[go: up one dir, main page]

JP4282043B2 - 記録液体供給通路、記録液体収納容器、およびこれらを備える記録液体供給装置、並びにその表面改質方法 - Google Patents

記録液体供給通路、記録液体収納容器、およびこれらを備える記録液体供給装置、並びにその表面改質方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4282043B2
JP4282043B2 JP34691599A JP34691599A JP4282043B2 JP 4282043 B2 JP4282043 B2 JP 4282043B2 JP 34691599 A JP34691599 A JP 34691599A JP 34691599 A JP34691599 A JP 34691599A JP 4282043 B2 JP4282043 B2 JP 4282043B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
liquid
recording liquid
recording
group
ink
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP34691599A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2001162817A5 (ja
JP2001162817A (ja
Inventor
弘毅 林
幹雄 真田
定之 須釜
肇 山本
省三 服部
浩志 越川
健二 北畠
英一郎 清水
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP34691599A priority Critical patent/JP4282043B2/ja
Priority to CA002327163A priority patent/CA2327163A1/en
Priority to US09/726,025 priority patent/US6709092B2/en
Priority to SG200007093A priority patent/SG97993A1/en
Priority to TW089125803A priority patent/TW515759B/zh
Priority to DE60033487T priority patent/DE60033487T2/de
Priority to AU72032/00A priority patent/AU779159B2/en
Priority to MXPA00012032A priority patent/MXPA00012032A/es
Priority to EP00126694A priority patent/EP1106363B1/en
Priority to CNB001380508A priority patent/CN1193879C/zh
Priority to KR10-2000-0073922A priority patent/KR100441730B1/ko
Publication of JP2001162817A publication Critical patent/JP2001162817A/ja
Publication of JP2001162817A5 publication Critical patent/JP2001162817A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4282043B2 publication Critical patent/JP4282043B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
    • B41J2/00Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed
    • B41J2/005Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed characterised by bringing liquid or particles selectively into contact with a printing material
    • B41J2/01Ink jet
    • B41J2/17Ink jet characterised by ink handling
    • B41J2/175Ink supply systems ; Circuit parts therefor
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
    • B41J2/00Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed
    • B41J2/005Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed characterised by bringing liquid or particles selectively into contact with a printing material
    • B41J2/01Ink jet
    • B41J2/17Ink jet characterised by ink handling
    • B41J2/175Ink supply systems ; Circuit parts therefor
    • B41J2/17503Ink cartridges
    • B41J2/17513Inner structure

Landscapes

  • Ink Jet (AREA)
  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)
  • Ink Jet Recording Methods And Recording Media Thereof (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、記録液体(インク)を保持する記録液体収納容器、記録液体を吐出し被記録媒体に付着させることにより記録を行うインクジェットヘッドに記録液体収納容器から記録液体を導く記録液体供給通路、およびこれらを備える記録液体供給装置、並びに記録液体供給装置の記録液体が直接通過する部分、または記録液体を供給するために必要なフィルターなどの構造体の一部の表面の親水化方法に関する。
【0002】
更に、本発明は液体収納容器内の負圧発生部材として用いられる繊維自体の表面またはこの表面に何らかの処理がされた表面のいずれかに対して、特性や性質などを変えて接液性を改質する物品表面改質方法に関し、該表面改質された負圧発生部材に関する。
【0003】
上記発明に加えて、特に本発明は、表面処理が施し難いが環境にやさしいオレフィン系樹脂から構成されている繊維に対して表面改質を確実に行える表面改質方法、改質表面を有する繊維および繊維の製造方法に関する。
【0004】
【従来の技術】
インクジェットヘッドから記録液体(インク)を吐出し、被記録媒体に付着させることにより記録を行うインクジェットプリンタにおいては、一般的に、インクジェットヘッドに供給するインクを保持する記録液体収納容器と、インクタンクからインクジェットヘッドにインクを導く記録液体供給通路とを含む記録液体供給装置が設けられる。
【0005】
記録液体供給通路としては、記録液体収納容器とインクジェットヘッドとが離れて配置される場合には、可撓性のプラスチックチューブなどが用いられ、また、インクジェットヘッドと一体的または離脱式の記録液体収納容器が設けられる場合でも、管状の連通部材(ジョイントパイプ)が用いられる場合がある。また、ヘッド−タンク間の通路内にはフィルターが通常設けられている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述の記録液体供給通路として、 図35に示すような、プラスチックチューブなどの供給管1001がもうけられた記録液体供給装置では、供給管1001内のインクが蒸発して気体になり供給管1001の壁を透過して供給管1001から放出され、また、供給管1001の壁を透過して供給管1001内に微量の空気が侵入することになり、 図35(a)に示すように、供給管1001内に気泡1002が形成されることがある。このように供給管1001内に気泡1002が形成されると、気泡1002によりインク流路が狭くなって、インクの流れが悪くなり、インク供給不良が生じる危惧がある。
【0007】
さらに、長期間放置するなどした場合には、大きな気泡1002によって、 図35(b)に示すように、供給管1001内のインクが分断されて、メニスカス1003を形成してしまう場合がある。このような場合には、インクの流れに影響を及ぼし、インク供給不能になってしまう危惧がある。また、この場合に、供給管1001内のインクをポンプで吸い出すなどして、供給管1001の連通を回復しようとしても、相当大きい力を加えなければ回復できない場合がある。
【0008】
これに対して、供給管1001の壁に、空気を透過しにくいガスバリア層を設けて気泡1002の形成を低減する方法が考えられるが、このようなガスバリア層を設けると、供給管1001が太くなってしまい、場所をとってしまう。また、供給管が堅くなってしまい、インクジェットプリンタ内に配置するために曲げたり、インクジェットヘッドを載置するキャリッジと共にインクジェットヘッドが移動するのに伴って、応力が加わったりした際に、ひびが入ってしまう危惧がある。
【0009】
また、吸収体収納室と液体貯溜室とを有し、気液交換を促進するための気体導入路を吸収体収納室に有する記録液体収納容器では、気体導入路にエアーが入ることでエアパスとなって、このエアーが液体貯溜室に入ることでこの室内の圧力を緩和する。この際、エアーの移動時間が、液体供給時の負圧増加を支配するため、この気液交換導入路の毛管力を大きくすることなくエアーがスムーズに移動することが好ましい。
【0010】
また、前記液体貯溜室を交換可能にした記録液体収納容器では、液体貯溜室と吸収体収納室との間に、横方向(水平方向)に比較的長いインク流路であるジョイントパイプが設けられるために、液体貯溜室から吸収体収納室へのインク導入がスムースに行われない場合がある。特に、インクジェットプリンタが斜めに置かれるなどして、ジョイントパイプが吸収体収納室に向かって上方に傾いている場合には、インク導入がスムースに行われずに、インク切れが生じてしまう危惧がある。
【0011】
本発明は、以上のような問題を解決し、記録液体収納容器から液体吐出ヘッドへの液体供給経路/(好ましくはこれに加えて記録液体収納容器内)でのインク移動をスムースに行うことができる記録液体供給通路、記録液体収納容器およびこれらを備える記録液体供給装置を対象とする。
【0012】
また、記録ヘッドへの液供給口の中に、繊維方向を液供給方向に揃えた繊維束からなる圧接体が配置されたインクタンクがあるが、上述した観点と同様、圧接体のインク流抵抗が高いと、高速印字に伴い、高流量のインク供給が求められた場合、ヘッドに安定的にインクを送れなくなるという課題が生じる。
【0013】
本発明は、従来の技術水準に対して検討を加える中で、新たな知見に基づいてなされた画期的な発明である。
【0014】
従来のラジカル化による化学的結合のみによる表面改質は、複雑な形状の表面に均一な表面改質を行うことはできない。しかもインクジェット分野で用いられ負圧を発生するためのスポンジや繊維複合体のように内部に複雑な多孔質部分を有する負圧発生部材内部には特に表面改質を行うことはできない。
【0015】
加えて、液体中に界面滑性剤等を入れたものは、多孔質体自体を表面改質することにはならず、界面滑性剤がなくなると全く特性がなくなり、表面自体の特性に即座にもどってしまう。
【0016】
ましてや、オレフィン系樹脂は、水に対する接触角が80度以上という撥水性に優れたものではあるが、親液性を、長期的に所望特性に得られるような表面改質する方法が無い。
【0017】
従って、本発明者達は、まずオレフィン系樹脂の表面改質を合理的に行い、且つその改質特性を維持する方法を解明することで、あらゆる物品の表面改質を行える方法を提供すべく研究した結果、液状の処理液を用いることに注目し、複雑な形状の負圧発生部材に対しても処理可能な前提を置くことにした。
【0018】
また、本発明者達の新たな知見として、負圧発生部材の改質されるべき表面と反応基を有する高分子との関係において、表面エネルギーを利用することで、反応基とのバランスを所望の状態にコントロールできる点及び高分子自体の解析によって更なる耐久性向上、品質の安定性を達成できる点を見い出した。
【0019】
また、別の観点から、本発明者達は、多孔質体の如き負圧発生部材の負圧特性に注目したところ、以下の課題を新たに認識した。
【0020】
すなわち、従来の負圧発生部材は、初期充填された液状インクなどの液体に常に曝されている場合が多く、又、負圧室と液体収納室とが一体になっている場合でも、液体に曝されている一部分が液体消費されて再充填されることはあるが、全体的に消費状態の負圧発生部材に通常の装置内での液体補充を受けることが想定されていない。そのため、初期負圧や初期液体保有量へ液体の補充によって復帰するか否かについては、当業者の中でも認識されてはいない。
【0021】
本発明は、負圧発生部材収納室に対して、その含有液体を任意のレベルで消費せしめた後に、補充液体収納室(容器またはタンク)を取付けることによって、その程度の復帰がなされるかを検討したところ、初期に負圧発生部材に充填される液体は何らかの強制注入を用いるためかかなりの量を得られるが、このように単純に再充填した場合は、負圧発生部材中のエアーの除去が難しいためか、半分程度の復帰しか得られず、これを繰り返すと再保持可能な液体量はどんどん少なくなってしまい、負圧も増大するという傾向が見られた。
【0022】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1目的は、液体吐出ヘッドへの液体供給管部における気泡の存在があっても吸引または加圧などによる回復手段によって回復可能な液体供給経路を提供することにある。
【0023】
本発明の第2目的は、前述の液体供給経路の内面に、内径をほとんど変化させることのない分子レベルの薄膜高分子による親液化面を形成した液体供給経路およびその製造方法の提供にある。
【0024】
本発明の第3目的は、液体吐出ヘッドへ供給する液体を保有でき、着脱可能な液体供給部材の接続、離脱を受ける負圧発生部材収納室のジョイント(結合部)域における液体の移動性や回収性を向上した収納室の提供と、これに加えて、負圧発生部材の少なくとも一部の親液化処理を加えた収納室の提供にある。特に、負圧発生室に対する液体供給部材の液体供給に伴う気体(外気)導入についても、より確実に行うことのできる収納室およびシステムの提供をも目的の1つに挙げることができる。
【0025】
本発明の第4の目的は、液体吐出ヘッド用のオレフィン系樹脂管内面の親液性を確保するための製造方法およびそれによって製造された液体供給管を提供することにある。
【0026】
本発明の第5の目的は、液体吐出装置に設けられる液体供給経路内の空気透過性や溶出物防止効果を兼ね備えた、親液性を発揮できるチューブ、管やフィルターなどの構造部材を提供することにある。
【0027】
本発明の他の目的あるいは上記目的の複合目的については、以下の説明から理解される。
【0028】
前述の目的を達成するため、本発明による記録液体供給通路は、記録液体を吐出して記録を行うインクジェットヘッドに対して前記記録液体を供給するための
、前記記録液体自身が直接通過する、あるいは前記記録液体を供給するために必要な構造体としての管状の記録液体供給通路において、
記録液体供給通路の内面を親水化するための相対的に長鎖の親液性基を有する第1の部分と、親液性基の界面エネルギーとは異なり且つ前記記録液体供給通路の内面の表面エネルギーと略同等の界面エネルギーの基を有する相対的に短鎖の第2の部分とを備える高分子が付与されるとともに、第2の部分は前記表面に向かって配向し、前記第1の部分とは異なる方向に配向していることを特徴とする。
【0029】
この構成によれば、記録液体供給通路の壁を空気が透過して記録液体供給通路内に気泡を形成した際、記録液体供給通路の壁に気泡が付着した部分で、記録液体供給通路の親水化された内面に沿って記録液体が導かれるため、気泡の記録液体供給通路の内面への付着面の面積が小さくなり、さらには、気泡が内面から離れて浮き上がる。このため、記録液体の供給時の流れにより気泡が容易に除去されるようにでき、内部への気泡の滞留を低減することができるので、気泡により記録液体の流れが妨げられることを抑止でき、記録液体を効率的に供給することができる。
【0030】
また、気泡が内面に付着した状態になると、この部分で記録液体の浸透圧が小さくなり、記録液体供給通路内への空気の透過が促進されるが、本発明による記録液体供給通路では、気泡の記録液体供給通路の内面への付着面の面積を小さくできるので、記録液体の浸透圧が小さくなることにより記録液体供給通路内への空気の透過が促進されることを抑止できる。
【0031】
本発明による記録液体供給通路の親水化された内面は、記録液体の移動時の流抵抗が小さいので、記録液体を記録液体供給通路に通してより効率的に供給することができる。
【0032】
この親水化を行うために、記録液体供給通路の内面をオレフィン系の樹脂により構成し、高分子化合物として親水性基を備えたポリアルキルシロキサンを用いることができる。
【0033】
また、本発明による記録液体供給システムは、インクジェットヘッドへ供給するための記録液体を一時的に毛管力で保持する吸収体を備えた第1の容器と、第1の容器へ供給するための記録液体を保持する第2の容器と、第2の容器と第1の容器とを連通するための管状の記録液体供給路とを備える記録液体供給システムにおいて、
吸収体は、オレフィン系の樹脂を少なくとも表面に有する繊維からなる繊維体であり、記録液体供給内面がオリフィレン系樹脂を有しており、
繊維体及び前記内面のそれぞれの少なくとも一部が、その表面に、親液化するための親液性基を有する第1の部分と、親液性基の界面エネルギーとは異なり且つ表面の表面エネルギーと略同等の界面エネルギーの基を有する第2の部分とを備える高分子が付与されるとともに、第2の部分は表面に向かって配向し、第1の部分は前記表面とは異なる方向に配向していることを特徴とする。
【0034】
この構成によれば、吸収体に含まれる繊維体の表面が親水化されているために、繊維表面の濡れ性が高いので、繊維吸収体のインクの吸収が速く、効率的に吸収体にインクを供給できる。また、繊維吸収体部分でのインクの移動時の流抵抗が小さいので、インクを効率的にインクジェットヘッドに導くことができる。
【0035】
本発明による記録液体収納容器は、記録液体を吐出して被記録媒体に付着させることにより記録を行うインクジェットヘッドに供給する記録液体を保持する記録液体収納容器において、
記録液体が直接通過する部分、または記録液体を供給するために必要な構造体の一部の表面が親水化されていることを特徴とする。
【0036】
このような構成とすることにより、記録液体を安定して効率的に供給できる記録液体収納容器とすることができる。
【0037】
より具体的には、本発明による記録液体収納容器は、記録液体をインクジェットヘッドに供給する供給口部分にフィルターが配置されている記録液体収納容器において、
フィルターの表面が親水化されていることを特徴とする。
【0038】
このように、フィルターを親水化することにより、フィルターによる圧力損失を低減し、インクカートリッジに保持された記録液体を効率的にフィルター部分に導いて外部に供給するようにできる。
【0039】
また、本発明による記録液体収納容器は、毛管力を利用して液体を保持する吸収体を収容するとともに大気連通口及び液体供給口とを備える吸収体収納室と、吸収体収納室と連通部を介して連通し連通部を除いて実質的に密閉空間を形成する液体貯溜室と、を備える記録液体収納容器において、
吸収体収納室を構成する筐体の、少なくとも連通部近傍の吸収体との接触面が親液化されていることを特徴とする。
【0040】
このような構成にすることにより、吸収体収納室の連通部が接続された面の吸収体との接触面で、吸収体収納室と吸収体との間に多少の隙間があっても、この隙間部分に吸収体に保持された記録液体を導き保持して、この隙間から連通部に空気が導かれることを抑止することができ、安定して気液交換が行われるようにできる。
【0041】
また、本発明による記録液体収納容器は、毛管力を利用して液体を保持する吸収体を収容するとともに大気連通口および液体供給口とを備え、吸収体に対して記録液体を導入するためのジョイントパイプを備えた記録液体収納容器において、
ジョイントパイプの内面が親液化されていることを特徴とする。
【0042】
このように、ジョイントパイプの内面を親水化することにより、液体貯溜室に貯溜された記録液体を効率的にジョイントパイプ部分に導き、吸収体収納室に供給することができる。
【0043】
この際、ジョイントパイプの下方の内面を親水化することにより、ジョイントパイプの下方にインクを通し、ジョイントパイプの上方に空気を通すようにして、より安定して気液交換が行われるようにできる。
【0044】
また、液体貯溜室のジョイントパイプに接続するための接続口の内面を撥液化することにより、吸収体収納室から液体貯溜室を取り外した際に、液体貯溜室の接続口に記録用液体が残留してしまうことを抑止できる。
【0045】
さらに、吸収体を繊維体から構成し、繊維体の供給口に対応する部分及びその周辺域部分の両部分を少なくとも部分的に親液化処理することはより好ましい。このようにすることで、吸収体の記録液体吸収性を向上させ、吸収体中の記録液体の流抵抗を低減できる。
【0046】
本発明による記録液体収納容器の記録液体が直接通過する部分、または記録液体を供給するために必要な構造体の一部の表面の親液化は、親液化される表面に高分子化合物が付与されており、
高分子化合物は、表面を親液化するための親液性基を有する第1の部分と、親液性基の界面エネルギーとは異なり且つ表面の表面エネルギーと略同等の界面エネルギーの基を有する第2の部分とを備え、
第2の部分は表面に向かって配向し、第1の部分は表面とは異なる方向に配向していることを特徴する。
【0047】
本発明による記録液体供給装置は、記録液体を吐出して被記録媒体に付着させることにより記録を行うインクジェットヘッドに記録液体を供給する記録液体供給装置において、
記録液体が直接通過する通路部分、および記録液体を負圧を発生しつつ供給する負圧発生部材の一部の表面を親液化するための親液性基を有する第1の部分と、親液性基の界面エネルギーとは異なり且つ前記表面の表面エネルギーと略同等の界面エネルギーの基を有する第2の部分とを備える高分子が付与されるとともに、第2の部分は表面に向かって配向し、第1の部分とは異なる方向に配向していることを特徴とする。
【0048】
より具体的には、本発明による記録液体供給装置は、前述のような記録液体供給通路または記録液体収納容器を有することを特徴とする。
【0049】
本発明による液体吐出ヘッドへの記録液体供給を行う記録液体供給装置の記録液体が直接通過する通路部分、または前記記録液体を供給するために必要なフィルターの一部を構成する部分表面の親液化または撥液化を行う表面改質方法は、親液化または撥液化を行うための機能性基を与えることで部分表面の親水化または撥水化を行う表面改質方法であって、
機能性基を有する第1の部分と機能性基の界面エネルギーとは異なり且つ部分表面の表面エネルギーと略同等の界面エネルギーの基を有する第2の部分とを備えた機能性基付与用高分子を開裂させて得られた、第1の部分および第2の部分を有する細分化物を含む液体を部分表面に付与する第1工程と、
部分表面に細分化物の第2の部分を部分表面側に配向させ、第1の部分を部分表面とは異なる側に配向させる第2工程と、
部分表面上に配向した細分化物同士を少なくとも一部で縮合させて高分子化する第3工程と、
を有することを特徴とする。
【0050】
または、希酸と、揮発性かつ物品表面との親和性向上剤と、表面の表面エネルギーと略同等の界面エネルギーの基を有する第1の部分と該界面エネルギーとは異なる界面エネルギーの基を有する第2の部分とを備えた高分子を備える処理剤と、が溶解している液体を表面に付与する第1工程と、
表面に熱を付与することで親和性向上剤を除去する第2工程と、
希酸を濃酸化し、処理剤中の高分子を開裂させる第3工程と、
開裂された高分子を表面上で縮合させるとともに、高分子の第1の部分を前記表面に向けて配向させ、第2の部分を前記表面とは異なる側に配向させる第4工程と、
を有することを特徴とする。
【0051】
この表面改質方法によれば、均一かつ継続的な表面改質処理が可能である。また、このように表面改質することで、その表面に接するでの記録用液体の流動性を向上させることができる。
【0052】
本発明が適用される場合、液体供給用に液体自身が直接通過する、または、液体を供給するために必要な構造体としての供給通路に対するインクの濡れ性が向上し、気泡などが付着しにくくなり、長期間の放置などによっても気泡が成長しにくく供給通路内での気泡の付着や気泡の滞留が抑制され、インクの供給性の劣化を生じにくい。
【0053】
また、仕切壁を有する構成の液体収納容器の吸収体収納室側の仕切壁に親水化処理を施すことにより、壁面と吸収体との間の不測のエアパスが発生することを防止でき、所定のルートでの気体の導入を実行できるため、気液交換の安定化が図れ、液体の供給の信頼性の向上が図れる。
【0054】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照して、本発明の実施例について説明する。なお、本発明では、収容される液体に対する濡れ性に優れる性質を「親液性」と称しており、以下に示す実施形態ではインクとして水性のインクを例に挙げて説明し、親液性のなかでも特に親水性を付与する場合について説明している。ただし、本発明においてはインクの種類は水性に限定されるものではなく、油性のものであってもよい。その場合は、表面に付与する性質は親油性である。
【0055】
(第1の実施例)
図1,2を参照して第1の実施例について説明する。
【0056】
図1は、本実施例のシリアルスキャンタイプのインクジェットプリンタの模式的斜視図を示しており、図2は、このインクジェットプリンタの記録液体供給装置部分の模式的断面図を示している。
【0057】
図1に示すように、このインクジェットプリンタは、互いに平行に配置された2つのガイド軸5,6上に往復移動可能なように支持されたキャリッジ4と、キャリッジ4上に配置された、インク(記録液体)を吐出して被記録媒体に付着させることにより記録を行うインクジェットヘッド1とを有している。キャリッジ4には、2つのプーリー9に張架されたタイミングベルト9bが接続されている。片側のプーリー9にはギア部9aが設けられており、キャリッジ4を移動させる駆動力を発生するモータ7の回軸に設けられたピニオンギア8に接続されている。
【0058】
モータ7を駆動すると、モータ7の回軸出力は、ピニオンギア8、プーリー9のギア部9aを介してプーリー9に伝達され、プーリー9が回動する。プーリー9の回動出力は、タイミングベルト9bを介してキャリッジ4に伝達され、キャリッジ4は、ガイド軸5,6に沿って図1の矢印方向に、プーリー9の回動に応じて往復移動される。
【0059】
画像記録は、キャリッジ4をガイド軸5,6に沿って往復移動させ、また、不図示の被記録媒体をガイド軸に垂直な方向に移動させることで、被記録媒体の所望の記録位置に対向する位置にインクジェットヘッド1を導き、インクジェットヘッド1を駆動してインクを吐出させ、被記録媒体の所望の記録位置にインクを付着させることにより行われる。
【0060】
インクジェットヘッド1に供給するインクを保持するインクタンクが内臓されたインクカートリッジ(記録液体収納容器)3は、インクジェットヘッド1から離れた位置に設けられており、インクカートリッジ3とインクジェットヘッド1との間には、インクを導く供給管(記録液体供給通路)2が設けられている。インクカートリッジ3は、4色のインクをそれぞれ保持する4つのインクタンクを有し、また、インクジェットヘッド1は、4色のインクにそれぞれ対応するインクジェットヘッドエレメントを有しており、供給管2も4色のインクに対応して4つ設けられている。各インクタンクに貯溜されるインクは各供給管2を通じて、インクジェットヘッド1の対応する各ヘッドエレメントに供給される。
【0061】
これらインクカートリッジ3と供給管2とにより、インクをインクジェットヘッド1に供給するための記録液体供給装置が構成されている。図2に示すように、インクカートリッジ3内にはインクが直接収納されており、また、インクカートリッジ3には、インクカートリッジ3内に大気を導入するための大気連通口12とインクを供給するための供給口13とが開口されており、供給口13部分にはフィルタ14が設けられている。本実施例では、インクジェットヘッド1に対して水頭差を利用して供給される。インクジェットヘッド1は、インクカートリッジ3よりも上方に設けられており、水頭差により所定の負圧条件下でインクジェットヘッド1にインクが供給される。
【0062】
供給管2としてはポリエチレンチューブ、フィルター8の素材としてはポリプロピレン(PP)を用いている。
【0063】
本実施例において、供給管2の内面は、親水化されている。以下に、このポリエチレン(PE)チューブである供給管2の内面の親水化方法について説明する。
【0064】
先ず、下記表1に示す組成の親水処理溶液を調製した。
【0065】
【表1】
Figure 0004282043
高分子化合物である(ポリオキシアルキレン)・ポリ(ジメチルシロキサン)の溶解性に富む有機溶媒アルコールとして、イソプロピルアルコールを用いて、溶液を調製した。溶液は、先ず、イソプロピルアルコールに、無機酸である硫酸を最終溶液中における濃硫酸の添加率が0.5重量%となる量加えて、均一に混合した。ついで、(ポリオキシアルキレン)・ポリ(ジメチルシロキサン)を最終溶液中における添加率が4.0重量%となる量加えて、均一に溶解混合して、上記親水処理液調整した。なお、用いた(ポリオキシアルキレン)・ポリ(ジメチルシロキサン)は、具体的には、下記一般式(I):
【0066】
【化1】
Figure 0004282043
(式中、m、nは正の整数であり、a、bも正の整数であり、Rは、アルキル基または水素を表す)で示され、ポリ(ジメチルシロキサン)の主繰り返し単位に、そのメチル基の一つが、(ポリオキシアルキレン)基に置き換わった構造を有するものであり、市販品(日本ユニカー株式会社製、商品名:シルウェット L−7002)を利用した。なお、上記一般式(I)における四角で囲った部分は親水性基で、図1で説明する第2の基(機能性基)であり、図24において1−2で示す部分に相当する。
【0067】
なお、上記親水処理液には、濃硫酸に付随して、硫酸分子に加えて、少量の水分子も溶解している。
【0068】
次いで、上記の親水処理液を用いて、 供給管2の内面の親水化処理を試みた。調整した親水処理液を、チューブに少量入れ、供給管2内面を親水処理液にて濡らした。一様な濡れ面が得られた後、余分な親水処理液を供給管2外に取り出した。この内面が一様に親水処理液の皮膜で濡れたものを、60℃オーブンにて、1時間乾燥させた。この乾燥により、親水化処理された供給管2を作製した。(対比例1〜3)
上述の親水化処理の効果を検証する目的で、以下の組成の3種の溶液を調製し、PP(ポリプロピレン)容器の内壁面に処理を試みた。
(1)対比例1の溶液組成:
上記表1に示す親水処理液組成中、イソプロピルアルコールと硫酸のみを混合した組成とした。従って、この溶液は、本発明において目的とする高分子被覆の形成に用いる(ポリオキシアルキレン)・ポリ(ジメチルシロキサン)を含有しない溶液である。
(2)対比例2の溶液組成
上記表1に示す親水処理液組成中、イソプロピルアルコールと(ポリオキシアルキレン)・ポリ(ジメチルシロキサン)のみを混合した組成とした。従って、この溶液には濃硫酸は添加されておらず、硫酸とそれに付随する少量の水分子を含有しない溶液となっている。
(3)対比例3の溶液組成
上記表1に示す親水処理液組成中、イソプロピルアルコールに換えて、(ポリオキシアルキレン)・ポリ(ジメチルシロキサン)の貧溶媒であるヘキサンを溶媒として用いた組成とした。
【0069】
上記の対比例1〜3の液を用いて、それぞれ、チューブ内に少量入れ、チューブ内面を液にて濡らした。濡れ面が得られた後、容器を逆さにして振で、余分な液を容器外に取り出した。この内面が液で濡れたものを、60℃オーブンにて、1時間乾燥させた。また、参照例として、未処理のチューブを用いた。
【0070】
以上の操作で得られた各チューブについて目的とする表面の処理状態についての評価及びその結果を以下に示す。
イ)チューブ親水性評価方法
表1に示した液および対比例1〜3の液を用いて処理を施した、処理済みチューブ4種ならびに参照例の未処理チューブの内面を純水にてすすいだ。すすいだ水を捨てた後、純水ですすいだチューブ内に、新たな純水を入れ、チューブを軽く振盪させた、その時の壁面に対する純粋の各チューブに対する付着状態を目視にて確認した。
ロ)チューブ親水性評価結果
参照例の未処理チューブを基準として、表1に示した液により親水処理したチューブは、チューブ壁面が純水で濡れていた。それに対して、対比例1〜3の液で処理したチューブは、純水が滴状になり移動する様子が観察され、全く濡れることなく、参照例の未処理チューブと同様に明らかな疎水性を示していた。
【0071】
対比例2ならびに対比例3の液には、(ポリオキシアルキレン)・ポリ(ジメチルシロキサン)は含まれているものの、(ポリオキシアルキレン)・ポリ(ジメチルシロキサン)のチューブ表面上への吸着が有効に行われないため、評価直前に処理後容器を純水ですすいだ際、(ポリオキシアルキレン)・ポリ(ジメチルシロキサン)は洗い落とされたことがわかる。
【0072】
一方、表1に示した液による処理後チューブにおいては、同じく、処理後チューブを純水ですすぐ操作を加えた後も、チューブと純水が濡れていたことから、(ポリオキシアルキレン)・ポリ(ジメチルシロキサン)はチューブ内面上へ強固に吸着しており、また、その吸着が有効に行われていることがわかる。
【0073】
以上の評価結果から、チューブに対して、ポリアルキレンオキサイド鎖を有するポリアルキルシロキサン、酸、アルコールを含む溶液の塗布と、その後の乾燥より、有効にプラスチック材料の表面親水化処理が行われることが明らかとなった。また、アルコールおよび酸の存在下において処理することにより、高分子ポリアルキルシロキサンのチューブ内面への所望の配向と付着が完成されていることが判明する。加えて、酸およびアルコールによりプラスチック材料の表面を洗浄し、清浄なプラスチック表面を作りあげる作用なども加味されて、プラスチック表面とポリアルキレンオキサイド鎖を有するポリアルキルシロキサンの疎水性を示す、繰り返し単位であるアルキルシロキサン構造のメチル基部が基板面に配向して、全体の付着力が向上したことが明らかになった。
【0074】
また、ポリアルキレンオキサイド鎖を有するポリアルキルシロキサンの良溶媒であるアルコールに溶かすことにより、プラスチック表面上にポリアルキレンオキサイド鎖を有するポリアルキルシロキサンを均一に分散させ、また効果的に付着させることができる。なお、親水性基をもつ界面活性剤を塗布し、乾燥させただけの場合は、初期親水性が得られるものの、純水によりすすいだ際にはすぐに界面活性剤が水に溶解してしまい、付与した親水性が失われる。
【0075】
このように、上述の親水化方法によれば、均一かつ継続的な親水化処理が可能である。また、この親水化方法によれば、供給管2の内面に、内径をほとんど変化させることのない分子レベルの薄膜高分子による親水化面16を形成できる。この親水化面16は、空気透過性や溶出物防止効果を兼ね備えている。また、このように親水化することで、供給管2内での記録用液体の流動性を向上させることができる。この表面改質(親水化)の原理については後述する。
【0076】
供給管2の内面が親水化されていない場合には、供給管2の壁を透過した空気は、供給管2の内面に付着した状態になりやすく、図3(a)に示すように、供給管2の内面に付着した気泡15を形成する。このように供給管2の内面に付着した気泡15は、供給管2内に多少のインクの流れが生じても流されにくい。さらに、このように供給管2の内面に気泡15が付着すると、供給管2の壁の気泡15が付着した部分で、インクが壁に接していないので、インクの浸透圧が小さくなる。このために気泡15が付着した部分から供給管2内への空気の侵入が促進される。
【0077】
これに対して、図3(b)に示すように、内面を親水化して親水化面16を形成した供給管2では、供給管2の壁を透過した空気が供給管2の内面に付着して気泡15を形成しても、供給管2の気泡15が付着した部分で、親水化面16に沿ってインクが導かれるため、気泡15の付着面の面積が減少し、さらには、気泡15が供給管2の内面から離れて浮き上がる。このため、気泡15は、インクを供給する際に容易にインクに流されて除去される。また、供給管2の気泡15が付着した部分で、親水化面16に沿ってインクが導かれるため、インクの浸透圧により気泡15が付着した部分からの供給管2内への空気の侵入を抑止できる。
【0078】
このように、本実施例の記録液体供給装置では、供給管2の内面が親水化されているため、供給管2内の気泡15の滞留を低減でき、気泡15によりインクの流れが妨げられることを抑止できるので、効率的にインクを導くことができる。また、インクの流れ性を向上させることができるため、高流量のインク供給を行うこともできる。また、内部に気泡15が形成されても、吸引または加圧などによる回復手段により、容易に供給管2の連通を回復可能である。また、吸収体10に保持されたインクを全て使用することは困難であるが、本実施例の記録液体供給装置では、効率的にインクを供給できるため、吸収体10に保持されたインクの使用率を高くできる。さらに、供給管に直接付着する気泡15が減るため、供給管2の外部から気体を呼び込むような事態が抑制され、気泡15の成長を招きにくくできる。
【0079】
また、フィルター8の表面を供給管2の内面と同様の方法で親水化しても良い。表面を親水化したフィルター8を用いることにより、吸収体4に保持されたインクをフィルター8部分に効率的に導くことができ、インクを供給管2にスムースに導くことができる。また、このようにフィルター8の表面を親水化することにより、フィルター8による圧力損失を低減することができる。
【0080】
従来では、フィルター8としては流抵抗が大きくなり過ぎない形状のものが用いられているが、表面を親水化したフィルター8を用いることにより、フィルター8のメッシュを細かくするなど、種々の形状のフィルター8を用いることができ、フィルター8の機能を向上させることができる。
【0081】
(第2の実施例)
次に、本発明の第2の実施例について、図4を参照して説明する。図4は、本実施例の記録液体供給システムの模式的断面図である。
【0082】
同図に示すように、この記録液体供給システムは、インクが貯溜されたインクカートリッジ(第2の容器)23と、インクを一時的に毛管力で保持する吸収体24を備え、インクジェットヘッド21と一体的に構成されたインク保持室27と、インクをインクカートリッジ23からインク保持室27に導く供給管22とを有している。インクカートリッジ23には、大気を導入するための大気連通口25と、インクを供給するための供給口26とが開口されており、供給管22は供給口26を介してインクカートリッジ23内に挿入されている。
【0083】
本実施例の記録液体供給装置において、インクカートリッジ23から吸収体24へのインクの供給は、例えば、吸収体24に保持されたインクの残量を不図示の電気プローブなどにより検知し、この検知信号に基づいて、吸収体24の保持インクが不足してきた際に、不図示のポンプを起動するなどして行われる。
【0084】
供給管22の内面は第1の実施例と同様に親水化処理されている。吸収体24としては、PP繊維吸収体からなる負圧発生部材を用いており、このPP繊維吸収体はその繊維の表面が親水化処理されている。 PP繊維吸収体の繊維表面の親水化は、第1の実施例で示した親水化と同一の原理(後述)に基づいて行うことが望ましい。
【0085】
本実施例では、吸収体24を構成するPP繊維吸収体の繊維表面が親水化処理されていることにより、繊維表面の濡れ性が高いので、繊維吸収体のインクの吸収が速く、効率的に吸収体24にインクを供給できる。また、繊維吸収体部分でのインクの移動時の流抵抗が小さいので、インクを効率的にインクジェットヘッド1に導くことができる。
【0086】
また、供給管22の内面が親水化されているので、第1の実施例と同様に、インクを供給管22内を通して効率的に導くことができる。
【0087】
(第3の実施例)
次に、本発明の第3の実施例について、図5を参照して説明する。図5は、本実施例の記録液体供給装置を構成するインクカートリッジの模式図を示しており、図5(a)は断面図、図5(b)は連通部55付近の透視斜視図である。
【0088】
図5に示すように、このインクカートリッジは、内部に直接インクが貯溜された液体貯溜室51と、インクを吸収して保持する吸収体53が内部に挿入された吸収体収納室52とを有している。液体貯溜室51と吸収体収納室52との間には、仕切壁54が設けられており、仕切壁54の下端に開口された連通部55を除いて、液体貯溜室51と吸収体収納室52とが分離されている。吸収体収納室52には、大気を導入するための大気導入口56と、インクを供給するための供給口57とが開口されている。仕切壁55の吸収体収納室52側の面には、連通部55から上方に向かって伸びる3本の気液交換グルーブ58が設けられている。
【0089】
吸収体53は、多孔質体や繊維体などの毛管力により負圧を発生する負圧発生部材であり、液体貯溜室51から連通部55を介してインクが導出され、吸収体53にインクが吸収されるのと同時に、気液交換グルーブ58を介して空気が液体貯溜室51内に導かれる、気液交換動作によって、液体貯溜室51から吸収体収納室52にインク供給が行なわれる。これにより吸収体53に吸収されたインクは、気液交換グルーブ58の上端付近まで達し、吸収体153には、インクが吸収されている部分と吸収されていない部分との境界である気液界面59が形成されている。このインクカートリッジでは、吸収体53が設けられているために、供給口57から、ほぼ一定の負圧条件下でインクを供給できるメリットがある。
【0090】
本実施例では、吸収体53としてはPP繊維吸収体を含む負圧発生部材を用いており、また、仕切壁54の素材はPPである。
【0091】
本実施例において、仕切壁54の吸収体53と接する面には、親水化処理が成されており、親水化面60が形成されている。親水化面60の形成範囲は吸収体収納室52側に面した仕切壁54全体であってもよく、また、仕切壁54の下から気液交換グルーブ58の上端が覆われる範囲までが少なくとも親水化面60として処理された構成であっても良い。親水化は、第1の実施例に示した方法と同一の原理(後述)に基づいて行うことが望ましい。
【0092】
このように、仕切壁54に親水化面60が形成されているため、連通部55を介してインクが吸収体53に導かれ、気液界面59が気液交換グルーブ58の上端に達すると、吸収体53に保持されたインクの一部が親水化面60部分に導かれ保持される。これにより、仕切壁54と吸収体53との間に微小な隙間があっても、この隙間がインクにより塞がれるためエアパスにはなりにくい。そこで、気液界面59が気液交換グルーブ58の上端に達したところで、液体貯溜室51への空気の導入は停止し、気液交換動作が停止し、すなわち、液体貯溜室51から吸収体収納室52へのインクの供給が停止する。このようにして、気液界面59は、気液交換グルーブ58の上端付近で安定する。このため、仕切壁54と吸収体53との間にエアパスが形成され、気液界面59が必要以上に上昇したり、吸収体収納室52の上端に達してインク漏れが生じたりすることを抑止できる。
【0093】
以上のように、本実施例のインクカートリッジは、仕切壁54の吸収体53との接触面に親水化処理が成されているため、安定した気液交換動作を行うことができ、安定してインクを供給することができる。仕切壁54と吸収体53との間に多少の隙間があっても、気液交換動作を安定させることができるので、隙間ができないように管理する必要が少なく、吸収体53の吸収体収納室52への挿入工程およびその管理を容易にすることができ、効率的な製造を行うことができる。
【0094】
(第4の実施例)
本実施例の記録液体収納容器を含むインクジェットヘッドカートリッジは、図6に示すように、インクジェットヘッドユニット160、ホルダ150、吸収体収納室52を含む負圧制御室ユニット100および液体貯溜室51を含むインクタンクユニット200などから構成されている。ホルダ150内に負圧制御室ユニット100が固定され、負圧制御室ユニット100の下にはホルダを介してインクジェットヘッドユニット160が固定されている。負圧制御室ユニット100は、上面に開口部が形成された負圧制御室容器110と、負圧制御室容器110の上面に取り付けられた負圧制御室蓋120と、負圧制御室容器110内に装填された、インクを含浸保持するための吸収体53とから構成されている。
【0095】
インクタンクユニット200は、ホルダ150に対して着脱自在な構成となっている。負圧制御室容器110のインクタンクユニット200側の面に設けられた被接合部であるジョイントパイプ180は、インクタンクユニット200のジョイント口230の内部に挿入されて接続されている。そのジョイントパイプ180とジョイント口230との接続部を介して、インクタンクユニット200内のインクが負圧制御室ユニット100内へと供給されるように負圧制御室ユニット100およびインクタンクユニット200が構成されている。負圧制御室容器110のインクタンクユニット200側の面におけるジョイントパイプ180よりも上方の部分には、その面から突出した、インクタンクユニット200の誤装着防止のためのID部材170が一体的に設けられている。
【0096】
負圧制御室蓋120には、負圧制御室容器110の内部と外気、ここでは負圧制御室容器110内に収納された吸収体130と外気とを連通させるための大気連通口115が形成されており、負圧制御室容器110内における大気連通口115の近傍には、負圧制御室蓋120の吸収体53側の面から突出したリブにより形成された空間、および吸収体中のインク(液体)の存在しない領域からなる、バッファ空間116が設けられている。
【0097】
ジョイント口230内には弁機構が設けられており、その弁機構は第1弁枠260a、第2弁枠260b、弁体261、弁蓋262および付勢部材263から構成されている。弁体261は、第2弁体260b内で摺動可能に支持されると共に付勢部材263によって第1弁枠260a側に付勢されている。ジョイント口230内にジョイントパイプ180が挿入されていない状態では、付勢部材263の付勢力により弁体261の第1弁枠260a側の部分の縁部が第1弁枠260aに押圧されることにより、インクタンクユニット200内の気密性が維持される。
【0098】
ジョイント口230の内部へジョイントパイプ180が挿入され、ジョイントパイプ180によって弁体261が押圧されて第1弁枠260aから離れる方向に移動することにより、第2弁枠260bの側面に形成された開口を介してジョイントパイプ180内がインクタンクユニット200の内部と連通する。これによりインクタンクユニット200内の機密が開放され、インクタンクユニット200内のインクがジョイント口230及びジョイントパイプ180を通って負圧制御室ユニット100内へと供給される。つまり、ジョイント口230内の弁が開くことによって、機密状態であったインクタンクユニット200のインク収容部内が前記開口を介してのみ連通状態となるものである。
【0099】
インクタンクユニット200はインク収納容器201とID部材250とから構成されている。ID部材250は、インクタンクユニット200と負圧制御室ユニット100との装着の際に誤装着を防止するためのものである。また、このID部材250には、上述した第1弁枠260aが形成されており、この第1弁体260aを用いて、ジョイント口230内でインクの流れを制御する弁機構が構成されている。この弁機構は、負圧制御室ユニット100のジョイントパイプ180と係合されることにより開閉動作を行う。また、ID部材250の、負圧制御室ユニット100側となる前面には、インクタンクユニット200の誤挿入防止のためのID用凹部252が形成されている。
【0100】
インク収納容器201は、負圧発生機能を有する、ほぼ多角柱形状の中空容器である。インク収納容器201は筐体210と内袋220とから構成され、筐体210と内袋220とがそれぞれ剥離可能になっている。内袋220は可撓性を有しており、この内袋220は、内部に収納されたインクの導出に伴い変形可能である。また、内袋220はピンチオフ部(溶着部)221を有し、このピンチオフ部221で内袋220が筐体210に係合する形で支持されている。また、筐体210の、ピンチオフ部221の近傍の部分には外気連通口222が設けられており、外気連通口222を通して内袋220と筐体210との間に大気を導入可能となっている。
【0101】
ID部材250はインク収納容器201の筐体210および内袋220のそれぞれに接合されている。ID部材250は、内袋220に対してインク収納容器201のインク導出部にあたる内袋220のシール面102と、ID部材250におけるジョイント口230の部分の対応する面との溶着により接合される。これによりインク収納容器201の供給口部が完全にシールされ、インクタンクユニット200の着脱時におけるID部材250とインク収納容器201とのシール部分からのインク漏れなどが防止される。
【0102】
また、筐体210とID部材250との接合では、筐体210の上面に形成された係合部210aと、ID部材250の上部に形成されたクリック部250aとが少なくとも係合されることにより、インク収納容器201にID部材250がほぼ固定されている。
【0103】
インクジェットヘッドユニット160に関しては、そのインク吐出口をキャップで塞がれてインク吐出口から強制的にインクを吐出したり、インク吐出口をキャップ5020で塞いだ状態で吸引手段5010により吸引したりすることで正常状態への回復を図ることが可能となっている。
【0104】
上述のように、本実施例のインクカートリッジは、液体貯溜室151と吸収体収納室152とが別体として設けられており、両者はジョイントパイプ160を介して連通し、このジョイントパイプ160を介して気液交換が行われる。
【0105】
次に、インクタンクユニット200と負圧制御室ユニット100との間でのインクの移動について説明する。
【0106】
図9(a)に示すようにインクタンクユニット200と負圧制御室ユニット100とを接続させたとき、図9(b)に示すように、負圧制御室ユニット100内とインク収納容器201内との圧力が等しくなるまでインク収納容器201内のインクが負圧制御室ユニット100内へ移動する(この状態を、使用開始状態、と称する。)
インクジェットヘッドユニット160によりインクの消費が開始されると、内袋220内と吸収体53の双方の発生する静負圧の値が増大する方向にバランスを取りつつ、内袋220内と吸収体53の双方に保持されたインクが消費される。
【0107】
図9(c)の状態より負圧制御室ユニット100内のインク量が低下してジョイントパイプが大気と連通すると、直ちに内袋220内に気体が導入され、これに代わって内袋220内のインクが負圧制御室ユニット100内に移動する。これにより、吸収体53が気液界面を保ちながらインクの導出に対してほぼ一定の負圧を保持する。このような気液交換状態を経て、内袋220内のインクの全てが負圧制御室ユニット100内へ移動したら、負圧制御室ユニット100内に残存するインクが消費される。
【0108】
本実施例では、ジョイントパイプ61の内面には、親水化処理が成されており、図7(b)に示すように、親水化面70が形成されている。親水化は、第1の実施例に示した方法と同一の原理(後述)に基づいて行うことが望ましい。
【0109】
このように本実施例のインクカートリッジは、ジョイントパイプ61の内面が親水化されているため、インク収納容器201の内袋220内の液体貯溜室51に保持されたインクが親水化面70に沿ってジョイントパイプ61内に導かれるので、インクを効率的に液体貯溜室51から吸収体収納室52に導くことができる。また、ジョイントパイプ61が吸収体収納室52に向かって上方に多少傾いていても、インク切れをおこすことなく、スムースにインクを供給することができる。
【0110】
本実施例のインクカートリッジでは、ジョイントパイプ61を介して液体貯溜室51から吸収体収納室52へのインクの供給と同時に、ジョイントパイプ61を介して吸収体収納室52から液体貯溜室51へ空気を導入する、気液交換が行われる。そこで、図8(a)に示すように、ジョイントパイプ61の下方の面のみを親水化し、親水化面71を形成すれば、ジョイントパイプ61の下方部分にインクを通し、ジョイントパイプ61の上方部分に空気を通すようにして、より安定した気液交換動作が行われるようにできる。
【0111】
また、図8(b)に示すように、吸収体収納室52のジョイントパイプ61が接続された面の吸収体53との接触面を親水化し、親水化面72を形成すれば、空気が吸収体収納室52の内面と吸収体53との隙間を通ってジョイントパイプ61に導かれることを抑止でき、気液界面59がジョイントパイプ61の上端付近で安定するようにして、気液界面59が必要以上に上昇したり、吸収体収納室52の上端に達してインク漏れが生じたりすることを抑止できる。すなわち、このように気液交換動作を安定させ、安定してインクを供給するようにできる。
【0112】
図11(d)は、ジョイントパイプ61内面全域(断面図の上方親水化面5001および下方親水化面5002を合わせた領域)および、気液交換グルーブ(不図示)を含み、ジョイントパイプ上方となる吸収体収納室内壁の1面5003、さらには、ジョイントパイプ下方となる吸収体収納室内壁の1面5004を親水化面とした形態である。
【0113】
なお、図示の煩雑さを防ぐため、吸収体収納室52に収容されている吸収体は不図示としてある。
【0114】
図11(e)は、図11(d)の変形例としてジョイントパイプ61内面全域に加え、図11(d)の親水化面5003の上端とほぼ同じ高さまで、吸収体収納室内壁面4面及び底面を親水化面とした形態である。
【0115】
図11(d)と同様、図示の煩雑さを防ぐため、吸収体収納室52に収容されている吸収体は不図示としてある。
【0116】
図11(f)は、図11(d)のさらに別の変形例であり、ジョイントパイプ61内面全域に加え、ジョイントパイプ61の開口および気液交換グルーブ(不図示)が設けられている吸収体収納室52の内壁1面全域を親水化処理面とした形態である。さらにインク供給口51に向かう親水化面5005を底面に延在させてもよい。
【0117】
図11(d),(e)と同様、図示の煩雑さを防ぐため、吸収体収納室52に収容されている吸収体は不図示としてある。
【0118】
図11(d)のように、液体収容容器と吸収体収納室とを連通させるジョイントパイプ61の内面と、内面から連続し、かつ気液交換グルーブ(不図示)を含むグルーブ上方までの内壁面とに親水化面5003が形成されているため、吸収体と気液交換グルーブ上方の内壁面との間に微小な隙間があっても、この隙間が液体貯溜室51よりジョイントパイプ61を通って流入してきたインクにより塞がれるため、不用意なエアパスを生じることがない。
【0119】
また、ジョイントパイプ61内面から連続して、内壁面下方に親水化面5004が形成されているため、吸収体と内壁面下方部との間に微小な隙間があっても、特に大流量のインク供給時に、気液交換グルーブ内を下降してきたエアが、ジョイントパイプ61から、インク供給口51に向かうインクの流れとともに、内壁面を移動していくことがない。
【0120】
図11(e)は図11(d)の変形例であり、インク供給口131を包囲する底面および内壁側面が親水化されているため、図11(d)の例と同様の効果が得られるとともに、ジョイントパイプ61からインク供給口51に向かう吸収体収納室内のインク路において、実質的にインク供給に寄与していない壁面近傍のインクの流れをスムースにさせる効果があり、結果として流抵抗の低減が期待できる。
【0121】
図11(f)は、図11(e)の効果を得るために、必要最小限の領域に留めた変形例であり、図11(d)あるいは(e)に比べて、親水化面が、ジョイントパイプ内面に加えて、吸収体収納室内壁1面全域となっているため、一部の面の処理である図11(d)の形態や、複数の面の処理である図11(e)の形態に比べて、親水化処理液の付着量管理が簡単になる利点がある。
【0122】
また、図11(a)〜(c)は、吸収体収納室52に収容される吸収体の親水化の変形例を説明する図であり、これらは、先に説明した吸収体収納室52の親水化の変形例図11(d)から(f)と相互に組み合わせて、所望の効果を得ることが可能である。
【0123】
すなわち、図11(a)は、負圧発生部材としてのインク吸収体であるポリオレフィン系繊維体において、上方の吸収体130、および下方の吸収体140の全領域を親水化処理域とした形態、図11(b)は、負圧制御室容器110に、1つの吸収体130のみを収容し、ほぼ水平界面113cをもって下方全領域を親水化した形態であり、いずれの形態も、吸収体130,140の境界面113cは使用時姿勢におけるジョイントパイプ180の上方近傍に設けてある。
【0124】
また、図11(c)は、負圧制御室容器110に、1つの吸収体130のみを収容し、ほぼ水平界面113cをもって下方全領域を親水化した形態であり、親水化非処理−処理界面113cは、使用時姿勢におけるジョイントパイプ180の上方近傍に設けてある。
【0125】
図11(a),(b),(c)は、前述の実施例における負圧発生部材(吸収体)収納室(部)に対して任意に置き換えることができるものである。図11(a)は、繊維からなる吸収体130,140を繊維体全体として見るとき、吸収体140がインク供給口側であり、吸収体130が大気連通口側である。そして、部分親水化処理が吸収体140の全体に対して行われていると見ることができる。
【0126】
図11(a)〜(c)は、いずれもポリオレフィン系繊維体の水に対する接触角が80°以上の作用に対して、親水化領域が供給口側にあるため、水系インクのインク保持性や負圧発生の液面レベルが、少なくとも吸収体140内では同一レベル化できるため、負圧の安定化が達成される。同時に、前述した処理液による親水化がされている場合は、親水性基による流抵抗の低下による優れた供給性を確保しつつ、インクジェット記録が中断または停止中に、液面レベルが水平化しやすく、インクの保持性、分布性が極めて均一化されるので安定した負圧を即座に確保できる。特に、図11(c)では、1部材として繊維体を構成できるため、2部材を用いる場合に対して安価であり、2部材間の界面による前記作用と同一の作用を得ることはできないまでも、親水と疎水との界面による効果は得ることができる。
【0127】
図11(b)は、吸収体130も親水化されているものであるが、吸収体130,140間の界面効果を利用しつつ、何らかの圧力変化に対しても十分な吸収効果があるため、インク漏れの原因自体を根本的に解決できるものである。
【0128】
図11(a)〜(c)のいずれも、ジョイントパイプ180から供給されるインク受け面が親水化されているので、供給されるインクだけでなく、ジョイントパイプ180に着脱されるインク充填容器からのインクを確実に吸収できる。また、前述した気液交換や繊維方向に関するものすべてが、本図11(a)〜(c)のいずれにも適用されることは言うまでもない。
【0129】
図11は、図7の実施例に対して、図7実施例の効果を含むだけでなく、本発明の部分親水化によるすべての効果も含むものである。
【0130】
なお、図11(e)に示す形態は、処理液を有する液体溜中に、吸収体収納室を図中α方向から挿入して液内に浸したのち、上述の乾燥工程を経ることで、容易に得ることができる。図11(f)に関しては、同様に、図中β方向から液体溜中に浸せばよい。また、図11(d)に関しては、図11(f)と同様の方向(β方向)でよいが、親水化されない領域に関しては、あらかじめマスクをした後、処理液に浸せばよい。いずれの形態においても、上述したような方法で容易に吸収体収納室の内部を親水化することが可能である。
【0131】
また、図10に示すように、ジョイントパイプ61に接続される液体貯溜室51の接続口62の内面を撥水化処理されて撥水化面73を形成しても良い。このようにすることで、吸収体収納室52に対して別体として構成された液体収納室51を付け替える際に、液体貯溜室の接続口62内にインクが移動しないようにでき、また、液体貯溜室51から多少のインクが接続口62に導かれても、ゆっくりと着脱操作を行うことにより、接続口62のインクがジョイントパイプ61に導かれるようにできる。すなわち、不要なインクが接続口62に残留してしまうことを抑止できる。なお、撥水化処理についても、第1の実施例に示した方法と同一の原理(後述)に基づいて行うことが望ましい。
【0132】
さらに、上述したジョイントパイプの親水化、またはジョイントパイプが接続された面の吸収体との接触面の親水化に加えて行うことにより、さらなる効果を奏する第5の実施例の構成について詳細に説明する。
【0133】
(第5の実施例)
図12に示すように本実施例のインクカートリッジの吸収体収納室に装填された吸収体は、2つの吸収体130,140から構成されている。吸収体130,140は、このインクジェットヘッドカートリッジ70の使用状態において上下2段に積み重ねられて互いに密着して負圧制御室容器110内に充填されており、下段の吸収体140が発生する毛管力は、上段の吸収体130が発生する毛管力よりも高いため、下段の吸収体140のほうがインク保持力が高いものである。インクジェットヘッドユニット160へは、インク供給管165を通して負圧制御室ユニット100内のインクが供給される。
【0134】
吸収体130は大気連通口115と連通し、吸収体140は、その上面で吸収体130と密着するとともに、その下面でフィルタ161と密着している。吸収体130と140との境界面113cは、連通部としてのジョイントパイプ180の上端より使用時姿勢において上方となっている。
【0135】
吸収体130,140は、ポリオレフィン系樹脂繊維(例えば、PPの表層にPEを形成した2軸の繊維)を絡み合わせたものからなる。吸収体140は、ジョイントパイプ180の開口の半分付近から供給口131までの部分(図12中網線部)の繊維を親水化処理したものを用いている。
【0136】
吸収体130、140の境界面113cを使用時姿勢におけるジョイントパイプ180の上部、望ましくは、本実施例のようにジョイントパイプ180の近傍に設けることで、後述する気液交換動作において、気液交換動作中の吸収体130,140中でのインクと気体との界面を、境界面113cとすることができ、結果としてインク供給動作中のヘッド部における静負圧を安定化させることができる。さらに、吸収体130の毛管力より吸収体140の毛管力の強さを相対的に高くすることで、吸収体130,140の双方にインクが存在する場合では、上方の吸収体130内のインクを消費した後、下方の吸収体140内のインクを消費することが可能となる。また、環境変化により気液界面が変動する場合、はじめに吸収体140、および吸収体130と140との境界面113c近傍が充填された後、吸収体130にインクが進入する。
【0137】
以上説明したような構成では、負圧発生部材としてのインク吸収体であるポリオリフィレン系繊維体において、少なくともジョイントパイプ180からインク供給口131までのインク供給域が親水化処理されている。この親水化処理域は図12中に網線で示したように、ジョイントパイプ180の開口半分付近の高さから、供給口131が形成された負圧制御室容器110の底面まで一様に存在させることに限らず、負圧制御室容器110の一側面におけるジョイントパイプ180の開口半分付近から、供給口131が形成された負圧制御室容器110の底面の角隅まで斜めに親水化処理域を存在させても良い。あるいは、負圧制御室110の一側面におけるジョイントパイプ180の開口半分付近から供給口131まで孤を描くようにできる限り最短距離で親水化処理域を存在させることが考えられる。また、吸収体130,140の間の境界線113cをジョイントパイプ180の開口半分付近の高さに合わせ、吸収体140の全体を親水化したものでもよい。なお、このような親水化処理域の例は、図5〜11に示した第3,4の実施形態の液体収納容器内の吸収体に対しても適用することができる。
【0138】
以上のような形態によれば、気液交換動作において上部吸収体130の液面が吸収体の持つミクロな疎密差により乱れて低下しても、親水化処理域(図中の網線部)において、突出した低下液面が止められる。つまり、気液交換におけるエアー(例えば図中矢印A)はインク収納容器からのインク(図中矢印B)を途切らせることなくジョイントパイプ180内の上部を流れるので、安定した気液交換動作が行われる。
【0139】
また、インク供給口131付近が親水化処理されていることで、その周囲に常に存在しようとするため、インク供給口131においてもインク切れを起こしにくい。
【0140】
さらには、新しいインク収納容器201に交換した際に、吸収体140の親水化処理域が積極的にインクを呼び込むため、キャップ5020と吸引手段5010によるヘッド回復を速やかにできる。また、ヘッド回復に必要なインク量を、親水化処理域の大きさでコントロールできる。
【0141】
なお、図5〜図12に示した形態例において、ジョイントパイプ180の開口に接した親水化処理域の高さは図示した位置に限られず、安定した気液交換動作を行える最適なパイプ開口近傍の高さに設定すればよい。特に吸収体への積極的なインク引き込みを考えた場合は、気液交換時のエアパスを妨げない程度に親水化処理域がパイプ開口面に存在することが望ましい。
【0142】
また、本実施例はジョイントパイプ内壁と吸収体のジョイントパイプの上端よりも下方が親水化処理されているため、インクの供給がよりスムースになるとともに、液体収容室を付け替える際に接続口のインクがよりジョイントパイプに導かれるようになる。
【0143】
(表面改質方法についての補足説明)
次に、本発明における親水化処理、および撥水化処理に適用される、物品表面の望ましい改質方法について説明する。
【0144】
以下に説明する表面改質方法は、物品が有する表面を構成する物質に含まれる分子が有する官能基などを利用して、高分子(あるいは高分子の細分化物)を特定の配向を採らせて表面上に付着させ、該高分子(あるいは高分子の細分化物)が有する基に付随する性質を表面に与えることで、目的とする表面改質を図ることを可能とする方法である。
【0145】
ここで、「物品」とは、種々の材料から形成され、一定の外形を保持するものを意味する。従って、この外形に付随して、外部に露出している外表面を有している。加えて、その内部に、外部と連通する部分を含む空隙部や空洞部、あるいは中空部が存在したものでもよく、これらの部分を区画する内表面(内壁面)も本発明における表面改質処理対象としての部分表面とすることができる。中空部には、これを画する内表面を有し、外部とは完全に隔絶された空間であるものも含まれるが、改質処理前においては中空部内への表面処理液の付与が可能であり、改質処理後に外部と隔離された中空部となるものであれば、本発明の処理対象となり得る。
【0146】
このように、本発明に適用される表面改質方法は、各種物品が有する全ての表面のうち、物品の形状を損なうことなく、外部から液状の表面処理用溶液を接触させることが可能な表面を対象とするものである。従って、物品の外表面と、それと連結される内部表面の夫々または両方を部分表面の対象とする。そして、その対象とする表面から選択される細分化された部分表面の性質を変更することも本発明に含まれる。選択によっては、物品の外表面とそれと連結される内部表面を選択する態様も、所望の部分表面領域の改質に含まれるものである。
【0147】
上記の表面改質においては、物品の有する表面の少なくとも一部を構成する改質すべき部分(部分表面)が処理される。すなわち、所望に応じて選択された物品の表面から一部あるいは物品の表面全体である。
【0148】
また、本明細書において「高分子の細分化」とは、高分子の一部が切れたものから、単量体までのいずれかでよく、実施例的には高分子が酸等の開裂触媒により開裂したものすべてを含むものとする。また、「高分子膜化」とは、実質的な膜が形成されるもの、あるいは2次元的な面に対して各部が異なる配向したものを含む。
【0149】
また、本明細書において「高分子」とは、機能性基を有する第1の部分と、この機能性基の界面エネルギーとは異なり、かつ、付着対象の物品の表面エネルギーと略同等の界面エネルギーを有する第2の部分とを備え、上記の物品表面の構成材料とは異なることが好ましい。よって、改質される物品の構成材料に応じて、適宜その物品表面の表面エネルギーと略同等の界面エネルギーを有する高分子の中から、所望の高分子を選択すればよい。「高分子」としてより好ましくは、該高分子が開裂できるものであること、さらには開裂後に縮合できるものであることが望ましい。また、上述の第1の部分および第2の部分以外にも機能性基を備えていてもよいが、その場合には、親水化処理を一例にすると、機能性基としての親水性基は、第1、第2の部分以外の機能性基(上記親水性基に対して相対的に疎水性基となる)に対して、相対的に長鎖であることが望ましい。
【0150】
「表面改質がなされる原理」
本発明に適用可能である物品の表面改質は、表面改質剤に用いる高分子として、物品の表面(基材表面)の表面(界面)エネルギーと略同等の界面エネルギーを有する主骨格(主鎖または側鎖基或いは基群を総称して呼ぶ)と、物品表面の表面(界面)エネルギーと異なる界面エネルギーを有する基が結合してなる高分子を利用し、この表面改質剤中の物品表面の界面エネルギーと略同等の界面エネルギーを有する主骨格部を用いて物品表面上に高分子を付着させ、物品表面の界面エネルギーと異なる界面エネルギーを有する基が物品表面に対して外側に配向する高分子化膜(高分子被覆)を形成させることにより達成される。
【0151】
上述の表面改質剤に用いる高分子を異なる観点から換言すれば、表面改質前の物品の表面に露出している基と本質的に水との親和性が異なる第一の基と、この物品の表面に露出している基と実質的に類似する水との親和性を示し、その主骨格に含まれる繰り返し単位中に含まれる第二の基と、を備えたもの、と捉えることもできる。
【0152】
このような配向形態の代表例を模式的に示したのが図13である。図13(a)は主鎖に対して第1の基6001−1と第2の基6001−2が側鎖として結合している高分子を用いた場合を示し、図13(b)は第1の基6001−1が主鎖6001−3自体を構成し、第2の基6001−2が側鎖を構成している場合を示すものである。
【0153】
図13に示される配向をとると、物品の表面改質すべき表面を構成する基材6056の最表面(外側)は基材6056の表面(界面)エネルギーとは異なる界面エネルギーを有する基6001−2が表面に配向した状態になるため、基材6056の表面(界面)エネルギーと異なる界面エネルギーを有する基6001−2に付随する性質が利用されて表面が改質される。ここで、基材6056の表面(界面)エネルギーは、表面を構成している物質・分子が、表面上に露出している基55に由来して決定されている。すなわち、図13に示す例では、第2の基6001−2が表面改質用の機能性基として作用し、基材6056の表面が疎水性であって、第2の基6001−2が親水性であれば、基材6056の表面に親水性が付与される。なお、第2の基6001−2が親水性であり、基材6056側の基6055が疎水性である場合には、例えば後述するポリシロキサンを利用した場合などには、図33に示すような状態が基材6056の表面に存在していると考えられる。この状態において、改質後の基材6056の表面における親水性基と疎水性基とのバランスを調整することで、改質処理後の基材表面に水や水を主体とする水性液体を通過させる場合の通過状態や通過時の流速を調整することも可能である。そして、このような表面状態を繊維外壁面に有する例えばポリオレフィン系樹脂からなる繊維体をインクジェット記録ヘッドに一体化された、あるいは別部品として設けられるインクタンク中に用いることで、インクタンク中へのインクの充填やインクタンクからのヘッドへのインクの供給を極めて効果的に行うとともに、インクタンク内での適度な負圧の確保によって、インク吐出直後の記録ヘッドの吐出口付近でのインク界面(メニスカス)位置の良好な確保が可能となる。これにより、動負圧より正負圧の方が大きいという、インクジェット記録ヘッドへのインク供給用インクを保持する負圧発生部材に最も適したものが提供可能となる。
【0154】
特に、図33の繊維表面構造の場合、親水性基6001−2は、高分子基であるため、同じ側の側鎖のメチル基(疎水性基)よりも長い構造となっている。そのため、親水性基6001−2は、インクが流れる際には、その流速に対して繊維表面にならうように傾斜する。(同時に、上記メチル基を実質的に覆うようになる。)結果的に流抵抗は大幅に小さくなる。逆にインクが停止してメニスカスを繊維体間に形成する際には、親水基6001−2は、インクに対して向かう方向、即ち、繊維表面から垂直方向になるため、(上記メチル基が繊維表面に露出することで)、分子内レベルでの親水(大)−疎水(小)のバランスを形成して充分な負圧を形成できる。この親水性基6001−2を(-C-O-C-)結合の多数と端末基としてのOH基とで形成した前記実施形態のように、親水基を高分子に数多く(少なくとも複数)有していることで、上記親水性基6001−2の作用を確実なものとできるので好ましいものとなる。また、上記メチル基の他の疎水性基を高分子内に有する場合は、疎水性基の存在範囲よりも親水性基の存在範囲が大きくなるように、親水性基の方がより高分子レベルであることが好ましく、上記の如く親水性>疎水性となるようにバランスしていれば良い。
【0155】
ところで、インク供給口部における静負圧は次式で表される。
【0156】
静負圧=(インク供給口部からのインク界面の高さ)−(インク界面における繊維の毛管力)
この毛管力は、インクと繊維吸収体との濡れ接触角をθとしたときにCOSθに比例する。したがって本発明の親水化処理の有無によって、COSθの変化が大きいインクの場合にはその分静負圧を低めにし、絶対値で言えば高めに確保することが可能となる。
【0157】
具体的に言えば、接触角10°レベルであれば親水処理を施しても最大2%程度の毛管力アップであるが、インクと繊維が濡れにくい組み合わせ、例えば接触角50°の状態は親水処理によって10°以下となれば、50%の毛管力アップとなる。(COS0°/COS10°≒1.02 COS10°/COS50°≒1.5)
ここで、図13に示す改質表面を有する物品を製造するための具体的な方法として、表面改質に用いる高分子の良溶媒でかつ基材に対して処理剤の濡れ性を向上させる向上剤を用いる方法について以下に説明する。この方法は、表面改質剤の高分子が均一に溶解する処理液(表面改質溶液)を基材の表面上に塗布した後、処理液に含まれる溶媒を除去しつつ、この処理液中に含まれる表面改質剤の高分子を上述のように配向させるものである。
【0158】
より具体的には、高分子に対する良溶媒であり、かつ基材表面に対し十分に濡れる溶剤中に、所定量の高分子と開裂触媒とを混合した液体(表面処理液、好ましくは機能性基を親水性基とする場合は純水を含むことが望ましい。)を作製し、表面処理液を基材表面に塗布した後、表面処理液中の溶媒を除去するため、蒸発乾燥(例えば、60℃オーブン中)させる工程を持つことが挙げられる。
【0159】
ここで、基材の表面に対して十分に濡れ性を示し、また表面改質剤としての高分子を溶解する有機溶媒を溶媒に含むことは、表面改質に用いる高分子の均一な塗布を容易にするという観点から、より望ましいものである。さらに、表面改質剤としての高分子が溶媒の蒸発に伴い、濃度が高くなる際にも、塗布された液層中に均一に分散して、十分に溶解している状態を保持する作用を持つことも、その効果として挙げることができる。加えて、表面処理液が基材に対して、十分に濡れることにより表面改質剤の高分子を基材表面に対し均一に塗り広げることができる結果、複雑な形状を有する表面に対しても、高分子被覆を均一に行うことを可能とする。
【0160】
また、表面処理液には、基材表面に対して濡れ性があり、高分子に対して良溶媒である揮発性の第1の溶媒に加えて、高分子に対して良溶媒であるが、基材表面に対する濡れ性が第1の溶媒に比べて相対的に劣り、また、第1の溶媒に比べて相対的に揮発性の低い第2の溶媒を併用することもできる。このような例としては、例えば、基材表面がポリオレフィン系樹脂からなり、高分子としてポリオキシアルキレン・ポリジチルシロキサンを用いた場合における後述するイソプロピルアルコールと水の組み合わせを挙げることができる。
【0161】
ここで、表面処理液中に開裂触媒としての酸を加えることによる効果は、以下のようなものが考えられる。例えば、表面処理液の蒸発乾燥過程において用材の蒸発に伴う酸成分の濃度上昇がなされる際に、加熱を伴う高濃度の酸により、表面改質に用いる高分子の部分的な分解(開裂)、高分子の細分化物の生成により、基材表面の、より微細な部分への配向が可能となり、また、蒸発乾燥の終末過程において高分子の開裂部同士の再結合による表面改質剤高分子のポリマー化を介して、高分子化膜(高分子被覆、好ましくは単分子膜)の形成を促進する効果が期待できる。
【0162】
また、表面処理液の蒸発乾燥過程において溶剤の蒸発に伴う酸成分の濃度上昇がなされる際に、この高濃度の酸が基材表面及び表面近傍の不純物質を除去することにより、清浄な基材表面が形成される効果も期待される。こうした清浄な表面では、基材物質・分子と表面改質剤の高分子の物理的な付着力の向上なども期待される。
【0163】
この際一部では、加熱を伴う高濃度の酸により基材表面が分解され、基材表面に活性点が出現し、この活性点と、上述の高分子の開裂による細分化物とが結合する副次的な化学反応が起こる場合が想定される。場合によっては、このような副次的な表面改質剤と基材との化学吸着による、基材上での表面改質剤の付着安定化の向上も一部では存在すると考えられる。
【0164】
次に、表面改質剤(親水処理液含む)の基材の表面エネルギーと略同等の表面エネルギーを有する主骨格の開裂と基材表面上での開裂物としての細分化物の縮合による高分子膜化工程について、機能性基が親水性基であり、疎水性基材表面に親水性を付与する場合を例とし、図14〜図20参照して説明する。なお、親水性基とは、基全体として親水性を付与できる構造を有するもので、親水基そのものや、疎水性の鎖や疎水基を有するものでも親水基などを置換配置したことで親水性を付与できる基としての機能を有するものであれば親水性基として利用できる。
【0165】
図14に、親水処理液塗布後の拡大図を示す。この時点では、親水処理液58中の親水化剤である高分子6051〜6054と酸6057とは、基材6056表面上の親水処理液中で均一に溶解している。図15に、親水処理液塗布後乾燥工程の拡大図を示す。親水処理液塗布後乾燥工程における加熱を伴う乾燥において、溶剤の蒸発に伴う酸成分の濃度上昇により基材6056の表面及び表面近傍の不純物質の除去が行われるといった基材6056の表面の洗浄作用により純粋な基材6056の表面が形成されることによる基材6056と表面改質剤としての高分子6051〜6054の物理吸着力が向上する。また、親水処理液塗布後乾燥工程における加熱を伴う乾燥において、溶剤の蒸発に伴う酸成分の濃度上昇により親水化剤の高分子6051〜6054の一部が開裂される部分も存在する。
【0166】
濃酸による高分子6051の分解の模式図を図16に示す。このようにして分解された親水化剤の基材に対する吸着の様子を図17に示す。さらに溶剤の蒸発が進むにつれて、溶解飽和に達した親水化剤を構成する高分子からの細分化物6051a〜6054bの基材の表面エネルギーと略同等の表面エネルギーを有する主骨格部が、洗浄により形成された純粋な基材6056の表面に対し選択的に吸着する。その結果、表面改質剤中の基材6056の表面エネルギーと異なる表面エネルギーを有する基6001−2が基材6056に対し外側に配向する。
【0167】
従って、基材6056の表面には、この表面の表面(界面)エネルギーと略同等の界面エネルギーを有する主骨格部分が配向し、基材6056の表面エネルギーと異なる表面エネルギーを有する基6001−2が基材6056の表面とは反対側の外側に配向した状態になるために、基6001−2が親水性基である場合には、基材56の表面に親水性が付与されて、表面が改質される。親水処理液塗布乾燥後の親水化剤と基材表面の吸着状態の模式図を図18に示す。
【0168】
なお、高分子として、例えばポリシロキサンのように開裂によって生成した細分化物が縮合などによって細分化物の少なくとも一部で結合可能なものを用いることで、基材6056表面に吸着した細分化物間に結合を生じさせて高分子化し、親水性化剤の皮膜をより強固なものとすることもできる。図19に、このような縮合反応による再結合の模式図を示す。なお、ポリシロキサンを用いた場合の開裂による細分化物の形成とその縮合による高分子化のメカニズムは以下のとおりである。
【0169】
すなわち、被処理表面における表面処理液の制御された乾燥に伴い、この表面処理液中に含まれる希酸の濃度が上昇して濃酸化し、その濃酸(例えばH2SO4)がポリシロキサンのシロキサン結合を開裂させ、その結果、ポリシロキサンの細分化物およびシリル硫酸が生成する(スキーム1)。そして被処理表面に存在する処理液がさらに乾燥していくにつれて、表面処理液中に存在する細分化物の濃度も高まっていき、細分化物同士の接触確率が向上する。その結果、スキーム2に示すように、細分化物同士が縮合し、シロキサン結合が再生される。また、副生成物としてのシリル硫酸も、被処理表面が疎水性である場合には、シリル硫酸のメチル基が被処理表面に向かって配向し、スルホン基が被処理表面とは異なる方向に配向し、被処理表面の親水化に何らかの寄与を果たすものと考えられる。
【0170】
【化2】
Figure 0004282043
なお、表面処理液として溶媒中に水が存在する組成を有するものを利用した場合についての表面処置液の状態の一例を図20に模式的に示す。処理液の溶媒中に水が存在する場合は、加熱を伴う親水化のための処理液からの溶媒の蒸発において、水及び揮発性有機溶剤が蒸発する(水の気体分子を6061、有機性有機溶剤の気体分子を6060で示す)。その際、揮発性有機溶剤の蒸発速度が水よりも速いため処理液中の水の濃度が高まっていき、処理液の表面張力が上昇していく。その結果、基材6056の被処理面と処理液との界面に表面エネルギーの差が生じ、基材6056の被処理面と、蒸発により水の濃度が高まった処理液(含水層6062)との界面において、親水化剤としての高分子からの細分化物6051a〜6054bにおける基材6056の被処理面と略同等の表面エネルギーを有する部分が基材6056の被処理面側に配向する。その一方で、親水化剤としての高分子からの細分化物の親水性基を有する部分は、有機溶媒の蒸発により水の濃度が高まった含水層6062側へ配向する。その結果、高分子細分化物の所定の配向性がより向上すると考えられる。
【0171】
本発明は、液体吐出ヘッドに対して用いられる液体供給経路のチューブ、管、フィルターなどの構造体に関し、これに加えて、負圧によってインクを保持するインクジェット用繊維吸収体にも関し、特に内表面に親水化処理を施すものであるが、本発明に適用される、前述した物品に対する表面改質によれば、表面改質の対象は繊維に限らず、高分子の有する機能性基の特性や種類に応じて種々の物品や用途が挙げられる。以下にその幾つかの例について説明する。
【0172】
(1)機能性基が親水基である場合
物品としては、インクジェット系で用いられるインク吸収体等の吸収性を必要とするもの(オレフィン系繊維を含む場合は上記実施形態により対応できる)で、瞬間的に液体(上述の各実施形態などで説明される水系のインクなど)を吸収できる親水性を本発明の表面改質によって与えることができる。また、液体保持性を必要とする場合にも有効である。
【0173】
(2)機能性基が親油基である場合
本発明に適用される表面改質によれば、親油性を必要とするものに対しても有効に機能を与えることができる。
【0174】
(3)表面改質の他への応用は、上記原理のメカニズムを用いて達成できるものすべてが可能であり、本原理に含まれるものである。
【0175】
特に、処理剤として、物品表面への濡れ性と高分子の媒液を達成できる濡れ性を向上できる濡れ性向上剤(例えば、イソプロピルアルコール:IPA)と高分子開裂を生じせしめる媒体と、前述のいずれかの機能性基とこの基とは異なる界面エネルギーであって、物品表面の部分表面エネルギーと略同等の基(または基群)を有する高分子を有するものを用いた場合における、開裂後の縮合による表面改質は、特に優れた効果を発揮し、従来からは得られない均一性や特性を確実に与えることができる。
【0176】
なお、本明細書では、こうした収容される液体に対する濡れ性に優れる性質を「親液性」と称することにする。
【0177】
また、本発明の補足概念として、繊維を成型または形成する際に用いられる中和剤(ステアソン酸カルシウムやハイドロタルサイト等)や他の添加物が繊維に含まれている場合があるが、上述した表面改質法の適用によって、これらのインクに対する溶出やインクにより析出されることのいずれも軽減でき、本発明の講分子膜が形成される場合は、これらの問題を解決できる。したがって、上述の表面改質法によれば、中和剤等の添加物の使用範囲を拡大できたり、またインク自在の特性変化も防止できる他、インクジェットヘッド自体の特性変化をも防止できる。
【0178】
これらの各種物品の製造における工程図の一例を図32に示す。製造開始時において物品と処理液が提供され、物品の改質すべき表面(被改質面)への処理液付与工程、被改質面からの余剰物除去工程、被改質面上での高分子の開裂及び細分化物の配向のための処理液濃縮蒸発工程、細分化物間の結合による高分子化のための高分子縮合工程などを経て、改質された表面を有する物品を得ることができる。
【0179】
処理液濃縮工程及び処理液蒸発工程は、好ましくは室温よりも高い温度で溶媒の沸点以下の温度(例えば60℃)での連続した加熱乾燥工程によって行うことができ、ポリオレフィン系樹脂からなる表面を改質するためにポリシロキサンを、水、酸及び有機溶媒(例えばイソプロピルアルコール)ともに用いた場合で、例えば、45分〜2時間程度とすることができ、40重量%のイソプロピルアルコール水溶液の使用においては例えば2時間前後である。なお、水分の含有量を少なくすることでこの乾燥処理時間を短くすることができる。なお、水分の含有量を少なくすることでこの乾燥処理時間を短くすることができる。
【0180】
なお、図32の例では、高分子の開裂による細分化物の形成が物品の被改質面上で行なわれているが、細分化物を既に含む処理液を物品の被改質面上に供給して、配向させてもよい。
【0181】
処理液の組成としては、先に述べたように、例えば、被改質面に対する処理液のぬれ性を向上させるための被改質面に対するぬれ性を有し、表面改質剤の有効成分である高分子の良溶媒であるぬれ性向上剤、溶媒、高分子開裂触媒、被改質面への改質効果を付与するための機能性基と被改質面への付着機能を得るための基を有する高分子とを含んで構成されるものが利用できる。
【0182】
「原理適用例1」
次に、ポリプロピレン・ポリエチレン繊維体に対して上述の表面親水化の原理を適用した例を説明する。実際のポリプロピレン・ポリエチレン繊維体は、例えば、インクなどの液体を染み込ませ、インクを保持する目的で利用されるインク吸収体に利用できる形状を採る繊維を複合させて塊形状としたものである。例えば、図21(a)に示すように、大気に対して開放された開口6085を有する適当な形状の容器6081内にインクなどの各種液体の吸収保持体として機能する繊維体6083を所定の配向で収納して、液体保持容器として使用することができる。更に、このようなインク吸収体は、インクジェット記録装置に用いるインクタンク中に好適に利用できるものである。特に、後に図23及び図24を用いて説明するように、親水処理液を含浸させた繊維吸収体を押しつぶして繊維の隙間から余分な処理溶液をしぼり出した後、加熱乾燥させるという処理を行った繊維吸収体をタンク内に収容させる場合は、処理溶液のしぼり出し方向と、タンクへ挿入するときの繊維吸収体の圧縮方向とを一致させると望ましい。つまり、上記のように処理溶液のしぼり作業時に圧縮させた繊維吸収体が復元したとき、例えば繊維の分岐又に親水化剤が確実に付いていなくても、その不具合を繊維吸収体のタンク挿入時に相殺させることができる。
【0183】
また、繊維は具体的にはポリプロピレンとポリエチレンの二軸繊維体から構成されており、個々の繊維は、長さが大凡60mmである。この二軸繊維体は、その断面形状を図22(a)に例示するように、軸に対して垂直方向における断面の外形(外周形状)は略円形状(閉環状)であり、相対的に融点の高いポリプロピレン繊維を芯材とし、その周囲に相対的に融点の低いポリエチレンで覆い鞘材としたものである。このような断面構造の短繊維からなる繊維塊を梳綿機により、その繊維並び方向を揃えた後、加熱して、繊維間に融着を生じさせる。具体的には、鞘材のポリエチレンの融点よりは高く、芯材のポリプロピレンの融点よりは低い温度に加熱して、繊維が互いに接する部位の鞘材のポリエチレン相互が融着した構造体とする。
【0184】
上記の繊維構造体においては、図21(c)に示すように、梳綿機により繊維並び方向を揃えたため、繊維は、主に長手方向(F1)に連続的に配列されており、部分的に繊維は、相互に接触している。加熱により、この接触点(交点)において、相互の融着が生じて、網目構造を形成し、直交する方向(F2)についての機械的な弾力性を有するものとなっている。それに伴い、図21(b)に示す長手方向(F1)への引っ張り強度を増しているが、それに対して、直交する方向(F2)は、引っ張り強度は劣るものの、押しつぶし変形に対しては、復元力を有する弾性構造となっている。
【0185】
より詳細にこの繊維構造体を見ると、図21(c)に示すように、個々の繊維は捲縮されており、この捲縮に伴い、隣接する繊維間で複雑な網目構造を形成し、融着が生じている。一部の捲縮した繊維は、直交する方向(F2)に向くことで、三次元的な融着をも完成している。本例で実際に用いた繊維構造体は、融点約180℃の芯材のポリプロピレン繊維に対して、融点約132℃のポリエチレンが、図22の(a)に示す略同心円状に被覆した二軸繊維のトウを用いて、スライバーに形成した。用いた繊維構造体では、主に繊維が配列する繊維方向(F1)が存在するので、仮に液体を浸漬すると、内部での流動性ならびに静止状態での保持の様子が、繊維方向(F1)とそれと直交する方向(F2)とでは、明確な差異を有する。
【0186】
この例では、対象とする物品形状が繊維構造体であり、平面な表面を有する物品より液体の保持性が一般に高いため、処理液溶液を以下の組成とした。
【0187】
【表2】
Figure 0004282043
(1)PP・PE繊維吸収体の親水化処理方法
上記組成の親水処理液に、図23(a)に示す構造のポリプロピレン・ポリエチレン繊維吸収体を浸漬した(図23(b))。この時、繊維吸収体の間隙に処理液が保持される。その後、繊維吸収体を押しつぶして(図23の(c))、繊維の隙間に保持されている、余分な処理溶液を除去した。金網等の抑え治具から取り出すと、繊維吸収体は元の形状に復元して(図24の(a))、繊維表面に液層が塗布されたものとなる。この繊維表面が液で濡れたものを、60℃オーブンにて、1時間乾燥させた(図24(b))。
【0188】
(対比例1及び参照例1)
加えて、対比例1として、上記繊維体親水処理液において調製した硫酸とイソプロピルアルコールのみを含む液についても、図23及び図24で説明した方法と同じ操作を施した。すなわち、表2で示した処理液から、(ポリオキシアルキレン)・ポリ(ジメチルシロキサン)を除いた液を用いた。また、参照例として、未処理のPP・PE繊維吸収体を用いた。
【0189】
なお、上記の原理適用例1において、使用したPP・PE繊維吸収体も重量0.5gに対し、前記の塗布法で繊維吸収体全体に塗布される親水処理液は0.3〜0.5gである。また、対比例1においても、塗布される液量は、原理適用例1と同じである。
【0190】
以上の操作で得られた各繊維吸収体における表面の処理状態についての評価及びその結果を以下に示す。
【0191】
(1)PP・PE繊維吸収体親水性評価方法
イ)スポイト純水滴下評価
原理適用例1の処理をしたPP・PE繊維吸収体、対比例1のPP・PE繊維吸収体および参照例の未処理のPP・PE繊維吸収体について、それぞれ、上部からスポイトにて純水を滴下した際、純水のしみこみ具合を観察した。
【0192】
ロ)純水浸漬評価
PP・PE繊維吸収体が十分に入る大きさの容器に純水を満たし、この容器に中に、原理適用例1による処理のPP・PE繊維吸収体、対比例1のPP・PE繊維吸収体および参照例の未処理のPP・PE繊維吸収体をゆっくり乗せ、その際、それぞれのPP・PE繊維吸収体への純水のしみこみ具合を観察した。
【0193】
(2)PP・PE繊維吸収体親水性評価結果
イ)スポイト純水滴下評価結果
原理適用例1の処理をしたPP・PE繊維吸収体では、上部からスポイトにて純水を滴下した際、純水は瞬時に繊維吸収体の内部へと浸透していった。
【0194】
一方、対比例1のPP・PE繊維吸収体ならびに参照例1の未処理PP・PE繊維吸収体では、上部からスポイトにて純水を滴下したが、純水はPP・PE繊維吸収体にまったく浸透せず、PP・PE繊維吸収体上をはじくような形で球状形の液滴を形成していた。
【0195】
ロ)純水浸漬評価結果
原理適用例1の処理をしたPP・PE繊維吸収体を純水を満たした容器に中にゆっくり乗せると、PP・PE繊維吸収体はゆっくりと水中に沈んでいった。少なくとも、これは、図23及び図24を用いて説明した例によって処理したPP・PE繊維吸収体の表面は、親水性有することを表している。
【0196】
一方、対比例1のPP・PE繊維吸収体、ならびに参照例1の未処理PP・PE繊維吸収体を純水を満たした容器に中にゆっくり乗せた際には、対比例1のPP・PE繊維吸収体と未処理PP・PE繊維吸収体は、共に純水の上に完全に浮いた状態になった。その後も、まったく水を吸収する様子はみられず、明らかに撥水性を示していた。
【0197】
以上の結果から、PP・PE繊維吸収体に対しても、ポリアルキレンオキサイド鎖を有するポリアルキルシロキサン、酸、アルコールからなる処理液を塗布し、乾燥することにより、図24(c)に示すようなポリアルキルシロキサンの被覆が形成され、有効に表面親水化処理が行われると判断される。その結果として、上記の処理を施したPP・PE繊維吸収体は、水性インクに対しても、十分にインク吸収体としての機能を持たせることが可能であることが判明した。
【0198】
上記の結果、すなわち、本発明に適用された表面改質において、PP・PE繊維の表面にポリアルキレンオキサイド鎖を有するポリアルキルシロキサンが付着し、高分子被覆を形成することの査証を得る目的で、繊維表面のSEM写真による観察を行った。
【0199】
図25、図26、図27に、参照例1(未処理PP・PE繊維吸収体)の未処理PP・PE繊維表面の拡大SEM写真を示す。また、図28に、対比例4(酸とアルコールのみ処理PP・PE繊維吸収体)の酸処理PP・PE繊維表面の拡大SEM写真を示す。
【0200】
図29、図30、図31に、図23及び図24を用いて説明した例例(親水化処理PP・PE繊維吸収体)の処理済PP・PE繊維表面の拡大SEM写真を示す。
【0201】
先ず、これら全てのPP・PE繊維表面拡大SEM写真において、繊維表面上に有機物の付着に起因すると判断される、明確な構造変化は確認できない。実際に、図27の未処理PP・PE繊維及び、図31の親水化処理PP・PE繊維の2000倍拡大写真を詳細に比較しても、未処理PP・PE繊維と親水化処理PP・PE繊維の表面のSEM観察において両者の違いは認められない。従って、親水化処理PP・PE繊維において、(ポリオキシアルキレン)・ポリ(ジメチルシロキサン)は繊維表面に均一に薄い膜状(単分子膜と思われる)に付着しているため、形状的には、元の繊維表面と区別が付かないものとなっており、SEM観察上差異が認められないと判断される。
【0202】
一方、図28の酸とアルコールのみで処理したPP・PE繊維のSEM写真を見ると、繊維の交点(溶着部)の切断が多く生じ、また、繊維中に節のようなものが多く見られる。この変化は、加熱乾燥の過程で、溶剤の蒸発による高濃度の酸と、乾燥工程自体の熱により、繊維表面のPE・PP分子、特に表層PEの劣化が誘起・促進された結果を示している。
【0203】
一方、親水化処理溶液も、同じ濃度の酸を含み、同じく加熱乾燥を施すにもかかわらず、酸とアルコールのみで処理した酸処理PP・PE繊維にて観測されるような、繊維結合部の切断、および、繊維中に節のようなものは認めれない。この事実は、原理適用例1の親水化処理では、繊維表面のPE分子の劣化が抑制されていることを示している。これは、酸が作用して、繊維表面のPE分子の切断が生じ、分子内にラジカルが生成した際にも、何らかの物質・構造がラジカルを捕捉し、ラジカルが連鎖的にPEを破壊することを抑制していると考えられる。そのラジカルの捕捉にも、表面に付着する(ポリオキシアルキレン)・ポリ(ジメチルシロキサン)が関与し、生成したラジカルを捕捉する形でPE表面と化学的な結合をも形成することで、ラジカル連鎖によるPE/PPの破壊を抑制する副次的な現象・効果も否定はできない。
【0204】
これらを総合すると、原理適用例1においては、繊維表面の改質は、(ポリオキシアルキレン)・ポリ(ジメチルシロキサン)が繊維表面に均一に薄い膜状に付着していることで達成されていると判断される。その過程において、親水化処理に用いる溶液中に含まれる酸と溶剤による繊維表面の洗浄効果も期待でき、ポリアルキレンオキサイド鎖の物理的な吸着を促進する作用も予測される。それ以外に、高濃度の酸と熱によるPE分子の切断に伴うPE分子の切断部とポリアルキレンオキサイド鎖の化学的結合の可能性も少なからず存在していることも考えられる。
【0205】
さらには、原理適用例1では、曲面から形成される繊維表面に対しても、例えば、図24(c)に模式的に示すように、高分子の被覆を容易に達成できることを示している。このように表面の周部(断面の外周形状が閉環状である部分)を、高分子の被覆が環状に覆うことで、この高分子の被覆により表面改質がなされた部分が物品から容易に剥離しないようにすることができる。
【0206】
なお、二軸繊維には、二軸繊維の中には図22(b)に示すように偏芯して、核部(芯材)6001bが部分的に外壁面に露出して、表層(鞘材)からなる表面と核部からなる表面が混在している場合があるが、この様な場合においても、上記の本発明にかかる表面改質処理を行うことで、核部の露出部分および表層の表面の両方に親水性を付与すれることが可能である。なお、親水性機能をもつ界面活性剤を塗布し、乾燥させただけの場合には、部分的ではあるが初期親水性は得られるものの、純水により軽く揉み洗いすると、すぐに界面活性剤が水に溶解して溶出してしまい、親水性が失われる。
【0207】
「原理適用例2、3」
次に、PP繊維体に対して上述の表面親水化の原理を適用した例を説明する。具体的には、PP繊維体として、2cm×2cm×3cmの直方体形状に成形した繊維径が2デニールの繊維塊を利用した。
【0208】
先ず、下記する二種の組成の親水処理溶液を調製した。
【0209】
【表3】
Figure 0004282043
【0210】
【表4】
Figure 0004282043
第2の組成(原理適用例3)は、イソプロピルアルコールならびに純水をこの順に所定量加えて、上記の組成としたものである。ここでも、含まれる硫酸と(ポリオキシアルキレン)・ポリ(ジメチルシロキサン)は、4倍に希釈されたものとなっている。
【0211】
図23及び図24を用いて説明したPP・PE繊維吸収体の親水化処理方法の手順に準じて、イソプロピルアルコールを主な溶媒とする第1組成(表2)の溶液で処理したPP繊維体(原理適用例2)と、水と、イソプロピルアルコールの混合溶媒とする第2組成の溶液で処理したPP繊維体(原理適用例3)を得た。
【0212】
(参照例2)
未処理のPP繊維体を参照例2とした。
【0213】
原理適用例1と同様に、参照例2の未処理のPP繊維体は、その表面は撥水性であるものが、原理適用例2のPP繊維体、原理適用例3のPP繊維体ともに親水性を示す表面に改質されていた。その親水性の程度を評価する目的で、シャーレに水性インク(γ=46dyn/cm)7gを入れ、そのインク液表面に、原理適用例2のPP繊維体、原理適用例3のPP繊維体、ならびに参照例2の未処理のPP繊維体を静かに乗せた。
【0214】
参照例2の未処理のPP繊維体は、水性インク上に浮いた状態であったが、原理適用例2のPP繊維体、原理適用例3のPP繊維体では、繊維体の底面からインクを吸い上げていた。しかしながら、原理適用例2のPP繊維体と原理適用例3のPP繊維体とを比較すると、吸い上げられた水性インク量に明確な差異が見られ、原理適用例2のPP繊維体は、シャーレ内のインクを全て吸い上げ・吸収していたが、原理適用例3のPP繊維体では、シャーレ内にインクの凡そ半量が残っていた。
【0215】
原理適用例2のPP繊維体と原理適用例3のPP繊維体とにおいて、その表面上に被覆する高分子である(ポリオキシアルキレン)・ポリ(ジメチルシロキサン)の総量は、実質的な顕著な差異はないが、その被覆における高分子自体の配向の程度に差異がある結果と考えられる。
【0216】
例えば、原理適用例2のPP繊維体においては、その表面上に被覆する高分子は、概ね配向するものの、部分的には、配向に乱れを含む状態で付着を完成している。一方、原理適用例3のPP繊維体においては、前記する配向の乱れは格段に少なくされている。
【0217】
この(ポリオキシアルキレン)・ポリ(ジメチルシロキサン)による親水化処理は、イソプロピルアルコールに加えて、水を溶媒に加えることで、密で、より配向が揃った被覆が達成されていると判断される。処理液自体、表面を均一に濡らす必要があるので、少なくともイソプロピルアルコールを20%程度含むことが望ましいが、上記の原理適用例3のイソプロピルアルコールの含有率40%よりも少ないイソプロピルアルコールの含有率であっても、被覆が可能と考えられる。すなわち、溶媒を蒸散して、乾燥させる過程では、イソプロピルアルコールがより早く揮発して失われ、その間、イソプロピルアルコールの含有率は一層低下するので、それを考慮すると、イソプロピルアルコールの含有率40%よりも少ないイソプロピルアルコールの含有率であっても、被覆が可能と考えられる。また、工業的には安全性からみて、イソプロピルアルコールの量は40%以下が好ましい。
【0218】
本発明の代表的な実施例を上述したが、本発明は、図12に示した、弁部材261、付勢部材263、弁フタ262などにも適用可能なものである。
【0219】
また、本発明の上記改質方法および改質された表面、物品における上記技術思想は、負圧発生部材としての繊維以外の多孔質体にもすべて適用可能であることはいうまでもない。
【0220】
なお、上記(その他の実施形態)の欄に開示した方法で一様に親液化された負圧発生部材は、発明が解決すべき課題の欄でも述べられているような、負圧発生部材内に含浸したインク(液体)が抜き取られた後の、インクの再度の吸い上げに関して、インクの抜き取り量やくり返しの回数によらず、再度の吸い上げ後の負圧発生部材で保持するインク量がほぼ同じ、言い換えれば初期負圧に復帰できる、という効果がある。
【0221】
一方、負圧発生部材収納室に対して液体収納室を着脱自在に設ける実施形態では、液体収納室を交換する際の負圧発生部材収納室の液体の保持量は、インク導出口との連結部であるジョイントパイプ近傍にまで液体が保持されている場合や、インク供給口近傍の液体まで消費されている場合もしくは、消費(供給)できるインクが無い場合といったように様々である。上記本発明の適用によれば、上記(その他の実施形態)の欄に開示した方法のいずれかで負圧発生部材収納室内の負圧発生部材に対して親液化処理することで、液体収納室の交換後の、負圧発生部材収納室のインク供給口部における負圧を、交換回数や交換前の負圧発生部材収納室内の液体の残量にかかわらず、初期水準(負圧、量)に常に復帰せしめることができる。ここで、本発明の部分親水化を考慮する場合、その処理部においては、交換前の負圧発生部材の液体の残量がこの処理部内近傍にあれば(例えばジョイントパイプ近傍の液体のみが消費されている場合)には、負圧発生部材全体を上述の方法で親水化するのではなく、液体が補充される部分から液体が消費される部分にわたって、上述の親液化処理が行われていればよい。
【0222】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、記録液体供給装置の記録液体が直接通過する部分、または記録液体を供給するために必要な構造体の一部の表面を親水化することにより、記録液体を安定して効率的に供給することができる記録液体供給装置を提供できる。
【0223】
より具体的には、記録液体を記録液体収納容器から液体吐出ヘッドへ導く供給管の内面を親液化することにより、供給管内に空気が侵入して気泡を形成し、気泡が滞留して記録液体の流れが妨げられることを抑止し、記録液体収納容器からインクジェットヘッドへスムースに記録液体を導くようにできる。また、このようにすることで、吸引または加圧などによる回復手段によって供給管の連通を容易に回復できる。本発明の親液化によれば、供給管の内面に、内径をほとんど変化させることのない分子レベルの薄膜高分子による親液化面を形成できる。
【0224】
また、記録液体収納容器の記録液体の供給口にフィルターを配置する場合には、フィルターの表面を親液化することにより、フィルターによる圧力損失を低減し、効率的に供給口に記録液体を導き、供給するようにできる。
【0225】
本発明により親液化したチューブ、管やフィルターなどの構造部材は、液体供給経路内の空気透過性や溶出物防止効果を兼ね備えた、親液性を発揮できる。
【0226】
また、上記に加えて吸収体が挿入された吸収体収納室と記録液体が直接貯溜された液体貯溜室とを有する記録液体収納容器において、吸収体収納室の液体貯溜室との連通部分が接続された面の吸収体との接触面を親液化することにより、さらに気液交換を安定させ、さらに安定して液体を供給することができる記録液体収納容器とすることができる。また、液体貯溜室と吸収体収納室とが比較的長いジョイントパイプを介して接続されている場合には、ジョイントパイプの内面を親液化することにより、液体貯溜室の液体をジョイントパイプ部分に導いて、効率的に記録液体を吸収体収納室に供給するようにできる。これに加えて、本発明の親液化方法によれば、負圧発生部材の少なくとも一部の親液化処理を行うこともでき、このようにすることで、負圧発生部材の液体の吸収性を改善し、負圧発生部材内での液体の流抵抗を低減して、効率的に液体を供給可能なようにできる。
【0227】
本発明が適用される場合、液体供給用に液体自身が直接通過する、または、液体を供給するために必要な構造体としての供給通路に対する液体の濡れ性が向上し、気泡などが付着しにくくなり、長期間の放置などによっても気泡が成長しにくく供給通路内での気泡の付着や気泡の滞留が抑制され、液体の供給性の劣化を生じにくい。
【0228】
また、仕切壁を有する構成の液体収納容器の吸収体収納室側の仕切壁に親液化処理を施すことにより、壁面と吸収体との間の不測のエアパスが発生することを防止でき、所定のルートでの気体の導入を実行できるため、気液交換の安定化が図れ、液体の供給の信頼性の向上が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による第1の実施例のインクジェットプリンタを示す模式的斜視図である。
【図2】図1のインクジェットプリンタの実施例の記録液体供給装置の模式的断面図である。
【図3】図2の記録液体供給装置の供給管2の特徴を示す拡大図であり、図3(a)は、親水化面9が形成されていない、参考例の供給管2の断面図、図3(b)は親水化面9が形成されている、本実施例の供給管2の断面図を示している。
【図4】本発明による第2の実施例の記録液体供給装置の模式的断面図である。
【図5】本発明による第3の実施例の記録液体供給装置を構成するインクカートリッジの模式図であり、図5(a)は断面図、図5(b)は仕切壁54部分の透視斜視図を示している。
【図6】本発明による第4の実施例の記録液体供給装置を構成するインクジェットヘッドカートリッジの模式的断面図である。
【図7】図6のインクジェットヘッドカートリッジの模式図であり、図7(a)は全体の簡略な断面図、図7(b)はジョイントパイプ61部分の拡大断面図を示している。
【図8】図6のインクカートリッジのジョイントパイプ61部分の親水化の他の例を示す断面図である。
【図9】図6のインクジェットヘッドカートリッジにおけるインクの移動状態の例を示す図である。
【図10】図6のインクジェットヘッドカートリッジの接続口62部分の撥水化の例を示す断面図である。
【図11】図6のジェットヘッドカートリッジの吸収体、吸収体収納室、ジョイントパイプの親水化の変形例を示す図である。
【図12】本発明による第5の実施例の記録液体供給装置を構成するインクジェットヘッドカートリッジの模式的断面図である。
【図13】本発明に適用可能な表面改質方法における、物品(基材)の被改質表面上に形成される表面改質剤の高分子と物品表面との付着形態を模式的に示す図であり、(a)は機能性基としての第2の基と物品表面への付着のための第1の基の両方が高分子の側鎖にある場合について説明する図であり、(b)は第1の基が主鎖中に含まれている場合を説明する図である。
【図14】本発明に適用可能な表面改質方法において、表面改質剤の高分子を含む処理溶液を塗布し、基材上に塗布層を形成した状態を模式的に示す図である。
【図15】本発明に適用可能な表面改質方法において、基材上に形成した表面改質剤の高分子を含む塗布層中の溶媒を一部除去する工程を示す概念図である。
【図16】表面改質剤の高分子を含む塗布層中の溶媒を一部除去する工程に付随し、処理溶液中に添加する酸により誘起される、表面改質剤の高分子の部分的な解離過程を示す概念図である。
【図17】表面改質剤の高分子を含む塗布層中の溶媒をさらに除去する工程に付随し、表面改質剤の高分子あるいはその解離細分化物が配向形成する過程を示す概念図である。
【図18】塗布層中の溶媒を乾燥除去して、表面改質剤の高分子あるいはその解離細分化物が配向して、表面上に付着固定される過程を示す概念図である。
【図19】表面上に付着固定される表面改質剤の高分子由来の解離細分化物相互が、縮合反応により再結合する過程を示す概念図である。
【図20】本発明に適用可能な表面改質方法を、撥水性表面の親水化処理に適用する事例を示し、処理溶液中に水を添加する効果を示す概念図である。
【図21】インクタンクにおけるインク吸収体に利用されうるPE・PP繊維体を示し、(a)は、インクタンクにおけるインク吸収体としての利用形態を、(b)は、PE・PP繊維体の全体形状と、繊維の配列方向F1とそれと直交する方向F2を、(c)は、前記PE・PP繊維体を加熱融着して形成する前の状態を、(d)は、前記PE・PP繊維体を加熱融着して形成した状態をそれぞれ模式的に示す図である。
【図22】図25に示すPE・PP繊維体の断面構造の一例であり、(a)はPP芯材上にPE鞘材がほぼ同心円状に被覆する例、(b)はPP芯材上にPE鞘材が偏心して被覆する例を模式的に示す図である。
【図23】図25に示すPE・PP繊維体の撥水性表面の親水化処理に本発明の表面改質方法を適用する事例を示し、(a)は未処理の繊維体を、(b)は繊維体を親水化処理液に浸漬する工程を、(c)は浸漬後、繊維体を圧縮し、余剰の処理液を除く工程を模式的に示す図である。
【図24】図27に示す工程に引き続く工程を示し、(a)は繊維体表面に形成された塗布層を、(b)は塗布層中に含まれる溶媒を乾燥除去する工程を、(c)は、繊維表面を覆う親水化剤の被覆を模式的に示す図である。
【図25】参照例1(未処理PP・PE繊維吸収体)の未処理PP・PE繊維形状とその表面状態を表わす150倍拡大の図面代用のSEM写真を示す。
【図26】参照例1(未処理PP・PE繊維吸収体)の未処理PP・PE繊維形状とその表面状態を表わす500倍拡大の図面代用のSEM写真を示す。
【図27】参照例1(未処理PP・PE繊維吸収体)の未処理PP・PE繊維形状とその表面状態を表わす2000倍拡大の図面代用のSEM写真を示す。
【図28】対比例1(酸とアルコールのみ処理PP・PE繊維吸収体)の酸処理PP・PE繊維形状とその表面状態を表わす150倍拡大の図面代用のSEM写真を示す。
【図29】原理適用例1(親水化処理PP・PE繊維吸収体)の処理済PP・PE繊維形状とその表面状態を表わす150倍拡大の図面代用のSEM写真を示す。
【図30】原理適用例1(親水化処理PP・PE繊維吸収体)の処理済PP・PE繊維形状とその表面状態を表わす500倍拡大の図面代用のSEM写真を示す。
【図31】原理適用例1(親水化処理PP・PE繊維吸収体)の処理済PP・PE繊維形状とその表面状態を表わす2000倍拡大の図面代用のSEM写真を示す。
【図32】本発明に適用可能な改質表面処理の製造工程の一例を示す工程図である。
【図33】本発明に適用可能な表面改質処理による表面の親水性基と疎水性基の推定される分布の一例を模式的に示す図である。
【図34】本発明に適用可能な、インクジェットヘッドカートリッジ内の負圧発生部材(吸収体)における親水化処理の例を示す図である。
【図35】従来例のインクジェットプリンタの供給管1001の断面図である。
【符号の説明】
1,21 インクジェットヘッド
2,22,1001 供給管(記録液体供給通路)
3,23 インクカートリッジ(記録液体収納容器)
4 キャリッジ
5,6 ガイド軸
7 モータ
8 ピニオンギア
9 プーリー
9a ギア部
9b タイミングベルト
12, 25,56 大気連通口
13,26,57 供給口
14 フィルター
15,1002 気泡
16,60,70,71,72 親水化面
24,53 吸収体
27 インク保持室
51 液体貯溜室
52 吸収体収納室
54 仕切壁
55 連通部
58 気液交換グルーブ
59 気液界面
61 ジョイントパイプ
62 接続口
73 撥水化面
100 負圧制御ユニット
102 シール面
110 負圧制御室容器
113c 境界面
115 大気連通口
116 バッファ空間
120 蓋部材
130、140 吸収体
150 ホルダー
160 インクジェットヘッドユニット
161 フィルター
165 インク供給管
170、250 ID部材
180 ジョイントパイプ
180a シール用突起
180b 弁開閉用突起
200 インクタンクユニット
201 インク収納容器
210 筐体
210a 係合部
220 内袋
221 ピンチオフ部
222 外気連通口
230 ジョイント口
250a クリック部
252 ID用凹部
260a 第1弁枠
260b 第2弁枠
261 弁体
262 弁蓋
263 付勢部材
1003 メニスカス
5010 吸引手段
5020 キャップ
6001〜6004 高分子
6001a〜6001d 細分化物
6001−1 第1の基
6001−2 第2の基
6001−3 主鎖
6005 基材表面に露出している基
6006 基材
6007 酸
6008 処理液
6009 大気

Claims (23)

  1. 記録液体を吐出して記録を行うインクジェットヘッドに対して前記記録液体を供給するための、前記記録液体自身が直接通過する、あるいは前記記録液体を供給するために必要な構造体としての管状の記録液体供給通路において、
    該記録液体供給通路の内面を親水化するための相対的に長鎖の親液性基を有する第1の部分と、前記親液性基の界面エネルギーとは異なり且つ前記記録液体供給通路の内面の表面エネルギーと略同等の界面エネルギーの基を有する相対的に短鎖の第2の部分とを備える高分子が付与されるとともに、前記第2の部分は前記表面に向かって配向し、前記第1の部分とは異なる方向に配向していることを特徴とする記録液体供給通路。
  2. 前記内面がオレフィン系の樹脂から構成され、前記高分子化合物が親水性基を備えたポリアルキルシロキサンである請求項1に記載の記録液体供給通路。
  3. 記録液体をインクジェットヘッドに供給する供給口部分にフィルターが配置されている記録液体収納容器において、
    前記フィルターの表面を親水化するための相対的に長鎖の親液性基を有する第1の部分と、前記親液性基の界面エネルギーとは異なり且つ前記表面の表面エネルギーと略同等の界面エネルギーの基を有する相対的に短鎖の第2の部分とを備える高分子が付与されるとともに、前記第2の部分は前記表面に向かって配向し、前記第1の部分とは異なる方向に配向していることを特徴とする記録液体収納容器。
  4. 毛管力を利用して液体を保持する吸収体を収容するとともに大気連通口及び液体供給口とを備える吸収体収納室と、該吸収体収納室と連通部を介して連通し前記連通部を除いて実質的に密閉空間を形成する液体貯溜室と、を備える記録液体収納容器において、
    前記吸収体収納室を構成する筐体の、少なくとも前記連通部近傍の前記吸収体との接触面が親液化されていることを特徴とする記録液体収納容器。
  5. 毛管力を利用して液体を保持する繊維体から構成される吸収体を収容するとともに大気連通口および液体供給口とを備え、前記吸収体に対して記録液体を導入するためのジョイントパイプを備えた記録液体収納容器において、
    該ジョイントパイプを重力方向に交差する向きにした姿勢で、該ジョイントパイプの少なくとも重力方向下方の内面が親液化されているとともに、前記繊維体の前記供給口に対応する部分及びその周辺域部分の両部分が少なくとも部分的に親液化処理されていることを特徴とする記録液体収納容器。
  6. 毛管力を利用して液体を保持する繊維体から構成される吸収体を収容するとともに大気連通口および液体供給口とを備え、前記吸収体に対して記録液体を導入するためのジョイントパイプを備え、該ジョイントパイプを重力方向に交差する向きにした姿勢で、該ジョイントパイプの少なくとも重力方向下方の内面が親液化されているとともに、前記繊維体の前記供給口に対応する部分及びその周辺域部分の両部分が少なくとも部分的に親液化処理されて構成された記録液体収納容器の前記ジョイントパイプに対して着脱自在に構成され、該ジョイントパイプを介して実質的に密閉空間内にある液体を供給可能な液体補充容器において、該液体補充容器は前記ジョイントパイプと連絡するための接続部を有し、該接続部の前記液体の接触部分が撥液化されていることを特徴とする液体補充容器。
  7. 前記繊維体は、前記大気連通口側から前記供給口側に至る繊維体を有し、部分的に親液化処理されている請求項5に記載の記録液体収納容器。
  8. 前記吸収体は、前記大気連通口側の第1の繊維体と、前記供給口側の第2繊維体とを有し、前記部分的に親液化処理される繊維体は、該第2繊維体全体である請求項5に記載の記録液体収納容器。
  9. 前記第2繊維体は、前記第1繊維体及び第2繊維体を含む繊維体全体に対する部分的親液化処理されるものであって、第2繊維体全体が親液化処理されていることを特徴とする請求項8に記載の記録液体収納容器。
  10. 前記親液化される表面に高分子化合物が付与されており、
    前記高分子化合物は、前記表面を前記親液化するための相対的に長鎖の親液性基を有する第1の部分と、前記親液性基の界面エネルギーとは異なり且つ前記表面の表面エネルギーと略同等の界面エネルギーの基を有する相対的に短鎖の第2の部分とを備え、
    前記第2の部分は前記表面に向かって配向し、前記第1の部分は前記表面とは異なる方向に配向していることを特徴する請求項4から9のいずれか1項に記載の記録液体収納容器。
  11. 液体吐出ヘッドへの記録液体供給を行う記録液体供給装置の記録液体が直接通過する通路部分、または前記記録液体を供給するために必要なフィルターの一部を構成する部分表面に、親液化を行うための機能性基を与えることで該部分表面の親液化を行う表面改質方法であって、
    前記機能性基を有した相対的に長鎖の第1の部分と前記機能性基の界面エネルギーとは異なり且つ前記部分表面の表面エネルギーと略同等の界面エネルギーの基を有する相対的に短鎖の第2の部分とを備えた機能性基付与用高分子を開裂させて得られた、前記第1の部分および前記第2の部分を有する細分化物を含む液体を前記部分表面に付与する第1工程と、
    前記部分表面に前記細分化物の第2の部分を前記部分表面側に配向させ、前記第1の部分を前記部分表面とは異なる側に配向させる第2工程と、
    前記部分表面上に配向した細分化物同士を少なくとも一部で縮合させて高分子化する第3工程と、を有することを特徴とする表面改質方法。
  12. インクジェットヘッドへの記録液体供給を行う記録液体供給装置の前記記録液体が直接通過する通路部分、または前記記録液体を供給するために必要なフィルターの一部を構成する表面の、親液化を施す表面とは異なる部分表面に撥液化を行うための機能性基を与えることで該部分表面の撥液化を行う表面改質方法であって、
    前記機能性基を有する第1の部分と前記機能性基の界面エネルギーとは異なり且つ前記部分表面の表面エネルギーと略同等の界面エネルギーの基を有する第2の部分とを備えた機能性基付与用高分子を開裂させて得られた、前記第1の部分および前記第2の部分を有する細分化物を含む液体を前記部分表面に付与する第1工程と、
    前記部分表面に前記細分化物の第2の部分を前記部分表面側に配向させ、前記第1の部分を前記部分表面とは異なる側に配向させる第2工程と、
    前記部分表面上に配向した細分化物同士を少なくとも一部で縮合させて高分子化する第3工程と、を有することを特徴とする表面改質方法。
  13. インクジェットヘッドへの記録液体供給を行う記録液体供給装置の記録液体が直接通過する通路部分、または前記記録液体を供給するために必要なフィルターの一部を構成する部分表面の親液化を行う表面改質方法であって、
    希酸と、揮発性かつ物品表面との親和性向上剤と、前記表面の表面エネルギーと略同等の界面エネルギーの基を有する第1の部分と該界面エネルギーとは異なる界面エネルギーの基を有する第2の部分とを備えた高分子を備える処理剤と、が溶解している液体を前記表面に付与する第1工程と、
    前記表面に熱を付与することで前記親和性向上剤を除去する第2工程と、
    前記希酸を濃酸化し、前記処理剤中の高分子を開裂させる第3工程と、
    前記開裂された高分子を前記表面上で縮合させるとともに、前記高分子の第1の部分を前記表面に向けて配向させ、前記第2の部分を前記表面とは異なる側に配向させる第4工程と、
    を有することを特徴とする表面改質方法。
  14. オレフィン系の樹脂を少なくとも表面に有し、該表面が親液化された改質表面を有する、記録液体を吐出して記録を行うインクジェットヘッドに対して前記記録液体を供給するための、前記記録液体自身が直接通過する、あるいは前記記録液体を供給するために必要な構造体としての管状の記録液体供給通路の製造方法であって、
    親水性基を有するポリアルキルシロキサン、酸、およびアルコールを含む処理液が付着された前記表面を形成する工程と、
    前記表面に付着している処理液を室温より高い温度で且つオレフィン系樹脂の融点よりも低い温度で加熱し乾燥させる工程と、
    を有することを特徴とする改質表面を有する記録液体供給通路の製造方法。
  15. 記録液体を吐出して記録を行うインクジェットヘッドに対して前記記録液体を供給するための、前記記録液体自身が直接通過する、あるいは前記記録液体を供給するために必要な構造体としての管状の記録液体供給通路が有する疎水性表面を親水性に改質するための表面改質方法であって、
    相対的に長鎖の親水性基と相対的に短鎖の疎水性基とを備えた高分子化合物の開裂によって生じる該親水性基と該疎水性基とを有する細分化物を、前記疎水性基が前記疎水性基の表面の側に向き、且つ前記親水性基を前記疎水性基とは異なる方向に向く様に配向させて前記疎水性表面に付着させる工程を有することを特徴とする表面改質方法。
  16. 記録液体を吐出して記録を行うインクジェットヘッドに対して前記記録液体を供給するための、前記記録液体自身が直接通過する、あるいは前記記録液体を供給するために必要な構造体としての管状の記録液体供給通路の部分表面に表面改質を行う表面改質方法において、
    相対的に長鎖の親液性基と相対的に短鎖の疎水性基を有する高分子を開裂した開裂高分子を、前記記録液体供給通路の部分表面の表面エネルギーと略同等の界面エネルギーの親和力に基づいて配向し、前記開裂高分子を前記部分表面において縮合させて表面を改質することを特徴とする表面改質方法。
  17. 記録液体を吐出して記録を行うインクジェットヘッドに対して前記記録液体を供給するための、前記記録液体自身が直接通過する、あるいは前記記録液体を供給するために必要な構造体としての管状の記録液体供給通路の少なくとも部分表面を液状の高分子を用いて改質する方法であって、
    開裂、縮合可能で機能性基を有する相対的に長鎖の第1基と、前記記録液体供給通路の部分表面の表面エネルギーと略同等の界面エネルギーの相対的に短鎖の第2基とを備えた高分子の開裂後の細分化物を、前記部分表面において、縮合せしめて高分子化する縮合工程を有することを特徴とする表面改質方法。
  18. 疎水性表面を有し、該疎水性表面が親水性表面に改質された、記録液体を吐出して記録を行うインクジェットヘッドに対して前記記録液体を供給するための、前記記録液体自身が直接通過する、あるいは前記記録液体を供給するために必要な構造体としての管状の記録液体供給通路であって、
    相対的に長鎖の親水性基と相対的に短鎖の疎水性基とを備えた高分子化合物の開裂によって生じた前記親水性基と前記疎水性基とを有する細分化物が、前記疎水性基が前記疎水性表面の側に向き、前記親水性基が前記疎水性基とは異なる方向に向くように配向して、前記疎水性表面に付着していることを特徴とする表面が改質されている記録液体供給通路。
  19. 液体が供給されて、該液体を保持する接液表面構造を有する、記録液体を吐出して記録を行うインクジェットヘッドに対して前記記録液体を供給するための、前記記録液体自身が直接通過する、あるいは前記記録液体を供給するために必要な構造体としての管状の記録液体供給通路であって、相対的に長鎖の親液性基と相対的に短鎖の疎液性基とを実質的に交互に有する高分子を備えたことを特徴とする接液表面構造を有する記録液体供給通路。
  20. オレフィン系の樹脂を少なくとも表面に有し、該表面が親液化された改質表面を有する、記録液体を吐出して記録を行うインクジェットヘッドに対して前記記録液体を供給するための、前記記録液体自身が直接通過する、あるいは前記記録液体を供給するために必要な構造体としての管状の記録液体供給通路であって、親水性基と前記オレフィン系樹脂を構成成分として少なくとも含む前記表面の表面エネルギーと略同等の界面エネルギーの基とを有する高分子、該高分子の開裂触媒としての希酸、およびアルコールを含む処理液が付着された前記表面を形成後、該表面に付着している処理液を蒸発させるとともに、前記表面上で前記希酸を濃酸化することで前記高分子を開裂させた後、開裂生成物を縮合させることで、前記表面に相対的に長鎖の親水性基と、相対的に短鎖の疎水性基とを実質的に交互に有する接液表面構造を有することを特徴とする記録液体供給通路。
  21. 毛管力を利用して液体を保持する吸収体を収容するとともに、大気連通口を上方に、液体供給口を下方に備え、前記吸収体に対して記録液体を導入するためのジョイントパイプを側方に備え、少なくとも、前記ジョイントパイプの内面全域と、前記ジョイントパイプの上端の上方より下方の内面全域との表面にオレフィン系の樹脂を有し、該表面が親液化された改質表面を有する記録液体収納容器の製造方法であって、
    親水性基を有するポリアルキルシロキサン、酸、およびアルコールを含む処理液を有する液体溜中に下方から、前記ジョイントパイプの上方が浸るまで浸して、前記処理液が付着された前記表面を形成する工程と、
    前記表面に付着している処理液を室温より高い温度で且つオレフィン系樹脂の融点よりも低い温度で加熱し乾燥させる工程と、
    を有することを特徴とする改質表面を有する記録液体供給通路の製造方法。
  22. 毛管力を利用して液体を保持する吸収体を収容するとともに、大気連通口を上方に、液体供給口を下方に備え、前記吸収体に対して記録液体を導入するためのジョイントパイプを側方に備え、少なくとも、前記ジョイントパイプの内面全域と、前記ジョイントパイプが接続された壁の内面全域との表面にオレフィン系の樹脂を有し、該表面が親液化された改質表面を有する記録液体収納容器の製造方法であって、
    親水性基を有するポリアルキルシロキサン、酸、およびアルコールを含む処理液を有する液体溜中に前記ジョイントパイプが形成された側方から、前記ジョイントパイプが接続された壁の内面が浸るまで浸して、前記処理液が付着された前記表面を形成する工程と、
    前記表面に付着している処理液を室温より高い温度で且つオレフィン系樹脂の融点よりも低い温度で加熱し乾燥させる工程と、
    を有することを特徴とする改質表面を有する記録液体供給通路の製造方法。
  23. 毛管力を利用して液体を保持する吸収体を収容するとともに、大気連通口を上方に、液体供給口を下方に備え、前記吸収体に対して記録液体を導入するためのジョイントパイプを側方に備え、少なくとも、前記ジョイントパイプの内面全域と、前記ジョイントパイプが接続された壁の、前記ジョイントパイプの上方の内面と、前記ジョイントパイプの下方の内面とにオレフィン系の樹脂を有し、該表面が親液化された改質表面を有する記録液体収納容器の製造方法であって、
    前記記録液体収納容器の、少なくとも、前記ジョイントパイプの上方より下方の、前記ジョイントパイプが接続された壁の内面以外の内面にマスクを施す工程と、
    親水性基を有するポリアルキルシロキサン、酸、およびアルコールを含む処理液を有する液体溜中に下方から、前記ジョイントパイプの上方が浸るまで浸して、前記処理液が付着された前記表面を形成する工程と、
    前記繊維表面に付着している処理液を室温より高い温度で且つオレフィン系樹脂の融点よりも低い温度で加熱し乾燥させる工程と、
    を有することを特徴とする改質表面を有する記録液体供給通路の製造方法。
JP34691599A 1999-12-06 1999-12-06 記録液体供給通路、記録液体収納容器、およびこれらを備える記録液体供給装置、並びにその表面改質方法 Expired - Fee Related JP4282043B2 (ja)

Priority Applications (11)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP34691599A JP4282043B2 (ja) 1999-12-06 1999-12-06 記録液体供給通路、記録液体収納容器、およびこれらを備える記録液体供給装置、並びにその表面改質方法
CA002327163A CA2327163A1 (en) 1999-12-06 2000-11-30 Recording liquid feed path, recording liquid container, and recording liquid feed device having same, as well as surface modifying method for the recording liquid feed device
US09/726,025 US6709092B2 (en) 1999-12-06 2000-11-30 Recording liquid feed path, recording liquid container, and recording liquid feed device having same, as well as surface modifying method for the recording liquid feed device
SG200007093A SG97993A1 (en) 1999-12-06 2000-12-01 Recording liquid feed path, recording liquid container, and recording liquid feed device having same, as well as surface modifying method for the recording liquid feed device
TW089125803A TW515759B (en) 1999-12-06 2000-12-04 Recording liquid feed path, recording liquid container, and recording liquid feed device having same, as well as surface modifying method for the recording liquid feed device
AU72032/00A AU779159B2 (en) 1999-12-06 2000-12-05 Recording liquid feed path, recording liquid container, and recording liquid feed device having same, as well as surface modifying method for the recording liquid feed device
DE60033487T DE60033487T2 (de) 1999-12-06 2000-12-05 Zuführbahn und Behälter für Aufzeichnungsflüssigkeit, damit ausgestattete Vorrichtung, sowie Verfahren zur Änderung der Oberfläche der Vorrichtung
MXPA00012032A MXPA00012032A (es) 1999-12-06 2000-12-05 Trayectoria de alimentacion de un liquido para registro, recipiente para el liquido de registro y dispositivo alimentador del liquido para el registro teniendo el mismo, asi como el metodo para modificar la superficie para el dispositivo alimentador
EP00126694A EP1106363B1 (en) 1999-12-06 2000-12-05 Recording liquid feed path and container, recording liquid feeding device having the same, as well as, surface modifying method for this device
CNB001380508A CN1193879C (zh) 1999-12-06 2000-12-06 记录液体的输送通道容器输送设备及其表面改善方法
KR10-2000-0073922A KR100441730B1 (ko) 1999-12-06 2000-12-06 기록액체 공급 통로, 기록액체 수납용기, 이들을 구비하는기록액체 공급 장치, 및 그의 표면 개질 방법

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP34691599A JP4282043B2 (ja) 1999-12-06 1999-12-06 記録液体供給通路、記録液体収納容器、およびこれらを備える記録液体供給装置、並びにその表面改質方法

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2001162817A JP2001162817A (ja) 2001-06-19
JP2001162817A5 JP2001162817A5 (ja) 2007-01-25
JP4282043B2 true JP4282043B2 (ja) 2009-06-17

Family

ID=18386681

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP34691599A Expired - Fee Related JP4282043B2 (ja) 1999-12-06 1999-12-06 記録液体供給通路、記録液体収納容器、およびこれらを備える記録液体供給装置、並びにその表面改質方法

Country Status (11)

Country Link
US (1) US6709092B2 (ja)
EP (1) EP1106363B1 (ja)
JP (1) JP4282043B2 (ja)
KR (1) KR100441730B1 (ja)
CN (1) CN1193879C (ja)
AU (1) AU779159B2 (ja)
CA (1) CA2327163A1 (ja)
DE (1) DE60033487T2 (ja)
MX (1) MXPA00012032A (ja)
SG (1) SG97993A1 (ja)
TW (1) TW515759B (ja)

Families Citing this family (57)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CA2327067A1 (en) * 1999-12-06 2001-06-06 Canon Kabushiki Kaisha Surface reformed fiber body, liquid container using fiber absorber, and method of producing fiber absorber for use in liquid ejection
JP4521981B2 (ja) * 2000-11-09 2010-08-11 キヤノン株式会社 繊維集合体の製造方法
WO2003053701A1 (fr) * 2001-12-21 2003-07-03 Olympus Corporation Imprimante a jet d'encre
JP3667283B2 (ja) * 2002-01-25 2005-07-06 キヤノン株式会社 液体収納容器
JP4250433B2 (ja) 2002-03-18 2009-04-08 キヤノン株式会社 液体収納容器の包装構造およびその開封方法
US6942326B2 (en) * 2002-09-30 2005-09-13 Canon Kabushiki Kaisha Ink tank
JP3754954B2 (ja) * 2002-11-27 2006-03-15 キヤノン株式会社 液体収容容器およびインクジェット記録装置
TW558516B (en) * 2003-02-25 2003-10-21 Benq Corp Method for filling ink into inkjet cartridge
JP2005066975A (ja) * 2003-08-22 2005-03-17 Konica Minolta Holdings Inc インクジェット記録装置、インクジェット記録方法、インクジェットインク
WO2005057636A1 (ja) 2003-12-15 2005-06-23 Nikon Corporation ステージ装置、露光装置、及び露光方法
JP4252926B2 (ja) * 2004-04-22 2009-04-08 株式会社ブリヂストン 液体噴射装置用液体供給チューブおよび液体噴射装置
US8394338B2 (en) 2004-04-26 2013-03-12 Roche Diagnostics Operations, Inc. Process for hydrophilizing surfaces of fluidic components and systems
EP1591778A1 (de) 2004-04-26 2005-11-02 Roche Diagnostics GmbH Elektrochemischer Gas-Sensor mit hydrophiler Membranbeschichtung
JP2007007902A (ja) * 2005-06-28 2007-01-18 Fujifilm Holdings Corp インクタンク及びインクジェット記録装置
KR100726426B1 (ko) 2006-03-22 2007-06-11 삼성전자주식회사 잉크카트리지 및 그 제조방법
JP4886586B2 (ja) 2006-05-09 2012-02-29 キヤノン株式会社 液体収納容器、ヘッドカートリッジ、インクジェット記録装置、および液体収納容器の攪拌方法
EP2040929B1 (en) * 2006-05-31 2010-09-08 Telecom Italia S.p.A. Ink jet cartridge having an ink container comprising two porous materials
US20080036837A1 (en) * 2006-06-30 2008-02-14 Trevor Daniel Gray Ink Tank with Features to Reduce Undesirable Bubbling
TWI415689B (zh) 2006-08-17 2013-11-21 Semiconductor Energy Lab 成膜方法、液滴排出方法以及液滴排出裝置
JP5020700B2 (ja) * 2007-05-11 2012-09-05 キヤノン株式会社 インクジェット記録用インクタンク
JP4766011B2 (ja) * 2007-06-20 2011-09-07 セイコーエプソン株式会社 流体噴射装置およびその製造方法
DE102007055163A1 (de) * 2007-11-19 2009-05-20 Pelikan Hardcopy Production Ag Tintenpatrone, insbesondere für einen Tintenstrahldrucker
JP2010076414A (ja) * 2007-12-11 2010-04-08 Seiko Epson Corp 液体供給装置及び液体噴射装置
US20110018947A1 (en) * 2008-03-25 2011-01-27 Seiko Epson Corporation Liquid Supply Flow Path Device And Liquid Ejecting Apparatus Using The Same
JP2010116862A (ja) * 2008-11-13 2010-05-27 Nissan Motor Co Ltd 液冷式内燃機関
JP2011177917A (ja) * 2010-02-26 2011-09-15 Canon Inc インクジェットカートリッジの製造方法
JP5553210B2 (ja) 2010-04-01 2014-07-16 ブラザー工業株式会社 インクジェット記録用の処理液、インクセットおよびインクジェット記録方法
JP2012121275A (ja) * 2010-12-10 2012-06-28 Jit Kk インク制御機構、インク貯蔵容器
JP5440794B2 (ja) 2010-04-30 2014-03-12 ブラザー工業株式会社 インクカートリッジおよびインクジェット記録装置
JP5793183B2 (ja) * 2010-05-17 2015-10-14 メムジェット テクノロジー リミテッド プリンタ内の流体および気体を配分するためのシステム
JP5750838B2 (ja) 2010-05-31 2015-07-22 ブラザー工業株式会社 インクセットおよびインクジェット記録方法
JP5682144B2 (ja) 2010-05-31 2015-03-11 ブラザー工業株式会社 インクセット、インクジェット記録装置およびインクジェット記録方法
CN101905568A (zh) * 2010-08-06 2010-12-08 珠海保税区天然宝杰数码科技材料有限公司 连续供墨系统输墨管道气泡消除方法
JP5644529B2 (ja) * 2011-01-19 2014-12-24 セイコーエプソン株式会社 流路構成部材および流路構成部材を備える画像形成装置
JP2013116564A (ja) * 2011-12-01 2013-06-13 Seiko Epson Corp 液体噴射ヘッド
KR101896816B1 (ko) 2013-09-18 2018-09-07 캐논 가부시끼가이샤 잉크 카트리지 및 잉크젯 프린터
BR112016005781B1 (pt) 2013-09-18 2023-01-17 Canon Kabushiki Kaisha Cartucho de tinta e impressora a jato de tinta
JP2015196765A (ja) * 2014-04-01 2015-11-09 東洋インキScホールディングス株式会社 活性エネルギー線硬化型ワニス組成物およびその積層物
JP2017007268A (ja) * 2015-06-25 2017-01-12 セイコーエプソン株式会社 液体収容容器および印刷装置
US9987849B2 (en) 2015-08-21 2018-06-05 Canon Kabushiki Kaisha Liquid ejecting device
JP6308989B2 (ja) 2015-09-30 2018-04-11 キヤノン株式会社 液体収納容器及び液体吐出装置
JP2017081083A (ja) * 2015-10-30 2017-05-18 キヤノン株式会社 液体吐出装置、ヘッド及び液体充填方法
JP6611564B2 (ja) 2015-10-30 2019-11-27 キヤノン株式会社 液体収納ボトルおよび液体収納ボトルのパッケージ
JP6723729B2 (ja) 2015-11-17 2020-07-15 キヤノン株式会社 液体収容容器および液体収容容器の製造方法
JP6651806B2 (ja) * 2015-11-20 2020-02-19 セイコーエプソン株式会社 液体噴射システム
JP6624905B2 (ja) 2015-11-26 2019-12-25 キヤノン株式会社 液体容器および液体残量検出装置
US10391776B2 (en) 2015-11-30 2019-08-27 Canon Kabushiki Kaisha Liquid storage container and printing apparatus
JP2017165005A (ja) * 2016-03-17 2017-09-21 ローランドディー.ジー.株式会社 インクジェット記録方法およびインクジェット記録装置
US9962948B1 (en) 2016-12-22 2018-05-08 Funai Electric Co., Ltd. Fluid delivery devices
JP2019093669A (ja) 2017-11-27 2019-06-20 キヤノン株式会社 液体補充容器及び液体補充システム
JP7110038B2 (ja) 2018-09-06 2022-08-01 キヤノン株式会社 液体貯留容器および液体吐出装置
JP7532055B2 (ja) 2020-03-24 2024-08-13 キヤノン株式会社 液体供給装置
JP7504641B2 (ja) 2020-03-27 2024-06-24 キヤノン株式会社 液体吐出装置
JP7520574B2 (ja) 2020-05-22 2024-07-23 キヤノン株式会社 液体カートリッジおよび液体吐出装置
JP2023066012A (ja) 2021-10-28 2023-05-15 キヤノン株式会社 液体吐出装置
JP2023066019A (ja) 2021-10-28 2023-05-15 キヤノン株式会社 液体吐出装置
US20240308229A1 (en) * 2023-03-15 2024-09-19 Funai Electric Co., Ltd. Hydrophilic foam having improved fluid retention

Family Cites Families (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH04173345A (ja) 1990-11-08 1992-06-22 Seiko Epson Corp インクジェット記録ヘッド
CA2290698C (en) 1992-07-24 2003-12-23 Canon Kabushiki Kaisha Ink container, ink and ink jet recording apparatus using ink container
JP3226803B2 (ja) 1995-11-02 2001-11-05 キヤノン株式会社 インクを注入させるインク吸収体、該吸収体を用いたインクタンク、インクジェットカートリッジ、インクジェット記録装置及びインクタンクの製造方法
JPH10250104A (ja) * 1997-03-12 1998-09-22 Seiko Epson Corp インクジェット式記録装置用インクカートリッジ、及びその製造方法
JP3484932B2 (ja) 1997-06-23 2004-01-06 セイコーエプソン株式会社 インクジェット式記録装置
JPH1161637A (ja) * 1997-08-18 1999-03-05 Canon Inc 繊維素材及びそのインク接液部材としての用途並びにこれらの製造方法
US6142606A (en) 1997-12-22 2000-11-07 Canon Kabushiki Kaisha Ink jet recording head, substrate for use of such head, ink jet cartridge, and ink jet recording apparatus
EP0945272A3 (en) 1998-03-27 2000-01-26 Nec Corporation Print head for an ink jet printer
JP4208343B2 (ja) 1998-05-29 2009-01-14 キヤノン株式会社 インク接液部材、インク吸収体、インクタンク及びインクジェットカートリッジ
US6077235A (en) * 1999-02-23 2000-06-20 Becton, Dickinson And Company Blood collection assembly and method therefor
CA2327034C (en) * 1999-12-01 2007-07-17 Canon Kabushiki Kaisha Method of reforming element surface, element with reformed surface, method of manufacturing element with reformed surface, surface treatment liquid for forming reformed surface, and method of manufacturing surface treatment liquid
CA2327067A1 (en) 1999-12-06 2001-06-06 Canon Kabushiki Kaisha Surface reformed fiber body, liquid container using fiber absorber, and method of producing fiber absorber for use in liquid ejection

Also Published As

Publication number Publication date
US20010035897A1 (en) 2001-11-01
CN1303773A (zh) 2001-07-18
US6709092B2 (en) 2004-03-23
SG97993A1 (en) 2003-08-20
KR20010082574A (ko) 2001-08-30
DE60033487T2 (de) 2007-10-31
KR100441730B1 (ko) 2004-07-27
MXPA00012032A (es) 2002-08-06
EP1106363A2 (en) 2001-06-13
CN1193879C (zh) 2005-03-23
AU779159B2 (en) 2005-01-06
EP1106363B1 (en) 2007-02-21
CA2327163A1 (en) 2001-06-06
JP2001162817A (ja) 2001-06-19
AU7203200A (en) 2001-06-07
TW515759B (en) 2003-01-01
DE60033487D1 (de) 2007-04-05
EP1106363A3 (en) 2002-03-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4282043B2 (ja) 記録液体供給通路、記録液体収納容器、およびこれらを備える記録液体供給装置、並びにその表面改質方法
JP4521981B2 (ja) 繊維集合体の製造方法
KR100442511B1 (ko) 표면 개질 섬유체, 섬유 흡수체를 사용하는 액체 수납용기, 및 액체 토출용 섬유 흡수체의 제조 방법
JP4521978B2 (ja) インクタンク、インクジェット記録装置
CN102398424B (zh) 液体回收装置、液体喷射装置
WO2002070115A1 (fr) Procede de fabrication d'une pellicule de fil creux
EP1083052A2 (en) Ink jet recording apparatus, method of discharging ink from capping unit incorporated in the apparatus, and ink composition used with the apparatus
US6578947B1 (en) Ink drying prevention apparatus, ink-jet recording head storage container, ink-jet recording apparatus and ink drying prevention method
EP1108742A1 (en) Method of reforming element surface, element with reformed surface, method of manufacturing element with reformed surface, surface treatment liquid for forming reformed surface, and method of manufacturing surface treatment liquid
JP2020082568A (ja) 払拭装置、液体吐出装置、及び払拭方法
JP4240703B2 (ja) 液体収納容器およびそれに用いられる繊維体、該繊維体の親液化方法、前記繊維体の製造方法、前記繊維体の表面改質方法、前記繊維の接液表面構造
JP2014198294A (ja) 油水分離用フィルター部材及びその製造方法
JP4240702B2 (ja) 液体吐出用繊維吸収体、該繊維吸収体を有する液体容器及び前記液体吐出用繊維吸収体の製造方法
JP2008179118A (ja) 液体噴射装置及び廃インクタンク
JP4565590B2 (ja) 液体吐出記録ヘッド、および液体吐出ヘッド内面の表面改質方法、液体吐出ヘッドの製造方法
KR100206036B1 (ko) 잉크보유재료 그의 제조방법, 잉크분사기록장치 및 잉크분사기록방법
JP2002144596A (ja) インク保持部材へのインク充填方法、該インク充填方法によりインクが充填されるインクタンク
JP5861627B2 (ja) 液体吸収体、液体吸収タンク、電子機器、液体吸収体の製造方法
JP4710309B2 (ja) 液体吸収体、液体収容体及び液体噴射装置

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20061205

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20061205

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20061205

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20080730

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080910

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20081030

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20081210

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090119

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20090311

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20090316

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120327

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130327

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140327

Year of fee payment: 5

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees