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JP4166408B2 - 新規タキキニンペプチドおよびその前駆体ポリペプチドならびにこれらをコードする遺伝子 - Google Patents

新規タキキニンペプチドおよびその前駆体ポリペプチドならびにこれらをコードする遺伝子 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、脊椎動物の腸管を収縮する活性を有する新規なタキキニンペプチドおよびその前駆体ポリペプチドに関し、さらに詳細には、マダコ(Octopu vulgaris)の後部唾腺から得られる、脊椎動物の腸管を収縮する活性を有する新規なタキキニンペプチドおよびその前駆体ポリペプチドならびにこれらをコードする遺伝子に関する。
【0002】
【従来の技術】
外洋性ジャコウダコ(Eledone moschataおよびE.aldrovandi)の後部唾腺のアセトン抽出物がイヌに対し強力な血圧降下作用をもつことから単離されたエレドイシンは、アミノ酸残基11からなる生理活性ペプチドである(Erspamer,V.& Anastasi,A.:Experientia,18,58,1962)。このエレドイシンは、血圧降下作用のほかにモルモット回腸収縮作用を表わし、また、静注した場合にイヌの唾液分泌を促進するという特異な作用も有していることが明らかにされた。その後、同様の作用をもつペプチドがカエルの皮膚から単離されており、これはフィザラミンと名付けられている(Erspamer,V.,Anastasi,A.,Bertaccini,G.& Cei,J.M.:Experientia,20,489,1964)。これらのペプチドは、モルモットの回腸を素早く収縮させるため、ブラジキニン(brady(緩徐に)kinin(動かすもの))に対して、タキキニン(tachy(=fast)kinin、早く収縮させるもの)と命名された。また、これらのペプチドの構造がもとになって、サブスタンスPの構造が明らかにされた。
【0003】
タキキニンペプチドはその後、両生類(Yasuhara,T.,Nakajima,T.,Erspamer,G.F.& Erspamer,V.:Biomed.Res.,2,613,1981)や、鳥類(Conlon,J.M.,Katsoulis,S.,Schmidt,W.E.& Thim,L.:Regulatory Peptides,20,171,1988)などの脊椎動物から次々と単離されたが、無脊椎動物からはエレドイシンの他に、黄熱病を媒介する蚊から、シアロキニンが発見されただけである(Champagne,D.E.& Ribeiro,J.M.:Proc.Natl.Acad.Sci.USA,91,138,1994)。
【0004】
今日では、タキキニンは、C末端に共通アミノ酸残基として:−Phe−Yaa−Gly−Leu−Met−NH2をもち、Yaaには芳香族アミノ酸(Phe、Tyr)や分枝アミノ酸(Val、Ile)が入り、腸管収縮、血圧降下、唾液分泌促進作用などを示す生理活性ペプチドの総称とされている。そして、前記サブスタンスP(P物質)、エレドイシン、フィザラミンの他に、ニューロキニンA、ニューロキニンB、カシニンなどが含まれている(生物学辞典(第4版)、岩波書店、1997)。そしてタキキニンペプチドは新しい医薬品開発の基礎化合物として活用が期待されており、特にサブスタンスPは一次知覚神経の伝達物質として痛みの伝達に関与していると考えられることから、鎮痛薬としての開発が期待され、研究が行われている。また、高等動物の神経系における情報処理機構解明用の試薬としての活用も期待されている。
【0005】
ところで、タコの後部唾腺は前記のエレドイシンの他、甲殻類をしびれさせる効果をもつ糖タンパク、セファロトキシン、フグ毒として知られるテトロドトキシンなどの毒物質を含んでいるものがあり、毒腺といわれている。さらにオクトパミン、セロトニン、チラミン、ノルアドレナリン、ヒスタミン、アセチルコリンなどの生体アミン類や、タンパク分解酵素、ヒアルロニダーゼなどの酵素類を含んでいるものがあることが知られている(Boucaud−Camou,E.& Boucher−Rodoni,R.1983.Feeding and digestion in Cephalopods.In “The mollusca”,(Saleuddin,A.S.M.& Wilbur,K.M.),Academic press and New York.)。しかし、エレドイシン以外のタキキニンペプチドが見出されたとの報告はない。また、エレドイシンは、哺乳類に対しては平滑筋収縮作用や血管拡張作用、血圧降下作用を有することが明らかにされたが、タコにおける役割についてはほとんどわかっていない。
【0006】
こうしたことから、タキキニンペプチドについての個々の動物種における役割や、種特異性を明らかにし、構造−活性相関の研究などにより高等動物の神経系における情報処理機構の解明や医薬品の開発に結びつく情報を得るためには、さらに多くの動物種から、タキキニンペプチドを見出すことが必要とされている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
したがって本発明は、新たなタキキニンペプチドを見い出し、その構造を明らかにするとともに、その生理活性を解明し、高等動物の神経系における情報処理機構の解明用の試薬や、農薬または医薬品開発における基礎化合物として利用可能な、新規タキキニンペプチドを得ることを課題とする。
さらに本発明は、こうしたタキキニンペプチドの前駆体ポリペプチドおよびそれをコードする遺伝子を明らかにするとともに、こうしたタキキニンペプチドを製造する方法を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するために、本発明は、次の特性:
▲1▼ アミノ酸残基数が12であり;
▲2▼ N末端がLysであり;
▲3▼ C末端から5つのアミノ酸が次のアミノ酸配列式(I)、
−Phe−Xaa−Gly−Leu−Met−NH2 (I)
(式中、XaaはVal、Ile、Phe、またはTyrを表わす)で表わされるタキキニンペプチドを提供する。
【0009】
そのなかでも本発明は特に、次のアミノ酸配列式(II):
H−Lys−Pro−Pro−Ser−Ser−Ser−Glu−Phe−Xaa−Gly−Leu−Met−NH2 (II)
(式中、XaaはVal、Ile、Phe、またはTyrを表わす)で表わされるタキキニンぺプチドを提供する。
【0010】
すなわち、本発明者らはマダコ(Octopus vulgaris)の後部唾腺から新たなタキキニンペプチドを得るべく、マダコの後部唾腺から、魚類(コイ)の直腸の収縮を指標に探索を行い、上記アミノ酸配列式(II)のなかでも次のアミノ酸配列式(1)および(2):
【0011】
H−Lys−Pro−Pro−Ser−Ser−Ser−Glu−Phe−Val−Gly−Leu−Met−NH2 (1)
(以下、このペプチドを化合物(1)と称する。)
【0012】
H−Lys−Pro−Pro−Ser−Ser−Ser−Glu−Phe−Ile−Gly−Leu−Met−NH2 (2)
(以下、このペプチドを化合物(2)と称する。)
【0013】
で表されるペプチドを分離、精製し、その化学構造を決定すると共に、全合成によりその構造および生理活性を確認した。
(なお、本明細書中においては、アミノ酸残基は、IUPACおよびIUBの定める3文字表記により表記する。)
【0014】
さらに本発明者らは、上記のアミノ酸配列をもとにプライマーを作成し、マダコの後部唾腺から調製したtotal RNAに対して、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)法などを用いた遺伝子配列の解析手段を組み合わせることにより、タキキニンペプチドの前駆体であるポリペプチドの全一次アミノ酸配列は、配列番号3で示されることを明らかにした。また、当該前駆体ポリペプチドをコードする遺伝子は、配列番号4に示す塩基配列を有するものであることを明らかにした。
【0015】
したがって、本発明は別の態様として、配列番号3で表わされるアミノ酸配列または、その一部が欠失もしくは置換したアミノ酸配列、あるいは該アミノ酸配列またはその一部が欠失もしくは置換したアミノ酸配列に1個から複数個のアミノ酸が付加したアミノ酸配列を有する、タキキニンペプチドの前駆体ポリペプチドを提供する。
【0016】
さらに別の態様として、本発明は、かかるタキキニンペプチドの前駆体ポリペプチド、およびタキキニンペプチドの製造方法を提供し、また、別の態様としては、かかるタキキニンペプチドの前駆体ポリペプチドをコードする遺伝子、およびこの遺伝子を用いた前駆体ポリペプチド、およびタキキニンペプチドの製造方法を提供する。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明が提供する新規ペプチドは、脊椎動物の腸管収縮作用を有するタキキニンペプチドであり、マダコ(Octopus vulgaris)から、例えば以下の方法により単離、精製することができる。
【0018】
すなわち、マダコの後部唾腺を熱水抽出し、その抽出液に酢酸を3%濃度になるように加え、冷却後遠心分離して粗抽出物を得る。この粗抽出物をC18カートリッジ(例えばSep−Pak(登録商標)Cartridges:ウォーターズ社製)に吸着させた後、0.1%トリフルオロ酢酸(以下、TFAと略す)を含む60%メタノールで溶出してペプチド画分を分取し、この画分をイオン交換クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー等に付して、目的とするペプチドを分離、精製することができる。
【0019】
また、本発明のペプチドはアミノ酸残基数12のペプチドであるため、通常のペプチド合成機(例えばPEバイオシステムズジャパン社製ペプチド合成機433A型)を用いた固相合成法や、通常の有機合成化学的手法により容易に合成することができる。これらの方法で得られた粗ペプチドは、必要であれば逆相高速液体クロマトグラフィーや結晶化等の通常の精製手法によって、精製することができる。
【0020】
一方、マダコのタキキニンペプチドの前駆体ポリペプチドのアミノ酸配列、および当該ポリペプチドをコードする遺伝子の塩基配列は、次のようにして決定することができる。
すなわち、上記により得られたタキキニンペプチドのアミノ酸配列をもとにプライマーを作成し、マダコの後部唾腺より調製したtotal RNAに対して逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)を行い、約500塩基体の遺伝子配列を解明し、続いて5’−RACE法、3’−RACE法を用いて5’末端および3’末端側の遺伝子配列を解明することができる。本発明においては、この方法によりマダコのタキキニンペプチドの前駆体ポリペプチドは、配列番号3で示されるアミノ酸配列を有するものであること、当該前駆体ポリペプチドをコードする遺伝子は、配列番号4に示す塩基配列を有するものであることを明らかにした。
【0021】
したがって、本発明のタキキニンペプチドの前駆体ポリペプチドおよびタキキニンペプチドは、遺伝子組み換え法によっても製造することができる。すなわち、遺伝子組み換え法によって製造を行う場合は、例えば、配列番号4で示される遺伝子を組み込んだベクターを作成し、当該ベクターによって宿主の形質転換を行った後、該宿主を培養または成育させ、該宿主から目的の前駆体ポリペプチドを単離、精製すれば良い。そして、前駆体ポリペプチドから目的のタキキニンペプチドを得るには、前駆体ポリペプチドから酵素などを用いて切り出し(プロセッシング)を行ない、必要に応じて単離、精製すれば良い。
【0022】
【作用】
本発明のペプチドは、脊椎動物において平滑筋収縮や血管拡張作用、血圧降下作用をもたらすタキキニンペプチドであるため、神経伝達系研究用の試薬としてだけでなく、医薬への新たなアプローチを与える有用な化合物として利用することができる。
【0023】
例えば、本発明のペプチドを有効成分とする医薬としては、製剤学的に慣用されている賦形剤と共にカプセル剤、錠剤、注射剤等の適当な剤形で、経口的または非経口的に投与することができる。具体的には、本発明のペプチドを、乳糖、デンプンまたはその誘導体、セルロース誘導体等の賦形剤と混合したのち、ゼラチンカプセルに充填することによりカプセル剤を調製することができる。
【0024】
また錠剤は、上記の賦形剤の他に、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アルギン酸、アラビアゴム等の結合剤と水を加えて練合し、必要により顆粒として造粒したのち、さらにタルク、ステアリン酸マグネシウム等の滑沢剤を添加して、通常の圧縮打錠機を用いて錠剤に調製することができる。
【0025】
さらに、非経口投与に際しては、本発明のペプチドを溶解補助剤と共に滅菌蒸留水あるいは滅菌生理食塩水に溶解し、アンプルに封入して注射用製剤とすることができる。この場合、必要により安定化剤、緩衝物質等を含有させてもよい。また、粉末のままバイアル充填し、滅菌蒸留水により用時溶解型の製剤とすることもできる。これらの非経口投与製剤は、静脈内投与、あるいは点滴静注により投与することができる。
【0026】
なお本発明の有効成分であるペプチドの投与量は、種々の要因、例えば治療すべき病態、患者の症状、重篤度、患者の年齢、さらには投与経路等を考慮して、適宜設定すればよい。一般的に経口投与の場合には、有効成分として通常0.1〜1000mg/日/ヒト、好ましくは1〜500mg/日/ヒトの範囲内で、また非経口投与の場合には、経口投与の場合における投与量の約1/100〜1/2程度の範囲内で適宜選択し投与することができる。
【0027】
【実施例】
次に実施例によって本発明をさらに説明するが、本発明の範囲はこれのみに限定されるものではない。
【0028】
実施例1:マダコからコイ直腸の収縮増強作用を有するペプチド類の分離
(a):粗抽出
マダコ(Octopus vulgaris)100匹から後部唾腺を摘出し、液体窒素にて凍結保存した。凍結保存した摘出組織(221g)を3等分し、その1/3量を沸騰した蒸留水800ml中に入れ、10分間煮沸した。放冷後、酢酸を3%濃度になるように加え、ホモジナイズした後、4℃で30分間、10,447×gで遠心分離して、上清を得た。一方、沈殿物に200mlの3%酢酸を加え、再度ホモジナイズした後、同様に遠心分離をして、上清を得た。さらに、沈殿物に200mlの3%酢酸を加えた後、同様に処理し、上清を得た。残りの摘出組織を2回に分けて、上記と同様の各3回の抽出操作を行い、上清を得た。得られた上清を集め、減圧下に約200mlになるまで濃縮し、粗抽出物とした。
【0029】
(b):C18カートリッジへの吸着
(a)で得られた粗抽出物に、1.0M−HClを20ml加え、4℃で30分間、30,000×gで遠心分離した。得られた上清を、Sep−Pak(登録商標)Vac C18カートリッジ(10g、35cc、ウォーターズ社製)に通した。カートリッジを0.1%TFA200mlで洗浄した後、保持物質を60%メタノール/0.1%TFA100mlで溶出し、溶出液を減圧濃縮後、凍結乾燥させ、乾燥物0.363gを得た。
【0030】
(c):陽イオン交換カラムクロマトグラフィー(1)
(b)で得られた乾燥物を10mMリン酸バッファー(pH7.0)150mlに溶かし、TSKgel SPトヨパールパック650S(20〜50μm、Φ22×200mm,東ソー製)を用いた陽イオン交換カラムクロマトグラフィー(陽イオン交換HPLC)に付し、流速3.0ml/minで、10mMリン酸緩衝液(pH7.0)中、60分間で0Mから0.6MのNaClの直線濃度勾配で溶出した。215nmの紫外線吸収のモニターにより6mlずつに分画し、各フラクションを後記する実施例6に示す方法に従って生物検定したところ、0MのNaCl濃度で溶出された画分に直腸収縮増強活性が見られた。
【0031】
(d):逆相高速液体カラムクロマトグラフィー(1)
(c)で得られた活性画分を、Capcell pak C18 UG80(5μm、Φ10×250mm、資生堂製)を用いた逆相高速液体カラムクロマトグラフィー(逆相HPLC)に付し、流速1.5ml/minで、0.1%TFA(pH2.2)中、60分間で0%から60%のアセトニトリルの直線濃度勾配で溶出した。3mlずつの溶出画分を生物検定に付したところ、アセトニトリル30〜36%に溶出される画分に活性が見られた。
【0032】
(e):陽イオン交換HPLC(2)
(d)で得られた画分を、TSKgel SP−5PW(10μm、Φ7.5×75mm、東ソー製)を用いた陽イオン交換HPLCに付し、流速1.0ml/minで、10mMリン酸緩衝液(pH4.7)中、60分間で0Mから0.6MのNaClの直線濃度勾配で溶出した。2mlずつの溶出画分を生物検定したところ、0.13〜0.15MのNaCl濃度で溶出された画分に活性が見られた。
【0033】
(f):逆相HPLC(2)
(e)で得られた画分を、Capcell pak C18 UG80(5μm、Φ4.6×150mm、資生堂製)を用いた逆相HPLCに付し、流速1.0ml/minで、0.1%TFA(pH2.2)中、40分間で、20〜40%のアセトニトリルの直線濃度勾配で溶出した。1mlずつ分画し、アセトニトリル濃度約23%に溶出する画分(以下、画分Aという)、およびアセトニトリル濃度約25%に溶出する画分(以下、画分Bという)に活性を認めた。
【0034】
実施例2:活性画分からペプチド類の精製(その1:活性画分Aからの精製)
実施例1の分離操作(f)で得られた活性画分Aを、Capcell pakC18 UG80(5μm、Φ4.6×150mm、資生堂製)を用いた逆相HPLCに付し、流速0.5ml/minで、0.1%TFA(pH2.2)中、アセトニトリル濃度22%で展開した。保持時間14.5分に単一のピークを示す化合物が得られた。この化合物を化合物(1)とした。
この逆相HPLCの展開図を、図1として示す。
【0035】
実施例3:活性画分からペプチド類の精製(その2:活性画分Bからの精製)
実施例1の分離操作(f)で得られた活性画分Bを、Capcell pakC18 UG80(5μm、Φ4.6×150mm、資生堂製)を用いた逆相HPLCに付し、流速0.5ml/minで、0.1%TFA(pH2.2)中、アセトニトリル濃度24%で展開した。保持時間13分に単一のピークを示す化合物が得られた。この化合物を、化合物(2)とした。
この逆相HPLCの展開図を、図2として示す。
【0036】
実施例4:ペプチド類の同定
上記の実施例2および3で純化した、化合物(1)および化合物(2)の構造を、Shimadzu PSQ−1型気相シークエンサー(島津製作所製)によって解析した。得られた各アミノ酸配列を、下記表1に示した。
【0037】
【表1】
ペプチドのアミノ酸配列(単位:pmol)
Figure 0004166408
【0038】
化合物(1)および化合物(2)の分子量は、MALDI TOF−MS(Voyager Elite,PEバイオシステムズジャパン社製)によって確認した。その測定値を下記表2に示した。
【0039】
【表2】
ペプチドのMSデータ
Figure 0004166408
【0040】
以上の機器分析データにより、活性画分Aより単離、精製されたマダコの神経ペプチド類である化合物(1)は、次のアミノ酸配列式(1)
H−Lys−Pro−Pro−Ser−Ser−Ser−Glu−Phe−Val−Gly−Leu−Met−NH2 (1)
で表されることが明らかになった。
【0041】
また、活性画分Bより単離、精製されたマダコの神経ペプチド類である化合物(2)は、次のアミノ酸配列式(2)
H−Lys−Pro−Pro−Ser−Ser−Ser−Glu−Phe−Ile−Gly−Leu−Met−NH2 (2)
で表されることが明らかになった。
【0042】
実験例5:固相法によるペプチド類の合成
ペプチド類の合成は、PEバイオシステムズジャパン社製の全自動ペプチド合成機433A型を用い、FastMoc(登録商標)法により合成した。
【0043】
なお、化合物(1)の合成には、Fmoc−NH−SAL−Aレジン(渡辺化学工業社製)を担体とし、Fmoc−Lys(Boc)、Fmoc−Pro、Fmoc−Ser(tBu)、Fmoc−Glu(OtBu)、Fmoc−Phe、Fmoc−Val、Fmoc−Gly、Fmoc−LeuおよびFmoc−Metを用いた。
【0044】
また、化合物(2)の合成には、Fmoc−NH−SAL−Aレジン(渡辺化学工業社製)を担体とし、Fmoc−Lys(Boc)、Fmoc−Pro、Fmoc−Ser(tBu)、Fmoc−Glu(OtBu)、Fmoc−Phe、Fmoc−Ile、Fmoc−Gly、Fmoc−LeuおよびFmoc−Metを用いた。
【0045】
(ただし、Fmocは9−Fluorenylmethoxycarbonylを、Bocはt−Butoxycarbonylを、tBuはt−Butylを示す。)
【0046】
反応終了後のペプチド樹脂からの粗ペプチドの切離しと脱保護には、フェノール4.3%/1,2−エタンジチオール2.1%/チオアニソール4.3%/水4.3%/TFA85%を用いた。反応混合物を濾過し、濾液にエーテルを加えてペプチドを沈殿させ、沈殿をエーテルで3回洗浄し、粗ペプチド約100mgを得た。このうちの約10mgの粗ペプチドを逆相HPLCにより精製し、約6mgの精製ペプチドを得た。
【0047】
精製ペプチドは、Capcell pak C18を用いる逆相HPLCにおいて、保持時間がそれぞれマダコ由来の化合物(1)および(2)と全く一致した。また、コイの直腸収縮活性においても、合成物はそれぞれの天然物と同様であった。
【0048】
実施例6:コイの直腸収縮活性の測定
コイの直腸収縮活性の測定は、次のとおり実施した。すなわち、コイの腸管を摘出し、その両端を木綿の糸で縛り、一端を試料添加用のチャンバー(容量2ml)に固定し、他端をトランスデューサーにつないで検定の標本とした。検定すべき検体は、生理食塩水に溶解してチャンバーに添加し、収縮による張力の変化を記録した。
【0049】
その結果を、図3および図4に示した。
図中の結果からも明らかなように、化合物(1)[図3]および化合物(2)[図4]は、コイの腸管を強く収縮させている。
【0050】
実施例7:モルモット回腸収縮活性の測定
モルモット回腸の収縮活性の測定は、シャンパーニュら(ChampagneD.E.et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA.91,138−142,1994)の方法に従って実施した。
【0051】
モルモットの回腸を摘出し、その両端を木綿の糸でしばり、一端を試料添加用のチャンバー(容量5ml)に固定し、他端をトランスデューサーにつないで検定の標本とした。また、チャンバー内は常に37℃の生理食塩水で一定に保たれており、検定すべき検体は、生理食塩水に溶解してチャンバーに添加し、収縮による張力の変化を記録した。
【0052】
その結果を、図5および図6に示した。
図中の結果からも明らかなように、化合物(1)[図5]および化合物(2)[図6]は、それぞれ1×10-8 Mの濃度で、モルモットの回腸を強く収縮させている。
【0053】
実施例8:前駆体ポリペプチドの全アミノ酸構造およびそれをコードする遺伝子の塩基配列決定
(1)マダコ後部唾腺total RNAの調製
マダコの後部唾腺約1gを液体窒素中で粉砕し、10mlのTRIzol(登録商標)試薬(GIBCO BRL社製)に溶解した後ホモジナイズした。室温で5分間静置した後、エッペンチューブに1mlずつ分注し、200μlずつクロロホルムを加えて撹拌後、冷却遠心機(佐久間製作所社製)で遠心分離(15,000rpm、15分間、4℃)した。上層の水層をエッペンチューブに分取して,0.5mlずつイソプロパノールを加え、室温で10分静置した。冷却遠心機で遠心分離(15,000rpm、10分間、4℃)した後、上清を除いて1mlの75%エタノールを加えて再度遠心分離(10,000rpm、5分間、4℃)した。上清を除いて約10分間風乾し、10μlのDEPC−処理水を加え、60℃で10分間インキュベートしてRNAを溶解した。以上の方法で約3mgのtotal RNAが得られた。
【0054】
(2)degenerate 3’−RACE
マダコの後部唾腺から単離されたペプチドの配列を基に、次の縮重プライマーを設計し、常法により合成した。
Oct-TK-M-1: 5'-AA(A/G)CCICCII(C/G)II(C/G)II(C/G)IGA(A/G)TT(C/T)AT-3'
Oct-TK-M : 5'-GA(A/G)TT(C/T)AT(A/T/C)GGI(C/T)TIATGGG-3'
(各式中の英文字は「ヌクレオチド略語表」による(細胞工学別冊「バイオ実験イラストレイテッド」:秀潤社);以下の各式において同じ。)
【0055】
次に、5'/3'−RACE Kit(Boehringer Mannheim社製)を用いて、以下の手順でdegenerate 3’−RACEを行なった。すなわち、2μgのtotal RNA、4μlのcDNA synthesis buffer、2μlのdNTP mix、1μlのoligo dT−anchor primer(12.5pmol/μl)、1μlのAMVreverse transcriptase(20units/μl)、DEPC−処理水を加えて全量20μlにし、55℃で60分間インキュベートの後、65℃で10分間処理して1st−strand cDNAを合成した。
【0056】
次に、以下の条件で1st−3’−RACEを行った。すなわち、5μlの1st−strand cDNA、5μlの10×PCR buffer、8μlのdNTP mix、3μlのOct−TK−M−1(100pmol/μl)、1μlのPCR anchor primer(12.5pmol/μl)、0.5μlのTaKaRa Ex Taq(登録商標)(宝酒造社製)、水を混合して全量50μlにし、94℃5分間の後、94℃30秒間、45℃30秒間、72℃2分間で30サイクル、その後72℃で7分反応させた。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)には、GeneAmp PCR System 2400 thermal cycler(Perkin Elmer社製)を用いた。
【0057】
続いて、1st−PCR産物をスピンカラム(MicroSpin(登録商標)S−400,Amersham Pharmacia社製)で精製し、以下の条件で2nd−3’−RACEを行った。すなわち、3μlの1st−PCR産物、5μlの10×PCR buffer、8μlのdNTP mix、3μlのOct−TK−M(100pmol/μl)、1μlのPCR anchorprimer(12.5pmol/μl)、0.5μlのTaKaRa ExTaq(登録商標)(宝酒造社製)、水を混合して全量50μlにし、94℃5分間の後、94℃30秒間、45℃30秒間、72℃2分間で30サイクル、その後72℃で7分間反応させた。
反応液5μlを1.5%アガロースゲルで電気泳動した結果、約300bpのPCR産物の増幅がみられた。
【0058】
(3)PCR産物の連結反応(ligation)
PCR産物をスピンカラムで精製し、そのうち3μlと2μlのTAクローニングベクターpCR2.1(Invitrogene社製)、5μlのLigation high(東洋紡社製)を混合して16℃で1時間連結反応(ligation)を行なった。
【0059】
(4)大腸菌の形質転換
上記(3)で得た10μlの連結反応溶液を、コンピテントセルCompetent high E.coli DH5α(東洋紡社製)に混合し、氷中に30分間静置した後、42℃で50秒間ヒートショックを行なった。氷中で2分間冷却した後、1mlのSOC mediumを加え、37℃で30分間インキュベートした。続いて、LB/Amp.(50μg/mlアンピシリンを含むLB)寒天培地上に35μlのX−galを塗布した後、10μlの形質転換体をまいた。残りの形質転換体も10,000rpmで1分間遠沈して容量を100μl程度に減らし、全量をLB/Amp.寒天培地にまいた。培地は37℃で一晩培養した。
【0060】
(5)コロニー(colony)PCR
得られたコロニーを鋳型にして、以下の条件でコロニー(colony)PCRを行った。すなわち、大腸菌の菌体、5μlの10×reaction buffer、5μlの2mM dNTPs、3μlの25mM MgCl2、0.5μlのM13FW primer(100pmol/μl)、0.5μlのM13RV primer(100pmol/μl)、0.5μlのrTaq DNA polymerase(東洋紡社製)および水を混合して全量50μlにし、90℃にて10分間の後、94℃30秒間、55℃30秒間、72℃1分間で30サイクル、72℃でさらに5分間反応させた。反応液5μlを1.5%アガロースゲルで電気泳動した。
なお、この反応に使用したM13FW primerおよびM13RV primerは常法により合成した。その配列を以下に示す。
【0061】
M13FW: 5'-GTAAAACGACGGCCAGTG-3'
M13RV: 5'-GGAAACAGCTATGACCATG-3'
【0062】
(6)DNAシークエンス
目的のサイズ(約500bp)のコロニー(colony)PCR産物をスピンカラムで精製して、DNA Sequencing Kit(PE Biosystems社製)を用いてシークエンスを行った。シークエンスには、ABIPRISM 310 Genetic Analyzer(PE Biosystems社製)を用いた。
得られた配列を、遺伝子解析ソフトGENETYX−MAC(ソフトウエア開発社製)を用いて解析した結果、約500bpの部分cDNA配列が解明できた。
【0063】
(7)5’−RACE
部分cDNAの塩基配列から、以下のプライマーを合成した。
TK-M-5'-1R: 5'-TTCAGGTTTCAGTTCATTGGG-3'
TK-M-5'-2R: 5'-TTTCGGTGGACCTCTCTTAC-3'
TK-M-5'-3R: 5'-TTCAGACATAGAACCAGGATG-3'
【0064】
次に、5’/3’−RACE Kit(Boehringer Mannheim社製)を用いて以下の手順で5’−RACEを行った。まず、2μgのtotal RNAと1μlのTK−M−5’−1R(12.5pmol/μl)を混合して、70℃で10分間処理した後、氷中で冷却した。そこに、4μlのcDNA synthesis buffer、2μlのdNTP mix、1μlのAMV reverse transcriptase(20units/μl)、DEPC−処理水を混合して全量20μlにし、55℃で60分間インキュベートした後、65℃で10分間処理して、1st−strand cDNAを合成した。次いで、1st−strand cDNAをスピンカラムで精製した後、2.5μlのreaction buffer、2.5μlの2mM dATPを加えて94℃で3分間処理し、そこに1μlのterminal transferase(10units/μl)を加えて37℃で20分間インキュベートした後、70℃で10分間処理してdA−tailed cDNAを合成した。
【0065】
次いで、1st−PCRおよび2nd−PCRを、以下の条件で行った。
▲1▼ 1st−PCR:
5μlのdA−tailed cDNA、5μlの10×PCR buffer、8μlのdNTP mix、1μlのTK−M−5’−2R(12.5pmol/μl)、1μlのoligo dT−anchor primer(12.5pmol/μl)、0.5μlのTaKaRa Ex Taq(登録商標)(宝酒造社製)および水を混合して全量50μlにし、94℃で5分間の後、94℃30秒間、55℃30秒間、72℃2分間で30サイクル、その後72℃で7分間反応させた。
【0066】
▲2▼ 2nd−PCR:
3μlのスピンカラム精製した1st−PCR産物、5μlの10×PCR buffer、8μlのdNTP mix、1μlのTK−M−5’−3R(12.5pmol/μl)、1μlのPCR anchor primer(12.5pmol/μl)、0.5μlのTaKaRa Ex Taq(登録商標)(宝酒造社製)および水を混合して全量50μlにし、1st−PCRと同じサイクルで行った。
【0067】
以上の方法で得られた2nd−PCR産物を1.5%アガロースゲルで電気泳動したところ、約300bpのバンドが確認できた。
この2nd−PCR産物を上記の方法(3)、(4)、(5)および(6)に記載した方法にしたがってシークエンスを行なった。
【0068】
その結果、タキキニンペプチドの前駆体ペプチドをコードするcDNAのサイズ(約460bp)と、その推定アミノ酸の数(87アミノ酸残基)と配列を明らかにすることができた。そのアミノ酸配列を配列番号3に、またcDNAの配列を配列番号4に示した。
【0069】
Figure 0004166408
上記成分を常法により練合、造粒、乾燥後打錠し、1錠中有効成分として化合物(1)または化合物(2)を10mg含有する重量190mgの錠剤を得た。
【0070】
【発明の効果】
本発明のマダコ神経ペプチドは、低濃度でコイの直腸をすばやく収縮させ、それに続く持続的な収縮をもたらす作用を有する神経ペプチドであり、このような効果はサブスタンスPの平滑筋収縮に特徴的な二相の収縮に類似している。
【0071】
また本発明のマダコ神経ペプチドは、C末端側に哺乳類において平滑筋収縮や血管拡張作用、ならびに血圧降下作用をもたらすタキキニンペプチドに特有の構造である:
−Phe−Yaa−Gly−Leu−Met−NH2
(Yaaは、前記と同義である)
を有している。これらのことから、本発明のマダコ神経ペプチドは、タキキニンペプチドに分類される。
【0072】
したがって本発明のマダコ神経ペプチドは、神経伝達系を解明するための生化学試薬として有用なものであり、また、分子レベルでの構造活性相関の研究を通じて、医薬および農薬等への新たなアプローチを与えるものである。
さらに、本発明によって得られるタキキニンペプチドの前駆体ポリペプチドおよびそれをコードする遺伝子は、本発明のタキキニンペプチドを製造する際の重要なツールとなる。
【0073】
【配列表】
Figure 0004166408
Figure 0004166408
Figure 0004166408
Figure 0004166408
Figure 0004166408

【図面の簡単な説明】
【図1】実施例2における、本発明のペプチドである化合物(1)の最終溶出パターンを示す逆相HPLCの展開図である。
【図2】実施例3における、本発明のペプチドである化合物(2)の最終溶出パターンを示す逆相HPLCの展開図である。
【図3】実施例6における、本発明の化合物(1)について、コイの直腸を収縮させる活性結果を示す図であり、マダコ1匹分に相当する量の化合物(1)をチャンバーに加えたときの結果を示す。
【図4】実施例6における、本発明の化合物(2)について、コイの直腸を収縮させる活性結果を示す図であり、マダコ1匹分に相当する量の化合物(2)をチャンバーに加えた時の結果を示す。
【図5】実施例7における、本発明の化合物(1)について、モルモットの回腸を収縮させる活性結果を示す図であり、1×10-8 Mの化合物(1)をチャンバーに加えた時の結果を示す。
【図6】実施例7における、本発明の化合物(2)について、モルモットの回腸を収縮させる活性結果を示す図であり、1×10-8 Mの化合物(2)をチャンバーに加えた時の結果を示す。

Claims (9)

  1. 次のアミノ酸配列式(1)または(2):
    H−Lys−Pro−Pro−Ser−Ser−Ser−Glu−Phe−Val−Gly−Leu−Met−NH2 (1)
    H−Lys−Pro−Pro−Ser−Ser−Ser−Glu−Phe−Ile−Gly−Leu−Met−NH2 (2)
    で表わされるタキキニンペプチド。
  2. マダコ(Octopus vulgaris)の後部唾腺から得られる請求項1に記載のタキキニンペプチド。
  3. 配列番号3に示すアミノ酸配列を有する、請求項1に記載のアミノ酸配列式(2)に記載のタキキニンペプチドの前駆体ポリペプチド。
  4. 配列番号3に記載のポリペプチドと同一のアミノ酸配列を有し、遺伝子組換え技術によって造成された形質転換細胞の培養物から得られる、請求項1に記載のアミノ酸配列式(2)に記載のタキキニンペプチドの前駆体ポリペプチド。
  5. 配列番号4に示されたポリヌクレオチドとストリンジェントの条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドを用いて、遺伝子組み換え技術によって製造された形質転換細胞の培養液から得られる、請求項1のアミノ酸配列式(1)または(2)に記載のタキキニンペプチドの前駆体ポリペプチド。
  6. 請求項に記載のタキキニンペプチドの前駆体ポリペプチドのアミノ酸配列をコードする遺伝子。
  7. 請求項に記載の遺伝子を含んでなるベクター。
  8. 請求項に記載のベクターにより形質転換された宿主。
  9. 請求項に記載の宿主を培養し、または生育させ、そして該宿主からタキキニンペプチドの前駆体ポリペプチドを採取し、当該前駆体ポリペプチドからタキキニンペプチドを切り出すことを特徴とするタキキニンペプチドの製造方法。
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