JP4048356B2 - 歯車を加工可能なマシニングセンタ及び歯車の加工方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、歯車を加工可能なマシニングセンタ及び歯車の加工方法に関し、特に、面取り加工とは別の加工を同一の加工装置で引き続き行うことができるマシニングセンタ及び歯車の加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、一般に歯切りされた歯車の加工は、専用の面取り盤により面取りが行われた後、油孔等の加工を別の加工機で加工されていた。従来の歯車の歯端の面取りを行う面取り盤として▲1▼特開平2−292121号に開示のものが公知である。これは、歯車の面取りを行う先端に刃を有する工具(面取り工具)と、工具を回転するように支持する刃物軸頭と、工具の中心軸を歯車の中心軸に対し任意の角度とする駆動手段と、工具を歯車に対して左右、上下、前後に移動する駆動手段と、工具の送りを面取りする歯車の回転と同期する制御装置とから構成されている。面取り加工の時には、刃物軸頭を歯車に対して左右、上下、前後に送ると共に、歯車の中心軸に対し任意の角度に旋回し、歯先の位置を面取りを開始するセット位置とする。次に、歯車の回転と同期し工具を歯先から歯底へ向けて歯形の端部に沿って動かして面取りをし、前記と歯車の回転を反転し、歯車の反転した回転と同期して工具を歯底から歯先へ移動して工具を戻して一歯分の切削を行い、歯車を旋回して次の歯を割出すという動作を繰り返して面取り加工を行っていた。また、▲2▼特開平2−292121号の従来の技術に開示のものが公知であり、工具を先端に備えた主軸の1回転で、歯車を支持する治具が1歯回転するようになっており、回転する工具の刃が、歯車の面取りを行って、その刃が歯車の歯と干渉しない位置を移動している間に次の歯が割出され、工具が1回転すると続けて次の歯が面取りされるようになっていた。
【0003】
また、▲3▼特開平2−76623号に開示のものが公知である。これは、主軸に交換可能に工具が装着してあり、回転する歯車に対して工具を左右、上下、前後に移動可能とし、そして、工具の主軸が歯車の軸線方向に対して直角から平行となる位置まで変位可能とされており、面取り工具に変えて、他の加工用工具を主軸に装着して面取り加工以外の加工も行えるようになっていた。歯車の面取り時には、歯車軸線方向への面取り用工具の移動と歯車の回転を同期して行っていた。尚、歯車の面取り加工を行うものではないが、▲4▼マシニングセンタによる歯切り加工によって歯車を形成し、その歯車を、主軸に装着された歯切り用の工具とその他の加工用の工具とをATCにより交換して、引き続き孔明け加工等を行うものが、特開2000−190127号や特開2000−141129号等に開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来の技術に記載の▲1▼、▲2▼のものは、専用の歯車面取り盤であり、面取り加工以外の加工を行うことができず、面取り加工後、面取り加工以外の加工を行う際には、他の工作機械で歯車を加工しなければならなかった。また、▲1▼、▲2▼、▲3▼は、専用の面取り盤であるので高価であり、▲1▼、▲3▼では、歯車の回転と、工具と歯車とを相対的に左右、上下、前後に移動する機構と、歯車の軸線に対する工具の回転軸線を任意の角度とする機構とを備えているため、構成が複雑であり更に高価な専用の工作機械となっていた。また、▲1▼では、加工する歯車の回転と工具の移動を同期して面取り加工を行っているが、工具の移動の制御についての記載はなく、単に工具を歯車の歯に対して往復移動する場合、面取りを行う短い距離を高速で移動させると、往復移動の慣性等の影響で振動が発生し耐久性が著しく低下する恐れがあった。また、▲2▼のものでは、工具の1回転で1歯の面取りと次の歯の割出しを同期して行うので、工具の切削スピードを高速に出来ないと共に、面取りを行う際に1歯の面取り量を多くすると工具が歯の面取り部分に引っかかって回転の妨げとなるため、1歯の面取り量を多くすることができなかった。
【0005】
更に、▲3▼のものも▲1▼と同様に工具の進退移動の制御についての記載はなく同様な問題がある。更にまた、歯車に対して面取りの他に孔明け等の加工を行えるが、工具の軸線と歯車の軸線との角度を変更する際にはボルトを緩めて行うようになっていると共に、工具交換の際には自動工具交換装置(ATC)を備えていないので作業者によって段取り替えされると考えられるので、手間がかかると共にその交換作業に時間がかかる問題があった。
【0006】
そして、▲1▼、▲2▼、▲3▼は、専用の面取り盤であるため、トランスファラインに組み込んだ際には、歯車以外のワークの加工ができず、トランスファラインの加工工程を換えたときには、面取り盤の配置を換える、または、面取り加工が不要な場合には面取り盤に換えてマシニングセンタを配置する等しなければならず、トランスファラインを柔軟に組み替えることができなかった。
【0007】
また、▲4▼では、マシニングセンタにより歯切り加工を行って歯車を形成し、続けてその他の孔明け加工等を行うことで、歯車形成後の孔明け等の次工程への搬送や段取り替えや歯切りとその他の加工工程に対応した複数の装置等を不要としているが、面取り加工についての記載はない。このため、▲4▼を▲1▼または▲3▼と組み合わせて仮に面取り加工を行うとしても、前記のように歯車の旋回と歯車と工具の相対的な進退移動を単に行うだけでは、慣性等の影響によりコラムまたはテーブルに振動が発生し、マシニングセンタの耐久性が低下する問題があった。
本願の課題は、耐久性が高く、安価で切削量の多い面取りが可能であり、歯車の面取り加工を精度良く行え、面取り加工後、その他の加工を引き続き行えるマシニングセンタを提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記課題解決のため本願発明では、歯車を歯車の円周方向に旋回割出し可能に保持する治具と、該歯車の軸線と平行な軸線方向とその軸線と直交する2軸方向に歯車に対して相対移動可能であり、軸線が歯車の軸線と直交し、工具を交換可能に装着できる回転可能に軸支された主軸と、歯車の面取り工具とそれ以外の歯車加工用工具とを収容したツールマガジンと、ツールマガジンと主軸間で工具を交換する自動工具交換装置とを備え、主軸の原位置を面取り工具のチップが歯端面から歯車の軸線方向内側に入った面取り加工終了位置とし、主軸を、歯車の軸線と平行な軸線方向とその軸線と直交する方向との2つの送り軸を同時に制御して等速で公転させる円弧補間移動において、歯車の軸線と直交する方向の速度を0として歯車の軸線と平行な軸線方向の速度を増減速して直線移動させる円弧補間により、面取り工具のチップが歯端面から歯車の軸線方向内側に入った原位置と面取り工具のチップが歯端面から離れる待避位置までの間で、歯車の軸線と平行な方向に増減速して往復移動させ、面取り工具が待避位置から原位置へ歯車の軸線と平行な方向に増減速移動して歯端面のかどを面取りするようにした面取り工具移動制御装置と、面取り工具が原位置から待避位置に移動するのと同期して、前記治具を1歯分旋回割出しさせる割出制御装置とを備え、面取り工具が原位置と待避位置との間で増減速して往復移動し、その増減速移動中に治具の旋回割出し動作と割出された歯端面のかどの面取り加工とを行う動作を繰り返して歯車の面取り加工を行うように構成したことを特徴とする(請求項1)。
【0009】
前記歯端面のかどを面取り加工するときに、面取り工具のチップの刃の角度と、歯端面のかどの角度を略合せることができるように構成したことを特徴とする(請求項2)。
【0010】
また、治具により歯車を歯車の円周方向に旋回割出し可能に保持し、該歯車の軸線と平行な軸線方向とその軸線と直交する2軸方向に相対移動可能であり、軸線が歯車の軸線と直交し、工具を交換可能に装着できる回転可能に軸支された主軸に、ツールマガジンから自動工具交換装置により歯車の面取り工具を装着し、主軸の原位置を面取り工具のチップが歯端面から歯車の軸線方向内側に入った面取り加工終了位置とし、主軸を、歯車の軸線と平行な軸線方向とその軸線と直交する方向との2つの送り軸を同時に制御して等速で公転させる円弧補間移動において、歯車の軸線と直交する方向の速度を0として歯車の軸線と平行な軸線方向の速度を増減速して直線移動させる円弧補間により、面取り工具のチップが歯端面から歯車の軸線方向内側に入った原位置と面取り工具のチップが歯端面から離れる待避位置までの間で、歯車の軸線と平行な方向に増減速して往復移動させ、主軸を面取り工具が原位置から待避位置に移動するように歯車の軸線と平行な方向に円弧補間により増減速移動する間に、治具を1歯分旋回割出しさせ、待避位置に移動した面取り工具を原位置へ歯車の軸線と平行な方向に円弧補間によって増減速移動することで歯端面のかどの面取り加工を行うという動作を繰り返して歯車の面取り加工を行わせ、全ての歯端面のかどの面取り加工の終了後、主軸の工具交換を行って面取り工具と別の歯車加工用工具を主軸に装着して、引き続き歯車に面取り加工以外の加工を行うことを特徴とする(請求項3)。
【0011】
上記のように、面取り加工を行うとき、主軸の原位置を面取り工具のチップが歯端面から歯車の軸線方向内側に入った面取り加工終了位置とし、軸線が歯車の軸線と直交している主軸を、歯車の軸線と平行な軸線方向とその軸線と直交する方向との2つの送り軸を同時に制御して等速で公転させる円弧補間移動において、歯車の軸線と直交する方向の速度を0として歯車の軸線と平行な軸線方向の速度を増減速して直線移動させる円弧補間(以後、この円弧補間を直線軸円弧補間とも記す。)により、面取り工具のチップが歯端面から歯車の軸線方向内側に入った原位置と面取り工具のチップが歯端面から離れる待避位置までの間で、歯車の軸線と平行な方向に増減速して往復移動させ、面取り工具が原位置から徐々に速度が増速し、原位置と待避位置との中間位置で最高速度となり、その中間位置から待避位置に向けて徐々に速度が減速し、待避位置で移動方向が反転し、待避位置から原位置へ向けて前記とは逆に増減速して移動するので、工具と歯車の相対移動による慣性等の影響による振動が抑制され、マシニングセンタの耐久性が向上する。このとき、面取り加工を待避位置から原位置へ向う移動途中から原位置となるまで行うので、直線軸円弧補間によって主軸を治具に対し相対移動しても、原位置で主軸が正確に検出されて停止するので、不要に多く面取り加工が行われず、面取り加工を精度良く行える。また、歯車の面取り加工終了後、主軸の工具を交換して引き続き面取り加工以外の加工を行うので、専用の面取り盤と面取り以外の加工を行う工作機械の2台の歯車用加工機を用意する必要が無く、面取り盤から次工程の工作機械への搬送等が不要となる。また、マシニングセンタを上記のように構成し、面取り加工とその他の加工を行えるようにしたので、トランスファラインに組み込んである場合に、歯車以外のワークが搬送されてきたとしても、歯車加工用の工具以外の工具をツールマガジンに備え、適宜に自動工具交換装置によって交換することで歯車以外のワークも加工できると共に、トランスファラインでの加工工程を換えたとしても、そのマシニングセンタをそのまま他の加工用の装置として使用でき、柔軟にトランスファラインの変更に対応できる。また、面取りは主軸によって工具を高速に回転させて行うので切削量を多くでき、1歯の面取り量が多くても加工が十分に行える。
【0012】
【発明の実施の形態】
本願発明の実施の形態について図1〜図10に基づいて説明する。図1に示すように、マシニングセンタ1は、そのベッド2上にコラム3が左右方向(X軸方向)と前後方向(Y軸方向)に移動可能に設けられており、そのコラム3には上下方向(Z軸方向)に移動可能に主軸ヘッド4が設けられている。コラム3は、X軸モータ5とY軸モータ6とに夫々駆動される図示しないボールネジにより移動される。主軸ヘッド4は、Z軸モータ7により駆動される図示しないボールネジにより昇降される。主軸ヘッド4には、主軸モータ8により駆動される主軸9が回転可能に下向きに軸支されており、主軸9の先端には工具10が装着されている。また、コラム3の側面には、特許第2865195号等に開示の自動工具交換装置(ATC)と略同様な自動工具交換装置11が備えられている。自動工具交換装置11は交換アーム12とツールマガジン13とから構成されている。交換アーム12は、主軸9の近傍に設けられており、Z軸方向の昇降と180度旋回により、主軸9とツールマガジン13との間で工具10を交換する。ツールマガジン13は、コラム3の側面に設けられており、歯車14の面取り工具10aとそれ以外の歯車加工用工具10bとを割出し可能に複数収容している。また、ベッド2上のコラム3前方の加工空間には歯車14を保持する治具15が配置されている。治具15は、X軸と平行な軸線回りのA軸旋回を可能とするA軸モータ16と、Z軸と平行な軸線回りのB軸旋回を可能とするB軸モータ17とを備え、歯車14を歯車14の軸線とA軸とが同軸となるように保持する。
【0013】
前記、各モータ5,6,7,16,17は、サーボモータであって、これらはマシニングセンタ1に備えられた制御装置18により制御される(図2)。また、各モータ5,6,7,16,17は夫々自己の回転量を検出するエンコーダ19,20,21,22,23を備えており、各エンコーダ19,20,21,22,23からの信号は、工具10と歯車14の相対的な位置関係を示す位置情報として、制御装置18に伝えられる。制御装置18は、主軸モータ8の駆動及び停止の制御と、A軸モータ16とB軸モータ17を駆動して治具15を旋回させる旋回制御と、X軸モータ5とY軸モータ6とZ軸モータ7を夫々制御してコラム3と主軸ヘッド4を移動し、歯車14の各加工を行わせ、歯車14の加工に応じた主軸9とツールマガジン13との間の工具交換を制御する。
【0014】
また、制御装置18は、図2に示すように面取り工具移動制御装置24と割出制御装置25とを備えている。面取り工具移動制御装置24は、歯車14の面取り加工時に、X軸モータ6を駆動制御し、主軸9を原位置P1から待避位置P2までの間で直線軸円弧補間により往復移動させる。主軸9の原位置P1は、図3、図4の(a)に示すように、歯端面31から歯車14の軸線方向(A軸方向)内側に入った面取り加工終了位置であり、待機位置P2は、図3、図4の(c)に示すように面取り工具10aが歯端面31から離れた位置である。この面取り工具移動制御装置24により主軸9が歯車軸線方向に移動されることで、面取り工具10aは、待避位置P2から原位置P1に移動する復路において、歯端面31の一方のかど32を、その稜線先端から歯車14の軸線方向内側に向けて切削する。割出し制御装置25は、主軸9の原位置P1から待避位置P2に向けての移動に同期して、主軸9が原位置P1から待避位置P2へ向う往路移動間に、治具を歯端面31の他方のかど33が面取り工具10aのカッタ29から逃げる方向に1歯分旋回割出しする。
【0015】
前記直線軸円弧補間は、マシニングセンタ1の制御装置18に備えられた機能であり、直交する2つの送り軸を同時に制御し、主軸をワークに対して相対的に等速で公転させる円弧補間移動において、一方の送り軸の速度を0として、他方の送り軸のみの送り速度を加、減速して、主軸とワークとを相対的に直線移動させる。ここでは、速度を0とするのはY軸方向、加、減速させるのはX軸方向である。円弧補間により主軸9を移動する場合、主軸9は図5の(a)のように円C1上を等速円運動するが、この時、X軸方向の速度成分VxとY軸方向の速度成分は、夫々サインカーブを描きながら加、減速しているため、直線軸円弧補間によりY軸方向の速度成分を0とすると、主軸9は図5の(b)に示すサインカーブを描くX軸方向の速度成分Vxの加、減速でX軸方向に往復動する。
【0016】
面取り加工の際に主軸9の先端に装着される面取り工具10aは、図6に示すように、工具ホルダ28の先端部分に複数のスロアウェイ四角チップ29が取付けられたものであり、その刃が主軸軸線方向の直交方向に向けて突出しており、歯車14の軸線(A軸軸線)と主軸軸線(Z軸軸線)とが直交した状態で一方の歯端面31から面取り工具10aの刃の先端が歯溝30内に入り込み、主軸9の回転によって歯端面31のかど32を面取り加工できるようになっている。尚、26は歯底、27は歯先を表わしている。
【0017】
次に歯車14の面取り加工について説明する。図6に示すように主軸9の先端には面取り工具10aが装着され、治具15には歯車(内歯車)14が、歯車14の軸線とA軸とが同軸となるように保持される。制御装置18により、先ず、治具15の旋回と主軸9の移動によって、図7に示すように、面取り工具10aのチップ29の刃の傾斜と歯車14の歯の歯端面31の面取り加工されるかど32の傾斜とが略平行にされる。即ち、xy平面とチップ29との角度αとxy平面と面取り加工されるかど32との角度βとがα≒βとされる。
【0018】
次に、1歯の面取り加工が終了し、主軸9が原位置P1に位置する状態から説明する。主軸9が、原位置P1から歯車14のA軸線方向外側に向けて直線軸円弧補間により後述の送り速度で、面取り工具10aが歯端面31から離れる待避位置P2まで移動する。この主軸9が原位置P1から待避位置P2へ移動するまでの間に、主軸9の移動と同期して、図3の(b)、図4の(b)に示すように、割出制御装置25により、図8に示すタイミングで治具15がA軸旋回により1歯分割出しされる。このとき治具15は、図3、図4に示すように歯端面31の他方のかど33が面取り工具10aから逃げる方向に回転するので、他方のかど33と面取り工具10aの刃が干渉することがなく、切削されないようになっているが、他方のかど33を歯車14の機能に影響しない程度に僅かに切削していても良い。
【0019】
主軸9が待避位置P2となると(図3の(c)、図4の(c))、反転して原位置P1に向けて直線軸円弧補間移動し、途中で割出された歯のかど32の位置に来ると(図3の(d)、図4の(d))、図8に示すように主軸9のX軸方向の速度成分Vxが減速しながら、かど32を面取り加工していき、前記原位置P1に主軸9が位置することが検出されると主軸9の移動が停止され、再び、図3の(a)、図4の(b)と同様に、その原位置P1が次に加工されるかど32の原位置P1に設定される。これを繰り返して、順次、かど32の面取り加工を行わせ、全てのかど32の面取り加工を行う。このとき、高速で回転する主軸9により、切削が行われるので、切削量が多い面取り加工の場合であっても、高速回転するスロアウェイ四角チップ29がかど32に多回数当り、徐々に切削していくので面取り加工が可能である。尚、図3、図4において斜線部分は面取り部分を示している。
【0020】
この面取り加工時には、主軸9がX軸に沿って往復移動するが、面取り工具移動制御装置24による直線軸円弧補間によって主軸9の移動は、図5の(b)に示すサインカーブを示すように、原位置P1から速度が増速し、原位置P1と待避位置P2との中間位置で最高速度となり、更に待避位置P2に向うと速度が減速し、待避位置P2から原位置P1へ反転して移動する場合には、原位置P1から待避位置P2へ向う場合と反対に速度が制御され、原位置P1と待避位置P2とで主軸9の移動速度を0として主軸9の移動方向を反転しているので、慣性等の影響でコラム3に振動が発生することが抑制され、マシニングセンタ1の耐久性が向上する。次に、全ての歯について面取り加工が終了すると、面取り工具10aと別の工具10bとがツールマガジン13と主軸9の間で交換アーム12により交換され、引き続き歯車14に面取り加工以外の加工(例えば図9に示す油孔の加工等)が行われる。これにより、面取り盤と面取り以外の加工を行うための工作機械を複数用意することや、面取り盤から次工程の工作機械への搬送等が不要となる。
【0021】
この歯車14の面取り加工を行うとき、上記のように直線軸円弧補間によって主軸9を移動させるが、直線軸円弧補間は前記のように2軸の送り軸(X軸、Y軸)のうち一方の送り軸(Y軸)の速度を0とした円弧補間である。一般に円弧補間では、主軸9の移動距離が小さく送り速度が速い場合には、送りねじを駆動するモータの応答遅れ等により、主軸9の描く軌跡が完全な円を描くことがなく、主軸9の軌跡は、図10に示すように、主軸9の移動開始位置P3付近と停止位置P4付近では、円C2を描く軌跡より直径方向外側に膨らむ。その円C2を描く軌跡に対する膨らみC3のため、主軸9の移動途中の位置がばらつき、移動途中の主軸9の位置を検出しなければならない場合、その主軸位置は検出できない、または、検出するために主軸9の移動を停止して計測しなければならず検出に時間がかかってしまう。このため、面取り工具10aの移動を原位置P1以外の位置から始めると原位置P1が直線軸円弧補間移動での途中位置となるので、主軸9の位置を検出しないと主軸9の円C2を描く軌跡のずれ(膨らみ)C3のために必要以上に歯端面31から歯車14の軸線方向内側に向けてかど32を深く切削する恐れがある。これを防止するため主軸9の位置が毎回検出される主軸の移動開始位置P3と停止位置P4を、チップ29が歯端面31からA軸線方向内側に入った面取り加工終了位置となったときの主軸9の原位置P1に一致させ、面取り加工が主軸移動途中とならないようにしてずれC3の影響を受けて必要以上に切削されないようにする。また、歯車14と干渉しない待避位置P2を直線軸円弧補間移動の途中位置の折り返し位置とする。待避位置P2では面取り工具10aの刃が歯車14と干渉しない位置にあるので、主軸9の正確な位置が分からなくても面取り加工の精度には影響が無いので、正確な位置検出工程が不要となり加工時間の短縮に寄与する。このように移動開始位置P3と停止位置P4を原位置P1とし、待避位置P2を直線軸円弧補間移動の途中位置として、面取り加工の精度の向上及び加工時間の短縮を図っている。
【0022】
上記のように構成された面取り加工を行うマシニングセンタ1は、通常のマシニングセンタと同様なものであり、トランスファラインに組み込まれている場合には、歯車加工用の工具10a,10b以外の工具もツールマガジン13に収容すれば、歯車14の加工と共に他のワークが搬送されてきた場合に、そのワークに対応した加工が行える。そして、トランスファラインでの加工工程が変わったとしても、専用の面取り盤ではないので、マシニングセンタを移動すること無くそのまま他の加工用のステーションとして使用することができ、トランスファラインでの配置の変更に対して柔軟に対応できる。
【0023】
【発明の効果】
以上のように本願発明によれば、主軸の原位置を面取り工具のチップが歯端面から歯車の軸線方向内側に入った面取り加工終了位置とし、軸線が歯車の軸線と直交している主軸を、歯車の軸線と平行な軸線方向とその軸線と直交する方向との2つの送り軸を同時に制御して等速で公転させる円弧補間移動において、歯車の軸線と直交する方向の速度を0として歯車の軸線と平行な軸線方向の速度を増減速して直線移動させる円弧補間により、面取り工具のチップが歯端面から歯車の軸線方向内側に入った原位置と面取り工具のチップが歯端面から離れる待避位置までの間で、歯車の軸線と平行な方向に増減速して往復移動させ、面取り工具が待避位置から原位置へ歯車の軸線と平行な方向に増減速移動して歯端面のかどを面取りするようにした面取り工具移動制御装置と、面取り工具が原位置から待避位置に移動するのと同期して、前記治具を1歯分旋回割出しさせる割出制御装置とを備え、主軸を原位置から待避位置までの間で円弧補間により増減速して往復移動させ、主軸の原位置から待避位置への移動に同期して治具を旋回割出しし、主軸の待避位置から原位置への移動により歯端面のかどを面取り加工するので、面取り工具が原位置と待避位置との間を往復移動するとき、原位置または待避位置に向うにつれて低速となり、原位置または待避位置での移動方向の反転時の慣性等によるマシニングセンタでの振動を抑制でき、耐久性が向上する。また、原位置を主軸の円弧補間移動開始位置及び面取り加工終了位置とするので、円弧補間移動でのモータの応答遅れ等による主軸の移動軌跡の不安定さの影響を避けることができ、所定の面取り加工を高精度に短時間で行える。
【0024】
また、面取り加工終了後、主軸に装着された工具を交換することで引き続き面取り加工以外の加工を行えるので、面取り盤とその他の加工用の工作機械を夫々必要とせず1台のマシニングセンタで歯車を加工でき、専用機でないので安価であり、面取り盤から歯車の面取り以外の歯車加工用の工作機械への搬送や夫々の工作機械の設置スペース等を必要としなくなる。更に、マシニングセンタにより面取り加工をするので、トランスファラインに組み込んである場合、歯車以外のワークが搬送されてきた場合であっても加工ができ、トランスファラインの構成を換える際には、専用の面取り盤ではないので、他の加工用の装置として使用でき柔軟性がある。そして、面取りは主軸によって工具を高速に回転させて行うので工具の切削量が多く、1歯の面取り量が多くても切削が十分に行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明に係るマシニングセンタの側面図である。
【図2】マシニングセンタの制御系を示すブロック図である。
【図3】X軸方向から見た面取り加工工程の概要を示す説明図である。
【図4】Y軸方向から見た面取り加工工程の概要を示す説明図である。
【図5】主軸の加減速を示す説明図である。
【図6】歯車と面取り工具を示す図である。
【図7】チップの傾斜と面取りされる歯の傾斜の関係を示す説明図である。
【図8】主軸の移動と治具の旋回割出しのタイミングを示す説明図である。
【図9】面取り加工以外の加工を示す図である。
【図10】円弧補間の際の主軸移動軌跡を示す説明図である。
【符号の説明】
1 マシニングセンタ
9 主軸
10a 面取り工具
10b 別の工具
11 自動工具交換装置
13 ツールマガジン
14 歯車
15 治具
24 面取り工具移動制御装置
25 割出制御装置
29 チップ
31 歯端面
32 歯端面のかど
P1 原位置
P2 待避位置
Claims (3)
- 歯車を歯車の円周方向に旋回割出し可能に保持する治具と、該歯車の軸線と平行な軸線方向とその軸線と直交する2軸方向に歯車に対して相対移動可能であり、軸線が歯車の軸線と直交し、工具を交換可能に装着できる回転可能に軸支された主軸と、歯車の面取り工具とそれ以外の歯車加工用工具とを収容したツールマガジンと、ツールマガジンと主軸間で工具を交換する自動工具交換装置とを備え、主軸の原位置を面取り工具のチップが歯端面から歯車の軸線方向内側に入った面取り加工終了位置とし、主軸を、歯車の軸線と平行な軸線方向とその軸線と直交する方向との2つの送り軸を同時に制御して等速で公転させる円弧補間移動において、歯車の軸線と直交する方向の速度を0として歯車の軸線と平行な軸線方向の速度を増減速して直線移動させる円弧補間により、面取り工具のチップが歯端面から歯車の軸線方向内側に入った原位置と面取り工具のチップが歯端面から離れる待避位置までの間で、歯車の軸線と平行な方向に増減速して往復移動させ、面取り工具が待避位置から原位置へ歯車の軸線と平行な方向に増減速移動して歯端面のかどを面取りするようにした面取り工具移動制御装置と、面取り工具が原位置から待避位置に移動するのと同期して、前記治具を1歯分旋回割出しさせる割出制御装置とを備え、面取り工具が原位置と待避位置との間で増減速して往復移動し、その増減速移動中に治具の旋回割出し動作と割出された歯端面のかどの面取り加工とを行う動作を繰り返して歯車の面取り加工を行うように構成したことを特徴とする歯車を加工可能なマシニングセンタ。
- 歯端面のかどを面取り加工するときに、面取り工具のチップの刃の角度と、歯端面のかどの角度を略合せることができるように構成したことを特徴とする請求項1記載の歯車を加工可能なマシニングセンタ。
- 治具により歯車を歯車の円周方向に旋回割出し可能に保持し、該歯車の軸線と平行な軸線方向とその軸線と直交する2軸方向に相対移動可能であり、軸線が歯車の軸線と直交し、工具を交換可能に装着できる回転可能に軸支された主軸に、ツールマガジンから自動工具交換装置により歯車の面取り工具を装着し、主軸の原位置を面取り工具のチップが歯端面から歯車の軸線方向内側に入った面取り加工終了位置とし、主軸を、歯車の軸線と平行な軸線方向とその軸線と直交する方向との2つの送り軸を同時に制御して等速で公転させる円弧補間移動において、歯車の軸線と直交する方向の速度を0として歯車の軸線と平行な軸線方向の速度を増減速して直線移動させる円弧補間により、面取り工具のチップが歯端面から歯車の軸線方向内側に入った原位置と面取り工具のチップが歯端面から離れる待避位置までの間で、歯車の軸線と平行な方向に増減速して往復移動させ、主軸を面取り工具が原位置から待避位置に移動するように歯車の軸線と平行な方向に円弧補間により増減速移動する間に、治具を1歯分旋回割出しさせ、待避位置に移動した面取り工具を原位置へ歯車の軸線と平行な方向に円弧補間によって増減速移動することで歯端面のかどの面取り加工を行うという動作を繰り返して歯車の面取り加工を行わせ、全ての歯端面のかどの面取り加工の終了後、主軸の工具交換を行って面取り工具と別の歯車加工用工具を主軸に装着して、引き続き歯車に面取り加工以外の加工を行うことを特徴とする歯車の加工方法。
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