JP4126823B2 - ヌクレオシド誘導体及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、3’−α位がフッ素化されたヌクレオシド誘導体の製造方法に関し、更には新規な3’−α位フッ素化ヌクレオシド誘導体に関する。
【0002】
【従来の技術】
3’−α位がフッ素化されたヌクレオシド誘導体は、その抗腫瘍性や抗ウィルス性から注目を浴びている(例えば、2’,3’−ジデオキシ−3’−フルオロアデノシンについては、Kowollik, Gotthard; Langen, Peter; Kvasyuk, E. I.; Mikhailopulo, I. A., DD 158903、2’,3’−ジデオキシ−3’−フルオログアノシンについては、Zaitseva, G. V.; Kowollik, Gotthard; Langen, Peter; Mikhailopulo, I. A.; Kvasyuk, E. I., DD 209197、2’,3’−ジデオキシ−3’−フルオロイノシンについては、Van Aerschot, Arthur; Herdewijn, Piet; Balzarini, Jan; Pauwels, Rudi; De Clercq, Erik., J. Med. Chem. (1989), 32(8), 1743-9を参照)。
【0003】
一般に3’−α位がフッ素化された、これら一連のヌクレオシド誘導体を合成するには、3’−β位の水酸基をSN2型置換反応によって立体反転的にフッ素化する方法があるが、3’−β位に水酸基を持つ反応基質を通常のリボ核酸から合成するには工程数がかかり、また収率も低くて工業化には向かない。また、対応するフッ素化された糖を合成し、これを核酸塩基とカップリングする方法も行われるが、フッ素化された糖を合成するには工程数がかかり、また収率も低く、さらにカップリング時に生成するα/βアノマーは一般に分離が困難であり、この方法も工業化には向かない。
【0004】
【本発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、工程数が短く高収率で、その結果低コストである、ヌクレオシド誘導体の3’−α位にフッ素原子を導入する工業的に有用な方法を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記の問題点を解決すべく鋭意検討を行った結果、工業的に短段階で容易に合成しうる2’−α位に水酸基かシリル化された水酸基を持ち、3’−β位にフッ素以外のハロゲン原子を持つヌクレオシド誘導体を、ジアルキルアミノサルファートリフルオライドと反応させることで、全く新規な転移反応が進行し、その結果2’−β位にフッ素以外のハロゲン原子が転移し、3’−α位がフッ素化された全く新規な化合物が得られることを見出した。更に、この化合物の2’−β位のハロゲン原子を還元し、5’位水酸基の脱保護、又は必要に応じて核酸塩基の保護、脱保護、修飾を行うことにより、容易に3’−α位がフッ素化され、2’位が脱オキシ化された所望のヌクレオシド誘導体を合成し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち本発明には、次の内容が含まれる。
【0007】
(i)下記一般式(I)で示されるフッ素を有するヌクレオシド誘導体。
【化4】
[式中、Bは核酸塩基又はその誘導体を示し、Xはハロゲン原子(フッ素原子を除く)を示し、Rは水酸基の保護基を示す。]
【0008】
(ii)下記一般式(II)で示されるヌクレオシド誘導体を、
【化5】
[式中、Bは核酸塩基又はその誘導体を示し、Aは水素原子又は有機シリル残基を示し、Xはハロゲン原子(フッ素原子を除く)を示し、Rは水酸基の保護基を示す。]
ジアルキルアミノサルファートリフルオライドと反応させることを特徴とする、前記(i)記載のヌクレオシド誘導体の製造方法。
【0009】
(iii)前記(i)記載のヌクレオシド誘導体を用い、下記(1)、(2)及び必要により(3)の工程を順不同で経て製造されることを特徴とする、下記一般式(III)で表されるヌクレオシド誘導体の製造方法。
(1)2’位のハロゲンを脱ハロゲン化をする工程。
(2)水酸基の保護基を脱保護する工程。
(3)核酸塩基又はその誘導体の保護、脱保護、修飾のうち、少なくともいずれか一つを行う工程。
【化6】
[式中、B’は核酸塩基又はその誘導体を示す。]
【発明の実施の形態】
【0010】
本発明における上記一般式(I)で示されるヌクレオシド誘導体において、Bはプリン塩基やピリミジン塩基等の核酸塩基またはその誘導体を示す。具体的にはピリミジン塩基としてウラシル、チミン、シトシン等があげられる、またプリン塩基としてはヒポキサンチン、アデニン、グアニン等があげられる。Bとしては核酸塩基が有する水素原子、水酸基、アミノ基等の記が適当な置換基で置換された核酸塩基誘導体もあげることができる。置換基としては水素原子、アミノ基、ハロゲン基、炭素数1−10のアルキル基、炭素数1−10までのビニル基、ニトロ基等があげられる。
【0011】
なお、これらの核酸塩基又はその誘導体は核酸合成一般で用いられる保護基で保護されていても良い。保護基としては、水酸基の保護基の場合、例えばアセチル基、ベンゾイル基等のアシル基、メトキシメチル基、アリル基等のアルキル基、ベンジル基、トリフェニルメチル基等のアラルキル基等があげられる。アミノ基の保護基の場合、例えば、アセチル基、ベンゾイル基等のアシル基、ベンジル基等のアラルキル基等が挙げられる。これらの保護基はハロゲン原子、炭素数1−5のアルキル基、炭素数1−5のアルキルオキシ基等の適当な置換基を有していてもよい。
【0012】
上記一般式(I)中、Xはフッ素以外のハロゲン原子を示す。このようなハロゲン原子としては、例えば塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
【0013】
上記一般式(I)中、Rは水酸基の保護基を示す。水酸基の保護基としては、例えば、アセチル基、ベンゾイル基等のアシル基、メトキシメチル基、アリル基等のアルキル基、ベンジル基、トリフェニルメチル基等のアラルキル基等が挙げられる。尚、これらの保護基はハロゲン原子、炭素数1−5のアルキル基、炭素数1−5のアルキルオキシ基等の置換基を有していてもよい。
【0014】
本発明における上記一般式(II)で示されるヌクレオシド誘導体において、Aは水素原子か有機シリル残基を示す。有機シリル残基の例として、例えばトリメチルシリル残基、トリエチルシリル残基、t−ブチルジフェニルシリル残基等があげられる。
【0015】
上記一般式(II)中のB、X、Rは、前述の上記一般式(I)におけるB、X、Rと同じ意味を示す。
【0016】
本発明において使用する上記一般式(II)で表されるヌクレオシド誘導体は、Aが水素原子の場合、2’位と5’位がアシル基で保護された3’-ブロモ−3’−デオキシ−β−D−キシロフラノシル−ヌクレオシド誘導体を公知の方法に基づいて、ヒドラジンや亜鉛/銅試薬で2’位選択的に脱保護することで容易に合成することができる。2’位と5’位がアシル基で保護された3’−ブロモ−3’−デオキシ−β−D−キシロフラノシル−ヌクレオシド誘導体はヌクレオシド誘導体の合成で一般的に用いられる方法(例えば "Chemistry of Nucleosides and Nucleotides", Vol. 1, L. B. Townsend, Ed., Plenum Press, New York (1988), 1-281 参照)に従って、任意の化合物を合成することができる。
【0017】
Aが水素原子の場合、例えば9−(5−O−アセチル−3−ブロモ−3−デオキシ−β−D−キシロフラノシル)−9H−プリン−6−アミンについては、Shiragami, Hiroshi; Tanaka, Yasuhiro; Uchida, Yumiko; Iwagami, Hisao; Izawa, Kunisuke; Yukawa, Toshihide, Nucleosides Nucleotides (1992), 11(2-4), 391-400に記載の方法に従って合成することができる。また例えば、9−[5−O−[2−(アセチルオキシ)−2−メチル−1−オキソプロピル]−3−ブロモ−3−デオキシ−β−D−キシロフラノシル]−1,9−ジヒドロ−6H−プリン−6−オンについては、Dorland, Erwin; Serafinowski, Pawel, Synthesis (1992), Issue 5, 477-81に記載の方法に従って合成することができる。
【0018】
また、一般式(II)で表されるヌクレオシド誘導体において、Aが有機シリル残基である場合、対応するAが水素原子である一般式(II)で表されるヌクレオシド誘導体を、有機シリル化剤と反応して容易に得ることができる。有機シリル化剤として、例えばトリメチルシリルクロライド、トリエチルシリルクロライド、t−ブチルジフェニルシリルクロライド等の有機シリルハロゲン化物などをあげることができる。
【0019】
本発明における一般式(I)で表されるヌクレオシド誘導体は、一般式(II)で表されるヌクレオシド誘導体をジアルキルアミノサルファートリフルオライドと反応させることで得ることができる。ジアルキルアミノサルファートリフルオライドの例として、例えば下記一般式(IV)で表される化合物を挙げることができ、具体例としては例えば、ジエチルアミノサルファートリフルオライドやモルホリノサルファートリフルオライド等を挙げることができる。
【0020】
【化7】
【0021】
[式中、R1、R2は各々独立して炭素原子数1〜6の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を示す。ここでR1、R2は一体となって環構造を形成していてもよく、又その環構造中に窒素原子、酸素原子等のヘテロ原子を含んでいてもよい。]
【0022】
ジアルキルアミノサルファートリフルオライドは基質に対して通常0.1から10モル当量の範囲で用いられる。好ましくは0.5から5モル当量の範囲で用いられる。
【0023】
反応は適当な溶媒中で行うことが出来るが、好ましくは、トルエン、酢酸エチル、塩化メチレン、メチル−t−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、アセトンなどの有機溶媒中で行うのがよい。反応は通常−78℃から溶媒還流温度で行われる。好ましくは0℃から溶媒還流温度である。
【0024】
反応は塩基の存在下に行っても良い。塩基は特に制限されないが、例えば、アミン類やその塩、金属水酸化物、金属アルコキサイド、イオン交換樹脂、炭酸塩類、リン酸塩類、酢酸塩類等が挙げられる。このうちアミン類等が特に好ましい。アミン類としては、例えば、ヒドロキシルアミン、アンモニア又はその塩、1級から4級までの有機アミン又はその塩、イオン交換樹脂又はポリマー化されたアミンの樹脂等があげられる。具体例を挙げると、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリオクチルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジエチルシクロヘキシルアミン、N−エチルジイソプロピルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデック−7−エン、1−エチルピペリジン、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1,1,3,3−テトラメチルグアニジン、2,4,6−コリジン、ポリビニルピリジン等が挙げられる。
【0025】
塩基は基質に対して通常0.1から10モル当量の範囲で用いられる。好ましくは0.5から5モル当量の範囲で用いられる。
【0026】
反応終了後、反応混合物は必要に応じて中和し、トルエン、酢酸エチル、塩化メチレン等の水と分層可能な有機溶媒を用いて通常の抽出操作で前記一般式(I)で表されるフッ素化体を抽出することができる。
【0027】
本発明の製造方法により得られる一般式(I)で表されるヌクレオシド誘導体は、一般式(II)で表されるヌクレオシド誘導体において2’−α位水酸基が脱離し、Xで示されるハロゲン原子(フッ素原子を除く)が3’−β位から2’−β位に転移し、3’−α位にフッ素原子が導入された化合物である。これは全く新規な転移反応であり、その結果得られる一般式(I)で表されるヌクレオシド誘導体も全く新規な化合物である。
【0028】
本発明の製造方法により製造された一般式(I)で表される3’−α位がフッ素化されたヌクレオシド誘導体は、下記の(1)、(2)及び必要により(3)の工程を順不同で経ることにより、一般式(III)で表される3’−α位がフッ素化され、2’位が脱オキシ化された所望のヌクレオシド誘導体へと導くことができる。
(1)2’位のハロゲンを脱ハロゲン化する工程。
(2)水酸基の保護基を脱保護する工程。
(3)核酸塩基又はその誘導体の保護、脱保護、修飾のうち、少なくともいずれか一つを行う工程。
上記(1)、(2)、(3)の工程は当業者に公知の方法により行うことができる。
【0029】
すなわち、上記一般式(I)で表される化合物が有する水酸基の保護基は、例えば、水酸基の保護基がアセチル基、ベンゾイル基等のアシル基の場合、水酸化ナトリウム等でアルカリ処理することで、またベンジル基、トリフェニルメチル基等のアラルキル基の場合、塩酸や酢酸等の酸で処理することにより脱保護を行うことができる。核酸塩基又はその誘導体が保護基を有する場合も同様に通常の方法により脱保護することができる。また、上記一般式(I)で表される化合物が有するハロゲン原子(フッ素原子を除く)は、通常の方法により還元することができる。例えばハロゲン原子が塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等の場合、トリブチルチンハイドライド等を用いたラジカル還元や、パラジウム炭素触媒等を用いた接触水素還元等により容易に還元することができる。さらに、核酸塩基又はその誘導体の置換基を他の適当な置換基に誘導するなどして修飾し、所望のフッ素含有ヌクレオシド誘導体へと変換することもできる。
【0030】
一般式(III)において、B’はプリン塩基やピリミジン塩基等の核酸塩基またはその誘導体を示す。具体的にはピリミジン塩基としてウラシル、チミン、シトシン等があげられる、またプリン塩基としてはヒポキサンチン、アデニン、グアニン等があげられる。B’としては核酸塩基が有する水素原子、水酸基、アミノ基等の記が適当な置換基で置換された核酸塩基誘導体もあげることができる。置換基としては水素原子、アミノ基、ハロゲン基、炭素数1−10のアルキル基、炭素数1−10までのビニル基、ニトロ基等があげられる。
【0031】
一般式(III)で表される化合物は、特に医薬用途において重要な化合物である。例えば、B’がアデニンである2’,3’−ジデオキシ−3’−フルオロアデノシンや、B’がヒポキサンチンである2’,3’−ジデオキシ−3’−フルオロイノシンは、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に対し強力な抗ウイルス活性を持つことが知られている。
【0032】
前記一般式(I)で表される化合物のうち、例えば、Bがアデニンであり、Xが臭素原子であり、Rがアセチル残基である化合物は、Xをトリブチルチンハイドライドでラジカル還元し、Rをナトリウムメトキサイドで脱保護する、後掲実施例記載の方法により、容易に2’,3’−ジデオキシ−3’−フルオロアデノシンに導くことができる。
【0033】
【実施例】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、もちろんこれら実施例は本発明を何ら限定するものではない。
【0034】
<実施例1>
9−(2,5−ジ−O−アセチル−3−ブロモ−3−デオキシ−β−D−キシロフラノシル)アデニンの合成。
【0035】
【化8】
【0036】
20.0グラムのアデノシンを100ミリリットルの酢酸に溶解し、11.7ミリリットルのトリメチルオルトアセテートを加え、50℃で3時間攪拌した。この反応溶液を減圧下濃縮し、100ミリリットルのアセトニトリルを加え、10℃に冷却した。この混合物に22ミリリットルの酢酸ブロマイドをゆっくりと1時間かけて滴下し、さらに15℃に昇温して2時間攪拌した。この反応混合物に炭酸ナトリウム水溶液を加えて反応を停止し、分層して、水層を50ミリリットルのアセトニトリルで抽出した。有機層を併せ、硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下濃縮し、残さをシリカゲルカラム(クロロホルム/メタノール=5/1)で精製して、27.2グラム(収率88%)の目的物を得た。
【0037】
<実施例2>
9−(5−O−アセチル−3−ブロモ−3−デオキシ−β−D−キシロフラノシル)アデニンの合成。
【0038】
【化9】
【0039】
10.0グラムの9−(2,5−ジ−O−アセチル−3−ブロモ−3−デオキシ−β−D−キシロフラノシル)アデニンを100ミリリットルのエタノールに溶解し、12.1グラムのヒドラジン1水和物を加え、0℃で30分間攪拌した。この反応溶液を減圧下濃縮し、残さをシリカゲルカラム(クロロホルム/メタノール=10/1)で精製して、6.30グラム(収率70%)の目的物を得た。
【0040】
<実施例3>
9−(5−O−アセチル−2−ブロモ−2,3−ジデオキシ−3−フルオロ−β−D−アラビノフラノシル)アデニンの合成。
【0041】
【化10】
【0042】
576ミリグラムの9−(5−O−アセチル−3−ブロモ−3−デオキシ−β−D−キシロフラノシル)アデニン(97%純度)を15ミリリットルの塩化メチレンに溶解し、0.8ミリリットルのジエチルアミノサルファートリフルオライド(4当量)を加え、4時間加熱環流した。この反応溶液を氷温に冷却し、別に用意した、氷温に冷却した25ミリリットルの5%炭酸水素ナトリウム水溶液に加えて反応を停止した。15ミリリットルの塩化メチレンを加え、有機層を分離し、水層は再度クロロホルムで抽出した。抽出した有機層をあわせて濃縮し、残さをシリカゲルカラム(クロロホルム/メタノール=20/1)で精製して、272ミリグラム(収率49%)の目的物を得た。
【0043】
1H−NMR (400 MHz, DMSO-d6):δ 8.28 (1H, s, H-8), 8.18 (1H, s, H-2), 7.37 (2H, bs, 6-NH2), 6.51 (1H, d, J = 6.8 Hz, H-1'), 5.93 (1H, ddd, J = 54.7, 6.1, 6.1 Hz, H-3'), 5.34 (1H, ddd, J = 18.6, 6.6, 6.6 Hz, H-2'), 4.3-4.5 (3H, m, H-4'+H-5'), 2.06 (3H, s, 5'O-Ac);
高分解能マススペクトル(FAB+):C12H14N5O3BrF (M + H)+ 計算値 374.0264, 測定値 374.0272
【0044】
<実施例4>
9−(5−O−アセチル−2−ブロモ−2,3−ジデオキシ−3−フルオロ−β−D−アラビノフラノシル)アデニンの合成。
【0045】
【化11】
【0046】
1.15グラムの9−(5−O−アセチル−3−ブロモ−3−デオキシ−β−D−キシロフラノシル)アデニン(97%純度)を30ミリリットルの塩化メチレンに溶解し、1.5ミリリットルのモルホリノサルファートリフルオライド(4当量)を加え、1.5時間加熱環流した。この反応溶液を氷温に冷却し、別に用意した、氷温に冷却した50ミリリットルの5%炭酸水素ナトリウム水溶液に加えて反応を停止した。10ミリリットルの塩化メチレンを加え、有機層を分離し、水層は再度塩化メチレンで抽出した。抽出した有機層をあわせて濃縮し、残さをシリカゲルカラム(クロロホルム/メタノール=20/1)で精製して、963ミリグラム(収率86%)の目的物を得た。
【0047】
<実施例5>
9−(5−O−アセチル−3−ブロモ−3−デオキシ−2−O−トリメチルシリル−β−D−キシロフラノシル)アデニンの合成。
【0048】
【化12】
【0049】
1.50グラムの9−(5−O−アセチル−3−ブロモ−3−デオキシ−β−D−キシロフラノシル)アデニンと13ミリグラムの硫酸アンモニウムを40ミリリットルの1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザンに懸濁させ、114℃で4時間攪拌した。この反応溶液を減圧下濃縮し、残さをシリカゲルカラム(クロロホルム/メタノール=9/1)で精製して、1.50グラム(収率84%)の目的物を得た。
【0050】
<実施例6>
9−(5−O−アセチル−2−ブロモ−2,3−ジデオキシ−3−フルオロ−β−D−アラビノフラノシル)アデニンの合成。
【0051】
【化13】
【0052】
447ミリグラムの9−(5−O−アセチル−3−ブロモ−3−デオキシ−2−O−トリメチルシリル−β−D−キシロフラノシル)アデニンを10ミリリットルの塩化メチレンに溶解し、789ミリグラムのジエチルアミノサルファートリフルオライド(5当量)を加え、2時間加熱環流した。この反応溶液を氷温に冷却し、別に用意した10ミリリットルの10%炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて反応を停止した。この反応混合物を分層し、水層を30ミリリットルの塩化メチレンで2回抽出した。有機層をあわせて濃縮し、残さをシリカゲルカラム(クロロホルム/メタノール=9/1)で精製して、182ミリグラム(収率48%)の目的物を得た。
【0053】
<実施例7>
9−(5−O−アセチル−2−ブロモ−2,3−ジデオキシ−3−フルオロ−β−D−アラビノフラノシル)アデニンの合成。
【0054】
【化14】
【0055】
445ミリグラムの9−(5−O−アセチル−3−ブロモ−3−デオキシ−2−O−トリメチルシリル−β−D−キシロフラノシル)アデニンを10ミリリットルの塩化メチレンに溶解し、917ミリグラムのモルホリノサルファートリフルオライド(5当量)を加え、1.5時間加熱環流した。この反応溶液を氷温に冷却し、別に用意した30ミリリットルの10%炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて反応を停止した。この反応混合物を分層し、水層を30ミリリットルの塩化メチレンで2回抽出した。水層を濾過後、20ミリリットルの水を加え、30ミリリットルの塩化メチレンで再度抽出した。有機層をあわせて、硫酸マグネシウムで乾燥後に濃縮し、残さをシリカゲルカラム(クロロホルム/メタノール=4/1)で精製して、221ミリグラム(収率59%)の目的物を得た。
【0056】
<実施例8>
3’−フルオロ−2’,3’−ジデオキシアデノシンの合成。
【0057】
【化15】
【0058】
74.8ミリグラムの9−(5−O−アセチル−2−ブロモ−2,3−ジデオキシ−3−フルオロ−β−D−アラビノフラノシル)アデニンを1.0ミリリットルのトルエンに溶解し、175ミリグラムのトリブチルチンハイドライドと3.3ミリグラムのAIBNを加え、95℃で1時間攪拌した。この反応混合物を減圧下濃縮し、残さを分取TLC(クロロホルム/メタノール=9/1)で精製して、臭素還元体を得た。この臭素還元体を1.0ミリリットルのメタノールに溶解し、7.7ミリグラムの28%ナトリウムメトキサイド−メタノール溶液を加え、室温で3時間攪拌した。この反応混合物を減圧下濃縮し、残さを逆層の分取TLC(水/メタノール=1/1)で精製して、43.7ミリグラム(収率86%)の目的物を得た。生成物の物理データは既知の値と一致した。
【0059】
融点: 188-190 °C;
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6):δ 8.34 (1H, s, H-8), 8.14 (1H, s, H-2), 7.36 (2H, bs, 6-NH2), 6.39 (1H, dd, J = 9.2, 5.7 Hz, H-1'), 5.51 (1H, bs, 5'-OH), 5.44 (1H, dd, J = 53.4, 4.2 Hz, H-3'), 4.25 (1H, ddd, J = 28.3, 5.4, 3.2 Hz, H-4'), 3.62 (2H, bs, H-5'), 2.56-3.16 (2H, m, H-2');
高分解能マススペクトル(FAB+): C10H13N5O2F (M + H)+ 計算値 254.1053, 測定値 254.1054
【0060】
【発明の効果】
本発明によれば、工業的に短段階で容易に合成しうる2’−α位に水酸基又はシリル化された水酸基を持ち、3’−β位にフッ素以外のハロゲン原子を持つヌクレオシド誘導体から、1段階で立体特異的に3’−α位がフッ素化されたヌクレオシド誘導体を得ることができる。
Claims (3)
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JP30754599A JP4126823B2 (ja) | 1999-10-28 | 1999-10-28 | ヌクレオシド誘導体及びその製造方法 |
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JP30754599A JP4126823B2 (ja) | 1999-10-28 | 1999-10-28 | ヌクレオシド誘導体及びその製造方法 |
Publications (2)
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