JP4245339B2 - 導電性を有する多層膜付透明基板の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は導電性を有する多層膜付透明基板に関する。
【0002】
【従来技術】
従来より、ガラス板やプラスチック板(プラスチックフィルム)等の透明基板にインジウム錫酸化物(ITO)やSnO2等の透明導電膜を形成して、太陽電池などの光電変換素子の電極や液晶等の表示装置またはタッチパネルの電極、静電防止フィルターや電磁波カットフィルターとして利用するものが知られている。特にタッチパネルとして使用される場合、耐擦傷性(タッチパネルにおいては耐ペン摺動性)に優れた導電性を有する多層膜付透明基板が望まれるようになっている。
このような背景において、基板上にハードコート層を設けるとともに最表面に透明導電膜を形成させることにより、導電性を有する多層膜付透明基板の耐ペン摺動性の向上を図ろうとする技術が知られている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−216842号公報
【特許文献2】
特開2002−122703号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したような基板上にハードコート層を形成するだけでは現在要望されている耐ペン摺動性を満足することが困難である。
【0005】
本発明では上記従来技術の問題点に鑑み、高い耐擦傷性(耐ペン摺動性)を有する導電性を有する多層膜付透明基板を提供することを技術課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は以下のような構成を備えることを特徴とする。
(1) 透明基板上に該基板の屈折率より高い屈折率となる透明誘電膜層と前記基板より低い屈折率となる透明誘電膜層とを交互に積層することによりなる反射防止層と,該反射防止層の上に透明導電体の薄膜からなる導電層とを積層してなる導電性を有する多層膜付透明基板の製造方法において、前記導電層は最外層に主成分として酸化亜鉛を含有する透明導電体からなる第1導電膜と該第1導電膜の下層に形成され前記酸化亜鉛を主成分としない透明導電体からなる第2導電膜とからなり,前記導電層に対して電気光学素子用,光電変換素子用,液晶用,タッチパネル用として必要な表面抵抗値が得られるとともに前記第1導電膜の膜厚に対して前記第2導電膜の膜厚が厚くなるように前記第1及び第2導電膜層の膜厚を決定する第1ステップと、該第1ステップにより決定された前記第1導電膜と第2導電膜の膜厚及び屈折率と,前記反射防止層に用いられる薄膜形成材料の屈折率とを固定値としてメリット関数を使用した最適化アルゴリズムを用いながら前記反射防止層を形成するための各誘電膜層の膜厚を決定する第2ステップと、前記第1及び第2ステップで決定された前記第1及び第2導電膜層,並びに各誘電膜層の膜厚となるように前記基板上に前記複数の誘電膜層からなる反射防止層と前記第1及び第2導電膜層からなる導電層とを形成することを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態における導電性を有する多層膜付透明基板について、図面を参照しながら説明する。なお、本実施形態では、基板上に反射防止効果をもたせるための薄膜層帯を設けておき、その上に導電性を有する導電膜層を設けた導電性を有する多層膜付透明基板を例にとり、説明する。
【0008】
図1は本発明の実施の形態における導電性を有する多層膜付透明基板の積層構成を示す概略図である。
1は透明の基板である。基板1は通常に入手できるものであればよく、屈折率は1.48以上1.7以下程度のものを使用する。具体的に、基板材料としてはガラス類(屈折率1.48〜1.70)、プラスチック類(ポリカーボネイト(屈折率1.59)、ポリエチレンテレフタラート(屈折率1.63)等)が用いられ、光学的に透明であれば特に限定されない。また、本実施形態で述べる基板とは板状に限らず、フィルム基板を含むものとしている。
【0009】
2は基板1上に多層膜の成膜前に事前に形成される薄膜層である。この薄膜層2は、多層膜を成膜する前に基板1にコーティングすることにより、基板1の表面を硬化させ、傷等から保護するためや、基板1と多層膜との間の密着力を上げるために形成される層である(以下、ハードーコート層と記す)。一般的に、ハードコート層2においては、基板1の表面を保護するとともに、基板1と多層膜との間の密着力を上げることが可能なアクリル系ハードコートがよく利用される。
【0010】
また、基板1にハードコート層2を形成しないで、基板1上に直接多層膜を成膜することも可能であるが、前述したように多層膜の保護や密着力向上のために、基板1上に事前にハードコート処理を行なっておくことが好ましい。また、ハードコートではなく、単に基板1と多層膜との間での密着力向上のために真空蒸着等にて基板上にアンダーコートを行なうこともある。
何れの場合においても、ハードコート(アンダーコート)の膜厚は、光学的な阻害が起こらないように基板の屈折率と同程度の屈折率を有するようにしておくことが好ましい。
【0011】
3はハードコート層2上に屈折率の異なる透明誘電体からなる誘電膜層を複数積層することにより反射防止効果をもたせるための反射防止層帯である。本実施形態における反射防止層帯3は4つの誘電膜層3a〜3dにより形成されている。
3aは基板1の屈折率よりも高い屈折率をもつ透明誘電体からなる第1誘電膜層である。第1誘電膜層3aに使用される透明誘電体は、使用する基板1に応じて適宜選択されるが、基板1の屈折率よりも高い屈折率が必要なため、基板1の最低屈折率1.48より高い必要がある。また同時に、安価に入手可能でかつ安定した成膜が確認されているものが好ましいため、それらを考慮して屈折率が1.50以上2.50以下程度の範囲のものが使用される。具体的には、第1誘電膜層3aの主成分にはZrO2(屈折率1.9)や、TiO2(屈折率2.2)、Al2O3(屈折率1.6)等が挙げられる。第1誘電膜層3の光学的膜厚nd(以後、単に膜厚と記す)は10nm以上600nm以下が好ましく、より好ましくは50nm以上550nm以下である。
【0012】
3bは第1誘電膜層3a上に積層され、基板1の屈折率よりも低い屈折率をもつ透明誘電体からなる第2誘電膜層である。第2誘電膜層3bに使用される透明誘電体は、使用する基板1に応じて適宜選択されるが、基板1の屈折率よりも低い屈折率が必要なため、基板1の最高屈折率1.70より低くする必要がある。また同時に、安価に入手可能でかつ安定した成膜が確認されているものが好ましいため、それらを考慮して屈折率が屈折率1.35以上1.60以下程度の範囲のものが使用される。具体的には、第2誘電膜層3bの主成分にはSiO2(屈折率1.46)やMgF2(屈折率1.38)が挙げられる。また、第2誘電膜層3bの膜厚は10nm以上600nm以下が好ましく、より好ましくは50nm以上550nm以下である。膜厚がこれ以上薄くても厚くても、反射防止効果が得られにくい。
【0013】
3cは第2誘電膜層3b上に積層され、基板1の屈折率よりも高い屈折率をもつ透明誘電体からなる第3誘電膜層である。第3誘電膜層3cに使用される透明誘電体は、第1誘電膜層3aと基本的に同じ材料のものが使用可能であるが、反射防止効果を向上させるためには第1誘電膜層3aにて用いられる材料の屈折率と同じか、それより高い屈折率を有する材料を用いることが好ましい。第3誘電膜層3cの膜厚は10nm以上600nm以下が好ましく、より好ましくは50nm以上550nm以下である。
【0014】
3dは第3誘電膜層3c上に積層され、基板1の屈折率よりも低い屈折率をもつ透明誘電体からなる第4誘電膜層である。第4誘電膜層3dに使用される透明誘電体は、第2誘電膜層3bと基本的に同じ材料のものが使用可能である。また、第4誘電膜層3dの膜厚は10nm以上600nm以下が好ましく、より好ましくは50nm以上550nm以下である。
【0015】
4は第4誘電膜層3d上に積層され、導電性を有する第2導電膜層である。第2導電膜層4の透明導電体にはITOやATO、SnO2、IZO等の酸化亜鉛を主成分としない透明かつ導電性を有する材料が挙げられる。5は第2導電膜層4上に積層され、最表面となる導電性を有する第1導電膜層である。第1導電膜層5の透明導電体には、酸化亜鉛、AZO(アルミニウムドープ酸化亜鉛)やGZO(ガリウムドープ酸化亜鉛)等の酸化亜鉛を主成分とする材料を用いることができる。
このように、ITO等からなる第2導電膜層4の上に酸化亜鉛を主成分とする第1導電膜層5を形成することにより、従来の導電性を有する多層膜付透明基板に比べ、耐ペン摺動性の性能が格段に向上する。
【0016】
また、第1導電膜層5と第2導電膜層4とを合わせた膜厚により表面抵抗値が決定される。したがって、表面抵抗値を低抵抗値に設定する場合には、一方の膜厚或いは両方の膜厚を厚くすればよい。また、表面抵抗値を高抵抗値に設定する場合には一方の膜厚或いは両方の膜厚を薄くすればよい。なお、第2導電膜層にITO等の抵抗率の良い材料を用いた場合、第1導電膜層5の膜厚の増減に対して、第2導電膜層4の膜厚を増減させる方が、表面抵抗値の値が大きく変動する。このため、所望する表面抵抗値を得るために主として第2導電膜層4の膜厚を増減させることにより、導電膜層全体の膜厚を薄くさせることができるため、透過率の向上が期待できる。
【0017】
また、表面抵抗値は使用目的に応じて適宜決定すれば良いが、電気光学素子用、光電変換素子用、液晶用、タッチパネル用等に用いるのであれば、好ましくは表面抵抗値が100Ω/□以上5000Ω/□以下であり、より好ましくは100Ω/□以上1000Ω/□以下である。また、表面抵抗値と対応する第1導電膜層5と第2導電膜層4との合計の膜厚は10nm以上1000nm以下が好ましく、より好ましくは15nm以上100nm以下である。
【0018】
また、各層の最適な膜厚は以下の方法により決定される。
初めに、用途に応じて必要な表面抵抗値が得られるような導電膜層(ここでは第1導電膜層5及び第2導電膜層4)の膜厚を決定させておく。次に反射防止層帯3(誘電体層3a〜3d)に使用する材料の屈折率を固定値とし、最適化アルゴリズムを用いながら誘電体層3a〜3dの物理膜厚を変化させていく。このような手法により、最も高い透過率若しくは最も低い反射率が得られるような各誘電体層3a〜3dの膜厚を求める。最適化アルゴリズムは例えば、Adaptive Random SearchやModified Gardient、Monte Carilo method、Simurated Annealing等、メリット関数を使用した様々な最適化手法を基に与えられる。
【0019】
上記で示した各薄膜層(導電膜層、誘電膜層)を基板1上に形成する方法としては、物理的気層成長方法(PVD)では真空蒸着方法やスパッタ方法、イオンプレーティング方法等が挙げられる。また、化学的気層成長方法(CVD)ではめっき方法や化学的気層成長方法等が挙げられる。これらの成膜方法は、本実施の形態としてすべて使用可能であるが、成膜に際して高温を伴うような方法では熱によるプラスチック基板の変形等が考えられるため、プラスチック基板での多層膜の成膜は高熱を必要としない真空蒸着方法やスパッタ方法が好適に用いられる。
【0020】
なお、前述の実施形態では4層からなる反射防止層帯3の上に導電膜層を2層積層するものとしているが、これに限るものではない。例えば、導電性を有する多層膜付透明基板の透過率(反射率)を考慮する必要がなければ、このような反射防止層帯3を設けなくとも良い。また、反射防止層帯3を形成する場合であっても4層に限るものではなく、所望する透過率(反射率)が得られるような多層構造(例えば1層〜6層等)を形成すればよい。
【0021】
<実施例1>
ハードコート付きポリカーボネイト基板(屈折率1.59)を用意し、真空蒸着法により、誘電膜層を基板上に4層形成した。第1誘電膜層としては、オプトロン社製ZrO2タブレットを使用し、アンダーコート層であるハードコート上にZrO2を主成分とする薄膜層を形成した。このときの第1誘電体層の膜厚(光学膜厚nd)は70nmとした。第2誘電膜層としては、オプトロン社製SiO2顆粒を使用し、第1誘電膜層上にSiO2を主成分とする薄膜層を形成した。このときの第2誘電膜層の膜厚は35nmとした。第3誘電膜層としては、オプトロン社製TiO2顆粒を使用し、第2誘電膜層上にTiO2を主成分とする薄膜層を形成した。このときの第3誘電膜層の膜厚は95nmとした。第4誘電膜層としては、オプトロン社製SiO2顆粒を使用し、第3誘電膜層上にSiO2を主成分とする薄膜層を形成した。このときの第4誘電膜層の膜厚は65nmとした。
【0022】
次に真空治金(株)製ITOターゲットを使用し、第2導電膜層としてITOを主成分とする薄膜層をスパッタ法により第4誘電膜層上に形成した。このときの第2導電膜層の膜厚は20nmとした。最表面となる第1導電膜層としては、住友金属鉱山(株)製AZOターゲットを使用し、第2導電膜層上にAZOの薄膜層を形成した。このときの第1導電膜層の膜厚は30nmとした。
【0023】
このようにして得られた導電性を有する多層膜付透明基板の視感度透過率を測定した。測定装置は朝日分光社製 視感度透過率計MODEL304を用いた。得られた視感透過率は92.1%であった。また、表面抵抗値は500Ω/□であった。
【0024】
次に、物理膜厚188μmのITO付のPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムのITO形成面側と作成した多層膜付透明基板の膜形成面側とを張り合わせた後、耐ペン摺動性評価を行った。耐ペン摺動性評価は、張り合わせたPETフィルムのITO電極面の裏面より、ポリアセタール製のペン(先端形状は、0.8mmR)に250gの荷重を掛け、往復10万回の摺動試験を行うことにより評価した。往復10万回の摺動試験を行っても、目視にて多層膜付基板上に白濁が見られなければ○、白濁が生じていれば×とした。
以上の結果を表1に示す。
【0025】
<実施例2>
基板、膜構成及び成膜材料を実施例1と同一条件にて多層膜付透明基板を作成した。ただし、第1導電膜層の膜厚を15nmに変えて成膜を行った。なお、得られる表面抵抗値を実施例1と同じ500Ω/□とするために、第2導電膜層の膜厚を23nmとした。また、この条件にて多層膜付透明基板の透過率ができるだけ高く得られるように、最適化アルゴリズムを用いて各誘電膜層の膜厚を調整した。この結果、第1誘電膜層〜第4誘電膜層の各膜厚は順に75nm、35nm、90nm、80nmとした。なお、実施例1と同様に誘電膜層の形成は真空蒸着法で行い、導電膜層の形成はスパッタ法にて行った。
【0026】
このようにして得られた導電性を有する多層膜付透明基板の視感度透過率は93.3%であった。また、摺動性試験では白濁は見られなかった。以上の結果を表1に示す。
【0027】
<実施例3>
基板、膜構成及び成膜材料を実施例1と同一条件にて多層膜付透明基板を作成した。ただし、第1導電膜層の膜厚を5nmに変えて成膜を行った。なお、得られる表面抵抗値を実施例1と同じ500Ω/□とするために、第2導電膜層の膜厚を23.5nmとした。また、この条件にて多層膜付透明基板の透過率ができるだけ高く得られるように、最適化アルゴリズムを用いて各誘電膜層の膜厚を調整した。この結果、第1誘電膜層〜第4誘電膜層の各膜厚は順に75nm、35nm、86nm、91nmとした。なお、実施例1と同様に誘電膜層の形成は真空蒸着法で行い、導電膜層の形成はスパッタ法にて行った。
【0028】
このようにして得られた導電性を有する多層膜付透明基板の視感度透過率は93.9%であった。また、摺動性試験では白濁は見られなかった。以上の結果を表1に示す。
【0029】
<実施例4>
基板、膜構成を実施例1と同一条件にて多層膜付透明基板を作成した。ただし、第1導電膜層の成膜材料をGZO(膜厚15nm)として成膜を行った。なお、得られる表面抵抗値を実施例1と同じ500Ω/□とするために、第2導電膜層の膜厚を23nmとした。また、この条件にて多層膜付透明基板の透過率ができるだけ高く得られるように、最適化アルゴリズムを用いて各誘電膜層の膜厚を調整した。この結果、第1誘電膜層〜第4誘電膜層の各膜厚は順に75nm、35nm、90nm、80nmとした。なお、実施例1と同様に誘電膜層の形成は真空蒸着法で行い、導電膜層の形成はスパッタ法にて行った。
【0030】
このようにして得られた導電性を有する多層膜付透明基板の視感度透過率は93.3%であった。また、摺動性試験では白濁は見られなかった。以上の結果を表1に示す。
【0031】
<実施例5>
実施例1と同一基板を用い、この基板上にZrO2からなる第1誘電膜層とSiO2からなる第2誘電膜層を形成した後、第2誘電膜層上にITOからなる第2導電膜層とAZOからなる第1導電膜層とを順次積層し、多層膜付透明基板を作成した。第1導電膜層の膜厚は15nmとし、表面抵抗値を実施例1と同じ500Ω/□とするために、第2導電膜層の膜厚を23nmとした。また、この条件にて多層膜付透明基板の透過率ができるだけ高く得られるように、最適化アルゴリズムを用いて各誘電膜層の膜厚を調整した。この結果、第1誘電膜層及び第2誘電膜層の各膜厚は順に140nm、90nmとした。なお、実施例1と同様に誘電膜層の形成は真空蒸着法で行い、導電膜層の形成はスパッタ法にて行った。
このようにして得られた導電性を有する多層膜付透明基板の視感度透過率は92.5%であった。また、摺動性試験では白濁は見られなかった。以上の結果を表1に示す。
【0032】
<比較例1>
導電膜層をITOの1層とした以外は、基板、誘電膜層の膜構成及び成膜材料は実施例1と同一条件として多層膜付透明基板を作成した。ただし、最表面のITOの導電膜層(表1では第2導電膜層としている)の膜厚は、表面抵抗値500Ω/□が得られるように24nmとして成膜を行った。また、この条件にて多層膜付透明基板の透過率ができるだけ高く得られるように、最適化アルゴリズムを用いて各誘電膜層の膜厚を調整した。この結果、第1誘電膜層〜第4誘電膜層の各膜厚は順に80nm、35nm、85nm、100nmとした。なお、実施例1と同様に誘電膜層の形成は真空蒸着法で行い、導電膜層の形成はスパッタ法にて行った。
【0033】
このようにして得られた導電性を有する多層膜付透明基板の視感度透過率は94.1%であった。また、摺動性試験では白濁が生じていた。以上の結果を表1に示す。
【0034】
<比較例2>
実施例1と同一基板を用い、この基板上にZrO2からなる第1誘電膜層とSiO2からなる第2誘電膜層を形成した後、第2誘電膜層上にITOからなる導電膜層を形成し、多層膜付透明基板を作成した。ただし、最表面のITOの導電膜層(表1では第2導電膜層としている)の膜厚は、表面抵抗値500Ω/□が得られるように24nmとして成膜を行った。また、この条件にて多層膜付透明基板の透過率ができるだけ高く得られるように、最適化アルゴリズムを用いて各誘電膜層の膜厚を調整した。この結果、第1誘電膜層及び第2誘電膜層の各膜厚は順に140nm、90nmとした。なお、実施例1と同様に誘電膜層の形成は真空蒸着法で行い、導電膜層の形成はスパッタ法にて行った。
【0035】
このようにして得られた導電性を有する多層膜付透明基板の視感度透過率は92.9%であった。また、摺動性試験では白濁が生じていた。以上の結果を表1に示す。
【0036】
【表1】
【0037】
<結果>
表1に示すように、実施例1〜5の多層膜付透明基板では、何れも視感度透過率が90%と高透過率を示すとともに摺動性試験にて白濁が生じず、高い耐ペン摺動性を有することが確認された。
【0038】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば高い耐擦傷性(耐ペン摺動性)を有する導電性を有する多層膜付透明基板を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態における膜構成を示した図である。
【符号の説明】
1 基板
2 ハードコート層
3 反射防止層帯
4 第2導電膜層
5 第1導電膜層
Claims (1)
- 透明基板上に該基板の屈折率より高い屈折率となる透明誘電膜層と前記基板より低い屈折率となる透明誘電膜層とを交互に積層することによりなる反射防止層と,該反射防止層の上に透明導電体の薄膜からなる導電層とを積層してなる導電性を有する多層膜付透明基板の製造方法において、前記導電層は最外層に主成分として酸化亜鉛を含有する透明導電体からなる第1導電膜と該第1導電膜の下層に形成され前記酸化亜鉛を主成分としない透明導電体からなる第2導電膜とからなり,前記導電層に対して電気光学素子用,光電変換素子用,液晶用,タッチパネル用として必要な表面抵抗値が得られるとともに前記第1導電膜の膜厚に対して前記第2導電膜の膜厚が厚くなるように前記第1及び第2導電膜層の膜厚を決定する第1ステップと、該第1ステップにより決定された前記第1導電膜と第2導電膜の膜厚及び屈折率と,前記反射防止層に用いられる薄膜形成材料の屈折率とを固定値としてメリット関数を使用した最適化アルゴリズムを用いながら前記反射防止層を形成するための各誘電膜層の膜厚を決定する第2ステップと、前記第1及び第2ステップで決定された前記第1及び第2導電膜層,並びに各誘電膜層の膜厚となるように前記基板上に前記複数の誘電膜層からなる反射防止層と前記第1及び第2導電膜層からなる導電層とを形成することを特徴とする導電性を有する多層膜付透明基板の製造方法。
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