〔実施例1〕
本実施例では、Nチャネル型TFTとPチャネル型TFTとを相補的に組み合わせたCMOS構造と、バッファ回路を構成するTFTと、複数のゲイト電極を有するマルチゲイト型TFTとを同一基板上に形成する場合のそれぞれの作製工程を示す。
その際に、本実施例は陽極酸化用配線の一部を分断して、選択的に一部のゲイト電極との電気的な接続を切り離し、陽極酸化用配線と電気的に接続したゲイト電極のみを陽極酸化する例を示す。説明は図5を用いて行う。
まず、図5(A)において絶縁性を有する基板、代表的にはガラス基板上に酸化珪素膜等の絶縁膜を成膜した基板501を準備する。そして、その上に図示しない非晶質珪素膜をプラズマCVD法や減圧熱CVD法により200 〜1000Åの厚さに成膜する。
この図示しない非晶質珪素膜を適当な結晶化方法により結晶化して図示しない結晶性珪素膜を得る。結晶化方法としては、500 〜700 ℃、代表的には600 ℃の温度で1 〜24hr程度の加熱処理を施したり、KrFやXeClのエキシマレーザーによるアニールを行えば良い。また、両手段を併用することも効果的である。
また、結晶化に際して結晶化を助長する金属元素を導入すると低温、短時間で優れた結晶性を得ることが可能であるので好ましい。
次に、得られた図示しない結晶性珪素膜をパターニングして活性層502〜505を形成する。
なお、502はCMOS構造においてPチャネル型TFTを、503はNチャネル型TFTを形成する活性層であり、シフトレジスタ回路等の周辺駆動回路を形成する。
また、504は図2〜図4を用いて説明したTFTを形成する活性層であり、バッファ回路を形成する。
また、505はマルチゲイト型TFTを形成するための活性層であり、アクティブマトリクス回路に配置される画素TFTを形成する。
各活性層502〜505を形成したら、それを覆う様に酸化珪素膜でなるゲイト絶縁膜506を1200Åの厚さに成膜する。ゲイト絶縁膜506としては、他にも窒化珪素膜やSiO X N Y で示される酸化窒化珪素膜等の絶縁膜を用いることができる。
次に、0.2wt%のスカンジウムを含有したアルミニウム膜を2500〜4000Åの厚さに成膜する(図示せず)。スカンジウムは後の熱処理工程でヒロックやウィスカーといった刺状に突起物の発生を抑制する効果がある。
次に、このアルミニウム膜の表面に図示しない極薄い陽極酸化膜を形成する。この陽極酸化膜は、3%の酒石酸を含んだエチレングリコール溶液をアンモニア水で中和したものを電解溶液として行う。即ち、この電解溶液中において、アルミニウム膜を陽極、白金を陰極として陽極酸化を行う。
この工程で形成される陽極酸化膜は緻密な膜質を有し、アルミニウム膜のパターニングを行う際に形成されるレジストマスクとの密着性を向上させるために機能する。なお、この図示しない陽極酸化膜の膜厚は100 Å程度とする。またこの膜厚は印加電圧によって制御することができる。
次に、レジストマスク507を利用して図示しないアルミニウム膜をパターニングし、ゲイト電極の基となるアルミニウム膜のパターン508〜511を形成する。
なお、510で示されるパターンを上面から見ると図4(A)のゲイト電極400の様に、1つのゲイト電極の一部をくり抜いたような形状となっている。従って、断面図では3つのゲイト電極に分断されている様に見えるが、全て1つのゲイト電極の一部である。
また、511で示されるアルミニウムのパターンの断面図が図5(A)の様に分断されている様に見えるのは、一般的にマルチゲイト型TFTはジグザグに曲がりくねった活性層を1本のゲイト線(実質的にはゲイト電極)が横切る様な構成でなるからである。
なお、図5、図6で示すマルチゲイト型TFTの図面は、このTFTが等価的に複数のTFTを直列に接続した構成と見なせることを表現している。
なお、512は後にゲイト絶縁膜506を介して活性層505との間に補助容量を形成する容量線の基となるパターンである。
また、図示されないが上記アルミニウムのパターン以外にも、同一材料で陽極酸化用配線が形成される。この陽極酸化用配線容量は、電気的に全てのゲイト電極、ゲイト線および容量線と電気的に接続している。
以上の様に図示しないアルミニウム膜をパターニングしてパターン形成を行うのであるが、本発明ではこの時に陽極酸化用配線の一部をパターン形成と同時に分断することが重要である。
即ち、陽極酸化用配線の一部を分断して特定のアルミニウムのパターンのみを電気的に切り離した状態とする。本実施例では、アルミニウムのパターン509、510、511を図示しない陽極酸化用配線から切り離す。
こうして図5(A)に示す状態を得る。図5(A)に示す状態では、陽極酸化用配線と接続しているのはアルミニウム膜のパターン508、509のみとなっている。
次に、再びアルミニウム膜のパターン508、509を陽極とした陽極酸化を行う。なお、ここでは陽極酸化の電解溶液として3%のシュウ酸水溶液を用いる。
この陽極酸化工程においては、レジストマスク507が存在するために陽極酸化がアルミニウムのパターン508、509の側面のみにおいて進行する。従って、図5(B)の513、514で示されるように陽極酸化膜が形成される。
また、この工程で形成される陽極酸化膜513、514は、多孔質状を有しており、その成長距離も数μmまで行わせることができる。本実施例では上記の多孔質状の陽極酸化膜513、514の膜厚を7000Åとする。またこの陽極酸化膜513、514の膜厚は陽極酸化時間によって制御することができる。
この時、前述の分断工程によりアルミニウムのパターン509、510、511は陽極酸化用配線から切り離されているので陽極酸化は行われない。即ち、図5(B)に示す様に多孔質状の陽極酸化膜は形成されない。
次に、図5(B)に示す多孔質状の陽極酸化膜513、514を形成したら、レジストマスク507を取り除く。そして、再度の陽極酸化を行うことにより、緻密な陽極酸化膜515、516を形成する。この陽極酸化工程は、前述の緻密な陽極酸化膜を形成したのと同じ条件で行う。
ただし、形成する膜厚を500 〜2000Åとする。この工程においては、多孔質状の陽極酸化膜513、514の内部に電解溶液が進入するために図5(C)に示すように緻密で強固な陽極酸化膜515、516が形成される。
この陽極酸化膜の膜厚を1500Å以上というように厚くすると、後の不純物イオンの注入工程において、オフセットゲイト領域を形成することができる。
また、この緻密な陽極酸化膜515、516は、後の工程においてゲイト電極517、518の表面にヒロックが発生することを抑制するために機能する。
なお、陽極酸化用配線と切り離した他のアルミニウム膜にパターン510〜512は、この工程においても当然陽極酸化膜を形成されない。従って、アルミニウムのパターン510、511が後にそのままゲイト電極となり、512が容量線となる。
次に、この状態においてソース/ドレイン領域を形成するための不純物イオンの注入を行う。まず始めにNチャネル型の薄膜トランジスタを作製するためにP(リン)イオンの注入を行う。
このイオン注入は0.2 〜5 ×1015/cm2、好ましくは1 〜2 ×1015/cm2という高いドーズ量でイオン注入法(イオンドーピング法)により行う。この工程において、高濃度に不純物が添加された領域519〜531が形成される。
この時、519、520は後にコンタクトパッドと呼ばれる領域であり、521、522はそれぞれCMOS構造を構成するNチャネル型TFTのドレイン領域、ソース領域である。
また、523、526はそれぞれ図2〜図4を用いて説明したTFTのソース領域、ドレイン領域であり、524および525は浮島領域である。
また、527、531はそれぞれマルチゲイト型TFTのソース領域、ドレイン領域であり、528、529、530は活性層のチャネル同士を繋ぐ配線の様な役目を果たす導電領域となる。
こうして図5(C)に示す様に高濃度不純物領域519〜531が形成された状態が得られる。次に、酢酸とリン酸と硝酸とを混合した混酸を用いて、多孔質状の陽極酸化膜513、514を選択的に除去した後に、Pチャネル型TFTを構成する素子上にレジストマスク532を設けて再度Pイオンのイオン注入を行なう。
このイオン注入は、先のソース/ドレイン領域を形成する際よりも低ドーズ量でもって行なわれる。本実施例では、0.1 〜5 ×1014/cm2、好ましくは0.3 〜1 ×1014/cm2という低いドーズ量でイオン注入法により行う。
すると、前記高濃度不純物領域519〜531と比較して不純物濃度の低い、低濃度不純物領域533、534がCMOS構造を構成するNチャネル型TFTに形成される。さらに、自己整合的にチャネル領域535が形成される。なお、チャネル領域535とドレイン領域521との間に配置された低濃度不純物領域533が通常LDD領域と呼ばれる領域である。(図5(D))
次に、図6(A)に示す様に、Nチャネル型TFTを構成する素子(本実施例では、CMOS構造を構成する片方のTFTのみをP型とする)上にレジストマスク536を設け、P型導電性を付与する不純物イオンの注入を行う。この際、図5(C)の高濃度不純物領域519、520をN型からP型へ反転させる必要があるため、1度目のPイオン注入よりも高いドーズ量でイオン注入を行う。
本実施例では、このP型導電性を付与する不純物イオンとしてB(ボロン)イオンの注入を0.1 〜2.5 ×1016/cm2、好ましくは0.5 〜1 ×1016/cm2という高いドーズ量でイオン注入法により行う。
上記不純物イオン(Bイオン)の注入工程により、Pチャネル型TFTを構成する活性層にはP型を示す領域537、538と、これより強いP型を示す領域539、540およびチャネル領域541が形成される。
なお、本発明者らは領域537、538を実質的に後に形成するソース/ドレイン電極との電気的接触をとるためのパッド(コンタクトパッドと呼ぶ)として定義している。また、領域539をソース領域、540をドレイン領域として定義する。
このようにソース領域539およびドレイン領域540は実質的に真性であった領域にBイオンのみを注入して形成されている。そのため、他のイオンが混在しないので不純物濃度の制御が用意なものとなり、整合性の良いPI接合を実現できる。しかもイオン注入による結晶性の乱れも比較的小さなもので済む。
従って、本実施例の構造ではPチャネル型TFTに対してはLDD領域は配置されない。ただし、Pチャネル型TFTはそれ自体で耐劣化性に優れるため、LDD領域を配置しなくても問題とはならない。
また、例えば図5(C)のイオン注入の段階でPチャネルTFT側の素子をレジストマスクで隠して図5(C)および図5(D)で説明した工程に従ってNチャネル型TFTを完成し、その後で今度はNチャネル型TFT側の素子をレジストマスクで隠して同様の工程でPチャネル型TFTを形成することもできる。
すると、多少工程数が増えるがNチャネル型TFTとPチャネル型TFTの両方にLDD領域を形成することができる。
次に、542の領域は図2〜図4を用いて説明したTFTのベース領域であり、実質的にはチャネル領域として機能する。このベース領域542は浮島領域524、525によって分断されている様に見えるが、ゲイト電極510下に自己整合的に形成されるため図2(A)のベース領域206のように全て繋がっている。
また、543〜545で示される領域はマルチゲイト型TFTのチャネル領域であり、ゲイト電極511によって自己整合的に形成される。
なお、546で示される領域は実質的に真性な領域であるが、実際にTFTを駆動する際には容量線512に対して常に固定電圧が印加されるので常時オン状態、即ちチャネルを形成した導電性を有する状態となる。
さらに、上記の不純物イオンの注入工程の後、レーザー光または赤外光または紫外光の照射を行うことによって、イオンの注入が行われた領域のアニールを行う。このアニールによって注入された不純物イオンの活性化と同時に活性層受けた損傷の回復を行うことができる。
以上の様にして図6(A)に示す状態が得られたら、第1の層間絶縁膜547を3000Åの厚さに成膜する。第1の層間絶縁膜547としては、酸化珪素膜、窒化珪素膜、酸化窒化珪素膜等を用いることができる。
次に、第1の層間絶縁膜547にコンタクトホールを形成して、ソース電極548〜551およびドレイン電極552〜554を形成する。なお、552で示される様に、CMOS構造を構成するNチャネル型TFTおよびPチャネル型TFTのドレイン電極は接続した構造とする。
次に、第2の層間絶縁膜555を0.3 〜5 μmの厚さに成膜する。第2の層間絶縁膜555としては酸化珪素膜、窒化珪素膜、酸化窒化珪素膜、有機性樹脂材料等を用いることができる。(図6(B))
特に、ポリイミドなどに代表される有機性樹脂材料を用いると、容易に膜厚を稼ぐことができる上、比誘電率が低いため第2の層間絶縁膜555を介した寄生容量の形成を問題のないレベルとすることができる。
また、有機性樹脂材料は膜厚を容易に稼ぐことができるため、平坦化膜としての効果が大きいばかりでなく、製造工程のスループットが向上するといった利点を持っている。
次に、第2の層間絶縁膜555にコンタクトホールを形成し、その上に透明導電膜でなる画素電極556を形成する。本実施例では、画素電極556として1000Å厚のITO(Indium Tin Oxide) 膜を用いる。
なお、この画素電極556はマルチゲイト型TFTのドレイン電極554と電気的に接続する様に形成する。画素電極(ITO膜)556とドレイン領域(珪素膜)531との接触抵抗は非線形であるので、直接接触するとコンタクト不良を起こしやすくなる。
従って、本実施例の様にドレイン電極554を介してドレイン領域531と電気的に接続する構造とすると、コンタクト不良のない良好なオーミックコンタクトが得られる。
また、コンタクトホールを形成する際に第2の層間絶縁膜555のみをエッチング除去すれば良いのも利点である。すると、直接ドレイン領域531と接続するよりも製造工程を容易なものとし、形状を崩さずにコンタクトホールを形成できる。
以上の様にして、図6(C)に示す様なNチャネル型TFTとPチャネル型TFTとを相補的に組み合わせたCMOS構造と、バッファ回路を構成する図2〜図4を用いて説明したTFTと、複数のゲイト電極を有するマルチゲイト型TFT(本実施例では、画素TFT)とを同一基板上に形成することができる。
図6(C)に示した様なCMOS構造は、主にシフトレジスタ回路、レベルシフタ回路、サンプリング回路、メモリ回路、CPU回路およびデジタル/アナログ変換回路等の低電圧駆動回路に専ら使用する。
また、図2〜図4を用いて説明したTFTはバッファ回路等の様に高い耐圧性能を要求する高電圧駆動回路に専ら使用する。なお、図6(C)ではNチャネル型TFTのみを記載しているが、実際に回路を構成する際は、Pチャネル型TFTを同時に形成して、CMOS構造を構成することも可能であることは言うまでもない。
また、LDD領域を配置しないマルチゲイト型TFTはアクティブマトリクス回路を構成する画素TFTとして専ら使用する。LDD領域を配置しない事は縞模様に見える表示欠陥を防ぐための対策となり、マルチゲイト型TFTの採用は耐圧を高めるための対策となる。
〔実施例2〕
本実施例では、LDD領域を選択的に形成する手段について実施例1とは異なる手段を用いる場合の例を示す。具体的には、多孔質の陽極酸化膜を一旦全てのアルミニウム膜側面に形成し、後に選択的に除去する場合の例である。
基本的な説明は実施例1と同様であるので、ここでは変更点のみを図7を用いて説明する。
まず、実施例1の工程に従って図5(A)と同じ状態を得る。この際、全てのアルミニウムのパターンは、後に多孔質の陽極酸化膜の膜厚分だけ内側に細くなることを考慮して、ゲイト電極の設計寸法よりも若干太めにパターン形成しておくことが望ましい。
次に、実施例1の2度目の陽極酸化と同じ条件で陽極酸化を行い、全てのアルミニウムのパターンの側面に多孔質の陽極酸化膜701〜705を形成する。(図7(A))
次に、アルミニウムのパターン上に配置されていたレジストマスク507を除去し、再度、緻密な陽極酸化膜の形成を行う。本実施例では、実施例1と異なり陽極酸化用配線の分断を行っていないので、全てのアルミニウムのパターンに緻密な陽極酸化膜706〜710が形成される。(図7(B))
次に、CMOS構造を構成するNチャネル型TFTおよびPチャネル型TFTを覆って再びレジストマスク711を形成する。(図7(C))
この状態で酢酸、リン酸、硝酸を混合した混酸を用いて多孔質の陽極酸化膜708〜710の除去を行う。
以上の過程を経て図7(D)に示す様な構造が得られる。この構造は基本的に図5(C)に示す構造と同一のものとなる(緻密な陽極酸化膜708〜710が形成されている点のみ異なる)。
従って、以降の工程は実施例1に従えば基本的には図6(C)に示す様な状態が得られる。ただし、本実施例では、全てのゲイト電極、ゲイト配線および容量線に緻密な陽極酸化膜706〜710が形成される点が実施例1とは異なる。
即ち、本実施例によればゲイト電極やゲイト配線等に発生するヒロックやウィスカーを効果的に抑制することが可能であり、これら突起物に起因する配線間ショート(短絡)などを防止することができる。
〔実施例3〕
実施例1では、アクティブマトリクス回路、即ち画素TFTの全てをNチャネル型TFTで構成する例を示したが、画素TFTをPチャネル型TFTで構成しても良い。
画素TFTをPチャネル型TFTとするには、図6(A)に示す工程において画素TFTとなる領域にはレジストマスク536を配置しない構成とし、Bイオンの注入を行えば良い。
画素TFTをPチャネル型TFTとすると、画素TFTの耐劣化性が向上するため、信頼性の高い画像表示領域を構成することができる。
〔実施例4〕
実施例1では、バッファ回路を構成する図2〜図4を用いて説明したTFTをNチャネル型TFTで構成する例を示したが、Pチャネル型TFTで構成しても良い。また、Nチャネル型とPチャネル型の両方を形成してCMOS構造を構成することも可能である。
バッファ回路をPチャネル型TFTで構成するには、図6(A)に示す工程においてバッファ回路を構成するTFTとなる領域にはレジストマスク536を配置しない構成とし、Bイオンの注入を行えば良い。
バッファ回路をPチャネル型TFTで構成すると、従来の高い耐圧性に加えてさらに耐劣化性も向上するため、信頼性の高い画像表示領域を構成することが可能である。
〔実施例5〕
本発明においてアクティブマトリクス回路を構成する画素TFTに対してLDD領域を設けない理由として、LDD領域に起因するオン電流のバラツキが、縞模様に見える表示欠陥の原因となっていることは既に述べた。
しかし、本発明により画素TFTにLDD領域を配置しない構成としても、例えばソース領域やドレイン領域の導電性がバラツキを持ってしまえば、その影響を受けてオン電流にもバラツキが発生してしまう。
従って、ソース領域およびドレイン領域を形成するN型もしくはP型の導電層のシート抵抗は、そのバラツキの影響が階調表示に悪影響を及ぼさない程度にまで十分小さくなくてはならない。
本発明者らの解析結果によれば、ソース領域およびドレイン領域のシート抵抗が1×103 Ω/□以下、好ましくは0.5 ×103 Ω/□以下であれば、上記問題を生じない表示装置を構成することが可能である。
なお、実施例1に示した条件による不純物イオン注入を行った場合、N型とP型のどちらのソース領域およびドレイン領域のシート抵抗も、300 〜500 Ω/□の範囲に納まるものであった。
〔実施例6〕
実施例1または実施例2において、図6(C)に示される様に図2〜図4を用いて説明したTFTは低濃度不純物領域を配置しない構成であったが、低濃度不純物領域を配置した構成とすることも可能である。
実施例1に記載した方法に従って選択的に低濃度不純物領域を設ける場合、多孔質の陽極酸化膜を形成しないアルミニウムのパターンを陽極酸化用配線と切り離す際に、図2〜図4を用いて説明したTFTのゲイト電極となるアルミニウムのパターンを切り離さなければ良い。
こうすることで、2度目の陽極酸化の際に多孔質の陽極酸化膜が形成されるので、実施例1と同様のイオン注入工程を行えば低濃度不純物領域を配置することが可能である。
また、実施例2に記載した方法に従って選択的に低濃度不純物領域を設ける場合、図7(C)の工程において、図2〜図4を用いて説明したTFTをレジストマスク712で覆ってしまえば良い。
こうすることで、多孔質の陽極酸化膜703を残すことができるので実施例1と同様のイオン注入工程を行えば低濃度不純物領域を配置することが可能である。
以上の様にして、図2〜図4を用いて説明したTFTに低濃度不純物領域を配置した場合の活性層の構成を図8に示す。
図8において、活性層801にはソース領域802、浮島領域803〜805、ドレイン領域806が同じ濃度の不純物イオンを注入して形成されている。また、図示しないゲイト電極で遮蔽されて不純物イオンの注入されなかった領域はベース領域807を形成する。
そして、上記2通りの方法により低濃度に不純物イオンを注入することにより浮島領域803〜805の周辺にはそれぞれ低濃度不純物領域808〜812が形成される。
この図2〜図4を用いて説明したTFTはオフ動作時において、浮島領域803〜805とベース領域(この時、浮島領域とは逆の導電型を示している)との間にはPN接合が形成される。半導体膜が多結晶状態や微結晶状態にある時は、この接合部分で強電界による劣化や接合状態の変化は生じやすい。
この様な時、図8に示す低濃度不純物領域808〜812は、上記PN接合部分に形成される強電界を緩和することができる点で有意である。
また、低濃度不純物領域812はオン動作時において導電領域813とドレイン806との間に形成される強電界を緩和するLDD領域となる。なお、ここで導電領域812とは、浮島領域803〜805と反転したベース領域807とで構成される領域を意味する。
また、上記方法以外に別の手段によりLDD領域を形成することもできる。例えば、活性層を構成する島状の半導体層を形成した後、必要箇所以外をレジストマスク等で隠して、所望の位置に選択的に不純物イオンを注入する。ただし、不純物イオンのドーズ量は、後に形成するソース/ドレイン領域よりも低濃度とする。
以上の様に、本実施例に従い図8に示す様な活性層を有する薄膜トランジスタを形成し、それを用いてバッファ回路を構成すると高い信頼性を有する回路を構成することができる。
〔実施例7〕
実施例1において、非晶質珪素膜を結晶化する際に結晶化を助長する触媒として利用する金属元素は、結晶化後の珪素膜中に残留することで何らかの悪影響を与える可能性があり好ましいものではない。
本発明者らの研究によれば、金属元素が偏析した場合にそこが電流の流れる経路となってオフ電流が増加する可能性が示唆されている。
特に、低オフ電流を要求する画素TFTにとってはオフ電流の増加は致命的な問題であり、画素電極の電荷保持時間、延いては液晶表示装置の画像表示能力に影響を与える。
そこで、本実施例では非晶質珪素膜に結晶化を助長する金属元素を導入する結晶化方法を採用するにあたって、アクティブマトリクス回路には金属元素を導入せず、周辺駆動回路には金属元素を導入する場合の例を示す。
結晶化を助長する金属元素を用いた結晶性珪素膜の形成方法についての詳細は本発明者らによる特開平6-232509号公報、特開平7-321339号公報に記載されているので、ここでは説明を省略することとする。当該公報によれば、金属元素としてはNi(ニッケル)元素を用いるのが好ましい。
本実施例では、実施例1と同様の工程に従って非晶質珪素膜まで成膜したら、酸化珪素膜を500 〜1000Åの厚さに堆積する。この酸化珪素膜は金属元素(本実施例ではニッケルを例にとる)を選択的に導入するためのマスク材として機能するものである。
酸化珪素膜を堆積したら、周辺駆動回路を構成する領域のみに選択的に窓を設け、その上にニッケル元素の導入を行う。ニッケル元素の導入はニッケル塩溶液をスピンコートして、ニッケル元素を含んだ水膜を非晶質珪素膜表面に形成することにより行われる。
この状態で600 ℃4hr 程度の加熱処理を施すと、窓を開けた領域にのみニッケル元素が導入されているので、その領域のみで結晶化が進行する。即ち、周辺駆動回路となる領域は結晶性珪素膜となり、アクティブマトリクス回路となる領域は非晶質珪素膜のままとなる。
その後、酸化珪素膜でなるマスク材を除去して、基板全体に対してエキシマレーザーによるレーザーアニール処理を施すことにより、結晶性珪素膜の結晶化向上および非晶質珪素膜の結晶化を同時に行う。
以上の過程を経ると、周辺駆動回路はニッケル元素を含有した結晶性珪素膜で構成され、アクティブマトリクス回路はニッケル元素を含有しない結晶性珪素膜で構成することができる。
本実施例に示す構成とすると、アクティブマトリクス回路を構成する画素TFTの活性層にはニッケルのような金属元素が含まれない。従って、低オフ電流特性を有する画素TFTを形成できるので、高い画像表示能力を有する表示装置を作製することが可能となる。
〔実施例8〕
本実施例ではゲイト電極として導電性を付与した結晶性珪素膜を用いるシリコンゲイト型TFTを用いる場合の例を示す。シリコンゲイト型TFTでは、LDD領域の形成方法が実施例1や実施例2とは異なるので、そこに注目して説明することとする。説明は図9を用いて行う。
まず、図9においてガラス基板901上には酸化珪素膜でなるバッファ層902が2000Åの厚さに成膜され、その上に周辺駆動回路を構成するTFTの活性層903と、アクティブマトリクス回路を構成するTFTの活性層904とを形成する。(図9(A))
活性層を構成する手段については実施例1で既に説明したので、ここでの説明は省略する。
次に、活性層903、904を覆って酸化珪素膜でなるゲイト絶縁膜905を1200Åの厚さに成膜する。
そして、ゲイト絶縁膜905上に図示しない導電性を付与した結晶性珪素膜を成膜し、パターニングしてゲイト電極906、907を形成する。図示しない導電性を付与した結晶性珪素膜は、真性の結晶性珪素膜を成膜した後に一導電性を付与する不純物イオンを注入して形成する方法をとっても良い。
こうして、ゲイト電極906、907が得られたら、不純物イオンの注入を行い、ソース領域908、911およびドレイン領域910、913を形成する。例えば、Nチャネル型TFTを作製する場合、不純物イオンとしてPイオンを用いれば良い。
また、ゲイト電極906、907の直下は不純物イオンが注入されず、実質的に真性な領域909、912が自己整合的に形成される。なお、領域909の一部および領域912は後にチャネル形成領域となる。
こうして、図9(B)の状態が得られる。図9(B)の状態が得られたら、ゲイト電極906、907の形成に利用した図示しないレジストマスクを除去し、再びレジストマスク914、915を形成する。本実施例の特徴は、レジストマスク914はゲイト電極906のみを覆う様に形成し、レジストマスク915はアクティブマトリクス回路側の素子全体を覆う様に形成する点にある。
このような状態で、フッ素系ガスを用いたドライエッチング法によりゲイト電極906の等方的なエッチングを行う。この時、ゲイト電極906の上面にはレジストマスク914が存在するので図9(C)の矢印が示す様な方向にエッチングが進行する。
次に、ゲイト電極906のエッチングが終了したら、レジストマスク914、915を除去して再度不純物イオンの注入を行う。この不純物イオンの注入工程は前の不純物イオン注入工程と同じ不純物イオンを、前回よりも低いドーズ量で行う。(図9(D))
こうして、916、917で示される領域にはソース領域908やドレイン領域910と比較して低濃度に不純物イオンの注入された低濃度不純物領域が形成される。なお、低濃度不純物領域916、917で挟まれた領域918はチャネル形成領域となる。
この時、チャネル形成領域918とドレイン領域910との間に配置される低濃度不純物領域917はLDD領域と一般的に呼ばれている。LDD領域917はチャネル/ドレイン接合部にかかる強電界を緩和する効果を有する。
また、2度目の不純物イオン注入工程を行わなければ、領域916、917は実質的に真性のまま残り、ゲイト電極906により電圧を印加されないオフセットゲイト領域とすることができる。
領域916、917をオフセットゲイト領域とした場合においても、領域916、917は単なる抵抗成分として機能し、チャネル/ドレイン接合部にかかる強電界を緩和する効果を有する。
以上の様にして図9(D)に示す状態が得られる。これ以降の工程は実施例1と同様であるので説明は行わない。本実施例によれば、シリコンゲイト型TFTを作製する場合において選択的にLDD領域を配置することが可能となり、本発明を実施することができる。
〔実施例9〕
実施例1および実施例2では、薄膜トランジスタとしてプレーナ型TFTを形成する例を示したが、他のタイプのTFT、例えば逆スタガ型TFTを用いて本発明を実施することも可能である。
例えば、図6(C)に示す様なCMOS構造を構成するTFTを形成する場合でも、図2〜図4を用いて説明したTFTを形成する場合でも基本的には同一手段により逆スタガ型TFTを構成することが可能である。
そこで、本実施例では一般的な構造を有する逆スタガ型TFTの作製工程例について、アクティブマトリクス回路と周辺駆動回路とに区別して説明する。説明は図10を用いて行う。なお、逆スタガ型TFTの作製工程についての詳細は特開平5-275452号公報に記載されているので参照すると良い。
まず、図10(A)において11は絶縁表面を有する基板(例えば、バッファ層を設けたガラス基板や石英基板)である。その上には導電性材料でなるゲイト電極12、13が形成される。
このゲイト電極12、13は後の珪素膜の結晶化を考慮して耐熱性に優れた材料であることが望ましい。また、ゲイト電極12は周辺駆動回路を構成するTFTに使用され、13はアクティブマトリクス回路を構成するTFTに使用されるものとする。
また、耐圧を高めるために公知の技術である陽極酸化法によりゲイト電極12、13の表面および側面に陽極酸化膜を形成してもよい。
次に、ゲイト絶縁膜として機能する酸化珪素膜14をプラズマCVD法により形成し、その上に図示しない非晶質珪素膜をプラズマCVD法や減圧熱CVD法により形成する。この図示しない非晶質珪素膜は実施例1で示した手段により結晶化され、活性層を構成する結晶性珪素膜15となる。(図10(A))
また、非晶質珪素膜を結晶化するのではなく、直接結晶性珪素膜を成膜することも可能である。結晶性珪素膜の成膜は減圧熱CVD法を用いれば良い。
次に、結晶性珪素膜15が得られたらパターニングを行い、周辺駆動回路を構成するTFTに用いる活性層16と、アクティブマトリクス回路を構成するTFTに用いる活性層17を形成する。
活性層の形成方法は上記手段に限ったものではなく、例えばチャネル形成領域上(ゲイト電極上)にレジストマスクを配置して、その上から不純物イオンの注入を行い、レジストの除去、パターニングを施した後にレーザーアニールを行って結晶化とソース領域およびドレイン領域の形成とを同時に行っても良い。
また、前記手段において、不純物イオンの注入の代わりにレジストマスクを配置した状態で導電性を付与した非晶質珪素膜を堆積し、それを不純物イオンの供給源としてソース領域およびドレイン領域の形成を行う方法もとれる。
次に、活性層16、17に対してUV光の照射を行い、図示しない薄い酸化膜を活性層16、17の表面に形成する。この図示しない酸化膜は、後に形成するレジストマスクと活性層16、17とが直接触れない様にするための保護膜として機能する。
次に、図示しないレジストマスクを成膜して、それを裏面露光法によりパターニングしてチャネル形成領域上にのみにレジストマスク18、19を残す。こうして形成されたレジストマスク18、19は後のイオン注入工程においてマスク材として機能することになる。(図10(B))
次に、一導電性を付与する不純物を露出した活性層16、17に対して注入する。この工程は公知のイオン注入法によればよい。
こうして、活性層16、17にはソース領域20、22およびドレイン領域21、23が形成される。(図10(C))
次に、一旦レジストマスク18、19を除去して、再度レジストマスク24、25を形成する。この際、レジストマスク24は先に形成したレジストマスク18よりも細く形成しておくことが重要である。この細くした分が後に形成されるLDD領域の領域幅となる。
また、レジストマスク25はアクティブマトリクス回路を構成する側のTFTの全面を覆うようにして形成する。即ち、LDD領域が形成されないようにマスクを形成する。
そして、前回よりも低いドーズ量でもって、同じ導電性を付与する不純物イオンの注入を行い、低濃度不純物領域26、27を形成する。また、この時レジストマスク24によって不純物イオンの注入が行われなかった領域はチャネル形成領域28となる。
なお、チャネル形成領域28とドレイン領域21との間に配置された低濃度不純物領域を一般的にはLDD領域と呼んでいる。
こうして、図10(D)に示す状態が得られる。この状態において、周辺駆動回路(主としてシフトレジスタ回路やサンプリング回路)を構成するTFTにはソース領域20、チャネル形成領域28、ドレイン領域21、濃度不純物領域26、27が配置された構成となっている。
また、図中右側のアクティブマトリクス回路を構成するTFTにはソース領域22、チャネル形成領域29、ドレイン領域23が配置された構成となっている。
次に、レジストマスク24、25を除去した後、レーザーアニール等により不純物イオンの活性化を行う。このレーザーアニールによりイオン注入時に活性層が受けた損傷も回復する。
次に、層間絶縁膜30として酸化珪素膜を成膜し、コンタクトホールを形成する。そして、導電性材料でなるソース電極31、33およびドレイン電極32、34を形成して、図10(E)に示すような逆スタガ型TFTが完成する。
以上の様に、逆スタガ型TFTを用いても本発明は十分実施することができる。逆スタガ型TFTは活性層の下方にゲイト電極12、13が配置されているため、不純物イオンの活性化等にレーザーアニールを用いる場合、ゲイト電極12、13に遮蔽されることなく活性層全域に渡って均一な処理を行うことができるという利点を持つ。
また、その構造上に理由から基体11からの汚染等に強く、信頼性の高いトランジスタを構成できる利点がある。
〔実施例10〕
実施例1に示した工程でCMOS構造を作製すると、Nチャネル型TFTもしくはPチャネル型TFTのどちらかにはLDD領域が形成されない。
そこで、本実施例ではNチャネル型TFTおよびPチャネル型TFTのどちらに対してもLDD領域を配置する作製工程例について図11を用いて説明する。なお、説明はCMOS構造の部分のみについて行う。
まず、図5(C)に示す状態におけるCMOS構造を構成する領域を図11(A)に示す。なお、各符号は図5、図6で用いてものを引用する。
次に、ゲイト電極517、518および多孔質の陽極酸化膜513、514をマスクとしてゲイト絶縁膜506のドライエッチングを行い、島状のゲイト絶縁膜41、42を形成する。
次に、多孔質の陽極酸化膜513、514を混酸を用いて除去し、図11(B)に示す状態を得る。
この状態で、まずPイオンの注入を行う。このイオン注入により高濃度にPイオンが注入された高濃度不純物領域43〜46が形成される。また、ゲイト絶縁膜41、42を通してPイオンを注入された領域は、領域43〜46より低濃度にPイオンの注入された低濃度不純物領域47〜50が形成される。なお、領域51、52はPイオンが注入されず、実質的に真性な領域となる。
こうして、図11(C)に示す状態が得られる。この状態で、Nチャネル型TFT側にはソース領域45、チャネル形成領域52、ドレイン領域46、低濃度不純物領域49、52が形成されている。
この場合、チャネル形成領域52とドレイン領域46との間に形成された低濃度不純物領域50がLDD領域と呼ばれる。
次に、Nチャネル型TFT側にレジストマスク53を設け、P型導電性を付与するBイオンの注入を行う。このイオン注入は、Pイオンの注入よりも高いドーズ量でもって行う。
その結果、領域43、44、47、48、51の導電型はN型からP型へと反転し、Pチャネル型TFTのソース領域54、チャネル形成領域55、ドレイン領域56、低濃度不純物領域57、58が形成される。
この場合、チャネル形成領域55とドレイン領域56との間に形成された低濃度不純物領域58がLDD領域となる。
以降の工程は実施例1に従えば良く、レジストマスク53を除去した後に、第1の層間絶縁膜547、ソース電極548、549、ドレイン電極552を形成すれば図11(E)に示すCMOS構造を構成することができる。
なお、本実施例においてPイオン注入工程とBイオン注入工程の順序を入れ換えても問題はない。
本実施例に示すCMOS構造を構成すると、Pチャネル型TFTにもLDD領域を配置することが可能となるため、CMOS構造で構成する回路の信頼性を向上させることができる。
〔装置の説明1〕
図12に示すのは、スポット状のレーザー光を照射することにより、アニールを行う装置である。
図には、矩形状のレーザービーム70をミラー71で反射し、非晶質珪素膜74に照射する状態が模式的に示されている。
図には、レーザービームを77で示されるような軌跡でもって照射し、非晶質珪素膜74を結晶性珪素膜75に変成する状態が示されている。
珪素膜はガラス基板73上に形成さており、ステージ72を76で示すように2次元X−Y方向に移動させることによって、77で示されるような軌跡でレーザー光が照射される。
図12に示すような構成は、大面積への照射には不利であるが、光学系が簡単であり、保守や調整が容易があるという特徴がある。
〔装置の説明2〕
以下に線状のレーザー光の照射を行う装置の概要を示す。図13に示すのは、光学系によって線状に加工されたレーザー光1200を非晶質珪素膜1204に照射して、結晶性珪素膜1205に変成する状態を示す模式図面である。
図13において、非晶質珪素膜1204はガラス基板1203上に成膜されており、基板1203を載せたステージ1202が矢印1206の方向に移動することにより、ミラー1201で反射されたレーザー光が走査されて照射される構成を有している。
このような構成は、大面積に対してのレーザー光の照射を行うことができるという利点がある。しかし、光学系が複雑になり、またその調整が手間がかかるという欠点がある。
こような装置に利用されるレーザー光としては、KrFエキシマレーザー(波長248nm)やXeClエキシマレーザー(波長308nm)を利用することができる。
アニールの形態としては、非晶質珪素膜を結晶性珪素膜に変成する工程、結晶性珪素膜の結晶性をさらに助長する工程、不純物イオンの注入後の活性化工程、等々がある。