ところが、上記特許文献1の技術では、光学素子を実装した外部基板と配線基板との位置合わせ(光軸合わせ)をはんだリフローにより行っているにすぎない。そのため、位置合わせ精度が十分ではなく、光学素子と光導波路との間で光軸ズレが生じやすく、ひいては光の伝送ロスが生じやすい。従って、この手法では今後予想される高速度化・高密度化等に十分に対応できないものと考えられる。
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、光軸ズレがなく確実な位置合わせをすることができ、光の伝送ロスが小さい光電気複合配線構造体、光学素子搭載基板と光導波路層と光路変換部品とからなる構造体、光学素子搭載基板と光路変換部品とからなる構造体、光路変換部品と光導波路層とからなる構造体を提供することにある。また、本発明の別の目的は、上記の構造体を実現するのに好適な、位置合わせ構造を有する光路変換部品、位置合わせ構造を有するマイクロレンズアレイを提供することにある。
そこで上記課題を解決するための手段としては、光学素子搭載基板側位置合わせ凹部が形成された光学素子搭載基板本体と、前記光学素子搭載基板本体上に搭載され、発光部及び受光部のうちの少なくとも一方を有する光学素子とを有する光学素子搭載基板と、電気配線基板側位置合わせ凹部が形成された電気配線基板本体を有する電気配線基板と、光導波路層側位置合わせ凹部が形成された光導波路層本体と、前記光導波路層本体に形成されたコアと、前記コアを取り囲むべく前記光導波路層本体に形成されたクラッドとを有する光導波路層と、光透過性材料からなり、光路変換部品側位置合わせ凹部が形成された光路変換部品本体を有する光路変換部品と、前記光学素子搭載基板側位置合わせ凹部、前記電気配線基板側位置合わせ凹部、前記光導波路層側位置合わせ凹部及び前記光路変換部品側位置合わせ凹部に対して着脱可能に嵌合しうる共通の位置合わせ用ガイド部材としてのガイドピンとを備え、前記光学素子搭載基板、前記電気配線基板、前記光導波路層、前記光路変換部品及び前記ガイドピンがそれぞれ個別に作製されたものであり、互いに積層配置された前記光導波路層及び前記光路変換部品が、前記電気配線基板上に接触して支持されていることを特徴とする光電気複合配線構造体、がある。
従って、上記発明によると、位置合わせ用ガイド部材が各部品の位置合わせ凹部に対して嵌合することで、より積極的にかつ高い精度で部品同士の光軸が合った状態となる。ゆえに、光の伝送ロスが小さく、高速度化・高密度化等に十分に対応しうる光電気複合配線構造体を実現することができる。また、この光電気複合配線構造体は、個別に作製しておいた各部品を組み立てることで得られるため、低コスト化に向いている。しかも、各部品を個別に作製可能となる結果、それぞれの部品を形成する材料の選択の余地が広くなる。
前記光学素子搭載基板及び前記電気配線基板の形成材料としては、例えば、樹脂、セラミック、ガラス、金属などを挙げることができるが、なかでも特にセラミックが好ましい。樹脂に比較して熱伝導性の高いセラミックを用いた場合には、発生した熱が効率よく放散され、動作安定性・信頼性が向上する。とりわけ光学素子搭載基板においては、放熱性の悪化に起因する発光波長のズレが回避される結果、動作安定性・信頼性が向上する。基板形成材料として好適なセラミックの例を挙げると、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化珪素、窒化ほう素、ベリリア、ムライト、低温焼成ガラスセラミック、ガラスセラミック等がある。これらの中でもアルミナや窒化アルミニウムを基板形成材料として選択することが特に好ましい。
また、基板形成材料として好適な樹脂の例としては、例えば、EP樹脂(エポキシ樹脂)、PI樹脂(ポリイミド樹脂)、BT樹脂(ビスマレイミド−トリアジン樹脂)、PPE樹脂(ポリフェニレンエーテル樹脂)等を挙げることができる。そのほか、これらの樹脂とガラス繊維(ガラス織布やガラス不織布)やポリアミド繊維等の有機繊維との複合材料を基板形成材料として使用してもよい。基板形成材料として好適な金属の例としては、例えば、銅、銅合金、銅以外の金属単体、銅以外の合金などを挙げることができる。
前記光学素子搭載基板及び前記電気配線基板は、絶縁層と導体層とを備えていることがよい。前記導体層は基板表面に形成されていてもよく、基板内部に形成されていてもよい。これらの導体層の層間接続を図るために、基板内部にビアホール導体が形成されていてもよい。なお、かかる導体層やビアホール導体は、例えば、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、白金(Pt)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)などからなる導電性金属ペーストを印刷または充填することにより形成される。なお、導体層やビアホール導体は、めっき等により形成されてもよい。そして、このような導体層には電気信号が流れるようになっている。
前記光学素子搭載基板の光学素子搭載基板本体上には、1つまたは2つ以上の光学素子が搭載されている。その搭載方法としては、例えば、ワイヤボンディングやフリップチップボンディング等の手法、異方導電性材料を用いた手法などを採用することができる。発光部を有する光学素子(即ち発光素子)としては、例えば、発光ダイオード(Light Emitting Diode;LED)、半導体レーザダイオード(Laser Diode ;LD)、面発光レーザ(Vertical Cavity Surface Emitting Laser;VCSEL)等を挙げることができる。これらの発光素子は、入力した電気信号を光信号に変換した後、その光信号を所定部位に向けて発光部から出射する機能を備えている。一方、受光部を有する光学素子(即ち受光素子)としては、例えば、pinフォトダイオード(pin Photo Diode;pin PD)、アバランシェフォトダイオード(APD)等を挙げることができる。これらの受光素子は、光信号を受光部にて入射し、その入射した光信号を電気信号に変換して出力する機能を有している。なお、前記光学素子は発光部及び受光部の両方を有するものであってもよい。前記光学素子に使用する好適な材料としては、例えば、Si、Ge、InGaAs、GaAsP、GaAlAsなどを挙げることができる。このような光学素子(特に発光素子)は、動作回路によって動作される。光学素子及び動作回路は、例えば、光学素子搭載基板に形成された導体層を介して電気的に接続されている。
前記電気配線基板上には各種の電子部品が実装されていてもよい。その具体例を挙げると、半導体集積回路チップ、半導体パッケージ、各種のチップ部品(例えばチップトランジスタ、チップダイオード、チップ抵抗、チップキャパシタ、チップコイル)などがある。これらの電子部品は、いずれも電気配線基板に形成された導体層に電気的に接続されている。
前記光導波路層を構成する光導波路層本体は、板状またはフィルム状の部材であって、光信号が伝搬する光路となるコア及びそのコアを取り囲むクラッドを有している。光導波路層を形成材料の面から大別すると、ポリマ材料等からなる有機系の光導波路層と、石英ガラスや化合物半導体等からなる無機系の光導波路層とがある。前記ポリマ材料としては、感光性樹脂、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂などを選択することができ、具体的には、フッ素化ポリイミド等のポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、UV硬化性エポキシ樹脂、PMMA(ポリメチルメタクリレート)、重水素化PMMA、重水素フッ素化PMMA等のアクリル樹脂、ポリオレフィン系樹脂などが好適である。有機系の光導波路層の利点は、可撓性を有するフィルム状に形成可能なこと、取扱性に優れること、比較的安価なこと等である。一方、無機系の光導波路層の利点は耐熱性に優れること等である。
前記光路変換部品は光路変換部品本体を有しており、その光路変換部品本体は、光透過性材料からなり、光を反射して光路を変換しうる部位を有する光路変換部品であることが好ましい。この場合、光導波路層においてコアの途上または端部の位置には穴部が設けられ、光路変換部品本体はその穴部に挿入配置される。光路変換部品本体は、光導波路構造体に設けられた穴部の中に挿入可能な大きさ、形状を有することがよい。その好適例としては、傾斜面を有する断面略直角三角形状の光路変換部品本体を挙げることができる。前記傾斜面は略直角三角形状における最も長い辺に位置している。この場合には、傾斜面が実質的に光路変換部品本体の光反射部位となる。
光路変換部品本体のみを備える光路変換部品であっても光を反射して光路を変換することは十分可能であるが、より好ましくは前記光路変換部品本体に光反射体を形成することがよい。この構成によると、光を効率よく反射することが可能となり、光の伝送ロスをいっそう低減することができる。光反射体は前記光路変換部品本体の内部または表面に形成されることがよい。なお、光路変換部品本体の表面に光反射体を形成した構造のほうが製造しやすいため、低コスト化に有利である。具体的には、前記光路変換部品本体は、前記コアの延びる方向に対して傾斜した位置関係の傾斜面を有するとともに、前記傾斜面の表面上には、前記光反射体である金属膜が形成されていることが好ましい。金属膜の形成に使用される金属材料としては、例えば、金、銀、銅、ニッケル、ロジウム等のような、光沢を有する金属を挙げることができる。光沢を有する金属は光を効率よく反射しうるため、光路変換部品としての用途に適するからである。金属膜は光を90%以上反射することがよく、特には光を全反射することがよい。
上記光電気複合配線構造体は、さらにマイクロレンズアレイを備えていてもよい。マイクロレンズアレイとは、マイクロレンズアレイ本体に、光透過性材料からなる1つまたは2つ以上のマイクロレンズを形成した部材をいう。マイクロレンズアレイを備えたものであると、光がマイクロレンズを通過する際に集光されるので、光の伝送ロスをよりいっそう低減することができる。マイクロレンズは100μm以下の直径を有することがよい。マイクロレンズは光路変換部品本体と共通の光透過性材料を用いて一体形成されることが好ましい。
このような構成に代えて、例えば、光路変換部品本体の上面にマイクロレンズを形成してもよい。上記構成によれば、マイクロレンズアレイ本体がなくなる分だけ薄く形成可能となり、光導波路層と光学素子との距離の増大を回避することができる。また、部品点数の増加を防止することができる。
上記光電気複合配線構造体を構成する各部品はそれぞれ位置合わせ凹部を備えている。具体的には、光学素子搭載基板においては光学素子搭載基板本体に光学素子搭載基板側位置合わせ凹部が形成されている。電気配線基板においては電気配線基板本体に電気配線基板側位置合わせ凹部が形成されている。光導波路層においては光導波路層本体に光導波路層側位置合わせ凹部が形成されている。光路変換部品においては光路変換部品本体に光路変換部品側位置合わせ凹部が形成されている。マイクロレンズアレイを備える場合においては、マイクロレンズ本体にマイクロレンズアレイ側位置合わせ凹部が形成されている。そして、これらの位置合わせ用凹部に対しては、位置合わせ用ガイド部材が嵌合可能となっている。
前記位置合わせ凹部が形成される上記各部品(光学素子搭載基板、電気配線基板、光導波路層、光路変換部品、マイクロレンズアレイ)は、表面及び裏面を有する平板状であることが好ましい。また、各部品における位置合わせ凹部は、各部材における表面または裏面にて開口する(即ち開口部を1つ有する)非貫通穴であってもよいほか、表面及び裏面の両方にて開口する(即ち開口部を2つ有する)貫通穴であっても構わない。
位置合わせ凹部は従来周知の穴加工技術を用いて形成することが可能であり、その具体例としては、ドリル加工、パンチ加工、エッチング加工、レーザ加工などがある。特にドリル加工やパンチ加工といった機械的加工であれば、低コスト化を達成しやすくなる。この場合、精密ドリルなどを用いた精密穴加工を採用することが望ましく、この手法によれば高い精度で光軸合わせを行うことができる位置合わせ凹部を得ることが可能となる。位置合わせ凹部を形成した後には、必要に応じて仕上げ加工を行うことにより、位置合わせ凹部の穴径を微調整してもよい。穴径の微調整は位置合わせ精度の向上に確実に寄与する。
前記位置合わせ用ガイド部材は、各部品の位置合わせ凹部に嵌合して支持されるようになっている。ここで位置合わせ用ガイド部材の形状については特に限定されないが、例えばピン状のもの(ガイドピン)が好ましく、その材料としてはある程度硬質な金属がよい。なお、金属のなかでも導電性を有する金属であれば、ガイドピン自体を導体の一部として機能させることができる。よって、この場合には、ガイドピンを介して部材間の電気的導通を図ることが可能となる。導電性金属の好適例としては、例えば、鉄を主成分とする鋼などがある。また、位置合わせ用ガイド部材の直径(特に基板の主面側にて突出する部分の直径)については、各部品の位置合わせ凹部と嵌合できるように、当該位置合わせ凹部の内径とほぼ同じである必要がある。また、1つの構造体における位置合わせ用ガイド部材の使用数については特に限定されないが、位置合わせ精度の向上及び固定強度の向上という観点からすると、単数よりは複数であることがよい。
前記各部品(光学素子搭載基板、電気配線基板、光導波路層、光路変換部品、マイクロレンズアレイ)に位置合わせ凹部を形成する場合には、例えば下記のようにしてもよい。
まず、凹部が形成されるべき部品(便宜上ここでは「第1凹部被形成部品」と呼ぶ。)に第1凹部を加工形成する。この場合における第1凹部は、後に形成される第2凹部(位置合わせ凹部)よりも大径である必要がある。次に、第1凹部被形成部品に形成した第1凹部内に、第1凹部被形成部品を形成する主材料よりも加工性のよい材料からなる第2凹部被形成部を設ける。具体的にいうと、例えば第1凹部被形成部品がアルミナ等のセラミック基板であれば、そのセラミック基板に形成した第1凹部内に、当該セラミックよりも加工性のよい材料(例えば、樹脂、金属、ガラス、シリコン、ロウ材、マシナブルセラミックスなど)からなる第2凹部被形成部を充填する。そして次に、第2凹部被形成部に穴加工を行い、第2凹部(位置合わせ凹部)を形成する。
ここで「加工性のよい」材料とは、具体的には、穴明けのための加工(例えばドリル加工、パンチ加工、エッチング加工、レーザ加工など)が相対的に容易な材料のことを指す。例えば、第1凹部被形成部品を形成する主材料よりも硬度の低い材料などは、加工性のよい材料であるということができる。かかる材料を用いた場合、高精度の穴明けを簡単にかつ低コストで行うことができる。
また、上記課題を解決するための別の手段としては、光学素子搭載基板側位置合わせ凹部が形成された光学素子搭載基板本体と、前記光学素子搭載基板本体上に搭載され、発光部及び受光部のうちの少なくとも一方を有する光学素子とを有する光学素子搭載基板と、光導波路層側位置合わせ凹部が形成された光導波路層本体と、前記光導波路層本体に形成されたコアと、前記コアを取り囲むべく前記光導波路層本体に形成されたクラッドとを有する光導波路層と、光透過性材料からなり、光路変換部品側位置合わせ凹部が形成された光路変換部品本体を有する光路変換部品と、前記光学素子搭載基板側位置合わせ凹部、前記光導波路層側位置合わせ凹部及び前記光路変換部品側位置合わせ凹部に対して着脱可能に嵌合しうる共通の位置合わせ用ガイド部材としてのガイドピンとを備え、前記光学素子搭載基板、前記光導波路層、前記光路変換部品及び前記ガイドピンがそれぞれ個別に作製されたものであり、互いに積層配置された前記光導波路層及び前記光路変換部品が、これらとは別個に構成された電気配線基板上に接触して支持されうることを特徴とする、光学素子搭載基板と光導波路層と光路変換部品とからなる構造体、がある。また別の手段としては、光学素子搭載基板側位置合わせ凹部が形成された光学素子搭載基板本体と、前記光学素子搭載基板本体上に搭載され、発光部及び受光部のうちの少なくとも一方を有する光学素子とを有する光学素子搭載基板と、光透過性材料からなり、光路変換部品側位置合わせ凹部が形成された光路変換部品本体を有する光路変換部品と、前記光学素子搭載基板側位置合わせ凹部及び前記光路変換部品側位置合わせ凹部に対して嵌合可能な位置合わせ用ガイド部材とを備えたことを特徴とする、光学素子搭載基板と光路変換部品とからなる構造体、がある。さらに別の手段としては、光導波路層側位置合わせ凹部が形成された光導波路層本体と、前記光導波路層本体に形成されたコアと、前記コアを取り囲むべく前記光導波路層本体に形成されたクラッドとを有する光導波路層と、光透過性材料からなり、光路変換部品側位置合わせ凹部が形成された光路変換部品本体を有する光路変換部品と、前記光導波路層側位置合わせ凹部及び前記光路変換部品側位置合わせ凹部に対して嵌合可能な位置合わせ用ガイド部材とを備えたことを特徴とする、光路変換部品と光導波路層とからなる構造体、がある。
従って、これらの発明によると、位置合わせ用ガイド部材が各部品の位置合わせ凹部に対して嵌合することで、より積極的にかつ高い精度で部品同士の光軸が合った状態となる。ゆえに、光の伝送ロスが小さく、高速度化・高密度化等に十分に対応しうる構造体をそれぞれ実現することができる。上記の構造体は、いずれもさらにマイクロレンズアレイを備えていてもよい。
また、上記課題を解決するための別の手段としては、光透過性材料からなり、光路変換部品側位置合わせ凹部が形成された光路変換部品本体を有し、前記光路変換部品側位置合わせ凹部に対して、別体で構成された位置合わせ用ガイド部材が嵌合可能であることを特徴とする、位置合わせ構造を有する光路変換部品、がある。
例えば、同様の位置合わせ凹部を有する1つまたは2つ以上の別部品があり、これ(またはこれら)と位置合わせをする必要がある場合には、位置合わせ用ガイド部材を、光路変換部品側位置合わせ凹部に嵌合支持させるとともに、別部品の位置合わせ凹部にも嵌合支持させる。その結果、より積極的にかつ高い精度で部品同士の光軸を合わせることができる。ゆえに、複数の部品からなる上記の構造体を比較的容易に実現することができる。
また、上記課題を解決するための別の手段としては、マイクロレンズアレイ側位置合わせ凹部が形成されたマイクロレンズアレイ本体と、前記マイクロレンズアレイ本体に形成されたマイクロレンズと、前記マイクロレンズアレイ本体において前記マイクロレンズとは反対側の面に、前記マイクロレンズアレイ本体及び前記マイクロレンズと共通の光透過性材料を用いて一体形成された光路変換部とを有し、前記マイクロレンズアレイ側位置合わせ凹部に対して、別体で構成された位置合わせ用ガイド部材が嵌合可能であることを特徴とする、位置合わせ構造を有する光路変換部付きのマイクロレンズアレイ、がある。
例えば、同様の位置合わせ凹部を有する1つまたは2つ以上の別部品があり、これ(またはこれら)と位置合わせをする必要がある場合には、位置合わせ用ガイド部材を、マイクロレンズアレイ側位置合わせ凹部に嵌合支持させるとともに、別部品の位置合わせ凹部にも嵌合支持させる。その結果、より積極的にかつ高い精度で部品同士の光軸を合わせることができる。ゆえに、複数の部品からなる上記の構造体を比較的容易に実現することができる。
[第1実施形態]
以下、本発明を具体化した第1実施形態の光電気複合配線構造体10を、図1〜図7に基づき詳細に説明する。
図1には、本実施形態の光電気複合配線構造体10が示されている。この光電気複合配線構造体10は、光インターポーザ41(光学素子搭載基板)、電気配線基板11、光導波路層61、光路変換部品71、マイクロレンズアレイ81、ガイドピン31(位置合わせ用ガイド部材)という複数の部品によって構成されている。
図2に示されるように、電気配線基板11は、上面12及び下面13を有する略矩形平板状の電気配線基板本体22からなる。かかる電気配線基板11は、いわゆるセラミック多層配線基板であって、上面12及び内層に導体回路16,17を備えている。導体回路16は信号層であり、導体回路17は電源層である。この電気配線基板11は層間接続用のビアホール導体15を備えている。電気配線基板本体22の下面13には、複数の接続パッド14が多数設けられている。
図1,図2に示されるように、電気配線基板本体22における複数の箇所には、第1凹部24が設けられている。第1凹部24は円形かつ等断面形状であって、電気配線基板本体22の上面12のみにて開口している。本実施形態の場合、第1凹部24の直径は1.0mm〜2.0mm程度になるように設定されている。また、本実施形態では、発光側及び受光側にそれぞれ4つずつ第1凹部24が配置されている。
第1凹部24の内部には、導電性充填体23(第2凹部被形成部)が充填形成されている。本実施形態では、導電性粒子である銅に銀をコーティングしたフィラーをエポキシ樹脂中に分散させた導電性樹脂ペーストによって導電性充填体23が形成されている。そして、図2において左側に位置する導電性充填体23に対しては、電源層として割り当てられた導体回路17が、電気配線基板11の内層にて電気的に接続されている。図2において右側に位置する導電性充填体23に対しては、信号層として割り当てられた導体回路16が、電気配線基板11の内層にてビアホール導体15を介して電気的に接続されている。
導電性充填体23のほぼ中心部には、第2凹部(電気配線基板側位置合わせ凹部)である位置合わせ穴28が設けられている。位置合わせ穴28は円形かつ等断面形状であって、電気配線基板本体22の上面12のみにて開口している。本実施形態の場合、位置合わせ穴28の直径は上記第1凹部24よりも小さく、約0.7mmに設定されている。8つある位置合わせ穴28の内部には、ステンレス鋼からなる断面円形状のガイドピン31(位置合わせ用ガイド部材)が、上面12側に一端を突出させた状態で嵌合支持されている。本実施形態において具体的には、JIS C 5981に規定するガイドピン「CNF125A−21」(直径0.699mm)を使用している。なお、このガイドピンはステンレス鋼からなるため、好適な強度と好適な導電性とを兼ね備えている。
図1,図2,図3に示されるように、電気配線基板11の上面12には、光導波路層61が配設されている。この光導波路層61は、フィルム状を呈する有機系の光導波路層本体62からなり、下層のクラッド64、コア63及び上層のクラッド64を有している。コア63は、実質的に光信号が伝搬する光路となる部分であって、下層のクラッド64及び上層のクラッド64により取り囲まれている。本実施形態の場合、クラッド64及びコア63は、屈折率等の異なる透明なポリマ材料、具体的には屈折率等の異なるPMMA(ポリメチルメタクリレート)により形成されている。かかるPMMAは熱硬化性を有している。図3に示されるように、本実施形態の場合、光路となるコア63は2つであって、それらは直線的にかつ平行に延びるように形成されている。なお、コア63の数は1つであってもよく、3つ以上であってもよい。コア63を形成する材料は、クラッド64を形成する材料よりも数%ほど屈折率が高くなるように設定される。クラッド64及びコア63の厚さはそれぞれ数十μm程度に設定され、結果として光導波路層本体62の厚さは150μm〜200μm程度になっている。
コア43の途上には、光導波路層本体62の上面及び下面にて開口する部品挿入穴65が貫通形成されている。本実施形態の部品挿入穴65は、2つのコア63を横切る(跨ぐ)ようにして形成されている(図3参照)。一方の部品挿入穴65は発光側の光インターポーザ41の直下に位置している、他方の部品挿入穴65は受光側の光インターポーザ41の直下に位置している。なお、光導波路層61の厚さ方向から見たときの部品挿入穴65の形状は略矩形状であり、その一辺の寸法は約150μmに設定されている。また、部品挿入穴65の深さは、150μm〜200μm程度に設定されている。
光導波路層本体62における複数の箇所には、上面及び下面を貫通する円形状の位置合わせ穴68(光導波路層側位置合わせ凹部)が形成されている。これらの位置合わせ穴68は、ガイドピン31の大きさに対応して直径約0.7mmに設定されている。そして、各位置合わせ穴68には前記各ガイドピン31が嵌合支持されている。
また、図1〜図3には本実施形態にて使用される光路変換部品71が示されている。この光路変換部品71は、光導波路層61とマイクロレンズアレイ81との間に配置されている。この光路変換部品71を構成する光路変換部品本体72は、上面及び下面を有する平板状の部材であって、光透過性材料(本実施形態ではPMMA)からなる。光路変換部品本体72の下面側略中央部には、上記部品挿入穴65に挿入可能な断面略直角三角形状の突起73が一体形成されている。光路変換部品本体72の厚さ方向から見たときの突起73の形状は略矩形状であり、同じ方向から見たときの部品挿入穴65の形状と等しくなっている。その突起73における約45°の傾斜面74には、光反射体としての金属膜75が形成されている。本実施形態では、光沢のあるロジウムを用いて厚さ0.1μm〜10μm程度の金属膜75を形成している。かかる金属膜75は光を全反射しうるものである。突起73の高さは、部品挿入穴65の深さと略等しく150μm〜200μm程度に設定されている。
光路変換部品本体72における四隅には、上面及び下面を貫通する円形状の位置合わせ穴78(光路変換部品側位置合わせ凹部)がそれぞれ形成されている。これらの位置合わせ穴78は、ガイドピン31の大きさに対応して直径約0.7mmに設定されている。そして、各位置合わせ穴78には前記各ガイドピン31が嵌合支持されている。
また、図1〜図3には、本実施形態にて使用されるマイクロレンズアレイ81が示されている。このマイクロレンズアレイ81は、光路変換部品71と光インターポーザ41との間に配置されている。このマイクロレンズアレイ81を構成するマイクロレンズアレイ本体82は、上面及び下面を有する平板状の部材であって、光透過性材料(本実施形態ではPMMA)からなる。マイクロレンズアレイ本体82の上面側略中央部には、直径100μm程度の半球状のマイクロレンズ83が2つ一体形成されている。
マイクロレンズアレイ本体82における四隅には、上面及び下面を貫通する円形状の位置合わせ穴88(マイクロレンズアレイ側位置合わせ凹部)がそれぞれ形成されている。これらの位置合わせ穴88は、ガイドピン31の大きさに対応して直径約0.7mmに設定されている。そして、各位置合わせ穴88には前記各ガイドピン31が嵌合支持されている。
また、図1〜図3には、本実施形態における光インターポーザ41が示されている。これらの光インターポーザ41は、マイクロレンズアレイ本体82の上面に配置されている。図2等に示されるように、光インターポーザ41は、上面及び下面を有する略矩形平板状の光インターポーザ本体42からなる。かかる光インターポーザ本体42は、下面側にキャビティを有するセラミック配線基板であって、ビアホール導体45や導体回路46を備えている。光インターポーザ本体42下面のキャビティ内には、光学素子がフェースダウンの態様で実装されている。より詳細には、発光側の光インターポーザ41においては発光素子の一種であるVCSEL51が実装され、受光側の光インターポーザ41においては受光素子の一種であるフォトダイオード56が実装されている。
VCSEL51は、発光面を下方に向けた状態で搭載されていて、一列に並べられた複数(ここでは2つ)の発光部52をその発光面内に有している。従って、これらの発光部52は、図1,図2の下方向に、所定波長のレーザ光を出射するようになっている。フォトダイオード56は、受光面を下方に向けた状態で搭載されていて、一列に並べられた複数(ここでは2つ)の受光部57をその受光面内に有している。従って、これらの受光部57は、図1の下側から上側に向かうレーザ光を受けやすいような構成となっている。
一方、発光側の光インターポーザ41の上面略中央部には、ドライバIC53がフェースアップの態様で実装されている。ドライバIC53及びVCSEL51は、高速信号伝達部であるビアホール導体45を介して互いに導通している。受光側の光インターポーザ41の上面略中央部には、レシーバIC58がフェースアップの態様で実装されている。レシーバIC58及びフォトダイオード56は、高速信号伝達部であるビアホール導体45を介して互いに導通している。
図1,図2に示されるように、光インターポーザ本体42における四隅には、第1凹部44が設けられている。第1凹部44は円形かつ等断面形状であって、光インターポーザ本体42の上面及び下面の両方にて開口している。本実施形態の場合、第1凹部44の直径は1.0mm〜2.0mm程度になるように設定されている。
第1凹部44の内部には、タングステンペーストの充填によって導電性充填体43(第2凹部被形成部)が形成されている。図2に示されるように、このような導電性充填体43に対しては、前記導体回路46の一端が接続されている。導体回路46の他端には接続パッドが形成されるとともに、その接続パッド上にはドライバIC53及びレシーバIC58の端子がそれぞれ接続されている。本実施形態においては、図2の左側に位置する導体回路46は、信号層に対応しているため、ドライバIC53及びレシーバIC58の信号端子に接続されている。図2の右側に位置する導体回路46は、電源層に対応しているため、ドライバIC53及びレシーバIC58の電源端子に接続されている。
また、導電性充填体43のほぼ中心部には、第2凹部(光インターポーザ側位置合わせ凹部)である位置合わせ穴48が設けられている。位置合わせ穴48は円形かつ等断面形状であって、光インターポーザ本体42の上面及び下面の両方にて開口している。本実施形態の場合、位置合わせ穴48の直径は上記第1凹部44よりも小さく、約0.7mmに設定されている。そして、各位置合わせ穴48には前記各ガイドピン31が嵌合支持されている。
そして、電気配線基板11側と光インターポーザ41側とは、導電性のガイドピン31を介して互いに導通されている。よって、電気配線基板11側から光インターポーザ41側への電力の供給が可能となっている。また、電気配線基板11−光インターポーザ41間での信号のやり取りが可能となっている。
このように構成された光電気複合配線構造体10の一般的な動作について簡単に述べておく。
VCSEL51及びフォトダイオード56は、ガイドピン31を経由した電気配線基板11側からの電力供給により、動作可能な状態となる。電気配線基板11側からの電気信号が、ガイドピン31及びドライバIC53を経てVCSEL51に伝送されると、VCSEL51はその電気信号を光信号(レーザ光)に変換した後、その信号を含む光を下方に向けて出射する。光はまずマイクロレンズアレイ81のマイクロレンズ83を通過する。その際の集光作用により光のスポットサイズが小さくなるため、光の伝送ロスが低減される。マイクロレンズアレイ81を通過した光は、次に光路変換部品71の上面からその内部に入射し、傾斜面74上の金属膜75に到る。そこで、光は約45°進行方向を変換した後、さらに光路変換部品71の突起73内を通過してその側面から出射し、光導波路層61のコア63内に入射する。その後、光はコア63の内部をその長手方向に沿って伝搬し、受光側の光路変換部品71に到る。受光側の光路変換部品71において、まず光は、突起73の側面からその内部に入射し、傾斜面74上の金属膜75に到る。そこで、光は約45°進行方向を変換した後、さらに突起73内を通過して、光路変換部品71の上面から出射する。光路変換部品71を通過した光は、次にマイクロレンズアレイ81の下面側から入射し、マイクロレンズ83を通過して上面側から出射する。その際の集光作用により光のスポットサイズが小さくなるため、光の伝送ロスが低減される。そして、最終的に光は、フォトダイオード56の受光部57に入射する。フォトダイオード56は受光した光信号を電気信号に変換してレシーバIC58に出力する。レシーバIC58は、それを元の電気信号の状態に戻し増幅して出力するようになっている。なお、出力された電気信号は、ガイドピン31を経て電気配線基板11側に伝送される。
次に、上記構成の光電気複合配線構造体10の製造方法についてその一例を説明する。
まず、以下の手順により、あらかじめ光路変換部品71を作製しておく(光路変換部品作製工程)。まずPMMAを材料として金型成形を行い、突起73を有する光路変換部品71を一体形成する。このとき同時に位置合わせ穴78を形成してもよい。次に、ロジウムを含むペーストを作製し、同ペーストを突起73の傾斜面74に塗布し、かつ乾燥させて硬化する。その結果、厚さ数μmの金属膜75を形成し、光路変換部品71を完成させる。なお、金型成形後に精密ドリル加工を行って、位置合わせ穴78を形成しても勿論よい。
また、PMMAを材料として金型成形を行うことにより、マイクロレンズ83を有するマイクロレンズアレイ81をあらかじめ作製しておく(マイクロレンズアレイ作製工程)。このとき同時に位置合わせ穴88を形成してもよいが、金型成形後に精密ドリル加工を行うことで位置合わせ穴88を形成しても勿論よい。
また、以下の手順により、あらかじめ光導波路層61を作製しておく(光導波路層作製工程)。図示しないベース材上に、周知の手法によって下層のクラッド64用の樹脂材料(PMMA)を50μm〜70μmほど塗布しかつ乾燥させて、まず下層のクラッド64を形成する。同様の手法によって、下層のクラッド64の表面上にコア63を塗布形成し、さらにコア63及び下層のクラッド64の表面上に上層のクラッド64を塗布形成する。この後、全体を所定温度で所定時間加熱して、光導波路層61を構成するクラッド64及びコア63を硬化させる。次に、光導波路層61に対し炭酸ガスレーザによるレーザ穴明け加工を施すことにより、図3のような矩形状の部品挿入穴65を2箇所に形成する。なお、レーザ穴明け加工の代わりに、フォトリソグラフィを利用したエッチング加工を行ってもよい。具体的には、クラッド64やコア63の形成材料を塗布、乾燥した後に、その上面にフォトマスクを形成し、この状態でそれぞれ露光及び現像を行うようにする。
また、以下の手順により、あらかじめセラミックからなる光インターポーザ41を作製しておく。アルミナ粉末、有機バインダ、溶剤などを均一に混合・混練してなる原料を作製し、この原料を用いてプレス成形を行うことによりセラミック未焼結体である成形体を形成する。この成形体における所定部分にパンチ加工を施して、ビアホール用孔及び第1凹部44を形成する。
この段階ではまだセラミックが未焼結状態であるので、穴加工を比較的簡単にかつ低コストで行うことができる。第1穴明け工程では、焼成工程を経た時点における第1凹部44の内径が、位置合わせ穴48(第2凹部)の内径(約0.7mm)及びガイドピン31の直径(約0.7mm)よりも大きくなるように設定して、穴加工を行う。具体的には、1.2mm〜2.4mm程度に設定する。その理由は、セラミックは焼成工程を経ることで収縮し、それに伴って第1凹部44も小径化しかつ位置ズレするため、このことを計算に入れて第1凹部44を大きめに形成しておく必要があるからである。
そして次に、ペースト印刷装置を用いてビアホール用孔の中にビアホール導体用のタングステンペーストを充填するとともに、同時に当該タングステンペーストを第1凹部44にも充填する。また、成形体の表面にタングステンペーストを印刷することにより、後に導体回路46となる印刷層を形成する。次に、周知の手法に従って乾燥工程や脱脂工程などを行った後、さらにセラミックが焼結しうる温度にて焼成工程を行う。これにより成形体を焼結させ、キャビティを有する光インターポーザ本体42とする。この時点でセラミックは硬質化しかつ収縮すると同時に、タングステンペーストも焼結して硬質化する。ただし、焼結したタングステンペーストからなる導電性充填体43のほうが、アルミナに比べて硬度が低い。ゆえに、導電性充填体43に対する機械加工のほうが、アルミナに対する機械加工に比べて困難性が小さい。
そして得られた光インターポーザ本体42に、VCSEL51及びドライバIC53をはんだ付けして発光側の光インターポーザ41を完成させるとともに、フォトダイオード56及びレシーバIC58をはんだ付けして受光側の光インターポーザ41を完成させる。
また、以下の手順により、あらかじめ電気配線基板11を作製しておく。アルミナ粉末、有機バインダ、溶剤、可塑剤などを均一に混合・混練してなる原料スラリーを作製し、この原料スラリーを用いてドクターブレード装置によるシート成形を行って、所定厚みのグリーンシートを形成する。グリーンシートにおける所定部分にはパンチ加工を施し、ビアホール用孔及び第1凹部24を形成する。この段階ではまだセラミックが未焼結状態であるので、穴加工を比較的簡単にかつ低コストで行うことができる。第1穴明け工程では、焼成工程を経た時点における第1凹部24の内径が、位置合わせ穴28(第2凹部)の内径(約0.7mm)及びガイドピン31の直径(約0.7mm)よりも大きくなるように設定して、穴加工を行う。具体的には、1.2mm〜2.4mm程度に設定する。その理由は、セラミックは焼成工程を経ることで収縮し、それに伴って第1凹部24も小径化しかつ位置ズレするため、このことを計算に入れて第1凹部24を大きめに形成しておく必要があるからである。
そして次に、ペースト印刷装置を用いてビアホール用孔の中にビアホール導体用のタングステンペーストを充填するとともに、同時に当該タングステンペーストを第1凹部24にも充填する。また、グリーンシートの表面にタングステンペーストを印刷することにより、後に導体回路16,17となる印刷層を形成する。そして、これら複数枚のグリーンシートを積層してプレスすることにより一体化し、グリーンシート積層体とする。次に、周知の手法に従って乾燥工程や脱脂工程などを行った後、さらにセラミックが焼結しうる温度にて焼成工程を行う。これにより、グリーンシート積層体(セラミック未焼結体)を焼結させ、電気配線基板本体22とする。この時点でセラミックは硬質化しかつ収縮すると同時に、タングステンペーストも焼結して硬質化する。ただし、焼結したタングステンペーストからなる導電性充填体23のほうが、アルミナに比べて硬度が低い。ゆえに、導電性充填体23に対する機械加工のほうが、アルミナに対する機械加工に比べて困難性が小さい。言い換えると、導電性充填体23はアルミナに比べて加工性に優れているということになる。
次に、下記のような手順で順番に各部品を位置合わせしつつ固定する。
まず、ガイドピン31を電気配線基板11に支持させる。
専用の治具などを用いて、電気配線基板11の各位置合わせ穴28(第2凹部)にガイドピン31を圧入するようにして嵌合支持させる(図4参照)。次に、光導波路層61の各位置合わせ穴68に対してガイドピン31を嵌合支持させるようにして、電気配線基板11の上面に光導波路層61を積層配置する。続いて、光路変換部品71の各位置合わせ穴78に対してガイドピン31を嵌合支持させるようにして、光導波路層61の上面に光路変換部品71を積層配置する。このとき、併せて光路変換部品71の一部(突起73)を光導波路層61の部品挿入穴65内に挿入させる。その結果、突起73の傾斜面74にて形成された金属膜75がコア63の途上に配置され、かつ、金属膜75及びコア63の光軸が合った状態となる。続いて、マイクロレンズアレイ81の各位置合わせ穴88に対してガイドピン31を嵌合支持させるようにして、光路変換部品71の上面にマイクロレンズアレイ81を積層配置する。その結果、コア63、金属膜75及びマイクロレンズ83の光軸が合った状態となる。そして最後に、光インターポーザ41の各位置合わせ穴48に対してガイドピン31を嵌合支持させるようにして、マイクロレンズアレイ81の上面に光インターポーザ41を積層配置する。その結果、コア63、金属膜75、マイクロレンズ83及び発光部52(または受光部57)の光軸が合った状態となり、所望の光電気複合配線構造体10が完成する。
なお、上記位置合わせ工程の手順については上記のものに限定されず、例えば下記のような手順に変更してもよい。
図5に示される変更例1では、まず、光路変換部品71、マイクロレンズアレイ81及び光インターポーザ41の3部品を、ガイドピン31を介して互いに固定した構造体を製造しておく。そしてこの後、前記構造体から突出するガイドピン31の下端側を光導波路層61の位置合わせ穴68に嵌合支持させ、さらに電気配線基板11の位置合わせ穴28に嵌合支持させるようにする。
図6に示される変更例2では、まず、光導波路層61、光路変換部品71、マイクロレンズアレイ81及び光インターポーザ41の4部品を、ガイドピン31を介して互いに固定した構造体を製造しておく。そしてこの後、前記構造体から突出するガイドピン31の下端側を電気配線基板11の位置合わせ穴28に嵌合支持させるようにする。
図7に示される変更例3では、まず、光導波路層61、光路変換部品71及びマイクロレンズアレイ81の3部品を、ガイドピン31を介して互いに固定した構造体を製造しておく。そしてこの後、前記構造体から突出するガイドピン31の上端側を光インターポーザ41の位置合わせ穴48に嵌合支持させる。また、ガイドピン31の下端側を電気配線基板11の位置合わせ穴28に嵌合支持させるようにする。
従って、本実施形態によれば以下の効果を得ることができる。
(1)本実施形態の光電気複合配線構造体10では、ガイドピン31が各部品の位置合わせ穴28,48,68,78,88に対して嵌合することで、より積極的にかつ高い精度で部品同士の光軸が合った状態となる。ゆえに、光の伝送ロスが小さく、高速度化・高密度化等に十分に対応しうる光電気複合配線構造体10を実現することができる。
(2)この光電気複合配線構造体10は、個別に作製しておいた各部品を組み立てることで得られるため、低コスト化に向いている。また、本実施形態の場合、各部品は接着剤等を用いることなくガイドピン31を介して固定されているにすぎないので、必要に応じて着脱することが可能である。従って、一部の部品に不良があるような場合であっても、その不良部品のみを取り外して交換する修正作業を容易に行うことができる。勿論このことは光電気複合配線構造体10の低コストにも寄与しうる。
(3)この光電気複合配線構造体10によると、各部品を個別に作製することが可能となり、その結果としてそれぞれの部品を形成する材料の選択の余地が広くなる。具体的にいうと、電気配線基板11や光インターポーザ41と、光導波路層61とを別部品として構成できるため、光導波路層61に高い耐熱性を付与しなくてもよくなり、その材料の選択の余地が広くなる。
[第2実施形態]
次に、図8,図9に基づいて、第2実施形態の光電気複合配線構造体10について説明する。なお、ここでは第1実施形態との相違点のみについて言及し、共通点については同じ部材番号を付すのみとしてその詳細な説明を省略する。
第1実施形態では、光路変換部品71とマイクロレンズアレイ81とを別個の部品として構成していた。これに対して本実施形態では、両者の機能を兼ね備えた部品である、マイクロレンズ付き光路変換部品91(光路変換部付きのマイクロレンズアレイ)が使用されている。即ち、このマイクロレンズ付き光路変換部品91は、第1実施形態の光路変換部品71の光路変換部品本体72の上面にマイクロレンズ83が一体形成された構成を有している。
従って、この構成によると、マイクロレンズアレイ本体82がなくなる分だけ部品全体を薄く形成することが可能となる。ゆえに、光導波路層61と光学素子との距離の増大を回避することができ、ひいては光の伝送ロスの低減につながる。また、この構成によれば部品点数の増加を防止することができる。
なお、本発明の実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、電気配線基板11及び光インターポーザ41がアルミナ配線基板であったが、これをアルミナ以外のセラミックからなる配線基板に変更してもよく、あるいは樹脂配線基板などに変更してもよい。
・上記実施形態では、電気配線基板11及び光インターポーザ41の第1凹部24,44に、ビアホール導体用のタングステンペーストを充填することにより、導電性充填体23,43を形成していた。しかし、タングステンペーストに代わるものとして、例えば銅ペーストなどを使用することも可能である。また、電気配線基板11及び光インターポーザ41を低温焼成ガラスセラミック配線基板とすれば、焼成工程を経てセラミックが焼結する際に同時に銅ペーストも焼結させることができる。
・上記実施形態では、位置合わせ用ガイド部材であるガイドピン31を一種の導体としても機能させていたが、特にそのように機能させなくてもよい。この場合には、導電性を有しない材料を用いて第1凹部24,44を埋めて、そこに第2凹部を形成するようにしてもよい。なお、ガイドピン31を導体として機能させない構成を採用した場合には、例えば、ボンディングワイヤを介して光インターポーザ41側と電気配線基板11側とを電気的に接続すればよい。
・第1実施形態では、電気配線基板11、光導波路層61、光路変換部品71、マイクロレンズアレイ81、光インターポーザ41という順序で各部品を積層配置していた。各部品の積層順序は勿論これに限定されることはなく、例えば、下側から順に、電気配線基板11、光インターポーザ41、マイクロレンズアレイ81、光路変換部品71、光導波路層61としてもよい。
次に、特許請求の範囲に記載された技術的思想のほかに、前述した実施形態によって把握される技術的思想を以下に列挙する。
(1)前記光学素子搭載基板側位置合わせ凹部、前記電気配線基板側位置合わせ凹部、前記光導波路層側位置合わせ凹部及び前記光路変換部品側位置合わせ凹部は精密加工穴であり、前記位置合わせ用ガイド部材は前記精密加工穴に嵌合支持された導電性金属からなるガイドピンであることを特徴とする請求項1または2に記載の光電気複合配線構造体。
(2)前記光学素子搭載基板側位置合わせ凹部、前記電気配線基板側位置合わせ凹部、前記光導波路層側位置合わせ凹部、前記光路変換部品側位置合わせ凹部及び前記マイクロレンズアレイ側位置合わせ凹部は精密加工穴であり、前記位置合わせ用ガイド部材は前記精密加工穴に嵌合支持された導電性金属からなるガイドピンであることを特徴とする請求項3に記載の光電気複合配線構造体。
(3)光学素子搭載基板側位置合わせ凹部が形成されたセラミック基板からなる光学素子搭載基板本体と、前記光学素子搭載基板本体上に搭載され、発光部及び受光部のうちの少なくとも一方を有する光学素子とを有する光学素子搭載基板と、電気配線基板側位置合わせ凹部が形成されたセラミック基板からなる電気配線基板本体を有する電気配線基板と、光導波路層側位置合わせ凹部が形成された光導波路層本体と、前記光導波路層本体に形成されたコアと、前記コアを取り囲むべく前記光導波路層本体に形成されたクラッドとを有する光導波路層と、光透過性材料からなり、光路変換部品側位置合わせ凹部が形成された光路変換部品本体を有する光路変換部品と、前記光学素子搭載基板側位置合わせ凹部、前記電気配線基板側位置合わせ凹部、前記光導波路層側位置合わせ凹部及び前記光路変換部品側位置合わせ凹部に対して嵌合可能な位置合わせ用ガイド部材とを備え、前記光学素子搭載基板本体には光学素子搭載基板第1凹部が形成され、その光学素子搭載基板第1凹部の内部には基板材料であるセラミックよりも加工性に優れた充填体が配置され、前記充填体には、前記光学素子搭載基板第1凹部よりも小径の前記光学素子搭載基板側位置合わせ凹部が形成されるとともに、前記電気配線基板本体には電気配線基板第1凹部が形成され、その電気配線基板第1凹部の内部には、前記充填体が配置され、前記充填体には、前記電気配線基板第1凹部よりも小径の前記電気配線基板側位置合わせ凹部が形成されていることを特徴とする光電気複合配線構造体。
(4)技術的思想(3)に記載の光電気複合配線構造体の製造方法において、後に前記光学素子搭載基板本体となるセラミック未焼結体、及び、後に前記電気配線基板本体となるセラミック未焼結体をそれぞれ作製する未焼結体作製工程と、穴加工を行うことにより前記セラミック未焼結体にそれぞれ前記光学素子搭載基板第1凹部及び電気配線基板第1凹部を形成する第1穴明け工程と、前記セラミック未焼結体を焼結させて前記光学素子搭載基板本体及び前記電気配線基板本体とする焼成工程と、前記光学素子搭載基板第1凹部及び電気配線基板第1凹部内に前記充填体を設ける充填工程と、前記充填工程後に穴加工を行うことにより前記充填体に前記光学素子搭載基板側位置合わせ凹部及び前記電気配線基板側位置合わせ凹部を形成する第2穴明け工程と、を含むことを特徴とする光電気複合配線構造体の製造方法。