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JP4078184B2 - ディスク装置およびその制御方法 - Google Patents

ディスク装置およびその制御方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、記録媒体であるディスクの目標トラックにヘッドを位置決めするディスク装置において、装置に加わる外乱に起因してヘッドがトラックずれを起こすことを抑制するための技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、情報記録用のディスク装置は、小型化、大容量化が急速に進んでいる。例えば磁気ディスク装置の大容量化については、磁気ディスクのトラック密度の高密度化が進み、トラックピッチはさらに狭くなる傾向にある。そのため、ディスクにデータを記録、再生する上で、狭いトラックピッチで形成された目標トラックに磁気ヘッドを高精度で位置決めすることが必要になってきている。
【0003】
従来、例えば磁気ディスク装置においては、磁気ヘッドを位置決めするために磁気ディスクにサーボ情報を予め記録、形成しておき、このサーボ情報に従ってヘッドの位置決め制御が行われていた。すなわち、サーボ情報をヘッドで読み取ることにより、目標トラックに対するヘッドの位置誤差を示す位置誤差信号を生成し、この位置誤差信号の大きさを最小にするようにヘッドを位置決め制御していた。
【0004】
この場合に、ヘッドの位置決め精度を高くするための一手法として、ヘッドの位置決め制御系の制御周波数を高く設定し、ヘッドを目標トラックに位置決めするトラックフォローイングの動作を迅速化して必要な位置決め精度を確保していた。
【0005】
ところで、位置決め手段のアクチュエータ自体には高次の固有機械共振が存在する場合がある。位置決め精度を高くするために制御周波数を高くすると、その固有機械共振により位置決め制御系が不安定になってしまう。実際にはアクチュエータ自体の固有機械共振により、制御周波数の帯域が制限され、位置決め制御系の制御周波数を高くすることには限界があった。近年のトラック密度の高密度化およびアクチュエータの小型軽量化により、アクチュエータに作用する外乱が位置決め制御系に及ぼす影響は大きくなってきている。しかも、ディスク装置の小型化と高記録密度化に伴って、ヘッドの高精度位置決めに対する要求は厳しくなる一方である。そこで、ヘッドの位置決め精度を高くする別の手法として、位置決め精度悪化の要因となるアクチュエータに作用する外乱(軸受摩擦や弾性力、衝撃や振動により受ける慣性力など)を低減することが行われている。すなわち、サーボ情報から得たヘッド位置信号とアクチュエータに対する駆動信号とに基づいて外乱を推定し、フィードフォワード制御により外乱を補償する。これにより、ヘッドの位置決め精度を高くする方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平9−231701号公報(第4−5頁、図1−2)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記の従来の技術で述べたディスク装置においては、アクチュエータの軸受摩擦やアクチュエータと電子回路基板とを接続するフレキシブルプリント回路(FPC)の弾性力やディスク装置に外部から加わる衝撃や振動によりアクチュエータが受ける慣性力などの外乱を推定するための外乱推定手段を設けている。この外乱推定手段は、ヘッド位置信号とアクチュエータの駆動信号とを入力して作用させている。しかしながら、ディスクに記録されたサーボ情報は一定のサンプリング周期をもつ離散的な状態でディスクに記録されているため、ヘッド位置信号は連続信号ではない。外乱推定手段が外乱を推定できる制御帯域は、セクタサーボのサンプリング周波数の影響を受け、上限が存在することになる。この上限の存在が、アクチュエータに加わる外乱を常に正確に推定して、アクチュエータに加わる外乱の影響を、実使用において何ら支障を生じさせないまで軽減することをきわめて難しくしていた。その結果、ヘッドを目標トラックに対して常に正確に追従させることができないという課題が生じていた。
【0008】
さらに、アクチュエータの駆動コイルの抵抗値にばらつきがあったり、あるいは駆動コイルに駆動電流を通電したときに発熱し温度上昇のため抵抗値が変化したりすると、外乱推定手段を含めた位置決め制御系が不安定になるという課題も残されていた。
【0009】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、アクチュエータに作用する外乱を正確に検出し、目標トラックに対するヘッドの位置決め精度を向上させ、かつ安定に動作させるとともに、アクチュエータの駆動コイルの抵抗値がばらついたり、抵抗値変化があるときでも、ヘッドの位置決め精度を低下させることのないディスク装置を実現することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
アクチュエータ手段に加わる軸受摩擦や弾性力、衝撃や振動により受ける慣性力などによる外乱を打ち消すために、その外乱の大きさを推定する。この外乱の大きさの推定に際して、2つの要素を用いる。1つは、アクチュエータ手段の駆動において誘起される電圧を検出し、その検出結果としての電圧信号を用いる。もう1つは、アクチュエータ手段の駆動手段における駆動信号である。ここで、駆動手段における駆動信号としては、駆動手段に入力するものであってもよいし、あるいは、駆動手段から出力するものであってもよい。また、駆動手段における駆動信号に代えて、その駆動信号を生成するもとになる位置制御信号を用いてもよい。すなわち、外乱の大きさを推定するための外乱推定手段を設け、この外乱推定手段をもって、アクチュエータ手段の駆動において誘起される電圧を電圧検出手段が検出した電圧信号と駆動手段における駆動信号または位置制御信号とを入力として、外乱推定信号を生成させる。2つの要素に基づいて生成した外乱推定信号は、ヘッドに実際に加わる外乱の大きさを正確に推定したものとなる。この結果、アクチュエータ手段が受ける外乱の大きさを正確に推定することができる。その推定にかかわる外乱が外乱推定信号となる。外乱推定手段は、駆動信号、位置制御信号のいずれかと、アクチュエータ手段の駆動で誘起される電圧信号とに基づいて外乱推定信号を生成するものであり、誘起される電圧信号は連続した信号である。そのため、ディスクに離散的な状態で記録されているサーボ情報を読み取った結果の不連続なヘッド位置信号を用いて外乱を推定する従来技術に比べて、外乱の推定をより正確に行うことができる。
【0011】
一方、駆動コイルの抵抗値ばらつき、抵抗値変化がある場合、オープンループゲインが零になるゲイン交点周波数での位相に位相余裕がなくなり、制御系が不安定になる。そこで、本発明では、駆動信号をヘッド位置の位置制御信号と外乱推定信号とに基づいて生成するにおいて、フィルタ手段によって外乱推定信号の高域周波数成分を遮断してフィルタ信号となす。その上でヘッド位置の位置制御信号とフィルタ信号とを合成することにより駆動信号を生成している。
【0012】
このように構成することにより、フィルタ低域遮断周波数より周波数の高い高域周波数成分はフィルタ手段により遮断される。外乱推定手段の出力する外乱推定信号の高域周波数成分は、等価的に駆動信号には含まれないことになる。その結果、アクチュエータ手段の駆動コイルの抵抗値が抵抗ばらつきや温度上昇のために変化しても、ゲイン交点周波数での位相余裕を確保でき、安定なヘッド位置決め制御系を構成することができる。
【0013】
以上のようにして正確に推定した外乱推定信号をもってアクチュエータ手段に加わる外乱を打ち消すように、補正手段において、上記のフィルタリング後の外乱推定信号(フィルタ信号)を位置制御手段からの位置制御信号に合成して駆動信号を生成する。その駆動信号を用いてヘッドのアクチュエータ手段を駆動することにより、アクチュエータ手段に加わる軸受摩擦や弾性力や慣性力などの外乱を良好に打ち消すことができる。すなわち、アクチュエータ手段に作用する外乱に対する補償を行うことができるので、目標トラックに向かうフォローイング動作時にアクチュエータ手段に作用する外乱の変動が大きくても、ヘッドの目標トラックへの位置決め制御を安定に行うことができる。さらには、アクチュエータ手段の駆動コイルの抵抗値が抵抗ばらつきや温度上昇のために変化しても、ヘッドの目標トラックへの位置決め制御を安定に行うことができる。すなわち、より多様な条件変化に対して、位置決め精度を向上させることができる。また、その副次的効果として、実質的に、トラック密度の向上を可能となし、大容量のディスク装置の実現化を促すことができる。
【0014】
別の解決手段として、本発明は、次のような手段を講じる。外乱推定手段において、k1を1よりも大きい実数の係数として、駆動信号をk1倍して得られた信号と電圧信号とに基づいて外乱推定信号を生成する。そして、k2を1よりも大きい実数の係数として、補正手段において、外乱推定信号を1/k2倍した信号と位置制御信号を合成して駆動信号を生成する。これによって、位置誤差信号からヘッド位置までのオープンループゲインの変化が小さなものに抑えられる。その結果、アクチュエータ手段の駆動コイルの抵抗値が、抵抗ばらつきや温度上昇により変化しても位置決め制御系を安定化することができる。なお、この場合に、上記のフィルタ手段を併用すれば、さらに好ましい結果が得られる。
【0015】
以下、上記で説明した本発明をより具体的レベルで記述する。
【0024】
の解決手段として、本発明によるディスク装置は、ディスクに対してヘッドの位置決めを行うアクチュエータ手段と、入力される駆動信号に応じて前記アクチュエータ手段を駆動する駆動手段と、前記アクチュエータ手段の駆動において誘起される電圧を検出し、電圧信号を出力する電圧検出手段と、1よりも大きい実数の係数をk1として、前記駆動信号をk1倍した信号と前記電圧信号から前記ヘッドに加わる外乱の大きさを推定し、外乱推定信号を生成する外乱推定手段と、前記ディスクに予め記録され、前記ヘッドにより検出されるサーボ情報から前記ヘッドの現在位置に対応した位置誤差信号を生成し、出力する位置検出手段と、前記位置誤差信号に対応した位置制御信号を生成し、出力する位置制御手段と、前記位置制御信号と前記外乱推定信号が入力され、1よりも大きい実数の係数をk2として、前記外乱推定信号を1/k2倍した信号と前記位置制御信号とを合成して前記駆動信号を生成し、出力する補正手段とを具備している。なお、この構成において、駆動手段における駆動信号としては、駆動手段に入力するものであってもよいし、あるいは、駆動手段から出力するものであってもよく、この点は以下でも同様である。
【0025】
この第の解決手段による作用は次のとおりである。外乱推定手段は、アクチュエータ手段を駆動するための駆動手段に与える駆動信号とアクチュエータ手段から検出した電圧信号とに基づいて、アクチュエータ手段が受ける外乱の大きさを正確に推定することができる。その推定にかかわる外乱が外乱推定信号である。ここで、特に、目標トラックにヘッドを追従させるフォローイング動作時において駆動信号と電圧信号とからアクチュエータ手段に加わる外乱の大きさを正確に推定できることが重要である。それは、アクチュエータ手段から検出した電圧信号は、アクチュエータ手段の駆動において誘起された電圧であって、ディスクに記録されているサーボ情報が離散的なものであるのとは違って、連続的な信号となっているからである。
以上のようにして正確に推定した外乱推定信号をもってアクチュエータ手段に加わる外乱を打ち消すように、その外乱推定信号をフィルタ手段を介して高域周波数成分を遮断した後、位置制御手段が出力する位置制御信号に合成して駆動信号を生成する。その駆動信号をもってヘッドのアクチュエータ手段を駆動すれば、アクチュエータ手段に加わる外乱を良好に打ち消すことができる。すなわち、アクチュエータ手段に作用する外乱に対する補償を行うことができるので、目標トラックに向かうフォローイング動作時に外乱の変動が大きくても、ヘッドの目標トラックへの位置決め制御を安定に行うことができる。特に、アクチュエータ手段の駆動コイルの抵抗値が抵抗ばらつきや温度上昇のために変化しても、ヘッドの目標トラックへの位置決め制御を安定に行うことができる。すなわち、より多様な条件変化に対して、位置決め精度を向上させることができる。
さらに、駆動信号は、k1倍(k1>>1)した上で外乱推定手段に与えるとともに、外乱推定信号は、1/k2倍(k2>>1)した上で補正手段に与えているので、位置誤差信号からヘッド位置までのオープンループゲインの変化を小さく抑えることができる。これにより、アクチュエータ手段の駆動コイルの抵抗値が、抵抗ばらつきや温度上昇により変化しても位置決め制御系を安定化することができる。すなわち、より多様な条件変化に対しても、位置決め精度を向上させることができる。なお、この場合に、第1の解決手段におけるフィルタ手段を併用すれば、さらに好ましい結果が得られる。
【0026】
上記第の解決手段をディスク装置の制御方法として記述すると、次のようになる。すなわち、ディスクに予め記録され、ヘッドにより検出されるサーボ情報から前記ヘッドの現在位置に対応した位置誤差信号を生成し、前記位置誤差信号に対応した位置制御信号を生成し、1よりも大きい実数の係数をk1として、前記ヘッドの位置決めを行うアクチュエータ手段の駆動信号をk1倍した信号と前記アクチュエータ手段の駆動において誘起される電圧信号から前記ヘッドに加わる外乱の大きさを推定して外乱推定信号を生成し、1よりも大きい実数の係数をk2として、前記外乱推定信号を1/k2倍した信号と前記位置制御信号とを合成して前記駆動信号を生成し、前記駆動信号により前記ディスクに対して前記ヘッドの位置決めを行う。このディスク装置の制御方法によれば、上記同様の作用を発揮する。
【0027】
の解決手段として、本発明によるディスク装置は、ディスクに対してヘッドの位置決めを行うアクチュエータ手段と、入力される駆動信号に応じてアクチュエータ手段を駆動する駆動手段と、アクチュエータ手段の駆動において誘起される電圧を検出し、電圧信号を出力する電圧検出手段と、ディスクに予め記録され、ヘッドにより検出されるサーボ情報からヘッドの現在位置に対応した位置誤差信号を生成し、出力する位置検出手段と、位置誤差信号に対応した位置制御信号を生成し、出力する位置制御手段と、1よりも大きい実数の係数をk1として、位置制御信号をk1倍した信号と電圧信号からヘッドに加わる外乱の大きさを推定し、外乱推定信号を生成する外乱推定手段と、位置制御信号と外乱推定信号とが入力され、1よりも大きい実数の係数をk2として、外乱推定信号を1/k2倍した信号と位置制御信号を合成して駆動信号を出力する補正手段とを具備した構成を有している。
【0028】
この構成により、外乱推定手段は、アクチュエータ手段を駆動するため駆動手段に与えるように位置制御手段から出力された位置制御信号とアクチュエータ手段から検出した電圧信号とに基づいて、アクチュエータ手段が受ける外乱の大きさを正確に推定することができる。特に、目標トラックにヘッドを追従させるフォローイング動作時において位置制御信号と電圧信号とからアクチュエータ手段に加わる外乱の大きさを正確に推定できることとなり、正確に推定した外乱推定信号をもってアクチュエータ手段に加わる外乱を打ち消すように、その外乱推定信号を位置制御手段が出力する位置制御信号に合成して駆動信号を生成する。その駆動信号をもってヘッドのアクチュエータ手段を駆動すれば、アクチュエータ手段に加わる軸受摩擦や弾性力や慣性力などの外乱を良好に打ち消すことができる。すなわち、アクチュエータ手段に作用する外乱に対する補償を行うことができるので、目標トラックに向かうフォローイング動作時に外乱の変動が大きくても、さらには、アクチュエータ手段の駆動コイルの抵抗値が抵抗ばらつきや温度上昇のために変化しても、ヘッドの目標トラックへの位置決め制御を安定に行うことができる。すなわち、より多様な条件変化に対して、位置決め精度を向上させることができる。
【0029】
上記第の解決手段をディスク装置の制御方法として記述すると、次のようになる。すなわち、ディスクに予め記録され、ヘッドにより検出されるサーボ情報から前記ヘッドの現在位置に対応した位置誤差信号を生成し、前記位置誤差信号に対応した位置制御信号を生成し、1よりも大きい実数の係数をk1として、前記位置制御信号をk1倍した信号と前記アクチュエータ手段の駆動において誘起される電圧信号から前記ヘッドに加わる外乱の大きさを推定して外乱推定信号を生成し、1よりも大きい実数の係数をk2として、前記外乱推定信号を1/k2倍した信号と前記位置制御信号を合成して前記駆動信号を生成し、前記駆動信号により前記ディスクに対して前記ヘッドの位置決めを行う。このディスク装置の制御方法によれば、上記同様の作用を発揮する。
【0031】
の解決手段として、本発明によるディスク装置は、ディスクに対してヘッドの位置決めを行うアクチュエータ手段と、入力される駆動信号に応じて前記アクチュエータ手段を駆動する駆動手段と、前記アクチュエータ手段の駆動において誘起される電圧を検出し、電圧信号を出力する電圧検出手段と、1よりも大きい実数の係数をk1として、前記駆動信号をk1倍した信号と前記電圧信号から前記ヘッドに加わる外乱の大きさを推定し、外乱推定信号を生成する外乱推定手段と、前記ディスクに予め記録され、前記ヘッドにより検出されるサーボ情報から前記ヘッドの現在位置に対応した位置誤差信号を生成し、出力する位置検出手段と、前記位置誤差信号に対応した位置制御信号を生成し、出力する位置制御手段と、前記位置制御信号と前記外乱推定信号が入力され、1よりも大きい実数の係数をk2として、前記外乱推定信号を1/k2倍した信号の高域周波数成分を遮断してフィルタ信号を生成し、前記位置制御信号と前記フィルタ信号とを合成して前記駆動信号を生成し、出力する補正手段とを具備した構成を有している。
【0032】
上記第の解決手段をディスク装置の制御方法として記述すると、次のようになる。すなわち、ディスクに予め記録され、ヘッドにより検出されるサーボ情報から前記ヘッドの現在位置に対応した位置誤差信号を生成し、前記位置誤差信号に対応した位置制御信号を生成し、1よりも大きい実数の係数をk1として、前記ヘッドの位置決めを行うアクチュエータ手段の駆動信号をk1倍した信号と前記アクチュエータ手段の駆動において誘起される電圧信号から前記ヘッドに加わる外乱の大きさを推定して外乱推定信号を生成し、1よりも大きい実数の係数をk2として、前記外乱推定信号を1/k2倍した信号の高域周波数成分を遮断してフィルタ信号を生成し、前記位置制御信号と前記フィルタ信号とを合成して前記駆動信号を生成し、前記駆動信号により前記ディスクに対して前記ヘッドの位置決めを行う。
【0033】
また、第の解決手段として、本発明によるディスク装置は、ディスクに対してヘッドの位置決めを行うアクチュエータ手段と、入力される駆動信号に応じて前記アクチュエータ手段を駆動する駆動手段と、前記アクチュエータ手段の駆動において誘起される電圧を検出し、電圧信号を出力する電圧検出手段と、前記ディスクに予め記録され、前記ヘッドにより検出されるサーボ情報から前記ヘッドの現在位置に対応した位置誤差信号を生成し、出力する位置検出手段と、前記位置誤差信号に対応した位置制御信号を生成し、出力する位置制御手段と、1よりも大きい実数の係数をk1として、前記位置制御信号をk1倍した信号と前記電圧信号から前記ヘッドに加わる外乱の大きさを推定し、外乱推定信号を生成する外乱推定手段と、前記位置制御信号と前記外乱推定信号が入力され、1よりも大きい実数の係数をk2として、前記外乱推定信号を1/k2倍した信号の高域周波数成分を遮断してフィルタ信号を生成し、前記位置制御信号と前記フィルタ信号とを合成して前記駆動信号を生成し、出力する補正手段とを具備した構成を有している。
【0034】
上記第の解決手段をディスク装置の制御方法として記述すると、次のようになる。すなわち、ディスクに予め記録され、ヘッドにより検出されるサーボ情報から前記ヘッドの現在位置に対応した位置誤差信号を生成し、前記位置誤差信号に対応した位置制御信号を生成し、1よりも大きい実数の係数をk1として、前記位置制御信号をk1倍した信号と前記アクチュエータ手段の駆動において誘起される電圧信号から前記ヘッドに加わる外乱の大きさを推定して外乱推定信号を生成し、1よりも大きい実数の係数をk2として、前記外乱推定信号を1/k2倍した信号の高域周波数成分を遮断してフィルタ信号を生成し、前記位置制御信号と前記フィルタ信号とを合成して前記駆動信号を生成し、前記駆動信号により前記ディスクに対して前記ヘッドの位置決めを行う。
【0035】
上記第および第の解決手段によれば相乗効果があり、駆動コイルの抵抗値の変化幅がかなり大きくても、より高い制御周波数帯域にわたって、安定なヘッドの位置決め制御を行うことができる。
【0036】
上記の第ないし第の解決手段において、好ましい態様は、前記係数k1,k2をほぼ等しく設定することである。
【0037】
これによれば、位置制御信号からアクチュエータ手段への駆動電流までの実質的な伝達関数において、アクチュエータ手段の駆動コイルの抵抗値にかかわる成分は、これをネグレクトしてもよい状態とすることができる。したがって、アクチュエータ手段の駆動コイルの抵抗値が抵抗ばらつきや温度上昇のために変化しても、ヘッドの目標トラックへの位置決め制御を充分に安定に行うことができる。
【0038】
駆動信号と位置制御信号のうち駆動信号を外乱推定手段に与える上記の第1または第3の解決手段において、次のように構成することは好ましいものである。すなわち、前記外乱推定手段の構成につき、前記電圧検出手段の検出した電圧信号が入力される比較手段と、前記駆動信号を1倍した信号に第1の伝達関数からなる係数を乗算する第1の乗算手段と、前記比較手段の出力に第2の伝達関数からなる係数を乗算する第2の乗算手段と、前記比較手段の出力を積分する第1の積分手段と、前記第1の乗算手段の出力から前記第2の乗算手段の出力と前記第1の積分手段の出力との加算値を減算した値を積分する第2の積分手段とを具備し、前記比較手段が前記電圧信号と前記第2の積分手段の出力とを比較し、その結果を前記第2の乗算手段と前記第1の積分手段へ出力するように構成されている。
【0039】
この構成による作用は次のとおりである。駆動信号を1倍した信号を入力する第1の乗算手段の出力は、アクチュエータ手段に作用する駆動トルクに対応した駆動トルク推定信号となる。第2の積分手段の出力は、電圧検出手段から入力される電圧信号に対するフィードバック要素となる。電圧信号と第2の積分手段からのフィードバック要素との差分をとる比較手段の出力は、第1の積分手段と第2の乗算手段に与えられる。前記の差分を積分する第1の積分手段の出力は、アクチュエータ手段が受ける外乱に対応した外乱推定信号となる。その外乱推定信号に対して前記の差分に所定の係数を乗算した第2の乗算手段の出力を加算する。そして、前記駆動トルク推定信号から前記の加算値との差分をとって第2の積分手段に与える。
【0040】
以上の結果として、第1の積分手段が出力する外乱推定信号は、アクチュエータ手段が受ける外乱を正確に推定したものに相当している。そして、このように正確に割り出した外乱推定信号をもってアクチュエータ手段に加わる外乱を打ち消すようフィードフォワード制御を行うので、フォローイング動作においてアクチュエータ手段に作用する外乱に対する補償を行うことができ、フォローイング動作時にアクチュエータ手段での外乱の変動が大きくても、さらには、アクチュエータ手段の駆動コイルの抵抗値が抵抗ばらつきや温度上昇のために変化しても、目標トラックに対するヘッドの位置決め制御を安定に行い、より多様な条件変化に対して、位置決め精度を向上させることができる。
【0041】
駆動信号と位置制御信号のうち位置制御信号を外乱推定手段に与える上記の第2または第4の解決手段において、次のように構成することは好ましいものである。すなわち、前記外乱推定手段の構成につき、前記電圧検出手段の検出した電圧信号が入力される比較手段と、前記位置制御信号を1倍した信号に第1の伝達関数からなる係数を乗算する第1の乗算手段と、前記比較手段の出力に第2の伝達関数からなる係数を乗算する第2の乗算手段と、前記比較手段の出力を積分する第1の積分手段と、前記第1の乗算手段の出力から前記第2の乗算手段の出力を減算した値を積分する第2の積分手段とを具備し、前記比較手段が前記電圧信号と前記第2の積分手段の出力とを比較し、その結果を前記第2の乗算手段と前記第1の積分手段へ出力するように構成されている。
【0042】
この構成による作用は次のとおりである。位置制御手段からの位置制御信号を1倍した信号を入力する第1の乗算手段の出力は、アクチュエータ手段に作用する駆動トルクに対応した駆動トルク推定信号となる。第2の積分手段の出力は、電圧検出手段から入力される電圧信号に対するフィードバック要素となる。電圧信号と第2の積分手段からのフィードバック要素との差分をとる比較手段の出力は、第1の積分手段と第2の乗算手段に与えられる。前記の差分を積分する第1の積分手段の出力は、アクチュエータ手段が受ける外乱に対応した外乱推定信号となる。前記駆動トルク推定信号から前記の差分に所定の係数を乗算した第2の乗算手段の出力との差分をとって第2の積分手段に与える。
【0043】
以上の結果として、第1の積分手段が出力する外乱推定信号は、アクチュエータ手段が受ける外乱を正確に推定したものに相当している。そして、このように正確に推定した外乱推定信号をもってアクチュエータ手段に加わる外乱を打ち消すようにフィードフォワード制御を行うので、フォローイング動作においてアクチュエータ手段に作用する外乱に対する補償を行うことができ、フォローイング動作時にアクチュエータ手段での外乱の変動が大きくても、さらには、アクチュエータ手段の駆動コイルの抵抗値が抵抗ばらつきや温度上昇のために変化しても、目標トラックに対するヘッドの位置決め制御を安定に行い、位置決め精度を向上させることができる。さらに、上記の第1の解決手段で必要とした第1の積分手段と第2の乗算手段との加算を行う必要がなく、その加算のための手段を省略することが可能で、構成の簡素化をもたらすことができる。
【0046】
また、上記において好ましい態様は、前記補正手段におけるフィルタ信号の遮断周波数が、前記位置制御手段の制御帯域よりも小さく設定されていることである。
【0047】
これによる作用は次のとおりである。一般にアクチュエータ手段の駆動コイルの抵抗値にはばらつきが存在し、また、駆動コイルに駆動電流が通電されることにより駆動コイルは発熱し温度上昇のため抵抗値は変化する。したがって、アクチュエータ手段の駆動コイルの抵抗値の変化により外乱推定手段を含めた位置決め制御系は不安定となり、位置制御手段の制御帯域近傍の周波数で発振する。そこで、駆動信号をヘッド位置の位置制御信号と外乱推定信号とに基づいて生成するにおいて、フィルタ手段によって外乱推定信号の高域周波数成分を遮断してフィルタ信号となし、その上でヘッド位置の位置制御信号とフィルタ信号とを合成することにより駆動信号を生成している。そこで、補正手段におけるフィルタ信号の遮断周波数を位置制御手段の制御帯域よりも小さく設定しておけば、前記遮断周波数よりも高い周波数成分の外乱推定信号はフィルタ手段により遮断され、位置決め制御系に帰還されない。したがって、アクチュエータ手段の駆動コイルの抵抗値が、抵抗ばらつきや温度上昇により抵抗値が変化しても位置決め制御系を安定化することができる。
【0052】
なお、上記の説明から明かなように、構成要素の位置制御手段、外乱推定手段、補正手段、フィルタ手段については、これらをハードウエアで構成してもよいし、あるいはソフトウエアで構成してもよい。
【0053】
また、構成要素の比較手段、各乗算手段および各積分手段については、上記の説明から明かなように、これらをハードウエアで構成してもよいし、あるいはソフトウエアで構成してもよい。
【0054】
なお、本発明は、磁気ディスク装置に適用する場合に最も有利に作用するが、必ずしも磁気ディスク装置のみに限定されるものではなく、光ディスク装置、光磁気ディスク装置など他の態様の情報記録装置にも適用してもかまわない。
【0055】
【発明の実施の形態】
以下、本発明にかかわるディスク装置およびその制御方法の具体的な実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、同様の機能を有するものには同一の符号を付けて説明する。
【0056】
(第1の実施の形態)
図1は本発明の第1の実施の形態におけるディスク装置の1例である磁気ディスク装置の構成を示すブロック図である。
【0057】
図1において、符号の1は磁気ディスクで、スピンドルモータ(図示せず)により回転される。2はディスク1に対してデータを記録再生する磁気ヘッド、3はアームで、一端に搭載されたヘッド2を軸受4の周りに回動させることにより、ヘッド2をディスク1における目標トラックへ移動させる。5はアーム3の後端に設けられた駆動コイル、6は固定子(ヨーク)で、駆動コイル5に対向する面にはマグネット(永久磁石;図示せず)が配置されている。固定子6は空隙を介して対向する一対のヨークからなり、その空隙部分に対応させて、その少なくとも一方のヨーク側に前記マグネットが固着されている。固定子6に配置されたマグネットが発生する磁束と駆動コイル5に通電される電流が作る磁界との相互作用によりアーム3は回転力を受ける。アーム3、軸受4、駆動コイル5、固定子6によりアクチュエータ7を構成している。
【0058】
10は駆動手段、11は駆動手段10に含まれる電圧検出手段で、駆動コイル5の両端に誘起される電圧を検出し、電圧信号Edを出力する。12は外乱推定手段で、電圧検出手段11の出力する電圧信号Edと駆動手段10に対する入力である駆動信号uとからアーム3に作用する外乱トルクτdを推定し、外乱推定信号τdestを出力する。
【0059】
ディスク1の各セクタには予めサーボ情報としてトラックの位置信号が記録されており、この位置信号はヘッド2により読み込まれる。位置検出手段13は、ヘッド2により読み込まれた位置信号によりヘッド2の現在位置を検出し、目標トラックの目標位置rとの差を示す位置誤差信号eを生成する。位置制御手段14は、位置検出手段13で生成された位置誤差信号eが入力されて、増幅および位相補償が行われ、位置制御信号cを生成する。
【0060】
16は位置決め制御系を安定化するために、外乱推定手段12から補正手段15に与えられる外乱推定信号τdestにおける高域周波数成分は遮断して補正手段15には出力しないようにするフィルタ手段であり、外乱推定信号τdestから高域周波数成分がカットされたフィルタ信号fを補正手段15に出力するものである。
【0061】
15は補正手段で、位置制御手段14の位置制御信号cとフィルタ手段16のフィルタ信号fとが入力され、補正手段15で補正演算を施した後、駆動信号uを駆動手段10へ入力する。
【0062】
駆動手段10は、入力された駆動信号uに応じて駆動コイル5に駆動電流Iaを通電し、アーム3を軸受4を中心に回動させ、アーム3の先端に取り付けられたヘッド2を回転移動させ、ディスク1にデータを記録再生するために、ヘッド2を狭いトラックピッチで形成された目標トラックに高い精度で位置決めさせるように構成されている。
【0063】
次に、第1の実施の形態のディスク装置の位置決め制御系の動作について図2を用いて説明する。図2は、第1の実施の形態のディスク装置における位置制御系の全体構成を示すブロック線図である。
【0064】
図中の一点鎖線で囲んだ部分30が外乱推定手段12のブロックである。同じく一点鎖線で囲んだ部分47が補正手段15のブロックであり、一点鎖線で囲んだ部分55が電圧検出手段11のブロックである。なお、図2において、sはラプラス演算子を表すものである。また、図2において、セクタサーボのサンプリングによるホールド要素については、説明を簡単にするため、これを省略してある。
【0065】
図2において、ヘッド2の検出した現在トラック位置をxとすれば、目標トラック位置rに対する位置誤差信号eは、式(1)で表され、この位置誤差信号eは比較器(比較手段とも呼ぶ)20で得られる。
【0066】
【数1】
Figure 0004078184
【0067】
図2のブロック21で表される位置制御手段14は、比較器20から出力される位置誤差信号eに伝達関数Gx(z)のディジタルフィルタ処理を施し、位置制御信号cを生成して、ブロック47で表される補正手段15へ出力する。位置決め制御系は、通常のPID制御が施され、位置制御手段14の伝達関数は、式(2)で表現される。
【0068】
【数2】
Figure 0004078184
【0069】
ここで、z-1は1サンプル遅延を示し、Kxは位置決め制御系の比例ゲインを示す。係数ad、aiは周波数特性を表す定数を示し、係数adは微分係数、係数aiは積分係数である。位置制御信号cは加算器46を経由して駆動信号uとなる。駆動信号uは、ブロック22(伝達関数はgm)の駆動手段10において、電圧信号からgm倍の電流信号に変換され、駆動電流Iaを出力する。ブロック23で表されるアクチュエータ7において、駆動コイル5に通電される駆動電流Iaは、それが作る磁界と前述した固定子6のマグネットの磁束との相互作用により伝達関数Ktで駆動トルクτに変換される。ここで、伝達関数Ktはアクチュエータ7のトルク定数である。ブロック24の伝達関数(Lb/J・s)は、アーム3に作用する駆動トルクτからヘッド2の移動速度vへの伝達特性を表わす。ここで、Jはアーム3の慣性モーメントを示し、Lbはアーム3の軸受4からヘッド2までの距離を示している。ブロック25は積分器(積分手段とも呼ぶ)で、伝達関数は1/sで表され、ヘッド2の移動速度vが現在トラック位置xに変換される。
【0070】
アクチュエータ7において、ブロック26はアクチュエータ7が回動することにより駆動コイル5の両端に誘起される誘起電圧Eaを出力し、ブロック27は駆動コイル5に駆動電流Iaが通電されることにより発生する電圧降下分(Ra+La・s)・Iaを出力し、加算器28でそれぞれを加算することによりアクチュエータ7の端子電圧Vaとして出力する。すなわち、以下の式(3)の関係がある。ここで、Raは、駆動コイル5のコイル抵抗、Laは駆動コイル5のインダクタンスを示す。
【0071】
【数3】
Figure 0004078184
【0072】
アクチュエータ7の軸受摩擦やアクチュエータ7と電子回路基板とを接続するFPCの弾性力やディスク装置に外部から加わる衝撃や振動によりアクチュエータ7の受ける慣性力などのアーム3に作用する外乱τdは、比較器29でブロック24の前段に入力される形に表現できる。
【0073】
図2の一点鎖線で囲んだ部分のブロック55は、電圧検出手段11の詳細を示すもので、このブロック55は、アクチュエータ7に含まれるブロック27の伝達関数と同じ伝達関数をもつブロック39と、減算器36を含んでいる。ブロック39は、駆動コイル5に駆動電流Iaが通電されることにより発生する電圧降下分(Ran+Lan・s)・Iaを出力し、減算器36でアクチュエータ7の端子電圧Vaから減算することにより電圧信号Edを出力する。
【0074】
図2の一点鎖線で囲んだ部分のブロック30は、外乱推定手段12の詳細を示すもので、このブロック30は、駆動手段10であるブロック22の伝達関数と同じ伝達関数をもつブロック32と、アクチュエータ7であるブロック23の伝達関数と同じ伝達関数をもつブロック33と、ブロック24の伝達関数と同じ伝達関数をもつブロック34と、ブロック26の伝達関数と同じ伝達関数をもつブロック35を含んでいる。ブロック32とブロック33を合わせて第1の乗算器(乗算手段とも呼ぶ)41を構成している。43は第1の積分器、44は第2の乗算器である。ブロック34とブロック35を合わせて第2の積分器42を構成している。ここで、ブロック30の各定数のサフィックス“n”は公称値を示し、サフィックス“est”を付した変数は推定値を示す。
【0075】
ブロック22に入力される駆動信号uは、外乱推定手段12において第1の乗算器41を構成するブロック32にも入力され、ブロック32とブロック33とで(gmn・Ktn)倍することによりアーム3に作用する駆動トルクτと同一の駆動トルク推定信号τestが得られる。
【0076】
図2において、ブロック34からは速度推定信号vestが出力される。ブロック35で、速度推定信号vestをKvn倍することにより得られた誘起電圧推定信号Eaestは、比較器37に入力され、実際に検出された電圧信号Edと比較され、その結果の偏差信号α(=Eaest−Ed)が第1の積分器43と第2の乗算器44とに入力される。第1の積分器43は、偏差信号αを積分しg2倍して外乱についての外乱推定信号τdestを出力する。第2の乗算器44には偏差信号αが入力され、g1倍されて加算器38に加えられる。加算器38の出力は減算器31に入力され、ブロック33の出力する駆動トルク推定信号τestから加算器38の出力を減算した結果γをブロック34に出力する。
【0077】
なお、第2の乗算器44の係数g1と第1の積分器43の係数g2は、外乱推定手段12の動作を安定化するための定数であり、その詳細については後述する。
【0078】
図2において、ブロック54は、フィルタ手段16のブロック図である。ブロック54で表されるフィルタ手段16は、外乱推定手段12から出力される外乱推定信号τdestに伝達関数F(s)のフィルタ処理を施し、フィルタ信号fを生成して、ブロック47で表される補正手段15へ出力される。フィルタ手段16の伝達関数は、式(4)で表現できる。
【0079】
【数4】
Figure 0004078184
【0080】
ここで、Txはフィルタの時定数で、フィルタ低域遮断周波数fxとは、
【0081】
【数5】
Figure 0004078184
【0082】
の関係がある。図1においても、フィルタ手段16から補正手段15に対してフィルタ信号fが出力されている状態が図示されている。
【0083】
なお、ブロック54のフィルタは、第1の実施の形態のディスク装置における位置決め制御系の動作を安定化するためのものであり、その詳細については後述する。
【0084】
図2において、一点鎖線で囲んで示したブロック47は、補正手段15の詳細を示すものである。この補正手段15に含まれるブロック45は、フィルタ信号fを1/(gmn・Ktn)倍することにより、アーム3に外乱推定信号τdestに相当する大きさの駆動力を発生させるのに必要な駆動手段10への補正信号βを生成する。補正信号βは加算器46において位置制御信号cに加算される。
【0085】
次に、ブロック30の外乱推定手段12の動作について図3を参照して詳細に説明する。
【0086】
図3(a)は、図2のブロック30を書き直したブロック線図で、駆動信号uの入力から外乱推定信号τdestの出力までの伝達を示す。図3(b)は、図3(a)のブロック線図において、電圧信号Edの入力位置(比較器37)を等価的に変換移動することにより、図3(a)のブロック線図を変形したブロック線図である。ここで、説明を簡単にするため、図2のブロック22のgmとブロック32のgmnの値とが等しく、以下の式(6)に示したように仮定し、駆動電流Ia(=gm・u)と推定電流Iaest(=gmn・u)とが等しいものとした。
【0087】
【数6】
Figure 0004078184
【0088】
電圧信号Edは、大きさを(Jn・s)/(Lbn・Kvn)倍すれば、図3(a)の比較器37の入力位置を図3(b)に示す減算器48の入力位置に等価的に移動することができる。
【0089】
図3(b)の減算器48に着目すると、減算器48の出力であるδは式(7)のように表される。
【0090】
【数7】
Figure 0004078184
【0091】
ここで、簡単のために、ここで、理想的な条件として、式(8),(9)に示した関係が成立するものとする。
【0092】
【数8】
Figure 0004078184
【0093】
【数9】
Figure 0004078184
【0094】
減算器36に着目し、式(3)を代入すれば電圧信号Edは、式(10)のように表される。
【0095】
【数10】
Figure 0004078184
【0096】
次に、図2の比較器29、ブロック24,26に着目すると、式(11)の関係がある。
【0097】
【数11】
Figure 0004078184
【0098】
ここで、理想的な条件として、式(12),(13)に示す関係を仮定し、式(10),(6),(7)を代入すると、式(7)は、式(14)のように変形される。
【0099】
【数12】
Figure 0004078184
【0100】
【数13】
Figure 0004078184
【0101】
【数14】
Figure 0004078184
【0102】
すなわち、減算器48の出力であるδは、アーム3に加わる外乱τdに等しい。
【0103】
したがって、図3(b)のブロック線図より、アーム3に加わる外乱τdから外乱推定信号τdestまでの伝達関数を求めると、式(15)に示すようになる。
【0104】
【数15】
Figure 0004078184
【0105】
式(15)から、外乱推定手段12は、図2の一点鎖線で囲んだブロック30内のループによって、駆動信号uと電圧信号Edとから実際の外乱τdを2次遅れ系で推定できることが分かる。
【0106】
ここで、2次遅れ系の自然角周波数(推定角周波数)をωo、ダンピングファクタをζoとすれば、外乱推定手段12の動作を安定化する定数g1およびg2はそれぞれ下記の式(16)および式(17)で表される。
【0107】
【数16】
Figure 0004078184
【0108】
【数17】
Figure 0004078184
【0109】
ここで、推定角周波数ωoを位置制御帯域fcより十分高く設定し、ダンピングファクタζoを0.7〜1に選べば、外乱推定手段12により軸受摩擦や弾性力や慣性力などの外乱τdを正確に推定することができる。
【0110】
式(15)を式(16),(17)を用いて変形すると、式(18)に示すようになる。
【0111】
【数18】
Figure 0004078184
【0112】
すなわち、図3(a)の外乱推定手段12のブロック線図は、図3(c)のブロック52に示すように簡略化することができる。
【0113】
次に、ブロック47で示す補正手段15の動作について、まず簡単のためにフィルタ手段16の伝達関数F(s)=1として、図4を参照して詳細に説明する。これは、外乱推定手段12と補正手段15との間にフィルタ手段16を介在させない基本構成の位置決め制御系としての動作に相当する。
【0114】
図2の一点鎖線で囲んだ部分のブロック47は、補正手段15の詳細を示す。ブロック45は、外乱推定信号τdestを1/(gmn・Ktn)倍した補正信号βを加算器46へ出力する。すなわち、外乱推定信号τdestを1/(gmn・Ktn)倍することにより、アクチュエータ7に外乱推定信号τdestに相当する大きさの駆動力を発生させるに必要な補正信号βを加算器46へ出力させる。さらに補正信号βは、ブロック22とブロック23とによりgmn・Ktn倍されることから、大きさを合わせるために前もって、外乱推定信号τdestを1/(gmn・Ktn)倍している。
【0115】
以上をまとめると、アクチュエータ7の軸受摩擦やアクチュエータ7と電子回路基板とを接続するFPCの弾性力やディスク装置に外部から加わる衝撃や振動によりアクチュエータ7の受ける慣性力などによる外乱τdを打ち消すように、外乱推定信号τdestをアクチュエータ7に作用させるように構成されているということができる。
【0116】
図4(a)は、図2のブロック線図において、補正手段15の動作に関連する加算器46から比較器29、ブロック24までの部分を抜き出したブロック線図である。図4(b)は、比較器29に加わる外乱τdとブロック52に加わる外乱τdとを、1つのτdにまとめたブロック線図である。なお、図2のブロック線図と同一の機能を有するものについては同一の符号を付して重複した説明は省略する。
【0117】
図4(a)のブロック線図において、ブロック52は図3(c)のブロック52に相当し、式(15)で表わされる伝達関数を有する。
【0118】
したがって、図4(b)よりアーム3に外部から加わる外乱τdは、式(19)の伝達関数で表されるフィルタを通してヘッド位置制御系に加わるものと考えることができる。
【0119】
【数19】
Figure 0004078184
【0120】
図5は、式(19)で表される伝達関数Gd(s)の周波数特性を折れ線近似で示したものである。図5に示す伝達関数Gd(s)の周波数特性から角周波数ωoより低い角周波数では、ゲインは0dB以下であり、角周波数ωの下降に伴って、−20dB/dec(ディケード)の減衰比で減衰している。decは10倍を意味する。すなわち、伝達関数Gd(s)は、図5より、角周波数ωoより低い周波数を抑制することができる低域遮断フィルタ特性を有している。
【0121】
すなわち、第1の実施の形態の基本構成のディスク装置は、アーム3に軸受摩擦や弾性力や慣性力などによる外乱τdが作用しても、この外乱τdを外乱推定手段12により推定し、外乱推定信号τdestでもって外部から加わった外乱τdを打ち消すように制御するように構成されている。したがって、外部から加わった外乱τdが、あたかも式(19)および図5の遮断周波数特性を有するフィルタを通してヘッド位置決め制御系に加わったように作用する。
【0122】
したがって、第1の実施の形態のディスク装置では角周波数ωo以下の周波数においては、1次の低域遮断特性でアクチュエータ7の軸受摩擦やアクチュエータ7と電子回路基板とを接続するFPCの弾性力やディスク装置に外部から加わる衝撃や振動によりアクチュエータ7の受ける慣性力などによる外乱を抑制することができる。
【0123】
すなわち、第1の実施の形態のディスク装置は、外部から振動や衝撃が加わりアクチュエータ7に外乱τdが作用しても、この外乱τdを外乱推定手段12により推定し、外部から加わった外乱τdを打ち消すように制御するように構成されているので、あたかもディスク装置に機械的な防振機構を施したような効果がある。
【0124】
図6は、第1の実施の形態のディスク装置の外乱推定手段12の外乱抑制効果について、さらに詳しく説明するための時間応答波形図である。
【0125】
図6(a)は、外部から最大角加速度(dωo/dt)が5000rad/s2(ラジアン/秒2)の半正弦波状の回転衝撃がディスク装置に加わったときに、アクチュエータ7が受ける慣性力の外乱τdの波形61(破線で示す)と、外乱推定手段12が出力する外乱推定信号τdestの波形62を示す。アクチュエータ7の軸受4の回りの慣性モーメントJを0.1g・cm2とすれば、外乱τdの最大値は、以下の式(20)に示すようになる。
【0126】
【数20】
Figure 0004078184
【0127】
ここで、式(16)および式(17)の制御パラメータを決定する推定周波数fo(ωo=2πfo)とダンピングファクタζoの値をそれぞれ、3kHzおよび1に選び、位置決め制御系の制御帯域を800Hzに設定してシミュレーションを行った。
【0128】
外乱推定手段12は、駆動手段10に対する入力である駆動信号uと電圧検出手段11が出力する電圧信号Edからアクチュエータ7に作用する外乱トルクτdを推定し、わずかの時間遅れは存在するが、実際の外乱τdとほぼ相似の外乱推定信号τdestを出力する。
【0129】
図6(b)は、外乱推定手段12の出力する外乱推定信号τdestを補正手段15に入力して外乱τdによる変動を打ち消すように外乱推定信号τdestをアクチュエータ7に作用させた場合の駆動電流Iaの波形64と、外乱推定信号τdestを補正手段15に入力しない場合の駆動電流Iaの波形63のシミュレーション結果を示す。なお、アクチュエータ7のトルク定数Ktは、23dyn・cm/mAである。
【0130】
ディスク1に記録されたサーボ情報は、一定のサンプリング周期をもつ離散的な状態で記録されているため、ヘッド位置信号は連続信号ではない。したがって、ディジタル処理の行われる位置制御手段14の位置制御信号cは、階段状に変化する。その結果、外乱推定信号τdestを補正手段15に入力しない場合のアクチュエータ7の駆動電流Iaの波形は、位置制御信号cの波形と同じになり、図6(b)の波形63に示すように階段状に変化する(Ia=gm・c=gm・u)。外乱推定信号τdestを補正手段15に入力した場合のアクチュエータ7の駆動電流Iaの波形64は、位置制御手段14の制御信号cに外乱推定手段12の外乱推定信号τdestを補正手段15により加算されて生成されるため、ディスク装置に回転衝撃が加わった時点(t=0)からの時間遅れが、図6(b)の波形63に比べて少ない。また、波形64の変化は滑らかなものとなっている。
【0131】
図6(c)は、外乱推定手段12の出力する外乱推定信号τdestを補正手段15に入力して外乱の変動を打ち消すように外乱推定信号τdestをアクチュエータ7に作用させた場合のトラック位置誤差信号eの波形66と、外乱推定手段12を適用しない場合の位置誤差信号eの波形65のシミュレーション結果を示す。外部から半正弦波状の回転衝撃がディスク装置に加わっても、外乱推定手段12を適用すれば、波形66のように位置誤差信号eは大きく変動せず、外乱推定手段12を適用しない場合の波形65と比較して外乱抑制効果が改善されている。
【0132】
その結果、第1の実施の形態のディスク装置は、外乱推定手段12により、外部から加わる衝撃や振動によりアクチュエータ7の受ける慣性力などによる外乱を正確に検出して、外乱によるトラックずれを抑制することができ、ヘッド2は目標トラックに高精度に位置決め制御される。したがって、第1の実施の形態のディスク装置は、衝撃や振動に対して安定なトラッキング制御が可能で、ディスク装置の信頼性を向上させることができる。
【0133】
図7は、図2の第1の実施の形態のディスク装置における位置決め制御系のブロック線図において、位置誤差信号eからヘッド位置xまでの伝達を示すオープンループ周波数特性図である。図7(a)のゲイン特性図よりオープンループゲインが零になるゲイン交点周波数fcは800Hzである。また、図7(b)の位相特性図よりゲイン交点周波数fcにおいて、そのときの位相余裕θmは50度存在し、安定なヘッド位置決め制御系が構成されている。これは、図2の一点鎖線で囲んだ電圧検出手段11のブロック55において、駆動電流Iaが駆動コイル5に流れることにより発生するコイル抵抗RanとコイルインダクタンスLanの電圧降下分を求めるために(Ran+Lan・s)のブロック39を忠実に表現したからである。式(10)より電圧検出手段11の電圧信号Edは、アクチュエータ7が回動することにより駆動コイル5の両端に誘起される誘起電圧Eaだけを純粋に出力する。
【0134】
しかしながら、実際には、コイルインダクタンスLanは、コイル抵抗Ranに比べて小さいため、精度良く回路で構成するのが難しい。また、Lan・sは微分要素であるため、特にノイズの影響を受けやすく、回路を構成するときには特に注意が必要である。
【0135】
図8は、図2の位置決め制御系のブロック線図において、電圧検出手段11に含まれるブロック39で、駆動電流Iaが駆動コイル5に流れることにより発生する電圧降下分のうち、コイル抵抗Ranの電圧降下分だけを考慮し、コイルインダクタンスLanの電圧降下分を無視したときの位置誤差信号eからヘッド位置xまでの伝達を示すオープンループ周波数特性図である。
【0136】
図8(a)のゲイン特性図および図8(b)の位相特性図より明らかなように、電圧検出手段11に含まれるブロック39で駆動コイル5のコイルインダクタンスLanを簡単化のために省略すると、外乱推定手段12を含めたヘッドの位置決め制御系は不安定となる。すなわち、図8(a)のゲイン特性図よりオープンループゲインが零になるゲイン交点周波数fcは900Hzで、そのときの位相は−180度より、さらに遅れ位相となっているので制御系は不安定である。駆動コイル5に含まれるコイルインダクタンスLanによる電圧降下分は、コイル抵抗Ranによる電圧降下分に比べると小さいが、電圧検出手段11に含まれるブロック39に含まれる(Lan・s)の項は、図2に示す位置決め制御系の安定化のためには重要な要素である。
【0137】
ブロック39に含まれる(Lan・s)の項を省略すると、図2に示す位置決め制御系が不安定になるのは、実際の駆動コイル5がコイル抵抗RaとコイルインダクタンスLaの成分を有するにもかかわらず、電圧検出手段11にコイルインダクタンスLanの成分を含めなかったためである。したがって、位置決め制御系を安定化するために、駆動コイル5の有するコイルインダクタンス分を等価的に零にすることを考える。
【0138】
図9は、位置決め制御系を安定化するための回路構成図で、コンデンサCと抵抗rを直列接続した回路を駆動コイル5に並列接続してある。図9において、駆動コイル5に、コンデンサCおよび抵抗rを直列接続した回路を並列接続したときの合成インピーダンスZaは、式(21)で表される。Raは駆動コイル5のコイル抵抗、Laは駆動コイル5のインダクタンスである。
【0139】
【数21】
Figure 0004078184
【0140】
式(21)において、抵抗rとコンデンサCの値をそれぞれ、
【0141】
【数22】
Figure 0004078184
【0142】
【数23】
Figure 0004078184
【0143】
に選ぶと、式(21)のZaは、式(24)のように表現できる。
【0144】
【数24】
Figure 0004078184
【0145】
すなわち、図9に示す回路を構成する抵抗rとコンデンサCの値をそれぞれ式(22),(23)のように設定すると、駆動コイル5の両端の合成インピーダンスZaは、式(24)より抵抗Raと等しくなり、駆動コイル5は等価的にコイルインダクタンスLaを含まなくなる。したがって、図9に示すように、抵抗rとコンデンサCを直列接続してなる回路を駆動コイル5に並列接続すれば、図2の位置決め制御系のブロック線図において、電圧検出手段11に含まれるブロック39で、駆動電流Iaが駆動コイル5に流れることにより発生するコイル抵抗Ranの電圧降下分だけを考慮すればよく、図2の電圧検出手段11に含まれるブロック39の代わりに図10のブロック49を使用すればよい。その結果、電圧検出手段11をより簡単に構成することができる。
【0146】
図8(a),(b)において、点線で示した波形は、図2の第1の実施の形態のディスク装置における位置決め制御系のブロック線図において、ブロック39を図10のブロック49に置き換え、アクチュエータ7の駆動コイル5の両端に式(22)と式(23)で表される抵抗rとコンデンサCを直列接続してなる回路を並列接続したときの位置誤差信号eからヘッド位置xまでの伝達を示すオープンループ周波数特性である。図7のオープンループ周波数特性とほぼ同じの特性が得られることが分かる。
【0147】
以上の説明は、電圧検出手段11に含まれるブロック49のコイル抵抗Ranが、アクチュエータ7の駆動コイル5のコイル抵抗Raに等しい、すなわち、式(8)の(Ra=Ran)が成立し、フィルタ手段16の伝達関数F(s)=1とした場合の位置決め制御系の安定性を示した。
【0148】
しかし、アクチュエータ7の駆動コイル5のコイル抵抗Ra自体には、抵抗値のばらつきが存在し、また、駆動コイル5に駆動電流Iaが通電されることにより駆動コイル5は発熱し温度上昇のため抵抗値は変化する。したがって、アクチュエータ7の駆動コイル5のコイル抵抗Raは、最初、公称値Ranに一致していても動作中に駆動コイル5は温度上昇のため抵抗値は変化し、式(8)の(Ra=Ran)は成立しなくなる。
【0149】
図11(a),(b)において、実線で示した波形は、図2の位置決め制御系のブロック線図において、アクチュエータ7の駆動コイル5のコイル抵抗Raが公称値Ranに一致しないときの位置誤差信号eからヘッド位置xまでの伝達を示すオープンループ周波数特性図である。シミュレーションでは、電圧検出手段11に含まれるブロック39でコイルインダクタンスLanの成分を省略し、式(22),(23)で決定される抵抗rとコンデンサCを直列接続してなる回路を駆動コイル5に並列接続(図9)した状態で、アクチュエータ7の駆動コイル5のコイル抵抗Raが公称値Ranより5%だけ大きい場合について周波数特性を求めた。すなわち、図11(a)のゲイン特性図よりオープンループゲインが零になるゲイン交点周波数fcは500Hzで、図11(b)に示すように、そのときの位相は、ほぼ−180度である。位相余裕がないので制御系は不安定である。
【0150】
次に、外乱推定手段12と補正手段15との間にフィルタ手段16を介在させた構成とすることの意義について説明する。
【0151】
図2の第1の実施の形態のディスク装置において、アクチュエータ7の駆動コイル5のコイル抵抗Raが公称値Ranとは異なった状態で外乱推定手段12の出力する外乱推定信号τdestを補正手段15を介してそのまま位置決め制御系に加えると位置決め制御系が不安定になる。したがって、位置決め制御系を安定化するために、図2においてブロック30で表される外乱推定手段12の出力する外乱推定信号τdestをブロック54のフィルタ手段16を介してブロック47の補正手段15に出力させる。
【0152】
フィルタ手段16は、式(4),(5)の伝達関数F(s)で表されるフィルタ処理を施し、フィルタ信号fを生成して、フィルタ信号fは補正手段15へ入力される。すなわち、フィルタ低域遮断周波数fxより周波数の高い高域周波数成分はフィルタ手段16により遮断されるので、外乱推定手段12の出力する外乱推定信号τdestの高域周波数成分は、等価的に補正手段15に出力されないことになる。これがフィルタ手段16を介在させる意義である。以下、具体的に説明する。
【0153】
図11(a),(b)において、点線で示した波形は、図2の第1の実施の形態のディスク装置における位置決め制御系のブロック線図において、外乱推定手段12の出力する外乱推定信号τdestをブロック54のフィルタ手段16を介してブロック47の補正手段15に出力させたときの位置誤差信号eからヘッド位置xまでの伝達を示すオープンループ周波数特性である。シミュレーションでは、フィルタ手段16を表わすブロック54でフィルタ低域遮断周波数fxを400Hzに設定し、同様にアクチュエータ7の駆動コイル5のコイル抵抗Raが公称値Ranより5%だけ大きい場合について周波数特性を求めた。図11(a)のゲイン特性図よりオープンループゲインが零になるゲイン交点周波数fcは500Hzである。また、図11(b)の位相特性図よりゲイン交点周波数fcにおいて、そのときの位相余裕θmは40度存在し、安定なヘッド位置決め制御系が構成されている。
【0154】
すなわち、フィルタ手段16を外乱推定手段12の出力と補正手段15の入力との間に挿入することにより、アクチュエータ7の駆動コイル5のコイル抵抗Raが、抵抗ばらつきや温度上昇による抵抗値変化により公称値Ranとは異なった場合でも位置決め制御系を安定化することができる。
【0155】
なお、上述した第1の実施の形態のディスク装置では、外乱推定手段12に対する一方の入力信号としてブロック47から出力される駆動信号uを入力するように構成したが、駆動信号uの代わりにブロック22から出力される駆動手段10の出力する駆動電流Iaを用いても同様の効果を得ることができることは言うまでもない。
【0156】
(第2の実施の形態)
図12は本発明の第2の実施の形態におけるディスク装置の1例である磁気ディスク装置の構成を示すブロック図である。図13は、第2の実施の形態の磁気ディスク装置におけるヘッド位置決め制御系の全体構成を示すブロック線図である。なお、前述の第1の実施の形態と同一の機能を有するものについては同一の参照符号を付して重複した説明は省略する。
【0157】
図12に示す第2の実施の形態のディスク装置において、図1の第1の実施の形態と異なるところは、外乱推定手段に入力される信号である。すなわち、図1の第1の実施の形態では、電圧検出手段11の生成する電圧信号Edと駆動信号uとが外乱推定手段12へ入力される構成であったが、図12の第2の実施の形態では、電圧検出手段11の生成する電圧信号Edと位置制御手段14の生成する位置制御信号cとが外乱推定手段17に入力されるように構成されている。
【0158】
図12の外乱推定手段17で生成された外乱推定信号τdestは、フィルタ手段16を介して補正手段15に入力されている。補正手段15は、位置制御手段14の出力する位置制御信号cと、外乱推定手段17の外乱推定信号τdestがフィルタ手段16を通ったフィルタ信号fとが入力され、補正手段15で補正演算を施した後、駆動信号uを駆動手段10へ出力する。
【0159】
図13の一点鎖線で囲んだ部分のブロック60が外乱推定手段17のブロック線図である。外乱推定手段17には、加算器36の出力である電圧検出手段11の生成する電圧信号Edとブロック21で表される位置制御手段14の生成する位置制御信号cとが入力される。
【0160】
前述の第1の実施の形態の外乱推定手段12では、次のようにしていた。比較器37からの偏差信号αに第1の積分器43の係数(g2/s)を乗算して得られた信号と偏差信号αに第2の乗算器44の係数(g1)を乗算して得られた信号とを加算器38で加算する。その加算結果で得られた信号と、駆動信号uに第1の乗算器41の係数(gmn・Ktn)を乗算して得られた駆動トルク推定信号τestとが減算器31に入力される。そして、減算器31で減算して得られた信号γを第2の積分器42に入力していた。すなわち、制御信号cに補正信号βが加算された駆動信号uを外乱推定手段12に入力しているために、図2の加算器38を必要としていた。
【0161】
しかし、第2の実施の形態の外乱推定手段17では、補正信号βが加算される前の位置制御信号cを入力する構成であるため、図2に示すような加算器38は不要である。
【0162】
このように構成された第2の実施の形態のディスク装置における外乱推定手段17の動作について、前述の第1の実施の形態の外乱推定手段12の動作と比較して図2および図13を参照しつつ説明する。
【0163】
まず、図2において、第1の実施の形態の外乱推定手段12を構成する第2の積分器42の入力をγとすれば、信号γは、減算器31に着目して、
【0164】
【数25】
Figure 0004078184
【0165】
ところが、駆動信号uは、図2の加算器46に着目して式(26)で表わされる。
【0166】
【数26】
Figure 0004078184
【0167】
したがって、式(25)および式(26)より、信号γは、式(27)で表わすことができる。
【0168】
【数27】
Figure 0004078184
【0169】
式(27)をもとにして、図2に示す第1の実施の形態の外乱推定手段12のブロック線図30を書き換えると、図13に示す外乱推定手段17のブロック線図60のようになる。図13に示すように、位置制御手段14(ブロック21)の生成する位置制御信号cが乗算器32に入力され、乗算器32の出力は乗算器33に入力されている。このため、位置制御信号cに係数(gmn・Ktn)を乗算することにより駆動トルク推定信号τestを求めることができる。
【0170】
一方、外乱推定信号τdestは、ブロック54で表されるフィルタ手段16を介してブロック47で表される補正手段15に入力される。したがって、前述の第1の実施の形態と同様に第2の実施の形態のディスク装置は、外乱推定手段17の働きにより、電圧検出手段11の生成する電圧信号Edと位置制御手段14の生成する位置制御信号cとからアーム3に作用する外乱トルクを推定し、外乱推定信号τdestを出力する。外乱推定信号τdestは、軸受摩擦や弾性力や慣性力などのアーム3に作用する外乱τdを打ち消すように補正手段15に入力される。
【0171】
また、フィルタ手段16を外乱推定手段17の出力と補正手段15入力の間に挿入しているので、第1の実施の形態のディスク装置と同様、アクチュエータ7の駆動コイル5のコイル抵抗Raが、抵抗ばらつきや温度上昇による抵抗値変化により公称値Ranとは異なった場合でも位置決め制御系を安定化することができる。
【0172】
その結果、第2の実施の形態のディスク装置は、外乱推定手段17により、外部から加わる衝撃や振動によりアクチュエータ7の受ける慣性力などによる外乱を正確に検出することができる。アクチュエータ7に加わる軸受摩擦やFPCの弾性力や外部から加わる衝撃や振動によりアクチュエータ7の受ける慣性力などによる外乱τdが作用しても、この外乱τdを外乱推定手段17により推定し、推定された外乱推定信号τdestをもって外部から加わった外乱τdを打ち消すように制御するように構成されている。したがって、第1の実施の形態と同様、外部から加わった外乱τdが、あたかも式(19)および図5の遮断周波数特性を有するフィルタを通して位置決め制御系に加わったように作用する。したがって、第2の実施の形態のディスク装置では角周波数ωo以下の周波数においては、1次の低域遮断特性で外乱を抑制することができる。外乱によるトラックずれを抑制することができ、ヘッド2は目標トラックに高精度に位置決め制御される。したがって、衝撃や振動に対して安定なトラッキング制御が可能で、ディスク装置の信頼性を向上させることができる。
【0173】
このように、第2の実施の形態のディスク装置によれば、外乱推定手段17の構成に必要な加算器の数を第1の実施の形態のディスク装置に比べて削減することができる。したがって、第2の実施の形態のディスク装置は、第1の実施の形態と比べて、より簡単な構成でヘッド位置決め制御系に外乱として作用する軸受摩擦や弾性力や慣性力などのアーム3に作用する外乱τdを推定することが可能となり、ヘッドの位置決め制御を安定に行うことができ、ヘッド2を狭いトラックピッチで形成された目標トラックに高い精度で位置決めさせることができる。
【0174】
さらに、第2の実施の形態のディスク装置においては、加算器の数を削減したことにより、位置決め制御系をアナログ回路などのハードウェアで実現する場合には、回路の調整を簡単化できる。また、位置決め制御系をソフトウェアで実現する場合には、演算処理による演算時間遅れを短縮することが可能である。
【0175】
図2のブロック30と同じように構成された外乱推定手段12においてはディスク装置のセクタサーボのサンプリング周波数の影響を受けない。したがって、外乱推定手段12の制御帯域は、位置決め制御系の制御帯域よりも高く設定することができる。
【0176】
さらに、第2の実施の形態のディスク装置においては、外乱推定手段17を構成する加算器の数を削減できるので、制御系をアナログ回路などのハードウェアで実現する場合には、回路の調整を簡単化できる。また、制御系をソフトウェアで実現する場合には、演算処理による演算時間遅れを短縮することが可能となり、より制御帯域を高めることが可能となる。
【0177】
さらに、第2の実施の形態のディスク装置においては、フィルタ手段16を外乱推定手段12の出力と補正手段15の入力との間に挿入することにより、アクチュエータ7の駆動コイル5のコイル抵抗Raが、抵抗ばらつきや温度上昇による抵抗値変化により公称値Ranとは異なった場合でも位置決め制御系を安定化することができる。
【0178】
(第3の実施の形態)
図14は本発明の第3の実施の形態におけるディスク装置の1例である磁気ディスク装置の構成を示すブロック図である。図15は第3の実施の形態の磁気ディスク装置の位置決め制御系の全体構成を示すブロック線図である。第3の実施の形態においては、第1の実施の形態におけるフィルタ手段16、伝達関数F(s)のブロック54はない。外乱推定手段12Aおよび補正手段15Aは、第1の実施の形態の外乱推定手段12、補正手段15とは一部相違している。その他の構成については実施の形態1の場合の図1、図2と同様である。なお、前述の第1の実施の形態に示した要素、部材と同一の機能を有するものについては同一の符号を付し、重複した説明は省略する。
【0179】
次に、第3の実施の形態におけるディスク装置の位置決め制御系の動作について説明する。
【0180】
図16(a),(b)において、破線で示した波形は、図15の位置決め制御系のブロック線図において、アクチュエータ7の駆動コイル5のコイル抵抗Raが公称値Ranに一致しないときの位置誤差信号eからヘッド位置xまでの伝達を示すオープンループ周波数特性図である。シミュレーションでは、電圧検出手段11に含まれるブロック39でコイルインダクタンスLanの成分を省略し、アクチュエータ7の駆動コイル5のコイル抵抗Raが公称値Ranより5%だけ大きい場合について周波数特性を求めた。すなわち、図16(a)の破線で示したゲイン特性図より、オープンループゲインが零になるゲイン交点周波数fcは300Hzであり、そのときの位相は、ほぼ−210度である。位相余裕がないので位置決め制御系は不安定である。
【0181】
次に、アクチュエータ7の駆動コイル5のコイル抵抗Raが公称値Ranより5%だけ大きい場合、オープンループゲインが零になるゲイン交点周波数が、図7(Ra=Ranのとき)に比べて大幅に低下することについて説明する。
【0182】
アクチュエータ7の駆動コイル5のコイル抵抗Raが公称値Ranと等しくないとき、電圧信号Edは、式(28)のようになる。
【0183】
【数28】
Figure 0004078184
【0184】
すなわち、アクチュエータ7の駆動コイル5のコイル抵抗Raが、抵抗ばらつきや温度上昇による抵抗値変化により公称値Ranとは異なった場合には、電圧検出手段11の電圧信号Edは、アクチュエータ7が回動することにより駆動コイル5の両端に誘起される誘起電圧Eaと、駆動コイル5に駆動電流Iaが通電されることにより発生する電圧降下分(Ra−Ran)・Iaとの加算結果を出力する。
【0185】
図17は、抵抗ばらつきや温度上昇による抵抗値変化のためにアクチュエータ7の駆動コイル5のコイル抵抗Raが公称値Ranとは異なった場合に、ゲインが変化することを説明するためのブロック線図である。
【0186】
図17(a)は、図3(b)のブロック線図において、式(28)の第2項に着目して書き直したブロック線図である。図17(b)は、図17(a)のブロック線図を等価変換したブロック線図である。図17(c)は、図17(b)のブロック線図をもとに図15のブロック線図の一部分を書き直したものである。すなわち、RaとRanが等しくないときは、図15のブロック線図において、ブロック22(伝達関数はgm)にブロック54,52,45の負帰還ループが追加されたことと等価になる。
【0187】
図17(c)のブロック線図より位置制御信号cから駆動電流Iaまでの合成伝達関数Gm(s)を求めると、式(29)で表される。
【0188】
【数29】
Figure 0004078184
【0189】
式(29)において、推定周波数fo(=ωo/2π)を位置制御帯域fcより十分高く設定しているので、式(30)が成立し、その結果、式(29)は式(31)のように簡略化できる。
【0190】
【数30】
Figure 0004078184
【0191】
【数31】
Figure 0004078184
【0192】
式(31)において、Ra=Ranのとき、Gm(s)=gmとなるが、Ra≠RanのときにはGm(s)のゲインは低下する。
【0193】
ここで、以下、式(32)に示すようにgmnを置換すると、式(31)は式(33)のようになる。
【0194】
【数32】
Figure 0004078184
【0195】
【数33】
Figure 0004078184
【0196】
そして、ここで、実数の係数kを1より十分大きく選べば(k>>1)、式(33)の分母における(Ra―Ran)をふくむ項は0とみなすことができ、Ra=Ranでない場合でも、式(33)は、式(34)で近似することができる。
【0197】
【数34】
Figure 0004078184
【0198】
以上のように、第3の実施の形態においては、電圧検出手段11は、アクチュエータ7の駆動コイル5のコイル抵抗Raが、抵抗ばらつきや温度上昇による抵抗値変化により公称値Ranとは異なった場合でも、式(32)において、実数の係数kの値を十分大きく設定すれば、位置制御信号cから駆動電流Iaまでの合成伝達関数Gm(s)は変化せず、式(34)が常に成立する。この式において重要なことは、Ra,Ranが含まれていないということである。したがって、コイル抵抗Raが、抵抗ばらつきや温度上昇により抵抗値が変化しても、位置決め制御系のオープンループゲインは大きく変化せず、位置決め制御系を安定化することができる。
【0199】
図16(a),(b)において、実線で示した波形は、図15の位置決め制御系のブロック線図において、式(32)の係数kが50の場合について、位置誤差信号eからヘッド位置xまでの伝達を示すオープンループ周波数特性図を示したものである。シミュレーションでは、図16の破線の場合(k=1)と同様に、アクチュエータ7の駆動コイル5のコイル抵抗Raが公称値Ranより5%だけ大きい場合について周波数特性を求めた。図16(a)の実線のゲイン特性図よりオープンループゲインが零になるゲイン交点周波数fcは800Hzである。また、図16(b)の実線の位相特性図よりゲイン交点周波数fcにおいて、そのときの位相余裕θmは50度存在し、安定な位置決め制御系が構成されている。
【0200】
すなわち、図15に示す外乱推定手段12Aのブロック30Aにおけるブロック32の係数gmnおよび補正手段15Aのブロック45の分母の係数gmnを、ブロック22の伝達関数gmのk倍(k>>1)にすることにより、アクチュエータ7の駆動コイル5のコイル抵抗Raが、抵抗ばらつきや温度上昇による抵抗値変化により公称値Ranとは異なった場合でも位置決め制御系を安定化することができる。
【0201】
図15の外乱推定手段12Aのブロック30Aにおいて、駆動信号uが入力される第1の乗算器41のブロック32は、その係数がgmnであり、駆動信号uをgmn倍するものである。このgmnが式(32)で近似される(gmn=k・gm)。
【0202】
ここで、ブロック32を係数gmのブロックと係数k1(=k)のブロックに分けて考えることができる。この場合、第1の実施の形態の場合の式(6)と同様に、式(35)を設定することができる。
【0203】
【数35】
Figure 0004078184
【0204】
32を係数gmと等しい係数gmnをもつブロック、71を係数k1のブロックとして、図15を書き換えると、図19のようになる。第1の積分器43からの外乱推定信号τdestが入力されるブロック45の係数が(1/gmn・Ktn)であり、gmnを含むことから、図19では、第1の積分器43とブロック45との間に、係数(1/k2)のブロック72を介挿する。ここで、ブロック71のk1とブロック72のk2との関係は、原理的には、式(36)のとおりである。
【0205】
【数36】
Figure 0004078184
【0206】
ただし、実務的には、必ずしも、式(36)の条件は必須ではなく、k1とk2とはある程度の許容幅をもって近似していればよい。すなわち、許容係数ηを1に近い数値として、式(37)のように表すことができる。
【0207】
【数37】
Figure 0004078184
【0208】
許容係数ηの具体的数値は、実機の仕様に応じて適切に設定すればよい。許容係数ηは経験的には、0.7〜1.3の範囲であればよく、好ましくは、0.8〜1.2の範囲であり、さらに好ましくは、0.9〜1.1の範囲である。それぞれ、式(38),(39),(40)のように表すことができる。
【0209】
【数38】
Figure 0004078184
【0210】
【数39】
Figure 0004078184
【0211】
【数40】
Figure 0004078184
【0212】
なお、理想的には、η=1.0である。
【0213】
図19に対応させて図14を書き換えると、図18のようになる。すなわち、第1の実施の形態の場合の外乱推定手段12と本実施の形態の第1の補正用乗算手段18を合わせて本実施の形態の外乱推定手段12Aとする。また、第1の実施の形態の場合の補正手段15と本実施の形態の第2の補正用乗算手段19を合わせて本実施の形態の補正手段15Aとする。補正手段15からの駆動信号uを外乱推定手段12へ伝達する経路中に伝達関数がk1の第1の補正用乗算手段18が介挿されているとともに、外乱推定手段12からの外乱推定信号τdestを補正手段15へ伝達する経路中に伝達関数がk2の第2の補正用乗算手段19が介挿されている。図19において、ブロック71は第1の補正用乗算手段18に対応し、ブロック72は第2の補正用乗算手段19に対応する。
【0214】
図18、図19に基づいて第3の実施の形態を記述すると、外乱推定手段12Aは、駆動信号uをk1倍した信号と電圧信号Edとから外乱推定信号τdestを生成するものとして構成され、補正手段15Aは、位置制御信号cと外乱推定信号τdestを1/k2倍した信号とを合成するものとして構成されている。
【0215】
なお、上述した第3の実施の形態におけるディスク装置では、外乱推定手段12Aに対する一方の入力信号としてブロック47Aから出力される駆動信号uを入力するように構成したが、駆動信号uの代わりにブロック22から出力される駆動手段10の出力する駆動電流Iaを用いても同様の効果を得ることができることは言うまでもない。
【0216】
(第4の実施の形態)
図20は本発明の第4の実施の形態におけるディスク装置の1例である磁気ディスク装置の構成を示すブロック図である。図21は第4の実施の形態の磁気ディスク装置の位置決め制御系の全体構成を示すブロック線図である。第4の実施の形態においては、第2の実施の形態におけるフィルタ手段16、伝達関数F(s)のブロック54はない。第4の実施の形態においては、その外乱推定手段17Aに対する入力が第3の実施の形態の外乱推定手段12Aに対する入力とは異なっている。すなわち、電圧検出手段11からの電圧信号Edと、位置制御手段14からの位置制御信号cとである。その他の構成については実施の形態3の場合の図14、図15と同様である。なお、前述の第3の実施の形態に示した要素、部材と同一の機能を有するものについては同一の符号を付し、重複した説明は省略する。
【0217】
図20に示す第4の実施の形態におけるディスク装置と図14に示す第3の実施の形態との関係は、図12に示す第2の実施の形態と図1に示す第1の実施の形態との関係に対応している。ただし、フィルタ手段16はない。図14に示す第3の実施の形態では、電圧検出手段11の生成する電圧信号Edと駆動信号uとが外乱推定手段12Aへ入力される構成であったが、図20に示した第4の実施の形態では、電圧検出手段11の生成する電圧信号Edと位置制御手段14の生成する位置制御信号cとが外乱推定手段17Aに入力されるように構成されている。
【0218】
したがって、第4の実施の形態においても、式(25)〜(27)が成立する。そこで、図15に示す第3の実施の形態の外乱推定手段12Aのブロック30Aを書き換えると、図21に示す外乱推定手段17Aのブロック60Aのようになる。これは、第2の実施の形態の場合の図13と同じである。ただし、フィルタ手段16に対応するブロック54はない。
【0219】
また、第4の実施の形態においても第3の実施の形態と同様に構成することにより、式(28)〜(40)が成立する。そして、式(32)において、実数の係数kを十分大きく設定することにより、第3の実施の形態におけるディスク装置と同様、アクチュエータ7の駆動コイル5のコイル抵抗Raが、抵抗ばらつきや温度上昇による抵抗値変化により公称値Ranとは異なった場合でも位置決め制御系を安定化することができる。
【0220】
その結果、第4の実施の形態におけるディスク装置は、外乱推定手段17Aにより、外部から加わる衝撃や振動によりアクチュエータ7の受ける慣性力などによる外乱を正確に検出することができる。アクチュエータ7に加わる軸受摩擦やFPCの弾性力や外部から加わる衝撃や振動によりアクチュエータ7の受ける慣性力などによる外乱τdが作用しても、この外乱τdを外乱推定手段17Aにより推定し、推定された外乱推定信号τdestをもって外部から加わった外乱τdを打ち消すように制御するように構成されている。したがって、第3の実施の形態と同様、外部から加わった外乱τdが、あたかも式(19)および図5の遮断周波数特性を有するフィルタを通して位置決め制御系に加わったように作用する。したがって、第4の実施の形態におけるディスク装置では角周波数ωo以下の周波数においては、1次の低域遮断特性で外乱を抑制することができる。外乱によるトラックずれを抑制することができ、ヘッド2は目標トラックに高精度に位置決め制御される。したがって、衝撃や振動に対して安定なトラッキング制御が可能で、ディスク装置の信頼性を向上させることができる。
【0221】
このように、第4の実施の形態におけるディスク装置によれば、外乱推定手段17Aの構成に必要な加算器の数を第3の実施の形態のディスク装置に比べて削減することができる。したがって、第4の実施の形態のディスク装置は、第3の実施の形態と比べて、より簡単な構成でヘッド位置決め制御系に外乱として作用する軸受摩擦や、弾性力や、慣性力などのアーム3に作用する外乱τdを推定することが可能となり、ヘッドの位置決め制御を安定に行うことができ、ヘッド2を狭いトラックピッチで形成された目標トラックに高い精度で位置決めさせることができる。さらに、第4の実施の形態のディスク装置においては、加算器の数を削減したことにより、位置決め制御系をアナログ回路などのハードウェアで実現する場合には、回路の調整を簡単化できる。また、位置決め制御系をソフトウェアで実現する場合には、演算処理による演算時間遅れを短縮することが可能である。
【0222】
第3の実施の形態と同様に、外乱推定手段17Aにおいてはディスク装置のセクタサーボのサンプリング周波数の影響を受けない。したがって、外乱推定手段17Aの制御帯域は、位置決め制御系の制御帯域よりも高く設定することができる。
【0223】
さらに、第4の実施の形態のディスク装置においては、外乱推定手段17Aを構成する加算器の数を削減できるので、位置決め制御系をアナログ回路などのハードウェアで実現する場合には、回路の調整を簡単化できる。また、位置決め制御系をソフトウェアで実現する場合には、演算処理による演算時間遅れを短縮することが可能となり、より制御帯域を高めることが可能となる。
【0224】
第3の実施の形態の場合と同様に、係数k1,k2を用いて図20、図21を書き換えると、それぞれ図22、図23のようになる。すなわち、第2の実施の形態の場合の外乱推定手段17と本実施の形態の第1の補正用乗算手段18を合わせて本実施の形態の外乱推定手段17Aとする。また、第2の実施の形態の場合の補正手段15と本実施の形態の第2の補正用乗算手段19を合わせて本実施の形態の補正手段15Aとする。補正手段15からの駆動信号uを外乱推定手段17へ伝達する経路中に伝達関数がk1の第1の補正用乗算手段18が介挿されているとともに、外乱推定手段17からの外乱推定信号τdestを補正手段15へ伝達する経路中に伝達関数がk2の第2の補正用乗算手段19が介挿されている。図23において、ブロック71は第1の補正用乗算手段18に対応し、ブロック72は第2の補正用乗算手段19に対応する。
【0225】
図22、図23に基づいて第4の実施の形態を記述すると、外乱推定手段17Aは、位置制御信号cをk1倍した信号と電圧信号Edとから外乱推定信号τdestを生成するものとして構成され、補正手段15Aは、位置制御信号cと外乱推定信号τdestを1/k2倍した信号とを合成するものとして構成されている。
【0226】
以上の実施の形態に加えて、次のような実施の形態もある。それは、図24に示すように、第1の実施の形態と第3の実施の形態とを合成したものや、図25に示すように、第2の実施の形態と第4の実施の形態とを合成したものである。すなわち、いずれも外乱推定信号τdestにおける高域周波数成分は遮断するためのフィルタ手段16を補正手段15Aに追加したものである。
【0227】
なお、上述してきた第1ないし第4の実施の形態におけるディスク装置では、乗算器や積分器はアナログフィルタで構成するもので説明したが、ディジタルフィルタで構成することも可能である。さらに、各実施の形態の位置決め制御系を構成する各部についてはマイクロコンピュータによるソフトウェアにより実現するようにしてもよい。
【0228】
また、以上説明してきた第1ないし第4の実施の形態におけるディスク装置では磁気ディスク装置を例に挙げて説明してきたが、本発明は、これらの例にのみ限定されるものではなく、光ディスク装置、光磁気ディスク装置など他の態様の情報記録装置に適用できることは、言うまでもないことである。
【0229】
【発明の効果】
以上のように本発明のディスク装置によれば、アクチュエータ手段に加わる軸受摩擦や弾性力や慣性力などの外乱を推定するのに、駆動信号と位置制御信号のいずれかとアクチュエータ手段の駆動コイルで誘起される電圧信号とを組み合わせて外乱推定信号を生成しており、電圧信号が連続信号であることにより、離散的なサーボ情報を用いる従来技術に比べて、外乱をより正確に検出することができる。したがって、目標トラックに向かうフォローイング動作時に前記外乱の変動が大きくても、この外乱の変動を良好に補償し、目標トラックに対するヘッドの位置決め精度を向上させることできる。併せて、外部からの衝撃や振動によりアクチュエータ手段が受ける慣性力を打ち消すことで、ディスク装置の耐衝撃特性を向上させ、ヘッドの位置決め制御を安定的に行うことができる。
【0230】
そして、本発明のディスク装置によれば、単に上記の作用効果だけにとどまらず、駆動信号をヘッド位置の位置制御信号と外乱推定信号とに基づいて生成するにおいて、フィルタ手段によって外乱推定信号の高域周波数成分を遮断してフィルタ信号となし、その上でヘッド位置の位置制御信号とフィルタ信号とを合成することにより駆動信号を生成しているので、アクチュエータ手段の駆動コイルの抵抗値が抵抗ばらつきを伴っていたり温度上昇による抵抗値変化により公称値とは異なっている場合でも、位置決め制御系を安定化することができる。
【0231】
また、外乱推定手段を、駆動信号または位置制御信号をk1倍して得られた信号と電圧信号とに基づいて外乱推定信号を生成するものに構成するとともに、補正手段を、外乱推定信号を1/k2倍した信号と位置制御信号を合成して駆動信号を生成するものに構成することにより(k1>>1、k2>>1)、アクチュエータ手段の駆動コイルの抵抗値が抵抗ばらつきを伴っていたり温度上昇による抵抗値変化により公称値とは異なっている場合でも、位置決め制御系を安定化することができる。
【0232】
したがって、アクチュエータ手段の小型軽量化によりアクチュエータ手段に作用する外乱が位置決め制御系に与える影響が大きくなったときに、特に駆動コイルの抵抗値ばらつき、抵抗値変化があるときに、本発明のディスク装置によれば、より多様な条件変化に対して、ヘッドの位置決め精度を向上させて対応することが可能であり、トラック密度を従来のものより高めることができるので大容量のディスク装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施の形態におけるディスク装置の構成を示すブロック図
【図2】 本発明の第1の実施の形態におけるディスク装置の位置決め制御系の全体構成を示すブロック線図
【図3】 (a)は本発明の第1の実施の形態におけるディスク装置の外乱推定手段の外乱推定動作を説明するためのブロック線図、(b)は(a)のブロック線図を等価変換したブロック線図、(c)は(a)のブロック線図をまとめて表現したブロック線図
【図4】 (a)は本発明の第1の実施の形態におけるディスク装置に加わる外乱を抑制する動作を説明するためのブロック線図、(b)は(a)のブロック線図を等価変換したブロック線図
【図5】 本発明の第1の実施の形態におけるディスク装置に加わる外乱に対する遮断周波数特性図
【図6】 (a)は本発明の第1の実施の形態におけるディスク装置に加わる外乱の変動と外乱推定手段が出力する外乱推定信号の時間応答波形図、(b)は外乱推定手段の出力する外乱推定信号を補正手段に入力する場合と補正手段に入力しない場合の駆動電流時間応答波形図、(c)は外乱推定手段の出力する外乱推定信号を補正手段に入力して外乱の変動を打ち消した場合のトラック誤差の時間応答波形図
【図7】 (a)は本発明の第1の実施の形態の外乱推定手段で駆動コイルのインダクタンスを考慮したときの位置決め制御系のオープンループの周波数ゲイン特性図、(b)は(a)に対応した周波数位相特性図
【図8】 (a)は本発明の第1の実施の形態におけるディスク装置の外乱推定手段で駆動コイルのインダクタンスを考慮しなかったときの位置決め制御系のオープンループの周波数ゲイン特性図、(b)は(a)に対応した周波数位相特性図
【図9】 本発明の第1の実施の形態におけるディスク装置の駆動コイルに並列接続するコンデンサと抵抗の回路構成図
【図10】 本発明の第1の実施の形態におけるディスク装置の外乱推定手段の変更箇所のブロック線図
【図11】 (a)は本発明の第1の実施の形態におけるディスク装置の位置決め制御系で、外乱推定手段の出力と補正手段の入力の間にフィルタを挿入したとき(実線)と外乱推定手段で駆動コイルのインダクタンスを考慮しなかったとき(破線)の位置決め制御系のオープンループの周波数ゲイン特性図、(b)は(a)に対応した周波数位相特性図
【図12】 本発明の第2の実施の形態におけるディスク装置の構成を示すブロック図
【図13】 本発明の第2の実施の形態におけるディスク装置の位置決め制御系の全体構成を示すブロック線図
【図14】 本発明の第3の実施の形態におけるディスク装置の構成を示すブロック図
【図15】 本発明の第3の実施の形態におけるディスク装置の位置決め制御系の全体構成を示すブロック線図
【図16】 (a)は本発明の第3の実施の形態におけるディスク装置の外乱推定手段で駆動コイルの抵抗値が公称値に等しくないときの位置決め制御系のオープンループの周波数ゲイン特性図、(b)は(a)に対応した周波数位相特性図
【図17】 (a)は本発明の第3の実施の形態におけるディスク装置の外乱推定手段の駆動コイルの抵抗値が公称値と異なるときの外乱推定動作を説明するためのブロック線図、(b)は(a)のブロック線図を等価変換したブロック線図、(c)は駆動コイルの抵抗値が公称値と異なるときの位置決め制御系の変更箇所のブロック線図
【図18】 本発明の第3の実施の形態におけるディスク装置の構成(図14)を書き改めたブロック図
【図19】 本発明の第3の実施の形態におけるディスク装置の位置決め制御系の全体構成(図15)を書き改めたブロック線図
【図20】 本発明の第4の実施の形態におけるディスク装置の構成を示すブロック図
【図21】 本発明の第4の実施の形態におけるディスク装置の位置決め制御系の全体構成を示すブロック線図
【図22】 本発明の第3の実施の形態におけるディスク装置の構成(図14)を書き改めたブロック図
【図23】 本発明の第3の実施の形態におけるディスク装置の位置決め制御系の全体構成(図15)を書き改めたブロック線図
【図24】 本発明の第1および第3の実施の形態を組み合わせた実施の形態におけるディスク装置の構成を示すブロック図
【図25】 本発明の第2および第4の実施の形態を組み合わせた実施の形態におけるディスク装置の構成を示すブロック図
【符号の説明】
1 磁気ディスク
2 磁気ヘッド
3 アーム
4 軸受
5 駆動コイル
6 固定子
7 アクチュエータ(アクチュエータ手段)
10 駆動手段
11 電圧検出手段
12,12A 外乱推定手段
13 位置検出手段
14 位置制御手段
15 補正手段
16 フィルタ手段
17,17A 外乱推定手段
32,33 第1の乗算器(第1の乗算手段)
43 第1の積分器(第1の積分手段)
44 第2の乗算器(第2の乗算手段)
34,35 第2の積分器(第2の積分手段)
37 比較器(比較手段)
u 駆動信号
e 位置誤差信号
c 位置制御信号
v ヘッド移動速度
est 速度推定信号
τ 駆動トルク
τd 外乱(外乱トルク)
τdest 外乱推定信号
a 駆動電流
aest 推定電流
a 誘起電圧
aest 誘起電圧推定信号
d 電圧信号
dest 電圧推定信号
f フィルタ信号
β 補正信号

Claims (13)

  1. ディスクに対してヘッドの位置決めを行うアクチュエータ手段と、
    入力される駆動信号に応じて前記アクチュエータ手段を駆動する駆動手段と、
    前記アクチュエータ手段の駆動において誘起される電圧を検出し、電圧信号を出力する電圧検出手段と、
    1よりも大きい実数の係数をk1として、前記駆動信号をk1倍した信号と前記電圧信号から前記ヘッドに加わる外乱の大きさを推定し、外乱推定信号を生成する外乱推定手段と、
    前記ディスクに予め記録され、前記ヘッドにより検出されるサーボ情報から前記ヘッドの現在位置に対応した位置誤差信号を生成し、出力する位置検出手段と、
    前記位置誤差信号に対応した位置制御信号を生成し、出力する位置制御手段と、
    前記位置制御信号と前記外乱推定信号が入力され、1よりも大きい実数の係数をk2として、前記外乱推定信号を1/k2倍した信号と前記位置制御信号とを合成して前記駆動信号を生成し、出力する補正手段とを具備することを特徴とするディスク装置。
  2. ディスクに対してヘッドの位置決めを行うアクチュエータ手段と、
    入力される駆動信号に応じて前記アクチュエータ手段を駆動する駆動手段と、
    前記アクチュエータ手段の駆動において誘起される電圧を検出し、電圧信号を出力する電圧検出手段と、
    前記ディスクに予め記録され、前記ヘッドにより検出されるサーボ情報から前記ヘッドの現在位置に対応した位置誤差信号を生成し、出力する位置検出手段と、
    前記位置誤差信号に対応した位置制御信号を生成し、出力する位置制御手段と、
    1よりも大きい実数の係数をk1として、前記位置制御信号をk1倍した信号と前記電圧信号から前記ヘッドに加わる外乱の大きさを推定し、外乱推定信号を生成する外乱推定手段と、
    前記位置制御信号と前記外乱推定信号が入力され、1よりも大きい実数の係数をk2として、前記外乱推定信号を1/k2倍した信号と前記位置制御信号とを合成して前記駆動信号を生成し、出力する補正手段とを具備することを特徴とするディスク装置。
  3. ディスクに対してヘッドの位置決めを行うアクチュエータ手段と、
    入力される駆動信号に応じて前記アクチュエータ手段を駆動する駆動手段と、
    前記アクチュエータ手段の駆動において誘起される電圧を検出し、電圧信号を出力する電圧検出手段と、
    1よりも大きい実数の係数をk1として、前記駆動信号をk1倍した信号と前記電圧信号から前記ヘッドに加わる外乱の大きさを推定し、外乱推定信号を生成する外乱推定手段と、
    前記ディスクに予め記録され、前記ヘッドにより検出されるサーボ情報から前記ヘッドの現在位置に対応した位置誤差信号を生成し、出力する位置検出手段と、
    前記位置誤差信号に対応した位置制御信号を生成し、出力する位置制御手段と、
    前記位置制御信号と前記外乱推定信号が入力され、1よりも大きい実数の係数をk2として、前記外乱推定信号を1/k2倍した信号の高域周波数成分を遮断してフィルタ信号を生成し、前記位置制御信号と前記フィルタ信号とを合成して前記駆動信号を生成し、出力する補正手段とを具備することを特徴とするディスク装置。
  4. ディスクに対してヘッドの位置決めを行うアクチュエータ手段と、
    入力される駆動信号に応じて前記アクチュエータ手段を駆動する駆動手段と、
    前記アクチュエータ手段の駆動において誘起される電圧を検出し、電圧信号を出力する電圧検出手段と、
    前記ディスクに予め記録され、前記ヘッドにより検出されるサーボ情報から前記ヘッドの現在位置に対応した位置誤差信号を生成し、出力する位置検出手段と、
    前記位置誤差信号に対応した位置制御信号を生成し、出力する位置制御手段と、
    1よりも大きい実数の係数をk1として、前記位置制御信号をk1倍した信号と前記電圧信号から前記ヘッドに加わる外乱の大きさを推定し、外乱推定信号を生成する外乱推定手段と、
    前記位置制御信号と前記外乱推定信号が入力され、1よりも大きい実数の係数をk2として、前記外乱推定信号を1/k2倍した信号の高域周波数成分を遮断してフィルタ信号を生成し、前記位置制御信号と前記フィルタ信号とを合成して前記駆動信号を生成し、出力する補正手段とを具備することを特徴とするディスク装置。
  5. 前記係数k1,k2をほぼ等しく設定していることを特徴とする請求項から請求項までのいずれかに記載のディスク装置。
  6. 前記外乱推定手段は、
    前記電圧検出手段の検出した電圧信号が入力される比較手段と、
    前記駆動信号をk1倍した信号に第1の伝達関数からなる係数を乗算する第1の乗算手段と、
    前記比較手段の出力に第2の伝達関数からなる係数を乗算する第2の乗算手段と、
    前記比較手段の出力を積分する第1の積分手段と、
    前記第1の乗算手段の出力から前記第2の乗算手段の出力と前記第1の積分手段の出力との加算値を減算した値を積分する第2の積分手段とを具備し、
    前記比較手段が前記電圧信号と前記第2の積分手段の出力とを比較し、その結果を前記第2の乗算手段と前記第1の積分手段へ出力するように構成されていることを特徴とする請求項または請求項に記載のディスク装置。
  7. 前記外乱推定手段は、
    前記電圧検出手段の検出した電圧信号が入力される比較手段と、
    前記位置制御信号をk1倍した信号に第1の伝達関数からなる係数を乗算する第1の乗算手段と、
    前記比較手段の出力に第2の伝達関数からなる係数を乗算する第2の乗算手段と、
    前記比較手段の出力を積分する第1の積分手段と、
    前記第1の乗算手段の出力から前記第2の乗算手段の出力を減算した値を積分する第2の積分手段とを具備し、
    前記比較手段が前記電圧信号と前記第2の積分手段の出力とを比較し、その結果を前記第2の乗算手段と前記第1の積分手段へ出力するように構成されていることを特徴とする請求項または請求項に記載のディスク装置。
  8. 前記補正手段におけるフィルタ信号の遮断周波数が、前記位置制御手段の制御帯域よりも小さく設定されていることを特徴とする請求項または請求項に記載のディスク装置。
  9. ディスクに予め記録され、ヘッドにより検出されるサーボ情報から前記ヘッドの現在位置に対応した位置誤差信号を生成し、
    前記位置誤差信号に対応した位置制御信号を生成し、
    1よりも大きい実数の係数をk1として、前記ヘッドの位置決めを行うアクチュエータ手段の駆動信号をk1倍した信号と前記アクチュエータ手段の駆動において誘起される電圧信号から前記ヘッドに加わる外乱の大きさを推定して外乱推定信号を生成し、
    1よりも大きい実数の係数をk2として、前記外乱推定信号を1/k2倍した信号と前記位置制御信号とを合成して前記駆動信号を生成し、
    前記駆動信号により前記ディスクに対して前記ヘッドの位置決めを行うことを特徴とするディスク装置の制御方法。
  10. ディスクに予め記録され、ヘッドにより検出されるサーボ情報から前記ヘッドの現在位置に対応した位置誤差信号を生成し、
    前記位置誤差信号に対応した位置制御信号を生成し、
    1よりも大きい実数の係数をk1として、前記位置制御信号をk1倍した信号と前記アクチュエータ手段の駆動において誘起される電圧信号から前記ヘッドに加わる外乱の大きさを推定して外乱推定信号を生成し、
    1よりも大きい実数の係数をk2として、前記外乱推定信号を1/k2倍した信号と前記位置制御信号を合成して前記駆動信号を生成し、
    前記駆動信号により前記ディスクに対して前記ヘッドの位置決めを行うことを特徴とするディスク装置の制御方法。
  11. ディスクに予め記録され、ヘッドにより検出されるサーボ情報から前記ヘッドの現在位置に対応した位置誤差信号を生成し、
    前記位置誤差信号に対応した位置制御信号を生成し、
    1よりも大きい実数の係数をk1として、前記ヘッドの位置決めを行うアクチュエータ手段の駆動信号をk1倍した信号と前記アクチュエータ手段の駆動において誘起される電圧信号から前記ヘッドに加わる外乱の大きさを推定して外乱推定信号を生成し、
    1よりも大きい実数の係数をk2として、前記外乱推定信号を1/k2倍した信号の高域周波数成分を遮断してフィルタ信号を生成し、
    前記位置制御信号と前記フィルタ信号とを合成して前記駆動信号を生成し、
    前記駆動信号により前記ディスクに対して前記ヘッドの位置決めを行うことを特徴とするディスク装置の制御方法。
  12. ディスクに予め記録され、ヘッドにより検出されるサーボ情報から前記ヘッドの現在位置に対応した位置誤差信号を生成し、
    前記位置誤差信号に対応した位置制御信号を生成し、
    1よりも大きい実数の係数をk1として、前記位置制御信号をk1倍した信号と前記アクチュエータ手段の駆動において誘起される電圧信号から前記ヘッドに加わる外乱の大きさを推定して外乱推定信号を生成し、
    1よりも大きい実数の係数をk2として、前記外乱推定信号を1/k2倍した信号の高域周波数成分を遮断してフィルタ信号を生成し、
    前記位置制御信号と前記フィルタ信号とを合成して前記駆動信号を生成し、
    前記駆動信号により前記ディスクに対して前記ヘッドの位置決めを行うことを特徴とするディスク装置の制御方法。
  13. 前記係数k1,k2をほぼ等しく設定していることを特徴とする請求項から請求項12までのいずれかに記載のディスク装置の制御方法。
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