JP4180945B2 - 低床式車両 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、スクータ型自動二・三輪車等の低床式車両のエンジン搭載構造の改良技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動二輪車において、運転者が足を載せるステップとエンジンとの関係の技術が知られている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照。)。
【0003】
【特許文献1】
実開平1−65778号公報(第1頁、第1−3)
【特許文献2】
特開2002−19673公報(第5−7頁、図1、図5)
【0004】
特許文献1によれば従来の自動二輪車▲1▼は、車体中央に搭載されたエンジンの上面の一部を、シートに座った運転者が足を載せる足載せ部にしたというものである。
【0005】
特許文献2によれば従来の自動二輪車▲2▼は、車体中央にクランク軸が左右に延びるエンジンを搭載し、エンジン並びに車体を車体カバーで覆い、車体カバーのうち、エンジンのクランクケースの周りを一部切り欠くことで、クランクケースの側方を露出させ、クランクケースの前に且つ左右に、シートに座った運転者が足を載せる低床(足載せ部)を配置したというものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記従来の自動二輪車▲1▼は、単にエンジンの上面の一部が足載せ部を兼ねるだけのものであり、足を載せる面積が極めて小さい。従って、運転者の疲労をより軽減するには改良の余地がある。
【0007】
一方、従来の自動二輪車▲2▼は、クランクケースよりも前方に左右の低床を配置した、スクータ型自動二輪車からなる低床式車両である。従って、クランクケースよりも後方には低床を延すことができない。クランクケースが有る分だけ、低床の長さは短い。このため、クランクケースの後方に同乗者のステップを別に設けることになる。
【0008】
そこで本発明の目的は、低床の下方にエンジンを配置した低床式車両において、低床の高さを下げることができ、低床の足載せ面積を十分に確保することができ、低床に運転者の足載せ部分並びに同乗者の足載せ部を設けることができる技術を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1は、スクータ型自動二・三輪車等の低床式車両の低床の下方にエンジンを配置した低床式車両において、低床の一部に切欠部を開け、この切欠部に前記エンジンの一部を臨ませることで、この臨ませたエンジンの一部が運転者の足を載せる足載せ部を兼ね、切欠部に臨ませたエンジンの一部は、上面を平坦な平面部とし、この平面部を前記低床と略同一レベルに設定したことを特徴とする。
【0010】
低床の下方にエンジンを配置した低床式車両において、低床の一部に切欠部を開け、この切欠部にエンジンの一部を臨ませるようにしたので、低床の下にエンジンとの間の隙間を設ける必要がない。その分、低床の高さを下げることができる。しかも、低床の切欠部に臨ませたエンジンの一部により、運転者の足を載せる足載せ部を兼ねさせたので、足載せ面積を十分に確保することができる。このようなことから、運転者の足下の空間に余裕ができる。従って、運転者の疲労をより軽減することができる。さらに低床には、運転者の足載せ部分だけではなく、その足載せ部分を後方へ延長して、同乗者の足載せ部をも設けることができる。
さらにまた、軽量で簡単な構成によって、低床の高さを下げることができる。また、低床の高さを下げたにもかかわらず、エンジンの高さを上げることも可能となり、これにより、エンジンの保守・点検作業性を高めることができる。
【0011】
また本発明は、切欠部に臨ませたエンジンの一部が、上面を平坦な平面部とし、この平面部を低床と略同一レベルに設定したので、切欠部に臨ませたエンジンの一部を、低床と略同一レベルの平坦な平面部となり、切欠部に臨んでいるエンジンの一部を、低床における足載せ部の一部として、より一層有効に機能させることができる。運転者は、低床の上並びに切欠部に臨んでいるエンジンの上に、自由に足を伸ばして載せることができる。従って、運転者の疲労をより軽減することができる。
【0012】
請求項2は、エンジンの一部が、エンジンに付設した交流発電機を覆うカバーであることを特徴とする。
カバーを外すことによって、交流発電機の保守・点検作業を容易に行うことができる。
【0013】
請求項3は、カバーが、上面に点検用開口部を設けたことを特徴とする。
点検用開口部から交流発電機の保守・点検作業を、より容易に行うことができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を添付図面に基づいて以下に説明する。なお、「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、「下」は運転者から見た方向に従い、Frは前側、Rrは後側、Lは左側、Rは右側、CLは車幅中心(車体中心)を示す。また、図面は符号の向きに見るものとする。
【0016】
先ず、低床式車両10の全体構成について説明する。図1は本発明に係る低床式車両の左側面図(その1)であり、車体カバーを装着した構成を示す。図2は本発明に係る低床式車両の左側面図(その2)であり、車体カバーを外した構成を示す。図3は本発明に係る低床式車両の平面図であり、車体カバーを外した構成を示す。
【0017】
低床式車両10は、車体フレーム20と、車体フレーム20のヘッドパイプ21に取付けたフロントフォーク51と、フロントフォーク51に取付けた前輪52と、フロントフォーク51に連結したハンドル53と、車体フレーム20の下部に取付けたパワーユニット54と、車体フレーム20の前上部に取付けたラジエータ55、エアクリーナ56並びに燃料タンク57と、車体フレーム20の後上部に取付けたシート58と、シート58の下方で車体フレーム20の後部に取付けた収納ボックス59と、車体フレーム20の後部に後輪用リヤクッション61で懸架したスイングアーム62と、スイングアーム62に取付けた後輪63と、を主要な構成部材とし、車体全体を車体カバー(カウル)70で覆ったフルカウリングタイプの車両である。
【0018】
より具体的には、シート58は前後に2人乗りするタンデムシートであり、中央部に運転者用の可動式(調整可能な)シートバック64を備える。このようなシート58は、車体フレーム20の後上部から後方へ延したシートレール65によって、車体フレーム20に取付けることができる。
P1はホイールベース(前輪52と後輪63との中心間距離)の中間位置であり、距離X1と距離X2とは等しい。
【0019】
車体カバー70は、図1に示すように、ヘッドパイプ21の前部及び前輪52の上部を覆うフロントカバー71と、このフロントカバー71の後部を覆うインナカバー72と、運転者の足を載せるステップフロアとしての左右の低床73(左側のみ示す。以下同じ。)と、これら低床73の外縁から下方へ延ばした左右のフロアスカート74と、インナカバー72から後方へ延ばし車体フレーム20の長手中央を覆うセンターカバー75と、このセンターカバー75から後方へ延ばし車体フレーム20の後部、シートレール65、収納ボックス59を覆うサイドカバー76と、サイドカバー76の後方で車体後上部を覆うリヤカバー77とからなる。
【0020】
図2は、車体フレーム20の前部を覆うフロントカバー71やエンジン用ラジエータ55を、ステー320を介して車体フレーム20で支持したことを示す。
【0021】
センターカバー75は、エアクリーナ56、燃料タンク57及びエンジン100をも覆う部材である。
図中、81はウインドスクリーン、82はフロントフェンダ、83はヘッドランプ、84はウインカー、85はリヤスポイラ兼リヤグリップ、86はテールランプ、87はリヤフェンダ、88はナンバプレートである。
【0022】
次に、車体フレーム20について説明する。図4は本発明に係る車体フレームの左側面図、図5は本発明に係る車体フレームの平面図、図6は本発明に係る車体フレームの正面図、図7は本発明に係る車体フレームを左側方から見た斜視図、図8は本発明に係る車体フレームを右側方から見た斜視図である。
【0023】
車体フレーム20は、ヘッドパイプ21から後下方へ延出する左右一対のアッパフレーム22,22と、ヘッドパイプ21から下方へ延出してV型エンジン100(図2参照)のクランクケース104の前部に連結する左右一対のダウンフレーム23,23と、からなり、V型エンジン100を懸架する、ダイヤモンド型フレームである。
【0024】
詳しく説明すると、アッパフレーム22,22は、ヘッドパイプ21の上部から後下方へ傾斜しつつ略直線状に延び、その下傾端部22aから傾斜度合いを緩やかにして更に後下方へ延びたパイプ材である。ダウンフレーム23,23は、ヘッドパイプ21の下部から後下方へ、アッパフレーム22,22よりも大きい傾斜角で延びたパイプ材である。
【0025】
左のアッパフレーム22と左のダウンフレーム23との間、及び右のアッパフレーム22と右のダウンフレーム23との間は、トラス形状のフレーム構造(三角形状の骨組み構造)である。
【0026】
具体的には、トラス形状のフレーム構造は、ヘッドパイプ21とダウンフレーム23との接合部分からアッパフレーム22へ向かって略水平な第1補強材24を延ばし、アッパフレーム22と第1補強材24との接合部分からダウンフレーム23の下端部まで第2補強材25を延して接合し、さらに、アッパフレーム22の下傾端部22aの近傍と第2補強材25の延出途中との間に第3補強材26を掛け渡した構成とすることによって、側面視三角形状の3つの空間部27〜29を有したものである。これらの空間部27〜29は車幅方向に貫通している。
【0027】
すなわち、第1の空間部27は、ヘッドパイプ21とアッパフレーム22と第1補強材24とによって形成された空間である。第2の空間部28は、ダウンフレーム23と第1・第2補強材24,25とによって形成された空間である。第3の空間部29は、アッパフレーム22と第2・第3補強材25,26とによって形成された空間である。
【0028】
さらに車体フレーム20は、アッパフレーム22における下傾端部22aの近傍で、左右のアッパフレーム22,22間にクロスメンバ31を掛け渡し、左右のダウンフレーム23,23の延出途中間並びに下端部間に2つのクロスメンバ32,33を掛け渡すことによって、剛性を確保したものである。左右のアッパフレーム22,22間のクロスメンバ31は、クッション用ブラケット34を備える。
【0029】
車体フレーム20は、左のダウンフレーム23の下端部に左側第1ハンガプレート35を備え、左の第3補強材26に左側第2ハンガプレート36を備え、左のアッパフレーム22と左の第3補強材26との接合部分近傍に左側第3ハンガプレート37を備え、左のアッパフレーム22の後端部に左側第4ハンガプレート44を備えるとともに、図8に示すように、右のダウンフレーム23の下端部に右側ハンガ部23aを備え、右の第3補強材26に右側第1ハンガプレート38を備え、右のアッパフレーム22と右の第3補強材26との接合部分近傍に右側第2ハンガプレート39を備え、右のアッパフレーム22の後端部に右側第3ハンガプレート48を備える。
これらのハンガプレート35〜39,44,48は、車体フレーム20から取外し可能な連結部材である。
【0030】
さらに車体フレーム20は、図5及び図8に示すように、ダウンフレーム23,23の下部にステー47,47を介して、左右の低床支持フレーム41,42を固定したものである。これら左右の低床支持フレーム41,42は、前後に延在して、低床73(図1参照)を支持する部材である。
左の低床支持フレーム41は、その後部を左のアッパフレーム22の後部にステー43並びに左側第4ハンガプレート44にて連結したパイプ材であって、後部にサイドスタンド46を一体に保持したものである。左側第4ハンガプレート44は、低床支持フレーム用ステーを兼ねる。
【0031】
詳しくは、左の低床支持フレーム41にブラケット45にてサイドスタンド46を起立及び格納可能に取付けた。図8に示すように、右の低床支持フレーム42は、その後部を想像線にて示す変速機ユニット130のブラケット172に連結したものである。
【0032】
以上の低床支持フレーム41,42の取付構造をまとめて述べる。
ダイヤモンド型フレームにおけるダウンフレーム23,23の下部に、前後に延在する低床支持フレーム41,42を固定し、これらの低床支持フレーム41,42により低床73(図1参照)を支持するようにした。このため、V型エンジン100(図2参照)を下げるように構成することができ、且つ、低床73を確実に支持することができる。
【0033】
さらには、左のダウンフレーム23の下部に固定した、左の低床支持フレーム41の後部を、さらに左のアッパフレーム22の後部にも連結した(図2及び図7参照)。このため、前後に長い左の低床支持フレーム41を、車体フレーム20により十分に固定することができる。この結果、低床支持フレーム41の剛性を高めることができ、低床73をより確実に支持することができ、支持剛性を一層高めることができる。
【0034】
一方、図8に示すように、右のダウンフレーム23の下部に固定した、右の低床支持フレーム42の後部を、さらに、剛性が大きい変速機ユニット130にも連結した。このため、前後に長い右の低床支持フレーム42を、車体フレーム20や変速機ユニット130により、十分に固定することができる。この結果、低床支持フレーム42の剛性を高めることができ、低床73をより確実に支持することができ、支持剛性を一層高めることができる。
【0035】
さらにまた、図4に示すように、左の低床支持フレーム41の後部に、サイドスタンド46を一体に保持させたので、低床支持フレーム41がサイドスタンド46を保持する役割を兼ねることができる。このため、他の機能部品との兼用化を達成することができ、サイドスタンド46を保持するブラケット45が小型ですみ、別部品からなる保持部品を設ける必要もない。しかも、前後に延びる低床支持フレーム41でサイドスタンド46を保持するのであるから、サイドスタンド46を前後方向の任意の位置に設定することができ、設計の自由度が高まる。
【0036】
次に、パワーユニット54周りの構成について説明する。図9は本発明に係る車体フレーム、パワーユニット、エアクリーナ並びに燃料タンク周りの左側面図である。
パワーユニット54は、前部の前後V型エンジン100と後部の変速機ユニット130とを組合わせたものである。すなわち、パワーユニット54に変速機ユニット130を備える。
【0037】
図9に示すように、V型エンジン100は、側面視でバンク角θ1(気筒101,102間の挟み角θ1)を略90°又は90°を上回る角度に設定した、2気筒エンジンである。V型エンジン100において、前バンクの気筒101、すなわち前部の気筒101は、前輪52(図2参照)の車軸上方を指向するように前方へ概ね水平に延びる。後バンクの気筒102、すなわち後部の気筒102は、アッパフレーム22の下傾端部22aを指向するように上方へ概ね垂直に延びる。本発明は、このようにしてバンク角θ1の二等分線L1をヘッドパイプ21に指向させて、V型エンジン100を配置したことを特徴とする。
【0038】
さらに図9は、V型エンジン100のクランク軸103を、ホイールベースの中間位置P1(図2参照)よりも前方に配置することにより、前バンクの気筒101を左右のダウンフレーム23,23よりも前方に配置したこと、及び、後バンクの気筒102を左右のアッパフレーム22,22間に配置した(図3も参照)ことを示す。
【0039】
前バンクの気筒101を、左右のダウンフレーム23,23よりも前方に配置することによって、V型エンジン100を極力前方へ配置することができる。この結果、低床式車両10の重心を前に設定することができるので、前輪52と後輪63(図2参照)とにかかる荷重を、より適正に配分することができる。
【0040】
さらには、前バンクの気筒101を前に配置することによって、V型エンジン100のクランク軸103の位置が前方へ移る。この場合であっても、バンク角θ1の二等分線L1はヘッドパイプ21に指向する。クランク軸103の位置が前方へ移った分、バンク角θ1の二等分線L1が起立するので、これに応じて後バンクの気筒102が車体後方へ傾く。従って、後バンクの気筒102の高さを下げることができる。このため、V型エンジン100の搭載の自由度がより高まる。
【0041】
さらにまた、後バンクの気筒102を左右のアッパフレーム22,22間に配置したので、アッパフレーム22,22を下げても後バンクの気筒102に干渉することはない。このため、アッパフレーム22,22を極力低い位置に通すことができる。従って、車体フレーム20の重心が下がるので、低床式車両10の低重心化を図ることができる。しかも、低床73(図1参照)をより低くできるので、低床式車両10の居住性や足付き性が向上する。さらには、アッパフレーム22,22を下げることにより、運転者が乗車するときに、車体フレーム20をより跨ぎ易くなる。
【0042】
V型エンジン100を前方に配置できるようにするために、上記図2に示すようにエンジン(水冷エンジン)100のためのラジエータ55をヘッドパイプ21の前方に配置した。従来、水冷エンジンの前に配置されていたラジエータ55を、ヘッドパイプ21の前方に移すことによって、V型エンジン100を極力前方へ配置することができる。
【0043】
V型エンジン100並びに変速機ユニット130は、下半部を低床支持フレーム41,42(この図では左のみ示す。)の下方へ下げて配置したものである。このため、低床支持フレーム41,42で下から支えられる低床73(図1参照)の下方に、V型エンジン100並びに変速機ユニット130を配置して低床式車両10に搭載することができる。クランク軸103は、低床73並びに低床支持フレーム41,42よりも下方にある。
【0044】
このようにすることで、ヘッドパイプ21の高さ中央の点P2と変速機ユニット130の最終出力軸138とを通る直線L2の下方のスペースS1に、V型エンジン100並びに吸気系190を配置した。しかも、バンク角θ1の二等分線L1をヘッドパイプ21に指向させることができる。
【0045】
ここで、吸気系190とは、V型エンジン100に燃焼用空気を供給する系統であって、エアクリーナ56並びにエアクリーナ56から各気筒101,102に接続する各吸気連結管191,191を含む。
【0046】
バンク角θ1の二等分線L1をヘッドパイプ21に指向させて、V型エンジン100を配置したので、車体剛性の強い方向に二等分線L1が指向するので、V型エンジン100の振動に対して、より有利にすることができるとともに、ヘッドパイプ21と2つのシリンダ間の空間を有効に使うことができ、各気筒101,102のための吸気連結管191,191並びにエアクリーナ56を含む吸気系190を配置する、大きいスペースを確保することができる。従って、吸気系190の設計の自由度が高まる。
【0047】
また、このようなVバンク間の大きいスペースに、吸気連結管191,191並びにエアクリーナ56を含む吸気系190を、ヘッドパイプ21に指向させて配置するので、吸気系190及びV型エンジン100を効率良く連結することができ、V型エンジン100の性能向上を図ることができる。また、吸気系190を比較的低い位置に小型化して集約できる。このため、低い吸気系190の上部に燃料タンク57を容易に配置して、質量を前部に集中させることができる。
【0048】
低床式車両10の前部に燃料タンク57を配置することにより、低床式車両10の重心を前に設定することができるので、前輪52と後輪63とにかかる荷重を、より適正に配分することができる。しかも、シート58(図2参照)の下方に燃料タンク57を配置しなくてすむので、シート58下に大きいスペースを確保して、収納スペースの大きい収納ボックス59(図2参照)を配置するなど、多大な効果を発揮する。
【0049】
さらにまた、ヘッドパイプ21と変速機ユニット130の最終出力軸138とを通る直線L2の下方のスペースS1に、V型エンジン100並びに吸気系190を配置したので、エアクリーナ56の上方のスペースS2を有効に利用することができる。従って、エアクリーナ56の上方に機能部品としての燃料タンク57を容易に配置することができる。
【0050】
なお、図9の実施例では、後バンクの気筒102の先端並びに吸気系190のエアクリーナ56の上端は、直線L2よりも若干上方へ突き出てはいるものの、アッパフレーム22,22の上側の輪郭線と概ね一致する範囲内であり、実質的にはヘッドパイプ21と最終出力軸138とを通る直線L2の下方のスペースS1に配置されているものと、みなすことができる。
【0051】
ここで、上記図1〜図3及び図9に基づき、シート58、低床73,73、センターカバー75並びにエンジン100の関係について、まとめて説明する。
車体カバー70におけるセンターカバー75は、左右の低床73,73間に、運転者が乗車時に跨ぐことができる高さの跨ぎ部78を一体に設けたものである。この跨ぎ部78は、車体フレーム20の長手中央、すなわちアッパフレーム22の下傾端部22a(図9参照)周り、及び、V型エンジン100における後部の気筒102周りを覆う、正面断面視略下向きU字状カバーである。
【0052】
図1及び図2に示すように低床式車両10は、シート58の下に収納スペースを設け(すなわち、収納ボックス59を設け)、シート58の前にこのシート58に座った運転者が足を載せる左右の低床73,73を設け、これら左右の低床73,73間に跨ぎ部78を設け、この跨ぎ部78の下にエンジン100を設け、跨ぎ部78の前に燃料タンク57を配置したスクータである。
【0053】
エンジン100のクランク軸103を跨ぎ部78の下、すなわち、低床73,73よりも下方に配置するとともに、エンジン100の気筒(後部の気筒102)の頂部を跨ぎ部78内に臨ませるようにしたので、エンジン100の前方に大きいスペースを確保することができる。このスペースを有効利用して吸気連結管191,191並びにエアクリーナ56を含む吸気系190を配置することによって、吸気連結管191,191を直線に近い比較的単純な形状にすることができる。従って、吸気系190及びV型エンジン100を効率良く連結することができ、エンジン100の性能向上を図ることができる。さらには、吸気系190の設計の自由度が高まる。
【0054】
さらにまた、エンジン100の前方の比較的低位にエアクリーナ56を配置することによって、エアクリーナ56の上方に比較的低位の更なるスペースを確保することができる。この更なるスペースを有効利用して、燃料タンク57等の機能部品を容易に配置することができる。
【0055】
また、跨ぎ部78の前に燃料タンク57を配置することにより、シート58の下方に燃料タンク58を配置しなくてすむので、シート58下に大きいスペースを確保して、収納ボックス59の収納容量を大幅に大きくすることができるとともに、収納ボックス59の設計の自由度を高めることができる。
【0056】
また、エンジン100を、前部の気筒101並びに後部の気筒102を備えたV型エンジンにて構成したので、前後の気筒101,102間のスペースを有効利用することができる。従ってエンジン100の前方に、より大きいスペースを確保することができる。このようなより大きいスペースを有効利用して、吸気系190を一層容易に配置することができる。
さらにまた、V型エンジン100の2つの気筒101,102を前後に配置することにより、車幅が広がらなくてすみ、走行性能を高めるとともに、V型エンジン100の振動に対してもより有利にすることができる。
【0057】
図10は本発明に係るパワーユニットの断面図であり、上から見たパワーユニット54を展開した断面構造として表した。図11は本発明に係るパワーユニットの前半部の断面図である。図12は本発明に係るパワーユニットの後半部の断面図である。図13は本発明に係るパワーユニットの後部並びに後輪用スイングアーム周りの平面図である。
【0058】
図10〜図12にはパワーユニット54の断面構成を示す。なお、V型エンジン100については後バンクの気筒102を省略して表した。
V型エンジン100は、左右二分割形式のクランクケース104、クランクケース104に連結した前バンクの気筒101並びに後バンクの気筒102(図9参照)、これらの気筒101,102の先端に連結したヘッド105並びにヘッドカバー106、車幅方向に延びてクランクケース104内に回転可能に収納されたクランク軸103、クランク軸103にコネクティングロッド107にて連結されたピストン108、カム室109に収納された動弁機構111、点火プラグ112等からなり、水冷ジャケットを有する水冷式エンジンである。
【0059】
図中、113はカムチェーン、114は冷却水ポンプ用駆動ギヤ、115は右サイドカバー、116は交流発電機、117はスタータモータ(後述する)によるクランク軸駆動用ギヤである。
クランクケース104の左側部に左サイドカバー118を被せることで、クランク軸103の左端部、交流発電機116、後述する第1伝動軸136の左端部周りを大きく覆っている。
【0060】
変速機ユニット130は、V型エンジン100の一側部(右側R)でエンジン100に結合し、低床式車両10の一側部(右側R)にて後方へ延在し、後輪用スイングアーム62のピボット部分で、低床式車両10の他側部(左側L)から後輪63を駆動するように構成したものである。
このようにして、クランクケース104と変速機ユニット130とを、平面視略コ字状に組合わせてパワーユニット54を構成し、低床式車両10の他側部(左側L)に平面視略コ字状の開口(平面視略コ字状の開口部分のスペースS4)を設けることができる。
このように構成したので、V型エンジン100或いは変速機ユニット130のみの変更が可能となり、汎用性の高いパワーユニット54となる。
【0061】
詳しく説明すると、変速機ユニット130は、クランクケース104の後部右面に取付けるとともに後方へ延びた主ケース131、主ケース131の右側開口を塞ぐ第1カバー132、主ケース131と第1カバー132とによって形成した第1変速機室133、主ケース131の後部左側部に重ね合わせた副ケース134、主ケース131と副ケース134とによって形成した第2変速機室135、クランクケース104内の後部から第1変速機室133内へ車幅方向に延びる第1伝動軸136、第1変速機室133内の後部から第2変速機室135内へ車幅方向に延びる第2伝動軸137、第2変速機室135内から副ケース134を貫通して左外方へ延びる最終出力軸138、クランク軸103の左端部から第1伝動軸136の左端部へ動力を伝達する第1ギヤ機構139、第1伝動軸136の右端部から第2伝動軸137の右端部へ動力を伝達するベルト式無段変速機構141並びに遠心クラッチ142、第2伝動軸137の左端部から最終出力軸138へ動力を伝達する第2ギヤ機構143、等からなる。
【0062】
ベルト式無段変速機構141は、図示せぬサーボモータによって変速用ギヤ147を介して変速制御される、モータ制御方式を採用したものである。
144はバランサ、145はリラクタ、146はパルサ(クランク軸の角度センサ)であってエンジン100の点火制御並びに燃料噴射制御用に用いるものである。
【0063】
さらに図13を参照しつつ説明すると、最終出力軸138の左端に伝動軸151をスプライン結合し、伝動軸151に駆動スプロケット152を取付け、一方、後輪63用車軸153に被動スプロケット154を取付け、これらの駆動・被動スプロケット152,154間にチェーン155を掛けることで、V型エンジン100の動力を変速機ユニット130からチェーンドライブ機構150によって、後輪63に伝達することができる。
【0064】
ところで、最終出力軸138の軸心C1は後輪用スイングアーム62のピボット中心C1(スイング中心C1)でもある。
スイングアーム62は、左アーム161と右アーム162とこれら左・右アーム161,162間を繋ぐクロスメンバ163とからなる、平面視略H字状の部材であり、後端部に後輪63を回転自在に支承することができる。
【0065】
このようなスイングアーム62は、主ケース131の後部右側面と副ケース134の後部左側面とを、左・右アーム161,162の前端間で挟み込むように配置したものである。左アーム161の前端に有する左被支承部161aを、副ケース134の後部左側部に左ピボット164にて支承するとともに、右アーム162の前端に有する右被支承部162aを、主ケース131の後部右側部に右ピボット165にて支承することによって、スイングアーム62を上下スイング可能に取付けることができる。
【0066】
なお、ピボット165は主ケース131に出没可能にねじ込む雄ねじである。主ケース131にピボット165をねじ込むことで予め引き込んでおき、スイングアーム62をピボット中心C1に位置合わせした後に、ピボット165の先端を露出させて、右被支承部162aに嵌合することにより、主ケース131に右被支承部162aを取付けることができる。
【0067】
左アーム161はチェーンケースを兼ね、この左アーム161の左側開口をチェーンカバー166によって覆うことで、駆動・被動スプロケット152,154並びにチェーン155を収納することができる。
【0068】
以上の説明から明らかなように、パワーユニット54は、クランクケース104の後端部と、変速機ユニット130の主・副ケース131,134の左側部と、スイングアーム62の左アーム161の前端部と、によって囲んだ平面視略コ字状の開口を、低床式車両10の他側部(左側L)に設けることができる。
【0069】
次に、車体フレーム20とパワーユニット54との関係について説明する。図14は本発明に係る車体フレーム並びにパワーユニット周りを左前方から見た斜視図である。図15は本発明に係る車体フレーム、パワーユニット並びにエアクリーナ周りを左後方から見た斜視図である。図16は本発明に係る車体フレーム、パワーユニット並びにエアクリーナ周りを右前方から見た斜視図である。
図17は本発明に係る車体フレーム並びにパワーユニット周りを右後方から見た斜視図である。
【0070】
図14〜図17は、ダイヤモンド型フレームである車体フレーム20にV型エンジン100並びに変速機ユニット130を懸架したことを示す。
V型エンジン100については、クランクケース104の左側部を、左側第1・第2・第3ハンガプレート35,36,37を介して車体フレーム20に取付けるとともに、クランクケース104の右側部を、右側ハンガ部23a及び右側第1ハンガプレート38を介して車体フレーム20に取付けた。
【0071】
一方、変速機ユニット130については、主ケース131の左側部の上部を、左側第3・第4ハンガプレート37,44を介して車体フレーム20に取付けるとともに、主ケース131の右側部の上部を、右側第2・第3ハンガプレート39,48を介して車体フレーム20に取付けた。
なお、クロスメンバ32,33は、エンジン用ガード部材の役割を兼ねる。
【0072】
車体フレーム20をダイヤモンド型フレームとし、このダイヤモンド型フレームにV型エンジン100を懸架したので、エンジン100を車体フレーム20の一部とすることができる。このため、V型エンジン100の下にフレームの部材を通す必要がない。従って、V型エンジン100を最低地上高さまで下げることができる。この結果、図9に示すように、V型エンジン100のクランク軸103も下がるので、その分、低床73(図1参照)の上方のスペースを広くとることができる。さらには、V型エンジン100を下げることで、クランクケース104の上方に低床73を配置し、ステップ幅(低床73の幅)を狭くすることができる。
【0073】
このように本発明のレイアウトによれば、略90°又は90°を上回るバンク角θ1を有するV型エンジン100の搭載自由度を、より高めることができる。しかも、V型エンジン100を下げることで、低床式車両10の低重心化を図ることができる。
【0074】
図9を参照しつつ説明すると、アッパフレーム22,22は、V型エンジン100の後バンクの気筒102近傍まで後下方へ傾斜しつつ略直線状に延びた後に、傾斜度合いを緩やかにして、後輪用スイングアーム62のピボット(最終出力軸138の位置)近傍まで延びている。
【0075】
このようにして、アッパフレーム22,22を前後方向に概ね直線状に延すことができる。このため、アッパフレーム22,22の剛性をより高めることができ、この結果、車体フレーム20の剛性をより高めることができる。
このように、アッパフレーム22,22の前部は吸気系190の安定に寄与し、アッパフレーム22,22の後部は後輪63からの荷重を有効に受け止めるように機能することができる。従って、小型・軽量な構成によって車体フレーム20の剛性を有効に保持することができる。
【0076】
図15に示すように、車体フレーム20における左右の第1補強材24,24を外方へ湾曲するように形成したことにより、エアクリーナ56の容量を増すことができるとともに、エアクリーナ56を前方へ配置しても、ヘッドパイプ21に干渉したり、フロントフォーク51(図2参照)の最大旋回範囲で干渉しないようにすることができる。
【0077】
図15において、148は無段変速比可変用サーボモータであり、上記図11に示す変速用ギヤ147を介してベルト式無段変速機構141の無段変速比を制御するものである。図16において、121はエンジン冷却水用ポンプ(冷却水ポンプ)121である。さらに図16及び図17は、クランクケース104の右側面に変速機ユニット130を右上部のブラケット172及び図示せぬユニット内の取付け部分で取外し可能にボルトにて取付けたことを示す。
【0078】
ところで、上記図9に示すように、クランクケース104と変速機ユニット130とを、左側第3ハンガプレート37並びに連結部材173にて,上下で連結するとともに、これらの左側第3ハンガプレート37並びに連結部材173を、パワーユニット54の平面視略コ字状の開口側に設けたことを示す。左側第3ハンガプレート37は、連結部材の役割を果たす。
【0079】
詳しくは、クランクケース104の左後下部に連結部材173の前部を2個のボルト174,174で取付けるとともに、変速機ユニット130の左前下部に連結部材173の後部を1個のボルト175で取付けた。
また、クランクケース104の左後上部に左側第3ハンガプレート37(連結部材37)の前部を1個のボルト178で取付けるとともに、変速機ユニット130の左前上部に左側第3ハンガプレート37の後部を1個のボルト179で取付けた。
【0080】
このようにすることで、パワーユニット54の剛性を十分に確保することができる。従って、車体フレーム20の一部となるエンジン100並びに変速機ユニット130からなるパワーユニット54の剛性が高まるので、車体フレーム20の剛性をも、より高めることができる。
【0081】
さらには、上下の連結部材37,173をパワーユニット54の平面視略コ字状の開口側に設けることによって、開口部分を上下の連結部材37,173で補強することができるので、効率的に所望の剛性を確保することができ、剛性の確保に自由度がでるとともに、連結部材37,173が車体から突出しないので低床式車両10の外観性が高まる。
【0082】
さらに連結部材173は、上記図4〜図6に示すように、メインスタンド(スタンド部材)176を保持するように構成したものである。すなわち、正面視略門型のメインスタンド176の左上部を連結部材173の下端部に連結するとともに、メインスタンド176の右上部をステー177を介して変速機ユニット130の下部に連結することで、メインスタンド176を起立及び格納可能に取付けた。
【0083】
パワーユニット54の剛性を確保するための連結部材173が、メインスタンド176を保持する役割を兼ねるので、他の機能部品との兼用化を達成することができ、低床式車両10を、部品数が少なく軽量・小型の構成にすることができる。
【0084】
次に、吸気系190について説明する。図18は本発明に係る車体フレーム、V型エンジン、吸気系周りの左側面図であり、エアクリーナ56を断面して表した。図19は本発明に係るエアクリーナ並びに車体カバー周りの背面断面図、図20は本発明に係るエアクリーナの分解図、図21は本発明に係るエアクリーナの作用図である。
【0085】
上記図9及び図18を参照しつつ説明すると、V型エンジン100の上方に吸気連結管191,191並びにエアクリーナ56を含む吸気系190を配置し、エアクリーナ56の上部に、車両用付属品としての燃料タンク57を配置するスペースS2を設けたことが示されている。
詳しくは、V型エンジン100のVバンク間(気筒101,102間)に、ヘッドパイプ21に指向させて吸気系190を配置するとともに、この吸気系190の上部に燃料タンク57を配置した。
【0086】
より具体的に説明すると、V型エンジン100は、各気筒101,102をエアクリーナ56に連結する吸気連結管191,191をそれぞれ備える。各吸気連結管191,191は、それぞれスロットル弁192,192及び燃料噴射弁193,193を備えるとともに、エアクリーナ56内に延びる送気管(ファンネル)194,194を各々備える。送気管194,194は、吸気連結管191,191の各一端に接続し、側面視略ハ字状に配列したものである。これらの送気管194,194の間にフィルタエレメント206を配置した。
【0087】
図中、149はセルモータである。195はエアクリーナ56内の吸気温度を検出する吸気温度センサであり、燃料噴射弁193,193の噴射量を演算制御するときに、吸気温度で補正するために用いるものである。
【0088】
図18〜図20に示すように、エアクリーナ56は、低床式車両10の側方から保守・点検することが可能な構成である。エアクリーナ56の具体的な構成は、クリーナケース201と、クリーナケース201の下端開口202を塞ぐ脱着可能な底板203と、底板203からケース内に延びる2個の送気管194,194と、クリーナケース201の後上部に設けた点検口204を塞ぐ脱着可能な点検用リッド205と、クリーナケース201の内部に収納した筒状のフィルタエレメント206と、クリーナケース201の左側部又は右側部に設けたフィルタ点検孔207と、このフィルタ点検孔207を塞ぐ脱着可能な蓋部材208と、蓋部材208に設けた略L字状の吸気管209と、からなる。
底板203によって閉鎖されたクリーナケース201は、エンジン用吸気チャンバの機能を有する。
【0089】
蓋部材208は、吸気管209の一端を脱着可能に取付け、吸気管209に連通する連通管211を備え、連通管211に連通するフィルタエレメント206の一端を脱着可能に取付けたものである。このようにして、エアクリーナ56は、内部にフィルタエレメント206を備え、エアクリーナ56の側部の蓋部材208により脱着可能に構成することができる。
【0090】
エアクリーナ56を覆ったセンターカバー75(車体カバー70の一部)は、点検用孔75aを設けるとともに、この点検用孔75aを塞ぐ脱着可能な点検用リッド212を設けたものである。点検用リッド212は、蓋部材208に対向する位置にある。
【0091】
吸気管209から取り入れられた空気は、連通管211、フィルタエレメント206、クリーナケース201、送気管194,194、吸気連結管191,191を通って、図8に示すV型エンジン100の各気筒101,102に入る。
【0092】
フィルタエレメント206を保守・点検するには、図21に示すように、先ず、ビス213を外すとともに点検用リッド212の一端の係止溝212aを点検用孔75aの縁から引き抜く。これで、センターカバー75から点検用リッド212が外れる。
次に、ビス214を外して蓋部材208を点検用孔75aを通して外す。この結果、蓋部材208と共に、吸気管209及びフィルタエレメント206も外れる。
フィルタエレメント206を元に戻すには、上記取外し手順と逆手順にすればよい。
【0093】
以上の説明から明らかなように、エアクリーナ56を、低床式車両10の側方から保守・点検することが可能な構成にしたので、エアクリーナ56の上部から保守・点検をする必要はない。このため、エアクリーナ56の上部に有効利用可能な広いスペースを十分に確保することができる。
【0094】
さらには、エアクリーナ56の内部に備えたフィルタエレメント206を、エアクリーナ56の側部の蓋部材208により脱着可能に構成し、この蓋部材208に対向する点検用リッド212を、エアクリーナ56を覆った車体カバー70に設けたので、点検用リッド212を外した後に蓋部材208を外すことで、エアクリーナ56の側部からフィルタエレメント206を簡単に脱着することができる。このため、フィルタエレメント206の保守・点検作業が容易であり、作業性が高まる。
【0095】
さらにまた、図18に示すように、エアクリーナ56内に延びる複数の送気管194,194の間に、フィルタエレメント206を配置したので、エアクリーナ56の側部からフィルタエレメント206を脱着するときに、フィルタエレメント206が送気管194,194に干渉することはない。このため、干渉を防止するためにエアクリーナ56を大型にする必要もない。従って、エアクリーナ56の小型化を図ることができ、この結果、エアクリーナ56を低床式車両10に搭載する設計の自由度が高まる。
【0096】
また、エアクリーナの上部に、燃料タンク57(図9参照)等の車両用付属品を配置するスペースS2を設けたことで、スペースS2を有効利用して車両用付属品を容易に配置することができるとともに、荷重配分についても設計の自由度を高めることができる。例えば、低床式車両10の前部にエアクリーナ56並びに燃料タンク57を配置することにより、低床式車両10の重心を前に設定することができるので、前輪52と後輪63とにかかる荷重を、より適正に配分することができる。
【0097】
ところで、図18に示すように各々の吸気連結管191,191は、アッパフレーム22並びにダウンフレーム23にほぼ沿わせて配置したことを特徴とする。すなわち、前バンクの気筒101に接続された吸気連結管191をダウンフレーム23にほぼ沿わせて配置するとともに、後バンクの気筒102に接続された吸気連結管191をアッパフレーム22にほぼ沿わせて配置した。
【0098】
このため、各吸気連結管191,191を略直線状に構成することができる。略直線状の各吸気連結管191,191を採用することによって、各吸気連結管191,191から各気筒101,102へ、空気をより円滑に供給することができる。この結果、吸気効率をより向上させることができ、V型エンジン100の出力性能を、より高めることができる。
【0099】
しかも、このような構成をとることにより、車体フレーム20の内側のスペースを有効に使ってコンパクトに配置することができるので、設計の自由度を増すことができ、低床式車両10の外観性を高めることもできる。さらには、運転者が乗車するときに、車体フレーム20の跨ぎ易さを向上することができる。
【0100】
上述のように、各々の吸気連結管191,191の側面に対向するアッパフレーム22とダウンフレーム23との間は、トラス形状のフレーム構造である。このため、車体フレーム20のうち、各吸気連結管191,191の延在方向の剛性をより一層高めることができる。
従って、車体フレーム20自体の剛性を確保することができ、しかも、車体フレーム20内の吸気管等の車両用部品をしっかりと保持することができるとともに、車体フレーム20にこれらの車両用部品をガードする役割を持たせることができる。
【0101】
このトラス形状のフレーム構造に有する三角形状の第2の空間部28は、エアクリーナ56のフィルタエレメント206を出し入れすることのできる空間である。第2の空間部28を有するので、エアクリーナ56の側方からフィルタエレメント206を簡単に脱着することができる。このため、フィルタエレメント206の保守・点検作業が容易であり、作業性が高まる。しかも、エアクリーナ56の小型化及び軽量化を図ることができる。
【0102】
なお、図19において、221,222はエレメント押え部である。図20において、223,223は送気管接続ジョイント、224,224は送気管接続フランジ、225・・・はビス、226,227はパッキンである。
【0103】
次に、V型エンジン100の排気系240について説明する。図22は本発明に係る車体フレーム、パワーユニット、排気系周りの左側面図、図23は本発明に係る車体フレーム、パワーユニット、排気系周りの平面図である。
【0104】
上記図14〜図17も参照しつつ説明すると、V型エンジン100の排気系240は、後バンクの気筒102に接続された第1の排気管241、前バンクの気筒101に接続された第2の排気管242、第1の排気管241の後端と第2の排気管242の後端とを集合する集合管243、集合管243の後端に延長管244を介して接続した消音器245とからなる。消音器245は触媒246(図22参照)を内蔵し、後輪63の右上側に配置したものである。
【0105】
後バンクの気筒102に接続された第1の排気管241は、後バンクの気筒102よりも後方(具体的には左後方)へ延出し、その後端を下方へ延して、パワーユニット54における平面視略コ字状の開口のスペースS4を通し、その下端を後方(具体的には右後方)へ延ばしてパワーユニット54の下を通し、その後端を集合管243を介して第2の排気管242に接続したものである。
【0106】
パワーユニット54の平面視略コ字状の開口部分のスペースS4に、V型エンジン100の後バンク102の気筒に接続された第1の排気管241を通したので、コ字状の開口部分のスペースS4を有効利用することができる。このため、第1の排気管241が車体から突出しないので、低床式車両10の外観性が高まる。
【0107】
前バンクの気筒101に接続された第2の排気管242は、前バンクの気筒101から下方へ延ばし、その下端を右へ延ばし、その右端をパワーユニット54の右下部に沿って後方へ延ばし、その後端を集合管243に接続したものである。
【0108】
図14に示すように、第2の排気管242は、V型エンジン100の前面一側部(右側)を通り、V型エンジン100の他側部(左側)のエンジン前面のクランクケース104には、オイルフィルタ122及び又はオイルクーラ123を設けた。すなわち、クランクケース104の左半体における前部に、オイルフィルタ122やオイルクーラ123を備える。
【0109】
ところで、変速機ユニット130は、図11に示すように右側部に吸気口251を設けるとともに、ベルト式無段変速機構141のプーリ252にファン253を設け、外気を吸引して変速機ユニット130内を空冷する構成である。冷却した後の排風は、図14〜図16に示すように変速機ユニット130の後上部に備えた排風部材254によって大気に放出されることになる。
【0110】
排風部材254は、側面視で上下逆U字状のダクトであり、排風を第1・第2の排気管241,242に当てるように構成したものである。第1・第2の排気管241,242における排風が当たる部分は、第1の排気管241と第2の排気管242との集合部分、すなわち集合管243又はその近傍である。第1・第2の排気管241,242における排風が当たる部分に、上記排気センサ255を設けた。すなわち、集合管243の後部に排気センサ255を設けた。排風によって排気センサ255を冷却するので、排気センサ255の機能や性能を保持する上で有利となる。
【0111】
この排気センサ255は、排ガス中の酸素量を検出するものである。この検出データに基づいて、燃料噴射弁193,193(図18参照)の噴射量をフィードバック制御することができる。例えば、検出された酸素量が多いときには、空気供給量に対する燃料供給量の割合が小さいとして、燃料噴射弁193,193噴射量を増大させるように制御することになる。
【0112】
このように、第1・第2の排気管241,242における排風が当たる部分に排気センサ255を設けたので、排風によって排気センサ255を冷却することができる。排ガスによる排気センサ255の熱影響を軽減することができるので、排気センサ255の機能や性能を保持する上で有利となる。例えば、排気センサ255によって燃料噴射弁193,193(図18参照)を常に良好に噴射制御することができる。
【0113】
以上の排気系240をまとめて述べる。
パワーユニット54を平面視略コ字状に構成したので、V型エンジン100の後バンクの気筒102に接続された第1の排気管241を、気筒102よりも後方へ延出し、その後端を下方へ延して平面視略コ字状の開口のスペースS4を通し、その下端を後方へ延ばし、その後端をV型エンジン100の前バンクの気筒101に接続された第2の排気管242に接続することができる。
【0114】
このように、後バンクの気筒102に接続された第1の排気管241をパワーユニット54の上を通し、さらに平面視略コ字状の開口のスペースS4を通して下へ延ばすことで、このスペースS4を有効利用し、前バンクの気筒101に接続された第2の排気管242と接続することができる。従って、前後V型エンジンのための複数の排気管を効率良く配置することができる。
【0115】
さらには、変速機ユニット130の後部に備えた排風部材254の排風を、第1・第2の排気管241,242に当てるように構成したので、排風によって第1・第2の排気管241,242及び管内の排ガスを所望の温度に制御することができる。特に、変速機ユニット130を冷却した後の排風によって第1・第2の排気管241,242や排ガスを冷却するようにすることで、両方を同時に冷却することができ、別個の冷却手段を設ける必要がなく、低床式車両10の小型化を図ることができる。
【0116】
さらにまた、第1の排気管241と第2の排気管242との集合部分の近傍に、排風部材254の排風を当てるようにしたので、第1・第2の排気管241,242内の排ガスを一緒に冷却して温度制御することができるので、効率が良い。
【0117】
また、図14に示すように、V型エンジン100の前面の一側部には第2の排気管242を通すが、V型エンジン100の前面の他側部におけるクランクケース104には、第1・第2の排気管241,242を通さない。排気管241,242が通らない空いたスペースを有効利用して、V型エンジン100の前面の他側部におけるクランクケース104に、エンジン用オイル潤滑・冷却系の機能部品である、オイルフィルタ122やオイルクーラ123を設けることができるので、低床式車両10の小型化を図ることができる。
【0118】
次に、後輪用リヤクッション61の配置構成について説明する。
図24は本発明に係る低床式車両の概要図であり、シート58の下方に、シート58の前後長と略同等の前後長を有する収納ボックス59を備え、この収納ボックス59の下方に後輪用リヤクッション61を横置きにして配置したことを示す。図13を参照すると、リヤクッション61は、車体の略中心(車幅方向中心)に配置していることが判る。
【0119】
図25は本発明に係る収納ボックス並びに後輪用リヤクッション周りの左側面図、図26は図25の26−26線断面図である。
後輪用リヤクッション61は、アッパフレーム22の後部に沿って配置されている。詳しくは、アッパフレーム22のクッション用ブラケット34にリヤクッション61の一端部を連結し、スイングアーム62のクッション用ブラケット167にリヤクッション61の他端部を連結することで、アッパフレーム22の上に且つアッパフレーム22に略平行に、リヤクッション61を配置した。
【0120】
収納ボックス59は、その底面59aにリヤクッション61のための点検用リッド261を備える。リヤクッション61は、クッション性を調整するための調整部材61aを備える。収納ボックス59の底面59aは調整部材61aの真上にある。
リヤクッション61の調整時には、底面59aに弾性係合にて脱着可能に取付けられた点検用リッド261を外し、底面59aの点検用孔59bから工具262を差し込んで、調整部材61aを調整すればよい。調整作業が簡単である。
【0121】
以上のリヤクッション61の取付構造をまとめて述べる。
収納ボックス59の下方に後輪用リヤクッション61を横置きにして配置したので、収納ボックス59を前後に延しても、車体の略中心に在る後輪用リヤクッション61に干渉しない。従って、シート58の下方にシート58の前後長と略同等の前後長を有する収納ボックス59を配置することができる。このため、収納ボックス59の前後長を大きくして収納スペースを拡大することによって、長尺で径の大きい物を収納する収納スペースを容易に確保することができる。
【0122】
さらには、収納ボックス59の底面に後輪用リヤクッション61の点検用リッド261を備えたので、点検用リッド261を外してリヤクッション61の保守・点検をすることができる。収納ボックス59や車体カバー70(図1参照)を外すことなく、簡単に保守・点検作業をすることができるので、作業性が高まる。
【0123】
さらにまた、後輪用リヤクッション61を、ダイヤモンド型フレーム20のアッパフレーム22の後部に沿って配置したので、大きい剛性を有するアッパフレーム22によって、後輪用リヤクッション61の剛性を十分に確保することができるとともに、小型の懸架構造とすることができる。
【0124】
図27は本発明に係る収納ボックスの変形例図であり、上記図25に示す実施例に対応する。変形例の収納ボックス59は、底面59aに備えた点検用リッド263が、ヒンジ264にて開閉するヒンジ構造であることを特徴とする。他の構成については、上記図24〜図26と同じであり、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0125】
次に、エンジン100に循環する冷却水等の液体の循環系270について、図28〜図37に基づき説明する。
図28は本発明に係るエンジンに循環する液体の循環系の模式図であり、この液体の循環系270は、例えば、エンジン100自体を冷却するための冷却水を循環させるエンジン冷却水循環系271と、エンジン用オイルクーラ123を冷却するための冷却水を循環させるオイルクーラ冷却水循環系291とからなる。
【0126】
エンジン冷却水循環系271は、エンジン用ラジエータ55から冷却水ポンプ121へ冷却水を送る送出ライン272と、水冷エンジン100のサーモスタット弁273からエンジン用ラジエータ55へ冷却水を戻す戻りライン274と、リザーブタンク275からエンジン用ラジエータ55までのリザーブライン276と、からなる。
冷却水は、エンジン用ラジエータ55→送出ライン272→冷却水ポンプ121→水冷エンジン100の前部の気筒101並びに後部の気筒102の各水冷ジャケット(図示せず)→サーモスタット弁273→戻りライン274→エンジン用ラジエータ55、の経路で循環する。
【0127】
送出ライン272は、エンジン用ラジエータ55の送出口55aに一端を接続した送出パイプ281と、送出パイプ281の他端から冷却水ポンプ121の入口121aに接続した送出ホース282と、からなる液体配管である。
戻りライン274は、エンジン用ラジエータ55の戻り口55bに一端を接続した戻りパイプ283と、戻りパイプ283の他端からサーモスタット弁273の出口273aに接続した戻りホース284と、からなる液体配管である。
【0128】
277,278,279は戻りホースである。戻りホース277,278は、前後の気筒101,102の各水冷ジャケット(図示せず)からサーモスタット弁273へ冷却水を戻すホースである。戻りホース279は、冷却水の温度が一定以下でサーモスタット弁273が閉じているときに、冷却水をサーモスタット弁273から冷却水ポンプ121へ戻すホースである。
【0129】
オイルクーラ冷却水循環系291は、送出ライン272の送出パイプ281から分岐してオイルクーラ123へ冷却水を送る送出ライン293と、オイルクーラ123から冷却水ポンプ121へ冷却水を戻す戻りライン294と、からなる。
冷却水は、エンジン用ラジエータ55→送出ライン272→送出ライン293→オイルクーラ123→戻りライン294→冷却水ポンプ121→水冷エンジン100の前部の気筒101並びに後部の気筒102の各水冷ジャケット(図示せず)→サーモスタット弁273→戻りライン274→エンジン用ラジエータ55、の経路で循環する。
【0130】
送出ライン293は、送出ホースである。戻りライン294は、エンジン100内の冷却水通路である。
【0131】
エンジン冷却水循環系271の送出パイプ281並びに戻りパイプ283は、それぞれ外面に冷却フィン285,286を備える。
フロントカバー71(図2参照)とエンジン用ラジエータ55との間にはダクト311を備える。以下、ダクト311の詳細な構成、及び、エンジン冷却水循環系271の送出・戻りパイプ281,283の詳細な構成について説明する。
【0132】
図29(a),(b)は本発明に係るフロントカバー並びにラジエータ周りの構成例図(その1)であり、フロントカバー71並びにダクト311の第1の実施例を示す。
(a)は、フロントカバー71の正面図であって、フロントカバー71の前面のうち、ヘッドランプ83の下に、外気を取入れるための左右2個の導入口71a,71aを開けたことを示す。(b)は、導入口71a,71aから取入れた外気をラジエータ55へ導くための第1の実施例のダクト311を、ラジエータ55にビス312・・・にて取付けた構成を、分解して示す。ダクト311の導入口311a,311aは、フロントカバー71の導入口71a,71aに合致する。このように、フロントカバー71は外気を取入れる導入口71a,71a(311a,311a)を備える。
【0133】
図30(a),(b)は本発明に係るフロントカバー並びにラジエータ周りの構成例図(その2)であり、フロントカバー71並びにダクト311の第2の実施例を示す。
(a)は、フロントカバー71を正面から見た構成図であって、フロントカバー71の前面のうち、ヘッドランプ83の下方の開口71bに、第2の実施例のダクト313の導入口313aを配置したことを示す。(b)は、広幅の導入口313aから取入れた外気をラジエータ55へ導くダクト313を、ラジエータ55にビス312・・・にて取付けた構成を、分解して示す。このように、フロントカバー71は外気を取入れる導入口311aを備える。
【0134】
図31(a),(b)は本発明に係るフロントカバー並びにラジエータ周りの構成例図(その3)であり、フロントカバー71並びにダクト311の第3の実施例を示す。
(a)は、フロントカバー71の正面図であって、フロントカバー71の前面のうち、ヘッドランプ83の左右両側に、外気を取入れるための左右2個の導入口71a,71aを開けたことを示す。(b)は、導入口71a,71aから取入れた外気をラジエータ55へ導くための第3の実施例のダクト314を、ラジエータ55にビス312・・・にて取付けた構成を、分解して示す。ダクト314の導入口314a,314aは、フロントカバー71の導入口71a,71aに合致する。このように、フロントカバー71は外気を取入れる導入口71a,71a(314a,314a)を備える。
【0135】
図32(a),(b)は本発明に係るフロントカバー並びにラジエータ周りの構成例図(その4)であり、フロントカバー71並びにダクト311の第4の実施例を示す。
(a)は、フロントカバー71を正面から見た構成図であって、フロントカバー71の前面のうち、ヘッドランプ83の下方に開口71bを設け、この開口71bの左右の上部コーナーに、外気を取入れるための左右2個の導入口71a,71aを開けたことを示す。(b)は、導入口71a,71aから取入れた外気をラジエータ55へ導くための第4の実施例のダクト315を、ラジエータ55にビス312・・・にて取付けた構成を、分解して示す。ダクト315の導入口315a,315aは、フロントカバー71の導入口71a,71aに合致する。このように、フロントカバー71は外気を取入れる導入口71a,71a(315a,315a)を備える。
【0136】
図33は本発明に係るステー並びにエンジン冷却水循環系の送出・戻りパイプを右側方から見た配管図(その1)、図34は本発明に係るステー並びにエンジン冷却水循環系の送出・戻りパイプを左側方から見た配管図(その2)、図35は本発明に係るフロントフォーク並びにステーを正面から見た要部断面図である。
【0137】
ステー320は、ヘッドパイプ21にボルト止めした左右の第1ステー321,321と、これらの第1ステー321,321から前方へ延びてフロントカバー71を支持した左右の第2ステー322,322と、これらの第1ステー321,321から前下方へ延びてラジエータ55を支持した左右の第3ステー323,323と、これらの第3ステー323,323から後方へ延びてステー板324,324を介して車体フレーム20のダウンフレーム23にボルト止めした右左の第4ステー281,283とからなる。
【0138】
本発明は、図33に示すように右の第4ステー281をパイプにて構成し、このパイプを送出パイプ281とするとともに、図34に示すように左の第4ステー283をパイプにて構成し、このパイプを戻りパイプ283としたことを特徴とする。
【0139】
エンジン冷却水循環系271の送出パイプ281並びに戻りパイプ283は、フロントフォーク51の左右側方を別々に通したパイプであり、これらのパイプ281,283の外面にそれぞれ冷却フィン285,286を沿わせて設けたものである。これらの冷却フィン285,286は、上下に向けた板材であり、パイプ281,283の外面に密着させて溶接等で固定した部材であり、鋼管等の他に、熱伝導性が優れた材質(例えばアルミニウム合金)を用いてもよい。
【0140】
低床車両10を走行させたときに、フロントカバー71の導入口71aから取入れられた走行風は、導入口311a→ダクト311→ラジエータ55の経路で流れて冷却水を冷却し、更に後方へ流れてパイプ281,283並びに冷却フィン285,286を冷却した後に、車体後方へ流れる。このようにして、パイプ281,283内を流れる冷却水を外気で冷却することができる。
【0141】
図36は本発明に係るステー並びにエンジン冷却水循環系の送出・戻りパイプ(変形例)を右側方から見た配管図、図37は本発明に係るフロントフォーク並びにステー(変形例)を正面から見た要部断面図である。
【0142】
変形例のステー320は2つの第4ステー281,283、すなわち送出パイプ281並びに戻りパイプ283を、フロントフォーク51の左右一方の側方に集中して通し、送出・戻りパイプ281,283の外面に冷却フィン287を沿わせて設けたことを特徴とする。他の構成については、上記図33〜図35に示す構成と同様であり、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0143】
また、図36では、送出・戻りパイプ281,283を冷却する冷却フィン287を一体に形成しているが、送出パイプ281を冷却する冷却フィンと戻りパイプ283を冷却する冷却フィンとを別々に設けてもよい。
なお、この変形例のステー320のうち、フロントフォーク51の左右他方の側方の構成については、上記図2に示すようにパイプ材や棒材等を用いた、一般的なステー構造である。
【0144】
以上の循環系270、ステー320、フロントカバー71及びダクト311について、まとめて述べる。
フロントカバー71を支持するステー320のうち、少なくとも一部281,283をパイプにて構成し、このパイプを液体配管の一部(送出・戻りパイプ281,283)とすることで、エンジン100に循環する冷却水等の液体をパイプに通すことができる。ステー320が液体配管の一部を兼ねることにより、配管部品を削減することができるので、配管コストを低減することができる。さらには、ステー320が液体配管の一部を兼ねた分、ステー320並びに液体配管がフロントカバー71内に集中することを緩和させるとともに、軽量化を図ることができる。このため、フロントカバー71周りの設計の自由度が増し、低床式車両10(自動二輪車10)の小型化や軽量化を図るとともに、設計の自由度を高めることができる。
【0145】
例えば、エンジン100を車体フレーム20に配置するとともにラジエータ55をヘッドパイプ21の前に配置した場合、エンジン100とラジエータ55とを接続する配管(エンジン冷却水循環系271)は、ヘッドパイプ21の近傍を通る。このヘッドパイプ21の近傍には、ヘッドパイプ21の前部周りを覆うフロントカバー71を車体フレーム20に支持させるための、ステー320も通っている。このようなステー320を、液体配管の一部に利用することができる。
【0146】
さらには、フロントカバー71に、外気を取入れてパイプ281,283の周囲に流すことができる導入口71a(311a)を備えたので、パイプ281,283内を流れる液体を外気で冷却することができる。パイプ281,283を通過中の液体を冷却するので冷却効果が高まる。例えば、エンジン100の冷却水を循環させて、ラジエータ55で冷却する場合には、パイプ281,283による冷却効果の分だけ、ラジエータ55の冷却能力を減少させることができる。この結果、ラジエータ55を小型にすることができる。
【0147】
さらにまた、パイプ281,283の外面に冷却フィン285,286,287を設けたので、パイプ281,283内を流れる液体を外気で冷却する冷却効率を、より高めることができる。さらには、冷却フィン285,286,287がパイプ281,283の補強部材としての機能を兼ねることができる。
【0148】
次に、液体の循環系270の変形例について、図38〜図40に基づき説明する。なお、上記図28〜図37に示す構成と同様の構成については同一符号を付し、その説明を省略する。
【0149】
図38は本発明に係るエンジンに循環する液体の循環系(変形例)の模式図であり、この変形例の循環系270Aは、エンジン冷却水循環系271とオイルクーラ冷却水循環系291Aとを、完全に又はほぼ分離したことを特徴とする。
具体的には、液体の循環系270Aは、例えば、エンジン100自体を冷却するための冷却水を循環させるエンジン冷却水循環系271と、エンジン用オイルクーラ123を冷却するための冷却水を循環させるオイルクーラ冷却水循環系291Aとからなる。
エンジン冷却水循環系271は、上記図28に示す循環系271と同一である。
【0150】
オイルクーラ冷却水循環系291Aは、オイルクーラ用ラジエータ292Aからオイルクーラ123へ冷却水を送る送出ライン293Aと、オイルクーラ123から冷却水ポンプ121へ冷却水を戻す戻りライン294と、サーモスタット弁273Aからオイルクーラ用ラジエータ292Aへ冷却水を戻す戻りライン295Aと、からなる。
変形例のサーモスタット弁273Aは、冷却水の出口を2個(出口273a,273b)備える。
【0151】
冷却水は、オイルクーラ用ラジエータ292A→送出ライン293A→オイルクーラ123→戻りライン294→冷却水ポンプ121→水冷エンジン100の前部の気筒101並びに後部の気筒102の各水冷ジャケット(図示せず)→サーモスタット弁273A→戻りライン295A→オイルクーラ用ラジエータ292A、の経路で循環する。
【0152】
送出ライン293Aは、オイルクーラ用ラジエータ292Aの送出口292aに一端を接続した送出パイプ301と、送出パイプ301の他端からオイルクーラ123の入口123aに接続した送出ホース302と、からなる液体配管である。
戻りライン295Aは、オイルクーラ用ラジエータ292Aの戻り口292bに一端を接続した戻りパイプ303と、戻りパイプ303の他端からサーモスタット弁273Aの出口273bに接続した戻りホース304と、からなる液体配管である。
【0153】
オイルクーラ冷却水循環系291Aの送出パイプ301並びに戻りパイプ303は、それぞれ外面に冷却フィン305,306を備える。
フロントカバー71(図2参照)と各ラジエータ55,292Aとの間にはダクト311を備える。
【0154】
以下、エンジン冷却水循環系271の送出・戻りパイプ281,283,及び、オイルクーラ冷却水循環系291Aの送出・戻りパイプ301,303の詳細な構成について、図39及び図40を参照して説明する。
なお、図39では図38の冷却フィン285,305を一体化した冷却フィン307とし、また、図40では同じく冷却フィン286,306を一体化した冷却フィン308とした例で示す。但し、これらの冷却フィン285,286,305,306は別々に設けてもよい。
【0155】
図39は本発明に係るステー並びにエンジン冷却水循環系の送出・戻りパイプ(変形例)を右側方から見た配管図(その1)、図40は本発明に係るステー並びにエンジン冷却水循環系の送出・戻りパイプ(変形例)を左側方から見た配管図(その2)である。
【0156】
変形例のステー320は,次の(1)及び(2)の構成であることを特徴とする。
(1)図39に示すように、2つの第4ステー281,301、すなわち送出パイプ281,301を、フロントフォーク51の左右一方の側方に集中して通し、送出パイプ281,301の外面に冷却フィン307を沿わせて設けた構成。
(2)図40に示すように、2つの第4ステー283,303、すなわち戻りパイプ283,303を、フロントフォーク51の左右他方の側方に集中して通し、戻りパイプ283,303の外面に冷却フィン308を沿わせて設けた構成。
【0157】
なお、実施の形態では、冷却水ポンプ121とサーモスタット弁273Aとは、それぞれ1個を共用しているが、これらを別個に設け、エンジン冷却水循環系271とオイルクーラ冷却水循環系291Aとを完全に分離、独立させてもよい。
以上のように、エンジン冷却水循環系271とオイルクーラ冷却水循環系291Aとを完全に分けることにより、各冷却水循環系271,291Aの温度をそれぞれ適切にすることが容易になる。
また、液体の循環系270,270Aについては、空冷エンジンのオイルクーラに本構造を適用することができる。
【0158】
次に、上記図18に示されるエアクリーナ56のクリーナケース201、すなわち、エンジン用吸気チャンバ201の変形例について、図41〜図44に基づき説明する。なお、上記図1〜図24に示す各構成と同様の構成については同一符号を付し、その説明を省略する。
【0159】
図41は本発明に係るエンジン用吸気チャンバ(第1変形例)を搭載した低床式車両の左側面図、図42は本発明に係るエンジン用吸気チャンバ(第1変形例)の平面図、図43は本発明に係るエンジン用吸気チャンバ(第1変形例)の正面図である。
【0160】
第1変形例のエンジン用吸気チャンバ331は、前輪52の左右両側に配置した左右一対の第1の吸気チャンバ332,332からなる。詳しくは、左右の第1の吸気チャンバ332,332は、前輪52の左右両側で且つ前輪52の後上部に配置するとともに、フロントカバー71のうち左右の後下方へ延びるカバー延長部333,333内に配置したものである。このため、第1の吸気チャンバ332,332は側方から見たときに、カバー延長部333,333に沿って後下方へ延びる細長い部材であって、前上端から前方へ延びる吸気管334,334を有する。
【0161】
さらに第1の吸気チャンバ332,332は、運転者の足を載せる足載せ部の一部を兼ねるように、後下方へ傾斜した上面332a,332aを概ね平坦な面に形成したものである。運転者の足を載せる左右の低床73,73の前端から、前上方へ上面332a,332aが延びるように、第1の吸気チャンバ332,332を配置すればよい。このようにすることで、運転者は足を低床73,73や上面332a,332aに任意に載せることができる。
【0162】
第1変形例は、これら第1の吸気チャンバ332,332の上に且つ車幅中心(車体中心)CLに、第1の吸気チャンバ332,332に繋がる下流側の第2の吸気チャンバ335を配置し、第2の吸気チャンバ335の上方に、燃料タンク57(図41参照)等のエンジン用補機部品を配置したことを特徴とする。
従って、第1変形例の吸気系190は、上流の第1の吸気チャンバ332,332に正面視略逆Y字状のチャンバ連結管336を介して下流側の第2の吸気チャンバ335を連結し、更に第2の吸気チャンバ335に吸気連結管191,191を介してV型エンジン100の各気筒101,102を連結したものである。
【0163】
図44は本発明に係るエンジン用吸気チャンバ(第2変形例)を搭載した低床式車両の左側面図である。
第2変形例の吸気系190は、前輪52の左右両側に配置した左右一対の第1の吸気チャンバ332,332を大型にするとともに、これら第1の吸気チャンバ332,332の上に配置した第2の吸気チャンバ335を薄型化することで、総容量を確保するようにしたものである。第2の吸気チャンバ335を薄型化した分、第2の吸気チャンバ335の高さが下がる。このため、第2の吸気チャンバ335の上方に、より大きい空きスペースを設けることができるので、タンク容量が大きい燃料タンク57等のエンジン用補機部品を容易に配置することができる。
【0164】
以上の吸気系190について、まとめて述べる。
低床式車両10における前輪52の側方の、従来使われていなかった空きスペースのうち、少なくとも一方の空きスペースを有効活用して、エンジン用吸気チャンバ331を配置したので、大容量の吸気チャンバ331を配置するためのスペースを十分に確保することができる。吸気チャンバ331の容量を大きくすることができるので、エンジン100の性能を十分に発揮させることができる。従って、低床式車両10を、より乗りやすく走行性の高い車両とすることができる。しかも、大容量の吸気チャンバ を採用することができるので、吸気チャンバ331内の空気振動による騒音を低減させることができる。
【0165】
さらには、吸気チャンバ331を配置するための大きいスペースを確保することができるので、吸気系190の設計の自由度が高まる。さらにまた、エンジン用吸気チャンバ331を前輪52の側方に配置することにより、低床式車両10の重心を下げることができる。従って、低床式車両10の操縦性がより高まる。
【0166】
さらにまた、エンジン用吸気チャンバ331を、前輪52の左右両側に配置する左右一対の第1の吸気チャンバ332,332にて構成したので、前輪52の左右両側の空きスペースに、大容量である左右一対の第1の吸気チャンバ332,332を配置することができる。エンジン用吸気チャンバ331の総容量を、より増すことができる。
さらには、大容量である左右の第1の吸気チャンバ332,332の上に、第1の吸気チャンバ332,332に繋がる下流側の第2の吸気チャンバ335を、更に配置したので、エンジン用吸気チャンバ331の総容量を格段に増すことができる。
【0167】
ところで、従来、V型エンジン100の上方のスペースには、吸気チャンバを配置することが多かったので、このようなスペースに他の部品を配置するには制限があった。
これに対して本発明のエンジン100は、V型配置の気筒101,102を有し車体中央に配置したV型エンジンである。エンジン用吸気チャンバ331を前輪52の側方に配置することで、このような点を解決することができた。すなわち、V型エンジン100の上方のスペースに余裕ができるので、このスペースに燃料タンク57等のエンジン用補機部品を配置することができるようになった。
【0168】
また、左右一対の第1の吸気チャンバ332,332を前輪52の左右両側に配置したので、第2の吸気チャンバ335を低位に配置することができる。このため、低い第2の吸気チャンバ335の上方に燃料タンク57等のエンジン用補機部品を容易に配置することができる。
【0169】
さらにまた、左右一対の第1の吸気チャンバ332,332が足載せ部の一部を兼ねることにより、足載せ部の部品数を削減することができる。この結果、低床式車両10の軽量化を図ることができるとともに、コストダウンを図ることができる。さらには、左右一対の第1の吸気チャンバ332,332に足を載せて運転することにより、左右の第1の吸気チャンバ332,332内の空気の脈動を、チャンバ332,332の壁を通して足で直接感じ取ることができる。このように、第1・第2の吸気チャンバ331,335内の空気振動による騒音を低減させつつ、動力系の脈動(鼓動)を体感することができる。
【0170】
次に、低床73とエンジン100との関係について図45に基づき説明する。図45(a),(b)は本発明に係る低床周りの構成図であり、(a)は左の低床73周りの斜視図、(b)は(a)のb−b線断面図、すなわち左の低床73周りを左側から見た断面図である。
この図は、低床73の下方にエンジン100を配置した、スクータ型自動二・三輪車等の低床式車両10において、低床73の一部に切欠部73aを開け、この切欠部73aにエンジン100の一部を臨ませることで、この臨ませたエンジン100の一部が運転者の足を載せる足載せ部を兼ねるように構成したことを示す。
【0171】
切欠部73aに臨ませたエンジン100の一部とは、例えば、エンジン100に付設した交流発電機116(図11参照)を覆うカバー118、すなわち左サイドカバー118のことである。左サイドカバー118は、上面118aを平坦な平面部118aとし、この平面部118aに点検用開口部118bを設けるとともに、この点検用開口部118bを脱着可能なリッド341にて塞ぐようにしたものである。本発明は、左サイドカバー118の平面部118aを、低床73の床面(上面)73bに沿った概ね水平な面とするとともに、低床73と略同一レベルに設定したことを特徴とする。
【0172】
低床73の一部に切欠部73aを開け、この切欠部73aにエンジン100の一部(すなわち、左サイドカバー118の上部)を臨ませるようにしたので、低床73の下にエンジン100との間の隙間を設ける必要がない。その分、低床73の高さを下げることができる。しかも、低床73の切欠部73aに臨ませたエンジン100の一部により、運転者の足を載せる足載せ部を兼ねさせたので、足載せ面積を十分に確保することができる。このようなことから、運転者の足下の空間に余裕ができる。従って、運転者の疲労をより軽減することができる。さらに低床73には、運転者の足載せ部分だけではなく、その足載せ部分を後方へ延長して、同乗者の足載せ部をも設けることができる。
【0173】
さらにまた、軽量で簡単な構成によって、低床73の高さを下げることができる。また、低床73の高さを下げたにもかかわらず、エンジン100の高さを上げることも可能となり、これにより、エンジン100の保守・点検作業性を高めることができる。
【0174】
また、切欠部73aに臨ませたエンジン100の一部を、低床73と略同一レベルの平坦な平面部としたので、切欠部73aに臨んでいるエンジン100の一部を、低床73における足載せ部の一部として、より一層有効に機能させることができる。運転者は、低床73の上並びに切欠部73aに臨んでいるエンジン100の上に、自由に足を伸ばして載せることができる。従って、運転者の疲労をより軽減することができる。
【0175】
また、エンジン100の一部を、エンジン100に付設した交流発電機116を覆う左サイドカバー118にて構成したので、左サイドカバー118の一部を外すことによって、交流発電機116の保守・点検作業を容易に行うことができる。
【0176】
また、左サイドカバー118の上面118aに点検用開口部118bを設け、この点検用開口部118bを脱着可能なリッド341にて塞ぐようにしたので、リッド341を開けて、点検用開口部118bから交流発電機116の保守・点検作業を、より容易に行うことができる。
【0177】
また、低床73の床面(上面)73bに、少なくとも切欠部73aを覆うフロアマット343を配設したことにより、切欠部73aをフロアマット343にて覆うので、切欠部73aに臨むエンジン100の一部(すなわち、左サイドカバー118の上部)の防塵効果を高めることができるとともに、低床式車両10の外観性を高めることができる。
【0178】
なお、上記本発明の実施の形態において、低床式車両10はスクータ型自動二輪車に限らず、他の自動二輪車、三輪車、四輪車等であってもよい。
【0179】
【発明の効果】
本発明は上記構成により次の効果を発揮する。
請求項1は、低床式車両の低床の下方にエンジンを配置した低床式車両において、低床の一部に切欠部を開け、この切欠部にエンジンの一部を臨ませることで、この臨ませたエンジンの一部が運転者の足を載せる足載せ部を兼ね、切欠部に臨ませた前記エンジンの一部は、上面を平坦な平面部とし、この平面部を前記低床と略同一レベルに設定したので、先ず、低床の下にエンジンとの間の隙間を設ける必要がない。その分、低床の高さを下げることができる。しかも、低床の切欠部に臨ませたエンジンの一部により、運転者の足を載せる足載せ部を兼ねさせたので、足載せ面積を十分に確保することができる。このようなことから、運転者の足下の空間に余裕ができる。従って、運転者の疲労をより軽減することができる。さらに低床には、運転者の足載せ部分だけではなく、その足載せ部分を後方へ延長して、同乗者の足載せ部をも設けることができる。
さらにまた、軽量で簡単な構成によって、低床の高さを下げることができる。また、低床の高さを下げたにもかかわらず、エンジンの高さを上げることも可能となり、これにより、エンジンの保守・点検作業性を高めることができる。
【0180】
次に本発明は、切欠部に臨ませたエンジンの一部を、低床と略同一レベルの平坦な平面部としたので、切欠部に臨んでいるエンジンの一部を、低床における足載せ部の一部として、より一層有効に機能させることができる。運転者は、低床の上並びに切欠部に臨んでいるエンジンの上に、自由に足を伸ばして載せることができる。従って、運転者の疲労をより軽減することができる。
【0181】
請求項2は、エンジンの一部を、エンジンに付設した交流発電機を覆うカバーにて構成したので、カバーを外すことによって、交流発電機の保守・点検作業を容易に行うことができる。
【0182】
請求項3は、カバーの上面に点検用開口部を設けたので、この点検用開口部から交流発電機の保守・点検作業を、より容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る低床式車両の左側面図(その1)
【図2】本発明に係る低床式車両の左側面図(その2)
【図3】本発明に係る低床式車両の平面図
【図4】本発明に係る車体フレームの左側面図
【図5】本発明に係る車体フレームの平面図
【図6】本発明に係る車体フレームの正面図
【図7】本発明に係る車体フレームを左側方から見た斜視図
【図8】本発明に係る車体フレームを右側方から見た斜視図
【図9】本発明に係る車体フレーム、パワーユニット、エアクリーナ並びに燃料タンク周りの左側面図
【図10】本発明に係るパワーユニットの断面図
【図11】本発明に係るパワーユニットの前半部の断面図
【図12】本発明に係るパワーユニットの後半部の断面図
【図13】本発明に係るパワーユニットの後部並びに後輪用スイングアーム周りの平面図
【図14】本発明に係る車体フレーム並びにパワーユニット周りを左前方から見た斜視図
【図15】本発明に係る車体フレーム、パワーユニット並びにエアクリーナ周りを左後方から見た斜視図
【図16】本発明に係る車体フレーム、パワーユニット並びにエアクリーナ周りを右前方から見た斜視図
【図17】本発明に係る車体フレーム並びにパワーユニット周りを右後方から見た斜視図
【図18】本発明に係る車体フレーム、V型エンジン、吸気系周りの左側面図
【図19】本発明に係るエアクリーナ並びに車体カバー周りの背面断面図
【図20】本発明に係るエアクリーナの分解図
【図21】本発明に係るエアクリーナの作用図
【図22】本発明に係る車体フレーム、パワーユニット、排気系周りの左側面図
【図23】本発明に係る車体フレーム、パワーユニット、排気系周りの平面図
【図24】本発明に係る低床式車両の概要図
【図25】本発明に係る収納ボックス並びに後輪用リヤクッション周りの左側面図
【図26】図25の26−26線断面図
【図27】本発明に係る収納ボックスの変形例図
【図28】本発明に係るエンジンに循環する液体の循環系の模式図
【図29】本発明に係るフロントカバー並びにラジエータ周りの構成例図(その1)
【図30】本発明に係るフロントカバー並びにラジエータ周りの構成例図(その2)
【図31】本発明に係るフロントカバー並びにラジエータ周りの構成例図(その3)
【図32】本発明に係るフロントカバー並びにラジエータ周りの構成例図(その4)
【図33】本発明に係るステー並びにエンジン冷却水循環系の送出・戻りパイプを右側方から見た配管図(その1)
【図34】本発明に係るステー320並びにエンジン冷却水循環系の送出・戻りパイプを左側方から見た配管図(その2)
【図35】本発明に係るフロントフォーク並びにステーを正面から見た要部断面図
【図36】本発明に係るステー並びにエンジン冷却水循環系の送出・戻りパイプ(変形例)を右側方から見た配管図
【図37】本発明に係るフロントフォーク並びにステー(変形例)を正面から見た要部断面図
【図38】本発明に係るエンジンに循環する液体の循環系(変形例)の模式図
【図39】本発明に係るステー並びにエンジン冷却水循環系の送出・戻りパイプ(変形例)を右側方から見た配管図(その1)、
【図40】本発明に係るステー並びにエンジン冷却水循環系の送出・戻りパイプ(変形例)を左側方から見た配管図(その2)
【図41】本発明に係るエンジン用吸気チャンバ(第1変形例)を搭載した低床式車両の左側面図
【図42】本発明に係るエンジン用吸気チャンバ(第1変形例)の平面図
【図43】本発明に係るエンジン用吸気チャンバ(第1変形例)の正面図
【図44】本発明に係るエンジン用吸気チャンバ(第2変形例)を搭載した低床式車両の左側面図
【図45】本発明に係る低床周りの構成図
【符号の説明】
10…低床式車両(自動二輪車)、73…低床、73a…切欠部、73b…低床の上面(床面)、100…エンジン、116…交流発電機、118…エンジンの一部としてのカバー(左サイドカバー)、118a…カバーの上面、118b…点検用開口部、341…リッド、343…フロアマット。
Claims (3)
- スクータ型自動二・三輪車等の低床式車両の低床の下方にエンジンを配置した低床式車両において、
前記低床の一部に切欠部を開け、この切欠部に前記エンジンの一部を臨ませることで、この臨ませたエンジンの一部が運転者の足を載せる足載せ部を兼ね、
前記切欠部に臨ませた前記エンジンの一部は、上面を平坦な平面部とし、この平面部を前記低床と略同一レベルに設定した、
ことを特徴とする低床式車両。 - 前記エンジンの一部は、エンジンに付設した交流発電機を覆うカバーであることを特徴とした請求項1記載の低床式車両。
- 前記カバーは、上面に点検用開口部を設けたことを特徴とする請求項2記載の低床式車両。
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