JP4164945B2 - シリンダヘッドおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、内燃機関を構成するシリンダヘッドの構造およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
1シリンダ当たりに複数の吸気バルブあるいは複数の排気バルブを備える多弁式のシリンダヘッド4では、例えば図8に示すように、これらバルブによって開閉されるポート41,42が仕切り壁41a,42aによって複数に分岐された形状に形成されることが多い。そして、こうしたポートを分岐する仕切り壁41a,42aにあって同ポートの分岐された部分が合流する部分側の端部、すなわちポート又部には、
・シリンダヘッド4を鋳造した後に残る残留応力。
・シリンダヘッド4を内燃機関に組み付ける際の組み付けボルトの締め付けによる組み付け応力。
・内燃機関の運転の際の燃焼室における爆発・燃焼による熱応力。
・同爆発・燃焼による繰返し応力。
といった応力が複合された大きな応力が作用することはよく知られている(図7参照)。
【0003】
一方、こうしたポート41,42は、シリンダヘッド4の鋳造の際に、同図8に鎖線で示すようなシリンダヘッド成形用の鋳型51,52,53,54内に配設されるポート中子43によって形成される。このポート中子43は通常、型枠内にて鋳砂が付き固められて、例えば図9に示される態様で型成形されるが、この型成形の際にその表面には型枠の合わせ面、すなわち見切り線に沿って見切りバリ47が形成される。なお、上記見切り線は、型枠からポート中子43を取出すことができるように、同ポート中子43を平面に投影した場合にその外郭線となる部位に位置するのが普通である。
【0004】
ところで、このポート中子43の型成形後には、見切り線に沿って形成された上記見切りバリ47を削り取る作業が行われるが、この作業の際、往々にして上記見切りバリ47を削り取った部位には凹部が形成される。そして、こうしてポート中子43の表面に形成された凹部に起因して上述したシリンダヘッド4の鋳造の際には、先の図8に示されるように、同シリンダヘッド4における上記ポート41,42の表面の該凹部に対応する部位に凸部49が形成されるようになる。また、上述のように見切り線はポート中子43を平面に投影した場合にその外郭線となる部位に形成されるため、前記ポート又部にもこうした凸部49が同様に形成されるようになる。
【0005】
ところが、ポート又部は上述したように、もともと大きな応力が作用する部分であり、同ポート又部にこうして凸部49が形成される場合には、該凸部49にその作用する応力が集中することとなって同凸部49から疲労亀裂が生じ易くなる。すなわち、シリンダヘッド4の耐久性能が著しく低下することとなる。
【0006】
そこで従来、このような不具合を改善するために、例えば実開平5−17143号公報では、通常アルミニウム合金で鋳造形成されるシリンダヘッド4の鋳造の際に、上記ポート又部に相当する部位を鉄製の板金等によって鋳ぐるみ成形するようにしている。この場合、シリンダヘッド4のポート又部が上記鉄製の板金等の別部材で形成されることとなるために、上述した凸部49が形成されることはなく、同シリンダヘッド4としての耐久性能が低下することもない。
【0007】
また、従来は他に、シリンダヘッド4の鋳造後にポート41,42の内面を機械加工して表面を滑らかにする方法なども知られている。この場合にも、上記ポート41,42の内面が凸部49等のない滑らかな形状に形成されるため、シリンダヘッド4としてその耐久性能が低下することはない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
このように、シリンダヘッド4の吸排気ポート41,42の内面に前記凸部49が形成されないようにしたり、同吸排気ポート41,42の内面に凸部49が形成されてもこれを削ってその表面を滑らかにしたりすることにより、応力が極部的に集中する個所を排除して、同シリンダヘッド4としての耐久性能の低下を抑制することはできる。
【0009】
しかしこの場合、シリンダヘッド4の形成に際してその鋳型51,52,53,54内に鉄製の板金等からなる別部材を配置したり、または鋳造後にシリンダヘッド4のポート41,42内を機械加工する等の手間のかかる別工程が必要となり、加工工数および加工コストの増大が無視できないものとなる。
【0010】
この発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、加工工数や加工コストの増大を伴うことなく、ポート中子の見切りバリに起因して生じるシリンダヘッドの耐久性能の低下を効果的に抑制することのできるシリンダヘッドおよびその製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
以下、上記目的を達成するための手段およびその作用効果について記載する。
まず、請求項1記載の発明では、鋳造に際してシリンダヘッド本体を形成するための鋳型内に配設されたポート中子によって複数に分岐される形状に形成されたポートを備えるシリンダヘッドにおいて、前記ポートの分岐部を区画する仕切り壁にあって各分岐部が合流する部分側の端部における前記ポート中子の型成形時の見切り線に沿って形成される凸部が、前記分岐部の並び方向から見た前記ポートの幅方向における中央線から偏倚されてなるものとしてシリンダヘッドを構成する。
【0012】
また、請求項2記載の発明では、請求項1記載のシリンダヘッド構造において、前記凸部が、前記仕切り壁の端部のうち、当該シリンダヘッドを備える内燃機関の運転中における平均応力が圧縮方向に作用する部位側に偏倚されてなるものとしてシリンダヘッドを構成する。
【0013】
また、請求項3記載の発明では、鋳型成形されて複数に分岐される形状に形成されたポートを備えるシリンダヘッドにおいて、前記ポートの分岐部を区画する仕切り壁にあって各分岐部が合流する部分側の端部に対応する各分岐ポートの略円形の断面の該仕切り壁を介して互いに最も近接する部位が、前記分岐部の並び方向から見た前記ポートの幅方向における中央線から偏倚されてなるものとしてシリンダヘッドを構成する。
【0014】
また、請求項4記載の発明では、請求項3記載のシリンダヘッド構造において、前記各分岐ポートの略円形の断面の前記仕切り壁を介して互いに最も近接する部位が、前記仕切り壁の端部のうち、当該シリンダヘッドを備える内燃機関の運転中における平均応力が圧縮方向に作用する部位側に偏倚されてなるものとしてシリンダヘッドを構成する。
また、請求項5記載の発明では、鋳造に際してシリンダヘッド本体を形成するための鋳型内に配設されたポート中子によって複数に分岐される形状に形成されたポートを備えるシリンダヘッドにおいて、前記ポートの分岐部を区画する仕切り壁にあって各分岐部が合流する部分側の端部における前記ポート中子の型成形時の見切り線に沿って形成される凸部が、前記仕切り壁の端部のうち、当該シリンダヘッドを備える内燃機関の運転中における平均応力が圧縮方向に作用する部位に配置されてなるものとしてシリンダヘッドを構成する。
また、請求項6記載の発明では、鋳型成形されて複数に分岐される形状に形成されたポートを備えるシリンダヘッドにおいて、前記ポートの分岐部を区画する仕切り壁にあって各分岐部が合流する部分側の端部に対応する各分岐ポートの略円形の断面の該仕切り壁を介して互いに最も近接する部位が、前記仕切り壁の端部のうち、当該シリンダヘッドを備える内燃機関の運転中における平均応力が圧縮方向に作用する部位に配置されてなるものとしてシリンダヘッドを構成する。
【0015】
また、請求項7記載の発明では、内燃機関のシリンダヘッド本体を形成するための鋳型内に先端が複数に分岐されたポート中子を配設し、該ポート中子を用いた鋳造によって機関燃焼室側に複数に分岐されるポートを併せ形成するシリンダヘッドの製造方法において、前記ポート中子を形成するための型枠として、同ポート中子の前記複数に分岐される部分の各内側の付け根部分に対応する合わせ面がそれら分岐される部分の並び方向から見た前記ポート中子の幅方向における中央線から偏倚された型枠を用いることとする。
【0016】
請求項1または7記載の発明の構成または製造方法によれば、前記ポートの分岐部を区画する仕切り壁にあって各分岐部が合流する部分側の端部において、最も大きい応力(引張応力)がかかる部位である前記分岐部の並び方向から見た前記ポートの幅方向における中央線上に当る部位から適宜偏倚された部位に前記凸部が形成されることとなり、少なくとも該凸部においてはこれにかかる応力が低減されることとなる。このため、当該シリンダヘッドの耐久性能が低下してしまうことを好適に抑制できるようになる。
【0017】
また、請求項3の発明の構成によっても、請求項1の発明の構成と同様に、前記凸部が上記中央線上に当る部位から適宜偏倚された部位に形成されることとなり、上記と同様の理由によってシリンダヘッドの耐久性能が低下してしまうことを好適に抑制できるようになる。
【0018】
また、請求項2または4記載の発明の構成によれば、前記凸部が圧縮方向の応力がかかる部位に形成されるため、引張方向の応力がかかる部位に同凸部が形成される場合に比べて、クラックの発生および進行を抑制することができるようになる。
また、請求項5または6記載の発明の構成によっても、上記と同様の理由によってクラックの発生および進行を抑制することができるようになる。
【0019】
【発明の実施の形態】
図1〜図4に、この発明にかかるシリンダヘッドおよびその製造方法についてその一実施の形態を示す。
【0020】
はじめに、同実施の形態にかかるシリンダヘッドおよび製造方法の概要について説明する。
図1に例示するシリンダヘッド1は、例えば吸排気弁が各一対設けられる4バルブ方式の内燃機関に取付けられるものとして構成されている。このシリンダヘッド1には、図示しない燃焼室に空気またはガソリンと空気との混合気を供給できるように、シリンダヘッド1の燃焼室側(図1において下側)から一方壁まで貫通する吸気ポート11が形成されている。また、燃焼後の排気ガスを燃焼室から排出できるように、シリンダヘッド1の燃焼室側から他方側壁まで貫通する排気ポート12が形成されている。
【0021】
このような構造のシリンダヘッド1は、複数の鋳型および複数の中子を用いて鋳造される。具体的には、同図1に鎖線で示す下型21,上型22,横型23および24によって構成される鋳型の内部に吸気ポート11および排気ポート12を形成するための各ポート中子13等の中子が配設され、その鋳型内に溶湯が流し込まれてシリンダヘッド1が鋳造形成される。
【0022】
一方、この鋳型内に配設される上記ポート中子13は、図2に示すように、上型31と下型32とで構成される型枠に鋳砂が入れられ、その鋳砂が付き固められて型成形される。この型成形によって図3に示すような形状にポート中子13は成形される。
【0023】
図3に示すように、この同ポート中子13はその基端部に柱状でその断面が長円である固定部14が形成され、この固定部14が上記シリンダヘッド1の成形用鋳型に固定されてポート中子13が同鋳型内に配設される。また、上記固定部14の先端側には柱状で断面が長円であって同固定部14より若干細い形状の胴体部15が突設され、更に該胴体部15はその先端部において二つの部分に分岐されている。この分岐された部位が下方に曲げられて各分岐部16が構成されている。
【0024】
そして本実施の形態にあって、これら各分岐部16の形状は、同図3に併せ示されるように、ポート中子13を平面に投影した場合において上記2つの部分に分岐された又部の外郭線を形成する部位の付け根部分が、それら分岐部16の並び方向から見たポート中子13の幅方向における中央線より上方に位置するような形状に形成されている。すなわち先の図2についていえば、各分岐部16の並び方向から見た上記中央線の接線方向において、上記又部の最も先端側に位置する部位Aが、同中央線より上方に位置する構造となっている。
【0025】
そしてこの場合、上記部位Aにて上記接線に対して直交するように切断した場合におけるポート中子13(各分岐部16)の略円形の断面形状は、図4(a)に示されるように、その最も又部側に位置する部位、すなわち分岐ポートの仕切り壁となる部分を介して互いに最も近接する部位が上方に偏倚するかたちとなる。換言すれば、ポート中子13の当該部分の断面形状が同図4(a)に示される形状をもって形成されるように、上記型枠である上型31および下型32の形状が設定されている。すなわち、これら型枠側から見た場合には、上型31と下型32との合わせ面となる見切り線33が、同図4(a)に示されるように、上記各分岐部16の又部に対応する部分で上方に偏倚されている。
【0026】
なお、図2の上記部位Aにおいては図4(a)に示される態様でその断面が非円形に形成される各分岐部16も、その先端方向に向けては図3に示される態様で徐々に円形状に移行するよう形成され、上述した偏倚が解除される図2の部位Bにおいては、同分岐路16の断面形状は円形状となる。すなわち、この部位Bより先端側の少なくとも吸排気バルブと当接されるポート部分に対応する部位においてはその断面形状が円形状となるように形成される。
【0027】
ところで、このポート中子13は上述のように、上型31および下型32からなる型枠に鋳砂が入れられ、その鋳砂が付き固められて成形されるが、この両型枠31,32はその精度や使用による劣化等が原因で、図4(b)に先の図4(a)の領域Z部を拡大して示すように、当該両型枠31,32を組み合わせた際には、その合わせ面(見切り線33)に若干の隙間ができる。このため、上記ポート中子13を形成すべく鋳砂を付き固めた際に、この隙間に鋳砂が入り込み、この入り込んだ鋳砂によって、型成形後のポート中子13には上記見切り線33に沿って見切りバリ17が形成される。このため、型成形後にこの見切りバリ17を削り取る作業が行われるが、この作業の際には前述のように、上記見切りバリ17を削り取った部位に往々にして凹部18が形成される(図4(b)破線参照)。
【0028】
従って、このようにして形成されたポート中子13がシリンダヘッド1成形用の上記鋳型内に配設され、その鋳型内に溶湯が流し込まれてシリンダヘッド1が鋳造される際には図1に併せ示すように、同吸排気ポート11,12の内面に、上記ポート中子13に形成されている凹部18に相対した形状の凸部19が形成されるようになる。そして、特に本実施の形態の場合、同吸排気ポート11,12にそれぞれ一対ずつ設けられた前記分岐部16に対応する空間をそれぞれ仕切っている仕切り壁11a,12aにあって各分岐部16が合流する部分側の端部(以下、単に「仕切り壁11a,12aの端部」という)においては、図2あるいは図3に例示したポート中子13の前記形状に起因して、この凸部19が、前記ポート中子13の各分岐部16の並び方向から見て吸排気ポート11,12の幅方向における中央線よりも上方に位置する部位に形成されるようになる。
【0029】
図5および図6は、こうして仕切り壁11a,12aの端部に形成される凸部19を偏倚させることの意味について、発明者による実験結果をもとにその応力(歪振幅)特性を示したものであり、次にこれら図5および図6を併せ参照して、本実施の形態のシリンダヘッドの上記構造に基づく作用を説明する。
【0030】
これら図5および図6において、図5には吸気ポート11の仕切り壁11aの端部に形成される上記凸部19の位置についてa〜dの4つのモデルを示し、図6にはそれらモデル位置において測定された内燃機関運転中にかかる平均応力の測定値を示す。
【0031】
なお、上記モデル位置a〜dのうち、当該ポート(吸気ポート11)の分岐される部分(分岐部)の並び方向から見て同ポートの幅方向における中央線(図5鎖線参照)に対応する位置bは、図8に例示した従来のシリンダヘッド4において凸部49が形成されていた位置を示し、その上方に偏倚した位置cは、本実施の形態のシリンダヘッド1において上記凸部19が形成される位置を示す。また、位置dはこの位置cから更に上方に偏倚した位置、位置aは上記位置bから下方に偏倚した位置をそれぞれ示す。
【0032】
これら図5および図6から明らかなように、従来のシリンダヘッド4において凸部49が形成されていた位置bでは、内燃機関運転時の平均応力が引張方向に最大となる。前述のように、ポート又部である仕切り壁11aはもともと大きな応力が作用する部分ではあるが、このように引張応力が最大となる位置に凸部が形成されることで、これも前述のようにこの凸部に当該応力が集中し、同凸部から疲労亀裂等が生じ易くなる。
【0033】
これに対し、本実施の形態において凸部19が形成される位置cでは、上記平均応力が圧縮方向に作用するようになる。この圧縮方向の応力とは、クラックの発生および進行を抑制する方向に加わる応力であり、その結果、前記従来のシリンダヘッド4に比べてその耐久性能の低下を抑制することができるようにもなる。すなわち、ポート中子13を形成するための型枠(上型31および下型32)の形状は変えるものの、基本的には前記従来のシリンダヘッド4に準じた製造方法の採用をもって、ポート中子の見切りバリに起因して生じるシリンダヘッドの耐久性能の低下を抑制することができるようになる。またこのことは、上記下方に偏倚した位置aにおいても同様である。ただし、シリンダヘッド1やポート中子13の上記形状に鑑みれば、上記位置cへの凸部19の形成がより容易であり、仕切り壁11aとしての強度も保証され易い。
【0034】
その他、上記更に上方に偏倚した位置dにおいても、基本的には上記位置cや上記位置aと同様のことがいえ、圧縮方向への応力も更に助長されるようになる。ただし、当該ポート全体としての応力バランス、あるいは歪のばらつきを考慮した場合には、上記中央線に対応する位置bからの離間を極力抑えることが望ましく、その意味では、上記位置cや上記位置aの採用がより望ましい。またその場合、上記位置bからの離間距離(寸法)も併せて考慮することが望ましく、平均応力が「0」から圧縮方向への応力が作用する範囲でより小さな離間距離に位置cや位置aを設定することも意義がある。
【0035】
なお、上記のモデルは吸気ポート11を例にとったものであるが、他方の排気ポート12に関しても同様のことがいえることはいうまでもない。
以上詳述したように、上記構造をもって鋳造形成される本実施の形態にかかるシリンダヘッドおよびその製造方法によれば、以下のような効果を得ることができるようになる。
(1)クラックの発生および進行を抑制する方向に加わる応力である圧縮応力が加わる部分に凸部19が形成されることで、シリンダヘッド1の耐久性能の低下を好適に抑制することができる。
(2)ポート中子13を形成するための型枠(上型31,下型32)の形状を変えるだけで、従来と基本的に同じ製造方法を採用できる。すなわち、シリンダヘッド1を鋳造形成した後における吸気ポート11内面の機械加工等は行う必要がない。
(3)上記(1)において、吸気ポート11の分岐部の並び方向から見た同吸気ポート11の幅方向における中央線からの離間距離が小さい部分に凸部19が形成されることで、同吸気ポート11全体としての応力バランス、あるいは歪のばらつきを最小限に抑えつつ、シリンダヘッド1の耐久性能の低下を好適に抑制することができる。
【0036】
なお、この発明にかかるシリンダヘッドおよびその製造方法は上記実施の形態に限定されるものではなく、同実施の形態を適宜変更した、例えば次のような形態として実施することもできる。
【0037】
・上記実施の形態においては、図5のモデル図の位置cに対応して上記凸部19を形成することとしたが、他の位置dや位置aに同凸部19を形成することとしてもよい。この場合であれ、上記(1)および(2)に準じた効果を得ることはできる。
【0038】
・上記実施の形態において、吸排気ポート11,12の形状が変われば当然上記平均応力のかかり方も変わってくる。この場合には、上記凸部19を形成する部位を当該吸排気ポート11,12の形状においてクラックの発生および進行を抑制できる部位に適宜変更して同凸部19を形成するようにすればよい。
【0039】
・上記実施の形態では、吸排気ポート11,12の何れにおいても上記凸部19を偏倚させる構成としたが、これらの何れか一方のみ偏倚させる構成としてもよい。少なくとも偏倚させたポートにおいてはシリンダヘッド1の耐久性能が低下してしまうことを抑制できるようになる。
【0040】
・上記実施の形態では、吸排気弁を各一対設ける4バルブ方式で構成したが、吸排気弁の何れか一方を3個設ける5バルブ方式で構成してもよい。この場合にも、当該ポートの形状においてクラックの発生および進行を抑制できる部位に上記凸部19を形成することで上記と同様の効果を得ることができるようになる。また、これら4バルブ方式あるいは5バルブ方式に限らず、1つのポートに複数のバルブが設けられる内燃機関については同様にこの発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のシリンダヘッドの一実施の形態についてその正面断面構造を示す断面図。
【図2】同実施の形態のシリンダヘッドの製造に用いられるポート中子成形用の型枠の正面断面構造を示す断面図。
【図3】同実施の形態のシリンダヘッドの製造に用いられるポート中子の斜視構造を示す斜視図。
【図4】同ポート中子の成形態様を示す断面図およびその拡大断面図。
【図5】シリンダヘッドのポート分岐部に形成される凸部の位置モデルを示す断面略図。
【図6】同位置モデルに対応した平均応力分布を示すグラフ。
【図7】シリンダヘッドのポート分岐部にかかる複合応力を示すグラフ。
【図8】従来のシリンダヘッドについてその正面断面構造を示す断面図。
【図9】従来のシリンダヘッドの製造に用いられるポート中子の斜視構造を示す斜視図。
【符号の説明】
1…シリンダヘッド、11…吸気ポート、11a…仕切り壁、12…排気ポート、12a…仕切り壁、13…ポート中子、19…凸部、31…ポート中子成形用上型(型枠)、32…ポート中子成形用下型(型枠)。
Claims (7)
- 鋳造に際してシリンダヘッド本体を形成するための鋳型内に配設されたポート中子によって複数に分岐される形状に形成されたポートを備えるシリンダヘッドにおいて、
前記ポートの分岐部を区画する仕切り壁にあって各分岐部が合流する部分側の端部における前記ポート中子の型成形時の見切り線に沿って形成される凸部が、前記分岐部の並び方向から見た前記ポートの幅方向における中央線から偏倚されてなる
ことを特徴とするシリンダヘッド。 - 前記凸部が、前記仕切り壁の端部のうち、当該シリンダヘッドを備える内燃機関の運転中における平均応力が圧縮方向に作用する部位側に偏倚されてなる
ことを特徴とする請求項1に記載のシリンダヘッド。 - 鋳型成形されて複数に分岐される形状に形成されたポートを備えるシリンダヘッドにおいて、
前記ポートの分岐部を区画する仕切り壁にあって各分岐部が合流する部分側の端部に対応する各分岐ポートの略円形の断面の該仕切り壁を介して互いに最も近接する部位が、前記分岐部の並び方向から見た前記ポートの幅方向における中央線から偏倚されてなる
ことを特徴とするシリンダヘッド。 - 前記各分岐ポートの略円形の断面の前記仕切り壁を介して互いに最も近接する部位が、前記仕切り壁の端部のうち、当該シリンダヘッドを備える内燃機関の運転中における平均応力が圧縮方向に作用する部位側に偏倚されてなる
ことを特徴とする請求項3に記載のシリンダヘッド。 - 鋳造に際してシリンダヘッド本体を形成するための鋳型内に配設されたポート中子によって複数に分岐される形状に形成されたポートを備えるシリンダヘッドにおいて、
前記ポートの分岐部を区画する仕切り壁にあって各分岐部が合流する部分側の端部における前記ポート中子の型成形時の見切り線に沿って形成される凸部が、前記仕切り壁の端部のうち、当該シリンダヘッドを備える内燃機関の運転中における平均応力が圧縮方向に作用する部位に配置されてなる
ことを特徴とするシリンダヘッド。 - 鋳型成形されて複数に分岐される形状に形成されたポートを備えるシリンダヘッドにおいて、
前記ポートの分岐部を区画する仕切り壁にあって各分岐部が合流する部分側の端部に対応する各分岐ポートの略円形の断面の該仕切り壁を介して互いに最も近接する部位が、前記仕切り壁の端部のうち、当該シリンダヘッドを備える内燃機関の運転中における平均応力が圧縮方向に作用する部位に配置されてなる
ことを特徴とするシリンダヘッド。 - 内燃機関のシリンダヘッド本体を形成するための鋳型内に先端が複数に分岐されたポート中子を配設し、該ポート中子を用いた鋳造によって機関燃焼室側に複数に分岐されるポートを併せ形成するシリンダヘッドの製造方法において、
前記ポート中子を形成するための型枠として、同ポート中子の前記複数に分岐される部分の各内側の付け根部分に対応する合わせ面がそれら分岐される部分の並び方向から見た前記ポート中子の幅方向における中央線から偏倚された型枠を用いる
ことを特徴とするシリンダヘッドの製造方法。
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