JP4118695B2 - 数値制御システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、工作機械や産業機械における数値制御システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
工作機械や産業機械における数値制御システムは、数値制御装置やモーションコントローラ等のマスター制御装置が、サーボモータ等を駆動する駆動制御装置、DI/O接点やセンサーデータの制御装置などのスレーブ制御装置を制御するように構成される。以下に、工作機械を例に挙げて従来の数値制御システムの概要を説明する。
【0003】
工作機械は、一般に、ワークを加工する加工機と、搬送路に乗せられた未加工ワークを加工機に搬入し、加工済みワークを加工機から受け取り搬出する搬送機とによって構成されている。
【0004】
加工機は、例えば、搬送路から送られてきたワークを固定するテーブルと、このテーブルを移動操作して直交座標上での位置決めを行う2つのサーボモータと、テーブルの上部に設置され、ワークの加工を行う主軸モータと、2つのサーボモータと主軸モータとをそれぞれ個別に制御する3台の駆動制御装置と、表示器操作盤とを備えている。
【0005】
そして、3台の駆動制御装置は、数値制御装置に設けられる第1通信ポートにディジーチェーン接続方式で接続されている。すなわち、数値制御装置は、ディジーチェーン接続の1本の通信線を介して各駆動制御装置に対し位置、速度、トルクなどの指令を与える。各駆動制御装置は、ディジーチェーン接続の1本の通信線を介して、位置フィードバック、速度フィードバック、トルクフィードバックなどの状態量や、制御機能の状態、アラーム情報などを数値制御装置に送るようになっている。
【0006】
次に、上記の搬送機は、例えば、ベルトなどの搬送路を駆動するサーボモータと、ワークを検出するために搬送路の所定場所に配置される複数のポジションセンサと、搬送路上のワークを加工機に搬入し、排出するワーク搬出入装置と、ワーク搬出入装置を駆動するサーボモータと、上記の複数のポジションセンサの出力信号を取り込むDI/O制御装置と、上記2つのサーボモータを個別に制御する2台の駆動制御装置とを備えている。
【0007】
そして、この2台の駆動制御装置は、数値制御装置に設けられる第2通信ポートにディジーチェーン接続方式で接続され、また、上記のDI/O制御装置は、数値制御装置に設けられる第3通信ポートに接続されている。数値制御装置は、DI/O制御装置からの信号をシーケンス制御し、ワークの位置によって上記第3通信ポートにディジーチェーン接続される2台の各駆動制御装置に出す指令(位置、速度、トルクなど)のタイミングを制御し、指令を与えるようになっている。
【0008】
また、上記表示器操作盤は、数値制御装置に設けられる第4通信ポートに接続されている。すなわち、数値制御装置が表示器操作盤の表示器に対し加工プログラムやパラメータ、制御状態等を送ると、表示器は送られてきたデータを表示する。また、操作盤は入力されたデータを数値制御装置に送信するようになっている。
【0009】
なお、工作機械では、加工機が備える複数の駆動制御装置は、一般に、搬送機が備える複数の駆動制御装置よりも高速かつ高精度にサーボモータを駆動、制御する必要があるとされている。
【0010】
以上のように、工作機械を構成する従来の数値制御システムは、数値制御装置が4つの通信ポートを備え、加工機が備える複数の駆動制御装置、搬送機が備える複数の駆動制御装置およびDI/O制御装置、表示器操作盤をそれぞれ独立に制御等するように構成されている。但し、システムによっては、DI/O制御装置と表示器操作盤は、複数の駆動制御装置と同様に、数値制御装置にディジーチェーン接続方式で接続される場合もある。この場合には、数値制御装置は2つまたは3つの通信ポートを備えることになる。
【0011】
そして、数値制御装置との通信線は、数値制御装置から各装置への下り送信線と、各装置から数値制御装置への上り送信線とで構成されている。このとき、ディジーチェーン接続で各装置を接続した場合、上り送信線には複数の装置からデータが送信されるので、システムとしての通信周期を時分割して各装置の送信タイミングを決定し、各装置は、通信周期カウンタによってその送信タイミングを生成し、送信データの衝突が発生しないようにしている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、数値制御装置を起点として様々な制御装置で構成されるネットワークを制御する場合、従来の数値制御システムでは、数値制御装置に複数のネットワークをそれぞれ直接接続するので、複数の通信線を長く這わさなければならないという問題があった。
【0013】
また、数値制御装置は、制御するネットワークの数だけ通信ポートを持つ必要があるので、通信制御回路、ドライバ部、レシーバ部などの部品を制御するネットワークの数だけ持たなくてはならなかった。
【0014】
また、各制御装置から数値制御装置にデータを送信する場合は、各制御装置は、データの衝突を回避するため、時分割された送信タイミングに十分な余裕を取る必要があるが、リアルタイムシステムにおいては、各制御装置が時分割でデータを送信する場合にデータの干渉が発生する場合がある。
【0015】
すなわち、リアルタイムシステムにおいては、制御装置の高性能化のために制御周期の高速化が不可欠であるが、制御周期と通信周期は密接な関係があり、制御周期のみが高速でも、通信周期が低速な場合にはシステムとしての性能が向上しない。このため、通信周期を高速化させる必要が生じるが、通信周期が高速になってくると、伝送路の遅延や通信ポートでの同期パターン抽出の遅延、ディジーチェーン接続のため必要となるデータのバッファリングによる遅延など、相当に大きな遅延が生ずる。
【0016】
例えば、現在最も高速な通信媒体である光ファイバを用いて16台の駆動制御装置をディジーチェーン接続した場合、光の伝播速度は5n秒/m程度であるので、光ファイバ長を20mとすると、最終段に接続された駆動制御装置に数値制御装置のデータが到達するまでに1.6μ秒の時間がかかる。この場合、かりに通信周期が125μ秒であるとすると、データの遅延は1.28%に達し、また通信周期が62.5μ秒であるとすると、データの遅延は2.59%にも達してしまう。その結果、各制御装置が時分割でデータを送信する場合、データの干渉が発生するという問題がある。
【0017】
さらに、通信周期が高速になってくると、ネットワークに接続される装置の処理能力の差が問題になってくる。前述のように各装置の制御周期と通信周期はシステムの性能に影響を与えるが、制御されるネットワークは、必ずしも高性能な装置だけで構成されるわけではない。つまり、高性能な装置のための高速な通信周期のデータを、性能がそれほど要らない低速な装置が送受信処理を行うことが生ずるので、低速な装置においてその他の処理を行う上で大きな負荷となる。
【0018】
加えて、ネットワーク上に送信されるデータが通信周期内の任意のタイミングに固定されるので、システムを緊急に停止させる非常停止情報などを送信しようとした場合、自装置が送信した後に発生した非常停止情報を送信するには、次の通信周期の送信タイミングを待たなければならず、通信周期による伝達遅れが発生してしまうという問題もある。
【0019】
この発明は、上記に鑑みてなされたもので、数値制御装置が1つの通信ポートによって、様々な制御装置で構成されるネットワークの複数個を制御することができる数値制御システムを得ることを目的とする。
【0020】
また、この発明は、ネットワークの遅延を正確に測定し、データの送信間隔を最小にする制御が行える数値制御システムを得ることを目的とする。
【0021】
さらに、この発明は、高速周期のデータと低速周期のデータとを並列に送信することが可能となる数値制御システムを得ることを目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、この発明にかかる数値制御システムは、少なくとも数値制御装置が配置される主ネットワークと、前記数値制御装置の指令を受けて制御動作を実施する1以上の制御装置が配置される1以上の従ネットワークとで構成され、転送レートと転送周期の一方または双方がネットワーク相互間で異なることがある数値制御システムにおいて、前記主ネットワークに対して前記1以上の従ネットワークをスター状に接続する節点に、または、前記主ネットワークに対して前記1以上の従ネットワークをディジーチェーン接続方式で接続する節点に、ネットワーク間で異なる転送レート、通信周期を制御し、ネットワーク相互間での1本の通信線を介した複数のシリアルデータの送受信を実現する分配手段が設けられているとともに、1つの転送路上に配置される複数の装置における最上位装置以下の各下位装置は、前記最上位装置に対し時分割で送信する送信タイミングを装置間の転送遅延値によって補正する手段を備えたことを特徴とする。
【0023】
この発明によれば、様々な制御装置で構成されるネットワークの複数個を、転送レート、通信周期の制御機能を持つ分配手段によってスター状に接続し、または、ディジーチェーン接続するので、数値制御装置が1つの通信ポートによって、様々な制御装置を制御することができる。このとき、分配手段が転送レート、通信周期の制御機能を持つので、各ネットワーク間の転送路の使用効率を上げることができ、また高速周期のデータと低速周期のデータとを並列に送信することが可能となる。さらに、転送遅延を測定する機能を付加することができるので、データの送信間隔を最小にする制御が行えるようになる。そして、各制御装置が送信タイミングを転送遅延値に基づき補正するようにしたので、データを衝突させることなく確実に送信することができる。また、衝突を防ぐために送信タイミング間に余分な空き時間を作る必要がないので、データを効率よく送信することが可能となる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる数値制御システムの好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0025】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1である数値制御システムの構成を示すブロック図である。図1に示す数値制御システムは、3つのネットワーク(#1)1,(#2)2,(#3)3を、分配器4によってスター状に接続した構成である。ネットワーク(#1)1は、主ネットワークであって、数値制御装置11とこれに接続される制御装置12とが配置されている。数値制御装置11は通信線5を介して制御装置12に接続され、制御装置12は通信線6を介して分配器4に接続されている。
【0026】
ネットワーク(#2)2は、従ネットワークであって、3台の制御装置21,22,23が配置されている。3台の制御装置21,22,23は、ディジーチェーン接続の通信線8で接続され、制御装置21が通信線9を介して分配器4に接続されている。
【0027】
ネットワーク(#3)3は、従ネットワークであって、3台の制御装置31,32,33が配置されている。3台の制御装置31,32,33は、ディジーチェーン接続の通信線10で接続され、制御装置31が通信線11を介して分配器4に接続されている。
【0028】
ここで、各ネットワーク相互間では、転送レートと通信周期の一方または双方が異なる場合があるが、この実施の形態1では、次のようになっている。すなわち、ネットワーク(#1)1,(#2)2,(#3)3の転送レートを、Ta,Tb,Tcとすると、Ta=Tb=Tcである。また、ネットワーク(#1)1,(#2)2,(#3)3の通信周期を、Pa,Pb,Pcとすると、Pa=2Pb=2Pcである。そして、ネットワーク群内で最大の転送レートを基準転送レートTとすると、T=Ta=Tb=Tcである。また、ネットワーク群内で最小の通信周期を基準通信周期Pとすると、P=Paである。
【0029】
図1に示すスター接続の節点に配置される分配器4は、ネットワーク相互間のデータの分配、集約操作やネットワーク相互間の転送レートの違いを変換する装置である。例えば、図2に示すように構成される。図2は、図1に示す分配器の構成を示すブロック図である。
【0030】
図2において、レシーバ35にはネットワーク#1からのシリアルデータが入力される。受信部36は、レシーバ35から入力されるシリアルデータをパラレルデータに変換し、バッファ37と同期パターン抽出部40とに出力する。バッファ37は、入力されるパラレルデータを正しいパルス幅に修正してバッファリングし、ネットワーク#2に転送するデータを送信部38に渡し、ネットワーク#3に転送するデータを送信部46に渡す。
【0031】
同期パターン抽出部40は、受信部36にてパラレルに変換されたデータの中に含まれる同期信号を抽出し、同期信号を生成する。生成した同期信号は、通信周期Pカウンタ41に送られる。通信周期Pカウンタ41は、入力される同期信号に基づきネットワーク群の基準通信周期Pを生成する。これによって、数値制御装置11と分配器4との同期が取られるようになる。生成された基準通信周期Pは、通信周期Paカウンタ42と基準タイミング制御部43とに送られる。
【0032】
通信周期Paカウンタ42は、入力される基準通信周期Pに基づき数値制御装置11と同期のとれたネットワーク#1で使用される通信周期Paを生成する。生成された通信周期Paは、送信部53に送られる。
【0033】
基準タイミング制御部43は、入力される基準通信周期Pに基づきネットワーク#1の通信周期Paの基準タイミングに対するネットワーク#2およびネットワーク#3それぞれの基準タイミングの位相を制御し、その制御した位相の基準通信周期Pを通信周期Pbカウンタ44と通信周期Pcカウンタ45とに与える。
【0034】
通信周期Pbカウンタ44は、入力される基準通信周期Pに基づきネットワーク#2で使用される通信周期Pbを生成する。生成された通信周期Pbは、送信部38に送られる。その結果、送信部38は、バッファ37から渡されたパラレルデータを入力される通信周期Pbのタイミングにてシリアルデータに変換し、ドライバ39を介してネットワーク#2に送出する。
【0035】
通信周期Pcカウンタ45は、入力される基準通信周期Pに基づきネットワーク#3で使用される通信周期Pcを生成する。生成された通信周期Pcは、送信部46に送られる。その結果、送信部46は、バッファ37から渡されたパラレルデータを入力される通信周期Pcのタイミングにてシリアルデータに変換し、ドライバ47を介してネットワーク#3に送出する。
【0036】
また、レシーバ48にはネットワーク#2からのシリアルデータが入力される。受信部49は、レシーバ48から入力されるシリアルデータをパラレルデータに変換し、バッファ52に出力する。また、レシーバ50にはネットワーク#3からのシリアルデータが入力される。受信部51は、レシーバ50から入力されるシリアルデータをパラレルデータに変換し、バッファ52に出力する。
【0037】
バッファ52は、入力される2系統のパラレルデータを正しいパルス幅に修正してバッファリングし、送信部58に渡す。その結果、送信部38は、バッファ52から渡された2系統のパラレルデータを通信周期Paカウンタ42から入力される通信周期Paのタイミングにてシリアルデータに変換し、ドライバ54を介してネットワーク#1に送出する。
【0038】
次に、図3は、図1に示す分配器4がデータの送信タイミングを制御する動作を説明するタイムチャートである。図3において、ネットワーク#1の通信周期Pa(1)に対して、ネットワーク#2の通信周期Pb(4)とネットワーク#3の通信周期Pc(7)は、それぞれ2倍の周期になっている。また、ネットワーク#2の通信周期Pb(4)とネットワーク#3の通信周期Pc(7)は、それぞれ交互に入れ替わる関係になっている。
【0039】
図3(2)において、データ1040は、数値制御装置11からネットワーク#1の制御装置12へのデータである。これは、分配器4を介さずに直接ネットワーク#1の制御装置12に送られる。
【0040】
データ1050は、数値制御装置11からネットワーク#2の制御装置21,22,23へのデータである。分配器4は、データ1050のヘッダー部分に含まれるネットワーク#2を指定するアドレス情報を見て、図3(5)に示すデータ2040を生成し、ネットワーク#2の制御装置21,22,23に送信する。
【0041】
次の通信周期Pa(1)でのデータ1060は、数値制御装置11からネットワーク#3の制御装置31,32,33へのデータである。分配器4は、データ1060のヘッダー部分に含まれるネットワーク#3を指定するアドレス情報を見て、図3(8)に示すデータ3040を生成し、ネットワーク#3の制御装置31,32,33に送信する。
【0042】
また、図3(6)において、ネットワーク#2の制御装置21,22,23から数値制御装置11に送信されるデータ2050,2060,2070は、分配器4にて1つのパケットにまとめられ、図3(3)に示すデータ1080としてネットワーク#1に送信される。
【0043】
同様に、図3(9)において、ネットワーク#3の制御装置31,32,33から数値制御装置11に送信されるデータ3050,3060,3070は、分配器4にて1つのパケットにまとめられ、図3(3)に示すデータ1070としてネットワーク#1に送信される。
【0044】
このように、分配器4は、ネットワーク#2,#3の通信周期の位相を上述のように制御しているので、ネットワーク#1では、ネットワーク#2,#3のデータを交互に送信、受信することができるようになり、転送路を効率的に使用することが可能となる。
【0045】
図2に示すような分配器を用いた場合、分配器はパケット単位でデータの集約・分配を行うので、通信周期に依存するデータ転送遅延が発生する。次に、図4〜図7を参照してこのデータ転送遅延の発生しないシステムについて説明する。なお、図4は、図1に示す数値制御装置11の通信ポートの構成を示すブロック図である。図5は、図4に示す数値制御装置11の通信ポートにて行われるシリアルデータの合成を説明するタイムチャートである。図6は、図1に示す制御装置12,21〜23,31〜33の通信ポートの構成を示すブロック図である。図7は、図1に示す分配器4の通信ポートの構成を示すブロック図である。
【0046】
図4において、図示しないCPU等から与えられる基準転送レート(転送クロック)は、最小繰り返しデータ出現周期カウンタ57と通信周期基準タイミング生成部58とに入力される。最小繰り返しデータ出現周期カウンタ57は、入力される基準転送レート(転送クロック)によって並列化するシリアルデータが周期的に出現する最小周期をカウントし、そのカウント値をビットデータ挿入タイミング生成部59に出力する。ビットデータ挿入タイミング生成部59は、最小繰り返しデータ出現周期カウンタ57からのカウンタ値をデコードし、並列化するシリアルデータを挿入するタイミングを生成する。
【0047】
生成された挿入タイミングは、AND回路69,70,71の一方の入力端と、ネットワーク#1,#2,#3からのデータ(シリアルデータ)を受信する受信部1−20,2−20,3−20とに入力される。AND回路69,70,71の他方の入力端には、ネットワーク#1,#2,#3に与えるデータ(シリアルデータ)を生成する送信部1−10,2−10,3−10の出力が入力される。AND回路69,70,71の出力は、OR回路72を介してOR回路74の一方の入力端に入力される。
【0048】
通信周期基準タイミング生成部58は、入力される基準転送レート(転送クロック)によって規定周期のカウンタを動作させ、基準となる通信周期のタイミングを生成し、基準ビットパターン挿入部73に出力する。基準ビットパターン挿入部73は、通信周期基準タイミング生成部58が発生するタイミングに従って基準通信周期毎にシリアルデータに挿入する基準ビットパターンを発生し、OR回路74の他方の入力端に出力する。OR回路74の出力は、ドライバ75を介してネットワーク#1,#2,#3に送られる。また、ネットワーク#1,#2,#3からのデータ(シリアルデータ)は、レシーバ64を介して受信部1−20,2−20,3−20に並列に入力される。
【0049】
送信部1−10,2−10,3−10は、同様の構成である。送信タイミング生成部61は、図示しないCPU等から与えられる送信タイミングと通信周期のカウンタ値とを比較し、一致した場合に送信タイミング信号を生成し、データ送信部62に与える。データ送信部62は、図示しないCPU等から与えられるパラレルデータをシリアルデータに変換し、それを送信タイミング生成部61から与えられる送信タイミングに同期してシリアルデータ変調部63に与える。シリアルデータ変調部63は、入力されたシリアルデータをNRZ、NRZI、8B10B等の変調方式で変調し、AND回路69,70,71の他方の入力端に出力する。
【0050】
すなわち、このように送信部1−10,2−10,3−10にて生成されたシリアルデータは、AND回路69,70,71にて、ビットデータ挿入タイミング生成部59にて生成されたタイミング信号との論理積が取られ、それぞれビット列の中の規定のタイミングにおけるシリアルデータとなる。そして、並列に生成されたシリアルデータがOR回路72にて合成され、1つのシリアルデータになる。合成されたシリアルデータは、OR回路74にて基準ビットパターン挿入部73が生成する基準通信周期のビットパターンが挿入され、ドライバ75によってネットワーク#1,#2,#3に送信される。
【0051】
図5を参照して、送信部1−10,2−10,3−10にて生成されるシリアルデータの合成内容を具体的に説明する。図5では、基準転送レート(1)は、4ビットデータが最小繰り返しデータ出現回数となっている。最小繰り返しデータ出現周期カウンタ57は、基準ビットパターンが挿入されるタイミングに同期して「1」から「4」までをカウントする。このビットサイクルの1番目と2番目はネットワーク#1へのシリアルデータとして割り当てられ、3番目はネットワーク#2へのシリアルデータ、4番目はネットワーク#3へのシリアルデータとして割り当てられる。
【0052】
これらのタイミングは、ビットデータ挿入タイミング生成部59にて最小繰り返しデータ出現周期カウンタ57の出力値をデコードして生成される。その結果、送信部1−10の出力を受けるAND回路69はネットワーク#1用シリアルビット列(3)を出力する。送信部2−10の出力を受けるAND回路70はネットワーク#2用シリアルビット列(4)を出力する。送信部3−10の出力を受けるAND回路71はネットワーク#3用ビット列(5)を出力する。そして、OR回路72には、それらが合成されたシリアルビット列(2)が得られる。
【0053】
次に、受信部1−20,2−20,3−20は、同様の構成である。ラッチ回路65は、レシーバ64からのシリアルデータをビットデータ挿入タイミング生成部59から出力されるタイミング信号によってラッチし、シリアルデータ復調部66に出力する。シリアルデータ復調部66は、ラッチされたシリアルデータをNRZ、NRZI、8B10B等の復調方式によって復調し、データ受信部67に出力する。データ受信部67は、シリアルデータ復調部66からのシリアルデータをパラレルデータに変換し、外部の受信処理系に出力する。
【0054】
すなわち、受信部1−20,2−20,3−20では、レシーバ64にて受信されたデータを、ラッチ回路65にて、ビットデータ挿入タイミング生成部59から与えられるタイミングでラッチするので、合成されたシリアルデータの中から各ネットワークのデータをそれぞれ区別して受信することができる。
【0055】
図5の例で言えば、レシーバ64にて受信したシリアルデータが図5(2)に対応するので、受信部1−20のラッチ回路65は図5(3)に示すシリアルデータをラッチする。受信部2−20のラッチ回路65は図5(4)に示すシリアルデータをラッチする。受信部3−20のラッチ回路65は図5(5)に示すシリアルデータをラッチする。このように、受信部1−20,2−20,3−20では、合成されたシリアルデータがそれぞれのシリアルデータに分離される。
【0056】
次に、制御装置12,21〜23,31〜33の通信ポートについて説明する。図6において、レシーバ84は、上位装置から送られてくるシリアルデータを受信する。レシーバ84の出力は、受信クロック生成部81と基準ビットパターン検出部82と受信部1−21とOR回路86の一方の入力とに与えられている。
【0057】
受信クロック生成部81は、受信されたシリアルデータから受信クロックである基準転送レートを検出し、それを最小繰り返しデータ出現周期カウンタ80に出力する。また、基準ビットパターン検出部82は、受信されたシリアルデータ内の基準ビットパターンを検出し、そのタイミング信号を最小繰り返しデータ出現周期カウンタ80に出力する。
【0058】
最小繰り返しデータ出現周期カウンタ80は、受信クロック生成部81にて検出された基準転送レートに基づきシリアルデータが周期的に出現する最小周期をカウントし、そのカウント値をビットデータ挿入タイミング生成部83に出力する。そのとき、カウンタのタイミングが基準ビットパターン検出部82からのタイミング信号によって補正される。
【0059】
ビットデータ挿入タイミング生成部83は、最小繰り返しデータ出現周期カウンタ80からのカウント値をデコードし、シリアルデータを挿入するタイミング信号を生成する。生成されたタイミング信号は、AND回路85の一方の入力と受信部1−21とAND回路94の一方の入力と受信部1−22とに与えられている。AND回路85の他方の入力には送信部1−11の出力が与えられ、AND回路85の出力は、OR回路86の他方の入力に与えられている。OR回路86の出力は、ドライバ87を介して下位装置に送られる。
【0060】
また、レシーバ97は、下位装置から送られてくるシリアルデータを受信する。レシーバ97の出力は、受信部1−22とOR回路95の一方の入力とに与えられている。AND回路94の他方の入力には送信部1−12の出力が与えられている。AND回路94の出力は、OR回路95の他方の入力に与えられている。OR回路95の出力は、ドライバ96を介して下位装置に送られる。
【0061】
下位装置への送信部1−11と上位装置への送信部1−12とは、同様の構成である。すなわち、送信タイミング生成部91は、図示しないCPU等から与えられる送信タイミングと通信周期のカウンタ値とを比較し、一致した場合に送信タイミング信号を生成し、データ送信部92に与える。データ送信部92は、図示しないCPU等から与えられるパラレルデータをシリアルデータに変換し、それを送信タイミング生成部91から与えられる送信タイミングに同期してシリアルデータ変調部93に与える。シリアルデータ変調部93は、入力されたシリアルデータをNRZ、NRZI、8B10B等の変調方式で変調し、AND回路85,94の他方の入力端に出力する。
【0062】
その結果、下位装置への送信部1−11の出力は、AND回路85にて、ビットデータ挿入タイミング生成部83にて生成されたタイミング信号との論理積が取られ、ビット列の中の規定のタイミングにおけるシリアルデータとなる。そして、上位装置から送られてくるシリアルデータとOR回路86にて合成され、1つのシリアルデータになる。合成されたシリアルデータは、ドライバ87よって下位装置に送信される。
【0063】
また、上位装置への送信部1−12の出力は、AND回路94にて、ビットデータ挿入タイミング生成部83にて生成されたタイミング信号との論理積が取られ、ビット列の中の規定のタイミングにおけるシリアルデータとなる。そして、下位装置から送られてくるシリアルデータとOR回路95にて合成され、1つのシリアルデータになる。合成されたシリアルデータは、ドライバ96によって上位装置に送信される。
【0064】
また、上位装置からのデータを受信する受信部1−21と、下位装置からのデータを受信する受信部1−22とは、同様の構成である。すなわち、ラッチ回路88は、レシーバ84,97からのシリアルデータをビットデータ挿入タイミング生成部83から出力されるタイミング信号によってラッチし、シリアルデータ復調部89に出力する。シリアルデータ復調部89は、ラッチされたシリアルデータをNRZ、NRZI、8B10B等の復調方式によって復調し、データ受信部90に出力する。データ受信部90は、シリアルデータ復調部89からのシリアルデータをパラレルデータに変換し、外部の受信処理系に出力する。
【0065】
すなわち、受信部1−21,1−22では、レシーバ84,97にて受信されたデータを、ラッチ回路88にて、ビットデータ挿入タイミング生成部59から与えられるタイミングでラッチするので、合成されたシリアルデータの中から自装置宛のデータを受信することができる。
【0066】
次に、分配器4の通信ポートについて説明する。これは、図2に示したネットワーク#1側の受信部36および送信部53,ネットワーク#2側の送信部38および受信部49,ネットワーク#3側の送信部46および受信部51に対応している。
【0067】
図7において、レシーバ104は、ネットワーク#1からのデータを受信する。レシーバ104の出力は、受信クロック生成部101と基準ビットパターン検出部102とラッチ回路105,110とに与えられている。ラッチ回路105の出力は、ドライバ106を介してネットワーク#2に送られる。また、ラッチ回路110の出力は、ドライバ111を介してネットワーク#3に送られる。
【0068】
受信クロック生成部101は、受信されたシリアルデータから受信クロックである基準転送レートを検出し、それを最小繰り返しデータ出現周期カウンタ100に出力する。また、基準ビットパターン検出部102は、受信されたシリアルデータ内の基準ビットパターンを検出し、そのタイミング信号を最小繰り返しデータ出現周期カウンタ100に出力する。
【0069】
最小繰り返しデータ出現周期カウンタ100は、受信クロック生成部101にて検出された基準転送レートに基づきシリアルデータが周期的に出現する最小周期をカウントし、そのカウント値をビットデータ挿入タイミング生成部103に出力する。そのとき、カウンタのタイミングが基準ビットパターン検出部102からのタイミング信号によって補正される。
【0070】
ビットデータ挿入タイミング生成部103は、最小繰り返しデータ出現周期カウンタ100からのカウント値をデコードし、シリアルデータを挿入する2つ基準タイミング信号を生成する。生成された基準タイミング信号の一方(転送レートTbのタイミング信号)は、ラッチ回路105とAND回路108の一方の入力とに与えられ、生成された基準タイミング信号の他方(転送レートTcのタイミング信号)は、ラッチ回路110とAND回路113の一方の入力とに与えられている。
【0071】
AND回路108の他方の入力には、ネットワーク#2からデータを受信するレシーバ107の出力が与えられている。AND回路113の他方の入力には、ネットワーク#3からデータを受信するレシーバ112の出力が与えられている。AND回路108,113の出力は、OR回路109にて合成され、ドライバ114を介してネットワーク#1に送られる。
【0072】
以上の構成において、ネットワーク#1からのデータは、ラッチ回路105にて、ビットデータ挿入タイミング生成部103からの基準タイミングによって転送レートTbのデータに変換され、ドライバ106によってネットワーク#2に送信される。また、ネットワーク#1からのデータは、ラッチ回路110にて、ビットデータ挿入タイミング生成部103からの基準タイミングによって転送レートTcのデータに変換され、ドライバ111によってネットワーク#3に送信される。
【0073】
また、ネットワーク#2,#3からのデータは、AND回路108,113にてビットデータ挿入タイミング生成部103からのタイミング信号と同期が取られ、OR回路109にて1本のシリアルデータに合成され、ネットワーク#1に送信される。
【0074】
ここで、図7に示すような通信ポートを有した分配器4を用いた場合、ネットワーク#1の転送レートTaはTa=Tとなり、ネットワーク#2の転送レートTbはTb=1/2Tとなり、ネットワーク#3の転送レートTcはTc=1/2Tとなる。
【0075】
次に、図8は、図1に示す数値制御システムにて行われるデータの送受信を説明するタイムチャートである。図8では、図5に示されたビットパターンによってネットワーク#1,#2,#3に流れるデータの関係が示されている。
【0076】
図8において、数値制御装置11は、基準通信周期P(1)のタイミングで、ネットワーク#1,#2,#3への送信データ(2)として、基準ビットパターン1100と合成されたシリアルデータ1110とを送信する。数値制御装置11から送信されたシリアルデータ111は、制御装置12や分配器4でビット列を規定の順番で3つの並列したシリアルデータに分離される。
【0077】
したがって、ネットワーク#1では、通信周期Pa(4)のタイミングで、数値制御装置11から制御装置12への送信データ(5)として、合成されたシリアルデータ1110から分離したデータ1130が送信される。
【0078】
また、ネットワーク#2では、通信周期Pb(7)のタイミングで、数値制御装置11から制御装置21,22への送信データ(8)として、合成されたシリアルデータ1110から分離したデータ2110,2120が送信される。制御装置23には次の基準通信周期P(1)でのシリアルデータから分離したデータ2130が送信される。
【0079】
同様に、ネットワーク#3では、通信周期Pc(10)のタイミングで、数値制御装置11から制御装置31への送信データ(11)として、合成されたシリアルデータ1110から分離したデータ3110が送信される。制御装置32,33には次の基準通信周期P(1)でのシリアルデータから分離したデータ3120,3130が送信される。
【0080】
一方、ネットワーク#3では、通信周期Pc(10)のタイミングで、数値制御装置11への送信データ(12)として、制御装置31がデータ3140を送信する。また、制御装置32,33は次の通信周期Pc(10)で、データ3150,3160を送信する。
【0081】
また、ネットワーク#2では、通信周期Pb(7)のタイミングで、数値制御装置11への送信データ(9)として、制御装置21,22がデータ2140,2150を送信する。また、制御装置23は次の通信周期Pb(7)で、データ2160を送信する。
【0082】
同様に、ネットワーク#1では、通信周期Pa(4)のタイミングで、数値制御装置11への送信データ(6)として、制御装置12は、データ1140を送信する。これら制御装置12からの送信データ1140、制御装置21,22からの送信データ2140,2150、および制御装置31からの送信データ3140は、基準通信周期P(1)のタイミングで、分配器4の受信部、制御装置12の受信部にて合成され、データ1120として数値制御装置11に受信される(3)。
【0083】
同様に、制御装置23が次の通信周期Pb(7)で送るデータ2160と、制御装置32,33が次の通信周期Pc(10)で送るデータ3150,3160と、制御装置12が次の通信周期Pa(4)で送るデータ(6)とが、次の基準通信周期P(1)のタイミングで合成され、数値制御装置11に受信される(3)。
【0084】
ここで、この実施の形態1では、最小繰り返しデータ出現周期が4ビットであり、並列化されたシリアルデータが3となっているが、一般的には次のような関係となる。
【0085】
基準転送レート(物理的最大転送レート)をT[ビット/秒]、最小繰り返しデータ出現周期をNr[ビット]、基準通信周期をP[秒]とし、並列化されるシリアルデータデータの通信周期が“P、2×P、3×P、・・・、χ×P”(但し、χは自然数)としたときに、各通信周期のシリアルデータ数が“N1、N2、N3、・・・、Nχ”と与えられるとすると、全ての並列化されるシリアルデータ数Npは、
【0086】
【数1】
となる。
【0087】
また、最小繰り返しデータ出現周期Nr(自然数)は、
【数2】
となる。また、基準通信周期の論理転送レートは、T×Nr/2[ビット/秒]となる。
【0088】
次に、図9、図10を参照して、図1に示した数値制御システムの適用例を説明する。なお、図9は、工作機械の一般的な構成例を示す図である。図10は、図1に示す数値制御システムを図9に示す工作機械に適用した場合の構成例を示す図である。
【0089】
図9において、工作機械は、一般に、ワークを加工する加工機120と、搬送路に乗せられた未加工ワークを加工機120に搬入し、加工済みワークを加工機120から受け取り搬出する搬送機121とによって構成されている。そして、加工機120側に強電盤122と表示器操作盤123とが設けられ、搬送機121側に強電盤124が設けられている。
【0090】
加工機120は、搬送路から送られてきたワークを固定するテーブル130と、このテーブル130を移動操作して直交座標上での位置決めを行う2つのサーボモータ132,133と、テーブル130の上部に設置され、ワークの加工を行う主軸モータ138とを備えている。
【0091】
サーボモータ132,133は、それぞれボールネジ134,135を介してテーブル130に結合され、ボールネジ134,135を駆動することによって、テーブル130を直線方向に動かすようになっている。また、サーボモータ132,133は、それぞれエンコーダ136,137を備えている。
【0092】
そして、強電盤122には、数値制御装置140と2つのサーボモータ132,133と主軸モータ138とをそれぞれ個別に制御する3台の駆動制御装置141,142,143とが配置されている。3台の駆動制御装置141,142,143は、ディジーチェーン接続方式による通信線160を介して数値制御装置140の1つの通信ポート(第1通信ポート)に接続されている。
【0093】
すなわち、数値制御装置140は、ディジーチェーン接続の1本の通信線160を介して駆動制御装置141,142,143に対し位置、速度、トルクなどの指令を与える。駆動制御装置141,142,143は、ディジーチェーン接続の1本の通信線を介して、位置フィードバック、速度フィードバック、トルクフィードバックなどの状態量や、制御機能の状態、アラーム情報などを数値制御装置140に送るようになっている。
【0094】
次に、搬送機121は、ベルトなどの搬送路を駆動するサーボモータ148と、ワークを検出するために搬送路の所定場所に配置される複数のポジションセンサ145,146,147と、搬送路上のワークを加工機120に搬入し、排出するワーク搬出入装置150と、ワーク搬出入装置150を駆動するサーボモータ149とを備えている。
【0095】
そして、強電盤124には、2つのサーボモータ148,149を個別に制御する2台の駆動制御装置153,154と、複数のポジションセンサ145,146,147の出力信号を取り込むDI/O制御装置155とが配置されている。
【0096】
この2台の駆動制御装置153,154は、数値制御装置140に設けられる第2通信ポートにディジーチェーン接続方式の通信線161を介して接続され、また、DI/O制御装置155は、数値制御装置140に設けられる第3通信ポートに独立した通信線162を介して接続されている。
【0097】
数値制御装置140は、DI/O制御装置155からの信号をシーケンス制御し、ワークの位置によって上記第3通信ポートにディジーチェーン接続される2台の各駆動制御装置153,154に出す指令(位置、速度、トルクなど)のタイミングを制御し、指令を与えるようになっている。
【0098】
また、表示器操作盤123は、数値制御装置140に設けられる第4通信ポートに接続されている。すなわち、数値制御装置140が表示器操作盤123の表示器に対し加工プログラムやパラメータ、制御状態等を送ると、表示器は送られてきたデータを表示する。また、操作盤は入力されたデータを数値制御装置140に送信するようになっている。
【0099】
以上のように、一般的な工作機械を構成する数値制御システムは、数値制御装置が4つの通信ポートを備え、加工機が備える複数の駆動制御装置、搬送機が備える複数の駆動制御装置およびDI/O制御装置、表示器操作盤をそれぞれ独立に制御等するように構成されている。但し、システムによっては、DI/O制御装置と表示器操作盤は、複数の駆動制御装置と同様に、数値制御装置にディジーチェーン接続方式で接続される場合もある。この場合には、数値制御装置は2つまたは3つの通信ポートを備えることになる。
【0100】
工作機械では、加工機が備える複数の駆動制御装置は、一般に、搬送機が備える複数の駆動制御装置よりも高速かつ高精度にサーボモータを駆動、制御する必要がある。また、搬送機を制御する駆動制御装置やDI/O制御装置、表示器や操作盤は、高速、高精度な制御性能が要求されない。したがって、図9に示した数値制御システムを、図1に示した数値制御システムで置き換えると、例えば図10に示すようになる。
【0101】
図10において、加工機120の強電盤122に配置される数値制御装置140、駆動制御装置141,142,143で構成されるネットワークは、図1に示したネットワーク#1に対応している。搬送機121の強電盤124に配置される駆動制御装置153,154、DI/O制御装置155で構成されるネットワークは、図1に示したネットワーク#2に対応している。表示器操作盤123で構成されるネットワークは、図1に示したネットワーク#3に対応している。これらの3つネットワークが、分配器4によってスター状に接続されている。このように、各強電盤間を接続する通信線の本数が大幅に削減される。
【0102】
この構成によれば、ネットワーク#1での1通信周期内に送受信可能なデータ量は、Pa×Ta×8[バイト]である。一方、ネットワーク#2,#3では通信周期がネットワーク#1の通信周期の半分であるので、1通信周期で送受信可能なデータ量は、Pb×Tb×8[バイト]=Pc×Tc×8[バイト]=2×(Pa×Ta×8)[バイト]である。
【0103】
したがって、ネットワーク#2,#3での転送レートは、Tb=Tc=1/2Taで構わない。つまり、高速な通信を行うためのドライバやレシーバ、通信回路は、高速なものほどコストが高いので、高速な転送レートを必要としないネットワーク#2,#3で使用するドライバやレシーバ、通信回路のコストを下げることが可能である。
【0104】
なお、図1では、分配器を1つの装置としたが、図11に示すように、ネットワーク#1の最終端に接続された制御装置に分配器の機能を持たせることも可能である。図11は、図1に示す数値制御システムの他の構成例(分配器の機能をネットワーク#1の最終端に位置する制御装置が持つ場合)を示す図である。図11では、図1に示した分配器4が省略され、その分配器の機能を制御装置12に代えた制御装置13が持つようにした場合が示されている。
【0105】
このように、実施の形態1によれば、様々な制御装置で構成されるネットワークの複数個を、転送レート、通信周期の制御機能を持つ分配器によってスター状に接続したので、数値制御装置が1つの通信ポートによって、様々な制御装置を制御することができる。このとき、分配器が転送レート、通信周期の制御機能を持つので、各ネットワーク間の転送路の使用効率を上げることができ、また高速周期のデータと低速周期のデータとを並列に送信することが可能となる。さらに、ネットワークをスター状に接続することで、制御装置を必要な場所に配置することが容易になる。なお、低速周期のデータを扱うネットワークの装置では、高速な転送レートを必要としないので、ドライバやレシーバ、通信回路のコストを下げることが可能となる。
【0106】
実施の形態2.
図12は、この発明の実施の形態2である数値制御システムの構成を示すブロック図である。なお、図12では、図1に示した構成と同一ないしは同等である構成要素には同一の符号が付されている。ここでは、この実施の形態2に関わる部分を中心に説明する。
【0107】
図12に示す数値制御システムは、主ネットワークであるネットワーク(#1)に分配器170を介して従ネットワークであるネットワーク(#2)2が接続され、ネットワーク(#2)2に分配器171を介して従ネットワークであるネットワーク(#3)3が接続されている。すなわち、ネットワーク(#1)1に対し、ネットワーク(#2)2,(#3)3は、分配器170,171を介してディジーチェーン接続されている。
【0108】
ここで、各ネットワーク相互間では、転送レートと通信周期の一方または双方が異なる場合があるが、この実施の形態2では、次のようになっている。すなわち、ネットワーク(#1)1,(#2)2,(#3)3の転送レートを、Ta,Tb,Tcとすると、1/2Ta=Tb=1/2Tcである。また、ネットワーク(#1)1,(#2)2,(#3)3の通信周期を、Pa,Pb,Pcとすると、Pa=1/2Pb=2Pcである。そして、ネットワーク群内で最大の転送レートを基準転送レートTとすると、T=Tbである。また、ネットワーク群内で最小の通信周期を基準通信周期Pとすると、P=Pbである。
【0109】
図12に示す分配器170,171は、ネットワーク相互間のデータの分配、集約操作やネットワーク相互間の転送レートの違いを変換する装置である。例えば、図13に示すように構成される。図13は、図12に示す分配器の構成を示すブロック図である。なお、図13では、図2に示した構成と同一ないしは同等である構成要素には同一の符号が付されている。ここでは、実施の形態2に関わる部分を中心に説明する。
【0110】
図13が分配器170の構成である場合には、レシーバ35は、ネットワーク#1からのデータを受信し、ドライバ39は、ネットワーク#2にデータを送信する。通信周期Pb(Pc)カウンタ176は、ネットワーク#2の通信周期Pbおよびネットワーク#2への送信タイミング信号を生成する。また、レシーバ48は、ネットワーク#2からのデータを受信し、ドライバ54は、ネットワーク#1にデータを送信する。通信周期Pa(Pb)カウンタ175は、ネットワーク#1の通信周期Paおよびネットワーク#1への送信タイミング信号を生成する。
【0111】
図13が分配器171の構成である場合には、レシーバ35は、ネットワーク#2からのデータを受信し、ドライバ39は、ネットワーク#3にデータを送信する。通信周期Pb(Pc)カウンタ176は、ネットワーク#3の通信周期Pcおよびネットワーク#3への送信タイミング信号を生成する。また、レシーバ48は、ネットワーク#3からのデータを受信し、ドライバ54は、ネットワーク#2にデータを送信する。通信周期Pa(Pb)カウンタ175は、ネットワーク#2の通信周期Pbおよびネットワーク#2への送信タイミング信号を生成する。
【0112】
次に、図14は、図12に示す分配器がデータの送信タイミングを制御する動作を説明するタイムチャートである。図14において、数値制御装置11は、通信周期Pa(1)のタイミングで、ネットワーク#1の制御装置12へのデータ1041と、ネットワーク#2の制御装置21,22,23へのデータ1051とネットワーク#3の制御装置31,32,33へのデータ1061とを送信する。
【0113】
制御装置21,22,23へのデータ1051は、通信周期Pb(4)のタイミングで、分配器170を介してネットワーク#2に送られる(5)。ネットワーク#2の通信周期Pbは、ネットワーク#1の通信周期Paの1/2であるので、データ1051には、ネットワーク#2の制御装置21,22,23の2周期分の指令が含まれている。
【0114】
データ1051では、1周期目と2周期目のデータ配置がそれぞれ決められている。分配器170は、データの配置によって1周期目のデータ、2周期目のデータをそれぞれネットワーク#2の制御装置21,22,23に送信する。
【0115】
制御装置31,32,33へのデータ1061は、まず、通信周期Pb(4)のタイミングで、分配器170を介してネットワーク#2に送信される(5)。ネットワーク#2に送信されたデータ2081は、通信周期Pc(7)のタイミングで、分配器171を介してデータ3041としてネットワーク#3に送信される(8)。
【0116】
データ1051,1061は、それぞれそのヘッダー部分にネットワークを指定するアドレス情報を含んでおり、分配器170,171は、そのアドレス情報を元にデータを各ネットワークに送信する。なお、ネットワーク#3の通信周期Pcの位相は、分配器171の基準タイミング制御部43によって制御されているので、ネットワーク#1とネットワーク#3におけるデータ遅延は最小限に抑えられている。
【0117】
また、通信周期Pb(4)のタイミングで、ネットワーク#2の制御装置21,22,23から数値制御装置11に送信されるデータ2051,2061,2071等(6)は、2周期分が分配器170によって1つのパケットにまとめられ、通信周期Pa(1)のタイミングで、データ1081としてネットワーク#1に送信される(3)。
【0118】
通信周期Pc(7)のタイミングで、ネットワーク#3の制御装置31,32,33から数値制御装置11に送信されるデータ3051,3061,3071等(9)は、分配器171によって1つのパケットにまとめられ、通信周期Pb(4)のタイミングで、データ2091としてネットワーク#2に送信され(6)、さらに通信周期Pa(1)のタイミングで、分配器170によってデータ1071としてネットワーク#1に送信される(3)。
【0119】
ここで、ネットワーク#2は、このようにネットワーク#1,#3間のデータやり取りを仲介するが、ネットワーク#2の通信周期Pbは、ネットワーク#1,#3の通信周期Pa,Pcの半分であるので、転送レートが全て同じ場合には、ネットワーク#2の1通信周期で送受信できるデータ量は、半分となってしまう。したがって、この実施の形態2では、ネットワーク#2の転送レートTbをTb=2×Ta=2×Tcとすることで、1通信周期内で送受信できるデータ量はネットワーク#1,#2,#3の間で同じとなるようにしている。
【0120】
次に、図12に示す数値制御システムにおいて、分配器を図13に示した構成とする場合、実施の形態1と同様にデータ転送遅延が発生する。次に、データ転送遅延の発生しないシステムを説明する。数値制御装置11の通信ポートは、実施の形態1(図4)に示すように構成でき、制御装置12,21〜23,31〜33の通信ポートは、実施の形態1(図6)に示すように構成でき、分配器170,171の通信ポートは、ほぼ実施の形態1(図7)に示すように構成できる。したがって、通信線上のシリアルデータは、図15に示すようになり、データの送信は、図16に示すように行われる。
【0121】
図15は、図12に示す数値制御装置11の通信ポートにて行われるシリアルデータの合成を説明するタイムチャートである。図15において、基準転送レート(1)は、4ビットデータが最小繰り返しデータ出現回数となっている。ネットワーク#1用のシリアルデータ(3)とネットワーク#2用のシリアルデータ(4)とネットワーク#3用のシリアルデータ(5)とが合成されて通信線に送出され(2)、ネットワーク#1,#2,#3に並列に与えられる。
【0122】
次に、各装置の通信ポートは、実施の形態1にて説明した内容で動作するのでデータの送受信は、図16に示す手順で行われる。図16は、図12に示す数値制御システムにて行われるデータの送受信を説明するタイムチャートである。
【0123】
図16において、数値制御装置11は、基準通信周期P(1)のタイミングで、ネットワーク#1,#2,#3への送信データ(2)として、基準ビットパターン1101と合成されたシリアルデータ1111とを送信する。数値制御装置11から送信されたシリアルデータ1111は、制御装置12や分配器170,171でビット列を規定の順番で3つの並列したシリアルデータに分離される。
【0124】
したがって、ネットワーク#1では、通信周期Pa(4)のタイミングで、数値制御装置11から制御装置12への送信データ(5)として、合成されたシリアルデータ1111から分離したデータ1041が送信される。
【0125】
また、ネットワーク#2では、通信周期Pb(7)のタイミングで、数値制御装置11から制御装置21,22、23への送信データ(8)として、合成されたシリアルデータ1111から分離したデータ1051が送信される。
【0126】
同様に、ネットワーク#3では、通信周期Pc(10)のタイミングで、数値制御装置11から制御装置31,32,33への送信データ(11)として、合成されたシリアルデータ1111から分離したデータ1061が送信される。
【0127】
一方、ネットワーク#3では、通信周期Pc(10)のタイミングで、数値制御装置11への送信データ(12)として、制御装置31,32,33がデータ3051,3061,3071を送信する。
【0128】
また、ネットワーク#2では、通信周期Pb(7)のタイミングで、数値制御装置11への送信データ(9)として、制御装置21,22,23がデータ2051,2061,2071を送信する。
【0129】
同様に、ネットワーク#1では、通信周期Pa(4)のタイミングで、数値制御装置11への送信データ(5)として、制御装置12は、データ1071を送信する。これら制御装置12からの送信データ1071、制御装置21,22,23からの送信データ2051,2061,2071、および制御装置31,32からの送信データ3051,3061は、基準通信周期P(1)のタイミングで、分配器170,171の受信部、制御装置12の受信部にて合成され、データ1121として数値制御装置11に受信される(3)。
【0130】
同様に、制御装置33が同じ通信周期Pb(7)で送るデータ3071(12)と、制御装置21,22,23が同じ通信周期Pc(10)で送るデータ(9)とは、同じ基準通信周期P(1)のタイミングで合成され、数値制御装置11に受信される(3)。
【0131】
次に、図17を参照して、図12に示した数値制御システムの適用例を説明する。なお、図17は、図12に示す数値制御システムを図9に示す工作機械に適用した場合の構成例を示す図である。
【0132】
実施の形態1にて説明したように、加工機を駆動する駆動制御装置は、一般的に高速、高精度な制御性能が要求される。また、加工機を駆動する駆動制御装置の制御ループが、位置、速度、電流の各制御ループで構成され、数値制御装置からの指令が位置の指令として与えられる場合には、数値制御装置から駆動制御装置への位置指令はオープンループとなるので、駆動制御装置からのフィードバックデータを数値制御装置側の制御器に取り込む必要がない。
【0133】
そのため、この実施の形態2では、加工機を駆動する駆動制御装置を想定して、制御装置21,22,23で構成されるネットワーク#2の通信周期は、ネットワーク#1,#3の通信周期よりも短くなっている。このような構成をとっても加工機を駆動する駆動制御装置である制御装置21,22,23の高速、高精度が保障される。
【0134】
したがって、図12に示す数値制御システムを図9に示す工作機械に適用した場合の構成は、例えば図17に示すようになる。図17において、数値制御装置140は、図9では、強電盤122内に加工機120を駆動する駆動制御装置141,142,143と共に配置されていたが、図17では、加工機120の前面に設けた強電盤168内に、表示器操作盤123と共に配置されている。数値制御装置140と表示器操作盤123とで構成されるネットワークが図12に示したネットワーク#1に対応している。
【0135】
また、加工機120を駆動する駆動制御装置141,142,143で構成されるネットワークが図12に示したネットワーク#2に対応し、ネットワーク#1とは分配器170を介してディジーチェーン接続されている。また、搬送路を駆動する駆動制御装置153,154及び、ワークの位置情報を検出するDI/O制御装置155で構成されるネットワークが図12に示したネットワーク#3に対応し、ネットワーク#2とは分配器171を介してディジーチェーン接続されている。このように、各強電盤間を接続する通信線の本数が大幅に削減される。
【0136】
次に、図18は、図17に示す数値制御システムでの位置指令による制御を説明する制御系統図である。図18において、数値制御装置180と駆動制御装置181とはネットワーク183を介して接続され、数値制御装置180が備える位置指令生成部182が発行する位置指令は、ネットワーク183を介して駆動制御装置181に送られる。駆動制御装置181では、演算器184が、送られてきた位置指令とエンコーダ189からの位置フィードバック情報との誤差を算出し、位置制御器185に送る。
【0137】
位置制御器185は、位置指令と位置フィードバックとの誤差に適切なゲインを乗算し、速度指令を生成する。速度指令は、演算器186にて、エンコーダ190からの位置フィードバックを微分器191によって微分して得られる速度フィードバックとの誤差が算出され、速度制御器187に送られる。速度制御器187では、速度指令と速度フィードバックとの誤差に適切なゲインを乗算し、電流指令を生成し、電流制御器188に送られる。電流制御器188は、電流指令に適切なゲインを乗算し、サーボモータ189を駆動する。このように、駆動制御装置181では、数値制御装置180から位置で指令を与えられるだけで、サーボモータ189を駆動制御することができる。
【0138】
なお、図12では、分配器170,171を1つの装置としたが、図19に示すように、ネットワーク#1の最終端に接続された制御装置に分配器170の機能を持たせ、ネットワーク#2の最終端に接続された制御装置に分配器171の機能を持たせることも可能である。図19は、図12に示す数値制御システムの他の構成例(分配器の機能をネットワーク#1,#2の最終端に位置する制御装置が持つ場合)を示す図である。図19では、図12に示した分配器170,171が省略され、分配器170の機能を制御装置12に代えた制御装置14が持つようにし、分配器171の機能を制御装置23に代えた制御装置24が持つようにした場合が示されている。
【0139】
また、各制御装置の通信ポートは、図6に示す構成として説明したが、図4に示す送信部1−10,2−10,3−10、受信部1−20,2−20,3−20のように送受信部を複数個持つようにしてもよい。このようにすれば、各制御装置は、自ネットワーク以外のネットワークとのデータ送受信が可能となる。
【0140】
このように、実施の形態2によれば、様々な制御装置で構成されるネットワークの複数個を、転送レート、通信周期の制御機能を持つ分配器によってディジーチェーン接続したので、数値制御装置が1つの通信ポートによって、様々な制御装置を制御することができる。このとき、分配器が転送レート、通信周期の制御機能を持つので、各ネットワーク間の転送路の使用効率を上げることができ、また高速周期のデータと低速周期のデータとを並列に送信することが可能となる。なお、低速周期のデータを扱うネットワークの装置では、高速な転送レートを必要としないので、ドライバやレシーバ、通信回路のコストを下げることが可能となる。
【0141】
実施の形態3.
図20は、この発明の実施の形態3である数値制御システムの構成を示すブロック図である。この実施の形態3では、実施の形態1(図1,図11)または実施の形態2(図12,図19)において、1つの転送路上に配置される複数の装置における最上位装置以下の各下位装置が、前記最上位装置に対し時分割で送信する送信タイミングを装置間の転送遅延値によって補正する場合の構成例が示されている。但し、図20では、説明の便宜から、最上位装置は、数値制御装置であるとしている。
【0142】
すなわち、図20に示す数値制御システムは、数値制御装置193に対して複数の制御装置194,195,196がディジーチェーン接続された1つのネットワークによって構成されている。図9に示した工作機械で言えば、制御装置194,195,196は、サーボモータの駆動制御装置141〜144,153,154やポジションセンサーの制御装置であるDI/O制御装置155に相当する。
【0143】
制御装置194,195,196は、数値制御装置193と同じ通信周期Pで動作するが、転送路および制御装置194,195,196には、遅延要素が存在するので、数値制御装置193から送信されるデータは、それからの遅延要素の影響を受けるので、制御装置194,195,196では、通信周期にずれが生ずる。この実施の形態3では、次のようにして、その通信周期のずれを補正している。
【0144】
制御装置194,195,196の通信ポートは、実施の形態1で示した分配器4(図2)や実施の形態2で示した分配器170,171(図13)と同等の機能を持つことから、例えば、図21に示すように構成することができる。図21は、図20に示す制御装置の通信ポートの構成を示すブロック図である。なお、図21では、図2や図13に示した構成と同一ないしは同等である構成要素には同一の符号が付されている。
【0145】
図21において、レシーバ35には上位装置からのシリアルデータが入力される。受信部36は、レシーバ35から入力されるシリアルデータをパラレルデータに変換し、バッファ37と同期パターン抽出部40とに出力する。バッファ37は、入力されるパラレルデータを正しいパルス幅に修正してバッファリングし、下位装置に転送するデータをスイッチ198の一方の切替入力端に出力する。
【0146】
スイッチ198は、他方の切替入力端が送信部38の出力端に接続され、切替出力端がドライバ39の入力端に接続されている。すなわち、レシーバ35が受信した上位装置の送信データを下位装置に渡すときは、スイッチ198は、バッファ37の出力端とドライバ39の入力端とを接続し、自装置の送信データを下位装置に渡すときは、スイッチ198は、送信部38の出力端とドライバ39の入力端とを接続するように制御される。
【0147】
また、レシーバ48には下位装置からのシリアルデータが入力される。受信部49は、レシーバ48から入力されるシリアルデータをパラレルデータに変換し、バッファ52に出力する。バッファ52は、入力されるパラレルデータを正しいパルス幅に修正してバッファリングし、上位装置に転送するデータをスイッチ202の一方の切替入力端に出力する。
【0148】
スイッチ202は、他方の切替入力端が送信部53の出力端に接続され、切替出力端がドライバ54の入力端に接続されている。すなわち、レシーバ48が受信した下位装置の送信データを上位装置に渡すときは、スイッチ202は、バッファ52の出力端とドライバ54の入力端とを接続し、自装置の送信データを上位装置に渡すときは、スイッチ202は、送信部53の出力端とドライバ54の入力端とを接続するように制御される。
【0149】
同期パターン抽出部40は、受信部36にてパラレルに変換されたデータの中に含まれる同期信号を抽出し、同期信号を生成する。生成した同期信号は、通信周期Pカウンタ199,200に送られる。通信周期Pカウンタ199,200は、入力される同期信号に基づきネットワークの基準となる通信周期Pおよび送信タイミング信号を生成する。これによって、数値制御装置11との同期が取られるようになる。
【0150】
通信周期Pカウンタ199にて生成された通信周期Pおよび送信タイミング信号は、送信部38に送られる。送信部38は、通信周期Pカウンタ199から与えられる送信タイミング信号によって通信周期Pを時分割した所定のタイミングにて下位装置向けの送信データをスイッチ198の他方の切替入力端に送出する。
【0151】
一方、メモリ201には、各制御装置間での遅延による通信周期のずれに対する送信タイミング補正量が格納されている。これは、システムの立ち上げ時などでの測定値に基づき設定されている。通信周期Pカウンタ200は、入力される同期信号に基づきネットワークの基準となる通信周期Pおよび送信タイミング信号を生成する際に、メモリ201から送信タイミング補正量を取り出し、生成する送信タイミング信号を所定のタイミングから進遅させる操作を行うようになっている。送信部53は、通信周期Pカウンタ200から与えられる送信タイミング信号によって通信周期Pを時分割した所定のタイミングにて上位装置向けの送信データをスイッチ202の他方の切替入力端に送出する。
【0152】
すなわち、数値制御装置193と制御装置194,195,196は、上記のように各々が持つ通信周期カウンタによって生成したタイミングに基づき通信周期Pを時分割してデータを送信する。したがって、数値制御装置193と制御装置194,195,196は、データの衝突が発生しない送信タイミングを一意に決定できる必要がある。そのため、制御装置194,195,196は、数値制御装置193から送信されるデータに含まれる同期パターンによって通信周期Pの同期を取るようにしている。
【0153】
しかし、転送路には通信媒体の遅延があり、制御装置194,195,196にはディジーチェーンバッファリングによる遅延や、通信ポートでの同期パターン抽出時での遅延などがある。そのため、数値制御装置193から送信されるデータは、上記の各種遅延の影響を受けるので、制御装置194,195,196では、通信周期にずれが生ずる。
【0154】
この制御装置194,195,196間の通信周期の遅延量は、システムが一度構成されると測定が可能である。したがって、数値制御装置193への送信タイミングの補正量も予めメモリ201に格納して用意することができる。以下図22を参照して、送信タイミングの補正操作を具体的に説明する。図22は、図20に示す数値制御システムにて行われる通信周期の遅延量によって送信タイミングを補正する動作を説明するタイムチャートである。
【0155】
図22において、通信周期501,601,701は、それぞれ制御装置194,195,196内でカウントされる通信周期である。通信周期601は、通信周期501に対し時間d1だけ遅れている。通信周期701は、通信周期501に対し時間d2だけ遅れている。また、通信周期701は、通信周期601に対しては時間d23だけ遅れている。
【0156】
ここで、数値制御装置193は、通信周期Pの基準点から制御装置194,195,196にデータを送信する。制御装置194は、通信周期Pの基準点から時間1/2P経過した後に数値制御装置193にデータを送信する。制御装置195は、通信周期Pの基準点から時間1/4P経過した後に数値制御装置193にデータを送信する。制御装置196は、通信周期Pの基準点から数値制御装置193にデータを送信するものとする。
【0157】
各制御装置の送信タイミングは、各制御装置内でカウントされた通信周期Pを基準にしたものであるが、前述のように同期パターンを含むデータの遅延により通信周期が各々ずれている。そこで、各制御装置における基準となる通信周期Pに対する遅延値を測定し、それに対する補正量(送信タイミング補正量)を内部メモリに設定する。
【0158】
設定する補正量は、遅延値の2倍の値を設定すればよい。すなわち、制御装置195では補正量d1×2を設定し、制御装置196では補正量d2×2を設定する。その結果、制御装置195からは送信タイミングを補正しデータ603が送信され、制御装置196からは送信タイミングを補正したデータ703が送信される。
【0159】
このように、実施の形態3によれば、数値制御装置に対し複数の制御装置がディジーチェーン接続される場合に、各制御装置が送信タイミングを転送遅延値に基づき補正するようにしたので、データを衝突させることなく確実に送信することができる。また、衝突を防ぐために送信タイミング間に余分な空き時間を作る必要がないので、データを効率よく送信することが可能となる。
【0160】
実施の形態4.
この発明の実施の形態4では、実施の形態1(図1,図11)または実施の形態2(図12,図19)において、1つの転送路上に配置される複数の装置における最上位装置以下の各装置が最上位装置にデータ送信を行う場合のデータ衝突を回避する方法として接続順に送信する場合の構成例が示されている。したがって、説明の便宜から、システム構成として実施の形態3(図20)を援用する。また、複数の制御装置は、図21と同様構成の通信ポートを備えている。
【0161】
装置の接続順序は、システム構築時には既知であるが、システム構築の際に何らかの人的誤りによって数値制御装置に設定した接続順番と各制御装置に設定した接続順番とを誤る場合がある。かかる場合には、接続順序に従った通信ができなくなる。そこで、この実施の形態4では、人的過ちを防止する観点から、初期手順として、図23に示す処理を実施して接続順序を調べることにしている。図23は、この発明の実施の形態4である数値制御システムにて行われる送信順序を決定する動作を説明するフローチャートである。
【0162】
図23に示す処理を実施する初期通信時には、制御装置194,195,196の通信ポートでは、図21において、スイッチ198は、送信部38とドライバ39とを接続するように設定されており、数値制御装置193からのデータが下位装置に流れないようになっている。
【0163】
この状態で数値制御装置193は、通信線先頭の1局目への問い合せを行うため、局番号nに「1」を設定し(ステップST11)、1局目の装置の種別を問い合わせる要求データを送信し(ステップST12)、装置種別の回答受信を待機する(ステップST13)。
【0164】
数値制御装置193は、制御装置194から装置種別の回答を受信すると(ステップST13:Yes)、1局目に接続されている装置が制御装置194であることを認識し、ステップST14に進む。このとき、制御装置194は、1局目に対する問い合せを受けるので、自装置が1局目の装置であることを同時に認識することができる。
【0165】
なお、数値制御装置193は、装置種別の問い合わせ送信後、一定時間応答が得られない場合には(ステップST13:No)、ステップST12に戻り、再度、1局目の装置の種別を問い合わせる要求データを送信する。この再度の要求を所定回数行っても回答がないときは、ステップST16に進むようになっている。
【0166】
次に、ステップST14では、数値制御装置193は、認識できた1局目の装置(制御装置194)に対し、スイッチ198の接続をバッファ37とドライバ39との接続に切り替え、スイッチ201の接続をバッファ52とドライバ54との接続に切り替える要求データを送信する。1局目の装置(制御装置194)は、指示に従いスイッチ198,201の接続切り替えを行い、スイッチ切替が完了したことを数値制御装置193に通知する(ステップST15:Yes)。
【0167】
なお、この場合も、数値制御装置193は、スイッチ切換要求の送信後、一定時間応答が得られない場合には(ステップST15:No)、ステップST14に戻り、再度、1局目の装置(制御装置194)に対し、スイッチ切換要求を送信するが、スイッチ切替完了通知は必ず送られてくる。
【0168】
数値制御装置193は、1局目の装置(制御装置194)からスイッチ切替完了通知を受信すると(ステップST15:Yes)、局番号を1つ歩進し、すなわち、n=n+1とし(ステップST16)、歩進した局番号「n=n+1」と接続装置数(図20の例では、接続装置数=3)との大小関係を比較する(ステップST17)。その結果、歩進した局番号「n=n+1」が接続装置数以内であるときは(ステップST17:No)、ステップST12に戻り、2局目以降の接続装置の確認を繰り返す(ステップST12〜ST17)。
【0169】
これによって、数値制御装置193は、制御装置194,195,196の接続順序を認識し、また制御装置194,195,196では、自装置の接続順序を認識する、すなわち、自装置の接続順序による送信順位を認識することができる。
【0170】
次に、図24を参照して、制御装置194,195,196の送信動作を説明する。なお、図24は、決定された送信順序によって送信タイミングを補正する動作を説明するタイムチャートである。上記したように、制御装置194,195,196は、図21と同様構成の通信ポートを備え、メモリ201には、送信タイミング補正量が格納されている。
【0171】
図24において、通信周期511,611,711は、それぞれ制御装置194,195,196内でカウントされる通信周期である。通信周期611は、通信周期511に対し時間d1だけ遅れている。通信周期711は、通信周期511に対し時間d2だけ遅れている。この点は、図22に示した場合と同様である。
【0172】
この実施の形態4では、制御装置194,195,196は、数値制御装置193を先頭としたとき、通信線の接続順序に従い順次数値制御装置193にデータを送信していく。制御装置194は、通信周期Pの基準から数値制御装置193にデータを送信する。制御装置195は、通信周期Pの基準点から時間1/4P経過した後に数値制御装置193にデータを送信する。制御装置196は、通信周期Pの基準点から時間1/2P経過した後に数値制御装置193にデータを送信する。
【0173】
このように制御装置194,195,196がそれぞれ通信線の接続順にデータを送信すると、制御装置194,195,196のそれぞれが送信タイミングを補正しなくても各送信データが干渉することはない。しかし、このままでは、データとデータの間隔が無駄にあいてしまう。また、接続の先頭に位置する制御装置194が最終端に位置する制御装置196から送信されたデータを受け取る時間が非常に遅くなり、通信周期の最後に空き時間がないと次のデータが次の通信周期に跨ってしまい、上記の実施の形態3と同様になってしまう。
【0174】
すなわち、上記の実施の形態3では、最終端に接続された制御装置196は、通信周期の遅れを補正するために現在の通信周期よりも前の通信周期に送信タイミングを補正するようにしている。通信周期を跨ぐデータの送受信は通信ポートの回路構成を複雑にするという難点がある。
【0175】
そこで、この実施の形態4では、制御装置195のメモリ201には、送信タイミング補正量として時間d1×2を設定し、制御装置196のメモリ201には、送信タイミング補正量として時間d2×2を設定し、それぞれ所定の送信タイミングよりも早いタイミングでデータ613,713を送信できるようにしている。
【0176】
その結果、データとデータの間を最適値にすることができる。また、最終端に位置する制御装置196では、送信タイミングが現在の通信周期内となるので、送信データが通信周期を跨らないようにすることが可能となり、回路構成の複雑化を回避することが可能となる。
【0177】
実施の形態5.
この発明の実施の形態5では、実施の形態1(図1,図11)または実施の形態2(図12,図19)において、1つの転送路上に配置される複数の装置が転送路でのデータの衝突回避や転送効率を上げるために必要となる転送路の伝達遅延を測定する構成例が示されている。したがって、説明の便宜から、システム構成として実施の形態3(図20)を援用する。
【0178】
また、複数の制御装置の通信ポートは、例えば図25に示すように構成される。図25は、この発明の実施の形態5である数値制御システムにおける制御装置の通信ポートの構成を示すブロック図である。なお、図25では、図21に示した構成と同一ないしは同等である構成部分には、同一に符号が付されている。ここでは、この実施の形態5に関わる部分を中心に説明する。
【0179】
図25に示すように、図21に示した2路のスイッチ201に代えて、3路のスイッチ205が設けられている。スイッチ205は、自装置のデータを上位装置に送信する場合に送信部53とドライバ54とを接続し、下位装置からのデータを上位装置に送信する場合にバッファ52とドライバ54とを接続するのに加え、上位装置からのデータを上位装置にループバック送信する場合に、レシーバ35の出力とドライバ54の入力とを接続することを行う。
【0180】
また、数値制御装置と複数の制御装置とは、通信ポートの一部として、例えば図26に示すような遅延測定回路を備えている。図26は、各装置の通信ポートに設けられる遅延測定回路の構成を示すブロック図である。
【0181】
図26に示す遅延測定回路210は、送信回路212が、図示しないCPU等からの送信起動によって発生する送信起動信号211を受けて測定データを発生する。この測定データは、ドライバ213から下位装置に向けて送信される。このとき、カウンタ217が送信起動信号211を受けてカウント動作を開始する。また、下位装置から送られてきた測定データは、レシーバ214から受信回路215に入力する。受信回路215は、測定データの受信を確認すると、停止信号216を出力する。カウンタ217は、停止信号216によってカウント動作を停止する。図示しないCPU等は停止信号216を受けて測定完了を確認し、カウンタ217のカウント値を取り込み、遅延時間を求める。
【0182】
次に、図27〜図29を参照して、測定例を説明する。なお、図27は、2つの装置間で遅延測定を行う場合の構成例である。図28は、複数の装置を跨いで遅延測定を行う場合の構成例である。図29は、各装置が下位の装置に対して遅延測定を行う場合の構成例である。
【0183】
図27において、数値制御装置193は、図26に示した遅延測定回路210を備え、制御装置194は、図25に示した通信ポートを備えている。すなわち、制御装置194は、スイッチ205は、レシーバ35(222)の出力とドライバ54(223)の入力とを接続するよう切り替えられている。これによって、制御装置194は、上位装置(数値制御装置)から送られてきたデータをそのまま折り返して上位装置(数値制御装置)に送信する。
【0184】
数値制御装置193が送信起動信号211によって測定データを送信すると、測定データは、ドライバ221から制御装置194に送られ、レシーバ222、ドライバ223を経由して数値制御装置193のレシーバ224に到達し、遅延測定回路210の受信回路215に入力する。遅延測定回路210の受信回路215が測定データの受信を確認すると、カウンタ217がカウント動作を停止する。このときのカウント値を読み込むことによって、数値制御装置193と制御装置194との間のデータ伝達遅延を測定することができる。
【0185】
図28において、数値制御装置193は、図26に示した遅延測定回路210を備え、制御装置194,195は、図25に示した通信ポートを備えている。すなわち、制御装置194では、スイッチ198がレシーバ35(232)とドライバ39(233)とを接続し、スイッチ205がレシーバ48(236)とドライバ39(237)とを接続するように切り替えられている。これにより、制御装置194は、上位装置からの測定データは下位装置に通過させ、下位装置からの測定データは上位装置に通過させる。また、制御装置194は、スイッチ205は、レシーバ35(234)の出力とドライバ54(235)の入力とを接続するよう切り替えられている。
【0186】
数値制御装置193が送信起動信号211によって測定データを送信すると、測定データは、ドライバ231から制御装置194に送られ、レシーバ232、ドライバ233を経由して制御装置195に送られる。制御装置195では、測定データがレシーバ234、ドライバ235を経由して制御装置194に送られる。制御装置194では、測定データがレシーバ236、ドライバ237を経由して数値制御装置193のレシーバ238に到達し、遅延測定回路210の受信回路215に入力する。遅延測定回路210の受信回路215が測定データの受信を確認すると、カウンタ217がカウント動作を停止する。このときのカウント値を読み込むことによって、数値制御装置193と制御装置194,195との間を往復するデータ伝達遅延を測定することができる。
【0187】
複数の制御装置がディジーチェーン接続方式で接続されている場合、図27,図28の動作を繰り返すことによって、最上位制御装置(数値制御装置)から下位に存在する各制御装置の往復の伝達時間を下位装置毎に測定することができる。
【0188】
図29において、数値制御装置193と制御装置194は、図26に示した遅延測定回路210を備え、制御装置195は、図25に示した通信ポートを備えている。制御装置194,195は、スイッチ205は、レシーバ35(242,252)の出力とドライバ54(243,253)の入力とを接続するよう切り替えられている。これによって、制御装置194,195は、上位装置から送られてきたデータをそのまま折り返して上位装置に送信する。
【0189】
数値制御装置193が送信起動信号211によって測定データを送信すると、測定データは、ドライバ241から制御装置194に送られ、レシーバ242、ドライバ243を経由して数値制御装置193のレシーバ244に到達し、遅延測定回路210の受信回路215に入力する。遅延測定回路210の受信回路215が測定データの受信を確認すると、カウンタ217がカウント動作を停止する。このときのカウント値を読み込むことによって、数値制御装置193と制御装置194との間のデータ伝達遅延を測定することができる。
【0190】
また、制御装置194が送信起動信号211によって測定データを送信すると、測定データは、ドライバ251から制御装置195に送られ、レシーバ252、ドライバ253を経由して制御装置194のレシーバ254に到達し、遅延測定回路210の受信回路215に入力する。遅延測定回路210の受信回路215が測定データの受信を確認すると、カウンタ217がカウント動作を停止する。このときのカウント値を読み込むことによって、制御装置194と制御装置195との間のデータ伝達遅延を測定することができる。この方法によれば、遅延時間の測定にかかる時間を短縮することが可能となる。
【0191】
このように、実施の形態5によれば、装置間のケーブル長に起因する伝達遅延や、ディジーチェーン接続線や分配器をデータが経由するときに発生する伝達遅延は、ケーブル長やシステムの構成によって変わるが、それを測定することができるので、システム毎に最適な伝達遅延補正量を設定することが可能となる。また、各装置が隣接する下位装置との間での転送遅延を測定できるので、遅延時間の測定にかかる時間を短縮することが可能となる。
【0192】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、様々な制御装置で構成されるネットワークの複数個を、転送レート、通信周期の制御機能を持つ分配手段によってスター状に接続し、または、ディジーチェーン接続するので、数値制御装置が1つの通信ポートによって、様々な制御装置を制御することができる。このとき、分配手段が転送レート、通信周期の制御機能を持つので、各ネットワーク間の転送路の使用効率を上げることができ、また高速周期のデータと低速周期のデータとを並列に送信することが可能となる。さらに、転送遅延を測定する機能を付加することができるので、データの送信間隔を最小にする制御が行えるようになる。そして、各制御装置が送信タイミングを転送遅延値に基づき補正するようにしたので、データを衝突させることなく確実に送信することができる。また、衝突を防ぐために送信タイミング間に余分な空き時間を作る必要がないので、データを効率よく送信することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1である数値制御システムの構成を示すブロック図である。
【図2】 図1に示す分配器の構成を示すブロック図である。
【図3】 図1に示す分配器がデータの送信タイミングを制御する動作を説明するタイムチャートである。
【図4】 図1に示す数値制御装置の通信ポートの構成を示すブロック図である。
【図5】 図4に示す数値制御装置の通信ポートにて行われるシリアルデータの合成を説明するタイムチャートである。
【図6】 図1に示す制御装置の通信ポートの構成を示すブロック図である。
【図7】 図1に示す分配器の通信ポートの構成を示すブロック図である。
【図8】 図1に示す数値制御システムにて行われるデータの送受信を説明するタイムチャートである。
【図9】 工作機械の一般的な構成例を示す図である。
【図10】 図1に示す数値制御システムを図9に示す工作機械に適用した場合の構成例を示す図である。
【図11】 図1に示す数値制御システムの他の構成例(分配器の機能をネットワーク#1の最終端に位置する制御装置が持つ場合)を示す図である。
【図12】 この発明の実施の形態2である数値制御システムの構成を示すブロック図である。
【図13】 図12に示す分配器の構成を示すブロック図である。
【図14】 図12に示す分配器がデータの送信タイミングを制御する動作を説明するタイムチャートである。
【図15】 図12に示す数値制御装置にて行われるシリアルデータの合成を説明するタイムチャートである。
【図16】 図12に示す数値制御システムにて行われるデータの送受信を説明するタイムチャートである。
【図17】 図12に示す数値制御システムを図9に示す工作機械に適用した場合の構成を示す図である。
【図18】 図17に示す数値制御システムでの位置指令による制御を説明する制御系統図である。
【図19】 図12に示す数値制御システムの他の構成例(分配器の機能をネットワーク#1,#2の最終端に位置する制御装置が持つ場合)を示す図である。
【図20】 この発明の実施の形態3である数値制御システムの構成を示すブロック図である。
【図21】 図20に示す制御装置の通信ポートの構成を示すブロック図である。
【図22】 図20に示す数値制御システムにて行われる通信周期の遅延量によって送信タイミングを補正する動作を説明するタイムチャートである。
【図23】 この発明の実施の形態4である数値制御システムにて行われる送信順序を決定する動作を説明するフローチャートである。
【図24】 決定された送信順序によって送信タイミングを補正する動作を説明するタイムチャートである。
【図25】 この発明の実施の形態5である数値制御システムにおける制御装置の通信ポートの構成を示すブロック図である。
【図26】 各装置の通信ポートに設けられる遅延測定回路の構成を示すブロック図である。
【図27】 2つの装置間で遅延測定を行う場合の構成例を示す図である。
【図28】 複数の装置を跨いで遅延測定を行う場合の構成例を示す図である。
【図29】 各装置が下位の装置に対して遅延測定を行う場合の構成例を示す図である。
【符号の説明】
1 ネットワーク#1、2 ネットワーク#2、3 ネットワーク#3、4,170,171 分配器、11,193 数値制御装置、11〜14,21〜24,31〜33,194〜196 制御装置、210 遅延測定回路。
Claims (4)
- 少なくとも数値制御装置が配置される主ネットワークと、前記数値制御装置の指令を受けて制御動作を実施する1以上の制御装置が配置される1以上の従ネットワークとで構成され、転送レートと転送周期の一方または双方がネットワーク相互間で異なることがある数値制御システムにおいて、
前記主ネットワークに対して前記1以上の従ネットワークをスター状に接続する節点に、または、前記主ネットワークに対して前記1以上の従ネットワークをディジーチェーン接続方式で接続する節点に、ネットワーク間で異なる転送レート、通信周期を制御し、ネットワーク相互間での1本の通信線を介した複数のシリアルデータの送受信を実現する分配手段が設けられているとともに、
1つの転送路上に配置される複数の装置における最上位装置以下の各下位装置は、前記最上位装置に対し時分割で送信する送信タイミングを装置間の転送遅延値によって補正する手段、
を備えたことを特徴とする数値制御システム。 - 少なくとも数値制御装置が配置される主ネットワークと、前記数値制御装置の指令を受けて制御動作を実施する1以上の制御装置が配置される1以上の従ネットワークとで構成され、転送レートと転送周期の一方または双方がネットワーク相互間で異なることがある数値制御システムにおいて、
前記主ネットワークに対して前記1以上の従ネットワークをスター状に接続する節点に、または、前記主ネットワークに対して前記1以上の従ネットワークをディジーチェーン接続方式で接続する節点に、ネットワーク間で異なる転送レート、通信周期を制御し、ネットワーク相互間での1本の通信線を介した複数のシリアルデータの送受信を実現する分配手段が設けられているとともに、
1つの転送路上に配置される複数の装置における最上位装置は、初期通信時において各下位装置の接続順を検出し、各下位装置に対し自装置の接続順による送信順位を認識させる手段、を備え、
前記最上位装置以下の各下位装置は、前記最上位装置に対する送信タイミングを装置間の転送遅延値によって補正する手段、
を備えたことを特徴とする数値制御システム。 - 1つの転送路上に配置される複数の装置における最上位装置は、各下位装置との間の転送遅延を先頭の装置から順番に測定する手段、
を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の数値制御システム。 - 1つの転送路上に配置される複数の装置における各装置は、隣接する下位装置との間の転送遅延を測定する手段、
を備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の数値制御システム。
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