JP4085886B2 - 内燃機関の可変動弁装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、吸気及び排気バルブの駆動位相およびバルブリフト量を変更可能な内燃機関の可変動弁装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車用エンジン等の内燃機関の排出ガス対策あるいは燃費低減等のために、吸排気系のバルブの位相あるいはリフト量を、内燃機関の運転状態に応じて変化させることが知られている。そのための可変動弁装置として、油圧力によってカム位相を連続的に変化させるべ一ン式可変位相動弁装置が知られている。
【0003】
また、内燃機関の運転状態に応じて複数種類のカムを切換えることにより、バルブの駆動位相とリフト量を運転状態に適合させるカム切換式の動弁装置も知られている。
あるいは、ステッピングモータによって駆動されるギヤと中間レバーおよびリターンスプリング等を用い、バルブの駆動位相とリフト量を変化させることができるようにした機械式の連続可変動弁装置も知られている(例えば特許文献1)。
【0004】
【特許文献1】
特許第3245492号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ベーン式可変位相動弁装置は、べ一ンの位置を変化させることによってバルブの駆動位相を変更することができるが、バルブのリフト量を変化させることができない。
【0006】
これに対しカム切換式の動弁装置や機械式の連続可変動弁装置は、リフト量と位相をずらすことができるが、カム切換式の動弁装置は複数種類のカムを必要とするため部品数が多く構造も複雑になる。また機械式の連続可変動弁装置では、リフト量を変化させる機構と、位相を変化させる機構を別々に必要とし、構造が複雑化し、寸法も大きくなる。
【0007】
また、従来の一般的な連続位相可変動弁装置の場合、吸気バルブの閉弁時期を遅角させると開弁開始時期も遅角してしまう。このため、吸気および排気のバルブオーバーラップが減少あるいは無くなり、ポンピングロスによる燃費悪化が発生するなどの問題がある。
【0008】
本発明は、このような課題に鑑み創案されたもので、バルブオーバーラップの減少を招くことなく、且つ簡素な構成でバルブの駆動位相およびバルブリフト量を連続的に変化させることのできるようにした、内燃機関の可変動弁装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
このため、本発明の内燃機関の可変動弁装置は、内燃機関に回転自在に設けられたカムシャフトと、該内燃機関に設けられたロッカシャフトと、該カムシャフトに形成されたカムによって駆動されて吸気弁または排気弁を開閉するロッカアーム機構とを有し、該ロッカアーム機構が、該ロッカシャフトに揺動自在に支持され該吸気弁または該排気弁を駆動可能な第1アームと、該カムにより駆動され該ロッカシャフト側を支点として揺動する第2アームと、該ロッカシャフトの近傍に配置された支持軸に揺動自在に設けられ該第2アームの揺動により変位されて該第1アームを駆動する第3アームと、該第2アームの該ロッカシャフト側の上記支点を変位させる可変機構とをそなえ、該カムシャフト,該ロッカシャフト及び該ロッカアーム機構が、いずれも該内燃機関のクランク軸方向から見て対称となるように吸気弁側と排気弁側とにそれぞれ設けられるとともに、該吸気弁側と該排気弁側とで該カムシャフトの回転方向が同一に設定されていることを特徴としている。
【0010】
なお、該第2アームは、該ロッカシャフト側に設けた接続部材によって回動可能に接続される基端部と、該カムに当接する当接部と、該第3アームに当接する作動部とをそなえて構成されるとともに、該支持軸と該第3アームとの間には、該第2アームが該カムに当接する方向に該第3アームを付勢するスプリングが設けられているのが好ましい。
【0011】
また、該第3アームは、該第1アームと接する伝達面部を有し、該伝達面部は、該支持軸の中心からの距離が該第3アームの回転方向に変化する変換部をそなえているのが好ましい。
また、該可変機構は、該ロッカシャフトを回動させることにより該支点を変位させるとともに、該第2アームの該当接部を該カムのベース円の周方向に移動させることによって、該カムに対する該第2アームの回転位相を変化させるのが好ましい。
【0012】
さらに好ましくは、該伝達面部は、該支持軸の中心からの距離が該第3アームの回転方向に変化しない非変換部を有し、該第1アームが該非変換部に当接している間は、該第2アームが揺動駆動されても該第1アームの揺動がキャンセルされるように構成する。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図1〜図12を参照して、本発明の一実施形態にかかる内燃機関の可変動弁装置について説明すると、本発明が適用される内燃機関(エンジン)には、吸気弁及び排気弁のバルブリフト量及び開閉タイミングを変更可能な可変動弁装置が吸気弁側及び排気弁側にそれぞれ設けられている。なお、以下では、主に吸気弁側に設けられた可変動弁装置10について説明する。
【0014】
図1に示すように、可変動弁装置10は、図示しないクランクシャフトからの回転駆動力を受けて回転するカムシャフト20と、上記カムシャフト20と平行に配設されたロッカシャフト21と、カムシャフト20に形成されたカム22の回転運動によってバルブ(吸気弁)11を開閉駆動するロッカアーム機構23とを備えている。
【0015】
カムシャフト20は、図1に矢印R1で示す方向に回転するように構成されている。また、ロッカシャフト21は、図1に矢印R2で示す方向に所望の角度だけ位相を変更可能に構成されている。すなわち、可変動弁装置10には、図2に示すような可変機構25が設けられており、この可変機構25を図示しないECUからの制御信号に基づいて作動させることにより、ロッカシャフト21の位相が変更されるようになっている。なお、このようなロッカシャフト21の位相変更はモータを用いて行なってもよいし、油圧を用いて行なってもよい。
【0016】
また、図示するように、ロッカシャフト21には、例えばスタッドボルト等の球面状の自在継手部26を有する接続部材27が取り付けられている。
ロッカアーム機構23は、以下に説明する第1アーム31と、第2アーム32と、第3アーム(伝達カム)33を含んで構成されている。
このうち、第1アーム31は、ロッカシャフト21に相対回転自在(揺動自在)に支持されている。また、第1アーム31の先端部40にはアジャストスクリュー35が設けられており、カムシャフト20が矢印R1で示す方向に回動したとき、アジャストスクリュー35の先端が下降して、バルブ11を開弁方向に駆動するようになっている。なお、このアジャストスクリュー35によって、第1アーム31とバルブ11との間の遊びを調整できるようになっている。
【0017】
また、図1に示すように、アジャストスクリュー35の近傍には、ローラ等の力伝達部材36を備えた力伝達部37が設けられている。
また、図2に示すように、第1アーム31には、ロッカシャフト21が挿通するシャフト嵌挿部41,42を有しており、これらのシャフト嵌揮部41,42は、先端部40から二股状に分岐する形状に形成されている。
【0018】
また、図1に示すように、第2アーム32は、ロッカシャフト21とカムシャフト20との間に設けられている。この第2アーム32は、上述した自在継手部26に対して揺動自在に枢着された基端部50と、後述する第3アーム33の中継部66に当接する作動部51とを有している。
また、基端部50と作動部51との間に、カム22に転接するローラ等のカムフォロア52を有する当接部53が設けられている。これにより、第2アーム32は、カム22の回転に伴って、ロッカシャフト21側の自在継手部26の中心C1を支点として揺動することになる。
【0019】
そして、可変機構25によってロッカシャフト21の位相を変更させることで、第2アーム32の基端部50がロッカシャフト21の周方向に変位し、これに伴い当接部53がカム22の周方向に変位して、カム22に対する第2アーム32の回転位相が遅角側あるいは進角側に変化するようになっている。
なお、第2アーム32の少なくとも一部は、第2アーム32の当接部53がカム22のべース円22bに当接している状態において、上記シャフト嵌挿部41,42の間に位置している。
【0020】
このようにシャフト嵌挿部41,42の間に第2アーム32の一部を挟み込む構成によれば、第2アーム32とカム22との接触部あるいは第2アーム32と第3アーム33との接触部などに偏荷重が生じた場合でも、第2アーム32がロッカシャフト21の軸線方向に変位することを防止でき、偏摩耗等の不具合を防ぐことができる。
【0021】
また、ロッカシャフト21の上方には、ロッカシャフト21と平行に支持軸60が配置されており、この支持軸60に第3アーム(伝達カム)33が揺動自在に設けられている。第3アーム33は、リターンスプリング61によって、図1中の反時計回り方向、すなわち第2アーム32の当接部53をカム22に当接させる方向に付勢されている。
【0022】
第3アーム33には、第1アーム31の力伝達部37に接する伝達面部65と、第2アーム32の作動部51に当接する中継部66が設けられている。カム面として機能する伝達面部65は、第2アーム32が揺動することに伴って、第3アーム33の回転方向、すなわち支持軸60の周方向に変位する。
したがって、第2アーム32が揺動すると、力伝達部37と伝達面部65との接触位置が支持軸60の周方向に変位することになる。すなわちカム22の凸部22aによって第2アーム32が自在継手部26を中心として第3アーム33側に揺動され、中継部66を介して第3アーム33が時計回りに回動したとき、伝達面部65によって第1アーム31が矢印R3方向に回動することにより、バルブ1が開弁することになる。
【0023】
さらに詳しくは、伝達面部65は、支持軸60の中心C2からの距離が一定の非変換部70と、支持軸60の中心C2からの距離が第3アーム33の先端部33aに向かって増加する変換部71とを有している。
このうち非変換部70は、上述のように支持軸60の中心C2からの距離が一定のR形状に形成されており、これにより、力伝達部37が非変換部70に接している間は、第3アーム33が揺動しても力伝達部37が変位せず、第1アーム31の揺動がキャンセルされるようになっている。
【0024】
より詳しくは、非変換部70は、ロッカシャフト21の位相調整量(つまり、第2アーム32の進角量又は遅角量)にかかわらず、第1アーム31の揺動開始タイミングが略一定となるようにその区間が設定されている。つまり、可変機構25によりロッカシャフト21の位相が変更されると、カム22に対する第2アーム32の揺動タイミングが進角又は遅角することになるが、このような第2アーム32の位相調整時に第3アーム33が回動して力伝達部37に対する非変換部70の当接位置が変化することにより、第2アーム32の位相調整代がキャンセルされて第1アーム31の揺動開始タイミングを一定に保持することができるのである。
【0025】
また、変換部71を、第3アーム33の回転方向に関して支持軸60の中心C2からの距離が徐々に変化するように形成することにより、力伝達部37と変換部71とが当接している間は、第2アーム32の揺動を第3アーム33を介して第1アーム31に伝達することができるようになっている。
次に、上記可変動弁装置10の動作について説明する。
【0026】
図1はロッカシャフト21が可変機構25によって中立位置Nよりも角度θ1だけ遅角側に駆動された状態を示している。この場合、第2アーム32の当接部53は、カム22に対して中立点P1よりも遅角側(図1において左側)に角度αだけ変位している。また、第2アーム32の作動部51が図1において左側に変位している。
【0027】
この状態でカムシャフト20が矢印R1方向に回転し、図3に示すようにカム22の凸部22aが第2アーム32の当接部53を押上げると、第2アーム32が自在継手部26の中心C1を支点として反時計回りに回動する。このため第2アーム32の作動部51が中継部66を押し、第3アーム33が時計回りに回動する。これにより、伝達面部65の変換部71が力伝達部37を押すため、第1アーム31が回動してバルブ11が開弁する。
【0028】
この場合、図1に示すように開弁前に力伝達部37が変換部71の近傍に位置しているため、第3アーム33が時計回りに回転する際に、第3アーム33の伝達面部65のうち、力伝達部37と接する非変換部70が短くなる。
このため、カム角が小さいうちから第1アーム31がバルブ11を開弁させる方向に駆動され始め、しかも力伝達部37が変換部71を長い範囲にわたって接しながら第1アーム31が矢印R3方向に押される。このため大きなバルブリフト量H1(図3に示す)を得ることができる。
【0029】
したがって、この場合には、図4に曲線L1で示すように、バルブリフトが大きく、かつ、バルブリフトのピークが遅角する。この場合、高回転、高負荷の大吸気量に適したバルブ駆動となる。
図5は、ロッカシャフト21が可変機構25によって中立位置Nに駆動された状態を示している。この場合、第2アーム32の当接部53はカム22に対し上記中立点P1と一致している。また、この場合には、第2アーム32の作動部51が、図5において、図1に示す場合に比較して右側に僅かに変位し、この分だけ、第3アーム33が反時計回りに僅かに回転する。このため、図1に示すの状態と比較して、第1アーム31と第3アーム33との接点が、伝達面部65の非変換部70側にずれることになる。
【0030】
この状態でカムシャフト20が回転し、図6に示すようにカム22の凸部22aが第2アーム32の当接部53を押上げると、第2アーム32が自在継手部26の中心C1を支点として反時計回りに回動する。このため第2アーム32の作動部51が中継部66を押し、第3アーム33が時計回りに回動する、これにより、伝達面部65の変換部71が力伝達部37を押すため、第1アーム31が回動してバルブ11が開弁する。
【0031】
言い換えると、図5に示す閉弁時において、第1アーム31の力伝達部37から変換部71までの距離が少し長くなり、図1に示す場合よりも力伝達部37が非変換部70に接する距離が増大する。このため、第3アーム33が時計回りに回転する際に、非変換部70が力伝達部37と接して第1アーム31が駆動されない時間が増大する。また、その後力伝達部37が変換部71に接し始めると、第1アーム31が駆動されて吸気弁11が開弁される。
【0032】
このように、ロッカシャフト21を駆動して第2アーム32を進角させた場合であっても、この進角量に対応する分は、非変換部70が増大することによりキャンセルされて、開弁時期は図1に示す場合と同じとなる。
一方、このときのバルブリフト量H2(図6に示す)は、図1に示す場合に比べて低下しとなり、かつ、図4に曲線L2で示すようにバルブの閉弁時期は第2アーム32の進角量に応じて進角され、中回転、中負荷運転に適したバルブ駆動となる。
【0033】
図7は、ロッカシャフト21が可変機構25によって中立位置Nよりも角度θ2だけ進角側に駆動された状態を示している。この場合、第2アーム32の当接部53は、カム22に対して申立点P1よりも進角側(図1において右側)に角度βだけ変位している。また、第2アーム32の作動部51が図7において右側に変位し、第3アーム33が反時計図りに変位している。このため、図5の状態と比較して、第3アーム33の伝達面部65のうち、力伝達部37と接する非変換部70がさらに長くなり、結果として、変換部71がさらに短くなる。
【0034】
この状態でカムシャフト20が回転すると、図8に示すように、第2アーム32が進角している分だけ早いタイミングで、カム22の凸部22aが第2アーム32の当接部53を押上げ、第2アーム32が自在継手部26の中心C1を支点として反時計回りに回動する。このため第2アーム32の作動部51が中継部66を押し、第3アーム33が時計回りに回動する。
【0035】
この場合、第3アーム33の伝達面部65のうち、力伝達部37と接する非変換部70の期間(距離)が長いため、第3アーム33が駆動されても第1アーム3が揺動開始するまでの時間が大きくなり、結果的に第2アーム32の進角分がキャンセルされる。また、第2アーム32の揺動に伴って第3アーム33が時計回りに回転する際、力伝達部37が変換部71に接する距離は短くなるため、第1アーム31の回動量は僅かであり、バルブリフト量H3(図8に示す)が小さくなる。このため図4に曲線L3で示すように、低回転、低負荷運転に適したバルブ駆動状態となる。
【0036】
また、図7に示す状態からさらに第2アーム32をカム22に対して進角可能と設定することによって、図4のL4に示す休筒状態(バルブリフト量が極小またはゼロ)とすることができる。そして、エンジンの運転状態に応じて一部の気筒の運転を停止することで燃費の向上を図ることができる。
ところで、上述した可変動弁装置10では、図4の曲線L1の開弁開始から終了までの位相と、バルブリフト量を基準として、曲線L2,L3に示すように、ロッカシャフト21を可変機構25によって駆動した場合に、第2アーム32のカム22に対して進角させた期間が、第3アーム33の非変換部70と力伝達部37と接する期間を長くすることによってキャンセルされることにより、開弁開始時期を略一定とすることができる。
【0037】
したがって、この可変動弁装置10によれば、吸気弁の開弁時期を固定したまま閉弁時期を変化させることができるため、慣性吸気の脈動に合わせて閉弁時期を変化させることにより、吸入空気量の増大を図り、燃費低減の効果が得られる。
なお、慣性吸気とは、ピストンの吸入作用で生じた圧力の脈動が、吸気管内の吸気に慣性を起こすことを言う。この慣性吸気を利用して、吸気の脈動のピーク時期に吸気弁11を閉じ始めることにより、ピストンが下死点を過ぎても新気がシリンダ内に流入を続け、体積効率を高めることができる。エンジンの回転数によって脈動のピーク時期が異なるため、ピーク時期に合わせて吸気弁11を閉弁し始めることにより吸入空気量を増大できる。
【0038】
また、空気量を最適に制御することで良好な燃焼状態となり、未燃物等が減少して排出ガス成分が良化する。
ところで、ここまでは吸気側に設けられた可変動弁装置10の構成及び動作について説明したが、本発明が適用されるエンジンには、図9に示すように、排気側にも吸気側と同様に、カムシャフト120,ロッカシャフト121及びロッカアーム機構123からなる可変動弁装置110が設けられている。
【0039】
ここで、この排気側の可変動弁装置110は、吸気側の可変動弁装置10に対してクランクシャフト軸方向から見て左右対称となるように構成されたものであって、これ以外は吸気側の可変動弁装置10と同様に構成されている。このため、排気側の可変動弁装置110の詳細な構成については説明を省略する。
また、この可変動弁装置に110にも、吸気側の可変動弁装置10と同様にロッカシャフト121の位相を変更する可変機構(図示省略)が設けられており、吸気側及び排気側のロッカシャフト21,121はそれぞれ独立して位相調整可能に構成されている。
【0040】
また、図示するように、カムシャフト20,120は吸気側と排気側とで、同じ方向に回転するように構成されている。これは、図10に示すように、吸気弁11の開弁時期を一定にするとともに、排気弁の閉弁時期を一定にするためであり、換言すれば、各可変動弁装置10,110を作動させても、バルブオーバラップを常に一定に保持するためである。
【0041】
ここで、上述したように、排気側の可変動弁装置110と吸気側の可変動弁装置10とは左右対称に構成されているため、吸気側と排気側とでカムシャフト20,120の回転方向も左右対称とすると(つまりカムシャフト20,120の回転方向を吸気側と排気側とで反対方向とすると)、排気弁のバルブリフト特性も吸気側と同様の特性(図4参照)となる。換言すれば、この場合、ロッカシャフトの位相を変更すると、排気弁の開弁時期がほぼ一定で、閉弁時期が異なるような特性となり、バルブオーバラップを一定に保つことができなくなる。
【0042】
そこで、本願発明では、吸気側と排気側とで可変動弁装置を左右対称に構成するとともに、カムシャフト20,120の回転方向を同一に設定することで、排気弁の閉弁時期をほぼ一定として、吸気弁11とのバルブオーバラップとをほぼ一定に保持しているのである。
なお、吸気側と排気側とで可変動弁装置を左右対称とせずに同じ配置とし、且つカムシャフトの回転方向を反対方向に設定すれば、図10に示すようなバルブリフト特性を得ることも可能ではあるが、このような構成は現実的ではない。つまり、一般にエンジンでは、動弁装置の機構上の制約やレイアウト上の制約により吸気側と排気側とで動弁機構を左右対称に構成せざるを得ない場合が多く、このような事情を鑑みれば、吸気側と排気側とで可変動弁装置を左右対称に設置するのが望ましい。したがって、本願発明では、吸気側と排気側とで可変動弁装置を左右対称に設置した上で、カムシャフト20,120の回転方向を吸気側と排気側とで同じ方向に設定しているのである。
【0043】
ところで、従来の一般的な連続位相可変動弁装置の場合、バルブの閉弁時期を遅角させると開弁時期も遅角してしまう。このため、吸気および排気のバルブオーバーラップが減少あるいは無くなり、ポンピングロスが発生する。
これに対して上記可変動弁装置10,110によれば、吸気弁11の開弁時期を固定した状態で閉弁時期を進角又は遅角させることができ、且つ、排気弁の閉弁時期を固定した状態で開弁時期を進角又は遅角させることができるので、バルブオーバーラップを保ったまま吸気弁の閉弁時期を遅角させることにより、吸入空気量増加の効果が得られ、このため燃費低減の効果が得られる。
【0044】
また、このような可変動弁装置10,110を設けることにより、吸入空気量を制御するための吸気または排気絞りを設ける必要もなく、コスト低減が可能となる。
本発明の一実施形態としての内燃機関の可変動弁装置は上述のように構成されているので、例えば以下のように吸気側及び排気側の可変動弁装置の作動が制御される。
▲1▼全負荷時又は加速時
この場合には、図11に示すように吸気弁11及び排気弁の両方ともバルブリフトが最大(リフト量L1相当)となるように制御される。これにより、全負荷時又は加速時には吸排気効率優先のバルブリフト特性となり、エンジンの性能を優先させたバルブリフト特性となる。
▲2▼始動時
始動性向上のためにはクランキング時のシリンダ内圧縮時温度を高めるのが効果的である。このため始動時には、例えば図12に示すように、排気弁が高リフトL1となるように制御されるとともに吸気弁11が中リフトL2〜低リフトL3となるように制御される。これは、エンジンの低回転運転時は、高回転運転時に対して相対的に吸気弁閉弁時期を早めた方が若干バルブリフト量が小さくなっても吸気流量が増大し、この結果シリンダ内圧縮時温度が上昇するからである。
【0045】
そして、このようにエンジン始動時に排気弁を高リフトL1、吸気弁11を中リフトL2〜低リフトL3の特性に設定することにより始動性が向上する。
▲3▼後処理装置活性化時(その1)
排ガス温度が高いほど、浄化性能が向上する後処理装置(例えば酸化触媒)を用いる場合、この後処理装置を活性化させときには、上記始動時と同様に、排気弁が高リフトL1になるように制御されるとともに、吸気弁11が中リフトL2〜低リフトL3となるように制御される。この場合には、上述のように吸気流量が低下するので、この分だけ空燃比がリッチとなり、排気温度を上昇させることができる。
▲4▼後処理装置活性化時(その2)
また、排ガスの後処理装置を活性化させる場合には、一部の気筒(通常は前記等の半数の気筒)について両バルブリフトが0となるように制御して休筒運転を実行する。このとき、非休筒時と同等の出力が要求された場合、休筒運転時における作動気筒は非休筒時に対して1気筒当たりの仕事量が大きい。つまり、1気筒当たりの燃料消費量が多いので排気温度が非休筒運転時に対して大幅に上昇する。
▲5▼空車時一定速度運転
また、車両の積載状態が空車状態であって略一定の速度で走行しているときにも、上述と同様に、一部の気筒について両バルブリフトが0となるように制御される。これにより一部の気筒が休筒状態となる。これにより、作動気筒は非作動気筒に比べ高負荷運転となり燃費が向上し、燃料消費量を低減することができる。
▲6▼NOx低減
また、通常の運転時には、排気弁が中〜低リフトとなるように制御されるとともに吸気弁11が高リフトとなるように制御される。そして、このようなバルブリフト特性とすることで、筒内の燃焼ガスをすべて排出せずに一部を残留させて内部EGRを高めることができ、NOxを低減することができるという利点がある。
【0046】
なお、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。例えば、吸気側及び排気側の可変動弁装置について、図13に示すように構成してもよい。ここで、この可変動弁装置10Aは、第2アーム32の基端部50側に二股部32a,32bが形成されたものであり、第1アーム31の少なくとも一部が上記二股部32a,32b間に位置するように構成したものである。また。これ以外の構成と作用および効果については、上記の実施形態の可変動弁装置10と同様であるため、共通の部材には同じ符号を付して説明は省略する。
【0047】
このように、二股部32a,32bの間に第1アーム31の一部を挟み込むように構成にした場合にも、第2アーム32とカム22との接触部、あるいは第2アーム32と第3アーム33との間の接触部などに偏荷重が生じた場合に、第2アーム32がロッカシャフト21の軸線方向に変位することを防止できるので、偏摩耗等の不具合を防ぐことができる。
【0048】
また、これ以外にも例えば図14に示すように構成してもよい。この可変動弁装置10Bは、第1アーム31のシャフト嵌挿部31aが二股状になっていない点で、上記実施形態の可変動弁装置10と相違する。また、これ以外の構成については、上記第1の実施形態の可変動弁装置10と同様であるため、共通の部材には同じ符号を付して説明は省略する。
【0049】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の内燃機関の可変動弁装置によれば、バルブオーバーラップの減少を招くことなく、比較的簡素な構成でバルブの駆動位相およびバルブリフト量を連続的に変化させることができることができるという利点がある(請求項1)。
【0050】
第3アームを付勢するスプリングを設けることにより、第2アームが常にカムに当接するように第2アームと第3アームの位置を保持することができる(請求項2)。
また、第3アームの伝達面部に、支持軸の中心からの距離が変化する変換部を設けたことにより、第2アームの揺動量が第3アームにより変換されて第1アームに伝達される。このため、第2アームのロッカシャフト側の支点の位置を可変機構によって移動させることにより、吸気または排気バルブのリフト量を変化させることができる(請求項3)。
【0051】
また、上記支点をロッカシャフトの軸まわりに変位させる可変機構により、吸気または排気バルブの駆動位相を連続的に変化させることができる(請求項4)。
該第1アームが該非変換部に当接している間は、該第2アームが揺動駆動されても該第1アームの揺動がキャンセルされるので、バルブリフト量にかかわらず開弁時期又は閉弁時期を略同一にすることができる(請求項5)。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る内燃機関の可変動弁装置を示す模式図であって、位相が遅角した状態を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る内燃機関の可変動弁装置を示す模式図であって、図1の上面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る内燃機関の可変動弁装置を示す模式図であって、位相が遅角した状態における開弁時を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る内燃機関の可変動弁装置のカム角とバルブリフトとの関係を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る内燃機関の可変動弁装置を示す模式図であって、位相が中立の状態を示す図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る内燃機関の可変動弁装置を示す模式図であって、位相中立状態における開弁時を示す図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る内燃機関の可変動弁装置を示す模式図であって、位相が進角した状態を示す図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る内燃機関の可変動弁装置を示す模式図であって、位相が進角した状態における開弁時を示す図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る内燃機関の可変動弁装置の全体構成を示す模式図である。
【図10】本発明の一実施形態に係る内燃機関の可変動弁装置の作用について説明する図であって、吸気弁及び排気弁のバルブリフト線図である。
【図11】本発明の一実施形態に係る内燃機関の可変動弁装置の作用について説明する図であって、全負荷時及び加速時の吸気弁及び排気弁のバルブリフト線図である。
【図12】本発明の一実施形態に係る内燃機関の可変動弁装置の作用について説明する図であって、始動時の吸気弁及び排気弁のバルブリフト線図である。
【図13】本発明の一実施形態に係る内燃機関の可変動弁装置の変形例を示す模式図である。
【図14】本発明の一実施形態に係る内燃機関の可変動弁装置の変形例を示す模式図である。
【符号の説明】
10,10A,10B,110 可変動弁装置
11 吸気弁
20,120 カムシャフト
21,121 ロッカシャフト
22, カム
23,123 ロッカアーム機構
25 可変機構
26 自在継手部
27 接続部材
31 第1アーム
32 第2アーム
33 第3アーム
37 力伝達部
60 支持軸
61 スプリング
65 伝達面部
70 非変換部
71 変換部
Claims (5)
- 内燃機関に回転自在に設けられたカムシャフトと、
該内燃機関に設けられたロッカシャフトと、
該カムシャフトに形成されたカムによって駆動されて吸気弁または排気弁を開閉するロッカアーム機構とを有し、
該ロッカアーム機構が、
該ロッカシャフトに揺動自在に支持され該吸気弁または該排気弁を駆動可能な第1アームと、
該カムにより駆動され該ロッカシャフト側を支点として揺動する第2アームと、
該ロッカシャフトの近傍に配置された支持軸に揺動自在に設けられ該第2アームの揺動により変位されて該第1アームを駆動する第3アームと、
該第2アームの該ロッカシャフト側の上記支点を変位させる可変機構とをそなえ、
該カムシャフト,該ロッカシャフト及び該ロッカアーム機構が、いずれも該内燃機関のクランク軸方向から見て対称となるように吸気弁側と排気弁側とにそれぞれ設けられるとともに、該吸気弁側と該排気弁側とで該カムシャフトの回転方向が同一となるように設定されている
ことを特徴とする、内燃機関の可変動弁装置。 - 該第2アームは、該ロッカシャフト側に設けた接続部材によって回動可能に接続される基端部と、該カムに当接する当接部と、該第3アームに当接する作動部とをそなえて構成されるとともに、
該支持軸と該第3アームとの間には、該第2アームが該カムに当接する方向に該第3アームを付勢するスプリングが設けられている
ことを特徴とする、請求項1記載の内燃機関の可変動弁装置。 - 該第3アームは、該第1アームと接する伝達面部を有し、
該伝達面部は、該支持軸の中心からの距離が該第3アームの回転方向に変化する変換部をそなえている
ことを特徴とする、請求項1又は2記載の内燃機関の可変動弁装置。 - 該可変機構は、該ロッカシャフトを回動させることにより該支点を変位させるとともに、該第2アームの該当接部を該カムのベース円の周方向に移動させることによって、該カムに対する該第2アームの回転位相を変化させる
ことを特徴とする、請求項2又は3記載の内燃機関の可変動弁装置。 - 該伝達面部は、該支持軸の中心からの距離が該第3アームの回転方向に変化しない非変換部を有し、該第1アームが該非変換部に当接している間は、該第2アームが揺動駆動されても該第1アームの揺動がキャンセルされる
ことを特徴とする、請求項3又は4記載の内燃機関の可変動弁装置。
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