JP4036467B2 - ストレプトグラミンの生合成に関与するポリペプチド、これらポリペプチドをコードするヌクレオチド配列およびその使用 - Google Patents
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Description
ストレプトグラミンは化学的に異なる2種類の分子型を組み合わせて構成されている抗生物質の均一な群を形成している。一方はポリ不飽和マクロラクトン(A−群成分、それらの2つの構造例が第1図に表されている)、そして他方はデプシペプチド(B−群、それらの3つの構造例が第2図に表されている)である。この群は多くの抗生物質(表1および第3図を参照にされたい)を含んで成ることができ、それらの起源により様々な名前で知られている、例えばプリスチナマイシン(pristinamycines)、ミカマイシン(mikamycines)およびバージニアマイシン(virginiamycines)がある(概説としてCocito 1979、1983を参照にされたい)。
AおよびB成分は、別個の成分の100倍にも達することができる相乗的な抗バクテリア活性を有し、そしてこれは各成分と比較して殺バクテリア性である(Cocito 1979)。この活性はブドウ球菌属および連鎖球菌属のようなグラム−陽性バクテリアに対してより特別に効果的である(Cocito 1979、Videau 1982)。このAおよびB成分はリボゾームの50Sサブユニットに結合することによりタンパク質合成を阻害する(Cocito 1979;概説にはDi Giambattistaら、1989を参照にされたい)。
ストレプトグラミンは表1に表すように多くのストレプトミセス属を含む放線菌類により主として生産される。加えて、ストレプトグラミンはバーナマイシンを合成するミクロモノスポーラ(Micromonospora)のような真核生物でも合成される。放線菌類はそれらが生産する大量の二次代謝産物(多くの抗生物質(ベータ−ラクタム、テトラサイクリン、マクロリッド、アミノグリコシド、ポリ酢酸等)、除草剤、抗ガン剤、抗菌剤、イムノモジュレーターおよび酵素阻害剤を含む)ゆえに重要な微生物群を構成している。現在、放線菌に関しては種々雑多な種類に属する抗生物質、ならびに染料(概説はChater 1990を参照にされたい)のような他の二次代謝産物に関連する生合成経路はすでに研究されている。このバクテリア群の重要な観点は同一の生合成経路に関与する遺伝子類、構造遺伝子類、および耐性遺伝子(1つまたは複数)、ならびに制御遺伝子(1つまたは複数)が天然に一緒に染色体上に群を成し、100kb以上にもなることができるクラスターを構成している点である(Hopwoodら1986a、Hopwoodら1986b、Hallamら1988、Anzaiら1987、Ohnukiら1985)。今日までこの考察に反対するものは見いだされていない。このような構造的組織は、生合成遺伝子をクローニングするための戦略を開発するのに大変興味深い。要するに、種々の手法によりすでにクローン化された単一遺伝子から出発して、生合成、耐性または制御遺伝子を染色体に沿って歩き、そして生合成クラスターの遺伝子の組をこのように単離することが可能である。
ストレプトグラミンの各成分の生合成経路に関する我々の知識は未だ完全ではないが、各分子の種々の部分の起源は放射線活性標識により同定された(kingstonら、1983)。したがってA−型成分は、酢酸塩と例えばセリンおよびグリシンのような数個のアミノ酸との縮合に由来する2つの領域から成る。B−型成分に関しては、ペプチド鎖中に存在するすべてのアミノ酸が天然アミノ酸であることが示された(HookおよびVining、1973)。しかしこれらの経路に関与するペプチドは今日までその分子特性を決定するために十分な量で精製されてはおらず、生合成遺伝子も記載されていない。B−型成分の生合成段階は、2つの部分に分けることができる:
1)大環状の前駆体またはその類似体の合成:3−ヒドロキシピコリン酸、L−2−アミノ酪酸、p−ジメルアミノ−L−フェニルアラニン、4−オキソ−L一ピペコリン酸、L−フェニルグリシン。
2)上記の前駆体、L−トレオニンおよびL−プロリンまたはその類似体から大環の形成、あるいはこれら前駆体の修飾またはペプチドN−メチル化。
現在まで可能なB−型成分の大環の前駆体の代謝起源が標識同位体を使用して決定されているだけである(Reedら1986、Molineroら1989、Reedら1989)。
本発明はストレプトグラミンの生合成に参加するポリペプチドの精製の結果であり、同様に生産物がストレプトグラミンの生合成に参加する遺伝子クローニングの結果である。ストレプトグラミンの生合成という用語は、制御遺伝子および生産微生物に耐性を付与する遺伝子を含んで成ると理解されている。したがって、本発明はこれらの代謝物の生産レベルを組換えDNA法により増大させることも可能である。本発明の別の利点は、この生合成の種々の段階でブロックされた変異体を構築することにより、各々2つの成分のための合成中間体を生産する可能性にある。これらの中間体は化学的、生化学的、酵素的または微生物的手段用にさらに修飾するための基質を提供することができる。同様に生合成遺伝子を単離することは、生産株間に遺伝子を移すことによって医薬的に有利な特性を持つハイブリッド抗生物質を製造することを可能にする(Hopwoodら、1985a、Hopwoodら、1985b、Hutchinsonら、1989)。本発明の別の利点はストレプトグラミン類として分類される代謝物の生合成経路のより良い知識を提供するという事実にある。要するに本発明は、ストレプトグラミンの生合成に参加する1つ以上のタンパク質が適当な発現信号の制御の元に発現されるようにバクテリアまたは真菌株を構築できる。そのような株は次に生物変換を行うために使用できる。これらの生物変換は細胞全体、あるいは該細胞の無細胞抽出物のいずれかを使用して行うことができる。これらの生物変換はストレプトグラミンを生合成経路の酵素で誘導体に転換させることができる。例えばプリスチナマイシンIIBはこのようにプリスチナマイシンIIAに転換できる。同様な理論を任意の生合成中間体に応用できる。
したがって本発明の第一の目的は、ストレプトグラミンの生合成に関与するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列に関する。
さらに詳細には、生産物がストレプトグラミンの生合成に参加する数個の遺伝子がストレプトミセス プリスチナエスピラリス(Streptomyces pristinaespiralis)から単離された。この株から生産されたストレプトグラミンは通常、用語プリスチナマイシンと呼ばれているので(表1)、以下のプリスチナマイシンの生合成に関する遺伝子の場合には参考になることもあるだろう。しかし、得られた結果はすべてのストレプトグラミン応用にできることは明らかである。プリスチナマイシンIおよびIIはそれぞれストレプトグラミンのBおよびA成分に対応する。したがってプリスチナマイシンII一族およびプリスチナマイシンI一族の七分子は、以下ではそれぞれストレプトグラミンのAおよびB成分と呼ぶ。
本発明は特にsnaA、snaB、snaC、snaD、papA、papM、samS、snbA、subC、snbD、snbEおよびsnbR遺伝子の単離および特性決定に関する。これらの遺伝子はエス.プリスチナエスピラリス(S.pristinaespiralis)のゲノムDNAライブラリーから単離された。このライブラリーはエス.プリスチナエスピラリス(S.pristinaespiralis)のゲノムDNAを制限酵素Sau3Aで部分消化することにより得られた。平均40−50kbの巨大DNA断片を、コスミドpHC79中にクローン化した(Hohn,B.,およびCollins,J.F.,1980)。インビトロのキャプシド化後、E.Coli HB101株(Boyerら、Roulland-Dussoix、1969)およびDH1株(Low,1968)をトランスフェクションした。エス.プリスチナエスピラリス(S.pristinaespiralis)のDNAライブラリーはこのように異なる2つのE.Coli株から作成される。
snaA、snaBおよびsamS(初はSnaC遺伝子と呼ばれた)は、コスミドpIBV1(第4図)上に存在する。ポリペプチドSnaAおよびSnaBに対応するsnaAおよびsnaB遺伝子の生成物は、プリスチナマイシンのII成分の最終生合成段階に参加し(プリスチナマイシンIIBのプリスチナマイシンIIAへの転換)、D−プロリンの2,3−結合の酸化に対応する。これら2つのポリペプチドはプリスチナマイシンIIAシンターゼの2つのサブユニットを構成し、その精製は本発明に記載される。samS遺伝子の生成物は、ATPとメチオニンからSAM(メチル基供与体)の合成に参加すると考えられている。多くのストレプトグラミンのA成分は、実質的にC−4でメチル化され(第1図)、そしてこのメチルはメチオニンのメチルに由来すると記載され(Kingstonら、1983)、SAMとのメチル化反応を介しておそらく変化する。したがってsamS遺伝子は、プリスチナマイシンの生合成経路に特異的であるSAMシンターゼ(SamS;EC 2.5.1.6)をコードすると考えられる。
snbA、snbR、papAおよびpapM遺伝子はコスミドpIBV2(第5図)上に存在する(第5図)。snbA遺伝子は実施例5に表すような生化学的研究に基づき、プリスチナマイシンIの生合成の第一段階に対応する。これは鎖の第一の酸、3−ヒドロキシピコリン酸のアデニル化による活性化を含んで成る。snbRはプリスチナマイシンI(またはおそらくプリスチナマイシンII)一族の分子を、合成後に細胞外に転移させることに参加し、これにより生産株の成分に対して耐性を付与する。papA遺伝子は配列分析(実施例8.8)、ならびにこの遺伝子により分断される変異体の研究(実施例9.3)に基づいて、コリスメートからパラ−アミノフェニルアラニンの生合成に関する遺伝子に対応する。パラ−アミノフェニルアラニンは次にpapM遺伝子の生産物(本発明により記載されるN−メチルトランスフェラーゼ)によりジメチル化され、パラ−ジメチルフェニルアラニンを形成し、これは次にプリスチナマイシンIA中に取り込まれる。したがってpapAおよびpapM遺伝子はプリスチナマイシンIAの1つの前駆対の合成に参加する。
snaA、snaD、snbC、snbDおよびsnbE遺伝子は、コスミドpIBV3(第6図)に存在し、したがってこれはsnaA遺伝子がすでに存在するコスミドpIBV1に隣接する。snaD遺伝子は配列分析(実施例8.9)、ならびにこの遺伝子により分断される変異体の研究(実施例9.5)に基づいて、プリスチナマイシンIIの生合成に関与するペプチドシンターゼをコードする。生産物が本発明に記載されているsnbC遺伝子はプリスタマイシンIAのペプチド鎖中にトレオニンおよびアミノ酪酸残基を取り込むことに参加する。また生産物が本発明に記載されているsnbD遺伝子は、プリスチナマイシンIAのペプチド鎖中へのプロリンおよびパラ−ジメチルアミノフェニルアラニン残基の取り込みに関与する。これはまたこれら2つの残基間のペプチド結合のN−メチル化をも支配する。また最後に生産物が本発明に記載されているsnbE遺伝子は、プリスチナマイシンIAの最後の2つの残基、すなわちフェニルグリシンおよび4−オキソピペコリン酸の取り込みに参加する。
snaC遺伝子はコスミドpIBV4(第7図)に存在する。これは本発明中に記載されたFMNレダクターゼとも言うFMN:NADH酸化還元酵素をコードし、そしてFMNおよびNADHからFMNH2でプリスチナマイシンIIAシンターゼを供給する。したがってsnaC遺伝子はプリスチナマイシンIIAの生合成の最終段階に参加する。
これらの種々の遺伝子はそれらのコスミド起源からサブクローン化され、それらの核酸配列が決定された。snaA、snaBおよびsamS遺伝子は6−kbのBamHI−BamHI断片中にサブクローン化され、その部分を配列決定した(配列番号1)。snbA遺伝子は5.5kbのEcoRI−BglII断片中にサブクローン化され、その部分を配列決定した(配列番号5)。snbR遺伝子は4.6kbのBglII−BglII断片中にサブクローン化され、その部分を配列決定した(配列番号6)。papA遺伝子部分は3.4kbのXhoI−XhoI断片中にサブクローン化され、その部分を配列決定した(配列番号9)。papM遺伝子は4.1kbのPstI−PstI断片中にサブクローン化され、その部分を配列決定した(配列番号10)。snaD遺伝子部分は1.5kbのBamHI−SstI断片中にサブクローン化され、その部分を配列決定した(配列番号8)。snbC遺伝子部分は6.2kbのSphI−SphI断片中にサブクローン化され、その2つの領域を配列決定した(配列番号11および12)。snbD遺伝子部分は8.4kbのSphI−SphI断片中にサブクローン化され、その2つの領域を配列決定した(配列番号13および14)。snbE遺伝子部分は6.6kbのSphI−SphI断片中にサブクローン化され、その2つの領域を配列決定した(配列番号15および16)。snaC遺伝子は4kbのBamHI−BamHI断片中にサブクローン化され、その領域を配列決定した(配列番号7)。
snaA、snaB、snaD、samS、snbC、snbDおよびsnbE遺伝子の近接、一方同様にsnbA、snbR、papAおよびpapMの近接は、ストレプトグラミンのAおよびB成分の生合成に関する遺伝子のクラスター局在性を付与する。さらに本発明で記載した4つのコスミドは、パルスフェールド電気泳動で大きさが200kbと推定される染色体の領域中一で緒に群を成し、これはストレプトミセス プリスチナエスピラリス(Streptomyces pristinaespiralis)の全ゲノムの3%に等しい(7500kb)(実施例13)。したがって本発明で同定した遺伝子(snaA、snaB、snaD、samS、snbC、snbDおよびsnbE;snbA、snbR、papAおよびpapM;snaC)の周辺領域は、プリスチナマイシン生合成クラスターの他の遺伝子を含み、そしてこれらの遺伝子はストレプトグラミンの生合成用の他の遺伝子を局在させるために使用できることが明らかである。
好ましくは本発明の主題は以下から選択されるヌクレオチド配列である:
(a)snaA(配列番号2)、snaB(配列番号3)、snaC(配列番号7)、snaD(配列番号8)、papA(配列番号9)、papM(配列番号10)、samS(配列番号4)、snbA(配列番号5)、snbC(配列番号11および12)、snbD(配列番号13および14)、snbE(配列番号15および16)、ならびにsnbR(配列番号6)遺伝子の全部または部分、
(b)生合成クラスターを構成し、そしてストレプトグラミンの生合成に関与するポリペプチドをコードする遺伝子(a)に隣接する配列、
(c)遺伝子(a)または(b)の全部または部分とハイブリダイズし、かつストレプトグラミンの生合成に関与するポリペプチドをコードする配列、ならびに
(d)配列(a)、(b)、および(c)に由来し、遺伝子コードの縮退を持つ配列。
さらに好ましくは本発明の主題は、snaA(配列番号2)、snaB(配列番号3)、snaC(配列番号7)、snaD(配列番号8)、papA(配列番号9)、papM(配列番号10)、samS(配列番号4)、snbA(配列番号5)、snbC(配列番号11および12)、snbD(配列番号13および14)、snbE(配列番号15および16)、ならびにsnbR(配列番号6)遺伝子により表されるヌクレオチド配列である。
本発明の別の主題はストレプトグラミンの生合成に関する遺伝子を含んで成る任意の組換えDNA法に関する。さらに好ましくはこれは第4から7図に表されるコスミドpIBV1、pIBV2、pIBV3またはpIBV4の全部または部分、あるいはコスミドpIBV1からpIBV4とハイブリダイズする配列の全部または部分、あるいはこれら後者の断片を含んで成る組換えDNA法である。
本発明の好適な態様において、上記定義のヌクレオチド配列は発現ベクターの部分を形成し、それは自律的に複製または統合できる。
上述のように、本発明はさらに特別にはプリスチナマイシンの生合成のための遺伝子にて説明されるが、得られた結果をすべてのストレプトグラミンに応用することは明らかである。
より特別には本発明で開発されたエス.プリスチナエスピラリス(S.pristinaespiralis)からのストレプトグラミンの生合成に関するタンパク質の精製または遺伝子のクローニングに関する技術は、ストレプトグラミンを生産する他の微生物にも応用できる(表1参照)。
したがってエス.プリスチナエスピラリス(S.pristinaespiralis)からの酵素活性の精製により、ストレプトグラミンを生産する別の株からの同一活性を精製することも可能である。したがって本発明は生合成に参加するタンパク質を精製し、そして次にそれらのNH2−末端配列を使用して対応する遺伝子をクローン化できるオリゴヌクレオチドプローブを合成することにより、任意の生産微生物からストレプトグラミンの生合成に関する遺伝子のクローニングすることに応用できる。次に染色体ウォーキング(chromosome walking)は全生合成クラスターを同定することを可能にする。
さらに本出願で同定した遺伝子から、ハイブリダイゼーションによりストレプトグラミンの生合成の遺伝子を別の生産微生物のDNAから直接的にクローン化することも可能である。実質的にプリスチナマイシンの生合成に関する遺伝子は別のストレプトグラミンの遺伝子と強くハイブリダイズする。したがってストレプトグラミンの生合成に関する遺伝子は、プローブとしてsna、snbまたはpap遺伝子を使用して、あるいは後者の断片、あるいは本発明に表すような他のsnaおよびsnb遺伝子を含有する遺伝子に隣接する断片をプローブとして使用してハイブリダイゼーションによりクローン化することが可能である。これは1)種々の微生物により生産されるストレプトグラミンは同一であり、同様な構造を持つ(第3図を参照のこと)、2)ストレプトグラミンの生合成に関する遺伝子はクラスター中に組織化されている、そして3)この生合成の原因となる酵素系はそれらの基質に対して絶対的な特異性を持っていない、という事実によるものである。
さらにストレプトグラミンの生合成に関与する遺伝子のクローニングは、縮退オリゴヌクレオチド(上記のsnaまたはsnb遺伝子の配列から調製された)、またはそれら遺伝子の断片、あるいはこれらの遺伝子に隣接する断片を使用しても行うことができる。したがって種々のストレプトグラミン生産株のAおよびB成分の生合成のための遺伝子の中から好きなものを選ぶことが可能である。これらの株はストレプトミセス(Streptomyces)属に、そして他の属にも属することができる(表1を参照のこと)。加えて、使用する出発株のゲノムDNAがストレプトミセス(Streptomyces)に観察されるものとは異なるG+C組成を有するならば、使用するプローブは、DNAを単離するために所望する遺伝子の属または種に対して特異的なコドンの偏りで合成できる。
本発明の別の主題は上記定義のヌクレオチド配列の発現に由来するポリペプチドに関する。より詳細には本発明はポリペプチドSnaA(配列番号2)、SnaB(配列番号3)、SnaC(配列番号7)、SnaD(配列番号8)、PapA(配列番号9)、PaPM(配列番号10)、SamS(配列番号4)、SnbA(配列番号5)、SnbC(配列番号11および12)、SnbD(配列番号13および14)、SnbE(配列番号15および16)、ならびにSnbR(配列番号6)のすべてまたは部分、あるいはそれらの誘導体を含んで成るポリペプチドに関する。本発明に使用する意味において、誘導体という用語はペプチド配列の遺伝的および/または化学的性質の修飾により得られる任意の分子を表す。遺伝的および/または化学的性質の修飾とは1つ以上の残基の任意の突然変異、置換、削除、付加および/または修飾である。そのような誘導体はさまざまな目的のさめに作成でき、例えば特にペプチドのその基質(1つまたは複数)に対する親和性の増加、その生産レベルの向上、プロテアーゼに対する耐性の上昇、その活性の増大および/または改変、あるいは新規な生物的性質の付与などである。付加により生じる誘導体の中では、例えば一方の末端に結合した付加的な相同的部分を含有するキメラ性のポリペプチドを挙げることができる。誘導体という用語はまた本発明に記載されたポリペプチドに相同的であり、かつ他の細胞、特にストレプトグラミンを産する株からから生じるポリペプチドを含んで成る。
本発明の主題は、上記定義のヌクレオチド配列またはベクターを含有する任意の組換え細胞でもある。本発明の組換え細胞は真核または原核細胞のいずれでもよい。適当な真核細胞の中では、動物細胞、酵母または真菌を挙げることができる。特に酵母に関してはサッカロミセス(Saccharomyces)、クルイベロミセス(Kluyveromyces)、ピチア(Pichia)、シュワンニオミセス(Schwanniomyces)またはハンセニューラ(Hansenula)属を挙げることができる。動物細胞に関しては、COS、CHO、C127細胞、アフリカツメガエルの卵等を挙げることができる。真菌の中でも特に挙げることができるのは、ミクロモノスポーラ(Micromonospora)、アスペルギルスssp.(Aspergillus ssp.)またはトリコダーマssp.(Trichoderma ssp.)である。原核細胞としては、以下のバクテリアを使用することが好ましい:特にアクチノミセス(Actinomyces)およびストレプトミセス(Streptomyces)、E.Coli(実施例11)、バチルス(Bacillus)。好ましくは本発明の組換え細胞はストレプトグラミンを生産する細胞から選択される(表1を参照のこと)。本発明の組換え細胞は、外来ヌクレオチド配列を細胞中に導入しうる任意の方法により得ることができる。これは特に、形質転換法、電気穿孔法、接合法、プロトプラスト融合法、あるいは当業者に周知である他の任意の方法であることができる。
さらに本発明の主題はストレプトグラミンの生合成に関与するポリペプチドの生産法であり、それによれば上記定義の組換え細胞が培養され、そして生産されたポリペプチドが回収される。
また本発明の主題は上記定義の組換え細胞の使用であり、ストレプトグラミンの生合成に関与する少なくとも1つのポリペプチドを生物変換反応で発現する。特にこれらの細胞はストレプトグラミンを誘導形に転換させることができる。例えばプリスチナマイシンIIBをこのようにしてプリスチナマイシンIIAに転換できる。同じ理論を、任意の生合成中間体に応用できる。これらの細胞は有利な医薬的特性を有するハイブリッド抗生物質を製造することができる(Hopwoodら、1985a、Hopwoodら、1985b、Hutchinsonら、1989)。これらの生物変換は全細胞を使用するか、あるいは該細胞の無細胞抽出物を使用するいずれかで行うことができる。
本発明の別の主題は、上記定義のヌクレオチド配列をストレプトグラミンの生産を増幅させるために使用することに関する。また本発明はストレプトグラミンの生産法に関し、それによれば本発明の1つ以上のヌクレオチド配列が導入され、かつ/またはストレプトグラミン生産細胞(あるいはストレプトグラミンの有望な生産者)中で増幅され、該細胞をストレプトグラミンの生産条件下で培養し、生産されたストレプトグラミンを回収する。
生合成に関与する特定遺伝子の過剰発現は、生産株のストレプトグラミンAおよび/またはB生産を増大させることができる。この過剰発現は数種の株で行うことができる:ストレプトグラミンA一族の分子のみを生産する株か、ストレプトグラミンB一族の分子のみを生産する株か、あるいはAおよびB成分の両方を生産する株のいずれかである。これらの過剰発現は合成レベルの増大、すなわちAおよび/またはB成分のErlenmeyer中での、または小さい培養槽中での、あるいは大規模な工業的培養槽中での生産性の増大をもたらすことができる。さらにAおよび/またはB成分の生合成に関与する遺伝子の特異的な過剰発現は、株により生産されるAおよびB成分の%を変化させることができ、したがってこれら分子間のより良い相乗効果を得ることができる。さらにストレプトグラミンを生産する微生物から単離した生合成遺伝子は、別の生産微生物中で生産を増幅するために使用できる。
本発明の別の主題は、ストレプトグラミンの生合成経路の段階でブロックされた細胞の調製法に関し、それによれば突然変異がストレプトグラミンを生産する細胞について少なくとも1つの生合成遺伝子で行われる。
好ましくは突然変異はin vitroまたはin situで、問題とする遺伝子の1つ以上の塩基のサプレッション、置換、削除および/または付加により行われるか、または遺伝子分断により行われる。
本発明の別の観点は、実質的にストレプトグラミン生合成の特定段階でブロックされた突然変異体の構築にある。その価値は一方では突然変異タンパク質の機能的研究にあり、他方では生合成中間体を生産する株の生産にある。これらの中間体は分離後に適当なところで、生産媒体に特定の成分を付加することにより、または中間体の基質として作用することにより中間体を修飾できるこのように突然変異した別の遺伝子を株に導入することにより修飾されることができる。これらの中間体はこのように化学的、生化学的、酵素および/または微生物手段により修飾されることができる。この意味において、エス.プリスチナエスピラリス(S.pristinaespiralis)SP92株の突然変異体SP92::pVRC505が構築された:エス.プリスチナエスピラリス(S.pristinaespiralis)SP92::pVRC505は自殺プラスミドpVRC505のsnaA遺伝子中で相同的統合により単離され、pDH5およびsanA遺伝子の内部断片から樽築された。以下の突然変異体も構築された:SP92samS::QamR;SP92::pVR508;SP92::pVRC404およびSP92::pVRC1000(実施例9)。
したがって本発明はまたストレプトグラミンの生合成中間体を調製する方法に関し、それによれば:
−ストレプトグラミンの生合成経路の段階でブロックされる細胞を上記のように調製し、
−該細胞を培養し、そして
−蓄積した中間体を回収する。
本発明はまたはストレプトグラミンから誘導される分子の調製法に関し、それによれば:
−ストレプトグラミンの生合成経路の段階でブロックされる細胞を上記のように調製し、
−該細胞を培養し、そして
−この細胞により蓄積した中間体を培養培地から分離した後、適当なところで修飾する。
本発明は以下の実施例で説明されるが、それらは説明のためであり、限定するものではないと考える。
図の一覧
第1図:ストレプトグラミンのA成分の構造。
第2図:ストレプトグラミンのB成分の構造。
第3図:ストレプトグラミンの構造の他の例。
第4図:コスミドpIBV1の図解。
第5図:コスミドpIBV2の図解。
第6図:コスミドpIBV3の図解。
第7図:コスミドpIBV4の図解。
第8図:プリスチナマイシンIIAシンターゼにより触媒される反応。
第9図:3−ヒドロキシピコリン酸:AMPリガーゼにより触媒される反応。
第10図:SnbCにより触媒される反応。
第11図:SnbDにより触媒される反応。
第12図:SnbEにより触媒される反応。
第13図:SnaCにより触媒される反応。
第14図:PapMにより触媒される反応。
第15図:プラスミドpVRC402(A)およびpVRC501(B)の図解。
第16図:プラスミドpXL2045の図解。
第17図:プラスミドpVRC1105の図解。
第18図:プラスミドpVRC1106の図解。
第19図:プラスミドpVRC1104の図解。
第20図:プラスミドpVRC900の図解。
第21図:プラスミドpVRC1000の図解。
第22図:プラスミドpVRC509の図解。
第23図:プラスミドpVRC903の図解。
第24図:プラスミドpVRC409の図解。
第25図:プラスミドpVRC505の図解。
第26図:プラスミドpVRC701の図解。
第27図:プラスミドpVRC702の図解。
第28図:プラスミドpVRC508の図解。
第29図:プラスミドpVRC404の図解。
第30図:プラスミドpVRC507の図解。
第31図:プラスミドpVRC706の図解。
第32図:一般的マップ。
材料
Bio-Sil SEC 125および250カラム(バイオラッド:Bio-Rad)
MonoQ HR 5/5,10/10および16/10カラム(ファルマシア:Pharmacia)
PD-10カラム(ファルマシア)
Superose 6 HR 10/30カラム(ファルマシア)
Superdex 200 Hi-Load 16/60および75 HR 10/30カラム(ファルマシア)
Superose 12 prep gradeカラム(ファルマシア)
Vydac C4およびC18カラム(ザ セパレーショングループ:The Separation Group)
Nucleosil 5-C18カラム(マーシェリー-ナゲル:Macherey-Nagel)
Phenyl Superose HR 10/10カラム(ファルマシア)
TSK G2000 SWカラム(トーソー:Tosoh、日本)
Phenyl Sepharose(ファルマシア)
FMN-アガロース(シグマ:Sigma)
Q Sepharose Fast Flow(ファルマシア)
Sephadex G-25 Fine(ファルマシア)
Centricon 10または30(アミコン:Amicon)
Centriprep 10または30(アミコン)
Centrilutor(アミコン)
実施例1:ストレプトミセス プリスチナエスピラリス(Streptomyces pristinaespiralis)SP92株の全DNAの単離
この実施例ではエス.プリスチナエスピラリス(S.pristinaespiralis)SP92株のDNAをどのように精製できるかを説明する。
エス.プリスチナエスピラリス(S.pristinaespiralis)SP92株は、エス.プリスチナエスピラリス(S.pristinaespiralis)DS5647株(ATCC25486)由来のものである。
50mlのYEME培地(34%シュクロース、5mM MgCl2、0.25%グリシン(D.Hopwoodら、1985))を108のエス.プリスチナエスピラリス(S.pristinaespiralis)SP92株の胞子とともに植菌し、カルチャーを30℃にて40時間、280rpmで撹拌しながらインキュベーションする。
菌糸体を回収し、15mlの10.3%シュクロースで洗浄する。約1gの菌糸体ペレットを34%のシュクロースを補充した5mlのTEに溶解し、そこに1mlのリゾチームを50mg/ml濃度(10mMのTris−HCl溶液、pH8.0、および1mlの0.25M EDTA pH8.0中)で加える。30℃で30−60分間インキュベーションした後、混合物に0.8mlの10%サルコシル(sarkosyl)を加えて透明化する。2mlの0.25M EDTA pH8.0、10mlのTE、18gのCsClおよび1.2mlのETB(10mg/ml濃度で)を次に加える。調製物を、20℃にて55,000rpmで一晩超遠心する。
染色体DNA(CsCl勾配中にバンド状態で存在する)をパスツールピペットで回収する。ETBをTE緩衝液、5M NaClで飽和としたイソプロパノール溶液で数回洗浄して除去する。3容量のTEおよび4容量のイソプロパノールを加えることによりDNAを沈殿させる。70%エタノールで洗浄した後、DNAを適当容量のTE中に溶解する。得られた全DNA量は菌糸体グラムあたり250から500μgの間である。
実施例2:E.coliプラスミドDNAの単離
この実施例ではE.coliの組換え株からいかにしてE.coliプラスミドDNAを調製できるかを説明する。
2.1 E.coliプラスミドDNAの大量調製
この実施例ではプラスミドDNAの最大調製物をいかにしてE.coliで生産させるかを説明する。
この調製は、150μl/mlのアンピシリンを含有する500mlのLB培養培地を使用して行う。抽出法はBirnboimおよびDoly(1979)およびIsh−HorowicsおよびBurke(1981)、ならびにManiatisら(1989)により記載された方法による。
この抽出後、プラスミドDNAをManiatisら(1989)に記載されたCsCl勾配を使用して精製する。プラスミドDNAを次に3容量のTEおよび4容量のイソプロパノールを加えて沈殿させる。遠心後、ペレットを0.5−1mlのTEに溶解する。
2.2 少量のE.coliプラスミドDNAの調製
この実施例ではプラスミドDNAの微量調製物をいかにしてE.coliで生産させるかを説明する。
この調製は、150μg/mlのアンピシリンを含有する1.5mlのLB培養培地を使用して行う。方法はBirnboimおよびDoly(1979)により記載された方法による。
実施例3:E.coli中でのエス.プリスチナエスピラリス(S.pristinaespiralis)のゲノムライブラリーの構築およびハイブリダイゼーション用膜の調製
この実施例ではエス.プリスチナエスピラリス(S.pristinaespiralis)SP92のゲノムDNAライブラリーをいかにしてE.coliで作成するかを説明する。
3.1 ゲノムDNA断片の調製
この実施例ではとのように高分子量ゲノムDNA断片が調製できるかを説明する。
実施例1に記載したように調製したSP92株の全DNAを、製造元で推薦する緩衝液(100mM NaCl,10mM Tris−HCl)(pH7.5),10mM MgCl2、100μg/ml BSA)中のSau3A(ニューイングランド バイオラボズ:New England Biolabs、ビバリー、マサチューセッツ州、01915−5510、米国)で部分消化する。高分子量DNA断片を得るために使用した酵素量は、経験的に定めた。約0.025酵素単位を、1μgの全DNAを37℃にて20分間で消化するために使用する。反応を次に65℃で15分間インキュベーションすることにより停止し、そして酵素を等容量のフェノール/クロロホルムを加えて除去する。遠心後、部分的に消化した全DNAを含有する上澄みを、最終的に0,3Mの酢酸ナトリウムおよび2.5容量のエタノールを加えて沈殿させる。
約100μgの全DNAがこのようにして消化され、そして大きさが30−50kbDNA断片が10−40%のシュクロース勾配で単離される。それらの大きさは0.4%のアガロースゲル電気泳動で確認する。
3.2 コスミドpHC79の調製
この実施例ではどのようにコスミドpHC79をE.coliから調製するかを説明する。
コスミドpHC79(Hohn,B.およびCollins,1980)は、pBR322(Bolivar,F.ら、1977)の一部分、λのcro−cII領域およびCharon 4A(Blattner,F.R.ら、1977)のcos配列を含有する領域を含んで成る。
コスミドの抽出は実施例2.1に記載されたように、E.coli TG1株(K12,Δ(lac−pro)supE thi hsd DS F’traD36 proA+B+ lacIq LacZ ΔM15,Gibson,1984)から行った。
500ngのコスミドpHC79を、150mM NaCl,6mM Tris−HCl pH7.9、6mM MgCl2、6mM 2−メルカプトエタノール、100μg/ml BSAを含んで成る20μlの緩衝液中のBamHI(ニューイングランド バイオラボズ ビバリー、マサチューセッツ州、01915−5510、米国)で消化する。
3.3 DNA断片およびコスミドの連結
この実施例では、Sau3A消化から派生するエス.プリスチナエスピラリス(S.pristinaespiralis)SP92ゲノムをどのようにしてBamHI−直線化ベクターpHC79に連結できるかを説明する。
約150ngの上記のように直線化したコスミドを、エタノールで、実施例3.2に記載されたような350ngのエス.プリスチナエスピラリス(S.pristinaespiralis)SP92の全DNA断片とともに沈殿させた。ペレットを10μlの連結緩衝液(ライゲーションバッファー:50mM Tris−HCl pH7.8、10mM MgCl2、20mM DTT、1Mm ATP、50μg/ml BSA)に溶解し、そして0.5μlの濃度400,000単位/mlのT4DNA リガーゼ(ニューイングランド バイオラボズ ビバリー、マサチューセッツ州、01915−5510、米国))を加えた。インキュベーションは15℃で一晩行った。
3.4 インビトロでのキャプシド化の実施
この実施例では3.3で構築されたコスミドがどのようにしてインビトロでキャプシド化されるのかを説明する。
連結後のハイブリッドコスミドのキャプシド化は、ストラタジーン(Stratagene クローニング システム、ラジョラ、カリフォルニア州、92037、米国)で開発されたGigapackIIGoldキットを使用して行った。
2×4μlの連結混合物(2×70ngのハイブリッドコスミドと同等)をインビトロで供給元により記載された方法に従いキャプシド化した。
3.5 E.coli DH1株およびHB101株のトランスフェクション
この実施例ではコスミドをどのようにE.coliに導入するかを説明する。
2つのトランスフェクションを平行してE.coliDH1株(F- gyrA96 recA1 relA1 endA1 thi−1 hsdR17 supE44L−、Low 1968)およびHB101株(F- supE44 hsdS20(rB-mB-)recA13 ara−14 proA2 lacY1 galK2 rpsL20 xyl−5 mtl−1、BoyerおよびRoulland−Dussoix 1969)で行った。
細胞を以下の方法に従い調製した:100−mlのプレカルチャーを0.2%のマルトースおよび10mM MgSO4を補充したLB培地で4−5時間、OD600の値が0.8になるまで生成する。カルチャーを次に遠心し、そしてペレットを40mlの10mM MgSO4に溶解し、そしてOD600=0.5まで同様の溶液で希釈する。このようにして調製した200μlの細胞懸濁液を、100μlのキャプシド化混合物と混合する。37℃での接触20分後、1mlのLBを加え、全体を37℃で1時間インキュベーションする。トランスフェクション体を次に150μg/mlのアンピシリンを含有するLB固体培地で選択する。得られたトランスフェクション体の数は1μgの組換えコスミドあたり約104である。
3.6 エス.プリスチナエスピラリス(S.pristinaespiralis)SP92のゲノムDNAライブラリーの保存
この実施例ではどのようにエス.プリスチナエスピラリス(S.pristinaespiralis)SP92のゲノムDNAライブラリーが保存されるかを説明する。
コスミドpHC79中に挿入された断片の平均の大きさを確認した後、HB101およびDH1で行ったトランスフェクション体から派生する各約1500コロニーを、200μlのHogness培地(8.8%グリセロール、3mM 酢酸ナトリウム、55mM K2HPO4、26mM KH2PO4、1mM MgSO4、15mM (NH4)2SO4、150μg/ml アンピシリンを補充したLB培地)を含有する96ウェルのマイクロタイタープレートにサブクローン化する。これらのプレートを37℃で一晩インキュベーションし、そして次に−80℃に保存する。
3.7 エス.プリスチナエスピラリス(S.pristinaespiralis)SP92のゲノムライブラリーのハイブリダイゼーション膜の調製
この実施例ではエス.プリスチナエスピラリス(S.pristinaespiralis)SP92ゲノムライブラリーを構成するコロニーのDNAがどのようにハイブリダイゼーション膜上に移されるかを説明する。
これらのハイブリダイゼーション膜は、以下の方法に従い2つの各ライブラリーについて2連で作成された:
各ライブラリーの15のマイクロタイタープレートは、レプリカプレーターを使用して150μg/mlのアンピシリンを含有するLB寒天培地上にレプリカを取る。37℃で一晩生育させた後、コロニーをBiohylon Z+膜(バイオプロープ システム:Bioprope System)上に、以下の手法に従い移し取る:膜を適当な大きさに切り、そしてコロニーに1分間接触させておく。次に変性は、膜を0.5M NaOH、1.5M NaCl溶液に5分間浸漬させることにより行い、続いて中和化は膜を3Mの酢酸ナトリウム溶液に5分間浸漬させることにより行う。DNAは膜をUVランプ下に5分間暴露することにより固定する。
実施例4
4.1 パルスフィールド電気泳動用の試料挿入物としての状態のエス.プリスチナエスピラリス(S.pristinaespiralis)SP92株およびSP92由来の株の染色体DNAの調製
この実施例ではエス.プリスチナエスピラリス(S.pristinaespiralis)SP92株およびSP92由来の株のDNAを、どのようにしてパルスフィールド電気泳動のための挿入物の状態で調製するかを説明する。この調製は以下のようにして得られた菌糸体カルチャーから作成される:0.25%のグリシンを含有する30mlのYEME培地を被検株の108の胞子とともに植菌し、そしてカルチャーを30℃で48時間、250mlのErlenmeyers中で280rpmに撹拌しながらインキュベーションする。菌糸体を次に10分間の3800rpmの遠心により回収し、10%のシュクロースで2回洗浄する。菌糸体ペレットを次に5mlの溶液I(250mM EDTA pH8.0、20.6%シュクロース)に再懸濁する。このようにして得られた200Mlの菌糸体に、400Mlのリゾチーム溶液を50mg/mlの濃度(溶液I中)で、800Mlの1%LMPアガロース(25mM EDTAおよび10.3%シュクロース中、42℃に維持)とともに加える。混合物を42℃に維持し、そして次に特別製のコーム(combs)のウェル中に注ぎ、これを粘着テープで密閉し、4℃で30分間保つ。混合物を固体化し、そしてこのようにして30−40の挿入物を得、そしてウェルに含まれる挿入物を型から注意深く取り出した。
挿入物を始めに4℃で30分間、25mM EDTAおよび10.3%シュクロースを含有する溶液中ですすぐ。それらを次に500mMの EDTA、1%ラウリルサルコシルおよび1mg/mlのプロティナーゼKで50℃にて24時間2回、時々撹拌しながら浸漬する。挿入物を次に1mM PMSFを含有するTE中で1時間、各洗浄ごとに溶液を交換しながら3回洗浄する。このようにして得られた挿入物を4℃で0.5M EDTA pH8.0中で、最長4ケ月保存する。
4.2 エス.プリスチナエスピラリス(S.pristinaespiralis)SP92株およびSP92由来の株のDNA挿入物の消化およびパルスフィールド電気泳動用による分析
この実施例ではエス.プリスチナエスピラリス(S.pristinaespiralis)SP92株およびSP92由来の株の染色体DNA(実施例4.1に記載されたように調製されたもの)を、どのようにしてパルスフィールド電気泳動用に種々の制限酵素で切断するかを説明する:
4.2.1.挿入物の状態での染色体DNAの消化
挿入物を始めにTE中で6回洗浄し、そして次に選択した制限酵素の緩衝液中に1時間、2回インキュベーションする。各挿入物を次に、160Mlの制限酵素緩衝液および40単位の酵素を含有するエッペンドルフ試験管のフタの部分に置く。全体をパラフィルムで覆い、そして緩衝液の蒸発を避けることができるようにエッペンドルフをパラフィルムに包んで密閉する。この試験管をインキュベーター中にて所望温度で一晩インキュベーションする。
4.2.2 消化DNAのパルスフィールド電気泳動による分析
この実験のためのパルスフィールド電気泳動法は、Chuら(1986)により開発されたCHEF(Clamped Homoheneous Electric Field)系のものであり、これはそれぞれが120°に配向された2種類の均一な交互の電場を得、ならびにDNA分子については直線的な軌跡を得ることができる。使用した“パルサフォーシステム(Pulsafor System)”はファルマシア−LKBにより販売されている。
電気泳動的移動度のパラメーター(パルス時間および移動時間など)は、10−2500kbの間の大きさの範囲のDNA断片について至適な分離が得られるように変更した。使用した3種の移動条件は次の通りである:200−1700kbの大きさの巨大断片を分離するために、選択した移動条件はパルス時間が90秒で40時間:50−400kbの大きさの断片を分離するために選択した移動条件はパルス時間が10秒で20時間:最後により小さい10−200kbの大きさの断片を分離するために選択した移動条件はパルス時間が10秒で24時間である。これらの3種の移動条件については、電圧を150ボルトの定電圧であり、温度は13℃に維持し、そして電気泳動ゲルは1.3%のアガロースを含有する。
エス.プリスチナエスピラリス(S.pristinaespiralis)SP92株およびSP92由来の株の染色体DNAを含有する挿入物を、上記の制限酵素で消化し、そして2つの外科用の刃を使用して電気泳動ゲルのウェルに置く。使用した分子量マーカーはニューイングランドバイオラボ社で販売している”酵母染色体PFGマーカー”および“ラムダ ラダーPFGマーカー”である。移動は上記条件の1つで行い、そして次に4mg/ml濃度のETB(エチジウムブロミド)浴で染色し、その後20分間水中にて脱集落化する。ゲルの写真を取った後、DNA断片をナイロン膜上に移し、そして実施例9.1に記載するように[α−32P]dCTP−標識プローブとハイブリダイズさせる。
実施例5:ストレプトグラミンの生合成に関与する精製タンパク質をコードする遺伝子を持つコスミドの単離
この実施例では、プリスチナマイシンの生合成に参加し、かつそのNH2−末端配列または内部配列が確立されている精製タンパク質から出発して、いかに上記のように作成されたゲノムライブラリーからこの同一タンパク質に関する構造遺伝子を持つコスミドを単離することができるか、あるいはコスミドが保持し、かつすでに配列決定されたこれらの遺伝子から対応する構造物遺伝子を同定できるかを説明する。
5.1 プリスチナマイシンIIAシンターゼの2つのサブユニットの1つ、または両方の構造物遺伝子を持つコスミドpIBV1およびpIBV3の単離
5.1.1 プリスチナマイシンIIの最終合成段階に関与するタンパク質の1つの同定および精製:プリスチナマイシンIIAシンターゼ
導入部にて述べたように、プリスチナマイシンIIAの最終合成段階は、D−プロリンの2,3−結合のデヒドロプロリンへの酸化に対応する。この活性の原因であるタンパク質はこの実施例に説明されるように均一に精製された。
5.1.1.A.プリスチナマイシンIIAシンターゼ活性のアッセイ
この実施例では、未だ記載されず、かつプリスチナマイシンの生産期間中にのみ発現される注目すべき特質を有するプリスチナマイシンIIAの生合成経路の活性アッセイを説明する。問題の酵素はプリスチナマイシンIIAシンターゼであるが、これはプリスチナマイシンIIBをプリスチナマイシンIIAに、プリスチナマイシンIIBのD−プロリン残基を2,3−デヒドロプロリン残基(第8図)に、分子酸素およびFMNH2の存在下で酸化して転換する。このアッセイする酵素画分(0.002−0.005単位)を、27℃で1時間、全容量が500mlの50mM bis−trisプロパン緩衝液 pH6.8(NADH(500μM)およびFMN(5μM)、プリスチナマイシンIIB(20μM)および0.02単位のFMN還元酵素(べーリンガーマンハイム:Boehringer Mannheim)を含有する)中でインキュベーションする。
生成したプリスチナマイシンIIAは、500μlの0.1N塩酸および500μlのアセトニトリルでインキュベーションを停止し、そして試料を5000gで5分間遠心した後、HPLCで分析する。150μlの遠心上澄みを15−cmのNucleosil 5−C8カラムに注入し、34%のアセトニトリルおよび66%の0.1Mリン酸緩衝液 PH2.9の混合物で溶出する。プリスチナマイシンIIAおよびIIBはそれらの206nmでのUV吸収により検出される。
酵素活性の単位は、1時間あたり記載された条件下で1μmolのプリスチナマイシンIIAを合成するために必要な酵素量と定義される。
5.1.1.B エス.プリスチナエスピラリス(S.pristinaespiralis)SP92 プリスチナマイシンIIAシンターゼの精製
この実施例では、プリスチナマイシンIIA生合成経路に参加するエス.プリスチナエスピラリス(S.pristinaespiralis)SP92の酵素がどのように精製されるかを説明する。
上記実施例5.1.1.Aに記載されたアッセイを使用して、以下に記載のようにプリスチナマイシンIIAシンターゼの精製を凍結に注意し、そして必要に応じて連続的な工程間では活性画分を−30℃に保存して行う。
0.1Mのリン酸緩衝液 pH7.2(10容量/容量%のグリセロールを含有する)で洗浄したエス.プリスチナエスピラリス(S.pristinaespiralis)SP92カルチャー(プリスチナマイシンの生産初期段階で回収した)の150gの遠心ペレットを、450mlの50mM bis−trisプロパン緩衝液 pH6.8(5mMのDTTおよび0.2mg/mlのリゾチームを含有)に溶解する。このように得られた懸濁液を27℃で45分間インキュベーションし、そして50,000gで1時間遠心する。このようにして集めた粗抽出物を硫酸アンモニウム沈殿により分画する。40−55飽和%の間で沈殿するタンパク質画分を、Sephadex G−25 Fineで脱塩し、pH6.8の50mM bis−trisプロパン緩衝液、1mM DTT中で(1回の注入あたり100mg)、monoQ HR 10/10カラムに注入する。タンパク質は直線的なKCl勾配(0−0.5M)で溶出する。酵素活性を含む画分(実施例5.1.1.Aに記載された試験のように検出)をプールし、そしてCentriprep 10で20mlに濃縮する。2M硫酸アンモニウムを含有する1容量のpH 6.8 50mMのbis−trisプロパン緩衝液、1mM DTTで希釈した後、タンパク質をPhenyl Superose HR 10/10カラムで、硫酸アンモニウムの減少的勾配(1.0M−0M)により溶出する。所望の活性を含有する最高の画分をプールし、Centriprep 10で1mlに濃縮し、そしてBio−Sil SEC 250カラムに添加(1回の注入あたり200μl)する。活性ピークを77,000付近の分子量でこの方法により検出する。活性を有する画分をMonoQ HR 5/5 カラム(pH6.8、50mMbis−trisプロパン緩衝液、DTT 1mM)に注入し、KClの勾配(0−0.5M)で溶出する。
この工程の後、酵素は純粋であり、そしてSDS−PAGE電気泳動では35,000および50,000と推定される分子量の2つのサブユニットが確認される。これらは25−cm Vydac C4カラムで、0.07%のトリフオロ酢酸を含有する30−50%のアセトニトリル(水中)の直線勾配で分離される。
5.1.2 タンパク質配列からのオリゴヌクレオチドの生成;
この実施例では実施例5.1.1.Bに記載されたプリスチナマイシンIIAシンターゼの2つのサブユニットのNH2−末端配列から出発して、どのようにオリゴヌクレオチドを合成できるかを説明する。プリスチナマイシンIIAシンターゼの2つのサブユニットは、SnaAおよひSnaBと呼ばれ、それぞれ実施例5.1.1.Bに記載された分子量50,000および35,000のポリペプチドに対応する。
タンパク質SnaAおよびSnaBのNH2−末端配列(プリスチナマイシンIIAシンターゼのサブユニットに対応する)は、マイクロシークエンシングで導いた。これはエドマン分解法により、フェニルチオヒダントイン誘導体を同定するためにHPLC装置に連結された全自動シークエンサー(アプライドバイオシステムズ モデル 407A:Applied Biosystems)を使用して行われる。約30残基がそれぞれについて決定された。
タンパク質SnaA:(配列番号2の2−29残基を参照)
タンパク質SnaB:(配列番号3の2−31残基を参照)
さらに、これら2つのポリペプチドの内部配列は、SnaAおよびSnaBのトリプシン消化および得られた断片のVydac C18 HPLCカラムでの精製後、決定された。以下の内部配列が検出された:
タンパク質SnaA:(配列番号2の365−384残基を参照)
タンパク質SnaB:(配列番号3の122−136残基を参照)
タンパク質SnaAおよびSnaBの内部断片の各配列について下線を引いた領域から、ならびにストレプトミセス(Streptomyces)(実施例8を参照)に特異的な遺伝子コドンの縮退に従い、以下のオリゴヌクレオチドの混合物をBiosearch 8600の全自動合成機で合成した。それらを次にすでに記載された技術により精製(Sawadogo M.およびVon Dyke M.W.,1991)した。snaAおよびsnaB遺伝子はそれぞれタンパク質SnaAおよびSnaBの構造遺伝子を表す。
SnaAの内部配列の下線部分に対応する混合物:
SnaBの内部配列の下線部分に対応する混合物:
5.1.3合成オリゴヌクレオチド混合物の標識化およびSP92株のゲノムDNAライブラリーとのハイブリダイゼーション
この実施例ではプリスチナマイシンの生合成に関する遺伝子に特異的なオリゴヌクレオチドがどのように放射活性的に標識でき、そして次にすでにエス.プリスチナエスピラリス(S.pristinaespiralis)SP92のゲノムライブラリーのDNAが移されている膜にハイブリダイズさせることができるかを説明する。
オリゴヌクレオチドの標識化は5’−末端位に、ATPの[γ−32P]リン酸基をT4ポリヌクレオチドキナーゼで転移されることにより行う。この標識化Maniatisら(1989)により記載されたように行う。標識化の後、オリゴヌクレオチドを精製せずに使用する。
約2×500ngの各オリゴヌクレオチド混合物がこのように32Pで標識され、2つのライブラリーのそれぞれとハイブリダイズするために使用された。
各ライブラリーの膜のハイブリダイゼーションは、Meinkoth、J.およびWahl,G,(1984)およびHames.B.D.およびHiggins,S.J.(1985)に開発されたものに由来した手順に従って行う:15枚の膜を50℃にて3時間、以下のものを含有する40mlの溶液中でプレハイブリダイゼーションする:デンハーツ(×5)[デンハーツ(×100):2重量/容量%Ficoll、2重量/容量%ポリビニルピロリドン、2重量/容量%BSA)]、SSC(×5)[SSC(×20):3M NaCl、0.3M クエン酸ナトリウム)、50mM NaPO4 pH6.5、0.1%SDS、250μg/mlサケ精巣DNA。]。
次にハイブリダイゼーションは50℃にて一晩、20mlの同一溶液中で行い、そこに500ngの標識オリゴヌクレオチドを加える。
フィルターを次にSSC(×6)および0.5%SDS溶液中で、室温にて30分間2回洗浄し、そして次に経験的にしだいに高い温度(50−65℃)で洗浄する。これらの後者の洗浄温度は、オリゴヌクレオチド混合物とハイブリダイズするクローンの特異性を測定するために連続的なオートラジオグラフィー的暴露後に次第に上昇させる。
5.1.4 コスミドpIBV1およびpIBV3の単離、ならびにsnaAおよびsnaB遺伝子を含有する領域の決定
この実施例はプリスチナマイシンの生合成の遺伝子を含有する実施例3に記載されたように構築されたコスミドをどのように単離することが可能であるかを説明する。
コスミドpIBV1およびpIBV3は、それぞれHB101株中で生産されたライブラリーおよびDH1株中で生産されたライブラリーに由来する2つのクローンから単離され、これはpIBV1については両方のオリゴヌクレオチド混合物と同時にハイブリダイズし、そしてpIBV3についてはタンパク質SnaAの内部配列に由来するオリゴヌクレオチド混合物とハイブリダイズした。
これらのコスミドを実施例2のように精製する。コスミドpIB1およびpIBV3はそれぞれ、大きさがそれぞれ30kbおよび34kbと推定されるエス.プリスチナエスピラリス(S.pristinaespiralis)SP92のゲノムDNA挿入物を含んでいる。マップ(第4および6図)は、製造元(ニューイングランドバイオラボズ、ビバリー、マサチューセッツ州、01915−5510、米国)の手法に従い、種々の制限酵素で消化したものから確立した。
種々の制限酵素で消化したpIBV1およびpIBV3DNAとオリゴヌクレオチド混合物とのサザンハイブリダイゼーションにより、snaAおよび/またはsnaB遺伝子を含有するコスミドの領域の同定が可能になった。
サザンハイブリダイゼーションはManiatisら(1989)により記載されたように行った。制限断片を0.8%アガロースゲルでの電気泳動により分離した後、DNAをBiohylon Z+膜(バイオプロープ システム)上に移す。このようにして膜へ移されたDNAとオリゴヌクレオチド混合物とのハイブリダイゼーションは実施例5.1.3に記載されたように行った。
これらのサザンハイブリダイゼーションにより、コスミドpIBV1は実施例5.1.2で合成したプローブ(タンパク質SnaAおよびSnaB由来)に相同的な配列を含有する6−kbのBamHI断片を所有し、同様にタンパク質SnaAから排他的に派生するプローブに相同的な配列を含有するBamHI断片内部の2.5−kbのEcoRI断片を所有することを表すことができた。さらにコスミドpIBV3から得たハイブリダイゼーション信号は、それがタンパク質SnaAから排他的に派生するプローブに相同的な配列を含有する2.5−kbのEcoRI断片のみを所有することを示した。
5.2 3−ヒドロキシピコリン酸:AMPリガーゼ(snbA)に関する構造遺伝子を含有するコスミドpIBV2の単離
この実施例では、どのようにしてプリスチナマイシンIの生合成に関する少なくとも1つの遺伝子を含有する、実施例3のように構築されたコスミドが得られるかを説明する。
5.2.1 3−ヒドロキシピコリン酸の活性化に関与するタンパク質の同定および精製
この実施例ではどのようにして3−ヒドロキシピコリン酸の活性化の原因であるタンパク質がエス.プリスチナエスピラリス(S.pristinaespiralis)SP92から均一にまで精製できるかを説明する。
5.2.1A 3−ヒドロキシピコリン酸:AMPリガーゼのアッセイ
この実施例ではプリスチナマイシンIAの生合成経路の活性のアッセイを説明する。これはこれまでに記載されたことがなく、そしてプリスチナマイシンの生産期間中のみに発現されるという注目すべき性質を有するものである。問題の酵素は3−ヒドロキシピコリン酸:AMPリガーゼであるが、これはその遊離酸およびATPからMgCl2存在下で3−ヒドロキシピコリン酸のアデニル酸塩の形成(第9図)を触媒する。
アッセイする酵素の画分(0.002−0.020単位)を27℃で15分間、全250μl容量のpH6.8 50mM bis−Tris プロパン緩衝液、1mM DTT、10容量/容量%グリセロール中(3−ヒドロキシピコリン酸(1mM)、ATP(2mM)、MgCl2(5mM)および放射活性のリン原子の32同位体で標識したピロリン酸四ナトリウム塩(200μM)の存在下で)でインキュベーションする。
反応は75%の0.1M ピロリン酸四ナトリウム塩および25%の14%過塩素酸の混合物中の10g/l濃度の1mlの活性炭懸濁液を加えることにより停止する。撹拌後、活性炭を回収し、そして1mlのピロリン酸/過塩素酸混合物で2回洗浄する。放射線活性な有機分子を次に1mlの50%メタノールおよび50%のNアンモニア溶液混合物で3回、12mlの水を含有する計数容器中に溶出する。放射線活性はシンチレーションカウンターを装備したCerenkov(PACKARD Manaxi TriCarb 4000)により測定する。
酵素活性の単位は、上記条件下で1時間のタイムコース中に1μmolのピロリン酸塩がATPに取り込まれるのに必要な酵素量と定義される。
5.2.1.B エス.プリスチナエスピラリス(S.pristinaespiralis)SP92 3−ヒドロキシピコリン酸:AMPリガーゼの精製
この実施例では、プリスチナマイシンIAの生合成経路に参加するエス.プリスチナエスピラリス(S.pristinaespiralis)SP92の酵素がどのように精製できるかを説明する。
上記実施例5.2.1.Aに記載したアッセイを使用して、3−ヒドロキシピコリン酸:AMPリガーゼの精製が以下に記載されるように行われる。活性画分を−70℃に凍結し、そして必要に応じて連続的な工程の間では−30℃に保存することに注意する。
プリスチナマイシン生産フェーズの初期段階で回収したエス.プリスチナエスピラリス(S.pristinaespiralis)SP92のカルチャーの遠心ペレット234g(10容量/容量%のグリセロールを含有する0.1Mのリン酸緩衝液 pH7.2で洗浄したもの)を、234mlのpH 8.0 100mM Tris−HCl緩衝液(4mM DTE、1mM ベンズアミジン、1mM PMSF、15容量/容量%のグリセロールおよび0.6mg/mlのリゾチームを含有する)に溶解する。このように得られた懸濁液を27℃にて30分間インキュベーションし、そして50,000gで1時間遠心する。このようにして回収した粗抽出物(pH 8.0 100mM Tris−HCl緩衝液、4mM DTE,1mM ベンズアミジン 1mM PMSF、15容量/容量%グリセロール中の)、Q Sepharose Fast Flowのカラム(80ml)に注入する。タンパク質をKClの直線勾配(0−0.4M)で溶出する。酵素活性を含有する画分を、(実施例5.2.1.Aに記載された試験法で検出)をプールし、2Mの硫酸アンモニウムを含有する1容量の pH 8.0 100mM Tris−HCl緩衝液、1mM ベンズアミジン、1mM PMSF、15容量/容量グリセロールで希釈する。次にタンパク質をPhenyl Sepharoseのカラム(50ml)でクロマトグラフィーを行い、pH 8.0 100mM Tris−HCl緩衝液、1mM ベンズアミジン、1mM PMSF、15容量/容量グリセロール中での硫酸アンモニウムの減少勾配(1.0M−0M)により溶出する。4mM DTEを添加した後、活性画分をプールし、Centriprep 10で5mlに濃縮し、そして次にSuperose 12 prep gradeのカラム(100ml)に添加する。所望の活性を含む画分をプールし、そしてpH 8.0 100mM Tris−HCl緩衝液、4mM DTE、1mM ベンズアミジン、1mM PMSF、15容量/容量グリセロール(1回の注入あたり6mg)中にてMonoQ HR 5/5のカラムに注入し、KClの直線的勾配(0−0.4M)で溶出する。活性画分をプールし、Centricon 10で1mlに濃縮し、3容量のpH 6.8 50mM Bis−trisプロパン緩衝液、4mM DTE、1mM ベンズアミジン、1mM PMSF、15容量/容量グリセロールで希釈し、そして後者の緩衝液中にてMonoQ HR 5/5のカラムに注入し(1回の注入あたり2mg)、そしてKClの直線的勾配(0−0.3M)で溶出する。所望のリガーゼを含有する最高の画分をプールし、そして次にpH 6.8 20mM リン酸ナトリウム緩衝液、50mM 硫酸ナトリウム中にてBio−Sil SEC 250カラムに添加する。活性ピークをこの方法で分子量60,000あたりに検出する。
3−ヒドロキシピコリン酸の活性化活性を所有するタンパク質を今後SnbAと命名する。
この段階の後、酵素は純粋であり、SDS−PAGE電気泳動においてその分子量は約67,000と推定される。
5.2.2.タンパク質配列からのオリゴヌクレオチドの精製:
この実施例ではタンパク質3−ヒドロキシピコリン酸:AMPリガーゼのNH2−末端および内部配列から出発して、どのようにオリゴヌクレオチドを合成できるかを説明する。
タンパク質SnbAのNH2−末端配列を、実施例5.1.2に記載したようにマイクロシークエンシングにより導いた。約20残基がこのようにして同定された。
タンパク質SnaAの内部の約20アミノ酸配列もトリプシン加水分解後に同定され、得られた断片の精製をVydac C18 HPLCカラムで行った。
タンパク質3−ヒドロキシピコリン酸:AMP リガーゼのNH 2 −末端
(配列番号5に関しては残基1−21を参照のこと)
タンパク質3−ヒドロキシピコリン酸:AMP リガーゼの内部配列
(配列番号5に関しては残基448−467を参照のこと)
各配列の下線部から、ならびにストレプトミセス(Streptomyces)に特異的な遺伝子コードの縮退により(実施例8参照)、以下の混合オリゴヌクレオチドが合成された:
タンパク質3−ヒドロキシピコリン酸:AMP リガーゼのNH 2 −末端配列の下線部に対応する混合物
タンパク質3−ヒドロキシピコリン酸:AMP リガーゼの内部配列の下線部に対応する混合物
5.2.3 合成オリゴヌクレオチドの標識およびエス.プリスチナエスピラリス(S.pristinaespiralis)SP92のゲノムDNAライブラリーのハイブリダイゼーション
この実施例ではプリスチナマイシンの生合成に関する遺伝子に特異的なオリゴヌクレオチドを、どのように放射活性的に標識し、そしてエス.プリスチナエスピラリス(S.pristinaespiralis)のゲノムライブラリーのDNAがすでに移された膜とハイブリダイズさせることができるかを説明する。
オリゴヌクレオチドの標識は、実施例5.1.3に記載したように5’−末端位にATPの[γ−32P]リン酸基をT4ポリヌクレオチドキナーゼにより転移させることにより行う。
約2×500ngの各混合オリゴヌクレオチドがこのように32Pで標識され、そしてそれぞれ2つのライブラリーをハイブリダイズさせるために使用された。
各ライブラリーの膜のハイブリダイゼーションは実施例5.1.3に記載されたように行われる。
5.2.4.コスミドpIBV2の単離および3−ヒドロキシピコリン酸:AMPリガーゼに関する構造遺伝子を含有する領域の決定
この実施例では、少なくとも1つの3−ヒドロキシピコリン酸:AMPリガーゼの構造遺伝子を含有する実施例3で構築されたコスミドをどのようにして得ることができるかを説明する。
コスミドpIBV2を、E.coli DH1中で生産されたライブラリーのクローン(これは両方の混合オリゴヌクレオチドに同時にハイブリダイズする)から単離した。
このコスミドを実施例2に記載したように精製した。これは大きさが47kbと推定されるエス.プリスチナエスピラリス(S.pristinaespiralis)SP92のゲノムDNA挿入物を含有する。マップ(第5図)は実施例5,1,4に記載したように種々の制限酵素の消化物から確立した。
種々の酵素で消化したpIBV2 DNAと混合オリゴヌクレオチドとのサザンハイブリダイゼーションにより、3−ヒドロキシピコリン酸:AMPリガーゼに関する構造遺伝子を含有する領域を同定できた。サザンブロッティングおよびハイブリダイゼーションは実施例5.1.4に記載したように行った。
ハイブリダイゼーションの結果により、コスミドpIBV2は実施例5.2.2で合成されたプローブに相同的な配列を含有する5.5−kbのEcoRI−BalII断片を保有した。
5.3 コスミドpIBV3についてプリスチナマイシンIシンターゼII(SnbC)に関する構造遺伝子部分の存在の実証
この実施例ではすでに単離された(実施例5.1)コスミドについて、プリスチナマイシンIの生合成に関する遺伝子の存在をどのように同定することができるかを説明する。
5.3.1 トレオニンおよびアミノ酪酸残基のペプチド鎖プリスチナマイシンIA中への取り込みに関与するプリスチナマイシンIシンターゼIIの同定
この実施例はトレオニンおよびアミノ酪酸残基の、プリスチナマイシンIAのペプチド鎖への取り込みの原因であるタンパク質が、エス.プリスチナエスピラリス(S.pristinaespiralis)SP92からどのように均一にまで精製できるかを説明する。
5.3.1.A プリスチナマイシンIシンターゼIIの部分活性のアッセイ
この実施例ではプリスチナマイシンIAの生合成経路の活性のアッセイを説明する。これはこれまでに記載されたことがなく、そしてプリスチナマイシンの生産期間中のみに発現されるという注目すべき性質を有するものである。問題の活性はATPおよびMgCl2の存在下で、トレオニンおよびアミノ酪酸残基の、プリスチナマイシンIAのペプチド鎖への取り込みの原因であるペプチドシンターゼの部分活性である。
トレオニン:AMPリガーゼおよびアミノ酪酸:AMPリガーゼ活性は、3−ヒドロキシピコリン酸:AMPリガーゼについて5.2.1.Aに記載されたものと同様に、ATP−ピロリン酸変換の酵素試験で測定する。
酵素とトレオニンまたはアラニン(プリスチナマイシンICで見いだされるアミノ酪酸の類似体)とのアミノアシル化反応は、ATP−ピロリン酸変換に影響するかもしれない他の酵素(特にアミノアシル−tRNAシンターゼ)からペプチドシンターゼを分別することができる。以下に記載した酵素とトリチウム−標識トレオニンとのアミノアシル化の試験はこの実施例に使用したものである。
アッセイする酵素画分(0.2−2単位)を27℃で15分間、全容量が250μlのpH 6.8 50mM bis−trisプロパン緩衝液、1mM DTT、10容量/容量%グリセロール(1μCiの[3−3H]−L−トレオニン(15Ci/mmol)、ATP(2mM)およびMgCl2(5mM)の存在下)中でインキュベーションする。
反応を150μlの25%トリクロロ酢酸溶液を加えて停止する。沈殿したタンパク質をマイクロフィルター上に回収し、400μlの7%トリクロロ酢酸で3回洗浄し、その後400μlのN水酸化ナトリウムで2回、計数容器(1mlのN HClおよび12mlのシンチレーションカクテル(ベックマン リーディゲル:Beckmann Readygel)を含有する)中に溶出する。この容器に含まれる放射線活性をシンチレーションカウンター(PACKARD Minaxi TriCarb 4000)で測定する。これは所望のペプチドシンターゼに共有的に結合したトレオニンの量を表す。
酵素活性の単位は1ピコモルのトレオニンが、上記条件下で15分間に共有的に結合するために要する酵素量と定義する。
5.3.1.B.プリスチナマイシンIシンターゼIIの精製
この実験では、プリスチナマイシンIAの生合成経路に参加するエス.プリスチナエスピラリス(S.pristinaespiralis)SP92の酵素がどのように精製できるかを説明する。
上記実施例5.3.1.Aに記載した酸を使用して、トレオニンおよびアミノ酪酸残基のプリスチナマイシンIAのペプチド鎖への取り込みの原因であるペプチドシンターゼの精製は以下に記載されるように行われる。4℃で操作し、活性画分は−70℃に保存することに注意する。
プリスチナマイシン生産フェーズの初期段階で回収したエス.プリスチナエスピラリス(S.pristinaespiralis)SP92のカルチャーの遠心ペレット150gを(10容量/容量%のグリセロールを含有する0.1Mのリン酸緩衝液 pH7.2で洗浄したもの)を、450mlのpH 8.0 100mM Tris−HCl緩衝液(4mM DTE、1mM ベンズアミジン、1mM PMSF、1mM EDTA、1mM EGTA、15容量/容量%のグリセロールを含有する)に溶解する。このように得られた懸濁液を、5000psiの圧力に調整したフレンチプレスを使用して粉砕し、そして50,000gで1時間遠心する。このようにして回収した粗抽出物を、(pH 8 100mM Tris−HCl緩衝液、4mM DTE、2mM ベンズアミジン、2mg/l ロイペプチン、1mg/l E−64、15容量/容量%グリセロール中の)Q Sepharose Fast Flowのカラム(200ml)に注入する。タンパク質をKClの直線勾配(0−0.6M)で溶出する。カラムから溶出した各画分を、その1−10容量の1mM PMSF、5mM EDTA、5mM EGTA溶液で処理する。酵素活性を含む画分(実施例5.3.1.Aに記載された試験法で検出)をプールし、そしてcentriprep 30の限外濾過により28mlの最終容量に再濃縮する。この濃縮物を4−mlのアリコートとしてSuperdex 200 Hi−Load 16/60浸透カラム(pH 6.8 50mM bis−trisプロパン緩衝液、1mM ベンズアミジン、4mM DTE、0.2mM Pefabloc、1mM EDTA、0.1M KCl、20容量/容量グリセロールで平衡化した)に注入する。アッセイ後、活性画分をプールし、そしてcentriprep 30により15mlに再濃縮し、次にPD−10(pH 8.0 100mM Tris−HCl緩衝液、4mM DTE、2mM ベンズアミジン、2mg/l ロイペプチン、1mg/l E−64、20重量/重量%グリセロール中)で脱塩し、2部分にて、同一緩衝液で平衡化したMonoQ HR 10/10カラムに添加し、そして同一緩衝液中の0.4M KClの直線的勾配で溶出する。所望の活性を含む画分をプールし、Centriprep 30そして次にCentricon30で1mlの最終容量に再濃縮し、そして5部分にてSuperose 6 HR 10/30(pH 6.8 50mM bis−trisプロパン緩衝液、1mM ベンズアミジン、4mM DTE、0.2mM Pefabloc、1mM EDTA、0.1M KCl、20容量/容量グリセロール中)に注入する。活性ピークをこの方法で分子量450,000あたりに検出する。
この段階の後、酵素は純粋であり、SDS−PAGE電気泳動においてその分子量は約240,000と推定される。このバンドはまたトリチル化トレオニンでのアミノアシル化により標識されたタンパク質のすべての放射線活性を含む。
この段階で、100μCi/mlのトレオニン(15ci/mmol)の濃縮物を使用した酵素の最大活性は、3670単位/mgにのぼる;また酵素は、L−アミノ酪酸またはL−アラニンでアデニル酸を形成できる;酵素とトリチル化アラニンとのアミノアシル化反応が見いだされ、そして200μCi/mlの[2,3−3H]−L−アラニン(15Ci/mmol)の存在下で15分間の最大活性は2290pmol/mgである。
5.3.2.タンパク質配列からのオリゴヌクレオチドの生産:
この実施例ではプリスチナマイシンIシンターゼIIの内部配列から出発して、どのようにオリゴヌクレオチドを合成できるかを説明する。
プリスチナマイシンIAのペプチド鎖中へトレオニンおよびアミノ酪酸残基を取り込む原因となるペプチドシンターゼの内部配列を、トリプシン加水分解の後、得られた断片をVydac C18カラムで精製した後、実施例5.1.2に記載したようにマイクロシークエンシングにより導き出した。
タンパク質プリスチナマイシンIシンターゼIIの内部配列
(配列番号12に関しては残基49−61を参照のこと)
これらの配列の下線部領域から、ならびにストレプトミセス(Streptomyces)に特異的な遺伝子コードの縮退により(実施例8参照)、以下の混合オリゴヌクレオチドが合成された:
タンパク質プリスチナマイシンIシンターゼIIの内部の配列1の下線部に対応する混合物
タンパク質プリスチナマイシンIシンターゼIIの内部配列2の下線部に対応する混合物
5.3.3 合成オリゴヌクレオチド混合物の標識およびコスミドPIBV3 DNAのサザンハイブリダイゼーション
この実施例ではプリスチナマイシンIの生合成に関する遺伝子に特異的なオリゴヌクレオチドを、どのように放射活性的に標識し、そしてコスミド pIBV3 DNAがすでに移された膜とハイブリダイズさせることができるかを説明する。
オリゴヌクレオチドの標識は、実施例5.1.3に記載したように5’−末端位にATPの[γ−32P]リン酸基をT4ポリヌクレオチドキナーゼにより転移させることにより行う。
約500ngの混合オリゴヌクレオチドがこのように32Pで標識され、そして種々の酵素で消化したpIBV3 DNAのサザンハイブリダイゼーションのために使用された。これらのハイブリダイゼーションで、プリスチナマイシンIシンターゼIIに関する構造遺伝子部分がコスミドPIBV3に保持されていることを示すことができ、そしてこの遺伝子を含有する領域を同定することができる。サザンブロッティングおよびハイブリダイゼーションは実施例5.1.4に記載されたように行われる。
ハイブリダイゼーションの結果は、コスミドpIBV3が実施例5.3.2で合成されたプローブに相同的な配列を含有する6.2−kbのSphI断片を保持することを示すことができた。
5.4.コスミドpIBV3について、プリスチナマイシンIシンターゼIII(SnbD)に関する遺伝子部分の存在の実証
この実施例ではすでに単離された(実施例5.1)コスミドについて、プリスチナマイシンIの生合成に関する遺伝子の存在をどのように同定することができるかを説明する。
5.4.1 プロリンおよびp−ジメチルアミノフェニルアラニン残基のプリスチナマイシンIAのペプチド鎖中への取り込みに関与するプリスチナマイシンIシンターゼIIIの同定
この実施例はプロリンおよびp−ジメチルアミノフェニルアラニン残基の、プリスチナマイシンIAのペプチド鎖への取り込みの原因であるタンパク質が、どのようにエス.プリスチナエスピラリス(S.pristinaespiralis)SP92から均一にまで精製できるかを説明する。
5.4.1.A プリスチナマイシンIシンターゼIIIの部分活性のアッセイ
この実施例ではプリスチナマイシンIAの生合成経路の活性のアッセイを説明する。これはこれまでに記載されたことがなく、そしてプリスチナマイシンの生産期間中のみに発現されるという注目すべき性質を有するものである。問題の活性はSAM、ATPおよびMgCl2の存在下で、プロリンおよびパラ−ジメチルアミノフェニルアラニン残基の、プリスチナマイシンIAのペプチド鎖への取り込みの原因であるペプチドシンターゼの部分活性である。
プロリン:AMPリガーゼおよびp−ジメチルアミノフェニルアラニン:AMPリガーゼ活性は、3−ヒドロキシピコリン酸:AMPリガーゼについて5.2.1.Aに記載されたものと同様に、ATP−ピロリン酸変換の酵素試験で測定する。
酵素とプロリンおよびp−ジメチルアミノフェニルアラニンとのアミノアシル化反応は、ATP−ピロリン酸変換を行うことができる他の酵素(特にアミノアシル−tRNAシンターゼ)からペプチドシンターゼを分別することができる。同じく酵素でアシル化されたp−ジメチルアミノフェニルアラニンのα−アミノ官能基のN−メチル化について応用する。したがって後者の試験のN−メチル化の特徴を、この実施例に使用する。
アッセイする酵素画分(0.2−2単位)を27℃で15分間、全容量が250μlのpH 6.8 50mM bis−trisプロパン緩衝液、1mM DTT、10容量/容量%グリセロール(1μCiの[メチル−3H]−SAM(15Ci/mmol)、パラ−ジメチルアミノ−L−フェニルアラニン(1mM)、ATP(2mM)およびMgCl2(5mM)の存在下)中でインキュベーションする。
反応を150μlの25%トリクロロ酢酸溶液を加えて停止する。沈殿したタンパク質をマイクロフィルター上に回収し、400μlの7%トリクロロ酢酸で3回洗浄し、その後400μlのN水酸化ナトリウムで2回、計数容器(1mlのN HClおよび12mlのシンチレーションカクテル(ベックマン リーディゲル)を含有する)中に溶出する。この容器に含まれる放射線活性をシンチレーションカウンター(PACKARD Minaxi TriCarb 4000)で測定する。これは所望のペプチドシンターゼに共有的に結合したN−メチル化パラ−ジメチルアミノフェニルアラニンの量を表す。
酵素活性の単位は1ピコモルのN−メチル化p−ジメチルアミノフェニルアラニンが、上記条件下で15分間に共有的に結合するために要する酵素量と定義する。
5.4.1.B.プリスチナマイシンIシンターゼIIIの精製
この実験では、プリスチナマイシンIAの生合成経路に参加するエス.プリスチナエスピラリス(S.pristinaespiralis)SP92の酵素がどのように精製できるかを説明する。
上記実施例5.4.1.Aに記載したアッセイを使用して、プロリンおよびパラ−ジメチルアミノフェニルアラニン残基のプリスチナマイシンIAのペプチド鎖への取り込みの原因であるペプチドシンターゼの精製は以下に記載されるように行われる。4℃で操作し、活性画分は−70℃に保存することに注意する。
プリスチナマイシン生産フェーズの初期段階で回収したエス.プリスチナエスピラリス(S.pristinaespiralis)SP92のカルチャーの遠心ペレット250gを(0.1Mのリン酸緩衝液 pH7.2、1mM PMSF、5mM EDTA、5mM EGTA、0.5M KCl、10容量/容量%のグリセロールで洗浄したもの)を、750mlのpH 8.0 100mM Tris−HCl緩衝液(4mM DTE、4mM ベンズアミジン、0.2mM Pefabloc、1mM E.DTA、1mM EGTA、2mg/l ロイペプチン、2mg/l STI、2mg/l アプロチニン、1mg/l E−64、20容量/容量%のグリセロールを含有する)に溶解する。このように得られた懸濁液を、5000psiの圧力に調整したフレンチプレスを使用して粉砕し、そして50,000gで1時間遠心する。このようにして回収した粗抽出物を硫酸アンモニウム沈殿により分画する。0から35%飽和硫酸アンモニウムの間に沈殿するタンパク質画分を破壊緩衝液中に再溶解し、そして平衡化したSephadex G 75 Fineで脱塩し、同じ緩衝液で溶出する。このようにして得られたタンパク質を、(pH 8.0 100mM Tris−HCl緩衝液、4mM DTE、2mM ベンズアミジン、2mg/l ロイペプチン、1mg/l E−64、20容量/容量%グリセロール中の)Q Sepharose Fast Flowのカラム(200ml)に注入し、そしてKClの直線勾配(0−0.6M)で溶出する。カラムから溶出した各画分を、その1−10容量の2mM Pefabloc、5mM EDTA、5mM EGTA、5mM ベンズアミジン溶液で処理する。酵素活性を含む画分(実施例5.4.1.Aに記載された試験法で検出)をプールし、そして80%飽和の硫酸アンモニウムで沈殿させる。沈殿するタンパク質をpH 6.8 50mM bis−trisプロパン緩衝液、1mM ベンズアミジン、1mM DTE、0.2mM Pefabloc、1mM EDTA、1mM EGTA、2mg/l ロイペプチン、0.15M NaCl、20容量/容量%グリセロールに再溶解し、54−mlアリコート部分を、同一緩衝液で平衡化したSuperdex 200 Hi−Load 16/60浸透カラムに注入し、そして同一緩衝液で溶出する。アッセイ後、活性画分をプールし、そしてcentriprep 30により3mlに再濃縮し、次に20mlのpH 8.0 100mM Tris−HCl緩衝液、4mM DTE、1mM ベンズアミジン、1mM PMSF、20容量/容量%グリセロールで再希釈し、2部分にて同一緩衝液で平衡化したMonoQ HR 10/10カラムに添加し、そして同一緩衝液中の0.4M KClの直線的勾配で溶出する。所望の活性を含む最高画分をプールし、酵素活性の特性決定のための材料およびそのマイクロシークエンシングとして使用する。
この段階の後、酵素は純粋であり、SDS−PAGE電気泳動においてその分子量は約250,000と推定される。このバンドはまたトリチル化SAMおよびパラ−ジメチルアミノフェニルアラニンでのアミノアシル化により標識されたタンパク質のすべての放射線活性も含む。Superose 6 HR 10/30の浸透において、酵素の天然の分子量は700,000と推定される。
この段階で、この酵素はプロリンとアデニル酸塩を形成することもできる;トリチル化プロリンとの酵素のアミノアシル化反応が検出され、200μCi/mlの[5−3H]−L−プロリン(34Ci/mmol)の存在下で15分間の最大活性は、2490単位/mgである。
5.4.2.タンパク質配列からのオリゴヌクレオチドの生産
この実施例ではプリスチナマイシンIシンターゼIIIの内部配列から出発して、どのようにオリゴヌクレオチドを合成できるかを説明する。
プリスチナマイシンIAのペプチド鎖中へプロリンおよびパラ−ジメチルアミノフェニルアラニン残基を取り込む原因となるペプチドシンターゼの内部配列を、シアノーゲンブロミド処理および得られた断片をVydac C18カラムで精製した後、実施例5.1.2に記載したようにマイクロシークエンシングにより導き出した。
タンパク質プリスチナマイシンIシンターゼIIIの内部配列
1(配列番号13に関しては残基2−20を参照のこと)
この配列の下線部領域から、ならびにストレプトミセス(Streptomyces)に特異的な遺伝子コードの縮退により(実施例8参照)、以下の混合オリゴヌクレオチドが合成された:
タンパク質プリスチナマイシンIシンターゼIIIの内部配列の下線部に対応する混合物
5.4.3 合成オリゴヌクレオチド混合物の標識およびコスミド PIBV3 DNAのサザンハイブリダイゼーション
この実施例ではプリスチナマイシンIの生合成に関する遺伝子に特異的なオリゴヌクレオチドを、どのように放射活性的に標識し、そしてコスミド pIBV3 DNAがすでに移された膜とハイブリダイズさせることができるかを説明する。
オリゴヌクレオチドの標識は、実施例5.1.3に記載したように5’−末端位にATPの[γ−32P]リン酸基をT4ポリヌクレオチドキナーゼにより転移させることにより行う。
約500ngの混合オリゴヌクレオチドがこのように32Pで標識され、そして種々の酵素で消化したpIBV3 DNAのサザンハイブリダイゼーションのために使用された。これらのハイブリダイゼーションで、プリスチナマイシンIシンターゼIIIに関する構造遺伝子部分がコスミドpIBV3に保持されていることを示すことができ、そしてこの遺伝子を含有する領域を同定することができる。サザンブロッティングおよびハイブリダイゼーションは実施例5.1.4に記載されたように行われる。
ハイブリダイゼーションの結果では、コスミドpIBV3が実施例5.4.2で合成されたプローブに相同的な配列を含有する8.4−kbのSphI断片を保持することを示すことができた。
5.5 コスミドpIBV3についてプリスチナマイシンIシンターゼIV(SnbE)に関する構造遺伝子部分の存在の実証
この実施例ではすでに単離された(実施例5.1)コスミドについて、プリスチナマイシンIの生合成に関する遺伝子の存在をどのように同定することができるかを説明する。
5.5.1 フェニルグリシン残基をプリスチナマイシンIAのペプチド鎖中に取り込む原因となるペプチドシンターゼIIの同定(プリスチナマイシンIシンターゼIVと言う)。
5.5.1.A フェニルグリシン残基をプリスチナマイシンIAのペプチド鎖中に取り込む原因となるペプチドシンターゼ(プリスチナマイシンIシンターゼIV)により保持される酵素活性のアッセイ
この実施例ではプリスチナマイシンIAの生合成経路の酵素活性のアッセイを説明する。これはこれまでに記載されたことがなく、そして野生型微生物中でのプリスチナマイシンの生産期間中のみに発現されるという注目すべき性質を有するものである。問題の活性はATPおよびMgCl2の存在下で、L−フェニルグリシン残基を、ペプチド鎖(第12図)へ取り込む原因となるペプチドシンターゼ(プリスチナマイシンIシンターゼIV)の活性である。プリスチナマイシンIシンターゼIVのフェニルグリシン:AMPリガーゼ活性は、インキュベーション緩衝液中L−フェニルグリシン(1mM)およびKC1(50mM)の存在下で、3−ヒドロキシピコリン酸:AMPリガーゼ活性について5.2.1.Aに記載されたものと同様に、ATP−ピロリン酸変換の酵素試験で測定する。
5.5.1.B.フェニルグリシン残基をプリスチナマイシンIAのペプチド鎖中に取り込む原因となるペプチドシンターゼ(プリスチナマイシンIシンターゼIV)の精製
この実施例では、プリスチナマイシンIAの生合成経路に参加するエス.プリスチナエスピラリス(S.pristinaespiralis)SP92の酵素がどのように精製できるかを説明する。上記実施例5.5.1.Aに記載したアッセイを使用して、プリスチナマイシンIシンターゼIVの精製は以下に記載されるように行われる。すべての操作を4℃で行う。活性を含む画分はすぐに凍結し−70℃に保存する。
70gの湿潤細胞(実施例5.2.1.Bに記載したように回収)を、250mlの細胞溶解緩衝液(25%のグリセロール、4mM DTE、1mM EGTA、1mM EDTA、1mM PMSF、1mg/l E−64、2mg/l STI、2mg/l α2−マクログロブリン、1mg/l ロイペプチン、2mg/lアプロチニン、5mM ベンズアミジン、0.6mg/mlリゾチームを含有する100mM Tris−HCl緩衝液pH 8.0)に再懸濁する。このように得られた溶液を、4℃に1時間撹拌しながら保ち、そして次に50,000gで1時間遠心する。このようにして得られた上澄みを、溶解緩衝液中でSephdex G−25のカラムに注入し、そして排除画分(各クロマトグラフィー操作に約250mgのタンパク質を注入)をMonoQ HR 16/10(ファルマシア)(100mM Tris−HCl緩衝液pH 8.0、4mM DTE、1mM EGTA、1mM EDTA、1mg/l E−64、2mg/l STI、20%グリセロールで平衡化)に注入する。タンパク質をKClの直線勾配(0−0.6M)で溶出し、カラムからの溶出時に、各画分をその1−10容量の2mM Pefabloc、5mM EGTA、5mM EDTA溶液で処理する。酵素活性を含む画分をプールし、そして画分3容量あたり1容量の100mM Tris−HCl緩衝液pH 8.0、15%のグリセロール、1mM PMSF、1mM ベンズアミジン、4mM DTT、3.4M 硫酸アンモニウムと混合する。この溶液をPhenyl Superose HR 10/10(各クロマトグラフィー操作に1/5の溶液を注入)に注入し、そしてタンパク質を硫酸アンモニウムの減少的勾配(0.9−0M)で溶出する。活性を含有する画分をプールし、そして溶液をCentriprep 30で3500μlに濃縮し、そして2部に分けてSuperdex 200 Hi−Load 16/60カラム(50mM bis−trisプロパン緩衝液 pH 6.8、20%グリセロール、0.15M NaCl、4mM DTT、1mM PMSF、1mM ベンズアミジン、1mM EDTAで平衡化および溶出)に注入する。活性画分を9容量の25%グリセロール、4mM DTT、1mM PMSF、1mM ベンズアミジンを含有する50mM bis−trisプロパン緩衝液 pH 6.8で希釈し、同一緩衝液で平衡化したMonoQ HR 5/5カラムに注入する。所望の活性を0−0.4M KClの直線的勾配で溶出し、Centricon−30で630μlに濃縮する。次に所望のタンパク質は、試料を80℃で10分間SDS/メルカプトエタノール混合物で加熱することにより変性させた後、6%ポリアクリルアミドゲルの電気泳動で精製する。電気泳動およびクーマシーブルーでゲルを染色した後、タンパク質を含有するゲルのバンドを切り出し、そしてタンパク質をゲルからCentrilutor中に電気溶出する。
注意:プリスチナマイシンIシンターゼIVに対応するバンドはトリチル化(トリチル化フェニルグリシンとの共有結合:実施例5.5.2.を参照にされたい)したものとの比較により同定する。
この段階の後、電気泳動(SDS−PAGE)において酵素は純粋である。その分子量は約170,000と推定される。
5.5.2.プリスチナマイシンIシンターゼIVの、酵素に対する放射活性フェニルグリシンのチオエステル化による標識
フェニルグリシン:AMPリガーゼ活性を介してアデニル酸の状態で活性化した後、フェニルグリシンを伸長化中にペプチド鎖中に取り込まれる前に、フェニルグリシンを酵素の活性部位のチオール基に転移させる(ペプチド抗生物質の一般的な生合成過程では“チオテンプレート メカニズム(thiotemplate mechanism)”という名前で知られている)。一般的に、アミノ酸ノ活性化に影響するタンパク質の放射線標識は、放射活性な状態のアミノ酸でチオエステル誘導体を調製することにより行うことができる。
例として、プリスチナマイシンIシンターゼIVの標識化は、50μgのタンパク質(MonoQ HR 5/5クロマトグラフィーカラムからの溶出活性画分;上記実施例5.5.1.Bを参照のこと)を、27℃で1時間100μCiの(RS)−2−フェニル[2−3H]グリシン(18Ci/mmol;アマシャム:Amersham)と、70μlの50mM bis−trisプロパン緩衝液中 pH 6.8(20%グリセロール、25mM MgCl2、5mM ATP、0.15M NaCl、4mM DTT、1mM PMSF、1mM ベンズアミジン、1mM EDTAを含有する)でインキュベーションすることにより行われる。変性(メルカプトエタノール無しでSDSのみ)後、タンパク質を電気泳動(SDS−PAGE、6%ゲル)で分離し、クーマシーブルーで視覚化する。タンパク質バンドの計数およびオートラジオグラフィー(Hyperfilm MP;ゲルにアマシャムのAmplifyを染み込ませた後のフルオログラフィー)による放射活性のプロフィールの分析では、分子量170,000の単一放射活性バンドが現れる。
5.5.3.プリスチナマイシンIシンターゼIVが保持する他の活性
実施例5.5.2に記載されたようにフェニルグリシンの取り込みの原因であるペプチドシンターゼの精製により、分子量が170,000の純粋なタンパク質が得られる。このタンパク質は試験した他のアミノ酸(特にピペコリン酸または4−オキソピペコリン酸)を活性化しない。このタンパク質の第2の調製は、Phenyl Superoseの工程を排除して5.5.1.Bに記載されたように行われるが、別のエス.プリスチナエスピラリス(S.pristinaespiralis)SP92カルチャーから出発して、5.4.1Bに記載するようにフレンチプレスで調製された粗抽出物を、MonoQ HR 5/5の工程の溶出時のタンパク質として得、これは純度において同じ実施例5.5.1.Bに記載した工程で得られたタンパク質と同等であるが、SDS−PAGEで約250,000の分子量を有した。この新規調製物は、フェニルグリシンの活性化およびチオエステル化の能力があったが、加えて3−ヒドロキシピコリン酸について記載した5.2.1.Aと同様に、変換試験においてL−ピペコリン酸(1mM)でATP−ピロリン酸変換活性を有した。さらに、170,000のタンパク質は、大変不純なタンパク質調製物であってもL−ピペコリン酸でATP−ピロリン酸変換活性をもたない。エス.プリスチナエスピラリス(S.pristinaespiralis)SP92は天然には4−オキソピペコリン酸の代わりにピペコリン酸残基を有する少量のプリスチナマイシンIA類似体を生産することに注目すべきである。したがって、このことはフェニルグリシンの取り込みの原因であるペプチドシンターゼ(プリスチナマイシンIシンターゼIV)が以前の残基(おそらくピペコリン酸)も取り込むことを触媒することを実証するものである。2つの調製物においてプリスチナマイシンIシンターゼIVについて得られた異なる分子量(170,000および250,000)は、初めの場合における部分的タンパク質開裂現象に起因し、L−ピペコリン酸の活性化活性の損失を導く。
5.5.4. タンパク質配列からのオリゴヌクレオチドの生産
この実施例ではプリスチナマイシンIシンターゼIVの内部配列から出発して、適当に選択したオリゴヌクレオチドを使用してどのように対応する遺伝子の試験を開始できるかを説明する。
15アミノ酸のプリスチナマイシンIシンターゼIVの内部配列は、精製タンパク質をシアノーゲンブロミド開裂し、そして得られた断片をVydac C18HPLCカラムで精製した後に同定した。
タンパク質プリスチナマイシンIシンターゼIVの内部配列
(配列番号16に関しては残基82−98を参照のこと)
各これらの配列の下線部領域から、ならびにストレプトミセス(Streptomyces)に特異的な遺伝子コードの縮退により(実施例8参照)、以下の混合オリゴヌクレオチドが合成された:
混合はタンパク質プリスチナマイシンIシンターゼIVの内部配列の下線部分に対応する:
5.5.5 合成オリゴヌクレオチド混合物の標識およびコスミド pIBV3 DNAのサザンハイブリダイゼーション
この実施例ではプリスチナマイシンIの生合成に関する遺伝子に特異的なオリゴヌクレオチドを、どのように放射活性的に標識し、そしてコスミド pIBV3 DNAがすでに移された膜とハイブリダイズさせることができるかを説明する。
オリゴヌクレオチドの標識化は、実施例5.1.3に記載したように5’−末端位にATPの[γ−32P]リン酸基をT4ポリヌクレオチドキナーゼにより転移させることにより行う。
約500ngの混合オリゴヌクレオチドがこのように32Pで標識され、そして種々の酵素で消化したpIBV3 DNAのサザンハイブリダイゼーションのために使用された。これらのハイブリダイゼーションで、プリスチナマイシンIシンターゼIIに関する構造遺伝子部分がコスミドpIBV3に保持されていることを示すことができ、そしてこの遺伝子を含有する領域を同定することができる。サザンブロッティングおよびハイブリダイゼーションは実施例5.1.4に記載されたように行われる。
ハイブリダイゼーションの結果は、コスミドpIBV3が実施例5.5.4で合成されたプローブに相同的な配列を含有する6.6−kbのSphI断片を保持することを示すことができた。
5.6 FMNレダクターゼ(snaC)の構造遺伝子を含有するコスミドpIBV4の単離
この実施例ではPIIの生合成に関する少なくとも1つの遺伝子を含有する実施例3に記載されたように構築されたコスミドを、どのようにして得ることができるかを説明する。
5.6.1 プリスチナマイシンIIAシンターゼに関連するFMNレダクターゼの同定
この実施例ではNADHによりFMNを還元してFMNH2(プリスチナマイシンIIAシンターゼにより触媒される反応に必要である)形成の原因となるタンパク質が、どのようにエス.プリスチナエスピラリス(S.pristinaespiralis)SP92から均一にまで精製できるかを説明する。
5.6.1.A.FMNレダクターゼ活性のアッセイ
この実施例ではプリスチナマイシンIIAの生合成経路の活性のアッセイを説明する。これはこれまでに記載されたことがなく、そしてプリスチナマイシンの生産期間中のみに発現されるという注目すべき性質を有するものである。問題の酵素はFMNレダクターゼであり、これはまたNADH:FMNオキシドレダクターゼとも呼ばれるが、NADHの存在下で、FMNからFMNH2(第13図)への還元を触媒する。NADHまたはNADPHに特異的な、または特異的ではない同様な反応を触媒し、そして他の生合成経路に関連するFMNレダクターゼはいたるところに記載されている(Duaneら 1975、Jablonskiら 1977、Watanabeら 1982)。
この活性を検出するために2つのアッセイを使用する:
第一は実施例5.1.1に記載したプリスチナマイシンIIAシンターゼとのカップリングを基本とし、そして精製の第一段階に使用する。アッセイする酵素画分(0.002−0.005単位)を、実施例5.1.1に記載したように27℃で1時間、全容量が500μlの50mM bis−trisプロパン緩衝液 pH6.8(NADH(500μM)、FMN(2μM)、プリスチナマイシンIIB(20μM)および0.01単位のプリスチナマイシンIIAシンターゼを含有する)中でインキュベーションする。生成したプリスチナマイシンIIAは、実施例5.1.1.Aに記載したようにHPLCで分析する。
酵素活性の単位は、上記に記載された条件下で1分間に1μmolのプリスチナマイシンIIAを合成するために必要な酵素量と定義される。
第二アッセイは分光光度的アッセイであり、少なくとも部分精製された画分にのみ使用することができる。アッセイする酵素画分(0.006−0.030単位)を、27℃で13分間、全容量が3mlの50mM bis−trisプロパン緩衝液 pH6.8(NADH(500μM)およびFMN(2μM)を含有する)中でインキュベーションする。インキュベーション7分後、酵素が存在しない参考曲線に対して、6つの吸光度を340nmで、1−分間の間隔をおいて読む。μmol/分での活性は、6.2の定数(340nmでの1molNADHの吸光度)で1分間の吸光度の減少勾配を割り算することにより算出する。
酵素活性の単位は、上記に記載された条件下で1分間に1μmolのNADHが消費されるのに要する酵素量と定義する。
5.6.1.B エス.プリスチナエスピラリス(S.pristinaespiralis)SP92 FMNレダクターゼの精製
この実施例ではプリスチナマイシンIIAの生合成経路に参加するエス.プリスチナエスピラリス(S.pristinaespiralis)SP92の酵素がどのように精製できるかを説明する。
上記実施例5.6.1.Aに記載したアッセイを使用して、FMNレダクターゼの精製は以下に記載するように行われ、凍結に注意し、そして活性画分は必要に応じて連続的工程の間では−30℃に保存する。
プリスチナマイシン生産フェーズの初期段階で回収したエス.プリスチナエスピラリス(S.pristinaespiralis)SP92のカルチャーの遠心ペレット500gを(10容量/容量%のグリセロールを含有する0.1Mのリン酸緩衝液 pH7.2で洗浄したもの)を、1500mlの 50mM bis−trisプロパン緩衝液 pH 6.8(5mM DTT、10容量/容量%のグリセロールおよび0.2mg/mlのリゾチームを含有する)に溶解する。このように得られた懸濁液を27℃で45分間インキュベーションし、そして50,000gで1時間遠心する。このようにして回収した粗抽出物を硫酸アンモニウム沈殿により分画する。40から75%飽和硫酸アンモニウムの間に沈殿するタンパク質画分をSephadex G−25 Fineで脱塩し、pH 6.8 50mM bis−trisプロパン緩衝液、5mM DTT、10容量/容量%のグリセロール中にてQ Sepharose Fast Flowのカラム(300ml)に注入する。活性タンパク質はカラムに保持されず、そしてそれらをSephadex G−25 Fineで脱塩し、そして再度pH 8.2 50mM Tris−HCl緩衝液、5mM DTT、10容量/容量%のグリセロール中にてQ Sepharose Fast Flowのカラム(35ml)に注入し、KClの直線勾配(0−0.5M)で溶出する。酵素活性を含有する画分(実施例5.6.1.Aに記載された第一試験で検出)をプールし、Sephadex G−25 Fineで脱塩し、そしてpH 8.2 50mM Tris−HCl緩衝液、5mM DTT、10容量/容量%のグリセロール中にてMonoQ HR 10/10カラムに注入する。保持されたタンパク質を0.2M KClを添加した同一緩衝液で直接溶出する。これらを1ml容量で回収し、これを直ぐにSuperdex 75 HR 10/30のカラムに注入し、pH 6.8 50mM bis−trisプロパン緩衝液、1mM DTT、10重量/重量%のグリセロールで溶出する。所望の活性を含む画分(実施例5.6.1.Aに記載されたような分光光度的試験によりこの段階で検出される)をプールし、そしてプールした全量を7mlとする:この7mlを8mlのFMN−アガロースが充填されたカラムに添加する;カラムをpH 6.8 50mM bis−trisプロパン緩衝液、1mM DTT、10容量/容量%のグリセロールで洗浄し、そして次に10μMのFMNを含む同一緩衝液で溶出する。活性画分をプールし、PD−10カラムで脱塩し、pH 8.2 50mM Tris−HCl緩衝液、5mM DTT、10容量/容量%のグリセロール中にてMonoQ HR 5/5カラムに注入し、KClの直線勾配(0−0.25M)で溶出する。
この段階の後、酵素は純粋である。SDS−PAGE電気泳動において単一で明瞭な広いバンドが見られ、その分子量は約28,000と推定されるが、一方Bio−Sil SEC 125ゲル浸透クロマトグラフィーでは、分子量約30,000付近に対照的なピークを形成する。
シークエンシングのために、このタンパク質を25−cmのVydac C4カラムで脱塩し、そして0.07%のトリフルオロ酢酸を含有する30−70%のアセトニトリル(水中)の直線勾配で溶出する。
5.6.2 タンパク質配列からオリゴヌクレオチドの生成
この実施例ではタンパク質FMNレダクターゼのNH2−末端配列および内部配列から出発して、どのようにオリゴヌクレオチドを合成できるかを説明する。
FMNレダクターゼのNH2−末端配列は実施例5.1.2に記載されたようにマイクロシークエンシングで導き出した。約30残基がこのように同定された。
(第4番目および第11番目の残基から始まるNH2−末端配列もシークエンシングした試料の中に見いだされた。)
13および21アミノ酸のFMNレダクターゼの2つの内部配列がトリプシン加水分解および得られた断片のVydac C18カラムでの精製後に同定された。
タンパク質FMNレダクターゼのNH 2 −末端配列
(配列番号7の2−25残基を参照)
タンパク質FMNレダクターゼの内部配列
(配列番号7の102−122残基を参照)
各配列の下線領域、ならびにストレプトミセス(Streptomyces)(実施例8を参照)に特異的な遺伝子コドンの縮退に従い、以下のオリゴヌクレオチドの混合物を合成した。
タンパク質FMNレダクターゼのNH 2 −末端配列に対応する混合物:
タンパク質FMNレダクターゼの内部配列に対応する混合物:
5.6.3.合成オリゴヌクレオチド混合物の標識化およびエス.プリスティナエスピラリス(S.pristinaespiralis)SP92のゲノムDNAライブラリーとのハイブリダイゼーション
この実施例ではプリスチナマイシンの生合成に関する遺伝子に特異的なオリゴヌクレオチドがどのように放射活性的に標識でき、そして次にすでにエス.プリスティナエスピラリス(S.pristinaespiralis)SP92のゲノムライブラリーのDNAが移されている膜にハイブリダイズさせることができるかを説明する。
オリゴヌクレオチドの標識化は、実施例5.1.3に記載されたように5’−末端位に、ATPの[γ−32P]リン酸基をT4ポリヌクレオチドキナーゼで転移させることにより行う。
約2×500ngの各オリゴヌクレオチド混合物がこのように32Pで標識され、2つのライブラリーのそれぞれとハイブリダイズするために使用された。
各ライブラリーの膜のハイブリダイゼーションは、実施例5.1.3に記載されたように行う。
5.6.4 コスミドpIBV4の単離、ならびにFMNレダクターゼに関する構造遺伝子(snaC)を含有する領域の決定
コスミドpIBV4は、E.Coli HB101株中で生産されたライブラリーのクローンから単離され、これは3つのすべてのオリゴヌクレオチドの混合物と同時にハイブリダイズした。
これらのコスミドを実施例2のように精製する。これは大きさが48kbと推定されるエス.プリスティナエスピラリス(S.pristinaespiralis)SP92のゲノムDNA挿入物を含んでいる。マップ(第7図)は、実施例5.1.4に記載されたように、種々の制限酵素で消化したものから確立した。
種々の酵素で消化したpIBV4 DNAとオリゴヌクレオチド混合物とのサザンハイブリダイゼーションにより、snaC領域(FMNレダクターゼの構造遺伝子)を含有する領域の同定が可能になった。サザンブロッティングおよびハイブリダイゼーションは実施例5.1.4に記載されたように行った。
これらのサザンハイブリダイゼーションにより、コスミドpIBV4は実施例5.6.3で合成したプローブに相同的な配列を含有する4−kbのBamHI−BamHI断片を所有することを表すことができた。
5.7 コスミドpIBV2についてp−アミノフェニルアラニン(フェニル−N)−メチルトランスフェラーゼに関する構造遺伝子の存在の実証
この実施例では精製されたタンパク質から出発して、実施例6.7および7.8に記載されるようにすでに分析そして配列決定され、そして実施例11に記載されるようにE.Coli中で発現された遺伝子の中から、どのように対応する構造遺伝子を同定できるかを説明する。
5.7.1 p−アミノフェニルアラニンからp−ジメチルアミノフェニルアラニンへのメチル化に関与するタンパク質の同定および精製
この実施例はp−アミノフェニルアラニンからp−ジメチルアミノフェニルアラニン[p−アミノフェニルアラニン(フェニル−N)−メチルトランスフェラーゼ]へのメチル化の原因であるタンパク質が、エス.プリスチナエスピラリス(S.pristinaespiralis)SP92株からどのように均一にまで精製でき、そしてどのようにしてE.Coliの組換え株から純粋に得られるかを説明する。
5.7.1.A p−アミノフェニルアラニンからp−メチルアミノフェニルアラニンへのメチル化活性、およびp−メチルアミノフェニルアラニンからp−ジメチルアミノフェニルアラニンへのメチル化活性のアッセイ
この実施例ではプリスチナマイシンIAの成分であるp−ジメチルアミノフェニルアラニンの生合成の2つの末端活性のアッセイを説明する。これらの活性はこれまでに記載されたことがなく、そしてプリスチナマイシンの生産期間中のみに発現されるという注目すべき性質を有するものである。それらはp−アミノフェニルアラニンからp−メチルアミノフェニルアラニンへのメチル化(メチル化1)であり、一方p−メチルアミノフェニルアラニンからp−ジメチルアミノフェニルアラニンへのメチル化(メチル化2)であり、これらの両方の活性はSAMをメチル基供与体として利用する(第14図)。
アッセイする酵素画分(1−20単位)を27℃で30分間、全容量が200μlのpH 6.8 50mM bis−trisプロパン緩衝液(SAM(200μl)を含有し、その中のメチル基は炭素原子の14同位体で放射標識されている(2Ci/mol))中で、メチル化1のアッセイにはp−アミノ−L−フェニルアラニン(1mM)の存在下で、そしてメチル化2のアッセイにはp−メチルアミノ−L−フェニルアラニン(2.5mM)の存在下でインキュベーションする。
反応を16μlの37%塩酸溶液そして次に20μlのヘプタンスルホン酸ナトリウムを240g/lの濃度で加えて停止する。遠心後、150μlの上澄みを以下の勾配様式でHPLCシステムに注入する。
カラムから溶出時に、酵素反応の基質および生成物を254nmの吸収で定量する。この検出はGT400−U4固体シンチレーションセルを装備したBerthold LB506型検出器により、ライン化された放射線化学検出に連結されている。これにより放射線活性メチル基が反応生成物に取り込まれるのを特異的に監視することができる。
メチル化1(メチル化2)に関する酵素活性の単位は1nmolのメチル基が、p−アミノフェニルアラニン(p−メチルアミノフェニルアラニン)に取り込まれるの必要な酵素量と定義する。
5.7.1.B.p−アミノフェニルアラニンからp−ジメチルアミノフェニルアラニンへのメチル化を触媒するSAM−依存性N−メチルトランスフェラーゼ[p−アミノフェニルアラニン(フェニル−N)−メチルトランスフェラーゼ]のエス.プリスチナエスピラリス(S.pristinaespiralis)SP92からの精製
この実験では、プリスチナマイシンIAの生合成経路に参加するエス.プリスチナエスピラリス(S.pristinaespiralis)SP92の酵素がどのように精製できるかを説明する。
上記実施例5.7.1.Aに記載したアッセイを使用して、SAM−依存性N−メチルトランスフェラーゼの精製は以下に記載されるように行われる。凍結に注意し、必要に応じて活性画分は連続工程の間では−70℃に保存する。
プリスチナマイシン生産フェーズの初期段階で回収したエス.プリスチナエスピラリス(S.pristinaespiralis)SP92カルチャーの遠心ペレット240gを(pH7.2 100mM リン酸緩衝液、1mM PMSF、5mM EDTA、5mM EGTA、0.5M KCl、 10容量/容量%のグリセロールで洗浄したもの)を、480mlのpH 8.0 0.1M Tris−HCl緩衝液(4mM DTE、5mM ベンズアミジン、0.2mM Pefabloc、100μg/l E−64、2mg/l ロイペプチン、1mM EDTA、1mM EGTA、2mg/l STI、2mg/l アプロチニン、20容量/容量%のグリセロールおよび2mg/mlリゾチームを含有する)に溶解し、この緩衝液は+4℃に維持する。このように得られた懸濁液を4℃で激しく撹拌する。30分間撹拌した後、0.2mg/mlのデオキシリボヌクレアーゼIおよび5mM MgCl2を添加する。90分間撹拌した後、抽出物を50,000gで1時間遠心する。上澄みを約180mlの3分画に分割する。各々を500mlのSephadex G−25 Fineカラム(4mM DTE、5mM ベンズアミジン、0.2mM Pefabloc、100μg/l E−64、2mg/l ロイペプチン、1mM EDTA、1mM EGTA、2mg/l STI、2mg/l アプロチニン、20容量/容量% グリセロールを含有するpH 6.8 20mM bis−tris緩衝液で自然流速で平衡化した)のゲル浸透により脱塩する。溶出したタンパク質を次にMonoQ HR 16/10カラムで流速6ml/分でクロマトグラフィーを行い(各サイクルについて400mgのタンパク質)、4mM DTE、2mM ベンズアミジン、100μg/l E−64、2mg/l ロイペプチン、20容量/容量% グリセロールを含有するpH 6.8 20mM bis−trisプロパン緩衝液中で塩化ナトリウムの増加直線勾配(0−0.3M)で溶出する。カラムからの溶出時に、画分に4mM DTE、30mM ベンズアミジン、2mM Pefabloc、100μg/l E−64、2mg/l ロイペプチン、5mM EDTA、5mM EGTA、10mg/l STI、10mg/l アプロチニン、20容量/容量% グリセロールを含有する10容量/容量%のpH 6.8 20mM bis−tris緩衝液を補充する。このような条件下で、両方のメチル化活性(1および2)が排除画分および第一溶出画分中に同様に検出される。これらの画分をプールし、そしてCentriprep 10の限外濾過により濃縮する。この濃縮物を0.85M の硫酸アンモニウムとし、そして次にPhenyl Superose HR 10/10カラムで流速1ml/分でクロマトグラフィーを行い(各サイクルについて20−80mgのタンパク質)、4mM DTE、2mM ベンズアミジン、100μg/l E−64、2mg/l ロイペプチン、1mM EDTA、1mM EGTA、10容量/容量% グリセロールを含有するpH 6.8 50mM bis−tris緩衝液中で硫酸アンモニウムの減少直線勾配(0.85−0M)で溶出する。カラムからの溶出時に、画分に4mM DTE、30mM ベンズアミジン、2mM Pefabloc、100μg/l E−64、2mg/l ロイペプチン、1mM EDTA、1mM EGTA、10mg/l STI、10mg/l アプロチニン、10容量/容量% グリセロールを含有する10容量/容量%のpH 6.8 50mM bis−tris緩衝液を補充する。このような条件下で、両方のメチル化活性(1および2)が約0.15Mの硫酸アンモニウムに対応する画分に同様に検出される。これらの画分をプールし、そしてCentriprep 10の限外濾過により濃縮し、4mM DTE、2mM ベンズアミジン、100μg/l E−64、2mg/l ロイペプチン、20容量/容量% グリセロールを含有するpH8.2(5℃で)の50mM Tris緩衝液中で平衡化したPD−10カラムで脱塩し、同一緩衝液で平衡化したMonoQ HR 5/5カラムで流速1ml/分でクロマトグラフィーを行う(各サイクルについて10mgのタンパク質)。これらの条件下では2つの活性はカラムに保持されない。したがってカラムからの溶出時に、2つの活性を含有する排除画分に4mM DTE、30mM ベンズアミジン、2mM Pefabloc、100μg/l E−64、2mg/l ロイペプチン、1mM EDTA、1mM EGTA、20容量/容量% グリセロールを含有する10容量/容量%のpH 8.2 50mM Tris緩衝液を補充する。これらの画分をCentricon 10の限外濾過により濃縮し、そして次に300×7.5mmの10μm TSK G2000SWカラム(0.5ml/分の流速で4mM DTE、0.2mM Pefabloc、1mM EDTA、1mM EGTA、10容量/容量% グリセロール、0.15M 塩化ナトリウムを含有するpH 7.0 50mM Hepes緩衝液で平衡化した)でクロマトグラフィーを行う。この方法で分子量30,000付近に対応する保持時間で2つの活性が共に溶出する。この段階の後、SDS−PAGEでかなりのタンパク質が視覚化される。それはおよそ32,000に位置する。
5.7.1.C エス.プリスチナエスピラリス(S.pristinaespiralis)SP92の組換えタンパク質(p−アミノフェニルアラニンのp−ジメチルアミノフェニルアラニンへのメチル化を触媒するSAM−依存性N−メチルトランスフェラーゼ活性を表す)のE.coli pVRC706からの精製
この実験では、プリスチナマイシンIAの生合成経路に参加し、そしてpapM遺伝子のクローニングによりE.coli中で発現されるエス.プリスチナエスピラリス(S.pristinaespiralis)SP92の酵素がどのように精製できるかを説明する。
上記実施例5.7.1.Aに記載したアッセイを使用して、我々は組換えE.coli::pVRC706の粗抽出物がメチル化1およびメチル化2について強い活性を表すことを示したが、一方対照E.coli株(pMTL23)ではどちらの活性も検出されないことを示した。次にp−アミノフェニルアラニンのp−ジメチルアミノフェニルアラニンへのメチル化を触媒するSAM−依存性p−アミノフェニルアラニン(フェニル−N)−メチルトランスフェラーゼの精製を行った。
実施例5.7.1.Bに開示された条件と同じ条件下で、しかしクロマトグラフィー段階(MonoQ HR 5/5の精製段階)を排除して、TSK2000カラムおよびSDS−PAGEで実施例5.7.1.Bで精製したタンパク質が持つ分子量と同一の分子量を有するタンパク質を均一に精製した。
5.7.2 p−アミノフェニルアラニン(フェニル−N)−メチルトランスフェラーゼの構造遺伝子の同定
実施例5.7.1.Bで精製した32,000のタンパク質のNH2−末端配列を実施例5.1.2に記載されたマイクロシークエンシングで決定した。10残基がこのようにして決定された:
実施例5.7.1.Cで精製した32,000のタンパク質のNH2−末端配列を実施例5.1.2に記載されたマイクロシークエンシングで決定した。10残基がこのようにして決定された:
両方の場合において、同じ残基が見いだされ、そしてこの配列はpapM遺伝子の配列から導かれたタンパク質配列の開始部分に正確に対応する(配列番号10の2−11残基を参照のこと)。したがって精製されたp−アミノフェニルアラニン(フェニル−N)−メチルトランスフェラーゼはタンパク質PapMである。
実施例6:実施例3のように調製されたコスミド中にクローン化され、かつ目的遺伝子を含有するDNA断片のサブクローニング
この実施例では実施例3で記載したように構築され、かつプリスチナマイシンIIまたはプリスチナマイシンIの生合成に関連する遺伝子を含有するコスミドから出発して、どのようにこれらの遺伝子を含有するDNA断片をサブクローン化できるかを説明する。
これらのサブクローニングは同定された遺伝子の核酸配列を連続的に導き出すことをできるようにするために、ならびに以下の実施例で与えられる種々の構築物が実施できるようにするために行われた。
6.1 3−ヒドロキシピコリン酸:AMPリガーゼに関する構造遺伝子を含有する5.5−kbのEcoRI−BgalII断片の単離
この実施例では、3−ヒドロキシピコリン酸:AMPリガーゼに関する構造遺伝子を含有するコスミドpIBV2から出発して、どのようにしてより小さい大きさのこの遺伝子を含有するDNA断片をサブクローン化することができるかを説明する。
約10μgのコスミドpIBV2を、制限酵素BgalIIおよびEcoRI(ニューイングランドバイオラボズ)で製造元で薦める条件下で連続的に切断した。このようにして得た制限断片を0.8%のアガロースゲルの電気泳動で分離し、そして5.5−kbのEcoRI−BgalII断片をManiatisら(1989)により記載されるように電気的溶出により単離した。
BamHIおよびEcoRIで切断した約100ngのpUC19(VieraおよびMessing 1982)を、200ngの5.5−kbのBgalII−EcoRI断片と実施例3.3に記載した条件下で連結した。
TG1株の形質転換および形質転換体を固体LB培地(150μg/mlのアンピシリンおよび20μg/mlのX−galを含有する)でManiatisら(1989)に記載された方法により選択した後、所望の断片を持つクローンを単離した。この組換えプラスミドをpVRC402と命名した。この制限マップを第15(A)図に表す。これはハイブリダイゼーションにより(実施例5.2)、5.5−kbのBgalII−EcoRI断片がエス.プリスチナエスピラリス(S.pristinaespiralis)SP92の3−ヒドロキシピコリン酸:AMPリガーゼの構造遺伝子を含有することが示された。したがってプラスミドpVRC402はエス.プリスチナエスピラリス(S.pristinaespiralis)SP92の3−ヒドロキシピコリン酸:AMPリガーゼの構造遺伝子を含有する。
6.2.コスミドpIBV2由来の4.6−kbのBgalII−BgalII断片の単離
この実施例では、3−ヒドロキシピコリン酸:AMPリガーゼの構造遺伝子に隣接する領域中にプチスチナマイシンIの生合成に関与する他の遺伝子の存在を同定を目的として、どのようにより小さい大きさのDNA断片をサブクーン化することができるかを説明する。
上記のように種々のクローニング工程を行った。
約10μgのコスミドpIBV2を、制限酵素BgalIIで切断した。このようにして得た制限断片を0.8%のアガロースゲルの電気泳動で分離し、そして4.6−kbのBgalII−BgalII断片を電気的溶出により単離した。
BamHIで切断した約100ngのpUC19を、200ngのBgalII−BgalII断片と連結した。
実施例6.1に記載したようにTG1株の形質転換後、所望の断片を持つクローンを単離した。この組換えプラスミドをpVRC501と命名した。この制限マップを第15(B)図に表す。
6.3. プチスチナマイシンIIAシンターゼの2つのサブユニットに関する構造遺伝子を含有する6−kbのBamHI−BamHI断片の単離
この実施例ではコスミドpIBV1から出発して、どのようにプチスチナマイシンIIAシンターゼの2つのサブユニットに関する構造遺伝子を含有するより小さい大きさのDNA断片をサブクローン化することができるかを説明する。
上記のように種々のクローニング工程を行った。
約10μgのコスミドpIBV1を、BamHIで切断した。このようにして得た制限断片を0.8%のアガロースゲルの電気泳動で分離し、そして6kbのBamHI断片を電気的溶出により単離した。
BamHで切断した約100ngのpBKS-(ストラタジーン クローニングシステム、ラジョラ カリフォルニア州)を、200ngの6−kbのBamHI断片と連結した。
TG1株の形質転換後、所望の断片を持つクローンを単離した。この組換えプラスミドをpXL2045と命名した。この制限マップを第16図に表す。実施例5.1のハイブリダイゼーションにより、6−kbのBamHI断片はエス.プリスチナエスピラリス(S.pristinaespiralis)SP92のプチスチナマイシンIIAシンターゼの2つのサブユニットをコードするsnaAおよびsnaB遺伝子を含有することが示された。したがってプラスミドpXL2045はエス.プリスチナエスピラリス(S.pristinaespiralis)SP92のプチスチナマイシンIIAシンターゼの2つのサブユニットをコードするsnaAおよびsnaB遺伝子を含有する。
6.4. プチスチナマイシンIシンターゼIIに関する構造遺伝子一部分を含有する6.2−kbのSphI断片の単離
この実施例ではコスミドpIBV3から出発して、どのようにプチスチナマイシンIシンターゼIIに関する構造遺伝子の一部分を含有するより小さい大きさのDNA断片をサブクローン化することができるかを説明する。
上記のように種々のクローニング工程を行った。
約10μgのコスミドpIBV3を、SphIで切断した。このようにして得た制限断片を0.8%のアガロースゲルの電気泳動で分離し、そして6.2kbのSphI断片をバイオ101−オーザイム(Bio101−Ozyme)社により販売されている“Geneclean”キット法により単離した。
SphIで切断した約100ngのpUC19を、200ngの6.2−kbのSphI断片と連結した。
TG1株の形質転換後、所望の断片を持つクローンを単離した。この組換えプラスミドをpVRC1105と命名した。この制限マップを第17図に表す。
6.5 プチスチナマイシンIシンターゼIIIに関する構造遺伝子の一部分を含有する8.4−kbのSphI断片の単離
この実施例ではコスミドpIBV3から出発して、どのようにプチスチナマイシンIシンターゼIIIに関する構造遺伝子の一部分を含有するより小さい大きさのDNA断片をサブクローン化することができるかを説明する。
上記のように種々のクローニング工程を行った。
約10μgのコスミドpIBV3を、SphIで切断した。このようにして得た制限断片を0.8%のアガロースゲルの電気泳動で分離し、そして8.4kbのSphI断片をバイオ101−オーザイム社により販売されている“Geneclean”キット法により単離した。
SphIで切断した約100ngのpUC19を、200ngの8.4−kbのSphI断片と連結した。
TG1株の形質転換後、所望の断片を持つクローンを単離した。この組換えプラスミドをpVRC1106と命名した。この制限マップを第18図に表す。
6.6. プチスチナマイシンIシンターゼIVに関する構造遺伝子の一部分を含有する6.6−kbのSphI断片の単離
この実施例ではコスミドpIBV3から出発して、どのようにプチスチナマイシンIシンターゼIVに関する構造遺伝子の一部分を含有するより小さい大きさのDNA断片をサブクローン化することができるかを説明する。
上記のように種々のクローニング工程を行った。
約10μgのコスミドpIBV3を、SphIで切断した。このようにして得た制限断片を0.8%のアガロースゲルの電気泳動で分離し、そして6.6kbのSphI断片をバイオ101−オーザイム社により販売されている“Geneclean”キット法により単離した。
SphIで切断した約100ngのpUC19を、200ngの6.6−kbのSphI断片と連結した。
TG1株の形質転換後、所望の断片を持つクローンを単離した。この組換えプラスミドをpVRC1104と命名した。この制限マップを第19図に表す。
6.7 コスミドpHC79を含有し、3−ヒドロキシピコリン酸:AMPリガーゼ(プチスチナマイシンIシンターゼI)の上流に位置する遺伝子を持つ17−kbのHindIII−HindIII断片の単離
この実施例では3−ヒドロキシピコリン酸:AMPリガーゼに関する構造遺伝子を含有するコスミドpIBV2から出発して、どのようにこのコスミドの大部分を削除し、かつ3−ヒドロキシピコリン酸:AMPリガーゼの上流に位置する部分のみを保持することができるかを説明する。
約200ngのコスミドpIBV2を制限酵素HindIIIで切断した。この酵素を供給元の推薦により85℃で30分間変性させた。このようにして消化したコスミドpIBV2をエタノールでManiatisら(1989)に記載されたように沈殿させ、50μlの容量でそれ自身と再連結させた。
TG1株の形質転換および形質転換体を固体LB培地(150μg/mlのアンピシリンを加えた)でManiatisら(1989)に記載された方法により選択した後、コスミドpHC79および3−ヒドロキシピコリン酸:AMPリガーゼの上流に位置する部分(対応する全体は約17kbの大きさ)を含有するクローンを単離した。この組換えプラスミドをpVRC900と命名した。この制限マップを第20図に表す。
6.8 コスミドpIBV3に由来する1.4−kbのBamHI−SstI断片の単離
この実施例ではPIIAシンターゼの巨大サブユニットをコードするsnaA遺伝子を含有するコスミドpIBV3から出発して、上流に位置するDNA断片を研究し、そしてシークエンシングするためにどのようにしてそれをサブクーン化することができるかを説明する。
約10μgのコスミドpIBV3を連続的に制限酵素SstIおよびBamHIで切断した。このようにして得た制限断片を0.8%のアガロースゲルの電気泳動で分離し、そして1.4kbのBamHI−SstI断片をバイオ101−オーザイム社により販売されている“Geneclean”キット法により単離した。
BamHIおよびSstIで切断した約100ngのpDH5(Hillemanら 1991)を、200ngのBamHI−SstI断片と実施例3.3に記載した条件下で連結した。
TG1株の形質転換および形質転換体を固体LB培地(150μg/mlのアンピシリンおよびX−galを加えた)でManiatisら(1989)に記載された方法により選択した後、所望する断片を持つクローンを単離した。この組換えプラスミドをpVRC1000と命名した。この制限マップを第21図に表す。
6.9. FMNレダクターゼに関する構造遺伝子を含有する4−kbのBamH−BamH断片の単離
この実施例ではFMNレダクターゼに関する構造遺伝子(snaC)を含有するコスミドpIBV4から出発して、どのようにこの遺伝子を含有するより小さい大きさのDNA断片をサブクローン化することができるかを説明する。
上記のように種々のクローニング工程を行った。
約10μgのコスミドpIBV4を種々の制限酵素BamHIで切断した。このようにして得た制限断片を0.8%のアガロースゲルで分離し、そして4−kbのBamHI−BamHI断片を電気的溶出により単離した。
BamHIで切断した約100ngのpUC19を、200ngの4−kbのBamH−BamHI断片と連結した。
E.Coli DH5α株(supE44 DlacU169(f80lacZDM15)hsdR17 recA1 endA1 gyrA96 thi-1 relA1)(Hanahan、1983)の形質転換および形質転換体を固体LB培地(150μg/mlのアンピシリンおよびX−galを加えた)でManiatisら(1989)に記載された方法により選択した後、所望する断片を持つクローンを単離した。この組換えプラスミドをpVRC509と命名した。この制限マップを第22図に表す。
実施例7:エス.プリスティナエスピラリス(S.pristinaespiralis)SP92のプリスチナマイシンの生合成に関する遺伝子を含有する単離されたDNA断片の配列
この実施例では、一方ではエス.プリスティナエスピラリス(S.pristinaespiralis)のプリスチナマイシンI族のプリスチナマイシンの生合成に関与する遺伝子、他方では同プリスチナマイシンII族のプリスチナマイシンの生合成に関与する遺伝子を持つDNA断片のシークエンシングを説明する。
7.1. 5−kbのBamHI−XhoI断片のシークエンシング
この実施例ではどのようにエス.プリスティナエスピラリス(S.pristinaespiralis)SP92のsnaAおよびsnaB遺伝子を含有する断片のヌクレオチド配列を得ることができるかを説明する。
BamHI−XhoI断片は、実施例6.3に記載されたプラスミドpBKS-中でクローン化され得られたプラスミドpXL2045の6−kbのBamHI−BamHI断片の一部である。この5−kbのBamHI−XhoI副断片(サブフラグメント:subfragment)挿入物は、酵素的消化により得られ、そしてその後ファージM13mp18またはM13mp19(Messingら、1981)中に両方向でサブクローン化された。使用したサブクローニング部位は次のとおりである:EcoRI、RstI、PstI、NruI、EcoRI、NruI、NotI、SalI、SstI、XhoI、SalIおよびXhoI、そして第16図に示す。
これらの種々の挿入物は,合成プライマーとしてユニバーサルプライマー(universal primer:Maniatisら1989)を、または合成され(実施例5)、かつシークエンシングする挿入物の20ヌクレオチド配列に相補的なオリゴヌクレオチドを使用してチェーン−ターミネーション反応法(chain-termination reaction method)によりシークエンシングされた。
これら種々の挿入物間の重複により、5392bpから成るBamHI−XhoI断片の全ヌクレオチド配列が両鎖について確立できた(配列番号1)。
7.2. 5.5−kbのEcoRI−BgaII断片の1870bp領域のシークエンシング
この実施例ではエス.プリスティナエスピラリス(S.pristinaespiralis)SP92のsnbA遺伝子を含有する断片のヌクレオチド配列を得ることができるかを説明する。
シークエンシングされた1870bp領域は、実施例6(第15(A)図)に記載されたプラスミドpUC19中でクローン化され得られたプラスミドpVRC402の5.5−kbのEcoRI−BgaII断片の一部である。この5.5−kbのEcoRI−BgaII挿入物の副断片挿入物は、酵素的消化により得られ、そしてその後ファージM13mp18またはM13mp19中で両方向でサブクローン化された。サブクローニング部位は:HindIII、PstI、HindIIIであり、そして第15(a)図に示す。
これら種々の断片の重複により、1870bpから成るSau3A−Sau3A領域の全配列(配列番号5)が確立できた。
7.3. 4.6−kbのBgaII−BgaII断片の1830bp領域の配列
この実施例ではエス.プリスティナエスピラリス(S.pristinaespiralis)SP92のsnbA遺伝子を含有するヌクレオチドに隣接する断片のヌクレオチド配列を得ることができるかを説明する。
この配列はpVRC501(実施例6)からの1kbのBamHI−PstIおよび2.1kbのPstI−EcoRI断片(第15(B))をベクターM13mp18およびM13mp19中にサブクローン化することにより導かれた。このPstI部位はこの部位に重複するSau3A−Sau3A断片をサブクローニングすることにより妨害され、続いてシークエンシングされた。このようにして得られた1830bpを(配列番号6)に示す。
7.4. 6.2−kbのSphI断片の2つの227bpおよび247bp領域のシークエンシング
この実施例ではエス.プリスティナエスピラリス(S.pristinaespiralis)のプリスチナマイシンIシンターゼII(snbC)に関する構造遺伝子の一部を含有する断片のヌクレオチド配列をどのように得ることができるかを説明する。
配列決定される227および247bpの領域は、実施例6.4(第17図)に記載されるプラスミドpUC19中にクローン化されプラスミドpVRC1105を与えた6.2kbのSphI断片の一部である。6.2−kbのSphI挿入物の副断片は酵素開裂により得られ、そしてファージM13mp18およびM13mp19に両方向でサブクローン化された。サブクローニング部位はXhoI、PstIおよびBgalIIであり、第17図に示す。227−bpのPstI−BgalII断片を完全にシークエンシングし、そして247bpは900−bpXhoI断片からシークエンシングした:これらの配列を配列番号11および12に表す。
7.5. 8.4−kbのSphI断片の2つの192bpおよび474bp領域のシークエンシング
この実施例ではエス.プリスティナエスピラリス(S.pristinaespiralis)のプリスチナマイシンIシンターゼIII(snbD)に関する構造遺伝子の一部を含有する断片のヌクレオチド配列をどのように得ることができるかを説明する。
配列決定される192および474bpの領域は、実施例6.5(第18図)に記載されるプラスミドpUC19中にクローン化されプラスミドpVRC1106を与えた8.4kbのSphI断片の一部である。8.4−kbのSphI挿入物の副断片は酵素開裂により得られ、そしてファージM13mp18およびM13mp19に両方向でサブクローン化された。サブクローニング部位はXhoI、PstI、SphIおよびBgalIIであり、第18図に示す。
192−bpのBgalII−SphIおよび474bpのPstI−XhoI断片を完全にシークエンシングされ、これらの配列を配列番号13および14に表す。
7.6. 6.6−kbのSphI断片の2つの485bpおよび291bp領域のシークエンシング
この実施例ではエス.プリスティナエスピラリス(S.pristinaespiralis)のプリスチナマイシンIシンターゼIV(snbE)に関する構造遺伝子の一部を含有する断片のヌクレオチド配列をどのように得ることができるかを説明する。
配列決定される291および485bpの領域は、実施例6.6(第19図)に記載されるプラスミドpUC19中にクローン化されプラスミドpVRC1104を与えた6.6kbのSphI断片の一部である。6.6−kbのSphI挿入物の副断片は酵素開裂により得られ、そしてファージM13mp18およびM13mp19に両方向でサブクローン化された。サブクローニング部位はXhoI、PstIおよびSphIであり、第19図に示す。485−bpのXhoI−SphI断片は完全にシークエンシングされ、そして291bpは1500bpのPstI断片からシークエンシングされ、これらの配列を配列番号15および16に表す。
7.7. pVRC900から単離された3.4−kbのXhoI−XhoI断片中の645bp領域の配列
この実施例ではエス.プリスティナエスピラリス(S.pristinaespiralis)のsnbA遺伝子を含有ヌクレオチド配列の上流に位置する断片のヌクレオチド配列をどのように得ることができるかを説明する。
この配列を導くために、あらかじめ3.4−kbのXhoI−XhoI断片を実施例6.7に記載されたベクターpVRC900からのベクターpUC18中にサブクローン化した。種々のクローニング工程が6.1に記載されたように行われた:プラスミドpVRC900を制限酵素XhoIで消化し、そしてこれにより得られた断片を0.8%アガロースで分離した。3.4kbのXhoI−XhoI断片を電気的溶出により精製し、制限酵素SalIで切断したpUC18と連結した。TG1株の形質転換後、3.4−kbのXhoI−XhoI断片を持つクローンを単離した。この組換えプラスミドをpVRC903と命名した。この制限マップを第23図に表す。
この645bpの配列は次に、上記pVRC903からの1.4−kbのPvuII−EcoRIおよび0.9−kbのPvuII−EcoRI断片(第23図)をベクターM13mp18およびM13mp19中にサブクローニングすることにより導かれた。これらのクローニングを行うために、ベクターM13mp18およびM13mp19は始めに制限酵素BamHIで消化された;PuvII消化により遊離する末端に対応できる平滑末端を作成するために、遊離した粘着末端をManiatisら(1989)に記載された方法によりDNAポリメラーゼIの巨大断片(クレノー:ニューイングランドバイオラボ)で満たした;ベクターを次に制限酵素EcoRIで消化した。PvuII部位を2.2−kbのPstI−PstI断片(PVRC903から単離した)で分断し、この部位を重複させる。これにより得られた645bpの配列を配列番号9に示す。
7.8. pVRC900から単離された4.1−kbのPstI−PstI断片中の1050bp領域の配列
この実施例ではエス.プリスチナエスピラリス(S.pristinaespiralis)のsnbA遺伝子を含有するヌクレオチド配列の上流に位置する断片のヌクレオチド配列をどのように得ることができるかを説明する。
この配列を導くために、あらかじめ4.1−kbのPstI−PstI断片を実施例6.7に記載されたベクターpVRC900由来のベクターpUC19中にサブクローン化した。種々のクローニング工程が6.1に記載されたように行われた:プラスミドpVRC900を制限酵素PstIで消化し、そしてこれにより得られた断片を0.8%アガロースゲルにより分離した。この4.1−kbのPstI−PstI断片を電気溶出により精製し、そして制限酵素PstIで切断したpUC19と連結した。TG1株中での形質転換後、4.1−kbのPstI−PstI断片を持つクローンを単離した。この組換えプラスミドをpVRC409と命名した。この制限マップを第24図に表す。
この配列は次に、上記pVRC409からの0.7−kbのXhoI−XhoIおよび1−kbのXhoI−StuI断片(第24図)をベクターM13mp18およびM13mp19中にサブクローニングすることにより導かれた。配列内部のXhoI部位はプラスミドpVRC409から二本鎖シークエンシングにより横断された。これにより得られた1050bpの配列を配列番号10に示す。
7.9. 1.4−kbのBamHI−SstI断片中の640bp領域の配列
この実施例ではPIIAシンターゼの2つのサブユニットをコードするエス.プリスチナエスピラリス(S.pristinaespiralis)のsnbAおよびsnaB遺伝子を含有ヌクレオチド配列に隣接する断片のヌクレオチド配列をどのように得ることができるかを説明する。
この配列はpVRC1000(実施例6.8)からの1.4−kbのBamHI−SstI断片(第21図)を、ベクターM13mp18およびM13mp19中にサブクローニングすることにより導かれた(実施例7.1参照のこと)。得られた640bpの配列を配列番号8に示す。
7.10. 4−kbのBamHI−BamHI断片中に存在する694bpのXhoI−KpnI領域の配列
この実施例ではエス.プリスチナエスピラリス(S.pristinaespiralis)のsnaC遺伝子を含有する断片のヌクレオチド配列をどのように得ることができるかを説明する。
シークエンシングする694bpの領域はプラスミドpUC19中にクローン化され、実施例6.9に記載されたプラスミドpVRC509を与える4−kbのBamHI−BamH断片の一部である。プラスミドpVRC509を制限酵素XhoIおよびKpnIで二重消化することにより得られ、そして5.6に記載される3つのオリゴヌクレオチドプローブとハイブリダイズする694−bpのXhoI−KpnI断片を、ファージM13mp18およびM13mp19中にクローン化する。XhoIおよびKpnIサブクローニング部位を第22図に示す。これにより得られた694−bpの断片の配列を配列番号7に示す。
実施例8:読み取り枠の決定によるヌクレオチド配列の分析
この実施例では実施例7で明確にしたヌクレオチド配列中に存在する読み取り枠をどのように決定することができるか、そしてエス.プリスチナエスピラリス(S.pristinaespiralis)SP92のプチスチナマイシンIおよびプリスチナマイシンIIの生合成に関与する遺伝子ならびにこれらの遺伝子によりコードされるポリペプチドをどのように同定できるかを説明する。
8.1 5−kbのBamHI−XhoI断片(pXL2045)
この実施例では上記のように単離され、そして実施例6および7で配列決定された5−kbのBamHI−XhoI断片中に存在する読み取り枠をどのようにして決定できるかを説明する。
我々はストレプトミセス(Streptomyces)DNAが高い割合のGおよびC塩基を有すると同時に、コーディング枠を構成するコドンの使用について強い偏向があるという事実(Bibbら、1984)を利用して、5−kbのBamHI−XhoI断片中に読み取り枠の存在を探した。すでに配列決定され、そしてBISANCEデータ−処理サーバー(data-processing server)から得られた19673個のコドンを含むファイル中に正しく並べられているストレプトミセス(Streptomyces)遺伝子のコドンの使用に基づいてStadenおよびMcLachlan(1982)法により、コーディング枠の可能性が計算できるようになる(Dessenら、1900)。
この方法により以下の表に示す4つの有望な読み取り枠が5−kbのBamHI−XhoI断片中に特性付けられることができた。それらをそれらのBamHIから出発する位置に従い枠1−4と命名する。それぞれについて、塩基長、断片中の位置(BamHI部位が1位に位置する)、ならびに対応するタンパク質の分子量(kDa)を表す。枠1 3および4は同じ鎖によりコードされ、そして枠2は相補鎖である(第16図)。
−枠1および3はそれぞれ上記実施例5に記載されたように単離されたタンパク質SnaA(配列番号2)およびSnaB(配列番号3)に対応し、その遺伝子のクローニングに関しては実施例6に詳細に記載されいる。実質的にORFs1および3の生産物のNH2−末端配列は、切除されるアミノ末端メチオニンは別として、て実施例5.1.2に記載されたタンパク質SnaAおよびSnaBに関して見いだされたNH2−末端配列とそれぞれ同一である。さらに配列から算出された分子量は、実施例5に記載された見かけ上のSDS−PAGEで推定されるものに相当する。
−読み取り枠4の生産物とNBRFバンクに含まれるタンパク質配列の比較により、種々の、特にE.Coli(Markhamら(1984)、ラット(Horikawaら、1989)、およびエス.セルビシエ(S.Cerevisiase)(Thomasら、1988)のS−アデノシルメチオニン(またはSAM)シンターゼとの相同性が明らかになる。Kanehisa(1984)のアルゴリズムを使用してすべての配列について計算された相同性の値は、51.8−55.4%で変化する。
したがってこれらの配列比較は、読み取り枠4の生成物がプリスチナマイシンIまたはIIの生合成に関与するSAMシンターゼであることを実証することができる。この遺伝子をSamS(配列番号4)と命名した。
SamS遺伝子のプリスチナマイシン生合成への関与は、この遺伝子を破壊する、実施例9.2に示すようなSP92突然変異体の構築により確かに実証される。
−読み取り枠2の生産物の配列とGenproバンクに含まれるタンパク質配列の比較により、このタンパク質の内部配列が、アナバエナ(Anabaena)(BancroftおよびWolk、1989)の挿入配列(IS891)の第一読み取り枠の内部配列と36%の相同性であることを明らかになる。この結果は読み取り枠2(ORF401と命名された)が挿入配列に属し、したがってsnaAおよびsnaB遺伝子間に位置した挿入配列あることを示唆している。
8.2 1870−bpのSau3A−Sau3A断片(pVRC4021)
この実施例では上記のように単離され、そして実施例6および7に記載されたように配列決定された1870−kbのSau3A−Sau3A断片中に存在する読み取り枠をどのように決定することができるかを説明する。
Sau3A−Sau3A断片に関する読み取り枠に関する調査は、上記のように行われた。単一の完全な読み取り枠をこのように実証することができた。その特徴は次の通りである:この枠はSau3A−Sau3A断片の109位から1858位に伸び、これは分子量61400Daを有する582アミノ酸のタンパク質をコードする1749塩基の枠に対応する。このタンパク質は上記実施例5に記載されたように精製されたタンパク質SnbAに対応し、そしてその遺伝子のクローニングは実施例6に詳細に記載されている。実質的にSau3A−Sau3A断片に存在するORFの生産物のNH2−末端配列は、実施例5.2のタンパク質SnbAに見いだされるNH2−末端配列と同一である。配列から算出された61400Daの分子量は、タンパク質SnbAの分子量としSDS−PAGEで推定される67000Da、および実施例5.2.1.Bに記載されているゲル浸透による60000Daに相当する。
したがってsnbA遺伝子は、1分子の3−ヒドロキシピコリン酸と1分子のATP:3−ヒドロキシピコリン酸:AMPリガーゼからアシルアデニレート3−ヒドロキシピコリニル−AMPの形成を触媒する酵素をコードする(配列番号5)。
8.3 1830−bp 断片(pVRC501)
この実施例では上記のように3.1kbのBamHI−EcoRI断片から単離された1830−kbの断片中に存在する読み取り枠をどのように決定することができるかを説明する。
1830−bp断片の読み取り枠に関する調査は、上記のように行われた。単一の完全な読み取り枠をこのように実証することができた。その特徴は次の通りである:この枠の開始点はおそらくBamHI−EcoRI断片から配列決定された1830bpの領域の103位に位置し、そして1686で終了し、これは分子量約54000を有する528アミノ酸のタンパク質に対応する。
このタンパク質の配列をGeneproバンクに含まれる配列と比較すると、種々の代謝物、特に種々の微生物中でのテトラサイクリン(KhanおよびNovick、1983;Hoshinoら,1985)、エス.コエリコーラー(S.coelicolor)、アクチノローディン(actinorhodine:Fernandez-Morenoら、1991)およびメチレノマイシン(methylenomycin:NealおよびChater、1987b)の転移機能を持つタンパク質との相同性が;明らかになる。
これらのデータにより、3.1kbのBamHI−EcoRI断片中に含有される読み取り枠の生成物は、プリスチナマイシンI(そしておそらくプリスチナマイシンII)を細胞外に運搬することができる転移タンパク質であることが指示される。このタンパク質はSnbRと命名され、そして遺伝子snbRに対応する(配列番号6)。
KyteおよびDoolittle(1982)の方法によるタンパク質SnbRの疎水性プロフィールの分析は、その膜の局存性の確証となり、したがってその転移機能の確証となる。
8.4 1050−bp 断片(pVRC409)
この実施例では上記実施例7.8に記載のように配列決定されたpVRC409由来の1050−kbの断片中に存在する読み取り枠をどのように決定することができるかを説明する。
1050−bp断片の読み取り枠に関する調査は、上記のように行われた。単一の完全な読み取り枠をこのように実証することができた。その特徴は次の通りである:この相は配列決定された部分の84位から962位に拡がり、これは分子量32000Daを有する292アミノ酸のタンパク質をコードする878塩基の枠に対応する。このタンパク質はタンパク質PapMと命名された。これはさらに実施例5に記載されたようにエス.プリスチナエスピラリス(S.pristinaespiralis)SP92株から精製された。配列から算出されたタンパク質の32000Daの分子量は、実施例5のようなSDS−PAGEで推定される見かけ上の分子量32000と同一である。さらにこのタンパク質のNH2−末端配列は実施例5から導かれるように、1050bpの配列(配列番号10)の読み取り枠での分析から同定されたタンパク質PapMのNH2−末端配列とよく対応する。
8.5 220−bpおよび247−bp断片(pVRC1105)
この実施例では上記実施例6および7に記載のように配列決定されたpVRC1105からの227−bpおよび247−bp断片中に存在する読み取り枠をどのように決定することができるかを説明する。
これら2つの断片の読み取り枠に関する調査は、上記のように行われた。両方の場合において断片の全長にわたって不完全な読み取り枠を実証することができた。
900−bpのXhoI断片から単離された247−bp断片について同定された読み取り枠から得た配列は実施例5に記載されたように精製されたタンパクSnbCの内部配列の1つを含む。
pVRC1105から単離された227−bpおよび247−bp断片について同定された読み取り枠の生成物とGeneproバンクに含まれる配列と比較すると、それらはペプチドシンターゼと相同的であることが明らかになる。227−bp断片から導かれた断片の1つは、アクレモニウム クリソゲニウム(Acremonium chrysogenum)(α−アミノアジピル)システイニルバリンシンターゼと24.5%の相同性を表す(Gutierrezら、1991)。247−bp断片から導かれた断片、バチルス グラミシジンSシンターゼII(Horiら、1991)と34.9%の相同性を、そしてアクレモニウム クリソゲニウム(Acremonium chrysogenum)(α−アミノアジピル)システイニルバリンシンターゼと28%の相同性を表す(Gutierrezら、1991)。
これにより、実施例5.1で単離されたコスミドpIBV3は、まさに実施例5.3に記載したプリスチナマイシンIシンターゼIIの構造遺伝子の一部を含み、これをSnbCと命名する(配列番号11および12)。
8.6 192−bpおよび474−bp断片(pVRC1106)
この実施例では上記実施例6および7に記載されたpVRC1106からの192−bpおよび474−bp断片中に存在する読み取り枠をどのように決定することができるかを説明する。
これら2つの断片の読み取り枠に関する調査は、上記のように行われた。pVRC1106から単離された192−bp断片についても不完全な読み取り枠を実証することができた。その特徴は次の通りである:この枠はBgalIIの方向に配列決定された部分の29位から始まる。停止コドンは同定されず、これはこの読み取り枠が終了しないことを指示している。
192−bpのBgalII−SphI断片に関する読み取り枠から得られた配列は、実施例5に記載されたように精製されたタンパク質SnbDの内部配列を含み、実際これはタンパク質のNH2−末端配列であることを証明する。
474−bpのXhoI−PstI断片全長に関して不完全な読み取り枠が実証できた。
pVRC1106から単離された474−bp断片について同定された読み取り枠の生成物とGeneproバンクの配列とを比較すると、このタンパク質がペプチドシンターゼと30−40%の相同性を表すことが明らかとなり、例えばバチルス グラミシジンSシンターゼII(HoriD、1991)と39.4%の相同性を、そしてアクレモニウム クリソゲニウム(Acremonium chrysogenum)(α−アミノアジピル)システイニルバリンシンターゼと34%の相同性を表す(Gutierrezら、1991)。
このことは実施例5.1で単離されたコスミドpIBV3が、まさに実施例5.4に記載したプリスチナマイシンIシンターゼIIIの構造遺伝子の一部を含み、これをSnbDと命名する(配列番号13および14)。
8.7 291−bpおよび485−bp断片(pVRC1104)
この実施例では上記実施例6および7に記載されたpVRC1104からの291−bpおよび485−bp断片中に存在する読み取り枠をどのように決定することができるかを説明する。
これら2つの断片の読み取り枠に関する調査は、上記のように行われた。両方の場合において断片の全長にわたって不完全な読み取り枠を実証することができた。
1450−bp PstI断片から単離された291−bpについて同定された読み取り枠から得た配列は実施例5に記載されたように精製されたタンパクSnbEの内部配列を含む。
pVRC1104から単離された485−bpのXhoI−SphI断片について同定された読み取り枠の生成物とGeneproバンクに含まれる配列と比較すると、それらはペプチドシンターゼと相同的であることがあきらかになる。例えばバチルス グラミシジンSシンターゼII(Horiら、1991)と34.7%の相同性を、そしてアクレモニウム クリソゲニウム(Acremonium chrysogenum)(α−アミノアジピル)システイニルバリンシンターゼと36.2%の相同性を表す(Gutierrezら、1991)。
これにより、実施例5.1で単離されたコスミドpIBV3は、まさに実施例5.5に記載したプリスチナマイシンIシンターゼIVの構造遺伝子の一部を含み、これをSnbEと命名する(配列番号15および16)。
8.8 645−bp断片(pVRC903)
この実施例では上記実施例6.7に記載されたプラスミドpVRC903から上記のように配列決定された645−bp断片中に存在する読み取り枠をどのように決定することができるかを説明する。
この645−bp断片の読み取り枠に関する調査は、上記のように行われた。このように不完全な読み取り枠を実証することができた。その特徴は次のとおりである。この枠には翻訳開始について2つの可能性があり、それは配列決定された部分の61位のGTGおよび70位のGTGである(124位に位置するATGは後に記載する配列相同性のために考慮しない)。シャイン−ダルガーノ領域の存在の見込ではこれらのどのコドンが開始に対応するかを区別することができない。停止コドンは同定されないので、これはこの読み取り枠が終了しないことを指示する。このようにして同定された遺伝子をpapAと呼び、そしてタンパク質はタンパク質PapAと呼ぶ(配列番号9)。
pVRC900から単離された3.4−kbのXhoI−XhoI断片について同定された読み取り枠の生成物とGeneproバンクに含まれる配列と比較すると、それらはp−アミノベンゾエートシンターゼおよびアントラニレートシンターゼ型のタンパク質の第II成分と相同的であることかき明らかになる。それらはそれぞれ種々の微生物のp−アミノ安息香酸(葉酸前駆体)の合成およびアントラニル酸(トリプトファン前駆体)の合成に関与する。それは特にアゾスピリウム(Azospirillum)のタンパク質TrpGと48%相同的(Zimmer W.,Aparicio C.,およびElmerich c.Mol Gen.Genet.(1991)229:41−51)であり、そしてクレブシーラ プノウモニエ(Klebsilla pneumoniae)のタンパク質PabAと47%の相同的である(KaplanJ.B.,Merkel W.K.およびNichols B.P.J.Mol.Biol.(1985)183:327−340)。タンパク質TrpGおよびPabAはコリスミ酸のアミノ基転移に関与するグルタミナーゼ活性を持つ。実証された相同性はタンパク質PapAもクロスミックアシッドのアミノ基転移活性に関与するかもしれないことを表す傾向がある。コリスミ酸はストレプトミセス(Streptomyces)により導かれる抗生物質であるクロラムフェニコールの合成で推定されるp−ジメチルアミノフェニルアラニンの前駆体(プリスチナマイシンIの成分)と考えられる(Sharka B.,Westlake D.W.S.およびVining L.C.(1970)Chem Zvesti 24、66−72)。
タンパク質PapAの役割はpapA遺伝子でのSP92株の突然変異体の分析により引き続き(実施例9.3)示されるであろう。
8.9 1.5kbの BamHI−SstI断片(pVRC1000)
この実施例では上記実施例6.8および7.9に記載されたように単離そして配列決定された1.5kbのBamHI−SstI断片中に存在する読み取り枠をどのように決定することができるかを説明する。
1.5kbのBamHI−SstI断片中に存在する640bpの配列決定領域に関する調査は、実施例8.1のように行われた。このように単一の完全な読み取り枠が実証できた。翻訳開始および停止コドンが実証できなかったことは、配列決定した640bpの領域はおそらくさらに大きな読み取り枠の内部であろうことを指示し、これはsnaDと命名する(配列番号8)。
640bp領域でコードされるタンパク質配列とGeneproおよびNBRFバンクに含まれるタンパク質配列と比較すると、このタンパク質がビー.ブレビス(B.brevis)グラミシジン シンターゼI(Horiら、1989)、ビー.ブレビス(B.brevis)チオシジンシンターゼI(Weckermannら、1988)、およびアクレモニウム クリソゲナム(Acremonium chrysogenum)ACVシンターゼ(Gutierrezら、1991)のようなペプチドシンターゼの内部部分と20−25%相同的であることが明らかとなる。
これらのデータは640dp領域に部分的にコードされるタンパク質が、おそらくプリスチナマイシンIIのペプチド部分の生合成に関与するペプチドシンターゼであることを示している。実質的にプリスチナマイシンIの生合成に関与するすべてのペプチドシンターゼは、他のエス.プリスチナエスピラリス(S.Pristinaespiralis)染色体の領域ですに同定されている(実施例5.2.5.3、5.4および5.5)。
8.10 694−bp断片(pVRC509)
この実施例では上記実施例6および7に記載されたpVRC509から上記のように配列決定された694−bp断片中に存在する読み取り枠をどのように決定することができるかを説明する。
この694−bp断片の読み取り枠に関する調査は、上記のように行われた。このように不完全な読み取り枠を実証することができた。その特徴は次のとおりである。この枠は配列決定された領域の210位から始まる。停止コドンは同定されないので、これはこの読み取り枠が終了しないことを指示する。したがって対応するタンパク質の分子量は算出できず、実施例5.6で記載したSDS−PAGEで推定されるFMNレダクターゼの見かけ上の分子量28,000とも比較てきない。一方このように694−bpの配列の読み取り枠の分析により同定されたタンパク質のNH2−末端は、実施例5に記載したように精製されたタンパク質SnaCのNH2−末端と同一である。同様に、実施例5.6に記載したFMNレダクターゼの2つの内部タンパク質が、配列決定した部分から導かれた。これはコスミドpIB4から単離された遺伝子がまさに実施例5.6に記載したタンパク質FMNレダクターゼに対応することを確証するものであり、これをSnaC(配列番号7)と命名する。
コスミドpIBV1からpIBV2が持つエス.プリスチナエスピラリス(S.Pristinaespiralis)のDNA断片は、プリスチナマイシンIIおよびプリスチナマイシンIの生合成に関与する数個の遺伝子の存在を実証した。snaA、snaBおよびsamS遺伝子はプリスチナマイシンII、プリスチナマイシンIIAシンターゼおよびおそらくSAMシンターゼの生合成に参加する酵素をコードし、そしてプラスミドpIBV1にクローン化された巨大DNA断片上に物理的に一緒に群を成す。同様にsnbA、snbR、papA、およびpapM遺伝子(これらはプリスチナマイシンI、3−ヒドロキシピコリン酸:AMPリガーゼ(SnbA)の生合成に参加するタンパク質、おそらくプリスチナマイシンIの転移の原因であるSnbRタンパク質、コリスミックアシッドからp−アミノフェニルアラニンの生合成に関与するタンパク質Papa、およびp−アミノフェニルアラニン(フェニル−N)−メチルトランスフェラーゼ(PapM)をコードする)は、コスミドpIBV2中にクローン化された巨大DNA上に一緒に群を成す。同様にsnaAおよびsnaD遺伝子(これらはプリスチナマイシンIIの生合成に参加するタンパク質、SnaDはおそらくペプチドシンターゼであるタンパク質をコードする)、ならびにsnbC、snbDおよびsnbE遺伝子(これらはその6つの別個のアミノ酸からプリスチナマイシンIのペプチド鎖の形成に関与する3つのペプチドシンターゼSnbC、SnbDおよびsnbEをコードする)はコスミドpIBV3中にクローン化された巨大DNA上に一緒に群を成す。これらの結果はプリスチナマイシンIIの生合成に関与する遺伝子、ならびにプリスチナマイシンIの生合成に関与する遺伝子が一緒に群を成しているという仮定を確証するものであり、そして調査した領域の上流および下流の染色体を歩くことにより、これらの生合成に関与する他の遺伝子のクローニングの可能性を与える。
さらに様々な株で生産されるストレプトグラミン(表1参照のこと)の全DNAとsnaA、snaB、snaC、snaD、samS、snbA、snbR、snbC、snbD、snbE、papAおよびpapM遺伝子とをハイブリダイゼーションさせることにより、または染色体ウォーキングにより同定された遺伝子、あるいはこれらの遺伝子の断片とハイブリダイゼーションさせることによりストレプトグラミンを生産する他の微生物で同じ機能に対応する遺伝子を単離することが可能である。これはプリスチナマイシンについて行われたものと同様な研究法により、種々のストレプトグラミンの生合成に関与するすべての遺伝子を単離することを可能にする。
実施例9:遺伝子破壊によるDNA断片の遺伝的研究
この実施例では、生産株由来の株を構築し、そしてこれらの遺伝子を破壊して突然変異させ、さらにそのような突然変異体の表現型を分析することによりストレプトグラミンの生合成について遺伝子の関与をどのように実証できるかを説明する。この実施例ではさらに唯一の、または他のストレプトグラミンのAおよびB成分を生産している株、あるいはSP92株とは異なる割合でAおよびB成分を生産している株をどのように得るかを説明する。
9.1 snaA遺伝子が破壊されたエス.プリスチナエスピラリス(S.pristinaespiralis)SP92の突然変異体の構築
この実施例ではsnaA遺伝子の破壊により、もはやプリスチナマイシンIIAを生産せず、対照的にプリスチナマイシンIIBを生産するエス.プリスチナエスピラリス(S.pristinaespiralis)SP92株をどのように構築できるかを説明する。
この突然変異体はSnaAの機能を確認し、そして実質的に改変されることができるプリスチナマイシンIIの中間体の生産を与えることを目的として構築された。
その構造はE.coli中のみで複製できるが、ストレプトミセス(Streptomyces)中で発現する耐性マーカーを持つ自殺プラスミドを使用して行った。このベクターはpDH5であるが、Hillemanら(1991)により開発された。
9.1.1. プラスミドpVRC505の構築
この実施例ではエス.プリスチナエスピラリス(S.pristinaespiralis)SP92中では複製せず、そして単一相同的組換えによりsnaA遺伝子を破壊するために使用できるプラスミドをどのように構築できるかを説明する。
プラスミドpVRC505は、実施例6.3に記載されるプラスミドpXL2045から、snaA遺伝子が破壊されたSP92染色体突然変異体を生成するために構築された。
pXL2045中にクローン化された6−kbのBamHI断片(第16図)を、制限酵素EcoRIおよびPstIで切断した。このように得られた断片を1%アガロースゲルで分離した後、snaA遺伝子の5’末端を含有する0.7−kbの断片を単離し、そしてGeneclen(バイオ101、ラジョラ、カリフォルニア州)で精製した。
EcoRI/PstI二重消化により直線化された100ngのベクターpDH5を、実施例3.3に記載するように100ngの0.7kb断片と連結した。所望の断片を持つクローンをTG1株による形質転換後に単離した。この組み換えプラスミドをpVRC505と命名した。プラスミドpVRC505は実施例2.1.に記載されたように調製した。その制限マップを第25図に示す。
9.1.2. 相同的組み換えによりsnaA遺伝子が破壊されたSP92突然変異体の単離
この実施例ではsnaA遺伝子が破壊されたエス.プリスチナエスピラリス(S.pristinaespiralis)の突然変異体をどのように構築できるかを説明する。
突然変異体は自殺プラスミドpVRC505でSP92株を形質転換して単離した。
プロトプラストの調製およびその形質転換は、Hopwoodら(1985)に記載されているように行った。
SP92株をYEME培地、34%シュクロース、5mM MgCl2、0.25%グリシンで30℃にて40時間培養した。菌糸体をリゾチームの存在下でプロトプラストに転換し、そして5×1μgのpVRC505をプロトプラストの形質転換に使用した(PEGを使用する方法による)。R2YE培地(D.Hopwoodら 1985)でのプロトプラストの一晩の再生後、組み換え体を2.6μg/mlのチオストレプトンを含有する3mlのSNA培地(D.Hopwoodら、1985)を上層させて選択した。
実施した5つの形質転換の中で、3つのチオストレプトン−耐性クローンが単離された。これは1μgのDNAあたり1より低い組み換え効率である。これらの組み換え体はSP92株の染色体が持つsnaA遺伝子と自殺プラスミドpVRC505の0.7kb断片との間の単一相同的組み換えの結果である。pVRC505中に挿入されたより小さい断片(0.7−kb)は低い組み換え効率を説明している。
組み換え体の胞子を400μg/mlのチオストレプトンを補充したR2YE培地にまいて生育させ、そして再度同一培地にまいて単離コロニーを得た。
プラスミドpVRC505の統合位置を確認するために、数種の組み換えクローンの全DNA(これは適当な制限酵素で消化した)の種々のサザンブロットが作成され、そしてManiatisら(1989)に記載されたように[α−32P]−dCTPでランダムプライミングにより標識(ランダムプライムド DNA 標識キット、ベーリンガーマンハイム、仏国:Random Primed labeling kit,Boehringer Mannheim,France)した後、連続的にプローブとして使用したベクターpDH5および0.7−kb断片とハイブリダイズさせた。ハイブリダイゼーションの結果では組み換え体クローンのゲノム中にベクターpDH5の大きさのEcoRI−PstIバンドの出現が示され、これは後者とハイブリダイズし、同様にさらに両方のプローブとハイブリダイズするEcoRI−EcoRIハンドの出現が示される。これらの突然変異体の1つはSP92:pVRC505と命名された。この突然変異体は単一相同的組み換えによるsnaA遺伝子中のプラスミドpVRC505の統合によく対応する。
9.1.3 突然変異体SP92:pVRC505によるプリスチナマイシンの生産
この実施例ではプラスミドpVRC505の統合によりsnaA遺伝子が破壊されたエス.プリスチナエスピラリス(S.pristinaespiralis)SP92の突然変異体が、もはやプチスチナマイシンIIAを生産せず、一方プチスチナマイシンIIBを生産し続けることをどのように測定するかを説明する。
突然変異体SP92::pVRC505、同様に対照としてSP92株を液体生産培地で培養した。発酵は以下のように行われた:0.5mlの上記株の胞子の懸濁液を、滅菌条件下で300−mlのエーレンマイヤー中の40mlの植菌培地に加える。植菌培地は10g/lのコーンスティープ、15g/lのシュクロース、10g/lの(NH4)2SO4、1g/lのK2HPO4、3g/lのNaCl、0.2g/lのMgSO4・7H2Oおよび1.25g/lのCaCO3から成る。炭酸カルシウムを導入する前にpHを6.9に水酸化ナトリウムで調整する。エーレンマイヤーは27℃で44時間、325rpmの速度で回転スターラーで撹拌する。44時間経過後、上記カルチャー2.5mlを滅菌条件下で、300−mlのエーレンマイヤー中の30mlの生産培地に加える。生産培地は25g/lの大豆粉、7.5g/lの澱粉、22.5g/lのグルコース、3.5g/lの補充酵母、0.5g/lの硫酸亜鉛および6g/lの炭酸カルシウムから成る。炭酸カルシウムを導入する前にpHを6.0に塩酸で調整する。エーレンマイヤーは27℃で24、28および32時間撹拌する。各時間で、10gの果膠が均質なエーレンマイヤー中で計られ、これに62.5%のアセトニトリルおよび37.5%の0.1M KH2PO4溶液(H3PO4でpHを3.0に調整)から成る20mlの移動相(そしてこれはプリスチナマイシンの抽出を可能にする)を加える。スターラーで室温にて20分間撹拌(325rpm)した後、全体を濾紙により濾過し、そしてプリスチナマイシンを実施例5.1.1.Aに記載するようにHPLCにてアッセイする。
結果は、実施した発酵条件下で突然変異体SP92:pVRC505は対照であるSP92と同等量のプリスチナマイシンIを生産し、これは試験した3回の場合でそうであった。対照的に対照は約70%のプリスチナマイシンIIAおよび30%のプリスチナマイシンIIBを、24、28および32時間の発酵で生産し、突然変異体SP92::pVRC505はプリスチナマイシンIIBを100%、これらと同時に生産し、その量はSP92株が生産したプリスチナマイシンIIA+プリスチナマイシンIIBの総和に等しかった。したがって突然変異体はまさにプリスチナマイシンIIの生合成段階(これは中間体プリスチナマイシンIIBのD−プロリンの2,3結合の酸化に対応する)でブロックされた。したがってこの突然変異体はプリスチナマイシンIIBを蓄積する。これはプリスチナマイシンIIBからプリスチナマイシンIIAへの転換におけるSnaAの機能的関与をよく表している。
この実施例は生合成に関するクローン化遺伝子から出発して、プリスチナマイシンの生合成段階で突然変異した株を構築できることを示している。これはプリスチナマイシンIIに関しても示されたが、ストレプトグラミンの種々の成分に関して応用することにより、同じ結果がプリスチナマイシンIについても得ることができる。種々の中間体を生産する株はこのように得ることができる。これら株は化学的、生化学的、酵素的などの修飾(1つまたは複数)により新規分子を生産するために使用できる。1つ、または他のストレプトグラミンの成分の生合成経路の初期段階でのブロックにより、唯一の、または他の成分を生産するようにされた突然変異株も導くことができる。
9.2 samS遺伝子が分断されたエス.プリスチナエスピラリス(S.pristinaespiralis)SP92の突然変異体の構築
この実施例ではsamS遺伝子の破壊により、野生型のSP92株に比較して35%低いPIA、および10倍多いPIB(その化学構造を第2図に示す)を生産するエス.プリスチナエスピラリス(S.pristinaespiralis)SP92株をどのように構築できるかを説明する。この突然変異体はsamS遺伝子にコードされるタンパク質に関して推定されるSAMシンターゼ機能を確証し、そして野生型SP92株よりも多いPIBを合成する株を得ることを目的として構築された。
9.2.1. プラスミドpVRC702の構築
プラスミドpXL2045(実施例6.3に記載される)から、3.2−kbのBamHI−EcoRI断片を酵素的開裂により単離し、そして1%のアガロースゲルの電気泳動の後Genecleanキット法で精製した(実施例6.8参照)。この断片はsnaB遺伝子およびsamS遺伝子(第16図)を持つ。この断片を次に以下の方法によりプラスミドpUC18中にクローン化した:50ngのpUC18を酵素EcoRIおよびBamHIを使用する二重消化により直線化し、そしてTS DNAリガーゼ(バルオラボズ)の存在下で300ngの3.2−kbのBamHI−EcoRI断片と連結した。E.coli TG1株のコンピテント細胞をこの連結混合物で形質転換した後、この3.2−kbの挿入物を有するプラスミドpUC18を持つ組換えクローンを単離でき、そしてこれをpVRC701と命名した(第26図)。
プラスミドpVRC702は、のsamS遺伝子(第27図)の中央に位置する2つのSstI部位の間に、アムラマイシンおよびゲニチシンに対する耐性をコードするamR遺伝子を持つカセットを導入することによりプラスミドpVRC701から派生する。このために、QamRカセットを持つ2.2−kbのBamHI−BamH断片が最初にプラスミドpHP450QamR(J.L. Pernodet、Laboratoire de Genetiqe d'Oesayに与えられている)から、上記と同様な手法を使用してBamHI消化により単離された。200ngのこの断片を、酵素BamHIで直線化した50ngのプラスミドpUC1318(KayおよびMacpherson、1987)と連結し、そしてこの連結混合物をE.coli TG1株のコンピテント細胞に導入した。QamRカセットを含有するプラスミドpUC1318を有する組換えゾーンから、酵素Sst1を使用する部分開裂によりQamRカセットを含有する50ngの2.2−kbのSst1−Sst1断片を再単離することができ、そしてこの断片を30ngのSst1(第26図)で切断したプラスミドPVRC701と連結し、E.coli TG1細胞で形質転換した後、プラスミドPVRC702を得、その構造を第27図に表す。
これにより得たプラスミドpVRC702を上記実施例2.1に記載したように大量に調製した。
9.2.2.samS::QamR染色体遺伝子を有する株の構築
この株はエス.プリスチナエスピラリス(S.pristinaespiralis)のプロトプラストを1μgの自殺プラスミドpVRC702(これはストレプトミセス(Streptomyces)細胞中では複製できない)で形質転換することにより得られた。プロトプラストの調製法およびその形質転換法は、上記(実施例9.1)と同じである。実施例10.1に関しては抗生物質の選択について変更しただけである。本場合には30℃でR2YE培地で18時間再生した後、組換えプロトプラストを50μg/mlのゲニチシン(シグマ化学社)存在下で選択した。すなわち383μg/mlのゲニチシンを含有する3mlのSANを各R2YE培地の皿に上層した。
このように500個のゲニチシン−耐性クローンを単離することができ、これは染色体とプラスミドsamSとの間の単一相同的組換え後のプラスミドpVRC702の染色体への統合か(単一交差の場合)、あるいは二重相同的組換え後の染色体samS遺伝子とプラスミドsamS::QamRプラスミド遺伝子の交換の結果(二重交差の場合)のいずれかの結果でありうる。この2つの適例において、QamRカセットは株の染色体上に転移され、そして世代にわたって安定なamR耐性を付与する。
組換えクローンをプレートにまき、そして最終的に50μg/mlのゲニチシンを含有するHT7培地で生育させ、そしてコロニーハイブリダイゼーション法により単離する。実施例9.1に記載されるように、pVRC702および対応するpUC18に由来する2.7kbのBamH1−EcoRI断片から得た第一プローブでのクローンのハイブリダイゼーション、ならびにQamRカセットを持つ2.2−kbのBamH1断片に対応する第2プローブでのハイブリダイゼーションは、単一交差(両方のプローブとハイブリダイズする)を二重交差(第2プローブとのみハイブリダイズする)から区別することを可能にする。これにより選択される二重交差から生じる3つのクローンを、プレートにまいて、そして終濃度が50mg/mlのゲニチシンを含有るすYVD培地で生育させ、そして胞子のストックを得た。
3つの二重組換え体のゲノム構造を確認するために、これらのクローンを酵素EcoRIおよびBamHIで消化した染色体DNAの様々なサザンブロットを作成し、そして以下の3つのプローブとハイブリダイズさせた:pVRC702の2.2−kbのBamHI断片から得たQamRカセットに対応するプローブ、pVRC701の2.7−kbのBamHI−EcoRI断片から得たpUC18に対応するプローブ、そして最後にsnaB遺伝子を持ち、かつsamSの始まりであるpVRC701の1.3−kbのEcoRI−SstI断片から得たプローブ。これらのハイブリダイゼーションにより試験した3つのクローンがまさに、QamRカセットにより妨害された突然変異samS遺伝子により完全な染色体samS遺伝子置換を可能にする二重相同的組換えの結果であることを確証することができる。
これら3つのうちの1つの突然変異クローンをSP92samS::QamRと命名した。
9.2.3.突然変異株samS::QamR株によるプリスチナマイシンの生産
この実施例では破壊されたsamS遺伝子を持つ突然変異体SP92samS::QamRが野生型のSP92株に比較して35%低いプリスチナマイシンIA、および10倍多いプリスチナマイシンIBを生産することをどのように測定するかを説明する。
突然変異体SP92samS::QamRならびに対照SP92株は液体培地で培養し、そしてそれらの生産物のプリスチナマイシンIIおよプリスチナマイシンIを実施例9.1に記載したようにアッセイした。
結果は、実施した発酵条件下で突然変異体SP92samS::QamRは対照であるSP92と同等量のプリスチナマイシンIIを生産し、これは試験した3回の場合でそうである。対照的に突然変異体SP92samS::QamRは対照株よりも約35%低いプリスチナマイシンIAおよび10倍多いプリスチナマイシンIBを、試験した3回のすべてについて生産する。したがってプリスチナマイシンのIB形は突然変異体SP92samS::QamRが生産する全プリスチナマイシンI型の集合の20%を表し、一方対照株はPIBを1%のオーダーで生産するのみである。プリスチナマイシンのIB形がIA形と異なる点は、プリスチナマイシンIAの第5番残基がp−ジメチルアミノフェニルアラニンの代わりにりp−メチルアミノフェニルアラニンである点である。突然変異体SP92samS::QamRがより多くのプリスチナマイシンIBを生産し、そしてより少ないプリスチナマイシンIBを生産するという事実は、samS遺伝子の破壊がプリスチナマイシンIの第5残基のメチル化の程度を減少させ、したがってsamS遺伝子はおそらくメチル基供与体、SAMの生合成に関与し、すなわちそれはSAMシンターゼをコードする。
9.3 papA遺伝子が破壊されたエス.プリスチナエスピラリス(S.pristinaespiralis)SP92の突然変異体の構築
この実施例ではpapA遺伝子の破壊により、もはやPIを生産しないエス.プリスチナエスピラリス(S.pristinaespiralis)SP92株をどのように構築できるかを説明する。この突然変異体はpapAタンパク質の機能を確認することを目的として構築された。その構築は実施例9.1に記載したように自殺プラスミドpDH5を使用して行われた。
9.3.1. プラスミドpVRC508の構築
この実施例ではエス.プリスチナエスピラリス(S.pristinaespiralis)SP92中では複製せず、そして単一相同的組換えによりpapA遺伝子を破壊するために使用できるプラスミドをどのように構築できるかを説明する。
プラスミドpVRC508は実施例7.7に記載されるプラスミドPVRC903から、papA遺伝子が破壊されたSP92染色体突然変異体を作成するように構築された。
実施例7.7において、papA遺伝子のシークエンシングを目的として1.4−kb PvuII−EcoRI断片のM13mp18(プラスミドpVRC903から)へのクローニングが記載された(この断片はベクターpVRC900中に存在する1.4kbのPvuII−XhoI断片に対応する、第23図)。
M13mp18中のこの構築物を、制限酵素HindIIIおよびEcoRIで消化した。ベクターM13mp18およびpapA遺伝子を含有する1.4−kb断片を0.8%のアガロースゲルで分離後、後者の断片をGeneclean(バイオ101 ラ ジョラ カリフォルニア)により単離、そして精製した。papA遺伝子中の断片の位置を第23図に表す。
制限酵素HindIIIおよびEcoRIを使用した二重消化により直線化した100ngのベクターpDH5を、実施例3.3に記載されたように200ngの1.4−kbの断片と連結した。所望の断片を持つクローンをTG1株での形質転換後、単離した。この組換えプラスミドをpVRC508と命名した。プラスミドpVRC508は実施例2.1に記載されたように調製した。その制限マップを第28図に表す。
9.3.2. 相同的組み換えによりpapA遺伝子が破壊されたSP92突然変異体の単離
この実施例ではpapA遺伝子が破壊されたエス.プリスチナエスピラリス(S.pristinaespiralis)の突然変異体をどのように構築できるかを説明する。この突然変異体は自殺プラスミドpVRC508によるSP92株の形質転換により単離した。プロトプラストの調製およびその形質転換は、実施例9.1に記載されているように行った。SP92のプロトプラストを形質転換した後、組み換え体を2.6mg/mlのチオストレプトンを含有するで3mlのSNA培地を上層させて選択した。1μgのプラスミドpVRC508で5回実施した5回の形質転換の中で、10個のチオストレプトン−耐性クローンが単離された。これは1μgのDNAあたり約2の組み換え効率である。これらの組み換え体はSP92株の染色体が持つpapA遺伝子と1.4kbの自殺プラスミドpVRC508の断片との間の単一相同的組み換えの結果である。
組み換え体の胞子を400μg/mlのチオストレプトンを補充したR2YE培地にまいて生育させ、そして再度同一培地にまいて単離コロニーを得ることにより単離した。
プラスミドpVRC508の統合位置を確認するために、数種の組み換えクローンの全DNA(上記のように精製した)の種々のサザンブロットが作成され、そしてManiatisら(1989)に記載されたように[α−32P]−dCTPでランダムプライミングにより標識した後、連続的にプローブとして使用したベクターpDH5および1.4−kb断片とハイブリダイズさせた。ハイブリダイゼーションの結果では制限酵素EcoRIで消化した(1.4−kbの断片の周辺を含む部位)の組み換え体クローンのゲノム中から6.8−kbのEcoRIバンドが消失し、そして対照のSP92株と比較してにさらに1.4−kb断片とハイブリダイズする2.4kbのもの、および他のpDH5および1.4−kb断片の両方とハイブリダイズする10.5kbのものの出現が示される。制限酵素PstIによる組換えクローンの消化では対照のSP92株と比較してにさらに1.4−kb断片とハイブリダイズする1.0kb、ならびに他のpDH5および1.4−kb断片の両方とハイブリダイズする5.1kbの出現が示される。これらの中の1つをSP92::pVRC508と命名した。
9.3.3 突然変異体SP92:pVRC508によるプリスチナマイシンの生産
この実施例ではプラスミドpVRC508の統合によりpapA遺伝子が破壊されたエス.プリスチナエスピラリス(S.pristinaespiralis)SP92の突然変異体が、もはやPIを生産しないことをどのように測定するかを説明する。
突然変異体SP92::pVRC508、同様に対照としてSP92株を液体生産培地で培養した。発酵およびプリスチナマイシンIおよびIIのアッセイは実施例9.1に記載されたように行った。
結果は、実施した発酵条件下で対照SP92株は標準的な量のプリスチナマイシンIを生産したが、突然変異体SP92:pVRC508は微量のI型プリスチナマイシンも発酵果膠中に検出されなかった。さらに突然変異体SP92:pVRC508によるプリスチナマイシンIIの生産はSP92対照と等しかった。突然変異体SP92:pVRC508はプリスチナマイシンIIのみを生産するようにされた。これらの結果はpapA遺伝子がプリスチナマイシンIの生合成に関与することを明らかに表している。
突然変異体SP92:pVRC508中で行われる破壊の有極性が無いことを確認するために、後者をp−ジメチルアミノフェニルアラニンの存在下で発酵させた。突然変異体SP92:pVRC508は上記のように発酵させ、さらに100mg/mlのp−ジメチルアミノフェニルアラニンを発酵17時間後に加えた。このような相補性の条件下で、突然変異体SP92:pVRC508はSP92株が生産するプリスチナマイシンIと等量のプリスチナマイシンIを生産した。プリスチナマイシンIIの生産は両方の株で等量である。これにより突然変異体SP92:pVRC508のp−ジメチルアミノフェニルアラニンの生合成に参加する遺伝子(papA遺伝子)がまさに破壊されているので、プリスチナマイシンを生産しないことが結論できる。この突然変異体のp−ジメチルアミノフェニルアラニンの相補性は、プリスチナマイシンIを生産する能力を再保有し、この突然変異が他のプリスチナマイシンI前駆体、またはこれらの前駆体の縮合に対して極性効果を持たないことを証明する。
この実施例では生合成に関与するクローン化遺伝子から出発して、プリスチナマイシン(特にプリスチナマイシンI)の生合成段階で突然変異した株が構築できることを示す。またこの実施例は、この研究法により、特にプリスチナマイシンIIを生産するエス.プリスチナエスピラリス(S.pristinaespiralis)株を、特にプリスチナマイシンIを生産する株に拡張することにより構築できることを示す。この研究法はまた、トレプトグラミンを生産する放線菌類の他の株にも使用することができる。
9.4 snbA遺伝子が破壊されたエス.プリスチナエスピラリス(S.pristinaespiralis)SP92の突然変異体の構築
この実施例ではsnbA遺伝子の破壊により、もはやプリスチナマイシンIを生産しないエス.プリスチナエスピラリス(S.pristinaespiralis)SP92株をどのように構築できるかを説明する。この突然変異体はSnbAタンパク質の機能を確認することを目的として構築された。その構築は実施例9.1に記載したように自殺プラスミドpDH5を使用して行われた。
9.4.1. プラスミドpVRC404の構築
この実施例ではエス.プリスチナエスピラリス(S.pristinaespiralis)SP92中では複製せず、そして単一相同的組換えによりsnbA遺伝子を破壊するために使用できるプラスミドをどのように構築できるかを説明する。
プラスミドpVRC404は実施例6.2に記載されるプラスミドpVRC402から、snbA遺伝子が破壊されたSP92染色体突然変異体を作成するように構築された。プラスミドpVRC402を制限酵素XhoIおよびHindIIIで消化する。このような断片を0.8%のアガロースゲル電気泳動で分離後、snbA遺伝子の内部を含有する1170−bpの断片をGeneclean(バイオ101、ラ ジョラ カリフォルニア州)で単離そして精製した。snbA遺伝子中の断片の位置は第15図に示す。
SmaI消化により直線化された100ngのベクターpDH5を実施例3.3に記載された200ngの1173−bp断片と連結した。所望の断片を持つクローンをTG1株の形質転換後に単離した。組換えプラスミドをpVRC404と命名した。プラスミドpVRC404を実施例2.1に記載されるように調製した。その制限マップを第29図に示す。
9.4.2.相同的組み換えによりsnbA遺伝子が破壊されたSP92突然変異体の単離
この実施例ではsnbA遺伝子が破壊されたエス.プリスチナエスピラリス(S.pristinaespiralis)SPの突然変異体をどのように構築できるかを説明する。
この突然変異体は自殺プラスミドpVRC404によるSP92株の形質転換により単離した。プロトプラストの調製およびその形質転換は、実施例9.1に記載されているように行った。SP92のプロトプラストを形質転換した後、組み換え体を2.6mg/mlのチオストレプトンを含有するで3mlのSNA培地を上層させて選択した。1μgのプラスミドpVRC404で5回実施した5回の形質転換の中で、約30個のチオストレプトン−耐性クローンが単離された。これは1μgのDNAあたり約5の組み換え効率である。これらの組み換え体はSP92株の染色体が持つsnbA遺伝子と1170bpの自殺プラスミドpVRC404の断片との間の単一相同的組み換えによる統合の結果である。組み換え体の胞子を400mg/mlのチオストレプトンを補充したR2YE培地にまいて生育させ、そして再度同一培地にまいて単離コロニーを得た。プラスミドpVRC404の統合位置を確認するために、数種の組み換えクローンの全DNA(上記のように精製した)の種々のサザンブロットが作成され、そしてManiatisら(1989)に記載されたように[α−32P]−dCTPでランダムプライミングにより標識した後、連続的にプローブとして使用したベクターpDH5および1170−bp断片とハイブリダイズさせた。ハイブリダイゼーションの結果では制限酵素XhoIおよびHindIIIで消化した組み換え体クローンのゲノム中から、対照のSP92株(ベクターpDH5+1.17kb)と比較してにさらにpDH5および1170bp断片の両方とハイブリダイズする4.7−kbのXhoI−HindIIIバンドの出現が示される。制限酵素Pf1MI(1170−bpのXhoI−HindIII断片を含む部位)による組換えクローンの消化では、3.1−kbのPf1MI−Pf1MIバンドが消失し、そして両方のプローブにハイブリダイズする8.8kbのバンドの出現が示される。これらの結果は分析したクローンのゲノム構造は、まさにpVRC404と染色体snbA遺伝子間の単一相同的組換え後起こったものと思われる。これらの中の1つをSP92::pVRC404と命名した。
9.4.3 突然変異体SP92:pVRC404によるプリスチナマイシンの生産
この実施例ではプラスミドpVRC508の統合によりsnbA遺伝子が破壊されたエス.プリスチナエスピラリス(S.pristinaespiralis)SP92の突然変異体が、もはやPIを生産しないことをどのように測定するかを説明する。
突然変異体SP92::pVRC404、同様に対照としてSP92株を液体生産培地で培養した。発酵およびプリスチナマイシンIおよびIIのアッセイは実施例9.1に記載されたように行った。結果は、実施した発酵条件下で対照SP92株は標準的な量のプリスチナマイシンIを生産したが、突然変異体SP92:pVRC404は微量のI型プリスチナマイシンも発酵果膠中に検出されなかった。さらに突然変異体SP92:pVRC404によるプリスチナマイシンIIの生産はSP92対照と等しかった。突然変異体SP92:pVRC404はプリスチナマイシンIIのみを生産するようにされた。これらの結果は、実施例5.2の精製中に示されたようにsnbA遺伝子がプリスチナマイシンIの生合成に関与するタンパク質SnbAをコードすることを明らかに表している。
この実施例では前記条件と同様に生合成に関与するクローン化遺伝子から出発して、プリスチナマイシン(特にプリスチナマイシンI)の生合成段階で突然変異した株が構築できることを示す。またこの実施例は以下の実施例9.5に記載するように、この研究法により、特にプリスチナマイシンIIを生産するエス.プリスチナエスピラリス(S.pristinaespiralis)株を、プリスチナマイシンIを特に生産する株に拡張することにより構築できることを示す。同様な研究法もまた、ストレプトグラミンを生産する放線菌類の他の株にも使用することができる。
9.5 おそらくプリスチナマイシンIIの生合成に関与するペプチドシンターゼをコードするsnaD遺伝子が破壊されたエス.プリスチナエスピラリス(S.pristinaespiralis)SP92の突然変異体の構築
この実施例ではおそらくプリスチナマイシンIIの生合成に関与するペプチドシンターゼをコードするsnbA遺伝子の破壊により、もはやプリスチナマイシンIIを生産しないエス.プリスチナエスピラリス(S.pristinaespiralis)SP92株をどのように構築できるかを説明する。この突然変異体はsnaD遺伝子の機能を確認し、そしてプリスチナマイシンIのみを生産するようにされたSP92株由来の株を得ることを目的として構築された。
その構築は実施例6.8に記載したように、E.coli中でのみ複製でき、そしてストレプトミセス(Streptomyces)中で発現する耐性マーカーを持つ自殺プラスミドpDH5由来のプラスミドPVRC1000を使用して行われた(実施例9.1を参照のこと)。
9.5.1. プラスミドpVRC1000の構築
この実施例ではエス.プリスチナエスピラリス(S.pristinaespiralis)SP92中では複製せず、そして単一相同的組換えによりsnaD遺伝子を破壊するために使用できるプラスミドをどのように構築できるかを説明する。snaD遺伝子の一部を持つプラスミドpVRC1000構造は実施例6.8に記載される。
9.5.2.相同的組み換えによりsnaD遺伝子が破壊されたSP92突然変異体の単離
この実施例ではsnaD遺伝子が破壊されたエス.プリスチナエスピラリス(S.pristinaespiralis)SP92の突然変異体をどのように構築されたかを説明する。この突然変異体はSP92を自殺プラスミドpVRC1000で形質転換株して単離した。プロトプラストの調製およびその形質転換は、実施例9.1に記載されているように行った。1mgのpVRC1000で行った5回の形質転換の中で約1500個のチオストレプトン−耐性クローンを単離した。これは1μgのDNAあたり約375の組み換え効率である。これらの組み換え体はSP92株の染色体が持つsnaD遺伝子と自殺プラスミドpVRC1000の1.5kbpのBamHI−SstI断片との間の単一相同的組み換えの結果である。約20個の組換え体が400μg/mlのチオストレプトンを含有するR2YE培地上でサブクローン化され、そしてこれら組換え体の胞子を再度400μg/mlのチオストレプトンを補充したR2YE培地にまいて生育させることにより単離した。
プラスミドpVRC1000の統合位置を確認するために、上記のように精製した7種の組み換えクローンの全DNAの種々のサザンブロットが作成され、そして実施例9.1に記載されたように[α−32P]−dCTPで標識した後、連続的にプローブとして使用したベクターpDH5および1.5kbの断片とハイブリダイズさせた。ハイブリダイゼーションの結果では7個の組換えクローンで、これら2つのプローブハイブリダイズする13.8−kbのEcoRIバンドおよび約17−kbのBalIIバンド、ならびに1.2kbのBamH−SstIプローブとハイブリダイズする3.7kbのEcoRIバンドの出現を示す。これらの中の1つをSP92::pVRC1000と命名し、これは単一相同的組換えによりsnaD遺伝子中にプラスミドpVRC1000が統合されていることによく対応する。
9.5.3 突然変異体SP92:pVRC1000によるプリスチナマイシンの生産
この実施例ではプラスミドpVRC1000の統合によりsnaD遺伝子が破壊されたエス.プリスチナエスピラリス(S.pristinaespiralis)SP92の突然変異体が、もはやプリスチナマイシンIIを生産しないがプリスチナマイシンIのみを生産することをどのように測定するかを説明する。突然変異体SP92::pVRC1000、同様に対照としてSP92株を液体生産培地で培養し、そしてプリスチナマイシンIIおよびIの生産を実施例9.1に記載したようにアッセイした。
結果は、実施した発酵条件下で、そして試験したすべての場合で、突然変異体SP92:pVRC1000は0mg/mlのプリスチナマイシンIIを生産し、そしてプリスチナマイシンIの生産量はSP92対照と等しかった。したがって突然変異体はプリスチナマイシンIIの生合成段階でまさにブロックされ、これはsnaD遺伝子がプリスチナマイシンIIの生合成に関与する酵素をコードし、そしてそれはまさしくペプチドシンターゼであろうことを示す。
これらの結果は、前記実施例のように生合成に関与するクローン化遺伝子から出発して、プリスチナマイシン(特にプリスチナマイシンII)の生合成段階で突然変異した株が構築できることを示す。またこの実施例はこの研究法により、特にプリスチナマイシンIを生産するエス.プリスチナエスピラリス(S.pristinaespiralis)株を、特にプリスチナマイシンIIを生産する株に拡張することにより構築できることを示す。同様な研究法もまた、ストレプトグラミンを生産する放線菌類の他の株にも使用することができる。
実施例10:SP92の非生産突然変異株の相補性
この実施例ではプリスチナマイシンの生合成に関する遺伝子をどのように発現できるかを説明する。この発現はより特別にはSP92::SP120から派生した突然変異体中のコスミドpIBV1により保持されるsnaAおよびsnaB遺伝子に関して実施された。この突然変異体はプリスチナマイシンIIAの生産しない。これはプリスチナマイシンII:プリスチナマイシンIIBの生合成経路の最終中間体を蓄積する。
10.1 snaAおよびsnaB遺伝子のシャトルベクターpIJ903中へのクローニング
この実施例ではsnaAおよびsnaB遺伝子を含有するコスミドpIVB1の副断片が、どのようにイー.コリー(E.coli)およびストレプトミセス(Streptomyces)の両方で複製できるベクター中にクローン化できるかを説明する。
ベクターpIJ903(Lydiate D. J.ら、1985)はコピー数が低い(細胞あたり1−3個)シャトルベクターであり、これはpBR322の複製起源の結果としてイー.コリーE.coli中で、そしてSCP2+の複製起源の結果としてストレプトミセス(streptomyces)中で、それらの両方の中で複製でる。アンピシリン耐性遺伝子によりE.coli中での選択が可能であり、そしてチオストレプトン耐性遺伝子によりストレプトミセス(streptomyces)中での選択が可能である。
コスミドpIBVを制限酵素SstIで消化した。snaAおよびsnaB遺伝子を含有する大きな7.6kbのDNA断片を0.8%のアガロースゲル電気泳動および電気溶出により単離した。500ngの断片を、SstIで直線化した100ngのベクターpUC1813(kayおよびMcPherson、1987)と連結した。
E.Coli DH5α株(supE44 ΔlacU169(f80lacZΔMl5)hsdR17 recA1 endA1 gyrA96 thi-1 relA1)での形質転換、および形質転換体を固体LB培地(150μg/mlのアンピシリンおよび20μg/mlのX−galを含有する)で選択した後、7.6−kb断片を持つクローンを単離した。この組換えプラスミドをpVRC506と命名した。この組換えプラスミドの調製は実施例2.1に記載されているように行った。
ベクターpIJ903へのクローニングはHindIII部位で行われた。プラスミドpVRC506をHindIIIで切断し、そしてsnaAおよびsnaB遺伝子を含有する7.6kbの断片を0.8%のアガロースゲル電気泳動および電気溶出により単離した。500ngの断片を、HindIIIで直線化した500ngのベクターpIJ903と連結した。
E.Coli DH5α株での形質転換、および形質転換体を固体LB培地(150μg/mlのアンピシリンを含有する)で選択した後、7.6−kb断片を持つクローンを単離した。この組換えプラスミドをpVRC507と命名した。この組換えプラスミドの調製は実施例2.1に記載されているように行った。そのマップを第30図に示す。
10.2 snaAおよびsnaB遺伝子の突然変異体SP120中での発現
この実施例では対応する構造遺伝子を持つプラスミドをエス.プリスチナエスピラリス(S.pristinaespilalis)中に導入することにより、どのようにしてその株の中でタンパク質SnaAおよびSnaBを生産できるかを説明する。snaAおよびsnaB遺伝子の発現は突然変異体SP120株を500ngのプラスミドpVRC507で形質転換させた後行った。SP120のプロトプラストの形質転換およびチオストレプトンでの形質転換体の選択は実施例9.2.1に記載されているように行った。
多くの形質転換体をこのようにして得、そしてその中の3個を液体培地での生産のため選択した。プラスミドpIJ903を持つSP120株を対照として選択した。発酵および生合成産物の抽出は、実施例9.1.3に記載されているように行った。
結果は実施した発酵条件下で、対照(プラスミドpIJ903を持つSP120)が100%のPIIBおよび0%のPIIAを、24、28および32時間の発酵で生産するのに対して、プラスミドpVRC507で形質転換したSP120株の3つのクローンは同じ時間で約85−80%のプリスチナマイシンIIB、そして15−20%の時プリスチナマイシンIIAを生産し、その総和は対照株(プラスミドpIJ903を持つSP120)のプリスチナマイシンIIBの生産量に等しい。pVRC507を持つクローンはまさにプリスチナマイシンIIの生合成段階が部分的に相補され、これは中間体プリスチナマイシンIIBのD−プロリンの2,3−結合の酸化に対応する。これはプリスチナマイシンIIAシンターゼ活性の酵素活性により実施例5.1.1.Aに記載されるように、pVRC507を持つSP120、およびpIJ903を持つSP120株について確認された。一方pIJ903を持つ対照株SP120は、プリスチナマイシンIIAシンターゼ活性を表さず、pVRC507を持つSP120株がPIIAシンターゼ活性を表す。
この実施例ではストレプトグラミンの生合成に関する遺伝子を発現することができることを示す。発現はよりより詳細にプリスチナマイシンIIAシンターゼをコードする遺伝子に関して調査されたが、他のプリスチナマイシンIIおよびプリスチナマイシンIの生合成に関する遺伝子、ならびに種々のストレプトグラミンの成分の生合成に関与する遺伝子もこのように発現できる。この発現は実施例10の場合のように、突然変異株で行ってもよいが、ストレプトグラミンの生産量レベルを上昇させるために生産株中で行ってもよい。発現は種々のコピー数(低いまたは高い)を持つベクター中、または統合的ベクター中に遺伝子をクローニングすることにより、あるいはこれらの遺伝子のデレギュレーション(deregulation)により、あるいはこれらの遺伝子を相同的なまたは異種のプロモーター(強い、または特別に制御されたプロモーター)の制御下でクローニングすることによりモデファイすることができる。ストレプトグラミンの生合成に関する種々の遺伝子の発現は、ハイブリッド抗生物質を生成するために適当な発現ベクターを使用して異種株中で行ってもよい。
実施例11:E.coli中でのエス.プリスチナエスピラリス(S.pristinaespilalis)のpapM遺伝子の発現
この実施例は、エス.プリスチナエスピラリス(S.pristinaespilalis)遺伝子にコードされるタンパク質を同定し、精製し、そして調査するために、どのようにしてこの遺伝子をE.coli中で発現できるかを説明する。
11.1 プラスミドpVRC706の構築
E.coli中でのpapM遺伝子の発現は、この遺伝子をE.coliのlacZ遺伝子のプロモーターの下流およびリボゾーム結合部位に配置することにより得る。
実施例7.8に記載したように、1.7−kbのMluI−StuI断片をプラスミドpVRC409から単離し、そしてBamHIで切断され、そして続いてクレノー酵素(Maniatisら、1989)で満たされたプラスミドpMT123(Chambersら、1988)中にMluI部位でクローン化し、第31図に示すプラスミドpVRC706を得た。MluI部位でのクローニングは、プラスミドpMTL23のlacZ遺伝子にコードされるβ−ガラクトシダーゼの最初の32アミノ酸とpapMのすぐ上流の遺伝子の最後の11アミノ酸の間のフレイム内融合(in-frame fusion)を可能にする。これによりpapM遺伝子とこの上流遺伝子の間(実施例7.8に示されるヌクレオチド配列の下)に存在することを表す翻訳結合(translation coupling)が保存される。したがってlacZとpapMの上流の遺伝子との間のハイブリッド遺伝子の発現、ならびにpapM遺伝子の発現が、lacZ遺伝子の発現シグナルの制御下にある。
11.2 E.coli DH5a株中でのpapM遺伝子生産物の発現
プラスミドpVRC706およびpMTL23は形質転換によりE.coli DH5a株中に導入され、そしてそれらの遺伝子の発現がlacZ遺伝子のプロモーターがすでに記載されたように(Maniatisら、1989)誘導される条件下で調査された。プラスミドpVRC706または他の対照プラスミドpMTL23を持つE.coli株は500mlのLB富栄養培地(100mg/mlのアンピシリンおよび1mM IPTGを含む)中で培養され、lacZ遺伝子のプロモーターの誘導を可能にした。これらのカルチャーを600nmの光学密度が1の領域に達した時、試料として採取し、そしてタンパク質抽出物を以下に記載するように調製した。
11.3 E.coli中で発現したpamM遺伝子産物の活性アッセイ
papM遺伝子によりコードされるタンパク質に対応する活性を、プラスミドpVRC706またはプラスミドpMTL23を持つE.coliカルチャーから調製された2つの抽出物についてアッセイする実施例5.7)。E.coli::pVRC706株からの抽出調製物は、p−アミノフェニルアラニンのp−ジメチルアミノフェニルアラニンへのメチル化を触媒し、その活性は235単位/mgであり、一方対照E.coli::pMTL23株の抽出物中の活性は無い(実施例5.7.1.Cを参照のこと)。これらの結果はE.coli中でのエス.プリスチナエスピラリス(S.pristinaespilalis)のpapM遺伝子の発現が可能であることを指示し、そして対応するタンパク質はまさに、p−アミノフェニルアラニンをp−ジメチルアミノフェニルアラニンへのメチル化を触媒するタンパク質であることが指示される。この実施例は抗生物質の前駆体あるいはさらに天然またはハイブリッド抗生物質を生産するために、異質株(例えばE.coliのような、しかし他の微生物中でも)中で、適当な発現ベクターを使用してストレプトグラミンの生合成に関する遺伝子を発現させることができることを示す。
実施例12:種々のストレプトミセス(Streptomyces)中のストレプトグラミンの生合成に関与する遺伝子の相同性の実証
この実施例では全DNAのハイブリダイゼーションにより、ストレプトグラミンを生産する種々のストレプトミセス(Streptomyces)株について、ストレプトグラミンの生合成に関与する種々の遺伝子間に存在する相同性を、どのように実証することが可能であるかを説明する。
12.1 ストレプトグラミンを生産する種々のストレプトミセス(Streptomyces)の全DNAの抽出
この実施例ではストレプトグラミンを生産する種々の株のDNAがどのように精製できるかを説明する。これらのストレプトミセス(Streptomyces)株は表1に記載された中から選択された:
ストレプトミセス ロイデンシス(Streptomyces loidensis)
ストレプトミセス オリバセウス(Streptomyces olivaceus)
ストレプトミセス オステログリセウス(Streptomyces osteogriseus)
ストレプトミセス バージニエ(Streptomyces virginiae)
ストレプトグラミンを生産しない株:
ストレプトミセス ハイグロスコピカス(Streptomyces hygroscopicus)を陰性対照として選択した。
YEME培地中のカルチャーから種々の全DNAの抽出を、実施例1に記載されるように行った。
12.2 ストレプトグラミン生産株の全DNAと、プリスチナマイシンの生合成に関与し、エス.プリスチナエスピラリス(S.pristinaespilalis)SP92株から単離された遺伝子のDNA断片とのハイブリダイゼーション
この実施例は前記実施例に記載されたプリスチナマイシンの生合成に関与し、SP92株から単離された遺伝子から出発して、ストレプトグラミン生産株の全DNAのハイブリダイゼーションによりどのように相同的遺伝子が実証できるかを説明する。
プローブとして使用したDNA断片は:
実施例6.5に記載されたpVRC1106から単離された3.9−kbのXhoI−XhoI断片、その制限マップは第18図に示される。
この断片はプリスチナマイシンIシンターゼIIをコードする遺伝子の一部を含む。
実施例6.3に記載されたプラスミドpXL2045から単離された6−kbのBamHI−BamHI断片、その制限マップは第16図に示される。この断片はPIIAシンターゼの2つのサブユニットに関する構造遺伝子を含む。
4種のストレプトグラミン生産株の全DNA、エス.ハイグロスコピカス(S.hygroscopicus)株そしてまたSP92株を、制限酵素BamHIおよびXhoIで消化した。このようにして得られたDNA断片を0.7%アガロースゲルで分離し、そしてManiatisら(1989)により記載されるようにDNAをナイロン膜に移した。3.6kbのXhoI−XhoI断片および6−kbのBamHI−BamHI断片の標識化を、実施例9.2.1に記載したようにランダムプライミングによる標識化により行った。膜のハイブリダイゼーションをホルムアミドの存在下で42℃でManiatisら(1989)に記載されたように行った。ハイブリダイゼーション後の膜の洗浄を50および60℃で、10倍に希釈SSCしおよび0.1%SDS(Maniatisら、1989)を含有する溶液中で行った。
以下の結果がこれらのハイブリダイゼーションで実証された:
エス.ハイグロスコピカス(S.hygroscopicus)株は使用した2つのプローブとのハイブリダイゼーションを示さなかった。
エス.オステオグリセウス(S.osteogriseus)、エス.オリバセウス(S.olivaceus)、エス.ロイデンシス(S.loidensis)およびエス.バージニエ(S.virginiae)の全DNA(BamHIおよびXhoIで消化した)はすべてSP92株の全DNAについて観察されたものに匹敵するハイブリダイゼーションシグナルの強さを使用した両方のプローブについて表す。
エス.バージニエ(S.virginiae)の全DNA(BamHIおよびXhoIで消化した)は使用した両方のプローブとシグナルを示すが、しかしその強さはSP92で観察されたものよりも弱い。
この実施例は前記実施例のように、ストレプトグラミンを生産する種々のストレプトミセス(Streptomyces)がエス.プリスチナエスピラリス(S.pristinaespilalis)SP92株中から単離された遺伝子であり、そしてプリスチナマイシンの生合成に関与する遺伝子とハイブリダイズすることを示す。これらのハイブリダイゼーションはしたがってSP92株のストレプトグラミンの生合成に関与する遺伝子と、ストレプトグラミンの生合成に関与する遺伝子または他のストレプトグラミン生産株との間に相同性が存在することを実証する。
したがってこの実施例はSP92から単離され、そしてストレプトグラミンの生合成に関与する遺伝子から出発して、ハイブリダイゼーションおよびクローニングにより、他のストレプトグラミン生産株に存在する相同的遺伝子を単離することができることを示す。
実施例13:プリスチナマイシンIおよびプリスチナマイシンIIの生合成に関与する種々のエス.プリスチナエスピラリス(S.pristinaespilalis)SP92遺伝子の物理的結合の調査
この実施例ではプリスチナマイシンIおよびIIの生合成に関与する種々のエス.プリスチナエスピラリス(S.pristinaespilalis)SP92遺伝子の物理的結合がどのように調査できるかを説明する。この実施例ではすべてのこれらの遺伝子が染色体上にクラスター状態で一緒に群を成していることを示し、したがってすでに同定された遺伝子から染色体ウォーキングによりプリスチナマイシンIおよびIIの生合成に関与する他の遺伝子をできることを示すことを目的として行われた。このような研究法はストレプトグラミンの生合成に関与する遺伝子に関しても考えられる。
13.1 パスルフィールド電気泳動のために使用する制限酵素
エス.プリスチナエスピラリス(S.pristinaespilalis)SP92ゲノムはGおよびCに70%−75%かたよっているヌクレオチド配列から成る。このゲノムを少数の巨大な断片に切断するために、ATが豊富な配列を認識するAseI(AT/TAAT)およびSspI(AAT/ATT)のような、しかしHindIII(A/AGCTT)、EcoRI(G/AATTC、NdeI(CA/TATG)およびClaI(AT/CGAT)を使用した。
13.2.パスルフィールド電気泳動に使用するプリスチナエスピラリス株
プリスチナマイシンIおよびプリスチナマイシンIIの生合成に関与する遺伝子の物理的結合をパスルフィールド電気泳動により研究するために、数種の株の染色体DNAを使用した。実施例4.1に記載するように、エス.プリスチナエスピラリス(S.pristinaespilalis)SP92株の染色体DNA、および実施例9.1および9.4に構造が記載されるSP92株から派生した株の染色体DNAの試料挿入物を調製した。これらはsnaA遺伝子がプラスミドpVRC505の統合により破壊されたSP92::pVRC505株(実施例9.1)およびsnbA遺伝子がプラスミドpVRC404の統合により破壊されたSP92:pVRC404株(実施例9.4)である。後者の2つの株は、染色体DNAをめったに切断しないプラスミドpVRC505およびpVRC404中のAseI、SspI、HindIII、EcoRI、NdeIおよびClaI部位の存在を利用することにより正確に染色体上にsnaAおよびsnaB遺伝子を位置ずけることができるので、この調査に加えられた。
13.3パスルフィールド電気泳動で単離された断片のハイブリダイゼーションに使用するDNAプローブ
実施例9.1に記載したように、放射標識プローブを得るために、種々のDNA断片を使用し、これを上記3種の染色体DNA試料挿入物を酵素的開裂し、そしてパスルフィールド電気泳動で分離した後の断片とハイブリダイズさせた。プローブは次のとおり:snaBおよびsamS遺伝子を持つプラスミドpVRC701から単離した3.2kbのEcoRI−BamHI断片(実施例9.2参照)、snaD遺伝子の一部を持つプラスミドpVRC1000から単離した1.5kbのBamHI−SstI断片(実施例6.8参照)、snbA遺伝子を持つプラスミドpVRC402から単離した1.1kbのXhoI−HindIII断片(実施例6.1参照)、papA遺伝子を持つプラスミドpVRC900から単離した2.4kbのPstI−PstI断片(実施例6.7参照)、およびsnaC遺伝子を持つプラスミドpVRC509から単離した1.5kbのXhoI−XhoI断片(実施例6.9参照)。
13.4プリスチナマイシンIおよびIIの生合成に関与する種々の遺伝子の染色体上の位置、およびそれらの物理的結合の調査
上述の6つの酵素を使用する単一消化、または二重消化で切断したエス.プリスチナエスピラリス(S.pristinaespilalis)SP92株、SP92::pVRC404およびSP92::pVRC505の染色体DNAの、上記の様々なプローブとのハイブリダイゼーションにより第32図に示す一般的マップが導かれる:プリスチナマイシンPIおよびPIIの生合成に関与する遺伝子の翻訳位置および方向とともに主要部位の位置を指示した。したがって同定された遺伝子を含有する3つの染色体領域(すなわちsnbA、snbR、papAおよびpapM遺伝子(コスミドpIBV2、実施例5.2))、(snaA、snaB、samS、snaD、snbC、snbDおよびsnbE遺伝子(コスミドpIBV1および3、実施例5.1)、(そして最後にsnaC遺伝子(コスミドpIBV4、実施例5.6))を分割する距離を計算できる。例えばsnaAおよびsnbA遺伝子間の距離は、約160−170kbである。これはすでに同定された遺伝子はすべてエス.プリスチナエスピラリス(S.pristinaespilalis)株の200kbのみに含まれることを示し、これは全ゲノム長の3%より少ないものに等しく、パルスフィールド電気泳動法で7500kbと推定できた。
これらの結果はプリスチナマイシンIおよびIIの生合成に関与する遺伝子が染色体上にクラスター状態で一緒に群を成すことを示し、したがってすでに同定された遺伝子の染色体ウォーキングにより、プリスチナマイシンIおよびプリスチナマイシンIIの生合成に関与する他の遺伝子を単離できることを示す。さらに一般的に、任意のストレプトグラミンの生合成に関与する遺伝子から染色体ウォーキングによりこの生合成に関与する他の遺伝子を同定することも可能である。
使用した略号:
DNA: デオキシリボ核酸
AMP: アデノシン5′-1リン酸
ATP: アデノシン5′-3リン酸
ETB: エチジウムブロシド
bis-tris: (ビス[2-ヒドロキシルエチル]イミノトリス[ヒドロキシルメチル]-メタン)
bis-tris プロパン:(1,3-ビス[トリス(ヒドロキシメチル)-メチルアミノ]プロパン)
BSA: ウシ血清アルブミン
HPLC 高性能液体クロマトグラフイー
OD: 光学密度
DTE: ジチオエリスリトール
DTT: ジチオスレイトール
E64: トランス-エポキシスクシンル-L-ロイシルアミノ-(4-グアニジノ)ブタン
EDTA: エチレンジアミン四酢酸
EGTA: エチレングリコールビス(β-アミノエチル)四酢酸
FMN: フラビン モノヌクレオチド
FMNH2: 還元型フラビンモノヌクレオチド
Hepes: (N-[2-ヒドロキシエチル]ピペラジン-N′-[2-エタンスルホン酸])
IPTG: イソプロピルβ-D-チオガラクトピラノシド
kDa: キロダルトン
kb: キロベース
LB: ルリア ブロス(E. coli用の富栄養培地)
NAD: ニコチンアミド ジヌクレオチド
NADH: 還元型ニコチンアミド ジヌクレオチド
PAGE: ポリアクリルアミド ゲル 電気泳動
bp: 塩基対
PMSF: フエニルメチルスルホニル フルオリド
PPi: ピロリン酸塩
rpm: 毎秒回転数
A.S.: 硫酸アンモニウム
SAM: S-アデノシルメチオニン
SDS: ドデシル硫酸ナトリウム
STI: 大豆トリプシン インヒビター
TE: 10mM Tris-Hcl,1mM EDTAを含む緩衝液,pH7.5
Tris: 2-アミノ-2-ヒドロキシルメチル-1,3-プロパンジオール
UV: 紫外線
Xgal: 5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル b-D-ガラクトシド
YEME: 酵母抽出物-麦芽抽出物培地(ストレプトミセス(Streptomyces)の富栄養成長培地)
PEG: ポリエチレン グリコール
LMP: 低融点
MW: 分子量
配列表
(1)一般情報
(i)出願人
(A)氏名:ローヌ−プーラン ローラー エス.エー.
(B)通り:レイモンド アロン アベニュー20
(C)市:アントニー
(E)国:仏国
(F)郵便番号:92165
(ii)発明の名称:ストレプトグラミンの生合成に関するポリペプチド、これらポリペプチドをコードするヌクレオチド配列およびその使用
(iii)配列の数:16
(iv)コンピューター読み取り先:
(A)媒体:テープ
(B)コンピューター:IBM
(C)実行システム:PC−DOS/MS−DOS
(D)ソフトウェア:パテントイン リリース#1.0、バージョン#1.25(EPO)
(2)配列番号1に関する情報:
(i)配列特性
(A)長さ:5392塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖の数:二本鎖
(D)トポロジー:直線
(ii)分子型:cDNA
(iii)仮定:無し
(iii)アンチセンス:無し
(iv)起源
(A)微生物:ストレプトミセス プリスチナエスピラリス
(xi)配列の記載:配列番号1
(2)配列番号2に関する情報:
(i)配列特性
(A)長さ:1269塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖の数:二本鎖
(D)トポロジー:直線
(ii)分子型:cDNA
(iii)仮定:無し
(iii)アンチセンス:無し
(iv)起源
(A)微生物:ストレプトミセス プリスチナエスピラリス
(ix)特徴
(A)名前/キー:CDS
(B)位置:1..1269
(xi)配列の記載:配列番号2
(2)配列番号3に関する情報:
(i)配列特性
(A)長さ:834塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖の数:二本鎖
(D)トポロジー:直線
(ii)分子型:cDNA
(iii)仮定:無し
(iii)アンチセンス:無し
(iv)起源
(A)微生物:ストレプトミセス プリスチナエスピラリス
(ix)特徴
(A)名前/キー:CDS
(B)位置:1..834
(xi)配列の記載:配列番号3
(2)配列番号4に関する情報:
(i)配列特性
(A)長さ:1209塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖の数:二本鎖
(D)トポロジー:直線
(ii)分子型:cDNA
(iii)仮定:無し
(iii)アンチセンス:無し
(iv)起源
(A)微生物:ストレプトミセス プリスチナエスピラリス
(ix)特徴
(A)名前/キー:CDS
(B)位置:1..1209
(xi)配列の記載:配列番号4
(2)配列番号5に関する情報:
(i)配列特性
(A)長さ:1879塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖の数:二本鎖
(D)トポロジー:直線
(ii)分子型:cDNA
(iii)仮定:無し
(iii)アンチセンス:無し
(iv)起源
(A)微生物:ストレプトミセス プリスチナエスピラリス
(ix)特徴
(A)名前/キー:CDS
(B)位置:110..1858
(xi)配列の記載:配列番号5
(2)配列番号6に関する情報:
(i)配列特性
(A)長さ:1833塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖の数:二本鎖
(D)トポロジー:直線
(ii)分子型:cDNA
(iii)仮定:無し
(iii)アンチセンス:無し
(iv)起源
(A)微生物:ストレプトミセス プリスチナエスピラリス
(ix)特徴
(A)名前/キー:CDS
(B)位置:103..1689
(xi)配列の記載:配列番号6:
(2)配列番号7に関する情報:
(i)配列特性
(A)長さ:695塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖の数:二本鎖
(D)トポロジー:直線
(ii)分子型:cDNA
(iii)仮定:無し
(iii)アンチセンス:無し
(iv)起源
(A)微生物:エス.プリスチナエスピラリス
(ix)特徴
(A)名前/キー:CDS
(B)位置:212..695
(D)他の情報:/生産物=“SnaC 遺伝子”
(xi)配列の記載:配列番号7:
(2)配列番号8に関する情報:
(i)配列特性
(A)長さ:640塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖の数:二本鎖
(D)トポロジー:直線
(ii)分子型:cDNA
(iii)仮定:無し
(iii)アンチセンス:無し
(iv)起源
(A)微生物:エス.プリスチナエスピラリス
(ix)特徴
(A)名前/キー:CDS
(B)位置:1..640
(D)他の情報:/生産物=“SnaD 遺伝子”
(xi)配列の記載:配列番号8:
(2)配列番号9に関する情報:
(i)配列特性
(A)長さ:645塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖の数:二本鎖
(D)トポロジー:直線
(ii)分子型:cDNA
(iii)仮定:無し
(iii)アンチセンス:無し
(iv)起源
(A)微生物:エス.プリスチナエスピラリス
(ix)特徴
(A)名前/キー:CDS
(B)位置:61..645
(D)他の情報:/生産物=“papA 遺伝子”
(xi)配列の記載:配列番号9:
(2)配列番号10に関する情報:
(i)配列特性
(A)長さ:1052塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖の数:二本鎖
(D)トポロジー:直線
(ii)分子型:cDNA
(iii)仮定:無し
(iii)アンチセンス:無し
(iv)起源
(A)微生物:エス.プリスチナエスピラリス
(ix)特徴
(A)名前/キー:CDS
(B)位置:84..962
(D)他の情報:/生産物=“papM 遺伝子”
(xi)配列の記載:配列番号10:
(2)配列番号11に関する情報:
(i)配列特性
(A)長さ:227塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖の数:二本鎖
(D)トポロジー:直線
(ii)分子型:cDNA
(iii)仮定:無し
(iii)アンチセンス:無し
(iv)起源
(A)微生物:エス.プリスチナエスピラリス
(ix)特徴
(A)名前/キー:CDS
(B)位置:3..227
(D)他の情報:/生産物=“SnbC遺伝子の一部”
(xi)配列の記載:配列番号11:
(2)配列番号12に関する情報:
(i)配列特性
(A)長さ:247塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖の数:二本鎖
(D)トポロジー:直線
(ii)分子型:cDNA
(iii)仮定:無し
(iii)アンチセンス:無し
(iv)起源
(A)微生物:エス.プリスチナエスピラリス
(ix)特徴
(A)名前/キー:CDS
(B)位置:1..247
(D)他の情報:/生産物=“SnbC遺伝子の一部”
(xi)配列の記載:配列番号12:
(2)配列番号13に関する情報:
(i)配列特性
(A)長さ:192塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖の数:二本鎖
(D)トポロジー:直線
(ii)分子型:cDNA
(iii)仮定:無し
(iii)アンチセンス:無し
(iv)起源
(A)微生物:エス.プリスチナエスピラリス
(ix)特徴
(A)名前/キー:CDS
(B)位置:3..192
(D)他の情報:/生産物=“SnbD遺伝子の一部”
(xi)配列の記載:配列番号13:
(2)配列番号14に関する情報:
(i)配列特性
(A)長さ:474塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖の数:二本鎖
(D)トポロジー:直線
(ii)分子型:cDNA
(iii)仮定:無し
(iii)アンチセンス:無し
(iv)起源
(A)微生物:エス.プリスチナエスピラリス
(ix)特徴
(A)名前/キー:CDS
(B)位置:1..474
(D)他の情報:/生産物=“SnbD遺伝子の一部”
(xi)配列の記載:配列番号14:
(2)配列番号15に関する情報:
(i)配列特性
(A)長さ:485塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖の数:二本鎖
(D)トポロジー:直線
(ii)分子型:cDNA
(iii)仮定:無し
(iii)アンチセンス:無し
(iv)起源
(A)微生物:エス.プリスチナエスピラリス
(ix)特徴
(A)名前/キー:CDS
(B)位置:3..485
(D)他の情報:/生産物=“SnbE遺伝子の一部”
(xi)配列の記載:配列番号15
(2)配列番号16に関する情報:
(i)配列特性
(A)長さ:291塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖の数:二本鎖
(D)トポロジー:直線
(ii)分子型:cDNA
(iii)仮定:無し
(iii)アンチセンス:無し
(iv)起源
(A)微生物:エス.プリスチナエスピラリス
(ix)特徴
(A)名前/キー:CDS
(B)位置:1..291
(D)他の情報:/生産物=“SnbE遺伝子の一部”
(xi)配列の記載:配列番号16:
Claims (20)
- (a)配列番号2に示される塩基配列の遺伝子snaA、配列番号3に示される塩基配列の遺伝子snaB、配列番号7に示される塩基配列の遺伝子snaC、配列番号8に示される塩基配列の遺伝子snaD、配列番号9に示される塩基配列の遺伝子papA、配列番号10に示される塩基配列の遺伝子papM、配列番号4に示される塩基配列の遺伝子samS、配列番号5に示される塩基配列の遺伝子snbA、配列番号11および配列番号12に示される塩基配列の遺伝子snbC、配列番号13および配列番号14に示される塩基配列の遺伝子snbD、配列番号15および配列番号16に示される塩基配列の遺伝子snbE、および配列番号6に示される塩基配列の遺伝子snbR、ならびに
(b)上記の(a)に記載の遺伝子の配列から遺伝暗号の縮重に起因して生じる配列の遺伝子、
から選択されることを特徴とするストレプトグラミンの生合成に関与するポリペプチドをコードするDNA。 - 配列番号2に示される塩基配列の遺伝子snaA、配列番号3に示される塩基配列の遺伝子snaB、配列番号7に示される塩基配列の遺伝子snaC、配列番号8に示される塩基配列の遺伝子snaD、配列番号9に示される塩基配列の遺伝子papA、配列番号10に示される塩基配列の遺伝子papM、配列番号4に示される塩基配列の遺伝子samS、配列番号5に示される塩基配列の遺伝子snbA、配列番号11および配列番号12に示される塩基配列の遺伝子snbC、配列番号13および配列番号14に示される塩基配列の遺伝子snbD、配列番号15および配列番号16に示される塩基配列の遺伝子snbE、および配列番号6に示される塩基配列の遺伝子snbRから選択されることを特徴とする請求項1記載のDNA。
- 請求項2記載のストレプトグラミンの生合成に関与するポリペプチドをコードするDNAを含んで成る組換えDNA。
- 請求項1および2のいずれか1項に記載のDNA、あるいは請求項3および4のいずれか1項に記載の組換えDNAを含んで成ることを特徴とする自律的に複製でき、そして/または統合可能な発現ベクター。
- DNAが、下記の制限酵素の切断位置を示す図式でそれぞれ表される4種のコスミド、ならびに18種のプラスミドであって、コスミドpIBV1、コスミドpIBV2、コスミドpIBV3、コスミドpIBV4、プラスミドpVRC402、プラスミドpVRC501、プラスミドpXL2045、プラスミドpVRC1105、プラスミドpVRC1106、プラスミドpVRC1104、プラスミドpVRC900、プラスミドpVRC1000、プラスミドpVRC509、プラスミドpVRC903、プラスミドpVRC409、プラスミドpVRC505、プラスミドpVRC701、プラスミドpVRC702、プラスミドpVRC508、プラスミドpVRC404、プラスミドpVRC507およびプラスミドpVRC706から選択されることを特徴とする請求項5記載のベクター。
- 請求項1ないし4のいずれか1項に記載のDNA、または請求項5および6のいずれか1項に記載のベクターを含有する組換え細胞。
- 請求項7記載の組換え細胞を培養し、そして生産されたポリペプチドが回収されることを特徴とする、ストレプトグラミンの生合成に関与するポリペプチドの生産方法。
- ストレプトグラミン生産を増幅させるための請求項1および2のいずれか1項に記載のDNAまたは請求項3および4のいずれか1項に記載の組換えDNAのストレプトグラミンを生産する細胞中での使用方法。
- 請求項1ないし4のいずれか1項に記載のDNA、または請求項5および6のいずれか1項に記載のベクターの1つ以上を、ストレプトグラミンまたはストレプトグラミンの前駆体を生産する細胞に導入し、次いで該細胞中で増幅させ、
該細胞をストレプトグラミン生産条件下で培養し、そして
生産されたストレプトグラミンを回収することを特徴とするストレプトグラミンの生産方法。 - プリスチナマイシンまたはバージニアマイシンの生産である請求項10記載の方法。
- ストレプトグラミンを生産する細胞について、配列番号2に示される塩基配列の遺伝子snaA、配列番号3に示される塩基配列の遺伝子snaB、配列番号7に示される塩基配列の遺伝子snaC、配列番号8に示される塩基配列の遺伝子snaD、配列番号9に示される塩基配列の遺伝子papA、配列番号10に示される塩基配列の遺伝子papM、配列番号4に示される塩基配列の遺伝子samS、配列番号5に示される塩基配列の遺伝子snbA、配列番号11および配列番号12に示される塩基配列の遺伝子snbC、配列番号13および配列番号14に示される塩基配列の遺伝子snbD、配列番号15および配列番号16に示される塩基配列の遺伝子snbE、および配列番号6に示される塩基配列の遺伝子snbRから選択される少なくとも1つの生合成経路の遺伝子の突然変異がなされることを特徴とする、ストレプトグラミンの生合成段階でブロックされた細胞を調製する方法。
- 突然変異がin vitroまたはin situで、少なくとも1つの対象とする遺伝子中の塩基のサプレッション、置換、削除もしくは付加または遺伝子破壊により行われることを特徴とする請求項12記載の方法。
- 少なくとも1つの遺伝的修飾を、配列番号2に示される塩基配列の遺伝子snaA、配列番号3に示される塩基配列の遺伝子snaB、配列番号7に示される塩基配列の遺伝子snaC、配列番号8に示される塩基配列の遺伝子snaD、配列番号9に示される塩基配列の遺伝子papA、配列番号10に示される塩基配列の遺伝子papM、配列番号4に示される塩基配列の遺伝子samS、配列番号5に示される塩基配列の遺伝子snbA、配列番号11および配列番号12に示される塩基配列の遺伝子snbC、配列番号13および配列番号14に示される塩基配列の遺伝子snbD、配列番号15および配列番号16に示される塩基配列の遺伝子snbE、および配列番号6に示される塩基配列の遺伝子snbRから選択されるストレプトグラミンの生合成に関与する遺伝子に保有することを特徴とする、ストレプトグラミンを生産する微生物の突然変異体。
- ストレプトグラミンの生合成経路の段階でブロックされた細胞を請求項12記載の方法により調製し、
該細胞を培養し、そして
蓄積された中間体を回収する、
ことを特徴とするストレプトグラミンの生合成の中間体の生産方法。 - ストレプトグラミンの生合成経路の段階でブロックされた細胞を請求項12記載の方法により調製し、
該細胞を培養し、そして
細胞により蓄積された中間体を培養培地から分離した後に適当なところで修飾する、
ことを特徴とするストレプトグラミンから誘導される分子の製造方法。 - 請求項14記載の突然変異体に請求項1ないし4のいずれか1項に記載のDNAまたは請求項5および6のいずれか1項に記載のベクターを導入して、培養することを含んで成る、ストレプトグラミンの生産方法。
- ハイブリッド抗生物質を生成するための請求項1ないし4のいずれか1項に記載のDNAまたは請求項5および6のいずれか1項に記載のベクターの該ハイブリッド抗生物質を生成する細胞中での使用方法。
- 請求項1ないし4のいずれか1項に記載のDNAの発現から生じるポリペプチド。
- 配列番号2に示されるアミノ酸配列のポリペプチドSnaA、配列番号3に示されるアミノ酸配列のポリペプチドSnaB、配列番号7に示されるアミノ酸配列のポリペプチドSnaC、配列番号8に示されるアミノ酸配列のポリペプチドSnaD、配列番号9に示されるアミノ酸配列のポリペプチドPapA、配列番号10に示されるアミノ酸配列のポリペプチドPapM、配列番号4に示されるアミノ酸配列のポリペプチドSamS、配列番号5に示されるアミノ酸配列のポリペプチドSnbA、配列番号11および配列番号に示されるアミノ酸配列のポリペプチド12SnbC、配列番号13および配列番号14に示されるアミノ酸配列のポリペプチドSnbD、配列番号15および配列番号に示されるアミノ酸配列のポリペプチド16SnbEおよび配列番号6に示されるアミノ酸配列のポリペプチドSnbRから選択されるポリペプチド。
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