JP4293489B2 - 生分解を有する発泡成形物の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、生分解性を有し、地球環境保全に資する乳酸を原料として、主として包装材料として用いられる発泡成形物の製造方法を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】
軽量性、緩衝性、成形加工性を生かしたプラスチック発泡体が包装、梱包材として多量に用いられており、その素材はポリスチレン(PS)、ポリオレフィンといった石油を原料とする化学製品で、使用後の処分が困難で、焼却するにしても燃焼カロリーが高く、焼却炉をいためたり、埋め立てをしても分解しない上に容積が大きいために処分場のスペースを占有してしまうといった大きな社会問題となってきている。
【0003】
又、処分されずに投棄された発泡体が及ぼす、河川、海洋など、自然態系への影響も無視ではなくなってきている。そこで、生態系の中で分解し、地球環境への影響が少ない樹脂が開発された。例えば、微生物の体内で合成されるポリヒドロキシブチレート系樹脂や、脂肪族グリコールと脂肪族カルボン酸からなるポリエステル又は、カプロラクトンを主成分とするポリエステル系樹脂などが発表されているが、前者は、微生物が作り出すため、純度が低い上、極めて生産性が悪く、利用は制限される。
【0004】
また、後者は、原料が石油・天然ガスといった安価で多量に入手できるものであるから生産性は
確かに良いが、結晶性樹脂である上にガラス転移点が低いため、生分解性包装材料としては実用性においてその用途が制限されると共に原料を石油・天然ガスとしているため、分解すると地球上に存在する炭酸ガスに新たに炭酸ガスが加算されるため、炭酸ガスの増加抑制に寄与しない。又、長期的にみた場合原料ソースが有限であるため、やがて入手が困難となり、本当の意味での地球環境保全に資し得ない。
【0005】
更に、生分解性の素材としてグリコール酸や乳酸などもグリコリドやラクチドの開環重合によりポリマーが得られ、医療用徐放剤として、又、医療用等の繊維として利用されているが、そのままでは発泡体として、包装容器や緩衝材として大量に使用されるに至っていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、生分解性を有するポリ乳酸組成物から得られる発泡性粒子を、ポリスチレン発泡性粒子と同様に発泡性粒子の状態で後次加工業者に搬送し、該加工業者が発泡、成形加工して得られる成形物の柔軟性、及び緩衝性を改善することにある。
【0007】
ポリ乳酸組成物の発泡性粒子及び発泡粒子に関しては、既に特開平5−17965、特開平5−17966に提案されている。しかし、本発明者らが詳細に追試した結果、いずれの提案もその効果は期待出来ないものであった。特開平5−17965は発泡粒子が提案されているが、明細書中に詳述してある方法を忠実に再現しても高発泡の発泡粒子を安定して、且つ、大量に製造することは出来なかった。その原因は、水分散系で高温高圧下で処理したポリ乳酸組成物を高温下に大気中に噴出させると綿状になり粒子とはならない。
【0008】
発泡性ポリスチレンビーズのように発泡性ビーズを予備発泡し、該発泡粒子を型枠成形するためには真球に近い球状粒子が必要であり、綿状物では型枠成形は不可能である。また、該処理ポリ乳酸組成物を100℃付近まで冷却して噴出させると発泡倍率の低い変形した発泡粒子しか得られれず、型枠成形に耐えうるものではない。更に、特開平5−17965には他の製造方法は何ら記載されておらず、該提案でもって発泡粒子を得ることは期待出来ない。一方、特開平5−17966に提案されている発泡性粒子は一般に採用されいる方法とかけ離れた方法で製造することが明細書中に記載され現実性に乏しく、仮にこの提案により製造した発泡性粒子から発泡粒子を得るにしても、高発泡倍率の発泡粒子を安定して製造することは困難である。
【0009】
本発明者等は、既に高い発泡性を有する生分解性樹脂として不可欠な条件であるベースポリマー、高分子量化するための添加剤、発泡させるための添加剤等について詳細に検討を重ねた結果、実用上十分な生産性を有する生分解性樹脂組成物を見いだし、発明提案を行った。該生分解性樹脂組成物に発泡剤を含浸して得られる発泡性粒子は、ポリスチレン発泡性粒子と同様に発泡性粒子の状態で後次加工業者に搬送可能である。
しかし、該提案で得られる発泡粒子は高発泡倍率を有するものの、該発泡粒子から得られる成形物は柔軟性が不十分でその用途が制限されている。
【0010】
特開平8−253617においてポリ乳酸の共重合物による柔軟性の改善が提案がされているが、該提案により発泡性粒子を得ても、共重合物であるため発泡剤の揮散が速く本発明の趣旨である発泡性粒子の状態での後次加工業者への搬送は困難である。該提案によれば、柔軟性のある発泡粒子の製造は可能であるが、商品の流通は発泡粒子又はその成形物で行わなければならず極めて不経済である。又共重合ポリ乳酸であるため、ガラス転移点が低下し荷重下における変形も大きい欠点も有している。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、大量に生産、使用するためにはかかる課題を克服することが必須と判断し鋭意研究の結果、本発明に到達したものである。即ち、本発明は、L体とD体との重量比が95/5〜60/40の範囲にあるポリ乳酸を主体とする発泡成形物を製造するに際して、予めポリ乳酸を主体とする発泡粒子を製造し、該発泡粒子にガラス転移点が40℃以下である生分解性樹脂としてポリブチレンサクシネート又はポリカプロラクトン又はその混合物を配合した後、成形加工を行うことを特徴とする生分解性発泡成形物の製造法である。
【0012】
【発明の実施の形態】
通常、ポリ乳酸を主体とする発泡粒子からなる成形体の製造工程は以下のようなものである。先ずポリ乳酸を重合する。これに、増粘剤と発泡核剤を添加したポリ乳酸組成物を製造する。次にポリ乳酸組成物に発泡剤と発泡助剤を含浸させ、発泡性粒子とする。更に発泡性粒子を加熱処理し、発泡粒子を得る。最後に発泡粒子を成形する。
以下にこの製造工程に沿って、本願発明について説明する。
【0013】
本発明に用いるL体とD体との重量比が95/5〜60/40の範囲にあるポリ乳酸とは、融点は有するもののその融解熱が小さいポリ乳酸まで含むものである。即ち、DSC測定による融解熱(2nd scan△H)が0.1J/g以下のポリ乳酸でありD体共重合比率では5モル%以上に相当する。これはmacromolecules255719−5729(1992)記載のXD=0.048以上に近似するものである。本発明に使用されるポリ乳酸のD体とL体の共重合比率はD体が5〜40モル%が必要であり、更には、8〜20モル%が好ましく使用される。特に、高発泡倍率の発泡粒子が要求される場合、融解熱(2nd scan△H)の無いD体が8〜20モル%が好ましい。D体のモル比率がこの範囲より小さいと結晶性が高く、発泡倍率が上がらなかったり、発泡が不均一になり使用できない。一方、D体の量がこの範囲を超えると耐熱性が劣り使用できない。
【0014】
本発明に使用されるポリ乳酸は溶融粘度がJIS K7210(荷重2.16kgf)に準拠したメルトインデックス値(MI)で1〜10の範囲にある高分子量のポリ乳酸が好ましい。しかし、該ポリ乳酸をそのまま使用しても発泡倍率の高い発泡粒子は得ることが出来ない。発泡倍率の高い発泡粒子は得るにはポリイソシアネート、酸無水物、エポキシ化合物等の粘度増加剤と反応させて更に超高粘度化したポリ乳酸組成物とする必要がある。例えば、10倍以上の高発泡倍率の発泡粒子を得るには、該組成物の溶融粘度(MI)が5以下、好ましくは1以下であることが望ましい。
MI値がこの範囲にあれば、生産性に優れ、発泡倍率の高い発泡体を得る事が出来るので好ましい。
【0015】
本発明に使用されるポリイソシアネートとしては、芳香族、脂環族、脂肪族系のいずれのポリイソシアネートでも良いが、例えば、芳香族ポリイソシアネートとしてはトリレン、ジフェニルメタン、ナフチレン、トリジン、キシレン、トリフェニルメタンを骨格とするポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネートとしては水素化ジフェニルメタンを骨格とするポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネートとしてはヘキサメチレンを骨格とするポリイソシアネートがあり、その中で汎用性、取り扱い性、耐候性等からトリレン、ジフェニルメタン、特にジフェニルメタンが好ましく使用される。
【0016】
次に本発明に使用するポリ乳酸には、発泡倍率の向上、発泡セルの均一性、発泡セルの微細化などの目的でタルク、カオリン、マイカ、ベントナイト、ゼオライトなどの無機粉末が使用される。
その中でタルクが最も好ましく、該ポリ乳酸に対して0.5〜20重量%、更に好ましくは、2〜10重量%である。
タルクの使用量がこの範囲にあると、得られる成形物の柔軟性が向上し、包装材として優れた機能を有するので好ましい。
【0017】
本発明に使用するタルクはその平均粒子径が好ましくは10μm以下、更に好ましくは5μm以下、特に好ましくは3μm以下である。発泡セル膜の膜厚は多くの場合数μmである。
【0018】
増粘剤及び/又はタルクを本発明に使用するポリ乳酸に添加、分散させる方法はラクチドからポリ乳酸を得る重合工程、ポリ乳酸と増粘剤及び/又はタルクを混練機等で溶融混練する方法のいずれでも良いが、高濃度のタルクを添加、分散させるためには二軸混練機を使用して溶融混練する方法が好ましい。
【0019】
かくして得られたポリ乳酸樹脂組成物に、発泡剤、発泡助剤を含浸させ、発泡処理を行うと高発泡倍率の発泡体が得られる。ここで用いる発泡剤としては、プロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、シクロペンタン、ヘキサン等の炭化水素、ジメチルエーテル、メチルエチルエーテル等のエーテル類が使用される。ポリ乳酸の場合、炭素数3〜4の炭化水素を用いる事が好ましい。又、発泡助剤としては炭素数1〜4のアルコール、ケトン、エーテル類等が主として用いられる。
【0020】
発泡剤、発泡助剤の含浸は通常の方法が使用でき、水分散系又は非水系で、加熱下、高圧下で行うことが出来る。例えば、オートクレーブに本発明のポリ乳酸、発泡剤、発泡助剤を所定量投入し、内温80〜90℃に保持しながら数時間加熱すると容易に発泡性粒子を得ることが出来る。
【0021】
得られた該発泡性粒子は、水蒸気で適正条件下に加熱することにより、容易に高発泡倍率の発泡粒子を製造することが出来る。発泡の適正条件としては、発泡倍率や発泡粒子の二次発泡性という観点から水蒸気の温度が50〜105℃、加熱時間が10から300秒が好ましい。
【0022】
本発明において、発泡性粒子から発泡粒子を得るに際しては、ブロッキング防止剤を使用することが好ましい。ブロッキング防止剤としては、高級脂肪酸の金属塩、特にステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛が好ましく使用される。その好ましい配合量は、発泡性粒子に対して0.01〜0.1重量%の範囲である。
【0023】
かくして得られた本発明の発泡粒子を、従来のように単に発泡成形機を使用して成形加工した成形物は、同じ密度の発泡ポリスチレン成形物に比して柔軟性が劣る。水蒸気の圧力、時間、クラッキングなどの成形条件を種々変更しても、柔軟性の改善は不可能である。
【0024】
そこで、本発明では、成形の際に発泡粒子にガラス転移点が40℃以下の生分解性樹脂を配合した後、成形加工を行う。これにより、得られる成形物は柔軟性が大幅に改善され、発泡ポリスチレン成形物に同等のレベルとなる。
【0025】
生分解性樹脂のガラス転移点が40℃以下とは、乾燥状態状態におけるガラス転移点である。
又、該生分解性樹脂は結晶部分を有する樹脂であることが必要である。その理由は、脂肪族ジカルボン酸と脂肪族グリコール及び/又はヒドロキシカルボン酸などから得られる非晶性の生分解性ポリエステル樹脂又は生分解性ポリウレタン樹脂は、耐溶剤性、耐熱性等が悪く使用できない。ガラス転移点が40℃を超える樹脂を添加しても成形物の柔軟性は改善されない。
【0026】
本発明に使用するガラス転移点が40℃以下の生分解性樹脂とは、脂肪族ジカルボン酸としてマロン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸等があり、脂肪族グリコールとしてエチレングリコープロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール等があり、これらの組み合わせの樹脂の中から結晶性でガラス転移点が40℃以下の樹脂が選定される。これらの中で、ポリブチレンサクシネートを主体とする樹脂が好ましく使用される。又、ヒドロキシカルボン酸又はラクトンからの樹脂としてはポリカプロラクトンが好ましい。さらに、生分解性のポリウレタン樹脂としては、ソフトセグメントとしてポリブチレンアジペートからなるポリオール、ハードセグメントとしてジフェニルメタンジイソシアネート、鎖伸長剤としてブタンジオールからなる樹脂が好ましく使用される。
【0027】
該生分解性樹脂の発泡粒子に対する配合量は、1〜50重量%好ましくは3〜20重量%である。配合量がこの範囲にあると、高発泡倍率で柔軟性に優れた成形物が得られるので好ましい。
【0028】
該生分解性樹脂の発泡粒子に対する配合方法は、ペレット、粉体、溶液による混合のいずれでも良いが、それらの中で粉体混合が使用量の低減化、簡便性などから好ましく利用される。
粉体の粒子径は、小さいほど好ましいが1mm以下、更には、0.2mm以下が発泡粒子表面への吸着性の面から良好である。
【0029】
また、本発明においては、発泡粒子に、目的に応じその他の添加剤についても適宜添加することが出来、例えば熱安定剤、酸化防止剤、難燃剤、紫外線吸収剤、可塑剤等がある。但し、難燃剤等は塩素等のハロゲン化物であることが多く、生分解性や焼却処分時の有害物質発生という観点から最小限に留めておくのがよい。
【0030】
本発明により得られる成形物は、その優れた柔軟性、緩衝性を生かしていろいろな用途に使用でき、経済価値としては非常に高いものである。
【0031】
【実施例】
以下に実施例及び比較例により、本発明を更に具体的に説明する。
尚、評価は下記の方法で行った。
【0032】
ΔH:パーキンエルマー社製DSC7を使用。サンプル10mgを10℃/分で200℃まで昇温した1st scan後、急冷して0℃まで持っていき、10℃/分で200℃まで昇温した2nd scanで測定。
同様の方法で融点、ガラス転移点を測定。
【0033】
ポリ乳酸のMI:JIS K7210に準拠した方法で測定。(測定温度190℃、オリフィス径2mm、2.16kg荷重の条件)
【0034】
ポリ乳酸組成物のMI:JIS K7210に準拠した方法で測定。(測定温度190℃、オリフィス径2mm、21.6kg荷重の条件)
【0035】
発泡倍率:メスシリンダーを用いて、発泡前の発泡性粒子の体積及び発泡粒子の体積を測定し、発泡倍率を次式により求めた。
発泡倍率(倍)=予備発泡粒子の体積/発泡剤含浸ペレットの体積
【0036】
成形物の評価
引張強度:JIS K−6767に準じて測定。
試料:300×300×30mmの成形物から切り出して作製。
【0037】
柔軟性評価:
曲げ応力:JIS K−7221に準じて測定。
試料:300×300×30mmの成形物から長さ150mm、幅25mm、高さ20mmの形状物を切り出して作製。
測定:テンシロン試験機を用い、2点支持間100mmで支持間の中央部を10mm/分で押し曲げる方法で、10%歪み応力(kgf/cm2)を測定した。
【0038】
圧縮応力:JIS K−7220に準じて測定。
試料:300×300×60mmの成形物から長さ100mm、幅100mm、高さ50mmの形状物を切り出して作製。
測定:テンシロン試験機を用い、圧縮速度10mm/分で圧縮し、10%歪み応力(kgf/cm2)を測定した。
【0039】
緩衝性:動的緩衝係数を測定。
試料:300×300×60mmの成形物から長さ100mm、幅100mm、厚み50mmの形状物を切り出しして作製。
測定:吉田精機製CST320型試験機を用い、加重の落下高さは35cmとして落下重量を変えて、衝突荷重、厚み変位、最大加速度を測定し、荷重−最大加速度線図から最小加速度を求めて、下式で動的緩衝係数を算出した。
緩衝係数=最小加速度×{(落下高さ+圧縮変位量)/サンプル厚み}
【0040】
耐薬品性:上記成形物より30×30×30mmの試験片を切り出し、25℃でエチルアルコール中に浸漬し、24時間後試験片の状態を目視で評価。
【0041】
製造例1:ポリ乳酸の製造例
市販のL−ラクチド、D−ラクチドをそれぞれ酢酸エチルを用いて再結晶して精製した。精製したL−ラクチド、D―ラクチド及び触媒としてオクチル酸スズをスズとして10ppm添加し、表1の組成になるように攪拌機付きオートクレーブに仕込み、減圧脱気した後、N2雰囲気下で重合温度170℃〜190℃に2時間加熱し、開環重合を行った。反応終了後、オートクレーブよりポリマーを取り出し、溶融粘度(MI)を測定し、MIが3〜5のポリマーを得た。
【0042】
製造例2:ポリ乳酸組成物の製造例
次いで、該ポリマーを水分が1000ppm以下になるまで乾燥させた後、該ポリマーに対してタルクを3重量%、粘度増加剤として官能基2.8当量/モルのジフェニルメタンポリイソシアネートを1重量%をブレンドした後、二軸混練機に供給し、回転数100rpm、溶融温度180℃、滞留時間3〜5分、吐出量10kg/時の条件下に反応混練した。得られたポリ乳酸組成物を切断し、直径約1.5mmの粒子を得、熟成した後に溶融粘度(MI)を測定し、MIが3以下のポリ乳酸樹脂組成物を得た。結果を表1に示した。
【0043】
【表1】
【0044】
製造例3:発泡性粒子の製造例
製造例2に例示したポリ乳酸組成物1000部、イソペンタン300部、メタノール50部を回転式オートクレーブに仕込み温度80〜90℃、回転数3rpm、2時間保持した後冷却し、含浸率8〜15%の発泡性粒子を得た。
【0045】
製造例4:発泡粒子の製造例
該発泡性粒子及びブロッキング防止剤としてステアリン酸マグネシウム0.05重量%を予めブレンドした混合物を予備発泡機(ダイセン工業(株)DYHL−300)に約3kg投入し、水蒸気にて80〜90℃に30秒〜1分保持した。得られた発泡粒子を風乾した後、発泡倍率2〜40倍の発泡粒子を得た。
【0046】
製造例5:成形物の製造例
製造例4に例示した発泡粒子を24時間エージングした後、該発泡粒子と特定の生分解性樹脂の平均粒子径0.1mmの粉体を所定量ブレンドした混合物を、300×300×30mm又は300×300×60mmの金型を設置した発泡成形機(ダイセン工業(株)DS−300L−MC)に充填し、スチーム圧0.3kgf/cm2、10〜30秒処理し成形加工し成形物を得た。
【0047】
実施例1〜4、比較例1〜3
製造例1,2に例示した方法により製造したポリ乳酸組成物P1〜P6及び対照であるポリスチレン粒子を、製造例3に例示した方法で処理し、含浸率が8〜12重量%の発泡性粒子を得た。次いで該発泡性粒子を製造例4に例示した方法で水蒸気温度85℃、処理時間45秒の条件で処理し、発泡粒子を得た。尚、対照のポリスチレン粒子は、発泡処理は水蒸気温度95℃で60秒間処理した。得られた発泡粒子を製造例5に例示した方法でポリブチレンサクシネート粒子を該発泡粒子に対して10重量%混合し、成形加工を行い、それぞれの成形物を得、これら成形物の物性評価を行った。
【0048】
【表2】
【0049】
評価結果
P1は結晶性、且つ、結晶化度が高いため発泡倍率が極端に小さいく発泡体としては使用できない。P2〜P5は本発明の目的である曲げ応力、圧縮応力に代表される柔軟性及び緩衝係数が対照であるポリスチレン発泡成形体と殆ど同一レベルで好ましい結果となった。
【0050】
実施例2、5〜8、比較例3〜5
製造例1,2に例示した方法により製造したポリ乳酸組成物P3及び対照であるポリスチン粒子を、製造例3に例示した方法で処理し、含浸率が9〜12重量%の発泡性粒子を得た。次いで該発泡性粒子を製造例4に例示した方法で水蒸気温度85℃、処理時間45秒の条件で処理し、発泡粒子を得た。尚、対照のポリスチレン粒子は、発泡処理は水蒸気温度95℃で60秒間処理した。得られた発泡粒子に、表3に示した生分解性樹脂を製造例5に例示した方法で、該発泡粒子に対して10重量%混合し、成形加工を行い、それぞれの成形物を得、これら成形物の物性評価を行った。なお、実施例5、7、8は、本発明の実施例ではなく参考例である。
【0051】
【表3】
【0052】
評価結果
混合生分解性樹脂にポリブチレンアジペート/サクシネート共重合体を使用した比較例4は本発明の主たる目的である柔軟性、緩衝性の改善は認められたが、非結晶性であるため耐薬品性が悪く、更に耐熱性も劣るため包装材としては不適格である。また、混合生分解性樹脂にポリ乳酸を使用した比較例5も結晶性ポリマーで耐薬品性は良好あるが、ガラス転移点が高いことに起因する柔軟性、緩衝性が不十分となり、包装材としては不適格である。
混合生分解性樹脂にポリブチレンアジペート、ポリブチレンサクシネート、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシブチレート、ポリブチレンアジペートをソフトセグメントに使用した熱可塑性ポリウレタンを使用した実施例2、5〜8はいずれも曲げ応力、圧縮応力で代表される柔軟性、及び緩衝性は大幅に改善され発泡ポリスチレン成形物と同レベルに到達した。
【0053】
実施例2、9〜14、比較例3、6〜7
製造例1,2に例示した方法により製造したポリ乳酸組成物P3及び対照であるポリスチン粒子を、製造例3に例示した方法で処理し、含浸率が11重量%の発泡性粒子を得た。次いで該発泡性粒子を製造例4に例示した方法で水蒸気温度85℃、処理時間45秒の条件で処理し、発泡粒子を得た。尚、対照のポリスチレン粒子は、発泡処理は水蒸気温度95℃で60秒間処理した。得られた発泡粒子に、ポリブリレンサクシネートを製造例5に例示した方法で、該発泡粒子に対して所定量混合し、成形加工を行い、それぞれの成形物を得、これら成形物の物性評価を行った。
【0054】
【表4】
【0055】
評価結果
発泡粒子にポリブチレンサクシネートを無添加の比較例6は曲げ応力、圧縮応力に代表される柔軟性、及び緩衝性が共に不良であるのに対して、ポリブチレンサクシネートを1重量%混合した成形物は柔軟性、緩衝性共に大幅に改善された。この改善傾向はポリブチレンサクシネートの添加量と共に大きくなるが、20重量%を越えると該樹脂の性質の影響が次第に強くなる。該混合量が50重量%を越えると柔軟性、緩衝性共に低下し、本発明の目的を逸脱し、好ましくない結果となった。これらの結果から、適正混合量は1から50重量%であった。その中で、特に3〜20重量%が好ましい範囲であり、この範囲にある成形物は発泡ポリスチレン成形物と同レベルの柔軟性、緩衝性を示した。
【0056】
【発明の効果】
以上、本発明の生分解を有する発泡粒子及びその成形物は、包装材料としての機能を十分保有しており発泡性、耐熱性、機械物性等、従来から用いられてきた発泡ポリスチレン(PS)と同程度のものが生産効率よく得られ、地球環境保全に資するものである。
Claims (3)
- L体とD体との重量比が95/5〜60/40の範囲にあるポリ乳酸を主体とする発泡成形物を製造するに際して、予めポリ乳酸を主体とする発泡粒子を製造し、該発泡粒子にガラス転移点が40℃以下である生分解性樹脂としてポリブチレンサクシネート又はポリカプロラクトン又はその混合物を配合した後、成形加工を行うことを特徴とする生分解性発泡成形物の製造法。
- L体とD体との重量比が92/8〜80/20の範囲にあるポリ乳酸を使用することを特徴とする請求項1に記載の成形物の製造方法。
- ガラス転移点が40℃以下である生分解性樹脂の配合量が、発泡粒子に対して3〜20重量%の範囲にあることを特徴とする請求項1又は2に記載の成形物の製造方法。
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