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JP4282848B2 - 無機粒子分散組成物 - Google Patents

無機粒子分散組成物 Download PDF

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JP4282848B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、無機粒子とセルロース分散体とを含有する組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
無機粒子が液体分散媒体中に分散した組成物は、塗料などの各種コーティング剤、研磨剤、光触媒、化粧料等として広範に利用されている。いずれの用途にも問われるのは、水などの分散媒体中で無機粒子が凝集することなく安定に長時間分散していることである。この目的のために分散安定剤が用いられる。従来から、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の水溶性セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、カルボキシビニルポリマー等の水溶性高分子、非イオン界面活性剤を中心とする界面活性剤等が使われてきた。しかし、これらは、必ずしも満足できるものではなかった。また、無機粒子配合物の使用用途が、広範になったり、逆に特殊化されるに連れて、従来の分散安定剤では対応できない事例も生じてきた。
【0003】
例えば、カルボキシメチルセルロース、カルボキシビニルポリマー等のイオン性高分子物質を用いた場合、無機粒子の種類を選ぶ必要があったり、低pH領域や無機塩の存在下では分散効果が激減し無機粒子の凝集が起こるなどの問題があった。また、水溶性高分子の中には、水に分散することに難があったり、長時間の保存で水溶性高分子自体が析出したりゲル化したりする結果、分散安定効果が低下する等の課題もあった。更に、コーティング剤や研磨剤用途では、水溶性高分子に特有な粘性や曳糸性が、均一薄膜塗布や精密研磨の妨げになる等の課題もあった。
【0004】
また、界面活性剤は、無機粒子の分散性は十分あるが、第2,第3の成分が配合された際に系が不安定化し凝集が起こる等の課題があり、その処方に著しい制約があった。
近年、電子材料関連の加工技術が急速に進歩し、それに伴いそれら電子材料をより精密かつ平滑に研磨するCMP(Chemical MechanicalPolishing)技術が要求されている。CMPでは、従来の中性付近での研磨ではなく、より酸性領域(pHが3程度)やアルカリ領域(pHが9前後)で行われる傾向にあり、そのため、低pH状態や高pH領域で無機粒子を従来以上に均一に分散する分散系(分散組成物)が望まれていた。従来の分散安定剤では、既述の如く、対応が難しくなってきている。また、既述の水溶性高分子は、分散安定効果を高めるために添加量を増大させると、曳糸性が発現し、精密加工の妨げになる事態も発生している。また、化粧料にあっても、合成系界面活性剤よりも皮膚刺激性が少なく、かつ水溶性セルロース誘導体等よりも無機粒子の分散安定性に優れた分散安定剤からなる分散系が望まれていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、できるだけ少量の分散安定剤で無機粒子を高度に分散させ、かつ各種用途分野で要求される広範な環境下で安定性を維持でき、さらに長時間分散状態が変化しない分散組成物を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、先のPCT/JP98/05462において、透明〜半透明のセルロースの分散体を得ている。本発明者らは、先の発明を更に詳細に検討した結果、このセルロース分散体が無機粒子の分散安定剤として極めて有効であり、これを配合して調製した無機粒子の分散体が広範な環境下で高い安定性を有することを見いだし、本発明を完成させた。
【0007】
すなわち、本発明は、
(1) 無機粒子0.1〜80重量%、及びセルロース0.1〜10重量%を液状分散媒体に均一に分散させてなる分散組成物であって、該セルロースの平均重合度(DP)が100以下で、セルロースI型結晶成分の分率が 0.1以下、セルロースII型結晶成分の分率が 0.4以下であり、かつ構成するセルロースの平均粒径が5μm以下であることを特徴とする無機粒子分散組成物、
(2) 液状分散媒体が、水、水溶性アルコール又は水と水溶性アルコールの混合物である上記(1)の無機粒子分散組成物、
(3) 無機粒子が金属酸化物粒子、ケイ素を含む無機粒子、金属粒子、金属合金粒子、ダイアモンド、金属炭化物の中から選ばれる少なくとも1種である上記(1)又は(2)に記載の無機粒子分散組成物、
(4) 上記(1)〜(3)のいずれかに記載の無機粒子分散組成物を含有してなるコーティング剤、
(5) 上記(1)〜(3)のいずれかに記載の無機粒子分散組成物を含有してなる研磨用組成物、
(6) 上記(1)〜(3)のいずれかに記載の無機粒子分散組成物を含有してなる化粧料、
である。
【0008】
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明において用いるセルロースは、後述する製造方法で得られる分散媒体に分散したセルロース分散体として供給することが好ましい。該セルロース分散体は、好適な場合には、水溶性高分子水溶液に匹敵するほどの透明性を持ち、高度に分散媒体に分散した状態となし得るものであり、また無機粒子を極めて高度に分散させた組成物の提供を可能にするものである。本発明で用いる液体分散媒体は、水、水溶性アルコール又は水/水溶性アルコールの混合物であることが好ましい。
【0009】
本発明の組成物において必須成分として使用するセルロースの平均重合度(DP)、セルロースI及びセルロースII型結晶成分の分率(χIおよびχII)、平均粒子径は、下記手順で算出した。
セルロースI型結晶成分の分率(χI)は、セルロース分散体を乾燥して得られた乾燥セルロース試料を粉状に粉砕し錠剤に成形し、線源CuKαで反射法で得た広角X線回折図において、セルロースI型結晶の(110)面ピークに帰属される2θ=15.0゜における絶対ピーク強度h0と、この面間隔におけるベースラインからのピーク強度h1から、下記(1)式によって求められる値を用いた。同様に、セルロースII型結晶成分の分率(χII)は、乾燥セルロース試料を粉状に粉砕し錠剤に成形し、線源CuKαで反射法で得た広角X線回折図において、セルロースII型結晶の(110)面ピークに帰属される2θ=12.6゜における絶対ピーク強度h0*とこの面間隔におけるベースラインからのピーク強度h1*から、下記(2)式によって求められる値を用いた。
χI=h1/h0 (1)
χII=h1*/h0* (2)
図1に、χIおよびχIIを求める模式図を示す。
なお、セルロース試料は、減圧乾燥法等の手段で乾燥して、乾燥セルロース試料とした。
本発明で規定する平均重合度(DP)は、上述の乾燥セルロース試料をカドキセンに溶解した希薄セルロース溶液の比粘度をウベローデ型粘度計で測定し(25℃)、その極限粘度数[η]から下記粘度式(3)および換算式(4)により算出した値を採用した。
[η]=3.85×10-2×MW0.76 (3)
DP=MW/162 (4)
【0010】
本発明においていう「構成するセルロースの平均粒子径」は、レーザ回折式粒度分布測定装置((株)堀場製作所製、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置LA−920;下限検出値は0.02μm)で測定して求められる平均粒子径である。分散媒体中の粒子間の会合を可能な限り切断した状態で粒子径を測定するために、次の工程で試料を調製した。セルロース濃度が約0.5重量%になるようにセルロースの水分散体を水で希釈した後、回転速度15000rpm以上の能力を持つブレンダーで10分間混合処理を行い均一な懸濁液を作る。次いでこの懸濁液に超音波処理を30分間施して得られた水分散試料を粒度分布測定装置のセルに供給し、再び超音波処理(3分間)を行った後、粒径分布を測定した。
【0011】
本発明では、平均重合度(DP)が100以下であり、セルロースI型結晶成分の分率が0.1以下で、セルロースII型結晶成分の分率が0.4以下であって、かつ構成するセルロースの平均粒径が5μm以下である低重合度、低結晶性のセルロースを用いることに特徴がある。
本発明においてセルロース分散体中のセルロースは、平均重合度(DP)が100以下、好ましくは50以下である。DPが100を超えると、分散媒体に高度に分散したセルロース分散体を得ることが難しい。本発明のセルロースは、水に不溶なセルロースの分散体であり、DPは20以上である。
【0012】
また、本発明のセルロースは、セルロースI型結晶成分の分率(χI)が0.1以下、好ましくは0.06以下であり、セルロースII型結晶成分の分率(χII)が0.4以下、好ましくは0.3以下の低結晶性であることが必要である。本発明のセルロースの結晶成分の分率は(χc、即ちχIとχIIとの和)は殆ど零に近い値にまですることができる。χIが0.1を超える又はχIIが0.4を超えるセルロースは、分散媒体に高度に分散し難くなり、無機粒子を安定かつ均一に分散させる機能が極端に低下し、無機粒子の分散性が悪くなる。
さらに、本発明は、セルロース分散体において構成するセルロースの平均粒子径が、上記測定法で5μm以下、好ましくは3.5μm以下、更に好ましくは2μm以下である。平均粒子径の下限は、本発明が規定する測定法の検出下限値に近い0.02μm程度にすることができる。5μmを超えると、無機粒子を安定かつ均一に分散させる機能が極端に低下し、無機粒子の分散性が悪くなり、不均一な性状になるため、本発明には含めない。
【0013】
本発明で言う構成するセルロースの平均粒子径とは、セルロース分散体において、分散媒体中で等方的に会合して分散しているセルロースの微小ゲル体を、本発明の平均粒子径の測定法に準じて、超音波等の手段で可能な限り微細に分散化させた時のセルロースが持つ「広がり(直径)」の大きさを意味する。こうした取り扱いが必要なことは、本発明のセルロースが分散媒体中で存在する形態と、既存の微細化セルロース(MCC)や微小フィブリル状セルロース(MFC)のセルロース微粒子が懸濁液中で存在する形態とは明らかに異なることを示している。
【0014】
本発明のセルロース分散体中のセルロースは、既存のMCC等とは異なり、光学顕微鏡による観察では粒子が明確には確認できないほどに、高度に分散媒体中に分散した構造を有する。更に、本発明のセルロースは、直径約0.01μm(10nm)の球状粒子が数珠状に連結した構造を有している。本発明の分散体中に含まれるセルロースは、このような微細な構造体が無数に交絡して網目状構造体を構成していて、ある有限の大きさで会合してミクロゲルとして存在していると推定される。
【0015】
このような本発明の分散媒体中のセルロースは、極めて会合性が高く、会合状態の切断度合いによって「広がり」の大きさが変化する。例えば、本発明の分散体の平均粒子径は、長時間静置したままの試料を、超音波処理を施さずに測定した場合には数百μm程度に測定されることもあるのに対し、同じ分散体を本発明で規定する平均粒子径測定法で測定すれば、平均粒子径は5μm以下に測定される。このことは、粒径の小さなセルロースが、本発明の組成物中で極めて高度に会合している証左である。MCCやMFCの分散液では、通常、例示したような極端な平均粒子径の変化は観察されない。
【0016】
本発明の無機粒子分散組成物においては、無機粒子が均一に、かつ安定に分散している。本発明で用いているセルロース分散体が、従来の微細化セルロースが到達できない優れた増粘性、分散安定性、乳化安定性、保水性、吸湿性、透明性等の作用効果を発現することが、無機粒子を高度かつ安定に分散させ得る要因と推定される。
本発明の無機粒子分散組成物は、上述したセルロースを0.1〜10重量%含有する。該範囲内であると、均一な性状の無機粒子分散組成物を好適に与えることができる。好ましくは、0.1〜5重量%、さらに好ましくは0.1〜2重量%の範囲であるが、0.1〜10重量%の範囲内で使用目的に応じて適正な組成を決定すればよい。
【0017】
本発明の無機粒子分散組成物においては、無機粒子含有量は0.1〜80重量%である。該範囲内であれば好適な均一に分散した組成物を与える。好ましくは0.1〜50重量%、さらに好ましくは0.1〜30重量%の範囲であるが、0.1〜80重量%の範囲内で、適宜用途に応じて決定すれば良い。
本発明における均一に分散した状態とは、各種混合処理により組成物を調製した後、これを20℃で24時間静置した際に、配合成分同士の分離や沈降あるいは配合成分の凝集が全く起こらない状態を言う。ここで、分離および沈降については、静置した後の組成物について目視で確認することができる。また、凝集の有無は、組成物の一部を透明ガラスプレート上に採取し、目視で判定する。この際に成分の分離が観察されるものを凝集が起こっていると判定する。
【0018】
例えば、ある種の分散組成物の中には、混合処理後一定時間経過した後に、一見すると、分離も沈降も起こっていないように観察されるが、内容物を検査すると配合成分の凝集などによって部分ゲル化が進行し、不均一な性状を来している場合がある。このような分散組成物は、無機粒子を均一に分散させ、かつ長時間分散状態が変化しないような所期の無機粒子分散体としての機能を果たすことができないので、本発明には含めない。
【0019】
本発明で分散安定剤として用いるセルロースは、分子鎖骨格中に水酸基を多数含むため親水性ではあるが、同時に親油性にも富むため、親水性無機粒子の他に疎水性の無機粒子も好適に分散することができる。分散系組成物の製品特性を高めるために種々の疎水性機能剤が添加される場合が多いことを考慮すると、両親媒性に富む本発明で用いているセルロースは、広範な配合組成において適用でき、極めて有効である。
【0020】
また、従来の無機粒子分散体に適用される分散安定剤の殆どは、pHが3以下では、分散媒体との分離(離液現象を伴う。)や凝集を起こすため、添加剤としての機能が著しく損なわれる。一方、本発明の無機粒子分散組成物は、広範な組成範囲においてpHが2〜3の範囲でも離水が極めて起こり難く、しかも配合成分の凝集が抑えられ、均一な性状を維持していることが確認されている。さらに、本発明の組成物は、例えば、近年精密研磨や超精密研磨の分野で適用されるようになってきた弱アルカリの環境下でも極めて安定性である。これらは、本発明で原料として使用するセルロース分散体が、広範なpH領域で使用可能な優れた分散安定性を有していることに起因している。
【0021】
また、本発明において用いられているセルロース分散体は、レオロジー特性の温度変化が少ないという特性を有し、おそらくこの性質に起因して、本発明の無機粒子分散組成物は、通常の使用温度である室温から100℃の温度範囲で、粘度変化が極めて小さい。例えば、精密研磨などの工程中に、摩擦による発熱に伴った粘度の急激な変化が起こらず、好適な研磨用組成物として適用できる。
また本発明で用いられているセルロースは、保水力が極めて高いため、特に電子基板向け精密研磨において、研磨終了後洗浄までのわずかな時間に研磨表面が乾燥しダスト等の異物付着が起こる等の不都合を防止する効果も有する。
【0022】
本発明で言う無機粒子とは、例えば、二酸化チタン、アルミナ、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化セリウム、酸化クロム、酸化ジルコニウムなどの金属酸化物粒子、酸化ケイ素、炭化ケイ素、窒化ケイ素、ケイ砂、粘土類、微小質無水ケイ酸類などのケイ素を含む無機粒子、さらには、チタン、鉄、クロム、ニッケル、金、銀、白金、銅、鉛、亜鉛などの金属粒子およびこれらの金属合金粒子、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸水酸化マグネシウム、炭酸リチウム、塩化銀、臭化銀などの水やその他溶剤に不溶または難溶な金属塩、ダイアモンド、立方晶窒化ホウ素、炭化ホウ素、金属炭化物などを挙げることができ、好ましくは金属酸化物粒子、ケイ素を含む無機粒子、金属粒子およびこれらの金属合金粒子、ダイアモンド、金属炭化物である。本発明では、これらの無機粒子を、適宜、1種又は、2種以上を選択して用いることができる。また、乳化法で得られる真球状の金属酸化物研磨粒子を使用してもよい。
【0023】
また、本発明の無機粒子の大きさは、約20μm以下であることが好ましい。これ以上の大きさをもつ無機粒子を用いた際には均一な組成物を提供することが困難である。また、本発明では、平均粒子径0.01μmの無機粒子でも分散可能である。
また、本発明の無機粒子分散組成物は、使用目的に応じて、無機塩類、水溶性高分子、合成高分子、低分子機能性有機化合物等が本発明の効果を損なわない程度に含まれていても構わない。
【0024】
本発明の無機粒子分散組成物の好ましい製造方法を以下に示す。
本発明の無機粒子分散組成物は、原料である無機粒子とセルロース分散体と水などの液状分散媒体、さらにはその他の配合物を混合処理して得られるが、混合の際の順序は問わない。適宜、目的に応じて適当な混合処理の手順あるいは手法を選ぶことができる。例えば、この際の混合処理の方法としては、無機粒子組成比率の高いケーク状の組成物の場合は混練処理が適当であるし、無機粒子組成比率の低いサスペンジョンの形態をなす組成物の場合には高圧ホモジナイザーやビーズミル粉砕あるいは超高圧ホモジナイザーなどの高度な粉砕・混合技術を用いると配合成分が高度に分散化された組成物を提供することができる。
【0025】
本発明の無機粒子分散組成物の好ましい製造方法において用いられるセルロース分散体は、例えば、本発明の調製例1に例示した方法を含む下記の何れかの方法で得ることができる。
セルロース分散体は、無機酸水溶液にセルロースを溶解させたセルロース溶液を、水又は水を50重量%以上含む凝固剤中で再沈殿させてセルロースの懸濁液を調製し、引き続きその懸濁液中のセルロースに酸加水分解処理を施し、次いでその懸濁液からその酸を除去することを含む方法(方法1)によって得られる。又は、無機酸水溶液にセルロースを溶解させたセルロース溶液を、水又は水を50重量%以上含む凝固剤中で再沈殿させてセルロースの懸濁液を調製し、引き続きその懸濁液からセルロースの脱水ケークを調製した後、その脱水ケークを50℃以上の水中に投入しセルロースに酸加水分解処理を施し、次いでその懸濁液からその酸を除去することを含む方法(方法2)によって得られる。
【0026】
本発明の製造に用いられるセルロース分散体は、方法1又は方法2より得られたセルロース分散体を、混練機やホモジナイザー等の混練装置により混練及び/又は粗粉砕し、更に必要に応じてビーズミル処理や高圧/超高圧ホモジナイザー等の高度粉砕処理することによって得ることが好ましい。高度粉砕処理を行うと、より透明性の高いセルロース分散体が得られる。本発明の液状分散媒体が水以外の液状分散媒体もしくは水と水以外の液状分散媒体との混合物である場合には、加水分解後の何れかの工程で、水媒体を水以外の液状分散媒体と置換する、もしくは水以外の液状分散媒体と混合することが好ましい。
【0027】
本発明の分散組成物の液状分散媒体としては、特に水、または水溶性アルコール又は水/水溶性アルコールの混合物を使用すると好適な組成物を与える。配合成分の親水性・疎水性のバランスに応じて水と水溶性アルコールの比率をコントロールするか、あるいはアルコールの疎水性置換基の構造を選択することができる。また、その組成範囲は水100%から水溶性アルコール100%の範囲で任意に選ぶことができる。ここでいう水溶性アルコールとは、代表的なものとしてメタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、メチルセロソルブ、グリセリン、エチレングリコールなどを挙げることができる。
【0028】
次に、無機粒子として、金属酸化物粒子、ケイ素を含む無機粒子、金属粒子、金属合金粒子、ダイアモンド、金属炭化物の中から選ばれる1種ないしは2種以上の混合物であると好適に本発明の組成物を提供することができる。既に述べたように本発明において分散安定剤として用いるセルロースは、その表面に多くの水酸基をもっているため、極めて水素結合形成能が高く、金属酸化物やケイ素酸化合物などの酸素原子と有効に水素結合を形成し、分散を安定化させると解釈されるが、金属単体や金属合金の粒子に対しても、セルロースの分子鎖骨格はキレート構造あるいは配位結合を形成するため、やはり高性能な分散安定剤として機能すると考えられる。
【0029】
次に、本発明の無機粒子分散組成物は、コーティング剤として用いられる。ここでいうコーティング剤とは、顔料など無機粒子を分散させることが必須である塗料をはじめ、磁性金属粒子を分散・固定化させる磁気テープ(音楽,ビデオ,記憶用など)製造におけるコーティング剤、紙やフィルムへの特殊コーティング剤などを意味する。これらの製造においては、上述した本発明の無機粒子分散組成物の製造方法に従って、適宜、機能性を高めるための各種添加剤を配合してコーティング剤の調製を行う。
【0030】
また、本発明の無機粒子分散組成物は、研磨用組成剤として用いられる。ここでいう研磨用組成剤とは、ディスクメモリー(コンピュータ用ハードディスクなど)の製造に必要な精密研磨用の研磨液やシリコンウェハーの製造時に必要となる超精密研磨に代表されるように物質表面の研磨工程に使われる研磨用組成物のすべてを意味する。例えば、家庭用として用いられるクレンザーなどの洗浄剤や自動車用ワックスなどの各種コンパウンド、さらには歯磨剤も、研磨剤として無機粒子を配合する組成物であるので本発明の組成物といえる。特に電子デバイスの研磨分野では、前述したように最近CMPの技術が普及しており、本発明の組成物は、これら低pH(2<pH<4)や弱アルカリ(8<pH<10)の条件下で高度な研磨を発揮し得る組成物といえる。これらの製造は、上述した本発明の無機粒子分散組成物の製造方法に従って行う。
【0031】
研磨用組成物の製造に際しては、製品の品質保持や安定化を図る目的や、被加工物の種類、加工条件およびその他の研磨加工上の必要に応じて、各種の公知の添加剤を本発明の効果をそこなわない範囲で適宜加えてもよい。
このような添加剤の好適な例としては、下記のものが挙げられる。
(1)セルロース類:例えば微結晶セルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等、
(2)水溶性アルコール類:例えばエタノール、プロパノール、エチレングリコール、グリセリン等、
(3)界面活性剤:例えばアルキルベンゼンスルホン酸ソーダ、ナフタリンスルホン酸のホルマリン縮合物等、
(4)有機ポリアニオン系物質:例えばリグニンスルホン酸塩、ポリアクリル酸塩等、
(5)水溶性高分子(乳化剤)類:例えばポリビニルアルコール、アラビアゴム、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリルアミド類、ポリビニルエステル類、ポリビニルアセテート類、ポリアクロレイン類等、
(6)キレート剤:例えばエチレンジアミン四酢酸塩、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸塩、ジヒドロキシエ チルエチレンジアミン二酢酸塩、ジエチレントリアミン五酢酸塩、ポリエチレンテトラミン六酢酸塩、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸塩、グルコン酸塩等、
(7)酸化剤またはエッチング剤:例えば過酸化水素、過塩素酸銅等、
(8)殺菌剤:例えばアルギン酸ナトリウム、 炭酸水素カリウム等、
(9)酸:例えばフッ化水素酸、塩酸、硫酸、硝酸、有機酸等、
(10)塩基:例えばアンモニア水、アミン類、水酸化ナトリウム、水酸カリウム、水酸セリウム、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)等、
【0032】
さらに、本発明の無機粒子分散組成物は、化粧料として用いられる。ここでいう化粧料とは、化粧料の中でも様々な目的で無機粒子を配合した組成物のすべてを意味する。例えば、無機粒子を配合したファンデーション、ローション類、クリーム類、パック・マスク類の他、アイライナー、アイシャドー、マスカラ、眉墨、口紅などである。これらの製造においては、上述した本発明の無機粒子分散組成物の製造方法に従って、適宜、機能性を高めるための各種添加剤を配合して化粧料の調製を行う。
【0033】
【発明の実施の形態】
本発明を実施例により更に詳細に説明する。下記実施例及び比較例において、平均粒径、結晶成分の分率、平均重合度(DP)は前述した測定法によって行った。
【0034】
【調製例1】
本発明の分散組成物の原料であるセルロースの水分散体を調製した例を示す。5mm×5mmのチップに切断したサルファイトパルプシート(DP=760)を、−5℃で65重量%硫酸水溶液にセルロース濃度が6重量%になるように均一溶解し、セルロースドープを得た。このセルロースドープを、重量で2.5倍量の水中(5℃)に攪拌しながら注ぎ、セルロースをフロック状に析出及び凝集させ懸濁液(15℃)を得た。この懸濁液を85℃で60分間加水分解し、次いでpHが4以上になるまで十分に水洗と減圧脱水を繰り返し、セルロース濃度が6.5重量%の透明性を帯びた白色のペースト様のゲル状物を得た。このゲル状物をイオン交換水でセルロース濃度4.0重量%に希釈し、ブレンダーで5分間混合した。この希釈後の試料を、超高圧ホモジナイザー(Microfluidizer M−110EH型、みづほ工業(株)製、操作圧力1750kg/cm2)で4回処理して、透明なセルロース分散体(J1試料)を得た。J1試料のセルロースは、DPが32、χIが0.0、χIIが0.31、平均粒子径は0.28μmであった。
【0035】
【調製例2】
本発明の分散組成物の比較例における原料として、MCC分散液を調製した例を示す。DP=760のサルファイトパルプを4%塩酸水溶液中に分散させ、80℃で30分間加水分解し、得られた加水分解物の塩酸水懸濁液を、洗液のpHが4以上になるまで十分に水洗した。得られたセルロース濃度50重量%のケーク状物に水を加え、セルロース濃度が4重量%になるように混合、調整し、そのスラリーを、内容量2リットル,媒体充填率80%の媒体撹拌湿式粉砕装置(アシザワ(株)製 パールミルTM)に0.69リットル/分の流量で注入し、合計5回処理した。この工程により不透明な乳白色のクリーム状の分散液を得た。この分散液を調製例1と同様に超高圧ホモジナイザー処理を4回施した。得られた懸濁液をR1試料とする。R1試料のセルロースは、DPが120、結晶化度はχIが0.66、χIIが0.0、平均粒子径が0.86μmであった。R1試料は、平均粒子径は1μm以下と小さいが、乳白色の分散液であった。
【0036】
【実施例1〜3および比較例1〜5】
2種類の環境下(pH=7およびpH=3)における本発明の無機粒子分散組成物の安定性および無機粒子分散効果を調べるために表1の配合組成物を調製した。本発明のJ1分散体を使用した例(実施例1〜3)、比較例として分散安定剤を使用しない例(比較例1、2及び5)、本発明以外の分散安定剤を使用した例(比較例3及び4)の計8個を調製した。組成物の調製は、各配合物をブレンダー中に混入し、15000rpmにて5分間撹拌処理を行い分散組成物を得た。シリカ微粒子は、サンスフェアH−31(平均粒子径3.7μmの白色球状粉末,旭硝子(株)製)、酸化チタン微粒子は、TTO−51(C)(1次粒子径0.01〜0.03μm、石原産業(株)製)を用いた。
【0037】
【表1】
Figure 0004282848
【0038】
ブレンダーによる撹拌の後、各分散液80mlを、100ml用縦型ガラスサンプル管に導入し、0.2Nの塩酸によりpH調整を行い、よく振った後に各サンプル管を実験台上に静置した。pH調整してから100時間後に、各分散液の離水性および沈降層の分散状態の観察により分散効果を評価した。離水性に関しては、サンプル管中での全分散液の高さHwに対する沈降層の高さHdの比、Hd/Hwをもって評価(Hd/Hwの値が低いものほど離水性大)した。沈降層の分散状態は、沈降層をピペットにより採取し、黒色の実験台上に滴下して性状を観察した。結果を表2に示した。比較例1〜5は、いずれも離水が起こり、沈降層での無機粒子の分散状態も凝集のため不均一であった。これに対し、実施例1〜3は、いずれも離水がほとんど起こらず、無機粒子の均一な分散が達成されていることが明らかになった。
【0039】
【表2】
Figure 0004282848
【0040】
【実施例4】
<白色エマルジョン塗料への適用例>
(1)二酸化チタン:22.5wt%
(2)タルク:9.5wt%
(3)炭酸カルシウム:5.0wt%
(4)ヘキサメタリン酸ナトリウム(10%水溶液):1.5wt%
(5)ポリオキシエチレン脂肪酸エステル:0.8wt%
(6)酢酸ビニルコポリマーエマルジョン(55wt%水分散体):32.7wt%
(7)エチレングリコールモノアセテートブチルエーテル:1.0wt%
(8)セルロース分散体J1:15wt%(セルロース純分として0.6wt%相当)
(9)水:残余
(10)必要に応じて、防腐剤、pH調整剤、消泡剤等を加える。
<製法>
(1)〜(3)をブレンダーで混合後、粉砕機で処理する。水に(4)、(5)を加えた後、先の混合物及び(6)、(7)を撹拌しながら加え、次いで(8)を加えて高圧ホモジナイザー処理を行う。
<結果>
20℃において24時間静置した後も安定である白色均一な塗料を得た。塗り性、乾燥後の塗膜の均一性も良好であった。
【0041】
【実施例5】
<紙コート剤への適用例>
(1)二酸化チタン:8.0wt%
(2)カオリン:32.0wt%
(3)水:14.0wt%
(4)ヘキサメタリン酸ナトリウム(10%水溶液):0.4wt%
(5)アンモニア水(15%水溶液):0.4wt%
(6)セルロース分散体J1:25wt%(セルロース純分として1.0wt%相当)
(7)アンモニア水(15%水溶液):0.8wt%
(8)ポリマーラテックス(SBR/PVA=50/50(g/g)):12.0wt%
(9)水:残余
(10)必要に応じて、防腐剤、pH調整剤、消泡剤等を加える。
<製法>
(3)の水に(4)、(5)を溶解した後、ブレンダーで混合後粉砕処理した(1)、(2)を加えて均一に分散し、粘土状スラリーとする。(9)の水に(6)を加えて70℃に加熱した後、(8)を加え、更に(7)を加えてpHを9前後に調整する。粘土状スラリーをこれに加え、高圧ホモジナイザー処理を行い、撹拌しながら室温まで冷却し、脱気する。
<結果>
20℃において24時間静置した後も安定である白色均一な性状の紙コート剤を得た。塗り性,乾燥後の塗膜の均一性も良好であった。
【0042】
【実施例6】
<研磨剤組成物(練歯磨剤)への適用例>
(1)第二リン酸カルシウム2水和塩:45.0wt%
(2)無水ケイ酸:2.0wt%
(3)グリセリン:15.0wt%
(4)ラウリル硫酸ナトリウム:1.0wt%
(5)サッカリンナトリウム:0.1wt%
(6)セルロース分散体J1:30wt%(セルロース純分として1.2wt%相当)
(7)精製水:残余
(8)必要に応じて、適量の香料、防腐剤等を加える。
<製法>
真空混合機で、精製水に(3),(4),(5)を加える。次いで、(6)を加え、更に(1),(2)を加えて均一になるまで混合した後、減圧脱気する。
<結果>
20℃において24時間静置した後も安定である白色均一な練歯磨剤を得た。粘調なクリーム状物質であり、保形性も良好であった。
【0043】
【実施例7】
<化粧料(液体ファンデーション)への適用例>
(1)タルク:3.0wt%
(2)二酸化チタン:5.0wt%
(3)ベンガラ:0.5wt%
(4)黄酸化鉄:1.4wt%
(5)黒酸化鉄:0.1wt%
(6)モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン:0.9wt%
(7)トリエタノールアミン:1.0wt%
(8)プロピレングリコール:10.0wt%
(9)精製水:残余
(10)ステアリン酸:2.2wt%
(11)イソヘキサデシルアルコール:7.0wt%
(12)モノステアリン酸グリセリン:2.0wt%
(13)液状ラノリン:2.0wt%
(14)流動パラフィン:2.0wt%
(15)セルロース分散体J1:20wt%(セルロース純分として0.8wt%相当)
(16)必要に応じて、防腐剤、香料等を加える。
<製法>
精製水に(8)を加えて70℃に加熱した後、(6)、(7)を加えて十分に撹拌する。これに十分混合粉砕された(1)〜(5)の混合物を撹拌しながら添加し、70℃でホモミキサー処理する。次に70〜80℃で加熱溶解された(10)〜(14)を徐々に添加した後、(15)を加えて70℃で高圧ホモジナイザー処理する。これを、撹拌しながら室温まで冷却し、最後に脱気して容器に充填する。
<結果>
20℃において24時間静置した後も安定である均一な液体ファンデーションを得た。
【0044】
【実施例8】
<化粧料(アイライナー)としての適用例>
(1)黒酸化鉄:14.0wt%
(2)酢酸ビニル樹脂エマルジョン:45.0wt%
(3)グリセリン:5.0wt%
(4)ポリオキシエチレンソルビタンモノオレイン酸エステル:1.0wt%
(5)クエン酸アセチルトリブチル:1.0wt%
(6)セルロース分散体J1:20wt%(セルロース純分として0.8wt%相当)
(7)精製水:残余
(8)必要に応じて、防腐剤、香料等を加える。
<製法>
精製水に(3)、(4)を加え、70℃で加熱溶解した後(1)を加えてコロイドミルで処理する。(2)、(5)、(6)を加えた後、70℃で高圧ホモジナイザー処理する。これを撹拌しながら室温まで冷却する。
<結果>
20℃において24時間静置した後も安定である均一な性状のアイライナーを得た。
【0045】
【実施例9】
<化粧料(アイシャドー)への適用例>
(1)タルク:10.0wt%
(2)カオリン:2.0wt%
(3)顔料:5.0wt%
(4)ミリスチン酸イソプロピル:8.0wt%
(5)流動パラフィン:5.0wt%
(6)モノラウリル酸プロピレングリコール:3.0wt%
(7)精製水:残余
(8)ブチレングリコール:5.0wt%
(9)グリセリン:1.0wt%
(10)セルロース分散液J1:30wt%(セルロース純分として1.2wt%相当)
(11)必要に応じて、酸化防止剤、香料、防腐剤、金属イオン封鎖剤等を加える。
<製法>
(1)〜(3)をブレンダーで混合後、粉砕機で処理する。精製水に(8)、(9)を加え、70〜75℃に加熱し、70〜80℃で加熱溶解した(4)〜(6)の混合部を撹拌しながら加える。これによって得られた(4)〜(9)混合部に(1)〜(3)混合部を70〜75℃で撹拌しながら加え、次いで(10)を加えて高圧ホモジナイザー処理する。撹拌しながら室温まで冷却する。
<結果>
20℃において24時間静置した後も安定である均一な性状のアイシャドーを得た。
【0046】
【実施例10】
<電子機器(ディスク基板)仕上げ研磨への応用>
(研磨用組成剤の調製)
酸化アルミニウム(平均粒子径0.8μm)とセルロース分散体J130wt%(セルロース純分として1.2wt%)を撹拌機を用いて水に分散させて、研磨材である酸化アルミニウム濃度10重量%のスラリーを調製した。スラリーは20℃で24時間静置しても安定で均質であった。
【0047】
(研磨試験)
次に、この試料による研磨試験を行った。条件は下記に示すとおりであった。
・研磨条件
被加工物:2.5” カーボンディスク
研磨機:片面研磨機
研磨パッド:Surfin018−3((株)フジミインコーポレーテッド製)
加工圧力:100g/cm2
定盤回転数:130rpm
研磨用組成物供給量:10cm3/分
研磨時間:5分
研磨後、サブストレートを常法により順次洗浄、乾燥した後、研磨によるサブストレートの重量減を測定し、予め求められているカーボンディスクの比重 およびサブストレートの面積より、研磨速度を求めた。
【0048】
ピットについては、暗室内でシャドーグラフにて表面欠陥の有無および位置を確認した。表面欠陥の発生が認められたサブストレートについてその箇所を微分干渉顕微鏡を用いて観察し、表面欠陥がピットであるか否かを判定し、結果を下記表3に示した。その評価基準は下記の通りである。
◎:ピットは目視確認されない。
○:ピットはほとんど目視確認されない。
△:ピットは目視確認されるが、問題とならないレベル である。
×:ピットはかなり目視確認され、問題となるレベルで ある。
また、スクラッチについては、研磨後、サブストレートを洗浄、乾燥して、暗室内においてスポットライトをあて、目視でスクラッチの有無を判定し、結果を下記表3に示した。 その基準は下記の通りである。
◎:スクラッチは目視確認されない。
○:スクラッチはほとんど目視確認されない。
△:スクラッチはわずかに目視確認されるが、問題とならないレベルである。
×:スクラッチはかなり目視確認され、問題となるレベルである。
【0049】
【表3】
Figure 0004282848
【0050】
研磨試験結果から、十分な研磨速度をもち、かつ、研磨面のピットやスクラッチの少ない研磨面を得ることができたことがわかる。
【0051】
【実施例11】
<アルミウエハーの研磨>
(研磨液の調製)
シリカ(粒子径150nm)とセルロース分散体J130wt%(セルロース純分として2wt%)、アルカリを添加してpH10とした後、撹拌機を用いて水に分散させて、 研磨材濃度10重量% のスラリーを調製した。スラリーは20℃で24時間静置しても安定で均質であった。このようにして調整した研磨用スラリーを 使用して、6インチのシリコン基板にアルミを蒸着させたウエーハ(アルミ厚み5000Å)を研磨した。 研磨条件は以下のとおりであった。
(研磨試験)
被加工物をアルミ蒸着ウエハーとしたほか条件は実施例10と同一とした。また、アルミ蒸着ウエハの比重、面積より、研磨速度を求めた。また、ピット、スクラッチについては、実施例10と同様の方法で評価した。結果を表4に示した。
【0052】
【表4】
Figure 0004282848
【0053】
研磨試験結果から、十分な研磨速度をもち、かつ、研磨面のピットやスクラッチの少ない研磨面を得ることができたことが判る。
【0054】
【発明の効果】
本発明によれば、無機粒子分散組成物を、広範な組成範囲で、凝集、沈降、ゲル化を伴わずに、かつ長時間にわたり安定な組成物として提供できる。特に、コーティング剤、研磨剤や化粧料として広範なpH領域で安定性に優れ、かつレオロジー特性の温度変化の少ない組成物を提供できるので、工業的に極めて有用な技術である。
【図面の簡単な説明】
【図1】セルロースI型結晶分率χI及びセルロースII型結晶分率χIIの求め方を示す模式図である。

Claims (6)

  1. 無機粒子0.1〜80重量%、及びセルロース0.1〜10重量%を液状分散媒体に均一に分散させてなる分散組成物であって、該セルロースの平均重合度(DP)が100以下で、セルロースI型結晶成分の分率が 0.1以下、セルロースII型結晶成分の分率が 0.4以下であり、かつ構成するセルロースの平均粒径が5μm以下であることを特徴とする無機粒子分散組成物。
  2. 液状分散媒体が、水、水溶性アルコール又は水と水溶性アルコールの混合物である請求項1記載の無機粒子分散組成物。
  3. 無機粒子が金属酸化物粒子、ケイ素を含む無機粒子、金属粒子、金属合金粒子、ダイアモンド、金属炭化物の中から選ばれる少なくとも1種である請求項1又は2に記載の無機粒子分散組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の無機粒子分散組成物を含有してなるコーティング剤。
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載の無機粒子分散組成物を含有してなる研磨用組成物。
  6. 請求項1〜3のいずれかに記載の無機粒子分散組成物を含有してなる化粧料。
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