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JP2000198796A - 核酸誘導体の製造方法 - Google Patents

核酸誘導体の製造方法

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Publication number
JP2000198796A
JP2000198796A JP11303590A JP30359099A JP2000198796A JP 2000198796 A JP2000198796 A JP 2000198796A JP 11303590 A JP11303590 A JP 11303590A JP 30359099 A JP30359099 A JP 30359099A JP 2000198796 A JP2000198796 A JP 2000198796A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
compound
hydroxyl group
hydrogen atom
nucleic acid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP11303590A
Other languages
English (en)
Inventor
Satoshi Takamatsu
聡 高松
Satoshi Katayama
智 片山
Naoko Hirose
直子 廣瀬
Kunisuke Izawa
邦輔 井澤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ajinomoto Co Inc
Original Assignee
Ajinomoto Co Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ajinomoto Co Inc filed Critical Ajinomoto Co Inc
Priority to JP11303590A priority Critical patent/JP2000198796A/ja
Publication of JP2000198796A publication Critical patent/JP2000198796A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

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    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P20/00Technologies relating to chemical industry
    • Y02P20/50Improvements relating to the production of bulk chemicals
    • Y02P20/55Design of synthesis routes, e.g. reducing the use of auxiliary or protecting groups

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Abstract

(57)【要約】 【課題】核酸又はその誘導体(核酸関連化合物を含
む。)の糖部水酸基やハロゲン原子を還元する、低コス
トで、工業的に有用で安全性も高い方法の開発が求めら
れている。 【解決手段】前記核酸又はその誘導体の糖部水酸基のO
−チオカルボニル誘導体、或いはその糖部ハロゲン化誘
導体に安価でかつ毒性も無く、工業的規模で安全に使用
可能な次亜リン酸(次亜リン酸塩の形態にあるものを含
む。)及び亜リン酸エステルの何れかをラジカル還元剤
として、ラジカル反応開始剤の存在下に反応させること
により、上記課題を解決し、核酸及びその誘導体の糖部
水酸基やハロゲン原子が還元された化合物の優れた工業
的製造方法を提供することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は核酸誘導体の新規製
造方法、詳しくは核酸及びその誘導体(その関連化合物
等)における糖部水酸基やハロゲン原子を還元するため
の、工業的に有用な方法に関する。
【0002】本発明により、各種医薬の製造中間体、例
えば抗ウイルス剤として有用な9−(2,3−ジデオキ
シ−2−フルオロ−β−D−トレオ−ペントフラノシ
ル)アデニン(本件明細書中、「FddA」と略称する
ことがある。)や、2’,3’−ジデオキシアデノシン
(本件明細書中、「ddA」と略称することがある。)
の製造中間体を工業的に有利に製造することができる。
【0003】
【従来の技術】従来、核酸及びその関連化合物における
糖部水酸基を脱オキシ化する方法として、水酸基のチオ
カルボニル誘導体をラジカル的に還元する方法が広く用
いられてきた。また、核酸及びその関連化合物における
糖部ハロゲン原子を脱ハロゲン化する場合にも、ラジカ
ル的に還元する方法が広く用いられてきた(例えば、A.
G. Sutherland, "Comprehensive Organic Functional G
roup Transformations", Vol. 1, A. R. Katritzky, e
t. al., Ed., Pergamon, London, p1-25 参照)。
【0004】上記におけるラジカル還元では、トリブチ
ルチンハイドライド等のスズ化合物をラジカル還元剤と
して最も一般的に用いる。しかしながら、スズ化合物
は、工業的生産に用いるとその毒性が作業上問題であ
り、また、医薬品製造等に用いると微量でも製品に残留
することは許されず、事実上その使用は不可能である。
また、これらのラジカル還元では、トリス(トリメチル
シリル)シラン等のシリルハイドライド系化合物がラジ
カル還元剤として用いられる場合もあるが、これらのシ
リルハイドライド系化合物は一般に工業的規模で生産さ
れておらず、また生産されていても非常に高価であり、
工業的に用いることは非常に難しい。
【0005】近年バートン等は、次亜リン酸やその塩、
亜リン酸エステル類を用いてチオカルボニル誘導体やハ
ロゲン原子のラジカル還元を行っている(例えば、D.
H. R.Barton, et. al., Tetrahedron Lett., 33(39), 5
709 (1992) や D. H. R. Barton, et. al., J. Org. Ch
em., 58, 6838 (1993) 参照)。しかし、これらの文献
では官能基の少ない単純な炭化水素や糖誘導体の場合の
みが例示されており、複素環を持つ複雑な核酸誘導体に
応用できるかは未知であった。
【0006】従って、広く核酸誘導体に応用できるよう
な工業的に有利かつ安全な前記還元化合物の製造方法が
求められている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、核酸
及びその誘導体(その関連化合物等)の糖部水酸基やハ
ロゲン原子を選択的に還元することのできる、低コスト
で、工業的に有用で安全性の高い当該還元化合物の製造
方法を確立し、前記医薬の有効成分(FddA、ddA
等)製造中間体等、各種有用な核酸誘導体を有利に製造
することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者等は上記の課題
を解決すべく鋭意検討を行った結果、核酸及びその誘導
体(併せて、「核酸誘導体」と称する。)の糖部水酸基
のO−チオカルボニル誘導体又は糖部ハロゲン化体と、
安価でかつ毒性もなく、工業的規模で安全に使用可能な
次亜リン酸(塩の形態にあるものを含む。)及び亜リン
酸エステルの何れかをラジカル還元剤として、ラジカル
反応開始剤の存在下に反応させることにより、核酸誘導
体の糖部水酸基やハロゲン原子が還元された化合物が容
易に得られること、その結果これより工業的に効率良く
各種有用な核酸誘導体に導くことができることを見出し
本発明を完成するに到った。
【0009】即ち、本発明には次の発明が含まれる。 (i)下記一般式(I)で示される脱離基を有する核酸
誘導体を、次亜リン酸(塩の形態にあるものを含む。)
及び亜リン酸エステルを構成する化合物群から選択され
る少なくとも1種の化合物と、ラジカル反応開始剤存在
下反応させることに特徴を有する、下記一般式(II)で
示される核酸誘導体の製造方法。
【0010】
【化3】
【0011】(式中、Bは核酸塩基を、Rは水素原子又
は水酸基の保護基を、Y及びXは何れか一方が脱離基
を、他方が水素原子、フッ素原子、水酸基及び保護され
た水酸基の何れかを、それぞれ表す。)
【0012】
【化4】
【0013】(式中、B及びRは上記と同じであり、
Y’及びX’は何れか一方が水素原子を、他方が水素原
子、フッ素原子、水酸基及び保護された水酸基の何れか
を、それぞれ表す。) この反応においては、前記脱離基が還元されて水素原子
に変換される。
【0014】本発明においては上記Bが表す核酸塩基に
は、核酸塩基誘導体も含まれる。核酸塩基誘導体として
は、例えばN−アセチルグアニン、N−アセチルアデニ
ン、N−ベンゾイルグアニン、N−ベンゾイルアデニ
ン、2−アミノ−6−クロロプリン、6−クロロプリン
等を挙げることができる。
【0015】(ii)Bが、プリン塩基、ピリミジン塩
基又はその何れかの誘導体である前記(i)に記載の製
造方法。
【0016】(iii)Bが、ヒポキサンチン、アデニ
ン、グアニン、ウラシル、チミン及びシトシンの何れ
か、又はその誘導体である前記何れかに記載の製造方
法。
【0017】(iv)Rが、水素原子、アシル基、アル
キル基、アラルキル基及びシリル基の何れかである前記
(i)に記載の製造方法。
【0018】(v)Rが、水素原子、アセチル基、ベン
ゾイル基及びトリチル基の何れかである前記何れかに記
載の製造方法。
【0019】(vi)前記脱離基が、フッ素原子を除く
ハロゲン原子又はO−チオカルボニル誘導体の何れかで
ある前記何れかに記載の製造方法。ハロゲン原子として
は、塩素、臭素、ヨウ素の各原子を挙げることができ、
O−チオカルボニル誘導体としては、O−フェノキシチ
オカルボニル:PhO(C=S)O−、O−パラフルオ
ロフェノキシチオカルボニル:p−F−PhO(C=
S)O−、O−メチルチオチオカルボニル:MeS(C
=S)O−、O−フェニルチオチオカルボニル:PhS
(C=S)O−及びO−イミダゾリルチオカルボニル:
【化5】 等を挙げることができる。
【0020】(vii)Y及びXは何れか一方が脱離基
であり、他方が水酸基、アシルオキシ基、アルキルオキ
シ基、アラルキルオキシ基及びシリルオキシ基の何れか
である前記何れかに記載の製造方法。
【0021】(viii)Y及びXは何れか一方が脱離
基であり、他方が水酸基、アセチルオキシ基及びベンゾ
イルオキシ基の何れかである前記何れかに記載の製造方
法。
【0022】(ix)次亜リン酸が次亜リン酸ナトリウ
ムの形態にある前記何れかに記載の製造方法。
【0023】(x)ラジカル反応開始剤がアゾ化合物で
ある(i)に記載の製造方法。アゾ化合物として、好ま
しくはアゾニトリル化合物、アゾアミジン化合物、環状
アゾアミジン化合物、アゾアミド化合物、アルキルアゾ
化合物等を挙げることができる。それら各化合物に含ま
れる具体的な個々の化合物としては、これらの化合物に
含まれるものとして既に公知の化合物を挙げることがで
きるが、今後見出される化合物であってもよい。
【0024】(xi)前記製造法において製造された化
合物(Bがプリン塩基又はその誘導体であり、Y’が水
素原子であり、X’が水酸基又は保護された水酸基であ
る。)を、水酸基の脱保護工程、6位ハロゲン化工程、
6位アミノ化工程及び2’位フッ素化工程の少なくとも
一つの工程に付してFddAを製造する前記何れかに記
載の製造方法。
【0025】(xii)前記に得られた一般式(II)で
示される核酸誘導体(Bが6−ヒドロキシプリンであ
る。)をハロゲン化剤(例えば、オキシ塩化リンとN,
N−ジメチルアニリンやスルフリルクロライドとジメチ
ルホルムアミド等の組み合わせによる塩素化剤やジメチ
ルクロロメチレンアンモニウムクロライド等の塩素化剤
等)により6位選択的ハロゲン化を行い、必要により脱
保護工程を行い、6位ハロゲン化誘導体を製造する方
法。
【0026】(xiii)前記に得られた6位ハロゲン
化誘導体を、更に順不同にハロゲン原子をアミノ基に置
換する方法(アンモニア処理等)や2’位フッ素置換法
(ジエチルアミノサルファー・トリフルオライドやモル
ホリノサルファー・トリフルオライド等での処理)に付
し、必要により脱保護工程を行いFddAを製造する方
法。
【0027】(xiv)前記に得られた一般式(II)で
示される核酸誘導体(Bがアデニンであり、Y’及び
X’が水素原子である。)を、必要により酸やアルカリ
による水酸基の脱保護工程に付してddAを製造する方
法。
【0028】
【発明の実施の形態】本発明の出発原料に使用する上記
一般式(I)で示される脱離基を有する核酸誘導体にお
いて、Bはプリン塩基やピリミジン塩基等の核酸塩基
(その各種誘導体を含む。)を表す。具体的には、ピリ
ミジン塩基として好ましくはウラシル、チミン、シトシ
ン等が挙げられ、またプリン塩基として好ましくはヒポ
キサンチン、アデニン、グアニン等が挙げられる。尚、
これらの核酸塩基には、その水酸基や、アミノ基等が核
酸合成で一般的に用いられる保護基、例えばアセチル、
ベンゾイル等のアシル基、ベンジル、トリフェニルメチ
ル等のアラルキル基等で保護されていてもよい。更に、
前記したように当該核酸塩基にはその各種誘導体(その
ハロゲン原子置換体等)も含まれる。
【0029】上記一般式(I)において、Rは水素原子
又は水酸基の保護基を表す。水酸基の保護基として、好
ましくは置換基(ハロゲン原子、炭素数1−5のアルキ
ル基、炭素数1−5のアルキルオキシ基等)を有してい
てもよい保護基、例えばアセチル、ベンゾイル等のアシ
ル基、メトキシメチル、アリル等のアルキル基、ベンジ
ル、トリフェニルメチル等のアラルキル基、トリメチル
シリル等のシリル基等が使用され、その保護試薬とし
て、好ましくはアシル化剤、アルキル化剤、アラルキル
化剤及び有機シリル化剤等が挙げられる。
【0030】また、Rは、Yが保護された水酸基の場
合、Yと一体となって保護基を形成してもよい。このよ
うにRとYが一体となって保護基を形成する例として、
置換基(ハロゲン原子、炭素数1−5のアルキル基、炭
素数1−5のアルキルオキシ基等)を有していてもよい
環状保護基、好ましくはエチリデン、イソプロピリデ
ン、ベンジリデン等の環状アセタール基や環状ケタール
基、ジ−t−ブチルシリレン、1,1,3,3−テトラ
イソプロピルジシロキサニリデン、テトラ−t−ブトキ
シジシロキサン−1,3−ジイリデン等の環状シリル基
等が挙げられる。
【0031】X及びYは何れか一方が脱離基を、他方が
水素原子、フッ素原子、水酸基及び保護された水酸基の
何れかを表す。ここで脱離基とはラジカル反応で脱離す
る基、特にラジカル還元反応で水素原子に置換される基
又は原子を表し、好ましくはフッ素原子を除くハロゲン
原子(塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)であり、下記
一般式(III)で示されるO−チオカルボニル誘導体
(残基)が挙げられる。
【0032】
【化6】
【0033】上記一般式(III)で示される化合物にお
いて、ZはH、NR’R’’、OR’及びSR’の何れ
かを表し、R’とR’’は相互に独立しており、それぞ
れ置換基(ハロゲン原子等)を有していてもよい、アリ
ール(フェニル、トリル、ナフチル等)、アルキル(炭
素数1−5)又はアラルキル基(ベンジル、フェネチル
等)並びにアルキルオキシ(炭素数1−5)及びアルキ
ルアミノ基(メチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルア
ミノ等)の何れかの置換基を表す。R’とR’’は同一
の場合と異なる場合があり、環状となって単一の基を表
す場合もある。環状となって単一の基を表す場合の例と
しては、環状エーテル(炭素数1−5)、環状アミン
(炭素数1−5)等を挙げることができる。
【0034】前記Zの例として、好ましくは水素原子、
メチル基、フェニル基、1−イミダゾール基、N−モル
ホリノ基、メチルオキシ基、フェニルオキシ基、パラフ
ルオロフェニルオキシ基、メチルチオ基、フェニルチオ
基等が挙げられる。
【0035】上記一般式(I)において、脱離基におけ
るフッ素原子を除くハロゲン原子の例として、例えば塩
素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
【0036】上記一般式(I)で示される化合物におい
て、脱離基における置換基としてのO−チオカルボニル
誘導体の例として、好ましくはO−チオホルミル基:H
(C=S)O−、O−メチルチオカルボニル基、O−フ
ェニルチオカルボニル基、O−(1−イミダゾール)チ
オカルボニル基、O−(N−モルホリノ)チオカルボニ
ル基:
【化7】 、O−メトキシチオカルボニル基:MeO(C=S)O
−、O−フェノキシチオカルボニル基、O−パラフルオ
ロフェノキシチオカルボニル基、O−メチルチオチオカ
ルボニル基、O−フェニルチオチオカルボニル基等が挙
げられる。
【0037】上記一般式(I)の化合物において、X又
はYが表す場合における保護された水酸基として、好ま
しくはアセチルオキシ、ベンゾイルオキシ等のアシルオ
キシ基、メトキシメチルオキシ、アリルオキシ等のアル
キルオキシ基、ベンジルオキシ、トリフェニルメチルオ
キシ等のアラルキルオキシ基、トリメチルシリルオキシ
等のシリルオキシ基等が挙げられ、これらは置換基(ハ
ロゲン原子、炭素数1−5のアルキル基、炭素数1−5
のアルキルオキシ基等)を有していてもよい。
【0038】本発明の出発原料として使用する化合物を
示す上記一般式(I)におけるX及びYは、α若しくは
β配置の何れの立体構造を保持していてもよく、具体的
には下記一般式(IV)〜(VII)の何れかで示され
る。但し、Rが水素原子の場合、X又はYが脱離基であ
る場合にα若しくはβ配置の何れかの立体構造を有する
ことは自明である。
【0039】
【化8】
【0040】上記式中、Bは核酸塩基を表し、Rは水素
原子又は水酸基の保護基を表し、Y及びXは何れか一方
が脱離基を、他方が水素原子、フッ素原子、水酸基及び
保護された水酸基の何れかを表す。
【0041】また、本発明の反応により得られる上記一
般式(II)で示される化合物は、本発明の反応によ
り、上記一般式(I)における脱離基が還元され水素原
子となる化合物であるので、還元された基とは異なる他
方の基がフッ素原子、水酸基又は保護された水酸基の場
合にそれぞれその位置及びα若しくはβ配置の立体構造
を保持する。具体的には下記一般式(VIII)〜(X
I)の何れかで示される。
【0042】
【化9】
【0043】上記式中、B及びRは上記と同じであり、
Y’及びX’は何れか一方が水素原子を、他方が水素原
子、フッ素原子、水酸基及び保護された水酸基の何れか
を表す。
【0044】これらの上記一般式(I)で示される脱離
基を有する核酸誘導体は、脱離基がフッ素原子を除くハ
ロゲン原子の場合、核酸誘導体合成で一般的に用いられ
る方法(例えば T. Ueda, "Chemistry of Nucleosides
and Nucleotides", Vol. 1,L. B. Townsend, Ed., Plen
um Press, New York (1988), p76-79 や P. C. Srivast
ava, et. al. "Chemistry of Nucleosides and Nucleot
ides", Vol. 1, L. B. Townsend, Ed., Plenum Press,
New York (1988), p181-189 参照)で任意の化合物を合
成できる。
【0045】例えば、9−(2,5−ジ−O−アセチル
−3−ブロモ−3−デオキシ−β−D−キシロフラノシ
ル)アデニン及び9−(2,5−ジ−O−アセチル−3
−ブロモ−3−デオキシ−β−D−キシロフラノシル)
ヒポキサンチン等の誘導体を公知の方法(例えば、白神
ら、Nucleosides & Nucleotides, 15(1-3)巻、31頁、199
6年参照。)に基づいて容易に製造することができる。
【0046】このように酸ハロゲン化物等(酢酸ブロマ
イド、酢酸クロライド等)を、水酸基を有する核酸誘導
体へ作用させることにより目的とするハロゲン原子を導
入することができる。
【0047】また、これらの上記一般式(I)で示され
る脱離基を有する核酸誘導体は、脱離基がO−チオカル
ボニル誘導体(残基)の場合、対応する水酸基を有する
核酸誘導体にチオカルボニル基を導入することで、任意
の化合物を合成できる。対応する水酸基を有する核酸誘
導体は、核酸誘導体合成で一般的に用いられる方法(例
えば "Chemistry of Nucleosides and Nucleotides",
L. B. Townsend, Ed.,Plenum Press, New York (1988)
に記載の方法)で任意の化合物を合成することができ
る。
【0048】チオカルボニル基の導入方法として、一般
的に用いられる方法(例えば、S. W. McCombie "Compre
hensive Organic Synthesis", Vol. 8, B. M. Trost, E
d.,Pergamon Press (1991), p818-824 参照)を用いる
ことができる。また、対応する水酸基を有する核酸誘導
体を、下記一般式(XII)で示されるチオカルボニル
ハライドと反応するか、ZがSR’の場合、二硫化炭素
とR’に対応するアルキルハライドと反応して得ること
ができる。
【0049】
【化10】
【0050】上記式中、ZはH、NR’R’’、OR’
及びSR’の何れかを表し、R’とR’’は相互に独立
していてもよく、それぞれ置換基(ハロゲン原子等)を
有していてもよい、アリール、アルキル又はアラルキル
基、並びにアルキルオキシ及びアルキルアミノ基の何れ
かの置換基を表す。R’とR’’は同一の場合と異なる
場合があり、環状となって単一の基を表す場合もある。
環状となって単一の基を表す場合の例としては、環状エ
ーテル(炭素数1−5)、環状アミン(炭素数1−5)
等を挙げることができ、より具体的にはイミダゾール
基、モルホリノ基等を表すことができる。Aはハロゲン
原子を表す。
【0051】チオカルボニル基の導入反応は当量範囲の
塩基の存在下に行ってもよい。反応は適当な溶媒中で行
うことができるが、適当な溶媒としては、好ましくは酢
酸エチル、トルエン、塩化メチレン、アセトニトリル等
の有機溶媒、それらの複数混合溶媒を挙げることができ
る。その場合の反応は−80℃〜溶媒還流温度で行うこ
とができる。反応混合物は反応終了後、場合によっては
塩基を中和し、酢酸エチル、トルエン、塩化メチレン等
の有機溶媒を用いて通常の抽出操作でチオカルボニル誘
導体を単離することが可能である。反応混合物は反応終
了後、チオカルボニル誘導体を単離すること無しにラジ
カル還元反応に直接用いることもできる。
【0052】本発明ではラジカル還元剤として、次亜リ
ン酸(次亜リン酸塩を含む。)及び亜リン酸エステルの
何れかが使用される。次亜リン酸塩の例として、好まし
くは次亜リン酸ナトリウム等のアルカリ金属塩、次亜リ
ン酸カルシウム等のアルカリ土類金属塩、次亜リン酸ア
ンモニウム等のアミン塩、或いは次亜リン酸ニッケル
(II)等の金属塩等が挙げられる。亜リン酸エステル
として、好ましくは亜リン酸の低級アルコール(炭素数
1−5)エステル(モノ−、ジ−エステル)、例えば、
亜リン酸ジメチルエステル、亜リン酸ジエチルエステル
等を挙げることができる。
【0053】本発明で使用されるラジカル反応開始剤は
ラジカル反応開始剤やラジカル反応試薬として知られて
いるものを使用することができるが、そのようなラジカ
ル反応開始剤として、好ましくはアゾ化合物を使用する
ことができる。アゾ化合物の例として、好ましくはアゾ
ビスイソブチロニトリル等のアゾニトリル化合物、2,
2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)2塩
酸塩(商品名V−50)等のアゾアミジン化合物、2,
2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)
プロパン]2塩酸塩(商品名:VA−044)、2,
2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)
プロパン]2硫酸塩(商品名:VA−044B)、2,
2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)
プロパン](商品名:VA−061)等の環状アゾアミ
ジン化合物、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−
(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド](商品
名:VA−086)等のアゾアミド化合物、アゾジ−t
−オクタン(商品名:VR−110)等のアルキルアゾ
化合物等が挙げられる。
【0054】ラジカル還元反応では、当量から過剰量の
ラジカル反応試薬を用い、望ましくは水を溶媒として行
うことができるが、酢酸エチル、トルエン、塩化メチレ
ン、アセトニトリル等の有機溶媒(これらの複数混合溶
剤でも可。)中で行ってもよい。また、溶媒として水と
これらの有機溶媒の任意の混合物中で行ってもよい。反
応は室温から溶媒還流温度で行うことができる。ラジカ
ル反応開始剤は当量以上用いることもできるが、通常は
触媒量(0.1〜100mol%)で十分である。反応混合
物は反応終了後、酢酸エチル、トルエン、塩化メチレン
等の有機溶媒を用いて通常の抽出操作で生成物を単離す
るか、単に生じた結晶を濾過することで単離することが
可能である。
【0055】以上の方法により得られた上記一般式(I
I)で示される化合物のうち、Bがアデニンであり、
Y’が水素原子であり、X’が水素原子又はβ配置のフ
ッ素原子であり、Rが水素原子である化合物は医薬品と
して使用し、又は期待される化合物である2’,3’−
ジデオキシアデノシン(ddA)又は9−(2,3−ジ
デオキシ−2−フルオロ−β−D−トレオ−ペントフラ
ノシル)アデニン(FddA)であり、またここで、R
が水素原子でなく保護基である場合には、これを容易に
脱保護工程に付して前記ddA又はFddAに導くこと
ができる。この場合、常法により、酸やアルカリによる
処理等で5’位の水酸基の保護基であるRを、必要によ
り脱離することで当該目的化合物を製造することができ
る。また、例えば5’位の水酸基の保護基であるRが置
換基を有してもよいトリチル基である場合には、酢酸等
の酸で処理することにより容易にこれらの脱保護を行う
ことができる。
【0056】また上記において、Bがアデニンではなく
6−ハロゲノプリンである場合、これを常法により6位
アミノ化工程に付して6位にアミノ基を導入し、Rが水
素原子でなく水酸基の保護基である場合には、前記6位
アミノ化工程の前又はその後に目的とする保護基を同様
に脱離(脱保護)することにより容易にddA又はFd
dAに導くことができる。このとき、X’が水素原子又
はβ配置のフッ素原子でなく、水酸基(保護又は無保
護)である場合にはその水酸基を、常法により脱ヒドロ
キシル化するか脱ヒドロキシル化−β位フッ素化するこ
とによりddA又はFddAに導くことができる。この
場合の水酸基の脱ヒドロキシル化工程や脱ヒドロキシル
化−β位フッ素化工程はそれ自体公知の方法を利用して
行うことができる。
【0057】Bがアデニンではなく(Bがアデニンの場
合には脱ヒドロキシル化、或いは脱ヒドロキシル化−β
位フッ素化工程、Rが保護基の場合必要によりRの脱保
護によりddAや、FddAが製造される。)6−ハロ
ゲノプリンの場合には、その6位アミノ化工程の前に脱
ヒドロキシル化工程或いは脱ヒドロキシル化−β位フッ
素化工程を行うこともできる。
【0058】同様に、本発明において製造された化合物
(II)において、Bが6−ヒドロキシプリンであり、
Y’が水素原子であり、X’が水酸基又は保護された水
酸基である場合には、この化合物を、6位ハロゲン化工
程に付して6位ハロゲン置換体を製造し、2’−β位フ
ッ素化工程及び6位アミノ化工程に付し、Rが保護基の
場合更にこれを脱保護工程に付することによりFddA
に導くことができる。
【0059】但し、2’−β位フッ素化工程及び6位ア
ミノ化工程の順序は問わない。また、前記化合物が保護
された水酸基を有するときは当該保護基を脱離後、これ
を当該6位ハロゲン化工程に付してもよく、また前記ハ
ロゲン置換体が保護された水酸基を有するときは当該水
酸基の保護基を脱離後これを6位アミノ化工程に付して
もよい。
【0060】即ち、Y’が水素原子である誘導体で、B
が6−ヒドロキシプリンの場合にはこの誘導体を必要に
応じて6位ハロゲン化工程を経由してアミノ基を導入
し、一方X’が水素原子又はフッ素原子でなく、水酸基
(保護又は無保護)の場合には必要により水酸基
(X’)について脱ヒドロキシル化又は脱ヒドロキシル
化−β位フッ素化工程によりddAやFddA及びその
関連化合物を製造することができる。これらの工程を実
施する順序は記載の順序に限定することなく、適当に選
択することができる。
【0061】
【実施例】以下、参考例及び実施例により本発明を詳細
に説明する。
【0062】(参考例1)5’−O−トリチル−2’− デオキシ−アデノシンか
ら5’−O−トリチル−3’−O−フェノキシチオカル
ボニル−2’− デオキシ−アデノシンの合成 0.50グラムの5’−O−トリチル−2’− デオキ
シ−アデノシンを10.1ミリリットルの乾燥アセトニ
トリルに溶解し、373.9ミリグラム(3当量)のD
MAPを加えた。この溶液を0℃に冷却し、0.28ミ
リリットル(2当量)のフェノキシチオカルボニルクロ
ライドをゆっくりと加えた。この反応溶液を室温まで昇
温し、そのまま3時間攪拌し、更に62.3ミリグラム
のDMAPと70.0マイクロリットルのフェノキシチ
オカルボニルクロライドを加えた。この反応溶液を室温
で2日間攪拌した後、1.0ミリリットルのメタノール
を加えて反応を停止した。この反応溶液を30分攪拌し
た後、30ミリリットルの塩化メチレンと15ミリリッ
トルの飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、激しく攪
拌した。分層した有機層を10ミリリットルの飽和食塩
水で洗浄した後、硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。
得られた油状物質をシリカゲルカラムクロマトグラフィ
ー(ヘキサン/酢酸エチル溶出)で精製し、144.1
ミリグラム(収率17.9%)の目的化合物を得た。
【0063】(実施例1)5’−O−トリチル−3’−O−フェノキシチオカルボ
ニル−2’− デオキシ−アデノシンから5’−O−ト
リチル−2’,3’−ジデオキシ−アデノシンの合成
【0064】
【化11】
【0065】144.1ミリグラムの5’−O−トリチ
ル−3’−O−フェノキシチオカルボニル−2’− デ
オキシ−アデノシンを2.29ミリリットルのジメトキ
シエタンに溶解し、0.18ミリリットルのトリエチル
アミン(5.5当量)と0.12ミリリットルの次亜リ
ン酸(H3PO2)50%水溶液(5.0当量)を加え
た。この溶液に、1.0ミリグラムの2,2’−アゾビ
スイソブチロニトリル(AIBN)を加え、90℃で1
時間加熱環流した後、更に1.0ミリグラムのAIBN
を加え、90℃で1時間加熱環流した。この反応溶液
を、室温で1晩放置した後、更に3.0ミリグラムのA
IBNを加え、90℃で6時間加熱環流した。高速液体
クロマトグラフィー(HPLC)で反応を確認したとこ
ろ、目的化合物物が面積比で2%生成した。
【0066】(参考例2)5’−O−トリチル−2’− デオキシ−アデノシンか
ら5’−O−トリチル−3’−O−メチルチオチオカル
ボニル−2’− デオキシ−アデノシンの合成 1.0グラムの5’−O−トリチル−2’− デオキシ
−アデノシンを4.0ミリリットルのDMSOに溶解
し、0.24ミリリットル(2当量)の二硫化炭素を加
えた。この溶液を15℃に冷却し、0.45ミリリット
ル(1.1当量)の5規定水酸化ナトリウム水溶液をゆ
っくりと加えた。この反応溶液を15℃で30分間攪拌
し、0.14ミリリットル(1.1当量)のヨウ化メチ
ルをゆっくりと加えた。この反応溶液を15℃で1.5
時間攪拌し、別に用意した35ミリリットルの水へ滴下
して反応を停止した。この反応溶液を室温で20分間攪
拌し、生じた結晶を濾過し、結晶は15ミリリットルの
水と20ミリリットルのヘキサンで洗浄した。この結晶
を1晩風乾し、更に40℃で減圧乾燥し、1.14グラ
ム(収率96.4%)の標題の目的化合物物を得た。
【0067】(実施例2)5’−O−トリチル−3’−O−メチルチオチオカルボ
ニル−2’− デオキシ−アデノシンから5’−O−ト
リチル−2’,3’−ジデオキシ−アデノシンの合成
【0068】
【化12】
【0069】1.14グラムの5’−O−トリチル−
3’−O−メチルチオチオカルボニル−2’− デオキ
シ−アデノシンを5.0ミリリットルのジメトキシエタ
ンに溶解し、2.85ミリリットルのトリエチルアミン
(10当量)と1.05ミリリットルの次亜リン酸50
%水溶液(5当量)を加えた。この溶液を70℃まで加
温し、4.0ミリリットルのジメトキシエタンに溶解し
た66.5ミリグラム(0.2当量)のAIBNを加え
た。1.5時間後に、更に33.3ミリグラム(0.1
当量)のAIBNを加え、1時間加熱環流した。この反
応溶液を室温まで冷却し、別に用意した50ミリリット
ルの塩化メチレンと30ミリリットルの飽和食塩水の混
合物に滴下して、反応を停止した。有機層を分層し、硫
酸マグネシウムで乾燥した後、濃縮した。得られた油状
物質をトルエンから再結晶し、1番晶と2番晶合わせて
56.1%の収率で標題の目的化合物を得た。
【0070】(参考例3)6−クロロ−9−(5−O−トリチル−3−O−ベンゾ
イル−2−デオキシ−2−フルオロ−β−D−アラビノ
フラノシル)−9H−プリンの合成 5’−O−トリチル−3’−O−ベンゾイル−6−クロ
ルプリンリボシド(4.76g,7.5mmol)を乾
燥塩化メチレン100ミリリットルに溶解し、ビリジン
3.6ミリリットル(44.5mmol)を加える。混
合液を氷冷した後、ジエチルアミノサルファー・トリフ
ルオライド(DAST,2.25ml,17mmol)
を撹拌しながら滴下し、室温に戻し、更に5時間加熱還
流する。冷却後、激しく撹拌しながら5%炭酸水素ナト
リウム水500ミリリットルに摘下し、20分間撹拌す
る。分液ロートに移し、よく振り混ぜ、有機層を採取す
る。水層をクロロホルム100ミリリットルで洗う。有
機層を併せ、水200ミリリットルで洗い、硫酸マグネ
シウムで乾燥し、濾過後、溶媒を留去する。残渣をビリ
ジン臭がなくなるまでトルエン共沸し、ベンゼン50ミ
リリットルに溶解し、シリカゲルカラム(3.5×50
cm)に付し、0−12.5%酢酸エチル/ベンゼン溶
液(4000ml)で溶出する。生成物のフラクション
を集め、溶媒を留去するとカラメルが得られる。収率
3.80g(FW:635.1,5.99mmol,8
0%)。
【0071】1H−NMR(CDCl3)δ:8.76
(lH,s,H2),8.36(1H,d,J=3.0
Hz,H8),7.2−8.1(ca20H,Bz,T
r),6.66(1H,dd,J=21.7,J=2.
7Hz,H1’),5.70(1H,dd,J=17.
0,J=3.0Hz,H3’),5.28(1H,dd
d,J=50.0,J=3.0,J=0.8Hz,H
2’),4.42(1H,m,H4’),3.62(1
H,dd,J=10.4,J=5.2Hz,H5’
a),3.54(1H,dd,J=10.4,J=4.
1Hz,H5’b)。
【0072】9−(5−O−トリチル−2−デオキシ−
2−フルオロ−β−D−アラビノフラノシル)アデニン
の合成 6−クロロ−9−(5−O−トリチル−3−O−ベンゾ
イル−2−デオキシ−2−フルオロ−β−D−アラビノ
フラノシル)−9H−プリン(3.15g,4.98m
mol)を100ミリリットルのメタノール性アンモニ
ア(0℃で飽和)に溶解し、封管中、100℃で2日間
放置する。冷却後、注意深く溶媒を留去し、残渣を10
0ミリリットルのクロロホルムに溶解する。不溶物を濾
過して除き、溶液をシリカゲルカラム(3.5×50c
m)に付し、3−10%エタノール/塩化メチレン溶液
(4000ml)で溶出する。生成物のフラクションを
集め、溶液を濃縮すると白色結晶(l.87g,3.6
6mmol,73%)が得られる。融点:210.5−
212.5℃。
【0073】9−(5−O−トリチル−2−デオキシ−
2−フルオロ−β−D−アラビノフラノシル)アデニン
から9−(5−O−トリチル−3−O−メチルチオチオ
カルボニル−2−デオキシ−2−フルオロ−β−D−ア
ラビノフラノシル)アデニンの合成 246.3ミリグラム(純度95.2%)の9−(5−
O−トリチル−2−デオキシ−2−フルオロ−β−D−
アラビノフラノシル)アデニンを0.91ミリリットル
のDMSOに溶解し、0.055ミリリットル(2当
量)の二硫化炭素を加えた。この溶液を15℃に冷却
し、0.1ミリリットル(1.1当量)の5規定水酸化
ナトリウム水溶液をゆっくりと加えた。この反応溶液を
15℃で30分間攪拌し、0.032ミリリットル
(1.1当量)のヨウ化メチルをゆっくりと加えた。こ
の反応溶液を15℃で1.3時間攪拌し、更に0.03
ミリリットルの二硫化炭素と0.1ミリリットルの5規
定水酸化ナトリウム水溶液をゆっくりと加えた。この反
応溶液を15℃で30分間攪拌し、0.03ミリリット
ルのヨウ化メチルをゆっくりと加えた。この反応溶液を
15℃で攪拌し、別に用意した10ミリリットルの水へ
滴下して反応を停止した。生じた結晶を濾過し、結晶は
10ミリリットルの水と10ミリリットルのヘキサンで
2回洗浄した。この結晶を室温で減圧乾燥し、250.
9ミリグラム(純度66.8%、収率60.8%)の目
的化合物を得た。
【0074】(実施例3)9−(5−O−トリチル−3−O−メチルチオチオカル
ボニル−2−デオキシ−2−フルオロ−β−D−アラビ
ノフラノシル)アデニンから9−(2,3−ジデオキシ
−2−フルオロ−5−O−トリチル−β−D−トレオ−
ペントフラノシル)アデニンの合成
【0075】
【化13】
【0076】200ミリグラムの9−(5−O−トリチ
ル−3−O−メチルチオチオカルボニル−2−デオキシ
−2−フルオロ−β−D−アラビノフラノシル)アデニ
ンを0.73ミリリットルのジメトキシエタンに溶解
し、0.42ミリリットルのトリエチルアミン(13.
6当量)と0.16ミリリットルの次亜リン酸50%水
溶液(7当量)を加えた。この溶液を環流するまで加熱
し、0.44ミリリットルのジメトキシエタンに溶解し
た14.7ミリグラム(0.4当量)のAIBNを加え
た。5時間後に、更に0.44ミリリットルのジメトキ
シエタンに溶解した14.7ミリグラム(0.4当量)
のAIBNを加え、20分間加熱環流した。この反応溶
液を室温まで冷却し、3ミリリットルの塩化メチレンと
3ミリリットルの水を滴下して、反応を停止した。有機
層を分層し、濃縮して得られた固体状物質を3ミリリッ
トルのトルエンから再結晶した。この結晶を減圧乾燥
し、70.2%の収率で標題の目的化合物を得た。
【0077】(参考例4)9−(5−O−トリチル−2−デオキシ−2−フルオロ
−β−D−アラビノフラノシル)アデニンから9−(5
−O−トリチル−3−O−メチルチオチオカルボニル−
2−デオキシ−2−フルオロ−β−D−アラビノフラノ
シル)アデニンの合成 174.0ミリグラム(純度86.5%)の9−(5−
O−トリチル−2−デオキシ−2−フルオロ−β−D−
アラビノフラノシル)アデニンを1.2ミリリットルの
DMSOに溶解し、13℃まで冷却した。この溶液に
0.065ミリリットル(1.1当量)の5規定水酸化
ナトリウム水溶液と0.072ミリリットル(4当量)
の二硫化炭素を加えた。この反応溶液を13℃で15分
間攪拌し、0.036ミリリットル(2当量)のヨウ化
メチルを加えた。この反応溶液を、別に用意した10ミ
リリットルの水へ滴下して反応を停止した。生じた結晶
を濾過し、この結晶を3ミリリットルのアセトニトリル
と4ミリリットルの水から再結晶した。結晶を濾過し、
水で洗浄した後45℃で減圧乾燥し、127.9ミリグ
ラム(収率72.2%)の標題の目的化合物を得た。
【0078】9−(5−O−トリチル−2−デオキシ−
2−フルオロ−β−D−アラビノフラノシル)アデニン
から9−(5−O−トリチル−3−O−メチルチオチオ
カルボニル−2−デオキシ−2−フルオロ−β−D−ア
ラビノフラノシル)アデニンの合成 4.80グラム(純度86.5%)の9−(5−O−ト
リチル−2−デオキシ−2−フルオロ−β−D−アラビ
ノフラノシル)アデニンを33ミリリットルのDMSO
に溶解し、12℃まで冷却した。この溶液に1.79ミ
リリットル(1.1当量)の5規定水酸化ナトリウム水
溶液と1.94ミリリットル(4当量)の二硫化炭素を
ゆっくり加えた。更にこの反応溶液に、1.01ミリリ
ットル(2当量)のヨウ化メチルをゆっくり加えた。こ
の反応溶液を12℃で30分間攪拌した後、別に用意し
た50ミリリットルの水と50ミリリットルの酢酸エチ
ルの混合物へ滴下して反応を停止した。有機層を分層し
て50ミリリットルの水で洗浄し、この有機層を濃縮し
て油状物質を得た。この油状物質を20ミリリットルの
アセトニトリルから再結晶し、濾過した結晶を45℃で
減圧乾燥して、3.95グラム(純度98.0%、収率
79.3%)の目的化合物を得た。
【0079】(実施例4)9−(5−O−トリチル−3−O−メチルチオチオカル
ボニル−2−デオキシ−2−フルオロ−β−D−アラビ
ノフラノシル)アデニンから9−(2,3−ジデオキシ
−2−フルオロ−5−O−トリチル−β−D−トレオ−
ペントフラノシル)アデニンの合成−その2 102.13ミリグラムの9−(5−O−トリチル−3
−O−メチルチオチオカルボニル−2−デオキシ−2−
フルオロ−β−D−アラビノフラノシル)アデニン(純
度98.0%)を0.83ミリリットルのジメトキシエ
タンに溶解し、0.46ミリリットルのトリエチルアミ
ン(20当量)と0.172ミリリットルの次亜リン酸
50%水溶液(10当量)を加えた。この溶液を環流す
るまで加熱し、0.49ミリリットルのジメトキシエタ
ンに溶解した16.4ミリグラム(0.6当量)のAI
BNを3回に分けて加えた。この反応溶液を1時間45
分加熱環流した後、室温まで冷却し、5ミリリットルの
塩化メチレンと5ミリリットルの水のを滴下して反応を
停止した。有機層を分層し、濃縮して得られた固体状物
質を3.2ミリリットルのトルエンと3.2ミリリット
ルのメタノールの混合物から再結晶した。この結晶を減
圧乾燥し、86.1%の収率で目的化合物を得た。
【0080】(実施例5)9−(2,5−ジ−O−アセチル−3−ブロモ−3−デ
オキシ−β−D−キシロフラノシル)ヒポキサンチンか
ら2’,5’−ジ−O−アセチル−3’−デオキシ−イ
ノシンの合成
【0081】
【化14】
【0082】10.01グラムの9−(2,5−ジ−O
−アセチル−3−ブロモ−3−デオキシ−β−D−キシ
ロフラノシル)ヒポキサンチンを24.98グラムのア
セトニトリルに溶解した溶液に、14.4ミリリットル
のアセトニトリルと7.2ミリリットルの水を加えた。
この溶液に、10.7グラムのトリエチルアミン(4.
4当量)と12.7グラムの次亜リン酸50%水溶液
(4.0当量)を事前に混合したものを加えた。この溶
液に5滴の次亜リン酸50%水溶液を加えて、pHを
8.7から7.0とした。この溶液を70℃まで加熱
し、3.0ミリリットルのアセトニトリルに溶解した3
95.4ミリグラム(0.1当量)のAIBNを加え
た。この反応溶液を1時間加熱環流した後、室温まで冷
却し、25%水酸化ナトリウム水溶液でpH7.0まで
中和した。この反応溶液を濃縮し、残渣に70ミリリッ
トルの水を加え、60℃で1時間攪拌した後、室温まで
冷却した。生じた結晶を濾過し、この結晶を25ミリリ
ットルの水と10ミリリットルのエタノールで洗浄し
た。この結晶を50℃で減圧乾燥して、5.93グラム
(純度85.1%、収率62.2%)の標題の目的化合
物を得た。
【0083】(実施例6)9−(2,5−ジ−O−アセチル−3−ブロモ−3−デ
オキシ−β−D−キシロフラノシル)ヒポキサンチンか
ら2’,5’−ジ−O−アセチル−3’−デオキシ−イ
ノシンの合成−その2 10.23グラムの9−(2,5−ジ−O−アセチル−
3−ブロモ−3−デオキシ−β−D−キシロフラノシ
ル)ヒポキサンチンを37.24グラムのアセトニトリ
ルに溶解した溶液に、10.44グラムの次亜リン酸ナ
トリウム一水和物(4.0当量)を11.2ミリリット
ルの水に事前に溶解したものを加えた。この溶液に4規
定の水酸化ナトリウム水溶液を加えて、pHを5.8か
ら7.0とした。この溶液を70℃まで加熱し、3.0
ミリリットルのアセトニトリルに溶解した404.6ミ
リグラム(0.1当量)のAIBNを加えた。この反応
溶液を70℃で2時間攪拌した後、室温まで冷却し、4
規定水酸化ナトリウム水溶液でpH7.0まで中和し
た。この反応溶液を濃縮し、残渣に50ミリリットルの
水を加え、60℃で1時間攪拌した後、室温まで冷却し
た。生じた結晶を濾過し、この結晶を40℃で減圧乾燥
して、4.89グラム(純度82.6%、収率48.8
%)の標題の目的化合物を得た。
【0084】(実施例7)9−(2,5−ジ−O−アセチル−3−ブロモ−3−デ
オキシ−β−D−キシロフラノシル)ヒポキサンチンか
ら2’,5’−ジ−O−アセチル−3’−デオキシ−イ
ノシンの合成−その3 63ミリリットルの水に9.74ミリリットルの次亜リ
ン酸50%水溶液(3.0当量)を加え、10℃に冷却
した後、12.5ミリリットルのトリエチルアミン
(3.0当量)を加えた溶液を調製した。この溶液を、
12.46グラムの9−(2,5−ジ−O−アセチル−
3−ブロモ−3−デオキシ−β−D−キシロフラノシ
ル)ヒポキサンチンを31.38グラムのアセトニトリ
ルに溶解した溶液に加えた。この溶液に3.4ミリリッ
トルのトリエチルアミンを加えて、pHを4.3から
8.0とした。この溶液を60℃まで加熱し、5.0ミ
リリットルの水に溶解した811.7ミリグラム(0.
1当量)のV−50[2,2’−アゾビス(2−メチル
プロピオンアミジン)2塩酸塩]を加えた。この反応溶
液を60℃で1時間攪拌した後、4.0ミリリットルの
25%水酸化ナトリウム水溶液でpH4.5まで中和
し、更に60℃で1時間攪拌した後に室温まで冷却し
た。生じた結晶を濾過し、この結晶を35ミリリットル
の水で洗浄した。この結晶を55℃で減圧乾燥して、
5.54グラム(純度56.3%、収率54.9%)の
標題の目的化合物を得た。
【0085】(実施例8)9−(2,5−ジ−O−アセチル−3−ブロモ−3−デ
オキシ−β−D−キシロフラノシル)ヒポキサンチンか
ら2’,5’−ジ−O−アセチル−3’−デオキシ−イ
ノシンの合成−その4 30.06グラムの9−(2,5−ジ−O−アセチル−
3−ブロモ−3−デオキシ−β−D−キシロフラノシ
ル)ヒポキサンチンを74.03グラムのアセトニトリ
ルに溶解した溶液に、15.43グラムの次亜リン酸ナ
トリウム一水和物(2.0当量)を111ミリリットル
の水に事前に溶解したものを加えた。この溶液に25%
水酸化ナトリウム水溶液を加えて、pHを8.5とし
た。この溶液を55℃まで加熱し、1.96グラム
(0.1当量)のV−50[2,2’−アゾビス(2−
メチルプロピオンアミジン)2塩酸塩]を加えた。この
反応溶液を60℃で1時間攪拌した後、111ミリリッ
トルの水を加え、更に60℃で1時間攪拌した。この反
応溶液に25%水酸化ナトリウム水溶液を加えて、pH
7.0まで中和した。この反応溶液を更に60℃で1時
間攪拌した後、5℃まで冷却して1晩保存し、続いて2
2℃まで昇温して4時間攪拌した。生じた結晶を濾過
し、この結晶を26ミリリットルの水と10ミリリット
ルのエタノールで洗浄した。この結晶を55℃で減圧乾
燥して、純度72.8%、収率50.0%で標題の目的
化合物を得た。
【0086】(実施例9)9−(2,5−ジ−O−アセチル−3−ブロモ−3−デ
オキシ−β−D−キシロフラノシル)ヒポキサンチンか
ら2’,5’−ジ−O−アセチル−3’−デオキシ−イ
ノシンの合成−その5 104ミリリットルの水に19.8グラムの次亜リン酸
50%水溶液(3.0当量)を加え、16℃に冷却した
後、15.23グラムのトリエチルアミン(3.0当
量)を加えた溶液を調製した。この溶液を、20.76
グラムの9−(2,5−ジ−O−アセチル−3−ブロモ
−3−デオキシ−β−D−キシロフラノシル)ヒポキサ
ンチンを51.18グラムのアセトニトリルに溶解した
溶液に加えた。この溶液を43℃に昇温し、トリエチル
アミンを加えて、pHを3.8から8.0とした。この
溶液を49℃まで加熱し、8.3ミリリットルの水に溶
解した1.62グラム(0.1当量)のVA−044
[2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−
イル)プロパン]2塩酸塩]を加えた。この反応溶液を
50℃で30分間攪拌した後、3.54グラムの25%
水酸化ナトリウム水溶液でpH4.0まで中和し、さら
に50℃で1.5時間攪拌した後に10℃まで冷却し
た。この反応溶液を5.94グラムの25%水酸化ナト
リウム水溶液でpH6.0まで中和した。この反応溶液
を10℃で1.5時間攪拌し、生じた結晶を濾過して6
2ミリリットルの水で洗浄した。この結晶を分析したと
ころ、収率80.6%で標題の目的化合物を得た。
【0087】(実施例10)9−(2,5−ジ−O−アセチル−3−ブロモ−3−デ
オキシ−β−D−キシロフラノシル)ヒポキサンチンか
ら2’,5’−ジ−O−アセチル−3’−デオキシ−イ
ノシンの合成−その6 7.21グラムの9−(2,5−ジ−O−アセチル−3
−ブロモ−3−デオキシ−β−D−キシロフラノシル)
ヒポキサンチンを18.16グラムのアセトニトリルに
溶解した溶液に、3.716グラムの次亜リン酸ナトリ
ウム一水和物(NaH2PO2・H2O;2.0当量)を
33.4ミリリットルの水に事前に溶解したものを加え
た。この溶液に1.8ミリリットルの25%水酸化ナト
リウム水溶液を加えて、pHを8.5とした。この溶液
を60℃まで加熱し、2.8ミリリットルの水に溶解し
た560.8ミリグラム(0.1当量)のVA−044
[2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−
イル)プロパン]2塩酸塩]を加えた。この反応溶液
を、25%水酸化ナトリウム水溶液を適宜加えてpH
4.0に維持しながら60℃で1時間攪拌した。この反
応溶液を室温まで冷却し、25%水酸化ナトリウム水溶
液を加えてpH6.2まで中和した。生じた結晶を濾過
し、この結晶を17.6ミリリットルの水と2ミリリッ
トルのエタノールで洗浄した。この結晶を60℃で減圧
乾燥して、5.089グラム(純度77.6%、収率6
7.6%)の目的物を得た。
【0088】(実施例11)9−(2,5−ジ−O−アセチル−3−ブロモ−3−デ
オキシ−β−D−キシロフラノシル)ヒポキサンチンか
ら2’,5’−ジ−O−アセチル−3’−デオキシ−イ
ノシンの合成−その7 2.03グラムの9−(2,5−ジ−O−アセチル−3
−ブロモ−3−デオキシ−β−D−キシロフラノシル)
ヒポキサンチンを11.27グラムのアセトニトリルに
溶解した溶液に、1.06グラムの次亜リン酸ナトリウ
ム一水和物(2.0当量)を9.47ミリリットルの水
に事前に溶解したものを加えた。この溶液に0.76グ
ラムの25%水酸化ナトリウム水溶液を加え、更に1.
4ミリリットルの水に溶解した0.14グラム(0.1
当量)のVA−086[2,2’−アゾビス[2−メチ
ル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミ
ド]]を加えた。この反応溶液に0.12グラムの6規
定塩酸を加えてpHを8.6とした。この反応溶液を6
0℃で1晩攪拌し、更に68℃で2時間攪拌してHPL
Cで分析したところ、1.2%の収率で標題の目的化合
物を得た。
【0089】(実施例12)9−(2,5−ジ−O−アセチル−3−ブロモ−3−デ
オキシ−β−D−キシロフラノシル)ヒポキサンチンか
ら2’,5’−ジ−O−アセチル−3’−デオキシ−イ
ノシンの合成−その8 6.23グラムの9−(2,5−ジ−O−アセチル−3
−ブロモ−3−デオキシ−β−D−キシロフラノシル)
ヒポキサンチンを15.34グラムのアセトニトリルに
溶解した溶液に、3.18グラムの次亜リン酸ナトリウ
ム一水和物(2.0当量)を28.6ミリリットルの水
に事前に溶解したものを加えた。この溶液に1.49グ
ラムの25%水酸化ナトリウム水溶液を加えて、pHを
8.5とした。この溶液に3.0ミリリットルの水に溶
解した0.58グラム(0.1当量)のVA−044B
[2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−
イル)プロパン]2硫酸塩]を加えた。この反応溶液に
0.59グラムの25%水酸化ナトリウム水溶液を加え
てpH8.5とし、この反応溶液を60℃で1時間攪拌
した。この反応溶液に5.75グラムの25%水酸化ナ
トリウム水溶液を加えてpH7.0まで中和し、更に室
温まで冷却した。生じた結晶を濾過し、この結晶を1
6.5ミリリットルの水で洗浄した。この結晶を60℃
で減圧乾燥して、3.87グラム(純度58.1%、収
率44.6%)の標題の目的化合物を得た。
【0090】(参考例5)(−)−3’,5’−O−(1,1,3,3−テトライ
ソプロピル−1,3−ジシロキサンジイル)アデノシン
から(−)−3’、5’−O−(1,1,3,3−テト
ライソプロピル−1,3−ジシロキサンジイル)−2’
−O−イミダゾリルチオカルボニル−アデノシンの合成
【0091】
【化15】
【0092】0.76グラムの(−)−3’,5’−O
−(1,1,3,3−テトライソプロピル−1,3−ジ
シロキサンジイル)アデノシンを、15ミリリットルの
乾燥ジメチルホルムアミドに溶解し、0.74グラムの
1,1'-チオカルボニルジイミダゾールを加えた。この
反応溶液を室温で1晩撹拌し、更に70℃に昇温して6
時間撹拌した。この反応溶液に250ミリリットルの酢
酸エチルと50ミリリットルの水を加えて反応を停止し
た。有機層を分層し、50ミリリットルの水で2回洗浄
した後、硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮した。得られ
た油状物質をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(メ
タノール/塩化メチレン溶出)で精製し、0.76グラ
ム(収率81.7%)の目的化合物を得た。
【0093】(実施例13)(−)−3’、5’−O−(1,1,3,3−テトライ
ソプロピル−1,3−ジシロキサンジイル)−2’−O
−イミダゾリルチオカルボニル−アデノシンから2’−
デオキシアデノシンの合成
【0094】
【化16】
【0095】692ミリグラムの(−)−3’、5’−
O−(1,1,3,3−テトライソプロピル−1,3−
ジシロキサンジイル)−2’−O−イミダゾリルチオカ
ルボニル−アデノシンを、4.6ミリリットルのジメト
キシエタンに溶解し、0.86ミリリットルのトリエチ
ルアミン(5.5当量)と0.60ミリリットルの次亜
リン酸50%水溶液(5.0当量)に加えた。この溶液
に、18.3ミリグラムのAIBNを加え、100℃で
30分間加熱還流した後、更に18.3ミリグラムのA
IBNを加え、100℃で30分間加熱還流した。この
反応溶液を室温まで冷却し、20ミリリットルの酢酸エ
チル、10ミリリットルのジメトキシエタン及び10ミ
リリットルの水を加えて反応を停止した。有機層を分層
し、これを濃縮して油状物質を得た。この油状物質を
5.0ミリリットルのテトラヒドロフランに溶解し、
2.0ミリリットルのテトラブチルアンモニウムフルオ
ライド1.0Mテトラヒドロフラン溶液を加えた。この
溶液を70℃で1時間撹拌した後、室温まで冷却した。
この反応混合物を濃縮し、30ミリリットルの水と20
ミリリットルのジエチルエーテルを加え、水層を20ミ
リリットルのジエチルエーテルで2回洗浄した。この水
層をHPLCで分析したところ、標題の目的化合物が3
3%の収率で得られた。
【0096】(実施例14)9−(5−O−トリチル−3−O−メチルチオチオカル
ボニル−2−デオキシ−2−フルオロ−β−D−アラビ
ノフラノシル)アデニンから9−(2,3−ジデオキシ
−2−フルオロ−5−O−トリチル−β−D−トレオ−
ペントフラノシル)アデニンの合成−その3
【0097】60.2ミリグラムの9−(5−O−トリ
チル−3−O−メチルチオチオカルボニル−2−デオキ
シ−2−フルオロ−β−D−アラビノフラノシル)アデ
ニンを1.0ミリリットルのジメトキシエタンに溶解
し、110ミリグラムの亜リン酸ジメチル((CH
3O)2P(O)H;10当量)を加えた。この溶液を還
流するまで加温し、0.6ミリリットルのジメトキシエ
タンに溶解した10.0ミリグラム(0.6当量)のA
IBNを3分の1量ずつ30分間隔で3回に分けて加
え、更に2時間加熱還流した。この反応溶液を室温まで
冷却し、更に減圧下濃縮して残渣をHPLCで分析した
ところ、目的化合物が84.1%の収率で得られた。
【0098】前記実施例14において110ミリグラム
の亜リン酸ジメチル(10当量)を138ミリグラムの
亜リン酸ジエチル(10当量)に替え、それ以外は何ら
変更することなく同様に反応を行った。得られた反応溶
液を室温まで冷却し、更に減圧下濃縮して残渣をHPL
Cで分析したところ、目的化合物が82.2%の収率で
得られた。
【0099】
【発明の効果】本発明によれば、核酸誘導体(核酸又は
その誘導体、核酸関連化合物を含む。)の糖部水酸基や
ハロゲン原子を、次亜リン酸(次亜リン酸塩の形態にあ
るものを含む。)及び亜リン酸エステルの何れかでラジ
カル還元できるので、この方法を利用することにより、
低コストで、工業的に有用で安全性も高い当該還元化合
物の製造方法を提供できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 廣瀬 直子 神奈川県川崎市川崎区鈴木町1−1 味の 素株式会社アミノサイエンス研究所内 (72)発明者 井澤 邦輔 神奈川県川崎市川崎区鈴木町1−1 味の 素株式会社アミノサイエンス研究所内

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記一般式(I)で示される脱離基を有す
    る核酸誘導体と、 【化1】 (式中、Bは核酸塩基[その誘導体を含む。]を、Rは水
    素原子又は水酸基の保護基を、Y及びXは何れか一方が
    脱離基を、他方が水素原子、フッ素原子、水酸基及び保
    護された水酸基の何れかを、それぞれ表す。)次亜リン
    酸(塩の形態にあるものを含む。)及び亜リン酸エステ
    ルに含まれる化合物の中から選択される少なくとも1種
    の化合物とを、ラジカル反応開始剤の存在下に反応させ
    ることを特徴とする下記一般式(II)で示される核酸誘
    導体の製造方法。 【化2】 (式中、B及びRは上記と同じであり、Y’及びX’は
    何れか一方が水素原子を、他方が水素原子、フッ素原
    子、水酸基及び保護された水酸基の何れかを、それぞれ
    表す。)
  2. 【請求項2】Bが、プリン塩基又はピリミジン塩基(そ
    の誘導体を含む。)である請求項1記載の製造方法。
  3. 【請求項3】Bが、ヒポキサンチン、アデニン、グアニ
    ン、ウラシル、チミン及びシトシンの何れかの塩基又は
    その誘導体である請求項2記載の製造方法。
  4. 【請求項4】Rが、水素原子、アシル基、アルキル基、
    アラルキル基及びシリル基の何れかである請求項1記載
    の製造方法。
  5. 【請求項5】アシル基がアセチル基又はベンゾイル基で
    あり、アラルキル基がトリチル基である請求項4記載の
    製造方法。
  6. 【請求項6】Y及びXの何れか一方が表す脱離基が、フ
    ッ素原子を除くハロゲン原子及びO−チオカルボニル誘
    導体(残基)の何れかである請求項1記載の製造方法。
  7. 【請求項7】Y及びXの何れかが保護された水酸基を表
    す場合の保護された水酸基が、アシルオキシ基、アルキ
    ルオキシ基、アラルキルオキシ基及びシリルオキシ基の
    何れかである請求項1記載の製造方法。
  8. 【請求項8】アシルオキシ基が、アセチルオキシ基又は
    ベンゾイルオキシ基である請求項7記載の製造方法。
  9. 【請求項9】次亜リン酸がナトリウム塩の形態にある請
    求項1記載の製造方法。
  10. 【請求項10】ラジカル反応開始剤がアゾ化合物である
    請求項1記載の製造方法。
  11. 【請求項11】O−チオカルボニル誘導体が、O−フェ
    ノキシチオカルボニル、O−パラフルオロフェノキシチ
    オカルボニル、O−メチルチオチオカルボニル、O−フ
    ェニルチオチオカルボニル及びO−イミダゾリルチオカ
    ルボニルである請求項6記載の製造方法。
  12. 【請求項12】一般式(II)において、Bがアデニンで
    あり、Y’が水素原子であり、X’が水素原子又はフッ
    素原子であり、Rが水素原子又は水酸基の保護基であ
    り、Rが保護基の場合には更にこれを脱離してddA又
    はFddAを製造する請求項1記載の製造方法。
  13. 【請求項13】請求項1において製造された化合物(B
    がプリン塩基又はその誘導体であり、Y’が水素原子で
    あり、X’が水酸基又は保護された水酸基である。)
    を、水酸基の脱保護工程、6位ハロゲン化工程、6位ア
    ミノ化工程及び2’位フッ素化工程の少なくとも一つの
    工程に付してFddAを製造する請求項1記載の製造方
    法。
  14. 【請求項14】当該製造された化合物(Bがアデニンで
    あり、Y’が水素原子であり、X’が水酸基又は保護さ
    れた水酸基である。)を、2’位フッ素化工程に付し、
    Rが保護基の場合には更にこれを脱保護工程に付する請
    求項13記載の製造方法。
  15. 【請求項15】当該製造された化合物(Bが6−ハロゲ
    ノプリンであり、Y’が水素原子であり、X’が水酸基
    又は保護された水酸基である。)を、順不同に2’位フ
    ッ素化工程及び6位アミノ化工程に付し、Rが保護基の
    場合更にこれを脱保護工程に付する請求項13記載の製造
    方法。
  16. 【請求項16】当該製造された化合物(Bが6−ヒドロ
    キシプリンであり、Y’が水素原子であり、X’が水酸
    基又は保護された水酸基である。)を、6位ハロゲン化
    工程に付して6位ハロゲン置換体を製造し、順不同に
    2’位フッ素化工程及び6位アミノ化工程に付し、Rが
    保護基の場合更にこれを脱保護工程に付する請求項13記
    載の製造方法。但し、前記化合物が保護された水酸基を
    有するときは当該保護基を脱離後、これを当該6位ハロ
    ゲン化工程に付してもよく、また前記ハロゲン置換体が
    保護された水酸基を有するときは当該水酸基の保護基を
    脱離後これを6位アミノ化工程に付してもよい。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008545648A (ja) * 2005-05-27 2008-12-18 ユーハン・コーポレイション 6,7,8−トリヒドロキシ−1−(ヒドロキシメチル)−3−オキソ−2−オキサ−4−アザビシクロ[3.3.1]ノナンの製造方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008545648A (ja) * 2005-05-27 2008-12-18 ユーハン・コーポレイション 6,7,8−トリヒドロキシ−1−(ヒドロキシメチル)−3−オキソ−2−オキサ−4−アザビシクロ[3.3.1]ノナンの製造方法

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