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JP4090772B2 - セメント組成物 - Google Patents

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JP4090772B2
JP4090772B2 JP2002093864A JP2002093864A JP4090772B2 JP 4090772 B2 JP4090772 B2 JP 4090772B2 JP 2002093864 A JP2002093864 A JP 2002093864A JP 2002093864 A JP2002093864 A JP 2002093864A JP 4090772 B2 JP4090772 B2 JP 4090772B2
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浩志 林
泰之 石田
克哉 河野
正樹 石森
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Taiheiyo Cement Corp
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、セメント組成物に関し、詳しくは、鉄筋継手用モルタル充填材などに利用できる、強度発現性、流動性および無収縮性に優れたセメント組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、セメント組成物の強度を向上させるためには、減水剤を用いて水/セメント比を低減する方法がとられている。しかし、水/セメント比が概ね30重量%以下になると充分な流動性が得られず作業性の低下が生じる。そのため、水硬性セメントに予め少量の水を保持させることにより低水量でも高い流動性を有し、圧縮強度80MPa以上の高強度を発現できるグラウト材組成物(特開平09−263438号公報)が提案されている。また、超微粉(シリカフューム)、高性能減水剤および重量骨材を用いて、100MPa程度の圧縮強度を確保したグラウトモルタル組成物(特開平06−293549号公報)や、早強セメントを用いて、100MPa程度の圧縮強度を確保したグラウト材(特開平11−49549号公報)が提案されている。
【0003】
しかしながら、例えば、鉄筋継手に使用される充填モルタルなどでは、近年の鉄筋コンクリート構造物の大型化、耐震性能向上に伴い、所定の流動性を確保しつつ、圧縮強度120MPa以上の高強度が望まれるようになっている。そのため、いずれも充分な性能とはいえない。また、高性能減水剤としてナフタレンスルホン酸ホルマリン高縮合物を使用した場合は、良好な流動性を長時間保持することが困難であったため、満足できる作業性が得られなかった。
【0004】
更に、減水性能が高い水溶性ビニル共重合体を主成分とする減水剤を使用して、圧縮強度120MPa以上の高強度コンクリートを製造する技術(特開平06−191918号公報)も提案されている。しかし、この技術におけるように、水/結合材比が極めて低いセメント組成物にシリカフュームのような超微粉を配合すると、硬化収縮量が大幅に増大するため、無収縮性を確保することが困難になるという問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記の問題点に鑑み、良好で安定した流動性と、高い圧縮強度と、良好な無収縮性とを有することにより鉄筋継手の充填材として好適であり、かつ、水以外の材料をプレミックスの形態でも供給できるセメント組成物を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決する手段】
上記目的を達成するため、本発明のセメント組成物は、高ビーライト系セメントと、シリカフュームと、ポリアルキレングリコール鎖を有するポリカルボン酸系高分子化合物を主成分とするセメント分散剤と、石灰系混和材もしくは有機系収縮低減剤のいずれか又はこれらの両方と、発泡剤と、比重が3.4以上で吸水率が0.5〜1.5%である細骨材とを含有するセメント組成物であって、該セメント組成物の水との混練物が200mm以上のフロー値(JIS R 5201規定のフローコーンを用いた静置フロー)を混練後60分以上保持することができ、かつ該混連物の水和硬化体は、材齢28日の圧縮強度(JIS R 5201に準拠)が120MPa以上で、材齢7日までの膨張率(JSCE−F533に準拠)が0〜1%となることを特徴とする。
【0010】
なお、上記本発明に係るセメント組成物は、いずれも鉄筋継手の充填材に好適である。
【0011】
【発明の実施の形態】
1. 性能について
〔流動性〕
本発明のセメント組成物は、水との混練後に、200mm以上のフロー値を混練後60分以上保持することを必須とする。本発明のセメント組成物の主たる目的である鉄筋継手の充填においては、鉄筋と継手の間の狭い間隙に充填モルタルを完全に充填する必要があるため、充填モルタル(セメント組成物)には所定の流動性(200mm以上のフロー値)が要求される。更に、充填作業は通常複数の鉄筋継手に対して行われるため、充填モルタル(セメント組成物)は所定量まとめて製造された後、複数の鉄筋継手に対する充填作業が終了するまで、所定の流動性(200mm以上のフロー値)を保持することが必要であり、概ね混練後60分以上の流動性保持時間が確保できれば支障なく充填作業を行うことができる。
【0012】
〔強度〕
本発明のセメント組成物は、水和硬化体の材齢28日の圧縮強度が120MPa以上であることを必須とする。近年、鉄筋コンクリート構造物においては高強度鉄筋の採用などによる高耐久化(耐震化)や軽量化(鉄筋量の低減)が図れており、構造上の弱点となり易い鉄筋の継手部分の高強度化は極めて重要な課題である。今後さらに鉄筋コンクリート構造物の高耐久化や軽量化を進めるためには、圧縮強度120MPa以上の高強度を有する充填モルタルが望まれている(従来の充填モルタルは圧縮強度が60MPa程度、最大でも100MPa程度)。
【0013】
〔無収縮性〕
本発明のセメント組成物は、材齢7日までの膨張率が0〜1%であることを必須とする。鉄筋継手においては、鉄筋と充填モルタル又は継手と充填モルタルとの間に空隙が生じると連結強度が低下するため好ましくない。仮に充填状態が良好であっても、充填モルタルが水和硬化過程で収縮すると結果的に空隙を生じて連結強度が低下するため、充填モルタルは無収縮(膨張率0%以上)である必要がある。更には、充填モルタルとしては若干の膨張性を有するものが好ましいが、過剰な膨張は強度低下の原因となり得るため、膨張率は概ね1%以下が好ましい。
【0014】
2.使用材料について
本発明においては、高ビーライト系セメントを必須の成分として含有する。高ビーライト系セメントとは、普通ポルトランドセメントの主成分であるエーライトの含有量を減らし、中庸熱ポルトランドセメントより更にビーライト含有量を多くしたセメントをいう。高ビーライト系セメントとしてはビーライト(2CaO・SiO2)を40重量%以上含有するものが好適に使用できる。特にビーライト含有量が50重量%以上であり、ブレーン比表面積が4500cm2/g以下のものが好ましい。水/結合材比が低い場合に良好な流動性を長時間確保するために好適だからである。
【0015】
本発明において、低い水/結合材比で良好な流動性を確保するために、シリカフュームを使用する。シリカフュームとしては中でも、平均粒径が0.20μm以下であり、カーボン含有量は1.5重量%未満のものが好適に使用できる。平均粒径が0.20μm以下の場合、水/結合材比が極めて低い場合(概ね24%以下)でも良好な流動性が確保し易くなる。また、カーボン含有量が1.5重量%未満の場合、このような低い水/結合材比でも良好な流動性を安定して長時間確保し易くなる。
【0016】
また、良好な流動性を安定して得るためにポリアルキレングリコール鎖を有するポリカルボン酸系高分子化合物を主成分としたセメント分散剤を使用する。ポリカルボン酸系高分子化合物を主成分とするセメント分散剤は、ナフタレンスルホン酸ホルマリン高縮合物やメラミンスルホン酸ホルマリン高縮合物を主成分とする分散剤に比べ、流動化性能および流動性の保持性が高いからである。
【0017】
上記ポリアルキレングルコール鎖を有するポリカルボン酸系高分子化合物を主成分とするセメント分散剤は、分散剤溶液を乾燥粉末化することにより粉末状で用いることもできる。このような高分子化合物としては、基−COOM(Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム又は有機アミンを示す)及びポリアルキレングリコール鎖を有する(メタ)アクリル酸系共重合体、またはポリアルキレングリコールアルケニルエーテル−無水マレイン酸系共重合体(但し、多価金属塩を除く)等が好ましい。ポリアルキレングリコール鎖としては、炭素数2〜4のポリアルキレングリコール鎖が好ましく、より好ましくは、−O(CH2CH(Ra)O)b−で示されるものである。ここでRaは水素原子又はメチル基を示し、bは2〜200が好ましい。また、乾燥粉末化する前に、上記の液に、亜硝酸塩などの還元性無機化合物と、アミン系化合物などの還元性有機化合物とを添加することが好ましい。これらの各添加量(固形分)は、ポリカルボン酸系高分子化合物の固形分含有量の0.01〜2.5重量%とすることが好ましい。また、上記の液はpH7〜9に調整しておくことが好ましい。乾燥粉末化の方法は特に限定されないが、混練攪拌を行いながら実施することが好ましい。(特開2001−002788号公報に記載の粉末状水硬性組成物用分散剤は、本発明のセメント分散剤として用いることができる)。このように、セメント分散剤として粉末状のものを使用することによって、水以外の材料をプレミックスの形態で供給できる取り扱い易いセメント組成物を得ることができる。
【0018】
本発明に係るセメント組成物は、無収縮性を得るために、石灰系混和材もしくは有機系収縮低減剤のいずれか、又はこれらの両方を含有する
石灰系混和材は、自己収縮を抑制し無収縮性を向上させるとともに、密実で高強度の硬化体を形成するために使用できる。石灰系混和材としては、一般にモルタルコンクリート用として使用されている石灰系膨張材や、コンクリート製品を製造する際に硬化促進材として使用されている石灰系混和材を用いることができるが中でも、CaO結晶を含有するクリンカーと石膏との混合粉砕物が好ましい。クリンカーはCaOを総量で50〜92重量%含有するものが好ましい。またクリンカーは、主要鉱物組成として、3CaO・SiO2−2CaO・SiO2−CaO−間隙質、3CaO・SiO2−CaO−間隙質、2CaO・SiO2−CaO−間隙質からなる群から選ばれた1種または2種以上を含むものが好ましい。石膏は、無水石膏、半水石膏、二水石膏のいずれも使用することができる。クリンカーと石膏の混合割合は、クリンカー100重量部に対して石膏5〜50重量部を混合することが好ましい(特開2001−39748公報に記載のものを含む)。
【0019】
有機系収縮低減剤は、自己収縮を抑制し無収縮性を向上させるとともに、密実で高強度の硬化体を形成するために使用できる。有機系収縮低減剤を構成する有機系収縮低減成分としては、以下の式(1)で表されるアルキレンオキシド重合物を化学構造の骨格に有するものなどがある。
1O(AO)n2 ・・・(1)
式中、R1及びR2は、互いに独立して、水素基、アルキル基、フェニル基、シクロアルキル基等であり、Aは炭素数2〜3の1種のアルキレン基又はランダム若しくはブロック重合させた2種のアルキレン基であり、nは2〜20の整数である。特にR2が水素基である有機系収縮低減剤が好適に使用できる(特公告昭59−3430号公報に記載のものを含む)。
【0020】
有機系収縮低減剤としては、吸油性を有する無機系又は有機系の粉状体に、例えば上記成分の液状の有機系収縮低減剤成分を予め含浸させ、粉末状の形態にした粉状物を使用することにより、取り扱い易いプレミックス品が得られる。無機系の粉状体としては繊維状マグネシウムオキサイド等、有機系の粉状体としてはフェノール樹脂等を用いることができる(特開平2−164754号公報に記載のものを含む)。
【0021】
上記有機系収縮低減剤は、一般的には通常セメント硬化体の乾燥収縮を低減するために使用する。セメント硬化体の乾燥収縮は、一般に乾燥によるメニスカスの形成により硬化体の毛細管中に引張応力が生じ、これが硬化体に弾性的な体積収縮を引き起こすと考えられている。有機系収縮低減剤は、硬化体空隙中の水の表面張力を低下させる作用があり、これにより毛細管中の引張応力が低下し、収縮量が低減する。一方、自己収縮の発生機構は、水和の進行に伴なう自己乾燥により、硬化体の毛細管中に引張応力が生じて体積が収縮すると考えられているため、有機系収縮低減剤の添加は自己収縮の低減にも効果がある。
【0022】
本発明に係るセメント組成物は、初期材齢での無収縮性を確保するため、発泡剤を含有する。本発明では、上記説明したように石灰系混和材や有機系収縮低減剤などを用いることにより収縮低減を図っているが、これだけでは特に初期材齢で充分な無収縮性を確保することができない。そこで、材齢7日までの膨張率(JSCE−F533)を0〜1%にするため、発泡剤を使用する。発泡剤をセメント組成物に配合させると、水和時において、セメント組成物の内部で生成した気体が硬化の進展に伴なって内部に閉じ込められる。この気体の量が増大すると共に内圧となって、高ビーライト系セメントの水和反応に起因する収縮現象の対抗力となり、収縮をより効果的に抑制することができ、初期材齢においても極めて高い無収縮性を確保することができる。発泡剤としては、例えばアルミ粉末等の金属粉末や、石油化学の副産物であるフルイドコークス等の炭素系化合物を加熱処理して得られる粒状材料(特公告昭60−4150号公報)などを使用することができる
【0023】
本発明のセメント組成物は、無収縮性を確保することにより、例えば鉄筋継手の充填材として用いた場合、収縮に起因する連結強度低下の危険性を解消することができる。
【0024】
本発明のセメント組成物においては、特定の細骨材を必須の成分として含有する。即ち、細骨材としては、セメント組成物と水との混練物が200mm以上のフロー値を混練後60分以上保持することができ、かつ混練物の水和硬化体が120MPa以上の圧縮強度(材齢28日)を有するような性状が得られ易いものを使用する。このような細骨材としては、比重が3.4以上、好ましくは3.7〜7で、吸水率が0.5〜1.5%、好ましくは0.6〜1.4%であるものが好適に使用できる。比重を3.4以上にすることで、水/結合材比が低い場合であっても、経時的に安定した流動性が得られるとともに、高い圧縮強度を得ることができる。また、吸水率を1.5%以下にすることで、同様に水/結合材比の低い場合でも経時的に安定した流動性を得ることができる。一方、吸水率を0.5以上にすることで、強度発現性を向上させることができる。ここで吸水率とは、骨材の吸水量(表乾状態骨材中に含まれる水分量)を絶乾状態の骨材質量で除し、百分率で示した値である。なお、吸水率の試験方法はJIS A 1109「細骨材の比重及び吸水率試験方法」に準じて行った。
細い骨材は、上記比重と吸水率を満足するものであればいずれも使用することができる。一般に川砂、海砂、陸砂、砕砂、珪砂、磁鉄鉱砂、砂鉄および金属骨材などの細骨材は、単独では上記比重と吸水率の範囲外であるものが多いが、これらの細骨材を複数使用して、上記比重と吸水率を満足するように調整した混合砂については好適に使用することができる。また、本発明のセメント組成物を鉄筋継手の充填材として用いた場合に良好な充填性を得るために、細骨材の最大粒径は3mm未満とすることが好ましい。
【0025】
本発明のセメント組成物は、請求項1に示す特性が確保されるのであれば、上記成分以外の他の成分、例えば、増粘剤、消泡剤、防錆剤などを必要に応じて適宜含むものであっても良い。
【0026】
3.好ましい材料におけるそれらの配合割合について
以下に、配合割合の一例を示すため、本目的を達成するための好ましい系として、高ビーライト系セメントとシリカフュームと細骨材とセメント分散剤、更には石灰系混和材と有機系収縮低減剤と発泡剤をとり上げ、それらの配合割合を示す。
(1)高ビーライト系セメントとシリカフュームの配合割合
本発明において、高ビーライト系セメントとシリカフュームを併用する場合の配合割合は、重量比でセメント/シリカフューム=90/10〜98/2の割合で配合することが好ましく、この配合割合であれば、水結合材比が極めて低い場合(概ね26%以下)でも、比較的低い粘性の混練物が得られるため、良好な流動性(200mm以上のフロー値「JIS R 5201規定のフローコーンを用いた静置フロー」を60分以上保持)と良好な強度発現性(材齢28日の圧縮強度「JIS R 5201」が120MPa以上)が確保し易くなる。より好ましい配合割合は、重量比で高ビーライト系セメント/シリカフューム=92/8〜97/3である。
【0027】
(2)セメント分散剤の配合割合
ポリアルキレングリコール鎖を有するポリカルボン酸系高分子化合物を主成分とする分散剤を用いる場合の配合割合は、有効成分量として、高ビーライト系セメントとシリカフュームの合計100重量部に対し、通常0.1〜2重量部、好ましくは0.5〜1.5重量部である。この分散剤の配合量を0.1重量部以上にすることで、水結合材比が極めて低い場合(概ね26%以下)でも良好な流動性を確保することができる。また、2重量部以下にすることで硬化遅延等を生じることがなく、良好な流動性を確保することができる。
【0028】
(3)石灰系混和材、有機系収縮低減剤の配合割合
石灰系混和材の配合割合は高ビーライト系セメントとシリカフュームの合計100重量部に対し、通常1〜10重量部、好ましくは3〜8重量部である。石灰系混和材を用いた場合の配合量を1重量部以上にすることで、シリカフュームを配合したセメント組成物において、水結合材比が低い場合に顕著になる自己収縮を効果的に低減することができる。また、10重量部以下にすることで、流動性の悪化や過大な膨張による強度低下の危険性を極めて少なくすることができる。
【0029】
有機系収縮低減剤を用いる場合の配合割合は、有効成分量として、高ビーライト系セメントとシリカフュームの合計100重量部に対し、通常0.5〜5重量部、好ましくは1〜3重量部である。有機系収縮低減剤の配合量を0.5重量部以上にすることで、シリカフュームを配合したセメント組成物において、水結合材比が低い場合に顕著になる自己収縮を効果的に低減することができる。また、5重量部以下にすることで、凝結遅延による強度低下の危険性を極めて少なくすることができる。
【0030】
石灰系混和材と有機系収縮低減剤は併せて使用することもでき、その場合、各々の配合割合は特に限定されず、上記の範囲でそれぞれ添加することができるが、単独で使用する場合の配合割合に比べ、併用する割合に応じて減少させることができる。
【0031】
(4)発泡剤配合割合
発泡剤の配合割合は、金属粉末の場合は高ビーライトセメントとシリカフュームの合計100重量部に対して0.0001〜0.002重量部が好ましく、フルイドコークス等の炭素系化合物を加熱処理して得られる粒状材料の場合は0.1〜5重量部が好ましい。この範囲であれば過大膨張による強度低下などを生じることなく、本例の材料の組み合わせによるセメント組成物において、良好な無収縮性が確保できる。また、発泡剤、2種類以上を併用することもでき、その場合、各々の配合割合は特に限定されず、上記の範囲でそれぞれ添加することができるが、単独で使用する場合の配合割合に比べ、併用する割合に応じて減少させることができる。
【0032】
(5)細骨材の配合割合
細骨材の配合割合は、高ビーライト系セメントとシリカフュームの合計100重量部に対し40〜120重量部が好ましい。この範囲内であれば水量を低減した場合でもセメント組成物を容易に混練することができ、混練後の粘性増加が少ないため、良好な流動性を確保することができる。より好ましい配合割合は60〜100重量部である。
【0033】
本発明では、高い圧縮強度と良好で安定した流動性を両立させるために、添加する水量は、例えば、上記配合例においては、高ビーライト系セメントとシリカフュームの合計100重量部に対して16〜24重量%が好ましく、18〜22重量%がより好ましい。
【0034】
4.製造方法その他について
本発明のセメント組成物は、例えば、工場で上記材料を従来通りの方法で既調合(プレミックス)して、通常袋詰めなどの形態で施工現場に供給され、施工現場でミキサを用いて水と混練して使用される。混練方法は特に限定されない。また、混練に用いる装置も特に限定されるものではなく、ハンドミキサ、パン型ミキサ、二軸練りミキサ、傾胴ミキサ等の慣用のミキサなどを使用することができる。本発明のセメント組成物の用途も特に限定されないが、鉄筋継手の充填材のために使用することが好ましい。使用方法は従来の鉄筋継手用モルタル充填材と同じであり特に限定されない。
【0035】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例及び比較例に使用した材料は以下の通りである。
【0036】
〔使用材料〕
(1)セメント
実施例及び比較例に使用したセメントの化学成分及び比表面積を表1に示す。
【0037】
【表1】
Figure 0004090772
【0038】
(2)シリカフューム
平均粒径0.14μmで、カーボン含有量0.50%のシリカフュームを実施例及び比較例に使用した。
【0039】
(3)セメント分散剤
(A)ポリカルボン酸系高分子化合物を主成分とする粉末状セメント分散剤(略号:A)
メタクリル酸ナトリウム54モル%、メタリルスルホン酸ナトリウム7モル%、メチルアクリレート8モル%、メトキシポリ(n=40)エチレングリコールメタクリルレート16モル%並びにメトキシポリ(n=23)エチレングリコールメタクリルレート15モル%を重合させてなる分子量11900の高分子化合物を主成分とする固形分濃度45%の水溶液各800gに、pH調整のために10重量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液75.2gを加えて常温で約3分間撹拌し、次いで、亜硫酸ソーダ及びトリエタノールアミンを、高分子化合物の固形分100重量部に対して各0.5重量部添加し3分間撹拌した。これを処理容積が1Lのニーダー型混練撹拌機に入れて温度90℃、30torrの減圧下で混練しながら濃縮・乾燥を行った。得られた粉粒体を粉砕機で粉砕し、分級して粒径50〜500μmの粉末(A)を製造した。なお、該粉末の含水率は2.1重量%であった。
【0040】
(B)従来の粉末状セメント分散剤(略号:B)
比較例には、ナフタレンスルホン酸ホルマリン高縮合物(花王(株)製マイティー100)を使用した。
【0041】
(4)石灰系混和材
実施例及び比較例に使用した石灰系混和材の主要な化学成分及び比表面積を表2に示す。
【0042】
【表2】
Figure 0004090772
【0043】
(5)有機系収縮低減剤
有機系収縮低減剤として、商品名:テトラガードPW(有効成分60%の粉末状有機系収縮低減剤、主成分:オキシアルキレンアルキルエーテル)(太平洋マテリアル株式会社製)(略号:TG)を使用した。
【0044】
(6)発泡剤
発泡剤として、商品名:PERMANENT LIFE AGGREGATE(炭素系化合物を加熱処理して得られる粒状材料を主成分とする炭素系発泡剤)(INTERNATIONAL CONSTRUCTION PRODUCTS RESEARCH INC. 製)(略号:PL)を使用した。
【0045】
(7)細骨材
比較例に使用した細骨材の平均粒径、比重及び吸水率を表3に示す。また、これらの細骨材を混合して得られた混合砂の細骨材を、実施例及び比較例に使用した。これらの平均粒径、比重及び吸水率を表4に示す。
【0046】
【表3】
Figure 0004090772
【0047】
【表4】
Figure 0004090772
【0048】
〔セメント組成物の作製方法〕
上記の各材料を表5に表す配合量となるように、あらかじめプレミックスし、水を基材100重量部に対して所定量加えハンドミキサー(回転数1100r.p.m.)を用いて3分間混練してセメント組成物を作製した。
【0049】
【表5】
Figure 0004090772
【0050】
〔試験方法〕
▲1▼流動性:「JIS R 5201(セメントの物理試験方法)」に規定のフローコーンを用い、テーブルの落下運動を伴なわない静置フローを混練直後から60分経過後まで測定した。測定結果を表6に示す。
▲2▼圧縮強度:「JIS R 5201(セメントの物理試験方法)」に準じて、材齢28日の圧縮強度を測定した。測定結果を表6に示す。
▲3▼膨張率:土木学会基準「PCグラウト試験方法(容器方法)(JSCE−F533)」に準じて、材齢7日までの膨張率を測定した。測定結果を表6に示す。
【0051】
【表6】
Figure 0004090772
【0052】
表6に示すように、実施例1〜13は、200mm以上のフロー値を混練後60分以上保持し、安定して高い流動性を得ることができた。また、材齢28日の圧縮強度が120MPa以上であり、高い強度を得ることができた。さらに、材齢7日までの膨張率が0〜0.5%であり、良好な無収縮性を得ることができた。
【0053】
一方、比重3.3以下の細骨材を用いた比較例14、15、19及び21は、混練後60分のフロー値が180mm以下で、安定して高い流動性を得ることができず、かつ、圧縮強度も120未満であり、高い強度を得ることができなかった。また、比重が3.4以上であるが、吸水率が0.5未満である細骨材を用いた比較例16〜18及び20は、混練後60分のフロー値が210mm以上で、安定して高い流動性を得ることができたが、圧縮強度が120未満であり、高い強度を得ることはできなかった。
【0054】
また、発泡剤等を使用しなかった比較例22は、膨張率が−0.5%以下となり、無収縮性を得られなかった。また、石灰系混和材も有機系収縮低減剤も使用しなかった比較例23は、膨張率が0%以下で無収縮性が得られなかったとともに、圧縮強度も120未満で、高い強度も得られなかった。さらに、ポリカルボン酸系高分子化合物を主成分とするセメント分散剤を使用しなかった比較例24、シリカフュームを使用しなかった比較例25、及び高ビーライト系セメントを使用しなかった比較例26は、混練後60分のフロー値が140mm未満であり、安定して高い流動性を得ることはできなかった。
【0055】
【発明の効果】
上記説明したように、本発明によれば、良好な流動性と、高い圧縮強度と、良好な無収縮性とを有し、かつ、水以外の材料をプレミックスの形態で供給することもできるセメント組成物を提供することができる。

Claims (2)

  1. 高ビーライト系セメントと、シリカフュームと、ポリアルキレングリコール鎖を有するポリカルボン酸系高分子化合物を主成分とするセメント分散剤と、石灰系混和材もしくは有機系収縮低減剤のいずれか又はこれらの両方と、発泡剤と、比重が3.4以上で吸水率が0.5〜1.5%である細骨材とを含有するセメント組成物であって、
    このセメント組成物の水との混練物が200mm以上のフロー値を混練後60分以上保持することができ、かつ該混連物の水和硬化体は、材齢28日の圧縮強度が120MPa以上で、材齢7日までの膨張率が0〜1%となることを特徴とするセメント組成物。
  2. 上記セメント組成物が鉄筋継手の充填材用である請求項に記載のセメント組成物。
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