JP4255166B2 - 血液成分採取装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、血液中から所定の血液成分を分離する血液成分採取装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
採血を行う場合、現在では、血液の有効利用および供血者の負担軽減などの理由から、採血血液を遠心分離などにより各血液成分に分離し、輸血者に必要な成分だけを採取し、その他の成分は供血者に返還する成分採血が行われている。
このような成分採血において、血小板製剤を得る場合、供血者から採血した血液を血液成分採取回路に導入し、該血液成分採取回路に設置された遠心ボウルと呼ばれる遠心分離器により、血漿、白血球、血小板および赤血球の4成分に分離し、その内の血小板を容器に回収して血小板製剤とし、残りの血漿、白血球および赤血球は、供血者に返血することが行われる。
【0003】
血小板採取方法として、例えば、特表平8−509403号公報に開示されている方式がある。この特表平8−509403号公報には、液体を全血に既定流速で加えて希釈しながら遠心ボウルに送るという第1の方式、遠心ボウルに全血を送り込み、遠心分離して低密度成分、中密度成分および高密度成分に分離し、低密度成分を第一の容器に取り出した後、回路を切り替えてその低密度成分を第一流速(定速)で循環させて遠心ボウル内の中密度成分領域を広げ、第二流速(加速)で再循環している間に中密度成分を取り出すという第2の方式が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記の第1の方式では、ACDポンプ、採返血ポンプ、循環ポンプの3台のポンプが必要となり、装置が大型化する。また、第2の方式では、2台のポンプにより血小板を採取することができ、装置の小型化が可能である。しかし、採取される血小板中への白血球の混入が多い。血小板製剤用の血小板含有液としては、白血球の混入のより少ないものが求められている。また、従来の方法では、血小板とともに血漿の採取も行われており、血漿の採取方法については格別な工夫はされていない。通常血小板採取は、1つのサイクルからなる血小板採取工程を複数回数繰り返して行うことにより、ある程度の量の血小板を採取している。そして、並行して行われる血漿採取は、行われるサイクル数により目標血漿採取量を均等割りした血漿量を採取し、残りを返還するといった方式が取られている。
【0005】
血漿採取バッグ内に蓄積される血漿も体外に取り出されている血液の一部であり、供血者からみれば脱血量の一部である。体格も大きく、総血液量の多い供血者であれば問題とならないが、より多くの供血者より血小板を採取するためには、体格の大きくない人であってもその他の条件に問題がなければ献血を行っている。このような供血者の場合には、少しでも、血小板採取作業中の脱血量を少なくして、血小板採取作業中の気分不良等の採血副作用を起こさないようにすることが好ましい。
【0006】
そこで、本発明の目的は、装置を小型化でき、白血球の混入が少なく、かつ血小板の採取効率が高く、高濃度の血小板含有液を得ることができるとともに、複数回の血小板採取作業を行うことにより血小板とともに血漿を採取する血液成分採取装置であっても、血小板採取作業中の脱血量の増加が少なく、血小板採取作業中の気分不良等の採血副作用を起こすことが少ない血液成分採取装置を提供する。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するものは、内部に貯血空間を有するローターと、前記貯血空間に連通する流入口および流出口とを有し、前記ローターの回転により前記流入口より導入された血液を前記貯血空間内で遠心分離する遠心分離器と、採血針もしくは採血器具接続部と前記遠心分離器の流入口とを接続するための第1のラインと、前記遠心分離器の前記流出口に接続される第2のラインと、前記第1のラインに接続された抗凝固剤注入のための第3のラインと、前記第1のラインの途中に接続された第1チューブおよび前記第2のラインと接続された第2チューブを有する血漿採取バッグと、前記第2のラインに接続された血小板採取バッグとからなる血液成分採取回路を備えた血液成分採取装置であって、該血液成分採取装置は、該遠心分離器の前記ローターを回転させるための遠心分離器駆動装置と、前記第1のラインと前記第1チューブとの接続部より遠心分離器側に配置され、前記第1のラインのための第1の送液ポンプと、前記第3のラインのための第2の送液ポンプと、前記血液成分採取回路の流路の開閉を行うための複数の流路開閉手段と、前記血漿採取バッグの重量センサと、前記遠心分離器駆動装置、前記第1の送液ポンプ、前記第2の送液ポンプおよび前記複数の流路開閉手段を制御するための制御部を備え、該制御部は、抗凝固剤が添加された血液の採取、採取された血液の分離および分離された血漿を前記血漿採取バッグ内に採取する血漿採取ステップと、該血漿採取ステップにより採取された前記血漿採取バッグ内の血漿を前記遠心分離器に循環させる血漿循環ステップとからなり、少なくも1回行われる血漿採取・循環ステップと、該血漿採取・循環ステップの終了後に、血漿循環速度を加速させて、前記遠心分離器内より血小板を流出させ血小板を前記血小板採取バッグに採取する血小板採取ステップと、該血小板採取ステップの終了後、前記遠心分離器内の血液を返血する返血ステップを行わせる血小板採取操作が複数回行われるように、前記遠心分離器駆動装置、前記第1の送液ポンプ、前記第2の送液ポンプおよび前記複数の流路開閉手段を制御するものであり、さらに、最終回以前の血小板採取操作における返血ステップでは、該返血ステップ以前に採取された血漿重量が、所定必要残留血漿量となるまで血漿の返還が行われるように制御するものであり、かつ、最終回の血小板採取操作における返血ステップでは、最終回の返血ステップまでに前記血漿採取バッグに採取された血漿の返還を行わないように制御するものである血液成分採取装置である。
【0008】
また、上記目的を達成するものは、内部に貯血空間を有するローターと、前記貯血空間に連通する流入口および流出口とを有し、前記ローターの回転により前記流入口より導入された血液を前記貯血空間内で遠心分離する遠心分離器と、採血針もしくは採血器具接続部と前記遠心分離器の流入口とを接続するための第1のラインと、前記遠心分離器の前記流出口に接続される第2のラインと、前記第1のラインに接続された抗凝固剤注入のための第3のラインと、前記第1のラインの途中に接続された第1チューブおよび前記第2のラインと接続された第2チューブを有する血漿採取バッグと、前記第2のラインに接続された血小板採取バッグとからなる血液成分採取回路を備えた血液成分採取装置であって、該血液成分採取装置は、該遠心分離器の前記ローターを回転させるための遠心分離器駆動装置と、前記第1のラインと前記第1チューブとの接続部より遠心分離器側に配置され、前記第1のラインのための第1の送液ポンプと、前記第3のラインのための第2の送液ポンプと、前記血液成分採取回路の流路の開閉を行うための複数の流路開閉手段と、前記血漿採取バッグの重量センサと、前記遠心分離器駆動装置、前記第1の送液ポンプ、前記第2の送液ポンプおよび前記複数の流路開閉手段を制御するための制御部を備え、該制御部は、抗凝固剤が添加された血液の採取、採取された血液の分離および分離された血漿を前記血漿採取バッグ内に採取する血漿採取ステップと、該血漿採取ステップにより採取された前記血漿採取バッグ内の血漿を前記遠心分離器に循環させる血漿循環ステップとからなり、少なくも1回行われる血漿採取・循環ステップと、該血漿採取・循環ステップの終了後に、血漿循環速度を加速させて、前記遠心分離器内より血小板を流出させ血小板を前記血小板採取バッグに採取する血小板採取ステップと、該血小板採取ステップの終了後、前記遠心分離器内の血液を返血する返血ステップを行わせる血小板採取操作が複数回行われるように、前記遠心分離器駆動装置、前記第1の送液ポンプ、前記第2の送液ポンプおよび前記複数の流路開閉手段を制御するものであり、さらに、最終回以前の血小板採取操作における返血ステップでは、該返血ステップ以前に採取された血漿重量が、下記条件の残留血漿量(y)の範囲内となるように血漿の返還が行われるように制御するものである血液成分採取装置である。
【0009】
(条件)
残留血漿量(y)は、A以上かつA≦Bの場合にはB以下
A=所定必要残存血漿量
B=血小板採取操作回数×(目標血漿採取量−1回目の返血ステップ前の血小板採取操作終了時の採取血漿量)/(血小板採取操作総回数−1)
【0010】
そして、前記制御部は、前記血漿採取・循環ステップが2回行われるように制御するものであり、初回の血漿採取・循環ステップでは、前記血漿採取バッグ内の血漿を前記遠心分離器に定速にて循環させる血漿採取・定速循環ステップが行われ、2回目の血漿採取・循環ステップでは、前記血漿採取バッグ内の血漿を前記遠心分離器に加速させながら循環させる血漿採取・加速循環ステップが行われるように制御するものであることが好ましい。
【0011】
さらに、前記制御部は、最終回の血小板採取操作における返血ステップでは、最終回の返血ステップまでに前記血漿採取バッグに採取された血漿の返還を行わないように制御するものであることが好ましい。
さらに、前記制御部は、最終回の血小板採取操作における返血ステップでは、最終回の返血ステップまでに採取された血漿重量が目標血漿採取量を越えている場合には、過剰分の血漿が返還されるように制御するものであることが好ましい。さらに、前記所定必要残存血漿量は、10〜50mlであることが好ましい。また、前記制御部は、供血者のヘマトクリット値によって、前記遠心分離器のローターの遠心回転数を制御する機能を備えていることが好ましい。さらに、前記血液成分採取装置は、ヘマトクリット値入力部もしくはヘマトクリット値測定機能を備え、前記制御部は、入力もしくは測定されたヘマトクリット値を用いて、該ヘマトクリット値に適したローター回転数を演算するローター回転数演算機能および該ローター回転数演算機能により演算されたローター回転数を用いて遠心分離器駆動装置を制御する機能を備えていることが好ましい。
【0012】
そして、前記血液成分採取装置は、前記血漿採取バッグの重量センサを備えていることが好ましい。さらに、前記制御部は、前記血小板採取操作が少なくとも2回行われるように、前記遠心分離器駆動装置、前記第1の送液ポンプ、前記第2の送液ポンプおよび前記複数の流路開閉手段を制御するものであることが好ましい。さらに、前記血液成分採取回路は、前記第2のラインに接続されたバフィーコート採取バッグを備え、前記制御部は、前記血小板採取ステップ終了後であって、前記返血ステップ前に、前記第1の送液ポンプによる血漿循環速度を前記血小板採取ステップにおける最終速度よりも高くし、前記遠心分離器内よりバフィーコートを流出させバフィーコートを前記バフィーコート採取バッグに採取するバフィーコート採取ステップを行うものであることが好ましい。
【0013】
また、前記血液成分採取回路は、前記第2のラインに接続されたバフィーコート採取バッグを備え、前記制御部は、前記血小板採取ステップ終了後であって、前記返血ステップ前に、前記第1の送液ポンプによる血漿循環速度を前記血小板採取ステップにおける最終速度と同じもしくは高くするとともに、前記遠心分離器のローターの回転速度を下げて、前記遠心分離器内よりバフィーコートを流出させバフィーコートを前記バフィーコート採取バッグに採取するバフィーコート採取ステップを行うものであることが好ましい。
さらに、前記制御部は、前記バフィーコート採取ステップの終了後さらに血小板採取操作が行われる場合には、採取されたバフィーコートを次の採血ステップの前に前記遠心分離器内に返還するバフィーコート返還ステップを行わせるように、前記第1の送液ポンプおよび前記複数の流路開閉手段を制御するものであることが好ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の血液成分採取装置を図面に示した実施例を用いて説明する。
図1は、本発明の血液成分採取装置に使用される血液成分採取回路の構成例を示す平面図であり、図2は、図1の血液成分採取回路のカセットハウジング部分の平面図であり、図3は、血液成分採取回路に使用される遠心分離器に駆動装置が装着された状態の部分破断断面図であり、図4は、血液成分採取回路を装着した状態の本発明の血液成分採取装置の一実施例の概念図である。
本発明の血液成分採取装置1は、内部に貯血空間を有するローター142と、貯血空間に連通する流入口および流出口とを有し、ローター142の回転により流入口より導入された血液を貯血空間内で遠心分離する遠心分離器20と、採血針29もしくは血液プールへの接続部と遠心分離器20の流入口とを接続するための第1のライン21と、遠心分離器20の流出口に接続された第2のライン22と、第1のライン21に接続され、抗凝固剤注入のための第3のライン23と、第1のライン21に接続された第1チューブ25aおよび第2のライン22と接続された第2チューブ25bを有する血漿採取バッグ25と、第2のライン22に接続された血小板採取バッグ26とを備える血液成分採取回路2のための血液成分採取装置である。
【0015】
血液成分採取装置1は、遠心分離器20のローター142を回転させるための遠心分離器駆動装置10と、第1のライン21のための第1の送液ポンプ11と、第3のライン23のための第2の送液ポンプ12と、血液成分採取回路2の流路の開閉を行うための複数の流路開閉手段81,82,83,84,85,86,87と、遠心分離器駆動装置10、第1の送液ポンプ11、第2の送液ポンプ12および複数の流路開閉手段を制御するための制御部13を備える。
【0016】
そこで、最初に血液成分採取回路2について説明する。
この血液成分採取回路2は、血液成分、特に血小板を採取するための回路である。血小板採取回路2は、採血針29のような採血器具、もしくは採血針または血液プール接続部を有する採血器具への接続部(採血器具接続部)、採血針29もしくは採血器具接続部と遠心分離器20の流入口とを接続し、第1のポンプチューブ21gを備える第1のライン21(採血および返血ライン)、遠心分離器20の流出口と第1のライン21とを接続するための第2のライン22、第1のライン21の採血針29の近くに接続され、第2のポンプチューブ23aを備える第3のライン23(抗凝固剤注入ライン)、第1のライン21のポンプチューブ21gより採血針側に位置する分岐コネクター21fに接続された第1チューブ25aおよび第2のライン22と接続された第2チューブ25bを有する血漿採取バッグ25、第2のライン22に接続された第3チューブ26aを備える血小板採取バッグ26、第2のライン22に接続された第4チューブ27aを備えるバフィーコート採取バッグ27、第2のライン22に接続された液体(生理食塩水)注入用の第4のライン24を備える。血液成分採取回路2としては、採血針ではなく、血液バッグなどの血液プールに接続するための接続部(例えば、金属もしくは合成樹脂針)を備えるものでもよい。
【0017】
採血針29として、公知の金属針が使用される。第1のライン21は、採血針29が接続された採血針側第1ライン21aと遠心分離器20の流入口とを接続された遠心分離器側第1ライン21bとからなる。採血針側第1ライン21aは、軟質樹脂製チューブが複数接続されて形成されている。採血針側第1ライン21aは、採血針側より、第3のライン23との接続用分岐コネクター21c、気泡およびマイクロアグリゲート除去のためのチャンバー21d、第2のライン22との接続用分岐コネクター21e、血漿採取バッグ25の第1チューブ25aとの接続用分岐コネクター21fを備える。チャンバー21dには、通気性かつ菌不透過性のフィルター21iが接続されている。遠心分離器側第1ライン21bは、第1チューブ25aとの接続用分岐コネクター21fに接続されており、その付近に形成されたポンプチューブ21gを有する。
【0018】
遠心分離器20の流出口と第1のライン21とを接続する第2のライン22は、一端が遠心分離器20の流出口に接続され、他端が第1のライン21の接続用分岐コネクター21eに接続されている。第2のライン22は、遠心分離器側から、血漿採取バッグ25の第2チューブ25bならびに血小板採取バッグ26の第3チューブ26aとの接続用分岐コネクター22a、第4のライン24との接続用分岐コネクター22b、気泡除去用フィルター22fを備えるチューブとの接続用分岐コネクター22c、バフィーコート採取バッグ27の第4チューブ27aとの接続用分岐コネクター22dを備える。
【0019】
第3のライン23は、一端が第1のライン21に設けられた接続用分岐コネクター21cに接続されている。第3のライン23は、コネクター21c側より、ポンプチューブ23a、異物除去用フィルター23b、気泡除去用チャンバー23c、抗凝固剤容器接続用針23dを備えている。
第4のライン24は、一端が第2のライン22の接続用分岐コネクター22bに接続されている。第4のライン24は、コネクター22b側より、異物除去用フィルター24a、生理食塩水容器接続用針24bを備えている。
【0020】
血漿採取バッグ25は、第1のライン21のポンプチューブ21gより採血針側に位置する分岐コネクター21fに接続された第1チューブ25a、第2のライン22の分岐コネクター22aに接続された第2チューブ25bを有する。血小板採取バッグ26は、第2のライン22の分岐コネクター22aに接続された第3チューブ26aを備える。バフィーコート採取バッグ27は、第2のライン22の分岐コネクター22dに接続された第4チューブ27aを備える。
【0021】
上述した第1から第4のライン21,22,23,24の形成に使用されるチューブ、ポンプチューブ、さらに、バッグに接続されているチューブの構成材料としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、PETやPBTのようなポリエステル、エチレンー酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン、ポリエステルエラストマー、スチレンーブタジエンースチレン共重合体等の熱可塑性エラストマー等が挙げられるが、その中でも特に、ポリ塩化ビニルが好ましい。各チューブがポリ塩化ビニル製であれば、十分な可撓性、柔軟性が得られるので取り扱いがし易く、また、クレンメ等による閉塞にも適するからである。また、上述した分岐コネクタの構成材料についても、前記チューブの構成材料と同様のものを用いることができる。なお、ポンプチューブとしては、ローラーポンプにより押圧されても損傷を受けない程度の強度を備えるものが使用されている。
【0022】
血漿採取バッグ25、血小板採取バッグ26、バフィーコート採取バッグ27は、それぞれ、樹脂製の可撓性を有するシート材を重ね、その周縁部を融着(熱融着、高周波融着等)または接着して袋状にしたものが使用される。各バッグ25,26,27に使用される材料としては、例えば、軟質ポリ塩化ビニルが好適に使用される。この軟質ポリ塩化ビニルにおける可塑剤としては、例えば、ジ(エチルヘキシル)フタレート(DEHP)、ジ−(n−デシル)フタレート(DnDP)等が使用される。なお、このような可塑剤の含有量は、ポリ塩化ビニル100重量部に対し、30〜70重量部程度とするのが好ましい。
【0023】
また、上記各バッグ25,26,27のシート材料としては、ポリオレフィン、すなわちエチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン等のオレフィンあるいはジオレフィンを重合または共重合した重合体を用いてもよい。具体的には、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、EVAと各種熱可塑性エラストマーとのポリマーブレンド等、あるいは、これらを任意に組み合せたものが挙げられる。さらには、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチルテレフタレート(PCHT)のようなポリエステル、ポリ塩化ビニリデンを用いることもできる。
【0024】
なお、血小板採取バッグ26に使用されるシート材としては、血小板保存性を向上するためにガス透過性に優れるものを用いることがより好ましい。そのようなシート材としては、例えば、上述したポリオレフィンやDnDP可塑化ポリ塩化ビニル等を用いること、また、このような素材を用いることなく、上述したような材料のシート材を用い、厚さを比較的薄く(例えば、0.1〜0.5mm程度、特に、0.1〜0.3mm程度)したものが好適である。また、血小板採取バッグには、例えば、生理食塩水、GAC、PAS、PSM−1のような血小板保存液が予め入れられていてもよい。
【0025】
そして、血液成分採取回路2の主要部分は、図2に示すように、カセット式となっている。血液成分採取回路2は、すべてのライン(第1のライン、第2のライン、第3のライン、第4のライン)およびすべてのチューブ(第1チューブ、第2チューブ、第3チューブ、第4チューブ)を部分的に収納しかつ部分的にそれらを保持し、言い換えれば、部分的にそれらが固定されたカセットハウジング28を備える。カセットハウジング28には、第1のポンプチューブ21gの両端および第2のポンプチューブ23aの両端が固定され、これらポンプチューブ21g,23aは、カセットハウジング28より、ローラーポンプの形状に対応したループ状に突出している。このため、第1および第2のポンプチューブ21g,23aは、ローラポンプへの装着が容易である。
【0026】
さらに、カセットハウジング28は、カセットハウジング28内に位置する複数の開口部を備えている。具体的には、ポンプチューブ21gより採血針側部分の第1のライン21を露出させかつ、血液成分採取装置1の第1の流路開閉手段81の侵入が可能な第1の開口部91、血漿採取バッグ25の第1チューブ25aを露出させかつ血液成分採取装置1の第2の流路開閉手段82の侵入が可能な第2の開口部92、血漿採取バッグ25の第2チューブ25bを露出させかつ血液成分採取装置1の第3の流路開閉手段83の侵入が可能な第3の開口部93、血小板採取バッグ26の第3チューブを露出させかつ血液成分採取装置1の第4の流路開閉手段84の侵入が可能な第4の開口部94、第2のライン22とバフィーコート採取バッグ27の第4チューブ27aとの接続部より遠心分離器側(上流側)の位置の第2のライン22を露出させかつ血液成分採取装置1の第5の流路開閉手段85の侵入が可能な第5の開口部95、第1のライン21との接続部とバフィーコート採取バッグ27の第4チューブ27aとの接続部との間(第2のライン22と第4チューブ27aとの接続部より下流側)の第2のライン22を露出させかつ血液成分採取装置1の第6の流路開閉手段86の侵入が可能な第6の開口部96、第4のライン24を露出させかつ血液成分採取装置1の第7の流路開閉手段87の侵入が可能な第7の開口部97を備えている。
【0027】
また、カセットハウジング28の内面には、上述した分岐コネクターが固定されている。さらに、カセットハウジング28の側面付近には、ハウジングの側面より突出するラインおよびチューブを保持し、かつハウジング部分での折れ曲がりを防止するための補強チューブが設けられている。カセットハウジング28は、内部に図2において破線で示す部分を収納可能な箱状体となっている。そして、カセットハウジング28は、ある程度の剛性を有する合成樹脂により形成されている。
【0028】
血液成分採取装置1は、このカセットハウジング装着部(図示せず)を備えている。このため、カセットハウジング28を血液成分採取装置1のカセットハウジング装着部に装着することにより、カセットハウジング28の開口部より露出する部分の各ラインおよび各チューブが、自動的に対応する流路開閉手段に装着される。これにより回路の装着が容易であるとともに、血液成分採取準備も迅速に行える。また、血液成分採取装置1には、カセットハウジング装着部に近接して2つのポンプが設けられている。このため、カセットハウジング28より露出するポンプチューブのポンプへの装着も容易である。
【0029】
血液成分採取回路2に設けられている遠心分離器20は、通常遠心ボウルと呼ばれており、遠心力により血液成分を分離する。遠心分離器20は、図3に示すように、上端に流入口143が形成された鉛直方向に伸びる管体141と、管体141の周りで回転し、上部145に対し液密にシールされた中空のローター142とで構成されている。ローター142には、その底部および周壁内面に沿って流路(貯血空間)が形成され、この流路の上部に連通するように流出口144が形成されている。この場合、ローター142の容積は、例えば、100〜350ml程度とされる。
【0030】
ローター142は、血液成分採取装置1が備えるローター回転駆動装置10によりあらかじめ設定された所定の遠心条件(回転速度および回転時間)で回転される。この遠心条件により、ローター142内の血液の分離パターン(例えば、分離する血液成分数)を設定することができる。本実施例では、図3に示すように、血液がローター142の流路内で内層より血漿層131、バフィーコート層132および赤血球層133に分離されるように遠心条件が設定される。
【0031】
次に、図4に示す本発明の血液成分採取装置1について説明する。
血液成分採取装置1は、遠心分離器20のローター142を回転させるための遠心分離器駆動装置10と、第1のライン21のための第1の送液ポンプ11と、第3のライン23のための第2の送液ポンプ12と、血液成分採取回路2の流路の開閉を行うための複数の流路開閉手段81,82,83,84,85,86,87と、遠心分離器駆動装置10、第1の送液ポンプ11、第2の送液ポンプ12および複数の流路開閉手段を制御するための制御部13を備える。さらに、血液成分採取装置1は、第2チューブ25bとの接続部22aより遠心分離器側(上流側)の第2のライン22に装着される濁度センサ14、遠心分離器20の上方に取り付けられた光学式センサ15と、血漿採取バッグ25の重量を検知するための重量センサ16を備える。
さらに、制御部は13は、供血者の血液成分濃度によって、遠心分離器のローターの遠心回転数を制御する機能を備えていてもよい。供血者の血液成分濃度としては、例えば、ヘマトクリット値、血小板濃度であり、さらには、ヘマトクリット値と血小板濃度から算出された採取予想血小板数であってもよい。
【0032】
この実施例では、血液成分採取装置は、ヘマトクリット値入力部を備えている。
制御部13は、第1の送液ポンプ11および第2の送液ポンプ12のための2つのポンプコントローラ(図示せず)を備え、制御部13の制御機構と第1の送液ポンプ11および第2の送液ポンプ12とはポンプコントローラを介して電気的に接続されており、さらに、遠心分離器駆動装置(ローター駆動装置)10が備える駆動コントローラとも電気的に接続されている。制御部13は、ヘマトクリット値入力部と、入力されたヘマトクリット値を用いて、そのヘマトクリット値に適したローター回転数を演算するローター回転数演算機能およびこのローター回転数演算機能により演算されたローター回転数を用いて心分離器駆動装置を制御する機能を備えている。
【0033】
また、流路開閉手段81,82,83,84,85,86,87も、すべて制御部13に接続され、それらの開閉は制御部13により制御されている。さらに、濁度センサ14、遠心分離器20の上方に取り付けられた光学式センサ15、血漿採取バッグ25の重量を検知するための重量センサ16も、制御部13と電気的に接続され、それらより出力される信号は制御部13に入力される。制御部13は、例えばマイクロコンピュータで構成される制御機構およびローター回転数演算機能を有し、上述した重量センサ16、光学式センサ15、濁度センサ14からの検出信号は、制御部13へ随時入力される。制御部13は、濁度センサ14、光学式センサ15、重量センサ16からの信号に基づき、各ポンプの回転、停止、回転方向(正転/逆転)を制御するとともに、必要に応じ、各流路開閉手段の開閉および遠心分離器回転駆動装置10の作動(ローターの回転)を制御する。制御部13は、ローター回転数演算機能として、ヘマトクリット値とローター回転数の適正関係式データ記憶部と、入力されたヘマトクリット値と記憶されているヘマトクリット値とローター回転数の適正関係式データより、適正ローター回転数を演算する機能を備えている。ヘマトクリット値とローター回転数の適正関係式データは、多くのヘマトクリット値の血液を用いて各種のローター回転数により実際に血小板の採取を行い良好な結果が得られたデータ(ヘマトクリット値とローター回転数の組み合わせ)より算出することができる。関係式は、一次、二次さらには高次の回帰式として表すことができる。本発明者らが得たヘマトクリット値(x:%)とローター回転数(y:rpm)の適正関係式データの例は、以下の通りである。
y=40x+3000
y=−0.94505x2+110.18x+1744
y=0.0667x3−8.7619x2+391.9x−1277.4
これら、いずれの適正関係式データの例においても、傾向としては、ヘマトクリット値が低ければ適正ローター回転数も低くなり、逆にヘマトクリット値が高ければ適正ローター回転数も高くなる。
【0034】
そして、ヘマトクリット値(x)が入力されると、記憶されている上記のようなヘマトクリット値とローター回転数の適正関係式データより、適正ローター回転数(y)が演算される。そして、必要時(後述する血漿採取ステップ時、血漿採取・定速循環ステップ時、第2の血漿採取ステップ時および血漿採取・加速循環ステップ時)にローター回転数演算機能により演算されたローター回転数にてローターを回転させるように遠心分離器駆動装置を制御する。
このようにヘマトクリット値に対応して、ローター回転数を変化させることにより、例えば、低ヘマトクリット値の供血者の場合では、パッキングとよばれる過剰遠心による分離血液成分層の過剰圧縮減少を起こすことを防止できる。このようなパッキングが生じると、血小板層も圧縮されるため血小板の採取が困難となり採取効率が悪くなる。また、逆に、高ヘマトクリット値の供血者の場合では、遠心不足による分離不十分な状態を起こすことを防止できる。このような分離不十分な状態が生じると、血小板層内に位置しない多くの血小板が、血球層もしくは血漿中に存在し、採取効率が悪くなる。しかし、本発明の装置では、上記のようなパッキング減少も分離不十分状態の発生も極めて少なくなり、効率の良い血小板採取を行うことができる。
【0035】
第1の流路開閉手段81は、ポンプチューブ21gより採血針側において第1のライン21を開閉するために設けられている。第2の流路開閉手段82は、血漿採取バッグ25の第1チューブ25aを開閉するために設けられている。第3の流路開閉手段83は、血漿採取バッグ25の第2チューブ25bを開閉するために設けられている。第4の流路開閉手段84は、血小板採取バッグ26の第3チューブ26aを開閉するために設けられている。第5の流路開閉手段85は、第2のライン22とバフィーコート採取バッグ27の第4チューブ27aとの接続部22dより遠心分離器側(上流側)の位置にて、第2のライン22を開閉するために設けられている。第6の流路開閉手段86は、第1のライン21との接続部21eと第4チューブ27aとの接続部との間(第2のライン22と第4チューブ27aとの接続部より下流側)の位置にて、第2のライン22を開閉するために設けられている。第7の流路開閉手段87は、第4のライン24を開閉するために設けられている。流路開閉手段は、ラインもしくはチューブの挿入部を備え、挿入部には、例えば、ソレノイド、電動モーター、シリンダ(油圧または空気圧)等の駆動源で作動するクランプを有する。具体的には、ソレノイドで作動する電磁クランプが好適である。流路開閉手段のクランプは、制御部13からの信号に基づいて作動する。
【0036】
ローター駆動装置10は、図3に示すように、遠心分離器20を収納するローター回転駆動装置ハウジング151と、脚部152と、駆動源であるモータ153と、遠心分離器20を保持する円盤状の固定台155とで構成されている。ハウジング151は、脚部152の上部に載置、固定されている。また、ハウジング151の下面には、ボルト156によりスペーサー157を介してモータ153が固定されている。モータ153の回転軸154の先端部には、固定台155が回転軸154と同軸でかつ一体的に回転するように嵌入されており、固定台155の上部には、ローター142の底部が嵌合する凹部が形成されている。また、遠心分離器20の上部145は、図示しない固定部材によりハウジング151に固定されている。ローター回転駆動装置10では、モータ153を駆動すると、固定台155およびそれに固定されたローター142が、例えば、回転数3000〜6000rpmで回転する。
【0037】
また、ローター回転駆動装置ハウジング151の内壁には、遠心分離器内の分離された血液成分の界面(例えば、血漿層131とバフィーコート層132との界面B、バフィーコート層132と赤血球層133との界面)の位置を光学的に検出する光学式センサ15が、取付部材158により設置、固定されている。この光学式センサ15としては、ローター142の外周面に沿って上下方向に走査し得る光学式センサが用いられる。このセンサは、遠心分離器20の肩の部分に向けて光を照射する光源と、遠心ボウルから反射して戻ってくる光を受光する受光部で構成されている。つまり、LEDまたはレーザーのような発光素子と受光素子とが列状に配置され、発光素子から発せられた光の血液成分での反射光を受光素子により受光し、その受光光量を光電変換するように構成されている。分離された血液成分(例えば、血漿層131とバフィーコート層132)により反射光の強度が異なるため、受光光量が変化した受光素子に対応する位置が、界面Bの位置として検出される。より具体的には、遠心分離器20の光が通過する位置が透明な液体(血漿や水)で充填されている時と、バフィーコート層で充填されている時の、受光部での受光量の差から、バフィーコート層が光通過部に到達したことが検知される。バフィーコート層を検出する位置は、光がボウル内を通過する位置を変えることで調節され、通常は、光線通過位置を決めたら、そこで固定する。
【0038】
濁度センサ14は、第2のライン22中を流れる流体の濁度を検知するためのものであり、濁度に応じた電圧値を出力する。具体的には、濁度が高い時には低電圧値、濁度が低い時には高電圧値を出力する。
【0039】
第1のライン21のポンプチューブ21gが装着される第1の送液ポンプ11ならびに第3のライン23のポンプチューブ23aが装着される第2の送液ポンプ12としては、ローラーポンプ、ペリスタリックポンプなどの非血液接触型ポンプが好適である。また、第1の送液ポンプ11(血液ポンプ)としては、いずれの方向にも血液を送ることができるものが使用される。具体的には、正回転と逆回転が可能なローラーポンプが用いられている。
【0040】
制御部は、抗凝固剤が添加された血液の採取、採取された血液の分離および分離された血漿を前記血漿採取バッグ内に採取する血漿採取ステップと、この血漿採取ステップにより採取された血漿採取バッグ内の血漿を遠心分離器に循環させる血漿循環ステップとからなり、少なくも1回行われる血漿採取・循環ステップを行うものである。具体的には、制御部13は、第1の送液ポンプ11、第2の送液ポンプ12を作動させて抗凝固剤が添加された血液を採取し、遠心分離器駆動装置10を作動させて(上述した演算値もしくは設定値にて、ローターを回転させて)、血液より血漿採取バッグ25内に第1の所定量の血漿を採取する第1の血漿採取ステップを行わせ、次に、採血を一時中断し、かつ、遠心分離器駆動装置10を作動させて(上述した演算値もしくは設定値にて、ローターを回転させて)、血漿採取バッグ内の血漿を遠心分離器20に定速にて循環させる定速血漿循環ステップ(定速サーキュレーション)からなる血漿採取・定速循環ステップ(初回)を行わせ、次に、第1の送液ポンプ11、第2の送液ポンプ12を作動させて抗凝固剤が添加された血液を採取し、遠心分離器駆動装置10を作動させて(上述した演算値もしくは設定値にて、ローターを回転させて)、界面センサにより所定位置(例えば、バフィーコート層)を検出するまで、血漿を採取する第2の血漿採取ステップと、この第2の血漿採取ステップ終了後に、採血を一時中断し、かつ、遠心分離器駆動装置10を作動させて(上述した演算値もしくは設定値にて、ローターを回転させて)、血漿採取バッグ25内の血漿を遠心分離器20に加速させながら循環させる加速血漿循環ステップ(加速サーキュレーション)とからなる血漿採取・加速循環ステップ(2回目)と、この血漿採取・加速循環ステップの終了後、第1の送液ポンプ11による血漿循環速度を加速させて、遠心分離器20内より血小板を流出させ血小板を血小板採取バッグに採取する血小板採取ステップと、この血小板採取ステップの終了後に、遠心分離器20内の血液を返血する返血ステップを行わせるものである。
なお、第2の血漿採取ステップでは、界面センサで検出するため、血漿バッグの重量検知を行わない。
【0041】
さらに、この実施例の血液成分採取装置1の制御部13は、上述した血漿採取・定速循環ステップ、血漿採取・加速循環ステップ、血小板採取ステップおよび返血ステップからなる血小板採取操作が複数回(少なくとも2回)行われるように、遠心分離器駆動装置10、第1の送液ポンプ11、第2の送液ポンプ12および複数の流路開閉手段を制御するものである。
さらに、制御部は、最終回以前の血小板採取操作における返血ステップでは、遠心分離器内の血球成分である血液の返血とともに、返血ステップ以前に採取された血漿重量が、所定必要最低残存血漿量(第1の所定値)となるまで、血漿の返還を行う。そして、最終回の血小板採取操作における返血ステップでは、最終回の返血ステップまでに採取された血漿の血漿採取バッグ25への採取が行われるように、第1の送液ポンプ11および複数の流路開閉手段を制御する。必要最低残存血漿量とは、血漿循環に必要な回路のチューブ部分を充填できる量の血漿量をいい、回路によって相違するが、10〜50ml程度である。これは、使用される血小板採取回路(血液成分採取回路)における血漿循環される部分の容積を予め測定することにより、容易に確認できる。
【0042】
このように、最終回以前の血小板採取操作の各終了時において、採取されている血漿を必要最低量のみ残しそれ以外を返還することにより、返還した血漿量分、各血小板採取操作終了時(言い換えれば、次の回の血小板採取操作開始時)における脱血量はその分少ないものとなり、供血者に対する負担が軽減する。また、最終回のみ、最終回の返血ステップまでに採取された血漿の血漿採取バッグ25への採取が行われるようにすることにより、血小板の採取とともに血漿の採取も行え、血漿製剤の原料として有効に利用できる。
【0043】
また、制御部は、最終回以前の血小板採取操作における返血ステップでは、返血とともに該返血ステップ以前に採取された血漿重量(血漿採取バッグ25内の血漿重量)が、下記条件の残留血漿量(y)の範囲内となるように血漿の返還を行う。さらに、最終回の血小板採取操作における返血ステップでは、目標血漿採取量の血漿の血漿採取バッグ25への採取もしくは最終回の返血ステップまでに採取された血漿重量が目標血漿採取量に到達していない場合には採取された血漿の血漿採取バッグ25への採取と最終回の返血ステップまでに採取された血漿重量が目標血漿採取量を越えている場合には、過剰分の血漿の返還が行われるように、第1の送液ポンプ11および複数の流路開閉手段を制御する。
(条件)
残留血漿量(y)は、A以上かつA≦Bの場合にはB以下
A=所定必要残存血漿量(第1の所定値)
B=血小板採取操作回数×(目標血漿採取量−1回目の血小板採取操作終了時の採取血漿量)/(血小板採取操作総回数−1)
【0044】
このように制御することにより、目標血漿採取量もしくはそれに近い量の血漿採取が可能であると共に、最終回の血小板採取操作前での血漿採取量は通常条件では、均等量の血漿を採取する方法に比べて少なくなり、最終回前における脱血量も少なくなり、供血者の負担を軽減できる。例えば、この実施例のように制御部の制御を行うと、目標血漿採取量が300mlでかつ血小板採取操作を5回行う場合(必要最低残存血漿量Aを50mlとする)において、1回目の血漿採取量が200mlであるとすると、上記のBは、1・(300−200)/(5−1)=25となり、A>Bのため、残存血漿量は50となり、返血工程において、200−50=150mlの血漿を返還する。2回目の血小板採取操作では、上記のBは、2・(300−200)/(5−1)=50となり、返血工程において、血漿重量が50mlとなるまで血漿を返還する(言い換えれば、2回目の血小板採取操作により採取されたほぼすべての血漿が返還される。3回目の血小板採取操作では、上記のBは、3・(300−200)/(5−1)=75となり、返血工程において、血漿重量が75mlとなるまで血漿を返還する(言い換えれば、3回目の血小板採取操作により採取された血漿中の25mlのみを返還しない)。4回目の血小板採取操作では、上記のBは、4・(300−200)/(5−1)=100となり、返血工程において、血漿重量が100mlとなるまで血漿を返還する(言い換えれば、4回目の血小板採取操作により採取された血漿中の25mlのみを返還しない)。最終回の血小板採取操作では、実質的に血漿返還を行わない。このため、1回目とほぼ条件の変化がないため約200mlの血漿が採取されるため、これと4回目までの保留血漿量を合わせると目標の300mlの血漿を採取することができる。
【0045】
さらに、この実施例の血液成分採取装置1の制御部13は、血小板採取ステップ終了後であって、返血ステップ前に、第1の送液ポンプ11による血漿循環速度を血小板採取ステップにおける最終速度よりも高くし、遠心分離器20内よりバフィーコートを流出させバフィーコートをバフィーコート採取バッグ27に採取するバフィーコート採取ステップを行うように制御する。なお、バフィーコート採取ステップは、上記の方法に限定されるものではなく、例えば、第1の送液ポンプ11による血漿循環速度を血小板採取ステップにおける最終速度を維持し、かつ、遠心分離器20のローターの回転速度を下げることにより行ってもよい。さらに、バフィーコート採取ステップは、第1の送液ポンプによる血漿循環速度を血小板採取ステップにおける最終速度より高くするとともに、遠心分離器のローターの回転速度を下げることにより行ってもよい。
【0046】
そして、バフィーコート採取ステップの終了後、採取されたバフィーコートを次の採血ステップの前に遠心分離器20内に返還するバフィーコート返還ステップを行わせるように、第1の送液ポンプ11および複数の流路開閉手段を制御する。
具体的には、全血に抗凝固剤を所定(全血に対して、1/8〜1/20、具体的には1/10)比率で加え、所定速度(250ml/min以下;好ましくは、150〜40ml/min以下、具体的には、60ml/min以下)で第1のライン21を介して遠心分離器20に送り、遠心分離器20のローターを演算値もしくは設定値(3000〜6000rpm)で回転させて血液を血漿、バフィーコート、赤血球の各成分に分離し、血漿が遠心分離器20をオーバーフローしたら血漿バッグに採取し、血漿を所定量(10〜150ml、好ましくは、20〜30ml)採取した時点で送血を停止して、血漿を所定条件(採血量よりも大きい速度であり、60〜250ml/minで10〜90sec、具体的には、第1循環が200ml/min×30sec)で、第1のライン21および第2のライン22を通して遠心分離器20に戻す、定速血漿循環を行う。
【0047】
そして、再び、全血に抗凝固剤を所定(全血に対して、1/8〜1/20、具体的には1/10)比率で加え、所定速度(250ml/min以下;好ましくは、150から40ml/min以下、具体的には、60ml/min以下)で第1のライン21を介して遠心分離器20に送り、遠心分離器20のローターを演算値もしくは設定値(3000〜6000rpm)で回転させて血液を血漿、バフィーコート、赤血球の各成分に分離し、遠心分離器20内部の血球界面位置をバフィーコート界面センサにて検出時点で送血を停止して、血漿を所定条件(初速60〜80ml/min、最終到達速度(設定速度)150〜250ml/min、加速条件(1秒間毎に)2〜10ml/minの速度上昇、循環時間10〜90sec)で、第1のライン21および第2のライン22を通して遠心分離器20に戻す、加速血漿循環を行う。
【0048】
そして、所定条件(採血量;0〜2500/Hct%[ml]、具体的には、400〜1000/Hct%[ml])条件で再び抗凝固剤加全血を送血した後、血漿を所定条件で第1および第2のライン21,22を通して遠心分離器20に戻し、所定条件にて段階的に加速度を上昇させて(ステップワイズな加速;0.1〜99ml/min/sec,具体的には、2〜10ml/min/sec)血小板採取速度(60〜250ml/min;実際は200ml/min)に到達させ、遠心分離器20より流出してきた血小板を血小板採取バッグ26に採取するものである。さらに、この装置では、血小板採取後、血液循環速度を維持(60〜250ml/min、具体的には、200ml/min)し、かつ、遠心分離器20の回転数を下げる(今までの回転数より、100〜300rpm程度下げる、好ましくは、4500〜4600rpmとする)ことにより、流出してきたバフィーコートを採取し、次のサイクルの採血を行う前に、採取したバフィーコートを遠心分離器20に供給するようになっている。なお、バフィーコートの採取は、血小板採取後、血液循環速度を所定速度(血小板採取速度以上、好ましくは、60〜250ml/min、具体的には、205ml/min)に加速する事により行ってもよい。
【0049】
この実施例の血液成分採取装置1による血液成分採取工程(第1回目の血小板採取操作)を図4,図5ないし図10のフローチャートを用いて説明する。この実施例では、血小板採取操作を繰り返して3回行い、さらに、最終回以外の血小板採取ステップ終了後であって、返血ステップ前に、バフィーコート採取ステップを行い、かつ次の採血ステップの前に遠心分離器20にこれを返還するバフィーコート返還ステップを行うようになっている。
【0050】
(実施例1)
まず、最初に、第3のライン23と採血針29を抗凝固剤でプライミングし、その後ドナーに穿刺針を穿刺する。
そして、少量血液を採取し、別に準備してあるヘマトクリット測定器により、ヘマトクリット値を測定し、図5に示すように、その値をヘマトクリット値入力部より入力する。制御部は、入力されたヘマトクリット値より適正ローター回転数を演算する。第1の送液ポンプ11、第2の送液ポンプ12を作動させて抗凝固剤が添加された血液を採取し、遠心分離器駆動装置10はローターを演算値で回転させて、血液より血漿採取バッグ25内に第1の所定量の血漿を採取する第1の血漿採取ステップを行う。
【0051】
最初の採血が開始されると、血液ポンプ11が所定速度(例えば、60ml/min)で採血を開始する。このとき、抗凝固剤ポンプである第2のポンプも同時に所定速度(例えば、血液ポンプ速度の1/10)で抗凝固剤(例えば、ACD−A液)を供給する。ドナーから採取された血液はACD液と混合され、第1のライン21を流れ、チャンバー、第1の流路開閉手段81を通過し、遠心分離器20に流入する。このとき、第6の流路開閉手段86、第5の流路開閉手段85、第2の流路開閉手段82,第3の流路開閉手段83,第7の流路開閉手段87は閉じており、第1の流路開閉手段81、第4の流路開閉手段84は開いている。遠心分離器20にACD加血液が供給されると、遠心分離器20に入っていた滅菌空気は第2のライン22を流れ、第4の流路開閉手段84を通過し、血小板採取バッグ26内に流入する。採血工程開始と同時に遠心分離器20のローターが演算値(例えば、4800rpm)で回転を開始し、遠心分離器20は回転しながらACD加血の供給を受けるので、分離器内では血液の遠心分離が行われ、血液は、内側から血漿層、バフィーコート層(BC層)、赤血球層の3層に分離され、分離器の容量を越えるACD加血液(約270ml)が供給されると、遠心分離器20内は完全に血液により満たされ、遠心分離器20出口部から血漿が流出する。遠心分離器20の出口部と接続された第2のライン22に取り付けられた濁度センサ14は、ライン中を流れる流体が、空気から血漿に変わったことを検知し、制御部13は、この濁度センサ14の検知信号に基づき第4の流路開閉手段84を閉塞させ、かつ第3の流路開閉手段83を開放させて、血漿を血漿採取バッグ25内に採取する。血漿採取バッグ25は、その重量が重量センサ16により計測されており、計測された重量信号は制御部13に入力されている。このため、血漿採取バッグ25に採取された血漿重量が第1の所定量(10〜150g、例えば、20g)増加すると、制御部13は、第1の流路開閉手段81を閉塞させ、第2の流路開閉手段82を開放させて、定速循環ステップに移行する。
【0052】
定速循環ステップでは、採血を一時中断し、かつ、遠心分離器駆動装置10を作動させて遠心分離器20のローターの演算値での回転を維持し、血漿採取バッグ25内に採取された血漿を遠心分離器20に定速にて循環させる。
定速循環ステップに入ると、制御部13は、第1の流路開閉手段81の閉塞状態および第2の流路開閉手段82の開放状態を維持し、第2の送液ポンプ(ACDポンプ)12は停止し、第1の送液ポンプ(血液ポンプ)11は所定速度(60〜250ml/min、例えば、200ml/min)で作動し、血漿採取バッグ25の血漿は第2の流路開閉手段82を通って、演算値(例えば4800rpm)で回転している遠心分離器20に送られる。同時に遠心分離器20から流出してきた血漿は濁度センサ14、第3の流路開閉手段83を通って血漿採取バッグ25に流入する。定速循環ステップが始まって所定時間(10〜90秒、例えば、30秒)が経過すると、制御部13は、第2の流路開閉手段82を閉じ、第1の流路開閉手段81を開いて、第2の血漿採取ステップに移行する。第1の血漿循環は、少なくとも60ml/min以上の流速で、10秒以上行うことが好ましい。
【0053】
第2の血漿採取ステップでは、第1の送液ポンプ11、第2の送液ポンプ12を作動させて抗凝固剤が添加された血液を採取し、バッグ内の血漿量の増加により、光学式センサ15が、分離器のバフィーコート層を検出すると、この信号が制御部13に送られ、制御部13は、第1の流路開閉手段81を閉塞させ、第2の流路開閉手段82を開放させて、加速血漿循環ステップに移行する。
具体的には、第1の送液ポンプ11が所定速度(例えば、60ml/min)で採血を開始する。このとき、抗凝固剤ポンプである第2のポンプも同時に所定速度(例えば、血液ポンプ速度の1/10)で抗凝固剤(例えば、ACD−A液)を供給する。ドナーから採取された血液はACD液と混合され、演算値(例えば、4800rpm)でローターが回転する遠心分離器20に流入し、血漿を血漿採取バッグ25内に採取する。通常、バッグ内の血漿量の増加により、光学式センサ15が、分離器のバフィーコート層を検出すると、この信号が制御部13に送られ、制御部13は、第1の流路開閉手段81を閉塞させ、第2の流路開閉手段82を開放させて、加速血漿循環ステップに移行する。血漿採取ステップでは、センサがバフィーコート(BC界面:血漿層とバフィーコート層との界面)を検知するまで血漿を採取する。なお、この実施例の装置では、図5、図7および図9のフローチャートにも示されているように、1回目から最終前の各血漿採取ステップにおいても、BC界面の検知を行っており、もし、これら第1から最終前の血漿採取ステップ中にBC界面が検知されると、血漿採取を中断し、加速血漿循環ステップに移行する。
【0054】
加速循環ステップでは、採血を一時中断し、かつ、遠心分離器駆動装置10を作動させて遠心分離器20のローターの演算値での回転を維持し、血漿採取バッグ25内の血漿を遠心分離器20に加速させながら循環させる。このときの、血液ポンプ速度は、定速循環ステップより遅く、例えば、60ml/minでスタートし、最終速度が200ml/minに到達するまで、加速する。加速条件としては、1秒間毎に6.7ml/min速度が上昇する、200ml/min到達時間約21秒で行う。この循環ステップ終了後、図6の▲1▼に移行し、界面調整用の採血ステップを行う。
【0055】
図6に示すように、界面調整用の採血ステップは、少量血漿採取ステップともいえる。このステップでは、後に行う血小板採取工程でのバフィーコート層の位置をドナーによらず一定にするために、所定の赤血球供給量分だけ採血する。赤血球供給量は採血量をドナーのヘマトクリット値で除した値で定義され、採血量は、12ml程度が一般的である。この採血においても、第1の送液ポンプ11が所定速度(例えば、60ml/min)で採血を開始する。このとき、抗凝固剤ポンプである第2のポンプも同時に所定速度(例えば、血液ポンプ速度の1/10)で抗凝固剤(例えば、ACD−A液)を供給する。ドナーから採取された血液はACD液と混合され、演算値(例えば、4800rpm)で回転する遠心分離器20に流入され、少量の血漿採取が行われる。制御部13は、設定採取量とポンプ速度より採取時間を演算し、採取時間を経過したときに、採血を終了させる。そして、制御部13は、第1の流路開閉手段81を閉塞させ、第2の流路開閉手段82を開放させて、血小板採取ステップに移行する。
【0056】
上記ステップの終了後、第1の送液ポンプ11による血漿循環速度を加速させて、遠心分離器20内より血小板を流出させ血小板を血小板採取バッグ26に採取する血小板採取ステップを行う。血小板採取ステップは、いわゆる加速工程とも呼ばれる。このステップでは、血液ポンプ速度が、この実施例では、60ml/minから200ml/minまで、所定時間(例えば、1秒間)毎に10ml/minずつ加速するように、制御部13は血液ポンプを操作し、200ml/minに到達したら、血小板採取工程が終了するまで、その速度を維持する。
【0057】
血小板採取ステップが始まると、濁度センサ14が通過する液の濁度を検知し、濁度はセンサにより電圧値として出力され、出力された信号は、制御部13に入力される。血液ポンプの速度が上昇し、おおよそ160から200ml/minに達した時点で遠心分離器20にとどまっていたバフィーコート層に含まれる血小板が流出する。血小板が流出すると濁度センサ14部分を通過する液の濁度が大きくなり、センサより出力される電圧値が0.2V低下した時点で第3の流路開閉手段83が閉じて第4の流路開閉手段84が開き、遠心分離器20から流出してくる血小板リッチな血漿を血小板採取バッグ26に採取する。濁度センサ14から出力される電圧値は、制御部13により血小板濃度に換算され、血小板採取中の血小板採取バッグ26の血小板濃度を演算する。血小板採取バッグ26の血小板濃度は一旦最高濃度に到達したのち、濃度が低下する。最高濃度に到達したことを検知した時点において、血小板採取ステップは終了し、バフィーコート採取ステップに移行する。
【0058】
バフィーコート採取ステップでは、上述の血小板採取ステップが終了すると、制御部13は、第4の流路開閉手段84を閉じ、第5の流路開閉手段85を開放させる。血漿採取バッグ25内の血漿は、血液ポンプ11により、遠心分離器20に送られ、同時に遠心分離器20から流出した液(バフィーコート層が流出したもの)は、バフィーコート採取バッグ27に流入する。バフィーコート採取ステップでは、血液ポンプ速度が血小板採取ステップにおける最終速度のまま維持され。ドナーのヘマトクリット値と血小板採取量から演算された量を採取した時点で、血液ポンプ11は停止し、全バルブが閉じ、遠心分離器20のローターの回転が停止してバフィーコート採取ステップが終了する。
【0059】
次に、遠心分離器20内の血液を返血する返血ステップ(返血工程)を行う。返血ステップでは、図7の▲2▼に移行する。この実施例では、遠心分離器20内の血球成分の返還とともに血漿返還を行う。よって、返血ステップは、血球成分返還と血漿返還の両者を行う工程である。
最初に、流路開閉手段82、第3の流路開閉手段83、第4の流路開閉手段84、第5の流路開閉手段85、第6の流路開閉手段86および第7の流路開閉手段87が閉塞し、第1の流路開閉手段81のみが開放した状態となり、かつ、血液ポンプ11は逆回転する。これにより、遠心分離器20内の血球成分は、チューブ21b、チューブ21aを通り、採血針29より供血者に返還される。そして、この血球成分返還は、図7に示すように、返血量が1回の所定返血量(例えば、50ml)に到達することにより中止される。流量測定は、ポンプの回転数により測定する。続いて、血漿返還が行われる。この血漿返還では、血漿を直接供血者に返還するのではなく、遠心分離器20内に流入させることにより行われる。血漿採取バッグ25は、その重量が重量センサ16により計測されており、計測された重量信号は制御部13に入力されている。血漿返還では、血漿採取バッグ25内の血漿重量(PPP)が、所定必要残留血漿量(確保ppp、例えば、50g)以上であるか確認し、以上であれば、血漿返還量が、1回の返還設定血漿量(例えば、50g)に到達したかどうか判断し、到達した場合には、再び、血漿採取バッグ25内の血漿重量(PPP)が、所定必要残留血漿量(確保ppp、例えば、50g)以上であるか確認し、以上であれば、血漿返還を中止し、再び、血球成分返還を行う。そして、上記の工程を繰り返し、やがて、血漿採取バッグ25内の血漿重量(PPP)が、所定必要残留血漿量(確保ppp、例えば、50g)となった時に、血球成分返還終了状態であるかどうか判断する(具体的には、チューブ21bに取り付けられているセンサ31(例えば、超音波センサ、光学センサもしくは赤外線セン)により、チューブ内に血液成分があるかどうかを検知する)。そして、チューブ内の血液成分の存在が確認されると、血球成分返還を開始し、やがて、血球成分返還終了状態であることが確認され、返血ステップは終了する。
これにより、遠心分離器20内に残った赤血球層および所定必要残留血漿量以上の血漿は、供血者に返血される。
以上により、1回目(初回)の血小板採取操作が終了する。
【0060】
続いて、図8に示す、2回目の血小板採取操作に移行する。
最初に、図8に示すように、第1回の血小板採取ステップにより採取されたバフィーコートを次の採血ステップの前に遠心分離器20内に返還するバフィーコート返還ステップが行われる。バフィーコート返還ステップに移行すると、制御部13は、遠心分離器20のローターを演算値で回転させて、第5の流路開閉手段85、第4の流路開閉手段84を開放し、血液ポンプ11を所定速度(デフォルトは100ml/min)で作動させる。バフィーコート採取バッグ27に入っているバフィーコートは、第5の流路開閉手段85を通り、遠心分離器20に供給される。遠心分離器20の空気は、第2のライン22、第4の流路開閉手段84を通って血小板採取バッグ26に送られる。バフィーコート採取量分だけ血液ポンプ11が回転した後、バフィーコート返還ステップは終了する。
【0061】
そして、上述した第1の血漿採取ステップ、定速循環ステップ、第2の血漿採取ステップ、加速循環ステップ終了後、図9に示す▲3▼に移行し、界面調整用の採血ステップ、血小板採取ステップ、バフィーコート採取ステップ、返血ステップを順次行う。返血ステップでは、図10の▲4▼に移行し、上述した第1回目と同様に返血ステップが行われ2回目の血小板採取操作が終了する。
【0062】
次に、図11ないし図13に示す、最終回の血小板採取操作について説明する。なお、この実施例では、3回目が最終回となっているが、これに限らず、4回目以降が最終回の血小板採取操作となるものでもよい。この場合、最終回以外は、2回目の血小板採取操作(図7および図8)と同じである。
最初に、図11に示すように、第2回の血小板採取操作により採取されたバフィーコートを次の採血ステップの前に遠心分離器20内に返還するバフィーコート返還ステップを行う。
バフィーコート返還ステップに移行すると、制御部13は、遠心分離器20のローターを演算値で回転させて、第5の流路開閉手段85、第4の流路開閉手段84を開放し、血液ポンプ11を所定速度(デフォルトは100ml/min)で作動させる。バフィーコート採取バッグ27に入っているバフィーコートは、第5の流路開閉手段85を通り、遠心分離器20に供給される。遠心分離器20の空気は、第2のライン22、第4の流路開閉手段84を通って血小板採取バッグ26に送られる。バフィーコート採取量分だけ血液ポンプ11が回転した後、バフィーコート返還ステップは終了する。
【0063】
次に、遠心分離器20のローターの演算値での回転を維持し第1の送液ポンプ11、第2の送液ポンプ12を作動させて抗凝固剤が添加された血液を採取し、血液より血漿採取バッグ25内に第1の所定量の血漿を採取する第1の血漿採取ステップを行う。
【0064】
採血が開始されると、第1の送液ポンプ11が所定速度(例えば、60ml/min)で採血を開始する。このとき、抗凝固剤ポンプである第2のポンプも同時に所定速度(例えば、血液ポンプ速度の1/10)で抗凝固剤(例えば、ACD−A液)を供給する。ドナーから採取された血液はACD液と混合され、第1のライン21を流れ、チャンバー、第1の流路開閉手段81を通過し、遠心分離器20に流入する。このとき、第6の流路開閉手段86、第5の流路開閉手段85、第2の流路開閉手段82,第3の流路開閉手段83,第7の流路開閉手段87は閉じており、第1の流路開閉手段81、第5の流路開閉手段85は開いており、遠心分離器20にACD加血液が供給されると、元々遠心分離器20に入っていた滅菌空気はラインセンサ、第5の流路開閉手段85を通ってバフィーコート採取バッグ27に流入する。採血工程開始と同時に遠心分離器20が所定速度(例えば、4800rpm)で回転を維持し、遠心分離器20は回転しながらACD加血の供給を受けるので、分離器内では血液の遠心分離が行われ、血液は、内側から血漿層、バフィーコート層(BC層)、赤血球層の3層に分離され、分離器の容量を越えるACD加血液(約270ml)が供給されると、遠心分離器20内は完全に血液により満たされ、遠心分離器20の出口部から血漿が流出する。遠心分離器20の出口部と接続された第2のライン22に取り付けられた濁度センサ14は、ライン中を流れる流体が、空気から血漿に変わったことを検知し、制御部13は、この濁度センサ14の検知信号に基づき、第5の流路開閉手段85を閉塞させ、かつ第3の流路開閉手段83を開放させて、血漿を血漿採取バッグ25内に採取する。血漿採取バッグ25は、その重量が重量センサ16により計測されており、計測された重量信号は制御部13に入力されている。このため、血漿採取バッグ25に採取された血漿重量が所定量(例えば、30g)増加すると、制御部13は、第1の流路開閉手段81を閉塞させ、第2の流路開閉手段82を開放させて、定速循環ステップに移行する。
【0065】
そして、上述した定速循環ステップ、第2の血漿採取ステップ、加速循環ステップを行い、図12に示す▲5▼に移行し、界面調整用の採血ステップ、血小板採取ステップ、返血ステップを順次行い、最終回の血小板採取操作が終了する。最終回と2回目との相違は、上述した定速循環ステップにおける空気を流入させるバッグが相違する点と、最終回では、バフィーコート採取ステップを行うことなく返血ステップを行う点および返血ステップの内容である。
【0066】
粒子懸濁液では、粒子濃度が高くなるにつれて懸濁液の見かけ粘度が高くなることが知られている。粘度が高くなると,異なる比重をもつ粒子間の沈降速度差が小さくなる。これを血小板採取工程にあてはめると、遠心分離器20内での粘度が高くなると、血小板と一緒に血小板より比重の大きい白血球が流出する確率が上昇することになる。また、採血中遠心分離器20は回転しており,遠心分離器20内の血液成分には常に遠心力がかかっており、遠心分離器20内の各血液成分は遠心力によって濃縮が進み、分離器の外側より、図3に示すように血球層、バフィーコート層、血漿層に分離される。そして、各層中の粒子は、外側から順次小さいものとなっている。
【0067】
遠心分離器20内には、いわゆる複数のケーキ層が形成され、このケーキ層が徐々に圧縮される。そして、新たに流入する全血は、遠心分離器20の最外層の血球により形成されたケーキ層より流入し、血球はこのケーキ層により捕捉され他の成分は通過し、バフィーコート層、血漿層に移行する。しかし、血球ケーキ層、バフィーコートケーキ層が過剰に圧縮されると各層内の微粒子間の隙間が小さくなり、血小板が、血球ケーキ層もしくはバフィーコートケーキ層に捕捉されることが起きる。このため、血小板の採取効率が低下するものと予想する。
【0068】
しかし、本発明では、血漿採取ステップを区分し、一回目の血漿採取ステップ時間を短くできるとともに、二回目の血漿採取後に、加速血漿循環ステップを行うことにより、上述のケーキ層の圧縮の進行が進みにくい。特に、加速血漿循環ステップとすることにより、最終到達循環速度を高いものとしても、ケーキ層の圧縮が生じにくいばかりか、CRC層(濃厚赤血球層)に埋もれた血小板を舞上げ、BC層に取り込むことができる。また、BC層自体も舞い上がるため、BC層内の血小板とWBC(白血球)との分離と整列を促進する。これらにより、血小板の採取効率が向上する。
【0069】
最後に、遠心分離器20内の血液を返血する返血ステップ(返血工程)を行う。返血ステップでは、図13の▲6▼に移行する。この実施例では、遠心分離器20内の血球成分の返還とともに血漿返還を行う。よって、返血ステップは、血球成分返還と血漿返還の両者を行う工程である。
最初に、流路開閉手段82、第3の流路開閉手段83、第4の流路開閉手段84、第5の流路開閉手段85、第6の流路開閉手段86および第7の流路開閉手段87が閉塞し、第1の流路開閉手段81のみが開放した状態となり、かつ、血液ポンプ11は逆回転する。これにより、遠心分離器20内の血球成分は、チューブ21b、チューブ21aを通り、採血針29より供血者に返還される。そして、この血球成分返還は、図13に示すように、返血量が1回の所定返血量(例えば、50ml)に到達することにより中止される。流量は、ポンプの回転数により測定する。続いて、血漿返還が行われる。この血漿返還では、血漿を直接供血者に返還するのではなく、遠心分離器20内に流入させることにより行われる。血漿採取バッグ25は、その重量が重量センサ16により計測されており、計測された重量信号は制御部13に入力されている。血漿返還では、血漿採取バッグ25内の血漿重量(PPP)が、目標血漿採取量(例えば、200g)であるかどうか判断し、血漿重量(PPP)が、目標血漿採取量より多い場合には、過剰分の血漿を供血者に返還し、血漿重量(PPP)が、目標血漿採取量以下の場合には、血漿返還を行うことなく、血球成分返還を行う。そして、血漿返還が行われる場合には、血漿返還量が、1回の返還設定血漿量(例えば、50g)に到達したかどうか判断し、到達しても、さらに、血漿採取バッグ25内の血漿重量(PPP)が、目標血漿採取量以上である場合には、血漿返還を中止し、再び、血球成分返還を行う。そして、上記の工程を繰り返し、やがて、血漿採取バッグ25内の血漿重量(PPP)が、目標血漿採取量となった時に、血球成分返還終了状態であるかどうか判断する(具体的には、チューブ21bに取り付けられているセンサ31(例えば、超音波センサ、光学センサ、赤外線センサ)により、チューブ内に血液成分があるかどうかを検知する)。そして、チューブ内の血液成分の存在が確認されると、血球成分返還を開始し、やがて、血球成分返還終了状態であることが確認され、返血ステップは終了する。
【0070】
これにより、遠心分離器20内に残った赤血球層および目標血漿採取量以上の血漿は、供血者に返血される。
以上により、すべての血小板採取操作が終了する。
なお、上記の実施例では、最終回の返血ステップにおいても血漿返還を行っているが、これに限らず、制御部は、最終回の血小板採取操作における返血ステップでは、最終回の返血ステップまでに前記血漿採取バッグに採取された血漿の返還を行わないように制御するものであってもよい。
【0071】
(実施例2)
また、制御部13としては、図14ないし図22に示した実施例のように、すべての場合にローター回転数を演算するタイプのものに限定されるものではなく、例えば、入力されたヘマトクリット値が40%未満もしくは50%を越える場合にのみ、ヘマトクリット値に適したローター回転数の演算をし、その演算値を用いて必要時にローター回転制御をするものとし、ローター回転数が演算されない場合、つまり、入力されたヘマトクリット値が40%以上かつ50%以下の場合には、予め記憶されている設定ローター回転数にてローター回転制御をするものであってもよい。この点以外については、上述した実施例と同じである。
【0072】
この場合制御部13は、ヘマトクリット値入力部を備え、入力されたヘマトクリット値が40%未満もしくは50%を越えているかどうかの判断機能(ローター回転数演算必要性判断機能)と、この判断機能によりローター回転数の演算が必要と判断された場合に、ヘマトクリット値に適したローター回転数の演算およびその演算値を出力するローター回転数演算および出力機能と、判断機能によりローター演算が不要(入力されたヘマトクリット値が40%以上かつ50%以下)と判断された場合に出力される設定ローター回転数記憶および出力機能を備える。そして、制御部は、必要時(後述する血漿採取ステップ時、血漿採取・定速循環ステップ時、第2の血漿採取ステップ時および血漿採取・加速循環ステップ時)に、上記のいずれかの出力機能により出力されたローター回転数によりローターを回転させるように遠心分離器駆動装置を制御するものである。
【0073】
この実施例の血液成分採取装置1による血液成分採取工程(第1回目の血小板採取操作)を図4,図14ないし図16のフローチャートを用いて説明する。この実施例では、血小板採取操作を繰り返して3回行い、さらに、最終回以外の血小板採取ステップ終了後であって、返血ステップ前に、バフィーコート採取ステップを行いかつ次の採血ステップの前に遠心分離器20にこれを返還するバフィーコート返還ステップを行うようになっている。
【0074】
まず、最初に、第3のライン23と採血針29を抗凝固剤でプライミングし、その後ドナーに穿刺針を穿刺する。
そして、少量血液を採取し、別に準備してあるヘマトクリット測定器により、ヘマトクリット値を測定し、図14に示すように、その値をヘマトクリット値入力部より入力する。制御部は、入力されたヘマトクリット値より、ローター回転数の演算が必要かどうか、具体的には、入力されたヘマトクリット値が40%以上かつ50%以下であるかどうかを判断し、該当しない場合(Nの場合)には、適正ローター回転数を演算する。このため、ローターの回転は、演算値がある場合には演算値で、演算値がない場合には設定値で行われることになる。
【0075】
第1の送液ポンプ11、第2の送液ポンプ12を作動させて抗凝固剤が添加された血液を採取し、遠心分離器駆動装置10は、ローター回転数演算値がある場合には、演算値にて、また、ローター回転数演算値がない場合には、制御部が記憶している設定回転数にてローターを回転させて、血液より血漿採取バッグ25内に第1の所定量の血漿を採取する第1の血漿採取ステップを行う。
最初の採血が開始されると、血液ポンプ11が所定速度(例えば、60ml/min)で採血を開始する。このとき、抗凝固剤ポンプである第2のポンプも同時に所定速度(例えば、血液ポンプ速度の1/10)で抗凝固剤(例えば、ACD−A液)を供給する。ドナーから採取された血液はACD液と混合され、第1のライン21を流れ、チャンバー、第1の流路開閉手段81を通過し、遠心分離器20に流入する。このとき、第6の流路開閉手段86、第5の流路開閉手段85、第2の流路開閉手段82,第3の流路開閉手段83,第7の流路開閉手段87は閉じており、第1の流路開閉手段81、第4の流路開閉手段84は開いている。遠心分離器20にACD加血液が供給されると、遠心分離器20に入っていた滅菌空気は第2のライン22を流れ、第4の流路開閉手段84を通過し、血小板採取バッグ26内に流入する。採血工程開始と同時に遠心分離器20のローターが演算値もしくは設定値(例えば、4800rpm)で回転を開始し、遠心分離器20は回転しながらACD加血の供給を受けるので、分離器内では血液の遠心分離が行われ、血液は、内側から血漿層、バフィーコート層(BC層)、赤血球層の3層に分離され、分離器の容量を越えるACD加血液(約270ml)が供給されると、遠心分離器20内は完全に血液により満たされ、遠心分離器20の出口部から血漿が流出する。遠心分離器20の出口部と接続された第2のライン22に取り付けられた濁度センサ14は、ライン中を流れる流体が、空気から血漿に変わったことを検知し、制御部13は、この濁度センサ14の検知信号に基づき第4の流路開閉手段84を閉塞させ、かつ第3の流路開閉手段83を開放させて、血漿を血漿採取バッグ25内に採取する。血漿採取バッグ25は、その重量が重量センサ16により計測されており、計測された重量信号は制御部13に入力されている。このため、血漿採取バッグ25に採取された血漿重量が第1の所定量(10〜150g、例えば、20g)増加すると、制御部13は、第1の流路開閉手段81を閉塞させ、第2の流路開閉手段82を開放させて、定速循環ステップに移行する。
【0076】
定速循環ステップでは、採血を一時中断し、かつ、遠心分離器駆動装置10を作動させて遠心分離器20のローターの演算値もしくは設定値での回転を維持し、血漿採取バッグ25内に採取された血漿を遠心分離器20に定速にて循環させる。
定速循環ステップに入ると、制御部13は、第1の流路開閉手段81の閉塞状態および第2の流路開閉手段82の開放状態を維持し、ACDポンプ12は停止し、血液ポンプ11は所定速度(60〜250ml/min、例えば、200ml/min)で作動し、血漿採取バッグ25の血漿は第2の流路開閉手段82を通って、演算値もしくは設定値(例えば4800rpm)で回転している遠心分離器20に送られる。同時に遠心分離器20から流出してきた血漿は濁度センサ14、第3の流路開閉手段83を通って血漿採取バッグ25に流入する。定速循環ステップが始まって所定時間(10〜90秒、例えば、30秒)が経過すると、制御部13は、第2の流路開閉手段82を閉じ、第1の流路開閉手段81を開いて、第2の血漿採取ステップに移行する。第1の血漿循環は、少なくとも60ml/min以上の流速で、10秒以上行うことが好ましい。
【0077】
第2の血漿採取ステップでは、第1の送液ポンプ11、第2の送液ポンプ12を作動させて抗凝固剤が添加された血液を採取し、バッグ内の血漿量の増加により、光学式センサ15が、分離器のバフィーコート層を検出すると、この信号が制御部13に送られ、制御部13は、第1の流路開閉手段81を閉塞させ、第2の流路開閉手段82を開放させて、加速血漿循環ステップに移行する。
具体的には、第1の送液ポンプ11が所定速度(例えば、60ml/min)で採血を開始する。このとき、抗凝固剤ポンプである第2のポンプも同時に所定速度(例えば、血液ポンプ速度の1/10)で抗凝固剤(例えば、ACD−A液)を供給する。ドナーから採取された血液はACD液と混合され、演算値もしくは設定値(例えば、4800rpm)でローターが回転する遠心分離器20に流入し、血漿を血漿採取バッグ25内に採取する。通常、バッグ内の血漿量の増加により、光学式センサ15が、分離器のバフィーコート層を検出すると、この信号が制御部13に送られ、制御部13は、第1の流路開閉手段81を閉塞させ、第2の流路開閉手段82を開放させて、加速血漿循環ステップに移行する。血漿採取ステップでは、センサがバフィーコート(BC界面:血漿層とバフィーコート層との界面)を検知するまで血漿を採取する。なお、この実施例の装置では、図14、図17および図20のフローチャートにも示されているように、第1から最終前の各血漿採取ステップにおいても、BC界面の検知を行っており、もし、これら第1から最終前の血漿採取ステップ中にBC界面が検知されると、血漿採取を中断し、加速血漿循環ステップに移行する。
【0078】
加速循環ステップでは、採血を一時中断し、かつ、遠心分離器駆動装置10を作動させて遠心分離器20のローターの演算値もしくは設定値での回転を維持し、血漿採取バッグ25内の血漿を遠心分離器20に、加速させながら循環させる。このときの、血液ポンプ速度は、定速循環ステップより遅く、例えば、60ml/minでスタートし、最終速度が200ml/minに到達するまで、加速する。加速条件としては、1秒間毎に6.7ml/min速度が上昇する、200ml/min到達時間約21秒で行う。この加速循環ステップ終了後、図15の▲7▼に移行し、界面調整用の採血ステップを行う。
【0079】
図15に示すように、界面調整用の採血ステップは、少量血漿採取ステップともいえる。このステップでは、後に行う血小板採取工程でのバフィーコート層の位置をドナーによらず一定にするために、所定の赤血球供給量分だけ採血する。赤血球供給量は採血量をドナーのヘマトクリット値で除した値で定義され、採血量は、12ml程度が一般的である。この採血においても、第1の送液ポンプ11が所定速度(例えば、60ml/min)で採血を開始する。このとき、抗凝固剤ポンプである第2のポンプも同時に所定速度(例えば、血液ポンプ速度の1/10)で抗凝固剤(例えば、ACD−A液)を供給する。ドナーから採取された血液はACD液と混合され、演算値もしくは設定値(例えば、4800rpm)で回転する遠心分離器20に流入され、少量の血漿採取が行われる。制御部13は、設定採取量とポンプ速度より採取時間を演算し、採取時間を経過したときに、採血を終了させる。そして、制御部13は、第1の流路開閉手段81を閉塞させ、第2の流路開閉手段82を開放させて、血小板採取ステップに移行する。
【0080】
上記ステップの終了後、第1の送液ポンプ11による血漿循環速度を加速させて、遠心分離器20内より血小板を流出させ血小板を血小板採取バッグ26に採取する血小板採取ステップを行う。血小板採取ステップは、いわゆる加速工程とも呼ばれる。このステップでは、血液ポンプ速度が、この実施例では、60ml/minから200ml/minまで、所定時間(例えば、1秒間)毎に10ml/minずつ加速するように、制御部13は血液ポンプを操作し、200ml/minに到達したら、血小板採取工程が終了するまで、その速度を維持する。
【0081】
血小板採取ステップが始まると、濁度センサ14が通過する液の濁度を検知し、濁度はセンサにより電圧値として出力され、出力された信号は、制御部13に入力される。血液ポンプの速度が上昇し、おおよそ160から200ml/minに達した時点で遠心分離器20にとどまっていたバフィーコート層に含まれる血小板が流出する。血小板が流出すると濁度センサ14部分を通過する液の濁度が大きくなり、センサより出力される電圧値が0.2V低下した時点で第3の流路開閉手段83が閉じて第4の流路開閉手段84が開き、遠心分離器20から流出してくる血小板リッチな血漿を血小板採取バッグ26に採取する。濁度センサ14から出力される電圧値は、制御部13により血小板濃度に換算され、血小板採取中の血小板採取バッグ26の血小板濃度を演算する。血小板採取バッグ26の血小板濃度は一旦最高濃度に到達したのち、濃度が低下する。最高濃度に到達したことを検知した時点において、血小板採取ステップは終了し、バフィーコート採取ステップに移行する。
【0082】
バフィーコート採取ステップでは、上述の血小板採取ステップが終了すると、制御部13は、第4の流路開閉手段84を閉じ、第5の流路開閉手段85を開放させる。血漿採取バッグ25内の血漿は、血液ポンプ11により、遠心分離器20に送られ、同時に遠心分離器20から流出した液(バフィーコート層が流出したもの)は、バフィーコート採取バッグ27に流入する。バフィーコート採取ステップでは、血液ポンプ速度が血小板採取ステップにおける最終速度のまま維持され。ドナーのヘマトクリット値と血小板採取量から演算された量を採取した時点で、血液ポンプ11は停止し、全バルブが閉じ、遠心分離器20のローターの回転が停止してバフィーコート採取ステップが終了する。
【0083】
次に、遠心分離器20内の血液を返血する返血ステップ(返血工程)を行う。返血ステップでは、図16の▲8▼に移行する。この実施例では、遠心分離器20内の血球成分の返還とともに血漿返還を行う。よって、返血ステップは、血漿返還と血球成分返還を行う工程である。
返血ステップでは、第1回目の血小板採取工程における血漿採取バッグ25内の血漿重量(ppp1:第1回目の返血ステップ直前の血漿採取バッグ内の血漿重量)が、制御部に記憶されるとともに(言い換えれば、制御部13は、第1回目の返血ステップ直前の血漿採取バッグ内の血漿重量ppp1の記憶機能を備える)、血漿採取バッグ25内の血漿重量(PPP)が、最低残存血漿量A(例えば、50g)以下の場合には、血漿返還を行うことなく、血球成分返還を行う。また、制御部13は、血小板採取操作回数(1回目なので1)×(目標血漿採取量−ppp1)/(血小板採取操作総回数−1)=Bを演算する機能を備え、血漿採取バッグ25内の血漿重量(PPP)が、演算値B以下の場合も血漿返還を行うことなく、血球成分返還を行い、血漿採取バッグ25内の血漿重量(PPP)が、演算値Bより大きい場合のみ血漿返還を行うように制御する。なお、演算値Bが最低残存血漿量Aより小さいことは、まれにしか生じないので、BはAより大きい場合として、以下説明する。
【0084】
最初に、流路開閉手段82、第3の流路開閉手段83、第4の流路開閉手段84、第5の流路開閉手段85、第6の流路開閉手段86および第7の流路開閉手段87が閉塞し、第1の流路開閉手段81のみが開放した状態となり、かつ、血液ポンプ11は逆回転する。これにより、遠心分離器20内の血球成分は、チューブ21b、チューブ21aを通り、採血針29より供血者に返還される。そして、この血球成分返還は、図16に示すように、返血量が1回の所定返血量(例えば、50ml)に到達することにより中止される。続いて、血漿返還が行われる。この血漿返還では、血漿を直接供血者に返還するのではなく、遠心分離器20内に流入させることにより行われる。血漿採取バッグ25は、その重量が重量センサ16により計測されており、計測された重量信号は制御部13に入力されている。血漿返還では、血漿採取バッグ25内の血漿重量(PPP)が、所定必要残留血漿量(確保ppp、例えば、50g)以上であるか確認し、以上であれば、血漿採取バッグ25内の血漿重量(PPP)が、上述した演算値Bより大きいかどうか判断し、大きい場合には、血漿返還量が、1回の返還設定血漿量(例えば、50g)に到達したかどうか判断し、到達した場合には、再び、血漿採取バッグ25内の血漿重量(PPP)が、上述した演算値Bより大きいかどうか判断し、大きい場合には、血漿返還を中止し、再び、血球成分の返還を行う。そして、上記の工程を繰り返し、やがて、血漿採取バッグ25内の血漿重量(PPP)が、演算値B以下(望ましくは、=演算値B)となった時に、血球成分返還終了状態であるかどうか判断する(具体的には、チューブ21bに取り付けられているセンサ31(例えば、超音波センサ、光学センサ、赤外線センサ)により、チューブ内に血液成分があるかどうかを検知する)。そして、チューブ内の血液成分の存在が確認されると、血球成分返還を開始し、やがて、血球成分返還終了状態であることが確認され、返血ステップは終了する。
これにより、遠心分離器20内に残った赤血球層および演算値Bを越える量の血漿は、供血者に返血される。
これにより、遠心分離器20内に残った赤血球層は、第1のライン21よりドナーに返血される。
これにより、1回目(初回)の血小板採取操作が終了する。
【0085】
続いて、図17に示す、2回目の血小板採取操作に移行する。
最初に、図17に示すように、第1回の血小板採取ステップにより採取されたバフィーコートを次の採血ステップの前に遠心分離器20内に返還するバフィーコート返還ステップが行われる。バフィーコート返還ステップに移行すると、制御部13は、遠心分離器20のローターを演算値もしくは設定値で回転させて、第5の流路開閉手段85、第4の流路開閉手段84を開放し、血液ポンプ11を所定速度(デフォルトは100ml/min)で作動させる。バフィーコート採取バッグ27に入っているバフィーコートは、第5の流路開閉手段85を通り、遠心分離器20に供給される。遠心分離器20の空気は、第2のライン22、第4の流路開閉手段84を通って血小板採取バッグ26に送られる。バフィーコート採取量分だけ血液ポンプ11が回転した後、バフィーコート返還ステップは終了する。
【0086】
そして、上述した第1の血漿採取ステップ、定速循環ステップ、第2の血漿採取ステップ、加速循環ステップ、第3の血漿採取ステップ、第3の加速血漿循環ステップ、第4の血漿採取ステップ、第4の加速血漿循環ステップ、第5の血漿採取ステップ、第5の加速血漿循環ステップ終了後、図18に示す▲9▼に移行し、界面調整用の採血ステップ、血小板採取ステップ、バフィーコート採取ステップ、返血ステップを順次行い、2回目の血小板採取操作が終了する。返血ステップでは、図19の[10]に移行し、上述した第1回目と同様に血球返還および血漿返還が行われ2回目の血小板採取操作が終了する。なお、制御部13は、血小板採取操作回数(2回目なので2)×(目標血漿採取量−ppp1)/(血小板採取操作総回数−1)=Bを演算する。
【0087】
次に、図20に示す、最終回の血小板採取操作について説明する。なお、この実施例では、3回目が最終回となっているが、これに限らず、4回目以降が最終回の血小板採取操作となるものでもよい。この場合、最終回以外は、2回目の血小板採取操作(図17、図18および図19)と同じである。
最初に、図20に示すように、第2回の血小板採取操作により採取されたバフィーコートを次の採血ステップの前に遠心分離器20内に返還するバフィーコート返還ステップを行う。
バフィーコート返還ステップに移行すると、制御部13は、遠心分離器20のローターを演算値もしくは設定値で回転させて、第5の流路開閉手段85、第4の流路開閉手段84を開放し、血液ポンプ11を所定速度(デフォルトは100ml/min)で作動させる。バフィーコート採取バッグ27に入っているバフィーコートは、第5の流路開閉手段85を通り、遠心分離器20に供給される。遠心分離器20の空気は、第2のライン22、第4の流路開閉手段84を通って血小板採取バッグ26に送られる。バフィーコート採取量分だけ血液ポンプ11が回転した後、バフィーコート返還ステップは終了する。
【0088】
次に、遠心分離器20のローターの演算値もしくは設定値での回転を維持し第1の送液ポンプ11、第2の送液ポンプ12を作動させて抗凝固剤が添加された血液を採取し、血液より血漿採取バッグ25内に第1の所定量の血漿を採取する第1の血漿採取ステップを行う。
採血が開始されると、第1の送液ポンプ11が所定速度(例えば、60ml/min)で採血を開始する。このとき、抗凝固剤ポンプである第2のポンプも同時に所定速度(例えば、血液ポンプ速度の1/10)で抗凝固剤(例えば、ACD−A液)を供給する。ドナーから採取された血液はACD液と混合され、第1のライン21を流れ、チャンバー、第1の流路開閉手段81を通過し、遠心分離器20に流入する。このとき、第6の流路開閉手段86、第5の流路開閉手段85、第2の流路開閉手段82,第3の流路開閉手段83,第7の流路開閉手段87は閉じており、第1の流路開閉手段81、第5の流路開閉手段85は開いており、遠心分離器20にACD加血液が供給されると、元々遠心分離器20に入っていた滅菌空気はラインセンサ、第5の流路開閉手段85を通ってバフィーコート採取バッグ27に流入する。採血工程開始と同時に遠心分離器20が所定速度(例えば、4800rpm)で回転を維持し、遠心分離器20は回転しながらACD加血の供給を受けるので、分離器内では血液の遠心分離が行われ、血液は、内側から血漿層、バフィーコート層(BC層)、赤血球層の3層に分離され、分離器の容量を越えるACD加血液(約270ml)が供給されると、遠心分離器20内は完全に血液により満たされ、遠心分離器20出口部から血漿が流出する。遠心分離器20の出口部と接続された第2のライン22に取り付けられた濁度センサ14は、ライン中を流れる流体が、空気から血漿に変わったことを検知し、制御部13は、この濁度センサ14の検知信号に基づき、第5の流路開閉手段85を閉塞させ、かつ第3の流路開閉手段83を開放させて、血漿を血漿採取バッグ25内に採取する。血漿採取バッグ25は、その重量が重量センサ16により計測されており、計測された重量信号は制御部13に入力されている。このため、血漿採取バッグ25に採取された血漿重量が所定量(例えば、30g)増加すると、制御部13は、第1の流路開閉手段81を閉塞させ、第2の流路開閉手段82を開放させて、定速循環ステップに移行する。
【0089】
そして、上述した定速循環ステップ、第2の血漿採取ステップ、加速循環ステップを行い、図21に示す[11]に移行し、界面調整用の採血ステップ、血小板採取ステップ、返血ステップを順次行い、最終回の血小板採取操作が終了する。最終回と2回目との相違は、上述した定速循環ステップにおける空気を流入させるバッグが相違する点と、最終回では、バフィーコート採取ステップを行うことなく返血ステップを行う点および返血ステップの内容である。
最後に、遠心分離器20内の血液を返血する返血ステップ(返血工程)を行う。
最終回の血小板採取操作における返血ステップでは、最終回の返血ステップまでに採取された血漿重量が目標血漿採取量を越えている場合には、過剰分の血漿の返還を行う。つまり、最終回の血小板採取操作における返血ステップまでに採取された血漿重量が、目標血漿採取量と同じもしくはそれ以下の場合には血漿返還は行われない。なお、このような実施例に限定されるものではなく、最終回の返血ステップでは、最終血漿重量に係わらず血漿返還を行わないものとしてもよい。
【0090】
この実施例では、返血ステップは、図22の[12]に移行することにより開始される。
この実施例では、遠心分離器20内の血球成分の返還とともに血漿返還を行う。よって、返血ステップは、血球成分返還と血漿返還の両者を行う工程である。
最初に、流路開閉手段82、第3の流路開閉手段83、第4の流路開閉手段84、第5の流路開閉手段85、第6の流路開閉手段86および第7の流路開閉手段87が閉塞し、第1の流路開閉手段81のみが開放した状態となり、かつ、血液ポンプ11は逆回転する。これにより、遠心分離器20内の血球成分は、チューブ21b、チューブ21aを通り、採血針29より供血者に返還される。そして、この血球成分返還は、図22に示すように、返血量が1回の所定返血量(例えば、50ml)に到達することにより中止される。続いて、血漿返還が行われる。この血漿返還では、血漿を直接供血者に返還するのではなく、遠心分離器20内に流入させることにより行われる。血漿採取バッグ25は、その重量が重量センサ16により計測されており、計測された重量信号は制御部13に入力されている。血漿返還では、血漿採取バッグ25内の血漿重量(PPP)が、目標血漿採取量(例えば、200g)であるかどうか判断し、血漿重量(PPP)が、目標血漿採取量より多い場合には、過剰分の血漿を供血者に返還し、血漿重量(PPP)が、目標血漿採取量以下の場合には、血漿返還を行うことなく、血球成分返還を行う。そして、血漿返還が行われる場合には、血漿返還量が、1回の返還設定血漿量(例えば、50g)に到達したかどうか判断し、到達しても、さらに、血漿採取バッグ25内の血漿重量(PPP)が、目標血漿採取量以上である場合には、血漿返還を中止し、再び、血球成分返還を行う。そして、上記の工程を繰り返し、やがて、血漿採取バッグ25内の血漿重量(PPP)が、目標血漿採取量となった時に、血球成分返還終了状態であるかどうか判断する(具体的には、チューブ21bに取り付けられているセンサ31(例えば、超音波センサ、光学センサもしくは赤外線センサ)により、チューブ内に血液成分があるかどうかを検知する)。そして、チューブ内の血液成分の存在が確認されると、血球成分返還を開始し、やがて、血球成分返還終了状態であることが確認され、返血ステップは終了する。
これにより、遠心分離器20内に残った赤血球層および目標血漿採取量以上の血漿は、供血者に返血される。
以上により、すべての血小板採取操作が終了する。
【0091】
【発明の効果】
本発明の血液成分採取装置では、2つのポンプにより構成されているので、装置が小型化ができる。さらに、1回の血小板採取操作中に、採血を一時中止しそして採取された血漿を遠心分離器に再循環する血漿再循環ステップが少なくとも、2回行われ、かつ、後半の血漿再循環ステップが加速循環となっているため、遠心分離器内での血球層、バフィーコート層が過剰圧縮されることを抑制し、濃厚赤血球層に埋もれた血小板を舞上げ、バフィーコート層に取り込むことができる。また、バフィーコート層自体も舞い上がるため、バフィーコート層内の血小板と白血球との分離と整列を促進する。このため、白血球の混入が少なく、かつ血小板の採取効率も高い血小板含有液(濃厚血小板血漿)を得ることができる。
【0092】
さらに、本発明の血液成分採取装置では、制御部は、最終回以前の血小板採取操作における返血ステップでは、該返血ステップ以前に採取された血漿重量が、第1の所定量(必要最低残存血漿量)となるまで血漿の返還が行なわれるように制御するものである。
このように、最終回以前の血小板採取操作の各終了時において、採取されている血漿を必要最低量のみ残しそれ以外を返還することにより、返還した血漿量分、各血小板採取操作終了時(言い換えれば、次の回の血小板採取操作開始時)における脱血量はその分少ないものとなり、供血者に対する負担が軽減する。さらに、最終回のみ、血漿返還を行わないもの、もしくは行うとしても所定量を残すものとすれば、血小板の採取とともに血漿の採取も行え、血漿製剤の原料として有効に利用できる。
【0093】
また、制御部は、最終回以前の血小板採取操作における返血ステップでは、返血とともに該返血ステップ以前に採取された血漿重量(血漿採取バッグ25内の血漿重量)が、下記条件の残留血漿量(y)の範囲内となるように血漿の返還を行うように第1の送液ポンプ11および複数の流路開閉手段を制御するものであってもよい。
(条件)
残留血漿量(y)は、A以上かつA≦Bの場合にはB以下
A=必要最低残存血漿量
B=血小板採取操作回数×(目標血漿採取量−1回目の血小板採取操作終了時の採取血漿量)/(血小板採取操作総回数−1)
このように制御することにより、目標血漿採取量もしくはそれに近い量の血漿採取が可能であると共に、最終回の血小板採取操作前での血漿採取量は通常条件では、均等量の血漿を採取する方法に比べて少なくなり、最終回前における脱血量も少なくなり、供血者の負担を軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の血液成分採取装置に使用される血液成分採取回路の構成例を示す平面図である。
【図2】図2は、図1の血液成分採取回路のカセットハウジング部分の平面図である。
【図3】図3は、血液成分採取回路に使用される遠心分離器に駆動装置が装着された状態の部分破断断面図である。
【図4】図4は、血液成分採取回路を装着した状態の本発明の血液成分採取装置の一実施例の概念図である。
【図5】図5は、本発明の血液成分採取装置の作用を説明するためのフローチャートである。
【図6】図6は、本発明の血液成分採取装置の作用を説明するためのフローチャートである。
【図7】図7は、本発明の血液成分採取装置の作用を説明するためのフローチャートである。
【図8】図8は、本発明の血液成分採取装置の作用を説明するためのフローチャートである。
【図9】図9は、本発明の血液成分採取装置の作用を説明するためのフローチャートである。
【図10】図10は、本発明の血液成分採取装置の作用を説明するためのフローチャートである。
【図11】図11は、本発明の他の実施例の血液成分採取装置の作用を説明するためのフローチャートである。
【図12】図12は、本発明の他の実施例の血液成分採取装置の作用を説明するためのフローチャートである。
【図13】図13は、本発明の他の実施例の血液成分採取装置の作用を説明するためのフローチャートである。
【図14】図14は、本発明の他の実施例の血液成分採取装置の作用を説明するためのフローチャートである。
【図15】図15は、本発明の他の実施例の血液成分採取装置の作用を説明するためのフローチャートである。
【図16】図16は、本発明の他の実施例の血液成分採取装置の作用を説明するためのフローチャートである。
【図17】図17は、本発明の他の実施例の血液成分採取装置の作用を説明するためのフローチャートである。
【図18】図18は、本発明の血液成分採取装置の作用を説明するためのフローチャートである。
【図19】図19は、本発明の血液成分採取装置の作用を説明するためのフローチャートである。
【図20】図20は、本発明の血液成分採取装置の作用を説明するためのフローチャートである。
【図21】図21は、本発明の血液成分採取装置の作用を説明するためのフローチャートである。
【図22】図22は、本発明の血液成分採取装置の作用を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
1 血液成分採取装置
2 血液成分採取回路
10 遠心分離器駆動装置
11 第1の送液ポンプ
12 第2の送液ポンプ
13 制御部
14 濁度センサ
15 光学式センサ
16 重量センサ
20 遠心分離器
21 第1のライン
22 第2のライン
23 第3のライン
24 第4のライン
25 血漿採取バッグ
26 血小板採取バッグ
29 採血針
Claims (9)
- 内部に貯血空間を有するローターと、前記貯血空間に連通する流入口および流出口とを有し、前記ローターの回転により前記流入口より導入された血液を前記貯血空間内で遠心分離する遠心分離器と、採血針もしくは採血器具接続部と前記遠心分離器の流入口とを接続するための第1のラインと、前記遠心分離器の前記流出口に接続される第2のラインと、前記第1のラインに接続された抗凝固剤注入のための第3のラインと、前記第1のラインの途中に接続された第1チューブおよび前記第2のラインと接続された第2チューブを有する血漿採取バッグと、前記第2のラインに接続された血小板採取バッグとからなる血液成分採取回路を備えた血液成分採取装置であって、
該血液成分採取装置は、該遠心分離器の前記ローターを回転させるための遠心分離器駆動装置と、前記第1のラインと前記第1チューブとの接続部より遠心分離器側に配置され、前記第1のラインのための第1の送液ポンプと、前記第3のラインのための第2の送液ポンプと、前記血液成分採取回路の流路の開閉を行うための複数の流路開閉手段と、前記血漿採取バッグの重量センサと、前記遠心分離器駆動装置、前記第1の送液ポンプ、前記第2の送液ポンプおよび前記複数の流路開閉手段を制御するための制御部を備え、
該制御部は、抗凝固剤が添加された血液の採取、採取された血液の分離および分離された血漿を前記血漿採取バッグ内に採取する血漿採取ステップと、該血漿採取ステップにより採取された前記血漿採取バッグ内の血漿を前記遠心分離器に循環させる血漿循環ステップとからなり、少なくも1回行われる血漿採取・循環ステップと、
該血漿採取・循環ステップの終了後に、血漿循環速度を加速させて、前記遠心分離器内より血小板を流出させ血小板を前記血小板採取バッグに採取する血小板採取ステップと、該血小板採取ステップの終了後、前記遠心分離器内の血液を返血する返血ステップを行わせる血小板採取操作が複数回行われるように、前記遠心分離器駆動装置、前記第1の送液ポンプ、前記第2の送液ポンプおよび前記複数の流路開閉手段を制御するものであり、さらに、最終回以前の血小板採取操作における返血ステップでは、該返血ステップ以前に採取された血漿重量が、所定必要残留血漿量となるまで血漿の返還が行われるように制御するものであり、かつ、最終回の血小板採取操作における返血ステップでは、最終回の返血ステップまでに前記血漿採取バッグに採取された血漿の返還を行わないように制御するものであることを特徴とする血液成分採取装置。 - 内部に貯血空間を有するローターと、前記貯血空間に連通する流入口および流出口とを有し、前記ローターの回転により前記流入口より導入された血液を前記貯血空間内で遠心分離する遠心分離器と、採血針もしくは採血器具接続部と前記遠心分離器の流入口とを接続するための第1のラインと、前記遠心分離器の前記流出口に接続される第2のラインと、前記第1のラインに接続された抗凝固剤注入のための第3のラインと、前記第1のラインの途中に接続された第1チューブおよび前記第2のラインと接続された第2チューブを有する血漿採取バッグと、前記第2のラインに接続された血小板採取バッグとからなる血液成分採取回路を備えた血液成分採取装置であって、
該血液成分採取装置は、該遠心分離器の前記ローターを回転させるための遠心分離器駆動装置と、前記第1のラインと前記第1チューブとの接続部より遠心分離器側に配置され、前記第1のラインのための第1の送液ポンプと、前記第3のラインのための第2の送液ポンプと、前記血液成分採取回路の流路の開閉を行うための複数の流路開閉手段と、前記血漿採取バッグの重量センサと、前記遠心分離器駆動装置、前記第1の送液ポンプ、前記第2の送液ポンプおよび前記複数の流路開閉手段を制御するための制御部を備え、
該制御部は、抗凝固剤が添加された血液の採取、採取された血液の分離および分離された血漿を前記血漿採取バッグ内に採取する血漿採取ステップと、該血漿採取ステップにより採取された前記血漿採取バッグ内の血漿を前記遠心分離器に循環させる血漿循環ステップとからなり、少なくも1回行われる血漿採取・循環ステップと、
該血漿採取・循環ステップの終了後に、血漿循環速度を加速させて、前記遠心分離器内より血小板を流出させ血小板を前記血小板採取バッグに採取する血小板採取ステップと、該血小板採取ステップの終了後、前記遠心分離器内の血液を返血する返血ステップを行わせる血小板採取操作が複数回行われるように、前記遠心分離器駆動装置、前記第1の送液ポンプ、前記第2の送液ポンプおよび前記複数の流路開閉手段を制御するものであり、さらに、最終回以前の血小板採取操作における返血ステップでは、該返血ステップ以前に採取された血漿重量が、下記条件の残留血漿量(y)の範囲内となるように血漿の返還が行われるように制御するものであることを特徴とする血液成分採取装置。
(条件)残留血漿量(y)は、A以上かつA≦Bの場合にはB以下
A=所定必要残存血漿量
B=血小板採取操作回数×(目標血漿採取量−1回目の返血ステップ前の血小板採取操作終了時の採取血漿量)/(血小板採取操作総回数−1) - 前記所定必要残存血漿量は、10〜50mlである請求項2に記載の血液成分採取装置。
- 前記制御部は、最終回の血小板採取操作における返血ステップでは、最終回の返血ステップまでに採取された血漿重量が目標血漿採取量を越えている場合には、過剰分の血漿が返還されるように制御するものである請求項2または3に記載の血液成分採取装置。
- 前記制御部は、最終回の血小板採取操作における返血ステップでは、最終回の返血ステップまでに前記血漿採取バッグに採取された血漿の返還を行わないように制御するものである請求項2または3に記載の血液成分採取装置。
- 前記制御部は、前記血漿採取・循環ステップが2回行われるように制御するものであり、初回の血漿採取・循環ステップでは、前記血漿採取バッグ内の血漿を前記遠心分離器に定速にて循環させる血漿採取・定速循環ステップが行われ、2回目の血漿採取・循環ステップでは、前記血漿採取バッグ内の血漿を前記遠心分離器に加速させながら循環させる血漿採取・加速循環ステップが行われるように制御するものである請求項1ないし5のいずれかに記載の血液成分採取装置。
- 前記制御部は、供血者のヘマトクリット値によって、前記遠心分離器のローターの遠心回転数を制御する機能を備えている請求項1ないし6のいずれかに記載の血液成分採取装置。
- 前記血液成分採取装置は、ヘマトクリット値入力部もしくはヘマトクリット値測定機能を備え、前記制御部は、入力もしくは測定されたヘマトクリット値を用いて、該ヘマトクリット値に適したローター回転数を演算するローター回転数演算機能および該ローター回転数演算機能により演算されたローター回転数を用いて遠心分離器駆動装置を制御する機能を備えている請求項7に記載の血液成分採取装置。
- 前記制御部は、前記血小板採取操作が少なくとも2回行われるように、前記遠心分離器駆動装置、前記第1の送液ポンプ、前記第2の送液ポンプおよび前記複数の流路開閉手段を制御するものである請求項1ないし8のいずれかに記載の血液成分採取装置。
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