JP4248805B2 - 光硬化性樹脂組成物、シート、転写箔、微細凹凸パターン形成方法、及び光学用物品 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は表面にエンボス加工により微細凹凸パターンを形成するのに適した光硬化性樹脂組成物、該樹脂組成物を用いた微細凹凸パターン形成方法、及び光学用物品に関し、さらに詳しくは、光重合性官能基を有するバインダー樹脂の軟化開始温度を添加物により低下させることを可能にした光硬化性樹脂組成物及び微細凹凸パターン形成方法、及び光学用物品に関し、例えば、該光硬化性樹脂組成物を用いて形成した微細凹凸パターンを表面に有する反射、透過、散乱、偏光、集光、干渉等の光現象の少なくとも一つを制御する光学素子、さらに具体的には、レリーフ型ホログラム、回折格子、反射防止性能膜、散乱板、反射板等の光学用物品、及びその微細凹凸パターンの形成に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、光硬化性樹脂組成物(塗料)を、例えば、ポリエステルフィルム等のフィルム状支持体上に塗工して光硬化性樹脂組成物の層を形成し、この光硬化性樹脂組成物の層に各種微細凹凸パターンを付与した後、紫外線や電子線等の電離放射線を照射して露光し、該樹脂層を硬化させ、硬化した微細凹凸パターン面に金属蒸着や屈折率の異なる層を積層し、回折格子やレリーフホログラム等とする方法が行われている。
【0003】
前記微細凹凸パターンの付与方法としては、例えば、レリーフホログラムを形成する場合には、所望の微細凹凸パターンが形成されているマスターホログラムから作製したプレススタンパー(以下、単にプレススタンパーという)を用意しておき、このプレススタンパーを上記光硬化性樹脂組成物の層に重ねて加圧(エンボス加工)し、プレススタンパーの微細凹凸パターンを樹脂層に転写させ、その状態で露光して樹脂層を硬化させ微細凹凸パターンを固定している。このようにして多数のレリーフホログラムを形成する場合には、1個のプレススタンパーで多数のエンボス加工を行っている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
光硬化性樹脂組成物にエンボス加工が適用されるとき、該樹脂組成物が柔らかいことが必要である。しかしながら、室温で軟化し易い光硬化性樹脂組成物であるとフィルム状支持体上に光硬化性樹脂組成物の層を形成し、巻き取って巻取体としたものは、貼りついたりしてブロッキングが起こり易いため、保管することができないという不都合がある。したがって、室温では軟化し難い、即ち、固い光硬化性樹脂組成物を用いることが望まれる。
【0005】
一方、室温で軟化し難い光硬化性樹脂組成物を用いた場合にはエンボス時の加熱において熱が十分に該光硬化性樹脂組成物の層に伝わらないため、版の微細凹凸パターンが該光硬化性樹脂組成物の層の表面に正確に形成されないことがあり、このような樹脂組成物に微細凹凸パターンを付与するには温度をさらに高くし、及び/又は支持体の供給スピードを遅くすることが必要であるが、この場合、温度を高めることにより、版を傷めたり、フィルム状支持体を劣化させたり、また、微細凹凸パターン付与スピードを遅くすることにより生産効率が落ちるので好ましくない。
【0006】
そこで、本発明は、比較的低温で、比較的短時間でエンボスしても、従来の光硬化性樹脂組成物を用いた場合よりも正確な微細凹凸パターンが形成でき、しかも微細凹凸パターンの複製スピードが向上でき、且つ支持体上に光硬化性樹脂組成物の層を形成した巻取体等のシートにおいて室温でブロッキングの発生を防止することが可能な光硬化性樹脂組成物、該樹脂組成物を用いた微細凹凸パターン形成方法、巻取体等のシート、転写箔、及び光学用物品を提供することを目的とする。
【0007】
前記した問題点を解決するための本発明の光硬化性樹脂組成物は、必須成分として、(1)アクリル樹脂と、(2)光重合性官能基を有するウレタンアクリレート樹脂及び/又はポリエステルアクリレート樹脂とを含むバインダー樹脂と、(3)該バインダー樹脂の成膜性を高めるためのアルミニウムカップリング剤を含有させてなる光硬化性樹脂組成物であって、該アルミニウムカップリング剤は、アルコキシ基を有し、該アルコキシ基の一部又は全部がキレート化されているものであり、(4)前記(1)のアクリル樹脂と前記(2)のバインダー樹脂の性質は、前記(3)のアルミニウムカップリング剤を含まない前記(1)のアクリル樹脂と前記(2)のバインダー樹脂からなる光硬化性樹脂組成物を用いて塗膜を形成した場合に表面粗さの平均(Ra)が5.0nm以上となる性質であり、(5)前記光硬化性樹脂組成物は光学用物品の微細凹凸パターン形成に使用されるものであることを特徴とする。
【0008】
本発明の光硬化性樹脂組成物をフィルム状支持体に塗布したものは、露光前の未硬化状態においては、アルミニウムカップリング剤、特に、アルコキシ基を有し、該アルコキシ基の一部又は全部がキレート化されているアルミニウムカップリング剤によって、ブロッキングが防止される特徴がある。また、フィルム状支持体上に本発明の光硬化性樹脂組成物の層を形成したシートは、表面が平滑になるため、微細凹凸パターン形成工程における複製スピードが速くなる。
【0009】
本発明の光硬化性樹脂組成物をフィルム状支持体に塗布した後、露光によりバインダー樹脂を硬化させたものは、耐熱性、耐久性が向上する。また、硬化樹脂層が接触する前後の層、例えば、レリーフ型ホログラムを形成するための転写箔とした場合においては、金属蒸着層との密着性が改善され、転写性が良好となる。
【0010】
本発明の光硬化性樹脂組成物において、前記アルミニウムカップリング剤を含有しないときの前記(1)のアクリル樹脂と、前記(2)の光重合性官能基を有するウレタンアクリレート樹脂及び/又はポリエステルアクリレート樹脂との混合樹脂を塗工した場合に塗膜の表面粗さの平均(Ra)が好ましくは1.0nm以上であるとき、さらに好ましくは3.0nm以上であるとき、最も好ましくは5.0nm以上であるときに、光硬化性樹脂組成物中に前記アルミニウムカップリング剤を含有させると前記各効果は顕著に現れる。
【0011】
本発明で使用されるアクリル樹脂は、光学材料としての透明性、強度を発揮させ、凹凸パターンを熱プレスで成形する場合に熱可塑性を付与するために必要である。また、本発明で使用される光重合性を有するウレタンアクリレート及び/又はポリエステルアクリレートは、前記アクリル樹脂の性質に加えさらに強度、耐熱性、耐擦傷性、耐水性、耐薬品性を付与する目的で、架橋密度を高めるために、且つ光重合性を付与するために添加される。
【0012】
光硬化性樹脂組成物中にアルミニウムカップリング剤を含まない場合において、アクリル樹脂と、光重合性を有するウレタンアクリレート及び/又はポリエステルアクリレートとを混合した樹脂を塗布して塗膜を形成してなるシートは、重ねておくと、例えば、巻き取って巻取体としたものは、貼りついたりしてブロッキングが生じやすいが、本発明の光硬化性樹脂組成物は、前記アルミニウムカップリング剤を含有するので、本発明の光硬化性樹脂組成物を用い上記のようにして作製したシートはブロッキングの発生を防止できる。
【0013】
本発明においてアルミニウムカップリング剤が上記のようなブロッキングを防止できる作用については、恐らくバインダー樹脂とアルミニウムカップリング剤が相互作用し、分子鎖の大きいポリマー成分に分子量の小さいオリゴマー成分を結びつけるのにアルミニウムカップリング剤が結合成分として働き、オリゴマー成分が低温環境で溶けだすのを防いでいるためではないかと考えられる。
【0014】
また、本発明において前記アルミニウムカップリング剤を光硬化性樹脂組成物に含有させることにより、微細凹凸パターン形成処理前の塗膜表面が平滑になる効果がある。該効果は、相溶性の悪い樹脂に対してアルミニウムカップリング剤が相溶性を高め、塗膜の不均一性が抑制されるためではないかと考えられる。
【0015】
本発明において複製スピードが速くなる理由は、前記アルミニウムカップリング剤を光硬化性樹脂組成物に含有させることにより、フィルム状支持体上に形成した光硬化性樹脂組成物の層の表面が平滑になると、固さが均一になりスタンパーが適用しやすくなること、及び、アルミニウムカップリング剤を含有させた光硬化性樹脂組成物は軟化開始温度が低下するので、微細凹凸パターン形成処理時のスピードを高速化させることが可能となることによるためと思われる。
【0016】
本発明の光硬化性樹脂組成物のこのような特性を利用して、フィルム状支持体上に形成した本発明の光硬化性樹脂組成物の層に対して表面にエンボス版によりエンボス加工した後に、エンボス版から光硬化性樹脂組成物の層を形成したシートを剥離し、次いで、露光して、表面に微細凹凸パターンを有する樹脂硬化物の層を形成したシートを得るプロセスが可能となる。したがって、正確な微細凹凸パターンの形成において、凹凸形成と露光を同時に行えるように設計した大がかりな装置を使用しなくても、本発明の光硬化性樹脂組成物を用いれば、凹凸形成と露光について、別々に配置した装置を用いることができる特徴がある。
【0017】
該プロセスの採用は、エンボス加工及び露光をほぼ同時に行い、その後にエンボス版から表面に微細凹凸パターンを有する樹脂硬化物の層を形成したシートを剥離するプロセスに比べて、樹脂が未硬化の状態でエンボス版から剥離できるので、樹脂硬化物の層を形成したシートの剥離時に発生しやすい、樹脂硬化物の表面の傷を抑制できる。また、光硬化性樹脂組成物の層に対する露光は、フィルム状支持体を通して行うことなく、光硬化性樹脂組成物の層に対して直接行えるので、露光効率がよくなる。
【0018】
本発明の光硬化性樹脂組成物における軟化開始温度の低下とは、動的粘弾性測定方法によって求められる動的貯蔵弾性率の値から求めたときに、前記アルミニウムカップリング剤が含有されていない場合に比べて低下する軟化開始温度であり、望ましくは少なくとも2℃以上の低下である。
【0019】
軟化開始温度の低下の評価に用いられる前記動的粘弾性測定方法は次のようにして行われる。樹脂材料を、室温で乾燥させて溶剤を揮発させた後、室温で真空乾燥する。測定は動的粘弾性測定装置で行う。測定装置としては、例えば、Rheogel-E400((株)ユービーエム製)を使用することができる。測定装置の液体せん断治具のスリット部位(間隙0.8mm、サイズ20×20mm)に上記乾燥試料を詰めて行う。測定条件は、基本測定周波数を10Hz として、歪み波形を正弦波、歪み制御0.5μmとし、温度範囲を室温〜150℃、昇温速度を3℃/mimとして測定する。測定された動的貯蔵弾性率の値が、30℃の値よりも3%以上低下する点を、軟化開始温度とする。
【0020】
本発明の光硬化性樹脂組成物は、上記成分以外の任意成分として、非重合性透明樹脂、単官能又は多官能モノマー及び/又は単官能又は多官能オリゴマー、離型剤、光重合開始剤、重合禁止剤等を必要に応じて含有していてもよい。
【0021】
本発明のシートは、前記本発明の光硬化性樹脂組成物をフィルム状支持体に塗布し、乾燥するか又は乾燥しない状態のシートであることを特徴とする。一般的には連続シートであって、巻き取られているが、枚葉の形態であってもよい。本発明のシートは、未硬化の光硬化性樹脂組成物の層中に前記アルミニウムカップリング剤が含まれているので、保管中でもブロッキングが防止される。
【0022】
本発明の微細凹凸パターンの形成方法は、前記本発明の光硬化性樹脂組成物をフィルム状支持体の表面に塗布することにより光硬化性樹脂組成物の層を形成し、次いで、該光硬化性樹脂組成物の層の表面をエンボス加工及び露光をほぼ同時に行うことにより、表面に微細凹凸パターンを形成した硬化樹脂層とすることを特徴とする。別の本発明の微細凹凸パターンの形成方法は、前記本発明の光硬化性樹脂組成物をフィルム状支持体の表面に塗布することにより光硬化性樹脂組成物の層を形成し、該光硬化性樹脂組成物の層の表面をエンボス加工した後、露光して硬化させることを特徴とする。
【0023】
本発明の微細凹凸パターンの別の形成方法は、予め製造された前記シートを用いて形成することもできる。即ち、シートが巻取体である場合を例にすれば、巻取体の保管工程、巻取体から繰り出したフィルム状支持体上の光硬化性樹脂組成物の層の表面をエンボス加工及び露光をほぼ同時に行うことにより、表面に微細凹凸パターンを形成した硬化樹脂層としてもよい。巻取体を用いた別の本発明の微細凹凸パターンの形成方法は、巻取体における光硬化性樹脂組成物の層の表面をエンボス加工(エンボス工程)した後、微細凹凸パターンが形成された光硬化性樹脂組成物の層へ露光(露光工程)して光硬化性樹脂層を硬化させることにより、微細凹凸パターンを形成してもよい。
【0024】
本発明の微細凹凸パターンの形成方法は、前記光硬化性樹脂組成物を用いるので、前記した通り微細凹凸パターン形成処理を比較的低温で、高速化させて行うことができる。
【0025】
本発明の微細凹凸パターンの形成方法において、正確に凹凸が形成可能なエンボス時の加熱温度は、光硬化性樹脂組成物の層が形成されたフィルム状支持体の供給スピードとの関係によって定まる。また、フィルム状支持体の材質によって耐熱温度が異なるので、材質についても考慮して、加熱温度及びフィルム状支持体の供給スピードを適宜設定する必要がある。
【0026】
露光工程を微細凹凸パターン形成工程の後に行う場合には、エンボス装置から剥がした状態で光硬化性樹脂組成物の層側から直接、光を照射することができる。一方、本発明においては、微細凹凸パターン形成工程と露光工程はほぼ同時に行うこともできる。しかしながら、露光工程を微細凹凸パターン形成工程とほぼ同時に行う場合には、フィルム状支持体側からフィルム状支持体を透過させて露光を行うことになるので、紫外線等の光によりフィルム状支持体を劣化させたり、光がフィルム状支持体により吸収されてしまい、光照射が効率的でなかったりする。また、凹凸形成工程で使用する、例えば、エンボスローラーのプレススタンパーが樹脂で作成されている場合には、照射する紫外線等の光がプレススタンパーを劣化させる恐れがある。
【0027】
本発明の光学用物品は、前記光硬化性樹脂組成物を用いて形成された、表面が微細凹凸パターンを有する硬化樹脂層を備えることを特徴とする。本発明の光学用物品は、未硬化の光硬化性樹脂組成物の層がフィルム状支持体上に形成されてなるシート、好ましくは巻取体を用いて形成されていてもよい。
【0028】
本発明の表面が微細凹凸パターン構造を有する硬化樹脂層を備えた光学用物品は、反射、透過、散乱、偏光、集光、干渉等の光現象の少なくとも一つを制御する光学素子、具体的には、レリーフ型ホログラム、回折格子、反射防止性能膜、散乱板、反射板等の光学用物品とすることができる。
【0029】
本発明の表面が微細凹凸パターン構造を有する硬化樹脂層を備えた光学用物品は、該微細凹凸パターン構造を公知の手法に従って光学的に情報記録及び/又は読取することができる光学用物品(情報記録素子)とすることができる。
【0030】
本発明の転写箔は、前記光硬化性樹脂組成物を剥離層を介して、フィルム状支持体に塗布して光硬化性樹脂組成物の層を形成し、さらに光硬化性樹脂組成物の層と屈折率の異なる層、接着層の順に形成してなることを特徴とする。
【0031】
転写箔を用いて本発明の光学用物品を製造する方法は、(1)前記本発明の光硬化性樹脂組成物を剥離層を介して、フィルム状支持体に塗布して光硬化性樹脂組成物の層を形成し、(2)エンボス加工及び露光をほぼ同時に行うことにより、光硬化性樹脂組成物の層を硬化させて表面に微細凹凸パターンを形成し、(3)さらに、光硬化性樹脂組成物の層と屈折率の異なる層を形成し、(4)さらに、接着剤層を形成して転写箔とし、(5)得られた転写箔を被転写体に転写することを特徴とする。即ち、剥離層の部位でフィルム状支持体を剥離することにより、被転写体に転写して光学用物品とする。
【0032】
転写箔を用いて本発明の光学用物品を製造する方法の別の態様は、(1)前記本発明の光硬化性樹脂組成物を剥離層を介して、フィルム状支持体に塗布して光硬化性樹脂組成物の層を形成し、(2)エンボス加工した後、露光することにより、光硬化性樹脂組成物の層を硬化させて表面に微細凹凸パターンを形成し、(3)さらに、光硬化性樹脂組成物の層と屈折率の異なる層を形成し、(4)さらに、接着剤層を形成して転写箔とし、(5)得られた転写箔を被転写体に転写することを特徴とする。
【0033】
【発明の実施の形態】
本発明の光硬化性樹脂組成物及び微細凹凸パターンの形成方法について、好ましい実施の形態を挙げて更に説明する。
【0034】
アルミニウムカップリング剤
本発明で使用するアルミニウムカップリング剤は、光硬化性樹脂組成物の層を形成し、巻き取って巻取体としたときのブロッキングを防止するために添加される。また、該アルミニウムカップリング剤は、光硬化性樹脂組成物の軟化温度を低下させ、微細凹凸パターン形成処理時のスピードを高速化させるために添加される。
【0035】
本発明で使用するアルミニウムカップリング剤は、光硬化性樹脂組成物の全固形分に対して0.1〜20重量%であることが望ましい。アルミニウムカップリング剤の含有量が0.1重量%未満であると、ブロッキングを防止する効果がない。20重量%を超えると、光硬化性樹脂組成物及び光硬化性樹脂組成物の層を形成した巻取体の保存安定性が損なわれる。
【0036】
本発明で使用するアルミニウムカップリング剤は、特に、膜表面を平滑にする効果が良好である。
【0037】
Ra値が1nm以下の、平滑な膜面を形成する材料に対しては、有機金属カップリング剤による平滑効果はかなり小さい。しかし、アルコキシ基を有するアルミニウムカップリング剤を添加した場合は、より平滑面を作る効果が確認される。この効果は、バインダーとしてアクリル樹脂と、ウレタンアクリレート樹脂の組合せを選択した場合に、顕著に現れる。
【0041】
アルミニウムカップリング剤としては、例えば、アルミニウムイソプロピレート、モノsec−ブトキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムsec−ブチレート、アルミニウムエチレート、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルキルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(アセチルアセトアセテート)等を挙げることができる。アルミニウムカップリング剤の中でも、膜表面を平滑にする効果が特に優れているものには、アルコキシ基を持つものが挙げられる。しかし、アルコキシ基は反応性に富み、組成物の安定性が低下するため、いくつかはキレート化されているものが好ましい。
【0042】
光重合性官能基を有するバインダー樹脂
本発明において光重合性官能基を有するバインダー樹脂には、バインダー樹脂の少なくとも1種は、ポリスチレン換算重量平均分子量が、5,000〜600,000の範囲であることが望ましく、さらに好ましくは5,000〜300,000、最も好ましくは、5,000〜200,000である。ポリスチレン換算重量平均分子量が5,000未満であると、表面のタックを抑えることができないため好ましくなく、ポリスチレン換算重量平均分子量が大きくなるにつれて、スタンピングして形成された光学用物品の微細凹凸パターンの安定性が高くなる点においては好ましいが、600,000を超えると、バインダー樹脂の軟化開始温度が高くなりすぎ、熱加工適性が低下するため好ましくない。上記範囲の分子量のバインダー樹脂は、バインダー樹脂全体の20重量%以上を占めることが好ましい。
【0043】
任意成分として、上記範囲外の分子量のその他のバインダー樹脂成分を、必須のバインダー樹脂成分に添加してもよく、その他のバインダー樹脂成分には、ポリスチレン換算重量平均分子量5,000未満のものを用いてもよい。分子量5,000未満のバインダー樹脂は、樹脂の軟化開始温度を下げる目的で必要に応じて添加してもよいが、光硬化性樹脂組成物を用いて形成した巻取体に発生する恐れのあるタックを防止することを考慮すると、その他のバインダー樹脂成分の割合はバインダー樹脂全体の80重量%以下であることが好ましい。
【0044】
アクリル樹脂
本発明においてバインダー樹脂成分として使用されるアクリル樹脂は、光学材料としての透明性、強度、凹凸パターンを熱プレスで成形するための熱可塑性樹脂として使用される。
【0045】
一般的な(メタ)アクリレートモノマーを重合させて得られるポリマー、或いは(メタ)アクリレートモノマーとビニルモノマーを共重合させて得られるポリマーであれば、いずれも使用できる。例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ジメチルアクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等を重合したポリマーが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0046】
なお、本明細書で「…(メタ)アクリル酸」とは、「…アクリル酸又は、…メタクリル酸」を、「…(メタ)アクリレート」とは、「…アクリレート、又は…メタクリレート」を、「…(メタ)アクリロイル」とは、「…アクリロイル、又は…メタクリロイル」をそれぞれ意味する。
【0047】
微細凹凸パターンを形成するためには、微細凹凸パターンを形成したプレススタンパーによって、樹脂層がエンボスされた後、プレススタンパーに樹脂層が移行するのを防ぐため、離型性を付与する基を有するモノマーを共重合させることができる。例えば、(メタ)アクリロイル変性シリコーンオイル(樹脂)、ビニル変性シリコーンオイル(樹脂)等の重合性二重結合を有するシリコーンオイル(樹脂)、γ−(メタ)アルコキシプロピルトリメトキシシラン等のケイ素を含有するモノマー、2−(パーフルオロ−7−メチルオクチル)エチル(メタ)アクリレート等のフッ素を含有するモノマー等が挙げられる。
【0048】
光学材料としての強度、耐熱性、耐擦傷性、耐水性、耐薬品性を有し、加工のための柔軟性、熱可塑性を持たせるためには、特に、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル (メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、4−ビニルピリジン、アクリロイルモルフォリン、ビニルピロリドン、ビニルカプロラクトン等の嵩高い構造、環状構造等を有するモノマーを共重合させたものが好適である。
【0049】
中でも、好ましい1例として、メタクリル酸メチル20〜90モルとイソボルニルメタクリレート0〜80モルとメタクリル酸0〜50モルと2−ヒドロキシメチルメタクリレート10〜80モルとを共重合させて得られるアクリル共重合が好適である。
【0050】
しかし、このような、離型性を有する構造や、嵩高い構造、環状構造等を導入するとそれに伴い、塗工のための希釈溶剤に溶解し難くなったり、架橋密度を高めたり柔軟性を付与する目的で混合するウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレートとの相溶性が悪くなり、樹脂層を形成した際に、塗膜面の密度が高くなる。その結果、樹脂の透明性が失われたり、凹凸パターン形成のための熱加工性が悪くなったりすることがある。本発明はこのような場合に前記したとおり、有機金属カップリング剤、特に好ましくは、アルミニウムカップリング剤を光硬化性樹脂組成物中に加えることにより、アクリル樹脂と、光重合性官能基を有するウレタンアクリレート樹脂及び/又はポリエステルアクリレート樹脂との相溶性を高め、該光硬化性樹脂組成物により形成した塗膜面を平滑にさせている。
【0051】
光重合性官能基を有するウレタンアクリレート樹脂及び/又はポリエステルアクリレート樹脂
本発明においてバインダー樹脂成分として使用されるウレタンアクリレート樹脂及び/又はポリエステルアクリレート樹脂は、前記アクリル樹脂の強度、耐熱性、耐擦傷性、耐水性、耐薬品性の性質をさらに高めるため、及び架橋密度を高めるために、且つ光重合性を付与するために添加される。また、加工の柔軟性を付与することもできる。
【0052】
ウレタンアクリレートは、分子中にウレタン結合と、光重合性を有する(メタ)アクリロイル基を有するものであれば、いずれも使用できる。ウレタンアクリレートの中では、2個以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物と、2個以上の水酸基を有する化合物と、1個以上の水酸基及び1個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を反応させて得られるウレタンアクリレート、又は、2個以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物と、2個以上の水酸基及び1個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を反応させて得られるウレタンアクリレートが好ましい。
【0053】
融点が40℃以上のイソシアネート化合物、特にイソホロンジイソシアネートの3量体と、(メタ)アクリロイル基を有していて且つイソシアネート基と反応し得る化合物との反応生成物が特に好ましく、例えば、特開2001−329031に示されるウレタンアクリレートが好ましい。
【0054】
ウレタンアクリレートの合成に用いる2個以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物としては、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、3,3−ジメチル−4,4−ジフェニレンイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,3−ビス(α,α−ジメチルイソシアネートメチル)ベンゼン、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0055】
ウレタンアクリレートの合成に用いる2個以上の水酸基を有する化合物としては、例えば、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールエタン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ジグリセロール、グリセリン、その他、数々のポリシロキサンポリオール、ポリ(オキシアルキレン)ポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエーテルポリエステルポリオール、ポリオレフィンポリオール、ポリ(アルキルアクリレート)ポリオール、ポリカーボネートポリオール等が挙げられる。
【0056】
ウレタンアクリレートの合成に用いる1個以上の水酸基及び1個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、5−ヒドロキシシクロオクチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェニルオキシプロピル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートが挙げれらる。
【0057】
ポリエステルアクリレートは、分子中にエステル結合と、光重合性を有する(メタ)アクリロイル基を有するものであれば、いずれも使用できる。ポリエステルアクリレートの中では、2個以上の水酸基を有する化合物又は環状エステル化合物と多塩基酸とから合成したポリエステル化合物に、さらに(メタ)アクリロイル基を持つ化合物を反応させて得られるポリエステルアクリレートが好ましい。
【0058】
ポリエステルアクリレートの合成に用いる2個以上の水酸基を有する化合物としては、上記ウレタンアクリレートの合成に用いるものと同じものを用いることができる。
【0059】
ポリエステルアクリレートの合成に用いる環状エステル化合物としては、例えば、ε−カプロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等のラクトン化合物、その誘導体、若しくは該ラクトン化合物とグリシジルメタクリレート等のエポキシ化合物との付加反応生成物を挙げることができる。
【0060】
ポリエステルアクリレートの合成に用いる多塩基酸としては、例えば、アジピン酸、コハク酸、セバチン酸等の飽和多塩基酸;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸等の不飽和多塩基酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸等の芳香族多塩基酸を挙げることができる。
【0061】
上記したウレタン変性アクリル樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、及び、ポリエステルアクリレート樹脂は、硬化後において透明性、強度、耐擦傷性、耐熱性、耐水性、耐薬品性、フィルム状支持体に対する密着性、可撓性、フィルム状支持体の屈曲や伸縮に対する追従性に優れると共に、フィルム状支持体上に皮膜化してスタンパーにより凹凸パターンを賦型し得る充分な成膜性、柔軟性及びクリープ性を有しているので、本発明において好ましく用いられる。
【0062】
光重合官能性の単官能又は多官能モノマー、単官能又は多官能オリゴマー
本発明の光硬化性樹脂組成物の粘度を低下させたり、硬化後に得られる樹脂層の柔軟性や架橋密度を調整するために、本発明の光硬化性樹脂組成物に単官能又は多官能モノマー、単官能オリゴマー又は多官能オリゴマー、或いは通常の熱可塑性樹脂を配合してもよい。例えば、単官能ではテトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ビニルピロリドン、(メタ)アクリロイルオキシエチルサクシネート、(メタ)アクリロイルオキシエチルフタレート等のモノ(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート;2官能以上では、骨格構造で分類するとポリオール(メ夕)アクリレート(エポキシ変性ポリオール(メタ)アクリレート、ラクトン変性ポリオール(メタ)アクリレート等)、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、その他ポリブタジエン系、イソシアヌール酸系、ヒダントイン系、メラミン系、リン酸系、イミド系、フォスファゼン系、カルド系、ビスフェノール系、ビフェニル系等の骨格を有するポリ(メタ)アクリレートが挙げられ、そのほか、ビニル化合物、アリル化合物等の炭素間二重結合を持つ様々な紫外線、電子線硬化性である様々なモノマー、オリゴマー、ポリマーが利用できる。
【0063】
更に詳しく述べると、2官能のモノマー、オリゴマーとしてはポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−へキサンジオールジ(メタ)アクリレート等;3官能のモノマー、オリゴマー、ポリマーとしてはトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、脂肪族トリ(メタ)アクリレート等;4官能のモノマー、オリゴマーとしてはペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、脂肪族テトラ(メタ)アクリレート等が挙げられ、5官能以上のモノマー、オリゴマーとしてはジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の他、ポリエステル骨格、ウレタン骨格、フォスファゼン骨格を有する(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0064】
上記モノマー或いはオリゴマーの使用量は、バインダー樹脂100重量部当たり約30重量部以下の範囲で使用するのが望ましい。モノマー或いはオリゴマーの使用量が上記範囲を超えると表面のタックが高くなり、ブロッキングを引き起こす傾向が生じ、ホログラム等の複製時に版(プレススタンパー)に材料が一部残る(版取られ)ことにより反復エンボス性が低下する等の点で好ましくない。
【0065】
フィルム状支持体
本発明のシート、特に、巻取体、或いは転写体に用いられる、光硬化性樹脂組成物からなる層を支持するためのフィルム状支持体には、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリノルボルネン、トリアセチルセルロース等のフィルムが挙げられる。
【0066】
離型剤
樹脂組成物のエンボスローラヘの付着を低減するためには、離型剤を本発明の光硬化性樹脂組成物に添加してもよい。
【0067】
本発明で用いられる離型剤としては従来公知の離型剤、例えば、ポリエチレンワックス、アミドワックス、ポリテトラフルオロエチレンパウダー等の固形ワックス、フッ素系、リン酸エステル系の界面活性剤、シリコーン等が何れも使用可能である。特に好ましい離型剤として、変性シリコーンオイル、トリメチルシロキシケイ酸を含有するメチルポリシロキサン、シリコーングラフトアクリル樹脂等が挙げられる。
【0068】
変性シリコーンオイルは、アミノ変性、エポキシ変性、カルボキシ変性、カルビノール変性、メタクリル変性、メルカプト変性、フェノール変性、ポリエーテル変性、メチルスチリル変性、アルキル変性、フッ素変性等が挙げられる。それぞれ、ポリシロキサンの側鎖及び/又は末端に導入される。これらのうち、2種以上を選んで変性することもできる。
【0069】
上記シリコーンオイルの中でも、被膜形成成分と反応性である基を有する種類の反応性シリコーンオイルは、樹脂層の硬化とともに樹脂に反応して結合するので、後に凹凸パターンが形成された樹脂層の表面にブリードアウトすることがなく、特徴的な性能を付与することができる。特に、蒸着工程での蒸着層との密着性向上には有効である。
【0070】
光重合開始剤
本発明において、光硬化性樹脂組成物を紫外線によって硬化させる場合には、該組成物に光重合開始剤を添加することが必要であり、一方、電子線によって硬化を行なう場合には光重合開始剤は不要である。光重合開始剤としては、従来の紫外線硬化型塗料の光重合開始剤として用いられている各種の光重合開始剤、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、α−メチルベンゾイン、α−フェニルベンゾイン等のベンゾイン系化合物;アントラキノン、メチルアントラキノン等のアントラキノン系化合物;ベンジル:ジアセチル;アセトフェノン、ベンゾフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のフェニルケトン化合物;ジフェニルジスルフィド、テトラメチルチウラムスルフィド等のスルフィド化合物;α−クロロメチルナフタレン;アントラセン及びヘキサクロロブタジエン、ペンタクロロブタジエン等のハロゲン化炭化水素、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパノン−1,2−ヒドロキシ2−メチル1−フェニルプロパン1−オン、1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン1−オン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド等が挙げられる。このような光重合開始剤はバインダー樹脂100重量部当たり約0.5〜10重量部の範囲で使用することが好ましい。
【0071】
重合禁止剤
本発明の光硬化性樹脂組成物は、上記の各成分に加えて、ハイドロキノン、t−ブチルハイドロキノン、カテコール、ハイドロキノンモノメチルエーテル等のフェノール類;ベンゾキノン、ジフェニルベンゾキノン等のキノン類;フェノチアジン類:銅類等の重合禁止剤を配合すると貯蔵安定性が向上する。
【0072】
溶剤
本発明の光硬化性樹脂組成物は、適当な有機溶剤に溶解して使用する。使用する溶剤としては、組成物のそれぞれが溶解する有機溶剤であればいずれも使用できるが、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のセロソルブ系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤、イソプロパノール等のアルコール溶剤等が挙げられる。塗工性、乾燥性、溶剤性を考慮して、必要に応じてこれらの溶剤を混合して使用することができる。
【0073】
ホログラム複製装置
図1は本発明の微細凹凸パターン形成方法に用いるホログラム複製装置の構成例である。図1のホログラム複製装置10には、ベッド13に固定された一対の本体フレーム12に、給紙装置20、転写装置30、照射装置50、巻取装置60が順次配設されている。該給紙装置20には、本発明の光硬化性樹脂組成物の層が支持体フィルム上に形成されてなるホログラム形成用フィルム1が巻取ローラ21に巻き取られた巻取体が装着されている。該転写装置30には、給紙装置20から繰り出されるホログラム形成用フィルム1を加熱圧着することができる加熱圧着ローラ40と、表面にホログラム原版が設けられたエンボスローラ31が装着されている。照射装置50は、転写装置30から送り出されるホログラム形成用フィルム1に紫外線又は電子線を照射してホログラム層を硬化させることができる。巻取装置60はホログラム層の硬化が完了したホログラムシートを巻き取ることができる。
【0074】
ホログラム複製装置10のエンボスローラ31には、レーザー光を用いて作ったマスターホログラムから引続き作成したプレススタンパーが装着されている。プレススタンパーには、樹脂製版にマスターホログラムから複製ホログラムを作製し、これをシリンダー上に貼り付けたものも使用できる。
【0075】
露光に用いる光
本発明の光硬化性樹組成物の硬化に用いる光としては、紫外線や電子線の、電離放射線が挙げられる。例えば、コッククロフト型加速器、ハンデグラーフ型加速器、リニヤーアクセレータ、ベータトロン、サイクロトロン等の加速によって加速さた電子線、γ線、X線、α線、中性子性、陽子線等の放射線、紫外線蛍光灯、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノン等、炭素アーク等、太陽灯等が挙げられる。
【0076】
微細凹凸パターンの形成された光学用物品
本発明の光硬化性樹脂組成物(塗料)を、例えば、ポリエステルフイルム等の支持体上に塗工して光硬化性樹脂組成物の層を形成し、この光硬化性樹脂組成物の層にエンボス加工により各種凹凸パターンを付与した後、或いは付与しながら、紫外線や電子線の電離放射線を露光することにより硬化させて硬化樹脂層とし、その後形成された凹凸パターン面に金属蒸着や屈折率の異なる層を積層し、全光線及び/又は特定の波長の光反射、透過、散乱、偏光、集光又は干渉の少なくとも一つを制御する光学素子、例えば、回折格子やレリーフホログラム等の本発明の光学用物品を作製することができる。
【0077】
ホログラムは一般的には透過型であるため、凹凸パターンを形成した面に反射膜として屈折率の異なる層を設ける必要がある。反射膜として、光を反射する膜を用いると不透明タイプのホログラムとなり、透明な物質でホログラム層と屈折率差がある反射膜を設ける場合は透明タイプとなる。
【0078】
反射膜として用いられる金属薄膜は、昇華、真空蒸着、スパッタリング、反応性スパッタリング、イオンプレーティング、電気メッキ等の公知の方法で形成可能である。
【0079】
金属薄膜としては、例えば、Cr、Ti、Fe、Co、Ni、Cu、Au、Ge、Al、Mg、Sb、Pb、Pd、Cd、Bi、Sn、Se、In、Ga、Rb等の金属及びその酸化物、窒化物、硫化物等を単独もしくは2種以上を組み合わせて形成される薄膜を用いることができる。
【0080】
また、高屈折率材料のコーティングによっても金属薄膜を形成することが可能で、例えば、高屈折率フィラーを分散した塗工液の塗工、金や銀のコロイド溶液の塗工、ゾルゲル反応に代表される有機金属化合物の加水分解重縮合反応による塗膜形成等が挙げられる。
【0081】
本発明の光学用物品を作製には、予め作製しておいた前記シート、例えば、巻取体を使用して作製することもできる。このような巻取体は、本発明の光硬化性樹脂組成物をフィルム状支持体に塗布し、乾燥するか又は乾燥しないで巻き取られている巻取体とすることにより、ブロッキングが防止されているものであり、該巻取体の未硬化の光硬化性樹脂組成物の層の表面にエンボス加工により各種凹凸パターンを付与した後、或いは付与しながら、露光することにより硬化させて、表面に微細凹凸パターンを形成した硬化樹脂層とした本発明の光学用物品とすることができる。
【0082】
塗布及び乾燥時に塗布層の表面側に局在するような溶剤系を用いて塗布及び乾燥することもブロッキング防止には更に有効であり、又、複製時の反復エンボス性を高めるためにも有効である。
【0083】
転写箔
本発明の転写箔の層構成に用いられる、剥離層には、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、セルロース樹脂、シリコーン樹脂、塩化ゴム、カゼイン、各種界面活性剤、金属酸化物等を1種又は2種以上組合せたものを用いて形成する。該剥離層を設けることにより被転写体に転写箔を圧着した場合に、剥離層においてフィルム状支持体を剥離除去することができる。
【0084】
本発明の転写箔の層構成に用いられる、接着層としては、公知の接着剤、感熱性接着剤、感圧性接着剤、硬化性接着剤を使用することができる。例えば、感熱性接着剤としては、ポリイソプレンゴム、ポリイソブチレンゴム、スチレンブタジエンゴム等のゴム系、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレート、ポリプロピル(メタ)アクリレート、ポリブチル(メタ)アクリレート等のアルキルアクリレート系、ポリイソブチルエーテル等のポリビニルエーテル系、ポリアクリルアミド、ポリメチロールアクリルアミド等のポリアミド系、その他、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリスチレン、またはこれらの共重合体が挙げられ、これらの中から1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0085】
本発明の転写箔は、硬化樹脂層が、硬化樹脂層と接する金属蒸着層や、前後層と十分に密着するので、転写時に硬化樹脂層が接するこれらの層において剥がれるような剥離不良が起こらず、良好に転写することが可能である。また本発明の転写箔は、転写物の耐熱性、耐久性が高くなるため、例えば、クレジットカードやIDカード等のセキュリティに使用される場合や、ホログラムに情報を記録した場合、光学素子として利用する場合に求められる耐熱性、耐久性に耐えるものが得られる。
【0086】
【実施例】
〔実施例1〕
1.アクリル樹脂の合成
冷却器、滴下ロート及び温度計付きの2リットル四つ口フラスコに、トルエン40g及びメチルエチルケトン40gをアゾ系の開始剤とともに仕込み、2−ヒドロキシエチルメタクリレート20.8g、メチルメタクリレート39.0g、イソボルニルメタクリレート45.0g、トルエン20g及びメチルエチルケトン20gの混合液を滴下ロートから、約2時間かけて滴下させながら100〜110℃の温度下で8時間反応させた後、室温まで冷却した。得られた樹脂溶液の固形分は45.0重量%、ポリスチレン換算重量平均分子量は26000であった。
【0087】
2.樹脂組成物の調製
組成物A及び組成物Bについて下記の各成分を用意した。
【0088】
組成物Aの成分
前記「1.アクリル樹脂の合成」で得られた樹脂溶液(固形分基準) 75重量部
多官能ウレタンアクリレート(紫光UV−1700B:商品名、日本合成化学工業製) 25重量部
トリメチルシロキシケイ酸含有メチルポリシロキサン(X−21−5766:商品名、信越化学工業製) 1重量部
光重合開始剤(イルガキュア907:商品名、チバスペシャルティケミカルズ製) 4重量部
【0089】
組成物Bの成分
前記「1.アクリル樹脂の合成」で得られた樹脂溶液(固形分基準) 70重量部
多官能ウレタンアクリレート(紫光UV−1700B:商品名、日本合成化学工業製) 30重量部
トリメチルシロキシケイ酸含有メチルポリシロキサン(X−21−5766:商品名、信越化学工業製) 1重量部
光重合開始剤(イルガキュア907:商品名、チバスペシャルティケミカルズ製) 4重量部
【0090】
光硬化性樹脂組成物A−1及びB−1の調製
前記組成物A及びBを各々メチルエチルケトンで固形分を20重量%に調製したもの、即ち、アルミニウムカップリング剤を添加していないものを光硬化性樹脂組成物A−1、B−1とした。
【0091】
光硬化性樹脂組成物A−2及びB−2の調製
前記組成物A及びBに対し各々アルミニウムキレート(S−75P:商品名、川研ファインケミカル製)を固形分基準で5重量%添加し、全体をメチルエチルケトンで固形分20重量%に調製して、光硬化性樹脂組成物A−2及びB−2を得た。
【0092】
光硬化性樹脂組成物A−3及びB−3の調製
前記組成物A及びBに対し各々アルミニウムキレート(ALCH−TR:商品名、川研ファインケミカル製)を固形分基準で5重量%添加し、全体をメチルエチルケトンで固形分20重量%に調製して、光硬化性樹脂組成物A−3及びB−3を得た。
【0093】
3.複製用フィルムの作製
前記工程で得られた各光硬化性樹脂組成物を、厚さ50μmの片面易接着処理ポリエチレンテレフタレートフィルム(ルミラー50T85S:商品名、東レ製)の易接着処理面上にバーコーターで塗工し、100℃で乾燥させて、乾燥後の膜厚が2g/m2 となるようにして、複製用フィルムA−1、A−2、A−3、B−1、B−2、B−3を得た。得られた各複製用フィルムは、常温でべとつかないものであった。
【0094】
4.ブロッキングテスト
前記工程で作製した複製用フィルムA−1、A−2、A−3、B−1、B−2、B−3をブロッキングテスターに、5kg/cm2 になるように荷重をかけ、30℃の環境で24時間保管した。取り出して膜面に荒れを確認した。膜面が透明で変化のないものを○、荷重をかけていた部分に白く形が残っているものを△、荷重をかけていた部分に樹脂が溶け出した跡が全面に生じていたり、荷重をかけていない部分にまで膜面の荒れが確認できるものを×とした。その結果を下記の表1に示す。
【0095】
表1によれば、アルミニウムカップリング剤を添加したものは ブロッキングを防止する効果が認められる。
【0096】
5.光硬化性樹脂組成物の軟化開始温度測定
前記工程2で調製した各光硬化性樹脂組成物A−1、A−2、A−3、B−1、B−2、B−3を一旦60℃に上げて軟化させてから動的粘弾性測定装置の測定治具にセットした。動的粘弾性測定方法の測定条件は、前記[課題を解決するための手段]の欄に詳述した測定方法に従った。得られた軟化開始温度を下記の表1に示す。
【0097】
表1によれば、アルミニウムカップリング剤を添加しないものでは、軟化温度が高くなるのに対し、アルミニウムカップリング剤を添加したものでは、軟化温度が低くなり、より低温加工性に優れていることが分かる。
【0098】
6.樹脂シートの膜面観察
前記「3.複製用フィルムの作製」で得られた複製用フィルムA−1、A−2、A−3、B−1、B−2、B−3の樹脂層の表面粗さをAFM(原子間力顕微鏡)によりタッピングモードで測定した。本測定に用いた装置は、デジタルインスツルメンツ社製のNano Scope IIIa型で、走査モードはタッピングモードとした。走査範囲は10μm×10μm、走査速度は0.5Hzで、深さ方向の凹凸の表面粗さ平均Raを求めた。
【0099】
図2に複製用フィルムA−1のAFM像の写真、図3に複製用フィルムA−2のAFM像の写真、図4に複製用フィルムA−3のAFM像の写真をそれぞれ示す。アルミニウムカップリング剤を添加しない複製用フィルムA−1では、Raは5.904nmであったのに対して、アルミニウムカップリング剤を固形分基準で5重量%添加した複製用フィルムA−2及びA−3については、A−2がRaが0.335nmであり、またA−3ではRaが1.304nmであった。
【0100】
これらの結果から、アルミニウムカップリング剤を添加することにより、樹脂間や樹脂と有機溶剤間の相溶性を高くして均一な膜面を作る効果が認められる。
【0101】
7.微細凹凸パターンシートの作製
次に、複製装置のエンボスローラーに、微細凹凸パターンを形成したプレススタンパーを設置し、複製フィルムをセットして、加熱プレスして微細な凹凸パターンを形成させた。加熱条件は以下の通りである。
【0102】
(条件1)プレススタンパーの表面温度を150℃に設定して、所定の速度で
プレス加工した。
【0103】
(条件2)プレススタンパーの表面温度を130℃に設定して、所定の速度でプレス加工した。
【0104】
(条件3)プレススタンパーの表面温度を150℃に設定し、(1)の速度よりも2倍のスピードでプレス加工した。つまり、フィルムとプレススタンパーの接している時間は1/2である。
【0105】
プレス加工を行った後、プレススタンパーからフィルムを剥がし、紫外線を照射して硬化させた。
【0106】
8.微細凹凸パターンの形状観察
微細凹凸パターンシートの表面形状および凹凸の深さをAFM(原子間力顕微鏡)のタッピングモード像で比較した。表面形状の像を目視で比較し、形状の整っているものを○、形状が丸みを帯びているものを×と判断した。凹凸の深さは一番深い部分と浅い部分の深さの差を求めた。凹凸深さと形状観察の結果を下記の表2に示す。
【0107】
〔実施例2〕
1.高分子量タイプの光硬化性樹脂組成物の調製
組成物C及び組成物Dについて下記の各成分を用意した。
【0108】
組成物Cの成分
ポリメチルメタクリレート(BR−85:商品名、三菱レイヨン製、分子量28万) 75重量部
多官能ウレタンアクリレート(紫光UV−1700B:商品名、日本合成化学工業製) 25重量部
トリメチルシロキシケイ酸含有ポリメチルシロキサン(X−21−3056:商品名、信越化学工業製) 1重量部
光重合開始剤(イルガキュア907:商品名、チバスペシャルティケミカルズ製) 5重量部
【0109】
組成物Dの成分
ポリメチルメタクリレート(BR−88:商品名、三菱レイヨン製、分子量48万) 70重量部
多官能ウレタンアクリレート(紫光UV−1700B:商品名、日本合成化学工業製) 30重量部
トリメチルシロキシケイ酸含有ポリメチルシロキサン(X−21−3056:商品名、信越化学工業製) 1重量部
光重合開始剤(イルガキュア907:商品名、チバスペシャルティケミカルズ製) 5重量部
【0110】
光硬化性樹脂組成物C−1及びD−1の調製
前記組成物C及びDを各々メチルエチルケトンで固形分を10重量%に調製したもの、即ち、アルミニウムカップリング剤を添加していないものを光硬化性樹脂組成物C−1、D−1とした。
【0111】
光硬化性樹脂組成物C−2及びD−2の調製
前記組成物C及びDに対し各々アルミニウムキレート(S−75P:商品名、川研ファインケミカル製、アルコキシ基を有し、その一部がキレート化されている)を固形分基準で5重量%添加し、全体をメチルエチルケトンで固形分10重量%に調製して、光硬化性樹脂組成物C−2及びD−2を得た。
【0112】
光硬化性樹脂組成物C−3及びD−3の調製
前記組成物C及びDに対し各々アルミニウムキレート(ALCH−TR:商品名、川研ファインケミカル製、アルコキシ基を有し、全てのアルコキシ基がキレート化されている)を固形分基準で5重量%添加し、全体をメチルエチルケトンで固形分10重量%に調製して、光硬化性樹脂組成物C−3及びD−3を得た。
【0113】
2.複製用フィルムの作製
前記実施例1の3.と同様にして複製用フィルムC−1、C−2、C−3、D−1、D−2、D−3を得た。
【0114】
3.ブロッキングテスト
前記実施例1の4.と同様にして、複製用フィルムC−1、C−2、C−3、D−1、D−2、D−3についてブロッキングテストを行った。その結果を下記の表1に示す。
【0115】
4.光硬化性樹脂組成物の軟化開始温度測定
前記実施例1の5.と同様にして、複製用フィルムC−1、C−2、C−3、D−1、D−2、D−3について軟化開始温度を測定した。その結果を下記の表1に示す。
【0116】
表1によれば、硬化後のガラス転移温度は、アルミニウムカップリング剤を添加することによって高くなることが分かる。転写性については、アルミニウムカップリング剤を添加することによって改善されることが分かる。
【0117】
5.樹脂シートの膜面観察
前記実施例1の6.と同様にして、複製用フィルムC−1、C−2、D−1、D−2について膜面観察を行った。
【0118】
その結果、アルミニウムカップリング剤を添加しない複製用フィルムC−1では、Raは0.521nmであったのに対して、アルミニウムカップリング剤を固形分基準で5重量%添加した複製用フィルムC−2はRaが0.391nmであった。また、アルミニウムカップリング剤を添加しない複製用フィルムD−1では、Raは0.620nmであったのに対して、アルミニウムカップリング剤を固形分基準で5重量%添加した複製用フィルムD−2はRaが0.427nmであった。
【0119】
6.微細凹凸パターンシートの作製
前記実施例1の7.と同様にして、複製用フィルムC−1、C−2、C−3、D−1、D−2、D−3について微細凹凸パターンシートを作製した。
【0120】
7.微細凹凸パターンの形状観察
本実施例2の6.で作製した微細凹凸パターンシートについて、前記実施例1の8.と同様にして、微細凹凸パターンの形状観察を行った。その結果を下記の表2に示す。
【0121】
【表1】
【0122】
【表2】
【0123】
【発明の効果】
本発明の光硬化性樹脂組成物をフィルム状支持体に塗布したものは、露光前の未硬化状態においては、アルミニウムカップリング剤によって、ブロッキングが防止される特徴がある。また、フィルム状支持体上に本発明の光硬化性樹脂組成物の層を形成したシートは、表面が平滑になるため、微細凹凸パターン形成工程における複製スピードが速くなる。
【0124】
本発明の光硬化性樹脂組成物をフィルム状支持体に塗布した後、露光によりバインダー樹脂を硬化させたものは、耐熱性、耐久性が向上する。また、硬化樹脂層が接触する前後の層、例えば、レリーフ型ホログラムを形成するための転写箔とした場合においては、金属蒸着層との密着性が改善され、転写性が良好となる。
【0125】
本発明の光硬化性樹脂組成物によれば、比較的低温で、比較的短時間でエンボスしても、従来の光硬化性樹脂組成物を用いた場合よりも正確な微細凹凸パターンが形成でき、しかも支持体上に光硬化性樹脂組成物の層を形成したシート、例えば、巻取体において室温でブロッキングの発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の微細凹凸パターン形成方法に用いるホログラム複製装置の構成例を示す図である。
【図2】複製用フィルムA−1のAFM像(原子間力顕微鏡)の写真である。
【図3】複製用フィルムA−2のAFM像(原子間力顕微鏡)の写真である。
【図4】複製用フィルムA−3のAFM像(原子間力顕微鏡)の写真である。
【符号の説明】
1 ホログラム形成用フィルム
10 ホログラム複製装置
12 本体フレーム
13 ベッド
20 給紙装置
21 巻取ローラ
30 転写装置
31 エンボスローラ
40 加熱圧着ローラ
50 照射装置
60 巻取装置
Claims (19)
- 必須成分として、
(1)アクリル樹脂と、
(2)光重合性官能基を有するウレタンアクリレート樹脂及び/又はポリエステルアクリレート樹脂とを含むバインダー樹脂と、
(3)該バインダー樹脂の成膜性を高めるためのアルミニウムカップリング剤
を含有させてなる光硬化性樹脂組成物であって、
該アルミニウムカップリング剤は、アルコキシ基を有し、該アルコキシ基の一部又は全部がキレート化されているものであり、
(4)前記(1)のアクリル樹脂と前記(2)のバインダー樹脂の性質は、前記(3)のアルミニウムカップリング剤を含まない前記(1)のアクリル樹脂と前記(2)のバインダー樹脂からなる光硬化性樹脂組成物を用いて塗膜を形成した場合に表面粗さの平均(Ra)が5.0nm以上となる性質であり、
(5)前記光硬化性樹脂組成物は光学用物品の微細凹凸パターン形成に使用されるものであることを特徴とする光硬化性樹脂組成物。 - 前記アルミニウムカップリング剤が、全固形分に対して0.1〜20重量%であることを特徴とする請求項1記載の光硬化性樹脂組成物。
- 前記バインダー樹脂のうち、少なくとも1種のポリスチレン換算重量平均分子量が、5,000〜600,000の範囲であることを特徴とする請求項1又は2記載の光硬化性樹脂組成物。
- 光重合性官能基を有するモノマーまたはオリゴマーを、さらに含有することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項記載の光硬化性樹脂組成物。
- 離型剤をさらに含有することを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項記載の光硬化性樹脂組成物。
- 請求項1乃至5の何れか1項記載の光硬化性樹脂組成物を用いて形成された、表面が微細凹凸パターン構造を有する硬化樹脂層を備えることを特徴とする光学用物品。
- 請求項1乃至5の何れか1項記載の光硬化性樹脂組成物を、直接又は他の層を介して、フィルム状支持体に塗布し、乾燥するか又は乾燥しないシートであって、ブロッキングが防止されていることを特徴とするシート。
- 前記シートが巻き取られている巻取体であることを特徴とする請求項7記載のシート。
- 請求項1乃至5の何れか1項記載の光硬化性樹脂組成物を剥離層を介して、フィルム状支持体に塗布して光硬化性樹脂組成物の層を形成し、さらに光硬化性樹脂組成物の層と屈折率の異なる層、接着層の順に形成してなることを特徴とする転写箔。
- 請求項7又は8記載のシートにエンボス加工及び露光を行って形成された、表面が微細凹凸パターン構造を有する硬化樹脂層を備えることを特徴とする光学用物品。
- 前記微細凹凸パターン構造を有する光学用物品が、全光線及び/又は特定の波長の光反射、透過、散乱、偏光、集光又は干渉の少なくとも一つを制御する光学素子であることを特徴とする、請求項6又は10記載の光学用物品。
- 前記微細凹凸パターン構造を有する光学用物品が、レリーフ型ホログラム、回折格子、反射防止性能膜、散乱板又は反射板から選ばれたものである請求項6又は10記載の光学用物品。
- 前記微細凹凸パターン構造を有する光学用物品が、微細凹凸パターン構造において光学的に情報を記録及び/又は読取することが可能である請求項6又は10記載の光学用物品。
- (1)請求項1乃至5の何れか1項記載の光硬化性樹脂組成物をフィルム状支持体の表面に塗布し、乾燥するか又は乾燥しないで光硬化性樹脂組成物の層を形成し、
(2)該光硬化性樹脂組成物の層の表面をエンボス加工及び露光をほぼ同時に行うことにより、表面に微細凹凸パターンを形成した硬化樹脂層とすることを特徴とする微細凹凸パターンの形成方法。 - (1)請求項1乃至5の何れか1項記載の光硬化性樹脂組成物をフィルム状支持体の表面に塗布し、乾燥するか又は乾燥しないで光硬化性樹脂組成物の層を形成し、
(2)該光硬化性樹脂組成物の層の表面をエンボス加工した後、露光して硬化させることを特徴とする微細凹凸パターンの形成方法。 - 請求項7又は8記載のシートにおける光硬化性樹脂組成物の層の表面をエンボス加工及び露光をほぼ同時に行うことにより、表面に微細凹凸パターンを形成した硬化樹脂層とすることを特徴とする微細凹凸パターンの形成方法。
- 請求項7又は8記載のシートにおける光硬化性樹脂組成物の層の表面をエンボス加工した後、露光して光硬化性樹脂組成物の層を硬化させることを特徴とする微細凹凸パターンの形成方法。
- (1)請求項1乃至5の何れか1項記載の光硬化性樹脂組成物を剥離層を介して、フィルム状支持体に塗布して光硬化性樹脂組成物の層を形成し、
(2)エンボス加工及び露光をほぼ同時に行うことにより、光硬化性樹脂組成物の層を硬化させて表面に微細凹凸パターンを形成し、
(3)さらに、光硬化性樹脂組成物の層と屈折率の異なる層を形成し、
(4)さらに、接着剤層を形成して転写箔とし、
(5)得られた転写箔を被転写体に転写することを特徴とする光学用物品の製造方法。 - (1)請求項1乃至5の何れか1項記載の光硬化性樹脂組成物を剥離層を介して、フィルム状支持体に塗布して光硬化性樹脂組成物の層を形成し、
(2)エンボス加工した後、露光することにより、光硬化性樹脂組成物の層を硬化させて表面に微細凹凸パターンを形成し、
(3)さらに、光硬化性樹脂組成物の層と屈折率の異なる層を形成し、
(4)さらに、接着剤層を形成して転写箔とし、
(5)得られた転写箔を被転写体に転写することを特徴とする光学用物品の製造方法。
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