JP4098544B2 - 椅子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、樹脂製等の背もたれ本体にカバーを被着してなる椅子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、快適な座り心地を提供するために、背もたれを撓ませたりスライドさせたりするなど、背もたれを変形あるいは移動可能に構成した椅子が種々知られているところ、近時においては、背もたれ面にクッションを設けず、例えば樹脂のシェルにある程度の可撓性を与えて着座者の背にフィットさせるようにしたシンプルな構成のものが開発されつつある。具体的には、樹脂製背もたれ本体の所定領域にスリット等を設けてその領域を他の領域に比べ弾性変形させやすい弾性変形領域としたものが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このようなものでは背もたれ本体そのものが変形するため、当該背もたれ本体へのカバーの取り付けが難しく、また背もたれ本体の変形にともなってカバーに大きな張力が発生しカバーがはずれやすいといった不具合が発生しやすい。
【0004】
かといって、カバー取付のための専用の機構を設けたのでは、構造の複雑化や価格の上昇等を招くうえ、例えばシンプルな外観を要求されるものにおいては前記専用の機構によって、バランスが崩れデザイン状不都合が生じる懼れもある。
【0005】
そこで本発明は、基本的にクッション等を有さず、背もたれ本体にある程度の可撓性を与えて着座者の背にフィットさせるようにした椅子において、極めてシンプルな構成でカバーを確実にかつ無理なく取り付けられるようにして、前記課題を解決すべく図ったものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明に係る椅子は、背もたれ本体の一部に弾性変形領域を設定し、その弾性変形領域に弾性変形を助勢するための変形助勢凹部たるスリット孔を背もたれ本体の厚み方向に貫通させて設けるとともに、背もたれ本体の一部を覆うカバーを、前記スリット孔を利用して背もたれ本体に取り付けるようにし、下方に開口するカバーを背もたれ本体の上方から被せるとともに、カバーの下端部に設けた取付部を前記スリット孔に挿通しあるいは引っかけることにより、当該カバーを背もたれ本体に抜脱不能に被着しているものであって、下方に開口するカバーの下端部に、厚み寸法が前記スリット孔の上下幅寸法よりも小さく幅寸法が前記スリット孔の上下幅寸法よりも大きい板状の取付部を設けているとともに、前記カバーを背凭れ本体の上方から被せた際に、背凭れのカバーに作用する張力により前記取付部が引っ張られてその周縁部が前記スリット孔の周縁部に密着係合するようにしていることを特徴とする。
【0007】
このようなものであれば、背もたれ本体に何ら改造を施すことなく、極めてシンプルな構成でカバーを確実にかつ無理なく取り付けられる。
【0008】
ここで「変形助勢凹部たるスリット孔」とは、背もたれ本体の厚みを減じることにより、その部分における剛性を他の部分より小さくし、弾性変形させやすく(助勢)すべく設けられ、背もたれ本体の厚み方向に貫通するスリット孔が含まれる。
【0009】
また、「カバーを前記スリット孔を利用して背もたれ本体に取り付ける」具体的態様としては、カバーの端部を直接、あるいは端部に設けた取付部を、前記スリット孔に引っ掛けることや、カバーの端部をスリット孔に挿通させることを挙げることができる。
【0010】
また、下方に開口するカバーを背もたれ本体の上方から被せるとともに、カバーの下端部に設けた取付部を前記スリット孔に挿通しあるいは引っかけることにより、当該カバーを背もたれ本体に抜脱不能に被着しているので、背もたれ本体にカバーを取り付けやすくできる。
【0011】
特に、前記スリット孔が上下に複数設けてあり、最上方に位置するスリット孔を利用してカバーを背もたれ本体に取り付けているものであれば、カバーが背もたれにおける非弾性変形領域に装着されることとなり、背もたれ本体に変形を加えてもカバーに無理な力が加わらず、カバーの被着状態を好適に保つことができる。一方、カバーが少なくとも背もたれ本体の上部に被着されることになるところ、実際に背もたれで汚れやすいのは、着座者の背に密着しやすい上部であるため、カバーとしての十分な機能を発揮させることもできる。
【0012】
カバーに一様に張力を与え、皺がよりにくいものとするには、前記スリット孔を左右に延びる帯状をなすものとし、前記取付部を、前記スリット孔の左右幅寸法と略同一の長さ寸法を有するものとすることが望ましい。
【0013】
具体的実施態様としては、前記弾性変形領域を背もたれ本体の下部に設定し、ランバーサポート部として機能させているものが挙げられる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0015】
本実施形態に係る椅子Cは、図1〜図3に示すように、構造体としての基盤をなす椅子本体1に、座6及び背もたれ7を取り付けてなるものである。
【0016】
先ず、椅子本体1について説明する。
【0017】
この椅子本体1は、脚2と、脚2の上端側に取り付けた支持基部3と、前部を前記支持基部3に支持させた座受4と、基端を前記支持基部3に取り付け中間部に前記座受4の後部を支持させた背フレーム5とを具備する。
【0018】
脚2は、5本の脚羽根21の中央から支柱22を立ち上げた構造をなし、支柱22は昇降可能であって内部に図示しないガススプリング機構を組み込んでいる。
【0019】
支持基部3は、前記支柱22の上端部に回転可能に取り付けたもので、図4に示すように、前方に水平に延びその一部に支柱22を上下方向に貫通させてなる底壁31と、この底壁31の前端から斜め前方に傾斜して立ち上がる前壁32と、これら底壁31及び前壁32の周囲より起立して前記底壁31及び前壁32とともに内側に上方に開口する機構部収納空間を形成する側壁33とを具備するもので、概略舟形をなす。この支持基部3は、その側壁33の前部に、それぞれ背向する方向に軸心を一致させて前座受取付軸34を一体突設或いは外付けできるようになっている。またこの支持基部3は、その底壁上方を横断する位置に、左右の側壁33間に亘って背取付軸35を貫通させている。
【0020】
座受4は、その平面図を図5、支持基部3に取り付けた状態の斜視図を図6に示すように、前記支持基部3上に位置し、一定間隔を保って前後に平行に延びる縦フレーム41と、これら縦フレーム41の前端近傍部間及び後端近傍部間を連結する位置に横架した横フレーム42とを具備するもので、概略井桁状をなす。そして各々の縦フレーム41の前端近傍部には、前後方向に延びる長孔411が対応づけて設けてあり、各々の長孔411に前記支持基部3の前座受取付軸34の端部を同長孔411に沿ってスライド移動可能に挿入している。
【0021】
背フレーム5は、図2、図3等に示すように、概略L字形に屈曲する一対の背フレーム要素51と、これらの背フレーム要素51の上端近傍部間を一定の間隙を保って連結する連結部材52とを具備するもので、一対の背フレーム要素51間に、当該背フレーム51の基端51aと屈曲部位51bとの間で図4及び図6に示す後座受取付軸53を架設することができるようにしている。そして、各々の背フレーム要素51の基端51aを前記支持基部3の背取付軸35に回転可能に取り付け、背フレーム要素51間に架設した後座受取付軸53に座受4の縦フレーム41の後部を取り付けている。
【0022】
上記の構成によって、図4に示すように、この椅子本体1は、支持基部3の前座受取付軸34を座受4の長孔411の後端側に位置付け背フレーム5が起き上がった図中実線で示す状態において椅子Cに通常使用姿勢を与え、支持基部3の前座受取付軸34を座受4の長孔411の前端側に位置付け背フレーム5が後傾した図中想像線に示す状態において座受4の後端を沈み込ませて椅子Cに安息姿勢を与え、全体としていわゆるシンクロチルト機構を実現するものである。
【0023】
そして、この椅子本体1は、前記シンクロチルト機構の一部に反力機構Hを組み込んでロッキング装置を構成するとともに、そのロッキングを所定位置に固定するロッキング固定機構E及びロッキング硬さを調整する反力調整機構Aを当該ロッキング装置の構成要素として付加している。
【0024】
反力機構Hは、図4及び図6に示すように、前記支持基部3の機構収納空間に後傾姿勢(略45°)で配置され前上方端を固定リテーナH1に支持された一対のコイルスプリングSと、背取付軸35上にあって背フレーム5の傾動動作に同期して回転する第1回転アームH2と、この第1回転アームH2の背取付軸心から偏位した位置に軸回りに取り付けた可動リテーナH3とを具備し、この可動リテーナH3に前記コイルスプリングSの後下方端を支持させて、背フレーム5の後傾動作に伴い第1回転アームH2を介して可動リテーナH3がコイルスプリングSを圧縮する構造になっている。なお、図6において一対のコイルスプリングSの間にある第1回転アームH2などは省略してある。
【0025】
ロッキング位置固定機構Eは、その平面図を図5、座受4に取り付けた状態の斜視図を図6に示すように、中間部よりもやや基端側を座受4に第1鉛直軸X1回りに回転可能に取り付けた平面視扇形をなす一対のロック板E1と、背フレーム5のロッキング動作を前記一対のロック板E1の同期回転動作に変換する動作変換機構E2と、ロック板E1同士を選択的に固定する操作部E3とからなる。ロック板E1は、第1鉛直軸X1を通る径方向断面が下向L字形をなすもので、円周上にあって垂下した部分の集合である円筒面E1aには径方向に開口する孔E1bが所定ピッチで円周方向の複数箇所に亘って設けてあり、同期回転動作に伴って、各孔E1bが両第1鉛直軸X1の軸心を結ぶ仮想直線LI1上に次々と到来して密接に対面するものである。動作変換機構E2は、一端を前記扇形をなすロック板E1の基端に第2鉛直軸と水平長孔との係わり合い部X2を介して接続し、他端を支持基部3の前座受取付軸34に係わり合わせた剛体たる連結部材E21からなるもので、ロッキング動作に伴って座受4が支持基部3に対して後下方へ移動すると、この座受4に搭載されているロック板軸支用の第1鉛直軸X1が追従するのに対して、ロック板E1の基端に係わり合う第2鉛直軸X2は連結部材E21を介して支持基部3により一定位置に保持されるため、結果的に座受4がロッキングにより沈み込むと、扇形のロック板E1の円筒面E1aが第1鉛直軸X1に押されて前記係わり合い部X2の周りを後方に旋回するようになっている。操作部E3は、前記仮想直線LI1に軸心を合致させて同軸心方向へ進退可能に配置したロックピンE31と、基端を第3鉛直軸X3を介して座受4の横フレーム42に回転可能に取り付けられ先端を水平長孔と鉛直ピンとの係わり合い部X4を介して前記ロックピンE31に接続した第2回転アームE32と、この第2回転アームE32を前記両ロック板E1の孔E1bに通過させる方向に押し付けるバネ要素E4と、この第2回転アームE32を前記バネ要素E4に抗し引き戻して前記ロックピンE31を両ロック板E1の孔E1bから抜き取る操作を行うロッキング位置調整操作レバーE5とから構成され、ロッキング位置調整操作レバーE5は座受4の側方の適宜位置に取り付けてある。前記バネ要素E4と前記ロッキング位置調整操作レバーE5とは、図5に示すワイヤE6により接続されている。
【0026】
このロッキング位置固定機構Eの利点としては、座受4の動きに連動させてロック板E1の外周をより大きく振らし、この外周においてロック板E1の孔E1bとロックピンE31との係わり合いによりロック板E1同士を固定、ひいては座受4の動きを止めて背座をそのロッキング位置に固定するものであるため、ロック板E1の孔E1bの間隔を比較的大きくとっても背座のロッキング固定を比較的小刻みに行える点、第1鉛直軸X1からロック板E1の孔E1bとロックピンE31との係わり合いの部分までのトルクアームが当該第1鉛直軸X1からロック板E1と連結部材E21との係わり合い部X2までのトルクアームよりも大きいため、ロックに要する力を軽減することができ、ロックピンE31やロック板E1に剛性さえ付与すれば固定に必要な機構自体を簡素なものにできる点、一対のロック板E1を相互に拘束し合うことで背もたれ7のロッキング固定を行うため、連結部材E21以外の操作部等の要素部品を全て座受4側に搭載することができ、座6の移動に対して操作部を常に一定の相対位置に配置しておくことができる点、さらには、あるロッキング状態で着座者が椅子から離れ、反力機構Hによって背座が起き上がろうする方向に動こうとする場合、本実施形態の構造によればロックピンE31がロック板E1の孔E1bからせん断方向の押付力を受けることになるため、これによる摩擦力でロックピンE31が孔E1bから抜けることが阻止され、椅子から立ち上がっても背座が急激に起き上がることが防止される点、そして再び着座することによって、上記せん断方向の力が消失して改めてロック解除の操作が可能となる点などが挙げられる。また、扇形のロック板E1は水平面内で回転するだけであるため、薄い設計が可能となる点、扇形のロック板E1の外周部に互いに噛み合う歯を形成すれば、動作のズレをなくすこともできる点なども利点として挙げられる。
【0027】
反力調整機構Aは、図4に示すように、前記コイルスプリングSの固定リテーナH1を、実際には軸状のバックアップ部材A10によって当該固定位置に保持するように構成した上で、このバックアップ部材A10を一部に備え水平軸A11回りに回転可能な第3回転アームA1と、この第3回転アームA1の前記水平軸A11から偏位した位置においてその偏位方向と略直交する方向からねじ結合させたグリップA21を有するねじ要素A2とにより構成したもので、そのねじ要素A2は支持基部3の前壁32を貫通して前壁32の外部に突出し、その突出位置に当該グリップA21を配置している。そして、グリップ操作を通じてねじ要素A21にねじ送り動作を与えると、第3回転アームA1が水平軸A11回りに回転して、バックアップ部材A10を介しリテーナH1のバックアップ位置を、コイルスプリングSの圧縮力を増減させる方向に移動させ得るようにしている。なお、第3回転アームA1とねじ要素A2とは、操作位置に応じて交差角度が変化するため、ねじ要素A2の先端に押さえ板A22を取り付け、第3回転アームA1には部分円弧状の突起A12を形成して、この突起A12を押さえ板A22により押し付けさせることで交差角度が変化しても対応できるようにしている。
【0028】
この反力調整機構Aの利点としては、コイルスプリングSの長手寸法内に組み込むことができるため、コイルスプリングSの一端側に反力調整機構を導入する場合に比べて、反力機構Hを含め軸方向のコンパクト化を図ることができる点、コイルスプリングSを後傾姿勢(この実施形態においては略45°程度の傾斜)で配置しているため、このコイルスプリングSを収容している支持基部3の前後寸法の短寸化、ひいては座6を前後スライドさせるときの座6と支持基部3との干渉を有効に回避して動作代を十分に確保することができる点、このようにしても操作用のグリップA21は操作し易い支持基部3の前壁32に配置できる点、第3回転アームA1の腕の長さに基づく「てこ」の作用で軽く操作できる点などが挙げられる。
【0029】
そして、座6を座受4に取り付けるとともに、背もたれ7を背フレーム5に取り付けて、本実施形態の椅子Cは完成される。
【0030】
背もたれ7は、図7、図8等に示すように、当該背もたれ7の外形を形作る板状をなす弾性材製の背もたれ本体71と、この背もたれ本体71の上部を収納するカバー71aと、この背もたれ本体71の上部背面に配置された下向きコの字形をなし剛性のある素材で作られてなる背もたれ上部補強部材72と、この背もたれ本体71の下端部を覆う筐体状の背もたれ下部補強部材73とを具備する。
【0031】
背もたれ本体71は、正面視概略矩形状をなすものであるとともに、左右側縁部が中央部に比べて前方に突出するように湾曲するものであって、平断面形状が概略部分円弧状又はそれに近い湾曲形状をなす。また側断面形状は、略中央部が前方に膨出し、途中に凹む部位が無いように形成してある。
【0032】
そして、この背もたれ本体71の上下方向中間部よりもやや下方部位に弾性変形領域を設定し、その弾性変形領域がランバーサポート部71xとして機能するようにしている。かかるランバーサポート部71xは、前方に突出するような右側面視「く」の字形に若干屈曲させて成形してある。さらに、前記背フレーム要素51に、背もたれ上支持部511を形成している。この背もたれ上支持部511にはピン挿通孔511aが設けてあり、このピン挿通孔511aを前記背もたれ上部補強部材72の下端部72aに設けたピン挿通孔72a1に合致させて水平ピン721を挿通し、この水平ピン721を介して背もたれ上部補強部材72を背もたれ上支持部511に回転可能に接続している。一方、背もたれ本体71の下端部は、背もたれ下部補強部材73の開口部に挿入して背もたれ7の下端部7xを形成している。
【0033】
また、座6の下方には、クランク部81と一端部に操作部たる操作つまみ821を有するクランクシャフト部82と一端部をクランク部81に接続したクランクアーム部83とを具備するクランク機構8を設けている。クランクアーム部83は、その他端部を背もたれ7の下端部7xに接続し、中間部の回転中心X10を中心に回転可能に構成して、さらにこのクランクアーム部83により座6の後端部6yを支持するようにしている。そして、前記操作つまみ821の回転操作によって背もたれ7の下端部7xと座6の後端部6yとを連動して昇降させるようにしている。なお、前記クランクアーム部83は、本実施形態では左右に離間して1対設けられている。
【0034】
また、前記クランク部81の移動経路上にこのクランク部81の移動範囲を規制するストッパ85(図8では省略)を設けている。このストッパ85の構成を図10に示すが、このストッパ85は樹脂などで構成された断面視略C字状をなすもので、背フレーム要素51間に横架して設けたストッパ台板851から起立して設けたストッパ取付部材852に、開口部をクランク部81の移動範囲に向けて取り付けている。
【0035】
そして、背もたれ下部補強部材の背面にはスライダ86(図8では省略)が設けてあり、適当な位置に固定して設けたガイド部材87(図8では省略)に常に係り合わせるようにして背もたれ7の下端部7xを平行に昇降させるようにしている。
【0036】
一方、背もたれ7の下端部7xには前記クランクアーム部83の一端を係り合わせる係合部材74を設けている。一方、前記クランクアーム部83の一端部には後方に開放された開口部83aを設けて前記係合部材74に係り合わせているとともに、他端部には長穴831を設けて前記クランク部81に係り合わせている。
【0037】
以下に、このように構成したクランク機構8を用いて背もたれ7の下端部7xを図7及び図9の実線に示す位置から想像線に示す位置まで移動させる方法を述べる。
【0038】
前記操作つまみ821を図7の矢印xの方向に回転させると、図9に示すように、クランク部81がクランクシャフト部82とともに回転し、長孔831と前記クランク部81との係り合わせを介してクランクアーム部83が回転する。そして、背もたれ7の下端部に設けた係合部材74が前記クランクアーム部83の開口部83aに持ち上げられて背もたれ7の下端部7xが図9の実線に示す位置から想像線に示す位置まで上昇し、クランクアーム部83の上面83bがカムの役割を果たして座6の後端部6yが背もたれ7の下端部7xと連動して図9の実線に示す位置から想像線に示す位置まで上昇する。そして、ストッパ85が径過的に押し開かれてこのストッパ85にクランク部81が収容されて保持され、背もたれ7の下端部7x及び座6の後端部6yが図9の想像線に示す位置を保つ。
【0039】
一方、背もたれ7の下端部7xが上昇すると、ランバーサポート部71xとして機能する部分が突き上げられて、背もたれ7は図7の実線で示す形状から想像線で示す形状に変形する。
【0040】
また、逆の操作を行うと、背もたれ7の下端部7xは図7及び図9の想像線に示す位置から実線に示す位置に戻り、これに連動して座6の後端部6y及び背もたれ7の形状も図7及び図9の想像線に示す位置から実線に示す位置に戻る。
【0041】
しかして、本実施形態では、前記弾性変形領域たるランバーサポート部71xに、弾性変形を助勢するための厚み方向に貫通させた変形助勢凹部たるスリット孔7sを形成するとともに、前記カバー71aを前記スリット孔7sを利用して背もたれ本体71に取り付けるようにしている。
【0042】
詳述すれば、前記スリット孔7sは、背もたれ本体71の略左右に亘って延びるものであり、上下に複数(本実施形態では4つ)が間欠的に形成されている。そして、これらスリット孔7sの延伸する方向を折り目として、背もたれ本体71が曲がりやすくなるようにしてあって、上述したように、ランバーサポート部71xが操作つまみ821の操作により前後に突没するように構成してある。
【0043】
カバー71aは、背もたれ本体71の略上半部を覆う大きさを有した下方に開口する袋状をなすものであり、前カバー71a1及び後カバー71a2を備えてなる。しかして前記前カバー71a1の下部は、その下端幅がスリット孔7sの長さ寸法と略同一となるように、下方にいくに連れ徐々に左右幅の狭まる形状をなしており、その下端部には前記スリット孔7sに引っ掛けるための矩形板状をなす樹脂製の取付部9を設けている。
【0044】
この取付部9は、前記スリット孔7sの左右幅寸法と略同一の長さ寸法を有するとともに、その厚み寸法を前記スリット孔7sの上下幅寸法よりも小さく設定したものであって、その側端面を前記スリット孔7sの開口に対して臨ませた挿入姿勢Pで当該スリット孔7sに挿入できるように構成してある。一方、その幅寸法は、前記スリット孔7sの上下幅寸法よりも大きく設定してあり、前記スリット孔7sの裏面開口にその面板部を臨ませた係合姿勢Qで、当該スリット孔7sの周縁部裏面に係合するように構成してある。そしてスリット孔7sの周縁部裏面に沿って厚み方向に湾曲可能なものである。
【0045】
さらに、本実施形態では、この取付部9の幅方向略中央部から長手方向に沿って直交起立させた接合部91を一体に形成して、これら取付部9及び接合部91が断面概略T字型をなす樹脂製のものとなるようにしている。そしてこの接合部91に前カバー71a1の下端縁部を左右に亘って一様に接合してある。接合方法は、例えばカバー71aが樹脂製のものであれば溶着しても構わないし、その他縫い付け等でも構わない。もちろん接合部91を設けず、取付部9に直接的に前カバー71a1の下端部を接合しても構わない。
【0046】
このような構成のカバー71aを背もたれ本体71に取り付けるには以下のように行う。
【0047】
まず取付部9及び接合部91をフラットな状態、この場合であれば直線状に延伸する状態にして前カバー71a1の下端縁部を、例えば溶着により接合しておく。
【0048】
そして図11に示すように、取付部9を前記スリット孔7sのうち、最も上方に位置するものに引っ掛ける。具体的には、取付部9を前記挿入姿勢Pにしてその側端部9aをスリット孔7sに正面側から挿入していく。そしてスリット孔7sの中で若干湾曲させつつ、あるいはそのままの姿勢で、背もたれ背面側に引っ張り出し、前記係合姿勢Qとする。
【0049】
その後、カバー71aを背もたれ本体71の上方から被せる。このことにより、前カバー71a1に主として上下方向に張力が作用し、その張力に引っ張られて取付部9は、スリット孔7sの周縁部に沿って厚み方向に湾曲しつつ、その周縁部を当該スリット孔7sの周縁部に密着係合させる。
【0050】
なお、カバー71aを背もたれ本体71の上方から被せた後、前カバー71a1の下端部に設けた前記取付部9を、前記スリット孔7sに引っ掛けても構わない。
【0051】
したがってこのようなものであれば、背もたれ本体71に何ら改造を施すことなく、極めてシンプルな構成でカバー71aを確実にかつ無理なく取り付けられる。また、そのことから、外観的にもシンプルですっきりとしたものにすることができる。
【0052】
特に本実施形態では、最上方に位置するスリット孔7sを利用してカバー71aを背もたれ本体71に取り付けているので、カバー71aは弾性変形領域たるランバーサポート部71xよりも上方に被着されることとなる。すなわちカバー71aは、ほとんど弾性変形を起こさない非弾性変形領域に装着されることとなるため、背もたれ本体71に変形を加えてもカバー71aに無理な力が加わらず、カバー71aの被着状態を良好に保つことができる。一方、このようにした場合にカバー71aは背もたれ本体71の上部にのみ被着されることとなるが、実際に背もたれ7で汚れやすいのは、着座者の背に密着しやすい背もたれ上部であるため、カバー71aとしての十分な機能を発揮させることもできる。
【0053】
さらに、本実施形態において、カバー71aの下端部に設けられた取付部9が、張力を与えられることによってスリット孔7sの周縁部に沿って厚み方向に湾曲し密着係合するため、背もたれ本体71が湾曲しているにも拘わらず、カバー71aに一様に張力が作用し、皺がよりにくいものとなる。
【0054】
また、カバー71aに張力が作用する主方向と略直交する方向である左右方向に延び、かつカバー71aの左右幅寸法に近い長さ寸法を有する前記スリット孔7sの左右に亘って、カバー71aの下端部が挿入され、引っ張られるということも、カバー71aに一様に張力を作用させ皺をよりにくくする効果を助長するものとなる。
【0055】
さらに、張力方向(上下方向)に沿って切った背もたれ本体71の側断面形状のうち、背もたれ面の特に前記カバー装着部位に対応する輪郭が、直線又は外側に膨出する膨出形状をなし、途中に凹んだ部分が無いため、カバー71aが背もたれ本体71に密接し、外観上においても使い勝手の上でも好適なものとなる。
【0056】
なお、本発明は以上に述べた実施形態に限られない。
【0057】
例えば、取付部は、矩形板状のものに限られず、図12に示すように、その幅寸法が周期的に拡縮し、その周縁部のうち突出する部位のみがスリット孔7sの周縁部に係合するようなものでも構わない。
【0058】
また変形助勢凹部は、スリット孔に限られず、例えば図13に示すような有底溝7sでも構わないし、その他種々の形態が可能である。また、かかる変形助勢凹部は、ランバーサポート部の変形のためのみならず、例えば背もたれ本体を傾動させるべく設けたもの等でも構わない。
【0059】
さらに、カバーの端部を変形助勢凹部に挿通し、裏側に回し込んでファスナー等により背もたれ本体裏面あるいは後カバーに止め着けるようにしても構わない。
【0060】
もちろん、椅子自体も、例えば背座一体の樹脂製のもの等に本発明を適用して同様の作用効果を奏しうる。
【0061】
その他本発明は上記各図示例に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能であるのは言うまでもない。
【0062】
【発明の効果】
以上に詳述したように、本発明によれば、弾性変形を助勢するための変形助勢凹部たるスリット孔を利用してカバーを取り付けるようにしているので、背もたれ本体に何ら改造を施すことなく、極めてシンプルな構成でカバーを確実にかつ無理なく取り付けられる。
また、下方に開口するカバーを背もたれ本体の上方から被せるとともに、カバーの下端部に設けた取付部を前記スリット孔に挿通しあるいは引っかけることにより、当該カバーを背もたれ本体に抜脱不能に被着しているので、背もたれ本体にカバーを取り付けやすくできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る椅子の正面図。
【図2】同実施形態に係る椅子の側面図。
【図3】同実施形態に係る椅子の背面図。
【図4】同実施形態に係る椅子の支持基部付近を示す縦断面図。
【図5】同実施形態に係る椅子の座受を示す平面図。
【図6】同実施形態に係る椅子の座受を支持基部に取り付けた状態を示す斜視図。
【図7】同実施形態に係る椅子の背もたれの機構及び動作を示す概念図。
【図8】同実施形態に係る椅子の背もたれの構造を示す分解斜視図。
【図9】同実施形態に係る椅子のクランク機構を示す概略図。
【図10】同実施形態に係る椅子のクランク機構のストッパを示す概略図。
【図11】同実施形態におけるカバーの取付手順を示す模式的断面図。
【図12】本発明の他の実施形態における係合部材の係合状態図。
【図13】本発明のさらに他の実施形態における被係合部の部分断面図。
【符号の説明】
71・・・背もたれ本体
71a・・・カバー
71x・・・弾性変形領域(ランバーサポート部)
7s・・・変形助勢凹部(スリット孔)
9・・・取付部
Claims (4)
- 背もたれ本体の一部に弾性変形領域を設定し、その弾性変形領域に弾性変形を助勢するための変形助勢凹部たるスリット孔を背もたれ本体の厚み方向に貫通させて設けるとともに、背もたれ本体の一部を覆うカバーを、前記スリット孔を利用して背もたれ本体に取り付けるようにし、
下方に開口するカバーを背もたれ本体の上方から被せるとともに、カバーの下端部に設けた取付部を前記スリット孔に挿通しあるいは引っかけることにより、当該カバーを背もたれ本体に抜脱不能に被着しているものであって、
下方に開口するカバーの下端部に、厚み寸法が前記スリット孔の上下幅寸法よりも小さく幅寸法が前記スリット孔の上下幅寸法よりも大きい板状の取付部を設けているとともに、前記カバーを背凭れ本体の上方から被せた際に、背凭れのカバーに作用する張力により前記取付部が引っ張られてその周縁部が前記スリット孔の周縁部に密着係合するようにしていることを特徴とする椅子。 - 前記スリット孔が上下に複数設けてあり、最上方に位置するスリット孔を利用してカバーを背もたれ本体に取り付けている請求項1記載の椅子。
- 前記スリット孔が左右に延びる帯状をなすものであり、前記取付部が、前記スリット孔の左右幅寸法と略同一の長さ寸法を有するものである請求項1又は2記載の椅子。
- 前記弾性変形領域を背もたれ本体の下部に設定している請求項1、2又は3記載の椅子。
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