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JP4160275B2 - エネルギー測定方法及び測定装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、入力された信号パルスのパルス波形に対し、その信号強度を積分して信号パルスのエネルギーを測定するエネルギー測定方法及び測定装置に関するものである。本発明は放射線のエネルギー計測や線量計測のみならず、放射線の検出位置情報や放射線画像の計測などにも広く応用され、とくに核医学診断に用いられるガンマカメラ、SPECT(Single photon emission computed tomography)装置、PET(Positron emission tomography)装置などにも応用される。
【0002】
【従来の技術】
γ線や荷電粒子などの放射線(エネルギー線)について測定を行う場合、放射線の検出には、例えばシンチレータを用いたシンチレーション検出器などの放射線検出器が用いられる。そして、放射線検出器から出力された検出信号に対して、所定の信号処理あるいはさらに演算処理等を行うことにより必要な情報が得られる。
【0003】
例えば、シンチレーション検出器では、シンチレータ中で発生するパルス状のシンチレーション光によって、シンチレータに入射した放射線を検出する。このシンチレーション光による光信号パルスは、光電子増倍管などの光検出器で電気信号パルスに変換される。すなわち、シンチレーション光が光電子増倍管の光電面に入射するとその光電面から光強度に比例して複数の光電子を発生し、この光電子は第一ダイノードに集められたのち、順次後続のダイノードによって増倍され、パルス信号(電流信号)となって出力される。
【0004】
一般に、放射線検出器に使用されるシンチレータのシンチレーション光は例えば指数関数的に信号強度が減衰するようなパルス波形を有する。そして、第一ダイノードに集められる光電子の総数がシンチレータに吸収された放射線のエネルギーに対応する。そこで放射線のエネルギーを計測するには、光電子増倍管からの出力信号を適当な時間間隔にわたって積分する必要がある。一般に1つの信号パルスによって、第一ダイノードに集められる光電子の総数は十分大きくないので、上記の積分時間はシンチレーション光の大部分を積分するように設定するのが好ましい。この積分時間が短い場合には集められる光電子数が減少するため、その統計的な変動によって、エネルギー分解能が低下する。
【0005】
放射線検出器による放射線の単位時間当たりの検出数(計数率)が高い状態で測定が行われると、信号パルス間のパルス間隔が、個々の信号パルスのパルス幅と同程度またはそれよりも短い時間間隔となる確率が増大し、2以上の信号パルスが互いに時間的に重なり合う、いわゆる「パイルアップ」が発生する。このとき、エネルギーを測定しようとする信号パルスに対して信号強度(電流信号)の積分を行うと、その信号パルスにパイルアップしている他の信号パルスの信号強度が同時に積分されてしまい、測定対象となっている信号パルスのエネルギーを正しく測定することができないという問題を生じる。
【0006】
パルス波形が1つの指数関数で表される場合、パイルアップによる誤差を少なくするために従来からよく用いられる比較的簡単な方法は、デレイライン・クリッピング法によってパルスの時間幅を短縮し、積分時間をそのパルス時間幅にほぼ等しく設定する方法である。この場合、パルスの時間幅を短くするほど積分時間も短くすることができ、高い計数率においてパイルアップを生ずる確率が減少し、計数率特性を向上することができるが、その代わり、各信号パルスごとに光電子増倍管の第一ダイノードに集められる光電子数が減少し、パイルアップが発生しないような低い計数率においてもエネルギー分解能が低下する欠点があった。
【0007】
これを改良する従来技術の1つとして、Tanakaらの方法(文献1:Nucl. Instr. Meth. Vol. 158, pp. 459-466, 1979)では、上記のようにデレイライン・クリッピング法によってパルスの時間幅を短縮するが、積分時間を後続パルスの発生によって制御し、後続パルスが発生しない範囲において十分長くすることによって、低い計数率におけるエネルギー分解能の低下を避けている。
【0008】
また、Kolodziejczykの方法(文献2:米国特許第5430406号公報)では、パルス信号(電流信号)とそれを時間的に積分した積分信号とを適当な荷重で加算することによって、時間的に一定で、かつ振幅がエネルギーに比例するような加算信号を発生させ、この加算信号の振幅をサンプリングして測定する方法が用いられている。測定対象の信号パルスの加算信号を後続の信号パルスが到来する直前にサンプリングし、その値を計測することによって、後続の信号パルスのパイルアップの影響を除去することができるが、前の信号パルスのパイルアップの影響を除去することはできない。
【0009】
さらに、他の方法として、Wongの方法(文献3:国際特許WO98/50802号公報)がある。この方法は、上記したKolodziejczykの方法と同様に電流信号と積分信号の加算信号を測定する方法を用いているが、さらに測定対象の信号パルスより以前に到来したすべての信号パルスの影響も補正するように改良したものである。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
シンチレーション検出器などの放射線検出器を利用して放射線を計測する場合、計数率が高くなって信号パルスのパイルアップが起こると、エネルギーの測定値に誤差を生じたり、エネルギー分解能が低下する。シンチレーション検出器を利用したガンマカメラ、SPECT装置、PET装置などの放射線画像計測装置において信号パルスのパイルアップが起こると、放射線エネルギーのみならず、放射線の検出位置を示す位置信号も正しく計測されないので、得られる放射線画像の解像力が低下したり画像に歪みを生じたりする。これらの高計数率における問題は従来のパイルアップ補正法によってある程度防ぐことができるが、不十分であった。
【0011】
すなわち、前記したようにデレイライン・クリッピング法によってパルス幅を短縮する方法では、パイルアップが発生しないような低い計数率においてもエネルギー分解能や画像解像力が低下する欠点があった。Tanakaらの方法でも、高い計数率まで測定できるようにパルス幅を極端に短かくすると高い計数率での分解能が低下する。電流信号と積分信号とを適当な荷重で加算した信号を用いるKolodziejczykの方法およびWongの方法では、信号パルスの電流信号が時間の経過とともに統計的に激しく変動するために、計数率の増大とともにエネルギー分解能や画像解像力が大きく低下する欠点があった。また、これらの方法はすべてシンチレーションのパルス波形が単一の指数関数で近似できる場合にのみ応用することができ、それ以外の場合、例えば減衰時定数の異なる2つ以上の指数関数の和として近似されるような場合には適用できないという欠点があった。
【0012】
本発明は、以上の問題点を解決するためになされたものであり、高い計数率においても、個々の信号パルスのエネルギーを正しくかつ精度良く測定することが可能なエネルギー測定方法及び測定装置を提供し、放射線計測や放射線画像計測の性能を向上することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するために、本発明によるエネルギー測定方法は、測定対象の信号パルスのパルス波形に対し、その信号強度を積分して信号パルスのエネルギーを測定するエネルギー測定方法であって、(1)入力された信号パルスに対し、信号パルスから次の信号パルスまでの時間間隔であるパルス間隔を取得するパルス間隔取得ステップと、(2)パルス間隔に対応するように設定された所定の積分時間で、信号パルスの信号強度を積分して積分信号強度を取得する積分強度取得ステップと、(3)積分強度取得ステップで取得された積分信号強度、及びパルス間隔取得ステップで取得されたパルス間隔から、信号パルスの全積分強度に対応するエネルギーを算出するエネルギー算出ステップとを備え、(4)エネルギー算出ステップにおいて、測定対象の信号パルスでの積分信号強度及びパルス間隔から算出された補正前のエネルギーに対して、該信号パルスよりも前に入力された信号パルスでの積分信号強度またはエネルギーの少なくとも一方及びパルス間隔からパイルアップ補正を行って、補正後のエネルギーを算出することを特徴とする。
【0014】
また、本発明によるエネルギー測定装置は、測定対象の信号パルスのパルス波形に対し、その信号強度を積分して信号パルスのエネルギーを測定するエネルギー測定装置であって、(a)入力された信号パルスを分岐した一方を入力し、信号パルスに対応するトリガ信号を生成するトリガ信号生成手段と、(b)トリガ信号生成手段からのトリガ信号を入力し、トリガ信号に基づいて、信号強度の積分を指示するためのゲート信号を生成するゲート信号生成手段と、(c)トリガ信号生成手段からのトリガ信号を入力し、信号パルスでのパルス間隔として、トリガ信号から次のトリガ信号までの時間間隔を計測するパルス間隔計測手段と、(d)入力された信号パルスを分岐した他方を入力し、所定の遅延時間だけ遅延させる遅延手段と、(e)遅延手段で遅延された信号パルス、及びゲート信号生成手段からのゲート信号を入力し、ゲート信号の指示に基づいて設定された所定の積分時間で、信号パルスの信号強度を積分して積分信号強度を取得するゲート積分手段と、(f)ゲート積分手段で取得された積分信号強度、及びパルス間隔計測手段で計測されたパルス間隔から、信号パルスの全積分強度に対応するエネルギーを算出するエネルギー算出手段とを備え、(g)エネルギー算出手段は、測定対象の信号パルスでの積分信号強度及びパルス間隔から算出された補正前のエネルギーに対して、該信号パルスよりも前に入力された信号パルスでの積分信号強度またはエネルギーの少なくとも一方及びパルス間隔からパイルアップ補正を行って、補正後のエネルギーを算出することを特徴とする。
【0015】
上記したエネルギー測定方法及び測定装置においては、測定対象として入力された信号パルスに対して、パルス波形、すなわち信号強度の時間変化(電流信号)からエネルギーを求めるとともに、その信号パルスよりも前に入力された他の信号パルスに対して先に取得されたデータを用いて、パイルアップ補正を行っている。これにより、信号パルスにパイルアップされた他の信号パルスの影響を除外して、個々の信号パルスのエネルギーを正しく測定することができる。
【0016】
また、信号パルスに対する補正前のエネルギーの算出及びパイルアップ補正に用いるデータとして、雑音信号などの影響が大きい信号パルス(電流信号)を直接に用いず、積分信号強度、パルス間隔、及びそれらから求められたエネルギーを用いている。これにより、信号パルスのエネルギーを精度良く測定することができる。以上より、信号パルス間のパルス間隔が短く、信号パルスにパイルアップを生じている場合であっても、個々の信号パルスのエネルギーを正しくかつ精度良く測定することが可能なエネルギー測定方法及び測定装置が実現される。
【0017】
また、エネルギー測定装置は、エネルギー算出手段が、パイルアップ補正の演算を含むエネルギーを算出するための演算を行うエネルギー演算手段と、測定対象の信号パルスでの積分信号強度及びパルス間隔を記憶する第1バッファメモリと、該信号パルスよりも前に入力された信号パルスでの積分信号強度またはエネルギーの少なくとも一方及びパルス間隔を記憶する第2バッファメモリとを有することを特徴とする。
【0018】
このような構成により、バッファメモリに記憶された各データを参照しつつ、エネルギーを算出するための演算を確実に行うことができる。
【0019】
具体的なエネルギーの算出方法については、エネルギー測定方法(エネルギー測定装置)は、エネルギー算出ステップにおいて、(エネルギー算出手段が、)パルス間隔Tに基づいて決定される係数A(T)及びB(T)を用い、時刻t0に入力された信号パルスP0のエネルギーE0を、信号パルスP0での積分信号強度Q0及びパルス間隔T0と、時刻t1(t1<t0)に連続して入力された信号パルスP1での積分信号強度Q1及びパルス間隔T1とから、次式
0=Q0・A(T0)−Q1・B(T1
により算出することを特徴とする。
【0020】
このような算出方法は、例えば、信号パルスのパルス波形が単一の指数関数によって表される場合の単一指数関数補正法において適用することが可能である。あるいは、パルス波形が単一の指数関数以外の一般波形によって表される場合の2項近似法においても適用することが可能である。
【0021】
あるいは、エネルギー測定方法(エネルギー測定装置)は、エネルギー算出ステップにおいて、(エネルギー算出手段が、)測定対象の信号パルスよりも前に入力された信号パルスのうちでパイルアップ補正に用いる信号パルスの個数をJ個(J=1以上の整数)とするとともに、パルス間隔Tに基づいて決定される係数C0(T)及びCj(T)(j=1、…、J)を用い、時刻t0に入力された信号パルスP0のエネルギーE0を、信号パルスP0での積分信号強度Q0及びパルス間隔T0と、それぞれ時刻tj(tj<tj-1)に連続して入力されたJ個の信号パルスPjでのエネルギーEj及びパルス間隔Tjとから、次式
0=Q0・C0(T0
−Σj=1Jj・Cj(Tj
により算出することを特徴とする。
【0022】
このような算出方法は、例えば、信号パルスのパルス波形が単一の指数関数以外の一般波形によって表される場合の多項補正法において適用することが可能である。
【0023】
あるいは、エネルギー測定方法(エネルギー測定装置)は、エネルギー算出ステップにおいて、(エネルギー算出手段が、)パルス間隔Tに基づいて決定される係数D0(T)、D1(T)及びD2(T)を用い、時刻t0に入力された信号パルスP0のエネルギーE0を、信号パルスP0での積分信号強度Q0及びパルス間隔T0と、時刻t1(t1<t0)に連続して入力された信号パルスP1でのエネルギーE1及びパルス間隔T1と、時刻t2(t2<t1)に連続して入力された信号パルスP2での積分信号強度Q2及びパルス間隔T2とから、次式
0=Q0・D0(T0
−E1・D1(T1)−Q2・D2(T2
により算出することを特徴とする。
【0024】
このような算出方法は、例えば、信号パルスのパルス波形が単一の指数関数以外の一般波形によって表される場合の3項近似法において適用することが可能である。
【0025】
また、エネルギー測定方法は、エネルギー算出ステップにおいて、パルス間隔Tに基づいて決定され、エネルギーの算出に用いられる係数のそれぞれについて、複数のパルス間隔の値に対してあらかじめ求められた係数の値から作成されたルックアップテーブルを用いることを特徴とする。
【0026】
同様に、エネルギー測定装置は、エネルギー算出手段が、パルス間隔Tに基づいて決定され、エネルギーの算出に用いられる係数のそれぞれについて、複数のパルス間隔の値に対してあらかじめ求められた係数の値から作成されたルックアップテーブルを有することを特徴とする。
【0027】
このような構成により、ルックアップテーブルにあらかじめ用意された係数の値を参照しつつ、エネルギーを算出するための演算を効率的に行うことができる。ただし、これらの係数については、エネルギー算出手段でその都度求めることとしても良い。
【0028】
また、エネルギー測定方法は、信号パルスのパルス波形をあらかじめ設定された波形弁別条件に基づいて複数種類のパルス波形に弁別するパルス波形弁別ステップをさらに備え、エネルギー算出ステップにおいて、パルス波形弁別ステップで弁別されたパルス波形の種類に対応した算出方法を用いてエネルギーを算出することを特徴とする。
【0029】
同様に、エネルギー測定装置は、信号パルスのパルス波形をあらかじめ設定された波形弁別条件に基づいて複数種類のパルス波形に弁別するパルス波形弁別手段をさらに備え、エネルギー算出手段が、パルス波形弁別手段で弁別されたパルス波形の種類に対応した算出方法を用いてエネルギーを算出することを特徴とする。
【0030】
これにより、互いに異なる複数種類のパルス波形のいずれかを有する信号パルスがエネルギーの測定対象となるような場合において、入力された信号パルスに対して、それぞれのパルス波形に対応する好適な算出方法を用いてエネルギーの算出を行うことができる。
【0031】
また、エネルギー測定装置は、ゲート積分手段において信号パルスの信号強度を積分する積分時間を、測定対象の信号パルスそれぞれに対して、あらかじめ設定された最大積分時間Tmax、及びパルス間隔Tからゲート積分手段のリセット時間Trを引いた時間T−Trのうちの短い時間である実効積分時間T’
T’=min(Tmax,T−Tr
として設定することを特徴とする。
【0032】
これにより、積分時間が長時間にわたることを防止するとともに、信号パルスそれぞれでのパルス間隔に応じて好適な積分時間を設定して、算出されるエネルギーの精度を極力向上させることができる。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、図面とともに本発明によるエネルギー測定方法及び測定装置の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0034】
まず、本発明によるエネルギー測定方法及び測定装置における測定対象となる信号パルスの例として、図1及び図2に示す時間波形のグラフを用いて、放射線検出器として用いられるシンチレーション検出器から検出信号として出力される信号パルスについて説明する。
【0035】
図1は、シンチレーション検出器から放射線検出に対応して出力される信号パルスについて、そのパルス波形である信号強度の時間波形(電流信号波形)の一例を模式的に示すグラフである。このグラフにおいて、横軸は時間tを、また、縦軸は各時刻における信号パルスの信号強度(電流値)を示している。
【0036】
シンチレーション検出器では、シンチレータ中で発生するシンチレーション光による光信号パルスに応じて、シンチレータに接続された光検出器から電気信号パルスPが出力される。この信号パルスPは、一般に、シンチレーション光の発生時刻に対応する時刻に立ち上がった信号強度が、ある程度のパルス時間幅にわたる時間的な広がりを持って減衰するパルス波形を有する。
【0037】
具体的には、信号パルスPのパルス波形は、例えば、図1に示すように、信号強度が立ち上がり時刻で立ち上がった後に、時間tの経過とともに単一の指数関数にしたがって減衰する時間波形f(t)
【0038】
【数1】
Figure 0004160275
で近似されるパルス波形を示す。ここで、式(1)において、τは、信号パルスPのパルス波形での信号強度の減衰時定数、tは、信号パルスPの立ち上がり時刻からの経過時間を示している。また、Eは、パルス波形の信号強度の全積分強度に対応する信号パルスPのエネルギーである。
【0039】
信号パルスPに対してエネルギーEの測定を行う場合、信号パルスPのパルス幅や減衰時定数τに応じて好適な積分時間を設定し、設定された積分時間にわたって、パルス波形f(t)での信号強度を積分する。信号パルスPの立ち上がり時刻から信号強度の積分を行う積分時間をTとすると、得られる積分電荷量である積分信号強度Q(T)は、次式
【0040】
【数2】
Figure 0004160275
で表される。
【0041】
この積分信号強度Q(T)は、図1中において斜線を付して示した範囲での信号強度の積分値に相当し、積分時間Tを長くするにしたがって、全積分強度である信号パルスPのエネルギーEに近付く。表式上の便利のため、積分レスポンスG(T)を
【0042】
【数3】
Figure 0004160275
のように定義すると、式(2)に示した積分信号強度はQ(T)=EG(T)となる。
【0043】
図2は、信号パルスのパイルアップの発生について示すグラフである。このような信号パルスのパイルアップは、例えば、シンチレーション検出器における放射線の単位時間当りの検出数(計数率)が高く、信号パルス間のパルス時間間隔が短くなった場合に発生する。すなわち、信号パルス間のパルス間隔が、個々の信号パルスのパルス幅と同程度またはそれよりも短くなると、図2(a)の時間波形のグラフに示すように、2以上の信号パルスPのパルス波形が互いに重なり合うパイルアップを生じる。
【0044】
図2(a)のグラフにおいては、エネルギーを測定しようとする信号パルスとして図示した信号パルスP0のパルス波形に対し、信号パルスP0よりも前の連続する2つの信号パルスP1、P2について、それぞれ同様にパルス波形を示している。これらの信号パルスP1及びP2は、いずれも測定対象の信号パルスP0に対してパイルアップしている。
【0045】
ここで、図2(a)に示すように、これらの信号パルスそれぞれの立ち上がり時刻について、信号パルスP0の立ち上がり時刻を0として、信号パルスP1の立ち上がり時刻を−t1、信号パルスP2の立ち上がり時刻を−t2(−t2<−t1<0)とする。また、対象とする信号パルスから次の信号パルスまでのパルス間隔について、信号パルスP2でのパルス間隔をT2、信号パルスP1でのパルス間隔をT1、信号パルスP0でのパルス間隔をT0とする。
【0046】
これらの信号パルスのパルス波形に対し、信号パルスPi(i=2、1、0)のそれぞれについて、次の信号パルスまでのパルス間隔Tiを積分時間として信号強度の積分を行うとする。このとき、信号パルスP0に対する積分信号強度として、積分時間T0にわたって積分した積分信号強度Q0(T0)が得られる(図2(a)中において斜線を付して示した範囲での積分値)。同様に、信号パルスP1、P2に対する積分信号強度として、積分時間T1、T2にわたって積分した積分信号強度Q1(T1)、Q2(T2)がそれぞれ得られる。
【0047】
測定しようとする信号パルスP0のエネルギーE0は、図2(b)中において斜線を付して示すように、信号パルスP0のパルス波形に含まれる信号強度の全体を積分した積分信号強度に相当する。ここで、信号パルスの頻度が低くパイルアップが発生していない場合には、測定対象としている信号パルスのパルス波形f(t)が既知であれば、上記した式(2)を用いて、積分信号強度Q0、及び積分時間であるパルス間隔T0から、信号パルスP0のエネルギーをE0=Q0/G(T0)と求めることができる。
【0048】
一方、信号パルスのパイルアップが発生している場合には、信号パルスP0に対して実際に得られる積分信号強度Q0は、図2(a)に示すように、信号パルスP0自体の信号強度の積分値に加えて、信号パルスP0よりも前の信号パルスで信号パルスP0にパイルアップしている他の信号パルスP1、P2の信号強度の積分値を含んでいる。このとき、積分信号強度Q0は、信号パルスP0の信号強度、及びその全積分強度であるエネルギーE0と直接には対応しない。したがって、この積分信号強度Q0をそのまま用いたのでは、信号パルスP0のエネルギーE0を正しく測定することができない。
【0049】
以上より、信号パルスのパイルアップが発生した場合、信号パルスPのエネルギーEを正しく測定するためには、エネルギーEを算出する際に、測定対象の信号パルスPにパイルアップしている他の信号パルスの影響を除去するパイルアップ補正を行う必要がある。
【0050】
本発明によるエネルギー測定方法及び測定装置は、このようなパイルアップ補正を所定の方法及び構成を用いて行うことにより、信号パルスのパイルアップが発生している場合であっても、個々の信号パルスのエネルギーを正しくかつ精度良く測定することを可能とするものである。
【0051】
図3は、本発明によるエネルギー測定装置の第1実施形態の構成を示すブロック図である。本エネルギー測定装置1は、測定対象として入力された信号パルスPのパルス波形に対し、その信号強度を積分することによって信号パルスPのエネルギーEを測定するエネルギー測定回路(信号処理回路)であり、信号パルスPのエネルギーEを算出するための演算等を行うエネルギー算出部10を含んで構成されている。
【0052】
エネルギー測定の測定対象となる信号パルスP、例えば図1及び図2に示したシンチレーション検出器からの検出信号の電気信号パルスは、エネルギー測定装置1に入力され、2つの信号パルスに分岐される。
【0053】
分岐された一方の信号パルスは、トリガ信号生成器21へと入力される。トリガ信号生成器21は、信号パルスPに対応するトリガ信号を生成する。具体的には、例えば、入力された信号パルスPのパルス波形に対して、信号強度の下限値となるスレッショルドをあらかじめ設定しておき、信号パルスPの信号強度がスレッショルドを超えたときに、その信号パルスPに対応するトリガ信号を生成して出力する。
【0054】
トリガ信号生成器21から出力されたトリガ信号は、ゲート信号生成器22及びパルス間隔計測器23へと入力される。ゲート信号生成器22は、トリガ信号に基づいて、信号パルスPに対する信号強度の積分を指示(例えば積分のON/OFFを指示)するためのゲート信号を生成する。また、パルス間隔計測器23は、測定しようとする信号パルスPから次の信号パルスまでのパルス間隔Tとして、トリガ信号から次のトリガ信号までの時間間隔を計測する。
【0055】
一方、分岐された他方の信号パルスは、遅延回路31へと入力される。遅延回路31は、ゲート信号による指示に基づいて信号強度の積分を行うため、入力された信号パルスPを所定の遅延時間だけ遅延させて出力する。
【0056】
遅延回路31によって遅延された信号パルスPは、ゲート積分器32へと入力される。また、このゲート積分器32には、ゲート信号生成器22からのゲート信号も入力されている。ゲート積分器32は、このゲート信号の指示に基づいて設定された所定の積分時間によって、遅延回路31から入力された信号パルスPの信号強度を積分し、得られた積分信号強度Qを出力する。
【0057】
信号パルスPのエネルギーEを算出するエネルギー算出部10には、上記したゲート積分器32で取得された積分信号強度Qと、パルス間隔計測器23で計測されたパルス間隔Tとが入力される。エネルギー算出部10は、信号パルスPにパイルアップされた他の信号パルスの影響が除去されるようにパイルアップ補正を行いつつ、積分信号強度Q及びパルス間隔Tから、信号パルスPの全積分強度に対応するエネルギーEを算出する。
【0058】
本実施形態のエネルギー測定装置1によって実行される信号パルスPのエネルギー測定方法は、概略以下の通りである(図2(a)参照)。
【0059】
まず、エネルギー測定装置1に測定対象として入力された信号パルスP0に対して、パルス間隔計測器23において、その信号パルスP0から次の信号パルスまでのパルス間隔T0を取得する(パルス間隔取得ステップ)。また、ゲート積分器32において、ゲート信号の指示に基づいてパルス間隔T0に対応するように設定された所定の積分時間で、信号パルスP0の信号強度を積分して積分信号強度Q0を取得する(積分強度取得ステップ)。
【0060】
そして、これらの積分信号強度Q0及びパルス間隔T0から、エネルギー算出部10において、信号パルスP0のエネルギーE0を算出する(エネルギー算出ステップ)。
【0061】
このとき、測定しようとする信号パルスP0での積分信号強度Q0及びパルス間隔T0から算出された補正前のエネルギーに対して、その信号パルスP0よりも前に入力された信号パルス(例えば信号パルスP1)について先に取得されている積分信号強度(例えば積分信号強度Q1)またはエネルギー(例えばエネルギーE1)の少なくとも一方及びパルス間隔(例えばパルス間隔T1)を用いてパイルアップ補正を行う。これにより、信号パルスP0にパイルアップされた他の信号パルスの影響が極力除去された補正後のエネルギーE0が算出されて、エネルギー測定装置1から出力される。
【0062】
上述したエネルギー測定装置及び測定方法の効果について説明する。
【0063】
本実施形態のエネルギー測定装置1及びエネルギー測定方法においては、測定対象として入力された信号パルスPに対して、パルス波形、すなわち信号強度の時間変化からエネルギーEを求めるとともに、その信号パルスPよりも前に入力された他の信号パルスに対して先に取得されているデータを用いて、パイルアップ補正を行っている。これにより、信号パルスPにパイルアップされた他の信号パルスの影響を除外して、個々の信号パルスPのエネルギーEを正しく測定することができる。
【0064】
また、信号パルスPに対する補正前のエネルギーの算出及びパイルアップ補正に用いるデータとして、信号パルスPに発生する雑音信号などの影響が大きい信号パルスPの信号強度を直接に用いず、ゲート積分器32によって信号強度が積分された積分信号強度Q、パルス間隔計測器23で計測されたパルス間隔T、及びそれらから求められたエネルギーEをエネルギー算出に用いている。これにより、信号パルスPのエネルギーEを精度良く測定することができる。
【0065】
以上より、信号パルス間のパルス間隔が短く、信号パルス同士にパイルアップを生じている場合であっても、個々の信号パルスのエネルギーを正しくかつ精度良く測定することが可能なエネルギー測定方法及び測定装置が実現される。このような方法は、信号パルスのパルス波形が単一の指数関数で表される場合に限らず、一般的な時間波形に対して、広い範囲で適用が可能である。
【0066】
なお、エネルギー測定装置1に含まれる各回路要素等については、必要に応じて、様々なものを用いて良い。ゲート積分器32による信号強度の積分については、アナログ演算で電流信号を積分しても良いし、あるいは、連続的なサンプリングによって信号波形をデジタル化した後に、デジタル演算で積分を行う構成とすることも可能である。また、パルス間隔計測器23によるパルス間隔の計測については、例えば、パルス間隔計測器23にクロックパルスを入力しておき、クロックパルスを計数することによって時間間隔を計測する方法を用いることができる。
【0067】
エネルギー測定装置の構成、及び測定装置で実行されるエネルギーの算出方法を含むエネルギー測定方法について、さらに具体的に説明する。
【0068】
図4は、エネルギー測定装置の第2実施形態の構成を示すブロック図である。このエネルギー測定装置1は、例えば、測定対象となる信号パルスPのパルス波形が図1及び図2に示した例のように単一の指数関数で表される場合において、その信号パルスのエネルギー測定に適用することが可能な構成となっている。
【0069】
本実施形態のエネルギー測定装置1の構成は、トリガ信号生成器21、ゲート信号生成器22、パルス間隔計測器23、遅延回路31、及びゲート積分器32については、図3に示した実施形態と同様である。
【0070】
本実施形態におけるエネルギー算出部10は、エネルギー演算器11と、ルックアップテーブル12と、2つのバッファメモリ40、41とを有して構成されている。エネルギー演算器11は、測定対象である信号パルスP0の入力に対応して、そのエネルギーE0を算出するために必要な演算を行う。また、ルックアップテーブル12には、後述するように、エネルギー演算器11で実行される演算において用いられる係数のデータが格納されている。
【0071】
バッファメモリ40には、各時点で測定対象となっている信号パルスP0に対応して、ゲート積分器32から入力された積分信号強度Q0、及びパルス間隔計測器23から入力されたパルス間隔T0が記憶される。また、バッファメモリ41には、信号パルスP0よりも前の信号パルスP1での積分信号強度Q1及びパルス間隔T1が記憶される。これらの各データは、エネルギー演算器11で行われるエネルギーを算出するための演算に対する入力データとなる。
【0072】
このように、エネルギーE0を算出するための演算を行うエネルギー演算器11と、測定対象の信号パルスP0での積分信号強度Q0及びパルス間隔T0を記憶するバッファメモリ40(第1バッファメモリ)と、信号パルスP0よりも前に入力された信号パルスP1での積分信号強度Q1及びパルス間隔T1を記憶するバッファメモリ41(第2バッファメモリ)とを有するエネルギー算出部10の構成とすることにより、バッファメモリに記憶された各データを参照しつつ、エネルギーEを算出するための演算を確実に行うことができる。
【0073】
図4に示したエネルギー測定装置1の構成、特にエネルギー算出部10の構成を参照しつつ、信号パルスPのパルス波形が式(1)に示した時間波形f(t)のように単一の指数関数で表される場合に適用が可能なエネルギーEの算出方法である単一指数関数補正法について説明する。
【0074】
信号パルスP0のパルス波形が式(1)の時間波形f(t)で表される場合、信号パルスのパイルアップが発生していないとすると、パルス間隔T0を積分時間として信号強度を積分した積分信号強度Q0は、
【0075】
【数4】
Figure 0004160275
となる。このとき、信号パルスP0のエネルギーE0は、バッファメモリ40に記憶されている積分信号強度Q0及びパルス間隔T0から、
【0076】
【数5】
Figure 0004160275
と求められる。
【0077】
これに対して、信号パルスのパイルアップが発生している場合には、積分信号強度Q0は、信号パルスP0よりも前の信号パルスP1、P2等の信号強度の積分値を含んでいる。したがって、エネルギーE0を正しく求めるには、式(5)の右辺Q0/G(T0)から信号パルスP1、P2等の信号強度の積分値を除去するパイルアップ補正を行う必要がある。そして、この除去すべき信号強度の積分値は、パルス波形が単一の指数関数である場合には、測定対象である信号パルスP0の直前の信号パルスP1に対して先に取得されたデータとしてバッファメモリ41に記憶されている積分信号強度Q1及びパルス間隔T1から求めることができる。
【0078】
以上より、単一指数関数補正法においては、信号パルスP0に対するパイルアップ補正後のエネルギーE0は、バッファメモリ40に記憶されている積分信号強度Q0及びパルス間隔T0と、バッファメモリ41に記憶されている積分信号強度Q1及びパルス間隔T1とから、以下の式(6)
【0079】
【数6】
Figure 0004160275
によって求めることができる。
【0080】
上記した式(6)では、各信号パルスPiに対する信号強度の積分時間として、次の信号パルスまでのパルス間隔Tiをそのまま用いている。これに対して、実際には、ゲート積分器32での積分値の読取及びリセットにある程度の時間を要することを考慮して、積分時間を設定する必要がある。また、パルス間隔Tiが長くなった場合に長時間にわたって信号強度を積分することがないように、積分時間の上限値として最大積分時間を設定しておくことが好ましい。
【0081】
ゲート積分器32において積分値の読取及びリセットに要するリセット時間をTr、上限値として設定された最大積分時間をTmaxとすると、信号パルスPのパルス間隔Tに対して、実際に信号強度の積分を行う実効積分時間T’は、
【0082】
【数7】
Figure 0004160275
となる。
【0083】
図5は、信号パルスPのパルス波形に対するパルス間隔T及び実効積分時間T’について示すグラフである。ここで、図5(a)のグラフは、図2(a)と同様に、信号強度の時間変化である信号波形を示している。また、図5(b)のグラフは、図5(a)に示した信号波形を積分した積分信号強度の時間変化である積分波形を示している。
【0084】
図5においては、例として、信号パルスP0でのパルス間隔T0が最大積分時間Tmaxに対してT0−Tr<Tmaxを満たしている場合について示している。このとき、信号パルスP0でのパルス間隔T0に対応する実効積分時間T0’は、T0’=T0−Trとなる。ゲート積分器32から出力される積分信号強度は、信号パルスP0の信号波形に対し、図5(b)に示すように、積分開始から実効積分時間T0’にわたって信号強度の積分によって増加する積分波形となる。そして、次の信号パルスの積分開始までのリセット時間Trでリセットされ、また、ゲート積分器32において積分値の読取が実行される。
【0085】
このように、実効積分時間T’を信号強度の積分時間とすることにより、積分時間が長時間にわたることを防止するとともに、信号パルスPそれぞれでのパルス間隔Tに応じて好適な積分時間を設定して、算出されるエネルギーEの精度を極力向上させることができる。なお、最大積分時間Tmaxは、例えば、パルス波形f(t)の減衰時定数τに対して、3τ程度に設定される。
【0086】
また、この実効積分時間T’では、パルス間隔Tが長い場合に対して最大積分時間Tmaxを設定したが、逆にパルス間隔Tが短い場合に対しては、エネルギーEの算出を実行するための最小パルス間隔を設定しておいても良い。この場合、最小パルス間隔は、測定対象の信号パルスP0の前のパルス間隔T1、及び後のパルス間隔T0に対してそれぞれ設定しておくことが好ましい。
【0087】
前のパルス間隔T1に対して最小パルス間隔を設けることにより、信号パルスP0に対する前の信号パルスP1のパイルアップが大き過ぎる場合を除外することができる。また、後のパルス間隔T0に対して最小パルス間隔を設けることにより、信号パルスP0の積分時間が充分に確保できない場合を除外することができる。
【0088】
上記した実効積分時間T’の適用に対し、パルス間隔Tに対応する積分レスポンスG(T)に代えて実効積分時間T’に対応する実効積分レスポンスH(T)を定義すると、このH(T)は、
【0089】
【数8】
Figure 0004160275
と表される。信号パルスP0に対するパイルアップ補正後のエネルギーE0は、この実効積分レスポンスH(T)を用いて、上記した式(6)を修正した以下の式(9)
【0090】
【数9】
Figure 0004160275
によって求めることができる。
【0091】
この式(9)において、A(T)は、ゲート積分器32で取得された積分信号強度Q0から全積分強度に対応するエネルギーE0を求めるための係数であり、その値は信号パルスP0のパルス間隔T0に基づいて決定される。また、B(T)は、直前の連続する信号パルスP1での積分信号強度Q1を用いてパイルアップ補正を行うための係数であり、その値は信号パルスP1のパルス間隔T1に基づいて決定される。
【0092】
以上より、エネルギー演算器11において、パルス間隔T0及びT1を参照して係数A(T0)及びB(T1)を決定することによって、バッファメモリ40に記憶されている積分信号強度Q0、及びバッファメモリ41に記憶されている積分信号強度Q1から、信号パルスP0の正確なエネルギーE0を容易に求めることができる。
【0093】
ここで、エネルギーE0の算出に用いられる係数A(T)及びB(T)のそれぞれについては、複数のパルス間隔Tの値に対してあらかじめ各係数の値を求めておき、それらの係数の値からルックアップテーブル12(図4参照)を作成しておくことが好ましい。これにより、取得されたパルス間隔T0及びT1に対して、ルックアップテーブル12に含まれている係数A(T)のルックアップテーブル及び係数B(T)のルックアップテーブルの2つのルックアップテーブルからそれぞれ係数の値A(T0)及びB(T1)を読み出して、パイルアップ補正がされたエネルギーE0を短時間で効率的に算出することが可能となる。
【0094】
次に、信号パルスPのパルス波形が単一の指数関数で表せない一般的な時間波形(一般波形)である場合について説明する。
【0095】
シンチレーション検出器から放射線検出に対応して出力される信号パルスの一般波形は、例えば、減衰時定数が異なる複数の指数関数の和によって表される。図6は、このような一般波形を有する信号パルスのパルス波形の例として、減衰時定数が小さく減衰が早い成分と、減衰時定数が大きく減衰が遅い成分とを含むパルス波形f(t)=Eg(t)を模式的に示すグラフである。
【0096】
このような一般波形を有する信号パルスに対するパイルアップ補正では、時間波形の相違により、上記した式(6)または式(9)を適用することはできないが、信号パルスにパイルアップされる前の信号パルスによる信号強度(電荷量)を先に測定された他の信号パルスのエネルギーから推定して、同様に、パイルアップ補正を行うことが可能である。
【0097】
図7は、エネルギー測定装置の第3実施形態の構成を示すブロック図である。このエネルギー測定装置1は、例えば、測定対象となる信号パルスPのパルス波形が図6に示した例のように単一の指数関数で表せない一般波形である場合において、その信号パルスのエネルギー測定に適用することが可能な構成となっている。
【0098】
本実施形態のエネルギー測定装置1の構成は、トリガ信号生成器21、ゲート信号生成器22、パルス間隔計測器23、遅延回路31、及びゲート積分器32については、図3に示した実施形態と同様である。
【0099】
本実施形態におけるエネルギー算出部10は、エネルギー演算器11と、ルックアップテーブル12と、データ入力側のバッファメモリ45と、エネルギー出力側のバッファメモリ50とを有して構成されている。エネルギー演算器11は、測定対象である信号パルスP0の入力に対応して、そのエネルギーE0を算出するために必要な演算を行う。また、ルックアップテーブル12には、エネルギー演算器11で実行される演算において用いられる係数のデータが格納されている。
【0100】
データ入力側のバッファメモリ45には、各時点で測定対象となっている信号パルスP0に対応して、ゲート積分器32から入力された積分信号強度Q0、及びパルス間隔計測器23から入力されたパルス間隔T0が記憶される。また、信号パルスP0よりも前の連続するJ個(J=1以上の整数)の信号パルスP1、P2、…、PJでのパルス間隔T1、T2、…、TJも記憶されている。また、エネルギー出力側のバッファメモリ50には、信号パルスP0に対して算出されたエネルギーE0が記憶される。また、信号パルスP0よりも前のJ個の信号パルスP1、P2、…、PJでのエネルギーE1、E2、…、EJも記憶されている。これらの各データは、エネルギー演算器11で行われるエネルギーを算出するための演算に対する入力データとなる。
【0101】
図7に示したエネルギー測定装置1の構成、特にエネルギー算出部10の構成を参照しつつ、信号パルスPのパルス波形が一般波形である場合に適用が可能なエネルギーEの算出方法である多項補正法について説明する。
【0102】
図6にその例を示したように、信号パルスPのパルス波形が一般的な時間波形としてf(t)=Eg(t)と表されているとすると、単一の指数関数の場合に関して式(3)に示した積分レスポンスに対応する積分レスポンスG(T)は、
【0103】
【数10】
Figure 0004160275
となる。さらに、ゲート積分器32でのリセット時間Tr及び最大積分時間Tmaxを考慮して式(7)の実効積分時間T’を適用すると、式(8)に示した実効積分レスポンスに対応する実効積分レスポンスH(T)は、
【0104】
【数11】
Figure 0004160275
と表される。信号パルスP0に対するパイルアップ補正後のエネルギーE0は、この実効積分レスポンスH(T)を用い、以下の式(12)
【0105】
【数12】
Figure 0004160275
によって求めることができる。
【0106】
ここで、Jは、測定対象の信号パルスP0よりも前に入力された信号パルスのうちでパイルアップ補正に用いる信号パルスP1、…、PJの個数である。この個数J個は、上記したバッファメモリ45に記憶されている前のパルス間隔T1、…、TJのデータ数、及びバッファメモリ50に記憶されている前のエネルギーE1、…、EJのデータ数とも対応している。
【0107】
また、この式(12)において、C0(T)は、ゲート積分器32で取得された積分信号強度Q0から全積分強度に対応するエネルギーE0を求めるための係数であり、その値は信号パルスP0のパルス間隔T0に基づいて決定される。また、Cj(Tj)=Cj(tj,T0)(j=1、…、J)は、信号パルスP0よりも前のJ個の信号パルスPjそれぞれでのエネルギーEjを用いてパイルアップ補正を行うための係数であり、信号パルスPjのパルス間隔Tjに基づいて決定される。なお、tjは、信号パルスP0の立ち上がり時刻を0としたときの信号パルスPjの立ち上がり時刻に対応するものであり(図2参照)、パルス間隔Tjを用いて表すと、
【0108】
【数13】
Figure 0004160275
である。
【0109】
以上より、エネルギー演算器11において、パルス間隔T0、T1、…、TJを参照して係数C0(T0)、Cj(Tj)を決定することによって、信号パルスP0のパルス波形が一般波形の場合でも、バッファメモリ45に記憶されている積分信号強度Q0、及びバッファメモリ50に記憶されているエネルギーE1、…、EJから、信号パルスP0の正確なエネルギーE0を容易に求めることができる。
【0110】
ここで、エネルギーE0の算出に用いられる係数C0(T)及びCj(T)(j=1、…、J)のそれぞれについては、複数のパルス間隔Tの値に対してあらかじめ各係数の値を求めておき、それらの係数の値からそれぞれルックアップテーブル12(図7参照)を作成しておくことが好ましい。これにより、パイルアップ補正がされたエネルギーE0を短時間で効率的に算出することが可能となる。
【0111】
また、パイルアップ補正に用いる信号パルスの個数Jについては、Jを多くするほど、パイルアップ補正の精度、したがって算出されるエネルギーE0の精度が向上される。実際には、測定対象である信号パルスのパルス波形や信号パルスの入力頻度、エネルギーE0を算出するための演算に要する時間、用意するルックアップテーブルのデータ量などを考慮して、好適な個数にJを設定することが好ましい。
【0112】
一般波形に対する式(12)によるエネルギー算出方法は、上述したように、信号パルスP0よりも前のJ個の信号パルスを用いてパイルアップ補正を行う多項補正法によるものである。この式(12)は、J+1番目以降の信号パルスの影響を無視することを除けば、エネルギーE0の正確な展開式となっている。これに対して、エネルギー演算を簡単化するとともに演算に用いるデータ数を減少するため、2項近似法や3項近似法などの近似法を用いて、一般波形でのパイルアップ補正を行うことも可能である。
【0113】
まず、2項近似法では、信号パルスP0のエネルギーE0の算出において信号パルスP2以前の信号パルスの電荷を無視し(図2(a)参照)、直前の信号パルスP1の立ち上がり時刻−t1から信号パルスP0の立ち上がり時刻0までの電荷量を、すべて信号パルスP1によるものと仮定する。このとき、パイルアップ補正後の信号パルスP0のエネルギーE0は、以下の式(14)
【0114】
【数14】
Figure 0004160275
によって近似的に求めることができる。ただし、xは、パルス波形に応じて経験的に定められる補正係数である。
【0115】
図8は、式(14)による2項近似法を用いたエネルギーの算出方法に対応するエネルギー算出部の構成の一例を示すブロック図である。このエネルギー算出部10は、エネルギー演算器11と、ルックアップテーブル12と、データ入力側の2つのバッファメモリ40、41とを有して構成されている。この構成は、エネルギー演算器11で実行される演算の内容を除けば、図4に示したものと同等である。
【0116】
バッファメモリ40には、各時点で測定対象となっている信号パルスP0に対応して、積分信号強度Q0及びパルス間隔T0が記憶される。また、バッファメモリ41には、信号パルスP1での積分信号強度Q1及びパルス間隔T1が記憶される。
【0117】
エネルギー演算器11は、パルス間隔T0及びT1を参照して係数D0(T0)及びD1(T1)を決定し、または、ルックアップテーブル12から係数D0(T0)及びD1(T1)の値を読み出す。これにより、バッファメモリ40に記憶されている積分信号強度Q0、及びバッファメモリ41に記憶されている積分信号強度Q1から、式(14)によってパイルアップ補正されたエネルギーE0を求めることができる。
【0118】
また、3項近似法では、信号パルスP0のエネルギーE0の算出において信号パルスP3以前の信号パルスの電荷を無視し、信号パルスP1でのエネルギーE1の影響は正しく補正するとともに、信号パルスP2の立ち上がり時刻−t2から信号パルスP1の立ち上がり時刻−t1までの電荷量を、すべて信号パルスP2によるものと仮定する。このとき、パイルアップ補正後の信号パルスP0のエネルギーE0は、以下の式(15)
【0119】
【数15】
Figure 0004160275
によって近似的に求めることができる。ただし、xは、パルス波形に応じて経験的に定められる補正係数である。
【0120】
図9は、式(15)による3項近似法を用いたエネルギーの算出方法に対応するエネルギー算出部の構成の一例を示すブロック図である。このエネルギー算出部10は、エネルギー演算器11と、ルックアップテーブル12と、データ入力側の3つのバッファメモリ40、41、42と、エネルギー出力側のバッファメモリ50とを有して構成されている。
【0121】
データ入力側のバッファメモリ40には、各時点で測定対象となっている信号パルスP0に対応して、積分信号強度Q0及びパルス間隔T0が記憶される。また、バッファメモリ41には、信号パルスP1での積分信号強度Q1及びパルス間隔T1が記憶される。また、バッファメモリ42には、信号パルスP2での積分信号強度Q2及びパルス間隔T2が記憶される。また、エネルギー出力側のバッファメモリ50には、信号パルスP0でのエネルギーE0及び信号パルスP1でのエネルギーE1が記憶される。
【0122】
エネルギー演算器11は、パルス間隔T0、T1、及びT2を参照して係数D0(T0)、D1(T1)、及びD2(T2)を決定し、または、ルックアップテーブル12から係数D0(T0)、D1(T1)、及びD2(T2)の値を読み出す。これにより、バッファメモリ40に記憶されている積分信号強度Q0、バッファメモリ50に記憶されているエネルギーE1、及びバッファメモリ42に記憶されている積分信号強度Q2から、式(15)によってパイルアップ補正されたエネルギーE0を求めることができる。
【0123】
上述した単一指数関数補正法、多項補正法、2項近似法、または3項近似法をエネルギーの算出方法として用いたエネルギー測定についてそれぞれシミュレーションを行い、その効果の確認を行った。このシミュレーションでは、所定のパルス波形とエネルギーを有する多数の信号パルスを所定の平均計数率で時間的にランダムに発生させ、所定のエネルギー算出法及びパイルアップ補正法に基づいてエネルギーの算出値をシミュレートし、平均の波高分布やエネルギー分解能を推定した。各パルス信号のエネルギーは光電子増倍管の第一ダイノードに集められる全光電子数で表し、計測される各パルス信号のエネルギーは所定の積分時間内に集められる光電子数がポアッソン分布にしたがって統計的に変動すると仮定した。また各パルス間隔は正確に測定されるものと仮定し、パルス間隔の測定誤差及びデジタル化による誤差は無視した。
【0124】
まず、単一指数関数補正法によるエネルギー算出及びパイルアップ補正のシミュレーション結果について、図10及び図11を参照して説明する。ここでは、信号パルスPのパルス波形について、減衰時定数τ=240nsの単一の指数関数成分による時間波形を仮定し、エネルギーは光電子数で1000とした。また、他の条件については、リセット時間をTr=50ns、最大積分時間をTmax=1000nsにそれぞれ設定した。
【0125】
図10は、入力信号パルスに対して単一指数関数補正法を用いて求められたエネルギー算出値の分布を示すグラフである。このグラフにおいて、横軸は、信号パルスPに対するエネルギーEの算出値(channel)を示し、縦軸は、channel毎のカウント数を示している。
【0126】
図10においては、入力計数率について、(1)0.01Mcps、(2)1Mcps、(3)2.5Mcps、及び(4)5Mcpsの4条件でそれぞれシミュレーションを行って得られたエネルギー分布を示している。入力計数率が増大するにつれて、エネルギー分解能がやや低下しているものの、パイルアップ補正によって、他の信号パルスの信号強度が積分されることによるエネルギーのシフト、及びエネルギー分解能の低下が抑制されていることがわかる。
【0127】
また、図11は、入力信号パルスに対して単一指数関数補正法を用いて求められたエネルギー算出値の半値幅(FWHM)及び10%値幅(FWTM)を示すグラフである。これらのグラフからも、単一指数関数のパルス波形を有する信号パルスに対して、単一指数関数補正法を用いてパイルアップ補正を行うことによって、入力信号パルス数の増大に伴うエネルギー分解能の低下が極力抑制されていることがわかる。
【0128】
次に、2項近似法、3項近似法、及び多項補正法によるエネルギー算出及びパイルアップ補正の第1のシミュレーション結果について、図12及び図13を参照して説明する。ここでは、信号パルスPのパルス波形について、減衰時定数τ1=240nsの第1指数関数成分、及びτ2=50nsの第2指数関数成分を強度比70%:30%で含む時間波形を一般波形として仮定した。また、他の条件については、リセット時間をTr=50ns、最大積分時間をTmax=1000nsにそれぞれ設定し、エネルギーは光電子数で2000とした。
【0129】
図12は、入力信号パルスに対して2項近似法、3項近似法、及び多項補正法を用いて求められたエネルギー算出値のFWHM及びFWTMを示すグラフである。ここで、2項近似法においては、補正係数をx=1.1とした。また、3項近似法においては、補正係数をx=1.2とした。また、多項補正法においては、パイルアップ補正に用いる信号パルスの個数をJ=5とした。
【0130】
これらのグラフから、一般波形のパルス波形を有する信号パルスに対して、2項近似法、3項近似法、または多項補正法を用いてパイルアップ補正を行うことによって、入力信号パルス数の増大に伴うエネルギー分解能の低下が極力抑制されていることがわかる。
【0131】
また、2項近似法、3項近似法、及び多項補正法のそれぞれについて比較すると、パイルアップ補正の項数を2項から3項、多項(J=5)と多くすることによって、得られるエネルギーの算出値の精度が向上されている。
【0132】
また、図13は、上記したシミュレーション結果における入力計数率と出力計数率の関係、すなわち計数率特性を示すグラフである。最小積分時間を100nsに設定した結果、信号パルスのうち前後のパルス間隔がともに100ns(合計200ns)以上のもののみが検出されるため、出力計数率は5Mcpsで飽和している様子が示されている。
【0133】
次に、2項近似法、3項近似法、及び多項補正法によるエネルギー算出及びパイルアップ補正の第2のシミュレーション結果について、図14及び図15を参照して説明する。ここでは、信号パルスPのパルス波形について、減衰時定数τ1=1000nsの第1指数関数成分、τ2=210nsの第2指数関数成分、及びτ3=26nsの第3指数関数成分を強度比30%:30%:40%で含む時間波形を一般波形として仮定した。また、他の条件については、図12及び図13の場合と同様である。
【0134】
図14は、入力信号パルスに対して2項近似法、3項近似法、及び多項補正法を用いて求められたエネルギー算出値のFWHM及びFWTMを示すグラフである。ここで、2項近似法においては、補正係数をx=1.7とした。また、3項近似法においては、補正係数をx=2.0とした。また、多項補正法においては、パイルアップ補正に用いる信号パルスの個数をJ=5(多項1)及びJ=10(多項2)とした。
【0135】
これらのグラフから、図12に示したグラフと同様に、一般波形のパルス波形を有する信号パルスに対して、2項近似法、3項近似法、または多項補正法を用いてパイルアップ補正を行うことによって、入力信号パルス数の増大に伴うエネルギー分解能の低下が極力抑制されていることがわかる。
【0136】
また、2項近似法、3項近似法、J=5とした多項補正法、及びJ=10とした多項補正法のそれぞれについて比較すると、パイルアップ補正の項数を多くすることによって、得られるエネルギーの算出値の精度が向上されている。
【0137】
また、図15は、入力信号パルスに対して(a)3項近似法、及び(b)J=5とした多項近似法を用いて求められたエネルギー算出値の分布を示すグラフである。
【0138】
図15(a)及び(b)においては、入力計数率について、(1)0.01Mcps、(2)1Mcps、(3)2Mcps、(4)3Mcps、及び(5)4Mcpsの5条件でそれぞれシミュレーションを行って得られたエネルギー分布を示している。入力計数率が増大するにつれて、エネルギー分解能がやや低下し、エネルギー分布の中心値がやや高エネルギー側にシフトしているものの、パイルアップ補正によって、エネルギーのシフト及びエネルギー分解能の低下が抑制されていることがわかる。
【0139】
ここで、一般波形の場合に適用される2項近似法、3項近似法、及び多項補正法においては、上述したように、パイルアップ補正の項数(パイルアップ補正に用いる信号パルスの個数)を多くすることによって、得られるエネルギーの算出値の精度が向上する。一方、パイルアップ補正の項数が多くなると、エネルギーを算出するための演算が複雑となり、また、ルックアップテーブルを用いる場合には、必要なルックアップテーブルの個数及びデータ量が増大する。このため、パイルアップ補正の項数については、必要とされるエネルギー算出値の精度や予想される信号パルスの入力頻度などから、好適な項数及び補正法を選択して用いることが好ましい。
【0140】
また、エネルギー測定においては、連続的に入力される信号パルスPのそれぞれについて、取得された積分信号強度Q及びパルス間隔Tをリストモードでデータ収集しておき、データ収集後またはデータ収集と並行してオフラインでエネルギー算出を行う場合がある。このような場合には、データ収集とは別に、ソフトウエアによってエネルギーを算出するための演算を実行することが可能であり、パイルアップ補正の項数Jを多くした条件での多項補正法のような複雑な演算についても適用が可能である。
【0141】
このようにオフラインでエネルギー算出を行う場合の装置構成については、上記したエネルギー測定装置1の構成のうち、エネルギー算出部10を別装置であるエネルギー算出装置(例えばエネルギー算出用のソフトウエアを有するコンピュータ)とする構成が可能である。この場合、エネルギー測定装置1においては、エネルギー算出部10に代えて、積分信号強度Q及びパルス間隔Tなどのデータを所定の記録媒体に記録する記録手段を設けておけば良い。
【0142】
また、単一指数関数以外の一般波形に対するエネルギー測定においては、例えば、微分回路などの波形整形回路によって減衰時定数の長い成分を除去しておくなど、パルス波形を整形した後に信号処理を行う構成としても良い。
【0143】
なお、発光パルス波形が単一の指数関数で表せる場合、従来の方法としてWongの方法があることをすでに記載したが、これらの方法による効果を比較するため、本発明による単一指数関数補正法、及び上記したWongの方法を用いて、それぞれエネルギー算出及びパイルアップ補正のシミュレーションを行った。ここでは、信号パルスPのパルス波形について、減衰時定数τ=300nsの単一の指数関数成分による時間波形を仮定し、エネルギーは光電子数で2000とした。また、Wongの方法については、電流信号に含まれる雑音信号の影響を低減するために、信号処理前に平滑回路で信号パルスの平滑化を行うこととし、平滑時間10ns(従来1)、20ns(従来2)、及び50ns(従来3)の3条件でそれぞれシミュレーションを行った。
【0144】
図16は、入力信号パルスに対して単一指数関数補正法、及び従来の補正法であるWongの方法を用いて求められたエネルギー算出値のFWHMを示すグラフである。これらのグラフから、信号パルスの平滑化とともにWongの方法を用いた場合よりも、単一指数関数補正法の方が、入力計数率の増大に伴うエネルギー分解能の低下の抑制効果が高いことがわかる。
【0145】
また、図17は、入力信号パルスに対して(a)単一指数関数補正法、及び(b)Wongの方法を用いて求められたエネルギー算出値の分布を示すグラフである。
図17(a)及び(b)においては、入力計数率について、(1)0.01Mcps、(2)1Mcps、(3)2.5Mcps、及び(4)5Mcpsの4条件でそれぞれシミュレーションを行って得られたエネルギー分布を示している。これらのグラフからも、単一指数関数補正法の方が、入力計数率の増大に伴うエネルギー分解能の低下の抑制効果が高いことがわかる。
【0146】
次に、本発明によるエネルギー測定装置の第4実施形態として、パルス波形弁別を用いた場合について説明する。パルス波形弁別(PSD:Pulse Shape Discrimination)とは、異なった発光減衰時定数をもつ複数のシンチレータを光電子増倍管に取り付け、どのシンチレータが放射線を検出して発光したかを信号波形の相違から弁別して検出する方法である。たとえば1つの光電子増倍管にγ線用シンチレータと中性子用シンチレータを取り付けて波形弁別を適用すると、γ線と中性子線を同時に弁別して計測することができる。また、シンチレータのなかにはγ線、α線、重粒子線など、検出した放射線の種類によって互いに異なる発光減衰時定数を示すものがある。このようなシンチレータを用いると波形弁別法によって放射線の種類を弁別して計測できる。具体的な波形弁別法として種々の方法がある。以下の例では信号パルスを2つの異なる時間積分して得られる積分値の比が発光減衰時定数によって異なることを利用して波形弁別する方法を用いるが、これに限定されるものではない。
【0147】
図18はこのような波形弁別法を用いた第4実施形態の構成を示すブロック図である。このエネルギー測定装置1は、測定対象となる信号パルスPとして、異なる減衰時定数τ1、τ2のいずれかを有する単一指数関数波形の2種類の信号パルスが入力される場合において、その信号パルスのエネルギー測定に適用することが可能な構成となっている。
【0148】
本実施形態のエネルギー測定装置1の構成は、トリガ信号生成器21、ゲート信号生成器22、遅延回路31、及びゲート積分器32については、図3に示した実施形態と同様である。
【0149】
本実施形態においては、パルス間隔計測器23に代わって、パルス間隔計測手段としての機能を含むサンプル時間設定部24が設けられている。サンプル時間設定部24は、信号パルスP0でのパルス間隔T0を計測するとともに、計測されたパルス間隔T0に基づいて、信号強度の積分を行うサンプル時間である実効積分時間T’(式(7)参照)を設定し、ゲート信号生成器22に指示する。ゲート信号生成器22は、トリガ信号生成器21から入力されたトリガ信号、及びサンプル時間設定部24から指示された実効積分時間T’に基づいて、信号強度の積分を指示するためのゲート信号を生成する。
【0150】
ゲート積分器32は、ゲート信号の指示に基づいて、遅延回路31から入力された信号パルスP0の信号強度を積分する。ゲート信号によって指示された実効積分時間T’での積分によって得られる積分信号強度は、サンプルホールド回路及びADCからなるA/D変換器33を介して、積分信号強度データQ0として出力される。
【0151】
一方、ゲート積分器32に対して、各信号パルスP0毎に設定される実効積分時間T’とは別に、積分時間Tpが指示されている。この積分時間Tpは、想定される実効積分時間T’よりも短い時間(T’>Tp)となるように、あらかじめ固定に設定されている。積分時間Tpでの積分によって得られる積分信号強度は、サンプルホールド回路及びADCからなるA/D変換器34を介して、積分信号強度データQpとして出力される。
【0152】
A/D変換器33から出力された積分信号強度Q0、及びA/D変換器34から出力された積分信号強度Qpは、パルス波形弁別器25に入力される。パルス波形弁別器25は、積分時間が異なる積分信号強度Q0及びQpの比Q0/Qpを用い、あらかじめ設定された波形弁別条件に基づいて複数種類(ここでは2種類)のパルス波形の弁別を行い、得られた波形弁別結果x0(x0=1または2)を出力する。
【0153】
エネルギー算出部10は、エネルギー演算器11と、ルックアップテーブル12と、2つのバッファメモリ46、47とを有して構成されている。エネルギー演算器11は、測定対象である信号パルスP0の入力に対応して、そのエネルギーE0を算出するために必要な演算を行う。また、ルックアップテーブル12には、エネルギー演算器11で実行される演算において用いられる係数のデータが格納されている。
【0154】
各時点で測定対象となっている信号パルスP0に対して、A/D変換器33から出力された積分信号強度Q0、サンプル時間設定部24から出力されたパルス間隔T0、及びパルス波形弁別器25から出力された波形弁別結果x0は、それぞれエネルギー演算器11に入力されるとともに、バッファメモリ46に記憶される。また、バッファメモリ47には、信号パルスP0よりも前の信号パルスP1での積分信号強度Q1、パルス間隔T1、及び波形弁別結果x1が記憶される。これらの各データは、エネルギー演算器11で行われるエネルギーを算出するための演算に対する入力データとなる。
【0155】
図18に示したエネルギー測定装置1の構成を参照しつつ、パルス波形弁別を伴う場合でのエネルギーEの算出方法について具体的に説明する。
【0156】
測定対象としてエネルギー測定装置1に入力される信号パルスPについて、異なる減衰時定数τ1、τ2によるパルス波形を有する2種類の信号パルスが存在するものとする。このとき、減衰時定数τk(k=1または2)の信号パルスに対応するパルス波形fk(t)、積分信号強度Qk(T)、及び積分レスポンスGk(T)は、それぞれ
【0157】
【数16】
Figure 0004160275
となる。
【0158】
また、2つの積分時間のうち長い方の実効積分時間T’を、リセット時間Tr及び最大積分時間Tmaxを用いて式(7)によって設定すると、実効積分レスポンスHk(T)は、
【0159】
【数17】
Figure 0004160275
と表される。また、短い方の積分時間Tpは、上述のようにあらかじめ固定に設定される。
【0160】
図18に示すように、測定対象の信号パルスP0及びその前の信号パルスP1での波形弁別結果をそれぞれk=x0、x1(いずれも1または2)とする。このとき、信号パルスP0に対するパイルアップ補正後のエネルギーE0は、以下の式(18)
【0161】
【数18】
Figure 0004160275
によって求めることができる。
【0162】
なお、減衰時定数τ1のパルス波形に対応する係数A1(T)、B1(T)、及び減衰時定数τ2のパルス波形に対応する係数A2(T)、B2(T)については、エネルギー演算器11においてその都度演算して求めても良い。あるいは、係数A1(T)、B1(T)、A2(T)、及びB2(T)を求める演算をあらかじめ行ってルックアップテーブル12を作成しておいても良い。この場合、パルス波形弁別を行わない場合に比べて、2倍の個数及びデータ量のルックアップテーブルを用意する必要がある。
【0163】
ここで、パルス波形弁別器25において行われる、減衰時定数τ1、τ2による2種類のパルス波形を弁別するパルス波形弁別について説明しておく。
【0164】
図19は、信号パルスPに対してパルス波形弁別を行うための積分時間の設定について示すグラフである。ここで、図19(a)のグラフは、信号強度の時間変化である信号波形を示している。また、図19(b)のグラフは、図19(a)に示した信号波形を積分した積分信号強度の時間変化である積分波形を示している。
【0165】
本実施形態のエネルギー測定装置1においては、図19に示すように、信号パルスP0の信号強度の積分に対して、2つの積分時間T0’及びTpが設定される。このうち、長い方の積分時間であるT0’は、図5に示したパルス波形弁別を伴わない場合と同様の通常の実効積分時間である。一方、短い方の積分時間であるTpは、パルス波形弁別のために固定に設定された積分時間である。パルス波形弁別器25では、長い積分時間T’で求められた積分信号強度Q0と、短い積分時間Tpで求められた積分信号強度Qpとを比較することによって、2種類のパルス波形が弁別される。
【0166】
図20は、信号パルスのパルス波形の弁別方法について示すグラフである。このグラフにおいて、横軸は、個々の信号パルスPのパルス間隔Tに依存して変動する実効積分時間T’を示し、縦軸は、積分信号強度の比Q0/Qpを示している。
【0167】
減衰時定数τ1のパルス波形と、減衰時定数τ2のパルス波形とでは、その減衰速度の違いにより、積分時間T’(T’>Tp)が等しい場合でも、積分信号強度Q0及びQpの比R(T’)=Q0/Qpが互いに異なる値となる。したがって、この比の値を利用することにより、2種類のパルス波形を弁別することができる。
【0168】
図20のグラフには、減衰時定数τ1のパルス波形での積分信号強度の比R1(T’)=G1(T’)/G1(Tp)、及び減衰時定数τ2のパルス波形での積分信号強度の比R2(T’)=G2(T’)/G2(Tp)について、それぞれ実効積分時間T’に対する依存性を示している。
【0169】
積分時間がT’=Tpであれば、これらの比はR1(T’)=R2(T’)=1である。そして、実効積分時間T’が長くなるにしたがって、比R1(T’)及びR2(T’)はそれぞれ増大すると同時に、両者の差が増大する。これに対して、比R1(T’)及びR2(T’)の差がパルス波形弁別器25において判別可能となる積分時間によって、実効積分時間T’に対する最小積分時間Tminを設定する。また、比R1(T’)及びR2(T’)の2つの曲線の略中心に、波形弁別曲線Rp(T’)を設定しておく。
【0170】
これにより、信号パルスP0から実際に求められた積分信号強度の比R(T’)=Q0/Qpの値に対して、パルス波形弁別器25において上記した波形弁別曲線Rp(T’)の値と比較を行うことによって、パルス波形を弁別することができる。
【0171】
すなわち、求められた比がQ0/Qp>Rpであれば、測定対象となっている信号パルスP0は減衰時定数τ1のパルス波形を有するものである。このとき、パルス波形弁別器25は、波形弁別結果としてx0=1を出力する。一方、Q0/Qp<Rpであれば、信号パルスP0は減衰時定数τ2のパルス波形を有するものである。このとき、パルス波形弁別器25は、波形弁別結果としてx0=2を出力する。
【0172】
このように、パルス波形弁別を伴ってエネルギー測定を行うことにより、例えばそれぞれ異なる減衰時定数を有する複数のシンチレータからの信号パルスがエネルギーの測定対象として入力されるような場合など、異なるパルス波形の信号パルスが入力される場合において、それぞれのパルス波形に対応する好適な算出方法を用いてエネルギーの算出を行うことができる。
【0173】
上記したパルス波形弁別を伴う場合について、エネルギー算出及びパイルアップ補正のシミュレーションを行った。ここでは、信号パルスPのパルス波形について、それぞれ減衰時定数τ1=100nsまたはτ2=50nsの単一の指数関数成分による2種類の時間波形を仮定し、これらのパルスは同じ確率でランダムに発生すると仮定した。また、エネルギーは一定(光電子数2000)とした。また、他の条件については、リセット時間をTr=50ns、固定の積分時間をTp=30ns、実効積分時間T’に対する最小積分時間をTmin=50ns、最大積分時間をTmax=500nsにそれぞれ設定した。
【0174】
図21は、入力信号パルスに対してパルス波形弁別及びパイルアップ補正を行って求められたエネルギー算出値の分布を示すグラフであり、図21(a)は、積分時間の補正及びパイルアップ補正を行わなかった条件1でのエネルギー分布、図21(b)は、積分時間の補正のみを行った条件2でのエネルギー分布、図21(c)は、積分時間の補正及びパイルアップ補正を両方とも行った条件3でのエネルギー分布をそれぞれ示している。
【0175】
また、各グラフには、入力計数率について、(1)0.1Mcps、(2)1Mcps、(3)2.5Mcps、及び(4)5Mcpsの4条件でそれぞれシミュレーションを行って得られたエネルギー分布を示している。
【0176】
まず、パイルアップ補正を行わず、かつ、積分時間の補正を行わずに積分信号強度QをそのままエネルギーEとした図21(a)のグラフでは、入力計数率が増大するにつれて、エネルギー分解能が低下するとともに、積分時間が短くなることによる低エネルギー側の分布、及び信号パルスのパイルアップによる高エネルギー側の分布を生じている。また、積分時間の補正のみを行った図21(b)のグラフでは、積分時間による低エネルギー側の分布はなくなっているものの、パイルアップによる高エネルギー側の分布は残っている。
【0177】
これに対して、積分時間の補正及びパイルアップ補正を両方とも行った図21(c)のグラフでは、低エネルギー側及び高エネルギー側の分布がいずれも解消されている。また、そのエネルギー分解能も向上されている。
【0178】
図22は、入力信号パルスに対してパイル波形弁別及びパイルアップ補正を行って求められたエネルギー算出値のFWHM及びFWTMを示すグラフであり、図21と同様に、条件1、2、及び3のそれぞれについて対応するグラフを示している。これらのグラフから、積分時間の補正及びパイルアップ補正を両方とも行った条件3において、入力信号パルス数の増大に伴うエネルギー分解能の低下が極力抑制されていることがわかる。
【0179】
また、図23は、上記したシミュレーション結果における計数率特性を示すグラフである。この場合は最小積分時間を50nsに設定した結果、出力計数率は10Mcpsで飽和している。
【0180】
次に、エネルギー測定装置の第5実施形態として、ガンマカメラやPET装置などに用いられる2次元位置検出型の放射線検出器からの信号パルスに対して適用する場合について説明する。ここでは、その一例として、PET装置によく用いられる2次元位置検出型のブロック検出器からの信号パルスに対して適用する場合について述べる。図24はこのような実施形態の構成を示すブロック図である。ここで用いたブロック検出器は、図25に示すように、BGO(ゲルマニュウム酸ビスマス)などのシンチレータSCの結晶を2次元のマトリックス状(例えば8行8列のマトリックス)に配列して、4本の角形光電子増倍管PMTを光学的に結合したもので、4本の光電子増倍管PMTからの信号パルスをそれぞれPA、PB、PC、及びPDとし、これらの各信号パルスのエネルギーをそれぞれEA、EB、EC、及びEDとし、それらを合計したエネルギーをEとすると、γ線を検出したシンチレータのX座標及びY座標は、それぞれ次式
【0181】
【数19】
Figure 0004160275
によって求められる。なお、4本の光電子増倍管の代わりに一本の位置検出型光電子増倍管を用いてもよい。
【0182】
このような装置で信号パルスのパイルアップが起こると、放射線のエネルギーが正しく測定されないのみならず、放射線の検出位置が正しく測定されないために解像力の劣化や画像歪みが発生する。
【0183】
本実施形態のエネルギー測定装置1の構成は、基本的には、図4に示した構成を変形したものである。具体的には、トリガ信号生成器21、ゲート信号生成器22、及びパルス間隔計測器23については、図4に示した実施形態と同様である。
【0184】
また、測定対象として入力される4つの信号パルスPA0、PB0、PC0、及びPD0に対して、それらの信号パルスを加算して合計の信号パルスP0を生成する和回路35が設けられている。トリガ信号生成器21には、この和回路35で生成された信号パルスP0が入力される。
【0185】
一方、遅延回路31及びゲート積分器32については、PA0、PB0、PC0、PD0、及びP0の5つの信号パルスそれぞれに対応して、遅延回路31A、31B、31C、31D、及び31E、ゲート積分器32A、32B、32C、32D、及び32Eが設けられている。
【0186】
また、エネルギー算出部10には、バッファメモリ40及び41については、信号パルスPA0、PB0、PC0、PD0、及びP0にそれぞれ対応する積分信号強度QA0、QB0、QC0、QD0、及びQ0が記憶されるバッファメモリ40A、40B、40C、40D、及び40E、信号パルスPA1、PB1、PC1、PD1、及びP1にそれぞれ対応する積分信号強度QA1、QB1、QC1、QD1、及びQ1が記憶されるバッファメモリ41A、41B、41C、41D、及び41Eが設けられている。また、信号パルスP0に対応するパルス間隔T0が記憶されるバッファメモリ40T、及び信号パルスP1に対応するパルス間隔T1が記憶されるバッファメモリ41Tが設けられている。
【0187】
さらに、エネルギー演算器11については、信号パルスPA0、PB0、PC0、PD0、及びP0にそれぞれ対応するエネルギー演算器11A、11B、11C、11D、及び11Eが設けられている。なお、この図24においては、エネルギー算出部10に設けられるルックアップテーブル12については、図示を省略している。
【0188】
以上の構成において、信号パルスPA0は、遅延回路31A、ゲート積分器32A、バッファメモリ40A、41A、及びエネルギー演算器11Aによって信号処理され、対応するエネルギーEA0が算出される。また、信号パルスPB0は、遅延回路31B、ゲート積分器32B、バッファメモリ40B、41B、及びエネルギー演算器11Bによって信号処理され、対応するエネルギーEB0が算出される。また、信号パルスPC0は、遅延回路31C、ゲート積分器32C、バッファメモリ40C、41C、及びエネルギー演算器11Cによって信号処理され、対応するエネルギーEC0が算出される。また、信号パルスPD0は、遅延回路31D、ゲート積分器32D、バッファメモリ40D、41D、及びエネルギー演算器11Dによって信号処理され、対応するエネルギーED0が算出される。
【0189】
また、信号パルスPA0、PB0、PC0、及びPD0が加算された信号パルスP0は、遅延回路31E、ゲート積分器32E、バッファメモリ40E、41E、及びエネルギー演算器11Eによって信号処理され、対応する全体のエネルギーE0が算出される。そして、これらのエネルギーEA0、EB0、EC0、ED0、及びE0から、式(19)を用いてγ線を検出したシンチレータの位置が求められる。
【0190】
ただし、このようにして得られるX座標及びY座標は必ずしもシンチレータの正確なX座標及びY座標に比例しておらず、かつ統計雑音を含んでいる。一方、シンチレータの正確な位置はその配列から複数の位置のいずれかであることが判っているので、あらかじめ用意されたルックアップテーブルによって、測定された座標値を正しい座標値に変換する必要がある。また、エネルギーE0は検出された放射線のエネルギーに相当するので、この信号を波高分析することによって放射線のエネルギー選別を行う。
【0191】
本発明によるエネルギー測定方法及び測定装置は、上記した実施形態に限られるものではなく、様々な変形が可能である。例えば、信号パルスのパイルアップ補正については、上述した単一指数関数補正法、2項近似法、3項近似法、及び多項補正法に限らず、積分信号強度、パルス間隔、及びエネルギーを用いるものであれば、具体的なパルス波形等に応じて様々な補正法を用いて良い。
【0192】
また、エネルギー算出部10に設けるバッファメモリの構成については、パイルアップ補正で使用されるデータに応じて適宜構成を変更することが好ましい。
【0193】
【発明の効果】
本発明によるエネルギー測定方法及び測定装置は、以上詳細に説明したように、次のような効果を得る。すなわち、測定対象の信号パルスでの積分信号強度及びパルス間隔からエネルギーを算出するとともに、その信号パルスよりも前に入力された信号パルスでの積分信号強度またはエネルギーの少なくとも一方及びパルス間隔からパイルアップ補正を行うエネルギー測定方法及び測定装置によれば、信号パルスにパイルアップされた他の信号パルスの影響を除外して、個々の信号パルスのエネルギーを正しくかつ精度良く測定することができる。
【0194】
このような信号パルスのパイルアップの問題は、様々な形態の放射線検出器その他の装置において生じるものである。したがって、上記したエネルギー測定方法及び測定装置は、放射線のエネルギーや放射線の検出位置に関する情報の測定が必要な様々な装置、例えばシンチレーション検出器、エネルギースペクトロメータ、放射線位置検出器、ガンマカメラ、SPECT装置、及びPET装置など、に対して広く適用することが可能であり、これらの装置のエネルギー分解能や解像力を高い計数率においても良好に保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】エネルギーの測定対象となる信号パルスのパルス波形の一例を模式的に示すグラフである。
【図2】信号パルスのパイルアップの発生について示すグラフである。
【図3】エネルギー測定装置の第1実施形態の構成を示すブロック図である。
【図4】エネルギー測定装置の第2実施形態の構成を示すブロック図である。
【図5】信号パルスのパルス波形に対するパルス間隔及び実効積分時間について示すグラフである。
【図6】信号パルスのパルス波形の他の例を模式的に示すグラフである。
【図7】エネルギー測定装置の第3実施形態の構成を示すブロック図である。
【図8】エネルギー算出部の構成の例を示すブロック図である。
【図9】エネルギー算出部の構成の例を示すブロック図である。
【図10】入力信号パルスに対して単一指数関数補正法を用いて求められたエネルギー算出値の分布を示すグラフである。
【図11】入力信号パルスに対して単一指数関数補正法を用いて求められたエネルギー算出値のFWHM及びFWTMを示すグラフである。
【図12】入力信号パルスに対して2項近似法、3項近似法、及び多項補正法を用いて求められたエネルギー算出値のFWHM及びFWTMを示すグラフである。
【図13】入力信号パルス数と出力数との相関について示すグラフである。
【図14】入力信号パルスに対して2項近似法、3項近似法、及び多項補正法を用いて求められたエネルギー算出値のFWHM及びFWTMを示すグラフである。
【図15】入力信号パルスに対して(a)3項近似法、及び(b)多項近似法を用いて求められたエネルギー算出値の分布を示すグラフである。
【図16】入力信号パルスに対して単一指数関数補正法、及び従来の補正法を用いて求められたエネルギー算出値のFWHMを示すグラフである。
【図17】入力信号パルスに対して(a)単一指数関数補正法、及び(b)従来の補正法を用いて求められたエネルギー算出値の分布を示すグラフである。
【図18】エネルギー測定装置の第4実施形態の構成を示すブロック図である。
【図19】信号パルスに対してパルス波形弁別を行うための積分時間の設定について示すグラフである。
【図20】信号パルスのパルス波形の弁別方法について示すグラフである。
【図21】入力信号パルスに対してパルス波形弁別及びパイルアップ補正を行って求められたエネルギー算出値の分布を示すグラフである。
【図22】入力信号パルスに対してパルス波形弁別及びパイルアップ補正を行って求められたエネルギー算出値のFWHM及びFWTMを示すグラフである。
【図23】入力信号パルス数と出力数との相関について示すグラフである。
【図24】エネルギー測定装置の第5実施形態の構成を示すブロック図である。
【図25】2次元位置検出型のPET用ブロック検出器の構造を示す斜視図である。
【符号の説明】
1…エネルギー測定装置、10…エネルギー算出部、11…エネルギー演算器、12…ルックアップテーブル、40、41、42、45、46、47、50…バッファメモリ、
21…トリガ信号生成器、22…ゲート信号生成器、23…パルス間隔計測器、24…サンプル時間設定部、25…パルス波形弁別器、31…遅延回路、32…ゲート積分器、33、34…A/D変換器、35…和回路。

Claims (14)

  1. 測定対象の信号パルスのパルス波形に対し、その信号強度を積分して前記信号パルスのエネルギーを測定するエネルギー測定方法であって、入力された信号パルスに対し、前記信号パルスから次の信号パルスまでの時間間隔であるパルス間隔を取得するパルス間隔取得ステップと、
    前記パルス間隔に対応するように設定された所定の積分時間で、前記信号パルスの信号強度を積分して積分信号強度を取得する積分強度取得ステップと、
    前記積分強度取得ステップで取得された前記積分信号強度、及び前記パルス間隔取得ステップで取得された前記パルス間隔から、前記信号パルスの全積分強度に対応するエネルギーを算出するエネルギー算出ステップとを備え、
    前記エネルギー算出ステップにおいて、測定対象の前記信号パルスでの前記積分信号強度及び前記パルス間隔から算出された補正前のエネルギーに対して、該信号パルスよりも前に入力された信号パルスでの前記積分信号強度または前記エネルギーの少なくとも一方及び前記パルス間隔からパイルアップ補正を行って、補正後の前記エネルギーを算出することを特徴とするエネルギー測定方法。
  2. 前記エネルギー算出ステップにおいて、前記パルス間隔Tに基づいて決定される係数A(T)及びB(T)を用い、
    時刻t0に入力された信号パルスP0の前記エネルギーE0を、前記信号パルスP0での積分信号強度Q0及びパルス間隔T0と、時刻t1(t1<t0)に連続して入力された信号パルスP1での積分信号強度Q1及びパルス間隔T1とから、次式
    0=Q0・A(T0)−Q1・B(T1
    により算出することを特徴とする請求項1記載のエネルギー測定方法。
  3. 前記エネルギー算出ステップにおいて、測定対象の前記信号パルスよりも前に入力された信号パルスのうちで前記パイルアップ補正に用いる信号パルスの個数をJ個(J=1以上の整数)とするとともに、前記パルス間隔Tに基づいて決定される係数C0(T)及びCj(T)(j=1、…、J)を用い、
    時刻t0に入力された信号パルスP0の前記エネルギーE0を、前記信号パルスP0での積分信号強度Q0及びパルス間隔T0と、それぞれ時刻tj(tj<tj-1)に連続して入力されたJ個の信号パルスPjでのエネルギーEj及びパルス間隔Tjとから、次式
    0=Q0・C0(T0
    −Σj=1Jj・Cj(Tj
    により算出することを特徴とする請求項1記載のエネルギー測定方法。
  4. 前記エネルギー算出ステップにおいて、前記パルス間隔Tに基づいて決定される係数D0(T)、D1(T)及びD2(T)を用い、
    時刻t0に入力された信号パルスP0の前記エネルギーE0を、前記信号パルスP0での積分信号強度Q0及びパルス間隔T0と、時刻t1(t1<t0)に連続して入力された信号パルスP1でのエネルギーE1及びパルス間隔T1と、時刻t2(t2<t1)に連続して入力された信号パルスP2での積分信号強度Q2及びパルス間隔T2とから、次式
    0=Q0・D0(T0
    −E1・D1(T1)−Q2・D2(T2
    により算出することを特徴とする請求項1記載のエネルギー測定方法。
  5. 前記エネルギー算出ステップにおいて、前記パルス間隔Tに基づいて決定され、前記エネルギーの算出に用いられる前記係数のそれぞれについて、複数の前記パルス間隔の値に対してあらかじめ求められた前記係数の値から作成されたルックアップテーブルを用いることを特徴とする請求項2〜4のいずれか一項記載のエネルギー測定方法。
  6. 前記信号パルスのパルス波形をあらかじめ設定された波形弁別条件に基づいて複数種類のパルス波形に弁別するパルス波形弁別ステップをさらに備え、
    前記エネルギー算出ステップにおいて、前記パルス波形弁別ステップで弁別された前記パルス波形の種類に対応した算出方法を用いて前記エネルギーを算出することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項記載のエネルギー測定方法。
  7. 測定対象の信号パルスのパルス波形に対し、その信号強度を積分して前記信号パルスのエネルギーを測定するエネルギー測定装置であって、入力された信号パルスを分岐した一方を入力し、前記信号パルスに対応するトリガ信号を生成するトリガ信号生成手段と、
    前記トリガ信号生成手段からの前記トリガ信号を入力し、前記トリガ信号に基づいて、信号強度の積分を指示するためのゲート信号を生成するゲート信号生成手段と、
    前記トリガ信号生成手段からの前記トリガ信号を入力し、前記信号パルスでのパルス間隔として、前記トリガ信号から次のトリガ信号までの時間間隔を計測するパルス間隔計測手段と、
    入力された前記信号パルスを分岐した他方を入力し、所定の遅延時間だけ遅延させる遅延手段と、
    前記遅延手段で遅延された前記信号パルス、及び前記ゲート信号生成手段からの前記ゲート信号を入力し、前記ゲート信号の指示に基づいて設定された所定の積分時間で、前記信号パルスの信号強度を積分して積分信号強度を取得するゲート積分手段と、
    前記ゲート積分手段で取得された前記積分信号強度、及び前記パルス間隔計測手段で計測された前記パルス間隔から、前記信号パルスの全積分強度に対応するエネルギーを算出するエネルギー算出手段とを備え、
    前記エネルギー算出手段は、測定対象の前記信号パルスでの前記積分信号強度及び前記パルス間隔から算出された補正前のエネルギーに対して、該信号パルスよりも前に入力された信号パルスでの前記積分信号強度または前記エネルギーの少なくとも一方及び前記パルス間隔からパイルアップ補正を行って、補正後の前記エネルギーを算出することを特徴とするエネルギー測定装置。
  8. 前記エネルギー算出手段は、前記パイルアップ補正の演算を含む前記エネルギーを算出するための演算を行うエネルギー演算手段と、測定対象の前記信号パルスでの前記積分信号強度及び前記パルス間隔を記憶する第1バッファメモリと、該信号パルスよりも前に入力された信号パルスでの前記積分信号強度または前記エネルギーの少なくとも一方及び前記パルス間隔を記憶する第2バッファメモリとを有することを特徴とする請求項7記載のエネルギー測定装置。
  9. 前記エネルギー算出手段は、前記パルス間隔Tに基づいて決定される係数A(T)及びB(T)を用い、
    時刻t0に入力された信号パルスP0の前記エネルギーE0を、前記信号パルスP0での積分信号強度Q0及びパルス間隔T0と、時刻t1(t1<t0)に連続して入力された信号パルスP1での積分信号強度Q1及びパルス間隔T1とから、次式
    0=Q0・A(T0)−Q1・B(T1
    により算出することを特徴とする請求項7または8記載のエネルギー測定装置。
  10. 前記エネルギー算出手段は、測定対象の前記信号パルスよりも前に入力された信号パルスのうちで前記パイルアップ補正に用いる信号パルスの個数をJ個(J=1以上の整数)とするとともに、前記パルス間隔Tに基づいて決定される係数C0(T)及びCj(T)(j=1、…、J)を用い、
    時刻t0に入力された信号パルスP0の前記エネルギーE0を、前記信号パルスP0での積分信号強度Q0及びパルス間隔T0と、それぞれ時刻tj(tj<tj-1)に連続して入力されたJ個の信号パルスPjでのエネルギーEj及びパルス間隔Tjとから、次式
    0=Q0・C0(T0
    −Σj=1Jj・Cj(Tj
    により算出することを特徴とする請求項7または8記載のエネルギー測定装置。
  11. 前記エネルギー算出手段は、前記パルス間隔Tに基づいて決定される係数D0(T)、D1(T)及びD2(T)を用い、
    時刻t0に入力された信号パルスP0の前記エネルギーE0を、前記信号パルスP0での積分信号強度Q0及びパルス間隔T0と、時刻t1(t1<t0)に連続して入力された信号パルスP1でのエネルギーE1及びパルス間隔T1と、時刻t2(t2<t1)に連続して入力された信号パルスP2での積分信号強度Q2及びパルス間隔T2とから、次式
    0=Q0・D0(T0
    −E1・D1(T1)−Q2・D2(T2
    により算出することを特徴とする請求項7または8記載のエネルギー測定装置。
  12. 前記エネルギー算出手段は、前記パルス間隔Tに基づいて決定され、前記エネルギーの算出に用いられる前記係数のそれぞれについて、複数の前記パルス間隔の値に対してあらかじめ求められた前記係数の値から作成されたルックアップテーブルを有することを特徴とする請求項9〜11のいずれか一項記載のエネルギー測定装置。
  13. 前記信号パルスのパルス波形をあらかじめ設定された波形弁別条件に基づいて複数種類のパルス波形に弁別するパルス波形弁別手段をさらに備え、
    前記エネルギー算出手段は、前記パルス波形弁別手段で弁別された前記パルス波形の種類に対応した算出方法を用いて前記エネルギーを算出することを特徴とする請求項7〜12のいずれか一項記載のエネルギー測定装置。
  14. 前記ゲート積分手段において前記信号パルスの信号強度を積分する前記積分時間を、測定対象の前記信号パルスそれぞれに対して、あらかじめ設定された最大積分時間Tmax、及び前記パルス間隔Tから前記ゲート積分手段のリセット時間Trを引いた時間T−Trのうちの短い時間である実効積分時間T’
    T’=min(Tmax,T−Tr
    として設定することを特徴とする請求項7〜13のいずれか一項記載のエネルギー測定装置。
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