基準)
・ウレタンアクリレートオリゴマー(商品名:紫光UV−1700B、日本合成化学工業製):30重量部
・シリコーンレジン(商品名:X−21−3056、信越化学工業製):2.8重量部
・コロイダルシリカ(商品名:スノーテックスMEK−ST、日産化学工業製):300重量部
・光重合開始剤(商品名:イルガキュア907、チバスペシャルティケミカルズ製):10重量部
(実施例3)
実施例1で製造したウレタン変性アクリルポリマー溶液及びその他の成分を下記配合割合で混合し、メチルエチルケトンで希釈して固形分濃度を20重量%に調節し、本実施例3の微細凹凸パターン形成用材料3を調製した。
【0173】
<微細凹凸パターン形成用材料3>
・ウレタン変性アクリルポリマー溶液:40重量部(固形分基準)
・アクリル系グラフトポリマー(商品名:ケミトリー L−40M、綜研化学製):40重量部(固形分基準)
・多官能モノマー(商品名:KAYARAD DPHA、日本化薬製):10重量部
・シリコーンレジン(商品名:X−21−3056、信越化学工業製):1.0重量部
・光重合開始剤(商品名:イルガキュア907、チバスペシャルティケミカルズ製):4重量部
(実施例4)
実施例1で製造したウレタン変性アクリルポリマー溶液及びその他の成分を下記配合割合で混合し、メチルエチルケトンで希釈して固形分濃度を20重量%に調節し、本実施例4の微細凹凸パターン形成用材料4を調製した。
【0174】
<微細凹凸パターン形成用材料4>
・ウレタン変性アクリルポリマー溶液:20重量部(固形分基準)
・ポリメチルメタクリレート(商品名:ダイヤナール BR−85、三菱レイヨン製):60重量部
・多官能モノマー(商品名:KAYARAD TMPTA、日本化薬製):20重量部
・シリコーンレジン(商品名:X−21−3056、信越化学工業製):2.0重量部
・光重合開始剤(商品名:イルガキュア184、チバスペシャルティケミカルズ製):5重量部
(実施例5)
実施例1で製造したウレタン変性アクリルポリマー溶液及びその他の成分を下記配合割合で混合し、メチルエチルケトンで希釈して固形分濃度を20重量%に調節し、本実施例5の微細凹凸パターン形成用材料5を調製した。
【0175】
<凹凸パターン形成用材料5>
・ウレタン変性アクリルポリマー溶液:58重量部(固形分基準)
・ウレタンアクリレート(商品名:紫光UV−1700B、日本合成化学工業製):25重量部
・コロイダルシリカ(商品名:スノーテックスIPA−ST−UP、日産化学工業製):7.5重量部(固形分基準)
・シリコーンレジン(商品名:X−21−3056、信越化学工業製):5重量部
・光重合開始剤(商品名:イルガキュア907、チバスペシャルティケミカルズ):4重量部
(実施例6)
実施例1で製造したウレタン変性アクリルポリマー溶液及びその他の成分を下記配合割合で混合し、メチルエチルケトンで希釈して固形分濃度を20重量%に調節し、本実施例6の凹凸パターン形成用材料6を調製した。
【0176】
<凹凸パターン形成用材料6>
・ウレタン変性アクリルポリマー溶液:43重量部(固形分基準)
・アクリル系グラフトポリマー溶液(商品名:ケミトリーL−40M、綜研化学製):30重量部
・ウレタンアクリレート(商品名:紫光UV−1700B、日本合成化学工業製):18重量部
・シリコーンレジン(商品名:X−21−3056、信越化学工業製):5重量部
・光重合開始剤(商品名:イルガキュア907、チバスペシャルティケミカルズ):4重量部
(比較例1)
実施例1で製造したウレタン変性アクリルポリマー溶液及びその他の成分を下記配合割合で混合し、メチルエチルケトンで希釈して固形分濃度を20重量%に調節し、比較例1の微細凹凸パターン形成用材料C1を調製した。
【0177】
<微細凹凸パターン形成用材料C1>
・ウレタン変性アクリルポリマー溶液:80重量部(固形分基準)
・ウレタンアクリレートオリゴマー(商品名:紫光UV−1700B、日本合成化学工業製):20重量部
・シリコーンレジン(商品名:X−21−3056、信越化学工業製):1.4重量部
・光重合開始剤(商品名:イルガキュア907、チバスペシャルティケミカルズ製):5重量部
(比較例2)
実施例1で製造したウレタン変性アクリルポリマー溶液及びその他の成分を下記配合割合で混合し、メチルエチルケトンで希釈して固形分濃度を20重量%に調節し、比較例2の微細凹凸パターン形成用材料C2を調製した。
【0178】
<微細凹凸パターン形成用材料C2>
・ウレタン変性アクリルポリマー溶液:50重量部(固形分基準)
・ウレタンアクリレートオリゴマー(商品名:紫光UV−1700B、日本合成化学工業製):50重量部
・シリコーンレジン(商品名:X−21−3056、信越化学工業製):4.3重量部
・コロイダルシリカ(商品名:スノーテックスMEK−ST、日産化学工業製):500重量部
・光重合開始剤(商品名:イルガキュア907、チバスペシャルティケミカルズ製):12重量部
(比較例3)
実施例1で製造したウレタン変性アクリルポリマー溶液及びその他の成分を下記配合割合で混合し、メチルエチルケトンで希釈して固形分濃度を20重量%に調節し、比較例3の微細凹凸パターン形成用材料C3を調製した。
【0179】
<凹凸パターン形成用材料C3>
・ウレタン変性アクリルポリマー溶液:67重量部(固形分基準)
・多官能オリゴマー(商品名KAYARAD DPHA、日本化薬製):28重量部
・シリコーンレジン(商品名:X−21−3056、信越化学工業製):1重量部
・光重合開始剤(商品名:イルガキュア907、チバスペシャルティケミカルズ):4重量部
<評価項目>
(1)動的粘弾性測定
実施例1〜6、比較例1〜3の微細凹凸パターン形成用材料を、室温で乾燥させて溶剤を揮発させた後、室温で真空乾燥させた。動的粘弾性測定は、Rheogel-E4000((株)ユービーエム)を用い、液体せん断治具のスリット部位(隙間0.8mm、サイズ20×20mm)に上記乾燥試料を詰めて行った。測定条件は、基本周波数を10Hzとして、歪み波形を正弦波、歪み制御0.5μm(一定)とし、温度範囲を室温〜150℃、昇温速度を3℃/minとして測定した。各サンプルの動的貯蔵弾性変形率を第1表に示す。
【0180】
(2)接触角測定
実施例1〜6、比較例1〜3の微細凹凸パターン形成用材料を、ポリエステルフィルム上に膜厚2μmとなるように塗工し、100℃で乾燥させた。得られたフィルム上に純水を滴下し、その接触角を測定した。各サンプルの接触角を第2表に示す。
【0181】
(3)複製テスト
実施例1〜4、比較例1〜2の微細凹凸パターン形成用材料を、ポリエステルフィルム上に膜厚2μmとなるように塗工し、100℃で乾燥させた。このフィルムに、樹脂表面が約70℃になるように基材の裏面から熱を加え、ピッチが200nm、深さが80nmの単純回折格子が刻まれたニッケルスタンパを使用してエンボス加工を行った。エンボス加工したフィルムは、積算露光量800mJ/cm2で紫外線硬化させた。
【0182】
得られたフィルムの表面をAFM(原子間力顕微鏡)で観察し、回折格子の深さを測定した。AFMは、Nano Scope III型AFM(Digital Instruments製)を使用し、走査モードはタッピングモードで測定を行った。ニッケルスタンパに対して深さの再現率が85%以上のものを良好(○)、85%未満のものを不良(×)とした。
【0183】
また、エンボス加工後の形状を観察し、糸引き状の荒れのないものを良好(○)、あるものを不良(×)と評価した。また、版とられの有無を観察し、ニッケルスタンパ上に樹脂が残っていないものを良好(○)と評価した。評価結果を第3表に示す。
【0184】
【表1】
【0185】
【表2】
【0186】
【表3】
【0187】
(4)反射防止物品の複製
(4−1)複製用マスター版の作製
<マスター版(1)>
152.4mm(6インチ)角で6.35mm厚の合成石英の一面に金属クロム膜を形成したフォトマスク用の基板を用意し、その金属クロム膜上にポジ型のEBレジスト(商品名「ZEP7000」、日本ゼオン(株)製)をスピンコートしてレジスト層を形成した後、電子線描画装置にて縦横の周期300nmのメッシュ状の描画データを用いて描画し、所定の現像液を用い現像処理を施した。その結果、描画データのメッシュ開口領域に対応する領域が現像により開口したレジストパターン層が形成された。次いで、該レジストパターン層の開口部から露出している金属クロム膜を塩素系ガスを用いてドライエッチングして、該金属クロム膜を開口した。なお、金属クロム膜のドライエッチングにはUnaxis社製ドライエッチング装置「VERSALOCK 7000」を用いた。
【0188】
次いで、レジストパターン層と金属クロム層を耐エッチング層として、フッ素系ガスを用いて基板のドライエッチングを行い、凸部の山側が凹部の谷側よりも尖った所望の微細凹凸形状が形成された原型(マザー版)を得た。なお、基板のドライエッチングには、日本真空(株)製「MEPS-6025D」を用いた。
【0189】
キャビティ内面の形状は、高さHMINが250nm、周期PMAXが300nmの凸部が、図1の如く多数、縦横に正方格子状に規則正しく配列し、山側が谷側よりも尖った形状(高さH/2に於ける山側の幅Wt100nm、谷側の幅Wb200nm)の微細凹凸形状であった。
【0190】
次に、この原型から、電気めっき法によって、厚さ80μmのニッケルめっきプレートからなるシート状の複製型(マスター版(1))を作製し、スタンパーとして用いた。これは、谷側が山側よりも尖った形状を持つ。
<樹脂製マスター版(2)>
スタンパーとして用いるマスター版の複製を、原型から1回の複製操作で直接行なうのではなく、2回の複製操作で行なった。
【0191】
具体的には、先ず、上記マスター版(1)を複製型として、マスター版(1)の場合と同様に、電気めっき法によって厚さ80μmのニッケルめっきプレートからなるシート状のマスター版を作製した。
【0192】
次に、このマスター版を用いて2P法を行なった。すなわち、厚さ188μmのポリエチレンテレフタレートフィルム基材の片面に、電離放射線硬化性樹脂をポッティングした後、その樹脂塊の上からマスター版を押しつけて樹脂を版面に行き渡らせ、圧着させたままの状態で基材側から高圧水銀灯で紫外線を照射して樹脂を光重合により硬化させた後、マスター版を剥がし、シート状の樹脂製マスター版(2)を作製した。硬化後の樹脂膜厚は2μmであった。
【0193】
(4−2)凹凸パターン形成用材料5又は6を用いる複製
<エンボス加工>
厚み25μm、幅650mm、長さ3000mのポリエチレンテレフタラートのロール状フィルム(ダイヤホイルT600E、U−36(商品名):三菱ポリエステルフィルム製)のロール状フィルムに、グラビアコーターによって、上記凹凸パターン形成用材料5又は6を塗布し、次いで100℃に設定した加熱炉内で約30秒間乾燥させ、凹凸パターン形成層を形成して巻き取った。塗布量は、2g/m2であった。巻き取ったフィルムにブロッキングは起きていなかった。
【0194】
凹凸パターン形成層を形成した巻取り体を、微細凹凸パターンエンボス機のロールストックに設置した。マスター版(1)を金属ロールに巻きつけ、5kg/cm2、温度130〜150℃のヒートローラーで押圧することにより、微細凹凸パターンを形成した。エンボス速度を1m/min、3m/min、5m/minとして行った。低速の場合は温度を低めに調節し、高速の場合は高めに調節した。いずれの場合も、樹脂がマスター版に十分流れ込むことを、フィルムの裏面から確認し、また、樹脂がマスター版に移行しないような条件を選定することが必要である。
【0195】
マスター版(2)についても、同様のエンボスを行った。
【0196】
エンボス後、パターンから剥離して、続く紫外線照射ゾーンに導き、積算露光量が800mJになるような条件で硬化させ、巻き取った。
<反射率測定>
得られた微細凹凸パターンフィルムの裏面を遮光し、5°の入射角から可視光を入射し、その反対光の反射率(波長650nm)を測定した。反射率の値を第4表に示す(単位%)。
【0197】
エンボスを形成していないフィルムの反射率は、3.0%以上であり、凹凸パターンを形成することによって、反射防止性能を付与することができた。
【0198】
【表4】
【0199】
実施例5、6で作製した微細凹凸パターンをAFMによって観察した。いずれも、谷側よりも山側の方が尖っており、周期300nm、高さ200nm以上の規則的な凹凸が形成されていた。
【0200】
(4−3)凹凸パターン形成用材料C3を用いる複製
凹凸パターン形成用材料C3とマスター版(1)及び(2)を用いて、上記(4−2)と同様の方法で微細凹凸パターンの複製テストを行ったところ、同じ条件ではマスター版へ樹脂が移行してしまい、エンボスをすることができなかった。
【0201】
そこでマスター版(1)を用い、マスター版へ樹脂が移行しないような温度条件として、100℃にヒートロールを調整して速度5m/minエンボスを行ったところ、反射率は1.2%であった。ポリエチレンテレフタレートフィルムに比べ、反射率は低減されており、反射防止の効果が認められるが、実施例で作製したフィルムよりは反射率が高かった。実施例よりも反射率が高かった原因は、ヒートロールの温度が低くなったために凹凸パターン形成用材料がマスター版の内部へ充分に流れ込まなくなったためと考えられる。
【0202】
凹凸パターンをAFMで観察した結果、高さが125nm、周期300nmの凹凸であることが確認された。
【0203】
【発明の効果】
以上に述べたように、本発明に係る微細凹凸パターン形成材料は、30℃及び60℃〜80℃における動的貯蔵弾性率を適切な範囲に調整することにより、支持体フィルム上に常温では高粘度又は固体状の流動しない微細凹凸パターン形成層を形成することができ、エンボス加工の加熱にはスタンパーのキャビティ内に容易に流れ込んで正確に賦型され、スタンパーからは版取られを起こさずにきれいに剥離することができ、スタンパーから取り出した後はパターン崩れを起こし難いので、非常に複雑な微細凹凸パターンでも非常に精度良く複製することができる。
【0204】
また、本発明に係る微細凹凸パターン形成方法によれば、微細凹凸パターン形成層を設けた微細凹凸パターン受容体を未硬化の状態でロール状に巻き取ってもブロッキングを起こし難く、また、微細凹凸パターン形成層からスタンパーを剥離した後で硬化させることができるので、微細凹凸パターンを連続大量生産することが可能である。
【0205】
上記微細凹凸パターン形成材料は、支持体フィルム上に常温では高粘度又は固体状の流動しない微細凹凸パターン形成層を形成することができ、未硬化の状態でロール状に巻き取ってもブロッキングを起こし難いので、微細凹凸パターン転写箔を形成することも可能である。微細凹凸パターン転写箔を利用する場合には、生産性をさらに向上させることができる。
【0206】
本発明によれば、レリーフホログラムや回折格子の微細凹凸パターンを複製できることは言うまでもなく、より高度な光学的機能を有する複雑な微細凹凸パターン、例えば、全光線及び/又は特定の波長の光の反射、透過、散乱、偏光、集光又は干渉の少なくとも一つを制御する光学素子や、情報記録素子等の微細凹凸パターンであっても精度良く且つエンボス加工により大量連続生産することが可能である。
【0207】
さらに本発明によれば、非常に高い精度で微細凹凸パターンを形成できるので、光学物品に付与すべき微細凹凸パターンを型にして相補的な凹凸パターンを複製し、これをスタンパーとして使用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】微細凹凸パターン転写箔の一例についての模式的断面図である。
【図2】微細凹凸パターン作成方法の一例を説明するための図である。
【図3】微細凹凸パターン作成方法の一例を説明するための図である。
【符号の説明】
1…転写箔
2…支持体
3…剥離層
4…微細凹凸パターン形成層
4’…微細凹凸パターン
5…反射層
6…接着層
7…ロールストック
8…支持ローラー
9…スタンパー
10a…金属ローラー
10b…ペーパーローラー
10c…圧接ローラー
10d…圧接ローラー
11…照射源
12…ロールストック
13…照射源(予備硬化)
Claims (15)
- ポリスチレン換算重量平均分子量が5,000〜500,000であり、アクリル樹脂、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート、及びポリエーテルアクリレートから選ばれる少なくとも1種類のバインダーポリマーを含有し、溶剤含有量5重量%以下の状態において、周波数が10Hz、昇温速度が3℃/minの条件で測定した硬化前の動的貯蔵弾性率が、30℃において1×107Pa以上であり、且つ、60℃から80℃の全ての温度域において上記30℃における値の0.008倍〜0.8倍である硬化性樹脂組成物のみからなり、スタンパーを用いて微細凹凸パターンを形成するために用いられることを特徴とする、微細凹凸パターン形成材料。
- 前記硬化性樹脂組成物が光硬化性樹脂組成物である、請求項1に記載の微細凹凸パターン形成材料。
- 前記硬化性樹脂組成物が熱硬化性樹脂組成物である、請求項1に記載の微細凹凸パターン形成材料。
- 分子中にウレタン結合を有する樹脂を含有する、請求項1乃至3いずれかに記載の微細凹凸パターン形成材料。
- 有機溶媒にコロイド状に分散させることが可能な無機微粒子を含有する、請求項1乃至4いずれかに記載の微細凹凸パターン形成材料。
- シリコーン系の離型剤を含有する、請求項1乃至5いずれかに記載の微細凹凸パターン形成材料。
- 支持体上に少なくとも前記請求項1乃至6いずれかに記載の微細凹凸パターン形成材料からなる微細凹凸パターン形成層を設けた凹凸パターン受容体を用意し、その表面にスタンパーを圧接して凹凸パターンを形成した後、当該微細凹凸パターン形成層を硬化させることを特徴とする、微細凹凸パターン形成方法。
- 前記微細凹凸パターン形成層からスタンパーを取り除いた後に当該微細凹凸パターン形成層を硬化させる、請求項7に記載の微細凹凸パターン形成方法。
- 前記支持体上で硬化させた微細凹凸パターン形成層を第二の支持体上に転写することを特徴とする、請求項7又は8に記載の微細凹凸パターン形成方法。
- 第一の支持体上に、少なくとも前記請求項1乃至6いずれかに記載の微細凹凸パターン形成材料からなる微細凹凸パターン形成層が転写可能に設けられていることを特徴とする、微細凹凸パターン転写箔。
- 前記請求項1乃至6いずれかに記載の微細凹凸パターン形成材料の硬化物からなると共に微細凹凸パターンが形成された表面構造を備えることを特徴とする、光学物品。
- 前記微細凹凸パターンがレリーフ型ホログラム又は回折格子である、請求項11に記載の光学物品。
- 前記微細凹凸パターンが全光線及び/又は特定の波長の光の反射、透過、散乱、偏光、集光又は干渉の少なくとも一つを制御する光学素子である、請求項11に記載の光学物品。
- 前記微細凹凸パターンが情報を記録する構造である、請求項11に記載の光学物品。
- 前記請求項1乃至6いずれかに記載の微細凹凸パターン形成材料の硬化物からなると共に光学物品の微細凹凸パターンに相補的なパターンが形成された表面構造を備えることを特徴とする、スタンパー。
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