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JP4102085B2 - 燃料電池システム - Google Patents

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JP4102085B2
JP4102085B2 JP2002071556A JP2002071556A JP4102085B2 JP 4102085 B2 JP4102085 B2 JP 4102085B2 JP 2002071556 A JP2002071556 A JP 2002071556A JP 2002071556 A JP2002071556 A JP 2002071556A JP 4102085 B2 JP4102085 B2 JP 4102085B2
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Soken Inc
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Nippon Soken Inc
Toyota Motor Corp
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    • Y02E60/50Fuel cells

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料電池システムに関し、特に、燃料電池から排出される反応オフガスを処理するための技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池は、燃料ガスに含まれる水素ガスと酸化ガスに含まれる酸素ガスとを用いて、発電する。そして、燃料電池からは、使用済みの燃料ガス(燃料オフガス)と使用済みの酸化ガス(酸化オフガス)とが排出される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、燃料オフガスを含む反応オフガスは、通常、燃料電池における発電に寄与せずに排出された水素ガスを含んでいる。このため、反応オフガスを大気中に排出する場合には、反応オフガスに含まれる水素ガスを低減させることが好ましい。
【0004】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、燃料電池から排出された反応オフガスに含まれる水素ガスを低減させることのできる技術を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
上述の課題の少なくとも一部を解決するため、本発明の装置は、燃料電池システムであって、
燃料電池と、
前記燃料電池から排出される燃料オフガスを含む反応オフガスが通る反応オフガス通路と、
前記反応オフガス通路に設けられ、前記反応オフガスに含まれる水素ガスを処理するためのオフガス処理部と、
前記オフガス処理部における前記水素ガスの処理を制御するための制御部と、を備え、
前記オフガス処理部は、
前記水素ガスを低減させるための触媒体であって、触媒と前記触媒を担持する電気ヒータとを含む、前記触媒体と、
前記電気ヒータに電力を供給するための電力供給部と、
を備えることを特徴とする。
【0006】
この燃料電池システムでは、反応オフガス通路に水素ガスを処理するためのオフガス処理部が設けられている。制御部が電力供給部を制御して電気ヒータに電力を供給させると、電気ヒータが発熱し、触媒が加熱される。このとき、触媒温度が上昇して、触媒反応が促進される。この結果、燃料電池から排出された反応オフガスに含まれる水素ガスを低減させることが可能となる。また、電気ヒータが触媒を担持しているため、触媒温度を比較的短時間で上昇させることができ、この結果、反応オフガスに含まれる水素ガスを迅速に低減させることが可能となる。
【0007】
上記の装置において、
前記オフガス処理部は、さらに、
前記電気ヒータの温度を測定するためのヒータ温度測定部を備え、
前記制御部は、前記燃料電池システムの運転開始の際に、
ヒータ温度が所定温度以上である場合には、前記電気ヒータへの電力供給を実行させず、
前記ヒータ温度が前記所定温度よりも低い場合には、前記電気ヒータへの電力供給を開始させ、前記ヒータ温度が前記所定温度に達した後に前記電気ヒータへの電力供給を停止させることが好ましい。
【0008】
こうすれば、電力供給部は不要な電力を電気ヒータに供給せずに済むため、省電力化を図ることが可能となる。
【0009】
なお、所定温度は、例えば、触媒温度が活性温度以上となるような温度に設定可能である。ここで、活性温度とは、触媒反応が自立的に進行する温度を意味している。
【0010】
上記の装置において、さらに、
前記オフガス処理部への前記反応オフガスの流入の有無を制御するためのアクチュエータを備え、
前記制御部は、前記電気ヒータへの電力供給を停止させた後に、前記アクチュエータを制御して前記オフガス処理部への前記反応オフガスの流入を開始させることが好ましい。
【0011】
電気ヒータが電力供給を受けて発熱している期間に、反応オフガスがオフガス処理部に流入すると、反応オフガスの流れによって電気ヒータの熱が奪われてしまう。上記のようにすれば、反応オフガスの流れによって電気ヒータの熱が奪われないようにすることができ、この結果、省電力化を図ることが可能となる。
【0012】
あるいは、上記の装置において、さらに、
前記オフガス処理部への前記反応オフガスの流入の有無を制御するためのアクチュエータを備え、
前記制御部は、前記電気ヒータへの電力供給を停止させる前に、前記アクチュエータを制御して前記オフガス処理部への前記反応オフガスの流入を開始させるようにしてもよい。
【0013】
上記のようにすれば、電気ヒータへの電力供給と触媒反応による反応熱とによって、触媒体の温度を上昇させることができるため、触媒温度を比較的迅速に上昇させることができる。この結果、省電力化を図ることが可能となるとともに、水素ガスを迅速に処理することが可能となる。
【0014】
上記の装置において、
前記オフガス処理部は、さらに、
外気温度を測定するための外気温度測定部を備え、
前記制御部は、前記燃料電池システムの運転開始の際に、前記外気温度の測定結果に応じて選択された時間変化パターンに従って、前記電気ヒータへの電力供給を実行させるようにしてもよい。
【0015】
このようにしても、省電力化を図ることができる。すなわち、外気温度の測定結果に応じて選択された時間変化パターンに従って電気ヒータへの電力供給が実行されれば、電力供給部は、不要な電力を電気ヒータに供給せずに済む。
【0016】
上記の装置において、
前記触媒体は、前記反応オフガスの流れ方向に沿って配置された複数の部分触媒体を含み、
前記電気ヒータは、1つの前記部分触媒体に設けられていることが好ましい。
【0017】
こうすれば、電力供給部はすべての部分触媒体に電力を供給しなくて済むので、省電力化を図ることができる。
【0018】
上記の装置において、
前記電気ヒータは、前記複数の部分触媒体のうちの最上流側の前記部分触媒体に設けられていることが好ましい。
【0019】
触媒反応は、触媒体の上流側で急激に進行し、触媒体の下流側では緩やかに進行する。したがって、上記のようにすれば、電力供給部は、触媒反応が急激に進行する最上流側の部分触媒体のみに電力を供給することができ、この結果、電力を効率良く水素ガスの処理に利用することができる。
【0020】
あるいは、上記の装置において、
前記電気ヒータは、前記複数の部分触媒体のうちの最上流側以外の他の前記部分触媒体に設けられているようにしてもよい。
【0021】
燃料電池から排出される反応オフガスが水分を含む場合には、最上流側の部分触媒体は凝縮水によって湿った状態になり易い。湿った環境においては、触媒の機能は低下する。このため、仮に、電力供給部が最上流側の部分触媒体に電力を供給する場合には、最上流側の部分触媒体に存在する凝縮水を気化させるための熱量に相当する電力量が必要となる。しかしながら、上記のようにすれば、電力供給部は、凝縮水が存在する最上流側の部分触媒体に電力を供給せず、その後段の他の部分触媒体に電力を供給することができる。したがって、電力を効率良く水素ガスの処理に利用することができる。
【0022】
上記の装置において、
前記反応オフガス通路は、
前記燃料電池から排出される前記燃料オフガスが通る燃料オフガス通路と、
前記燃料電池から排出される前記酸化オフガスが通る酸化オフガス通路と、
前記燃料オフガス通路と前記酸化オフガス通路とが合流した合流オフガス通路と、
を備え、
前記オフガス処理部は、前記合流オフガス通路に設けられているようにしてもよい。
【0023】
こうすれば、オフガス処理部は、燃料オフガスに含まれる水素ガスを、酸化オフガスに含まれる酸素ガスを用いて、処理することができる。
【0024】
なお、本発明は、燃料電池システム、燃料電池システムを搭載した移動体などの装置、燃料電池システムにおける反応オフガスの処理方法、その方法または装置の機能を実現するためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した記録媒体、そのコンピュータプログラムを含み搬送波内に具現化されたデータ信号、等の種々の態様で実現することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を実施例に基づき以下の順序で説明する。
A.第1実施例:
A−1.燃料電池システムの構成:
A−2.反応オフガスの処理:
B.第2実施例:
C.第3実施例:
D.第4実施例:
E.第5実施例:
F.他の変形例:
【0026】
A.第1実施例:
A−1.燃料電池システムの構成:
図1は、第1実施例における燃料電池システムの概略構成を示す説明図である。なお、この燃料電池システムは、車両に搭載されている。
【0027】
図示するように、燃料電池システムは、燃料電池100と、燃料電池に燃料ガスを供給するための燃料ガス供給部200と、燃料電池に酸化ガスを供給するための酸化ガス供給部300と、燃料電池から排出される使用済みの燃料オフガスおよび酸化オフガスを処理するためのオフガス処理部400と、各部の動作を制御するための制御部600と、を備えている。
【0028】
燃料ガス供給部200と燃料電池100との間には、燃料電池に供給される燃料ガスが通る燃料ガス通路172が設けられており、燃料電池100とオフガス処理部400との間には、燃料電池から排出された燃料オフガスが通る燃料オフガス通路174が設けられている。なお、燃料ガス通路172と燃料オフガス通路174との間には、還流通路173が設けられている。また、酸化ガス供給部300と燃料電池100との間には、燃料電池に供給される酸化ガスが通る酸化ガス通路182が設けられており、燃料電池100とオフガス処理部400との間には、燃料電池から排出された酸化オフガスが通る酸化オフガス通路184が設けられている。なお、燃料オフガス通路174と酸化オフガス通路184とは、下流側において合流し、合流オフガス通路194を形成する。また、オフガス処理部400は、合流オフガス通路194の通路途中に設けられている。
【0029】
燃料電池100(図1)は、比較的小型で発電効率に優れる固体高分子型燃料電池である。図2は、図1に示す燃料電池100の内部構成を模式的に示す説明図である。図示するように、燃料電池100は、複数の単電池(単セル)110が積層されて形成されている。そして、各単セル間には、セパレータ120が配置されている。
【0030】
単セル110は、電解質膜112と、アノード(水素極)114aと、カソード(酸素極)114cと、を含んでおり、電解質膜112は、2つの電極114a,114cによって挟まれている。各セパレータ120は、隣接する一方の単セル内のアノード114aに接するとともに、他方の単セル内のカソード114cに接するように、配置されている。セパレータ120の両面には、複数の溝が形成されており、アノード114aとセパレータ120との間、および、カソード114cとセパレータ120との間には、それぞれ複数の小通路121,122が形成される。
【0031】
図2に示すアノード側通路121には、燃料ガス供給部200から水素ガスを含む燃料ガスが供給され、カソード側通路122には、酸化ガス供給部300から酸素ガスを含む酸化ガスが供給される。そして、以下に示す電気化学反応が進行する。
【0032】
2 → 2H+ + 2e- …(1)
(1/2)O2 + 2H+ + 2e- → H2O …(2)
2 +(1/2)O2 → H2O …(3)
【0033】
式(1)はアノード114aにおける反応を示しており、式(2)はカソード114cにおける反応を示している。そして、全体では、式(3)に示す反応が進行する。なお、カソード114cにおいて生成される水(水蒸気)は、「生成水」とも呼ばれる。
【0034】
燃料ガス供給部200(図1)は、水素ガスを含む燃料ガスを燃料電池100に供給する。燃料ガス供給部200は、水素タンク210と、減圧器212と、流量制御弁230と、ポンプ240と、を備えている。
【0035】
水素タンク210は、水素ガスを比較的高い圧力で貯蔵する。減圧器212は、水素タンクから供給された水素ガスを所定の圧力に減圧する。流量制御弁230は、燃料電池システムの運転期間中には、間欠的に開状態に設定され、運転停止期間中には閉状態に設定される。流量制御弁230が開状態に設定される場合には、燃料ガスは、燃料ガス通路172を介して、燃料電池100に供給される。
【0036】
燃料電池100から排出された燃料オフガスは、燃料オフガス通路174および合流オフガス通路194を通って、オフガス処理部400に供給される。燃料オフガス通路174には、燃料オフガスの流通を遮断するための遮断弁280が設けられている。遮断弁280は、燃料電池システムの運転期間中には、間欠的に開状態に設定され、運転停止期間中には閉状態に設定される。
【0037】
前述のように、燃料オフガス通路174と燃料ガス通路172との間の還流通路173には、ポンプ240が設けられている。ポンプ240は、燃料オフガス通路174内の燃料オフガスを、燃料ガスとして燃料ガス通路172内に戻す機能を有している。これにより、燃料ガスは、流量制御弁230と遮断弁280とで囲まれた環状通路内を還流する。このように燃料ガスを還流させることにより、燃料電池100内部に単位時間当たりに供給される水素ガス流量(mol/sec)を増大させることができ、この結果、燃料電池100における反応効率を向上させることができる。しかしながら、燃料電池100における電気化学反応が進むに連れて、環状通路内の燃料ガスに含まれる水素ガス量(mol)は低減する。また、燃料電池100内部の電解質膜112(図2)を介して、カソード側通路122内の酸化ガスに含まれる窒素ガスや水蒸気(生成水)などがアノード側通路121内の燃料ガス中に侵入する。このため、燃料ガス中の水素ガス濃度(体積百分率)は次第に低下する。そこで、本実施例では、流量制御弁230と遮断弁280とを間欠的に開状態に設定して、水素ガス濃度の高い燃料ガスを燃料電池100に供給すると同時に、水素ガス濃度の低い燃料オフガスを燃料電池100から排出する。
【0038】
酸化ガス供給部300(図1)は、ブロワ310を備えており、酸素ガスを含む酸化ガス(空気)を燃料電池100に供給する。
【0039】
燃料電池100から排出された酸化オフガスは、酸化オフガス通路184および合流オフガス通路194を通って、オフガス処理部400に供給される。
【0040】
オフガス処理部400(図1)は、燃料電池100から排出された反応オフガスに含まれる水素ガスを低減させた後に、反応オフガスを大気中に排出する。
【0041】
図3は、図1に示すオフガス処理部400の構成を模式的に示す説明図である。オフガス処理部400は、触媒体410と、電力供給部470と、温度測定部480と、を備えている。
【0042】
図4は、図3に示す触媒体410を示す斜視図である。触媒体410は、複数の波状の小通路を有する担体412を備えており、担体412上には、触媒が担持されている。図5は、図4に示す担体412の製造方法を示す説明図である。図示するように、担体としては、平板412aと波板412bとで構成されたシートが用いられる。シートは、その一端が軸部材412cに接合された後、軸部材を芯にして螺旋状に巻き付けられる。すなわち、担体412(図4)は、軸部材412cの周囲に平板412aおよび波板412bが交互に巻き付けられたロール構造を有している。隣接する平板412a同士の間隔は、波板412bによってほぼ一定の間隔に保たれており、平板412aと波板412bとの間には、軸部材412cの軸方向に沿って複数の波状の小通路が形成される。担体412が準備された後、担体412上に触媒が担持される。
【0043】
なお、平板412aおよび波板412bとしては、例えば、ステンレス鋼などの金属材料を用いることができる。ただし、波板412bには予め表面処理が施され、波板412bの表面には絶縁膜(酸化皮膜)が形成されている。また、触媒は、例えば、活性成分とアルミナとを含む溶液中に担体412を含浸させることによって、担体412上に設けられる。活性成分としては、例えば、PtやPdなどの貴金属を用いることができる。
【0044】
触媒体410は、反応オフガスに含まれる水素ガスを低減させる機能を有している。具体的には、担体412に担持された触媒は、触媒反応(触媒燃焼)によって、燃料オフガスに含まれる水素ガスを、酸化オフガスに含まれる酸素ガスを用いて、酸化(燃焼)させることにより、水素ガスを低減させる。なお、触媒反応によって、水蒸気が生成される。
【0045】
電力供給部470(図3)は、電源472とスイッチ474とを備えている。電力供給部470は、触媒体410の担体412に接続されている。具体的には、電力供給部470の正極と負極とは、担体412の中央部分(軸部材412c)と担体412の周辺部分(平板412a)とにそれぞれ接続されている。したがって、スイッチ474がON状態の場合には、電源472からの電流は、軸部材412cと平板412aとを螺旋状に流れる。このとき、担体412は、発熱して、担持する触媒を加熱する。この結果、触媒温度が上昇する。この説明からも分かるように、触媒体410は、触媒と、触媒を担持する電気ヒータ(担体)412と、を備える電気加熱型触媒(EHC)である。
【0046】
なお、触媒を加熱することにより、比較的短時間で触媒温度を上昇させることができる。触媒温度が活性温度以上になると、触媒反応が著しく促進される。ここで、「活性温度」とは、触媒反応が自立的に進行する温度を意味する。
【0047】
従来では、触媒温度を活性温度以上とするために、バーナなどの加熱器を用いて、触媒体に供給されるガスの温度を上昇させていた。そして、ガスと触媒との間の熱交換によって、触媒温度は、活性温度以上に高められていた。しかしながら、ガスと触媒との間の熱伝達率は低い。そこで、本実施例では、金属製の担体(電気ヒータ)を用いて、電気ヒータに担持された触媒の温度を上昇させている。このようにすれば、触媒温度を比較的短時間で上昇させることができるとともに、比較的少ない熱量(換言すれば、比較的少ない電力量)で触媒温度を活性温度以上に上昇させることができる。
【0048】
温度測定部480(図3)は、そのプローブが電気ヒータ(担体)412に接触しており、ヒータ温度を測定する。なお、電気ヒータ412と触媒との間の熱伝導率は比較的高いため、ヒータ温度と触媒温度とはほぼ同じであると考えられる。すなわち、温度測定部480は、ヒータ温度を測定することにより、触媒温度を間接的に測定している。
【0049】
制御部600(図1)は、オフガス処理部400における水素ガスの処理を制御する。すなわち、制御部600は、電力供給部470(具体的には、スイッチ474)と温度測定部480とに接続されており、温度測定部480で得られたヒータ温度の測定結果に応じて、スイッチ474のON/OFF状態を制御する。これにより、制御部600は、電力供給部470を制御して電気ヒータ412に電力を供給させることができる。また、制御部600は、遮断弁280とブロワ310とに接続されており、オフガス処理部400への反応オフガスの流入の有無を制御する。具体的には、制御部600は、遮断弁280の開閉動作を制御することによって、オフガス処理部400への燃料オフガスの流入の有無を制御し、ブロワ310の動作を制御することによって、オフガス処理部400への酸化オフガスの流入の有無を制御する。この説明から分かるように、本実施例の遮断弁280とブロワ310とが本発明におけるアクチュエータに相当する。
【0050】
なお、以下では、電気ヒータ(担体)412を単に「ヒータ」とも呼ぶ。
【0051】
A−2.反応オフガスの処理:
図6は、燃料電池システムの運転開始の際の状態変化を模式的に示す説明図である。図6(A)は、ヒータ412に供給される電力Wの変化を示しており、図6(B)は、ヒータ温度Tの変化、すなわち、触媒温度の変化を示している。また、図6(C)は、オフガス処理部400に流入する反応オフガスの流量Qを示している。なお、図6(C)において、実線は、燃料オフガスと酸化オフガスとの合計流量を示しており、破線は、燃料オフガスの流量を示している。以下では、図6を参照しつつ、制御部600によるオフガス処理部400における水素ガスの処理の制御について説明する。
【0052】
燃料電池システムの運転開始の際には、制御部600は、まず、温度測定部480で得られた測定結果を用いて、ヒータ温度Tが所定温度Ta以上であるか否かを判断する。本実施例において、所定温度Taは、触媒の活性温度とほぼ等しい温度(例えば、約50〜約60℃)に設定されている。ヒータ温度Tが所定温度Taよりも低い場合には、制御部600は、電力供給部470を制御してヒータ412への電力供給を開始させる。なお、ヒータ412への電力供給は、ヒータ温度Tが所定温度Taに達するまで行われる。
【0053】
図6(B)に示すように、運転開始時において、ヒータ温度Tは所定温度Taよりも低い。このため、図6(A)に示すように、時刻t1において、ヒータ412への電力供給が開始される。この後、図6(B)に示すように、ヒータ温度Tは次第に上昇する。そして、時刻t2においてヒータ温度Tが所定温度Taに達する。このとき、図6(A)に示すように、ヒータ412への電力供給が停止される。なお、図6(C)に示すように、時刻t2以前には、オフガス処理部400に反応オフガスは流入していない。これは、反応オフガスの流れによって、ヒータ412の熱が奪われるのを防ぐためである。このようにすれば、電力を効率良くヒータ温度の上昇(触媒温度の上昇)に利用することができる。
【0054】
ヒータ温度Tが所定温度Taに達すると、パージ処理が行われる。具体的には、制御部600は、流量制御弁230と遮断弁280とを所定期間だけ開状態に設定する。このとき、燃料電池100内に水素ガス濃度の高い燃料ガスが供給されるとともに、燃料電池100内に残留していた水素ガス濃度の低いガスが燃料オフガスとして排出される。また、制御部600は、ブロワ310を動作させる。このとき、燃料電池100内に酸化ガスが供給されるとともに、燃料電池100内に残留していたガスが酸化オフガスとして排出される。なお、パージ処理により、運転停止期間中にアノード側通路121およびカソード側通路122内で凝縮した凝縮水を排出することもできる。
【0055】
図6(B)に示すように、時刻t2においてヒータ温度Tが所定温度Taに達すると、図6(C)に示すように、燃料オフガスと酸化オフガスとを含む反応オフガスがオフガス処理部400に供給される。そして、時刻t2から所定期間経過後の時刻t3において、燃料オフガスのオフガス処理部400への供給は停止される。ただし、酸化オフガスのオフガス処理部400への供給は継続する。
【0056】
時刻t2〜時刻t3において、オフガス処理部400内の触媒体410は、触媒反応によって、反応オフガスに含まれる水素ガスを低減させる。この触媒反応は発熱を伴うため、図6(B)に示すように、ヒータ温度Tは所定温度Taよりも高くなる。このように、時刻t2〜時刻t3において、ヒータ温度Tは所定温度Ta以上に保たれるので、触媒体410は、反応オフガスに含まれる水素ガスを効率良く低減させることができる。
【0057】
時刻t3においてパージ処理が終了すると、燃料電池システムは、通常の運転を行う。具体的には、制御部600は、流量制御弁230と遮断弁280とを、間欠的に所定期間だけ開状態に設定するとともに、ブロワ310の動作を継続させる。このとき、図6(C)に示すように、オフガス処理部400には、酸化オフガスが常に流入し、燃料オフガスが間欠的に流入する。なお、流量制御弁230と遮断弁280とが開状態に設定される周期は、例えば、約10分であり、開状態に設定される期間は、例えば、数秒間である。
【0058】
燃料オフガスがオフガス処理部400に流入しない期間には、酸化ガスの流れによって触媒体410の熱が奪われる。このため、図6(B)に示すように、ヒータ温度Tは徐々に低下する。ただし、燃料電池100から排出される酸化オフガスの温度は比較的高い(例えば、約70℃)ため、ヒータ温度Tの低下は比較的少ない。この結果、図6(B)に示すように、通常運転の際には、ヒータ温度Tは、常に、所定温度Ta以上に維持される。このため、本実施例では、図6(A)に示すように、ヒータへの電力供給は、運転開始の際だけに実行されている。一方、燃料オフガスがオフガス処理部400に流入する期間には、ヒータ温度Tは触媒反応によって再度上昇する。
【0059】
なお、図6では、燃料電池システムの運転開始時に、ヒータ温度Tが所定温度Taよりも低いため、ヒータ412への電力供給が実行されているが、ヒータ温度Tが所定温度Ta以上である場合には、ヒータ412への電力供給は実行されない。この場合には、直ちに、パージ処理が実行される。
【0060】
上記のように、本実施例においては、制御部600は、ヒータ温度Tが所定温度Taよりも低い場合には、ヒータ412への電力供給を開始させることによって、触媒温度を比較的短時間で活性温度以上に上昇させる。また、制御部600は、ヒータ温度Tが所定温度Taに達した後に、ヒータ412への電力供給を停止させる。そして、制御部は、ヒータ412への電力供給を停止させた後に、遮断弁280とブロワ310とを制御して、オフガス処理部400への反応オフガスの流入を開始させる。このようにすれば、反応オフガスの流れによってヒータの熱が奪われないようにすることができるため、電力供給部470からヒータ412への電力供給量を低減させることができ、この結果、さらに省電力化を図ることが可能となる。
【0061】
なお、図6では、燃料電池システムの通常運転の際には、ヒータ温度Tは、常に、所定温度Ta以上に維持されているため、ヒータへの電力供給は実行されていない。しかしながら、ヒータ温度Tが所定温度Taよりも低くなる場合には、燃料オフガスがオフガス処理部400に流入する前にヒータ412に電力を供給し、ヒータ温度Tを所定温度Ta以上に上昇させることが好ましい。
【0062】
また、燃料電池システムの通常運転の際には、前述の式(2)から分かるように、酸化オフガスは、燃料電池100で発生した水蒸気(生成水)を含んでいる。水蒸気は、触媒体410上で凝縮し得る。湿った環境においては、触媒の機能は低下する。したがって、このような場合には、燃料オフガスがオフガス処理部400に流入する前にヒータに電力を供給し、ヒータ温度Tを凝縮水が蒸発するような温度(例えば、約100〜約110℃)以上に上昇させることが好ましい。こうすれば、酸化オフガス中に水蒸気が含まれる場合にも、水素ガスを確実に低減させることが可能となる。
【0063】
以上説明したように、本実施例の燃料電池システムは、燃料電池100と、燃料電池から排出される燃料オフガスを含む反応オフガスが通る反応オフガス通路174,194と、反応オフガス通路194に設けられ、反応オフガスに含まれる水素ガスを処理するためのオフガス処理部400と、オフガス処理部における水素ガスの処理を制御するための制御部600と、を備えている。そして、オフガス処理部400は、触媒と触媒を担持する電気ヒータ412とを含む触媒体410と、電気ヒータに電力を供給するための電力供給部470と、を備えている。本実施例の構成を採用すれば、燃料電池100から排出された反応オフガスに含まれる水素ガスを低減させることが可能となる。また、電気ヒータ412が触媒を担持しているため、触媒温度を比較的短時間で上昇させることができ、この結果、反応オフガスに含まれる水素ガスを迅速に低減させることが可能となる。
【0064】
また、本実施例では、制御部600は、燃料電池システムの運転開始の際に、ヒータ温度Tが所定温度Ta以上である場合には、電気ヒータ412への電力供給を実行させず、ヒータ温度Tが所定温度Taよりも低い場合には、電気ヒータ412への電力供給を開始させ、ヒータ温度Tが所定温度Taに達した後に電気ヒータ412への電力供給を停止させている。こうすれば、電力供給部470は不要な電力を電気ヒータ412に供給せずに済むため、省電力化を図ることが可能となる。
【0065】
B.第2実施例:
第1実施例において、オフガス処理部400(図3)における触媒反応は、触媒体410の上流側で急激に進行しており、触媒体410の下流側では緩やかに進行している。本実施例では、この特徴を考慮して、オフガス処理部の構成を工夫している。
【0066】
図7は、第2実施例におけるオフガス処理部の第1の例を示す説明図である。このオフガス処理部400B1は、第1実施例(図3)のオフガス処理部400とほぼ同じであるが、触媒体420が変更されている。具体的には、触媒体420は、反応オフガスの流れ方向に沿って配置された2つの部分触媒体420a,420bを含んでいる。各部分触媒体420a,420bは、第1実施例の触媒体410と同様に、触媒と、触媒を担持する担体と、を含んでいる。ただし、第1の部分触媒体420aの担体のみが、電気ヒータとして機能する。すなわち、電力供給部470と温度測定部480とは、第1の部分触媒体420aのみに対応して設けられている。
【0067】
このオフガス処理部400B1を採用する場合にも、燃料電池システムの運転開始の際には、第1実施例と同様の処理が実行される。すなわち、電力供給部470からの電力供給によって、第1の部分触媒体420aのヒータ(担体)の温度が所定温度に達する。このとき、第2の部分触媒体420bの担体の温度は、所定温度よりも低い。次に、反応オフガスがオフガス処理部400B1に流入する。このとき、第1の部分触媒体420aにおいて触媒反応が進行する。その後、第1の部分触媒体420aで発生した熱と、第1の部分触媒体420aにおいて加熱された反応オフガスとが、第2の部分触媒体420bの温度を上昇させる。このようにして、2つの部分触媒体420a,420bの触媒温度は、活性温度以上となる。
【0068】
上記の構成を採用すれば、電力供給部470は、触媒反応が急激に進行する第1の部分触媒体420aのみに電力を供給することができるため、電力を効率良く水素ガスの処理に利用することができる。
【0069】
なお、図7では、第1の部分触媒体420aのサイズは第1実施例の触媒体410のサイズよりも小さいため、第1の部分触媒体420aの熱容量は比較的小さい。このため、電力供給部470は、比較的小さな熱量(電力量)で、かつ、比較的短時間で、第1の部分触媒体420aのヒータ温度を所定温度まで上昇させることができる。
【0070】
また、図7では、金属製の2つの部分触媒体420a,420bは、所定の間隙を介して配置されている。このように、2つの部分触媒体を非接触状態で配置することにより、2つの部分触媒体の間の熱伝達率が低くなる。このため、電力供給部470は、第1の部分触媒体420aのヒータ温度を効率良く上昇させることができる。
【0071】
図8は、第2実施例におけるオフガス処理部の第2の例を示す説明図である。このオフガス処理部400B2は、図7に示すオフガス処理部400B1とほぼ同じであるが、触媒体430が変更されている。具体的には、触媒体430は、反応オフガスの流れ方向に沿って配置された3つの部分触媒体430a,430b,430cを含んでいる。ただし、第1の部分触媒体420aの担体のみが、電気ヒータとして機能する。すなわち、電力供給部470と温度測定部480とは、中間位置に配置された第2の部分触媒体430bのみに対応して設けられている。
【0072】
第1実施例で説明したように、燃料電池システムの運転開始時および通常運転時において、オフガス処理部に流入する反応オフガスには、水分(水または水蒸気)が含まれている。このため、触媒体の上流側付近は、凝縮水によって湿った状態になり易い。図7に示すように、電力供給部470が最上流側の第1の部分触媒体420aに電力を供給する場合には、電力供給部470は、凝縮水を気化させるための熱量に相当する電力量を第1の部分触媒体420aに与える必要がある。しかしながら、凝縮水を気化させるために必要な熱量は比較的大きい。そこで、図8では、電力供給部470は、最上流側の第1の部分触媒体430aに電力を供給せず、その下流側の第2の部分触媒体430bのみに電力を供給している。
【0073】
このオフガス処理部400B2を採用する場合にも、燃料電池システムの運転開始の際には、第1実施例と同様の処理が実行される。すなわち、電力供給部470からの電力供給によって、第2の部分触媒体430bのヒータ(担体)の温度が所定温度に達する。このとき、第1および第3の部分触媒体430a,430cの担体の温度は、所定温度よりも低い。次に、反応オフガスがオフガス処理部400B2に流入する。このとき、反応オフガスに含まれる水分によって、第1の部分触媒体430aが湿った状態となる。そして、第2の部分触媒体430bにおいて触媒反応が進行する。その後、第2の部分触媒体430bで発生した熱は、第1の部分触媒体430aの温度を上昇させる。また、第2の部分触媒体430bで発生した熱と、第2の部分触媒体430bにおいて加熱された反応オフガスとが、第3の部分触媒体430cの温度を上昇させる。このようにして、3つの部分触媒体430a,430b,430cの触媒温度は、活性温度以上となる。
【0074】
上記の構成を採用すれば、電力供給部470は、凝縮水が存在する最上流側の第1の部分触媒体430aに電力を供給せず、その後段の第2の部分触媒体430bのみに電力を供給することができるため、電力を効率良く水素ガスの処理に利用することができる。
【0075】
以上説明したように、本実施例(図7,図8)では、オフガス処理部に設けられた触媒体は、反応オフガスの流れ方向に沿って配置された複数の部分触媒体を含んでおり、触媒を担持する電気ヒータは、1つの部分触媒体に設けられている。こうすれば、電力供給部はすべての部分触媒体に電力を供給しなくて済むので、省電力化を図ることが可能となる。
【0076】
C.第3実施例:
図9は、第3実施例における燃料電池システムの運転開始の際の状態変化を模式的に示す説明図である。図9(A)〜図9(C)は、図6(A)〜図6(C)とほぼ同じであるが、オフガス処理部400への反応オフガスの流入開始タイミングが変更されている。
【0077】
燃料電池システムの運転開始の際には、制御部600は、まず、温度測定部480で得られた測定結果を用いて、ヒータ温度Tが第1の所定温度Ta以上であるか否かを判断する。本実施例において、第1の所定温度Taは、触媒の活性温度とほぼ等しい温度(例えば、約50〜約60℃)に設定されている。ヒータ温度Tが第1の所定温度Taよりも低い場合には、制御部600は、電力供給部470を制御してヒータ412への電力供給を開始させる。なお、ヒータ412への電力供給は、ヒータ温度Tが第1の所定温度Taに達するまで行われる。
【0078】
また、制御部600は、温度測定部480で得られた測定結果を用いて、ヒータ温度Tが第2の所定温度Tb以上であるか否かを判断する。ここで、第2の所定温度Tbは、第1の所定温度Taよりも低いが、第1の所定温度Taに比較的近い温度に設定される。本実施例では、第2の所定温度Tbは、第1の所定温度Taの約70〜約80%の温度(例えば、約40〜約50℃)に設定されている。ヒータ温度Tが第2の所定温度Tbに達すると、パージ処理が行われる。
【0079】
図9(B)に示すように、運転開始時において、ヒータ温度Tは所定温度Taよりも低い。このため、図9(A)に示すように、時刻t1において、ヒータ412への電力供給が開始される。この後、図9(B)に示すように、ヒータ温度Tは次第に上昇する。時刻t21においてヒータ温度Tが第2の所定温度Tbに達すると、図9(C)に示すように、燃料オフガスと酸化オフガスとを含む反応オフガスがオフガス処理部400に供給される。オフガス処理部400内の触媒体410は、触媒反応によって、反応オフガスに含まれる水素ガスを低減させる。この触媒反応は、発熱を伴うため、図9(B)に示すように、時刻t22において、ヒータ温度Tは第1の所定温度Taに達する。このとき、図9(A)に示すように、ヒータ412への電力供給が停止される。そして、時刻t21から所定期間経過後の時刻t31において、燃料オフガスのオフガス処理部400への供給は停止される。時刻t22〜時刻t31において、ヒータ温度Tは第1の所定温度Ta以上に保たれるので、触媒体410は、反応オフガスに含まれる水素ガスを効率良く低減させることができる。そして、時刻t31においてパージ処理が終了すると、燃料電池システムは、通常の運転を行う。
【0080】
上記のように、本実施例においては、制御部600は、ヒータ温度Tが第1の所定温度Taよりも低い場合には、ヒータ412への電力供給を開始させる。また、制御部600は、ヒータ412への電力供給を停止させる前に、遮断弁280とブロワ310とを制御して、オフガス処理部400への反応オフガスの流入を開始させることによって、触媒温度を比較的短時間で活性温度以上に上昇させる。そして、制御部600は、ヒータ温度Tが所定温度Taに達した後に、ヒータ412への電力供給を停止させる。この結果、図9(A)に示すように、本実施例における電力供給時間(t22−t1)は、第1実施例における電力供給時間(t2−t1)よりも短くなっている。すなわち、本実施例では、ヒータへの電力供給と触媒反応による反応熱とによって、触媒体の温度を上昇させることができるため、触媒温度を比較的迅速に上昇させることができる。この結果、さらに省電力化を図ることが可能となるとともに、水素ガスをさらに迅速に処理することが可能となる。
【0081】
以上説明したように、第1実施例では、制御部は、ヒータへの電力供給を停止させた後に、オフガス処理部への反応オフガスの流入を開始させている。一方、本実施例では、制御部は、ヒータへの電力供給を停止させる前に、オフガス処理部への反応オフガスの流入を開始させている。すなわち、制御部は、ヒータへの電力供給の停止タイミングと、オフガス処理部への反応オフガスの流入開始タイミングと、を調整可能である。このようにすれば、省電力化を図ることができ、また、水素ガスを確実に処理することが可能となる。
【0082】
D.第4実施例:
第1実施例では、温度測定部480は、ヒータ温度を測定しているが、本実施例では、外気温度を測定している。なお、本実施例の燃料電池システムは、第1実施例とほぼ同様の構成を有しているため、詳細な説明は省略する。
【0083】
燃料電池システムの運転が長時間停止されている場合には、触媒温度は、外気温度にほぼ等しいと考えられる。運転開始時の外気温度が分かれば、触媒温度を活性温度まで上昇させるために必要な電力供給量は、推定可能である。そこで、本実施例の温度測定部480は、ヒータ温度に代えて、外気温度を測定する。そして、制御部600は、燃料電池システムの運転開始の際には、温度測定部480で得られた外気温度に応じて、ヒータ412への電力供給を制御する。
【0084】
具体的には、制御部600は、外気温度に応じた電力供給時間を示すマップを有している。そして、制御部600は、マップから得られた電力供給時間に従って、ヒータ412への電力供給を実行させる。図10は、ヒータへの電力供給時間とヒータ温度との関係を示すマップを模式的に示す説明図である。なお、このマップは、例えば、実験によって予め作成される。図示するように、外気温度(すなわち、運転開始時のヒータ温度T)がTo1の場合には、ヒータ温度Tを所定温度Taまで上昇させるための電力供給時間は、Δt1に設定される。また、外気温度がTo2の場合には、ヒータ温度Tを所定温度Taまで上昇させるための電力供給時間は、Δt2に設定される。なお、ヒータ412の抵抗値が変更される場合には、図10の曲線の傾きが変更される。
【0085】
本実施例では、ヒータに与えられる電力(W)(すなわち、電流および電圧)が一定であると仮定しているため、電力供給時間を変更することによって電力供給量が変更されている。しかしながら、これに代えて、ヒータへの電力供給時間を一定に設定して、ヒータに与えられる電力を変更するようにしてもよい。
【0086】
また、本実施例では、ヒータに与えられる電力は一定であるが、これに代えて、電力を経時的に変化させるようにしてもよい。
【0087】
さらに、本実施例では、触媒温度と外気温度とがほぼ等しいと仮定して説明したが、燃料電池システムの運転が比較的短い停止期間の後に再開される場合には、触媒温度と外気温度とは異なっている。このような場合には、停止期間と外気温度とに応じて、ヒータへの電力供給量を変更することが好ましい。すなわち、停止期間と外気温度とが分かれば、運転再開時における触媒温度は推定可能であるため、触媒温度を活性温度まで上昇させるために必要な電力供給量も推定可能である。なお、停止期間は、制御部に設けられたタイマを用いて計測可能である。
【0088】
一般には、制御部600は、燃料電池システムの運転開始の際に、外気温度の測定結果に応じて選択された時間変化パターンに従って、電気ヒータ412への電力供給を実行すればよい。こうすれば、電力供給部470は、不要な電力をヒータ412に供給せずに済むため、省電力化を図ることが可能となる。
【0089】
なお、外気温度を測定する温度測定部の取付は、ヒータ温度を測定する温度測定部の取付に比べて、容易である。このため、燃料電池システムを比較的容易に製造することができるという利点もある。
【0090】
E.第5実施例:
図11は、第5実施例における燃料電池システムの概略構成を示す説明図である。図11は、図1とほぼ同じであるが、オフガス処理部400Eの配置が変更されている。具体的には、第1実施例(図1)のオフガス処理部400は、燃料オフガス通路174と酸化オフガス通路184とが合流した合流オフガス通路194に設けられているが、本実施例のオフガス処理部400Eは、燃料オフガス通路174に設けられている。また、この変更に伴い、オフガス処理部400Eに酸素ガスを含む空気を供給するためのブロワ490が追加されている。なお、本実施例では、酸化オフガスは、直接大気中に放出されるため、合流オフガス通路は設けられていない。
【0091】
本実施例の構成を採用する場合にも、第1実施例と同様に、燃料電池100から排出された反応オフガスに含まれる水素ガスを低減させることができる。また、本実施例では、制御部600は、燃料オフガスがオフガス処理部400に供給される場合にのみ、ブロワ490を動作させる。したがって、オフガス処理部400Eに燃料オフガスが流入しない場合には、空気も流入しない。これにより、ヒータの熱がガスの流れによって奪われることを防止することができる。
【0092】
一般に、オフガス処理部は、燃料電池から排出される燃料オフガスを含む反応オフガスが通る反応オフガス通路に設けられていればよい。
【0093】
F.他の変形例:
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0094】
F−1.変形例1:
上記実施例では、触媒体410(図4)は、ロール構造を有する電気ヒータ(担体)412を備えているが、他の構造を有する電気ヒータを備えるようにしてもよい。図12は、触媒体の変形例を示す説明図である。この触媒体410’は、ハニカム構造を有する電気ヒータ412’を備えている。電力供給部は、電気ヒータ412’の中央部分(中央付近の通路壁)と周辺部分とに接続され、電流は、電気ヒータ412’の通路壁をジグザグに流れる。
【0095】
一般に、触媒体を構成する電気ヒータは、ガスが流通可能な複数の小通路を有していればよい。このような構造を採用すれば、触媒体は、反応オフガスに含まれる水素ガスを効率良く処理することができる。
【0096】
F−2.変形例2:
上記実施例では、燃料電池システムは、水素ガスが貯蔵された水素タンク210を含む燃料ガス供給部200を備えているが、これに代えて、水素吸蔵合金などから水素ガスを得る燃料ガス供給部を備えるようにしてもよい。また、燃料ガス供給部は、アルコールや、天然ガス、ガソリン、エーテル、アルデヒドなどを改質して、水素ガスを含む燃料ガスを生成するようにしてもよい。
【0097】
F−3.変形例3:
上記実施例では、固体高分子型の燃料電池に本発明を適用した場合について説明したが、本発明は、他のタイプの燃料電池にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例における燃料電池システムの概略構成を示す説明図である。
【図2】図1に示す燃料電池100の内部構成を模式的に示す説明図である。
【図3】図1に示すオフガス処理部400の構成を模式的に示す説明図である。
【図4】図3に示す触媒体410を示す斜視図である。
【図5】図4に示す担体412の製造方法を示す説明図である。
【図6】燃料電池システムの運転開始の際の状態変化を模式的に示す説明図である。
【図7】第2実施例におけるオフガス処理部の第1の例を示す説明図である。
【図8】第2実施例におけるオフガス処理部の第2の例を示す説明図である。
【図9】第3実施例における燃料電池システムの運転開始の際の状態変化を模式的に示す説明図である。
【図10】ヒータへの電力供給時間とヒータ温度との関係を示すマップを模式的に示す説明図である。
【図11】第5実施例における燃料電池システムの概略構成を示す説明図である。
【図12】触媒体の変形例を示す説明図である。
【符号の説明】
100…燃料電池
110…単セル
112…電解質膜
114a…アノード(電極)
114c…カソード(電極)
120…セパレータ
121…アノード側通路
122…カソード側通路
172…燃料ガス通路
173…還流通路
174…燃料オフガス通路(反応オフガス通路)
182…酸化ガス通路
184…酸化オフガス通路
194…合流オフガス通路(反応オフガス通路)
200…燃料ガス供給部
210…水素タンク
212…減圧器
230…流量制御弁
240…ポンプ
280…遮断弁
300…酸化ガス供給部
310…ブロワ
400,400B1,400B2,400E…オフガス処理部
410,410’…触媒体
412,412’…電気ヒータ(担体)
412a…平板
412b…波板
412c…軸部材
420…触媒体
420a,420b…部分触媒体
430…触媒体
430a,430b,430c…部分触媒体
470…電力供給部
472…電源
474…スイッチ
480…温度測定部
490…ブロワ
600…制御部

Claims (6)

  1. 燃料電池システムであって、
    燃料電池と、
    前記燃料電池から排出される燃料オフガスを含む反応オフガスが通る反応オフガス通路と、
    前記反応オフガス通路に設けられ、前記反応オフガスに含まれる水素ガスを処理するためのオフガス処理部と、
    前記オフガス処理部における前記水素ガスの処理を制御するための制御部と、
    を備え、
    前記オフガス処理部は、
    前記水素ガスを低減させるための触媒体であって、前記触媒体は、前記反応オフガスの流れ方向に沿って配置された複数の部分触媒体を含み、前記複数の部分触媒体のうちの最上流側以外の他の前記部分触媒体は、触媒と前記触媒を担持する電気ヒータとを含む、前記触媒体と、
    前記電気ヒータに電力を供給するための電力供給部と、
    を備えることを特徴とする燃料電池システム。
  2. 請求項1記載の燃料電池システムであって、
    前記オフガス処理部は、さらに、
    前記電気ヒータの温度を測定するためのヒータ温度測定部を備え、
    前記制御部は、前記燃料電池システムの運転開始の際に、
    ヒータ温度が、前記触媒が活性温度以上となる所定温度以上である場合には、前記電気ヒータへの電力供給を実行させず、
    前記ヒータ温度が前記所定温度よりも低い場合には、前記電気ヒータへの電力供給を開始させ、前記ヒータ温度が前記所定温度に達した後に前記電気ヒータへの電力供給を停止させる、燃料電池システム。
  3. 請求項2記載の燃料電池システムであって、さらに、
    前記オフガス処理部への前記反応オフガスの流入の有無を制御するためのアクチュエータを備え、
    前記制御部は、前記電気ヒータへの電力供給を停止させた後に、前記アクチュエータを制御して前記オフガス処理部への前記反応オフガスの流入を開始させる、燃料電池システム。
  4. 請求項2記載の燃料電池システムであって、さらに、
    前記オフガス処理部への前記反応オフガスの流入の有無を制御するためのアクチュエータを備え、
    前記制御部は、前記電気ヒータへの電力供給を停止させる前に、前記アクチュエータを制御して前記オフガス処理部への前記反応オフガスの流入を開始させる、燃料電池システム。
  5. 請求項1ないし4のいずれかに記載の燃料電池システムであって、
    前記オフガス処理部は、さらに、
    外気温度を測定するための外気温度測定部を備え、
    前記制御部は、前記燃料電池システムの運転開始の際に、前記外気温度の測定結果に応じて選択された条件に従って、前記電気ヒータへの電力供給を実行させる、燃料電池システム。
  6. 請求項1ないし5のいずれかに記載の燃料電池システムであって、
    前記反応オフガス通路は、
    前記燃料電池から排出される前記燃料オフガスが通る燃料オフガス通路と、
    前記燃料電池から排出される前記酸化オフガスが通る酸化オフガス通路と、
    前記燃料オフガス通路と前記酸化オフガス通路とが合流した合流オフガス通路と、
    を備え、
    前記オフガス処理部は、前記合流オフガス通路に設けられている、燃料電池システム。
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