JP4030403B2 - 乾式シリカの分散方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高速回転剪断型分散機を使用して乾式シリカを極性溶媒に分散させるための新規な分散方法に関する。詳しくは、高速回転剪断型分散機を使用して乾式シリカを極性溶媒に添加し分散するに際し、高濃度化、高分散化が可能な乾式シリカの分散方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
四塩化珪素を原料として酸水素炎中で燃焼させて作る乾式シリカは、透明性が高いことから、インクジェット記録材料やOHP用コート剤の原料として好適に使用されている。
【0003】
上記の乾式シリカは、極性溶媒中に乾式シリカを分散し安定化させた、いわゆる乾式シリカ分散液として各原料に使用されることが多い。
【0004】
かかる乾式シリカ分散液を製造する方法としては、これまで多くの公知の技術が報告されている。
【0005】
例えば、特許文献1に示されるように、極性溶媒中に乾式シリカ微粒子を添加し分散することにより乾式シリカスラリーとした後、これにカチオン性樹脂などの添加剤と混合し、さらに高圧ホモジナイザーや超音波分散機等で微分散処理を行い、乾式シリカ分散液を得る方法が提案されている。さらに特許文献2、特許文献3に示されるように、カチオン性樹脂等の分散助剤等を含む極性溶媒中に乾式シリカを添加し分散して乾式シリカスラリーとした後、さらに高圧ホモジナイザーや超音波分散機等で微分散処理を行い、乾式シリカ分散液を得る方法が提案されている。
【0006】
以下、乾式シリカを極性溶媒中に添加し分散する工程を乾式シリカのスラリー化工程、乾式シリカのスラリー化工程により得られるものを乾式シリカスラリー、さらに高圧ホモジナイザーや超音波分散機等で微分散処理を行った後に得られるものを乾式シリカ分散液と表現する。
【0007】
乾式シリカのスラリー化工程において乾式シリカを極性溶媒に分散させるために使用される分散装置には、一般攪拌機、高速回転剪断型分散機、高速回転遠心放射型攪拌機、混練分散機、及び粉砕分散機などの公知の分散機、またはこれらを複合させたコンビミックスタイプの分散機などを分散槽に備えたバッチ式分散装置、及び乾式シリカ及び極性溶媒を、ポンプ作用によって定量的に分散部分に送り込み、分散を行う連続式分散装置が挙げられる。
【0008】
乾式シリカ分散液を製造する際には、分散液の製造コスト、物流コスト、及び分散液を配合した塗工液の塗工工程における乾燥コストの低減から、分散液の高濃度化、処理時間の効率化が非常に重要である。また、乾式シリカ分散液を製造する上で、乾式シリカのスラリー化工程は必須であり、上記乾式シリカ分散液の高濃度化、処理時間の短縮化を行うためには、まずこのスラリー化工程において、高濃度で、高分散な乾式シリカスラリーを得ることが不可欠である。
【0009】
上記に示した高速回転剪断型分散機を用いて乾式シリカをスラリー化する場合、極性溶媒中に含まれる乾式シリカ濃度が高くなるほどシリカ粒子同士の凝集力が強くなるため、凝集したシリカ粒子を分散しながら乾式シリカを添加しなければならない。従来では、特許文献4にも例示されているように、高速回転剪断型分散機を用いて、分散力をあげるためにタービンの周速を上げることにより、高濃度で、高分散に乾式シリカをスラリー化することが試みられてきた。
【0010】
しかしながら、該高速回転剪断型分散機を用いた乾式シリカのスラリー化工程において、タービンの周速を単に上げただけでは、スラリーの流動状態の悪化、分散機への負荷増大が起こり、得られる乾式シリカスラリーの分散状態は悪く、最悪の場合、スラリーがゲル化するという問題があり、高濃度の乾式シリカスラリーを効率よく得るための分散方法の開発は未だ成功するに至っていない。
【0011】
【特許文献1】
特開平11−321079号公報
【特許文献2】
特開2001−19421号公報
【特許文献3】
特開2002−178626号公報
【特許文献4】
特開2002−178626号公報
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明の目的は、高速回転剪断型分散機を使用して乾式シリカをスラリー化する工程において、高濃度、高分散な乾式シリカスラリーを効率よく、工業的に製造することが可能な方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題について鋭意研究を重ねた結果、高速回転剪断型分散機を用いて乾式シリカをスラリー化する際、単にタービンの周速を単に上昇させる方法では効果がなく、タービンの周速に加えて、タービンの吐出量、乾式シリカの添加速度、及び極性溶媒の重量を特定の関係となるように調整することによって、初めて高濃度で、高分散な乾式シリカスラリーを効率よく製造できることを見出し、本発明を完成させた。
【0013】
即ち、本発明は、タービン径(d)と分散槽内径(D)との比(d/D)が0.05〜0.5である高速回転剪断型分散機を用いて、乾式シリカを極性溶媒中に添加して分散させる方法であって、該高速回転剪断型分散機のタービンの周速(u;m/秒)、タービンの吐出量(Q;kg/秒)、乾式シリカの添加速度(v:kg/秒)、及び極性溶媒の重量(W;kg)が式(1)及び(2)を同時に満足する範囲となる条件下において乾式シリカの分散を行うことを特徴とする乾式シリカの分散方法である。
【0014】
5≦(Q×u2/W)≦200 (1)
A≦(v/W)≦B (2)
【0015】
【数2】
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明において用いられる乾式シリカは、四塩化珪素を原料として酸水素炎中で燃焼させて得られる、「ヒュームドシリカ」とも称されており、特に制限なく使用される。一般に乾式シリカは、比表面積が30〜500m2/gのものが市販されており、これらの乾式シリカは、本発明において好適に使用される。
【0017】
本発明において、対象とする乾式シリカスラリー中のシリカ濃度は、10〜35重量%である。即ち、シリカ濃度が35重量%より高い場合、乾式シリカが極性溶媒中に取り込まれるときの乾式シリカの凝集力が極端に強くなるため、スラリーの流動性が極端に悪くなり、高速回転剪断型分散機を使用した分散が困難となる。また、10重量%より少ない場合、乾式シリカの分散効率が低く、長時間の分散が必要となり好ましくない。
【0018】
本発明において用いられる極性溶媒は、乾式シリカが分散し易い極性溶媒であれば特に制限はない。かかる極性溶媒としては、水やメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、エーテル類、ケトン類などの極性溶媒が使用でき、また、水と上記極性溶媒との混合溶媒も使用できる。さらに、上記の極性溶媒に予め界面活性剤、カチオン性樹脂等の添加剤を配合してもよい。
【0019】
本発明において、高速回転剪断型分散機は、図1に代表的な構造を示すように、分散槽3内で、ステーターと呼ばれる固定環1の内壁に沿い、1mm以内のクリアランスを保った状態でタービン(回転翼)2を高速回転させ、処理液を分散する分散機である。
【0020】
該高速回転剪断型分散機を用いて乾式シリカをスラリー化する際、タービン・ステーター間に発生する剪断力、及びキャビテーションによる衝撃力により、極性溶媒中において凝集する乾式シリカを分散し、極性溶媒中での凝集現象を抑制する。
【0021】
本発明に用いられる高速回転剪断型分散機は、上述した機能を有するものであれば特に限定されない。具体例を挙げると、ウルトラミキサー(みづほ工業製)、ホモジナイザー(IKA製)、ホモミキサー、ホモジェッター(特殊機化工業製)、クリアミックス(エムテクニックス製)、更には該高速回転剪断型分散機にディスパー型の高速回転遠心放射型攪拌機やプロペラ型の一般攪拌機、あるいはアンカー型、プラネタリー型の混練分散機を組み合わせて使用するコンビミックスタイプなどがあるが、好ましくは、極性溶媒の界面中央部にボルテックスを形成させ、添加した乾式シリカがボルテックスによってタービンへと直接的に取り込まれるような流動状態を発生させる分散機、ウルトラミキサー、ホモジェッターを用いるのが好ましい。
【0022】
また、該高速回転剪断型分散機は、前記図1に示すように、タービン径(d)と分散槽内径(D)との比(d/D)が0.05〜0.5、好ましくは、0.1〜0.4の範囲にあるものが使用される。即ち、d/Dが0.05より小さい場合、タービン径に対する分散槽内径が大きすぎるため、特に、分散槽内壁付近における流速が遅くなり、スラリーの分散状態が悪くなる。また、d/Dが0.5より大きい場合、タービン径に対する分散槽内径が小さすぎ、スラリーにかかる剪断力が大きくなりすぎるため、スラリーの流動状態が大きく乱れ、分散機への負荷が増大する。
【0023】
また、本発明に使用する高速回転剪断型分散機は、上記分散槽内径が、50〜1500mm、特に100〜1200mmのものが一般的である。
【0024】
本発明において、極性溶媒は予め高速回転剪断型分散機中に供給され、これに乾式シリカを特定の供給速度で供給して分散が行われる。かかる乾式シリカを極性溶媒中に添加する方法としては、特に限定されず、高速回転剪断型分散機中の極性溶媒の液面に乾式シリカを直接添加する方法、高速回転剪断型分散機のタービン近くに乾式シリカの添加口を設置し、渦の中心部に乾式シリカを添加する方法などが好適に採用される。
【0025】
本発明においては、高速回転剪断型分散機のタービンの周速(u;m/秒)、吐出量(Q;kg/秒)、及び極性溶媒の重量(W;kg)が式(1)の範囲となる条件において乾式シリカを添加し分散を行うことが重要である。
【0026】
5≦(Q×u2/W)≦200 (1)
上記式において、(Q×u2/W)の単位は(J/kg/秒)となるので、(Q×u2/W)は極性溶媒が単位質量、単位時間当たりにタービンに通過するときに与えられる分散エネルギーと考えられる。
【0027】
本発明にあっては、タービンの周速、吐出量、及び極性溶媒の重量によって特定される極性溶媒の単位重量あたりの分散エネルギーを上記一定の範囲内に調整することが重要であり、後記する乾式シリカの添加速度の調整との組み合わせによって、乾式シリカが高濃度で、高分散した乾式シリカスラリーを得ることができる。
【0028】
即ち、前記(Q×u2/W)が式(1)で示される範囲より小さい場合は、スラリーに与える分散エネルギーが不足するため、乾式シリカの分散状態が悪くなり、スラリーのゲル化を引き起こすため好ましくない。また(Q×u2/W)が式(1)で示される範囲より大きい場合は、極性溶媒にかかる剪断力が大きすぎるため、乾式シリカのスラリー化において、スラリーの流動状態の悪化、分散機への負荷増大が起こる。更には、極性溶媒中の取り込まれた乾式シリカの凝集が顕著となり、スラリーがゲル化する。この現象は、乾式シリカを添加した場合、乾式シリカが極性溶媒中に取り込まれる速度は速いが、表面が十分ぬれていない状態で乾式シリカが多量に極性溶媒中に取り込まれるためではないかと推定される。
【0029】
前記タービンの吐出量とは、分散槽内の処理液がタービンに吸引された後、タービン・ステーター間から吐出される量を示している。一般的に吐出量(Q;m3/分)は、タービンの回転数(n;1/分)、タービン径(d;m)、及び吐出係数(K;−)により(3)式で求められる。
【0030】
Q=K×n×d3 (3)
高速回転剪断型分散機を用いる場合、吐出量は0.005〜2m3/分、特に、0.01〜1.5m3/分の範囲で用いることが好ましい。かかる吐出量の調整は、タービンの大きさ、羽根の角度などの形状、タービン・ステーター間のクリアランスなどにより調整することができる。また、タービンの周速は、式(1)の範囲内で、タービンの吐出量、及び極性溶媒の重量を勘案して調整することが好ましい。
【0031】
一般に、乾式シリカは嵩密度が低く、極性溶媒界面において堆積、凝集し易いため、本発明においては、乾式シリカが極性溶媒界面上に堆積しないように添加速度を調整することが必要である。具体的には、高速回転剪断型分散機の運転条件を勘案して乾式シリカの添加速度を決定することが必要である。即ち、乾式シリカの添加速度(v;kg/秒)、及び極性溶媒の重量(W;kg)との比によって表される、極性溶媒の単位重量あたりの乾式シリカの添加速度が、前記式(2)で示される範囲に調整することが重要である。
【0032】
A≦(v/W)≦B (2)
【0033】
【数3】
【0034】
式(2)は、乾式シリカの添加速度を、極性溶媒にかかる分散エネルギーとの関係で一定の範囲内に保った状態で調整することを示している。即ち、(v/W)が式(2)で示される範囲より小さいときは、乾式シリカの添加速度が遅く、乾式シリカをスラリー化するのに要する時間がかかるため、工業的生産には適さない。また式(2)で示される範囲より大きいときは、逆に添加速度が速くなりすぎて分散しきれず、スラリーがゲル化するため、好ましくない。即ち、本発明において、乾式シリカのスラリー化において、高濃度で、高分散に、且つ効率よくスラリー化するためには、式(2)の範囲を満足することが重要である。
【0035】
本発明において、前述した式(1)及び(2)に示した分散条件を同時に満足することが極めて重要であり、どちらかひとつの条件を欠いても、高濃度で、高分散に、且つ効率よくスラリー化することができない。
【0036】
乾式シリカ分散液の粘度は、インクジェット記録材料やOHP用コート剤の塗工液として使用する際に、低粘度であることが好ましい。従って、本発明の方法を採用することによって、乾式シリカをスラリー化する途中、及びスラリー化後に得られる乾式シリカスラリーの粘度は、1000mPa・s、特に500mPa・s以下に維持することが可能であり、これによって、塗工液に使用するに適した乾式シリカ分散液の製造が可能となる。
【0037】
また、本発明において、乾式シリカをスラリー化する場合、乾式シリカが高濃度になるほど、分散による発熱が多くなるため、乾式シリカのスラリー化を行うときの温度を、15℃以上40℃以下の範囲に保ちながら行うことが好ましい。温度を保つ方法としては、分散槽に加熱用または冷却用ジャケットを設置し、温度を一定に保つ方法が挙げられる。
【0038】
【発明の効果】
以上の説明で理解されるように、本発明の乾式スラリーの分散方法は、高濃度で、高分散に、且つ効率よく乾式シリカを極性溶媒に分散させてスラリー化を行うことが可能であり、工業的に極めて有用な方法である。
【0039】
そして、得られた乾式シリカスラリーは、必要に応じて、更なる分散機により処理して乾式シリカ分散液とし、例えば、インクジェット記録用シートの塗工液の原料などとして好適に使用できる。
【0040】
【実施例】
以下、本発明の実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら制限されるものではない。
【0041】
尚、乾式シリカの分散状態を評価するために、下記の方法により行った。
【0042】
(乾式シリカの分散状態の評価)
処理液の可視光吸収スペクトルを、分光光度計(日本分光製)を用いて測定した。まず、光路長10mmのセルを用い、参照セル及び試料セルにそれぞれイオン交換水で満たし、全波長範囲にわたってゼロ点校正を行った。次に処理液の濃度を1.5重量%になるようにイオン交換水で希釈し、試料セルに該希釈液を入れて、測定波長(λ)460〜700nmの範囲の吸光度(τ)を測定した。log(λ)とlog(τ)をプロットし、下記に示す式(4)を用いて直線の傾き(−n)を最小二乗法により求めた。
【0043】
τ=αλ−n (4)
こうして求めたnは光散乱指数と呼ばれ、本発明における乾式シリカの分散状態を示す指標として採用した。nが高いほど乾式シリカの分散状態が良いことを示す。
【0044】
(粘度の測定)
乾式シリカスラリー300gを500cc容器に採取し、B型粘度計(トキメック製、BL)を用いて60rpmの条件においてスラリーの粘度を測定した。
【0045】
実施例1
乾式シリカの分散条件において、周速uを9.4(m/秒)、吐出量Qを0.61(kg/秒)に設定した。予め分散槽にイオン交換水を1600g仕込んだ後、比表面積300m2/gの乾式シリカ粉(レオロシールQS30、トクヤマ製)500gを分散槽に添加しながら、ウルトラミキサー(みづほ工業製)によりスラリー化を行った。このときの添加速度v/Wを2.1×10−4(1/秒)、d/Dを0.30とした。分散条件を表1に、このときの得られた乾式シリカスラリーの物性を表2に示す。このときの分散エネルギー(Q×u2/W)は33.7(J/kg/秒)であり、分散エネルギー及び添加速度は、式(1)、(2)の範囲内であった。得られた乾式シリカスラリーのn値は2.7であり、乾式シリカの分散状態は良好であった。
【0046】
比較例1
周速uを4.7(m/秒)、吐出量Qを0.30(kg/秒)、添加速度v/Wを5.6×10−5(1/秒)、及び乾式シリカの添加量300gに変更した以外は実施例1と同様のスラリー化を行った。分散条件を表1に、このときの得られた乾式シリカスラリーの物性を表2に示す。このときの分散エネルギー(Q×u2/W)は4.2(J/kg/秒)であり、分散エネルギーが式(1)の範囲より小さかったため、得られた乾式シリカスラリーのn値は1.7であり、乾式シリカの分散状態が悪かった。
【0047】
比較例2
周速uを18.8(m/秒)、吐出量Qを1.22(kg/秒)、添加速度v/Wを4.7×10−4(1/秒)に変更した以外は、実施例1と同様のスラリー化を行った。乾式シリカ添加開始後、乾式シリカ粉は迅速にイオン交換水中に取り込まれていたが、乾式シリカ粉の添加量が480gになった時点で流動性が急激に悪くなり、スラリー全体がゲル化したため、目標とした500g全量を添加できなかった。このときの分散エネルギー(Q×u2/W)は269.5(J/kg/秒)であり、分散エネルギーが式(1)の範囲よりも大きかった。
【0048】
実施例2
乾式シリカの分散条件において、周速uを18.3(m/秒)、吐出量Qを7.00(kg/秒)に設定した。予め分散槽にイオン交換水を200kg仕込んだ後、比表面積300m2/gの乾式シリカ(レオロシールQS30、トクヤマ製)50kgを分散槽に添加しながら、ウルトラミキサー(みづほ工業製)によりスラリー化を行った。このときの添加速度v/Wを1.1×10−4(1/秒)、d/Dを0.13とした。分散条件を表1に、このときの得られた乾式シリカスラリーの物性を表2に示す。このときの分散エネルギー(Q×u2/W)は11.7(J/kg/秒)であり、分散エネルギー及び添加速度は、式(1)、(2)の範囲内であった。得られた乾式シリカスラリーのn値は2.8であり、乾式シリカの分散状態が良好であった。
【0049】
比較例3
添加速度v/Wを4.2×10−4(1/秒)に変更した以外は、実施例2と同様のスラリー化を行った。乾式シリカ粉は迅速にイオン交換水中に取り込まれていたが、乾式シリカ粉の添加量が40kgになった時点で流動性が急激に悪くなり、スラリー全体がゲル化したため、目標とした50kg全量を添加できなかった。このときの分散エネルギー(Q×u2/W)は11.7であり、乾式シリカの添加速度が式(2)の範囲よりも大きかった。
【0050】
実施例3
乾式シリカの分散条件において、周速uを10.6(m/秒)、吐出量Qを0.68(kg/秒)に設定した。予め分散槽にイオン交換水を2400g仕込んだ後、比表面積90m2/gの乾式シリカ粉(レオロシールQS09、トクヤマ製)600gを分散槽に添加しながら、ウルトラミキサー(みづほ工業製)によりスラリー化を行った。このときの添加速度v/Wを2.3×10−4(1/秒)、d/D=0.24とした。分散条件を表1に、このときの得られた乾式シリカスラリーの物性を表2に示す。このときの分散エネルギー(Q×u2/W)は32.0(J/kg/秒)であり、分散エネルギー及び添加速度は、式(1)、(2)の範囲内であった。得られた乾式シリカスラリーのn値は3.0であり、乾式シリカの分散状態が良好であった。
【0051】
実施例4
乾式シリカの分散条件において、周速uを11.0(m/秒)、吐出量Qを0.63(kg/秒)に設定した。予め分散槽にイオン交換水を1600g仕込んだ後、比表面積300m2/gの乾式シリカ粉(レオロシールQS30、トクヤマ製)400gを分散槽に添加しながら、ホモジナイザー(IKA製)によりスラリー化を行った。このときの添加速度v/Wを1.7×10−4(1/秒)、d/Dを0.20とした。分散条件を表1に、このときの得られた乾式シリカスラリーの物性を表2に示す。このときの分散エネルギー(Q×u2/W)は32.0(J/kg/秒)であり、分散エネルギー及び添加速度は式(1)、(2)の範囲内であった。得られた乾式シリカスラリーのn値は2.5であり、乾式シリカの分散状態が良好であった。
【0052】
実施例5
乾式シリカの分散条件において、周速uを15.7(m/秒)、吐出量Qを3.38(kg/秒)に設定した。予め分散槽にイオン交換水を40kg仕込んだ後、比表面積300m2/gの乾式シリカ(レオロシールQS30、トクヤマ製)10kgを分散槽に添加しながら、ウルトラミキサー1基、プロペラミキサー1基、及びアンカー1基を設置したコンビミックスタイプの分散機(みづほ工業製)によりスラリー化を行った。このときの添加速度v/Wを1.2×10−4(1/秒)、d/D=0.12に設定し、分散条件を表1に、このときの得られた乾式シリカスラリーの物性を表2に示す。このときの分散エネルギー(Q×u2/W)は20.8(J/kg/秒)であり、分散エネルギー及び添加速度は式(1)、(2)の範囲内であった。得られた乾式シリカスラリーのn値は2.6であり、乾式シリカの分散状態が良好であった。
【0053】
比較例4
乾式シリカの分散条件において、周速uを16.5(m/秒)、吐出量Qを1.06(kg/秒)に設定した。予め分散槽にイオン交換水を1280g仕込んだ後、比表面積300m2/gの乾式シリカ(レオロシールQS30、トクヤマ製)340gを分散槽に添加しながら、ウルトラミキサー(みづほ工業製)によりスラリー化を行った。このときの添加速度v/Wを4.2×10−4(1/秒)、d/D=0.32とした。分散条件を表1に、このときの得られた乾式シリカスラリーの物性を表2に示す。このときの分散エネルギー(Q×u2/W)は225.7(J/kg/秒)であり、分散エネルギーが式(1)の範囲よりも大きかったため、乾式シリカスラリーのn値は2.1であり、乾式シリカの分散状態が悪く、乾式シリカスラリーは高粘度であった。
【0054】
【表1】
【0055】
【表2】
【0056】
表1、表2に見られるように、タービンの周速、吐出量、乾式シリカの添加速度、及び極性溶媒の重量を式(1)、(2)を同時に満足する範囲に調整することにより、乾式シリカの分散状態が良く、低粘度な乾式シリカスラリーが得られた。
【0057】
また、式(1)、(2)で示した範囲内で乾式シリカのスラリー化を行った実施例1〜5によって得られた乾式シリカスラリーは、式(1)の範囲外で乾式シリカのスラリー化を行った比較例1、4によって得られた乾式シリカスラリーと比較してn値が高く、分散状態が良好であり、かつ低粘度であった。また、式(1)で示した範囲外で乾式シリカのスラリー化を行った比較例2、式(2)の範囲外で乾式シリカのスラリー化を行った比較例3に関しては、目標とする乾式シリカの濃度に達する前にスラリー全体がゲル化した。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に使用する高速回転剪断型分散機の代表的な構造を示す概略図
【符号の説明】
1 ステーター
2 タービン
3 分散槽
Claims (2)
- 極性溶媒中のシリカ濃度が10〜35重量%となるまで乾式シリカを添加する請求項1記載の乾式シリカの分散方法。
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