JP4055429B2 - 含フッ素有機ケイ素化合物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、付加反応の架橋剤として有効である新規な含フッ素有機ケイ素化合物に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
付加反応硬化型ゴム組成物は、通常、ビニル基等のアルケニル基を有するベースポリマーと、ケイ素原子に直接結合する水素原子(即ち、SiH基)を有する化合物と、白金系触媒等の付加反応触媒とを含有し、上記ベースポリマーのアルケニル基に上記SiH基が付加して、硬化するものである。
【0003】
例えば、SiH基を有する公知の有機ケイ素化合物としては、次のものが挙げられる。即ち、下記式で示されるようにフルオロアルキル置換基を有するSi原子に酸素原子を介してSiH基が結合している構造のものである(特開平3−197484号公報)。
【0004】
【化4】
【0005】
この化合物は、ビニル基を有する他の物質とヒドロシリル化反応することができ、種々の誘導体を合成するための原料として有用である。例えば、改質剤、樹脂又はゴムの架橋剤、界面活性剤又は添加剤の原料として利用することができる。
【0006】
しかしながら、この化合物を架橋剤として使用した場合、高温で硬化するときに揮発しやすいために硬化後の物性が安定しないという問題点があった。
【0007】
また、下記式で示されるような化合物も公知であるが、ベースポリマーとしてパーフルオロポリエーテル等のフッ素含有率の高いポリマーを使用する組成物の架橋剤として使用した場合、相溶性が悪いために保存性、硬化性が安定しないという問題があった。
【0008】
【化5】
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、ビニル基含有フッ素ポリマー等の化合物と安定的にヒドロシリル化反応することができ、更に相溶性に優れた、SiH基を有する含フッ素有機ケイ素化合物を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、下記一般式(1)で示される一分子中に少なくとも1個のフッ素含有有機基と少なくとも3個のSiH基を持つ含フッ素有機ケイ素化合物が、ビニル基含有フッ素ポリマー等の化合物と安定的にヒドロシリル化することができ、更に相溶性に優れることを見出し、本発明をなすに至った。
【0011】
従って、本発明は、下記一般式(1)で示される含フッ素有機ケイ素化合物を提供する。
【0012】
【化6】
〔式中、R1は同一又は異種の炭素数1〜6の一価炭化水素基であり、Xは独立に−CH2−,−CH2O−,−CH2OCH2−又は−Y−NR2−CO−(但し、Yは−CH2−又は下記構造式(I)で示される二価の基であり、R2は水素原子又は炭素数1〜10の一価炭化水素基である。)であり、Rf1は一価のパーフロロアルキル基又はパーフロロオキシアルキル基であり、Zは炭素数1〜15の二価の炭化水素基であり、エーテル結合を含んでいてもよい。a,b,c及びdはa≦3、b≦3、c≦3、d≦3、3≦a+c≦5、1≦b+d≦3、a+b≦3、かつc+d≦3を満たす整数である。eは独立に0又は1である。〕
【0013】
【化7】
【0014】
以下、本発明につき更に詳しく説明する。
本発明の含フッ素有機ケイ素化合物は、下記一般式(1)で示されるものであり、一分子中に少なくとも1個のフッ素含有有機基と少なくとも3個のSiH基を有する化合物である。
【0015】
【化8】
【0016】
ここで、Xは独立に−CH2−,−CH2O−,−CH2OCH2−又は−Y−NR2−CO−(但し、Yは−CH2−又は下記構造式(I)
【0017】
【化9】
で示される二価の基であり、R2は水素原子又は炭素数1〜10、好ましくは1〜6の一価炭化水素基である。)で示される二価の基である。
【0018】
R2の一価炭化水素基として具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基等のアルキル基、シクロアルキル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基等のアラルキル基などの非置換一価炭化水素基や、これらの基の水素原子の一部又は全部をフッ素等のハロゲン原子で置換した一価炭化水素基などが挙げられる。
【0019】
Rf1は一価のパーフロロアルキル基又はパーフロロオキシアルキル基である。この場合、一価のパーフロロアルキル基としては、
−ChF2h+1 (hは1〜20、好ましくは2〜16の整数)
が好ましい。
【0020】
また、一価のパーフロロオキシアルキル基としては、炭素数1〜500、より好ましくは1〜300のものが好ましい。好適なものとしては、下記のものを例示することができる。
【0021】
【化10】
【0022】
また、Zはエーテル結合(−O−)を含んでもよい炭素数1〜15、好ましくは1〜12、更に好ましくは1〜10の二価の炭化水素基であり、具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、メチルエチレン基、ブチレン基、ヘキサメチレン基等のアルキレン基、シクロへキシレン基等のシクロアルキレン基、フェニレン基、トリレン基、キシリレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基等のアリーレン基、これらの基が結合した基などが挙げられる。また、Zの他の例として、酸素原子を上記主鎖構造中に含む二価の基が挙げられる。この場合、酸素原子は−O−として介在させることができる。
【0023】
更にR1は、互いに同一でも異なっていてもよい炭素数1〜6の一価の炭化水素基を示し、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert―ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基等のアルキル基、ビニル基、アリル基等のアルケニル基、フェニル基等のアリール基などが挙げられ、特にメチル基、フェニル基が好ましい。
【0024】
また、a、b、c及びdは、a≦3、b≦3、c≦3、d≦3、3≦a+c≦5、1≦b+d≦3、a+b≦3、かつc+d≦3を満たす整数であり、本発明の化合物は一分子中に少なくとも1個のフッ素含有有機基と少なくとも3個のSiH基を有する。
【0025】
eは独立に0又は1である。
【0026】
上記含フッ素有機ケイ素化合物としては、特に下記一般式(2)で示されるものを好適例として挙げることができる。
【0027】
【化11】
(式中、R1、X、Rf1、a、b、c、d及びeは前記と同様である。gは1〜8、好ましくは1〜4の整数である。)
【0028】
下記に本発明の含フッ素有機ケイ素化合物を例示するが、これらは代表例であり、本発明の含フッ素有機ケイ素化合物はこれらに限定されるものではない。なお、以下においてメチル基はMe、フェニル基はPhと略記する。
【0029】
【化12】
【0030】
本発明の式(1)の含フッ素有機ケイ素化合物は、例えば下記一般式(3)で示される多官能SiH化合物に下記一般式(4)で示されるアルケニル基含有フッ素化合物を付加させることにより合成することができる。
【0031】
【化13】
(但し、s及びtは、1≦s≦3、1≦t≦3、かつ4≦s+t≦6を満たす整数。Z及びR1は前記と同じである。)
【0032】
Rf1−(X)e−CH=CH2 (4)
(但し、Rf1、X及びeは前記と同じである。)
【0033】
ここで、式(2)の化合物を得る場合は、下記一般式(5)の多官能SiH化合物と上記(4)のアルケニル基含有フッ素化合物を触媒量の白金化合物等の付加反応触媒の存在下に付加反応させることにより得ることができる。
【0034】
【化14】
(但し、R1,s,t及びgは前記と同じである。)
【0035】
例えば、上記式(5)のs及びtが3である多官能SiH化合物を用いた場合の反応スキームは、下記の通りである。
【0036】
【化15】
(但し、R1,Rf1,X,s,t,g及びeは前記と同じである。)
【0037】
本発明の式(1)を合成する方法は、付加反応(ハイドロシリレーション)法として公知の方法、条件にて行うことができる。このとき溶媒を用いて反応を行うこともできる。溶媒としては、トルエン、キシレン、ビストリフルオロベンゼンなどが好適である。なお、上記式(4)の化合物の式(3)又は(5)の化合物に対する付加量は、上記式(1)又は(2)において、a,b,c,dが上述した関係を有するように適宜選定される。
【0038】
本発明の含フッ素有機ケイ素化合物は、付加反応の架橋剤はもとより、変性用中間体等、種々の用途に利用することができる。
【0039】
【実施例】
以下、実施例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0040】
[実施例1]
撹拌装置、温度計、冷却管及び滴下ロートを備えた、1L四つ口フラスコに下記式(6)の化合物370g及びトルエン200gを仕込み、80℃に加熱した。その後、塩化白金酸のビニルシロキサン錯体のトルエン溶液(白金濃度0.5重量%)0.1gを添加し、更に、下記式(7)の化合物700gを滴下ロートにて滴下した。
【0041】
【化16】
【0042】
滴下終了後、80℃にて1時間熟成し、その後ガスクロマトグラフィにて化合物(7)が消費されたことを確認し、冷却した。
【0043】
その後、活性炭10gを加えて1時間撹拌した後、ろ過し、得られたろ液を120℃/3Torrの条件下でストリッピングして溶媒を除去したところ、無色透明な液体(粘度28cs、比重1.327、屈折率1.364)990gを得た。
【0044】
この液体を1H−NMR、IR及び元素分析により分析したところ、平均構造が下記式(i)で示される化合物であることが確認された。図1にIR分析のチャートを示す。
【0045】
【化17】
【0046】
1 H−NMR
δ0.09(s,C−Si−CH 3 :12H)
δ0.16(s,H−Si−CH 3 :24H)
δ0.6〜1.3(m,Si−CH 2 −:8H)
δ1.5〜2.3(m,Si−CH2−CH 2 −CH 2 −:8H)
δ4.72(s,Si−H:4H)
【0047】
IR
2130cm-1 νSi-H
【0048】
【0049】
[実施例2]
撹拌装置、温度計、冷却管及び滴下ロートを備えた、1L四つ口フラスコに上記式(6)の化合物115g及びビストリフルオロメチルベンゼン100gを仕込み、80℃に加熱した。その後、塩化白金酸のビニルシロキサン錯体のトルエン溶液(白金濃度0.5重量%)0.03gを添加し、更に、下記式(8)の化合物1850gを滴下ロートにて滴下した。
【0050】
【化18】
【0051】
滴下終了後、80℃にて1時間熟成し、冷却した。
【0052】
その後、活性炭10gを加えて1時間撹拌した後、ろ過し、得られたろ液を120℃/3Torrの条件下でストリッピングして溶媒を除去したところ、無色透明な液体(粘度2520cs、比重1.709、屈折率1.333)1050gを得た。
【0053】
この液体を1H−NMR、IR及び元素分析により分析したところ、平均構造が下記式(ii)で示される化合物であることが確認された。図2にIR分析のチャートを示す。
【0054】
【化19】
【0055】
1 H−NMR
δ0.09(s,C−Si−CH 3 :6H)
δ0.16(s,H−Si−CH 3 :30H)
δ0.31(s,arom.Si−CH 3 :6H)
δ0.6〜1.3(m,Si−CH 2 −:8H)
δ3.23(s,N−CH 3 :3H)
δ4.72(s,Si−H:5H)
δ7.2〜7.7(m,arom.:4H)
【0056】
IR
2130cm-1 νSi-H
【0057】
【0058】
【発明の効果】
本発明の含フッ素有機ケイ素化合物は、ビニル基含有フッ素ポリマー等の化合物と安定的にヒドロシリル化することができ、更に相溶性に優れるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1におけるIR分析のチャートを示すものである。
【図2】本発明の実施例2におけるIR分析のチャートを示すものである。
Claims (2)
- 下記一般式(1)で示される含フッ素有機ケイ素化合物。
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