JP4187843B2 - シラトラン誘導体、その製造方法、接着促進剤、および硬化性シリコーン組成物 - Google Patents
シラトラン誘導体、その製造方法、接着促進剤、および硬化性シリコーン組成物 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、シラトラン誘導体、この製造方法、このシラトラン誘導体からなる接着促進剤、およびこの接着促進剤を含有している硬化性シリコーン組成物に関し、詳しくは、新規なシラトラン誘導体、このシラトラン誘導体の効率的な製造方法、このシラトラン誘導体からなる接着促進剤、およびこの接着促進剤を含有して、有機樹脂に対して特異的な接着性を示す硬化性シリコーン組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般式:
【化4】
で表されるシラトラン化合物としては、上式中のRがメチル基、フェニル基、メトキシ基、エトキシ基である化合物が知られている(米国特許第2953545号明細書、および特開昭61−69781号公報参照)が、これらのシラトラン化合物を硬化性シリコーン組成物に配合しても、良好な接着性を示すものではなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は、接着促進剤として有用な新規なシラトラン誘導体について鋭意検討した結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明の目的は、新規なシラトラン誘導体、このシラトラン誘導体の効率的な製造方法、このシラトラン誘導体からなる接着促進剤、およびこの接着促進剤を含有して、有機樹脂に対して特異的な接着性を示す硬化性シリコーン組成物を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明のシラトラン誘導体は、一般式:
【化5】
{式中、R1は同じかまたは異なる水素原子もしくはアルキル基であり、R2は水素原子、アルキル基、および一般式:
−R4−O−R5
(式中、R4はアルキレン基であり、R5はアルケニル基である。)
で表されるアルケニルオキシアルキル基からなる群から選択される同じかまたは異なる基であり、但し、R2の少なくとも1個はこのアルケニルオキシアルキル基であり、R3 は一価炭化水素基、ハロアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、グリシドキシアルキル基、オキシラニルアルキル基、アシロキシアルキル基、およびアミノアルキル基からなる群から選択される基である。}
で表されるシラトラン誘導体からなることを特徴とする。
また、本発明のシラトラン誘導体の製造方法は、一般式:
【化6】
(式中、R1は同じかまたは異なる水素原子またはアルキル基であり、R4はアルキレン基であり、R5はアルケニル基である。)
で表されるエポキシ化合物と一般式:
R6Si(OR7)3
(式中、R6 は一価炭化水素基、ハロアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、アシロキシアルキル基、およびアミノアルキル基からなる群から選択される少なくとも一種の基であり、R7は炭素原子数1〜10のアルキル基である。)
で表されるアルコキシシラン化合物をアンモニアもしくは一般式:
NHy(CR1 2CR1 2OH)(3-y)
(式中、R1は同じかまたは異なる水素原子もしくはアルキル基であり、yは1または2である。)
で表されるアミン化合物と反応させることを特徴とする。
また、本発明の接着促進剤は、一般式:
【化7】
{式中、R1は同じかまたは異なる水素原子もしくはアルキル基であり、R2は水素原子、アルキル基、および一般式:
−R4−O−R5
(式中、R4はアルキレン基であり、R5はアルケニル基である。)
で表されるアルケニルオキシアルキル基からなる群から選択される同じかまたは異なる基であり、但し、R2の少なくとも1個はこのアルケニルオキシアルキル基であり、R3 は一価炭化水素基、ハロアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、グリシドキシアルキル基、オキシラニルアルキル基、アシロキシアルキル基、およびアミノアルキル基からなる群から選択される基である。)
で表されるシラトラン誘導体からなることを特徴とする。
また、本発明の硬化性シリコーン組成物は、上記の接着促進剤を含有していることを特徴とする。
【0005】
【発明の実施の形態】
はじめに、本発明のシラトラン誘導体を詳細に説明する。
本発明のシラトラン誘導体は、一般式:
【化8】
で表される。上式中のR1は同じかまたは異なる水素原子もしくはアルキル基であり、R1のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、イソプロピル基、イソブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基が例示される。特に、R1としては、水素原子、メチル基であることが好ましい。また、上式中のR2は水素原子、アルキル基、および一般式:
−R4−O−R5
で表されるアルケニルオキシアルキル基からなる群から選択される同じかまたは異なる基であり、但し、R2の少なくとも1個はこのアルケニルオキシアルキル基である。R2のアルキル基としては、前記R1と同様のアルキル基が例示される。また、R2のアルケニルオキシアルキル基において、式中のR4はアルキレン基であり、メチレン基、エチレン基、メチルメチレン基、プロピレン基が例示され、好ましくは、メチレン基である。また、上式中のR5はアルケニル基であり、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基が例示され、好ましくは、炭素原子数3〜10のアルケニル基であり、特に好ましくは、アリル基である。このようなR2のアルケニルオキシアルキル基としては、アリルオキシメチル基、アリルオキシプロピル基が例示される。また、上式中のR3 は一価炭化水素基、ハロアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、グリシドキシアルキル基、オキシラニルアルキル基、アシロキシアルキル基、およびアミノアルキル基からなる群から選択される少なくとも一種の基であり、R3の一価炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、イソプロピル基、イソブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のアルキル基;ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基;フェニル基、トリル基、キシリル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基が例示され、R 3 のハロアルキル基としては、クロロメチル基、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基が例示され、R3のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基が例示され、R3のグリシドキシアルキル基としては、3−グリシドキシプロピル基が例示され、R3のオキシラニルアルキル基としては、4−オキシラニルブチル基、8−オキシラニルオクチル基が例示され、R3のアシロキシアルキル基としては、アセトキシプロピル基、3−メタクリロキシプロピル基が例示され、R3のアミノアルキル基としては、3−アミノプロピル基、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル基が例示される。
【0006】
このような本発明のシラトラン誘導体としては、次のような化合物が例示される。
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
【0007】
次に、本発明のシラトラン誘導体の製造方法を詳細に説明する。
本発明の製造方法は、一般式:
【化13】
(式中、R1は同じかまたは異なる水素原子またはアルキル基であり、R4はアルキレン基であり、R5はアルケニル基である。)
で表されるエポキシ化合物と一般式:
R6Si(OR7)3
(式中、R6 は一価炭化水素基、ハロアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、アシロキシアルキル基、およびアミノアルキル基からなる群から選択される少なくとも一種の基であり、R7は炭素原子数1〜10のアルキル基である。)
で表されるアルコキシシラン化合物をアンモニアもしくは一般式:
NHy(CR1 2CR1 2OH)(3-y)
(式中、R1は同じかまたは異なる水素原子もしくはアルキル基であり、yは1または2である。)
で表されるアミン化合物と反応させることを特徴とする。
【0008】
このエポキシ化合物は、上記のシラトラン誘導体の骨格を形成するための原料であり、また、上記のシラトラン誘導体の分子中にアルケニルオキシアルキル基を導入するための原料である。上式中のR1は同じかまたは異なる水素原子もしくはアルキル基であり、前記と同様の基が例示される。また、上式中のR4はアルキレン基であり、前記と同様の基が例示される。また、上式中のR5はアルケニル基であり、前記と同様の基が例示され、好ましくは、炭素原子数3〜10のアルケニル基であり、特に好ましくは、アリル基である。このようなエポキシ化合物としては、アリルグリシジルエーテル、ブテニルグリシジルエーテルが例示される。
【0009】
また、アルコキシシラン化合物は、本発明のシラトラン誘導体の骨格を形成するための原料である。上式中のR6 は一価炭化水素基、ハロアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、アシロキシアルキル基、およびアミノアルキル基からなる群から選択される少なくとも一種の基であり、R6の一価炭化水素基としては、前記R3と同様の一価炭化水素基が例示され、R 6 のハロアルキル基としては、前記R 3 と同様のハロアルキル基が例示され、R6のアルコキシ基としては、前記R3と同様のアルコキシ基が例示され、R6のアシロキシアルキル基としては、前記R3と同様のアシロキシアルキル基が例示され、R6のアミノアルキル基としては、前記R3と同様のアミノアルキル基が例示される。また、上式中のR7は炭素原子数1〜10のアルキル基であり、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が例示される。このようなアルコキシシラン化合物としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフロロプロピルトリメトキシシラン、ノナフルオロブチルエチルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシランが例示される。
【0010】
また、このアンモニアもしくはアミン化合物は、本発明のシラトラン誘導体の骨格を形成するための原料である。このアミン化合物において、上式中のR1は同じかまたは異なる水素原子もしくはアルキル基であり、前記と同様の基が例示される。また、上式中のyは1または2である。このようなアミン化合物としては、2−ヒドロキシエチルアミン、2,2’−ジヒドロキシエチルアミン、2−ヒドロキシ−2−メチル−エチルアミンが例示される。
【0011】
本発明の製造方法において、このアンモニアに対するエポキシ化合物とアルコキシラン化合物の添加量は限定されないが、副生物の生成を抑え、シラトラン誘導体を収率良く得るためには、反応中にアンモニアが蒸発により失われない条件で行う場合には、このアンモニア1モルに対して、このエポキシ化合物は2〜20モルの範囲内であることが好ましく、さらには、3〜15モルの範囲内であることが好ましい。また、このアルコキシシラン化合物の添加量は、アンモニア1モルに対して、0.5〜50モルの範囲内であることが好ましく、さらには、1〜20モルの範囲内であることが好ましい。これは、この製造方法において、このアルコキシシラン化合物をアンモニアに対して反応の化学量論前後ないしは過剰量用いることが推奨されることを意味している。一般に、反応が遅くならない範囲内で過剰量のアルコキシシラン化合物を用いると、副生物の生成を抑えられるが、過剰のアルコキシシラン化合物が残存してしまう。この未反応として残ったアルコキシシラン化合物は、必要に応じて、反応後に蒸留等によりシラトラン誘導体から分離して回収することができる。また、この反応はアンモニアガスをエポキシ化合物とアルコキシシラン化合物の混合物中に吹き込みながら行うこともできる。このような反応を開放系で行う場合には、一部のアンモニアが反応せずに系外に放出されるので、その損失分に見合う量を過剰に使用する必要がある。
【0012】
また、本発明の製造方法において、このアミン化合物に対するエポキシ化合物とアルコキシラン化合物の添加量は限定されないが、シラトラン誘導体を収率良く得るためには、このアミン化合物1モルに対して、このアミン化合物中のyが1である場合には、このエポキシ化合物は0.5〜10モルの範囲内であることが好ましく、さらには、0.8〜5モルの範囲内であることが好ましく、また、このアミン化合物中のyが2である場合には、このエポキシ化合物は1.5〜20モルの範囲内であることが好ましく、さらには、1.8〜10モルの範囲内であることが好ましく、特には、ほぼ2モルとなる量であることが好ましい。また、このアルコキシシラン化合物の添加量は、アミン化合物1モルに対して、0.5〜50モルの範囲内であることが好ましく、さらには、1〜20モルの範囲内であることが好ましい。これは、この製造方法において、このアルコキシシラン化合物をアミン化合物に対して反応の化学量論前後ないしは過剰量用いることが推奨されることを意味している。一般に、反応が遅くならない範囲内で過剰量のアルコキシシラン化合物を用いると、副生物の生成を抑えられるが、過剰のアルコキシシラン化合物が残存してしまう。この未反応として残ったアルコキシシラン化合物は、必要に応じて、反応後に蒸留等によりシラトラン誘導体から分離して回収することができる。
【0013】
このようなシラトラン誘導体の製造方法において、この反応は常温もしくは加熱下で進行するが、この反応時間を短縮するためには、100℃以下で加熱することが好ましい。また、本発明の製造方法において、有機溶媒の使用は任意であり、使用できる有機溶媒としては、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール;アセトン、メチルイソブチルケトン等のケトン;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル;酢酸エチル、酢酸イソアミル等のエステル;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド化合物が例示され、特に、メタノール、エタノール等のアルコールを用いると、この反応時間を短縮でき、さらに目的のシラトラン誘導体を収率良く得ることができる。本発明の製造方法において、アルコールを添加する場合には、この反応中にケイ素原子結合アルコキシ基のアルコキシ基交換反応を生じるために、このアルコールは原料のアルコキシシラン化合物中のケイ素原子結合アルコキシ基と同じ炭素原子数のものを用いることが好ましい。また、本発明の製造方法においてアルコールを添加する場合には、このアルコールの還流温度で反応を行うことにより、反応を著しく短縮することができ、さらに、得られるシラトラン誘導体の収率を向上させることができる。
【0014】
次に、本発明の接着促進剤を詳細に説明する。
本発明の接着促進剤は、一般式:
【化14】
で表されるシラトラン誘導体からなることを特徴とし、この誘導体のみからなっていてもよく、また、このシラトラン誘導体と公知の接着促進剤との混合物や公知の有機溶剤との混合物からなっていてもよい。上式中のR1は同じかまたは異なる水素原子もしくはアルキル基であり、前記と同様の基が例示される。また、上式中のR2は水素原子、アルキル基、および一般式:
−R4−O−R5
で表されるアルケニルオキシアルキル基からなる群から選択される同じかまたは異なる基であり、但し、R2の少なくとも1個はこのアルケニルオキシアルキル基である。このR2のアルキル基としては、前記と同様の基が例示される。また、このR2のアルケニルオキシアルキル基において、式中のR4はアルキレン基であり、前記と同様の基が例示され、また、式中のR5はアルケニル基であり、前記と同様の基が例示される。また、上式中のR3 は一価炭化水素基、ハロアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、グリシドキシアルキル基、オキシラニルアルキル基、アシロキシアルキル基、およびアミノアルキル基からなる群から選択される基であり、前記と同様の基が例示される。このシラトラン誘導体と公知の接着促進剤を併用した場合には、有機樹脂に対する特異的な接着性は失われるが、有機樹脂、金属、セラミック等の各種基材に対して良好な接着性を示すこととなる。このシラトラン誘導体と併用することのできる公知の接着促進剤としては、メチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリメトキシシリル)プロパン、ビス(トリメトキシシリル)ヘキサンが例示される。また、このシラトラン誘導体を製造する過程で未反応として残った、アミノ基含有アルコキシシランやエポキシ化合物、さらには、この反応により生成したシラトラン誘導体以外の反応生成物を混合したまま用いても良い。この場合、このシラトラン誘導体が10重量%以上含有されていることが好ましく、さらに、50重量%以上含有されていることが好ましく、特に、70重量%以上含有されていることが好ましい。これは、シラトラン誘導体の含有量がこの範囲未満であると、接着促進の効果が低下する傾向があるからである。
【0015】
このような本発明の接着促進剤は、例えば、縮合反応硬化性シリコーン組成物、ヒドロシリル化反応硬化性シリコーン組成物、紫外線等の高エネルギー線硬化性シリコーン組成物等の硬化性シリコーン組成物;その他、アルコキシシラン変性ポリエーテル系硬化性組成物、硬化性ポリウレタン樹脂ないしゴム組成物、硬化性エポキシ樹脂組成物、硬化性ポリサルファイド樹脂組成物、硬化性不飽和ポリエステル樹脂組成物等の硬化性組成物の接着性付与剤や、また、これを金属、ガラス、プラスチック等の基材表面に塗布することにより、前記の硬化性組成物の接着性を向上させるためのプライマーとして使用することができ、特に、縮合反応硬化性シリコーン組成物、ヒドロシリル化反応硬化性シリコーン組成物、紫外線等の高エネルギー線硬化性シリコーン組成物等の硬化性シリコーン組成物の接着促進剤として有用である。
【0016】
次に、本発明の硬化性シリコーン組成物を詳細に説明する。
本発明の硬化性シリコーン組成物は、上記の接着促進剤を含有していることを特徴とする。この接着促進剤は上記のとおりである。この接着促進剤を含有している硬化性シリコーン組成物としては、脱アルコール縮合反応、脱水縮合反応、脱水素縮合反応、脱オキシム縮合反応、脱酢酸縮合反応、脱アセトン縮合反応等の縮合反応により硬化する縮合反応硬化性シリコーン組成物;ヒドロシリル化反応硬化性シリコーン組成物;メルカプト−ビニル付加反応、アクリル官能基のラジカル反応、エポキシ基やビニルエーテル基のカチオン重合反応等の高エネルギー線により硬化反応する高エネルギー線硬化性シリコーン組成物が例示され、特に、ヒドロシリル化反応硬化性シリコーン組成物であることが好ましい。
【0017】
本発明の硬化性シリコーン組成物において、この接着促進剤の配合量は限定されないが、シラトラン誘導体として、硬化性シリコーン組成物中に0.01〜20重量%含有していることが好ましく、さらに、0.05〜10重量%含有していることが好ましく、特に、0.1〜5重量%含有していることが好ましい。
【0018】
本発明の硬化性シリコーン組成物は、上記のシラトラン誘導体からなる接着促進剤を含有しているので、有機樹脂に対して特異的な接着性を示す。このことを利用して、本発明の硬化性シリコーン組成物は、注型成形法における、有機樹脂に対して良好に接着し、金型の金属に対しては離型するシリコーン硬化物−有機樹脂一体化物を作成材料として利用することができる。
【0019】
【実施例】
本発明のシラトラン誘導体、接着促進剤、および硬化性シリコーン組成物を実施例により詳細に説明する。
【0020】
[実施例1]
撹拌装置、温度計、および還流冷却管を備えた500mlの4つ口フラスコに、2,2’−ジヒドロキシエチルアミン31.5g(0.3モル)、メチルトリメトキシシラン81.7g(0.6モル)、アリルグリシジルエーテル45.7g(0.4モル)、およびメタノール32gを仕込み、この系をメタノール還流温度で5時間加熱撹拌した。次に、得られた反応混合物全量をなす型スラスコに移し、ロータリーエバポレーターにより低沸点成分を留去することにより微黄色透明液体77.6gを得た。この透明液体を29Si−核磁気共鳴分析および13C−核磁気共鳴分析したところ、式:
【化15】
で表されるシラトラン誘導体が生成していることが確認された。このシラトラン誘導体の含有率は90重量%以上であった。この透明液体を接着促進剤とした。
【0021】
[実施例2]
撹拌装置、温度計、および還流冷却管を備えた500mlの4つ口フラスコに、2−ヒドロキシエチルアミン12.2g(0.2モル)、メチルトリメトキシシラン81.7g(0.6モル)、アリルグリシジルエーテル57.1g(0.5モル)、およびメタノール32gを仕込み、この系をメタノールの還流温度で8時間加熱撹拌した。次に、得られた反応混合物全量をなす型フラスコに移して、ロータリーエバポレータにより低沸点成分を留去することにより微黄色透明液体63.3gを得た。この透明液体を29Si−核磁気共鳴分析および13C−核磁気共鳴分析したところ、式:
【化16】
で表されるシラトラン誘導体を生成していることが確認された。このシラトラン誘導体の含有率は90重量%以上であった。この透明液体を接着促進剤とした。
【0022】
[実施例3]
撹拌装置、温度計、および還流冷却管を備えた500mlの4つ口フラスコに、2,2−ジヒドロキシエチルアミン31.5g(0.3モル)、ビニルトリメトキシシラン88.9g(0.6モル)、アリルグリシジルエーテル45.7g(0.4モル)、およびメタノール32.0gを仕込み、この系をメタノールの還流温度で8時間加熱撹拌した。次に、得られた反応混合物全量をなす型フラスコに移して、ロータリーエバポレータにより低沸点成分を留去することにより微黄色透明液体63.5gを得た。この透明液体を29Si−核磁気共鳴分析および13C−核磁気共鳴分析したところ、式:
【化17】
で表されるシラトラン誘導体が生成していることが確認された。このシラトラン誘導体の含有率は90重量%以上であった。この透明液体を接着促進剤とした。
【0023】
[比較例1]
撹拌装置、温度計、および還流冷却管を備えた500mlの4つ口フラスコに、2−ヒドロキシエチルアミン12.2g(0.2モル)、メチルトリメトキシシラン81.7g(0.6モル)、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン94.5g(0.4モル)、およびメタノール32.0gを仕込み、この系をメタノールの還流温度で8時間加熱撹拌した。得られた反応混合物全量をなす型フラスコに移して、ロータリーエバポレータにより低沸点成分を留去することにより微黄色透明液体131.7gを得た。この透明液体を29Si−核磁気共鳴分析および13C−核磁気共鳴分析したところ、式:
【化18】
で表されるシラトラン誘導体が生成していることが確認された。このシラトラン誘導体の含有率は90重量%以上であった。この透明液体を接着促進剤とした。
【0024】
[実施例4〜6、比較例2〜3]
硬化性シリコーン組成物として、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、ヘキサメチルジシラザンにより表面を疎水化処理したヒュームドシリカ、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、フェニルブチノール、およびヒドロシリル化反応用白金系触媒を均一に混合してヒドロシリル化反応硬化性シリコーン組成物を調製した。
この硬化性シリコーン組成物に実施例1〜3および比較例1で調製した接着促進剤をそれぞれ1重量%となる量配合した4種の硬化性シリコーン組成物を調製した。また、比較のため、これらの接着促進剤を配合しない硬化性シリコーン組成物を別途用意した。これらの硬化性シリコーン組成物を表1に示される基材の表面に塗布した後、120℃の熱風循環式オーブン中で30分間加熱して硬化させた。得られた硬化物はゴム状であった。得られた5種のシリコーンゴムの基材に対する接着性を、シリコーンゴムが基材に良好に接着している場合を○、シリコーンゴムが基材に一部接着している場合を△、シリコーンゴムが基材から完全に剥離した場合を×として評価した。これらの評価結果を表1に示した。
【0025】
【表1】
【0026】
【発明の効果】
本発明のシラトラン誘導体は新規な化合物であり、本発明のシラトラン誘導体の製造方法は、このような新規な化合物を効率よく製造する事ができるという特徴があり、本発明の接着促進剤は、このような新規なシラトラン誘導体からなることを特徴としており、本発明の硬化性シリコーン組成物は、このような接着促進剤を含有しているので、有機樹脂に対して特異的な接着性を示すという特徴がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1で調製したシラトラン誘導体の29Si−核磁気共鳴分析チャートである。
【図2】 実施例1で調製したシラトラン誘導体の13C−核磁気共鳴分析チャートである。
【図3】 実施例2で調製したシラトラン誘導体の29Si−核磁気共鳴分析チャートである。
【図4】 実施例2で調製したシラトラン誘導体の13C−核磁気共鳴分析チャートである。
【図5】 実施例3で調製したシラトラン誘導体の29Si−核磁気共鳴分析チャートである。
【図6】 実施例3で調製したシラトラン誘導体の13C−核磁気共鳴分析チャートである。
Claims (5)
- 一般式:
で表されるエポキシ化合物と一般式:
R6Si(OR7)3
(式中、R6 は一価炭化水素基、ハロアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、アシロキシアルキル基、およびアミノアルキル基からなる群から選択される少なくとも一種の基であり、R7は炭素原子数1〜10のアルキル基である。)
で表されるアルコキシシラン化合物をアンモニアもしくは一般式:
NHy(CR1 2CR1 2OH)(3-y)
(式中、R1は同じかまたは異なる水素原子もしくはアルキル基であり、yは1または2である。)
で表されるアミン化合物と反応させることを特徴とする、請求項1記載のシラトラン誘導体の製造方法。 - 一般式:
−R4−O−R5
(式中、R4はアルキレン基であり、R5はアルケニル基である。)
で表されるアルケニルオキシアルキル基からなる群から選択される同じかまたは異なる基であり、但し、R2の少なくとも1個はこのアルケニルオキシアルキル基であり、R3 は一価炭化水素基、ハロアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、グリシドキシアルキル基、オキシラニルアルキル基、アシロキシアルキル基、およびアミノアルキル基からなる群から選択される基である。)
で表されるシラトラン誘導体からなる接着促進剤。 - 請求項3記載の接着促進剤を含有していることを特徴とする硬化性シリコーン組成物。
- 請求項3記載の接着促進剤を含有していることを特徴とするヒドロシリル化反応硬化性シリコーン組成物。
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