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JP4160378B2 - 熱可塑性エラストマー組成物 - Google Patents

熱可塑性エラストマー組成物 Download PDF

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JP4160378B2
JP4160378B2 JP2002377927A JP2002377927A JP4160378B2 JP 4160378 B2 JP4160378 B2 JP 4160378B2 JP 2002377927 A JP2002377927 A JP 2002377927A JP 2002377927 A JP2002377927 A JP 2002377927A JP 4160378 B2 JP4160378 B2 JP 4160378B2
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isobutylene
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裕晴 中林
泰三 青山
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Kaneka Corp
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Kaneka Corp
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  • Processes Of Treating Macromolecular Substances (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Graft Or Block Polymers (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、柔軟性に富み、成形加工性、ゴム的特性、機械的強度、圧縮永久歪み特性、制振性に優れた新規な熱可塑性エラストマー組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、弾性を有する高分子材料としては、天然ゴムまたは合成ゴム等のゴム類に架橋剤や補強剤等を配合して高温高圧下で架橋したものが汎用されている。しかしながらこの様なゴム類では、高温高圧下で長時間にわたって架橋及び成形を行う行程が必要であり、加工性に劣る。また架橋したゴムは熱可塑性を示さないため、熱可塑性樹脂のようにリサイクル成形が一般的に不可能である。そのため、通常の熱可塑性樹脂と同じように熱プレス成形、射出成形、及び押出し成形等の汎用の溶融成形技術を利用して成型品を簡単に製造することのできる熱可塑性エラストマーが近年種々開発されている。
【0003】
また、柔軟性を有する材料として軟質塩化ビニルコンパウンドが汎用されている。これは、室温で柔軟な材料として様々な用途に用いられているが、近年の脱塩ビ化の要求から、他の材料での代替が要求されている。このための代替材料として熱可塑性エラストマー組成物が用いられている。
このような熱可塑性エラストマーには、現在、オレフィン系、ウレタン系、エステル系、スチレン系等の種々の形式のポリマーが開発され、市販されている。
【0004】
これらのうちで、スチレン系熱可塑性エラストマーは、柔軟性に富み、常温で良好なゴム弾性に優れている。スチレン系熱可塑性エラストマーとしては、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)やスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、またそれらを水素添加したスチレン−エチレンブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)やスチレン−エチレンプロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)等が開発されている。しかし、これらのブロック共重合体は、圧縮永久歪み特性が不十分であった。
【0005】
一方、柔軟性に富み、常温で良好なゴム弾性に優れ、さらにガスバリヤー性、密封性に優れた熱可塑性エラストマーとしては、イソブチレンを主体とする重合体ブロックと、芳香族ビニル系化合物を主体とする重合体ブロックとを含有するイソブチレン系ブロック共重合体が知られている。しかしながら、このイソブチレン系ブロック共重合体も、加熱時の加圧変形率(圧縮永久歪み)や高温時のゴム弾性に問題があった。
【0006】
また、イソブチレンを主体とする重合体ブロックを含有するイソブチレン系ブロック共重合体とゴムの架橋物からなる熱可塑性重合体組成物が知られている(例えば、特許文献1参照)。この組成物は圧縮永久歪特性が改善されたものであるが、不十分であった。
【0007】
また、架橋時に用いる架橋剤には硫黄系系架橋剤が使用されている。硫黄系架橋剤は低コストで高弾性、低クリープのものが知られているが、硫黄系加硫ゴムの場合、耐熱安定性が十分とはいえず、また非結合の化合物がブルームしてしまい成型品の外観、耐老化性を悪化させるという問題点がある。また生体適合性が要求される食品用途、医療用途には用いることはできない問題があった。
【0008】
【特許文献1】
国際公開WO98/14518号パンフレット
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上述の従来技術の課題に鑑み、柔軟性に富み、成形加工性、ゴム的特性、機械的強度、圧縮永久歪み特性、制振性に優れた熱可塑性エラストマー組成物を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、イソブチレンを主体とする重合体ブロックと芳香族ビニル系化合物を主体とする重合体ブロックを含有するイソブチレン系ブロック共重合体(A)と、末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(B)とを含有してなる組成物であって、末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(B)が、ヒドロシリル基含有ポリシロキサン(C)により架橋されてなるものであり、かつ、ヒドロシリル基含有ポリシロキサン(C)が、ヒドロシリル基を3個以上有し、シロキサンユニットを3個以上500個以下有するヒドロシリル基含有ポリシロキサンである熱可塑性エラストマー組成物に関する。
また、本発明は、ヒドロシリル基含有ポリシロキサン(C)が、ヒドロシリル基を3個以上有し、シロキサンユニットを10個以上200個以下有するヒドロシリル基含有ポリシロキサンである上記熱可塑性エラストマー組成物に関する。
【0011】
さらに、本発明は、末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(B)が、アリルトリメチルシランとイソブチレン系重合体末端の塩素との置換反応により、末端にアリル基が導入されたものである上記熱可塑性エラストマー組成物;
イソブチレン系ブロック共重合体(A)と末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(B)の溶融混練時に、末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(B)を動的に架橋したものである上記熱可塑性エラストマー組成物;
末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(B)が、イソブチレン系ブロック共重合体(A)と混合する前に予め架橋されたものである上記熱可塑性エラストマー組成物に関する。
【0012】
また、本発明は、イソブチレン系ブロック共重合体(A)を構成するブロックが、イソブチレンを主体とする重合体ブロック(a)と、芳香族ビニル系化合物を主体とする重合体ブロック(b)とからなり、(b)−(a)−(b)の構造を示すトリブロック共重合体である上記熱可塑性エラストマー組成物;
さらに補強材(D)を含有する上記熱可塑性エラストマー組成物;
補強材(D)がポリスチレン、ポリフェニレンエーテル及びそれらの混合物から選択される少なくとも一種である上記熱可塑性エラストマー組成物;
さらに可塑剤(E)を含有する上記熱可塑性エラストマー組成物;
イソブチレン系ブロック共重合体(A)100重量部に対し、末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(B)を50〜400重量部含有することを特徴とする上記熱可塑性エラストマー組成物に関する。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、イソブチレンを主体とする重合体ブロックと芳香族ビニル系化合物を主体とする重合体ブロックを含有するイソブチレン系ブロック共重合体(A)と、末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(B)とを含有してなる組成物であって、末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(B)が、ヒドロシリル基含有ポリシロキサン(C)により架橋されてなるものであり、かつ、ヒドロシリル基含有ポリシロキサン(C)が、ヒドロシリル基を3個以上有し、シロキサンユニットを3個以上500個以下有するヒドロシリル基含有ポリシロキサンである組成物である。
【0014】
まず、本発明で用いるイソブチレン系ブロック共重合体(A)は、イソブチレンを主体とする重合体ブロックと、芳香族ビニル系化合物を主体とする重合体ブロックを含有するものである。
【0015】
本発明のイソブチレン系ブロック共重合体(A)のイソブチレンを主体とする重合体ブロックとは、イソブチレンを主体とする重合体ブロック全量に対して、イソブチレンが50重量%以上、好ましくは70重量%以上、より好ましくは90重量%以上を占めるブロックのことをいう。
イソブチレンを主体とする重合体ブロック中の、イソブチレン以外の単量体は、カチオン重合可能な単量体成分であれば特に限定されないが、芳香族ビニル類、脂肪族オレフィン類、ジエン類、ビニルエーテル類、β−ピネン等の単量体が例示できる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0016】
芳香族ビニル類としては、スチレン、o−、m−又はp−メチルスチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、2,6−ジメチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、α−メチル−o−メチルスチレン、α−メチル−m−メチルスチレン、α−メチル−p−メチルスチレン、β−メチル−o−メチルスチレン、β−メチル−m−メチルスチレン、β−メチル−p−メチルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、α−メチル−2,6−ジメチルスチレン、α−メチル−2,4−ジメチルスチレン、β−メチル−2,6−ジメチルスチレン、β−メチル−2,4−ジメチルスチレン、o−、m−又はp−クロロスチレン、2,6−ジクロロスチレン、2,4−ジクロロスチレン、α−クロロ−o−クロロスチレン、α−クロロ−m−クロロスチレン、α−クロロ−p−クロロスチレン、β−クロロ−o−クロロスチレン、β−クロロ−m−クロロスチレン、β−クロロ−p−クロロスチレン、2,4,6−トリクロロスチレン、α−クロロ−2,6−ジクロロスチレン、α−クロロ−2,4−ジクロロスチレン、β−クロロ−2,6−ジクロロスチレン、β−クロロ−2,4−ジクロロスチレン、o−、m−又はp−t−ブチルスチレン、o−、m−又はp−メトキシスチレン、o−、m−又はp−クロロメチルスチレン、o−、m−又はp−ブロモメチルスチレン、シリル基で置換されたスチレン誘導体、インデン、ビニルナフタレン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0017】
脂肪族オレフィン類としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、ペンテン、ヘキセン、シクロヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、ビニルシクロヘキサン、オクテン、ノルボルネン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0018】
ジエン類としては、ブタジエン、イソプレン、ヘキサジエン、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、ジビニルベンゼン、エチリデンノルボルネン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0019】
ビニルエーテル類としては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、(n−、イソ)プロピルビニルエーテル、(n−、sec−、tert−、イソ)ブチルビニルエーテル、メチルプロペニルエーテル、エチルプロペニルエーテル等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0020】
イソブチレン系ブロック共重合体(A)の芳香族ビニル系化合物を主体とする重合体ブロックとは、芳香族ビニル系化合物を主体とする重合体ブロック全量に対して、芳香族ビニル系化合物が50重量%以上、好ましくは70重量%以上、より好ましくは90重量%以上を占めるブロックのことをいう。
芳香族ビニル系化合物を主体とする重合体ブロック中の芳香族ビニル系化合物以外の単量体としては、カチオン重合可能な単量体であれば特に制限はないが、脂肪族オレフィン類、ジエン類、ビニルエーテル類、β−ピネン等の単量体が例示できる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。なお、脂肪族オレフィン類、ジエン類、ビニルエーテル類の具体例は上述のとおりである。
【0021】
芳香族ビニル系化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、p−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、メトキシスチレン、インデン等が挙げられる。上記化合物の中でもコストと物性及び生産性のバランスからスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、インデンが好ましく、その中から2種以上選んでもよい。
【0022】
イソブチレン系ブロック共重合体(A)中のイソブチレンを主体とする重合体ブロック(a)と芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロック(b)の割合に関しては、特に制限はないが、物性と加工性のバランスから、イソブチレンを主体とする重合体ブロック(a)が95〜20重量部、芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロック(b)が5〜80重量部であることが好ましく、イソブチレンを主体とする重合体ブロック(a)が90〜60重量部、芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロック(b)が10〜40重量部であることが特に好ましい。
【0023】
また本発明のイソブチレン系ブロック共重合体(A)の好ましい構造としては、得られる組成物の物性および加工性の点から、イソブチレンを主体とする重合体ブロック(a)の少なくとも一つと、芳香族ビニル系化合物を主体とする重合体ブロック(b)の少なくとも二つとからなる構造が好ましい。
【0024】
上記構造としては特に制限はないが、例えば、(b)−(a)−(b)から形成されるトリブロック共重合体、{(b)−(a)}単位の繰り返しを有するマルチブロック共重合体、及び(b)−(a)からなるジブロック共重合体をアームとする星状ポリマー等から選ばれる少なくとも1種を使用することができる。好ましくは、(b)−(a)−(b)の構造を示すトリブロック共重合体である。さらに、イソブチレン系ブロック共重合体(A)中に、上記構造以外に、イソブチレンを主体とする重合体、芳香族ビニル系化合物を主体とする重合体、及び(a)−(b)からなるジブロック共重合体の少なくとも1種が含まれても良い。しかし、物性および加工性の点から、イソブチレン系ブロック共重合体(A)中に含まれるイソブチレンを主体とする重合体ブロック(a)の少なくとも一つと、芳香族ビニル系化合物を主体とする重合体ブロック(b)の少なくとも二つとからなる(b)−(a)−(b)構造のものが50重量%以上になるのがより好ましい。
【0025】
イソブチレン系ブロック共重合体(A)の重量平均分子量としては、特に制限はないが、30,000から500,000が好ましく、40,000から400,000が特に好ましい。重量平均分子量が30,000未満の場合、機械的な特性等が十分に発現されにくい傾向があり、また、500,000を超える場合、成形性等が低下する傾向がある。
【0026】
イソブチレン系ブロック共重合体(A)の製造方法としては、例えば適当な重合開始剤系を用いて、不活性溶媒中でイソブチレン及び必要に応じて他の単量体を、次に、芳香族ビニル系単量体及び必要に応じて他の単量体を、それぞれのブロック結合順序になるように順にカチオン重合することにより製造することができる。
【0027】
本発明でいう、末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(B)とは、イソブチレン系重合体(B)全量に対して、イソブチレンが50重量%以上、好ましくは70重量%以上、より好ましくは90重量%以上を占める重合体のことをいう。
末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(B)中の、イソブチレン以外の単量体は、カチオン重合可能な単量体成分であれば特に限定されないが、芳香族ビニル類、脂肪族オレフィン類、ジエン類、ビニルエーテル類、β−ピネン等の単量体が例示できる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。なお、芳香族ビニル類、脂肪族オレフィン類、ジエン類、ビニルエーテル類の具体例としては、前述と同じものが挙げられる。
【0028】
末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(B)の重量平均分子量としては、特に制限はないが、1,000から500,000が好ましく、2,000から100,000が特に好ましい。重量平均分子量が1,000未満の場合、機械的な特性等が十分に発現されにくい傾向があり、また、500,000を超える場合、成形性等の低下が大きくなるとともに、圧縮永久歪みの改善効果が少なくなる傾向がある。
【0029】
イソブチレン系重合体(B)は、イソブチレン単独、又は、イソブチレンと他の単量体とのカチオン重合により製造することができる。
【0030】
本発明におけるアルケニル基としては、本発明の目的を達成するための(B)成分の架橋反応に対して活性のある炭素−炭素二重結合を含む基であれば特に制限されるものではない。具体例としては、ビニル基、アリル基、メチルビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等の脂肪族不飽和炭化水素基、シクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等の環式不飽和炭化水素基を挙げることができる。
【0031】
本発明のイソブチレン系重合体(B)の末端へのアルケニル基の導入方法としては、特開平3−152164号公報や特開平7−304909号公報に開示されているような、水酸基等の官能基を有する重合体に不飽和基を有する化合物を反応させて重合体に不飽和基を導入する方法が挙げられる。またハロゲン原子を有する重合体に不飽和基を導入するためには、アルケニルフェニルエーテルとのフリーデルクラフツ反応を行う方法、ルイス酸存在下にアリルトリメチルシラン等との置換反応を行う方法、種々のフェノール類とのフリーデルクラフツ反応を行い水酸基を導入した上でさらに前記のアルケニル基導入反応を行う方法等が挙げられる。さらに米国特許第4316973号、特開昭63−105005号公報、特開平4−288309号公報に開示されているように単量体の重合時に不飽和基を導入することも可能である。
本発明においては、アリルトリメチルシランとイソブチレン系重合体末端の塩素との置換反応により、末端にアリル基が導入されたものが好ましい。
【0032】
また、末端に置換するアルケニル基は、得られる組成物の圧縮永久歪みの点から、1分子あたり末端に少なくとも0.2個存在することが好ましく、少なくとも0.5個存在することがより好ましい。
【0033】
本発明のイソブチレン系ブロック共重合体(A)と末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(B)からなる熱可塑性エラストマー組成物は、(A)と(B)の溶融混練時に(B)を動的に架橋したものであるか、あるいは、末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(B)をあらかじめ架橋した後にイソブチレン系ブロック共重合体(A)を溶融混合したものであることが好ましい。このうち、(A)と(B)の溶融混練時に架橋した、いわゆる動的架橋した組成物がより好ましい。
ここで形成される架橋体中には、(B)が単独で架橋した物か、(A)と(B)が同時に架橋体中に含まれて架橋した物が含まれる。これらのうち(B)単独で架橋体を形成したものが好ましい。
【0034】
末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(B)を架橋する手段は、副生成物の発生がなく、また不要な副反応を起こさない等の利点から、ヒドロシリル基含有ポリシロキサン(C)を架橋剤として用いた架橋を使用することができる。
【0035】
本発明においては、末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(B)の架橋物を得るために用いられるヒドロシリル基含有ポリシロキサン(C)としては、具体的には、ヒドロシリル基を3個以上有し、シロキサンユニットを3個以上500個以下有するヒドロシリル基含有ポリシロキサンを用いる。
ヒドロシリル基が3個未満では、架橋によるネットワークの十分な成長が達成されず、最適なゴム弾性が得られない。また、シロキサンユニットが500個を超えると、ポリシロキサンの粘度が高く、末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(B)へうまく分散が行われず、架橋反応にムラが発生し、好ましくない。
【0036】
好ましくは、ヒドロシリル基を3個以上有し、シロキサンユニットを10個以上200個以下有するヒドロシリル基含有ポリシロキサンを用いることができる。より好ましくは、ヒドロシリル基を3個以上有し、シロキサンユニットを20個以上100個以下有するヒドロシリル基含有ポリシロキサンを用いることができる。ポリシロキサンユニットが100個以下であると、ヒドロシリル化に必要なヒドロシリル基含有ポリシロキサン(C)を減少させることができるためより好ましい。
【0037】
本発明におけるシロキサンユニットとしては、以下の一般式(I)〜(III)が挙げられる。このうち、一般式(II)は、ヒドロシリル基を有するものである。
[Si(RO] (I)
[Si(H)(R)O] (II)
[Si(R)(R)O] (III)
【0038】
すなわち、ヒドロシリル基を3個以上有し、シロキサンユニットを3個以上500個以下有するヒドロシリル基含有ポリシロキサン(C)としては、下記一般式(IV)または(V)で表される鎖状ポリシロキサン;
SiO−[Si(RO]−[Si(H)(R)O]−[Si(R)(R)O]−SiR (IV)
HR SiO−[Si(RO]−[Si(H)(R)O]−[Si(R)(R)O]−SiR H (V)
(式中、RおよびRはそれぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル基またはフェニル基を、Rは炭素数1〜10のアルキル基または炭素数7〜10のアラルキル基を示す。a,b,cは、a≧0、b≧3、c≧0、3≦a+b+c≦500を満たす整数を表す。)、
一般式(VI)で表される環状シロキサン;
【0039】
【化1】
Figure 0004160378
【0040】
(式中、RおよびRはそれぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル基またはフェニル基、Rは炭素数1〜10のアルキル基または炭素数7〜10のアラルキル基を示す。d,e,fは、d≧0、e≧3、f≧0、3≦d+e+f≦500を満たす整数を表す。)等の化合物を用いることができる。
【0041】
、R6の炭素数1〜10のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル等が挙げられる。R、R、R4、R5の炭素数1〜6のアルキル基としては、上記のうちメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル等が挙げられる。また、R、R6の炭素数7〜10のアラルキル基としては、例えば、ベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピル、1−フェニル−1−メチルエチル、4−メチルフェニルエチル等が挙げられる。
【0042】
末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(B)と、ヒドロシリル基を3個以上有し、シロキサンユニットを3個以上500個以下有するヒドロシリル基含有ポリシロキサン(C)は、任意の割合で混合することができるが、硬化性の面から、アルケニル基とヒドロシリル基のモル比(アルケニル基/ヒドロシリル基)が0.1〜5の範囲にあることが好ましく、0.2〜2.5であることがより好ましい。モル比が5を超えると、架橋が不十分となり、組成物の強度が低下し易い傾向があり、また、0.1未満であると、硬化後も硬化物中に活性なヒドロシリル基が多く残り、クラック、ボイドが発生し易く、均一で強度のある硬化物が得られにくくなる傾向がある。
【0043】
重合体(B)とヒドロシリル基含有ポリシロキサン(C)との架橋反応は、2成分を混合して加熱することにより進行するが、反応をより迅速に進めるために、さらに架橋触媒としてのヒドロシリル化触媒を添加することができる。このようなヒドロシリル化触媒としては、特に限定されず、例えば、有機過酸化物やアゾ化合物等のラジカル開始剤、遷移金属触媒等が挙げられる。
【0044】
有機過酸化物としては特に限定されず、例えば、ジ−t−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)−3−ヘキシン、ジクミルペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシド、α,α’−ビス(t−ブチルペルオキシ)イソプロピルベンゼンのようなジアルキルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、p−クロロベンゾイルペルオキシド、m−クロロベンゾイルペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシドのようなアシルペルオキシド、過安息香酸−t−ブチルのような過酸エステル、過ジ炭酸ジイソプロピル、過ジ炭酸ジ−2−エチルヘキシルのようなペルオキシジカーボネート、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンのようなペルオキシケタール等を挙げることができる。
【0045】
アゾ化合物としては特に限定されず、例えば、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、1,1′−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾイソブチロバレロニトリル等が挙げられる。
【0046】
また、遷移金属触媒としても特に限定されず、例えば、白金単体、アルミナ、シリカ、カーボンブラック等の担体に白金固体を分散させたもの、塩化白金酸、塩化白金酸とアルコール、アルデヒド、ケトン等との錯体、白金−オレフィン錯体、白金(0)−ジアリルテトラメチルジシロキサン錯体等の白金アリルシロキサン等が挙げられる。白金化合物以外の触媒の例としては、RhCl(PPh,RhCl,RuCl,IrCl,FeCl,AlCl,PdCl・HO,NiCl,TiCl等が挙げられる。これらの触媒は単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもかまわない。
これらのうち、相溶性、架橋効率、スコーチ安定性の点で、白金アリルシロキサンが最も好ましい。
【0047】
上記ヒドロシリル化触媒の使用量としては、特に制限はないが、(B)成分のアルケニル基1molに対し、10−1〜10−8molの範囲で用いるのが良く、好ましくは10−3〜10−6molの範囲で用いるのがよい。10-8molより少ないと、硬化が十分に進行しにくくなる傾向がある。また、ヒドロシリル化触媒は高価であるので、10-1molを超えて用いないのが好ましい。
【0048】
上記末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(B)の含有量は、イソブチレン系ブロック共重合体(A)100重量部に対し、好ましくは50〜400重量部、より好ましくは100〜400重量部、さらに好ましくは150〜400重量部である。
【0049】
本発明の組成物には、イソブチレン系ブロック共重合体(A)、末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(B)に加えて、強度をさらに向上させるため、さらに補強材(D)を添加してもよい。
【0050】
補強材(D)としては、例えば、ポリフェニレンエーテル、ポリスチレン、それらの混合物等の補強用樹脂;炭酸カルシウム、タルク、マイカ、カオリン、シリカ、ガラス繊維等の無機充填剤;カーボンブラック等が挙げられる。好ましくは、ポリフェニレンエーテル、ポリスチレン、それらの混合物からなる補強用樹脂である。これらは単独で用いても、2種以上を併用してもよい。補強材(D)の添加により、熱可塑性エラストマー組成物の引張強度が向上し、また配合量や補強材の種類によっては、圧縮永久歪みも改善する。
【0051】
補強材(D)の含有量としては、イソブチレン系ブロック共重合体(A)100重量部に対し、好ましくは0〜100重量部である。
【0052】
また、本発明の組成物には、イソブチレン系ブロック共重合体(A)、末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(B)に加えて、硬度を調整するためとコスト面で有利になることから可塑剤(E)を加えても良い。
可塑剤(E)としては、ゴムの加工の際に用いられる鉱物油、液状もしくは低分子量の合成軟化剤等を用いることができる。
【0053】
鉱物油としては、パラフィン系、ナフテン系、及び芳香族系の高沸点石油成分が挙げられるが、架橋反応を阻害しないパラフィン系及びナフテン系が好ましい。液状もしくは低分子量の合成軟化剤としては、特に制限はないが、ポリブテン、水添ポリブテン、液状ポリブタジエン、水添液状ポリブタジエン、ポリαオレフィン類等が挙げられる。これらの可塑剤は1種以上を用いることができる。
【0054】
可塑剤(E)の配合量は、末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(B)100重量部に対し、好ましくは0〜300重量部、より好ましくは10〜300重量部である。配合量が300重量部を越えると、機械的強度や成形性が低下する傾向がある。
【0055】
また本発明の組成物には、さらには、各用途に合わせた要求特性に応じて、物性を損なわない範囲で、例えば、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)やスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、またそれらを水素添加したスチレン−エチレンブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)やスチレン−エチレンプロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)等のエラストマー、そのほかにも、ヒンダードフェノール系やヒンダードアミン系の酸化防止剤や紫外線吸収剤、光安定剤、顔料、界面活性剤、反応遅延剤、難燃剤、充填剤等を適宜配合することができる。
【0056】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物においては、イソブチレン系ブロック共重合体(A)100重量部に対し、末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(B)50〜400重量部、補強材(D)0〜100重量部を含有することが好ましい。
また、末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(B)100重量部に対し、ヒドロシリル基含有ポリシロキサン(C)を0.01〜20重量部含有することが好ましい。
【0057】
また、本発明の熱可塑性エラストマー組成物の製造方法は特に限定されず、イソブチレン系ブロック共重合体(A)、末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(B)、ヒドロシリル基含有ポリシロキサン(C)、及び、所望により用いられる上記成分が均一に混合され得る方法であればいずれも採用できる。
【0058】
イソブチレン系ブロック共重合体(A)と末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(B)の溶融混合時に、末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(B)をヒドロシリル基含有ポリシロキサン(C)で動的に架橋して、本発明の熱可塑性エラストマー組成物を製造する場合は、以下に例示する方法等によって好ましく行うことができる。
【0059】
例えば、ラボプラストミル、ブラベンダー、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール等の密閉式混練装置又はバッチ式混練装置を用いて製造する場合は、架橋剤としてのヒドロシリル基含有ポリシロキサン(C)及び架橋助剤、架橋触媒以外の全ての成分を予め混合し、均一になるまで溶融混練し、次いでそれにヒドロシリル基含有ポリシロキサン(C)及び必要により架橋助剤、架橋触媒を添加して、溶融混練が停止するまで架橋反応を十分に進行させる方法を採用することができる。
【0060】
また、単軸押出機、二軸押出機等の連続式の溶融混練装置を用いて製造する場合は、(1)ヒドロシリル基含有ポリシロキサン(C)及び架橋助剤、架橋触媒以外の全ての成分を、予め押出機等の溶融混練装置によって均一になるまで溶融混練した後、ペレット化し、そのペレットにヒドロシリル基含有ポリシロキサン(C)及び必要により架橋助剤、架橋触媒をドライブレンドした後、さらに押出機等の溶融混練装置で溶融混練して、末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(B)を動的に架橋することによって、あるいは、(2)ヒドロシリル基含有ポリシロキサン(C)及び架橋助剤、架橋触媒以外の全ての成分を押出機等の溶融混練装置によって溶融混練し、そこに押出機のシリンダーの途中からヒドロシリル基含有ポリシロキサン(C)及び必要により架橋助剤、架橋触媒を添加してさらに溶融混練し、末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(B)を動的に架橋することによって、本発明のイソブチレン系ブロック共重合体(A)と、末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(B)の架橋物からなる熱可塑性エラストマー組成物を製造する方法等を採用することができる。
【0061】
溶融混練と同時に動的架橋を行う上記の方法を行うにあたっては、温度は150〜210℃が好ましく、より好ましくは160〜200℃である。
この場合、イソブチレン系ブロック共重合体(A)は架橋反応を起こさず、末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(B)のみを架橋することができる。
【0062】
また、末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(B)を、ヒドロシリル基含有ポリシロキサン(C)で予め架橋し、その架橋物をイソブチレン系ブロック共重合体(A)と混合して、本発明の熱可塑性エラストマー組成物を製造する場合は、以下に例示する方法等が好ましく採用される。
【0063】
例えば、上記した末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(B)に、ヒドロシリル基含有ポリシロキサン(C)及び必要により架橋助剤、架橋触媒を加えて、ゴム架橋物の製造に通常用いられる混練機等を使用して適当な温度で十分に混練し、得られた混練物をプレス機等を用いて適当な架橋温度及び架橋時間を採用して架橋反応を進行させた後、冷却後粉砕して、末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(B)の架橋物を得て、その架橋物をイソブチレン系ブロック共重合体(A)と溶融混合することによって、本発明の熱可塑性エラストマー組成物を製造することができる。
【0064】
その際に、末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(B)の架橋物とイソブチレン系ブロック共重合体(A)の溶融混合法としては、熱可塑性樹脂や熱可塑性エラストマー組成物の製造に使用されている従来の方法のいずれもが採用でき、例えば、ラボプラストミル、バンバリーミキサー、単軸押出機、二軸押出機、その他の溶融混練装置等を用いて行うことができる。なお、溶融混練温度は150〜210℃が好ましく、より好ましくは160〜200℃である。
【0065】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、熱可塑性樹脂組成物に対して一般に採用される成型方法及び成形装置を用いて成形でき、例えば、押出成形、射出成形、プレス成形、ブロー成形等によって溶融成形できる。
また、本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、成形性、圧縮永久歪み特性に優れているため、パッキング材、シール材、ガスケット、栓体等の密封用材、CDダンパー等の弱電機器用ダンパー、建築用ダンパー、自動車、車両、家電製品向け等の制振材、防振材、自動車内装材、クッション材、日用品、電気部品、電子部品、スポーツ部材、グリップまたは緩衝材、電線被覆材、包装材、各種容器、文具部品として有効に使用することができる。
【0066】
【実施例】
以下に、実施例に基づき本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら制限を受けるものではない。
【0067】
尚、実施例に先立ち各種測定法、評価法について説明する。
(硬度)
JIS K 6352に準拠し、試験片は12.0mm厚プレスシートを用いた。
(引張破断強度)
JIS K 6251に準拠し、試験片は2mm厚プレスシートを、ダンベルで3号型に打抜いて使用した。引張速度は500mm/分とした。
(引張破断伸び)
JIS K 6251に準拠し、試験片は2mm厚プレスシートを、ダンベルで3号型に打抜いて使用した。引張速度は500mm/分とした。
【0068】
(圧縮永久歪み)
JIS K 6262に準拠し、試験片は12.0mm厚プレスシートを使用した。70℃×22時間、25%変形の条件にて測定した。
(動的粘弾性)
JIS K−6394(加硫ゴムおよび熱可塑性ゴムの動的性質試験方法)に準拠し、縦6mm×横5mm×厚さ2mmの試験片を切り出し、動的粘弾性測定装置DVA−200(アイティー計測制御社製)を用い、損失正接tanδを測定した。測定周波数は0.05Hzとした。
【0069】
また、以下に実施例及び比較例で用いた材料の略号とその具体的な内容は、次のとおりである。
SIBS:スチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体
ARPIB:末端にアリル基が導入されたポリイソブチレン EP600A 鐘淵化学工業社製(Mw19,000、1分子あたり2.0個の末端アリル基含有)
IIR:ブチルゴム、JSR社製(商品名「Butyl065」)
補強材:PPO Noryl EFN4230(日本ジーイープラスチック株式会社製)
【0070】
架橋剤1:下記の化学式で表されるポリシロキサン
(CHSiO−[Si(H)(CH)O]−[Si(CH)(CHCHCH)O]−Si(CH
架橋剤2:下記の化学式で表されるポリシロキサン
(CHSiO−[Si(H)(CH)O]48−Si(CH
架橋剤3:下記の化学式で表されるポリシロキサン
(CHSiO−[Si(H)(CH)O]400−Si(CH
架橋剤4:下記の化学式で表されるポリシロキサン
(CHSiO−[Si(H)(CH)O]−Si(CH
架橋剤5:下記の化学式で表されるポリシロキサン
(CHSiO−[Si(H)(CH)O]800−Si(CH
架橋剤6:反応型臭素化アルキルフェノールホルムアルデヒド化合物、田岡化学工業社製(商品名「タッキロール250−1」)
架橋助剤1:酸化亜鉛
架橋助剤2:ステアリン酸
架橋触媒:0価白金の1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジアリルジシロキサン錯体 1%キシレン溶液
【0071】
(製造例1)[スチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体(SIBS)の製造]
2Lのセパラブルフラスコの重合容器内を窒素置換した後、注射器を用いて、n−ヘキサン(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)456.4mL及び塩化ブチル(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)656.3mLを加え、重合容器を−70℃のドライアイス/メタノールバス中につけて冷却した後、イソブチレンモノマー232mL(2871mmol)が入っている三方コック付耐圧ガラス製液化採取管にテフロン(R)製の送液チューブを接続し、重合容器内にイソブチレンモノマーを窒素圧により送液した。p−ジクミルクロライド0.647g(2.8mmol)及びN,N−ジメチルアセトアミド1.22g(14mmol)を加えた。次にさらに四塩化チタン8.67mL(79.1mmol)を加えて重合を開始した。重合開始から2.5時間同じ温度で撹拌を行った後、重合溶液からサンプリング用として重合溶液約1mLを抜き取った。続いて、あらかじめ−70℃に冷却しておいたスチレンモノマー77.9g(748mmol)、n−ヘキサン14.1mLおよび塩化ブチル20.4mLの混合溶液を重合容器内に添加した。該混合溶液を添加してから2時間後に、大量の水に加えて反応を終了させた。
反応溶液を2回水洗し、溶媒を蒸発させ、得られた重合体を60℃で24時間真空乾燥することにより目的のブロック共重合体を得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により得られた重合体の分子量を測定した。ブロック共重合体のMwが101,000であるブロック共重合体が得られた。
【0072】
(実施例1)
製造例1で製造したSIBS、ARPIBを表1に示した割合で、150℃に設定したラボプラストミル(東洋精機社製)を用いて5分間溶融混練し、次いで架橋剤を表1に示した割合で添加し、5分間引き続き混練した。架橋触媒を投入し、さらに溶融混練し動的架橋を行った。得られた熱可塑性エラストマー組成物は180℃で容易にシート状に成形することができた。
【0073】
(実施例2)
SIBSとARPIBを表1に示した割合で混合し、実施例1と同様に動的架橋を行った。得られた熱可塑性エラストマー組成物は180℃で容易にシート状に成形することができた。
【0074】
(実施例3)
製造例1で製造したSIBS、ARPIBを表1に示した割合で、150℃に設定したラボプラストミル(東洋精機社製)を用いて5分間溶融混練し、次いで架橋剤を表1に示した割合で添加し、5分間引き続き混練した。架橋触媒を投入し、さらに溶融混練し動的架橋を行った。得られた熱可塑性エラストマー組成物は180℃で容易にシート状に成形することができた。
【0075】
(実施例4)
製造例1で製造したSIBS、ARPIB、補強材を表1に示した割合で、150℃に設定したラボプラストミル(東洋精機社製)を用いて5分間溶融混練し、次いで架橋剤を表1に示した割合で添加し、5分間引き続き混練した。架橋触媒を投入し、さらに溶融混練し動的架橋を行った。得られた熱可塑性エラストマー組成物は180℃で容易にシート状に成形することができた。
【0076】
(比較例1)
製造例1で製造したSIBSを180℃に設定したラボプラストミルを用いて10分間溶融混練した後、180℃でシート状に成形した。
【0077】
(比較例2)
製造例1で製造したSIBS、ARPIBを表1に示した割合で、150℃に設定したラボプラストミル(東洋精機社製)を用いて5分間溶融混練し、次いで架橋剤を表1に示した割合で添加し、5分間引き続き混練した。架橋触媒を投入し、さらに溶融混練し動的架橋を行った。得られた熱可塑性エラストマー組成物を180℃でシート状に成形した。
【0078】
(比較例3)
製造例1で製造したSIBS、ARPIBを表1に示した割合で、150℃に設定したラボプラストミル(東洋精機社製)を用いて5分間溶融混練し、次いで架橋剤を表1に示した割合で添加し、5分間引き続き混練した。架橋触媒を投入し、さらに溶融混練し動的架橋を行った。得られた熱可塑性エラストマー組成物を180℃でシート状に成形した。
【0079】
(比較例4)
製造例1で製造したSIBS、ARPIBを表1に示した割合で、150℃に設定したラボプラストミル(東洋精機社製)を用いて5分間溶融混練し取り出した。得られた熱可塑性エラストマー組成物を180℃でシート状に成形した。
【0080】
(比較例5)
製造例1で製造したSIBS、IIRを表1に示した割合で、180℃に設定したラボプラストミル(東洋精機社製)を用いて5分間溶融混練し、次いで架橋剤及び架橋助剤を表1に示した割合で添加し、トルクの値が最高値を示すまで(3〜7分)180℃でさらに溶融混練し動的架橋を行った。得られた熱可塑性エラストマー組成物を180℃でシート状に成形した。
【0081】
(比較例6)
ARPIBを用い、実施例1と同様にして、表1に示す割合で組成物を作成した。しかし、この組成物を用いて、シート状の成形体を得ることはできなかった。
【0082】
(比較例7)
三菱化学社製ラバロンSJ5400Nを用いシートを作成した。
【0083】
上記各実施例及び比較例で得られたシートの各物性を、上記方法に従って測定した。結果を表1に示す。
【0084】
【表1】
Figure 0004160378
【0085】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、比較例1に示すイソブチレン系ブロック共重合体であるSIBS単体より、圧縮永久歪みの値が低く、イソブチレン系ブロック共重合体の特性を保持したまま、圧縮永久歪みに優れている。そして比較例5に示す架橋物にIIRを用いた場合と比較すると、硬度は同程度でありながら、圧縮永久歪みの値において優れていることが明らかである。また、比較例1と比較して、実施例1の熱可塑性エラストマー組成物はtanδの値が高く制振性に優れていることが明らかである。そして架橋反応にヒドロシリル基を2つしか持たない架橋剤4を用いた比較例2、シロキサンユニットを800個含有する架橋剤5を用いた比較例3は、実施例3よりも圧縮永久歪み、引っ張り特性において劣っており、架橋反応が十分進んでいないことが予想される。
【0086】
【発明の効果】
このように、熱可塑性エラストマー組成物は、イソブチレン系ブロック共重合体の特性を保持したまま、柔軟性に富み、成形加工性、ゴム的特性、機械的強度、圧縮永久歪み特性、制振性に優れた新規な熱可塑性エラストマー組成物である。

Claims (9)

  1. イソブチレンを主体とする重合体ブロックと芳香族ビニル系化合物を主体とする重合体ブロックを含有するイソブチレン系ブロック共重合体(A)と、末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(B)とを含有してなる組成物であって、末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(B)が、ヒドロシリル基含有ポリシロキサン(C)により架橋されてなるものであり、かつ、ヒドロシリル基含有ポリシロキサン(C)が、ヒドロシリル基を3個以上有し、シロキサンユニットを3個以上500個以下有するヒドロシリル基含有ポリシロキサンである熱可塑性エラストマー組成物。
  2. ヒドロシリル基含有ポリシロキサン(C)が、ヒドロシリル基を3個以上有し、シロキサンユニットを10個以上200個以下有するヒドロシリル基含有ポリシロキサンである請求項1記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  3. 末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(B)は、アリルトリメチルシランとイソブチレン系重合体末端の塩素との置換反応により、末端にアリル基が導入されたものである請求項1又は2記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  4. イソブチレン系ブロック共重合体(A)と末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(B)の溶融混練時に、末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(B)を動的に架橋したものである請求項1〜3のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  5. イソブチレン系ブロック共重合体(A)を構成するブロックが、イソブチレンを主体とする重合体ブロック(a)と、芳香族ビニル系化合物を主体とする重合体ブロック(b)とからなり、(b)−(a)−(b)の構造を示すトリブロック共重合体である請求項1〜のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  6. さらに補強材(D)を含有する請求項1〜のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  7. 補強材(D)がポリスチレン、ポリフェニレンエーテル及びそれらの混合物から選択される少なくとも一種である請求項記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  8. さらに可塑剤(E)を含有する請求項1〜のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  9. イソブチレン系ブロック共重合体(A)100重量部に対し、末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(B)を50〜400重量部含有することを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物。
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