JP4267126B2 - 耐遅れ破壊特性に優れた鋼材およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐遅れ破壊特性に優れた鋼材、特に、1200MPa以上の引張強度を有する耐遅れ破壊特性に優れた高強度部材用鋼材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
機械、自動車、橋、建物に数多く使用されている高強度鋼は、例えばJISG 4104,JIS G 4105に規定されているSCr,SCM等のC量が0.20〜0.35%の中炭素鋼を用いて焼入れ・焼戻し処理をすることによって製造されている。しかし、どの品種についても引張強度が1300MPaを超えると遅れ破壊の危険性が高まることがよく知られており、例えば現在使用されている建築用鋼の強度は1150MPa級が上限となっているのが現状である。
【0003】
高強度鋼の耐遅れ破壊特性を向上させる従来の知見として、例えば、特公平3−243744号公報では、旧オーステナイト粒を微細化させること、組織をベイナイト化させることが有効であると提案している。確かに、ベイナイト組織は遅れ破壊に対して有効であるが、ベイナイト化処理は製造コストが高くなる。旧オーステナイト粒の微細化に関しては、特公昭64−4566号公報や特公平3−243745号公報でも提案されている。また、特公昭61−64815号公報は、Caを添加することを提案している。しかしながら、いずれの提案も本発明者らの試験では、大幅な耐遅れ破壊特性の改善には至っていない。
【0004】
以上のように、従来の技術では、耐遅れ破壊特性を抜本的に向上させた高強度鋼を製造することには限界があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の如き実状に鑑みてなされたものであって、耐遅れ破壊特性の良好な鋼材、特に、耐遅れ破壊特性が良好で且つ強度が1200MPa以上の高強度鋼を実現すると共に、その製造方法を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、まず焼入れ・焼戻し処理によって製造した種々の強度レベルの鋼材を用いて、遅れ破壊挙動を詳細に解析した。遅れ破壊は外部環境から鋼材中に侵入し、鋼材中を室温で拡散しうる拡散性水素に起因して発生していることは既に明らかである。そして拡散性水素は、鋼材を100℃/hourの速度で加熱した際に得られる温度−鋼材からの水素放出速度の曲線において、約100℃の温度にピークを有する曲線として測定できる。図1はその測定の一例を示すもので、●水素チャージ直後、□は水素チャージ48hour、○は水素チャージ後72hour放置した試料を示している。
【0007】
したがって、環境から侵入した水素を鋼材中の何らかの部分に捕捉することによって拡散しないようにすれば、水素を無害化することが可能になり、より多量の環境からの侵入水素量に対し、遅れ破壊が抑制される。なお、試料中の侵入水素量は、水素チャージ前後の10mmφの鋼材を100℃/hourで加熱して得られた水素放出曲線の面積分値の差によって求めた。また水素の捕捉サイト(以後水素トラップサイト)の存在は、上記の水素放出曲線のピーク温度・ピーク高さから判定でき、ある水素トラップサイトに捕捉された水素の量(以後水素トラップ容量)はピークの面積積分値によって、水素がトラップサイトから脱離するのに必要な活性化エネルギー(以後水素トラップエネルギー)Eは、鋼材からの水素放出挙動を記述する次式から求めることができる。
Eφ/RT2=Aexp(-E/RT) ・・・ 式(1)
ここでφは加熱速度、Aは水素のトラップ脱離の反応定数、Rは気体定数、Tは水素放出曲線のピーク温度である。
水素トラップエネルギーEは材料によって決まる定数であるため、式(1)において変数はφとTになる。式(1)の対数をとって整理すると、
ln(φ/T2)=−(E/R)/T+ln(AR/E) ・・・ 式(2)
従って、複数の加熱速度で水素分析を行い、その際の水素放出ピーク温度を測定し、ln(φ/T2)と−1/Tの関係を示す直線の傾きを求めることによって、Eを求めることができる。
【0008】
そこで、耐遅れ破壊特性について、遅れ破壊が発生しない「侵入水素量」を求めることにより評価した。この方法は、切欠き付き丸棒試験片に電解水素チャージ、塩酸浸漬、水素焼鈍炉により種々のレベルの拡散性水素量を含有させた後、遅れ破壊試験中に試料から大気中に水素が抜けることを防止するためにCdめっきを施し、その後、大気中で所定の荷重を負荷し、遅れ破壊が発生しなくなる侵入水素量を評価するものである。
【0009】
図2に侵入水素量と遅れ破壊に至るまでの破断時間の関係について解析した一例を示す。試料中に含まれる侵入水素量が少なくなるほど遅れ破壊に至るまでの時間が長くなり、侵入水素量がある値以下では遅れ破壊が発生しなくなる。この水素量を「限界侵入水素量」と定義する。限界侵入水素量が高いほど鋼材の耐遅れ破壊特性は良好であり、鋼材の成分、熱処理等の製造条件によって決まる鋼材固有の値である。なお、試料中の侵入水素量は、水素チャージ前後の鋼材を100℃/hourで加熱して得られた水素放出曲線の面積分値の差によって求めており、水素トラップサイトに捕捉された水素量も含んだ値である。
【0010】
その結果、水素トラップエネルギーが25〜50kJ/molであり、かつ水素トラップ容量が0.1ppm以上であるような、水素トラップサイトとなりうる酸化物、炭化物、窒化物の単独あるいは複合析出物の少なくとも1種を有する組織を形成させれば、1200MPaを超えるような高強度域でも限界侵入水素量が増加し、耐遅れ破壊特性が格段に向上するという知見を見出したのである。また、鋼材成分を選択することによって、上記水素トラップサイトとなりうる種類、形態の酸化物、炭化物、窒化物の単独あるいは複合析出物を有する組織を形成させることが可能である技術を確立した。
【0011】
以上の検討結果に基づき、鋼材組成、組織形態を最適に選択すれば、耐遅れ破壊特性に優れた高強度鋼材を実現できるという結論に達し、本発明をなしたものである。
【0012】
本発明は以上の知見に基づいてなされたものであって、その要旨とするところは、下記の通りである。
【0013】
(1)質量%で、
C :0.15〜0.50%、 Si:0.05〜2.0%、
Mn:0.2〜2.0%、 Al:0.005〜0.1%、
Ti:0.005〜0.05%、 O :1〜500ppm、
N :20〜150ppm
を含有し、残部がFe及び不可避的不純物よりなり、組織がマルテンサイトまたは焼戻しマルテンサイトからなり、水素トラップエネルギーが25〜50kJ/molであり、かつ水素トラップ容量が0.1ppm以上である水素トラップサイトとなる、平均粒径が0.05μm以上1.0μm以下であり、かつ平均粒子間隔が平均粒径の3倍以上30倍以下である、Si,Mn,Ti,AlまたはVの酸化物、炭化物、窒化物の単独あるいは複合析出物の少なくとも1種を有することを特徴とする耐遅れ破壊特性に優れた鋼材。
【0014】
(2)質量%で、
C :0.15〜0.50%、 Si:0.05〜2.0%、
Mn:0.2〜2.0%、 Al:0.005〜0.1%、
Ti:0.005〜0.05%、 O :1〜500ppm、
N :20〜150ppm
を含有し、残部がFe及び不可避的不純物よりなり、組織がベイナイトまたは焼戻しベイナイトからなり、水素トラップエネルギーが25〜50kJ/molであり、かつ水素トラップ容量が0.1ppm以上である水素トラップサイトとなる、平均粒径が0.05μm以上1.0μm以下であり、かつ平均粒子間隔が平均粒径の3倍以上30倍以下である、Si,Mn,Ti,AlまたはVの酸化物、炭化物、窒化物の単独あるいは複合析出物の少なくとも1種を有することを特徴とする耐遅れ破壊特性に優れた鋼材。
【0015】
(3)質量%で、Mg:0.1〜100ppmをさらに含有することを特徴とする上記(1)または(2)に記載の耐遅れ破壊特性に優れた鋼材。
【0016】
(4)質量%で、
Cr:0.05〜2.0%、 Mo:0.05〜1.0%、
Ni:0.05〜5.0%、 Cu:0.05〜1.0%
の1種または2種以上をさらに含有することを特徴とする上記(1)乃至(3)のいずれか1項に記載の耐遅れ破壊特性に優れた鋼材。
【0017】
(5)質量%で、
V :0.05〜0.5%、 Nb:0.005〜0.2%、
Ta:0.005〜0.5%
の1種または2種以上をさらに含有することを特徴とする上記(1)乃至(4)のいずれか1項に記載の耐遅れ破壊特性に優れた鋼材。
【0018】
(6)質量%で、W :0.05〜0.5%、B :0.0003〜0.0050%の1種または2種をさらに含有することを特徴とする上記(1)乃至(5)のいずれか1項に記載の耐遅れ破壊特性に優れた鋼材。
【0019】
(7)水素トラップエネルギーが25〜50kJ/molであり、かつ水素トラップ容量が0.1ppm以上である水素トラップサイトとなる、酸化物、炭化物、窒化物の単独あるいは複合析出物の少なくとも1種を有する耐遅れ破壊特性に優れた鋼材の製造方法であって、質量%で、
C :0.15〜0.50%、 Si:0.05〜2.0%、
Mn:0.2〜2.0%、 Al:0.005〜0.1%、
N :20〜150ppm
を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなる溶鋼を脱酸処理によって、溶存酸素量を1〜500ppmに調整後、さらにTi脱酸し、Ti含有量が0.005〜0.05質量%で、かつ−0.04≦Ti%−O%≦0.04の関係を満たす溶鋼とし、該溶鋼を鋳造し、鋳片の凝固温度から1000℃までの間を0.5℃/sec以上の冷却速度で冷却することを特徴とする耐遅れ破壊特性に優れた鋼材の製造方法。
【0020】
(8)水素トラップエネルギーが25〜50kJ/molであり、かつ水素トラップ容量が0.1ppm以上である水素トラップサイトとなる、酸化物、炭化物、窒化物の単独あるいは複合析出物の少なくとも1種を有する耐遅れ破壊特性に優れた鋼材の製造方法であって、質量%で、
C :0.15〜0.50%、 Si:0.05〜2.0%、
Mn:0.2〜2.0%、 Al:0.005〜0.1%、
Mg:0.1〜100ppm、 N :20〜150ppm
を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなる溶鋼を脱酸処理によって、溶存酸素量を1〜500ppmに調整後、さらにTi脱酸し、Ti含有量が0.005〜0.05質量%で、かつ−0.04≦Ti%−O%≦0.04の関係を満たす溶鋼とし、該溶鋼を鋳造し、鋳片の凝固温度から1000℃までの間を0.5℃/sec以上の冷却速度で冷却することを特徴とする耐遅れ破壊特性に優れた鋼材の製造方法。
【0021】
(9)溶鋼が、質量%で、
Cr:0.05〜2.0%、 Mo:0.05〜1.0%、
Ni:0.05〜5.0%、 Cu:0.05〜1.0%
の1種または2種以上をさらに含有することを特徴とする上記(7)または(8)に記載の耐遅れ破壊特性に優れた鋼材の製造方法。
【0022】
(10)溶鋼が、質量%で、
V :0.05〜0.5%、 Nb:0.005〜0.2%、
Ta:0.005〜0.5%
の1種または2種以上をさらに含有することを特徴とする上記(7)乃至(9)のいずれか1項に記載の耐遅れ破壊特性に優れた鋼材の製造方法。
【0023】
(11)溶鋼が、質量%で、
W :0.05〜0.5%、 B :0.0003〜0.0050%
の1種または2種をさらに含有することを特徴とする上記(7)乃至(10)のいずれか1項に記載の耐遅れ破壊特性に優れた鋼材の製造方法。
【0024】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について説明する。
(水素トラップサイト)
まず、本発明の目的である高強度鋼の耐遅れ破壊特性の向上に対して最も重要な点である水素トラップサイトの限定理由について述べる。
遅れ破壊を引き起こす拡散性水素は腐食あるいは電気めっきによって発生し、室温で鋼材中に侵入する。腐食による水素侵入を想定してpH4.0以下の20℃の酸性溶液中に、好ましくは6時間以上浸漬することによって、水素を鋼材中に侵入させた場合、トラップエネルギーが25〜50kJ/mol、望ましくは30kJ/mol〜50kJ/molの水素を、0.1ppm以上、好ましくは0.3ppm以上、さらに好ましくは0.5ppm以上吸蔵しうるような組織に制御することによって、耐遅れ破壊特性を向上させることが可能になる。なお、トラップエネルギーが25〜50kJ/molの水素は、100℃/hourの速度で鋼材を加熱した場合、180℃以上600℃以下の温度域で、30kJ/mol〜50kJ/molの水素は200℃以上600℃以下の温度域で放出ピークが得られる。耐遅れ破壊特性に及ぼす水素トラップエネルギーおよび水素トラップ容量の影響を解析した例を図3(a)、(b)に示す。
【0025】
(組織形態)
平均粒径が0.05μm以上1.0μm以下であり、かつ平均粒子間隔が平均粒径の3以上30倍以下である、Si,Mn,Ti,AlまたはVの、酸化物、炭化物、窒化物の単独あるいは複合析出物の少なくとも1種を有するマルテンサイトもしくは焼戻しマルテンサイト、あるいはベイナイトもしくは焼戻しベイナイトからなる組織に制御することによって、耐遅れ破壊特性を向上させることが可能になる。高強度で且つ耐遅れ破壊特性を向上させるためには、上記の組織中に存在する析出物は、平均粒径が0.05μm以上1.0μm以下であり、かつ平均粒子間隔が平均粒径の3倍以上30倍以下であることが望ましい。これは、平均粒径が1μm超では機械的性質の低下の原因となるためであり、平均粒子間隔が平均粒径の30倍超では水素トラップ効果が小さいためである。より望ましい条件は、平均粒径が0.3μm以下であり、かつ平均粒子間隔が平均粒径の10倍以下である。
【0026】
(鋼材成分)
次に、本発明の対象とする鋼の成分の限定理由について述べる。
C:Cは鋼材の強度を確保する上で必須の元素であるが、0.15%未満では所要の強度が得られず、一方、0.50%を超えると靭性を劣化させると共に、耐遅れ破壊特性も劣化させるために、0.15〜0.50%の範囲に制限した。
【0027】
Si:Siは固溶体硬化作用によって強度を高める作用がある。0.05%未満では前記作用が発揮できず、一方、2.0%を超えると添加量に見合う効果が期待できないために、0.05〜2.0%の範囲に制限した。
【0028】
Mn:Mnは脱酸、脱硫のために必要であるばかりでなく、マルテンサイト組織を得るための焼入性を高めるために有効な元素であるが、0.2%未満では上記の効果が得られず、一方、2.0%を超えるとオーステナイト域加熱時に粒界に偏析し、粒界を脆化させると共に、耐遅れ破壊特性を劣化させるために、0.2〜2.0%の範囲に制限した。
【0029】
Al:Alは脱酸および熱処理時においてAlNを形成することによりオーステナイト粒の粗大化を防止する効果とともにNを固定する効果も有しているが、0.005%未満ではこれらの効果が発揮されず、0.1%を超えても効果が飽和するため0.005〜0.1%の範囲に限定した。
【0030】
Ti:TiはAlと同様に脱酸および熱処理時においてTiNを形成することによりオーステナイト粒の粗大化を防止する効果と共に、Nを固定する効果も有しているが、0.005%未満ではこれらの効果が発揮されず、0.05%を超えても効果が飽和するため0.005〜0.05%の範囲に限定した。
【0031】
O:OはSi,Mn,Ti,Al、Mgと酸化物を形成し、水素のトラップサイトとなるが、1ppm未満ではその効果が小さく、500ppmを超えても効果が飽和するため、1〜500ppmに限定した。なお、望ましい条件は5〜500ppmである。
【0032】
N:Nについては、Al、V、Nb、Tiの窒化物を形成することによって旧オーステナイト粒の微細化、降伏強度の増加の効果がある。20ppm未満ではその効果が小さく、150ppmを超えても効果が飽和するため、20〜150ppmに限定した。好ましくは50〜100ppmとする。
【0033】
以上が本発明の対象とする鋼の基本成分であるが、本発明においては、さらにこの鋼に、
第1群
Mg:0.1〜100ppm
第2群
Cr:0.05〜2.0%、 Mo:0.05〜1.0%、
Ni:0.05〜5.0%、 Cu:0.05〜1.0%、
第3群
V :0.05〜0.5%、 Nb:0.005〜0.2%、
Ta:0.005〜0.5%
第4群
W :0.05〜0.5%、 B :0.0003〜0.0050%
の1または2群以上の各1種以上を含有せしめることができる。
【0034】
Mg:Mgは脱硫効果を有すると共に、微細な酸化物となり、Tiの酸化物あるいは窒化物を微細に分散させる効果がある。0.1ppm未満ではこの効果は発揮されず、100ppmを超えても効果が飽和するため、0.1〜100ppmに限定した。Tiの酸化物を有効に微細化するためにTiと共存させて添加することが非常に好ましい。
【0035】
第2群の添加元素は強度を高めるために有効な元素群である。
Cr:Crは焼入性の向上および焼戻し処理時の軟化抵抗を増加させるために有効な元素であるが、0.05%未満ではその効果が十分に発揮できず、一方、2.0%を超えると靭性の劣化、冷間加工性の劣化を招くために、0.05〜2.0%に限定した。
【0036】
Mo:MoはCrと同様に強い焼戻し軟化抵抗を有し熱処理後の引張強さを高めるために有効な元素であるが、0.05%未満ではその効果が少なく、一方、1.0%を超えるとその効果は飽和し、コストの上昇を招くために、0.05〜1.0%に制限した。
【0037】
Ni:Niは高強度化に伴って劣化する延性を向上させるとともに熱処理時の焼入性を向上させて引張強さを増加させるために添加されるが、0.05%未満ではその効果が少なく、一方、5.0%を超えても添加量に見合う効果が発揮できないため、0.05〜5.0%の範囲に制限した。
【0038】
Cu:Cuは焼戻し軟化抵抗を高めるために有効な元素であるが、0.05%未満では効果が発揮できず、1.0%を超えると熱間加工性が劣化するため、0.05〜1.0%に制限した。
【0039】
第3群の添加元素は、主に酸化物以外の微細析出物を生成させるのに有効な元素群である。
V:Vは焼入れ処理時において炭窒化物を生成することにより、オーステナイト粒を微細化させる効果があるが、0.05%未満では前記作用の効果が得られず、一方、0.5%を超えても効果が飽和するため、0.05〜0.5%に限定した。
【0040】
Nb:NbもVと同様に炭窒化物を生成することにより、オーステナイト粒を微細化させるために有効な元素であるが、0.005%未満では上記効果が不十分であり、一方、0.2%を超えるとこの効果が飽和するため、0.005〜0.2%に制限した。
【0041】
Ta:TaもNbと同様にオーステナイト粒の微細化効果を有しているが、0.005%未満では前記の効果が発揮されず、0.5%を超えて添加しても効果が飽和するため、0.005〜0.5%に限定した。
【0042】
第4群の元素は、粒界を強化し耐遅れ破壊特性を向上させるのに有効な元素群である。
W:Wは高強度鋼材の耐遅れ破壊特性を向上させるために有効な元素であるが、0.05%未満では前記の効果が発揮されず、一方、0.5%を超えて添加しても効果が飽和するため、0.05〜0.5%の範囲に限定した。
【0043】
B:Bは粒界破壊を抑制し耐遅れ破壊特性を向上させる効果がある。更に、Bはオーステナイト粒界に偏析することにより、焼入性を著しく高めるが、0.0003%未満では前記の効果が発揮されず、0.0050%を超えても効果が飽和するため、0.0003〜0.0050%に制限した。
【0044】
P、Sについては特に制限しないものの、耐遅れ破壊特性を向上させる観点から、それぞれ0.015%以下が好ましい範囲である。
【0045】
(製造方法)
製造方法は、上記成分の鋼をTi脱酸する工程において、Tiと酸素を上記成分規定範囲内とすると同時に、溶鋼におけるTiと酸素のバランスを−0.04≦Ti%−O%≦0.04の関係を満たすように調整した上で、凝固から1000℃までの冷却を0.5℃/sec以上の冷却速度で行うものである。
溶鋼におけるTiと酸素のバランスを−0.04≦Ti%−O%≦0.04の関係を満たさない場合、水素トラップサイトとなるべき複合析出物の平均粒子間隔が、平均粒径の3〜30倍の範囲に入らない。
また、凝固から1000℃までの冷却速度が0.5℃/sec未満であると、複合析出物の平均粒径が1.0μmを超えてしまう、このため冷却速度は0.5℃/sec以上とする必要があり、好ましくは20℃/sec以上とすることにより、複合析出物の平均粒径を0.3μm以下とすることができる。
【0046】
【実施例】
以下、実施例により本発明の効果をさらに具体的に説明する。
表1に示す化学組成を有する供試材を種々の条件で熱処理してマルテンサイト、焼戻しマルテンサイト、ベイナイト、焼戻しベイナイトの組織に調整した後、様々な温度に加熱した。
上記の試料を用いて、機械的性質、組織形態、耐遅れ破壊特性について評価した結果を表2に示す。耐遅れ破壊特性は、前に述べた限界侵入水素量で評価を行い、負荷応力は引張強さの90%の条件で実施した。なお水素チャージは、腐食による水素侵入を想定してpH4.0以下の20℃の酸性溶液中に100hour以上浸漬することによって行った。
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
【0049】
表2の試験No.1〜12が本発明例で、その他は比較例である。同表に見られるように本発明例はいずれも鋼材の引張強さが1200MPa以上であり、且つマルテンサイト、焼戻しマルテンサイト、ベイナイト、焼戻しベイナイト組織である。これらは遅れ破壊形態が粒内割れとなっており、限界侵入水素量が従来の鋼材に比べ高く、耐遅れ破壊特性に優れた鋼材が実現されている。
【0050】
これに対して比較例であるNo.13はC含有量が低すぎるために本発明で目的とする1200MPa以上の高強度の鋼材が実現できていない。
【0051】
比較例であるNo.14、17はOの含有量が規定より少ない、あるいはTiが添加されていないため、所定の析出物分散密度が得られておらず、水素トラップ効果が確認できなかった。このため、遅れ破壊形態が粒界割れであり、限界拡散性水素量が低く、耐遅れ破壊特性が悪い例である。
【0052】
比較例であるNo.15はTiの含有量が規定より少なく、所定の析出物分散密度が得られておらず、水素トラップ効果が非常に小さかった。このため、遅れ破壊形態が粒界割れであり、限界拡散性水素量が低く、耐遅れ破壊特性が悪い例である。
【0053】
比較例であるNo.16はMnの含有量が規定より多く、所定の析出物分散密度が得られていたにもかかわらず、遅れ破壊形態が粒界割れであり、限界拡散性水素量が低く、耐遅れ破壊特性が悪い例である。
【0054】
比較例であるNo.18〜20は成分的には規定を満足しているが、鋳片の冷却速度が規定より小さかったため、所定の析出物平均粒径が得られず、また、その結果所定の分散密度も得られていないため、水素トラップ効果が小さく、限界侵入水素量が低く、耐遅れ破壊特性が悪い例である。
【0055】
【発明の効果】
以上の実施例からも明かなごとく、本発明は、鋼材の遅れ破壊形態を粒界割れから粒内割れにさせて、引張強さが1200MPa以上の高強度鋼材の耐遅れ破壊特性を大幅に向上させることを可能にすると共に、鋼の化学成分、熱処理条件および熱処置前の組織を最適に選択することによって、その製造方法を確立したものであり、産業上の効果は極めて顕著なものがある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 加熱時の水素放出曲線を示す図である。
【図2】 侵入水素量と破断時間の関係を模式的に示す図である。
【図3】 (a)、(b)は水素トラップエネルギー、水素トラップ容量と限界侵入水素量の関係を示す図である。
Claims (11)
- 質量%で、
C :0.15〜0.50%、 Si:0.05〜2.0%、
Mn:0.2〜2.0%、 Al:0.005〜0.1%、
Ti:0.005〜0.05%、 O :1〜500ppm、
N :20〜150ppm
を含有し、残部がFe及び不可避的不純物よりなり、組織がマルテンサイトまたは焼戻しマルテンサイトからなり、水素トラップエネルギーが25〜50kJ/molであり、かつ水素トラップ容量が0.1ppm以上である水素トラップサイトとなる、平均粒径が0.05μm以上1.0μm以下であり、かつ平均粒子間隔が平均粒径の3倍以上30倍以下である、Si,Mn,Ti,AlまたはVの、酸化物、炭化物、窒化物の単独あるいは複合析出物の少なくとも1種を有することを特徴とする耐遅れ破壊特性に優れた鋼材。 - 質量%で、
C :0.15〜0.50%、 Si:0.05〜2.0%、
Mn:0.2〜2.0%、 Al:0.005〜0.1%、
Ti:0.005〜0.05%、 O :1〜500ppm、
N :20〜150ppm
を含有し、残部がFe及び不可避的不純物よりなり、組織がベイナイトまたは焼戻しベイナイトからなり、水素トラップエネルギーが25〜50kJ/molであり、かつ水素トラップ容量が0.1ppm以上である水素トラップサイトとなる、平均粒径が0.05μm以上1.0μm以下であり、かつ平均粒子間隔が平均粒径の3倍以上30倍以下である、Si,Mn,Ti,AlまたはVの、酸化物、炭化物、窒化物の単独あるいは複合析出物の少なくとも1種を有することを特徴とする耐遅れ破壊特性に優れた鋼材。 - 質量%で、Mg:0.1〜100ppmをさらに含有することを特徴とする請求項1または2に記載の耐遅れ破壊特性に優れた鋼材。
- 質量%で、
Cr:0.05〜2.0%、 Mo:0.05〜1.0%、
Ni:0.05〜5.0%、 Cu:0.05〜1.0%
の1種または2種以上をさらに含有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の耐遅れ破壊特性に優れた鋼材。 - 質量%で、
V :0.05〜0.5%、 Nb:0.005〜0.2%、
Ta:0.005〜0.5%
の1種または2種以上をさらに含有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の耐遅れ破壊特性に優れた鋼材。 - 質量%で、
W :0.05〜0.5%、 B :0.0003〜0.0050%
の1種または2種をさらに含有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の耐遅れ破壊特性に優れた鋼材。 - 水素トラップエネルギーが25〜50kJ/molであり、かつ水素トラップ容量が0.1ppm以上である水素トラップサイトとなる、酸化物、炭化物、窒化物の単独あるいは複合析出物の少なくとも1種を有する耐遅れ破壊特性に優れた鋼材の製造方法であって、質量%で、
C :0.15〜0.50%、 Si:0.05〜2.0%、
Mn:0.2〜2.0%、 Al:0.005〜0.1%、
N :20〜150ppm
を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなる溶鋼を脱酸処理によって、溶存酸素量を1〜500ppmに調整後、さらにTi脱酸し、Ti含有量が0.005〜0.05質量%で、かつ−0.04≦Ti%−O%≦0.04の関係を満たす溶鋼とし、該溶鋼を鋳造し、鋳片の凝固温度から1000℃までの間を0.5℃/sec以上の冷却速度で冷却することを特徴とする耐遅れ破壊特性に優れた鋼材の製造方法。 - 水素トラップエネルギーが25〜50kJ/molであり、かつ水素トラップ容量が0.1ppm以上である水素トラップサイトとなる、酸化物、炭化物、窒化物の単独あるいは複合析出物の少なくとも1種を有する耐遅れ破壊特性に優れた鋼材の製造方法であって、質量%で、
C :0.15〜0.50%、 Si:0.05〜2.0%、
Mn:0.2〜2.0%、 Al:0.005〜0.1%、
Mg:0.1〜100ppm、 N :20〜150ppm
を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなる溶鋼を脱酸処理によって、溶存酸素量を1〜500ppmに調整後、さらにTi脱酸し、Ti含有量が0.005〜0.05質量%で、かつ−0.04≦Ti%−O%≦0.04の関係を満たす溶鋼とし、該溶鋼を鋳造し、鋳片の凝固温度から1000℃までの間を0.5℃/sec以上の冷却速度で冷却することを特徴とする耐遅れ破壊特性に優れた鋼材の製造方法。 - 溶鋼が、質量%で、
Cr:0.05〜2.0%、 Mo:0.05〜1.0%、
Ni:0.05〜5.0%、 Cu:0.05〜1.0%
の1種または2種以上をさらに含有することを特徴とする請求項7または8に記載の耐遅れ破壊特性に優れた鋼材の製造方法。 - 溶鋼が、質量%で、
V :0.05〜0.5%、 Nb:0.005〜0.2%、
Ta:0.005〜0.5%
の1種または2種以上をさらに含有することを特徴とする請求項7乃至9のいずれか1項に記載の耐遅れ破壊特性に優れた鋼材の製造方法。 - 溶鋼が、質量%で、
W :0.05〜0.5%、 B :0.0003〜0.0050%
の1種または2種をさらに含有することを特徴とする請求項7乃至10のいずれか1項に記載の耐遅れ破壊特性に優れた鋼材の製造方法。
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