JP4041194B2 - 耐アンモニア応力腐食割れ性および大入熱溶接における熱影響部の靱性に優れた低降伏比型低温用鋼板 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐アンモニア応力腐食割れ性および大入熱溶接における熱影響部の靱性に優れた低降伏比低温用鋼板に関し、詳細にはアンモニアやLPG等の種々のガスを積載する多目的ガス船の低温用圧力タンクに使用可能な低温用鋼板(引張強さ400N/mm2 級以上)に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
プロパンを輸送するLPG船の貯槽用低温圧力タンクには、高い低温靱性が要求されていることから、焼きならし型低温用鋼が採用されている。近年、開発された多目的ガス船は、LPGだけではなく、アンモニアやブチレン等を液体状態で積載することから、その低温圧力タンクに使用される鋼材には、下記▲1▼〜▲4▼の特性が要求されている。即ち、
▲1▼アンモニア応力腐食割れが発生しないこと、
▲2▼−55〜−65℃の低温域における靱性に優れていること、
▲3▼溶接工数の簡略化を目的とし、片面1パス溶接において50〜80kJ/cm程度の大入熱溶接を行っても、継手部の靱性が良好であること、
▲4▼降伏比(降伏点/引張強さ)が90%以下(望ましくは88%以下)であるという特性である。
【0003】
LPG船に用いられている従来の焼きならし型低温用鋼板(C量:0.1%程度)を、多目的ガス船の低温圧力タンクに用いると、20kJ/cm以下の小入熱で溶接を行っても、溶接時に急熱急冷を受けた熱影響部(Heat affected zone, 以下、HAZという)にアンモニアによる応力腐食割れが発生したり、また50kJ/cm以上の大入熱溶接を行うと上記HAZの靱性が大幅に低くなるという問題があった。この様に、アンモニアによる応力腐食割れが発生しやすく、HAZの靱性が劣化する理由は、上記焼きならし型低温用鋼板が、強度確保のために多量の合金元素を含有していることにある。
【0004】
近年、制御圧延とその後の加速冷却を組み合わせたTMCP(Thermo Mechanical Control Process) 技術が開発されたことにより、C量を0.07%程度までに制限し従来の焼きならし型鋼板に比べ合金元素量を低減しても、十分な強度を得ることができるようになり、低温用鋼の耐アンモニア応力腐食割れ性と大入熱溶接におけるHAZの靱性(以下、大入熱溶接HAZ靱性という)の向上を図ることが可能となってきたが、安定して上記▲1▼及び▲2▼の特性を満足するまでには至っておらず、予熱や後熱,溶接入熱量に関し緻密な溶接施工管理が行われてきた。
【0005】
また、降伏比が大きい場合には何らかの要因で応力がかかった際に変形するとすぐに破断してしまうことから、降伏比が小さいこと(引張強度に対して降伏点が低く、応力に降伏することにより応力を解放しその後破断しないこと)が求められているが、降伏比を90%以下(望ましくは88%以下)にする技術は確立されておらず、製造後の検査で選別するため多大の歩留り低下を招いていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記事情に着目してなされたものであり、引張強さが400N/mm2 級以上で、−60℃前後における低温靱性に優れた鋼板であって、アンモニア応力腐食割れが発生しない低温用鋼板の提供を第1の課題とし、更に50kJ/cm以上の大入熱溶接を行ってもHAZ靱性が良好な低温用鋼板の提供を第2の課題とし、しかも88%以下の低い降伏比を有する低温用鋼板の提供を第3の課題とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記第1の課題を解決した本発明の耐アンモニア応力腐食割れ性に優れた低温用鋼板とは、C含有量が0.06%以下であることを要旨とするものである。
【0008】
上記第2の課題を解決した本発明の耐アンモニア応力腐食割れ性および大入熱溶接HAZ靱性に優れた低温用鋼板とは、C含有量が0.06%以下であると共に、Ti:0.005〜0.020%、N:0.002〜0.005%を含有することを要旨とするものである。
【0009】
また上記第3の課題を解決した本発明の耐アンモニア応力腐食割れ性および大入熱溶接HAZ靱性に優れた低降伏比型低温用鋼板とは、フェライトを主体とし、フェライト粒界に存在するパーライトが層状に分散された層状パーライト組織[図1(a)参照]を有する低温用鋼板であって、C含有量が0.06%以下であり、Ti:0.005〜0.020%、N:0.002〜0.005%を含有すると共に、上記フェライトの平均粒径が5〜15μmで、且つ層状パーライトの層間隔[図1(b)のh]が30μm以下であることを要旨とする。
【0010】
尚、上記のいずれかの本発明鋼板を用いた溶接部であって、硬さがHv280以下の溶接部は、優れた耐アンモニア応力腐食割れ性を発揮する。
【0011】
本発明鋼板の成分組成としては、C:0.03〜0.06%、Si:0.05〜0.50%、Mn:1.0〜1.8%、Al:0.005〜0.08%、Ti:0.005〜0.020%、N:0.002〜0.005%を含有し、残部Feおよび不可避的不純物とする必要がある。
【0012】
さらに他の元素として、強度上昇を目的とし、
Cu:0.05〜1.0%、
Cr:0.05〜1.0%、
Mo:0.05〜1.0%、
V :0.005〜0.10%、
Nb:0.005〜0.10%
よりなる群から選択される1種以上の元素を含有してもよい。
【0013】
また靱性の向上を目的として、
Ni:0.05〜1.0%
を含有しても良い。
【0014】
更に、HAZ靱性の向上を目的としてZr:0.003〜0.020%、B:0.0002〜0.0020%、Ca:0.001〜0.01%、Mg:0.001〜0.01%、REM(希土類元素;Ce,La,Nd):0.001〜0.01%よりなる群から選択される1種以上を含有してもよい。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明者らは、耐アンモニア応力腐食割れ性が発生しない低温用鋼板であって、50kJ/cm以上の大入熱溶接を行ってもHAZ靱性が良好であり、しかも88%以下の低い降伏比を有する低温用鋼板の開発を目的として、成分組成とミクロ組織に関して鋭意研究を重ねた。
【0016】
その過程において、本発明者らは、C量を0.06%以下にすることで、アンモニア応力腐食割れ(以下、アンモニアSCCということがある)の発生を確実に防止できると同時に、大入熱溶接HAZ靱性も大幅に向上するとの知見を得た。
【0017】
図2は、耐アンモニア応力腐食割れ性及び大入熱溶接HAZ靱性に及ぼすC量の影響を詳細に調査するため、表1に示す化学成分を有する鋼板を用いて、入熱量を種々変化させて溶接継手を作製し、これらの溶接継手について、表2に示す液化アンモニア応力腐食割れ促進試験(環境、応力を加速因子とした)及びJIS Z 3128の溶接継手衝撃試験を実施した結果である。
【0018】
【表1】
【0019】
【表2】
【0020】
図2から明らかな様に、C量を0.06%以下に制御することで、アンモニア応力腐食割れの発生を確実に防止できると同時に、入熱80kJ/cm程度の大入熱溶接HAZ靱性も大幅に向上することがわかった。尚、溶接HAZのアンモニア応力腐食割れを発生させない限界硬さが、Hv280以下であることは、上記の一連の実験の中で本発明者らが初めて突き止めた知見である。
【0021】
従って、本発明におけるC量は、耐アンモニア応力腐食割れ性と大入熱溶接HAZ靱性の確保のため0.06%を上限とし、引張強さ400N/mm2 級以上の母材強度を確保するためには少なくとも0.03%必要であることから、その下限を0.03%とした。
【0022】
一方、本発明者らがC:0.06%以下の低C鋼について引張特性を調査したところ、低C化は引張強さの大幅な低下とそれに伴う降伏比の上昇を招くという問題に直面した。合金化元素を添加することにより引張強さの上昇を図ることは可能である。しかしながら、降伏比を改善することはできなかった。そこで、C:0.06%以下の低C鋼の低降伏比化を図るため種々の圧延条件で鋼板を試作し、引張特性とミクロ組織を調査した。その結果、88%以下の低降伏比と高い低温靱性を有する鋼板の組織は全て、平均フェライト粒径が5〜15μmであり、且つフェライト組織中に層間隔が30μm以下の層状パーライトが分散していることを見出した。
【0023】
図3は、平均フェライト粒径及び層状パーライトの層間隔と、靱性及び降伏比(YR)の関係の調査結果であり、平均フェライト粒径が15〜30μm程度であり、層状パーライトの層間隔が20〜45μmの鋼板の場合[図3(a)]、降伏比は88%以下であったが、衝撃値は50J未満であり靱性が低かった。平均フェライト粒径が5〜15μmであり、且つフェライト組織中に層間隔が30μm以下の層状パーライトが分散する鋼板の場合[図3(b)]、衝撃値80Jの高い靱性と88%以下の低降伏比が得られた。図3(c)の鋼板の場合、フェライト粒径の平均値は、15μm以下であるが、フェライト粒径のばらつきが大きく、層状パーライトの層間隔は10〜40μmと広く、靱性には優れるものの降伏比が高かった。
【0024】
従って本発明では、高靱性(−60℃における衝撃吸収エネルギー:60J以上)と88%以下の低降伏比の確保のため、ミクロ組織を平均フェライト粒径が5〜15μmで、且つ、フェライト組織中に分散する層状パーライトの層間隔を30μm以下に限定した。
【0025】
尚、上記ミクロ組織を得るための製造技術は、従来のTMCP技術より格段に高度な精密制御圧延により可能となるものであり、具体的には例えば厚さ16mm以下の鋼板の場合、加熱温度を1150℃程度とし、図4に示す様に、900〜830℃の圧下率を30〜80%とし、830℃未満の圧下率を10〜45%とすることにより、図3の(b)に示すミクロ組織を得ることができる。また上記圧下率のいずれかが小さ過ぎる場合には、図3(a)に示す比較的粗大なミクロ組織となって靱性が低くなり、上記圧下率のいずれかが大き過ぎると、図3(c)に示す微細なミクロ組織となって降伏比が高くなった。
【0026】
また化学成分に関しては、C:0.06%以下の低C鋼において、Ti及びNを、Ti:0.005〜0.020%、N:0.002〜0.005%の範囲で添加することにより、大入熱溶接HAZ靱性を向上させることが可能である。
【0027】
Tiは、TiNを形成して大入熱溶接HAZ靱性を向上させるので、0.005%以上含有させることが推奨される。但し、多過ぎると清浄度が低下するので上限は0.02%とすることが望ましい。
【0028】
Nは、TiやZr等の元素と窒化物を形成して大入熱溶接HAZ靱性を向上させるので0.002%以上添加することが望ましい。但し、多過ぎると、母材の靱性を低下させるので、上限は0.005%とすることが望ましい。
【0029】
更に本発明においては、C:0.06%以下の低C鋼において、少なくともSi,Mn,Alを以下の範囲で含有させることが望ましい。
【0030】
Siは、脱酸に必要な元素であり、0.05%以上含有させることが望ましい。但し、多過ぎると溶接性および靱性を劣化させるので、上限は0.5%とすることが望ましい。
【0031】
Mnは、母材強度と靱性の確保のために必要な元素であり、1.0%以上含有させることが望ましい。但し、多過ぎると、溶接性および大入熱溶接HAZ靱性を劣化させるので、1.8%を上限とすることが望ましい。
【0032】
Alは、脱酸元素であるから、0.005%以上含有させることが望ましい。但し、多過ぎると靱性の劣化をもたらすので上限は0.08%以下とすることが好ましい。
【0033】
この他に、特性の向上を目的として、Cu,Ni,Cr,Mo,V,Nb,Zr,B,Ca,Mgや希土類元素を、板厚や強度レベルに応じて添加しても良い。
【0034】
Cuは、固溶強化および析出強化による強度上昇に有効な元素であるので、0.05%以上含有させることが望ましい。但し、多過ぎると熱間加工性が劣化し、鋼板表面に割れが入り易くなるので上限は1.0%とすることが好ましい。
【0035】
Niは靱性を向上させる元素であるので0.05%以上含有させることが望ましいが、多過ぎるとスケール疵が発生し易くなり、コストアップにもなるので、上限は1.0%とすることが望ましい。
【0036】
CrとMoは、いずれも母材の強度を上昇させる上で有効であり、夫々0.05%以上含有させることが望ましいが、多過ぎると大入熱溶接HAZ靱性を劣化させるので1.0%を上限とすることが望ましい。
【0037】
VとNbはいずれも、析出強化により強度上昇に有効な元素であり、0.005%以上含有させることが望ましいが、多過ぎると大入熱溶接HAZ靱性を劣化させるので、上限は0.10%とすることが望ましい。
【0038】
Zrは、Tiと同様に窒化物を形成して、大入熱溶接HAZ靱性を向上させるので0.003%以上含有させることが望ましいが、多過ぎると清浄度の低下を招くので、上限は0.02%とすることが好ましい。
【0039】
Bは、BNを生成することによりHAZ靱性に有害な固溶Nを固定し、粒界フェライトの生成を抑制する作用を有することから、0.0002%以上含有させることが望ましいが、多過ぎると大入熱溶接HAZ靱性の低下を招くので上限は0.002%とすることが好ましい。
【0040】
Ca,Mgおよび希土類元素は、酸化物,硫化物,酸硫化物を形成してHAZの結晶粒粗大化を防止すると共に、母材の異方性の軽減に有効な元素であり、0.001%以上添加することが望ましいが、多過ぎると清浄度の低下を招くので0.01%を上限とすることが好ましい。
【0041】
以下、本発明を実施例によって更に詳細に説明するが、下記実施例は本発明を限定する性質のものではなく、前・後記の主旨に徴して設計変更することはいずれも本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【0042】
【実施例】
供試鋼板は、表3に示す化学成分を有する鋼片を用い、表4に示す条件で板厚8〜16mmの鋼板に圧延した。
【0043】
【表3】
【0044】
【表4】
【0045】
これらの鋼板から試験片を採取し、母材引張試験及び衝撃試験,ミクロ組織調査,溶接継手部(入熱量6kJ/cm)のアンモニア応力腐食割れ試験及び溶接継手部(入熱量80kJ/cm)の衝撃試験を行った。結果は表5に示す。
【0046】
【表5】
【0047】
表5から明らかな様に、本発明の鋼板No.1〜7は、いずれもアンモニア応力腐食割れが発生せず、大入熱溶接HAZ靱性は100J以上と良好であり、87%以下の低降伏比を有している。
【0048】
これに対して、比較例No.8は、C量が0.06%を超えているためアンモニア応力腐食割れが発生し、溶接継手衝撃値が40Jと低い。また、比較例9〜13はミクロ組織が本発明の条件を満足していないため、母材衝撃特性(vE60)が40Jと低過ぎるか、降伏比が92%以上と高過ぎる。尚、No.9及びNo.13は、900〜830℃における圧下率が小さ過ぎると共に、830℃未満の圧下率が大き過ぎ、粗大なフェライト粒と微細なフェライト粒の混粒となっていた。No.10とNo.11は900〜830℃における圧下率は適度であるが、830℃未満の圧下率が大き過ぎ細粒となり過ぎており、またNo.12は900〜830℃における圧下率と、830℃未満の圧下率が共に小さ過ぎ、粗粒となっていた。
【0049】
【発明の効果】
本発明は以上の様に構成されているので、耐アンモニア応力腐食割れが発生しない低温用鋼板を提供できるようになり、更に50kJ/cm以上の大入熱溶接を行ってもHAZ靱性が良好な低温用鋼板を提供でき、しかも88%以下の低い降伏比を有する低温用鋼板の提供が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るミクロ組織を示す概略説明図であり、(a)はフェライト粒界に層状に分散する層状パーライトを示し、また(b)により層状パーライトの層間隔:hを示す。
【図2】大入熱HAZ靱性値と溶接硬化部硬さに及ぼすC量の影響を示すグラフである。
【図3】C:0.06%鋼の母材引張特性及び衝撃特性と平均フェライト粒径及び層状パーライトの層間隔の関係を示す図である。
【図4】C:0.06%鋼の母材引張特性及び衝撃特性を900〜830℃の圧下率と830℃未満の圧下率で整理して示した図である。
【図5】アンモニア応力腐食割れ試験の試験片を示す図である。
Claims (5)
- フェライトを主体とし、
フェライト粒界に存在するパーライトが層状に分散された層状パーライト組織を有する低温用鋼板であって、
C:0.03〜0.06%、
Si:0.05〜0.50%、
Mn:1.0〜1.8%、
Al:0.005〜0.08%、
Ti:0.005〜0.020%、
N:0.002〜0.005%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物であると共に、
上記フェライトの平均粒径が5〜15μmで、
且つ層状パーライトの層間隔が30μm以下であることを特徴とする耐アンモニア応力腐食割れ性および大入熱溶接における熱影響部の靱性に優れた低降伏比型低温用鋼板。 - さらに他の元素として、
Cu:0.05〜1.0%、
Cr:0.05〜1.0%、
Mo:0.05〜1.0%、
V:0.005〜0.10%、
Nb:0.005〜0.10%よりなる群から選択される1種以上の元素を含有するものである請求項1に記載の低降伏比型低温用鋼板。 - さらに他の元素として、
Ni:0.05〜1.0%を含有するものである請求項1または2に記載の低降伏比型低温用鋼板。 - さらに他の元素として、
Zr:0.003〜0.020%、
B:0.0002〜0.0020%、
Ca:0.001〜0.01%、
Mg:0.001〜0.01%、
REM(希土類元素;Ce,La,Nd):0.001〜0.01%よりなる群から選択される1種以上を含有するものである請求項1〜3のいずれかに記載の低降伏比型低温用鋼板。 - 請求項1〜4のいずれかに記載の低温用鋼板を用いた溶接部であって、
硬さがHv280以下であることを特徴とする耐アンモニア応力腐食割れ性に優れた溶接部。
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CN110331328A (zh) * | 2019-08-02 | 2019-10-15 | 武汉钢铁集团鄂城钢铁有限责任公司 | 一种超薄抗氨腐蚀移动压力容器用钢板及其生产方法 |
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