JP4161771B2 - 酸素センサの異常検出装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、酸素センサの異常検出装置に係り、特に、内燃機関の排気通路に配置される触媒の下流に位置する酸素センサの異常を検出するうえで好適な異常検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば特許3134698号公報に開示されるように、内燃機関の排気通路に酸素センサを備える構成が知られている。この酸素センサは、排気ガスに含まれる酸素濃度を検出し、その酸素濃度より排気空燃比を検知する目的で配置される。排気通路に配置される酸素センサは、内燃機関の空燃比を制御するうえで重要な要素である。このため、酸素センサの異常は速やかに検知する必要がある。
【0003】
上述した従来の内燃機関は、より具体的には、排気通路に配置された触媒の上流に酸素センサを備えている。そして、このシステムは、内燃機関から流出する排気ガスの空燃比を、つまり、触媒の上流に到達する排気ガスの空燃比を、強制的にリッチ空燃比とリーン空燃比の間で変化させることにより、酸素センサの異常を検出することとしている。
【0004】
上記従来の内燃機関において、触媒上流における排気空燃比が強制的に変化させられると、酸素センサが正常であれば、そのセンサの出力は、排気空燃比の変化に追従した変化を示す。従って、このシステムにおいては、触媒上流における排気空燃比を強制的に変化させると共に、酸素センサの出力にその変化に対応した適正な変化が生ずるか否かを見ることにより、酸素センサが正常に作動しているか否かを正確に判断することができる。
【0005】
【特許文献1】
特許第3134698号公報
【特許文献2】
特開2001ー329832号公報
【特許文献3】
特公平7−42884号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、内燃機関の排気通路には、触媒の下流側にも酸素センサが配置されることがある。具体的には、例えば、内燃機関の排気通路には、始動時および暖機時のエミッション特性の向上を目的とした上流触媒と、通常運転時のエミッション特性確保を目的とした下流触媒とが直列に配置されることがある。そして、このような構成においては、下流触媒に流入する排気ガスの空燃比を精度良く制御するために、下流触媒の上流、つまり、上流触媒の下流に酸素センサが配置されることがある。また、下流触媒がない場合においても、排気ガス成分によって上流酸素センサの出力特性がばらつき、この上流酸素センサにより正確な空燃比検出ができない場合がある。そして、このような場合に、制度良く空燃比を制御するため触媒下流にも酸素センサを配置して、2つのセンサを用いて空燃比をフィードバック制御することがある。以下、このような酸素センサを「下流酸素センサ」と称す。
【0007】
触媒の下流における排気空燃比は、その上流における排気空燃比が如何なる値であっても、触媒が浄化作用を発揮する期間中は、ほぼ理論空燃比となる。この場合、下流酸素センサが正常であっても、そのセンサ出力は、触媒上流の排気空燃比に追従した変化は示さない。このため、上述した従来のシステムが用いる異常検出の手法では、触媒の下流に配置される下流酸素センサの異常を正確に検出することはできない。
【0008】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、触媒下流に配置される下流酸素センサの異常を正確に検出することのできる酸素センサの異常検出装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、上記の目的を達成するため、内燃機関の排気通路に配置される触媒の下流に位置する下流酸素センサの異常を検出するための装置であって、
前記触媒上流における排気空燃比を制御する排気空燃比制御手段と、
前記下流酸素センサの出力がリッチ出力からリーン出力に変化するのを受けて前記触媒上流の排気空燃比をリーン空燃比からリッチ空燃比に変化させると共に、前記下流酸素センサの出力がリーン出力からリッチ出力に変化するのを受けて前記触媒上流の排気空燃比をリッチ空燃比からリーン空燃比に変化させるアクティブ空燃比制御を実行するアクティブ空燃比制御手段と、
前記アクティブ空燃比制御の実行中に前記下流酸素センサから発せられるセンサ出力に基づいて、当該下流酸素センサの異常を判定する異常判定手段と、
前記アクティブ空燃比制御の実行中に前記触媒上流の排気空燃比に生じさせる空燃比の振幅巾を変化させる空燃比振幅巾変更手段を備え、
前記異常判定手段は、
第1の振幅巾で前記アクティブ空燃比制御を実行させる小振幅アクティブ制御指令手段と、
前記第1の振幅巾でのアクティブ空燃比制御の実行に対して、前記異常判定手段に異常判定を実行させる第1異常判定指令手段と、
前記第1の振幅巾でのアクティブ空燃比制御の実行に対して前記下流酸素センサの異常が判定された場合に、前記第1の振幅巾に比して大きな第2の振幅巾で前記アクティブ空燃比制御を実行させる大振幅アクティブ制御指令手段と、
前記第2の振幅巾でのアクティブ空燃比制御の実行に対して、前記異常判定手段に異常判定を実行させる第2異常判定指令手段と、
前記第2の振幅巾でのアクティブ空燃比制御の実行に対して前記下流酸素センサの異常が判定された場合に限り、前記下流酸素センサの異常を確定的に判定する異常発生確定手段を備えることを特徴とする。
【0010】
また、第2の発明は、第1の発明において、前記異常判定手段は、前記下流酸素センサの出力の変化速度に基づいて当該下流酸素センサの異常を判定することを特徴とする。
【0011】
また、第3の発明は、第1の発明において、前記異常判定手段は、前記下流酸素センサの出力の最大値または最小値に基づいて当該下流酸素センサの異常を判定することを特徴とする。
【0013】
また、第4の発明は、第1乃至第3の発明の何れかにおいて、
前記アクティブ空燃比制御の実行中に、前記異常判定手段が前記下流酸素センサから発せられるセンサ出力を取り込むのと並行して、当該センサ出力がリッチ出力からリーン出力に変化する過程、或いは、そのセンサ出力がリーン出力からリッチ出力に変化する過程において、前記触媒の酸素吸蔵容量を算出する酸素吸蔵容量算出手段と、
前記異常判定手段によって前記下流酸素センサの異常が認められなかった場合に、前記酸素吸蔵容量に基づいて前記触媒の劣化状態を判断する劣化状態判断手段と、
を備えることを特徴とする。
【0014】
また、第5の発明は、第4の発明において、前記異常判定手段によって前記下流酸素センサの異常が認められた場合に、前記酸素吸蔵容量に基づく前記触媒の劣化判定を禁止する劣化判定禁止手段を備えることを特徴とする。
【0015】
また、第6の発明は、第1乃至第5の発明の何れかにおいて、
前記アクティブ空燃比制御の実行中に、前記異常判定手段が前記下流酸素センサから発せられるセンサ出力を取り込むのと並行して、前記下流酸素センサのセンサ出力がリッチ出力からリーン出力に変化する過程、或いは、そのセンサ出力がリーン出力からリッチ出力に変化する過程において、前記触媒の酸素吸蔵容量を算出する酸素吸蔵容量算出手段と、
前記酸素吸蔵容量と基準値との差が判定値以上である場合に、当該酸素吸蔵容量の算出期間中に発せられた前記センサ出力に基づく前記異常判定手段による判定を禁止する判定禁止手段と、
を備えることを特徴とする。
【0016】
また、第7の発明は、第6の発明において、
前記酸素吸蔵容量が算出される毎に、その値が反映されるように当該酸素吸蔵容量の学習値を更新する学習値更新手段を備え、
前記基準値は前記酸素吸蔵容量の学習値であることを特徴とする。
【0017】
また、第8の発明は、第7の発明において、吸入空気量および触媒温度の少なくとも一方が所定範囲から外れている場合に、前記酸素吸蔵容量の学習値の更新を禁止する学習値更新禁止手段を備えることを特徴とする。
【0018】
また、第9の発明は、第1乃至第5の発明の何れかにおいて、吸入空気量および触媒温度の少なくとも一方が所定範囲から外れている場合に、前記異常判定手段による判定を禁止する判定禁止手段を備えることを特徴とする。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照してこの発明の実施の形態について説明する。尚、各図において共通する要素には、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0020】
実施の形態1.
[実施の形態1の構成の説明]
図1は、本発明の実施の形態1の構成を説明するための図である。図1に示す構成は、内燃機関10を備えている。内燃機関10には、吸気通路12および排気通路14が連通している。吸気通路12の端部にはエアフィルタ16が配置されている。エアフィルタ16の下流には、吸気通路12を流通する空気量、すなわち、吸入空気量Gaを検出するためのエアフロメータ18が配置されている。
【0021】
エアフロメータ18の下流には、スロットルバルブ20が設けられている。スロットルバルブ20の近傍には、スロットル開度TAを検出するスロットルセンサ22と、スロットルバルブ20が全閉となることでオンとなるアイドルスイッチ24とが配置されている。吸気通路12には、更に、内燃機関10の吸気ポートに燃料を噴射するための燃料噴射弁26が配置されている。
【0022】
排気通路14には、上流触媒28と下流触媒30とが直列に配置されている。これらの触媒は、内燃機関10が始動された後、所定の活性温度に達することにより排気ガスの浄化機能を発揮することができる。上流触媒28は、内燃機関10の始動直後および暖機過程での排気エミッション低減を主たる目的とする。下流触媒30は、通常運転時における排気エミッション向上を主たる目的とする。
【0023】
上流触媒28、および下流触媒30は、それぞれ酸素吸蔵容量(OSC:O2 Storage Capacitor)を有しており、その容量の範囲で酸素を吸蔵することができる。これらの触媒28,30は、排気ガス中にHCやCOなどの未燃成分が含まれている場合は、吸蔵している酸素を放出することでそれらの未燃成分を酸化し、また、排気ガス中に酸素やNOxなどが多く含まれている場合は、余剰な酸素を吸蔵し、触媒雰囲気を理論空燃比に保つことができる。上流触媒28および下流触媒30は、それぞれ上記の原理により排気ガスを浄化する。
【0024】
上流触媒28の上流には、空燃比センサ32が配置されている。空燃比センサ32は、排気ガス中の酸素濃度に応じた出力を発するセンサである。排気ガス中の酸素濃度は、排気空燃比と相関を有している。このため、空燃比センサ32によれば、上流触媒28に流入する排気ガス、つまり、内燃機関10から排出されてきた直後の排気ガスの空燃比を検出することができる。
【0025】
上流触媒28の下流、つまり、下流触媒30の上流には、下流酸素センサ34が配置されている。下流酸素センサ34は、排気ガス中に酸素が存在するか否かに応じて出力を大きく変化させるセンサである。排気ガス中には、排気空燃比がリッチである場合には酸素は残留しない。一方、排気空燃比がリーンである場合は排気ガス中の酸素が残留する。このため、下流酸素センサ34によれば、上流触媒28から流出してくる排気ガスがリッチであるかリーンであるかを正確に検出することができる。
【0026】
図1に示すシステムは、ECU(Electronic Control Unit)40を備えている。ECU40には、上述した各種のセンサからセンサ出力が供給されている。また、ECU40は、それらのセンサ出力に基づいて内燃機関10に供給すべき燃料量を算出し、その燃料量が噴射されるように燃料噴射弁26を制御することができる。
【0027】
本実施形態のシステムは、空燃比センサ32の出力、および下流酸素センサ34の出力に基づいて排気空燃比の制御、すなわち、燃料噴射量の制御などを実行する。このため、空燃比センサ32や下流酸素センサ34の異常は、速やかに検出できることが望ましい。
【0028】
空燃比センサ32の異常については、内燃機関10から排出される排気ガスの空燃比を強制的に変化させたうえで、その変化に追従した変化が空燃比センサ32の出力に表れるか否かを見ることで正確に判断することができる。つまり、ECU40は、エアフロメータ18により検出される吸入空気量Gaに対して、空燃比A/Fが変動するように燃料噴射量を決定しつつ、その変動に応じた変化が空燃比センサ32の出力に表れるか否かに応じて、空燃比センサ32が正常であるか否かを判断することができる。
【0029】
しかしながら、下流酸素センサ34の異常については、上記の手法によっては検出することができない。すなわち、吸入空気量Gaに対して燃料噴射量が上記の如く制御され、その結果上流触媒28に流入する排気ガスの空燃比が強制的に変動させられたとしても、下流酸素センサ34の周囲に導かれるのは、上流触媒28を通過した後の排気ガスである。上流触媒28を通過した後の排気ガスは、上流触媒28が浄化能力を発揮する限りは理論空燃比に維持される。このため、内燃機関10から排出される排気ガスの空燃比と、下流酸素センサ34のセンサ出力との間に相関が認められるか否かによっては、下流酸素センサ34が正常であるか否かを判断することはできない。そこで、本実施形態では、下流酸素センサ34の異常検出が要求される際には、下流酸素センサ34の周囲における排気空燃比を強制的に変動させるべく、以下に説明するアクティブ空燃比制御を実行することとした。
【0030】
[下流酸素センサの異常検出の原理説明]
図2は、ECU40が実行するアクティブ空燃比制御の内容を説明するためのタイミングチャートである。より具体的には、図2(A)は、上流触媒28に流入する排気ガスの空燃比(以下、「触媒前空燃比」と称す)がリッチであるかリーンであるかを表す波形を示す。また、図2(B)は、下流酸素センサ34のセンサ出力波形を示す。更に、図2(C)は、上流触媒28から流出して下流酸素センサ34の周囲に導かれる排気ガスの空燃比(以下、触媒後空燃比」と称す)の変化を示す。
【0031】
アクティブ空燃比制御の実行中は、先ず、触媒前空燃比が所定のリッチ空燃比またはリーン空燃比に維持される。図2(A)は、時刻t1以前において、触媒前空燃比がリッチ空燃比に維持されている状態を示している。触媒前空燃比がリッチ空燃比に維持されると、上流触媒28は、吸蔵酸素を放出して排気ガス中の未燃成分(HC、CO)の酸化を図る。上流触媒28中に吸蔵酸素が残存している期間中は、その下流には理論空燃比に浄化された排気ガスが流出する。従って、その間、触媒後空燃比はほぼ理論空燃比に維持される。
【0032】
触媒前空燃比がリッチに維持された結果、上流触媒28中の吸蔵酸素が全て消費されると、その後、上流触媒28の下流には、未燃成分を含むリッチな排気ガスが流出し始める。図2(C)は、時刻t1の直前に上流触媒28中の吸蔵酸素が全て消費され、その結果、触媒後空燃比が理論空燃比からリッチ空燃比に変化した状態を示している。
【0033】
触媒後空燃比が理論空燃比からリッチ空燃比に変化すると、下流酸素センサ34のセンサ出力は、図2(B)に示すようにリーン出力からリッチ出力に変化する。ECU40は、そのセンサ出力がリッチ出力であるかリーン出力であるかを判定するために、リーン判定値VLおよびリッチ判定値VRを用いている。より具体的には、ECU40は、下流酸素センサ34の出力が、リッチ判定値VRを超えると、そのセンサ出力がリッチ出力に変化したと判断し、一方、下流酸素センサ34の出力がリーン判定値VLを下回ると、そのセンサ出力がリーン出力に変化したと判断する。図2に示す時刻t1は、上記の基準に従って、下流酸素センサ34の出力がリッチ出力に変化したと判断された時刻である。
【0034】
アクティブ空燃比制御の実行中、ECU40は、下流酸素センサ34の出力がリッチ出力に変化したと判断すると、その時点で、上流触媒28の吸蔵酸素が使い果たされたと判断する。そして、ECU40は、その後、触媒前空燃比がリーンに反転するように、吸入空気量Gaに対する燃料噴射量の割合を変化させる。その結果、時刻t1の後、図2(A)に示すように、触媒前空燃比はリッチからリーンに反転する。
【0035】
触媒前空燃比がリッチからリーンに反転された後、その反転の影響を受けた排気ガスが上流触媒28の下流に流出してくるまでの期間(以下、「ガス輸送遅れ期間」と称す)は、触媒後空燃比がリッチに維持される。そして、ガス輸送遅れ期間が経過した後(図2における時刻t2の後)は、空燃比がリーンに反転された後に上流触媒28に流入し、その内部で処理された排気ガスが上流触媒28の下流に流出してくる。
【0036】
時刻t1において、上流触媒28は、全ての吸蔵酸素を放出した状態となっている。この状態で、上流触媒28に空燃比のリーンな排気ガスが流入すると、上流触媒28は、排気ガス中の余剰な酸素を吸蔵することで触媒雰囲気を理論空燃比に保ち、排気ガスを浄化する。このため、上記のガス輸送遅れ期間が経過した後に、つまり、図2に示す時刻t2の後に上流触媒28の下流に流出してくる排気ガスの空燃比は、再び理論空燃比の近傍値となる。
【0037】
アクティブ空燃比制御の実行中は、以後、触媒前空燃比がリーンに維持される。触媒前空燃比がリーンに維持されている期間中、上流触媒28は、酸素吸蔵能力一杯に酸素を吸蔵するまで、酸素を吸蔵し続ける。そして、上流触媒28に酸素吸蔵能力一杯の酸素が吸蔵されると、その後、上流触媒28の下流には、酸素を含むリーンな排気ガスが流出し始める。
【0038】
図2に示す時刻t3は、上流触媒28の下流にリーンな排気ガスが流出し始めた時刻を示し、また、時刻t4は、下流酸素センサ34の出力がリーン判定値VLを下回り、ECU40により、排気ガスがリーンであることが認識された時刻である。尚、触媒後空燃比が理論空燃比近傍に維持される期間は、上流触媒28が適正に浄化能力を発揮する期間であり、その長さは上流触媒28の酸素吸蔵能力に対応している。
【0039】
以後、アクティブ制御の実行が継続される限り、上述した処理、つまり、下流酸素センサ34の出力反転を受けて触媒前空燃比を強制的に反転させる処理が繰り返し実行される。その結果、アクティブ制御の実行中は、図2(C)に示すように、触媒後空燃比が、周期的にリッチ空燃比およびリーン空燃比となる。このような状況下では、下流酸素センサ34が正常であれば、その出力は、図2(B)に示すように、リッチ出力とリーン出力との間で周期的な変化を繰り返す。従って、本実施形態のシステムによれば、アクティブ空燃比制御の実行と合わせて、下流酸素センサ34の出力が正常にリッチ出力とリーン出力を交互に出力しているか否かを見ることにより、下流酸素センサ34の異常を精度良く検出することができる。
【0040】
[下流酸素センサの応答性の影響]
次に、下流酸素センサ34の応答性が、アクティブ空燃比制御の実行中におけるセンサ出力にどのように影響するかについて説明する。
図3は、アクティブ空燃比制御の実行中に、触媒後空燃比の反転に伴って下流酸素センサ34の出力に生ずる変化の様子を説明するための図である。図3において、実線で示す波形は、下流酸素センサ34が正規の応答性を示す場合の波形であり、一方、破線で示す波形は、応答性の劣化した下流酸素センサ34の出力波形である。
【0041】
図3に示すように、アクティブ空燃比制御の実行中における下流酸素センサ34の出力は、その応答性が劣化することにより、反転時の立ち上がり、および立ち下がりが緩やかになる。従って、本実施形態のシステムでは、アクティブ空燃比制御の実行中に生ずる下流酸素センサ34の立ち上がり、或いは立ち下がりの速度を見ることで、そのセンサ34の応答性を判断することができる。
【0042】
図4は、上記図2に示すタイミングチャート(下流酸素センサ34が正常な応答性を示す環境下で実現されるタイミングチャート)に、下流酸素センサ34の応答性が劣化した場合に実現されるタイミングチャートを重ねて表した図である。図4中に実線で示すタイミングチャートが正常時のチャートであり、一方、破線で示すチャートが応答性劣化時におけるチャートである。
【0043】
図4において、時刻T1以前は、触媒前空燃比がリッチに維持されている。そして、時刻T1は、触媒後空燃比が理論空燃比からリッチ空燃比が変化した時刻である。触媒後空燃比がこのように変化する過程において、下流酸素センサ34の出力は、自らの応答性に応じた速度で変化する。このため、図2(B)中に示すように、応答性が正規である場合は時刻T1において下流酸素センサ34の出力がリッチ判定値VRを超えるのに対して、その応答性が劣化している場合は、時刻T1より遅い時刻T2まで、下流酸素センサ34の出力がリッチ判定値VR以下に維持される。
【0044】
ECU40は、既述した通り、下流酸素センサ34の出力に基づいて触媒後空燃比の反転を検知し、触媒前空燃比の反転を図る。従って、下流酸素センサ34の出力がリッチ判定値VRを超える時刻がT1からT2に遅れると、図4(A)に示すように、触媒前空燃比をリッチからリーンに反転させる時期に遅れが生ずる。触媒後空燃比は、触媒前空燃比が反転された後、ガス輸送遅れ期間が経過した後にリッチ空燃比から理論空燃比に向かって変化する。従って、下流酸素センサ34の応答性が劣化している場合、図4(C)に示すように、触媒後空燃比がリッチに維持される期間は、その応答性が正常である場合に比して、センサの応答遅れに起因する時間だけ長くなる。
【0045】
触媒前空燃比がリッチからリーンに反転された後、上流触媒28の下流に空燃比のリーンな排気ガスが流出してくるまでの期間は、既述した通り、上流触媒28の酸素吸蔵容量に応じて決定される。従って、その期間は、下流酸素センサ34の応答性に影響されることなくほぼ一定である。このため、下流酸素センサ34の応答遅れに起因する時間のずれ(T1とT2のずれ)は、上流触媒28の下流に空燃比のリーンな排気ガスが流出し始める時刻のずれ(図4における時刻T3とT4のずれ)としてそのまま維持される。
【0046】
下流酸素センサ34が適正な応答性を示す場合は、時刻T3の後、正規の応答性に起因する時間が経過した時点で下流酸素センサ34の出力はリーン判定値VLを下回る。一方、その応答性が劣化している場合は、時刻T4の後、正規の応答性に起因する時間と、センサ応答遅れに起因する時間との和に等しい時間が経過するまで下流酸素センサ34の出力はリーン判定値VL以上に維持される。このため、下流酸素センサ34が正常な応答性を示す場合とその応答性が劣化している場合とを比較すると、時刻T3またはT4の後、触媒前空燃比がリーンからリッチに切り換えられる時刻については、時刻T1とT2のずれ(最初のセンサ応答遅れに起因する時間)に、更にセンサ応答遅れに起因する時間を加えた時間だけ両者間にずれが生ずる。以後、アクティブ空燃比制御が継続される限り、下流酸素センサ34の応答性が劣化している場合は、そのセンサ出力が反転する毎に、センサ応答遅れに起因する時間のずれが触媒前空燃比の反転周期に重畳される。
【0047】
以上説明した通り、アクティブ空燃比制御の実行中における反転動作は、下流酸素センサ34が正常な応答性を示す場合と、その応答性に劣化が生じている場合とでは、全く同じにはならない。そして、それらは、例えば、下流酸素センサ34の出力が理論空燃比に対応する出力からリッチ出力或いはリーン出力に変化する際の変化速度に基づいて区別することができる。そこで、本実施形態では、アクティブ空燃比制御の実行に伴って下流酸素センサ34の出力が変化する際に、その変化速度が正常であるか否かを見ることで、下流酸素センサ34の応答性が劣化しているか否かを判断することとしている。
【0048】
図5は、上記の機能を実現するために本実施形態においてECU40が実行する制御ルーチンのフローチャートを示す。
図5に示すルーチンでは、先ず、アクティブ空燃比制御の実行条件が成立しているか否かが判別される(ステップ100)。
その結果、上記の実行条件が成立していないと判別された場合は、アクティブ空燃比制御の停止指令が発せられた後(ステップ102)、今回の処理サイクルが終了される。
【0049】
一方、上記の実行条件が成立していると判別された場合は、アクティブ空燃比制御の実行指令が発せられる(ステップ104)。
ECU40は、本ステップ104の処理により、実行指令が発せられると、上述したアクティブ空燃比制御が実現されるべく、燃料噴射量等の制御が開始する。
【0050】
図5に示すルーチンでは、次に、前回の処理サイクルから今回の処理サイクルにかけて、下流酸素センサ34の出力Vsが、リーン判定値VLを下回る値から、その判定値VL以上の値に変化したか否かが判別される(ステップ106)。
【0051】
その結果、センサ出力Vsがリーン判定値VL以上に変化していると判別された場合は、下流酸素センサ34の出力Vsが、リーン出力からリッチ出力に向かって変化し始めたと判断することができる。この場合、センサ出力Vsの変化所要時間を計数するために、カウンタCがインクリメントされる(ステップ108)。
【0052】
次に、下流酸素センサ34の出力Vsが、リッチ判定値VRに達したか否かが判別される(ステップ110)。
本ステップ110において、Vs≧VRが成立すると判別されるまで、上記ステップ108の処理が繰り返し実行される。そして、Vs≧VRが成立すると判別された場合は、以後、後述するステップ118の処理が実行される。上記の処理によれば、下流酸素センサ34の出力Vsがリーン出力からリッチ出力に変化する過程において、その値Vsが、リーン判定値VLからリッチ判定値VRまで変化するのに要する時間をカウンタCに計数することができる。
【0053】
図5に示すルーチン中、上記ステップ106において、前回の処理サイクルから今回の処理サイクルにかけて、下流酸素センサ34の出力Vsが、VLを下回る値から、VL以上の値に変化していないと判別された場合は、次に、前回の処理サイクルから今回の処理サイクルにかけて、そのセンサ出力Vsが、リッチ判定値VRを上回る値から、リッチ判定値VR以下の値に変化しているか否かが判別される(ステップ112)。
【0054】
その結果、センサ出力Vsがリッチ判定値VR以下に変化していると判別された場合は、下流酸素センサ34の出力Vsが、リッチ出力からリーン出力に向かって変化し始めたと判断することができる。この場合、次に、センサ出力Vsの変化所要時間を計数するために、カウンタCがインクリメントされる(ステップ114)。
【0055】
次に、下流酸素センサ34の出力Vsが、リーン判定値VLに達したか否かが判別される(ステップ116)。
本ステップ116において、Vs≦VLが成立すると判別されるまで、上記ステップ114の処理が繰り返し実行される。そして、Vs≦VLが成立すると判別された場合は、以後、後述するステップ118の処理が実行される。上記の処理によれば、下流酸素センサ34の出力Vsがリッチ出力からリーン出力に変化する過程において、その値Vsが、リッチ判定値VRからリーン判定値VLまで変化するのに要する時間をカウンタCに計数することができる。
【0056】
上記ステップ110の処理、或いは上記ステップ116の処理が終了すると、次に、カウンタCの計数値が判定値C0以上であるか否かが判別される(ステップ118)。
判定値C0は、下流酸素センサ34が正規の応答性を示す場合に、センサ出力Vsがリーン判定値VLからリッチ判定値VRに変化する際に、或いはリッチ判定値VRからリーン判定値VLに変化する際に要する時間にマージンを加えた時間に相当している。従って、本ステップ118において、C≧C0が成立すると判別された場合は、下流酸素センサ34が、正規の応答性を示していないと判断することができる。一方、その計数値Cが判定値C0以上でないと判別された場合は、下流酸素センサ34が正規の応答性を示していると判断できる。
【0057】
図5に示すルーチンでは、上記ステップ118においてC≧C0が成立すると判別されると、以後、下流酸素センサ34の応答性劣化が判断される(ステップ120)。
一方、上記ステップ118においてC≧C0が成立しないと判別された場合は、下流酸素センサ34が正常であると判断される(ステップ122)。
【0058】
以上説明した通り、本実施形態のシステムによれば、アクティブ空燃比制御を実行することで、触媒後空燃比をリッチとリーンの間で周期的に変動させることができる。そして、その空燃比の変動に起因してセンサ出力Vsに生ずる変化が、正規の変化速度を有するか否かに基づき、下流酸素センサ34が正常な応答性を示しているか否かを正確に判断することができる。
【0059】
尚、上述した実施の形態1においては、ECU40が、触媒前空燃比を所望空燃比とするべく燃料噴射量を制御することにより前記第1の発明における「排気空燃比制御手段」が、上述したアクティブ空燃比制御を実行すべく燃料噴射量を制御することにより前記第1の発明における「アクティブ空燃比制御手段」が、上記ステップ106〜122の処理を実行することにより前記第1の発明における「異常判定手段」が、それぞれ実現されている。
【0060】
実施の形態2.
次に、図6乃至図8を参照して、本発明の実施の形態2について説明する。
本実施形態の装置は、図1に示すシステムにおいて、ECU40に後述する図8に示すルーチンを実行させることにより実現することができる。
【0061】
上述した実施の形態1の装置は、アクティブ空燃比制御の実行中における下流酸素センサ34のセンサ出力Vsに基づいて、下流酸素センサ34の応答性劣化を検出することとしている。ところで、下流酸素センサ34には、応答性の他、その出力値に関する劣化が生ずることがある。
【0062】
図6は、下流酸素センサ34に生ずる劣化のモードを説明するための図である。図6中に実線および破線で示す波形は、それぞれ図3に示すものと同様に、アクティブ空燃比制御の実行中に、正常な下流酸素センサ34または応答性の劣化した下流酸素センサ34が発するセンサ出力Vsの波形である。また、図6中に一点鎖線で示す波形は、リッチ側の出力値を縮小させるような劣化が生じた下流酸素センサ34(以下、「出力縮小センサ」と称す)の出力波形である。
【0063】
下流酸素センサ34から発せられる出力Vsが、リッチ判定値VRを超えない程度にまで出力特性が劣化すると、本実施形態のシステムにおいて、正常な空燃比制御を維持することができなくなる。従って、下流酸素センサ34の出力を縮小させる劣化についても、その応答性を低下させる劣化と同様に、精度良く検出できることが望ましい。一方、出力縮小センサは、応答性に関しては正常なセンサと同様の特性を示すことがある。従って、実施の形態1において用いた手法、つまり、センサ出力Vsの変化速度に着目して劣化を検出する手法によっては、出力縮小センサの劣化を検出することはできない。
【0064】
ところで、アクティブ空燃比制御の実行中における下流酸素センサ34の出力Vsは、厳密には、図7に示すような変化を示す(但し、応答性は良好であるものとする)。すなわち、下流酸素センサ34の出力Vsは、上流触媒28の下流にリッチな排気ガスが流出し始めた後、現実の触媒後空燃比がリッチである期間中に最も高い値を示す。そして、上流触媒28の浄化作用により触媒後空燃比が理論空燃比になると、センサ出力Vsはリッチ時の出力Vsより僅かに低い値となる。更に、下流酸素センサ34の出力Vsは、上流触媒28の下流にリーンな排気ガスが流出し始めた後、現実の触媒後空燃比がリーンである期間中に最も小さな値を示す。その後、上流触媒28の浄化作用により触媒後空燃比が理論空燃比になると、センサ出力Vsはリーン時の出力Vsより僅かに高い値となる。
【0065】
図7に示す出力変化は、触媒後空燃比の値が、速やかにセンサ出力Vsに反映されることを前提としている。これに対して、下流酸素センサ34の応答性が悪く、触媒後空燃比の値が速やかにセンサ出力Vsに反映されないような場合は、センサ出力Vsの波形が図7に示す波形とは異なったものとなる。
【0066】
つまり、下流酸素センサ34の応答性が劣化している場合は、上流触媒28の下流にリッチな排気ガスが流出し始めた後、触媒後空燃比が現実にリッチである期間中に、センサ出力Vsが最大値に到達し得ない事態が生ずる。同様に、このような場合には、上流触媒28の下流にリーンな排気ガスが流出し始めた後、触媒後空燃比が現実にリーンである期間中に、センサ出力Vsが最小値まで低下し得ない事態が生ずる。センサ出力Vsが最大値に到達する以前に触媒後空燃比が理論空燃比に変化すれば、センサ出力Vsは、最大値に到達することなく理論空燃比に対応する値に収束する。また、センサ出力Vsが最小値に到達する以前に触媒後空燃比が理論空燃比に変化すれば、センサ出力Vsは、最小値に到達することなく理論空燃比に対応する値に収束する。
【0067】
上述した理由により、下流酸素センサ34の出力Vsの最大値は、センサの応答性が劣化するに連れて小さな値となる。また、下流酸素センサ34の出力Vsの最小値は、センサの応答性が劣化するに連れて大きな値となる。従って、本実施形態のシステムでは、下流酸素センサ34の応答性劣化の有無を、センサ出力Vsの最大値が正常値であるか、或いはセンサ出力Vsの最小値が正常値であるかを見ることによっても判断することができる。
【0068】
センサ出力Vsを縮小させる上記の劣化についても、下流酸素センサ34の出力Vsの最大値が正常値であるか否かを見ることで判断が可能である。そこで、本実施形態のシステムでは、アクティブ空燃比制御の実行に伴って、センサ出力Vsの最大値、或いは最小値が、それぞれ正常値にまで到達するか否かに基づいて、下流酸素センサ34の応答性劣化と、出力縮小劣化の双方を同時に診断することとしている。
【0069】
図8は、上記の機能を実現するために本実施形態においてECU40が実行する制御ルーチンのフローチャートを示す。尚、図8において、上記図5に示すステップと同一のステップについては、同一の符号を付してその説明を省略または簡略する。
【0070】
図8に示すルーチンでは、ステップ104の処理によりアクティブ空燃比制御の実行が指令されると、その後、下流酸素センサ34の出力Vsが、リッチ判定値VR以上であるか否かが判別される(ステップ130)。
【0071】
その結果、センサ出力Vsがリッチ判定値VR以上であると判別された場合は、下流酸素センサ34が、リッチ出力を発していると判断することができる。この場合、先ず、出力最大値Vmaxがクリアされる(ステップ131)。
次いで、現在のセンサ出力Vsが、出力最大値Vmaxより大きいか否かが判別される(ステップ132)。
その結果、Vs>Vmaxが成立すると判別された場合は、そのセンサ出力Vsが、出力最大値Vmaxとして記憶される(ステップ134)。
一方、Vs>Vmaxが成立しないと判別された場合は、上記ステップ134の処理がジャンプされる。
【0072】
図8に示すルーチンでは、次に、センサ出力Vsが、リーン判定値VL以下に低下したか否かが判別される(ステップ136)。
本ステップ136において、Vs≦VLが成立しないと判別された場合は、再び上記ステップ132以降の処理が実行される。そして、ステップ132および134の処理は、本ステップ136において、Vs≦VLが成立すると判別されるまで繰り返される。
【0073】
上記ステップ136においてVs≦VLが成立すると判別された場合は、センサ出力Vsが、リッチ出力からリーン出力に変化したと判断することができる。つまり、この場合は、センサ出力Vsの最大値Vmaxが現時点で確定されたと判断することができる。図8に示すルーチンでは、この場合、以後、後述するステップ144の処理が実行される。
【0074】
図8に示すルーチン中、上記ステップ130において、下流酸素センサ34の出力Vsがリッチ判定値VR以上でないと判別された場合は、そのセンサ出力Vsがリーン判定値VL以下であるかが判別される(ステップ138)。
【0075】
その結果、センサ出力Vsがリーン判定値VL以下であると判別された場合は、下流酸素センサ34がリーン出力を発していると判断できる。この場合、先ず、出力最小値Vminがクリアされる(ステップ139)。
次いで、現在のセンサ出力Vsが、出力最小値Vminより小さいか否かが判別される(ステップ140)。
その結果、Vs<Vminが成立すると判別された場合は、そのセンサ出力Vsが、出力最小値Vminとして記憶される(ステップ142)。
一方、Vs<Vminが成立しないと判別された場合は、上記ステップ142の処理がジャンプされる。
【0076】
図8に示すルーチンでは、次に、センサ出力Vsが、リッチ判定値VR以上に上昇したか否かが判別される(ステップ143)。
本ステップ143において、Vs≧VRが成立しないと判別された場合は、再び上記ステップ140以降の処理が実行される。そして、ステップ140および142の処理は、本ステップ143において、Vs≧VRが成立すると判別されるまで繰り返される。
【0077】
上記ステップ143においてVs≧VRが成立すると判別された場合は、センサ出力Vsが、リーン出力からリッチ出力に変化したと判断することができる。つまり、この場合は、センサ出力Vsの最小値Vminが現時点で確定されたと判断することができる。図8に示すルーチンでは、この場合、以後、後述するステップ144の処理が実行される。
【0078】
上記ステップ136の条件、或いは上記ステップ143の条件が成立すると、次に、出力最大値Vmaxが判定値αより小さいか否か、および出力最小値Vminが判定値βより大きいか否かが判別される(ステップ144)。
判定値αは、下流酸素センサ34が正規の出力特性(応答性および出力値)を示す場合にセンサ出力Vsが到達する最大値から、マージンを減じた値である。従って、本ステップ144において、Vmax<αが成立すると判別された場合は、下流酸素センサ34が、正規の出力特性を示していないと判断することができる。また、上記の判定値βは、下流酸素センサ34が正規の出力特性(応答性および出力値)を示す場合にセンサ出力Vsが到達する最大値に、マージンを加えた値である。従って、本ステップ144において、Vmax>βが成立すると判別された場合は、下流酸素センサ34が、正規の出力特性を示していないと判断することができる。一方、本ステップ144において、それら2つの条件が何れも成立しないと判別された場合は、下流酸素センサ34が正規の出力特性を示していると判断できる。
【0079】
図8に示すルーチンでは、上記ステップ144において、Vmax<αおよびVmax>βの何れかが成立すると判別された場合は、下流酸素センサ34の劣化(応答性劣化または出力縮小劣化)が判断される(ステップ146)。
一方、上記ステップ144において、Vmax<αおよびVmax>βの何れもが成立しないと判別された場合は、下流酸素センサ34が正常であると判断される(ステップ148)。
【0080】
以上説明した通り、本実施形態のシステムによれば、アクティブ空燃比制御を実行しつつ、センサ出力Vsの最大値Vmaxおよび最小値Vminを検出し、それらの値Vmax、Vminが正常値であるか否かを判断することにより、下流酸素センサ34に、応答性劣化、或いは出力縮小劣化が生じているか否かを、正確に判断することができる。
【0081】
尚、上述した実施の形態1においては、ECU40が、触媒前空燃比を所望空燃比とするべく燃料噴射量を制御することにより前記第1の発明における「排気空燃比制御手段」が、上述したアクティブ空燃比制御を実行すべく燃料噴射量を制御することにより前記第1の発明における「アクティブ空燃比制御手段」が、上記ステップ130〜148の処理を実行することにより前記第1の発明における「異常判定手段」が、それぞれ実現されている。
【0082】
実施の形態3.
次に、図9および図10を参照して、本発明の実施の形態3について説明する。
本実施形態の装置は、図1に示すシステムにおいて、ECU40に後述する図10に示すルーチンを実行させることにより実現することができる。
【0083】
上述した実施の形態1および2は、アクティブ空燃比制御の際に、触媒前空燃比を一定の振幅巾で変動させることとしている。これに対して、本実施形態の装置は、必要に応じて、触媒前空燃比の振幅巾を変えてアクティブ空燃比制御を実行する点に特徴を有している。
【0084】
図9は、アクティブ空燃比制御の実行中に、大きな振幅巾で触媒前空燃比を変動させた場合の動作と、小さな振幅巾で触媒前空燃比を変動させた場合の動作とを対比して表したタイミングチャートである。尚、図9(A)乃至図9(C)に示す波形は、具体的には、触媒前空燃比の波形、下流酸素センサ34の出力波形、および触媒後空燃比の波形である。
【0085】
図9(A)において、実線で示す波形は、アクティブ空燃比制御の実行中に大きな振幅巾で触媒前空燃比が変更されていることを示す。図9(B)および図9(C)中にそれぞれ実線で示す波形は、その大きな振幅巾に対応して下流酸素センサ34の出力Vsに表れる変化、および触媒後空燃比に生ずる変化を示している。
また、図9(A)において、破線で示す波形は、アクティブ空燃比制御の実行中に小さな振幅巾で触媒前空燃比が変更されていることを示す。図9(B)および図9(C)中にそれぞれ破線で示す波形は、その小さな振幅巾に対応して下流酸素センサ34の出力Vsに表れる変化、および触媒後空燃比に生ずる変化を示している。
【0086】
図9(C)に示すように、触媒後空燃比の振幅巾は、触媒前空燃比の振幅巾が大きいほど大きなものとなる。下流酸素センサ34の出力Vsは、触媒後空燃比が大きく振幅するほど急激かつ大きな変化を示す。このため、図9(B)に示すように、下流酸素センサ34の出力Vsは、触媒前空燃比の振幅巾が大きいほど、大きく急激な変化を示す。
【0087】
下流酸素センサ34の応答性が劣化していても、触媒後空燃比が大きく急激な変化を示す場合には、そのセンサ出力Vsも急激な変化を示し易い。また、下流酸素センサ34に出力縮小劣化が生じていても、触媒後空燃比が大きな変化を示せば、センサ出力Vsには大きな変化が生じ易い。このため、正常な下流酸素センサ34の出力挙動と、劣化した下流酸素センサ34の出力挙動とは、触媒後空燃比が大きな巾で変化するほど、また、その変化が急激であるほど区別が困難となる。このため、下流酸素センサ34の劣化を感度良く検知するうえでは、触媒後空燃比(図9(C))は、大きく急激な変化(実線)を示すより、小さく緩やかな変化(破線)を示すことが望ましい。この点に着目すると、アクティブ空燃比制御に伴う触媒前空燃比の振幅巾は、大きい(実線)より小さい(破線)方が望ましいことになる。
【0088】
また、アクティブ空燃比制御に伴って触媒前空燃比を変動させる際には、その空燃比の変動に伴うトルク変動が生ずる。車両のドライバビリティを良好に維持するうえでは、そのようなトルク変動は可能な限り小さいことが望ましい。アクティブ空燃比制御に伴う触媒前空燃比の振幅巾は、この点においても、大きい(実線)より小さい(破線)方が望ましい。
【0089】
更に、車両の排気エミッションを良好に維持するうえでは、アクティブ空燃比制御の実行中における触媒後空燃比は、可能な限り理論空燃比の近傍に制御されることが望ましい。図9(C)を参照して既述した通り、触媒後空燃比は、触媒前空燃比の振幅巾が大きいほど大きなものとなる。従って、エミッションの観点からしても、アクティブ空燃比制御に伴う触媒前空燃比の振幅巾は、大きい(実線)より小さい(破線)方が望ましいことになる。
【0090】
以上説明した通り、アクティブ空燃比制御に伴う触媒前空燃比の振幅巾は、下流酸素センサ34の劣化を感度良く検出する点、良好なドライバビリティを確保する点、および良好なエミッション特性を維持する点に鑑みると、可能な限り小さいことが望ましい。しかしながら、アクティブ空燃比制御に伴う触媒前空燃比の振幅巾を小さくすることには、以下のようなデメリットも伴う。
【0091】
第1に、本実施形態の装置では、下流酸素センサ34の劣化状態を判断するために、アクティブ空燃比制御の実行に伴い、下流酸素センサ34の周囲に強制的に既知の空燃比を導くことが必要である。そして、本実施形態の手法によれば、その空燃比に重畳する誤差が大きくなるほど、下流酸素センサ34の劣化検出精度が悪化する。空燃比の制御精度は、その振幅巾が小さくなるほど、確保することが困難となる。従って、本実施形態において、アクティブ空燃比制御に伴う触媒前空燃比の振幅巾を小さくした場合、劣化判定にバラツキが生じ易くなるというデメリットが生ずる。
【0092】
第2には、本実施形態の装置では、アクティブ空燃比制御に伴う触媒前空燃比の振幅巾が小さいほど、触媒後空燃比の反転期間が長期化する(図9参照)。つまり、本実施形態の装置において、アクティブ空燃比制御の実行中は、空燃比がリッチ或いはリーンな排気ガスが継続的に上流触媒28に流入し、酸素吸蔵容量に相当する酸素の授受が行われた時点で触媒後空燃比の反転が起きる。このため、その反転期間は、触媒前空燃比の振幅巾が小さく、単位時間当たり酸素授受量が少ないほど長期化する。触媒後空燃比の反転期間中に内燃機関の運転状態が大きく変化するような状況下では、下流酸素センサ34の劣化状態を精度良く判定することはできない。そして、内燃機関の運転状態は、上記の反転期間が長期化するほど、その期間中に大きく変化し易い。このため、本実施形態の装置では、アクティブ空燃比制御に伴う触媒前空燃比の振幅巾が小さいほど、下流酸素センサ34の劣化状態を正確に判断することのできる頻度が低下するというデメリットが生じ易い。
【0093】
以上説明した通り、本実施形態の装置において、アクティブ空燃比制御の実行に伴う触媒前空燃比の振幅巾を小さくする設定と、大きくする設定とは、それぞれ一長一短を有している。そこで、本実施形態では、それぞれの長所が最大限に利用でき、それぞれの短所が最小限に抑制できるように、必要に応じて、アクティブ空燃比制御の実行中における触媒前空燃比の振幅巾を大小2段階に切り換えることとしている。
【0094】
図10は、本実施形態においてECU40が実行する劣化検出ルーチンの具体的内容を説明するためのフローチャートである。尚、図10において、上記図5または図8に示すステップと同一のステップについては、同一の符号を付してその説明を省略または簡略する。
【0095】
図10に示すルーチンでは、ステップ100においてアクティブ制御の実行条件が成立すると判別された場合、次に、触媒前空燃比の振幅巾として所定の小振幅が設定される(ステップ150)。
本ステップ150の処理が実行されると、以後、ECU40は、触媒前空燃比が上記の小振幅で変動するように、アクティブ空燃比制御を実行する。
【0096】
図10に示すルーチンでは、次に、下流酸素センサ34の劣化を検出するための処理、具体的には、図5に示すステップ106〜122の処理、或いは、図8に示すステップ130〜148の処理が実行される。これらの処理が実行されることにより、上記の小振幅を用いたアクティブ空燃比制御が実行されている環境下で、下流酸素センサ34の劣化状態が判断される。
【0097】
次に、小振幅を用いた上記の劣化検出処理により、下流酸素センサ34の異常(劣化)が判定されたか否かが判別される(ステップ152)。
その結果、異常判定がされていないと判別された場合は、下流酸素センサ34に劣化が生じていないと判断され、下流酸素センサ34の正常判定が確定される(ステップ160)。
【0098】
一方、上記ステップ152において、下流酸素センサ34の異常判定がされていると判別された場合は、次に、触媒前空燃比の振幅巾として所定の大振幅が設定される(ステップ154)。
本ステップ154の処理が実行されると、以後、ECU40は、触媒前空燃比が上記の大振幅で変動するように、アクティブ空燃比制御を実行する。
【0099】
図10に示すルーチンでは、次に、下流酸素センサ34の劣化検出処理が再び実行される。より具体的には、図5に示すステップ106〜122の処理、或いは、図8に示すステップ130〜148の処理が再び実行される。これらの処理が実行されることにより、上記の大振幅を用いたアクティブ空燃比制御が実行されている環境下で、下流酸素センサ34に劣化が生じているか否かが判断される。
【0100】
次に、大振幅を用いた上記の劣化検出処理により、下流酸素センサ34の異常(劣化)が判定されたか否かが判別される(ステップ156)。
その結果、異常判定がされていると判別された場合は、下流酸素センサ34の劣化が確定的に判定される(ステップ158)。
一方、異常判定がされていないと判別された場合は、下流酸素センサ34に劣化が生じていないと判断され、下流酸素センサ34の正常判定を確定すべく、上記ステップ160の処理が実行される。
【0101】
以上説明した通り、図10に示すルーチンによれば、下流酸素センサ34の劣化を検出するにあたって、先ず、小さな振幅を伴うアクティブ空燃比制御を実行して劣化状態を判定することができる。そして、その判定により正常判断が得られた場合は、以後、大振幅のアクティブ空燃比制御を実行することなく、下流酸素センサ34の正常判定を確定させることができる。既述した通り、小振幅を伴うアクティブ空燃比制御は、車両のドライバビリティやエミッション特性を良好に維持するうえで、大振幅を伴うアクティブ空燃比制御に比して優れている。上記図10に示すルーチンによれば、下流酸素センサ34が正常である場合に、大振幅のアクティブ空燃比制御が実行されるのを回避して、ドライバビリティの悪化やエミッション特性の劣化が生ずる頻度を有効に下げることができる。
【0102】
また、上述した図10に示すルーチンによれば、小振幅のアクティブ空燃比制御を伴う劣化検出処理により、下流酸素センサ34の異常が仮判定された場合に、下流酸素センサ34に真に劣化が生じているか否かを確定すべく、大振幅のアクティブ空燃比制御を伴う劣化検出処理を実行することができる。既述した通り、大振幅のアクティブ空燃比制御は、下流酸素センサ34に劣化が生じているか否かを、バラツキなく、正確に判断するうえで小振幅のアクティブ空燃比制御に比して優れている。このため、上記図10に示すルーチンによれば、ドライバビリティやエミッションの悪化頻度を最小限に抑えつつ、下流酸素センサ34の劣化を正確に検出することができる。
【0103】
尚、上述した実施の形態3においては、ECU40が、上記ステップ150および154の処理を実行することにより前記第1の発明における「空燃比振幅巾変更手段」が、上記ステップ150で設定された小振幅でのアクティブ空燃比制御を実行させることにより前記第1の発明における「小振幅アクティブ制御指令手段」が、上記小振幅でのアクティブ空燃比制御が実行されている環境下で上記ステップ106〜122または130〜148の処理を実行することにより前記第1の発明における「第1異常判定指令手段」が、上記ステップ154で設定された大振幅でのアクティブ空燃比制御を実行させることにより前記第1の発明における「大振幅アクティブ制御指令手段」が、上記大振幅でのアクティブ空燃比制御が実行されている環境下で上記ステップ106〜122または130〜148の処理を実行することにより前記第1の発明における「第2異常判定指令手段」が、上記ステップ158の処理を実行することにより前記第1の発明における「異常発生確定手段」が、それぞれ実現されている。
【0104】
実施の形態4.
次に、図11を参照して、本発明の実施の形態4について説明する。
本実施形態の装置は、図1に示すシステム構成において、ECU40に、後述する図11に示すルーチンを実行させることにより実現することができる。
【0105】
本実施形態の装置が正常に機能するためには、上流触媒28および下流触媒30が、それぞれ適正な酸素吸蔵容量を有していることが必要である。このため、この装置においては、それぞれの触媒28,30の酸素吸蔵容量を検出し、その容量が過小である場合には触媒の劣化が判定できることが望ましい。
【0106】
本実施形態の装置は、上述した他の実施形態の装置と同様に、アクティブ空燃比制御を実行する。ここで、アクティブ空燃比制御とは、既述した通り、下流酸素センサ34の出力Vsがリーン出力からリッチ出力に、或いはリッチ出力からリーン出力に反転する毎に、上流触媒28に流入する排気ガスの空燃比、つまり、触媒前空燃比をリッチからリーンに、或いは、リーンからリッチに反転させる制御である(図2参照)。
【0107】
下流酸素センサ34の出力Vsは、上流触媒28に吸蔵されている全ての酸素が消費された時点でリーン出力からリッチ出力に反転し(図2における時刻t1)、上流触媒28に酸素吸蔵容量一杯に酸素が吸蔵された時点でリッチ出力からリーンに反転する(図2における時刻t4)。従って、上流触媒28の酸素吸蔵容量は、下流酸素センサ34の出力Vsがリッチ出力に反転した時刻から、その出力がリーン出力に反転するまでの間に、上流触媒28に吸蔵された酸素量の積分値として、或いは、下流酸素センサ34の出力Vsがリーン出力に反転した時刻から、その出力がリッチ出力に反転するまでの間に、上流触媒28から放出された酸素量の積分値として検出することが可能である。
【0108】
上流触媒28は、触媒前空燃比A/Fが理論空燃比A/Fstoichiよりリッチである場合、つまり、A/F<A/Fstoichiである場合に、酸素の不足分を補うように酸素を放出する。この場合、内燃機関10に対する燃料供給量をFとすると、不足する酸素量QO2は、上記のA/FおよびA/Fstoichiを用いて次式のように表すことができる。但し、次式中、計数kは、空気に含まれる酸素割合(0.23)である。
【0109】
また、上流触媒28は、触媒前空燃比A/Fが理論空燃比A/Fstoichiよりリーンである場合、つまり、A/F>A/Fstoichiである場合に、酸素の過剰分を吸蔵する。この場合、内燃機関10に対する燃料供給量をFとすると、過剰な酸素量QO2は、やはり上記(1)式により表すことができる。
【0110】
本実施形態において、ECU40は、空燃比センサ32により触媒前空燃比A/Fを検出することができる。また、ECU40は、燃料噴射量自体を制御しているため、単位時間当たりの燃料供給量Fを検知することができる。このため、ECU40は、それらのA/FおよびFを上記(1)式に代入することにより、単位時間当たりの不足或いは過剰酸素量QO2を算出することができる。そして、ECU40は、アクティブ空燃比制御の実行に伴って下流酸素センサ34の出力Vsが反転する環境下で、その反転を起点および終点として酸素量QO2を積分することにより、上流触媒28の酸素吸蔵容量を算出することができる。
【0111】
ところで、本実施形態の装置は、上述した他の実施形態の装置と同様に、下流酸素センサ34の異常検出の際にもアクティブ空燃比制御を実行する。アクティブ空燃比制御は、強制的に触媒前空燃比を変動させて、上流触媒28の下流にリッチまたはリーンな排気ガスを吹き抜けさせる制御であるから、ドライバビリティやエミッション特性の悪化を避ける意味で、その実行頻度は低いことが望ましい。そこで、本実施形態の装置は、上流触媒28の酸素吸蔵容量を検知するためのアクティブ空燃比制御と、下流酸素センサ34の異常検出のためのアクティブ空燃比制御とを兼用するため、それら両者の制御を同時に進行させることとした。
【0112】
また、上述した酸素吸蔵容量の算出手法は、下流酸素センサ34が正常であることを前提としている。このため、下流酸素センサ34に異常が生じている場合、上記の算出手法では、酸素吸蔵容量が正確に算出できない事態が生じ得る。そして、不正確な酸素吸蔵容量に基づいて上流触媒28の状態が判断されると、誤った異常或いは正常判定がなされ得る。そこで、本実施形態の装置は、下流酸素センサ34の異常検出処理と、上流触媒28の酸素吸蔵容量の算出処理とを同時に進行させながら、上流触媒28の異常判定は、下流酸素センサ34の異常検出処理の終了後に実行することとした。
【0113】
図11は、上記の機能を実現すべく、本実施形態においてECU40が実行する制御ルーチンのフローチャートである。尚、図11において、上記図5または図8に示すステップと同一のステップについては、同一の符号を付してその説明を省略または簡略する。
【0114】
図11に示すルーチンは、ステップ134と136の間にステップ170〜174が挿入されている点、ステップ142と143の間にステップ176〜180が挿入されている点、ステップ146の後にステップ182が挿入されている点、およびステップ148の後にステップ184〜188が挿入されている点を除き、図8に示すルーチンと同一である。
【0115】
すなわち、図11に示すルーチンでは、ステップ130の条件が成立する場合に、つまり、下流酸素センサ34がリッチ出力を発している場合に、出力最大値Vmaxを更新する処理(ステップ132および134)に次いで、上流触媒28の酸素吸蔵容量を算出する処理が実行される。ここでは、先ず、空燃比差ΔA/Fが検出される(ステップ170)。
空燃比差ΔA/Fは、上記(1)式に含まれる値、すなわち、空燃比センサ32により検出される触媒前空燃比A/Fと理論空燃比A/Fstoichiとの差(│A/Fstoichi−A/F│)である。
【0116】
ECU40は、次に、単位時間当たり(本ステップの実行周期当たり)の燃料噴射量Fを算出する(ステップ172)。
そして、算出された燃料噴射量Fと上記の空燃比差ΔA/Fとを上記(1)式に代入して単位時間当たりの過剰酸素量QO2=k・ΔA/F・Fを算出し、更に、その酸素量QO2の積分値(上記ステップ130の条件が成立した後の積分値)を、上流触媒28の酸素吸蔵容量(OSC)の最新値として算出する(ステップ174)。
【0117】
酸素吸蔵量の算出処理(上記ステップ170〜174の処理)は、出力最大値Vmaxの更新処理(上記ステップ132,134の処理)と同様に、ステップ136において、Vs≦VLが成立すると判別されるまで繰り返し実行される。このため、上述した一連の処理によれば、センサ出力Vsがリッチ出力に反転した後、その出力Vsが再びリーン出力に反転するまでの期間中に生じた過剰な酸素量QO2の積算値を、上流触媒28の酸素吸蔵容量として算出することができる。
【0118】
図11に示すルーチンでは、ステップ138の条件が成立する場合に、つまり、下流酸素センサ34がリーン出力を発している場合に、出力最小値Vminを更新する処理(ステップ140および142)に次いで、上流触媒28の酸素吸蔵容量を算出する処理が実行される。ここでは、実質的に、上記ステップ170〜174の場合と同様の手順で酸素吸蔵容量が算出される(ステップ176〜180)。これらの処理によれば、センサ出力Vsがリーン出力に反転した後、その出力Vsが再びリッチ出力に反転するまでの期間中に生じた過小な酸素量QO2の積算値を、上流触媒28の酸素吸蔵容量として算出することができる。
【0119】
上記ステップ132〜136の処理が繰り返されることにより算出される過剰な酸素量QO2の積算値、および、上記ステップ140〜143の処理が繰り返されることにより算出される過小な酸素量QO2の積算値は、下流酸素センサ34が正常である場合は、上流触媒28の酸素吸蔵容量と精度良く一致する。従って、下流酸素センサ34が正常である場合は、それらの一連の処理により、上流触媒28の酸素吸蔵容量を精度良く算出することができる。
【0120】
図11に示すルーチンでは、ステップ146において下流酸素センサ34の劣化が判定された場合、上記の如く算出された酸素吸蔵容量のデータが破棄される(ステップ182)。
そして、この場合は、酸素吸蔵容量に基づく上流触媒28の異常判定が行われることなく、今回の処理サイクルが終了される。このため、図11に示すルーチンによれば、下流酸素センサ34に異常が生じている場合に、異常なセンサ出力Vsを基礎として算出された不正確な酸素吸蔵容量に基づいて、上流触媒28の状態が誤って判断されるのを確実に防止することができる。
【0121】
また、図11に示すルーチンでは、ステップ148において下流酸素センサ34が正常であると判別された場合、上述した手順で算出された酸素吸蔵容量(OSC)が、正常値であるか否かが判別される(ステップ184)。
その結果、酸素吸蔵容量が正常値であると判別された場合は、上流触媒28が正常であるとの判定がなされる(ステップ186)。
一方、酸素吸蔵容量が正常値でないと判別された場合は、上流触媒28が劣化しているとの判定がなされる(ステップ188)。
【0122】
上記の処理によれば、下流酸素センサ34が正常である場合に限り、酸素吸蔵容量に基づく上流触媒28の劣化判定を実行することができる。このため、図11に示すルーチンによれば、上流触媒28の劣化判定を、常に正常な酸素吸蔵容量に基づいて精度良く実行することができる。
【0123】
以上説明した通り、図11に示すルーチンによれば、アクティブ空燃比制御の実行中に、上流触媒28の酸素吸蔵容量の算出と、出力最大値Vmaxまたは出力最小値Vminの算出とを同時に実行することができる。更に、このルーチンによれば、上流触媒28の異常判定を、下流酸素センサ34の異常検出処理の終了後に限り、より具体的には、下流酸素センサ34の正常判定がなされた場合にのみ実行することができる。このため、本実施形態の装置によれば、ドライバビリティやエミッションの悪化を最小限に抑えつつ、下流酸素センサ34の異常、および上流触媒28の異常を、常に正確に判定することができる。
【0124】
ところで、上述した実施の形態4においては、下流酸素センサ34の異常を判定する手法として実施の形態2の手法を用いているが、本発明はこれに限定されるものではなく、その判定手法は、実施の形態1の手法であってもよい。また、上述した実施の形態4においては、アクティブ空燃比制御の振幅を変動させないこととしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、実施の形態3の場合と同様に、アクティブ空燃比制御の振幅を変動させることとしてもよい。
【0125】
尚、上述した実施の形態4においては、ECU40が、上記ステップ174または180の処理を実行することにより前記第4の発明における「酸素吸蔵容量算出手段」が、上記ステップ184並188の処理を実行することにより前記第4の発明における「劣化状態判断手段」が、それぞれ実現されている。更に、上述した実施の形態4においては、ECU40が、上記ステップ146に次いで、触媒の劣化判定を実行することなく処理サイクルを終了させることにより前記第5の発明における「劣化判定禁止手段」が実現されている。
【0126】
実施の形態5.
次に、図12および図13を参照して、本発明の実施の形態5について説明する。本実施形態の装置は、実施の形態1の場合と同様に、図1に示すシステム構成を用いて実現することができる。
【0127】
既述した通り、実施の形態1の装置は、アクティブ空燃比制御、つまり、下流酸素センサ34の出力がリッチからリーンに反転した際に、触媒前空燃比をリーンからリッチに反転させ、また、下流酸素センサ34の出力がリーンからリッチに反転した際に、触媒前空燃比をリッチからリーンに反転させる制御を実行する。この制御の実行中、触媒前空燃比がリッチに維持されている間は、上流触媒28の内部において、上流側の領域から下流側の領域に向かって順次酸素が吸蔵されていくのが通常である。この場合、上流触媒28の下流には、上流触媒28の内部全域に酸素が一杯に吸蔵された後に空燃比のリーンな排気ガスが流出する。そして、このような通常の流れに従う場合、触媒後空燃比は、上流触媒28に酸素が一杯に吸蔵された後、理論空燃比近傍値から大きくリーンに偏った値に変化する。
【0128】
実施の形態1の装置は、アクティブ空燃比制御の実行中に、上流触媒28に酸素が一杯に吸蔵されるまではその下流にリーンな排気ガスが流出してこないことを前提として下流酸素センサ34の異常判定を行っている。つまり、実施の形態1では、触媒後空燃比が理論空燃比近傍値からリーンに偏った値に変化する際には、常に大きな変化が生ずることが前提とされている。
【0129】
しかしながら、上流触媒28の下流には、上流触媒28の全域に酸素が一杯に吸蔵されていない状況下でも、空燃比のリーンな排気ガスが流出することがある。このような現象は、例えば、吸入空気量Gaが少なく、上流触媒28の状態が不安定である場合、吸入空気量Gaが多量であり上流触媒28下流に未処理ガスが吹き抜けるような場合、或いは、上流触媒28の温度が低く上流触媒28が正規の酸素吸蔵能力を発揮しない場合などにおいて生じ得る。
【0130】
上流触媒28に酸素が一杯に吸蔵されていない状況下で上流触媒28の下流にリーンな排気ガスが流出する場合は、上流触媒28に酸素が一杯に吸蔵された後にその下流にリーンな排気ガスが流出する場合に比して、触媒後空燃比はより理論空燃比に近い値となる。つまり、上流触媒28に酸素が一杯に吸蔵されていない状況下でその下流にリーンな排気ガスが流出する場合は、触媒後空燃比が、通常時のリーン空燃比にまで至らず、中途半端にリーンな値となる。
【0131】
図12は、アクティブ空燃比制御の実行に伴って上流触媒28の下流に中途半端にリーンな排気ガスが流出する状況と、その実行に伴って上流触媒28の下流に十分にリーンな排気ガスが流出する状況とを対比して説明するためのタイミングチャートである。より具体的には、図12(A)は、アクティブ空燃比制御の実行中における触媒前空燃比の目標値および実測値の波形を示す。図12(B)は、アクティブ空燃比制御の実行中における触媒後空燃比の実測値、つまり、下流酸素センサ34の出力の波形を示す。また、図12(C)は、アクティブ空燃比制御の実行中に算出された酸素吸蔵容量OSCの値を示す。
【0132】
アクティブ空燃比制御の実行中は、図12(A)および図12(B)に示すように、触媒後空燃比がリーン判定値VLを下回ることにより触媒前空燃比の目標値がリッチ空燃比に反転され、また、触媒後空燃比がリッチ判定値VRを上回ると触媒前空燃比の目標値がリーン空燃比に反転される。図12に示すタイミングチャートは、このような処理が繰り返される過程で、下流酸素センサ34の出力(触媒後空燃比)が、時刻t1以前は十分にリーン化せず、時刻t1以降において正常なリーン値に到達するようになった場合を例示している。下流酸素センサ34の出力(触媒後空燃比)がこのような変化を示すのは、時刻t1以前において、上流触媒28の下流に中途半端にリーンな排気ガスが流出する現象が生じていたからであり、下流酸素センサ34に異常が生じていたからではない。
【0133】
しかしながら、時刻t1以前の下流酸素センサ34の出力を見ると、正常時に比してその応答性は悪く、出力も縮小されている。従って、実施の形態1または2の手法で下流酸素センサ34の異常判定が行われた場合、時刻t1以前においては、その異常が誤判定される事態が生ずる。このため、異常判定の精度を高めるべく、上流触媒28の下流に中途半端な空燃比を伴う排気ガスが流出してくるような状況下では、下流酸素センサ34の異常判定の実行を禁止することが望ましい。
【0134】
図12(C)に示す波形は、実施の形態4の場合と同様の手法で算出された酸素吸蔵容量OSCの変化を示す。酸素吸蔵容量OSCは、下流酸素センサ34の出力Vsがリーン判定値VLを下回った後その値Vsがリッチ判定値VRを上回るまでの間、上流触媒28に流入した排気ガス中の酸素不足量を積算することにより、或いは、下流酸素センサ34の出力Vsがリッチ判定値VRを上回った後その値Vsがリーン判定値VLを下回るまでの間、上流触媒28に流入した過剰な酸素量を積算することにより算出することができる(図11中、ステップ170〜174、ステップ176〜180参照)。
【0135】
時刻t1以前のように、上流触媒28の下流に中途半端な空燃比の排気ガスが流出してくる状況下では、上流触媒28に酸素が一杯に吸蔵される以前に下流酸素センサ34の出力Vsがリーン判定値VLを下回る事態が生ずる。上記の算出手法によれば、酸素吸蔵容量OSCは、下流酸素センサ34の出力Vsがリーン判定値VLを下回った時点で一端確定される。従って、上流触媒28の下流に中途半端な空燃比の排気ガスが流出してくる状況下では、酸素吸蔵容量OSCは、上流触媒28が有する本来の酸素吸蔵能力に対して過小な値となる。
【0136】
また、下流酸素センサ34の出力Vsが、上記の如く上流触媒28に酸素が一杯に吸蔵される以前にリーン判定値VLを下回ると、その後、触媒前空燃比の目標値がリッチ空燃比に反転されると共に、上流触媒28内に酸素の吸蔵余力が残された状態を起点として次回の酸素吸蔵容量OSCの算出が開始される。そして、以後、下流酸素センサ34の出力がリッチ判定値VRを上回るまでに上流触媒28から放出された酸素量の積算値に相当する値が酸素吸蔵容量OSCとして算出される。この場合、下流酸素センサ34の出力が、上流触媒28内の全ての酸素が放出された時点で正しくリッチ判定値VRを上回ったとしても、酸素吸蔵容量OSCは、上流触媒28が有する本来の酸素吸蔵能力に対して過小な値となる。
【0137】
図12(C)において、破線で示す基準値は、上流触媒28が有する本来の酸素吸蔵能力に対応する酸素吸蔵容量OSCとみなすべき下限の値を示す。図12(C)は、上流触媒28内に酸素が一杯に吸着される以前に下流酸素センサ34の出力がリーン判定値VLを下回るような状況下(時刻t1以前)では、酸素吸蔵容量OSCが、その基準値より小さな値となることを示している。
【0138】
図12(C)に示す関係は、換言すると、酸素吸蔵容量OSCが基準値を下回るような状況下(時刻t1以前)では、アクティブ空燃比制御の実行に伴って、上流触媒28の下流に中途半端な空燃比を有する排気ガスが流出している可能性が高いこと、つまり、上流触媒28内に酸素が一杯に吸蔵される以前にセンサ出力Vsがリーン判定値VLを下回った可能性(或いは、上流触媒28内の酸素が全て放出される以前にセンサ出力Vsがリッチ判定値VRを上回った可能性)が高いことを意味している。そして、酸素吸蔵容量OSCが上記の基準値を下回る状況下で下流酸素センサ34の異常判定を禁止することとすれば、時刻t1以前において、下流酸素センサ34の異常が誤判定されるのを防ぐことができる。
【0139】
上記の基準値は、既述した通り、正規の酸素吸蔵容量OSCとみなすことのできる下限の値である。このような基準値としては、例えば、上流触媒28が示す酸素吸蔵容量OSCの定常的な値を用いることができる。そして、そのような定常的な値は、ある程度の期間に渡って酸素吸蔵容量OSCの学習を継続することで得ることができる。そこで、本実施形態では、アクティブ空燃比制御の実行中に、酸素吸蔵容量OSCの学習値を作成し、その学習値より小さな酸素吸蔵容量OSCが算出された際には、そのOSCの算出期間中に発せられたセンサ出力Vsに基づいて下流酸素センサ34の異常を判定するのを禁止することとした。
【0140】
図13は、上記の機能を実現するために、本実施形態においてECU40が実行する制御ルーチンのフローチャートを示す。
図13に示すルーチンにおいては、先ず、アクティブ制御が実施中であるか否かが判別される(ステップ190)。
【0141】
次に、下流酸素センサ出力処理が実施される(ステップ192)。
下流酸素センサ出力処理では、具体的には、下流酸素センサ34のセンサ出力Vsの検出、酸素吸蔵容量OSCの更新処理、および異常判定パラメータの更新処理などが実行される。酸素吸蔵容量OSCの更新処理は、空燃比センサ32のセンサ出力に基づいて、図11に示すステップ170〜174、或いはステップ176〜180の処理と同様の手順で行われる。また、異常判定パラメータとは、実施の形態1におけるカウンタCの計数値、或いは、実施の形態2における最大値Vmaxまたは最小値Vminを意味し、その更新処理は、図5におけるステップ108または114と同様の手順で、或いは図8におけるステップ132−134または140−142と同様の手順で実行される。
【0142】
図13に示すルーチンでは、次に、前回の処理サイクルから今回の処理サイクルにかけて、下流酸素センサ34のセンサ出力Vsがリーン判定値VLを上回る値から、その値VL以下に低下したか、或いは、センサ出力Vsがリッチ判定値VRを下回る値からその値VR以上に上昇したかが判別される。つまり、下流酸素センサ34の出力Vsが、今回の処理サイクルにおいてリーン出力、或いはリッチ出力に反転したと認められるか否かが判別される(ステップ194)。
【0143】
その結果、センサ出力Vsの反転が認められないと判別された場合は、以後、速やかに今回の処理サイクルが終了される。一方、センサ出力Vsの反転が認められると判別された場合は、先ず、現時点で算出されている酸素吸蔵容量OSCが、今回の反転周期における酸素吸蔵容量OSCとして確定される(ステップ196)。
【0144】
図13に示すルーチンでは、上記ステップ196の処理が終了した後、ステップ198以降の処理と、ステップ202以降の処理とが並列して実行される。
すなわち、上記ステップ196の処理が終了すると、一方では、先ず、酸素吸蔵容量OSCの学習条件が成立しているか否かが判別される(ステップ198)。
ここでは、具体的には、▲1▼吸入空気量Gaが、下限判定値GaL以上、かつ、上限判定値GaH以下であるか、および▲2▼上流触媒28の温度が下限判定値TcL以上、かつ、上限判定値TcH以下であるかが判別される。
【0145】
下限判定値GaLは、上流触媒28が安定した状態を維持することのできる下限の吸入空気量Gaとして定められた値である。そして、吸入空気量Gaが下限判定値GaLを下回っている場合は、上流触媒28が正常な浄化能力を発揮せず、上流触媒28が浄化能力を有する状況下でもその下流に未浄化の排気ガスが吹き抜けてくる可能性があると判断できる。また、上限判定値GaHは、上流触媒28が、未浄化の排気ガスを吹き抜けさせることなく処理することのできる吸入空気量Gaの上限値である。従って、吸入空気量Gaが上限判定値GaHを超えている場合は、上流触媒28が浄化能力を有する状況下でもその下流に未浄化の排気ガスが吹き抜けてくる可能性があると判断できる。更に、下限判定値TcLは、上流触媒28が、正常な浄化能力を発揮することのできる最低の温度である。従って、上流触媒28の温度が下限判定値TcLを下回っている場合も、上流触媒28の下流には、上流触媒28が浄化能力を有しているにも関わらず未浄化の排気ガスが吹き抜けてくる可能性があると判断できる。
【0146】
つまり、上記ステップ198において判定される▲1▼および▲2▼の条件の何れかが成立しない場合は、触媒後空燃比(下流酸素センサ34の出力Vs)がリーン判定値Vs以下、或いはリッチ判定値VR以上に反転した段階で、上流触媒28に、未だに酸素吸蔵余力、或いは酸素放出余力が残っている可能性があると判断できる。換言すると、上記▲1▼および▲2▼の条件の何れかが成立しない場合は、上記ステップ196において算出された酸素吸蔵容量OSCが、上流触媒28が本来有する酸素吸蔵能力に対応した値でない可能性があると判断できる。
【0147】
このため、図13に示すルーチンでは、上記ステップ198において、▲1▼および▲2▼の学習条件の少なくとも一方が不成立であると判別された場合は、以後、今回算出された酸素吸蔵容量OSCを学習値に反映させることなく、今回の処理サイクルが終了される。一方、それらの学習条件▲1▼および▲2▼が何れも成立すると判別された場合は、今回算出された酸素吸蔵容量OSCを学習値に反映させた後(ステップ200)、今回の処理サイクルが終了される。
尚、酸素吸蔵容量OSCを学習値に反映させる手法は、公知の如何なる手法であってもよい。例えば、過去所定回数にわたる有効な酸素吸蔵容量OSCを単純平均して学習値としても、或いは、今回以前に得られた複数の酸素吸蔵容量OSCに適当な重み付けを施したうえで、それらの平均を取って学習値としてもよい。
【0148】
図13に示すルーチンによれば、上記ステップ196の処理に次いで、上記ステップ198以降の処理と並行して、酸素吸蔵容量OSCの学習値と今回得られたOSCとの差が、判定値ΔOSC0より小さいか否かが判別される(ステップ202)。
判定値ΔOSC0は、今回得られた酸素吸蔵容量OSCが、OSCの学習値、つまり上流触媒28の定常的な酸素吸蔵容量OSCと同視できるものであるか否かを判断するための値である。
【0149】
従って、上記ステップ198において、今回得られたOSCと、OSCの学習値との差が、判定値ΔOSC0より小さくないと判別された場合は、今回得られた酸素吸蔵容量OSCは、異常な値であると判断できる。そして、この場合は、その酸素吸蔵容量OSCが算出される過程において発せられていた下流酸素センサ34の出力Vsは、上流触媒28の下流に吹き抜けてきた空燃比の中途半端な排気ガスの影響を受けている可能性があると判断できる。このため、図13に示すルーチンでは、上記ステップ198の条件が成立しない場合、以後、下流酸素センサ34の異常判定処理を行うことなく今回の処理サイクルが終了される。
【0150】
一方、上記ステップ198において、今回得られた酸素吸蔵容量OSCが、OSCの学習値と同視できると判断された場合は、その酸素吸蔵容量OSCが算出される過程において出力されていたセンサ出力Vsは、上流触媒28下流における空燃比が正しく変化する過程において発せられた正しい値であると判断できる。このため、図13に示すルーチンでは、この場合、以後、下流酸素センサ34の異常判定処理が実行される(ステップ206)。
本ステップ206では、具体的には、上記ステップ192において更新された異常判定パラメータ(実施の形態1におけるカウンタCの計数値、或いは、実施の形態2における最大値Vmaxまたは最小値Vmin)が正常値と見なせるか否かが判別される。この処理は、図5におけるステップ118、或いは図8におけるステップ144と同様の手順で行うことができる。
【0151】
次いで、上記ステップ204の判別により、異常判定条件の成立が認められたか否かが判別される(ステップ206)。
具体的には、カウンタCの計数値が判定値C0以上であると認められるか、或いは、最大値Vmaxが判定値αより小さいか、または最小値Vminが判定値β大きいかが判別される。
【0152】
その結果、異常判定条件の成立が認められないと判別された場合は、下流酸素センサ34の異常を判定することなく、今回の処理サイクルが終了される。一方、異常判定条件の成立が認められると判別された場合は、下流酸素センサ34の異常が判定された後(ステップ208)、今回の処理サイクルが終了される。
【0153】
以上説明した通り、図13に示すルーチンによれば、アクティブ空燃比制御の実行中に、下流酸素センサ34が中途半端な空燃比の排気ガスに影響された出力Vsを発するような状況下では、その出力Vsに基づく異常判定の実行を禁止することができる。そして、アクティブ空燃比制御の実行に伴い、触媒後空燃比が適正に大きく変化している場合に限り、下流酸素センサ34の異常判定を許可することができる。このため、本実施形態の装置によれば、不安定なセンサ出力Vsが発せられる状況下で誤った異常判定がなされるのを有効に防止して、下流酸素センサ34の異常判定を高精度に行うことが可能である。
【0154】
ところで、上述した実施の形態5においては、実施の形態1または2で用いた異常判定の手法に、その判定の実行を禁止する処理を組み合わせることとしているが、その組み合わせの対象は、実施の形態1または2に限定されるものではない。すなわち、異常判定の実行を禁止する処理は、実施の形態3または4の処理と組み合わせることとしてもよい。
【0155】
また、上述した実施の形態5においては、ある処理サイクルにおいて算出された酸素吸蔵容量OSCが、OSCの学習値から乖離している場合に、そのOSCの算出期間中に発せられたセンサ出力Vsに基づく異常判定の実行を禁止することとしているが、その禁止の判断の基礎は、酸素吸蔵容量OSCと学習値との乖離に限定されるものではない。すなわち、既述した通り、吸入空気量Gaが下限判定値GaLを下回る場合や上限判定値GaHを上回る場合、或いは、上流触媒28の温度が下限判定値TcLを下回るような場合には、上流触媒28の下流に中途半端な空燃比の排気ガスが流出し易い。そして、その場合は、下流酸素センサ34のセンサ出力Vsが不適正な値となり易く、その出力Vsに基づく異常判定の精度が低下し易い。このため、センサ出力Vsに基づく異常判定の実行可否は、吸入空気量Gaや上流触媒28の温度が適正な値であるか否かに基づいて判断することとしてもよい。
【0156】
尚、上述した実施の形態5においては、ECU40が、上記ステップ192において酸素吸蔵容量OSCの更新処理を行うことにより前記第6の発明における「酸素吸蔵容量算出手段」が、上記ステップ202の処理を実行することにより前記第6の発明における「判定禁止手段」が、それぞれ実現されている。
また、上述した実施の形態5においては、ECU40が、上記ステップ200の処理を実行することにより前記第7の発明における「学習値更新手段」が、上記ステップ198の処理を実行することにより前記第8の発明における「学習値更新禁止手段」が、それぞれ実現されている。
更に、上述した実施の形態5においては、ECU40に、吸入空気量Ga、或いは上流触媒28の温度に基づいて異常判定の実行可否を判断させることにより、前記第9の発明における「判定禁止手段」を実現することができる。
【0157】
【発明の効果】
この発明は以上説明したように構成されているので、以下に示すような効果を奏する。
第1の発明によれば、アクティブ空燃比制御を実行することにより、触媒の下流における排気空燃比を的確にリッチ空燃比とリーン空燃比の間で反転させることができる。従って、その制御の実行中に下流酸素センサから発せられるセンサ出力を基礎とすれば、下流酸素センサの異常を正確に判断することができる。
【0158】
第2の発明によれば、アクティブ空燃比制御の実行中に、下流酸素センサの出力が、適正な変化速度でその出力を変化させているか否かを見ることで、下流酸素センサの応答性異常を正確に判断することができる。
【0159】
第3の発明によれば、アクティブ空燃比制御の実行中に、下流酸素センサの出力が、変化の過程で適正な値に到達しているか否かを見ることで、下流酸素センサの応答性異常および出力縮小異常を正確に判断することができる。
【0160】
また、第1の発明によれば、小さな振幅巾で排気空燃比を振幅させることにより、ドライバビリティやエミッションを悪化させることなく、下流酸素センサの異常を仮判定することができる。そして、異常の発生が仮判定された場合にのみ、大きな振幅で、異常として捕らえるべき劣化が下流酸素センサに生じているのかを確認することができる。このため、本発明によれば、ドライバビリティやエミッションの悪化を最小限に抑制しつつ、下流酸素センサの異常を正確に検出することができる。
【0161】
第4の発明によれば、下流酸素センサの異常を検出するためのアクティブ空燃比の実行中に、その下流酸素センサの出力変化を利用しつつ触媒の酸素吸蔵容量を算出することができる。そして、下流酸素センサに異常が生じていないことが確認された状態で、その酸素吸蔵容量に基づいて触媒の劣化状態を判断することができる。このため、本発明によれば、アクティブ空燃比制御の実行を最小限に抑制しつつ、下流酸素センサの異常判定と、触媒の劣化判定とを共に正確に行うことができる。
【0162】
第5の発明によれば、下流酸素センサに異常が認められる場合には、触媒の劣化判定の実行を禁止することができる。触媒の劣化判定の基礎となる酸素吸蔵容量は、下流酸素センサのセンサ出力を利用して算出されている。従って、下流酸素センサに異常が生じている場合は、酸素吸蔵容量が正しくない可能性がある。本発明によれば、そのような不正確な酸素吸蔵容量に基づく劣化判定を禁止することで、触媒状態の誤判定を防止することができる。
【0163】
第6の発明によれば、下流酸素センサの異常を検出するためのアクティブ空燃比の実行中に、その下流酸素センサの出力変化を利用しつつ触媒の酸素吸蔵容量を算出することができる。そして、算出された酸素吸蔵容量が基準値から大きく乖離している場合には、異常判定の実施を禁止することができる。酸素吸蔵容量の算出値が基準値から大きく乖離しているときは、その算出の期間中に下流酸素センサが一時的に異常な出力を発したと判断できる。そして、その場合、下流酸素センサ自身に異常が生じているよりは、むしろ、そのセンサを取り巻く環境に異常が生じていた可能性が高いと判断できる。本発明によれば、そのような環境下で発せられたセンサ出力に基づいて、下流酸素センサの異常判定が誤って行われるのを有効に防ぐことができる。
【0164】
第7の発明によれば、酸素吸蔵容量の学習値を基準値として、順次算出される酸素吸蔵容量が適正な値であるか否かを判断することができる。このため、本発明によれば、酸素吸蔵容量が算出される毎に、その算出期間中におけるセンサ出力が、その時点における下流酸素センサの状態に適合した通常の値であったのか、或いは、異常な環境に起因する異常値であったのかを精度良く判断することができる。
【0165】
第8の発明によれば、吸入空気量および触媒温度の少なくとも一方が所定範囲から外れている場合に、つまり、触媒の下流に、中途半端にリッチ或いはリーンなガスが吹き抜けてくる可能性が高い場合に、酸素吸蔵容量の学習値が更新されるのを禁止することができる。このため、本発明によれば、その学習値の精度を十分に高く維持することができる。
【0166】
第9の発明によれば、吸入空気量および触媒温度の少なくとも一方が所定範囲から外れている場合に、つまり、触媒の下流に、中途半端にリッチ或いはリーンなガスが吹き抜けてくる可能性が高い場合に、下流酸素センサの異常判定が行われるのを禁止することができる。このため、本発明によれば、触媒の下流に中途半端なガスが流出してきた際に、そのガスを受けて下流酸素センサの異常状態が誤判定されるのを有効に防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1の構成を説明するための図である。
【図2】 本発明の実施の形態1の装置が実行するアクティブ空燃比制御の内容を説明するためのタイミングチャートである。
【図3】 本発明の実施の形態1において、アクティブ空燃比制御の実行中に、触媒後空燃比の反転に伴って下流酸素センサの出力に生ずる変化の様子を説明するための図である。
【図4】 図2に示すタイミングチャートに、下流酸素センサの応答性が劣化した場合に実現されるタイミングチャートを重ねて表した図である。
【図5】 本発明の実施の形態1において実行される劣化検出ルーチンのフローチャートである。
【図6】 図1に示す構成において下流酸素センサに生ずる劣化のモードを説明するための図である。
【図7】 図1に示す構成においてアクティブ空燃比制御の実行中に発せられる下流酸素センサの出力の詳細な波形である。
【図8】 本発明の実施の形態2において実行される劣化検出ルーチンのフローチャートである。
【図9】 本発明の実施の形態3の装置が実行するアクティブ空燃比制御の内容を説明するためのタイミングチャートである。
【図10】 本発明の実施の形態3において実行される劣化検出ルーチンのフローチャートである。
【図11】 本発明の実施の形態4において実行される劣化検出ルーチンのフローチャートである。
【図12】 本発明の実施の形態5の特徴的動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図13】 本発明の実施の形態5において実行されるルーチンのフローチャートである。
【符号の説明】
10 内燃機関
12 吸気通路
14 排気通路
28 上流触媒
30 下流触媒
32 空燃比センサ
34 下流酸素センサ
Vs 下流酸素センサのセンサ出力
VR リッチ判定値
VL リーン判定値
Vmax 出力最大値
Vmin 出力最小値
OSC 酸素吸蔵容量
Claims (9)
- 内燃機関の排気通路に配置される触媒の下流に位置する下流酸素センサの異常を検出するための装置であって、
前記触媒上流における排気空燃比を制御する排気空燃比制御手段と、
前記下流酸素センサの出力がリッチ出力からリーン出力に変化するのを受けて前記触媒上流の排気空燃比をリーン空燃比からリッチ空燃比に変化させると共に、前記下流酸素センサの出力がリーン出力からリッチ出力に変化するのを受けて前記触媒上流の排気空燃比をリッチ空燃比からリーン空燃比に変化させるアクティブ空燃比制御を実行するアクティブ空燃比制御手段と、
前記アクティブ空燃比制御の実行中に前記下流酸素センサから発せられるセンサ出力に基づいて、当該下流酸素センサの異常を判定する異常判定手段と、
前記アクティブ空燃比制御の実行中に前記触媒上流の排気空燃比に生じさせる空燃比の振幅巾を変化させる空燃比振幅巾変更手段を備え、
前記異常判定手段は、
第1の振幅巾で前記アクティブ空燃比制御を実行させる小振幅アクティブ制御指令手段と、
前記第1の振幅巾でのアクティブ空燃比制御の実行に対して、前記異常判定手段に異常判定を実行させる第1異常判定指令手段と、
前記第1の振幅巾でのアクティブ空燃比制御の実行に対して前記下流酸素センサの異常が判定された場合に、前記第1の振幅巾に比して大きな第2の振幅巾で前記アクティブ空燃比制御を実行させる大振幅アクティブ制御指令手段と、
前記第2の振幅巾でのアクティブ空燃比制御の実行に対して、前記異常判定手段に異常判定を実行させる第2異常判定指令手段と、
前記第2の振幅巾でのアクティブ空燃比制御の実行に対して前記下流酸素センサの異常が判定された場合に限り、前記下流酸素センサの異常を確定的に判定する異常発生確定手段を備えることを特徴とする酸素センサの異常検出装置。 - 前記異常判定手段は、前記下流酸素センサの出力の変化速度に基づいて当該下流酸素センサの異常を判定することを特徴とする請求項1記載の酸素センサの異常検出装置。
- 前記異常判定手段は、前記下流酸素センサの出力の最大値または最小値に基づいて当該下流酸素センサの異常を判定することを特徴とする請求項1記載の酸素センサの異常検出装置。
- 前記アクティブ空燃比制御の実行中に、前記異常判定手段が前記下流酸素センサから発せられるセンサ出力を取り込むのと並行して、当該センサ出力がリッチ出力からリーン出力に変化する過程、或いは、そのセンサ出力がリーン出力からリッチ出力に変化する過程において、前記触媒の酸素吸蔵容量を算出する酸素吸蔵容量算出手段と、
前記異常判定手段によって前記下流酸素センサの異常が認められなかった場合に、前記酸素吸蔵容量に基づいて前記触媒の劣化状態を判断する劣化状態判断手段と、
を備えることを特徴とする請求項1乃至3記載の酸素センサの異常検出装置。 - 前記異常判定手段によって前記下流酸素センサの異常が認められた場合に、前記酸素吸蔵容量に基づく前記触媒の劣化判定を禁止する劣化判定禁止手段を備えることを特徴とする請求項4記載の酸素センサの異常検出装置。
- 前記アクティブ空燃比制御の実行中に、前記異常判定手段が前記下流酸素センサから発せられるセンサ出力を取り込むのと並行して、前記下流酸素センサのセンサ出力がリッチ出力からリーン出力に変化する過程、或いは、そのセンサ出力がリーン出力からリッチ出力に変化する過程において、前記触媒の酸素吸蔵容量を算出する酸素吸蔵容量算出手段と、
前記酸素吸蔵容量と基準値との差が判定値以上である場合に、当該酸素吸蔵容量の算出期間中に発せられた前記センサ出力に基づく前記異常判定手段による判定を禁止する判定禁止手段と、
を備えることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項記載の酸素センサの異常検出装置。 - 前記酸素吸蔵容量が算出される毎に、その値が反映されるように当該酸素吸蔵容量の学習値を更新する学習値更新手段を備え、
前記基準値は前記酸素吸蔵容量の学習値であることを特徴とする請求項6記載の酸素センサの異常検出装置。 - 吸入空気量および触媒温度の少なくとも一方が所定範囲から外れている場合に、前記酸素吸蔵容量の学習値の更新を禁止する学習値更新禁止手段を備えることを特徴とする請求項7記載の酸素センサの異常検出装置。
- 吸入空気量および触媒温度の少なくとも一方が所定範囲から外れている場合に、前記異常判定手段による判定を禁止する判定禁止手段を備えることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項記載の酸素センサの異常検出装置。
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