JP4196540B2 - ブレーキ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は複数の動力駆動源を備えたブレーキ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
(a)第1動力駆動源を備え、車輪のブレーキシリンダの液圧を、運転者によるブレーキ操作部材の操作状態に基づいて制御する第1液圧制御装置と、(b)第2動力駆動源を備え、前記ブレーキシリンダの液圧を、前記車輪のスリップ状態が適正状態に保たれるように制御する第2液圧制御装置とを含むブレーキ装置の一例が特開平5−65060号公報に記載されている。このブレーキ装置において、第1液圧制御装置の異常が検出された場合には、第1液圧制御装置によるブレーキ液圧の制御が中止されて、ブレーキシリンダにマスタシリンダが連通させられ、マスタシリンダの液圧によりブレーキが作動させられる。
【0003】
【本発明が解決しようとする課題、課題解決手段および効果】
本発明は、上述のようにそれぞれ動力駆動源を備えた複数の液圧制御装置を含むブレーキ装置において、液圧制御装置の有効利用を図ることである。各態様は、請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまで、本明細書に記載の技術の理解を容易にするためであり、本明細書に記載の技術的特徴およびそれらの組み合わせが以下の各項に限定されると解釈されるべきではない。また、1つの項に複数の事項が記載されている場合、常に、すべての事項を一緒に採用しなければならないものではなく、一部の事項のみを取り出して採用することも可能である。
【0004】
(1)第1動力駆動源を備え、車輪のブレーキシリンダの液圧を、運転者によるブレーキ操作部材の操作状態に基づいて制御する第1液圧制御装置と、
その第1液圧制御装置の異常を検出する異常検出装置と、
第2動力駆動源を備え、前記ブレーキシリンダの液圧を、前記車輪のスリップ状態が適正状態に保たれるように制御するスリップ時液圧制御部と、前記異常検出装置によって前記第1液圧制御装置の異常が検出された場合に、前記ブレーキシリンダの液圧を、前記ブレーキ操作部材の操作状態に基づいて制御する異常時液圧制御部とを含む第2液圧制御装置と
を含むブレーキ装置であって、
当該ブレーキ装置が、前記ブレーキ操作部材に連携させられた加圧ピストンを含み、その加圧ピストンの前方の加圧室に、運転者による前記ブレーキ操作部材の操作に応じて液圧を発生させるマスタシリンダを含む作動液供給装置を含み、
前記第2液圧制御装置が、 (a) 前記第2動力駆動源としての電動モータと、 (b) その電動モータにより作動させられ、前記マスタシリンダの加圧室の作動液を汲み上げて加圧するポンプとを含むことを特徴とするブレーキ装置(請求項1)。
本項に記載のブレーキ装置においては、第1液圧制御装置の異常時には、第2液圧制御装置が第1液圧制御装置の代わりにブレーキシリンダの液圧を制御するのであり、第2液圧制御装置を有効に利用することができる。そのため、例えば、第1液圧制御装置の異常時であっても、ブレーキシリンダの液圧をマスタシリンダの液圧より高い値に制御することが可能となる。あるいは、異常時にマスタシリンダに連通させられる場合に比較して、ブレーキ操作部材の所要操作ストロークと所要操作力との少なくとも一方が大きくなることを回避することができ、あるいは運転者の違和感を軽減することができる。
異常検出装置は、第1液圧制御装置の異常、すなわち、第1液圧制御装置が、ブレーキシリンダの液圧を制御不能な状態あるいは適切に制御し得ない状態にあることを検出するものである。例えば、第1動力駆動源等のサーボ系の異常を検出するものとしたり、第1液圧制御装置が液圧制御弁装置を含む場合における液圧制御弁装置の異常、換言すれば、制御系の異常を検出するものとしたりすることができる。
また、第2液圧制御装置が動力式液圧源としてのポンプ装置を含む。そして、第2液圧制御装置に含まれるポンプによってマスタシリンダの加圧室の作動液が汲み上げられて加圧されて、ブレーキシリンダに供給される。
ポンプは、加圧した作動液をブレーキシリンダに直接供給するものであっても、間接的に供給するものであってもよい。間接的に供給するものとしては、図9に示すように、ポンプから吐出された作動液が液圧制御シリンダの後方液圧室に供給され、それによって、制御ピストンが前進させられて、前方の制御圧室の作動液がブレーキシリンダに供給される場合が該当する。
低圧源の作動液を汲み上げる場合より、ブレーキシリンダの液圧を同じ高さに制御する場合に、電動モータの消費エネルギを低減させることができる。
( 2 )前記マスタシリンダの加圧室と前記ポンプとの間に、これらを連通させる連通状態とこれらを遮断する遮断状態とに切り換え可能な流通制御弁を設けた(1) 項に記載のブレーキ装置(請求項2)。
流通制御弁は、例えば、ブレーキシリンダの液圧が第2液圧制御装置により制御される場合に連通状態に切り換えられ、それ以外の場合に遮断状態に切り換えられるようにすることができる。ブレーキシリンダの液圧が第2液圧制御装置によって制御される場合に連通状態にすれば、作動液不足が生じることを回避することができる。
また、作動液が不要な場合に遮断状態にしておくことができる。例えば、スリップ制御中には、作動液不足が生じることはないのが普通であるため、遮断状態にしておく方が望ましい。
( 3 ) 前記第1液圧制御装置が、それぞれ1つ以上のブレーキシリンダを含む2つのブレーキ系統を含むとともに、(e)ハウジングと、(f)そのハウジング内を2つの液圧室に仕切り、これら2つの液圧室の液圧に基づいて移動させられるピストンとを含む圧力伝達シリンダを含み、かつ、前記2つのブレーキ系統の各ブレーキシリンダが、前記2つの液圧室の各々に接続された(1)項または (2) 項のいずれか1つに記載のブレーキ装置(請求項4)。
圧力伝達シリンダにおいて、ピストンは2つの液圧室の液圧に基づいて移動させられる。その結果、2つの液圧室の液圧各々は予め定められた関係を有した高さに制御されるのであり、2つのブレーキ系統の各ブレーキシリンダの液圧は、それぞれ、予め定められた関係を有した高さになる。圧力伝達シリンダは、2つの液圧室の液圧が同じ高さになるように設計することができる。ピストンは、上述のように両側の液圧室の液圧に基づいて作動させられるものであるため、差動ピストンと称することができる。また、動力駆動源による駆動力等の外力によって作動させられるものではないため、浮動ピストンと称することもできる。
( 4 )前記異常時液圧制御部が、前記2つのブレーキ系統のうちの一方のブレーキシリンダの液圧を制御して、他方のブレーキ系統のブレーキシリンダの液圧を制御しない片ブレーキ系統液圧制御部である(3) 項に記載のブレーキ装置。
圧力伝達シリンダの2つの液圧室の液圧は、予め定められた関係を有した高さにされるため、一方の液圧室の液圧が決まれば他方の液圧室の液圧が決まる。したがって、一方の液圧室の液圧を制御すればよいのであり、一方のブレーキ系統のブレーキシリンダの液圧を制御すればよい。
( 5 )前記2つのブレーキ系統の一方が前輪の回転を抑制するブレーキのブレーキシリンダを含み、他方のブレーキ系統が後輪の回転を抑制するブレーキのブレーキシリンダを含み、前記片ブレーキ系統液圧制御部が、前輪側のブレーキ系統のブレーキシリンダの液圧を制御する前輪ブレーキ系統液圧制御部である(4) 項に記載のブレーキ装置。
( 6 )前記第1液圧制御装置が、(I)(g)ハウジングと、(h)前記第1動力駆動源の作動に基づいて作動させられる駆動ピストンと、(i)前記ハウジング内の前記駆動ピストンの前方を2つの液圧室に仕切り、これら2つの液圧室の液圧に基づいて移動させられる従動ピストンとを含む液圧シリンダと、(II)前記第1動力駆動源の作動に基づいて前記駆動ピストンに加えられる駆動力を制御することによって、前記2つの液圧室の液圧を制御する液圧制御部とを含む(1)項または (2) 項に記載のブレーキ装置(請求項5)。
駆動ピストンには第1動力駆動源の作動によって駆動力が直接加えられる場合と間接的に加えられる場合とがある。間接的に加えられる場合には、第1動力駆動源の作動に基づいて駆動ピストンの後方の液圧室の液圧が制御され、その液圧に応じた駆動力が駆動ピストンに加えられる場合が該当する。
( 7 ) 前記マスタシリンダが前記加圧室を2つ含み、前記第1液圧制御装置の前記2つの液圧室に、それぞれ、前記加圧室が接続され、前記第2液圧制御装置が、前記第1液圧制御装置と前記前記ブレーキシリンダとの間に設けられた (3) 項ないし (6) 項のいずれか1つに記載のブレーキ装置(請求項6)。
( 8 )前記第1液圧制御装置が、前記第1動力駆動源を含む動力式液圧源と、その動力式液圧源の液圧を制御する液圧制御弁装置とを含み、その液圧制御弁装置によって制御された液圧の作動液をブレーキシリンダに供給する(1)項ないし(7) 項のいずれか1つに記載のブレーキ装置。
液圧制御弁装置は複数の電磁開閉弁を含むものとしたり、自身の差圧を供給電流に応じた大きさに制御するリニア制御弁を含むものとしたりすることができる。液圧制御弁装置の制御により、ブレーキシリンダの液圧が制御される。動力液圧源はポンプを含むものとしたり、アキュムレータを含むものとしたりすることができる。
( 9 )当該ブレーキ装置が、前記ブレーキ操作部材に連結させられた加圧ピストンを含み、加圧ピストンの前方の加圧室の作動液をブレーキシリンダに供給可能なマスタシリンダを含み、
前記第1液圧制御装置が、
前記第1動力駆動源を含む動力式液圧源と、
その動力式液圧源の液圧を利用して前記加圧ピストンの後方の液圧室の液圧を制御する後方液圧制御部とを含む(1)項ないし(8)項のいずれか1つに記載のブレーキ装置。
本項に記載のブレーキ装置においては、加圧ピストンに加わる助勢力を制御することによって加圧室の液圧を制御し、マスタシリンダの加圧室に接続されたブレーキシリンダの液圧を制御する。第1液圧制御装置は、液圧ブースタを含むものであると考えることができる。
( 10 )前記第2液圧制御装置が、前記第2動力駆動源を含む動力式液圧源と、その動力式液圧源の液圧を利用して、前記ブレーキシリンダの液圧を制御する液圧制御弁装置とを含む(1)項ないし(9) 項のいずれか1つに記載のブレーキ装置。
異常時液圧制御部は、第2動力液圧源への供給動力を制御することによってブレーキ液圧を制御するものであっても、液圧制御弁装置を制御することによって、ブレーキ液圧を制御するものであってもよい。
( 11 )前記第2液圧制御装置が、前記スリップ時液圧制御部の制御によって前記ブレーキシリンダから流出させられた作動液を収容する減圧用リザーバの作動液を汲み上げてブレーキシリンダに供給するポンプと、そのポンプを駆動する第2動力駆動源としての電動モータとを含む(1)項ないし(10)項のいずれか1つに記載のブレーキ装置。
本項に記載のブレーキ装置においては、減圧用リザーバに収容された作動液を液通路に戻すための作動液還流用ポンプが利用される。
( 12 )(m)前記マスタシリンダとマスタシリンダとの間で作動液の授受が行われるマスタリザーバとのいずれか一方と、前記減圧用リザーバとを接続する作動液供給路と、(n)その作動液供給路を経て減圧用リザーバへの作動液の供給を許容する状態と阻止する状態とに切り換え可能な供給制御弁とを含む(11) 項に記載のブレーキ装置。
供給制御弁は、作動液供給路の途中に設けたり、減圧用リザーバに設けたりすることができる。
( 13 )前記スリップ時液圧制御部が、
前記車輪の制動スリップ状態が適正状態に保たれるように制御するアンチロック制御部と、
前記車輪の駆動スリップ状態が適正状態に保たれるように制御するトラクション制御部と、
前記車輪の横方向のスリップ状態が適正状態に保たれるように制御するビークルスタビリティ制御部との少なくとも1つを含む(1)項ないし(12) 項のいずれか1つに記載のブレーキ装置。
( 14 )前記スリップ時液圧制御部によるブレーキ液圧制御が、前記異常時液圧制御部によるブレーキ液圧制御より優先して行われる(1)項ないし(13) 項のいずれか1つに記載のブレーキ装置(請求項3)。
スリップ時液圧制御部によるブレーキ液圧の制御が優先して行われるようにすれば、車両の制動安定性を向上させることができる。
( 15 )前記第1液圧制御装置と第2液圧制御装置とが、前記マスタシリンダとブレーキシリンダとの間に直列に設けられた(1)項ないし(14) 項のいずれか1つに記載のブレーキ装置。
第1液圧制御装置と第2液圧制御装置とは並列に設けることもできる。
( 16 )前記マスタシリンダと前記ブレーキシリンダとを接続する液通路に、前記マスタシリンダを前記第1液圧制御装置と第2液圧制御装置との両方から遮断するマスタ遮断弁を含む(1)項ないし(15) 項のいずれか1つに記載のブレーキ装置。
第1液圧制御装置におけるブレーキ液圧制御および第2液圧制御装置におけるブレーキ液圧制御は、マスタシリンダから遮断された状態で行われる。
( 17 )前記第1動力駆動源と第2動力駆動源とが互いに異なる電源から供給された電力によって作動させられるものである(1)項ないし(16) 項のいずれか1つ記載のブレーキ装置(請求項7)。
第1動力駆動源と第2動力駆動源とを、それぞれ異なる電源から供給される電力によって作動させられるものとすれば、一方の電源の電圧降下時においても他方の電源に接続された駆動源を作動させることができるのであり、フェールセーフ上で有効である。
異なる電源には、供給電圧、電流等の電源容量が互いに異なるもの、バッテリと発電機とのように種類が異なるもの、補機用バッテリと駆動用バッテリとのように主な供給先の装置が異なるもの、また、フロント側とリア側とにおけるように搭載位置が異なるもの等が該当する。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態であるブレーキ装置について図面に基づいて詳細に説明する。
10は液圧シリンダとしてのマスタシリンダであり、12はブレーキ液圧制御装置としての液圧制御シリンダである。また、14,16は、前輪18、後輪20の回転を抑制するブレーキ22,24のブレーキシリンダである。ブレーキシリンダ14,16は、液圧制御シリンダ12を介してマスタシリンダ10に接続される。
【0006】
マスタシリンダ10は、ハウジング28に液密かつ摺動可能に設けられた2つの加圧ピストン30,32を含み、加圧ピストン30は、ブレーキ操作部材としてのブレーキペダル34に連携させられている。加圧ピストン32の前方の加圧室36には前輪18のブレーキシリンダ14が接続され、加圧ピストン30の前方の加圧室38には後輪20のブレーキシリンダ16が接続されている。2つの加圧室36,38には同じ高さの液圧が発生させられる。
加圧ピストン30は、段付き形状を成したものであり、小径部42において加圧室38に対向する。また、大径部44と小径部42との段部とハウジング28とによって環状室46が形成される。加圧ピストン30には環状室46と加圧室38とを連通させる連通路48が設けられ、連通路48の途中に、環状室46から加圧室38へ向かう作動液の流れを許容し、逆向きの流れを阻止する逆止弁50が設けられている。
【0007】
環状室46には流通制限装置52を介してリザーバ54が接続されている。リザーバ54には作動液がほぼ大気圧で蓄えられている。流通制限装置52は、リザーバ54から環状室46へ向かう方向の作動液の流れを許容し、逆向きの流れを阻止する逆止弁55と、環状室46の液圧がリザーバ54の液圧より設定圧(リリーフ圧)以上高い場合に、環状室46からリザーバ54への作動液の流れを許容するリリーフ弁56と、オリフィス57とが互いに並列に設けられたものである。
【0008】
加圧ピストン30の前進(図の左方)に伴って環状室46、加圧室38の液圧が増加させられる。環状室46の液圧はリリーフ弁56のリリーフ圧に達するまで増加させられる。環状室46の液圧が加圧室38の液圧より高い間は、環状室46の作動液が逆止弁50を経て加圧室38に供給され、ブレーキシリンダ16に供給される。本実施形態においては、リリーフ圧がほぼファーストフィルが終了する高さとされている。ファーストフィルが終了するまでの間は、作動液が、環状室46と加圧室38との両方からブレーキシリンダ16に供給されることになり、ファーストフィルを速やかに終了させることができる。
【0009】
環状室46の液圧がリリーフ圧に達すると、作動液はリリーフ弁56を経てリザーバ54に流出させられる。この状態においては、加圧室38の液圧の方が環状室46の液圧より高くなるが、逆止弁50により加圧室38の作動液が環状室46に流れることが阻止される。ブレーキシリンダ14,16には、加圧室36,38から作動液が供給されて環状室46から作動液が供給されることがない。
この意味において、流通制限装置52はファーストフィル装置と考えることができる。ファーストフィル装置52は、少なくともリリーフ弁56を含むものであればよく、オリフィス57,逆止弁55は不可欠ではない。
【0010】
それ以降は、加圧ピストン30の前進に伴って加圧室38の液圧が加圧される。この場合には、加圧室38の液圧が小径部42によって加圧されるため、大径部44で加圧(環状室46と加圧室38との両方の液圧が加圧)される場合に比較して、ブレーキペダル34の操作力が同じである場合の加圧室38の液圧が高くなる。倍力率が高くなるのである。なお、環状室46とリザーバ54とはオリフィス57を介して接続されるため、加圧ピストン30がほぼ定常状態にある場合には、環状室46の液圧はほぼ大気圧にある。
また、加圧ピストン32が後退させられる場合には、環状室46の容積が増加させられるが、環状室46の容積の増加に伴ってリザーバ54から逆止弁55を経て作動液が供給されるため、環状室46が負圧になることが回避される。
【0011】
大径部44の断面積(受圧面積)がAm1であり、小径部42の断面積がAm3である場合に、ブレーキシリンダ16とマスタシリンダ10との連通状態において加圧ピストン30のストロークがΔLである場合に、加圧室38から流出する作動液量qは、ファーストフィルが終了する以前は、(Am1・ΔL)であり、ファーストフィルが終了した後は、(Am3・ΔL)である(Am1>Am3)。
また、踏力の増加量に対応する液圧の増加量がΔPFである場合において、加圧室38の液圧は、ファーストフィルが終了する以前は増加勾配ΔPM (=ΔPF)で増加させられるのに対し、ファーストフィルが終了した後は増加勾配ΔPM
(=ΔPF・Am1 /Am3)で増加させられる。
このように、ファーストフィルが終了する以前は、ストロークの変化速度が同じ場合に、ブレーキシリンダに大きな流量で作動液を供給することができ、ファーストフィルが終了した後は、踏力の増加量が同じ場合に大きな増圧勾配でブレーキシリンダの液圧を増加させることができる。
【0012】
流通制限装置52と並列に電磁開閉弁58が設けられている。電磁開閉弁58が遮断状態にある場合には、環状室46からリザーバ54への作動液の流れが流通制限装置52によって制限され、電磁開閉弁58が連通状態にある場合には、環状室46からリザーバ54へ主として電磁開閉弁58を経て作動液が流出させられる。環状室46の液圧が設定液圧より低い場合にも作動液の流出が許可される。換言すれば、電磁開閉弁58が遮断状態にある場合に流通制限装置52が有効化され、連通状態にある場合に無効化されるのであり、電磁開閉弁58によって、ファーストフィル状態切換装置が構成される。
【0013】
ハウジング28の加圧室36,38に対応する部分には、それぞれ、一対のカップシール60,61が設けられている。また、これらカップシール60,61の間にそれぞれポート63,64が設けられ、リザーバ54から延び出させられた液通路66,67がそれぞれ接続されている。加圧ピストン32,30には、それぞれ連通路69,70が形成され、これら連通路69,70がポート63,64に対向する状態で、加圧室36,38がリザーバ54に連通させられ、加圧室36,38からリザーバ54への作動液の流れが許容される。加圧室36,38からリザーバ54への作動液の流れが許容される位置、すなわち、連通路69,70とポート63,64とが対向する位置が後退端位置である。加圧ピストン30の後退端位置は、ストッパ71によって規定される。また、ハウジング28の底部と加圧ピストン32との間、加圧ピストン30,32の間にはそれぞれリターンスプリング73,74が設けられており、それによって、加圧ピストン32の後退端位置が決まる。
【0014】
加圧室36には、液通路76によって液圧制御シリンダ12が接続されている。液通路76の途中にはストロークシミュレータ78が設けられている。
ストロークシミュレータ78は、ハウジング内に摺動可能に設けられ、ハウジング内を2つの容積室に仕切るシミュレータピストン80と、シミュレータピストン80を一方の容積室の容積が減少する方向に付勢するスプリング82とを含む。シミュレータピストン80の一方の側の第1容積室86には前述の加圧室36が接続され、他方の第2容積室88には液圧制御シリンダ12が接続されている。前述のスプリング82は第2容積室88に、第1容積室86の容積を減少する状態で配設される。
ブレーキペダル34の操作に伴って第1容積室86の容積が変化させられ、それに応じてスプリング82が弾性変形させられ、それに応じた反力がブレーキペダル34に加えられる。
【0015】
加圧室36には、液通路90によって前輪18のブレーキシリンダ14が接続され、加圧室38には、液通路92によって後輪20のブレーキシリンダ16が接続される。本実施形態におけるブレーキ装置は、前後2系統式である。
液通路90,92の途中には、それぞれ、電磁開閉弁であるマスタ遮断弁94,96が設けられている。マスタ遮断弁94,96の開閉により、ブレーキシリンダ14,16がマスタシリンダ10に連通させられたり、遮断されたりする。マスタ遮断弁94,96は電流が供給されない状態で開状態にある常開弁である。
【0016】
また、マスタ遮断弁94,96と並列に、それぞれ、逆止弁97,98が設けられている。逆止弁97,98は、マスタ遮断弁94,96のマスタシリンダ側からブレーキシリンダ側への作動液の流れを許容し、逆向きの流れを阻止するものであり、マスタ遮断弁94,96が閉状態にあっても、マスタシリンダ側の液圧がブレーキシリンダ側の液圧より高くなれば、ブレーキシリンダ側への作動液の供給が許容される。
【0017】
液通路90、92のマスタ遮断弁94,96の下流側には液圧制御シリンダ12が設けられている。
液圧制御シリンダ12は、第1動力駆動源としての電動の第1モータ100の作動に基づいて作動させられる。第1モータ100は、正・逆両方向に作動可能なものであり、第1モータ100の回転運動は運動変換装置102によって直線運動に変換される。液圧制御シリンダ12は、ハウジング104に液密かつ摺動可能に設けられた制御ピストン106,108等を含む。制御ピストン106の外周部にはOリング109が設けられ、液密に保たれる。制御ピストン106は、運動変換装置102の出力軸としての駆動軸110の移動に伴って移動させられる。制御ピストン106は、第1モータ100の作動により前進、後退させられる。この意味において、制御ピストン106は駆動ピストンと称することができる。なお、Oリングの代わりにカップシールとすることもできる。
図に示すように、電動モータ100の出力軸111の回転は、一対のギヤ112,114を介して回転軸116に伝達され、回転軸116の回転が運動変換装置102によって直線運動に変換されて、駆動軸110に出力される。
本実施形態においては、運動変換装置102は、逆効率のよい回転・直線運動変換機構、例えば、ボールねじ機構を含むものとすることができる。運動変換装置102等によって駆動力伝達装置が構成される。
【0018】
制御ピストン106、108の前方(図の右方)の制御圧室120,122には、それぞれ、前輪18,後輪20のブレーキシリンダ14,16が接続されている。制御圧室120,122を介して、マスタシリンダ10とブレーキシリンダ14,16とが接続されている。
【0019】
制御ピストン106,108は、互いに同心かつ直列に配設されている。また、2つの制御ピストン106,108の間、制御ピストン108とハウジング104との間にはスプリング124、126が設けられている。制御ピストン108は、それの両側の制御圧室120,122の液圧に基づいて移動させられるのであるが、制御ピストン108の制御圧室120、122に対向する受圧面の面積はほぼ同じであり、スプリング124,126の付勢力がほぼ同じにされているため、定常状態においては、2つの制御圧室120,122の液圧は等しい高さとされる。この意味において、制御ピストン108を浮動ピストン、差動ピストン、従動ピストンと称することができる。前輪18、後輪20のブレーキシリンダ14,16には、それぞれ、同じ高さの液圧の作動液が供給される。第1モータ100の制御により、ブレーキシリンダ14,16の液圧が共通に増圧・減圧させられる。制御ピストン108はハウジング104に、シール部材127を介して液密に摺動可能に嵌合されているが、シール部材127によって制御圧室120,122が隔離され、2つの系統が独立とされている。このように、ハウジング104,制御ピストン108、スプリング124,126等により圧力伝達シリンダが構成される。
なお、シール部材127はハウジング104に設けても、制御ピストン108に設けてもよい。
【0020】
また、制御ピストン106の後方(図の左方)の後方液圧室128にはリザーバ通路130によってリザーバ54が接続され、リザーバ通路130には電磁開閉弁132が設けられている。電磁開閉弁132は電流が供給されない間、閉状態にある常閉弁であり、マスタ遮断弁94,96が連通状態にある場合に閉状態とされ、マスタ遮断弁94,96が遮断状態にある場合に開状態とされる。電磁開閉弁132が開状態にある場合には、ストロークシミュレータ78の第2容積室88の容積変化が許容されるため、ストロークシミュレータ78が作動許容状態にあるが、閉状態にされると、第2容積室88の容積変化が阻止されるため、ストロークシミュレータ78の作動が阻止される。
電磁開閉弁132は、ストロークシミュレータ78を作動許可状態と作動阻止状態とに切り換える切換え可否装置であると考えることができる。
さらに、電磁開閉弁132と並列に逆止弁133が設けられている。逆止弁133は、リザーバ54から後方液圧室128への作動液の流れを許容し、逆向きの流れを阻止するものである。逆止弁133により、後方液圧室128の容積増加量が大きくても、負圧になることを回避することができる。
【0021】
制御ピストン106は、第1モータ100の回転によって前進させられるのであり、制御ピストン106の前進に伴って後方液圧室128の容積が増加させられる。後方液圧室128には、前述のように第2容積室88またはリザーバ54から作動液が供給される。後方液圧室128の液圧は大気圧になる。
また、制御ピストン106には第1モータ100の駆動トルクに応じた駆動力が加えられるのであるが、制御圧室120,122の液圧は、制御ピストン106に加えられる駆動力に対応する高さに制御される。駆動力、すなわち、第1モータ100への供給電流は、制御圧室120,122の液圧が、後述する目標ブレーキ液圧に近づくように制御される。
図の144はスラストベアリングであり、146はラジアルベアリングである。これらによって、軸方向力および半径方向力が受けられる。また制御圧室側から受ける軸方向力はフランジ148によって受けられる。
【0022】
前記液通路90,92の液圧制御シリンダ12の下流側には、それぞれ、液圧制御弁装置166,168が設けられている。液圧制御弁装置166、168はそれぞれ、保持弁170および減圧弁172を含む。保持弁170は液圧制御シリンダ12とブレーキシリンダ14,16との間に設けられ、減圧弁172は、ブレーキシリンダ14,16と減圧用リザーバ174との間に設けられ、これら保持弁170,減圧弁172の制御により、各車輪18,20のブレーキシリンダ14.16の液圧が別個に制御される。
減圧用リザーバ174からは、ポンプ通路180が延び出させられており、液通路90.92の保持弁170の上流側で液圧制御シリンダ12の下流側の部分に接続されている。ポンプ通路180の途中には、ポンプ182,逆止弁184,185,186およびダンパ187が設けられている。ポンプ182は第2モータ188の駆動によって作動させられる。ポンプ182および第2モータ188等により動力式液圧源189が構成される。ポンプ182は作動液還流用のものであり、ポンプ182の作動により、減圧用リザーバ174にある作動液が汲み上げられて液通路90,92に戻される。
【0023】
また、マスタシリンダ10とポンプ182の吸入側とが作動液供給通路190,192によって接続される。図1に示すように、液通路90、92のマスタ遮断弁94,96よりマスタシリンダ側の部分とポンプ通路180の逆止弁185よりポンプ182側の部分(2つの逆止弁184,185の間の部分)とが接続されているのである。液通路190,192にはそれぞれ常閉弁である流通制御弁194,196が設けられている。流通制御弁194,196が閉状態から開状態に切り換えられると、マスタシリンダ10からポンプ182へ作動液が供給され、ポンプ182によって加圧されてブレーキシリンダ14,16に供給される。上述のように、液通路190,192がポンプ通路180の逆止弁185よりポンプ側に接続されているため、マスタシリンダ10から供給された高圧の作動液が減圧用リザーバ174に戻されることなく汲み上げられることになり、同じ高さの液圧の作動液が吐出される場合に、第2モータ188の消費電力を低減させることができる。
【0024】
本ブレーキ装置は、図2に示すブレーキECU200によって制御される。ブレーキECU200は,コンピュータを主体とする第1制御部202および第2制御部203と複数の駆動回路とを含む。第1制御部202は、CPU204、ROM205、RAM206、入・出力部207等を含み、第2制御部203は、CPU208、ROM209、RAM210、入・出力部211等を含む。
【0025】
また、本実施形態においては、図5に示すように、第1制御部202および第1モータ100が36Vの第1バッテリ212に接続され、第2制御部203および第2モータ188が12Vの第2バッテリ214に接続されている。第1バッテリ212はオルタネータ216によって発電された電力を蓄える。また、12Vバッテリ214にはDC/DCコンバータ218を介して36Vバッテリ212が接続されている。
このように、第1制御部202および第1モータ100,第2制御部203および第2モータ188は、それぞれ異なるバッテリ212,214から供給される電力によって作動させられるものである。したがって、バッテリ212,214のいずれか一方に異常(例えば、電圧降下)が生じても、他方のバッテリが正常であれば、他方のバッテリに接続された制御部およびモータを作動させることができる。
【0026】
第1制御部202の入・出力部207には、ブレーキペダル34に加えられる踏力を検出する踏力センサ230、マスタシリンダ10の加圧室38の液圧を検出するマスタ圧センサ232、液圧制御シリンダ12の制御圧室120の液圧を検出する制御圧センサ234、異常検出装置236等が接続されている。マスタ圧センサ232は加圧室38に接続された液通路92に設けられている。制御圧センサ234は、制御圧室120,122の液圧を検出するが、液圧制御装置166,168が図示する原位置にある間は、ブレーキシリンダ14,16の液圧を検出する。異常検出装置236は、第1モータ100の異常や第1バッテリ214の電圧降下等の異常、すなわち、液圧制御シリンダ12が、液圧制御不能な状態あるいは適正に制御不能な状態であることを検出するものである。また、駆動回路240を介してマスタ遮断弁94,96、電磁開閉弁58,132、流通制御弁194,196等が接続されるとともに、第1モータ100が接続される。
【0027】
また、第2制御部203の入・出力部211には、ブレーキペダル34が踏み込まれた状態にあるか否かを検出するブレーキスイッチ244、各車輪18,20の回転速度を検出する車輪速センサ246、前述の踏力センサ230、制御圧センサ232等が接続されている。また、駆動回路250を介して保持弁170および減圧弁172が接続されるとともに、第2モータ188が接続されている。
さらに、第1制御部202のROM205には、図3のフローチャートで表されるブレーキ液圧制御プログラムや図示を省略する目標ブレーキ液圧決定テーブル等が格納されており、第2制御部203のROM209には図4のフローチャートで表されるブレーキ液圧制御プログラムや図示を省略するがアンチロック制御用テーブル、目標ブレーキ液圧決定テーブル等が格納されている。
また、第1制御部202と第2制御部203とは、高速バスライン260によって接続されており、双方向の情報の通信が行われる。
【0028】
本実施形態においては、液圧制御シリンダ12および第1モータ100,第1制御部202等によって第1液圧制御装置262が構成され、動力液圧源189,流通制御弁194,196、第2制御部203等によって第2液圧制御装置264が構成される。
【0029】
次に作動について説明する。
各電磁弁が図示する原位置にある状態においてブレーキペダル34が操作されると、マスタシリンダ10からブレーキシリンダ14,16に作動液が供給される。マスタセンサ232によって検出されたマスタ圧が予め定められた設定圧以上になった場合に、マスタ遮断弁94,96が遮断状態に切り換えられ、ブレーキシリンダ14,16がマスタシリンダ10から遮断された状態で、ブレーキシリンダ14,16の液圧が第1液圧制御装置262と第2液圧制御装置264とのいずれか一方によって制御される。
この場合には、電磁開閉弁132は開状態にされる。それによって、ストロークシミュレータ78が作動可能な状態にされる。
また、設定圧は、液圧制御シリンダ12において制御圧室120,122の液圧を制御可能な高さに設定したり、動力式液圧源189においてブレーキ液圧を制御可能な高さに設定したりすることができる。設定圧は、例えば、5〜10気圧(5〜10Pa)程度の大きさとすることができる。
【0030】
通常制動時において、第1液圧制御装置262が正常である場合には、ブレーキ液圧が第1液圧制御装置262によって制御されるが、第1液圧制御装置262が異常である場合には第2液圧制御装置264によって制御される。また、アンチロック制御は第2液圧制御装置264によって行われる。
さらに、電気系統の異常時等、第1液圧制御装置262,第2液圧制御装置264のいずれも作動不能な場合には、マスタ遮断弁94、96が開状態にされる。ブレーキシリンダ14,16にマスタシリンダ10を連通させて、マスタシリンダ10の作動液によりブレーキ22,24が作動させられる。
ブレーキ操作が解除された場合には、各電磁制御弁は図示する原位置に戻される。この場合に、電磁開閉弁132は、後方液圧室128の作動液がリザーバ54にすべて戻されるまでの間、開状態に保たれるようにすることもできる。
【0031】
第1液圧制御装置262による制御においては、流通制御弁194,196が閉状態に保たれる。目標ブレーキ液圧が踏力センサ230によって検出された踏力に基づいて決定され、制御圧センサ234によって検出された実際のブレーキ液圧が目標ブレーキ液圧に近づくように、第1モータ100への供給電流が制御される。制御ピストン106には第1モータ100の駆動トルクに対応する駆動力が加えられ、その駆動力に応じた高さに制御圧室120,122の液圧が制御される。また、実際のブレーキ液圧と目標ブレーキ液圧との差の絶対値が設定値より小さい場合等、ブレーキ液圧を保持する場合には、電磁開閉弁132を閉状態に切り換えることができる。電磁開閉弁132が閉状態にされれば、後方液圧室128からリザーバ54への作動液の流出が抑制され、制御圧室120,122の液圧を保持する際に第1モータ100に供給する電流を、リザーバ54への作動液の流出が許容される場合より、少なくすることができる。
【0032】
第2液圧制御装置264による制御においては、上述の場合と同様に、目標ブレーキ液圧が踏力によって決定され、制御圧センサ234によって検出された液圧が目標ブレーキ液圧に近づくように、第2モータ188への供給電流が制御される。保持弁170が図示する原位置に保たれた状態で、第2モータ188への供給電流の制御により、ポンプ182から吐出される作動液の液圧が制御される。ブレーキ液圧を減圧する場合には減圧弁172が開状態に切り換えられる。
【0033】
第2液圧制御装置264によってブレーキ液圧が制御される場合には、第1モータ100は非作動状態にあるが、制御ピストン108は差動ピストンであるため、制御圧室120,122の液圧が同じ高さになるように移動させられる。制御圧室120に接続された前輪18のブレーキシリンダ14の液圧と制御圧室122に接続された後輪20のブレーキシリンダ16の液圧とが同じ高さになる。そのため、前輪側、後輪側の両方のブレーキシリンダ14,16の液圧を制御する必要は必ずしもない。本実施形態においては、前輪18のブレーキシリンダ14の液圧を制御して、後輪20のブレーキシリンダ16の液圧は制御しない。前輪18のブレーキシリンダ14の液圧を制御すれば、後輪16のブレーキシリンダ16の液圧も同じ高さに制御されることになる。
【0034】
また、第2液圧制御装置264によってブレーキ液圧が制御される場合には、流通制御弁194が開状態に切り換えられる。それによって、ブレーキ液圧の制御中に作動液不足が生じることが回避される。この場合においても流通制御弁194,196の両方を開状態にする必要はないのであり、前輪側の流通制御弁194が開状態にされて流通制御弁196は閉状態に保たれる。後輪側のポンプ182は空回りすることになり、ポンプ182から高圧の作動液が後輪側の液通路92に吐出されることはない。なお、流通制御弁194をブレーキ液圧制御中開状態に保つ必要は必ずしもない。作動液不足が生じない程度に開状態にすればよい。例えば、ブレーキシリンダの液圧が設定圧以上になった場合に閉状態に切り換えたり、設定時間経過した後、閉状態に切り換えたりすることができる。
【0035】
車輪18,20の制動スリップ状態が路面の摩擦係数に対して過大になるとアンチロック制御が行われる。本実施形態においては、スリップ量が設定量以上になる等のアンチロック開始条件が満たされた場合に、各車輪18,20のブレーキシリンダ14,16の液圧が、制動スリップ状態が適正状態に保たれるように、保持弁170,減圧弁172を制御することによって制御される。また、流通制御弁194,196が閉状態にあるため、マスタシリンダ10から作動液が供給されることはないのであり、アンチロック制御中において、作動液が過剰になることがない。
【0036】
まず、第1制御部202における実行について説明する。図3のフローチャートにおいて、ステップ1(以下、S1と略称する。他のステップについても同様とする)において、ブレーキスイッチ244がON状態にあるか否かが判定される。ON状態にある場合には、S2において、マスタ圧が設定圧以上であるか否かが判定される。設定圧より低い場合には、S3において、各電磁制御弁は図示する原位置にされる。
【0037】
それに対して、マスタ圧が設定圧以上になった場合には、S4において、マスタ遮断弁94,96が閉状態にされる。さらに、S5において、第1液圧制御装置262が正常であるか異常であるかが判定され、正常であると判定された場合には、S6において、流通制御弁194,196は閉状態に保たれたまま、S7において、第1モータ100への供給電流の制御によりブレーキ液圧が踏力に応じた目標ブレーキ液圧に近づくように制御される。
第1液圧制御装置262が異常であると判定された場合には、S8において流通制御弁192を開状態に切り換えて、S9において、第2制御部203に前輪18のブレーキシリンダ14の液圧をブレーキ操作状態に応じた高さに制御することの指令を出力する。
【0038】
次に、第2制御部203における実行について説明する。図4のフローチャートにおいて、S21においてアンチロックフラグがセット状態にあるか否かが判定され、リセット状態にある場合には、S22において、アンチロック開始条件が満たされるか否かが判定される。本実施形態においては、制動スリップが設定量以上の場合等にアンチロック開始条件が満たされるとされる。アンチロック開始条件が満たされた場合には、S23においてアンチロックフラグがセットされる。それ以降、S21における判定がYESとなり、S24において、アンチロック制御が行われる。
それに対して、アンチロック制御中でなく、アンチロック開始条件も満たされない場合には、S25において、ブレーキ液圧制御指令を受信したか否かが判定される。ブレーキ液圧制御指令を受信した場合には、S26において、ブレーキシリンダ14の液圧が踏力に基づいて決まる目標ブレーキ液圧に近づくように第2モータ188への供給電流が制御される。また、減圧する必要がある場合には、減圧弁172が開状態に切り換えられる。
【0039】
このように、本実施形態においては、第1液圧制御装置262が異常である場合には、第1液圧制御装置262に代わって第2液圧制御装置264によってブレーキ液圧がブレーキ操作状態に応じて制御される。ブレーキ液圧が第2液圧制御装置264によって制御されるため、ブレーキ液圧を運転者のブレーキ操作状態に応じた大きさに制御することができる。また、ブレーキシリンダ14,16にマスタシリンダ10が連通させられる場合より、ブレーキペダル34の操作ストロークや操作力の急激な変化を抑制することができる。操作フィーリングの変化を抑制することができるのであり、運転者の違和感を軽減することができる。さらに、ブレーキシリンダ14,16の液圧を例えばマスタシリンダ10の液圧より高くすることもできる。
本実施形態においては、第1モータ100と第2モータ188とが異なるバッテリ212,214に接続されているため、バッテリ212において電圧降下が生じてもバッテリ214により第2モータ188を作動させることが可能となるのである。
さらに、上記実施形態においては、第2液圧制御装置264によって、アンチロック制御がブレーキ操作状態対応ブレーキ液圧制御より優先して行われる。ブレーキ液圧が車輪の制動スリップ状態が適正状態になるように優先的に制御されるのであり、車両の安定性を向上させることができる。
【0040】
なお、上記実施形態においては、第2液圧制御装置264によって、ブレーキ液圧が第2モータ188への供給電流の制御によって制御されるようにされていたが、保持弁170,減圧弁172の開閉制御によって、制御されるようにすることもできる。この場合には、ブレーキシリンダ毎にブレーキ液圧センサを設け、ブレーキ液圧センサによる検出液圧が目標ブレーキ液圧に近づくように、保持弁170,減圧弁172が制御される。例えば、目標ブレーキ液圧と実際のブレーキ液圧との偏差、目標ブレーキ液圧の変化勾配等によって増圧、減圧、保持のいずれかが設定され、それに応じて保持弁170,減圧弁172の開閉制御が行われる。この場合には、流通制御弁194,196の両方が開状態にされるようにすることが望ましい。本実施形態においては、液圧制御弁装置166,168,動力式液圧源189,第2制御部203等により第2液圧制御装置が構成される。
【0041】
また、ブレーキ液圧の制御については実際のブレーキ液圧が目標ブレーキ液圧に近づくように制御されるようにされていたが、実際の減速度が目標減速度に近づくように制御されるようにすることもできる。さらに、第2液圧制御装置264における制御において、アンチロック制御が優先されるようにすることは不可欠ではない。また、第2液圧制御装置264において、アンチロック制御のみではなく、トラクション制御、ビークルスタビリティ制御等広くスリップ制御が行われるようにすることができる。
さらに、第2液圧制御装置264において、目標ブレーキ液圧が第2制御部203において決定されるようにされていたが、第1制御部202において決定されるようにすることもできる。この場合には、目標ブレーキ液圧を表す情報が第1制御部202から第2制御部203に供給されることになる。
【0042】
また、設定圧は上記実施形態における場合に限らず他の値に設定することもできる。例えば、ファーストフィルが終了した場合の液圧とすることができる。
さらに、電磁開閉弁58を、マスタ遮断弁94,96の開閉に応じて、あるいは、マスタ遮断弁94,96の開閉とは別個に、開状態と閉状態とに切り換えることができる。例えば、マスタ遮断弁94,96が開状態にある場合に電磁開閉弁58が閉状態にされれば、ファーストフィルを速やかに終了させることができる。マスタ遮断弁94,96が閉状態にある場合に開状態にされれば、ブレーキ操作フィーリングの低下を抑制することができる。
【0043】
また、後方液圧室128と液通路90,92の少なくとも一方の液圧制御シリンダ12の下流側の部分との間を液通路で接続し、液通路の途中に後方液圧室128から液通路側への作動液の流れを許容し、逆向きの流れを阻止する逆止弁を設けることもできる。ブレーキ液圧が後方液圧室128の液圧より高い間は、後方液圧室128からの作動液の流出が阻止され、ブレーキ解除時等ブレーキ液圧の方が低くなった場合には、後方液圧室128から液通路側への作動液の流れが許容されるため、ブレーキ解除時に後方液圧室128の作動液を確実にマスタシリンダに戻すことができる。
【0044】
さらに、ブレーキ装置は図6の構造のものとすることができる。本実施形態においては、流通制御弁が前輪側の減圧用リザーバ174に設けられている。流通制御弁300は、弁子310と弁座312と減圧用リザーバ174のピストン314に設けられた開弁部材316とを含む。減圧用リザーバ174の作動液収容室318に作動液が設定量以上収容されている場合には、開弁部材316は弁子310から離間させられ、弁子310は、スプリング320の付勢力によって弁座312に着座する閉状態にある。それに対して、ポンプ182の作動により作動液収容室318の作動液が汲み上げられて、容積が減少させられると、開弁部材316が弁子310に当接し、弁座312から離間させる。流通制御弁300が開状態に切り換えられて、マスタシリンダ10から液通路190を経て作動液が供給される。
このように、流通制御弁300により、第2液圧制御装置264におけるブレーキ制御において作動液不足が生じることを回避することができる。
なお、前輪側と後輪側とのそれぞれの減圧用リザーバ174に流通制御弁300を設けることもできる。
【0045】
また、ブレーキ装置は図7に示すものとすることもできる。本実施形態においては、ポンプ182の吸入側には、液通路76のストロークシミュレータ78の第2容積室88側から延び出させられた液通路350が接続されている。液通路350の途中には、上記実施形態における場合と同様に、流通制御弁352が設けられている。
本実施形態においては、ポンプ182によってストロークシミュレータ78の第2容積室88から流出した作動液が汲み上げられる。第2容積室88の液圧はマスタシリンダ10の加圧室36の液圧に応じた液圧であるため、実質的にマスタシリンダ10の作動液がポンプ182によって汲み上げられると考えることができる。
それに対して、液通路350はリザーバ通路130に接続されていると考えることもできる。この場合には、ポンプ182によってリザーバ54の作動液が汲み上げられて加圧されると考えることもできる。
【0046】
さらに、第1液圧制御装置、第2液圧制御装置の構造は、上記実施形態におけるそれに限らない。図8に示すブレーキ装置においては、第1液圧制御装置400が、動力式液圧源402と液圧制御弁装置404とを含む。動力式液圧源402は、ポンプ406,ポンプ406を駆動する第1モータ408,アキュムレータ410を含む。第1モータ408は、アキュムレータ410に蓄えられる作動液の液圧が予め定められた設定範囲内に保たれるように作動させられる。液圧制御弁装置404は、動力式液圧源402から出力される作動液の液圧を増加・減少させる調節する機能を有するものであり、1つ以上の電磁開閉弁を含むものとしたり、自身の前後の差圧が供給電流に応じた大きさになるように制御するリニア弁を含むものとしたりすることができる。アキュムレータ410に蓄えられた作動液の液圧はアキュムレータ圧センサ412によって検出される。
本実施形態においては、液圧制御弁装置166,168が図示する原位置にある状態において、液圧制御弁装置404の制御により、ブレーキシリンダ14,16の液圧が共通に制御される。
【0047】
また、液通路90,92のマスタ遮断弁94,96のブレーキシリンダ側に圧力伝達シリンダ416が設けられ、圧力伝達シリンダ416の下流側に上述の第1液圧制御装置400が接続される。圧力伝達シリンダ416は、ハウジングと、ハウジングに液密かつ摺動可能に設けられた圧力伝達ピストン420と、圧力伝達ピストン420の両側に設けられたスプリング422,423とを含み、圧力伝達ピストン420の両側の液圧室425,426にはそれぞれ前輪側のブレーキシリンダ14と後輪側のブレーキシリンダ16とが接続されている。液圧室425,426の液圧は同じ高さになり、前輪側のブレーキシリンダ14の液圧と後輪側のブレーキシリンダ16の液圧とは同じ高さになる。
本実施形態において、上記実施形態における場合と同様に、第1液圧制御装置400に異常が生じた場合に、第1液圧制御装置400に代わって第2液圧制御装置264によってブレーキ液圧が制御される。
【0048】
なお、前輪側のブレーキシリンダの液圧と後輪側のブレーキシリンダの液圧とがほぼ同じ高さにされるため、第1液圧制御装置400を、前輪側の液通路90と後輪側の液通路92との両方に接続する必要は必ずしもなく、いずれか一方に接続するだけでもよい。また、アキュムレータは不可欠ではない。さらに、第1液圧制御装置400の異常のうち、第1モータ408に異常が生じても、アキュムレータ圧が設定圧以上の場合には、第1液圧制御装置400による制御が継続して行われるようにすることもできる。
また、圧力伝達シリンダ416は不可欠ではない。圧力伝達シリンダ416がなくても、前輪側のブレーキシリンダの液圧と後輪側のブレーキシリンダの液圧とが同じ高さになるように制御することができる。
【0049】
さらに、ブレーキ装置は図9に示すブレーキ装置とすることもできる。本実施形態においては、第1液圧制御装置500が動力式液圧源502と減圧制御弁504と、液圧制御シリンダ506とを含む。動力式液圧源502は、ポンプ508とポンプ508を駆動する第1モータ509とを含む。
液圧制御シリンダ506は、ハウジングに液密かつ摺動可能に配設された2つの制御ピストン510,512を含む。制御ピストン512の両側には、スプリング514,516が配設されている。制御ピストン510、512の前方の液圧室がそれぞれ液圧室520,522であり、制御ピストン510の後方側が後方液圧室524である。制御ピストン510は後方液圧室524の液圧に基づいて移動させられ、制御ピストン512は2つの液圧室520,522の液圧差に基づいて移動させられる。制御ピストン510が駆動ピストンであり、制御ピストン512が従動ピストンである。
【0050】
後方液圧室524には、動力液圧源502および減圧制御弁504が接続されている。後方液圧室524の液圧が動力液圧源502の液圧を利用して、減圧制御弁504の制御により制御される。
減圧制御弁504は後方液圧室524とリザーバ54との間に設けられた常閉弁であり、供給電流に応じた差圧で後方液圧室524の液圧を制御する。
【0051】
第2液圧制御装置540は、動力式液圧源542と、上述の液圧制御シリンダ506と、液圧制御弁装置166等を含む。液圧制御シリンダ506は第1液圧制御装置500と第2液圧制御装置540とに共通に設けられたものなのである。動力式液圧源542は、ポンプ546と第2モータ547とを含み、液圧制御シリンダ506の後方液圧室524に切換弁548を介して接続される。切換弁548は、動力式液圧源542を後方液圧室542に接続する第1状態と動力式液圧源542を液通路90に接続する第2状態とに切り換えるものであり、ブレーキ液圧をブレーキ操作状態に基づいて制御する場合には、図示する原位置にされるが、アンチロック制御が行われる場合には、液通路90に接続される状態に切り換えられる。また、後方液圧室524の液圧は、減圧制御弁550によって制御される。
【0052】
第1液圧制御装置500が正常である場合には、ブレーキ液圧が第1液圧制御装置500により制御される。動力式液圧源502が作動させられ、液圧制御シリンダ506において、後方液圧室524の液圧が減圧制御弁504により制御され、それに応じて液圧室520,522の液圧がブレーキ操作状態に基づいて制御される。
第1液圧制御装置500に異常が生じた場合には、ブレーキ液圧が第1液圧制御装置500に代わって第2液圧制御装置540によって制御される。切換弁548が図示する第1状態にされた状態において、後方液圧室524の液圧が動力式液圧源542の液圧を利用して、減圧制御弁550の制御により制御される。アンチロック制御が行われる場合には、切換弁548が第2状態に切り換えられ、液圧制御弁装置166の制御によりブレーキシリンダ14の液圧が制御される。
ブレーキ操作が解除された場合には、後方液圧室524の液圧は減圧制御弁504あるいは550を経てリザーバ54に戻される。減圧制御弁504,550が常閉弁である場合には、後方液圧室524の作動液が完全に戻されるまでの間、開状態にしておくことが望ましい。
【0053】
なお、減圧制御弁504,550を共通のものとすることができる、しかし、別個にすれば、減圧制御弁504の異常時に、減圧制御弁550の制御により後方液圧室524の液圧を制御することができる。その他、本発明は、〔発明が解決しようとする課題,課題解決手段および効果〕の欄に記載の態様の他、当業者による種々の変更,改良を施した態様で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態であるブレーキ装置の回路図(一部断面図)である。
【図2】上記ブレーキ装置に含まれるブレーキ液圧制御装置の回路図である。
【図3】上記ブレーキ液圧制御装置の第1制御部のROMに格納されたブレーキ液圧制御プログラムを表すフローチャートである。
【図4】上記ブレーキ液圧制御装置の第2制御部のROMに格納されたブレーキ液圧制御プログラムを表すフローチャートである。
【図5】上記ブレーキ装置の電気駆動系統を表す図である。
【図6】本発明の別の一実施形態であるブレーキ装置の回路図(一部断面図)である。
【図7】本発明のさらに別の一実施形態であるブレーキ装置の回路図(一部断面図)である。
【図8】本発明の別の一実施形態であるブレーキ装置の回路図(一部断面図)である。
【図9】本発明のさらに別の一実施形態であるブレーキ装置の回路図(一部断面図)である。
【符号の説明】
10 マスタシリンダ 12 液圧制御シリンダ
14,16 ブレーキシリンダ 100 第1モータ
132 電磁開閉弁 166,168 液圧制御弁装置
188 第2モータ 262 第1液圧制御装置
264 第2液圧制御装置
Claims (7)
- 第1動力駆動源を備え、車輪のブレーキシリンダの液圧を、運転者によるブレーキ操作部材の操作状態に基づいて制御する第1液圧制御装置と、
その第1液圧制御装置の異常を検出する異常検出装置と、
第2動力駆動源を備え、前記ブレーキシリンダの液圧を、前記車輪のスリップ状態が適正状態に保たれるように制御するスリップ時液圧制御部と、前記異常検出装置によって前記第1液圧制御装置の異常が検出された場合に、前記ブレーキシリンダの液圧を、前記ブレーキ操作部材の操作状態に基づいて制御する異常時液圧制御部とを含む第2液圧制御装置と
を含むブレーキ装置であって、
当該ブレーキ装置が、前記ブレーキ操作部材に連携させられた加圧ピストンを含み、その加圧ピストンの前方の加圧室に、運転者による前記ブレーキ操作部材の操作に応じて液圧を発生させるマスタシリンダを含む作動液供給装置を含み、
前記第2液圧制御装置が、 (a) 前記第2動力駆動源としての電動モータと、 (b) その電動モータにより作動させられ、前記マスタシリンダの加圧室の作動液を汲み上げて加圧するポンプとを含むことを特徴とするブレーキ装置。 - 前記マスタシリンダの加圧室と前記ポンプとの間に、これらを連通させる連通状態とこれらを遮断する遮断状態とに切り換え可能な流通制御弁を設けたことを特徴とする請求項1に記載のブレーキ装置。
- 前記スリップ時液圧制御部によるブレーキ液圧制御が、前記異常時液圧制御部によるブレーキ液圧制御より優先して行われる請求項1または2に記載のブレーキ装置。
- 前記第1液圧制御装置が、それぞれ1つ以上のブレーキシリンダを含む2つのブレーキ系統を含むとともに、(e)ハウジングと、(f)そのハウジング内を2つの液圧室に仕切り、これら2つの液圧室の液圧に基づいて移動させられるピストンとを含む圧力伝達シリンダを含み、かつ、前記2つのブレーキ系統の各ブレーキシリンダが、前記2つの液圧室の各々に接続されたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載のブレーキ装置。
- 前記第1液圧制御装置が、(g)ハウジングと、(h)前記第1動力駆動源の作動に基づいて作動させられる駆動ピストンと、(i)前記ハウジング内の前記駆動ピストンの前方を2つの液圧室に仕切り、これら2つの液圧室の液圧に基づいて移動させられる従動ピストンとを含む液圧シリンダと、
前記第1動力駆動源の作動に基づいて前記駆動ピストンに加えられる駆動力を制御することによって、前記2つの液圧室の液圧を制御する液圧制御部と
を含む請求項1ないし3のいずれか1つに記載のブレーキ装置。 - 前記マスタシリンダが前記加圧室を2つ含み、前記第1液圧制御装置の前記2つの液圧室に、それぞれ、前記加圧室が接続され、前記第2液圧制御装置が、前記第1液圧制御装置と前記前記ブレーキシリンダとの間に設けられた請求項4または5に記載のブレーキ装置。
- 前記第1動力駆動源と第2動力駆動源とが互いに異なる電源から供給された電力によって作動させられるものである請求項1ないし6のいずれか1つに記載のブレーキ装置。
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