JP4284587B2 - 快適性に優れた寝装品 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、吸湿性、放湿性が高く、使用される環境において、人や環境に快適性を与えるために使用することができる積層体を組み入れた寝装品であり、高湿度環境においては吸湿性、結露防止性を発揮し、高温環境においては、冷感を与え、低温環境においては吸湿発熱による保温性など、より快適性を向上させる効果を発揮することができる寝装品に関するものである。より具体的な用途例としては、枕(枕カバー、枕用詰め物など)、敷寝具(敷布団、敷用カバー、中綿、マットレス、ベッドパッド、マイヤー毛布、敷パッド、吸湿パッドなど)、掛寝具(掛布団、掛カバー、マイヤー毛布など)など寝装品に属する分野に使用されるものである。
【0002】
【従来の技術】
寝装品分野においては、快適性を向上させるために、構造的に通気性を向上させて使用時の汗などによる水分の滞留を抑制する方法(例えば、特許文献1)や粒状シリカゲルを保持させて調湿性を付与する方法(例えば、特許文献2)などが提案されている。しかしながら、高温高湿から低温高湿まで、環境にかかわらず、季節を通じて快適に使用することができる寝装品の開発はまだなされていない。
【0003】
【特許文献1】
特開平9−66177号公報(請求項1など)
【特許文献2】
特許第2887648号公報(請求項1など)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の問題点を解決し、オールシーズンにわたって、調湿調温性、使用感、触感などに優れ、快適性を高めた寝装品を提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、以下の構成を採用するものである。すなわち、
1.通気性シート(A)、高吸放湿性微粒子とバインダー樹脂とを含有する中間層及び通気性シート(B)又は/及び非通気性シート(C)とを有する積層体であり、該中間層中の高吸放湿性微粒子の含有量が40〜3000g/m2であることを特徴とする快適性に優れた寝装品。
2.中間層のバインダー樹脂が粉末型熱接着性接着剤であり、高吸湿性微粒子/粉末型熱接着性接着剤の質量比が60/40〜95/5であることを特徴とする前記1に記載の快適性に優れた寝装品。
3.粉末型熱接着性接着剤の粒子径が高吸湿性微粒子の粒子径よりも小さいことを特徴とする前記1又は2に記載の快適性に優れた寝装品。
4.請求項1〜3のいずれかの積層体を、枕、敷布団、敷パッド、ベッドパッドのいずれかの構成部材とすることを特徴とする快適性に優れた寝装品。
5.高吸湿性微粒子と粉末型熱接着性接着剤とを質量比が60/40〜95/5で混合し、該混合物を凹凸が付与された通気性シート(A)上に塗布し、次いで、該塗布面の上に通気性シート(B)又は非通気性シート(C)を重ね、かつ粉末型熱接着性接着剤の融点以上の温度で熱処理することにより製造されたことを特徴とする快適性に優れた寝装品。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明における通気性シート(A)及び(B)は、スパンボンド不織布、ニードルパンチフェルト不織布、ケミカルボンド不織布、サーマルボンド不織布、スパンレース不織布、メルトブロー不織布、さらには、これらの積層体(例SMS等)、連続線状立体網状体、シングルニット、ダブルニット等の丸編、トリコット、ラッセル、ダブルラッセル等の経編、または織物などの繊維構造体である。
【0007】
通気性シート(A)及び(B)の素材は、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリアクリルニトリル系、ポリエチレン系、ポリプロピレン系、ポリブチレンテレフタレート系、ポリテトラメチレンテレフタレート系、ポリウレタン系、ポリフェニレンサルファイド系等の合成繊維、レーヨン、アセテート等の化学繊維、木綿、麻、シルク、ウール、羽毛などの天然繊維もしくはこれらの混用素材が使用でき、通気性シート(A)及び(B)は同じであっても異なっていてもよいが、中間層形成のための粒子支持体として使用する通気性シート(A)は、高吸放湿性微粒子とバインダー樹脂を確実に保持し、固定しやすい形状、厚みであるものが好ましい。この意味で、凹凸を付与した長繊維や短繊維の不織布が好ましい。凹凸の形成する手段としては、ニードルパンチ加工、プリーツ加工、厚さの大きいエアースルー加工等があるが、好ましくはニードルパンチ加工である。
【0008】
本発明における通気性シートの厚さ及び目付は、詳細な用途、素材により異なるが、適宜2〜30mm程度の範囲で変えることが出来る。例えば、枕カバーに組み入れた場合は、厚みは2mmから6mmであり、目付は100g/m2から400g/m2の範囲が好適である。また敷布団に組入れた場合は、厚みは3mmから8mmであり、目付は150g/m2から600g/m2の範囲が好適である。
【0009】
本発明に用いる積層体の中間層中には、高吸放湿性微粒子とバインダー樹脂とを含有する。高吸放湿性微粒子とは、高吸湿性で、かつ放湿性に優れた微粒子であれば、特に化学構造的に限定されるものではなく、例えば、吸湿性シリカなどの無機系、もしくはポリウレタン系、ポリアミド系、ポリエステル系およびポリアクリレート系などの種々の有機系微粒子が使用可能であるが、保持させやすさや軽量化の点で有機微粒子が好ましい。この例として、ポリスチレン系、ポリアクリロニトリル系、ポリアクリル酸エステル系、ポリメタクリル酸エステル系のいずれかのビニル系重合体で、スルホン酸基、カルボン酸基、リン酸基あるいは、それらの金属塩の少なくとも1種の親水基を有し、かつジビニルベンゼン、トリアリルイソシアネートまたはヒドラジンのいずれかで架橋された重合体微粒子が挙げられる。
【0010】
高吸放湿性微粒子の吸湿率(20℃、65%RH)は18%以上が好ましく、より好ましくは25%以上、さらに好ましくは40%以上である。
【0011】
高吸放湿性有機微粒子のうち、特に好ましいものは、アクリロニトリルを主体としたアクリロニトリル系重合体微粒子にヒドラジン処理により架橋結合を導入して、窒素含有量を0.9〜8.1質量%、好ましくは2.9〜8.1質量%の範囲内に調整し、加水分解処理により、残存しているニトリル基量の1.0〜5.0meq/g、好ましくは2.6〜5.0meq/gにカルボキシル基を導入し、次いで既カルボキシル基の50〜90mol%、好ましくは60〜85mol%をMg、Ca、Cu、Zn、Al、Ag、Feより選ばれる1種あるいは2種以上の金属塩型としたものである。なお、調湿機能を損なわない範囲でこれら以外の金属も使用することができる。しかし、その含有量はカルボキシル基量として、5mol%以下である。
【0012】
高吸放湿性微粒子の粒度は、平均粒子径が0.01〜200μm程度のものが使用できるが、調湿調温性の点では、できるだけ細かい方が好ましいが、作業性、バインダー樹脂との混和性の点では、見掛けの粒度は、できるだけ大きいことが好ましく、0.1〜1mm程度の顆粒状に予め成形したものも使用できる。1次的平均粒子径は3μm未満が好ましい。
【0013】
次に、高吸放湿性微粒子とともに中間層を形成するバインダー樹脂は、粉末型熱接着性接着剤が高吸放湿性微粒子と均一に混合できるので好ましい。粉末型熱接着性接着剤の粒子径は、吸高吸放湿性微粒子よりも小さいことが好ましい。粉末型熱接着性接着剤の粒子径が大きいと接着加工後、未接着の高吸放湿性微粒子が多くなり粒子飛散の問題が発生しやすい傾向がある。粉末型熱接着性接着剤の粒子径は高吸放湿性微粒子の1/5以下であることがより好ましい。
【0014】
接着剤樹脂の種類としては、ポリエチレン系、エチレンビニルアルコール系、ポリビニルアルコール系、シリコン系、ウレタン系、アクリル系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリエチレンオキサイド系、ポリオレフィン系またエチレン-アクリル共重合体等の2成分および3成分共重合体などの樹脂が挙げられ、吸湿性微粒子との相溶性、熱接着性に問題なければ、特に限定されないが、親水性樹脂が高吸放湿性微粒子の効果を阻害しない点で好ましい。この意味では吸湿率は3〜50%のものが好ましい。
【0015】
親水性樹脂としては、親水性セグメントとして、ポリアルキレンオキサイド付加重合体、スルホン酸塩、カルボン酸塩等の極性親水基、アミド変成基などを導入した親水性シリコン系樹脂、親水性ウレタン系樹脂、親水性ポリアミド系樹脂、親水性ポリエチレンオキサイド系樹脂で、樹脂自身の吸湿性、透湿性が高いものが挙げられる。
【0016】
中間層における高吸湿性微粒子/粉末型熱接着性接着剤の質量比は、60/40〜95/5が好ましい。高吸湿性微粒子の含有率が95質量%を超えると、高吸湿性微粒子の固着が不十分になり、また、60質量%を下回ると本発明の効果が得られにくくなる傾向がある。
【0017】
中間層中の高吸放湿性微粒子の含有量は、40〜3000g/m2である。高吸放湿性微粒子の含有量が3000g/m2を超えると、高吸湿性微粒子の固着が不十分になり、また、40g/m2を下回ると本発明の効果が得られにくくなる。高吸放湿性微粒子の含有量は、その目的に応じて適宜選択することができるが、製造のしやすさ、製造コストなどから、100〜1000g/m2が好ましく、より好ましくは150〜600g/m2、さらに好ましくは200〜500g/m2である。本発明においては、このように、自由に含有量を選択でき、しかも、多量の高吸放湿性微粒子を含有させても嵩張らず、コンパクトな積層体とすることが可能な利点がある。また、中間層中には、目的に応じて、他の吸湿性粒子、活性炭粉末、セラミックス粒子、シリカ粒子、抗菌剤、消臭剤などの機能性粒子を含有させることができる。
【0018】
本発明における通気性シート(A)、(B)及び中間層からなる積層体の目付は、用途によっても異なるが、通常200〜3500g/m2、厚さ1.0〜50mmが好ましい。取扱い性、製造のしやすさから、好ましくは、目付400〜2000g/m2、厚さ1.5〜30mmであり、さらに好ましくは、目付500〜1000g/m2、厚さ2〜10mmである。
【0019】
本発明における積層体は、一方の通気性シートの上に、高吸湿性微粒子と熱接着性の樹脂バインダーとを付与して接着面を形成すると同時に、該接着面に他の通気性シート又は非通気性シートを重ねて熱接着する方法が好適に採用される。より具体的には、高吸湿性微粒子と粉末型熱接着性接着剤とを質量比が60/40〜95/5で混合し、該混合物を凹凸が付与された通気性シート(A)上に塗布し、次いで、該塗布面の上に通気性シート(B)又は非通気性シート(C)を重ね、かつ粉末型熱接着性接着剤の融点以上の温度で熱処理することを特徴とすることによって製造することができる。
高吸湿性微粒子と粉末型熱接着性接着剤との混合物を通気性シート上に塗布する方法としては、熱ラミネート方式が好ましい。
【0020】
本発明における積層体に用いる通気性シートは、高い吸湿性と高い放湿性とを発揮する中間層の保持及び保護層であるのみならず、水分を含んだ空気の導入層又は放出層の役割を果たすものである。したがって、本発明の調湿積層体を組み入れた寝装品は、中間層が水分を含んだ空気を導入して吸湿すると、吸湿による発熱を発現し、逆に中間層が水分を放湿すると、放湿による吸熱、冷却を発現することができる。
【0021】
本発明における積層体においては、非通気性シート(C)は、通気性シート(B)を介して又は直接に中間層に積層することができる。積層の方法は、特に限定はされず、公知の接着方式が用途及び必要に応じて採用することができ、部分接着、全面接着、仮接着、面ファスナーなどの接着方式あるいは重ねるだけでもよい。例えば、この積層体の非通気性シート(C)側を人体の反対側になるように使用した調湿積層体を組入れた寝装品では、人体から発生する水分は逃げ場所がないのでほとんど中間層が吸収することになり、吸湿発熱性を高めることができ、保温性が向上する。
【0022】
非通気性シート(C)としては、フィルム、シートあるいはフィルムと不織布の積層体などが使用可能である。フィルムやシートは、公知の合成樹脂製のものが使用でき、用途に応じて必要により防水性、透湿性、耐候性などのものを適宜使用することができる。
【0023】
また、本発明における調湿積層体を組み入れた寝装品において、積層体中間層の両側が通気性シートになる場合は、さらに繊維構造体層(D)を積層することができる。この繊維構造体層(D)とは、前記の通気性シート(A)や(B)を構成する繊維と同様な繊維が使用でき、編物、織物、立体網状体、硬綿クッション材などである。繊維構造体層(D)の目付や厚さは、用途や目的によって適宜選択できるが、通常、目付は40〜1000g/m2、厚さ0.1〜50mmが好適である。
【0024】
繊維構造体層(D)の積層の方法は、特に限定はされず、公知の接着方式を用途及び必要に応じて公知の接着方式を適宜採用することができる。部分接着、全面接着、仮接着、面ファスナーなどの接着方式あるいは重ねるだけでもよい。例えば、この積層体の繊維構造体層(D)側を人体の反対側になるように使用すると、人体から発生する水分は、中間層、繊維構造体層(D)を通って放出することができ、中間層からの水分の放出に伴う吸熱、冷却効果によって冷感を得ることができる。
【0025】
本発明における調湿調温積層体を組み入れた寝装品において、調湿調温積層体を肌に近い面に組み込んで使用するとひんやり感を感じる寝装品が得られる。また床に近い面に組み込んで使用すると逆に暖かく感じる。
例えば、調湿調温積層体を枕カバーと枕の詰め物との間の構成部品として使用し、積層体を肌側にして使用すると、ひんやり感を感じることができ夏季においても暑熱感を感じない枕を得ることができる。
一方、調湿調温積層体を敷布団の側地と詰め物との間の構成部品として使用し、積層体を床側にして使用すると、床側からの熱や水分の移動を遮断することができ、結露を防止し、冬季において就寝時に体熱が奪われるのを抑制することができ、保温性に優れる敷寝具を得ることができる。
【0026】
したがって、本発明の調湿積層体を組み入れた寝装品は、高温高湿度環境においてはその吸湿性により、暑熱感を抑制しひんやり感を与えるため快適さが増し、また低温高湿環境においては結露による体の冷え感を抑制し保温効果をより高く維持させることができるため快適さが増し、よってシーズンを通じて快適な寝装品を提供することができる。
【0027】
本発明における積層体は、積層の組み合わせ相手、組み合わせ順序、などの組み合わせ方によっても、特性を変化させることができ、さらに積層体の表、裏など使用の仕方にとっても特性を変化させることができるので、様々な寝装品に適用して所望の快適性を付与することができる。具体的な例としては、枕(枕カバー、枕用詰め物など)、敷寝具(敷布団、敷用カバー、中綿、マットレス、ベッドパッド、マイヤー毛布、敷パッド、吸湿パッドなど)、掛寝具(掛布団、掛カバー、マイヤー毛布など)など寝装品の様々な分野の部材に使用することができる。
【0028】
【実施例】
以下に本発明の実施例を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。
実施例1
調温調湿積層体の作製:
ニードルパンチ加工されたポリエステルスパンボンド不織布(繊度2.2dtex、厚さ1.7mm、目付130g/m2)(下層:シートA)に、平均粒子径50μmの架橋アクリル系微粒子(日本エクスラン工業社製HU100P、20℃、65%RH環境下の吸湿率40%)と融点106℃、平均粒径10μmのエチレン-アクリル共重合体パウダーとの混合物(85/15質量比)を200g/m2の付与量になるようにパウダー塗布機で塗布した後、更にその上から下層と同様の不織布(上層:シートB)を積層し、150℃でラミネート加工機を用いて接着積層を行い、見掛け厚さ3mm、目付460g/m2の調温調湿積層体を得た。得られた積層体の端部の周囲を変性オレフィン系樹脂(融点110℃)を用いて巾2mm、厚さ2mmの樹脂シールを行なった。
【0029】
寝装品(枕)の作製:
枕用詰め物として、東洋紡績社製ポリエステル綿エスマーブル(登録商標)(11dtex、繊維長64mm)と東洋紡績社製ポリエステル綿エスアップ(登録商標)(7.8dtex、繊維長70mm)とを各々質量比にして50%ずつ混合し、厚みを100mmとしたものを、ブロード織物(ポリエステル65%綿35%、40番手紡績糸使用)を側地として包み込みんだものを作製した。(側地1) この側地1に、上記調温調湿積層体と上記詰め物部材を、調温調湿積層体が側地の片側面と詰め物部材との間になるように、同時に挿入し、幅32cm×長さ54cm×厚さ10cmの枕を作製した。
【0030】
比較例1
側地、詰め物部材は実施例1と同じのものを用い、他のものは組み入れず、側地と記載の詰め物部材のみからなる枕を作製した。
【0031】
実施例2
調温調湿積層体の作製:
ニードルパンチされたポリエステルスパンボンド不織布(繊度2.2dtex、厚さ1.7mm、目付130g/m2)(下層:シートA)に、平均粒子径50μmの架橋アクリル系微粒子(日本エクスラン工業社製HU100P、20℃、65%RH環境下の吸湿率40%)と融点106℃、平均粒径10μmのエチレン-アクリル共重合体パウダーの混合物(85/15質量比)300g/m2をパウダー塗布機で塗布した後、更に上からポリプロピレンSMS不織布[スパンボンド不織布(繊度2.2dtex、目付30g/m2)/メルトブロー不織布(繊度0.2dtex、目付20g/m2)/スパンボンド不織布(繊度2.2dtex、目付20g/m2)](上層:シートB)を積層し、150℃でラミネート加工機を用いて接着積層を行い、見掛け厚さ2.6mm、目付500g/m2の調温調湿積層体を得た。得られた積層体の端部周囲を変性オレフィン系樹脂(融点110℃)を用いて巾2mm、厚さ2mmの樹脂シールを行なった。
【0032】
寝装品(敷布団)の作製:
敷布団の中綿(詰め物)部材として、ポリエステル系エラストマーからなる、曲率を有した連続の繊維が互いに不規則に交絡し、接触した点を有した厚さが35mmの立体的な構造体で、その繊維の繊維径が1.2mm、嵩密度が45kg/m3である線条ランダムル−プからなる三次元立体構造網状体を用い、クッション材を包む側地は、東洋紡績社製ポリエステルふとん綿エスマーブル(登録商標)(11dtex、繊維長64mm)と東洋紡績社製コンフォロフト(登録商標)(6.6dtex、繊維長76mm)とを各々質量比にして50%ずつ混合し、厚みを10mmとしたものを、ブロード織物(ポリエステル65%綿35%、40番手紡績糸使用)を側地として包み込み、7cm角でキルティングを行なったものを用いた。(側地2)この側地2に、上記調温調湿積層体と上記中綿部材を、調温調湿積層体が側地の片側面と中綿部材との間になるように、ともに挿入し、幅90cm×長さ180cm×厚さ5.5cmの敷布団を作製した。
【0033】
比較例2
側地、中綿部材は実施例2と同じのものを用い、他のものは組み入れず、側地と記載の中綿部材座席のみからなる敷布団を作製した。
【0034】
実施例3
調温調湿積層体の作製:
実施例2において、上層にフィルムラミネートしたスパンボンド不織布(カレンダーロール処理されたポリエステルスパンボンド(繊度2.2dtex、目付50g/m2)に透湿性ポリエステルエラストマーフィルム(30μm)をラミネート積層したもの:シートB、C)を使用する以外は実施例2と同様にして、見掛け厚さ2.6mm、目付510g/m2の調温調湿積層体を得た。得られた積層体の端部周囲を変性オレフィン系樹脂(融点110℃)を用いて巾2mm、厚さ2mmの樹脂シールを行なった。
【0035】
寝装品(マットレス)の作製:
定法により製造された繊度6デニール、中空断面の立体捲縮を有するポリエチレンテレフタレートからなるポリエステルステープル(イ)と、芯鞘型で芯部がポリエチレンテレフタレート、鞘部が酸成分がテレフタレートとイソフタレート、グリコール成分がエチレングリコールを共重合した融点が110℃の低融点ポリエステルからなる4デニールの熱接着繊維(ロ)とを、イ/ロ=65/35重量比に混合開繊してウェッブとしたものを積層して、嵩密度が45kg/m3、厚み85mmになるように圧縮後、160℃の熱風で10分間接着処理後冷却して作成した平板のポリエステル硬綿を切断して、実施例2に使用した側地2に、上記調温調湿積層体とともに、上記調温調湿積層体が側地の片側面とクッション部材との間になるように挿入して、幅83cm×長さ191cm×厚さ8.8cmの寝具用マットレスを作製した。
【0036】
比較例3
側地、マットレス用クッション材は実施例3と同じのものを用い、他のものは組み入れず、側地と記載のクッション材のみからなるマットレスを作製した。
【0037】
実施例4
調温調湿積層体の作製:
実施例2において、上層にフィルムラミネートしたスパンボンド不織布(カレンダーロール処理されたポリエステルスパンボンド(繊度2.2dtex、目付50g/m2)に透湿性ポリエステルエラストマーフィルム(30μm)をラミネート積層したものシートB、C)を使用する以外は実施例2と同様にして、見掛け厚さ2.6mm、目付510g/m2の調温調湿積層体を得た。得られた積層体の端部周囲を変性オレフィン系樹脂(融点110℃)を用いて巾2mm、厚さ2mmの樹脂シールを行なった。
【0038】
寝装品(吸湿パッド)の作製:
東洋紡績社製コンフォロフト(登録商標)(6.6dtex、繊維長76mm)と東洋紡績社製アクアマーブル(登録商標)(繊度4.0dtex、繊維長51mm)とを各々重量比にして85%対15%ずつ混合開繊してウェッブとしたものを積層して、目付400g/m2、厚さ4mmになるように圧縮後、160℃の熱風で10分間接着処理後冷却して作成した平板のポリエステル綿の片面に上記実施例4の調温調湿積層体のフィルム面側に積層し、周囲をバイアステープでくるんで縫製し、幅86cm×長さ180cm×厚さ0.7cmの吸湿パッドを作製した。
【0039】
比較例4
構成部材は実施例4と同じのものを用い、他のものは組み入れず、構成部材のみの周囲をバイアステープでくるんで縫製した吸湿パッドを作製した。
【0040】
作製したこれらの寝装品について、次の(1)および(2)の方法で物性評価を、(3)の方法で人による感覚の評価を行なった。
【0041】
(1)モデル暑熱感の評価
カトーテック社製サーモラボII試験機を用い、保温性測定条件にて熱板設定温度35℃で実施例及び比較例の積層体について、以下のような降温のしやすさの評価を行った。すなわち、35℃熱板上に積層体を通気性シートA側を熱板側にして置き、積層体と熱板の間で熱板に取り付けられた温度センサ(熱電対)が一定温度に達した後、20℃、65%RH環境下にて熱板のヒーターを停止させて降温させ、降温開始20分経過時の温度低下を測定した。この値が大きい方が、熱源から離した時の熱移動が早く起こっていることを示し、暑熱感が少なく、快適と感じられる。
【0042】
(2)モデルひんやり感の評価
カトーテック社製サーモラボII試験機を用い、保温性測定条件にて熱板設定温度35℃で実施例及び比較例の積層体について、以下のような昇温のしやすさの評価を行った。すなわち、35℃に設定した熱板上に、20℃、65%RH環境下にて調整した積層体を通気性シートA側を熱板側にして置き、積層体と熱板の間で熱板に取り付けられた温度センサ(熱電対)で積層体を置いた後の昇温開始5分経過時の温度上昇を測定した。この値の低い方が、熱源に接した時の熱移動が少ないことを示し、ひんやり感が感じられ、快適となる。
【0043】
(3)人による評価
女性モニター5名が綿100%のブロード織物のパジャマ上下を着用して、32℃、70%RH環境、または15℃、70%RH環境にしたフローリングの室内で、本発明の調湿積層体を組み入れた寝装品の使用を行い(20分間仰臥する)、その時の感覚をアンケート調査により評価した。なおそれぞれの寝装品について、積層体の設置面は、枕は肌側面、敷布団は肌側面、マットレスは床面、吸湿パッドは床面側になるようにして使用した。アンケート項目は、32℃、70%RHにおいては、暑熱感、ひんやり感、15℃、70%RHにおいては、冷え感、湿り感である。それぞれ背面における感覚判定とし、以下の基準により評価させ、5人の回答結果を平均して判断した。
(ア)暑熱感
○・・・特に変化を感じない、△・・・やや暑い、 ×・・・暑い
(イ)ひんやり感
○・・・ひんやりと感じる、△・・・少しひんやりと感じる、×・・・特に変化を感じない
(ウ)冷え感
○・・・特に変化を感じない、△・・・やや冷え感を感じる、×・・・冷え感を感じる
(エ)湿り感
○・・・特に変化を感じない、△・・・少し湿り感を感じる、×・・・湿り感を感じる
【0044】
表1は、実施例及び比較例の結果をまとめたものである。
【表1】
【0045】
表1の結果から、本発明の寝装品において、枕では、実施例に示したように、調湿調温性に優れた積層体を用いることにより、頭部の暑熱感を抑えられ快適であるのに対し、比較例では、暑熱感は高いままであった。また敷布団では、実施例はひんやり感が感じられ、暑熱感がやわらげられて快適なものであったが、比較例では暑熱感は高いままであった。マットレスでは、実施例は冷え感や湿り感が抑えられ快適であるのに対し、比較例では冷え感や湿り感が生じていた。吸湿パッドでは、実施例は冷え感や湿り感が抑えられ快適であるのに対し、比較例では冷え感や湿り感は少ないものの、実施例の方がより優れる結果であった。以上のように本発明の寝装品によれば、オールシーズンを通じて従来の寝装品よりも快適な製品が得られた。
【0046】
【発明の効果】
本発明によれば、枕、布団、ベッドおよびそれらとともに使用される関連製品などの寝装品分野において、調湿調温性、使用感、触感などに優れ、オールシーズンにわたって、快適性を高めた寝装品を提供することができる。
Claims (3)
- 通気性シート(A)、高吸放湿性微粒子とバインダー樹脂として親水性樹脂からなる粉末型熱接着性接着剤とを含有する中間層、及び通気性シート(B)又は/及び非通気性シート(C)とを有する積層体を組み入れた寝装品であり、該中間層中の高吸放湿性微粒子の含有量が40〜3000g/m2であることを特徴とする快適性に優れた寝装品。
- 中間層の高吸湿性微粒子/粉末型熱接着性接着剤の質量比が60/40〜95/5であることを特徴とする請求項1に記載の快適性に優れた寝装品。
- 粉末型熱接着性接着剤の粒径が高吸湿性微粒子の粒径よりも小さいことを特徴とする請求項1又は2いずれか1項に記載の快適性に優れた寝装品。
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