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JP4142591B2 - 運転曲線作成装置、制御装置及びプログラム - Google Patents

運転曲線作成装置、制御装置及びプログラム Download PDF

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JP4142591B2 JP2004001988A JP2004001988A JP4142591B2 JP 4142591 B2 JP4142591 B2 JP 4142591B2 JP 2004001988 A JP2004001988 A JP 2004001988A JP 2004001988 A JP2004001988 A JP 2004001988A JP 4142591 B2 JP4142591 B2 JP 4142591B2
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Description

本発明は、車輪を回転駆動する電動機と、前記電動機に駆動電力を供給する発電機と、前記電動機と前記発電機との間に接続された二次電池と、前記二次電池の充放電を制御する制御手段とを具備するハイブリッド型鉄道車両の運転曲線を作成する運転曲線作成装置、ハイブリッド型鉄道車両を制御する制御装置及びプログラムに関する。
鉄道車両としては、パンタグラフを介して架線に接続から供給される電力によって主電動機が車輪を駆動する、いわゆる電車が主流となっている。また、近年では、制動(ブレーキ)時に発生する回生電力を架線に戻すことで省エネ運転を実現している鉄道車両も開発・実用化されている。
このような背景の中、出願人においては、内部に発電機及び回生電力を回収する二次電池を備え、この発電機からの供給電力及び二次電池の蓄電電力によって主電動機が車輪を駆動するハイブリッド型鉄道車両と呼ばれる鉄道車両を開発している。このハイブリッド型鉄道車両における新たな制御技術が本願である。本願に近似する文献は発見されなかたため、先行技術文献は記載していない。
ハイブリッド型鉄道車両は、非電化区間での走行を実現することを目的の1つとしており、自走するための電力を自身で発生するという特徴を持っている。
また、ハイブリッド型鉄道車両においては、主電動機等で消費されない余剰電力や回生電力を二次電池に充電(蓄電)し、力行時に蓄電電力を駆動電力として主電動機に供給することができる。つまり、二次電池の蓄電電力を利用することで、発電機の供給能力以上の電力を駆動電力として主電動機に供給することが可能となる。
一方、鉄道車両の開発目標の一つとして、輸送能力を向上すべく、駅間等の走行線区の走行に要する運転時分(所要時分)の短縮が求められている。
上記事情に鑑み、本発明は、ハイブリッド型鉄道車両において、二次電池の蓄電電力を効率良く利用し、走行にかかる所要時分の短縮を図ることを目的としている。
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、
車輪を回転駆動する電動機と、前記電動機に駆動電力を供給する発電機と、前記電動機と前記発電機との間に接続された二次電池と、前記二次電池の充放電を制御する制御手段とを具備するハイブリッド型鉄道車両の運転曲線を、所定の基準運転曲線から作成する運転曲線作成装置であって、
走行線区を予め定められた条件で分割することにより前記基準運転曲線の変更対象区間を決定する決定手段(例えば、図8のCPU210;図9のステップS12)と、
前記二次電池の蓄電電力を用いない場合の引張力曲線である引張力基礎曲線及び前記二次電池の容量に基づいて、前記変更対象区間の引張力曲線を設定する引張力曲線設定手段(例えば、図8のCPU210;図9のステップS13)と、
前記変更対象区間に対応する前記基準運転曲線の部分を前記設定された引張力曲線に基づいて変更する変更手段(例えば、図8のCPU210;図9のステップS14)と、
を備え、前記変更手段の変更により前記ハイブリッド型鉄道車両の運転曲線を作成することを特徴とする運転曲線作成装置である。
また、請求項5に記載の発明は、
車輪を回転駆動する電動機と、前記電動機に駆動電力を供給する発電機と、前記電動機と前記発電機との間に接続された二次電池と、前記二次電池の充放電を制御する制御手段と、を具備するハイブリッド型の鉄道車両の運転曲線を所定の基準運転曲線から作成するようにコンピュータを機能させるためのプログラムであって、
前記ハイブリッド型鉄道車両の走行線区を予め定められた条件で分割することにより前記基準運転曲線の変更対象区間を決定する決定手段(例えば、図8のCPU210)、
前記二次電池の蓄電電力を用いない場合の引張力曲線である引張力基礎曲線及び前記二次電池の容量に基づいて、前記変更対象区間の引張力曲線を設定する引張力曲線設定手段(例えば、図8のCPU210)、
前記変更対象区間に対応する前記基準運転曲線の部分を前記設定された引張力曲線に基づいて変更する変更手段(例えば、図8のCPU210)、
前記変更手段の変更により前記ハイブリッド型鉄道車両の運転曲線を作成する作成手段(例えば、図8のCPU210)、
として前記コンピュータを機能させるためのプログラムである。
この請求項1又は5に記載の発明によれば、走行線区を所定の条件で分割して変更対象区間を決定し、引張力基礎曲線及び二次電池の容量に基づいて変更対象区間の引張力曲線を設定する。そして、設定した引張力曲線に基づき、変更対象区間に該当する基準運転曲線部分を変更することでハイブリッド型鉄道車両の運転曲線を作成できる。
即ち、引張力基礎曲線に二次電池の容量を加味した引張力曲線を設定するので、二次電池の容量分だけ供給電力量を増加させることができる。従って、引張力基礎曲線を用いた場合、即ち二次電池の容量を用いない場合と比較して、走行線区での走行にかかる所要時分の短縮を図ることができる。
尚、引張力曲線の設定を次のように行うこととしてもよい。
即ち、請求項2に記載の発明のように、請求項1に記載の運転曲線作成装置において、
前記引張力曲線設定手段は、前記引張力曲線の引張力成分及び速度成分それぞれに対する改善配分を、前記変更対象区間の速度域及び前記二次電池の蓄電容量に基づいて算出する改善配分算出手段を有し、算出された改善配分に基づいて前記引張力基礎曲線を変更することで、前記変更対象区間の引張力曲線を設定する手段である、
ように構成する。
この請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明と同様の効果を奏するとともに、引張力曲線の引張力成分及び速度成分それぞれに対する改善配分を、走行対象区間の速度域及び二次電池の蓄電容量に基づいて算出し、算出した改善配分に基づいて引張力曲線を設定することができる。
従って、例えば二次電池の容量を変更対象区間の速度域に配分するように引張力曲線を設定することで、該走行区間での引張力を増加させることができる。即ち、加速度を増加させることができるので、変更対象区間での所要時分を短縮でき、故に、走行線区全体での所要時分の短縮を図ることが可能となる。
また、請求項3に記載の発明は、
車輪を回転駆動する電動機と、前記電動機に駆動電力を供給する発電機と、前記電動機と前記発電機との間に接続された二次電池とを具備するハイブリッド型鉄道車両を制御する制御装置であって、
前記決定手段が現在走行中の走行区間の次の走行区間を少なくとも含む1以上の走行区間を変更対象区間として決定する手段である請求項1又は2に記載の運転曲線作成装置(例えば、図8のランカーブ作成装置200;図9のランカーブ作成処理)と、
前記運転曲線作成装置によって作成された運転曲線による前記変更対象区間の走行可否を現在の二次電池の蓄電電力から判定する判定手段(例えば、図8のCPU310;図10のステップS30)と、
を備え、前記判定手段により走行不可と判定された場合に前記運転曲線作成装置が運転曲線の再作成を行うことを特徴とする制御装置である。
この請求項3に記載の発明によれば、現在走行中の走行区間の次の走行区間を少なくとも含む1以上の走行区間を変更対象区間として決定し、決定した変更対象区間に該当する基準運転曲線部分を変更した運転曲線を、請求項1又は2に記載の発明と同様の効果を奏する運転装曲線作成置によって作成することができる。そして、作成された運転曲線による変更対象区間の走行可否を判定し、走行不可と判定した場合には、この運転曲線作成装置により運転曲線の再作成を行うことができる。
つまり、走行線区の走行中に、次に走行することとなる走行区間を含む変更対象区間に該当する基準運転曲線部分を変更するとともに、この変更対象区間での走行可否を判断し、走行不可と判定した場合には運転曲線の再作成、即ち該当する基準運転曲線部分の再変更を行う。このため、例えば速度低下といった外乱が発生した場合にもこの影響を考慮した運転曲線を作成可能となる。尚、走行可否の判定は、二次電池の容量に加えて、例えば消費電力量や発電機からの供給電力量、回生電力量等から算出することができる。
また、請求項4に記載の発明は、
車輪を回転駆動する電動機と、前記電動機に駆動電力を供給する発電機と、前記電動機と前記発電機との間に接続された二次電池とを具備するハイブリッド型鉄道車両を制御する制御装置であって、
請求項1又は2に記載の運転曲線作成装置と、
前記運転曲線作成装置により作成された運転曲線に基づいて、前記変更対象区間の走行に対する前記ハイブリッド型車両の予想消費電力を算出する算出手段と、
前記算出された予想消費電力に基づき、前記発電機の発電及び前記二次電池の充放電を制御することにより、前記変更対象区間の走行に対する前記二次電池による蓄電の準備制御を行う準備制御手段と、
を備えることを特徴とする制御装置である。
この請求項4に記載の発明によれば、請求項1又は2に記載の発明と同様の効果を奏する運転曲線作成装置によって運転曲線を作成し、作成した運転曲線に基づいて変更対象区間の走行に対する予想消費電力を算出することができる。そして、この予想消費電力に基づいて発電機の発電及び二次電池の充放電を制御することにより、変更対象区間の走行に対する二次電池による蓄電の準備制御を行うことができる。
即ち、変更対象走行区間の走行によって消費するであろう予想消費電力に基づき、二次電池の蓄電の準備制御が行われるので、例えば予想消費電力に加えて回生電力や発電機による供給電力等の変更対象区間の走行に関わる電力から二次電池に蓄電しておくべき電力量を算出し、少なくともこの電力量を二次電池に蓄電させておくことで、所要時分の短縮を図った運転曲線に従う走行が実現可能となる。
本発明によれば、引張力基礎曲線に二次電池の容量を加味した引張力曲線を設定し、この設定した引張力曲線に基づいて該当する基準運転曲線部分を変更することで、所要時分の短縮を図った運転曲線を作成できる。
以下、図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態を説明する。尚、本発明の適用が、以下の実施の形態に限定されるものでないことは勿論である。
本明細書において、ハイブリッド型鉄道車両とは、車輪を駆動する主電動機と、主電動機に駆動電力を供給する発電機と、発電機と主電動機との間に接続される二次電池とを具備する鉄道車両を意味する。
[原理]
先ず、本実施の形態の原理を説明する。
軌道が敷設され、走行線区が予め定められている鉄道においては、鉄道車両の運転の目安や運転制御の基準となる運転曲線(以下、「ランカーブ」と称する。)が予め作成される。ハイブリッド型鉄道車両(以下、説明上特に支障が無い限り、単に「鉄道車両」と称する。)についても同様である。
ランカーブとは、駅間等の走行線区における列車の運転状態を表したものであり、走行線区の開始地点からの走行距離と、列車の走行速度との関係を定義する。ランカーブは、一般的には曲線(グラフ)で表現されるものが知られている。このランカーブにより、走行線区内の任意の地点における列車速度や走行にかかる所要時分等を得ることができる。
図1(a)に、ランカーブの一例を示す。同図において、横軸は距離Lであり、縦軸は速度Vである。尚、参考のために、縦軸に時間Tをとった場合のグラフも図示する。同図に示すように、ランカーブとは、距離Lに対する速度Vを表す速度曲線VC1のことである。また、時間曲線TC1は、速度曲線VC1から得られる、距離Lに対する時間Tを表す曲線である。また、ランカーブは、鉄道車両の3つの走行モード(力行モード、制動モード及び楕行モード)で走行する各区間(力行区間、制動区間及び楕行区間)を単位区間とし、これら単位区間の組み合わせで構成される。
また、ランカーブは、走行線区に定められている曲率や勾配の角度、分岐器や信号等によって指定される制限速度等の線路側(地上側)の条件と、最高速度や加速度、ブレーキ減速度等の鉄道車両の性能とを加味して、走行線区の走行にかかる所要時分が最短となるように作成される。即ち、同一の走行線区であっても、走行する鉄道車両の性能によって異なるランカーブが作成されることになる。尚、ランカーブの作成方法については種々開発・実用化されており、適宜公知技術を適用することにより本実施の形態の装置を実現することができるため、ここでの具体的な説明は省略する。
但し、ランカーブを作成する際に参酌される鉄道車両の性能一つに引張力曲線があり、この引張力曲線を作成することが本願の特徴の1つであるため、ここで説明する。
引張力曲線とは、速度や加速度の能力を表す車両性能の一つであり、鉄道車両の走行速度と引張力(トルク)との関係を定義する。引張力曲線は、一般的には曲線(グラフ)で表現される。そして、この引張力曲線に従うように主電動機の回転速度や発生トルクが制御される。
図2(a)に、引張力曲線の一例を示す。同図において、横軸は速度Vであり、縦軸は引張力Fである。同図では、二次電池の最大蓄電電力量(蓄電容量)を用いた場合の引張力曲線を示している。また、点線は、二次電池の蓄電電力を用いない場合(つまり、発電機からの供給電力のみを主電動機の駆動電力とする場合)の引張力曲線(以下、「引張力基礎曲線」と称する。)を示している。尚、走行線区に定められた最高運転速度がV3であるため、引張力曲線は、速度V3を超える部分については定義されていない。
同図(a)に示すように、二次電池の蓄電容量に相当する分だけ、二次電池を用いない場合と比較して引張力F及び速度Vを増加させることができる。引張力曲線及び引張力基礎曲線で囲まれた部分面積AR1(同図(a)中の網掛部分)が、この蓄電容量に相当する。そして、この引張力曲線で走行した場合、図1(a)に示すランカーブ(以下、「基準ランカーブ」と称する。)が作成される。
本実施の形態では、この基準ランカーブを、走行線区の速度域に応じて部分的に変更することで、所要時分の短縮を図ったランカーブを作成する。具体的には、速度域毎に引張力曲線を設定し、該当するランカーブ部分を変更することで新たなランカーブを作成する。
詳細に説明する。
先ず、基準ランカーブを、走行線区に定められた速度域で分割する。但し、速度域は、1以上の単位区間で構成されることとする。例えば図1(a)では、速度Vが“V0(=0)〜V3”に定められている速度域VR1、速度Vが“V2〜V3”に定められている速度域VR2、そして速度Vが“V1〜V2”に定められている速度域VR3の合計3つの速度域に分割される。但し、V0<V1<V2<V3、である。
そして、分割した各速度域毎に、該当する速度域での引張力又は速度を増加させるように引張力曲線を設定する。具体的には、部分面積AR1(より詳細には、AR1に相当する二次電池の蓄電エネルギ)を、引張力成分又は速度成分に分配する。但し、引張力曲線の設定は、主電動機の定格出力を超えないように行う。
即ち、速度域VR1では、速度V0〜V3の範囲に対して二次電池の蓄電エネルギを分配するので、図2(a)に示す引張力曲線をそのまま設定する。また、速度域VR2では、速度V2〜V3の範囲に対して二次電池の蓄電エネルギを分配するよう、例えば図2(b)に示すように引張力曲線を設定する。また、速度域VR3では、速度V1〜V2の範囲に対して二次電池の蓄電エネルギを分配するよう、例えば図2(c)に示すように引張力曲線を設定する。
各速度域に応じた引張力曲線を設定すると、該設定した各引張力曲線に基づいて該当する基準ランカーブ部分を変更し、新たなランカーブを作成する。即ち、図1(a)に示した基準ランカーブにおいて、速度域VR1に該当するランカーブ部分を、図2(a)に示した引張力曲線に基づいて変更し、速度域VR2に該当するランカーブ部分を、図2(b)に示した引張力曲線に基づいて変更し、速度域VR3に該当するランカーブ部分を、図2(c)に示した引張力曲線に基づいて変更する。従って、図1(b)に示すランカーブが作成される。
図1(b)は、図2(a)に示した各引張力曲線に基づいて作成したランカーブ(以下、基準ランカーブに対して「変更ランカーブ」と称する。)を示す図であり、変更後の速度曲線VC2と、速度曲線VC2から得られる時間曲線LC2とを示している。尚、点線は、同図(a)に示した速度曲線VC1及び時間曲線TC1を示している。
図1(b)に示すように、各速度域の速度範囲での供給電力量が増加するように引張力曲線を設定したことにより、該速度範囲での引張力Fが増加する。即ち、加速度αが増加するため、走行線区全体の走行にかかる所要時分が短縮される。
そして、このように作成した変更ランカーブに従った運転が実現されるよう、二次電池の充放電を制御する。本実施の形態では、力行の開始地点において、当該地点からその次の力行の開始地点までの走行に必要な電力量であって、発電機の供給可能な電力量を超過する電力量(以下、適宜「必要とされる電力量」と称する。)が用意されているように、二次電池の充放電を制御する。
具体的には、先ず、変更ランカーブを、力行又は制動の開始地点から次の力行又は制動の開始地点までを1つの区間とする複数の走行区間に分割する。
図3は、変更ランカーブの一例を示す図である。同図(a)は、距離−速度曲線V(L)の一例を示す図である。同図において、横軸は距離Lであり、縦軸は速度Vである。また、同図(b)は、同図(a)に示した距離−速度曲線V(L)から得られる時間−距離曲線T(L)を示す図である。同図において、横軸は距離Lであり、縦軸は時間Tである。
従って、同図では、変更ランカーブは、力行及び楕行区間からなる走行区間FR1、力行及び楕行区間からなる走行区間FR2、制動及び楕行区間からなる走行区間FR3、力行及び楕行区間からなる走行区間FR4、そして制動区間からなる走行区間FR5の合計5つの走行区間に分割される。
そして、各走行区間毎に、該走行区間に関わる各種電力量を算出する。
例えば、力行区間から始まる走行区間FR2については、次のように算出する。尚、他の力行区間から始まる走行区間FR1、FR4についても同様に算出できる。
先ず、距離−時間曲線T(L)から、走行区間FR2の開始地点である力行開始時刻TP0、力行終了時刻(即ち、楕行開始時刻)TP1、終了地点である楕行終了時刻TP2を算出する。次いで、距離−速度曲線V(L)及び距離−時間曲線T(L)から、時刻TP0〜TP2での時間−速度曲線V(T)を作成する。
図3に示した距離−速度曲線V(L)、及び距離−時間曲線T(L)から作成される時間−速度曲線V(T)を図4に示す。同図において、横軸は時間Tであり、縦軸は速度Vである。尚、同図では、走行線区全体についての曲線を示している。また、把握が容易なように、時刻Tを表す横軸を、図3に示した各走行区間と合わせるように伸縮して示している。
そして、この時間−速度曲線V(T)、及び車両に設定されている速度−力行電力曲線P(V)から、時刻TP0〜P2での時間−力行電力曲線P(T)を作成する。
速度−力行電力曲線P(V)とは、車両が力行運転時に消費する電力(力行電力)の特性を表す車両性能の一つであり、速度Vと発生する力行電力Pとの関係を定義する。速度−力行電力曲線P(V)は、例えば図5に示すような曲線(グラフ)で表現される。
図5は、鉄道車両の性能として予め設定される速度−力行電力曲線P(V)及び速度−回生電力曲線Pr(V)の一例を示す図である。同図において、横軸は速度Vであり、縦軸は力行電力P或いは回生電力Prである。
また、現時点までの補機による消費電力量から、単位時間当たりの消費電力量である平均補機負荷電力Paを算出する。ここで、補機とは、その動作が鉄道車両の走行に直接関係しない車両設備であり、例えば照明や空調、自動扉、車内放送等の電気設備が該当する。
即ち、時刻TP0〜TP2に関わる各種電力量は、図6に示す通りとなる。
図6は、時刻TP0〜TP2及び時刻TB0〜TB2での時間Tに対する各種電力を表す時間−電力曲線を示す図である。同図において、横軸は時間Tであり、縦軸は電力である。そして、時刻TP0〜TP2における時間−電力曲線として、時間−力行電力曲線P(T)、平均補機負荷電力Pa、及び時間−供給電力曲線Ps(T)が示されている。尚、時間−力行電力曲線P(T)は、平均補機負荷電力Paに上乗せされるように示されている。
時間−供給電力曲線Ps(T)とは、発電機の供給能力であり、時間Tと供給電力Psとを定義し、一般的には、曲線(グラフ)で表現される。
同図に示すように、時刻TP0〜TP2において、時間−力行電力曲線P(T)は、力行区間である時刻TP0〜TP1でのみ値を持ち、これ以外の区間(時刻TP1〜TP2)では“0”となる。また、発電機は力行区間においてのみ発電を行うので、時間−供給電力曲線Ps(T)は、力行区間である時刻TP0〜TP1でのみ値を持ち、これ以外の区間(時刻TP1〜TP2)では“0”となる。
従って、横軸及び平均補機負荷電力Paで囲まれた部分面積AR2と、平均補機負荷電力Pa及び時間−力行電力曲線P(T)で囲まれた部分面積AR3との和が、時刻TP0〜TP2での消費電力量Ep1に該当する。この消費電力量Ep1は、次式で与えられる。
Figure 0004142591
また、横軸及び時間−供給電力曲線Ps(T)で囲まれた部分面積AR4が、時刻TP0〜TP2での発電機による供給電力量Ep2に該当する。この供給電力量Ep2は、次式で与えられる。
Figure 0004142591
故に、時刻TP0〜TP2での走行のために必要とされる二次電池の蓄電電力量Epは、次式で与えられる。
Figure 0004142591
また、制動区間から始まる走行区間FR3についても同様に、該走行区間に関わる電力量を次のように算出する。尚、制動区間から始まる他の走行区間FR5についても同様に算出できる。
即ち、先ず、図3(b)に示した距離−時間曲線T(L)から、走行区間FR3の開始地点である制動開始時刻TB0、制動終了時刻(即ち、楕行開始時刻)TB1、終了地点である楕行終了時刻TB2を算出する。次いで、図3(a)に示した距離−速度曲線V(L)及び距離−時間曲線T(L)から、時刻TB0〜TB2での時間−速度曲線V(T)を作成する。作成された時間−速度曲線V(T)は、図4に示すようになる。
そして、この時間−速度曲線V(T)及び車両性能として予め設定されている速度−回生電力曲線Pr(V)から、時刻TB0〜TB2での時間−回生電力曲線Pr(T)を作成する。
速度−回生電力曲線Pr(V)とは、車両が回生運転時に発生する電力(回生電力)の特性を表す車両性能の一つであり、速度Vと発生する回生電力Prとの関係を定義する。速度−回生電力曲線Pr(V)は、例えば図5に示すような曲線(グラフ)で表現される。
また、現時点までの補機による消費電力から、同様に、平均補機負荷電力Paを算出する。
従って、時刻TB0〜TB2に関わる各種電力量は、図6に示す通りとなる。同図においては、時刻TB0〜TB2における時間−電力曲線として、平均補機負荷電力Pa及び時間−回生電力曲線Pr(T)が示されている。
同図に示すように、時間−回生電力曲線Pr(T)は、制動区間である時刻TB0〜TB1でのみ値を持ち、これ以外の区間(TB1〜TB2)では“0”となる。
従って、横軸及び平均補機負荷電力Paで囲まれた部分面積AR5が、時刻TB0〜TB2での消費電力量Eb1に該当する。この消費電力量Eb1は、次式で与えられる。
Figure 0004142591
また、横軸及び時間−回生電力曲線Pr(T)で囲まれた部分面積AR6が、時刻TB0〜TB2で発生する回生電力量Eb2に該当する。この回生電力量Eb2は、次式で与えられる。
Figure 0004142591
故に、時刻TB0〜TB2で二次電池に新たに蓄電される蓄電電力量Ebは、次式で与えられる。
Figure 0004142591
このように、各走行区間に関わる各種電力量を算出すると、算出した電力量から、力行開始地点(力行開始時刻TP0)で必要とされる二次電池の蓄電電力量を確保するための、発電機による二次電池の充電を開始すべき供給開始時刻Tgを算出する。
即ち、現在時刻T0(但し、T0<TP0、とする。)から任意の時刻Tまでの消費電力量E(T)は、次式で与えられる。
Figure 0004142591
従って、時刻Tにおける二次電池の蓄電電力量Ecap(T)は、次式で与えられる。
Figure 0004142591
但し、EcapT0は、現在時刻T0での蓄電電力量である。
また、時刻Tから力行開始時刻TP0までに発電機から供給可能な供給電力量Es(T)は、次式で与えられる。
Figure 0004142591
従って、式(3)、(8)、(9)から、次式(10)を満たす時刻Tgにおいて発電機から二次電池への電力供給を開始すれば、次の力行開始時刻TP0において必要とされる電力量を二次電池に充電できる。
Figure 0004142591
時間Tに対する蓄電電力量Ecapを表す時間−蓄電電力量曲線Ecap(T)の一例を図7に示す。同図において、横軸は時間Tであり、縦軸は蓄電電力量Ecapである。尚、点線は、発電機による二次電池への電力供給を行わない場合を示している。
このように、時刻Tgで発電機による二次電池蓄電を開始することで、次の力行の開始地点(力行開始時刻TP0)において、以降の走行に必要とされる二次電池の蓄電電力量Epを確保することができる。
[構成]
次に、構成を説明する。
図8は、本実施の形態におけるハイブリッド型鉄道車両の主回路モデルと、車両制御装置の構成とを示す図である。同図によれば、鉄道車両は、発電機10と、コンバータ20と、インバータ30と、主電動機(MM)40と、二次電池50と、補助電源回路(SIV)60と、補機70と、車両制御装置100と、を備えて構成される。
発電機10は、例えばディーゼルエンジンによる動力により三相交流電力を発生(発電)するディーゼル発電機である。発電機10が発生した三相交流電力は、コンバータ20で直流電力に変換され、更にインバータ30を介して主電動機40に供給される。また、補助電源回路60を介して補機70に供給される。発電機10の発電動作(開始/停止や発電電力量等)は、車両制御装置100によって制御される。
コンバータ20は、例えばダイオード整流器等からなり、発電機10により発生された三相交流電力を整流して直流電力に変換する。
インバータ30は、例えばIGBT等の半導体素子からなり、コンバータ20を介した発電機10からの供給電力や二次電池50の蓄電電力を、車両制御装置100からの制御指令値に応じた三相交流電力に変換する。
主電動機40は、駆動軸が車軸に接続され、電力が供給されることで車輪を回転駆動する電動機(モータ)であり、例えば三相誘導電動機等から構成される。また、主電動機40は、回生運転時には発電機として動作して回生電力を発生する。回生電力は、インバータ30を介して二次電池50を充電する。また、主電動機40には、例えば流入電流(供給電流)を検出する電流センサが備えられ、この電流センサによって検出された電流値に基づいて、車両制御装置100による主電動機40の制御がなされる。この制御方法としては、例えばVVVF制御やベクトル制御が用いられる。
二次電池50は、充放電可能な一般的な二次電池(バッテリ)であり、例えば鉛蓄電池等により構成される。また、二次電池50には、直流電力に変換された発電機10からの供給電力や主電動機40による回生電力が充電されるとともに、蓄電電力を放出(放電)する。二次電池50の充放電は、車両制御装置100によって制御される。また、二次電池50には、不図示の充電容量計が設けられ、車両制御装置100が現在の蓄電電力量を把握できるように構成されている。
補助電源回路60は、半導体素子等で構成されたインバータであり、コンバータ20を介した発電機10からの供給電力や二次電池50の蓄電電力を交流電力に変換して補機70に供給する。また、補機70は、コンプレッサや鉄道車両内の照明、空調等の鉄道車両の電気設備であり、これらを制御する回路等を含む。
車両制御装置100は、鉄道車両を構成する各部を統括的に制御する制御部であり、具体的には、発電機10の発電開始/終了や発電電力量等を制御する発電制御、インバータ30の出力制御によって主電動機40の回転速度や発生トルクを制御する主電動機制御、補助電源回路60の出力制御によって補機70への供給電力を制御する補機制御、二次電池50の充放電制御等を行う。また、本実施の形態では、車両制御装置100には、ランカーブ作成装置200及び蓄電制御装置300が含まれる。
ランカーブ作成装置200は、当該鉄道車両が走行する路線(走行線区)でのランカーブを作成するものである。このランカーブ作成装置200は、CPU210、フラッシュROM等からなるROM220、RAM230等を有するコンピュータにより実現され、例えば制御ボードとして車両制御装置100に実装される。
CPU210は、入力される指示に応じて所定のプログラムに基づいた処理を実行してランカーブ作成装置200を統括的に制御する。具体的には、CPU210は、ROM220に記憶されているプログラム等の内から指定されたプログラムやデータを読み出してRAM230に一時的に格納し、該プログラムに従った処理を実行する。特に、本実施の形態では、ROM220に記憶されたランカーブ作成プログラム221に従ったランカーブ作成処理(図9参照)を実行する。
ROM220には、ランカーブ作成処理を実現するためのプログラムやデータ等が記憶される。具体的には、プログラムとして、CPU210が実行するランカーブ作成プログラム221が記憶され、データとして、引張力基礎曲線データ222と、最大容量データ223と、線路データ224と、が記憶される。
引張力基礎曲線データ222は、車両性能データの一つである引張力基礎曲線のデータである。この引張力基礎曲線は、上述のように、二次電池50の蓄電電力を用いない場合、即ち、発電機10からの供給電力のみを主電動機40の駆動電力とする場合の引張力曲線である。
最大容量データ223は、二次電池50が蓄電可能な蓄電電力量の最大値である最大容量のデータである。
線路データ224は、走行線区に関するデータであり、例えば線路の長さや曲率、勾配の角度、制限速度等が含まれる。
RAM230には、CPU210によりROM220から読み出されたプログラムや、当該プログラムの実行にかかるデータ等が一時的に記憶される。特に、本実施の形態では、基準ランカーブデータ231と、設定引張力曲線データ232と、変更ランカーブデータ233と、が記憶される。
基準ランカーブデータ231は、引張力基礎曲線データ222や線路データ224等に基づいて作成された基準ランカーブのデータである。
設定引張力曲線データ232は、引張力基礎曲線データ222及び最大容量データ223に基づき、走行線区の各速度域毎に設定された設定引張力曲線のデータである。
変更ランカーブデータ233は、設定引張力曲線データ232に基づき、走行線区の各速度域に該当する基準ランカーブ部分を更新することで作成された変更ランカーブのデータである。
また、蓄電制御装置300は、ランカーブ作成装置200によって作成された変更ランカーブに基づいて二次電池50の蓄電電力を制御するものである。この蓄電制御装置300は、CPU310、フラッシュROM等からなるROM320、RAM330等を有するコンピュータにより実現され、例えば制御ボードとして車両制御装置100に実装される。
CPU310は、入力される指示に応じて所定のプログラムに基づいた処理を実行して蓄電制御装置300を統括的に制御する。特に、本実施の形態では、ROM320に記憶された蓄電制御プログラム321に従った蓄電制御処理(図10参照)を実行する。
ROM320には、蓄電制御処理を実現するためのプログラムやデータ等が記憶される。具体的には、プログラムとして、CPU310が実行する蓄電制御プログラム321が記憶され、データとして、速度−力行電力曲線データ322と、速度−回生電力曲線データ323と、時間−供給電力曲線データ324と、が記憶される。
速度−力行電力曲線データ322は、車両性能データの一つである速度−力行電力曲線P(V)のデータである。
速度−回生電力曲線データ323は、車両性能データの一つである速度−回生電力曲線Pr(V)のデータである。
時間−供給電力曲線データ324は、発電機10の電力供給能力を表す時間−供給電力曲線Ps(T)のデータである。
RAM330には、CPU310によりROM320から読み出されたプログラムや、当該プログラムの実行にかかるデータ等が一時的に記憶される。特に、本実施の形態では、変更ランカーブデータ331と、時間−速度曲線データ332と、時間−力行電力曲線データ333と、時間−回生電力曲線データ334と、補機消費電力データ335と、平均補機負荷電力データ336と、蓄電電力量データ337と、供給開始時刻データ338と、が含まれる。
変更ランカーブデータ331は、ランカーブ作成装置200によって作成された変更ランカーブのデータであり、ランカーブ作成装置200における変更ランカーブデータ233に相当する。変更ランカーブデータ331には、距離−速度曲線V(L)のデータである距離−速度曲線データ331aと、この距離−速度曲線データ331aから得られる距離−時間曲線T(L)のデータである距離−時間曲線データ331bと、が含まれる。
時間−速度曲線データ332は、距離−速度曲線データ331a及び距離−時間曲線データ331bに基づいて作成される時間−速度曲線V(T)のデータである。
時間−力行電力曲線データ333は、時間−速度曲線データ332及び速度−力行電力曲線データ322に基づいて作成される時間−力行電力曲線P(T)のデータである。
時間−回生電力曲線データ334は、時間−速度曲線データ332及び速度−回生電力曲線データ323に基づいて作成される時間−回生電力曲線Pr(T)のデータである。
補機消費電力データ335は、現時点までの補機70による消費電力量のデータである。
平均補機負荷電力データ336は、補機消費電力データ335に基づいて算出される平均補機負荷電力Paのデータである。
蓄電電力量データ337は、二次電池50の現在の蓄電電力量EcapT0のデータである。
供給開始時刻データ338は、時間−力行電力曲線データ333や時間−回生電力曲線データ334、平均補機負荷電力データ336、時間−供給電力曲線データ324に基づいて算出された、発電機10から二次電池50への電力供給を開始する供給開始時刻Tgのデータである。
[処理の流れ・動作]
次に、処理の流れを説明する。
先ず、ランカーブ作成処理を説明する。
ランカーブ作成処理は、ランカーブ作成装置200によってなされる処理であり、詳細には、CPU210がROM220に記憶されたランカーブ作成プログラム221に従った処理を実行することで実現される。また、このランカーブ作成処理は、該当する走行線区の実際の走行に先立ち、予め実行される処理である。
図9は、ランカーブ作成処理を説明するためのフローチャートである。
同図によれば、CPU210は、先ず、引張力基礎曲線データ222や線路データ224、車両性能等に基づき、対象となる走行線区を鉄道車両に予め定められている引張力基礎曲線で走行した場合の基準ランカーブを作成する(ステップS11)。作成された基準ランカーブは、基準ランカーブデータ231としてRAM230に格納される。
次いで、CPU210は、作成した基準ランカーブを走行線区の速度域で分割し、各速度域に応じた引張力曲線を設定する(ステップS12〜S13)。そして、各速度域毎に、設定した引張力曲線に基づいて該当する基準ランカーブ部分を更新することで変更ランカーブを作成する(ステップS14)。作成された変更ランカーブは、変更ランカーブデータ233としてRAM230に格納されるとともに、変更ランカーブデータ331として蓄電制御装置300のRAM330に格納される。
以上の処理を行うと、CPU210は、本ランカーブ作成処理を終了する。
次に、蓄電制御処理を説明する。
蓄電制御処理は、蓄電制御装置300によってなされる処理であり、詳細には、CPU310がROM320に記憶された蓄電制御プログラム321に従った処理を実行することで実現される。また、この蓄電制御処理は、上述したランカーブ作成処理の実行によって変更ランカーブが作成された後、該当する走行線区の実際の走行開始とともに実行が開始される処理である。
図10は、蓄電電力制御処理を説明するためのフローチャートである。
同図によれば、CPU310は、先ず、鉄道車両の現在の位置L0及び速度V0が変更ランカーブと一致しているか(変更ランカーブ上に位置しているか)を判断する。尚このとき、距離−速度曲線V(T)と厳密に一致している必要はなく、現在速度V0と、距離−速度曲線V(T)上で現在位置L0に対応する速度Vとの差分△Vが所定値以内であれば“一致”しているとみなす。
判断の結果、一致していなければ(ステップS21:NO)、CPU310は、ランカーブ作成装置200に変更ランカーブの再作成を行わせる(ステップS22)。具体的には、現在位置L0を含む速度域以降の走行線区部分について、線路データ224や上述したランカーブ作成処理において設定した設定引張力曲線データ232に基づき、現在位置L0及び速度V0を通過するように該当する基準ランカーブ部分を更新させる。
一方、現在位置L0及び速度V0が変更ランカーブと一致していれば(ステップS21:YES)、CPU310は、変更ランカーブを、力行又は制動の開始地点から次の力行又は制動の開始地点までを単位とする複数の走行区間に分割する。そして、現在位置L0を含む走行区間の次の走行区間を、計算対象の区間である計算区間に設定する(ステップS23)。例えば図3では、現在位置L0が走行区間FR1に含まれるので、その次の走行区間FR2が計算区間となる。
そして、CPU310は、計算区間の開始地点での運転状態を判断し、力行である場合には(ステップS24:YES)、変更ランカーブから、図3(b)を参照して説明したように、計算区間の開始地点である力行開始時刻TP0、力行終了時刻(惰行開始時刻)TP1及び終了地点である楕行終了時刻TP2を算出する。次いで、距離−速度曲線V(L)及びこの距離−速度曲線V(L)より得られる時間−距離曲線L(T)から、時刻TP0〜TP2での時間−速度曲線V(T)を作成する(ステップS26)。
更に、この時間−速度曲線V(T)及び鉄道車両に予め設定されている速度−力行電力曲線P(V)から、時刻TP0〜TP2での時間−力行電力曲線P(T)を作成する(ステップS26)。
また、CPU310は、現時点(現在時刻T0)までの補機70による消費電力量から、平均補機負荷電力Paを算出する(ステップS27)。
その後、式(3)に従い、時刻TP0〜TP2の走行に必要な二次電池の蓄電電力Epを算出し(ステップS28)、次いで、式(10)に従って供給開始時刻Tgを算出する(ステップS29)。
そして、CPU310は、算出した供給開始時刻Tgより、変更ランカーブに従った走行が可能であるか否かを判断する(ステップS30)。具体的には、供給開始時刻Tgが、現在時刻T0より後の時刻であり、且つ、次の力行開始時刻TP0より先の時刻である場合に走行可能であると判断する。
判断の結果、走行可能でない場合には(ステップS30:YES)、CPU310は、ステップS22に戻り、再度、変更ランカーブの再作成を行う。
一方、走行可能であると判断した場合には(ステップS30:NO)、CPU310は、現在時刻が時刻Tgとなった時点で、発電機10に発電を開始させるととともに、二次電池50の充電を開始させる(ステップS31)。そして、該当する走行線区の走行が終了でなければ(ステップS32:NO)、ステップS21に戻り、再度、同様の処理を行う。
一方、ステップS24において、計算区間の開始地点での運転状態が力行でない、即ち制動である場合には(ステップS24:NO)、CPU310は、変更ランカーブから、計算区間の開始地点である制動開始時刻TB0、制動終了時刻(惰行開始時刻)TB1及び終了地点である楕行終了時刻TB2を算出する。そして、距離−速度曲線V(L)及び距離−時間曲線T(L)から、時刻TB0〜TB2での時間−速度曲線V(T)を作成する(ステップS32)
次いで、CPU310は、この時間−速度曲線V(T)及び鉄道車両に予め設定されている速度−回生電力曲線Pr(V)から、時刻TB0〜TB2での時間−回生電力曲線Pr(T)を作成する(ステップS33)。
また、現時点(現在時刻T0)までの補機70による消費電力量から、平均補機負荷電力Paを算出する(ステップS34)。
そして、該当する走行線区の走行が終了でなければ(ステップS35:NO)、ステップS21に戻り、再度、同様の処理を行う。このように、走行中に変更ランカーブを分割した走行区間を順次計算区間として、ステップS24〜S34の処理を繰返し実行する。そして、走行線区での走行が終了となると(ステップS35:YES)、CPU310は、本蓄電制御処理を終了する。
[作用・効果]
以上、上述した実施の形態によれば、走行線区の速度域毎に引張力曲線を設定し、この設定引張力曲線に基づいて、各速度域に該当する基準ランカーブ部分を更新することでランカーブ(変更ランカーブ)を作成することができる。ここで、引張力曲線の設定を、二次電池の蓄電電力を該速度域に分配して供給電力量を増加させるように行う。このことにより、引張力Fが増加し、そして加速度αが上昇するため、該速度域での所要時分を短縮することができ、故に走行線区での所要時分の短縮を図ることが可能となる。
更に、走行区間を実際に走行する際には、この所要時分の短縮を図った変更ランカーブから、次の走行区間での消費電力量や供給電力量、回生電力量等を算出する。そして、これらの電力量に基づき、次の走行区間の開始地点において、二次電池50には必要な電力量が二次電池50に蓄電されているよう、発電機10の発電及び二次電池50の充放電を制御する。走行中、この算出及び制御を繰返し実行する。このため、上記所要時間の短縮を図った変更ランカーブに従う走行が実現可能となる。
[変形例]
尚、本発明の適用は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上述した実施の形態では、鉄道車両がランカーブ作成装置200を備えることとしたが、これを、鉄道車両の外部装置、例えばコンピュータ制御によって列車の運行を集中管理する中央管理装置が備えることとしても良い。この場合、鉄道車両は、外部装置にて作成された変更ランカーブを、例えば無線通信によって受信する。そして、受信した変更ランカーブに基づいて、蓄電制御装置300が蓄電制御処理を実行する。
(a)基準ランカーブ、(b)変更ランカーブ、の一例をそれぞれ示す図。 設定引張力曲線の一例を示す図。 変更ランカーブの一例を示す図。 時間−速度曲線V(T)の一例を示す図。 速度−力行電力曲線P(V)及び速度−回生電力曲線Pr(T)の一例を示す図。 時間−消費電力曲線P(T)、時間−供給電力曲線Ps(T)及び時間−回生電力曲線Pr(T)の一例を示す図。 時間−蓄電電力量曲線Ecap(T)の一例を示す図。 ハイブリッド型鉄道車両の主回路モデルを示す図。 ランカーブ作成処理を説明するためのフローチャート。 蓄電制御処理を説明するためのフローチャート。
符号の説明
10 発電機
20 コンバータ
30 インバータ
40 主電動機
50 二次電池
60 補助電源回路(SIV)
70 補機
100 車両制御装置
200 ランカーブ作成装置
210 CPU
220 ROM
221 ランカーブ作成プログラム
222 引張力基礎曲線データ
223 最大容量データ
224 線路データ
230 RAM
231 基準ランカーブデータ
232 設定引張力曲線データ
233 変更ランカーブデータ
300 蓄電制御装置
310 CPU
320 ROM
321 蓄電制御プログラム
322 速度−力行電力曲線データ
323 速度−回生電力曲線データ
324 時間−供給電力曲線データ
330 RAM
331 変更ランカーブデータ
331a 距離−速度曲線データ
331b 距離−時間曲線データ
332 時間−速度曲線データ
333 時間−力行電力曲線データ
334 時間−回生電力曲線データ
335 補機消費電力データ
336 平均補機負荷電力データ
337 蓄電電力量データ
338 供給開始時刻データ

Claims (5)

  1. 車輪を回転駆動する電動機と、前記電動機に駆動電力を供給する発電機と、前記電動機と前記発電機との間に接続された二次電池と、前記二次電池の充放電を制御する制御手段とを具備するハイブリッド型鉄道車両の運転曲線を、所定の基準運転曲線から作成する運転曲線作成装置であって、
    走行線区を予め定められた条件で分割することにより前記基準運転曲線の変更対象区間を決定する決定手段と、
    前記二次電池の蓄電電力を用いない場合の引張力曲線である引張力基礎曲線及び前記二次電池の容量に基づいて、前記変更対象区間の引張力曲線を設定する引張力曲線設定手段と、
    前記変更対象区間に対応する前記基準運転曲線の部分を前記設定された引張力曲線に基づいて変更する変更手段と、
    を備え、前記変更手段の変更により前記ハイブリッド型鉄道車両の運転曲線を作成することを特徴とする運転曲線作成装置。
  2. 前記引張力曲線設定手段は、前記引張力曲線の引張力成分及び速度成分それぞれに対する改善配分を、前記変更対象区間の速度域及び前記二次電池の蓄電容量に基づいて算出する改善配分算出手段を有し、算出された改善配分に基づいて前記引張力基礎曲線を変更することで、前記変更対象区間の引張力曲線を設定する手段である、
    ことを特徴とする請求項1に記載の運転曲線作成装置。
  3. 車輪を回転駆動する電動機と、前記電動機に駆動電力を供給する発電機と、前記電動機と前記発電機との間に接続された二次電池とを具備するハイブリッド型鉄道車両を制御する制御装置であって、
    前記決定手段が現在走行中の走行区間の次の走行区間を少なくとも含む1以上の走行区間を変更対象区間として決定する手段である請求項1又は2に記載の運転曲線作成装置と、
    前記運転曲線作成装置によって作成された運転曲線による前記変更対象区間の走行可否を現在の二次電池の蓄電電力から判定する判定手段と、
    を備え、前記判定手段により走行不可と判定された場合に前記運転曲線作成装置が運転曲線の再作成を行うことを特徴とする制御装置。
  4. 車輪を回転駆動する電動機と、前記電動機に駆動電力を供給する発電機と、前記電動機と前記発電機との間に接続された二次電池とを具備するハイブリッド型鉄道車両を制御する制御装置であって、
    請求項1又は2に記載の運転曲線作成装置と、
    前記運転曲線作成装置により作成された運転曲線に基づいて、前記変更対象区間の走行に対する前記ハイブリッド型車両の予想消費電力を算出する算出手段と、
    前記算出された予想消費電力に基づき、前記発電機の発電及び前記二次電池の充放電を制御することにより、前記変更対象区間の走行に対する前記二次電池による蓄電の準備制御を行う準備制御手段と、
    を備えることを特徴とする制御装置。
  5. 車輪を回転駆動する電動機と、前記電動機に駆動電力を供給する発電機と、前記電動機と前記発電機との間に接続された二次電池と、前記二次電池の充放電を制御する制御手段と、を具備するハイブリッド型鉄道車両の運転曲線を所定の基準運転曲線から作成するようにコンピュータを機能させるためのプログラムであって、
    前記ハイブリッド型鉄道車両の走行線区を予め定められた条件で分割することにより前記基準運転曲線の変更対象区間を決定する決定手段、
    前記二次電池の蓄電電力を用いない場合の引張力曲線である引張力基礎曲線及び前記二次電池の容量に基づいて、前記変更対象区間の引張力曲線を設定する引張力曲線設定手段、
    前記変更対象区間に対応する前記基準運転曲線の部分を前記設定された引張力曲線に基づいて変更する変更手段、
    前記変更手段の変更により前記ハイブリッド型鉄道車両の運転曲線を作成する作成手段、
    として前記コンピュータを機能させるためのプログラム。
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