JP4144423B2 - エンジン部品の破壊予測システム及びその制御プログラム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本願発明は、自動車等に搭載されるエンジンに用いられて、そのエンジンの運転時に熱負荷及び振動を受けるシリンダヘッド、ピストンや排気マニホルド、排気管等のエンジン部品の寿命を予測するための破壊予測システム及びプログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、自動車の開発現場においてエンジンやトランスミッションの性能を評価するために、例えば特許文献1に開示されるような種々の計測・試験方法が提案されている。また、特許文献2には、エンジンの開発完了を待たずにその性能を評価することのできるコンピュータ支援技術(CAE)が開示されている。このCAE技術は、コンピュータを用いて机上で性能評価を行うことができるため、開発期間の短縮のためには極めて有用であり、その重要性は近年、益々、高くなってきている。
【0003】
特に、長期間を要する信頼性開発の技術分野においては、CAE技術の活用は重要な課題である。すなわち、近年、エンジンの高性能化に伴い、ピストンやシリンダヘッド等の燃焼室部材や排気系等、高温に曝されるエンジン部品への負荷は従来よりも一段と厳しくなっており、それらエンジン部品の開発に当たっては、期間の短縮と同時に一層の信頼性向上が求められるからである。
【0004】
より具体的に、エンジン部品の破壊因子としては、主として、熱応力に起因する低サイクル疲労、連続走行(高温保持)によるクリープ、エンジンや路面からの振動に起因する高サイクル疲労の3つがあり(図5参照)、それらが複合して部材に損傷を与えることが知られている。従って、エンジン部品の寿命を予測するためには、前記3つの破壊因子による損傷を全て考慮する必要がある。
【0005】
そのためには、エンジン部品毎にそれぞれ熱負荷や振動の条件を変更して実験を行い、低サイクル疲労、クリープ及び高サイクル疲労の3因子による複合疲労のデータベースを構築することが考えられるが、一般に、自動車用エンジン部品の使用条件は例えば温度についてだけでもマイナス30°Cから800°Cに亘り、熱及び応力の両方について極めて範囲の広いものなので、それら全てをカバーするような大規模なデータベースを構築するためには、1つの材料についてだけでも莫大な工数が必要となり、現実的とは言い難い。
【0006】
このため、現状、例えば自動車用エンジンの排気系部品の信頼性評価手法としては、低サイクル疲労及びクリープを合わせたもの(通常「クリープ疲労」といわれている)に関する評価である熱サイクルテストと、高サイクル疲労に関する評価であるエンジン・悪路共振応力テストとを個別に行って、それぞれ求めた破壊寿命に基づいて、複合疲労による破壊の判定を行なうようにしている。
【0007】
【特許文献1】
特表2002−526762号公報
【0008】
【特許文献2】
特開2002−148147号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、本願の発明者らが、前記のように熱サイクルテスト及び共振応力テストによって予測した破壊寿命を材料試験で得た実寿命と比較したところ、予測した寿命は実寿命に対して大きくずれており、予測精度としては甚だ不十分であることが分かった。これは、クリープ疲労と高サイクル疲労とが同時に進行する複合疲労環境下で両者を個別に評価しているためであると考えられる。
【0010】
すなわち、従来一般的な排気系部品の評価の考え方として、高サイクル疲労が単独で進行する場合には疲労限以下の応力による損傷は"0"としているが、例えば鉄鋼材料の場合に疲労限よりも大きな応力が小頻度でも負荷される場合や高温状態においては疲労限自体が存在しないとする考え方がある。換言すれば、低サイクル疲労やクリープとともに高サイクル疲労が進行する複合疲労環境下では、それらの相互作用により疲労限以下の振幅の振動によっても損傷が生じて、高サイクル疲労寿命が短くなると考えることができる。
【0011】
本願発明は斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、エンジン部品が低サイクル疲労、クリープ及び高サイクル疲労の3つの破壊因子の複合する環境下で破壊に至るまでの寿命を予測する際に、それら破壊因子の相互作用による影響を織り込むことによって破壊の判定精度を向上し、これにより、莫大な工数を必要とする大規模データベースの構築等を行うことなく、正確な破壊寿命の予測を行えるようにすることにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本願発明では、低サイクル疲労、クリープ及び高サイクル疲労の3つの破壊因子による損傷量をそれぞれ求めるとともに、そのうちの高サイクル疲労損傷量を求めるときには、他の破壊因子との相互作用により、疲労限以下の振幅の振動によっても損傷が生じることを考慮して、その損傷の影響を加味するようにした。
【0013】
まず最初に、本願発明に係る破壊予測の考え方について説明すると、エンジン部品が、熱負荷に起因する低サイクル疲労及びクリープと、振動に起因する高サイクル疲労との複合疲労によって損傷し破壊に至るまでの寿命を予測する破壊予測方法を対象として、前記エンジン部品が低サイクル疲労のみによって破壊に至るまでの寿命である低サイクル疲労寿命と、該エンジン部品における少なくとも熱負荷変動の履歴とに基づいて、低サイクル疲労による損傷量を求める。また、前記エンジン部品がクリープのみによって破壊に至るまでの寿命であるクリープ寿命と、該エンジン部品における少なくとも熱応力の履歴とに基づいて、クリープによる損傷量を求め、さらに、前記エンジン部品が高サイクル疲労のみによって破壊に至るまでの寿命である高サイクル疲労寿命と、該エンジン部品における少なくとも振動の履歴とに基づいて、高サイクル疲労による損傷量を求めて、それら低サイクル疲労、クリープ及び高サイクル疲労による各損傷量の総和が所定値以上になったときを、破壊と判定するようにする。
【0014】
ここで、前記各損傷量の定義として、例えば、低サイクル疲労による損傷量は、低サイクル疲労のみによって破壊に至る場合の熱負荷(熱応力、熱歪み)の変動回数である低サイクル疲労寿命を基準とし、これに対する熱負荷の累積変動回数の割合として求められる。同様に、クリープによる損傷量は、クリープのみによって破壊に至る場合の熱負荷の保持期間であるクリープ寿命を基準とし、これに対する熱応力の累積保持期間の割合として求められる。また、高サイクル疲労による損傷量は、高サイクル疲労のみによって破壊に至る場合の振動回数である高サイクル疲労寿命を基準とし、これに対する累積振動回数の割合として求められる。この場合、前記低サイクル疲労、クリープ及び高サイクル疲労による各損傷量の総和が1以上になったときを破壊と判定する。
【0015】
そして、本願発明の特徴として、前記高サイクル疲労による損傷量を求めるときには、低サイクル疲労及びクリープの少なくとも一方との相互作用によって生じる、疲労限以下の振幅の振動による損傷の影響を加味するようにする。こうすれば、複合疲労環境下での3つの破壊因子の相互作用により、高サイクル疲労損傷量が単独の場合よりも大きくなっても、そのことを反映した正確な高サイクル疲労損傷量を求めることができる。これにより、3因子複合疲労による破壊判定の精度が向上して、エンジン部品の破壊寿命を正確に予測することができる。
【0016】
また、前記のような破壊判定に際しては、エンジン部品の各破壊因子による損傷量を求めるために、例えば材料毎に低サイクル疲労寿命、クリープ寿命及び高サイクル疲労寿命をそれぞれ予め実験等により求めておく必要があるが、1つの破壊因子による材料の破壊寿命を求めるのに必要な工数は、3つの破壊因子全てが複合した状況下における寿命を実験により求める場合とは比較にならないほど少なくて済み、十分に実用的である。
【0017】
ここで、前記高サイクル疲労損傷量における相互作用の影響について考えたとき、例えば鉄鋼材料の寿命については一般的に修正マイナー則が知られており、高サイクル疲労による寿命は、低サイクル疲労の特性を表す低寿命域のグラフを外挿して評価されることが多い(図13参照)。しかし、本願の発明者らが実験により検証した結果、エンジンの燃焼室部材や排気系部品のように部位や配置によって温度状態が大幅に異なるものの場合、そのことによって破壊因子の相互作用の影響が大きく異なるものとなり、これを一律に取り扱う修正マイナー則では不十分であることが分かった。
【0018】
そこで、この発明では、いわゆる修正マイナー則の考え方を踏襲して高サイクル疲労損傷量を求めるとともに、そのときに、エンジン部品の温度が高いときほど、疲労限以下の振幅の振動による損傷の影響が大きくなるようにする。こうすることで、疲労限以下の振動による影響が温度状態によって異なることを反映させて、高サイクル疲労損傷量を正確に求めることができる。
【0019】
具体的に、本願請求項1の発明は、エンジン部品が、熱負荷に起因する低サイクル疲労及びクリープと、振動に起因する高サイクル疲労との複合疲労によって損傷し破壊に至るまでの寿命を予測するためのコンピュータシステムを対象とし、このシステムにおいて、
前記エンジン部品が低サイクル疲労のみによって破壊に至るまでの寿命である低サイクル疲労寿命を予め実験により求めて、熱負荷変動と温度とに対応付けて設定した低サイクル疲労寿命データベースと、
前記エンジン部品がクリープのみによって破壊に至るまでの寿命であるクリープ寿命を予め実験により求めて、熱応力と温度とに対応付けて設定したクリープ寿命データベースと、
前記エンジン部品が高サイクル疲労のみによって破壊に至るまでの寿命である高サイクル疲労寿命を予め実験により求めて、振動と温度とに対応付けて設定した高サイクル疲労寿命データベースと、をそれぞれ設ける。
【0020】
そして、前記エンジン部品における応力又は歪み状態の少なくとも一方と温度状態とに関する時系列の状態データを入力されて、少なくとも、その状態データから求めた熱負荷変動の履歴と、少なくともその状態データに基づき前記低サイクル疲労寿命データベースから読み出した低サイクル疲労寿命とに基づいて、当該エンジン部品の低サイクル疲労による損傷量を演算する低サイクル疲労損傷量演算手段と、
前記状態データを入力されて、少なくとも、その状態データから求めた熱応力の履歴と、少なくともその状態データに基づき前記クリープ寿命データベースから読み出したクリープ寿命とに基づいて、当該エンジン部品のクリープによる損傷量を演算するクリープ損傷量演算手段と、
前記状態データを入力されて、少なくとも、その状態データから求めた振動の履歴と、少なくともその状態データに基づき前記高サイクル疲労寿命データベースから読み出した高サイクル疲労寿命とに基づいて、当該エンジン部品の高サイクル疲労による損傷量を演算する高サイクル疲労損傷量演算手段と、
前記低サイクル疲労、クリープ及び高サイクル疲労による各損傷量の総和が所定値以上になったときを破壊と判定する破壊判定手段と、を備え、
さらに、前記高サイクル疲労による損傷量は、エンジン部品が高サイクル疲労のみによって破壊に至る場合の振動回数を前記高サイクル疲労寿命とし、これに対する累積振動回数の割合として求めるものとして、前記高サイクル疲労損傷量演算手段を、前記高サイクル疲労寿命データベースから読み出した高サイクル疲労寿命をエンジン部品の温度状態が高いときほど短くなるように補正して、この補正後の寿命に基づいて高サイクル疲労による損傷量を演算するように構成した。
【0021】
前記のシステムによれば、エンジン部品における応力、歪み、温度等の時系列の状態データに基づいて、低サイクル疲労損傷量演算手段により該エンジン部品の低サイクル疲労損傷量が、クリープ損傷量演算手段によりクリープ損傷量が、また、高サイクル疲労損傷量演算手段により高サイクル疲労損傷量がそれぞれ演算され、それら各損傷量の総和に基づいて、破壊判定手段によりエンジン部品の破壊の判定が行われる。そして、前記高サイクル疲労損傷量演算手段による高サイクル疲労損傷量の演算においては、低サイクル疲労及びクリープの少なくとも一方との相互作用による影響が加味される。
【0022】
また、エンジン部品がいずれか1つの破壊因子のみによって破壊に至るときの寿命が予め実験により求められて、データベースとして設定記憶されており、これらのデータベースから読み出した寿命のデータを用いることで、3因子複合疲労下での寿命を正確に且つ容易に求めることができる。
【0023】
さらに、高サイクル疲労寿命データベースから読み出した高サイクル疲労寿命をエンジン部品の温度状態が高いときほど短くなるように補正して、この補正後の寿命に基づいて高サイクル疲労による損傷量を演算するようにしたので、エンジン部品の温度状態に応じて、その温度が高いときほど疲労限以下の振動による損傷の影響が大きくなることを反映させて、高サイクル疲労損傷量を正確に求めることができる。
【0024】
つまり、前記のシステムにより上述の考え方に従った本願発明に係る破壊予測方法が実行されて、その作用効果が得られるものである。
【0025】
請求項2の発明では、前記請求項1における低サイクル疲労寿命、クリープ寿命及び高サイクル疲労寿命の各データベースには、それぞれ、エンジン部品の材料毎に分けて寿命のデータを設定するようにした。このことで、複数の材料構成が存在するエンジン部品の場合でも、その材料毎に異なる寿命のデータを直ちに参照することができ、これにより、前記請求項1の発明の作用効果がさらに高くなる。
【0026】
請求項3の発明では、前記請求項1の発明に係るエンジン部品の破壊予測システムにおいて、高サイクル疲労寿命を補正するための寿命補正データを予め実験により求めて、エンジン部品毎に分けて設定した寿命補正データベースを設けるとともに、高サイクル疲労損傷量演算手段は、高サイクル疲労寿命を前記寿命補正データに基づいて補正するものとした。
【0027】
すなわち、例えばエンジンの排気系部品である排気マニホルド、フロントパイプ、触媒コンバータケース、リヤパイプ、サイレンサ等は排気流の上流側から下流側に向かって前記の順番に配置されていて、その温度状態が低くなっているから、これらの部品の温度状態を予め実験により求めて、それぞれ分けてデータベースに設定記憶しておけば、このデータベースから読み出したデータを用いることにより、部品の温度状態によって異なる疲労限以下の振動の影響を正確に織り込んで、高サイクル疲労損傷量を正確且つ容易に求めることができる。
【0028】
ところで、前記のような破壊予測において、低サイクル疲労、クリープ及び高サイクル疲労による各損傷量を求めるためには、エンジンの運転時にエンジン部品において生じる熱負荷変動、熱応力、振動等の履歴の情報が必要になる。そこで、少なくともエンジン部品の物理モデルを用いて、エンジン運転時の熱負荷及び振動のシミュレーションを行い、これにより当該エンジン部品の状態データを解析的に求めるようにすれば、これにより低サイクル疲労、クリープ及び高サイクル疲労による各損傷量をそれぞれ求めることができる(請求項4の発明)。
【0029】
こうすれば、エンジン部品の破壊寿命を予測するときに、例えばFEMによる熱・応力解析によって、エンジン部品における熱負荷変動、熱応力、振動等の履歴情報を得ることができるから、そのための実験、計測等を行う必要がなくなって、破壊寿命の予測を一層、容易なものとすることができる。
【0030】
尚、前記のような破壊予測において、クリープによる損傷量を求めるときには、前記低サイクル疲労及び高サイクル疲労の少なくとも一方との相互作用による応力緩和の影響を加味することが好ましい。
【0031】
すなわち、従来一般的なエンジン部品の評価の考え方として、クリープ損傷量は負荷応力下での時間比で算出しており、サイクル中はその負荷応力が一定に保たれると仮定しているが、本願発明者らが実験により1サイクル中の応力状態を確認したところ、時間の経過に伴い応力が低下しており(図7等参照)、これは相互作用によるものと考えられる。そこで、前記の応力緩和による影響を加味して、クリープによる損傷量を求めることにより、3因子複合疲労による破壊判定精度をさらに向上することができる。
【0032】
次に、本願の請求項5の発明は、エンジン部品が、熱負荷に起因する低サイクル疲労及びクリープと、振動に起因する高サイクル疲労との複合疲労によって損傷し破壊に至るまでの寿命を予測するためのコンピュータシステムの制御プログラムを対象とする。
【0033】
そして、前記コンピュータシステムには、前記エンジン部品が低サイクル疲労のみによって破壊に至るまでの寿命である低サイクル疲労寿命を予め実験により求めて、熱負荷変動と温度とに対応付けて設定した低サイクル疲労寿命データベースと、前記エンジン部品がクリープのみによって破壊に至るまでの寿命であるクリープ寿命を予め実験により求めて、熱応力と温度とに対応付けて設定したクリープ寿命データベースと、前記エンジン部品が高サイクル疲労のみによって破壊に至るまでの寿命である高サイクル疲労寿命を予め実験により求めて、振動と温度とに対応付けて設定した高サイクル疲労寿命データベースと、をそれぞれ接続しておき、
制御プログラムには、
前記エンジン部品における応力又は歪み状態の少なくとも一方と温度状態とに関する時系列の状態データを入力して、少なくとも、その状態データから求めた熱負荷変動の履歴と、少なくともその状態データに基づき前記低サイクル疲労寿命データベースから読み出した低サイクル疲労寿命とに基づいて、当該エンジン部品の低サイクル疲労による損傷量を演算する低サイクル疲労損傷量演算ステップと、
前記状態データを入力して、少なくとも、その状態データから求めた熱応力の履歴と、少なくともその状態データに基づき前記クリープ寿命データベースから読み出したクリープ寿命とに基づいて、当該エンジン部品のクリープによる損傷量を演算するクリープ損傷量演算ステップと、
前記状態データを入力して、少なくとも、その状態データから求めた振動の履歴と、少なくともその状態データに基づき前記高サイクル疲労寿命データベースから読み出した高サイクル疲労寿命とに基づいて、当該エンジン部品の高サイクル疲労による損傷量を演算する高サイクル疲労損傷量演算ステップと、
前記低サイクル疲労、クリープ及び高サイクル疲労による各損傷量の総和が所定値以上になったときを破壊と判定する破壊判定ステップと、を備え、
前記高サイクル疲労による損傷量は、エンジン部品が高サイクル疲労のみによって破壊に至る場合の振動回数である前記高サイクル疲労寿命に対する累積振動回数の割合として求めるようにし、前記高サイクル疲労損傷量演算ステップでは、前記高サイクル疲労寿命データベースから読み出した高サイクル疲労寿命をエンジン部品の温度状態が高いときほど短くなるように補正して、この補正後の寿命に基づいて高サイクル疲労による損傷量を演算するようにする。
【0034】
前記のプログラムによってコンピュータシステムを制御することにより、このコンピュータシステムが前記請求項1の発明に係るエンジン部品の破壊予測システムとなり、これにより、当該請求項1の発明と同じ作用効果が得られる。
【0035】
請求項6の発明では、前記請求項5の発明におけるコンピュータシステムに、高サイクル疲労を補正するための寿命補正データを予め実験により求めて、エンジン部品毎に分けて設定した寿命補正データベースを設けるとともに、プログラムの高サイクル疲労損傷量演算ステップでは、高サイクル疲労寿命を前記寿命補正データに基づいて補正するようにした。このことで、請求項3の発明と同じ作用効果が得られる。
【0036】
請求項7の発明では、前記請求項5又は6の発明に係る破壊予測プログラムにおいて、少なくともエンジン部品の物理モデルを用いて、エンジン運転時の熱負荷及び振動のシミュレーションを行い、これにより当該エンジン部品の状態データを求めるシミュレーションステップをさらに備えるものとする。このことで、請求項4の発明と同じ作用効果が得られる。
【0037】
請求項8の発明では、前記請求項7の発明において、低サイクル疲労の原因になる熱負荷の変動と、クリープの原因になる熱応力の保持期間とをそれぞれ少なくとも1回ずつ含み、且つ、高サイクル疲労の原因になる振動を含む試験サイクルを予め設定しておき、プログラムのシミュレーションステップでは前記試験サイクルを2回以上、再現して、その2回目以降の試験サイクルにおいてエンジン部品の状態データを取得するようにする。
【0038】
すなわち、一般的に、エンジン部品に対して熱負荷や振動が繰り返し作用する場合に、その部品における応力分布には最初のうち、残留応力等の影響が強く現れることになるから、これに基づいて繰り返しによる部材の疲労を求めることは好ましくない。そこで、この発明では、エンジン運転時のシミュレーションにおいて、予め設定した試験サイクルを2回以上、再現し、その2回目以降の試験サイクルにおいてエンジン部品の状態データを取得するようにしており、こうすることによってもエンジン部品の寿命予測精度を向上できる。
【0039】
【発明の実施の形態】
以下、本願発明の実施形態を図面に基いて説明する。
【0040】
図1は、本願発明に係るエンジン部品の破壊予測システムAの全体構成を示す概念図であり、このシステムAにおいては、まず、エンジン部品の幾何データや材料データ等をコンピュータ装置1に入力し、また、該エンジン部品の初期状態における温度や熱応力、機械応力の分布、拘束条件、環境温度等を境界条件として入力する。そして、周知の有限要素法(FEM)の適用により前記エンジン部品の熱・応力解析を行って、複合疲労試験の所定サイクル数に対応するエンジン部品の温度分布、応力分布及び歪み分布に関する時系列のシミュレーションデータ(応力及び歪み状態の少なくとも一方と温度状態とに関する時系列の状態データ)を得て、これに基づいて、該エンジン部品の破壊に至るまでの寿命を予測するものである。
【0041】
前記コンピュータ装置1には、図示しないが、例えばハードディスクドライブ等の記憶装置、ディスプレィ等の表示装置、プリンタ等の出力装置、及びキーボード等の入力デバイスが接続されている。前記記憶装置には、少なくとも、エンジン部品の熱・応力解析を行うためのFEM解析プログラム(シミュレーションプログラム)と、そのための物理モデルを作成するプリプロセッサと、前記熱・応力解析の結果に基づいてエンジン部品の損傷量を計算する損傷解析プログラムと、それら各プログラムによる解析結果を画像表示等するための画像処理プログラムとが記憶されている。
【0042】
また、前記記憶装置には、コンピュータ装置1がその動作中に必要に応じて一般的な手法によりアクセスできるように、エンジン部品の寿命の解析に用いられる4つのデータベース11〜14が電子的に格納されている。すなわち、まず、低サイクル疲労寿命データベース11は、例えば、ピストン、シリンダヘッド等の燃焼室部材、或いは、排気マニホルド、フロントパイプ、触媒コンバータケース、サイレンサ等の排気系部品について、それが低サイクル疲労のみによって破壊に至るまでの熱応力や熱歪みの変動回数である低サイクル疲労寿命を、予め実験により求めて設定したものである。
【0043】
より具体的には、各エンジン部品について各々代表的な材料組成を有する試験片を用いて周知の低サイクル疲労試験を行い、この際、各材料組成毎にそれぞれ例えば歪み振幅や温度等の試験条件を所定範囲内で変更し、その結果に基づいて、図2に示すS−N線図のように、低サイクル疲労寿命と歪み振幅との関係を表すグラフを各温度毎に設定すればよい。
【0044】
同様にして、クリープ寿命データベースDB12には、エンジン部品がクリープのみによって破断するまでの高温保持期間であるクリープ寿命が予め実験により求められて、例えば図3に示すように応力及び温度に対応付けて設定されている。また、高サイクル疲労寿命データベースDB13には、エンジン部品が高サイクル疲労のみによって破壊に至る場合の振動回数である高サイクル疲労寿命が予め実験により求められて、例えば図4に示すように応力振幅と温度とに対応付けて設定されている。尚、データベースDB14については後述する。
【0045】
そして、前記低サイクル疲労、クリープ及び高サイクル疲労の3つの破壊因子が同時に作用する複合疲労環境下でエンジン部品の寿命を求めるときには、FEM解析によって求めたエンジン部品の温度、応力、歪み分布等のシミュレーションデータと、前記DB11〜13からそれぞれ読み出した低サイクル疲労寿命、クリープ寿命及び高サイクル疲労寿命とに基づいて、3つの破壊因子のそれぞれによる損傷量を計算し、これにより破壊の判定を行うことができるようになっている。
【0046】
つまり、この実施形態の破壊予測システムAの特長は、予め実験的に設定したデータベースを参照して、エンジン部品のFEM解析から複合疲労による破壊の判定までを自動的に実行し、これにより、当該エンジン部品が複合疲労環境下で破壊するまでの寿命を高精度に且つ容易に予測できるようにしたことにある。
【0047】
尚、図示しないが、前記コンピュータ装置1は、ネットワークを介してエンジンの設計部門のコンピュータ装置(CADサーバ)と双方向に通信可能に接続されており、この設計CADサーバを介して所要のエンジン部品の3次元CADデータを入力して、FEM解析のための物理モデルを容易に作成できるようになっている。
【0048】
−破壊寿命の予測−
次に、前記の破壊予測システムAにおいて複合疲労によるエンジン部品の寿命を予測する方法を具体的に説明する。
【0049】
まず、低サイクル疲労及びクリープの2つの破壊因子が作用する複合疲労環境下においては、従来より一般的な損傷加算の考え方に基づいて、2つの破壊因子による損傷量の総和が1以上になったときを破壊と判定することが提案されている。すなわち、
ΣnL/NLf + ΣΔt/tr > 1 で破壊 ・・・ 式(1)
但し、
nL : 複合疲労試験の1試験サイクル中に含まれる低サイクル疲労のサイクル数(熱応力又は熱歪みの変動回数)
NLf : 低サイクル疲労の破壊寿命(温度と低サイクル歪み振幅との関数)
Δt : 1サイクル中の高温保持時間(熱応力の保持期間)
tr : クリープ破壊寿命(応力及び温度の関数)
ΣnL/NLf : 低サイクル疲労による損傷量
ΣΔt/tr : クリープによる損傷量。
【0050】
そこで、さらに高サイクル疲労が重畳される3因子複合疲労の場合にも前記の考え方を拡張して、基本的には以下の式(2)に示すように3つの破壊因子による損傷量の総和が1以上になったときを破壊と判定するようにする。すなわち、
ΣnL/NLf + ΣΔt/tr + ΣnH/NHf > 1 で破壊 ・・・ 式(2)
但し、
nH : 1試験サイクル中の高サイクル疲労のサイクル数(振動回数)
NHf : 高サイクル疲労寿命
ΣnH/NHf : 高サイクル疲労による損傷量。
【0051】
尚、前記複合疲労試験としては、例えば図5に模式的に示すように、1試験サイクル中に少なくとも、低サイクル疲労の原因になる熱応力(熱負荷)の変動と、クリープの原因になる高温(熱応力)の保持期間とをそれぞれ少なくとも1回ずつ含み、且つ、高サイクル疲労の原因になるエンジンや路面の共振応力(振動)を含むように設定すればよい。
【0052】
また、前記式(1)、(2)において、低サイクル疲労損傷量の項ΣnL/NLfではそれぞれ振幅の異なる応力又は歪み変動による損傷を独立に加算する。すなわち、図2に例示するように、低サイクル疲労寿命は、予め例えば歪み振幅の変化に対応付けて設定されているから、前記の試験サイクル中に含まれる歪み振幅毎にそれぞれ低サイクル疲労寿命に対する累積回数を独立に求めて、その歪み振幅に対応する損傷量とし、このそれぞれ異なる歪み振幅による損傷量を加算して、低サイクル疲労損傷量を求める。同様にして、クリープ損傷量の項ΣΔt/trではそれぞれ温度の異なる保持期間における損傷を独立に加算し、また、高サイクル疲労損傷量の項ΣnH/NHfではそれぞれ振幅の異なる振動による損傷を独立に加算する。
【0053】
ところで、前記破壊判定基準の式(1)、(2)のように、低サイクル疲労、クリープ及び高サイクル疲労の3つの破壊因子による損傷量を単純に加算しただけでは、それら破壊因子の相互作用による影響が考慮されていないため、十分な破壊予測精度が得られない。この点について、この実施形態では前記式(2)におけるクリープ損傷量及び高サイクル疲労損傷量の各項に対し、それぞれ、他の破壊因子との相互作用による影響を反映させるように補正を行い、このことにより破壊寿命の予測精度を向上するようにしたものである。
【0054】
−クリープ損傷量の補正−
以下、最初にクリープによる損傷量の補正について詳細に説明する。
【0055】
本願の発明者らは、まず、低サイクル疲労及びクリープの複合疲労によって所定の試験片が破断するまでの寿命を実験により求め、こうして求めた実寿命と前記式(1)による寿命の予測結果と比較した。この比較結果を示す図6によれば、殆どの水準で式(1)の判定基準により予測した寿命が実寿命より小さくなっており、式(1)では寿命を小さく見積る傾向のあることが分かった。
【0056】
このことから、寿命の予測に用いた式(1)の低サイクル疲労損傷量及びクリープ損傷量についてそれぞれ詳細に検討したところ、クリープ損傷量が単独で実損傷量を上回る場合があり、このクリープ損傷量の計算の仕方に問題のあることが分かった。すなわち、前記式(1)では、クリープ損傷量を負荷応力下での時間比で算出しており、サイクル中はその負荷応力が一定に保たれていると仮定しているが、実際には、複合疲労環境下のエンジン部品においては図7や図8に示すように他の破壊因子との相互作用による応力緩和が観察される。
【0057】
このことから、クリープ損傷量を正確に求めるためには、例えば、前記図7,8の如く時間の経過とともに変化する応力を時間に関して積分すればよいと考えられ、実際に、前記図7,8等の実験データに基づいて前記の如く積分によりクリープ損傷量を求めて、これを式(1)に代入して寿命を予測したところ、図9に示すように高い予測精度が得られた。
【0058】
しかし、現在の一般的なFEM応力解析によれば、応力緩和が起きる前の部材の応力を計算することはできても、緩和により低下した応力を計算することはできないので、この実施形態のシステムAのようにエンジン部品の応力分布を解析的に求めるようにした場合、前記のように応力を時間に関し積分してクリープ損傷量を求めることはできない。
【0059】
そこで、この実施形態の破壊予測システムAでは、以下に詳述するように応力緩和の状態を近似して、クリープ損傷量を求めるようにした。すなわち、エンジン部品における一般的な応力緩和の状態を踏まえて、図10に模式的に示すように、クリープの発生する所定以上の温度の保持期間を相対的に高応力の前期間と、応力緩和によって相対的に低応力になる後期間とに分けて、その前期間の熱応力の大きさをFEM解析ににより得られる初期値σ0で略一定に近似する一方、後期間における熱応力値は前記前期間における応力値σ0よりも小さな値σ1で略一定に近似する。
【0060】
より詳しくは、例えば排気マニホルドの主要な材料であるステンレス鋼SUS409(JIS記号)について、応力緩和によって応力が低下するまでの時間t1とそのときの応力値σ1とを、クリープ損傷の影響が大きい温度域で調査したところ、前記図7及び図8にそれぞれ示すように、応力が低下して略一定になるまでの時間は約3〜6秒の範囲に収まり、その時の応力σ1の初期応力σ0に対する比率Rσ(応力比)は概ね0.3〜0.6の範囲にあることが分かった。
【0061】
また、前記応力比Rσと歪み振幅及び温度の間には、図11に一例を示すように相関が認められ、応力比Rσは歪み振幅及び温度の関数で表されることが分かった。そこで、応力比Rσの値をエンジン部品の材料毎に予め実験により求めて、それぞれ歪み振幅及び温度に対応付けて設定したデータベースを構築し、これを補正データベースDB14として、コンピュータ装置1の記憶装置に電子的に格納した。また、応力が低下するまでの時間t1と歪み振幅や温度の間には明確な関係は認められなかったので、この時間t1に関しては実験結果に基づいて適値に決定し、この値を前記補正データベースDB14に設定した(図の例では約6秒に設定した)。
【0062】
そして、前記破壊判定基準の式(1)、(2)においてクリープ損傷量の項を演算するときには、エンジン部品の材料組成やシミュレーションデータにおける温度、歪み等の分布に基づいて、前記補正データベースDB14から応力緩和に要する時間t1と応力比Rσとを読み出し、これにより、式(1)、(2)におけるクリープ損傷量の項は以下の式(3)のように近似するようにする。
【0063】
ΣΔt/tr ≒ t1/tr1+(Δt−t1)/tr2 ・・・ 式(3)
但し、
Δt : 1試験サイクル中の高温保持時間
tr1 : 初期応力σ0が作用する場合のクリープ寿命(破断時間)
tr2 : 緩和後の応力σ1(σ0×Rσ)が作用する場合のクリープ寿命
t1/tr1 : 前期間のクリープ損傷量
(Δt−t1)/tr2 : 後期間のクリープ損傷量。
【0064】
そのように、式(1)におけるクリープ損傷量の項を近似して、この式(1)により低サイクル疲労及びクリープの2つの破壊因子によるエンジン部品の寿命を予測したところ、こうして予測した破壊寿命の精度は前記の如く応力の時間積分により求めたもの(図9参照)と同程度であり、十分な精度の得られることが分かった。
【0065】
−高サイクル疲労損傷量の補正−
次に、高サイクル疲労損傷量の補正について説明する。前記したように、低サイクル疲労及びクリープの2つの破壊因子によるエンジン部品の寿命については、クリープ損傷量の演算に応力緩和の影響を加味することによって十分な予測精度が得られることが分かった。そこで、3因子複合疲労の場合について、前記式(2)におけるクリープ損傷量の項を前記のように補正した上で、この式(2)により破壊寿命を予測した。この結果から、図12に一例を示すように、予測した寿命と実験により求めた実寿命との間にはある程度よい相関が見られるものの、誤差が大きいといえる。
【0066】
このことから、前記式(2)の破壊判定基準においては高サイクル疲労損傷量の項に問題があると考えられる。すなわち、前記式(2)においては、現在の一般的な自動車用排気系部品の評価の考え方に基づいて、高サイクル疲労損傷量は疲労限以下の応力振幅又は歪み振幅では"0"として計算しているが、鉄鋼等の代表的な金属材料について一般的には、疲労限よりも大きな応力が小頻度でも負荷される場合や高温時には、疲労限自体が存在しないとする考え方がある。すなわち、複合疲労環境下では、高サイクル疲労に対しても低サイクル疲労やクリープからの相互作用があり、これにより疲労限以下の振幅の振動によっても損傷を生じると考えられる。
【0067】
このような場合、鉄鋼材料の寿命については通常、修正マイナー則が用いられ、図13に模式的に示すように、その寿命(高サイクル疲労寿命)は、低寿命域の曲線(低サイクル疲労の特性)を外挿して評価されることが多い。しかしながら、本願の発明者らが実験により検証した結果、エンジンの燃焼室部材や排気系部品のように部位や配置によって温度状態が大幅に異なるものの場合、それによって相互作用による寿命の変化も大きく異なるものとなり、これを一律に取り扱う修正マイナー則では不十分であることが分かった。
【0068】
このことを考慮して、この実施形態では、複合疲労による破壊寿命の予測にあたって、いわゆる修正マイナー則の考え方を踏襲し、疲労限以下の振動(応力又は歪み振幅)による損傷の影響を加味して高サイクル疲労による損傷量を求めるとともに、その影響の度合いをエンジン部品の温度状態に応じて変更するようにした。
【0069】
具体的には、例えば、エンジンの排気系部品においては排気流の上流側から下流側に向かって排気マニホルド、フロントパイプ、触媒コンバータケース、リヤパイプ、サイレンサの順に温度状態が低くなり、これに伴い、疲労限以下の振動が高サイクル疲労損傷量に及ぼす影響の度合いは小さくなる。そこで、それら各部品毎に予め使用温度範囲を設定し、この各温度範囲毎に、図14に模式的に示すように、高寿命域の歪み振幅による損傷が高温側ほど大きくなって、高サイクル疲労寿命が短くなるように補正するようにする。
【0070】
すなわち、前記図14を参照して説明すると、エンジン部品の高サイクル疲労寿命を求めるときには、図に破線のグラフで示すように低サイクル疲労寿命のデータを高寿命域まで延長し、このグラフと高サイクル疲労寿命のグラフ(実線)とに挟まれた中間の領域において、エンジン部品の温度状態に応じて高サイクル疲労寿命を決定すればよい。より詳しくは、例えば、予めエンジン部品の使用温度範囲毎に寿命を補正するための補正係数α(寿命補正データ:0<α<1)を実験等により設定し、このαの値をエンジン部品毎に分けて補正データベース14に記憶させておく。
【0071】
そして、低サイクル疲労寿命及び高サイクル疲労寿命のデータをそれぞれDB11,DB13から読み出して、高サイクル疲労寿命データを前記補正係数αと低サイクル疲労寿命データとに基づいて、補正する。すなわち、
NHf′ = α×NLf + (1−α)×NHf ・・・式(4)
但し
α : 補正係数(高温側ほど大きな値に設定)
NLf : 低サイクル疲労寿命データ
NHf : 高サイクル疲労寿命データ
NHf′ : 補正後の高サイクル疲労寿命。
【0072】
こうして補正した高サイクル疲労寿命は、疲労限以下の振動による損傷を加味したものになり、しかも、同じ材料組成であっても使用する温度範囲が異なれば、そのことを反映して異なる値になる。そして、複合疲労によるエンジン部品の破壊寿命を求める際には、式(2)における高サイクル疲労損傷量の項を前記のように補正した高サイクル疲労寿命に基づいて演算することにより、当該エンジン部品の使用温度範囲により異なる相互作用の影響を精度よく反映させることができると考えられる。
【0073】
そこで、前記補正後の高サイクル疲労損傷量を用い、また、クリープ損傷量の項については上述の如く応力緩和の影響を織り込んで(式(3))、以下のように3つの破壊因子の相互作用を加味した破壊判定基準を再定義した。すなわち、
ΣnL/NLf +(t1/tr1+(Δt−t1)/tr2)+ ΣnH/NHf′ > 1 で破壊 … 式(5)
但し、
nL : 複合疲労試験の1試験サイクル中に含まれる低サイクル疲労のサイクル数
NLf : 低サイクル疲労寿命
Δt : 1試験サイクル中の高温保持時間
tr1 : 初期応力σ0が作用する場合のクリーフ゜寿命
tr2 : 緩和後の応力σ1が作用する場合のクリーフ゜寿命
nH : 1試験サイクル中の高サイクル疲労のサイクル数
NHf′ : 補正した高サイクル疲労寿命
ΣnL/NLf : 低サイクル疲労による損傷量
t1/tr1+(Δt−t1)/tr2 : クリープによる損傷量
ΣnH/NHf′ : 高サイクル疲労による損傷量。
【0074】
前記式(5)の判定基準によって、低サイクル疲労、クリープ及び高サイクル疲労の3つの破壊因子が複合する場合のエンジン部品の寿命を予測し、これを材料試験により求めた実寿命と比較したところ、図15に示すように非常に精度が高く、前記図12に示す試験結果に比較して明らかな精度の向上が認められ、3因子複合疲労による破壊寿命を極めて高精度に予測できることが分かった。
【0075】
−複合疲労下での破壊予測の手順−
次に、この実施形態に係るエンジン部品の破壊予測システムAにより排気マニホルドの破壊寿命を予測する手順について、図16及び図17に基づいて、具体的に説明する。
【0076】
まず、図16に示すフローのスタート後のステップS1では、コンピュータ装置1の画面表示等に従って所定の入力操作を行い、FEM解析及び損傷解析のためのデータ等を入力する。すなわち、例えば、排気マニホルドの寸法・形状を表す幾何データ、その材料組成のデータや熱伝導率等の物理データを入力し、また、エンジン運転時に排気マニホルドに作用する熱負荷や振動を模擬するための境界条件や試験サイクルデータを入力する。
【0077】
続いて、ステップS2においてプリプロセッサを起動して、排気マニホルドのメッシュモデルを作成する。すなわち、例えば、設計CADサーバを介して入力した3次元CADデータをベースとして、このデータのフォーマットを変換し、排気マニホルドの各独立通路、集合部、フランジ部等についてそれぞれ形状や予想される熱負荷の度合いに応じてメッシュを生成して、有限な要素に分割する。そして、続くステップS3では前記の如く作成したメッシュモデルを画像表示等する。
【0078】
続いて、ステップS4〜S7において、前記排気マニホルドのモデルを用いてエンジンの運転時を模擬するシミュレーション演算を行い、これにより該排気マニホルドにおける温度分布と応力分布(歪み分布でもよい)とに関する時系列のシミュレーションデータを得る。すなわち、ステップS4では熱伝導解析を行い、ステップS5ではその結果を画像表示等する。また、ステップS6ではでは応力解析を行い、ステップS7ではその結果を画像表示等する。
【0079】
その際、エンジン運転時を模擬する試験サイクル(図5参照)は少なくとも2回以上、繰り返して、その2回目以降の試験サイクルにおいてシミュレーションデータを取得する。こうすることで、残留応力等の影響を軽減して、エンジンの運転により排気マニホルドに繰り返し作用する熱負荷や振動による熱・応力分布を求めることができ、このシミュレーションデータに基づく破壊寿命の予測精度が向上する。
【0080】
そして、続くステップS8において、前記の如く得られたシミュレーションデータに基づいて、該排気マニホルドの破壊寿命解析を行う。すなわち、前記シミュレーションデータ(温度ファイル、応力ファイル、歪みファイル等)と、各々データベースEB11〜13から読み出した低サイクル疲労寿命、クリープ寿命及び高サイクル疲労寿命の各データとに基づいて、排気マニホルドの各部位毎に前記式(5)の破壊寿命予測式によって、所定試験サイクル後の低サイクル疲労損傷量、クリープ損傷量及び高サイクル疲労損傷量を演算し、その各損傷量の総和が1以上になるときまでの試験サイクル数又は時間を破壊寿命とする。
【0081】
その際、上述したように、前記式(5)におけるクリープ損傷量及び高サイクル疲労損傷量の演算においては他の破壊因子との相互作用の影響を加味するための補正を行う。例えば図17の左欄及び中央欄に模式的に示すように、少なくともエンジン部品の種類に応じて、補正データベースDB14から応力緩和に要する時間t1及び応力比Rσのデータを読み出して、この応力緩和の影響を加味してクリープ損傷量を演算し、また、同DB14から読み出した補正係数αを用いて高サイクル疲労寿命を補正した上で、高サイクル疲労損傷量を演算する。
【0082】
そうして、続くステップS9において排気マニホルドの寿命予測結果を出力して、しかる後に制御終了となる(エンド)。その予測結果の出力としては、例えば、図示の如く排気マニホルドの各部位における予測寿命、即ち排気マニホルドにおける予測寿命の分布図を表示するのが好ましいが、例えば図17の右欄に示すように、最も厳しい部分の寿命(この例では試験サイクル数)を数値にて表示するようにしてもよい。
【0083】
前記図16に示すフローのステップS1〜S7が、少なくともエンジン部品の物理モデルを用いて、エンジン運転時の熱負荷及び振動のシミュレーションを行い、これにより当該エンジン部品の温度、応力、歪み等に関する時系列のシミュレーションデータを得るシミュレーションステップに相当する。
【0084】
また、ステップS8は、前記シミュレーションデータと、DB11〜DB14のデータとに基づいて、低サイクル疲労、クリープ及び高サイクル疲労の各損傷量をそれぞれ演算し、式(5)の破壊判定基準に従って3つの破壊因子によるエンジン部品の破壊を判定する破壊判定ステップに相当する。
【0085】
換言すれば、前記式(5)における低サイクル疲労損傷量の項の演算が、シミュレーションデータから求めた熱負荷変動の履歴と、排気マニホルドの低サイクル疲労寿命とに基づいて、低サイクル疲労による損傷量を演算する低サイクル疲労損傷量演算ステップに対応し、同様に、式(5)のクリープ損傷量の項の演算がクリープ損傷量演算ステップに、また、高サイクル疲労損傷量の項の演算が高サイクル疲労損傷量演算ステップに、それぞれ対応する。
【0086】
そして、この実施形態の破壊予測システムAでは、コンピュータ装置1によって前記フローのステップS1〜S7が実行されることにより、このコンピュータ装置1がシミュレーション手段を構成し、また、前記ステップS8がコンピュータ装置1により実行されることで、このコンピュータ装置1が、低サイクル疲労損傷量演算手段、クリープ損傷量演算手段、高サイクル疲労損傷量演算手段、及び破壊判定手段をそれぞれ構成することになる。
【0087】
したがって、この実施形態に係るエンジン部品の破壊予測方法によると、エンジン部品が低サイクル疲労、クリープ及び高サイクル疲労の3つの破壊因子の複合する環境下で破壊に至るまでの寿命を予測する際に、それら3つの破壊因子による損傷量を全て加算して破壊の判定を行うとともに、クリープ損傷量の演算において応力緩和の影響を加味するように補正を行い、また、高サイクル疲労損傷量の演算において疲労限以下の振動による損傷の影響を加味するように補正を行うことにより、破壊因子の相互作用による影響を織り込んで、3因子複合疲労によるエンジン部品の破壊寿命を正確に予測することができる。
【0088】
その際、前記3つの破壊因子が個別に作用するときの寿命のデータについては予め実験等により求めて、データベースDB11〜13として設定記憶するようにしているので、これら各データベースから読み出した寿命のデータを用いることで破壊寿命の予測を正確に且つ容易に行うことができる。
【0089】
また、エンジンの運転時にエンジン部品に作用する熱負荷や振動については、FEMの適用により熱・応力解析を行って時系列のシミュレーションデータを取得し、このデータを用いるようにしているので、実際にエンジン部品を用いた実験、計測等を行う必要がなくなり、破壊寿命の予測がより一層、容易なものとなる。
【0090】
−他の実施形態−
尚、本願発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その他の種々の実施形態を包含するものである。すなわち、前記実施形態では、エンジンの運転時にエンジン部品が受ける熱負荷や振動のデータをFEMの適用により解析的に求めるようにしているが、これに限らず、エンジン部品を用いた実験、計測によりデータを取得するようにしてもよい。
【0091】
その場合には、クリープの際の応力緩和の状態を計測することも可能になるので、クリープ損傷量の項の演算について前記実施形態の式(3)のような近似式を用いる必要はなくなり、以下の式(6)のように、計測した応力を時間に関し積分することによって、クリープ損傷量を求めることもできる。すなわち、
ΣΔt/tr ≒ ∫Δσdt/Δσ・tr ・・・ (6)
但し、
Δσ : 1サイクル中の変動応力(計測値)
tr : Δσが作用した場合のクリープ寿命(破断時間)。
【0092】
さらに、前記実施形態では、排気マニホルドの破壊予測シミュレーションについて説明したが、本願発明に係る破壊予測方法は例えばピストンやシリンダーヘッド等の燃焼室部材やそれ以外のエンジン部品についても適用できることは言うまでもない。
【0093】
【発明の効果】
以上、説明したように、本願発明に係るエンジン部品の破壊予測システム及びその制御プログラムによると、低サイクル疲労、クリープ及び高サイクル疲労の3つの破壊因子が同時に作用する場合に、それら個々の破壊因子によるエンジン部品の損傷を加算するとともに、3つの破壊因子の相互作用による影響を考慮して、少なくとも高サイクル疲労損傷量については疲労限以下の振動による損傷の影響を加味する補正を行うことにより、当該エンジン部品が複合疲労によって破壊するまでの寿命を高精度に予測することができる。従って、莫大な工数の必要な大規模データベースを構築することなく、エンジン部品の正確な破壊予測が行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態に係るエンジン部品の破壊予測システムAの概略構成を示す概念図。
【図2】 低サイクル疲労寿命のデータの一例を示す図。
【図3】 クリープ寿命のデータの一例を示す図。
【図4】 高サイクル疲労寿命のデータの一例を示す図。
【図5】 複合疲労試験の1試験サイクルの模式図。
【図6】 従来の破壊判定基準によるクリープ疲労の破壊寿命予測結果を実寿命と対比して示すグラフ図。
【図7】 応力緩和による応力の低下状況を、温度条件を変えてそれぞれ示すグラフ図。
【図8】 応力緩和による応力の低下状況を、歪み振幅を変えてそれぞれ示すグラフ図。
【図9】 寿命予測に応力緩和の影響を加味した場合の図6相当図。
【図10】 クリープ損傷量の計算における応力緩和の近似方法を示す説明図。
【図11】 応力比を温度と歪み振幅とに対応付けて設定したデータの一例を示す図。
【図12】 応力緩和の影響を加味してクリープ損傷量を補正した場合の3因子複合疲労による破壊寿命予測結果を実寿命と対比して示すグラフ図。
【図13】 従来一般的な修正マイナー則の説明図。
【図14】 修正マイナー則に温度の影響を反映させる場合の図13相当図。
【図15】 クリープ損傷量及び高サイクル疲労損傷量を共に補正して、3因子複合疲労による寿命を予測した場合の図12相当図。
【図16】 破壊寿命予測方法の概略手順を示すフローチャート図。
【図17】 破壊寿命予測における主な入力項、解析手法及び出力項の模式図。
【符号の説明】
A エンジン部品の破壊予測システム
1 コンピュータ装置(シミュレーション手段、低サイクル疲労損傷量演算手段、クリープ損傷量演算手段、高サイクル疲労損傷量演算手段、破壊判定手段)
11 低サイクル疲労寿命DB(データベース)
12 クリープ寿命DB(データベース)
13 高サイクル疲労寿命DB(データベース)
14 補正DB(応力緩和データベース、寿命補正データベース)
Claims (8)
- エンジン部品が、熱負荷に起因する低サイクル疲労及びクリープと、振動に起因する高サイクル疲労との複合疲労によって損傷し破壊に至るまでの寿命を予測するためのコンピュータシステムであって、
前記エンジン部品が低サイクル疲労のみによって破壊に至るまでの寿命である低サイクル疲労寿命を予め実験により求めて、熱負荷変動と温度とに対応付けて設定した低サイクル疲労寿命データベースと、
前記エンジン部品がクリープのみによって破壊に至るまでの寿命であるクリープ寿命を予め実験により求めて、熱応力と温度とに対応付けて設定したクリープ寿命データベースと、
前記エンジン部品が高サイクル疲労のみによって破壊に至るまでの寿命である高サイクル疲労寿命を予め実験により求めて、振動と温度とに対応付けて設定した高サイクル疲労寿命データベースと、がそれぞれ設けられ、
前記エンジン部品における応力又は歪み状態の少なくとも一方と温度状態とに関する時系列の状態データを入力されて、少なくとも、その状態データから求めた熱負荷変動の履歴と、少なくともその状態データに基づき前記低サイクル疲労寿命データベースから読み出した低サイクル疲労寿命と、に基づいて、当該エンジン部品の低サイクル疲労による損傷量を演算する低サイクル疲労損傷量演算手段と、
前記状態データを入力されて、少なくとも、その状態データから求めた熱応力の履歴と、少なくともその状態データに基づき前記クリープ寿命データベースから読み出したクリープ寿命と、に基づいて、当該エンジン部品のクリープによる損傷量を演算するクリープ損傷量演算手段と、
前記状態データを入力されて、少なくとも、その状態データから求めた振動の履歴と、少なくともその状態データに基づき前記高サイクル疲労寿命データベースから読み出した高サイクル疲労寿命と、に基づいて、当該エンジン部品の高サイクル疲労による損傷量を演算する高サイクル疲労損傷量演算手段と、
前記低サイクル疲労、クリープ及び高サイクル疲労による各損傷量の総和が所定値以上になったときを破壊と判定する破壊判定手段と、を備え、
前記高サイクル疲労による損傷量は、エンジン部品が高サイクル疲労のみによって破壊に至る場合の振動回数を前記高サイクル疲労寿命とし、これに対する累積振動回数の割合として求められ、
前記高サイクル疲労損傷量演算手段は、前記高サイクル疲労寿命データベースから読み出した高サイクル疲労寿命をエンジン部品の温度状態が高いときほど短くなるように補正して、この補正後の寿命に基づいて高サイクル疲労による損傷量を演算するように構成されている
ことを特徴とするエンジン部品の破壊予測システム。 - 請求項1において、
低サイクル疲労寿命、クリープ寿命及び高サイクル疲労寿命の各データベースには、それぞれ、エンジン部品の材料毎に分けて寿命のデータが設定されていることを特徴とするエンジン部品の破壊予測システム。 - 請求項1において、
高サイクル疲労寿命を補正するための寿命補正データを予め実験により求めて、エンジン部品毎に分けて設定した寿命補正データベースが設けられ、
高サイクル疲労損傷量演算手段は、高サイクル疲労寿命を前記寿命補正データに基づいて補正するように構成されていることを特徴とするエンジン部品の破壊予測システム。 - 請求項1〜3のいずれか1つにおいて、
少なくともエンジン部品の物理モデルを用いて、エンジン運転時の熱負荷及び振動のシミュレーションを行うことにより、当該エンジン部品の状態データを解析的に求めるシミ ュレーション手段を備えていることを特徴とするエンジン部品の破壊予測システム。 - エンジン部品が、熱負荷に起因する低サイクル疲労及びクリープと、振動に起因する高サイクル疲労との複合疲労によって損傷し破壊に至るまでの寿命を予測するためのコンピュータシステムの制御プログラムであって、
前記コンピュータシステムには、
前記エンジン部品が低サイクル疲労のみによって破壊に至るまでの寿命である低サイクル疲労寿命を予め実験により求めて、熱負荷変動と温度とに対応付けて設定した低サイクル疲労寿命データベースと、
前記エンジン部品がクリープのみによって破壊に至るまでの寿命であるクリープ寿命を予め実験により求めて、熱応力と温度とに対応付けて設定したクリープ寿命データベースと、
前記エンジン部品が高サイクル疲労のみによって破壊に至るまでの寿命である高サイクル疲労寿命を予め実験により求めて、振動と温度とに対応付けて設定した高サイクル疲労寿命データベースと、がそれぞれ接続されており、
前記エンジン部品における応力又は歪み状態の少なくとも一方と温度状態とに関する時系列の状態データを入力して、少なくとも、その状態データから求めた熱負荷変動の履歴と、少なくともその状態データに基づき前記低サイクル疲労寿命データベースから読み出した低サイクル疲労寿命と、に基づいて、当該エンジン部品の低サイクル疲労による損傷量を演算する低サイクル疲労損傷量演算ステップと、
前記状態データを入力して、少なくとも、その状態データから求めた熱応力の履歴と、少なくともその状態データに基づき前記クリープ寿命データベースから読み出したクリープ寿命と、に基づいて、当該エンジン部品のクリープによる損傷量を演算するクリープ損傷量演算ステップと、
前記状態データを入力して、少なくとも、その状態データから求めた振動の履歴と、少なくともその状態データに基づき前記高サイクル疲労寿命データベースから読み出した高サイクル疲労寿命と、に基づいて、当該エンジン部品の高サイクル疲労による損傷量を演算する高サイクル疲労損傷量演算ステップと、
前記低サイクル疲労、クリープ及び高サイクル疲労による各損傷量の総和が所定値以上になったときを破壊と判定する破壊判定ステップと、を備え、
前記高サイクル疲労による損傷量は、エンジン部品が高サイクル疲労のみによって破壊に至る場合の振動回数を前記高サイクル疲労寿命とし、これに対する累積振動回数の割合として求められ、
前記高サイクル疲労損傷量演算ステップでは、前記高サイクル疲労寿命データベースから読み出した高サイクル疲労寿命をエンジン部品の温度状態が高いときほど短くなるように補正して、この補正後の寿命に基づいて高サイクル疲労による損傷量を演算する
ことを特徴とするエンジン部品の破壊予測システムの制御プログラム。 - 請求項5において、
コンピュータシステムには、高サイクル疲労寿命を補正するための寿命補正データを予め実験により求めて、エンジン部品毎に分けて設定した寿命補正データベースが設けられ、
高サイクル疲労損傷量演算ステップでは、高サイクル疲労寿命を前記寿命補正データに基づいて補正することを特徴とするエンジン部品の破壊予測システムの制御プログラム。 - 請求項5又は6のいずれかにおいて、
少なくともエンジン部品の物理モデルを用いて、エンジン運転時の熱負荷及び振動のシミュレーションを行い、これにより当該エンジン部品の状態データを求めるシミュレーションステップをさらに備えることを特徴とするエンジン部品の破壊予測システムの制御プログラム。 - 請求項7において、
低サイクル疲労の原因になる熱負荷の変動と、クリープの原因になる熱応力の保持期間とをそれぞれ少なくとも1回ずつ含み、且つ、高サイクル疲労の原因になる振動を含む試 験サイクルを予め設定しておき、
シミュレーションステップでは前記試験サイクルを2回以上、再現して、その2回目以降の試験サイクルにおいてエンジン部品の状態データを取得することを特徴とするエンジン部品の破壊予測システムの制御プログラム。
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